【1号2号】ライダー共闘SSスレその9.1【響鬼】

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1名無しより愛をこめて

ライダーに関する自由度の高いSSを職人さんに発表してもらうスレです

・時代も世代も違う作品群の夢の競演
・仮面ライダー作品の世界観のアナザーストーリー
・ライダーの敵(幹部、怪人)をメインとしたSS
・オリジナルライダー
・小説・ノベル
・ライダーをメインにした他作品とのクロスオーバー

age,sage自由、批評は良いが煽りをしてはいけないよ
読者の方も感想、激励等どんどんカキコして行きましょう
職人さんもぜひよろしく

<注意事項>
・新フォーム、ネタバレなどはTVの流れに準じて解禁
・劇場版のみのライダーは公開から約1月後をメドに解禁
・他作品とのクロスオーバーの場合、
元ネタをみなが知っているとは限らないので(特にアニメ系)、
元ネタを先に宣言してくれるとありがたい
・避難所のみで連載している人もいるので避難所も時々覗いてね
2名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:02:03 ID:zzACxkGU

前スレ
【果てしなき】ライダー共闘SSスレその8【戦い】
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1095734941/

↓バックナンバーはこちら
まとめサイト(その7以降)
http://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html
ログ庫 
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/9133/rider/index.html
避難所 
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html
3名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:02:39 ID:zzACxkGU

ライダー共闘SSでSS職人も共闘しよう!

<これまでの流れ>

昭和・平成すべてのパラレルワールドをひとつに集約して行われる、ライダーVS組織の最終決戦。
最前線ではライダーと敵との果てしなき戦いが繰り広げられていた。
空と大地を埋め尽くさんばかりの、グロンギ、アンノウン、ミラーモンスター、オルフェノクの群れ。
さらにライオトルーパーの大部隊が、ジェットスライガー、サイドバッシャー、
オートバジン、ジャイロアタッカー、らの高性能マシンを駆り、疾走する。
その中で一際高くそびえる鋼の巨人・量産型キングダークの群れ。
まさしく動く山々を思わせる岩石大首領のコピー達の群れ。。
そして人間の理性を失い凶暴な巨獣と化したエラスモテリウムオルフェノクの群れ。
さらに、太古の恐竜や伝説上の架空の生物・ドラゴンを連想させるネオショッカー首領のクローンの群れ。
ライダー達の戦いは終わらない・・・・・・。

※シャドームーン、13riders全員、オーガ、サイガもライダー側で参戦です。


<この話の戦闘シーンのSSを書いてくれる方を募集してます>

・複雑なストーリー、設定は一切ありません。
・ライダー達が格好良く共闘する戦闘シーンであればどんなのでもOK
・自分が好きなライダーが大活躍するシーンなどでもOK
(例えば、RXのリボルケインでモンスター千体斬りとか)
・自分が考えたライダー同士の戦闘コンボなど
・フォームチェンジ激し杉、必殺技出し杉も基本的には気にしない方向でw
・整合性もあまり気にしない?<あまりに酷くなったら何処かから分岐しているパラレルという事で
・名前覧に「ライダー共闘/タイトル」で投稿して貰えるとわかりやすくてありがたい
等々
4名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:03:24 ID:zzACxkGU

<お約束>

・自分が好きなライダーを活躍させるのは構いませんが、
他のライダーをかませ犬にしたり、貶めたりしてはいけません
・ライダーを殺してはいけません
・オリジナルライダーはこの話では避けましょう
・後はこのスレの良識の範囲内で


<悪役サイド>

ライダー達との最終決戦がはじまる半日程前。集結する歴代組織の幹部。
彼らの前に姿を見せる人間達の戦力。戦車をはじめとする地上部隊、戦闘機が空を翔る。
沿岸には空母や巡洋艦などの艦隊が砲撃の準備を行っている。
その数は、おそらくこの国の全戦力を、いやこの国に駐留している某国の戦力をも総動員しているに違いなかった。

敵側サイドを書きたい人はこちらのフォーマットをどうぞ
敵がライダーを倒す訳にはいかないので、こちらは悪役連合VS人間の軍事力です
幹部、怪人がメインで活躍する話をやりたい人向けです


※今迄の作品は前スレ、もしくはまとめサイトをご覧ください
5名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:18:36 ID:zzACxkGU
また即落ちしてもなんなのでとりあえずカキコ
6名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:35:23 ID:zzACxkGU
現在こんな感じの話を構想中

「仮面ライダー2005 Episode.II HAYATO」

戦場帰りのカメラマン・一文字隼人は帰国後、
戦場の過酷さを撮った写真で数々の賞を受賞、
一躍有名カメラマンとしてその名を知られる事になる。
だが、その代償として隼人の心には深い傷が残る。
生きる気力すら失ってしまっている隼人。
隼人の友人はそんな彼を案じ、
政府高官・著名人等が多数集い、国を影で操っていると噂される
秘密クラブ「SHOCKER」の情報を提供する。
隼人は秘密クラブ「SHOCKER」に興味を抱き、調べ始めるが、
隼人の前に一人の男が現れ、「SHOCKER」には関わるなと忠告する。
その男は自らを「TAKESHI」と名乗った・・・。
7名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 19:47:28 ID:ZX3njzIR
>>6
あ。それ面白そうでつね。
読める日を楽しみにしてまってまつ。

余談ですが、戦場ジャーナリストって、戦争のあまりの過酷さにPTSDを発症
する人が少なくないらしいですね。
8名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:05:09 ID:zzACxkGU
>>7
出だしが某番組のパクリになってしまいそうですが(汗
それさえ我慢して頂ければ
Episode.VII SHIGERU
まではやりたいなと
9名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:24:47 ID:J1G0Hvem
>>1
乙!

>>6
光は絆だ!
久しぶりに聞いたよ、そのギャグv
昭和は遠くになりにけり
10名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:26:36 ID:J1G0Hvem
ところで、このスレは今晩の圧縮を生き残れるのか?
11名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:30:46 ID:ZGbjosbV
じゃあ、支援カキコ
12名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:37:01 ID:zzACxkGU
>>7 IDがゼクロス
30レス乗り切れば落ちづらくなるとか聞いたことあるがマジ?
仕事しながら何やってんだ俺
13名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 20:56:20 ID:ZX3njzIR
おおおおお
>>12に言われて気がついた(^^)
嬉しいからあちこちに書きまくろうか。

>>6
確かに昭和ライダーは少なくなってきたので、嬉しいですね。
沈没さん、どうしてるんだろ(ボソ)

以上、ZX記念支援ぱぴこ
14名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 21:19:38 ID:J1G0Hvem
それと劇場版555は↓になります。
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/Gekijou555.html

ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/000.html
が一応TOPページになるかな…

コピペ
15有斗愛染 ◆mNGnc3tROU :2005/06/11(土) 21:40:25 ID:wWyOt+PQ
趣旨は違えど、仮面ライダーを愛し、企画を運営する者として保守の書き込みをさせていただきます。

>>作者の皆さんへ
皆さんのSSはいつも楽しく拝見させていただいています。
これからもお体に気をつけて、執筆活動を頑張ってください
16名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 22:13:39 ID:or9eGWVk
とりあえず保守
オリジナルライダーは基本的にダメという事なので、
書いたらマイHPに載っけようと考えている自分です
171:2005/06/11(土) 22:47:36 ID:zzACxkGU
>>16
漏れは保守の意味も含め
オリジナルライダーもいいかもとは思うが、
みんなの意見を聞いてみないとな〜
18名無しより愛をこめて:2005/06/11(土) 23:01:47 ID:EjPA7h1P
共闘SSへのオリジ参戦がNGで、
オリジSSはアリってこと?

と質問がてらに保守。
19スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/06/11(土) 23:58:36 ID:wWyOt+PQ
>>18さん
私の作品ではオリジナルライダーを2人出しています。
以前、完全オリジナルのライダーを主役にした作品を書いていた方もいらっしゃいましたし、オリジナルもOKでは?

追伸、執筆少しずつ進んでいます。
何とか来週中には…
20名無しより愛をこめて:2005/06/12(日) 00:41:33 ID:Er9KpykF
さあ、これからどんな話が拝めるか・・・
期待してますよ、職人さん・・・と言うわけでホシュ

    ∧_∧
    ( ・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ドキドキ
  ∪( ∪ ∪
    と__)__)

21名無しより愛をこめて:2005/06/12(日) 05:55:10 ID:eh1PF44e
ネタバレを回避してたせいで、自分が構想中のネタと
響鬼の劇場版が被ってると今朝知った俺ガイル....orz
22名無しより愛をこめて:2005/06/12(日) 07:05:44 ID:m6PLzKB+
>>21
気にするな!
それより、反対にすごいぞ。読みたい!!
早く書き上げるんだ。劇場版公開より先にここで発表するんだ。
23名無しより愛をこめて:2005/06/12(日) 09:01:28 ID:EpNMW8Vj
保守

ダブルライダー2004さんのキカイダー編だけでも最後まで読みたい。
いや欲を言うならそれ以外も読みたいけど。

>>6
昭和ライダー楽しみです
24名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 02:03:57 ID:ZNLVyTDD
hosyu
25名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 02:44:13 ID:XFcC+vbA
保守するぞ。
26まとめサイト:2005/06/13(月) 12:04:51 ID:y08adlem
>>1
乙!

ただ保守するのも寂しいので、共闘スレその6から
戦闘員の謳/復讐のバラード
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/111-666/6-The_ballade_of_revenge.html
をアップしました。
27名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 14:12:02 ID:WuA16eEt
スレが落ちそうなんです
ちょっとageさせてもらいます
28名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 20:22:30 ID:VeGn5Wqo
1stは萬画板を重視して作られるそうだけど、これで萬画板ライダー
と平成ライダーの絡みも書けるんじゃないのかな?
29名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 21:33:01 ID:WuA16eEt
平成1号とライアの絡みとか書く人は出そうだな
30名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 21:36:15 ID:WuA16eEt
スレ即死防止連投すまん

ライダー共闘に響鬼達が出た場合、
響鬼が改造『人間』系統をあやめる可能性がある訳だが、
その辺は暗黙の了解でスルーという事で良い?
その問題さえクリアになれば
ライダー共闘に響鬼出したいんだが。
31名無しより愛をこめて:2005/06/13(月) 22:46:59 ID:omuRrqpn
なんか・・・俺の占いは当たると言い出しそうな一文字隼人・・・
ベタだねえ
32名無しより愛をこめて:2005/06/14(火) 18:48:43 ID:aJbemOtH
>>30
いいんでないでしょうか。
33スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/06/14(火) 20:23:28 ID:/HiPxCmS
執筆が遅れ、皆さんには御迷惑をおかけしています。
今日は更に悪い知らせを知らせに参りました。

来月始めから、3ヶ月ほど東南アジアの方へ長期出張する事になりそうです。
まだ制式に辞令は降りていないんですが、上司から「恐らく、君に行ってもらう事になると」言われちゃいましたorz
ノートパソコンは持っているのですが、ネットに繋げる方法が無い為、投稿が不可能になります。
向こうにいる間に書き溜めておき、帰ってきてから一気に投稿しようかとも考えましたが、個人的な都合からそれも出来そうにありません。

そこで、読者の皆様には非常に申し訳ありませんが、スーパーライダー大戦は作者の都合により、連載打ち切りという事にさせて頂きたいと思います。
掲載を楽しみにしていた読者の皆さん、本当に申し訳ありませんm(_ _)m

それでは、皆さんお元気で
34名無しより愛をこめて:2005/06/14(火) 20:24:59 ID:MCmpscF5
エェー(;´Д`)
35名無しより愛をこめて:2005/06/15(水) 09:00:11 ID:QvZy2U6b
>>33
俺たちはいつまでも待っているぞ
お前がいつの日かショッカー東南アジア支部を壊滅し
新たな物語を語りに戻ってくる日を…
36555外伝の中の人:2005/06/15(水) 19:19:44 ID:mpRI48DK
>スーパーライダー大戦様
我らが山潤に続いて貴方まで引退かよ・・・・・・orz
・・・仕事頑張って下さい。
37有斗愛染 ◆mNGnc3tROU :2005/06/15(水) 19:49:52 ID:dCkmVJkB
>>スーパーライダー大戦作者さん
連載の打ち切り、とても残念に思います。
ですが、仕事の都合とあれば仕方がありません。
これからの季節、東南アジアは熱くなる一方だと思います。
どうかお体には十分にお気をつけください。

そして、願わくば無事に帰国された後、新しく作品を投下される事を祈っています
38名無しより愛をこめて:2005/06/16(木) 15:15:52 ID:eOijB1Ds
ライダーのSS俺じゃ書きたくても文章ヘタレだから書けナイyo!!

それはそうとスーパーライダー大戦作者さん長い事お疲れ様でした。
また別の作品で会えることを願って…お気をつけて…
39名無しより愛をこめて:2005/06/16(木) 22:22:02 ID:5APgC3FQ
初めてこのスレを訪れたわけだが、腕利きの職人さんが引退なされるという
事で・・・。
俺としては読みたいですよ、色々な方が書く共闘SSを!
このスレは自由度も高そうですし、書くという意欲がある方は書いてみては
いかがでしょう?
40555外伝 もう一人の夢の守人:2005/06/17(金) 19:41:30 ID:pojX5rvq
「レディがいない今、契約通りデータは、ちゃんと渡して貰えるのかね?」
ディスプレイの向こうから、中年の男はそう言った。
『生憎ですが―――全ての実験データを管理している彼女がいない以上、此方としても・・・』
そして、青年は答えた。
ディスプレイを見据える瞳と、その言葉は、彼が日本人でない事を証明している。
中年の男は、見た目通りの尊大な声を響かせた。
「まあ―――どちらにせよ、レディが戻るまでこの交渉は保留――と言うことにする。」
そして、切断。
男は言うだけ言うと、回線を切る。
『――全く、世話を焼かせてくれるよ。』
青年は、肩をすくめた。
スマートブレイン日本支社内にある、極秘のコンピュータ・ルーム。
そこの主―――スマートレディのいない部屋にて、静かな声で、そう呟く一人の男。
『パスワードなんて、僕が知るわけ無いってのに―――』
青年は、それでも馴れた手付きでレディの使うPCを使用し、呟き続ける。
『―――無理、か。』
画面には『ERROR』の文字。
まあ―――良い。
青年の片手には、携帯電話。
その画面に映る、次の任務。
『レディの奪還。』
それ自体には興味はないし、レディは正直嫌いだ。だが、
―――ようやく、会える。
『やっとこの時が来たと考えれば―――いいかな。』
自分に、聞かせるかのように、呟いた。
確かにそう考えると、レディには感謝してもしたり無い位だ。
先ず肩が震えた。次は喉。
こらえきれない喜びをひとしきり味わうと、青年は立ち上がる。
そして、その空間に興味を無くしたかのように、振り返らず足早に立ち去った。
―――ようやく、殺せる。
41555外伝 もう一人の夢の守人:2005/06/17(金) 19:44:36 ID:pojX5rvq
都会から離れた、まだ森林のある程度残った地域。
そこに有る別荘にて、沢木達アギトの会は優雅な朝食を・・・
「だぁかぁらぁ!」
楽しめてはいなかった。
長テーブルに叩きつけられる海堂の右手。
朝食のトーストの乗る皿がゆれ、温泉卵は少しこぼれる。
「なぁんでオレサマが朝食のセッティングまでせにゃならんのだ!」
わざわざ頼まれた通りウェイターの服を着て、おまけに左手にお盆を持ちながら言っても説得力が無い。隣で三原は思う。
尤も、直後に自分をにらみつける海堂の瞳は、そんな事は分かってると告げていたが。
―――それにしても、
三原は、ちらりと向きを変えた。
海堂の機嫌が最悪になった、原因に。
「そんな所で突っ立ってないで、早く運んでくれませんか?」
神経質そうな声が響く。
レストランアギトのアルバイター。
そして、『元』ラッキー・クローバー。
―――琢磨逸郎の声が。
「・・・だぁからぁ!さっきっから言ってるけどなぁ、何故に―――」
―――オレがせにゃならんのだ。
近づいた海堂がそう言い終わる前に、ひょい、と海堂の盆に載せられるトーストとスープ。
「・・・働かざる者、食うべからずですが、何か?」
「・・・ちゅうか、何でオメーまでここで働いてんだよ!」
「労働は国民の義務ですよ?」
「そういう問題じゃねぇ!」
そして、奥のほうからウェイターを呼ぶ男の会員、
琢磨はそちらへ行こうとするが、一度振り返り―――
「ならとっとと運んでください。・・・トーストが冷めてしまう。」
―――止めを刺してから、行った。
ー――ああ、きっとこの後、俺は海堂の愚痴を聞きながらの朝食になるのだろうな。
三原はそう思うと、少し気が滅入ったが、隣に立つ啓太郎に肩を叩かれる。
『お互い頑張ろうか。』と訴えるその目に、三原は力無く頷いた。
42555外伝 もう一人の夢の守人:2005/06/17(金) 19:45:09 ID:pojX5rvq
あれだけの事があったというのに、皆笑いながらの朝食の時間。
そして甲斐甲斐しく働く琢磨と海堂。
一杯のスープをこぼさないよう運ぶ氷川―――あ、琢磨に取られた。
自分達を幾度と無く襲った『ラッキークローバー』が、
今は一介のアルバイター。
やはり、これはあの沢木と言う男の人徳なのだろうか?
―――そんな無関係な事を考えている三原に、配膳を終えた海堂は延々と愚痴る。
三原、そして啓太郎にとっては悪夢の朝食の終了後―――
三原はある事を沢木から頼まれた。
『いや〜ディナー用のワインが切れちゃってましてね、買って来て貰いたいんですけど・・・』
こんな時でも、そんな事をさらりと言ってのける沢木は、やはり大物なのだろう。
―――そこの海堂と同類の。
ここにいても暇なだけだから、啓太郎と共に行く事にした。
無論、そこで子供にじゃれ付かれている海堂は置いて。
そして、現在啓太郎のワゴン車は、昨晩も通った道を走っている。
「・・・そこを左です。」
・・・・琢磨と共に。
43ターミ○ーターとかを見て思いついたネタを投下:2005/06/18(土) 01:03:51 ID:ePm9txwH
―西暦2255年―

 
 地球に突如襲来した侵略者『アグリー帝国』と人類との20年以上にわたる戦いは、地球開放軍の最強部隊『オリュンポス』が帝国の地球における本拠地を制圧した事で、終焉を迎えた。
 だが、人類の危機はまだ去ってはいなかった。
 帝国の指揮官である『ズウォーカー将軍』が、オリュンポスの追撃をギリギリのところで逃れ、起死回生の秘策を発動していたのだ。
 その秘策とは『歴史の改変』。過去へと時間移動を行い、過去の世界を制圧する事で歴史を変えようという恐るべき作戦である。
 事態を重く見たオリュンポスはすぐさま追撃隊を送る事を決定。直ちにその準備を開始した。

 だが、ここで思わぬ事態が判明する。

 ズウォーカー将軍が時間移動の際に行った措置の為に、時空のバランスが崩れ、大規模な時間移動が不可能になっていたのだ。
 時空のバランスが正常に戻るまでには最低でも3ヶ月かかり、それでは歴史改変が達成されてしまう。
 苦肉の策としてオリュンポスは1人の男に全てを託し、過去へと送り込んだ。

 男の名はアレス。軍神の名を冠するオリュンポス最強の戦士。

 ズウォーカー将軍を追って、アレスは時を遡る。250年の昔、西暦2005年の日本へと…。


 新番組・仮面ライダーアレス

 第1話『始祖との邂逅』
「貴様達を俺は認めない!」 
44名無しより愛をこめて:2005/06/18(土) 17:57:48 ID:YbgKhIaC
新作期待age
45名無しより愛をこめて:2005/06/18(土) 19:50:48 ID:cIM4r4s4
こうも毎年ライダーが続くのならば、
そろそろビデオでVS物を創って欲しいと思わない?
戦隊物の猿真似と言われようと構う物か。
46名無しより愛をこめて:2005/06/20(月) 00:50:30 ID:GZ6ThjnZ
hosyu
47名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 08:09:16 ID:ub1RcviW
あげ
48名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 10:56:47 ID:el8gdaQl
保守がてらプロット置いていきますね
昭和ライダーを平成風にアレンジしたらということで


仮面ライダー2005 EPISODE.3 SHIROH

本郷猛の後輩である風見志郎。
風見の父は、かって緑川博士・本郷猛が所属していた
科学者同盟「ガイアブレイン(仮称)」のメンバーでもあり、
緑川博士・本郷猛とも懇意にしていた。

本郷猛が失踪してから2年、風見親子は本郷猛の消息を追い続けていた。
ある日、本郷猛を探す風見志郎の前に、やはり本郷猛を探す結城丈二と名乗る男が現れる。
結城丈二は組織を裏切った本郷猛に興味を抱いていたのだ。
結城丈二は風見志郎に「本郷猛にはこれ以上関わるな」と忠告する。

結城丈二の言葉通り、深入りし過ぎた風見ファミリーは、
ショッカー怪人より更に進化を遂げたと主張する者達が集まり結成された、
チーム・デストロン(ショッカーの関連組織として分離独立)の怪人の手により惨殺される。

風見志郎も寸での所で一文字隼人により助けられたものの、重症を負い絶命間近であった。
本郷猛と一文字隼人は風見志郎を救う為に、改造手術を施すかどうかの決断を迫られる。
本郷猛は「風見が仮面ライダーになるとは限らない」「怪人となる可能性がある」と危惧する。
一文字隼人もまた「自分達と同じ重荷を背負わせ、修羅の道を歩ませる」ことにためらう。
最終的に一文字隼人は「風見が仮面ライダーになれなかった時は、俺がケリと着ける」
と本郷猛を説得し、風見志郎の改造手術が行われる。
49名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 10:57:23 ID:el8gdaQl

だが改造人間となった風見志郎は、本郷猛の危惧通り、怒りと憎しみに囚われ、その力に溺れ、
組織に対する復讐のみに執念を燃やし、暴走を繰り返した。
そして風見志郎は、本郷猛と関わったが為に家族は殺されたと信じ、本郷猛を激しく憎み、
自らに過酷な運命を課した本郷猛と一文字を心の奥底で呪うのであった。

小型原子炉を体内に持つカメバズーカを市街地で倒そうとする風見志郎。
その前に立ちはだかる一文字隼人、彼は復讐に囚われた風見志郎を止め救うおうとするが。
「俺の邪魔をするなら、あんたたちも俺の敵だっ!!」
ダークサイドに堕ちかけている風見志郎に隼人の言葉は届かない。
一文字隼人はその拳で風見志郎の暴走を止めるしかなった・・・。

2号ライダーに深手を負わせた風見志郎。
一文字隼人の風見志郎を救いたいという願いも虚しく、
本郷猛は風見志郎を「仮面ライダーではなく怪人」として判断し、倒す事を決断する。
本郷猛が幾重にも張り巡らせた罠に陥る風見志郎。
だが風見志郎の復讐の執念が窮地から彼を甦らせる。
風見志郎は1号ライダーと死力を尽くして戦い、双方共に大ダメージを受ける。
50名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 11:03:01 ID:HRuDJkX/
だが一文字はやはり本郷を救いにきた ってのがやはりいいな
51名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 11:28:35 ID:el8gdaQl

仮面ライダー2005 EPISODE.4 JOEJI

時を同じくして、本郷猛を追っていた結城丈二にも悲劇が起こっていた。
ショッカー怪人より更に進化を遂げたと主張する者達が集まり結成され、
ショッカーの関連組織として分離独立したチーム・デストロン。

その中で科学班でありながら急速人望を集める結城丈二に、
デストロン幹部のヨロイ元帥が危惧を抱き、結城丈二の暗殺を謀ったのだ。
結城丈二は仲間の助けにより、一命を取りとめたが、
その右腕を失い、さらに彼の仲間達はヨロイ元帥の手により皆殺しにされてしまう。
結城丈二はデストロンを飛び出し、ヨロイ元帥への復讐を誓う。

1号2号ライダーを退け、デストロンを憎み復讐の鬼と化し暴走を続ける風見志郎。
ヨロイ元帥への復讐を誓った結城丈二。
風見志郎と結城丈二は相まみえる。その能力に任せて戦う風見志郎に対し、
非力ながらも緻密な戦術を立て、アタッチメントアームで戦う結城丈二。
双方に決定的なダメージも無いままに戦いはドローに終わる。

やがて風見志郎と結城丈二は、打倒ヨロイ元帥という共通の目的を持ち、共闘するようになる。
戦いを通して風見志郎と結城丈二の間に信頼関係が芽生えはじめる。
52名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 11:29:17 ID:el8gdaQl

だが結城丈二の心境には変化が起こっていた。
今迄自分が信じていた組織の理想と、自分の理想は異なるものではないのかと。
結城丈二のその違和感は、彼が探し続けていた本後猛に出会い、
本郷猛が組織を裏切った理由を知った時に、確信に変わった。
そして自分が倒すべき相手はヨロイ元帥だけではなく、デストロン=組織そのものであることを悟るのであった。

そして、結城丈二は、復讐よりも人々を守る事を選んだ。
ヨロイ元帥の策により、市街地に向け発射されたプルトンロケットの進路を変える為、
自らの命を顧みず、ロケットに乗り込む結城丈二。
それは風見志郎への命を賭した説得でもあった。
「1号2号の力を凌駕をする程のお前の力を、復讐の為だけに使って欲しくはない」
風見志郎にそうメッセージを残してプルトンロケットと共に空に消える結城丈二。
結城丈二の命を賭したそのメッセージに風見志郎は涙する。

風見志郎の魂を救ったのは本郷猛でも一文字隼人でもなく結城丈二であった。
ここにはじめて仮面ライダー3号(V3)とライダーマン(4号)が誕生する。
53名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 11:53:39 ID:el8gdaQl

仮面ライダー2005 EPISODE.5 KEISUKE

プルトンロケット爆発寸前に脱出を図った結城丈二だったが、
瀕死の重傷を負い、海上で生死の境を彷徨っていた。
その結城丈二を助けたのは一文字隼人。
だが結城丈二を救うには一刻の猶予もならない。
隼人は本郷猛の指示に従い、結城丈二を神博士の研修室へと運び込む。
神博士の手により再改造手術を受けた結城丈二は、なんとか一命を取りとめる。

神博士もまた緑川博士・本郷猛がかって所属していた
科学者同盟「ガイアブレイン(仮称)」のメンバーの一人であった。
数ヶ月をかけて回復した結城丈二は、
神博士が研究する深海開発用サイボーグ『カイゾーグ』の開発に協力する。
『カイゾーグ』には結城丈二の協力により仮面ライダーの技術が流用されることとなる。

結城丈二が神博士の研究室を去った後、
神博士の研究所はGODを名乗る者達により襲撃される。
GODとは、デストロンと同じく、怪人達が究極の進化を遂げ、
神にも等しい存在となったと主張する者達が集まり結成され、
ショッカーの関連組織として分離独立したチームである。

神博士の研究所襲撃犯のリーダーはアポロガイストと名乗り、
博士の息子である神啓介を射殺する。
神博士は自らも負傷しながらも、心停止している息子の啓介を
『カイゾーグ』として復活させるべく、改造手術を行う。
54名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 12:19:20 ID:el8gdaQl

仮面ライダー2005 EPISODE.6 AMAZON

神博士の研究所を離れた結城丈二は、かって自らも所属し、
緑川博士・本郷猛も所属していた科学者同盟「ガイアブレイン(仮称)」の
信頼のおける仲間達に、仮面ライダーの全データを転送する。
その中の一人にアマゾンの密林に研究所を持ち、
現代科学と古代秘術の融合を研究目的とする、
インカ帝国の末裔であると言われる、風変わりの科学者バゴーの存在もあった。

その仮面ライダーのデータを見たバゴーの弟子・ゴルゴスは、
自ら被験体となる事を強く望み、バゴーを説得する。
バゴーは渋々ゴルゴスの説得に応じ、ゴルゴスに改造手術を施し、手術は成功する。

だが、強大な力を得たゴルゴスは、その力に溺れ、ダークサイドへと墜ち、
バゴーの弟子である10人の兄弟弟子達をその体内へと取り込み、十面鬼と化す。
そして、バゴーの研究室にあったガガの腕輪を奪い去って行く。

バゴーは負傷を追いながらも、負傷したアマゾンの改造手術を行い、
隠してあったギギの腕輪をアマゾンに託す。
そして、アマゾンに自らの過ちにより誕生してしまった
十面鬼ゴルゴスを倒して欲しいと言い残して、バゴーは息を引き取る。
55名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 12:38:10 ID:el8gdaQl

仮面ライダー2005 EPISODE.7 SHIGERU

ショッカーを母体とする組織で、ショッカーライダー以来の
組織産の仮面ライダー誕生計画が持ち上がっていた。
その計画を任されたのはチーム・ブラックサタン。
ブラックサタンは仮面ライダーの素体となる者を集めた。
集められた人間達はライダー候補生として様々な訓練・試験が課せられた。
その中のひとりに城茂の姿があった。

城茂は様々な手を使って他のライダー候補生達を潰してまわった。
彼にはどうしても自らが仮面ライダーにならなくてはならない理由があった。
ブラックサタンは城茂の目的の為には手段を選ばぬ所を評価し、
城茂を次の仮面ライダーの素体として選ぶことにした。

城茂の目的とは兄弟同然に育った親友を殺したブラックサタンへの復讐。
城茂はそれをずっと心の奥底に秘めたまま、
自らが仮面ライダーの力を手に入れる日を待ち望んでいたのだ。
56名無しより愛をこめて:2005/06/22(水) 12:38:37 ID:el8gdaQl

改造手術を受けた城茂は、脳改造の手術の直前に仲間の手引きにより、ブラックサタンからの脱出を謀る。
脱出の途中、無理矢理怪人にされしまった岬ユリ子なる少女と出会い、不本意ながら彼女と共に脱出することとなる。

目的の為には手段を選ばぬ復讐の鬼・城茂。
だが岬ユリ子との交流が彼に思わぬ心境の変化をもたらした。
そして、岬ユリ子の死を契機に、城茂もまた仮面ライダーとして生まれ変わるのであった。


こうして姿形だけではなく、仮面ライダーの魂を持つ者達が7人誕生する。
57まとめサイト:2005/06/22(水) 19:58:45 ID:WmiROcPj
((゜_゜;)(;゜_゜))
>>スーパーライダー大戦作者さん
いままでお疲れ様でした。
体にお気をつけて、
ひそかに帰国後の戦線復帰を期待しております。

56まで更新しました。

>>仮面ライダー2005さん
私、EPISODE.1を見つけられないのですが…(・_・;A
どこでしょう?orz
58仮面ライダー2005:2005/06/22(水) 23:49:30 ID:zzJHeWM7
まとめサイト様 いつもありがとうございます

今シリーズでは、本郷猛はすべての物語に深く関係するが、
その素性は明らかではない最大の謎の人物という演出を施そうかと思ってまして、
ネタバレのタイミングを見計らっております。
ですのでEPISODE.1はまだプロット出しておりません、申し訳御座いません。

時間があれば明日からでもEPISODE.2HAYATOから書き出そうかと思ってます。
よろしくどうぞ
59名無しより愛をこめて:2005/06/23(木) 11:09:03 ID:No15VQ4N
>>58
すごく面白そうなストーリーですね。
期待してます。
6043:2005/06/24(金) 01:40:23 ID:6j7ERAZU
「タイムワープは、成功したようだな」
「はい、現時刻は2005年6月22日13時44分…計算が正しければ、『奴ら』のタイムワープから27分遅れで到着しています」
 男の言葉に答える機械音声。その口調は丁寧で流暢だ。
「奴らの歴史介入をなんとしてでも阻止しなければ…『スレイプニル』、奴らの動きを察知できたか」
「只今この時代の防衛機関の通信を傍受しました。奴らが動き出したようです」
「場所は?」
「この時代『新宿』と呼ばれている地区、その中心部で奴らは暴れているようです」
「よし、行くぞ! スレイプニル」 
「了解、マスターアレス!」
 直後、アレスを乗せた戦闘用スーパーバイク『スレイプニル』は、文字通り弾丸のような速さで発進した。
 250年の時を超えて、現代に現れた戦士アレス。
 これは、クライシス帝国との戦いの後に起こった11人ライダーの知られざる戦いの記録である。
6143:2005/06/24(金) 01:41:28 ID:6j7ERAZU


 仮面ライダーアレス・第1話『始祖との邂逅』


 破壊される建物。
 逃げ惑う人々。
 新宿は混乱の巣窟と化していた。手下を引き連れて突如出現した醜悪な怪人が、手当たり次第に破壊活動を始めたのだ。
「フハハハハッ! 人間どもよ逃げ惑え! これよりこの地は、我ら『アグリー帝国』の領地となるのだ!!」
 巨大な剣を掲げ、高らかに宣言する怪人。その時―
「待てぇ!」 
 1人の青年が、怪人の前に立ち塞がった。
「むむっ!?」
「お前達…クライシスの残党か!」
 怪人を正面から睨みながら問いかける青年=南光太郎。
「クライシス? フン! 我らはそのようなものではない!!」
「なんだと!?」
「我らはアグリー帝国軍! 全宇宙を支配する全能の支配者よ!!」
 そう言いながら怪人は、手下を光太郎の周囲を取り囲むように差し向ける。
「アグリー帝国軍地球方面軍指揮官であるこのズウォーカー将軍に歯向かった勇敢にして愚かな人間よ。死ぬが良い!!」
 その一声と共に、手下を一斉に光太郎へ差し向けるズウォーカー将軍。
「とぅ!」
 だが、光太郎は見事なジャンプでその囲みから抜け出し―
「変! 身!!」
 変身のポーズを取った。腹部のキングストーンが輝き、光太郎の姿を変えていく。
「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK! RX!!」 
 異世界からの侵略者『クライシス帝国』と勇敢に戦い、10人の先輩ライダーの援護を得て、遂にそれを滅ぼした光の戦士、仮面ライダーBLACK RXへと!!
6243:2005/06/24(金) 01:42:19 ID:6j7ERAZU
「何ぃ!? 仮面ライダーだとぉ!?」 
 RXの姿に驚きを隠せないズウォーカー将軍。
「ズウォーカー将軍、これ以上の破壊は許さん!」
 太陽の光を背後に受けながらそう宣言するRX。
「ぐぬぬ、アグリー兵よ! RXを倒せ! ライダーといえどもたった1人、全員でかか―」
「1人ではないぞ!」
 ズウォーカー将軍の声を遮る太く、熱い叫び声。その場の誰もが声のした方向、ビルの屋上を見てみるとそこには―
「本郷先輩!」
 仮面ライダー1号こと本郷猛の姿があった。そして―
「本郷だけじゃないぜ!」
 本郷の声に続くように仮面ライダー2号こと一文字隼人が姿を現す。
「先輩達、何時日本へ?」
「ついさっきだ。帰国して早々にこの騒ぎ…と言う訳だ」
 RXの問いに答えながら、ズウォーカー将軍を睨みつける本郷。
「ズウォーカー将軍とやら…俺達がいる限り、貴様の好きにはさせんぞ!!」
「ええい、好き勝手な事を抜かしよって! アグリー兵よ! RX共々あの愚か者どもを殺せ! 殺せぇ!!」
 ズウォーカー将軍に従い、戦闘体勢に入るアグリー兵達。それを見て本郷と一文字も―
「よぉし…一文字、俺達も変身だ!」
「おう!」
 同時に変身ポーズを取り、変身を開始する。
「ライダァァァ変身!! とぉっ!」
「変身!! とぉっ!」 
 ビルの屋上からジャンプし、地上へ降り立った時には、本郷猛は仮面ライダー1号へ、一文字隼人は仮面ライダー2号へそれぞれ変身を完了していた。戦闘準備は万全だ。
「ぬぅぅ…この時代に3人も仮面ライダーが存在していたとは予想外だ…」
 忌々しそうに呟くズウォーカー将軍。だがすぐに気を取り直し―
「えぇい! ライダーが3人になった所で問題は無い! ここで全て血祭りにあげろぉ!!」
 指示を下した。アグリー兵が武装を構え、一斉に動き出そうとしたその時!
6343:2005/06/24(金) 01:44:01 ID:6j7ERAZU
「見つけたぞ! ズウォーカー将軍!!」  
 そんな声と共に発射された無数のマイクロミサイルが、アグリー兵の殆どを纏めて吹き飛ばした。
 ほぼ同時に、1台の大型マシンが猛スピードで接近し、1号ライダー達の直前で停止すると、そのマシン=スレイプニルから1人の青年が降り立った。

「貴様! 『オリュンポス』の…この時代まで追ってきたのか!」
 青年=アレスの姿を見て、明らかに動揺を見せるズウォーカー将軍。
「貴様らに歴史を変えさせる訳にはいかないからな!」
 アレスはそう言うと、左腕を腰に添え、右腕を左斜め上にゆっくりと伸ばした。同時に腹部にベルトが出現する。
「変身!」
 発生と共に右手を握り、斜め下に振り下ろすとベルトから光が放たれ、次の瞬間にはアレスを別の姿へと変えていた。
 メタルレッドの強化装甲に包まれた戦士。その名も―
「仮面ライダー! アレス!!」
6443:2005/06/24(金) 01:48:07 ID:6j7ERAZU
「君もライダーなのか?」
 アレスにそう問いかける1号。だがアレスはその言葉を無視し、ズウォーカー将軍へと突進した。
「アグリー兵!」
 ズウォーカー将軍も生き残っていたアグリー兵を周辺に配置し、迎え撃つ。
「どけ! 雑魚ども! ブラスターマグナム!!」 
 アレスは両太腿のホルスターに収められていた2丁の大型ハンドガン『ブラスターマグナム』を抜き、乱射した。大口径の弾丸が次々とアグリー兵の頭部や腹部に風穴を開け、倒していく。
「おのれ、ライダー!」
 アグリー兵を全て失ったズウォーカー将軍は、自ら剣を抜きアレスに襲いかかる。
「スラッシャーエッジ!」
 アレスもブラスターマグナムをホルスターに収め、左肩の装甲に仕込まれたプラズマソード『スラッシャーエッジ』を抜き、応戦する。
 剣と剣がぶつかり合い火花が散る。そして、次の瞬間―
「でやぁっ!」
 アレスの一撃が、ズウォーカー将軍の右腕を切り裂いた。
「くっ」
 ダメージを受けたズウォーカー将軍は右腕を押さえながら―
「…貴様が現れるのは想定外だった。ここは退かせてもらう」
 そう言い残すと、姿を消した。
「空間転移…逃げられたか」
 忌々しそうに呟くアレス。と、ここで背後からの視線に気がつく。 
6543:2005/06/24(金) 01:50:18 ID:6j7ERAZU
「君もライダーなのか?」
 先程と同じ質問をアレスへ問う1号。
「ああ、そうだ。一応はな」
 1号の問いに今度は答えるアレス。だが、その口調は何処か怒気を含んでいる。
「君の名前はアレスだったな。詳しい事情はわからないが、君は奴らと戦っている事はわかる。新たな侵略者がこの世界を狙っているのならば、我々と力を合わせて戦わないか? 同じ仮面ライダーとして」
 そんなアレスの様子を知ってか知らずか、1号は共闘をアレスに持ちかけた。次の瞬間―
「ふざけるな!」
 アレスはブラスターマグナムを抜き、片方を1号に突きつけていた。もう片方は2号とRXに向けられている。
「俺はお前達を見ているとイライラする…貴様らがいなければあの悲劇は起きなかった…俺はお前達を認めない!!」
 アレスの怒声が、周囲に響いた。
6643:2005/06/24(金) 01:51:10 ID:6j7ERAZU
―次回予告―

俺はお前達を認めない。
アレスの声が街に響く時、彼の過去が明らかとなる。
彼は何故ライダーを憎むのか、そして、アレスとライダー達はわかりあう事が出来るのか。
アグリー帝国の侵攻が始まる中、アレスの新たなる力が明らかとなる。

次回、仮面ライダーアレス・第2話『悲しき過去』

「アクセルシステム、起動! ソニックフォーム!!」
6743:2005/06/24(金) 01:54:09 ID:6j7ERAZU
>>43で書き込んだネタをSSにしてみたんだけど…正直あまり良い出来とはいえない。
だから、突っ込みがあればバンバン入れて欲しい。
そっちの方が助かるんで
68名無しより愛をこめて:2005/06/24(金) 17:43:18 ID:E7OR2czP
次に作る時は二号をもちっとマシな扱いにしてね ダブルライダーは平等
69名無しより愛をこめて:2005/06/27(月) 00:02:48 ID:b/UGY6h/
やはり今流行りは逆恨みですか??
70555外伝の中の人:2005/06/29(水) 23:01:23 ID:/jttTZRp
本編まるごとノートンセンセに消されてしまった・・・・orz
待ってる人がいるか分からないが出来るだけ早く書くとです・・・・
71名無しより愛をこめて:2005/06/30(木) 12:53:44 ID:t1phwhs5
>>70
ご愁傷様です。
大変でしょうが、頑張ってください。
72保守:2005/07/01(金) 00:31:01 ID:9PwETl2a
バットマンビギンズが悪の組織を裏切ってヒーローになる
仮面ライダーみたいな設定だった件について
73名無しより愛をこめて:2005/07/01(金) 10:15:46 ID:Rn6ThKbs
>72
つ[ Masked Rider/Batman ]

読んでみたいです。
74名無しより愛をこめて:2005/07/01(金) 11:21:19 ID:/jt7+4fB
>>73
原作漫画版の本郷は大金持ちだったり執事がいたり、
バッドマンに通じるものがあるから、案外上手くまとまるかもね
75名無しより愛をこめて:2005/07/01(金) 17:55:59 ID:/jt7+4fB
面白そうなのでちょっと調子に乗ってつくってみた
バットマン風仮面ライダー

大財閥の跡取りである本郷猛。
猛の父は政治家として世の中を正そうと悪と戦っていたが、
それが原因で幼い猛の目の前で夫妻揃って殺害される。
そのトラウマを持ち成長する猛、成人した猛は両親を殺した犯人を探すべく自ら裏社会へと身を投じる。
監獄に投獄されている猛の前にショッカーという組織の使いが現れる。
ショッカーの圧力により釈放される猛は、アジトに辿り着き、
ショッカーの理念が自分の心の闇を救ってくれると信じた猛は、
ショッカー幹部の地獄大使の基で厳しい戦闘訓練を受ける。
ショッカー実働部隊のリーダーに選ばれた猛は、改造人間の手術を受ける。
だが脳改造の直前緑川博士により救出される。
そこではじめてショッカーこそが両親殺害の影の黒幕であることを知る。
猛は緑川博士とショッカーから脱出。だが途中追っ手により緑川博士は死亡。
博士の娘のルリ子に殺人犯として恨まれることに。
自分の屋敷に戻った猛は、ショッカーと戦う事を亡き両親に誓う。
そして執事の立花藤兵衛と共に、財閥の財力を使って強化服と高性能ビーグルを開発。
強化服に身を包み、高性能ビーグルに跨り、
悪の組織ショッカーと戦う自らを仮面ライダーと名乗った。
普段はその正体を隠す為、大富豪の御曹司であるプレイボーイという仮の姿を演じ、
大事に至っては仮面ライダーとしてショッカーと戦うのであった。
76名無しより愛をこめて:2005/07/01(金) 21:10:32 ID:mvmj384c
じゃあ、新作ができるまでの暇つぶしに、漏れもバットンマンネタを。

漏れのみたいのは、「バットマン/ダークナイトリターンズ」とその続編の
「バットマン/ダークナイト・リターンズ・ストライクス・アゲイン」
みたいなライダー。

舞台は近未来のファシズム化したアメリカ。年老いたバットマンが、
町で強盗に襲われたのをきっかけに活動を再開するが、時代が変わり、
彼にマスコミは冷淡だった。バットマンの復活に呼応するように帰ってくる
仇敵たちと闘ううちに、バットマンはならず者たちを逆に従えて自警団を組織、
マスコミのみならず、政府からも危険視されていく。
そして、ついには政府の命令を受けたスーパーマン(彼は政府の指揮下で、
戦争に介入してたりと、こちらはこちらで散々^^;)と、パワードスーツを
着て対決することになる・・・と言うのが、「ダークナイト・リターンズ」。

いわゆる体制からも、ちょっと危険視されるヒーローというのもみてみたいな。
772人の戦士:2005/07/01(金) 23:14:22 ID:8Xh6ASX5
[2006年 6/3 12:16 ポレポレ]

あの未確認の出現から3日後
あれから未確認達の出現は無く、五代、警察関係者も安息の日々を送っていた。
店には客はおらず雄介やおやっさん、奈々も暇そうにしていた。
その時、店の電話が鳴り雄介が出る
「はい、オリエンタルな味と香りの・・・一条さん。」
「五代か。未確認が出た。至急来てくれるか。」
「はい。わかりました。あっ乾さんは呼ばないで下さい。まだ怪我治ってないみたいなんで。」
「あぁ・・・わかった。」
「それじゃあ現場で」

電話を切ると雄介は
「おやっさんじゃあ行って来ます。」
「気を付けろよ雄介」
「頑張って下さいね。五代さん。」
「うん!頑張ってくる。」
サムズアップをしながら答える雄介。
そして雄介はBTCSで現場へ向かっていく・・・
782人の戦士:2005/07/01(金) 23:25:18 ID:8Xh6ASX5

[同日 12:35 都内某所]

そこには無数の死体が転がっていた。
中には警察官なども混じっている。
「ザジャグデデボギクウガ。(早く出て来いクウガ)」
と、そこに雄介が到着する。
雄介はすぐにアークルを出現させ変身のポーズを取る。そして
「変身!!」
そう叫ぶと雄介の体はクウガへと変身を遂げる。

クウガは未確認へと向かって行きパンチを一発くらわそうとするが・・・
パンチは簡単に受け止められ逆にキックを入れられよろけてしまう。
未確認は胸の部分に付けていた装飾品を手に取る。
するとそれは巨大な鎌に変わりその巨大な鎌でクウガを切り裂く。
「くはっ・・」
クウガはその場に倒れこむ。
すぐに起き上がろうとするが2回目、3回目とどんどん切り裂かれていくので起き上がることができない。

「ボレデガギゴザ(これで最後だ)」
そう言うと鎌を大きく振り上げる。
だがクウガはその瞬間腹に蹴りを入れる。
そして未確認がよろけた瞬間体勢を立て直す。
「超変身!!」
と叫びタイタンフォームに変わり、近くに落ちていた木の棒を拾いタイタンソードに変える。
クウガと未確認は一定の距離を取りお互い相手の動きを見ている。
先に動いたのは未確認だった。
未確認が走り出すのと同時にクウガも走り出す。
792人の戦士:2005/07/01(金) 23:26:21 ID:8Xh6ASX5
鎌と剣との激しいぶつかり合いを制したのは未確認の方だった。
タイタンソードは弾かれてクウガの手から離れてしまう。
未確認は容赦無くクウガを切り裂いていく。
タイタンのアーマーに無数の傷ができていく。
その鎌の攻撃力は相当なものである。

クウガはもう起き上がることができず、動くことができない。
「ボンゾボゾゴワリザ(今度こそ終わりだ)」
そう言うと未確認が最後の一撃を加えようと鎌を振り上げる!!


久しぶりの投稿です。
とりあえず今日はここまで。
題名が2人の戦士なのに三原でも出そうかなぁと考えてしまっている俺って…
三原出すなら題名変えなきゃいけませんね。
80名無しより愛をこめて:2005/07/01(金) 23:49:44 ID:4GLnuB+0
2人の戦士の新作キター!気にいっているんで続き頑張ってください。
812人の戦士:2005/07/03(日) 15:25:21 ID:/7uGRsRi
この先の展開を何種類か考えてるのですが迷ってます。どれがいいと思いますか?

@巧が応援に駆けつける
A一条さんが来る
B意表をついてゴウラム
C登場させようか考え中の三原

みなんさんの意見が聞きたいのでお願いします。
82名無しより愛をこめて:2005/07/04(月) 20:49:30 ID:uwPTjBut
>>81
Aかな。

あと、意表をつくのなら全く無関係そうな人を出すといいと思う。
例は思いつかんが。
83名無しより愛をこめて:2005/07/04(月) 21:19:32 ID:PmXkarZO
>>82
(一応)クワガタライダーな橘さんとか。
84名無しより愛をこめて:2005/07/04(月) 21:23:50 ID:Ono64v4T
>>81
心身共に深い傷を負った巧の代わりに
C三原とか?

85名無しより愛をこめて:2005/07/04(月) 21:28:35 ID:uwPTjBut
ごめん、票を変える。

@とCを組み合わせるというのは無しかい?

ダメなら元の意見で。
862人の戦士:2005/07/04(月) 23:43:52 ID:F53BNXwn
じゃあ三原と一条さんってのはどうですかね?
87名無しより愛をこめて:2005/07/05(火) 00:28:52 ID:H6BUVPv5
すいませ〜ん。楽しく読ませて頂いているのですが、
三原って誰ですか?空我でも亜義斗でもないですよね。
5×3か剣?ドラゴン?教えてください。
88名無しより愛をこめて:2005/07/05(火) 00:45:51 ID:wfqlzymG
>>87
三角です
892人の戦士:2005/07/05(火) 01:20:40 ID:dIk85e8X
三原は555に登場するデルタのベルトを装着する人物です。
一応自分が書いている作品はクウガ×555なのでアギトなどの登場人物は出さない
つもりですので
902人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/05(火) 01:29:26 ID:dIk85e8X
テストです。
912人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/05(火) 01:37:22 ID:dIk85e8X
三原が人気(?)のようですので三原を出そうと思います。
ただ私の記憶の中にあんまり三原が残っていないので変になるかもしれませんが、
そこはご了承くださいw
922人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/05(火) 01:49:47 ID:dIk85e8X
う〜ん…なんか今更になって三原を書く自信が無くなってきました(ぉぃ
ってなわけで三原は無しで、まぁ@ABのどれかにすると思います。
ホントすいません。
93名無しより愛をこめて:2005/07/05(火) 21:08:45 ID:/eqUnYpn
気にスンナ、キャラが活きてて面白けりゃおk!
94名無しより愛をこめて:2005/07/06(水) 02:19:38 ID:Cz7Snpti
日本沈没がリメイクされるようですが、沈没さんはどうしてらっしゃるんでしょうかね
952人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/07(木) 23:05:27 ID:DIbTIRKA
絶体絶命のクウガ。
その時!!
銃声の音と共に未確認が苦しみだす。
クウガが振り向くと銃を構えた一条がいた。
「一条さん」
クウガはそう呟きボロボロの体で何とか立ち上がろうとする。
だが立ち上がることができない。
それを見た一条はさらに数発神経断裂弾を未確認へ撃つ。
先ほどよりさらに苦しみだす未確認。
そして未確認は
「邪魔者が入った。この勝負はお預けだ。だが次こそ貴様を…殺す。」
そう言い残すとその場から去って行った。

未確認が去ったのを確認すると一条は倒れたいる雄介に駆け寄る。
すでにクウガでは無く雄介に戻っていた。
「五代!!しっかりするんだ。五代!!」
一条の呼びかけに五代は何も反応せず倒れているままだった…
962人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/08(金) 21:23:07 ID:7GWL5T92
[同日 14:30 関東医大病院]

「どうなんだ?五代の様態は。」
「まぁ本当なら全治7ヶ月ってとこだが、五代なら5時間もあれば完治するだろう。」
「そうか。俺はいったん本庁に戻ってあの未確認について調べる。五代が目を覚ましたら連絡をくれ。」
「あぁわかった。」
「それじゃあな。」
そう言うと一条は部屋から出て行く。
972人の戦士 ◆GYaO1T4UPk :2005/07/08(金) 21:23:29 ID:7GWL5T92
[同日 14:50 関東医大病院]

巧はまだ考えていた。
だが、まだ答えは出ない。
木場が何故生きているのか。何故また戦わなければならないのか。
巧はただただ考えるしかなかった。
巧はふっと外を見る。
そこには雄介の大好きな青空が広がっていた。
だが巧の心はその青空とは違い雲に覆われていた…
98名無しより愛をこめて:2005/07/09(土) 00:42:16 ID:M+BYfcSz
G2ユニットとか出したらどう?>2人の戦士 ◆GYaO1T4UPk


99名無しより愛をこめて:2005/07/09(土) 08:46:28 ID:j8KHYlrt
>98
どっかにあったな、『人狼』のプロテクトギアが後のG1ユニットとか言うの。
100保守:2005/07/10(日) 23:34:41 ID:MmOS0pA9
ダースベイダーも仮面ライダーに思えて来た件について
101名無しより愛をこめて:2005/07/11(月) 00:04:36 ID:nUqATuxz
>>100
うん、あんなふうに善から悪に走ったヒーローも見てみたいとも思う
102名無しより愛をこめて:2005/07/11(月) 00:32:14 ID:jp8k8AOp
>>101
最後の最後でちゃんと善に帰って来ているので仮面ライダーの資格もありかと思う

このスレ的には、親子関係を友情に置き換えて、
影月=ダースベイダー、オビワン+ルーク=ブラックとかでやると結構面白いかもしんない
103555外伝 もう一人の夢の守人:2005/07/12(火) 21:00:03 ID:JtrcEcMI
ワゴン車の中に充満する、なんとも気まずい雰囲気。
三原は、ちらりと啓太郎に目を移す。
―――冷や汗をかきながらの運転。
ああ、啓太郎願わくばうつ病にだけはならないでくれよ―――
只でさえ年中躁状態の奴が一人いるんだから―――
そう心で呟くと、三原は外を眺める。
そして、
「変わりませんね。」
と言う声が聞こえた。
三原は啓太郎の方を向く。
手をひらひらと振り、否定する啓太郎。
それで漸く、外を眺める声の主に気が付いた。
「―――貴方達は、何も変わってない。」
琢磨はそう話しかけた。
三原は軽く息を吐く。
「そう言うお前は、ずいぶん変わったんじゃないか?」
「―――変わった、か。」
そして琢磨は、鼻を鳴らした。
「ひょっとしたら―――私は何も変わっていないのかもしれませんよ?」
その琢磨の答えに、三原は首を軽く振った。
「今までの『ラッキークローバーの琢磨』なら、確実に俺たちを殺しているだろう?」
「ええ、確実に。」
軽く笑いあう二人に、啓太郎は人知れず祈り続ける。
―――ああ、神様仏様長田様―――!
「どうしてこうなったんでしょうかね?」
「さあ・・・な」
ワゴンは、カーブに差し掛かる。
「・・・これからお前はどうするんだ?」
「さぁ・・・」
どうしましょう?そう肩をすくめる琢磨。
「さて・・・・と。」
104555外伝 もう一人の夢の守人:2005/07/12(火) 21:01:49 ID:JtrcEcMI
琢磨は、いつの間にか止まっているワゴンから静かに降りる。
三原も同じように降りると、啓太郎に告げた。
「逃げろ」と。

「・・・・・ぶぁぁっくしょい!」
「・・・もう海堂さん、厨房でくしゃみしないでくださいよ・・・」
沢木の別荘にて、加奈に頼まれ沢木の手伝いをする海堂。
その隣で、海堂に何かと指図する氷川。
尤も、優しい海堂様は氷川に対し『そんなに言うならお前がやれ』などとは言わない。
・・・先程、手に包丁を持つ氷川に真剣な恐怖――こいつ指どころか手首まで叩き落すんじゃねえか?―――を感じたからである。
しっかし、先程のくしゃみはなんだったんだ?
・・・もしや誰かがオレ様の噂でも・・・
「海堂さん?」
・・・やっぱりこないだ助けたOLか?いやあれは少々ケバ過ぎるし・・・
「かーいどうさーん・・・」
・・・いやいや、オレはもう天涯孤独、孤高の戦士。
愛などいらな・・・痛。
「あ・・・」
指を軽く切ってから、オレはようやくこちら側へ戻ってきた。
・・・何やってんだ、俺。
あーあ、かったるい。
それにしても、だ。
「オイ沢木・・・本当にいいのか?」
「はい?」
スープの準備をする沢木に、オレは問いかける。
そして、オレの顎は沢木の視線を移させた。
―――子供達と遊ぶ・・・いや、遊ばれているスマートレディに。
「別にいいですよ。」
「良かぁねえだろ?アイツのせいで此処にまで敵が来たら―――」
「大丈夫ですよ〜それにしても、けっこう心配性ですね海堂さん。」
「んなっ・・・」
大雑把な沢木に正直面食らうと、こちらを見て肩をすくめる氷川が目に入った。
105555外伝 もう一人の夢の守人:2005/07/12(火) 21:02:57 ID:JtrcEcMI
心配性―――か。
沢木は、自分の言った言葉に少し笑う。
自分だって、同じくらいそれを気にしているのに。
相手は俺たちが『アギト』である事を知っている。
アギトだから、捕らえようとしただ。
相手は、同じ『ヒト』か。
それとも同じ『ヒト以外の存在』か。
―――それなら。
沢木は、自分の意思をもう一度固めた。
―――相手がヒトでも、俺たちと同じヒト以外のモノだとしても、話せば判るはずだ。
絶対に―――いつか分かり合える筈だから。
マナちゃんだって、できたんだから。
「取りあえずは、琢磨さんたちを・・・」
待たないと。そう続くはずの呟きは止まり、走り出す。
続きを発する前に受けた感覚にしたがって。

「・・・全く、良くも飽きずに来るものですね―――」
目の前のアンノウン――見た目から言えば、昨日倒した物の強化型といった所だ――に、軽く皮肉をぶつける琢磨。
「―――此処は街中だ、出来るだけ周囲を・・・」
そう言いつつ、三原は腰に銀色のギアを巻きつける。
「努力はしますよ。」
そう答え、肩をすくめると、琢磨は三原と共に叫んだ。
「「変身!」」
106555外伝 もう一人の夢の守人:2005/07/12(火) 21:03:30 ID:JtrcEcMI
別荘の前に現れるアンノウンー―――昨日感じた物とは違う―――に飛び蹴りを食らわせると、沢木は叫ぶ。
「変身!」
その言葉は、沢木の姿を変えて行く。
―――アギト。
それが、今の沢木の名。
金色に輝くその鎧にも似た姿は、アンノウンを一瞬引かせる。
沢木は、アンノウンの低い唸り―――アギトと呼ぶ声を聞きながら、走り出した。

『―――さて、と。』
青年は携帯電話に映る光景―――アギト・センチピード・デルタの戦闘―――を打ち切ると、そのままバイクから降りる。
『彼が戻ってくるまでの間、楽しませてもらおうか。』

「来た!」
突然のレディの声に、周りの少年は面食らう。
「来たって・・・ダレが?」
その少年の質問に、レディは目を輝かせながら答える。
「は・く・ば・のお〜じさまが、とらわれのオヒメさまを助けに来たのよ!」
海堂はその答えに、一瞬頭を押さえる。
だが、その時もしも窓の外を見る機会があったのならば、彼は気付いていただろう。
この別荘の前に置かれたバイクの存在を。
こちらへ向かう持ち主が、何故腰にベルトを巻いているのかを。
『変身。』
そして、王子様は蒼い光を纏い―――
その光の方を見た海堂が、その中から見たのは、青い装甲。
「んなっ・・・・!?」
『さあ、ショウの時間さ。』
青年―――いや、サイガはそう呟く。
仮面に隠した口を、引きつる程歪ませながら。

「―――さあ、第二幕の幕開けよ。」
階段を駆け下りる海堂の耳に、レディのその言葉は、まるで舞台の台詞のように響いていた。
107555外伝の中の人:2005/07/12(火) 21:09:50 ID:JtrcEcMI
お久しぶりです。
消えた分を復活させるつもりが、いつの間にか以上に伸びて戦闘は次へorz
少々アレかもしれませんが、戦闘部分はまた後ほど。
108名無しより愛をこめて:2005/07/12(火) 21:19:30 ID:3P+z3Y8T
お待ちしてましたw
『彼』が来ると俄然盛り上がりますね!
もう続きが楽しみで仕方ありません、そちらが嫌でも期待してしてしまいますw
109名無しより愛をこめて:2005/07/18(月) 11:41:58 ID:bIzTgjZk
>>58からそろそろ一ヶ月なんですが・・・
お忙しいのはわかりますが、このへんで・・・(もみ手)
110名無しより愛をこめて:2005/07/20(水) 02:18:51 ID:n00wBacO
なんかネタがあった気がする……
11158:2005/07/20(水) 14:14:47 ID:V4kpVImj
>>109
すっかり遅くなってごめんね
内容が問題作なのでなかなか書き出せなくてさ(汗
内容的にみんなの顰蹙かわないことを祈るのみですが
112名無しより愛をこめて:2005/07/20(水) 21:13:03 ID:deOsgzcd
>>111
問題作?そりゃ読みたいですな
ここは他よりも平均年齢が高そうだからw、内容に文句を言う人はいないのでは?
思想は人さまざまだということは、わかっている人ばかりでしょう。

文章力など、テクニックに文句を言う人はいるかもしれませんがw
でも、その点は>>111さんは大丈夫みたいだし。
113前スレ728:2005/07/24(日) 19:34:26 ID:WywIZ8v7
前スレ731氏乙です。

早速ですが現在構想&執筆中のSSの概要をば。

舞台は555序盤の場面から始まります。
カクタスオルフェノクの赤井にファイズギアを奪われ、絶体絶命の巧、真理、啓太郎。
しかし、急遽その場に青いバイクに乗った青年が現れる。
青年はバイクでファイズに体当たりし、吹き飛ばした。

「!?・・・・・・こいつは・・・仮面ライダーなのか?」

ファイズの姿に『仮面ライダー』なる単語を発する青年。
起き上がった赤井は、目の前の青年を敵と見なし、攻撃を仕掛ける。
生身でファイズの攻撃を食らう青年。しかし彼はまったくダメージを受けていなかった。
そして青年が咆哮をあげると、その姿は怪物へと変わった。
蒼と黒の怪物へと変貌した青年は、圧倒的な力でファイズを倒す。
変身解除された赤井はオルフェノクになるも、蒼と黒の怪物はそれすら一瞬で倒した。

何事も無かったようにバイクにまたがり、走り去ろうとした青年に尋ねる巧。

「あんた・・・いったい何者なんだ?」

青年はさみしそうな笑顔を見せながら答えた。

「俺は・・・仮面ライダー、だ」
114前スレ728:2005/07/24(日) 20:09:29 ID:WywIZ8v7
各地で噂される、オルフェノクとは別の謎の怪物たち。
襲撃されるSB社。立ち向かう木場、そこに現れた青いバイクの青年。
木場、長田、海堂らに近付く矢沢と名乗る男。
そしてついに姿を現した怪物・アンデッド。
なぜか結束しているアンデッド達。暗躍する伊坂。
流星塾の中でも奇妙なメンバーだったという「風祭哀」なる少女。
SB社と敵対する組織「財団」。襲い来る「財団」の異形の改造兵士。
その改造兵士達に「死神」と恐れられる仮面ライダー。
クリーニング屋に居候し始めた橘朔也、相川始、上条睦月と名乗る三人組。

断片としての物語はやがて収束し始め、破滅(おわり)へと近付いていく・・・・・・


という感じで555×剣×真のSS書こうと思ってるんですが、どうでしょうか。
115名無しより愛をこめて:2005/07/24(日) 20:41:29 ID:7K3PcIMj
大期待
116前スレ728:2005/07/24(日) 22:19:21 ID:WywIZ8v7
>>115
早速のレスありがとうございます。

自分はなんかハッピーエンド好きなのか、
長田結花と木場は死に、巧は夢を見つけるも寿命がきてしまう?555の最後や、
剣崎が始を救い、戦いを終わらせるために、二度と仲間の前に現れなくなる、という剣のラストが、
どうにも悲しい終わり方なので嫌なのです。
(もちろんそれぞれの作品にしっくりくるラストですし、好きといえば好きなのですが)
そういうことで自分のSSは、なるべくできるかぎりハッピーエンドになるようにしたいと思います。
117名無しより愛をこめて:2005/07/24(日) 23:46:14 ID:rQLF+NXB
すごーい。
昭和のライダーも好きだったけど平成のライダーはもっと好きなので頑張ってください。
大いに期待してます。
118名無しより愛をこめて:2005/07/27(水) 17:34:46 ID:hMJidpGp
始がクリーニング屋に居候するのはどうかと思う
これはもう1つのライダーバトル。
もう1つの仮面ライダー龍騎の物語。

戦いに望むは、それぞれの思いを胸に秘めた11人

―戦いを止める為に奔走する者達―

「恵理を静かに眠らせる為に…無意味な犠牲を出さない為に…俺はこの戦いを止めてみせる!!」(仮面ライダーヴァイス=日下部恭介)
「いかなる理由も、人を殺して良い理由にはならない。俺の力が及ぶ限り、ライダーは1人も殺させない!!」(仮面ライダーデュエル=長瀬唯斗)
「手塚君の遺志を継ぐ…それが私に出来る事。手塚君、君の分まで私…戦うからね」(仮面ライダーシュバルツ=綾瀬雪乃)
「香川先生、貴方の成されようとしていた事…俺が引き継ぎます。この力で俺は1人でも多くの人を救う!!」(オルタナティブ・タイプG=那岐一)
「俺は強い奴と戦えればそれでよかった。だが、弱い者に力を振るうような下衆を黙って見ている事は出来んようだ」(仮面ライダーレオン=元宮礼人)

―それぞれの欲望を叶える為に戦いを望む者達―

「人にはそれぞれ、幸せになる権利がある…私はその権利を実行しているだけですよ」(仮面ライダーレッドラム=片岡玲司)
「正義を実行する者。絶対的な正義は俺1人だけでいい…他の奴らは邪魔なだけだ…消えてしまえ」(仮面ライダージャスティス=源一真)
「自分が誰なのか、俺はそれを知りたいだけだ…邪魔をするなら……潰すぞ」(仮面ライダーダイナ=本条健)
「私は勝ち残らなくちゃいけない…あの子を目覚めさせる為に…浅倉猛に復讐する為に!!」(仮面ライダーディーヴァ=風谷葉月)
「芝浦の奴が出来なかったこのバトルの制覇。それが出来れば、俺はアイツより上って事になる。正々堂々とやろうじゃないか」(仮面ライダーアクア=岬戒)
―そして現れる最後の存在―

「わが名はカオス。最後にして最強の存在。与えてやろう…確実なる滅びを」(仮面ライダーカオス=?)

―タイムリミットは1週間―

「あと1週間で決着がつかなければ、お前達は願いを叶える事が出来ない」
「俺達ではなく、アンタの願いとやらが叶わないんじゃないのか? 神崎さん」

―あと3枚存在したサバイブのカード―

「『烈火』『疾風』『流水』『大地』『無限』そして『虚空』…サバイブは6枚存在する」

―現実世界に溢れ出すモンスター、そして1つの奇跡―

「皆、生きてまた『COSMOS』で会おう」


仮面ライダー龍騎-ANOTHER EPISODE FINAL-

近日公開予定
と、予告編を投下してみる。
本編は来週中に投下できれば、と思っている。
122前スレ728:2005/07/30(土) 07:18:08 ID:uN/ZRMgg
>>119
Oh!!あっしも負けられませんな。
頑張って日曜までに、第一話投下します。
123555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/01(月) 14:52:59 ID:QrdDs91U
「・・・動くなぁ!」
目の前に立つサイガに銃口を向ける氷川。
それに答えるのは、流暢な外国語。
『発砲しても意味が無いし、それに―――』
ざっ。
氷川が認識したのは、サイガが地面を蹴る音だけ。
『・・・始末書とか、大変じゃないのか?』
だから、何時の間に目の前に立たれたのか。
そして、何時の間に投げ飛ばされたのかは分からなかった。
こちらへ向かってくるサイガを呆然と見あげる氷川。
一歩、
一歩、
一歩、そして、
「はーい、すとーーーっぷ。」
止まった。
サイガの後ろから銃―――ブレイガンを向ける海堂。
すらすらと続く英文が、彼が只の躁病患者でない事を説明する。
『ワザワザこんな辺鄙な所まで来るたぁ、スマートブレインも暇なんだな。』
『一応、彼女は計画の第一人者だからね。――ー僕よりも重要なんだよ。』
『計画―――?』
『君に語る必要は無いし、正直余り知らない。』
するりと身を翻し、ブレイガンを払うサイガ。
『尤も、まだ時間は十分ある。―――それまで楽しませてもらおうか。』
124555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/01(月) 14:54:04 ID:QrdDs91U
「全く、街中とは手間がかかりますねぇ!」
空気を引き裂くセンチピードのムチ。
それは的確にダメージを与え、そして的確にアンノウンを誘導し、
そして。
「―――食らえ。」
ムチが一瞬止んだ瞬間に打ち込まれる青き光。
その光を創りだしたカマで防ぐアンノウン。
だが、センチピードの手が天高く掲げられるのと同時に、その体は倒れ―――
「準備は万端―――と言う訳ですね。」
と言う声を、訳も分からず聞く羽目になった。
尤もその訳は、センチピードが手に持つムチと、自分の足に括り付けられていたその先を見れば一瞬で理解するだろうが。
そして容赦なく降り注ぐデルタの光弾。
アンノウンとの戦闘は、明らかに優勢―――と言ったところだった。

「・・・はっ!」
感覚が自分を支配する。
相手の動きを受け流し、着実に拳を叩きつける沢木―――アギト・グランドフォーム。
アギトはアンノウンを蹴り飛ばした後に、その金色の力を目覚めさせた。
―――すらり。
刀を、鞘から抜くような音が響く。
展開するクロスボーン、そして足元に浮かぶアギトの紋章。
大地を蹴り上げるアギト、標的は―――目の前のアンノウン。
「―――だぁぁぁ!」
振り落とされたその刀身は、アンノウンを吹き飛ばし―――
そして。
125555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/01(月) 14:55:13 ID:QrdDs91U
そして、デルタは短く呟く。
「check。」
それに答える『EXCEED CHARGE』の機械音声。
形を変えたムーバーに、流れ込む青い光。
放たれた光は錐を作り、飛び上がったデルタによって、叩き込まれた。
Δ。
蒼いその文字が空中に浮かぶ、だが。

「・・・なにっ!?」
アギトは愕然とする。
アンノウンが―――爆発しない。
以前のように天使の輪を輝かせながらも、その姿は何も変わっていない。
そして、頭上の天使の輪をを払いのけたアンノウン。
その体を、咆哮と共に覆い隠す黒いライン。
その変化は、沢木は知識でしか知らないものだったが―――
それは、間違いなくーーーー

「・・・・馬鹿な!?」
そのΔの文字を叩き落とし、天使の輪を払いのけるアンノウン。
そして、変化が始まった。
目の前の異常に、動揺を隠せない琢磨。
「どうなってる!?」三原の呟き。
どうなってる、だって?
あれは間違いなく―――

―――オルフェノク化。
灰色の鎧を纏ったアンノウンが、立ち上がった。
126555外伝の中の人:2005/08/01(月) 15:01:31 ID:QrdDs91U
少々自棄気味ですが、何とか書きあがりました・・・が。
生身でブレイガンの使用は自分でも正直疑問です。
どなたか詳しい設定分かりませんか?
127名無しより愛をこめて:2005/08/02(火) 01:39:49 ID:nkkniBfp
FIRSTネタで、板尾係長な板尾蜘蛛男のSSきぼんぬ
128119-121を書き込んだ者:2005/08/02(火) 18:08:23 ID:SzSDY48E
>>555外伝の中の人氏
ブレイガンをカイザブレイガンと判断して、書かせていただきます。
設定ではカイザブレイガンの重量は1.25kgとあり、これに近い重量で実在する銃火器は―
・コルトパイソン(拳銃・1.092kg)
・H&K MP7(短機関銃・1.2kg)
・ステアー TMP(短機関銃・1.2kg)
等があります。
マグナム弾を発射するコルトパイソンは別として、MP7やTMPは軽量で反動も少ない短機関銃です。
カイザブレイガンは、機能等から考えて拳銃より短機関銃に近いと判断。
よって、同程度の重量であるカイザブレイガンもそう反動は強くないと推測でき、成人男性である海道ならば使用は十分に可能と考えられます。

129名無しより愛をこめて:2005/08/02(火) 22:58:33 ID:RoYu3Mxk
>>128
この質問の場合は、カイザのオプション装備であるブレイガンが、
単体で使用可能か?って事なのでは?
それはさておき、新作大期待です!

>555外伝の中の人へ
面白ければ説得力は後から付いてくると思います、
今のところは全然OKですよ。
130名無しより愛をこめて:2005/08/02(火) 23:14:17 ID:clpqoZRC
hosyu
131名無しより愛をこめて:2005/08/03(水) 00:14:39 ID:KRIjj3vZ
>>118
そういやそうだねぇ。
じゃあ通いってことでどうでしょう?>>116さん。
期待してますよ!

>555外伝の中の人
待ってました!
だんだん話しも盛り上がってきましたねぇ。
132名無しより愛をこめて:2005/08/09(火) 00:49:30 ID:A1h0GPp6
>>126
劇場版で巧も普通に生身でフォンブラスター使ってたからカイザブレイガンも大丈夫なのでは。
133前スレ728:2005/08/09(火) 21:26:10 ID:jc35SIfM
なんとかプロローグと第一話の構想まとまってきました。
全体的な話の流れは、頭の中で出来上がってるんですが・・・

>>118>>131
どうもアドバイス有難うございます。
居候に関しては考えるとして、橘さんと始、睦月がクリーニング屋の
面々と知り合いになるのは、そのままでいこうと思います。

後、もしかしたらDVD化記念でハカイダー出すかも・・・
134前スレ728:2005/08/09(火) 21:26:59 ID:jc35SIfM
嗚呼っ、メル欄消し忘れた
135名無しより愛をこめて:2005/08/10(水) 21:57:03 ID:zF7l4flu
晒しアゲ
136名無しより愛をこめて:2005/08/13(土) 20:34:43 ID:dj6yvSWP
また落ちそうだな・・・保守しとくか。
137名無しより愛をこめて:2005/08/15(月) 01:18:45 ID:Z4QCCTwf
hosyu
138:555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/15(月) 09:54:38 ID:OtTpUwuH
「ぐっ・・・・」
本当の痛みには、声が出ないモノだと久しぶりに思い出し、
一瞬ふらついてから、センチピードは琢磨に戻る。
胸に手を当てると、そこからだらりと流れる血。
「うおぁ!」
デルタを切り裂く強化された鎌。
異常なまでのその能力は、いつの間にかデルタの装甲にヒビを入れていた。
無意識のうちに、琢磨の口は動く。
「・・・・まさに―――」

「・・・最悪だ。」
とっさに隠れた茂みから、海堂はそう呟いた。
「これでもゲーセンのガンシューじゃあランクインしたんだぞ・・・・」
命中率0%、得点無しと言う現実の結果に苛立ちながら。
このままでは終われない。リロードを終え、そして第二ステージを始めようとする海堂。
サイガの手にもたれた携帯から、『BURST MODE』と言う音声を聞く丁度前に、海堂は飛び出した。

「うわぁぁぁ!」
吹き飛ばされるデルタが、とても滑稽に見える。
琢磨は、そのまま変身の解けた三原を受け止める。
「・・・どうしますかね・・・・」
琢磨にとっての心配事は、アンノウンをどうするかであったが―――
「・・・お前・・・怪我をしてるじゃないか。」
三原の心配は、琢磨の胸の怪我に向けられていた。
「こんな状況で他人の心配ですか?」
投げられた無数の鎌を避けながら、琢磨は溜息をついた。
139:555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/15(月) 09:57:57 ID:OtTpUwuH
―――本当、葦原といい沢木といい、こういう人間は苦手なんだ。

ベルトを肩に背負い、三原をまるで御伽噺の姫のように抱えながら走り出す琢磨。

―――何もかもが真っ直ぐな、こんな人間は。

目の前から逃げ出す琢磨を逃すはずもなく、鎌をブーメランのように投げ続けるアンノウン。

―――これじゃあ、こいつ等を見捨てて逃げだせないじゃないか。

琢磨の肩を掠める鎌、オルフェノクになっているとはいえ、その血は紅いし、正直痛い。

―――これじゃあ、こいつ等を見捨てて逃げたりしたら、あまりにも惨めじゃないか。

ビルの壁を蹴り上げる琢磨。三原がきょとんとした顔でそれを見ていると、琢磨はビルを駆け上った。
抱きかかえられた三原が思い出したのは、里奈と行った遊園地。
もっとも、あの時とは違い、一歩間違えれば本当に死ぬ。
ご利用は計画的に。と書かれたビルの看板の笑みが、三原には何と無く菩薩や観音様の同類に見えた。
そして、本当に天国に行く前に、三原は琢磨の考えに思い至る。
「此処なら鎌は使えない・・・と言う事か!?」
「さぁて、どうでしょうかねぇ?」
その答えをはぐらかす琢磨。
三原は大地を見下げ、行動の結果を知った。
琢磨と同じようにビルを駆け上るアンノウン。
その速度は、琢磨よりも早く、着実に迫っている。
―――失敗か!?
三原がそう思うのと同時に、琢磨は呟いた。
「成功ですね。」
140555外伝 もう一人の夢の守人:2005/08/15(月) 09:58:47 ID:OtTpUwuH
アンノウンが鎌をもち、もうすぐ側まで迫る中―――
―――琢磨は、足を止めた。
一瞬、何も言えなくなった。
ああ、やっぱりあの看板の女性は菩薩様だったのだろう、そんな事を考えながら三原は琢磨と落下していく。
しかし、琢磨は三原を彼岸から引き戻した。
「ベルトを落とさないようにしてくださいよォ!」
何時の間にか創ったムチを振るう琢磨。そのムチの先端は、隣のビルの避雷針へ。
琢磨の行動を完全に理解した三原は、今度こそ声を上げた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
現実世界でターザンの真似事をする破目になるとは、まさか思っても見なかったから。
振り子のように空を翔る琢磨。そして、両手をアンノウンへ向ける。
「・・・喰らえ。」
と言う呟きと同時に、最初のビルを蹴り、此方へ向かってくるアンノウンへ体勢を変える。
そして放たれる光弾。
右手から放たれた光は、アンノウンに当たり、衝撃がその体を最初のビルの元ヘ戻す。
「・・・これはおまけですよ。」
その言葉と同時に左手から放たれた光が向かう先は、アンノウンではなく―――
――――ご利用は計画的に。
そう書かれた看板が、自分の上から落ちるのを認識してから、
アンノウンはようやく今までの光弾の意味を知った。
琢磨は着地すると、もう一度三原を受け止める。
「明日のスポーツ新聞が楽しみですよ。」と、自分の行動を軽く皮肉ってから。
そして、目の前に止まるワゴンに『西洋洗濯舗』の名前を見ると、琢磨は飛び乗った。
141名無しより愛をこめて:2005/08/15(月) 11:51:18 ID:X7Myi2nQ
>>111

マチクタビレタ〜       <   お忙しいのはわかりますが・・・まだぁ〜!?       >
   ☆           |_ _  _ _ _ _ _ _ _ _   |
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142111:2005/08/16(火) 11:09:36 ID:I6ZQk8Ka
ではちょろっと書いたの投下してみる
久し振りに書いてるので、文体がこなれて来るまで時間かかるとオモ
その辺大目に見てやってくだちい
内容に関しても気にいらない人はスルーしてね
143HAYATO:2005/08/16(火) 11:10:58 ID:I6ZQk8Ka

仮面ライダー2005 EPISODE.2 HAYATO

隼人は目の前に広がる光景に愕然とした。
侵入した地下巨大施設、深度何十メートルもなると思われる吹き抜けの空間、
その内壁には十数層にも及ぶフロアが設けられており、
その各階では何百いや何千もの人々が猥褻で淫靡な行為を繰り広げている。

ここに集い快楽の虜となり痴態を晒す人々はみな一様に仮面をつけてはいたが、
その容姿や風貌といった外見からだけでも、
テレビや雑誌などでよく見かける有名人・著名人達の姿が多くある事は容易にわかった。
パッと見ただけでも、この国を動かしていると言っても過言ではない
閣僚、官僚、政治家、財界人、経済人、文化人、それに加え一流芸能人やスポーツ選手の姿がすぐに目に付いた。

目まぐるしく変わる照明、体の芯に響くBGM、刺激を促すような香り、
その場のすべてが人間の官能を性的刺激を促す効果をもたらす。
だがそれらの効果は、隼人にとってはあの忌まわしい記憶を呼び起こすもの以外の何ものでもなかった。
目まぐるしく変わる光景、爆煙に人々の血の色。体の芯に響き渡る銃撃音に爆撃音。そして火薬の匂いと人々の血の匂い。
隼人の肉体の細胞ひとつひとつにまで深く刻まれた凄惨なる記憶。
それは理性や思考などではなく、体の細胞そのものがその恐怖を覚えているのだ。
この地下巨大施設の眼前の光景と忌まわしい戦場の光景が、隼人の脳裏でシンクロする。
脳内分泌物が大量に放出され、隼人の肉体に異常をもたらす。
心臓の鼓動は強く早くなり、手足が震えだし、呼吸をすることすら困難な状態に陥る。
だがそれは隼人にとっては珍しいことではない。
あの戦場にいた時から、この国に帰って来てさえもその恐怖は常に隼人を襲って来たのだ。
人間の肉体とはあまりに脆い、外傷などではなくても、極度の緊張した精神状態だけで充分に自らの生命の危機を迎えることが出来る。
144名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 11:11:54 ID:I6ZQk8Ka

隼人は自らの肉体をコントロールすべく必死であった。
それは忌まわしい戦場の記憶との戦い。
真っ白になりつつある意識の中で、隼人の脳裏に言葉が浮かぶ。
「ここは、本当にあの戦場と同じ地球の上にあるのか?」
「・・・いや、ここもまた地獄か・・・人々の欲望だけで成り立っている、地獄・・・」
隼人は自らの肉体に抗うように、ここに来た目的を思い出そうとする。
自らの強い意志で己の肉体に打ち勝つしか彼に残された術はないからである。

それは3ヶ月前のあの日がすべてのはじまりであった−。
145名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 11:58:10 ID:I6ZQk8Ka

隼人の眼に艶やかな唇が映った。
次の瞬間、その柔らかなものに隼人は唇を奪われ押し倒された。
透けるように白く美しい女の頬が、気色ばって薄っすら赤くなっているのがわかった。
女の唇は明らかに隼人を求めていた。
だが、隼人はそれに応えることもせず、ただ虚ろな瞳で何も無い空を見つめるだけ。
女の呼吸の乱れた吐息が、隼人の耳元に熱さをもたらす。

「すまない、あすか・・・」隼人はそう応えるしか出来なかった。
その言葉を聞いた女は悲しげな顔で、上から隼人の顔をじっと見つめた。
隼人は女の顔を直視することも出来ず、ただ何も無い空を見つけるだけであった。

しばらくすると女は隼人から離れて、ベッドに座りため息をついた。
「だから、あたしは言ったんだよ」
「あんたみたいな能天気、楽天家なラテン系が、戦場に行ったってPSDになって帰って来るのがオチだって」
女は悲しさを押し隠すようにわざと乱暴な言葉使いでそう言った。

その女の名前は緑川あすか、雑誌編集者をしている隼人の恋人でもある。
カメラマンである隼人は2年前、あすかの反対を押し切って戦場ジャーナリストとして単身内戦の続くS国に渡っていた。
146名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 12:23:56 ID:I6ZQk8Ka

何年にも渡り内戦が続いているS国では、他国からの軍事干渉なども受けた事もあり、その戦乱はより一層の激しさを増していた。
銃撃、爆撃の無い日は無く、24時間昼夜を問わず戦闘が行われ、日々多くの死傷者が出ている。
隼人はそのS国で何度も生命の危険に曝された。時には反政府勢力に捕らえられたこともあった。
だが隼人は銃弾が飛び交い、人々が血を流す、そんな戦場でひたすらシャッターを切り続けた。
その極限状態が隼人の神経を蝕んでいくのにそれ程の時間はかからなかった。
そして流れ弾に当り負傷した隼人。

戦場で負傷した異邦人である隼人を受入れてくれた小さな村があった。
内戦で心身共に傷ついている筈の村人達は、自らが生きる事も精一杯であるにも関わらず、負傷した隼人を受け入れ面倒を見てくれたのである。
彼らは自らの限られた食料と医療品を隼人に分け与えた。
隼人はいつ終わるとも知れない戦争で心身共に疲れ果てているにも関わらず、
希望を捨てずに前向きに生き、笑顔で隼人に語り掛ける彼らに感動していた。
戦場で蝕まれた隼人の心にとってもそれは大きな癒しでもあった。
隼人はその小さな村に滞在し、いつしか彼らと共に日々の生活を送るようになっていた。

だが、その村もやがて戦闘に巻き込まれる。
隼人の目の前で次々に銃弾や爆撃に倒れる村人達。
ただの戦場カメラマンに過ぎない隼人に成す術は何も無い、本来であればただ逃げ回るのみ。
いや、その時の隼人の行動こそが、隼人自身を終生追い詰めることとなる。
隼人はそこでカメラのシャッターを切り続けたのだ。
自らと生活を共にした村人達が倒れゆく様に、隼人は無我夢中でひたすらシャッターを切り続けた。
それは隼人のカメラマンとしての本能であったのかもしれない。
147名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 13:10:09 ID:I6ZQk8Ka

その後、外務省に保護され、隼人は奇跡的に帰国するが、隼人の心には癒えぬ大きな傷が残っていた。
戦場での極限状態に加え、親しき村人が倒れる中、シャッターを切り続けた自分を隼人は責め続けた。
隼人のそうした心の傷とは裏腹に、隼人が撮った写真は世界中に衝撃を与え、評価を受け、
その写真は本人が望まぬにも関わらず世界的なピューリッツァ賞にも選ばれた。
懸命に生きる村人の姿とその命を無惨に奪って行く戦争の悲惨さが評価されたのだ。
しかしその事がより一層に隼人の心に深く圧し掛かる。
結果的にではあるが、隼人は村人達の犠牲の上に名誉と地位を得たことにもなるのだ。
賞を受けたことで隼人の罪の意識はさらに大きく、逃れようのないものとなる。

その後の隼人の生活は最早廃人同様であった。
自分の部屋の中に閉じこもり、生きる気力も、食欲も性欲も無く、
じっと動くことすらなく、ただ日々の時が過ぎるのを息を堪えてやり過ごした。
思考すらも停止していた。思考すればどうしてもあの忌まわしい記憶の事を思い出さずにはいられないからだ。
それでも時折、閉じた眼の裏側に血を流しながら倒れる村人の姿が甦り、
鼻腔の奥に硝煙の匂い、耳に銃撃音を爆撃音が甦り、隼人を呼吸困難に陥れた。
それは脳の記憶などでは無く、隼人の肉体の細胞のひとつひとつに刻まれた記憶だった。

隼人はあすかが持って来る食料を何日かに一度、命をつなぎとめる為だけに口にする。
隼人には最早生きる気力も無かったが、それでも自ら命を絶つ事も出来なかった。
148名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 14:26:37 ID:I6ZQk8Ka

隼人から身を離したあすかはうつむいていた。2人の間に沈黙の時が流れる。
だがやがてあすかは意を決したようにバックの中から1冊のノートを取り出した。
「今の隼人にこんなことを頼むのは申し訳無いんだけど・・・」
「お願いがあるの・・・」
あすかは手にしたノートをテーブルの上に置く。
「去年あたしのお父さんが死んで、あたしはその真相をずっと追っていたんだけど・・・」
あすかの父は科学者であり、緑川博士は世界的にも有名な存在であった。
あすかは雑誌編集者になるにあたり、父と衝突したのか、そもそも父と上手く折り合えなかったのか、
今迄隼人にも家族の事はほとんど話したことはなかった。
「父の死の真相を探るうちにとんでもない情報(ネタ)に当ったの」
「そのことがこのノートには書かれているわ・・・」
「あたしにもしものことがあった時の為に、このノートを隼人に持っていて欲しいの・・・」
あすかは隼人の方をじっと見つめる。
最早隼人にはジャーナリストとしての意欲は無かったが、
あすかに対しての後ろめたさからか、隼人はあすかに微かに頷いて見せた。

あすかが残していったノートを隼人は触れることすらなく、テーブルの上に放置し続けた。
隼人は来る日も来る日もただひたすら、何も無い宙を見つめ、じっと動かない。
それからどれぐらいの時が経ったのだろうか?
その後もあすかが何回か尋ねて来てから、おそらくは一週間はゆうに越えていただろう。
隼人は日々、肉体に刻まれた忌まわしい記憶による発作に襲われたいた。

それはたまたま偶然であった、呼吸困難になりもがき苦しむ隼人。伸ばした手が宙を掻きむしる。
伸ばした手の先にあったノートを手で握りつぶす。
この苦しみから逃れたい隼人は、気を紛らわそうと、ノートの中に書かれた文字に目をやる。
そこに何が書いてあろうとも、隼人にしてみればこの苦しみから救われるのであればそれで構わなかった。
149名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 14:59:02 ID:I6ZQk8Ka

やがて隼人の発作はおさまる。しかしいつの間にか隼人はひたすら夢中になってあすかのノートを読み続けていた。
ジャーナリストとしての意欲は捨てた筈の隼人だったが、
ジャーナリストとしての本能だけは捨てきれなかったのであろうか。
そのノートにはあすかの父緑川博士の死の真相に関係すると思われる秘密クラブ「SHOCKER」について書かれていた。
「SHOCKER」政府高官・著名人等が毎夜の如く多数集う会員制の秘密クラブであり、
国政にも大きくその影を及ぼし、「SHOCKER」こそが国を影で操っているとすら噂さている。
だがその存在はメンバーである一部の人間にしかしられておらず、まず一般の人々には知られる事はない。
その存在を知った者は、暗黙の内に葬り去られるとの噂すらある。
あすかはノートの中で、父緑川博士はこの秘密クラブ「SHOCKER」の存在を知ったが為に、葬られたのではないかと記していた。
ノートを読んだ隼人の中で、死んでいた筈のジャーナリストの血が再び騒ぎはじめる。
もしこれが世に知られたならば、国政を引っ繰り返す程のゴシップと成り得る。

戦場で村人達を見殺しにして、名誉と地位を得たのだと自らを責める罪の意識。
そして国を動かす程のスキャンダルの真相を暴きたいというジャーナリストとしての欲望。
隼人はその狭間で葛藤し、再び呼吸困難となりもがき苦しむ。

その時、隼人の脳裏にあすかの言葉が甦る。
「あたしにもしものことがあった時の為に、このノートを隼人に持っていて欲しいの・・・」
隼人は呼吸が出来ずに悶え、とびそうになる意識の中で、必死に思い出す。
『あすかが前来たのはいつだ?』
『3日とあけずに来ていたあすかが、もう来なくなって久しい』
『もしやあすかの身に!?』
隼人はその時はじめて事の重大さに気がついた。
「SHOCKER」がこのノートにある通り、多くの国家権力とつながり、影響を与えるような組織であれば、
その存在を秘密裏にする為には、あすかを消すことなど容易いことであろう。
150名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 15:34:31 ID:I6ZQk8Ka

隼人はもがき苦しみながらもあすかの身を案じ、あすかの携帯に電話を掛けるが、あすかの携帯は留守電になっている。
隼人は胸騒ぎを抑えきれずに、あすかのマンションへと向かうことを決意し、表へ飛び出す。
そこで隼人は3ヶ月ぶりに外の空気に触れる。

マンションの5階にあるあすかの部屋。
部屋の電気は消えている、あすかは不在なのであろうか?
隼人が玄関のドアノブに手を触れると、鍵はかかっていない。
隼人はおそるおそる玄関のドアをあけ、中へと入って行く。
「あすかっ!」隼人が呼んでも返事は無い。やはり留守か?
しかしあすかの性格からして鍵をかけずに外出するとは隼人には考えられなかった。

暗がりの中を手探りで奥の部屋へと進む隼人。
ベランダの窓から差し込む月明かりで浮かび上がる人影。
「あすかっ!?」咄嗟に隼人はそう呼び掛けたが、
その人影はあすかとは似ても似つかない、背格好のものであった。
隼人は呼び掛けた後ですぐに、部屋の床に人が倒れているのに気づく
「あすかっ!」倒れている方こそがあすかであった。
「触るなっ!!」あすかに駆け寄ろうとする隼人を長身の人影の男は制止する。
あすかは全く動く気配がない、死んでいるのであろうか?
「お前がやったのか!?」逆上した隼人は自らを制止した長身の男に飛びかかろうとする。
長身の男は向かって来る隼人の腕を取ると、軽く捻り上げる。

「人殺しに間違われるのはこれで二度目だな」
「だが、そんなことは大した問題では無い」
あすかの部屋に居た長身の男は静かにそう言った。
151名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 16:25:41 ID:I6ZQk8Ka

隼人の動きを封じたまま、長身の男は話を続ける。
「お前にとって重要なのは、この部屋に指紋を残さないことだ」
逆上した隼人には男の話はすぐに理解出来るものではなかった。

「お前はSHOCKERなのか!?」
隼人の口からSHOCKERという言葉が出ると、長身の男は意外そうな顔をした。
「SHOCKERを知っているのか?」
「ならば話は早い・・・」
「俺はSHOCKERのことを調べていた彼女に忠告に来た」
「SHOCKERには関わるなと」
「だが一足遅かった、俺が来た時既に彼女は殺された後だった・・・」

「あすかっ!」あすかの元へ駆け寄ろうとし、長身の男を振り解こうともがく隼人。
隼人には目の前で床に倒れているあすかが死んでいるとは到底信じられなかった。
あすかの死をすぐに隼人に受入れろという方が無理な話であった。
「離せっ!!」長身の男は暴れる隼人の腕をさらに強くねじ上げた。
「クソッ!!この状況で、不法侵入者の言うことを信じろってか!?」

「信じる、信じないのはお前の自由だ」
「だがお前もSHOCKERの存在を知るならばわかるだろ?」
「奴らにとって、彼女を殺し、その死を公にせずに闇に葬ることなど訳の無いことだ」
その言葉の意味は隼人にも理解出来た。
SHOCKERがあすかのノートに書かれていた通りの組織であるならば、
国家権力に通じているSHOCKERにとっては、それは容易いことであろう。
152名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 16:26:14 ID:I6ZQk8Ka

「そして、この部屋に指紋を残せば、お前を彼女を殺害した犯人に仕立てあげるのもまた容易いことだ」
長身の男は強い口調で隼人にそう言った。
「いいか、ここをスグに離れるんだ」
「おそらく奴らは彼女の遺体を処分しに戻って来るだろう・・・」
「そして彼女の死は公になることも無く、失踪などで処理されるだろう・・・」
「警察には決して駆け込むな」「お前が犯人の濡れ衣を着せられるのが堰の山だ」
長身の男の言うことに一々理があることが隼人にはむしろ口惜しかった。

「クソッ!!お前は一体何者だっ!?」
「それこそ大した問題ではないな」
「お前にとって重要なのは、SHOCKERのことは誰にも喋らずに忘れるということだ」
「いいか、SHOCKERには関わるな、これは忠告だ」
「脅しなんじゃないのか!?」隼人は長身の男の行動に理があるとわかっていてもすぐに信じることは出来なかった。
「俺を疑うのはお前の自由だ、俺は大した問題ではないと何度も言っている」

長身の男はそう言うと隼人を離し、ベランダから飛び降り姿を消した。
「待って!!」隼人は男の後を追ってベランダに出たが、長身の男の姿はもうどこにも無かった。
「ここは5階だっての」隼人はマンションの下を覗き見たが、やはり男の姿は無かった。
長身の男はマンションの5階から飛び降り、忽然と姿を消したのだ。
153名無しより愛をこめて:2005/08/16(火) 16:43:26 ID:I6ZQk8Ka

後日隼人は、あすかのことが警察内部では長身の男が言った通り失踪として処理されているのを確認した。
これで少なくとも警察内部にSHOCKERに通じるものがいることは明白となった。
隼人はそれから3ヶ月を費やし、この秘密クラブSHOCKERの所在を突き止め、潜入に成功したのだ。
隼人にとって、身を危険に曝すことに恐怖は無かった。
むしろ隼人は自分に相応しい死に場所を探していたのかもしれない。
戦場で村人達が倒れる写真を撮りまくり、それにより名声と地位を得てしまった、業の深い己、
なのに尚自ら命を絶つことも出来ず、恋人すらも助けることが出来なかった無力な己。
その自分が巨大な組織のネタを追って、命を落とす、それは自分の最期に相応しい、そう思っていた。

隼人は物陰に身を潜め、この巨大な地下施設・秘密クラブSHOCKERを
そのファインダー越しに覗き、シャッターを切り続けた。
154秘密クラブの監視室:2005/08/16(火) 17:21:34 ID:I6ZQk8Ka

地下巨大施設・秘密クラブSHOCKERの監視室。
そこには全ての部屋が監視出来るよう壁面に何百ものモニターが設置されている。
そのモニターを眺める男の姿「人間達の好きモノぶりにはほとほと呆れるわ」
そう高笑いをする男に、秘密クラブショッカーの支配人が声を掛ける。
「大使、大佐がお見えになりました」
支配人に案内されて入室する黒い軍服を着た隻眼の男。
「いやいや大佐、久し振りじゃないか」大使と呼ばれた男は、隻眼の大佐に挨拶する。
「わざわざ俺をこんな所に呼び出して何事だ、大使」
「いやいや、博士がそろそろ彼がやって来る頃だと予測したのでね」
「彼を独り占めしては大佐に申し訳無いと思ってね」大使はそう言うと再びを高笑いする。
「ほう、奴が来るのか、それは少しは楽しめそうだな」大佐は目を輝かせる。
「彼もプライドが高い男だ」
「今の状況は彼にとっては屈辱以外のなにものでもないだろうからな」大使は愉快そうに笑う。

「それにだ、今夜はネズミが一匹紛れ込んでいるようだ」
「画像によりデータ確認しました所、侵入者の名前は一文字隼人。
先程ピューリッツァ賞を受賞した世界的なカメラマンのようで御座います」
その場に同席していた支配人は侵入していた隼人の身元を大使と大佐に告げた。
「世界的なカメラマンか、面白いじゃないか」
「今夜は私がお見えになったお客様方にひとつパフォーマンスをお見せするか」
大使は嬉しそうな声で愉快そうに笑った。
「お前はサービスが過ぎるのだよ」大佐はそんな大使を鼻で笑う。
「そういう言うなよ、大佐」「大事なのは演出だよ、演出」
155秘密クラブの監視室:2005/08/16(火) 17:39:29 ID:I6ZQk8Ka

「しかし相変わらず盛況のようだな」モニターをみやる大佐。
「それはそうだ、我々は有史以来、人間の欲望をコントロールして世界規模で人間を管理統制して来たのだからな」
「その我等が人間の欲望のコントロールの仕方を間違える筈も無い」
「今や世界中の各国にこうした秘密クラブが存在し、その国のリーダー達が我々に欲望をコントロールされているのだからな」
「こうした秘密クラブと言うのは今風なスタイルに過ぎないと言うことだ」大使は得意そうな顔で冗舌に語った。

「しかしその人間も我々の予測を遥かに越えて増殖し、環境を破壊し、この星の生態系を壊し続けて来た」
大佐は得意そうな大使に皮肉るように言った。
「そうそれを『あのお方』も嘆いておられるのだ」
「エイズウィルスなどを散布してみたが、それも一時的なものでしかなかった」
「そこで我々の間でも長きに渡り封印されていた、人類の天敵・快人プロジェクトがその封印を解かれた」
「人間の欲望に強く反応するナノマシンウィルスが伝染することで生み出される快人」
「まぁ怪人とも、快楽の人で快人とも、快楽殺人者で快人とも呼ばれているが」大使は駄洒落のように言って笑う。
「そして、その母体媒体として選ばれたのが彼女という訳だ」
「この秘密クラブは、この国の要人の欲望をコントロールしつつ、快人も生み出せる、まさに一石二鳥という訳だ」
大使がそこまで言うと大佐が一言付け加える。
「私としてはこのような秘密クラブよりも、快人プロジェクトの方が性に合ってはいるのだがな」
156施設内通路:2005/08/16(火) 18:11:10 ID:I6ZQk8Ka

物陰に身を潜め潜入調査を続ける隼人。
その隼人の耳に何処聞き覚えのある声が聞こえて来る。
「離してくださいっ!!」身を潜め声のする方を覗き見る隼人。
黒服に腕を掴まれた少女が抵抗している。
「協力してないとは言ってないじゃないですかっ!!」
「あたしを軟禁するような真似はやめてくださいっ!!」
少女はまだ高校生ぐらいの年齢なのであろうか、高校の制服を着ている。
『おいおい、あんな高校生にまで、あんなことさせちゃうのかよ』
『そりゃいくらなんでもマズイでしょ』隼人は心の中で突っ込みを入れる。
しかしその少女見れば見る程、あすかによく似ている。
その背格好や雰囲気、その声までもが、隼人の元恋人あすかに瓜二つである。
今は亡き恋人あすかに瓜二つの少女が、
先程地下巨大施設で目の当たりにした淫らな行為をさせられる。
隼人はそれを思うと胸を締め付けられるような気がした。
しかし、ここで事を起こせば、今迄の苦労もすべて水の泡。
ここの厳重の警備の中を、少女と連れて逃げるのはまず不可能。
隼人は苦渋の決断を迫られる。

「ええいっ!ままよっ」隼人はそう口走ると、少女を連れて行こうとする黒服に背後からタックルをぶちかます。倒れる黒服。
早とは少女の腕を掴む「走れっ!!」咄嗟の出来事につられて隼人について走り出す少女。
隼人はあすかによく似た少女の手を掴んで、施設内を走る。
黒服は起き上がると、無線で侵入者の発見と少女逃走を報告する。
施設内に業務連絡の暗号が告げられ、警備の黒服達が次々と隼人と少女を追う。
157施設内倉庫:2005/08/16(火) 18:42:54 ID:I6ZQk8Ka

追っ手をまき、倉庫に逃げ込んだ隼人と少女。走りまわった為、息を荒げる二人。
「・・・しかし、何だってお前みたいなお子ちゃまがこんなとこにいるんだ??」
隼人はハァハァ言いながら少女に問う。
「・・・お金が欲しかったとか、そんなとこか??」
「・・・しかしなぁ、いくらなんでもはした金の為に出来ることじゃないぞ」
「・・・その、なんだ、ここのアレは」隼人は自ら振っておきながら、その内容の微妙さに赤面した。
「・・・そんなんじゃないわ」少女は険しい顔をしていた。
「・・・復讐よ」「・・・私から大切な人を奪った奴への」

少女がそう言った時だった。二人の前にこの秘密クラブの支配人が姿を現した。
「困りますよ、ネズミがあまり勝手なことしてもらっては」
「大使がお許しになったから、放置しておいてあげたのに」
薄ら笑いを浮かべて支配人は隼人と少女に歩み寄る。
「出過ぎた事をしてしまいましたね、一文字隼人さん」
隼人は咄嗟に少女を庇って、支配人に飛びかかる。
「逃げろっ!!」自らの身をていして隼人は少女を逃がそうとした。
158施設内倉庫:2005/08/16(火) 18:43:36 ID:I6ZQk8Ka

しかし支配人は軽々と片手で隼人ははね退け、投げ飛ばした。
「普通の人間が私に勝てる訳無いじゃないですか」
「私は秘密クラブSHOCKERの支配人であり、快人・サボテグロンなんですから」
支配人はそう言いながら薄ら笑いを浮かべる。
「快人??」隼人にはその言葉の意味が理解出来なかった。

「困りますよ、クィーンも、いつまでもそんな駄々をこねられては」
「クィーン??」隼人は少女の方を振り返る。
少女は逃げようともせず、ただそこに悲しそうな顔をして立っていた「・・・ごめんね」

支配人の方を向き直る隼人。だがその時支配人の姿は尋常なものではなかった。
その人間の皮膚からは何万本という棘状の針が突き出ており、全身が棘だらけの人間と化していた。
戦場で恐怖を体験した隼人であっても、この得体の知れないものの前では背筋が凍った。
「元々私はSでしてね、人間に針を刺したいという私の強い欲望が叶ったのですよ」
支配人はそう言いながら薄ら笑いを浮かべる。
「あなたにも針をいっぱい刺しちゃってもいいですかね?一文字さん」
支配人は体から何百本という針が飛ばし、隼人の体に突き刺した。
159:2005/08/16(火) 19:01:37 ID:I6ZQk8Ka
休みだったのでまとめて書いてみますた
描写かなり省いて勢いで書いてみたんだけど
まだHAYATO編の1話の半分ぐらいしか進んでないような希ガス
続きはまた今度
160名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 00:30:16 ID:nEdQDhLj
>>159さん、乙
期待通りのできですね
後半を楽しみにしています
161名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 02:08:39 ID:GNG/TvPH
スピードグラファー思い出した
カメラマンの主人公、秘密クラブに
そこの象徴的な少女とか
162HAYATO:2005/08/17(水) 09:30:50 ID:Ap/5XH24
>>161
1話はまんまスピードグラファーっす(汗)知ってる人には大変申し訳ないですが
2話以降はオリジナル展開ですが、HAYATO編ラストは西新宿辺りが戦場になって、再び戦場に立つHAYATOは人々を救えるのか?みたいな感じになります
その西新宿の戦場に実はN国の工作員として城茂がいたり、2代目クィーンが岬ユリ子だったりで他の話しにつながっていきます
そこまで書き続けられるといいのですが(汗
163名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 12:23:58 ID:WbZpFQRR
>HAYATO
あんまり正直にネタばらさないでも良いいよ、充分面白いからw
次を楽しみにしています。頑張れ!
>555外伝
うわあああ、海堂!
死ぬなああ!
164HAYATO:2005/08/17(水) 12:45:00 ID:Ap/5XH24

次に隼人が意識を取り戻した時、そこは無数のライトに照らされたステージの上であった。
深度何十メートルもある地下巨大施設、その吹き抜けの空間の中央にあるステージ。
そして施設の内壁の十数層にも及ぶフロアにいる何千人という観衆。
そのすべての人々が、ステージ上で磔にされている隼人に、これからはじまるショーに視線を注いでいた。

ステージに立つもうひとりの男。マイクを握りしめるその男は嬉々として喋りはじめる。
「みなさま、今宵は秘密クラブSHOCKERにようこそ!!」
何千という観衆はその男の言葉に歓声をもって応える。
「私は皆様を快楽という名の天国へと導く天国大使で御座います」
「いやいや、このような風貌の中年が天国大使では格好がつきませんな」観衆は大使のジョークに笑う。
「それでは、皆様を快楽地獄へと導く地獄大使と致しましょうか」観客は地獄大使の名に歓声を送る。
「それでは、地獄大使ということで」大使はオーバーリアクションで満足気な顔をアピールする。

「今日お見えになったお客様はラッキーですな」
「今宵は皆様に特別にスペシャルショーをお送り致します!」
観客は大使の言葉に、これからはじまるショーに期待し、歓声を送る。
「今宵この鉄壁の警備を誇る秘密クラブSHOCKERに一匹のネズミが侵入しました」
場内には何千人ものブーイングの声が響き渡る。
「この秘密クラブSHOCKERにお越し下さる方は社会的地位も名誉も高い方達ばかり」
「ここでのことが世に知られては大スキャンダル、世間が大騒ぎすることは間違い無しですからな」
「そんなことになっては我々の信頼も失墜」
「しかしご安心を」「我々は既に侵入したネズミを捕まえております」
「我々の密かなる楽しみを覗き見ようとした卑しいネズミこそが彼なのです」大使は磔にされた隼人も指差した。
何千の観衆は隼人にブーイングする、いや最早それは罵詈でしかなかった。「殺せ」「死ね」などの言葉も多く聞こえる。
場内に溢れんばかりに響渡る、自分に対する罵詈雑言、そして悪意。
「ちっ、狂ってやがる」その言葉が隼人の口をふと付いて出る。
165名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 12:45:46 ID:Ap/5XH24

「普段であれば薄汚いネズミは問答無用で処分なのですが」「いやいや、彼は実にラッキーだ」
大使のもったいぶった言い方に観衆は次の言葉を固唾を呑んで見守る。
「彼こそは先日ピューリッツァ賞を受賞した、世界的にも有名なカメラマン・一文字隼人氏なのです」
場内は意外な事実に、驚きと感嘆の声が漏れる。
「ここにお集まりの女性の方々は世界的なカメラマンである彼に撮って欲しいのではないですかな?」
大使のジョークで場内の女性は歓声が、男性からは笑いがおこる。

監視室のモニターでショーの一部始終を見ている大佐。
「大使の奴は相変わらず派手なパフォーマンスだ、困ったものだな」支配人は笑顔で大佐に相槌をうつ。
大佐は一文字隼人の手元の資料に目をやる。
「ほう、こいつはS国を取材していたのか、おもしろい」
「S国と申しますと、大佐が内戦の裏工作をされていた国ですね」
支配人の言葉に大佐は頷く。「左様、S国を内戦に導くのには苦労した」
「両勢力を煽り、武器を与え、援助を行い、他国を強引に介入させたのだ」
「だがその甲斐はあった、あの国は今後10年は紛争を続けるであろう」
「我ながら良い仕事が出来たと思っておるよ」
「ええ、大佐のS国でのお働きは我々の誇りでも御座います」支配人は笑顔で大佐に相槌をうった。
166名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 14:15:15 ID:Ap/5XH24

大使はステージ上でパフォーマンスを、ショーを続ける。
「しかし彼も欲深い男だと思いませんか?みなさん」大使は磔にされた隼人を指す。
「戦場カメラマンとしてピューリッツァ賞を受賞、名声も地位も得たというのに、
その上まだこの秘密クラブSHOCKERをネタに大スクープを独り占めしようとしている」
大使のその言葉に観衆はブーイング、隼人に再び罵詈雑言を悪意を向ける。
隼人は大使の言葉に声を出して反論しようとするが、思うように声が出ない。
先程隼人に刺された針に神経を麻痺させる機能でもあったのであろうか。
支配人本人がSと公言するぐらいだからそれぐらいはあるかもしれない、と隼人は思う。
しかし、大使の言葉とは裏腹に今の隼人に何も無い。
名声も地位も隼人にとっては遠い世界のことのようだし、唯一の心の拠り所であったあすかも失ってしまった。
今隼人に唯一あるとすれば心の大きな傷だけであろうか。
戦場という極限状態で擦り減らした神経と、村人を見殺しに写真を撮り続けた罪悪感、
ただその大きな心の傷だけが今の隼人にはあるだけだ。

「だが我々SHOCKERはそういう欲深く業の深い人間は大好きです!!」大使の熱弁は続く。
「欲望こそが、人間に成長をもたらすのです!!」
「欲望を持たず、己の成長を諦めたものこそが、堕落した恥ずべき人間なのです!!」
大使の言葉に場内からは拍手が起こる。
「ここにおられる皆様は実に勤勉だ」
「常に現状に満足すること無く、新しい欲望を求め、己を成長させ続けて来た」
「今こうしてこの秘密クラブSHOCKERにおられるということ、それはその皆様の努力の成果の証しでもあるのです!!」
人々は立ち上がり、場内の拍手は鳴り止むこと無く、場内を揺るがす程の喝采となる。

「彼はこの国が世界に誇ることが出来る逸材なのです、このまま処分してしまうのは実に惜しい」
「そう思いませんか?みなさん」大使はその口調を強める。
「すべての欲望に忠実な人々の前でSHOCKERは平等です」場内の拍手がより一層強くなる。
167名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 15:16:25 ID:Ap/5XH24

隼人はこの異様な光景を目の当たりにして、以前取材したカルト狂団のことを思い出していた。
ここにいる何千もの人々は集団催眠、集団洗脳でも受けているのか?
いやそうではない。それは誰に強制される訳でも無く、
自らの意志で選び信じているからこそに手に負えないぐらいに性質が悪い。
隼人が全く知らなかった世界がここにはあり、それがこの国をいや世界を動かしていたのだ。
隼人はその事実に愕然とするしかなかった。

「そこでです」「彼には我らの仲間になってもらおうと思います」大使は本題を切り出した。
「彼程の欲深さをもってするならば、我らの良き仲間となりましょう」
「SHOCKERは寛容でもあるのです」大使は満足気に何度も頷いた。
俺を洗脳しようとでも言うのか?隼人は咄嗟にそう考え、
この異様な集団を知り、既存の価値観が崩れそうになった隼人は、洗脳に抵抗出来るか不安と焦燥を覚える。
だがそれは洗脳程度のそんな生易しいものでは無かった。

「彼には我らがクィーンの『転生する祝福のキス』を受けてもらいます」
大使の言葉に会場内はどよめいた。それは感嘆、驚き、感動、様々であった。
「彼は非常にラッキーですな」
「例えるなら、コソ泥が盗みに入った豪邸で、最大級のもてなしを受け、金銀財宝のお土産まで貰って帰るようなもの」
大使の軽いジョークに騒然としていた場内は湧いた。

「さぁ皆様!!クィーンの光臨です!!」大使の言葉と共に、
場内はスモークが噴出し、特殊照明と荘厳なるBGMに演出され、空からクィーンが舞い降りた。
おそらくはワイヤーか何かで吊られていたのであろう。
光臨したクィーンは隼人の方を向く。クィーンはメイクとドレスアップでこの世のものとも思えない美しさであったが、
それは紛れも無く先刻隼人が助けようとした少女自身であった。
168名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 15:58:39 ID:Ap/5XH24

クィーンの光臨に場内の人々は感嘆を上げどよめいた。中には涙を流して合掌する者までいる。
隼人はこともあろうか、この絶対絶命のピンチ、危機的状況下にあって、クィーンのその美しさに見とれた。
見れば見るほどあすかに良く似ている様は隼人の胸を切り裂くかのようにせつなくさせた。
クィーンは美しい立ち居振る舞いで隼人へと近づく。
しかし少女のその目には先程迄の輝きが無いことに隼人は気づく。
それは確かに美しくはあるがまるで精気を失った人形のような目だ。
彼女もまた洗脳されいるのか?催眠で操られている?
隼人の脳裏を思考が駆け巡るうちに、クィーンは隼人に密接する程近づく。
クィーンの匂い、体温までもが隼人にあすかを思い起こさせる。
そしてクィーンは隼人の唇に自らの唇を重ねる。

だがそれは決して甘美なものでは無かった。
いやむしろその真逆、隼人は勝手受けたことの無い程の激痛を感じた。
自分の肉体の中に、明らかに得たいの知れない異物が入り込む感覚。
それはクィーンの唇や舌などでは決して無い。
脳の中心を針で刺されたような激痛。その激痛が脳から背骨の神経に伝達し、体中に走る。
隼人はその激痛に身をよじらせもんどりうつ。
あまりの痛みに体全身から滝のように流れ出す汗。
体の肉体の細胞ひとつひとつがつくり変えられていくような感覚と、それに伴い発生する異様なまでの熱量。
隼人の体の汗はその熱により瞬時に蒸気へと変わる、まるで隼人が体から蒸気を発しているようにも見える。

隼人はその激痛、苦痛から絶叫する。
それまで神経が麻痺して声すら出せなかった筈なのに、隼人の絶叫は場内にこだまする。
それは人間の叫びと言うよりはむしろ獣の雄叫びのようでもある。
場内の何千もの人々は固唾を呑んで隼人の『転生』を見守った。
169名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 16:52:58 ID:Ap/5XH24

「本来であればクィーンの洗礼『転生する祝福のキス』は選ばれた極一部の者しか受けられません」
「しかし彼が我々の良き仲間となるにはクィーンの洗礼がどうしても必要なのです」
「クィーンの洗礼を受け、過去の生を断ち切り、新たなる生を得て、彼は『転生』を果たすのです」
雄叫びを上げる隼人の姿は大使のその口上に有無を言わさぬ説得力を与えた。

隼人はそのあまりの痛みに身をよじらせもんどり返り、
磔にされ、手首、足首を固定されていた鉄製ベルトを引き千切る。
通常の人間であれば、絶対に外すことの出来ない鉄製のベルトを隼人はいとも感嘆に引き千切ったのだ。
隼人のその姿に場内の人間達は感嘆した。
ステージ上で雄叫びを上げ身をよじらせ転げ回る隼人。
「これは驚く程の覚醒の早さですな」「彼は余程良い資質を持っていたのでしょう」大使は隼人の状況を解説する。

隼人は激痛と体が燃えるような熱さに転げ回りもがき苦しむ。
最早隼人に思考は不可能であったが、それでもなお隼人の脳裏に浮かぶもの
『このままでは俺は人間ではなくなる!!』それは隼人の直感であろうか。
人間としての理性も意識も失い、苦痛と恐怖、闇に支配されていく。
その過程は勝手隼人が経験した戦場での感覚に似ていた。
だがその時よりも遥かにそこに到るまでのスピードが速い。それは一瞬でもあった。

「この苦痛を乗り越えた後に、彼は新たなる生を得るのです」
「人間が欲望により進化した姿、快人に」
最早大使の言葉も隼人の耳には遠く届かない。
耳の奥底から聞こえる耳鳴りがその音を大きくさせるばかりで。

隼人はひたすらに抗った。人間としての理性、意識を失うことに。苦痛と恐怖に自らを支配されることに。
それは隼人にも何故だかはよくわからない。
苦痛と恐怖に、闇に身を委ね、諦めれば楽になれたかもしれない。
だが何故か隼人の脳裏には戦場で見殺しにしたあの村人達の姿が浮かんでは消えて行く。
それは思考などでは無く、決して消すことの出来ない脳裏に刻まれた記憶。
170名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 17:25:31 ID:Ap/5XH24

激痛に苦しむ隼人は、その痛みから逃れかの如く為暴れ出す。
強く握り締めた拳で床を叩く。鈍い音と共に床の一部が砕け、巨大な亀裂をつくりだす。
頭を抱え立ち上がり、さらに壁に拳を叩きつける。
大きな衝突音と共に壁の一部が崩れ落ち、一撃で巨大な穴があく。
人々はその覚醒しつつある隼人の能力に感嘆する。
隼人はそのまま激痛に耐え悶え苦しみながら、自らがあけた壁の穴の中へと消えて行く。

「ご心配には及びませぬ」「彼は最早我らの仲間として覚醒しております」
「クィーンの洗礼を受け、彼には新たなる生が与えられたのです」
大使のその締めの言葉に、人々は歓喜して立ち上がり、拍手喝采を持って隼人を見送る。

隼人は激痛に朦朧とする意識の中、通路を歩き出口を目指した。
それは正常な思考というよりは本能に基づく行動と言っても良かった。

よろよろと歩くのがやっとである隼人をSHOCKERの黒服達が遠巻きに取り囲む。
いくら相手が半死に近い状態であるとは言え、暴れられ、
壁を一撃で粉砕する隼人の拳を振り回されては、隼人を取り押さえるのも厄介だからである。
黒服達は隼人を取り囲むように、SHOCKERの快人がその場に来るのを待った。

そして通路に現れる一人の男の影。
朦朧とする意識の中、隼人はその男の姿を見つめる。
隼人はその男に見覚えがあった。それはあすかの部屋に居た長身の男。

「SHOCKERには関わるなと忠告した筈だ」
171名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 17:47:24 ID:Ap/5XH24

長身の男は隼人の元へと近づいて行く。長身の男の姿を見た黒服達はざわめく。
「ナノマシンウィルスを伝染されたか」
「あれは粘膜感染によってのみ伝染する人工ウィルス」
「伝染された者は肉体を細胞レベルでつくり変えられ、快人となる」隼人の元で歩みを止める長身の男。

隼人は痛みに耐えかね、男の足元に倒れ転げ回る。
「見た所まだ抵抗しているようだな」
「ナノマシンウィルスは人間の欲望に強く反応するとされる」
「だがそれはウィルスを伝染された人間の欲望が強かったに過ぎない」
「欲望を越える強い意志を持つ者がいれば・・・」

長身の男は足元で痛みに転げ回る隼人を見下ろす。
「お前にはまだ可能性がある」
「ここは見逃してやる・・・逃げるがいい」
「次にお前と会った時、お前が欲望に自らを支配される快人となっていたら」
「俺はお前を躊躇無く殺す」
「だがもし、人間としての強い意志で欲望を抑えることが出来たら・・・」

「・・・その時は、仮面ライダーがもうひとり誕生することになる・・・」

痛みに意識が朦朧としている隼人には長身の男の言葉の意味が全く理解出来なかった。
172名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 18:14:58 ID:Ap/5XH24

その場に駆けつけるもう一人の男、それこそがSHOCKERの快人。
「貴様!本郷猛か!?」駆けつけた快人は長身の男をそう呼んだ。

本郷猛と呼ばれた長身の男は、快人には目もくれず、足元に倒れる隼人に言う。
「今のお前には何も理解出来ないだろうが」
「今はただ生き残る、ただそれだけを強く念じろ」
「そうすれば少なくともここからは出られる筈だ」
隼人は苦痛に顔を歪めながら本郷猛と呼ばれた男の顔を見つめる。

「俺は全く眼中に無いってか!?」
快人は口を開くと糸を吐き出す。その糸は猛の腕に絡みつく。
「蜘蛛か」「所詮お前の欲望など、女を獲物にしたいとかそのレベルだろう」
「俺とは覚悟が違う」猛はいとも簡単にその蜘蛛の糸を引き千切る。
「随分エラそうじゃねぇか」猛の言葉に煽られた快人、その背中からは服を破って4本の腕が生え出す。
「格が違うと言うことを知っておくべきだったな」
猛は自らの上着を脱ぐ。その腰にはベルトが巻かれている。

「変身っ」その言葉と共に猛がベルトのスイッチを押すと、ベルトの風車が高速回転をはじめる。
ベルトから形状記憶粒子が猛の体に散布され、ベルトの回転により発生したエネルギーが加わることで、
形状記憶粒子は本来の強化服への姿へと形を変える。

隼人の目の前で本郷猛と呼ばれた男は、一瞬の内に仮面と強化服に身を包んだ。
朦朧とする意識の中で聞こえた、本郷猛と呼ばれる男が口にした単語を、隼人は口にした。

「・・・仮面ライダー・・・」
173名無しより愛をこめて:2005/08/17(水) 20:50:08 ID:igLDhx8D
>HAYATO
おお、本郷が格好いい!
次も楽しみにしてます。頑張ってください。
174名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 10:18:32 ID:siSOpgJ7

「やはり貴様が噂の仮面ライダーか!」
「貴様をしめて俺のステータスを上げてやる」
人間の姿を残しながらも、背中に4本の腕を生やし、口から糸を吐く、快人蜘蛛男。
その蜘蛛の糸が大量に吐き出され、仮面ライダーのボディに巻きつく。
蜘蛛の糸を締め上げながら、自らの暴力的行為に酔いしれる蜘蛛男。
「俺のこの特殊な糸は巣をはって女を生け捕りに出来るし、
ちょっと糸を硬くすれば、女の柔肌も切り刻める優れものだ」
蜘蛛男は悦に入って奇妙な笑みを浮かべる。

「下衆だな」蜘蛛男を鼻で笑う本郷猛。
本郷猛、いや仮面ライダーは、蜘蛛の糸をかわすことも造作も無いことであった。
しかし、あえて蜘蛛の糸につかまった。その圧倒的な力の差を見せつける為に。
「女の柔肌は切り刻めても、俺には効かん」行動の自由を拘束する蜘蛛の糸を力のみで引き千切る。

「はん、それだけじゃないぜ」「こんな使い方もある」
蜘蛛男はその両手首から蜘蛛の糸を放出、天井と壁に糸をはりつけ、上空へと飛び上がる。
次から次へと糸を吐き出し、閉ざされた空間の中を高速で、上下左右自由自在に動き回る。
「ひゃっほぉぉぉぉぉぉ」興奮に奇声を上げ、蜘蛛の糸にぶら下がり、
頭上、背後、左右、様々な角度から仮面ライダーに襲いかかる蜘蛛男。

「閉ざされた空間を利用した3D殺法という訳か」
仮面ライダーは蜘蛛男の攻撃を紙一重で避けかわし、冷静に分析を行う。
仮面ライダーのマスクにある複眼。
そこからはこの空間内のすべての多方面多角度から捉えられた情報が映像として送られる。
そしてその何十何百にもなる情報を瞬時に解析し、
瞬時に判断するだけの天才的な頭脳を本郷猛は持ち合わせていた。
つまり本来であれば致命的と成り得る死角からの攻撃も、仮面ライダーには効果は無い。
いやその複眼機能故、死角は無いと言っても過言では無い。
175名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 11:01:14 ID:siSOpgJ7

激痛に耐え、のたうち転げまわる隼人。
この人知を超えた人間であって人間にあらざる者達の戦いは隼人にとって、
近くで起こっているにも関わらずはるか遠い世界の出来事のようであった。
「なんなんだ、一体こいつらは・・・」

蜘蛛男の立体的波状攻撃を紙一重でかわし続ける仮面ライダー。
今迄遠巻きに静観していた黒服達はこれを好機と判断したのか、
蜘蛛男の攻撃に合わせ仮面ライダーに襲い掛かる。
「戦闘員か」「ナノマシンウィルスに感染しながらも快人に成る程の深き欲望も無く、
人間で有り続けるだけの強き意志も無い、中途半端な存在」
仮面ライダーは蜘蛛男の攻撃をかわしながら、戦闘員に応戦する。
向かって来る力を逆に利用し、必要最低限の動きで戦闘員を次々と投げ飛ばす。
その場に居合わせた戦闘員十数人はあっという間に蹴散らされる。

さらに無駄の無い最低限の動きで蜘蛛男の攻撃をかわす仮面ライダー。
「超人的な能力を持ちながら、その糸に頼ったのがお前の最大の敗因だ」
ライダーは蜘蛛男の敗北を宣言する。
ライダーは飛び上がると、瞬時に蜘蛛男の移動先に先回りし、蜘蛛男の顔面にその拳を叩きつける。吹き飛ぶ蜘蛛男。
「お前がその糸にぶら下がって動いている以上、人間の物理界の法則・慣性に基づく動きしか出来ないのは明白」
「両の腕で2種の糸を操ろうとも、それは力のベクトルが2つに分かれただけに過ぎない」
「3つ目のベクトル、矢印の位置は必然的に決まる」
「お前の動きを予測し、移動先に先回りすることなど訳も無いこと」

ライダーの言葉に逆上する蜘蛛男。
「ならばこれならどうだ」蜘蛛男は6本の腕から蜘蛛の糸を噴射し、より動きを複雑化して波状攻撃を繰り返す。
「ベクトルが6つに分かれようとも、導き出されるベクトルの位置は決まっている」
ライダーは瞬時に蜘蛛男の移動先に先回りして、蜘蛛男のその腕を掴んだ。
本郷猛には蜘蛛男の動きを瞬時に解析するだけの卓越した頭脳を持ち合わせているのだ。
「頭を使って『死神博士の後継者』に選ばれた俺に勝てると思ったか?」
ライダーは掴んだ蜘蛛男の腕を引き千切った。
176名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 11:42:03 ID:siSOpgJ7

「せめてもの情け、苦しまぬようにと思ったが」「その腕の糸で動き回られては面倒なのでな」
ライダーは蜘蛛男の背中の腕を続いて引き千切る。激痛に身悶えする蜘蛛男。
「悪く思うな、痛みはすぐに終わる、死によってな」
ライダーは跳躍すると壁や天井を蹴り、閉ざされた空間を飛び回り、蜘蛛男の立体攻撃を再現した。
その方法上ライダーもまた直線的な動きではあったが、
超人的な能力、瞬発力を活かしているだけに、蜘蛛男の動きとは比べものにならない程の超スピードを得ていた。
その動きは快人である蜘蛛男の視覚を持ってすら追いつけるものではなかった。

転げ回る隼人はライダーのその戦いぶりを見つめる。
「スゲーな、おいっ」最早あれこれ考えるよりも隼人には笑うしかなかった。
しかし、隼人には常人の目には絶対に見えない仮面ライダーの動きがハッキリとわかっていた。
おそらくは本人もそのことの意味に全く気づいてはいないであろうが。

超高速で空間を飛び交うライダー、その動きに翻弄される蜘蛛男。
ライダーと蜘蛛男の最大の違い。
蜘蛛男に複眼は無く、蜘蛛男には死角が多数存在するということ。
そしてライダーの直線的な動きを予測出来ても、その超高速の動きを避けるだけの身体能力が無いこと。
飛び回ることで超スピードを得たライダーのライダーキックが、蜘蛛男の死角である背後から、閃光の如く蜘蛛男の体を貫いた。
その体に巨大な穴を空け、身悶えしながら断末魔を残して絶命する蜘蛛男。
着地し、蜘蛛男の絶命を確認するライダー。
仮面の下の本郷猛の表情はわかる筈も無い。


177名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 11:43:13 ID:siSOpgJ7

「助けてもらって、ありがとうよ」
隼人はよろけながら起き上がる。
ようやく激痛にも慣れてきたのであろうか、それとも肉体の異変がおさまりつつあるのだろうか、
隼人も口をきくぐらいは出来るようになってきていた。
「相手を心理的に揺さぶり、敗北感を与え、常に優位に立つ」
「相手が得意とする分野で、相手を徹底的に叩きのめす」
「それがあんたの戦い方かい?」
「俺は好きになれねえけどな」
隼人は礼のついでにライダーを皮肉った。
「面白いことを言うな」
仮面の下の本郷猛の表情は隼人にはわからない。
「まぁ俺もあんたの敵にはなりたくなんだがな」
「もっともそれまで死んでなかったらだけどな」
隼人はそういうと壁に寄りかかるようにして、よろよろと歩きながら出口を目指した。
「面白い男だな」
仮面を着けた本郷猛はそんな隼人の背を見送った。
178名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 12:01:01 ID:siSOpgJ7
なかなか終わんないなぁ〜後ちょっとなんだが
179名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 12:25:15 ID:siSOpgJ7

出口を目指す隼人の前に立ちはだかる影。
「このままあなたをここから出す訳にはいかないんですよ、一文字さん」
その男の顔を見た隼人の顔は失望に変わる。
「見逃してくんない?・・・って無理だよな〜」
隼人の前に立ちはだかるのは秘密クラブSHOCKERの支配人、またの名をサボテグロン。
「またあなたに針刺しちゃってもいいですかね?一文字さん」
「私はドSなんですよ」「今度は一文字さんの眼球に針刺してみたいな、なんて思ってみたり」
支配人は薄ら笑いを浮かべて、隼人を見つめる。

「おいおい、俺は男からのラブコールには応えないぜ」
「それに悪いんだが、俺はドMじゃないんでね」
「眼球に針なんか刺されてたまるかっての」
「俺は先端恐怖症なんだっつうの」
肉体の異変が落ち着きつつあり、痛みにも慣れはじめた隼人は軽口を叩いた。
本来の隼人は陽気な口数の減らない男である。
あすかが言っていた能天気な楽天家、ラテン系とはこのことでもある。

「じゃぁ仕方ありませんね」「力づくでやっちゃいますよ?」
支配人は薄気味の悪い笑みを浮かべる、この状況に刺激を覚え興奮しているようでもある。

先程の本郷猛と蜘蛛男の壮絶なバトルの光景が隼人の脳裏に浮かぶ。
「まさかねー 次は俺の番だとは思わなかったぜ」やれやれと言った表情の隼人。

支配人の体からは着ている服を突き破り、何万本という棘状の針が突出する。
だが隼人も最早その異形の者の姿に恐怖は無かった。
先刻から異形の者達を散々見て来てしまっているだけに、見慣れてしまったのかもしれない。
いや、思えばこの秘密クラブに潜入してからずっと、ひたすらサプライズの連続。
最早今更何が起こっても驚きはしない、そんな風にすら思えた。

「一応武術の心得はあるんだが、役に立つかどうか」
支配人に対峙する隼人は身構える。
180名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 13:42:38 ID:siSOpgJ7

「それじゃぁつまらないですよ、一文字さん」
「さっきみたいに、恐怖に怯えて、泣き叫んでくれないと」薄気味悪い笑みを浮かべる支配人。
「泣き叫んでねぇっつうの」
「俺はMじゃねぇっつんだ、このど変態が」

「それにお前らはもう見飽きたんだよ」
「早くここを出て平穏な日常に帰りたいんだよ俺は」
隼人がここを出たとしても、そこが以前と同じ平穏な日常である筈も無かった。
SHOCKERに関わり、肉体に異変が起こっている今、隼人にもそれはわかっていた。
だが今後の隼人の運命を予想することもまた不可能ではあった。
そして何より、もし平穏な日常に帰れたとしても隼人には何も残ってはいなかった。

隼人の脳裏に本郷猛の言葉が甦る。
『今はただ生き残る、ただそれだけを強く念じろ』
『そうすれば少なくともここからは出られる筈だ』
「そうだな、この3ヶ月死んだように生きて来た俺だが」
「このままここで死んじまうのは納得がいかねぇ」
それは戦場から帰還してからはじめて、隼人が生に執着した瞬間でもあった。
それは肉体の変化が隼人にもたらした影響なのか、
それとも再度極限状態にあってはじめて、隼人が生きている実感を得たからなのか、
それは隼人自身にもわからなかったが。
少なくとも今の隼人には、戦場で見殺しにした村人への罪の意識も、
あすかを失った悲しみ喪失感も無かった。
あるのはただ生きてここを出るという生への執着のみ。
181名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 14:17:56 ID:siSOpgJ7

隼人は己の肉体の異変に気づいてはいたが、それがどのようなものなのか把握してはいなかった。
本郷猛や快人を見る限り、それは超人的な能力のようだが、隼人には何らその実感は無い。

「じゃぁ、力づくでやっちゃいますからね?一文字さん」
隼人は咄嗟に両の腕を顔の前でクロスさせ防御の姿勢を取る。
やはり先端恐怖症だけに眼球に針を刺されるのだけは嫌なようだ。

支配人はその異形の肉体から何百本という針を飛ばす。
だが今の隼人にはその何百本という針の動き、その発射の瞬間までもがハッキリと見えた。
隼人は瞬時に防御を止め、針の攻撃を横に飛ぶようにかわした。

支配人の針をかわせてしまった自分自身に隼人は驚く。
それが隼人自身の動体視力と反射速度が常人離れしたレベルに達している為であると、隼人はまだ気づいていなかった。

「私の針をかわすとは驚きですネ」
「クィーンより受けた洗礼で能力が覚醒しはじめているようですね、一文字さん」
「いいですか、一文字さん」
「クィーンの洗礼のキスを受けたものは、その強い欲望を特殊な能力として発揮出来るのですよ」
「人間に針を刺したいという強い欲望で、全身に針を生やし、針を飛ばすことが出来るようになった私のようにね」
支配人は自らの肉体の無数の針を隼人に向かって飛ばし続ける。
これを動体視力と反射で飛び交わす隼人。
「ふざけんなっ」「誰がてめえみたいな変態趣味を恥ずかしげも無く、人前に晒すかよ」

隼人の脳裏には先刻の仮面ライダー本郷猛のバトルのイメージが強く残っていた。
紙一重でかわすその神技的ディフェンス。それは再現しようとして再現出来るものでは無かったが。
「やっぱあいつスゲェわ」今はまだ飛びかわすのが精一杯の隼人。
182名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 14:43:46 ID:siSOpgJ7

隼人は支配人の針をかわすことだけに精一杯となり、状況判断を誤っていた。
とびかわすことの出来ない狭いスペースへといつの間にか追い詰められていたのだ。
「一文字さん、ちゃんと考えて逃げないとダメじゃないですか」
「もう逃げられませんよ」支配人は追い詰めた獲物を前に、異様に興奮していた。
おそらくは獲物をどう仕留めようか妄想することに刺激を感じていたのであろう。
「今度こそ、恐怖に怯え、泣き叫んでくださいよ、一文字さん」

舌打ちする隼人「やっぱ、あいつの真似しようと思ってもダメだな、こりゃ」
追い詰められ窮地に立たされた隼人の脳裏に再び本郷猛の言葉が甦る。
『今はただ生き残る、ただそれだけを強く念じろ』
『そうすれば少なくともここからは出られる筈だ』
「言われなくても俺は生き残る!」隼人の生への決意表明。

「俺は俺のやり方で行くのみ!」
隼人は自らの両の腕をクロスさせ、急所となる顔面を庇い、地面を蹴り上げ支配人に向かって突っ込んで行く。
「やけになっちゃいましたか?一文字さん」支配人は容赦無く、隼人に向け、全身の針を発射する。
隼人の腕や体に支配人の針が突き刺さる。
しかし、隼人の生への決意、それは強い意志となり、隼人の能力を高めていた。
隼人の体の皮膚は本人が思う以上にはるかに高質化されており、
支配人の放った針も突き刺さりはしたが致命傷とはならなかった。
さらにその瞬発力は支配人と隼人の間の距離、間合いを一瞬のうちに縮めた。
隼人の体に針が刺さった次の瞬間、既に隼人は支配人の懐深く潜り込んでいた。

「痛てぇじゃねえかっ!!この野郎っ!!」
隼人は零距離から渾身の力で己の右拳を支配人のボディに叩き込んだ。
その破壊力は隼人の想像をはるかに越えていた。
隼人の右拳は、肉体が壊れる音と共に、支配人どてっ腹を突き破り、突き抜けた。
隼人の拳は真っ赤な鮮血に染まった。
183名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 15:27:12 ID:siSOpgJ7

SHOCKERの快人・戦闘員を蹴散らし、奥へと進んだ仮面ライダー・本郷猛はクィーンを追い詰めていた。
その仮面を脱いで本郷猛の素顔を見せる本郷猛。猛に対峙するように立つクィーン。

「本郷猛・・・」
「あなたは私からどれだけ大切なものを奪えば気が済むと言うの?」
「私はあなたを絶対に許さない・・・」
「お父様をその手にかけただけではなく、あすかお姉ちゃんまでも殺めるとは・・・」
「あなただけは絶対に許さない・・・」
クィーンの顔は険しく、憎しみに満ち、本郷猛を睨みつけた。
憎悪、怨念、怒り、悲しみ、クィーンの負の感情が悪意のオーラとなって溢れる。

「ルリ子さん、聞いてくれ」
「あなたが俺を誤解し、俺を憎み、恨むと言うのなら、それはそれで構わない」
「だが、緑川博士の娘さんであるルリ子さんが、ここでSHOCKERの利用されているのが俺には我慢ならない」
「リル子さん、今日こそは俺はあなたを連れて帰る」
本郷猛は力強い口調でその決意を語る。
184名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 15:28:56 ID:siSOpgJ7

「おいおい、人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ、本郷君」高笑いをしながら姿を見せる大使。
「彼女はここに自らの意志でいるのだよ、我々は何も強制などしていない」

「レディを無理矢理、連れて行くなどはまるで拉致監禁ではないか」
「紳士のすることではないな」「君はもっと紳士的な人間だと思っていたのだがな、本郷猛」隻眼の大佐も姿を現す。

「自尊心の高い君のことだ、今の状況を屈辱に感じ、耐えらずに必ず彼女を取り返しに来ると思っていたよ」
「『死神博士の後継者』に選ばれた君が、今我々と敵対しているというのは、我々としては誠に遺憾だが」
「君には君の意志があり、我々から離反したように」「彼女は彼女の意志があって、我らと行動を共にしているのだ」
「秘密SHOCKERの象徴・クィーンとして」大使は高笑いしながら本郷猛に言う。

「私はあなたへの復讐を心に誓った」
「私の変わりにあなたへの復讐を果たしてくれる、快人を生み出すこと」
「それが今の私のただひとつの生き甲斐」
「あなたへの復讐の為だったら私は何だってするわ」
「あなたが死に復讐が私の果たされる日まで」
クィーンのその言葉に高笑いする大使と大佐。

仮面ライダー・本郷猛と対峙するクィーン、クィーンの傍らに大使と大佐。
本郷猛はその拳を強く握りしめる。
185名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 15:55:01 ID:siSOpgJ7

急激にその能力を発揮した為に、隼人の肉体には再び激痛が走っていた。
のたうち転げ回り、もがき苦しむ隼人。

隼人の苦痛は肉体的なものだけでは無かった。
その血塗られた拳が意味するもの、それが隼人の心に再び暗い影を落とした。
「人を殺しちまったな」
「奴らはすでに人じゃない・・・それもただの言い訳か」

肉体的苦痛と精神的苦痛に耐え難くなった隼人は、力まかせに壁を殴りつける。
「一体どうなってんだっ!!ちくしょうっ!!」
鈍い音と共に穴を空け崩れ落ちる壁。何メートルにも及ぶ巨大な亀裂。
それが隼人が手に入れた力。
「どうなっちまったってんだ・・・ちくしょう」力なく呟く隼人。

秘密クラブSHOCKERからの脱出に成功した隼人。
その頃には既に、外は夜更けを過ぎ、夜も明けはじめていた。
隼人にとって悪夢でしかなかった、長い長い一夜はようやく明けようとしていた。
だがそれもこれから隼人を待ち受ける過酷な運命のはじまりにしか過ぎない。

昇る朝日に周囲の風景が赤く染まって行く。
だが苦痛に耐える隼人には、それは血の色に染まっているようにしか見えなかった。



仮面ライダー2005 EPISODE.2 HAYATO 第一話・了
186名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 16:00:29 ID:siSOpgJ7
とりあえず1話終了です
いつもの如くスレ大量に消費してしまって申し訳ない
2話は構成が全然決まってないので
次いきなり3話から再開するかもしれません(汗
187名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 18:29:42 ID:rAXtqidQ
>>186さん、おつかれ〜。続きが楽しみです。
188186:2005/08/18(木) 22:47:34 ID:QwtXBujK
>>187
しばらく間空けようかと思ってたんですが
2話ふっとばして3話につなぐ構成を思いついたんで
一気に書く方向で検討してます、下手したら明日にでも続き載るかも(汗
189名無しより愛をこめて:2005/08/18(木) 22:51:13 ID:c9e06qCu
>>186 さん
187さんではないですが、楽しみです。

仮面ライダー2005 EPISODE.2 HAYATO 第三話


SHOCKERの秘密基地、その最深部に彼は居た。
既に何百年もそこに存在するとも言われている、
人類史上唯一無二の優れた頭脳を持つ大天才、その名は死神博士。
博士こそが有史以来『あのお方』に仕え、この宇宙の真理と叡智を授かったとも噂される。
そして、培養液に満ちた巨大浴槽の中に浮かぶ剥き出しの脳と脊髄、そして神経。
それこそが今の博士の姿。

「君の後継者として、自由に動くことの適わぬ君の肉体の代わりとなる筈であった本郷猛が
我らと敵対する結果となったこと、誠に申し訳無いと思っておるよ、博士」
「君の旧き良き友として」巨大浴槽の前でそう博士に挨拶をする男・大使。
そしてその傍らで頷く黒い軍服を着た隻眼の男・大佐。

「それは大した問題ではない」
「それもまた想定の範囲内なのだ」
巨大浴槽に設置されている音声機関が死神博士の声を伝える。
191名無しより愛をこめて:2005/08/19(金) 10:27:23 ID:f7ZAOL5F

「君たちも知っての通り、我々は長きに渡り快人の存在を封印して来た」
「粘膜感染によって増殖する快人の個体数を」
「その凶暴性、凶悪性、潜在能力、そして固体の生命力・寿命に関して、我々でもコントロール出来ない部分を多く残しているからだ」
「快人が爆発的に増殖し、その凶暴性を最大限に発揮した場合、人間という種そのものを絶滅させる危険性がある」
「だが『あのお方』はそんなことは望んでおられない」
「『あのお方』にしてみれば、人間は自分達の子供も同然であるのだ」
「『あのお方』は人間という種を心底愛しておられる」
「『あのお方』が望まれるのは、人間とこの星の健やかなる未来」

「その為には爆発的に増殖を続ける快人達を抑止する機能も必要であるのだ」
「それこそが快人の天敵・仮面ライダー、という訳ですな」大使は博士の言葉に頷いた。
「すべては予定調和ということだな」大佐もまた頷く。

「一文字隼人を見逃したのもその為であると?」大使は博士に問う。
「彼は非常にイレギュラーな存在だ」「本郷猛までは想定の範囲内であったが」
「彼が仮面ライダーとなるのか快人となるのか、それはまだ私にもわからない」
大使の問いに博士は静かにただそう答えた。
192名無しより愛をこめて:2005/08/19(金) 11:19:06 ID:f7ZAOL5F

「彼は非常にユニークな存在だ」大佐はそう言うと巨大モニターに一文字隼人のデータを映し出した。

隼人は秘密クラブSHOCKERを脱出後、SHOCKERの追っ手・刺客である快人達を次々と倒す。
だが快人との戦闘で負傷した隼人は、行く宛も無く生き倒れになった所を、
アンチショッカー同盟の主要メンバーである立花藤兵衛に助けられた。
隼人は立花藤兵衛の下で、己の力の使い方を学び、立花藤兵衛を通じて本郷猛より仮面ライダーのベルトを受け取る。
ベルトを腰に巻いた隼人は仮面ライダー2号を自ら名乗り、変身してSHOCKERの快人と戦い続けていた。
隻眼の大佐も先だって隼人とあいまみえたばかりでもある。

「そういえば、大佐は彼に随分興味を示しておったな」一文字隼人のデータを眺めていた大使。
「やはりあれか?S国つながりで興味があるのか」
「確かにそれもある」「だが私は興味があるのはその戦闘能力の高さだ」「見よ、この戦闘能力を」
「我らの技術を結集した改造手術を受けた本郷猛ならいざ知らずだ」
「ただのウィルス感染者に過ぎない彼が、我らの正式な改造人間すらも打ち倒しているのだぞ」
「本来であれば下級快人クラスの感染者に過ぎない彼がだ」
「軍人としてその戦闘能力に興味を持つなという方が無理というものだよ」大佐の説明に大使は頷く。

「それにだ・・・」大佐はその真意を語り出す。
「ナノマシンウィルスが欲望以外の強い意志にも反応するのであればだ」
「人間の深い闇の意志にも反応するのではないか?」
大佐の意外な発言に大使は驚きを隠せない「ダークサイドか?」
「ダークサイド・・・それこそが快人プロジェクトが長きに渡り封印されることになった最大の原因」
二人の会話に割って入る博士。その声は少し震えているようでもあった。
「ナノマシンウィルスが人間の深い闇の意志に反応して誕生したダークサイドの者達」
「その者達により人類は一度滅亡しかけておる」
「その結果にお怒りになられた『あのお方』は快人プロジェクトを封印されたのだ」
「その所業を繰り返そうと言うのか?大佐」博士の問いに大佐は笑って応える。
「いやいや私は必ずダークサイドの者を御してみせる」「心配には及ばぬよ」
193名無しより愛をこめて:2005/08/19(金) 11:58:51 ID:f7ZAOL5F

「では例のXデーでダークサイドの様子を見るというのはどうだ?」
「12月24日PM7:00 新宿駅並びにその周辺繁華街を完全に封鎖し」
「100人の快人達の調整を兼ねて人間の大量殺戮を行う予定がある」大使から提案がなされる。
「なるほど、それは良いかもしれぬな」
「完全封鎖の賭殺場であれば、余計な邪魔が入ることもないか」大佐は頷く。

「その準備の方は抜かり無いのであろうな?」大佐の問いを大使は笑い飛ばす。
「案ずるな、政府機関への調整を最も得意とするが故に『大使』と呼ばれておるのだぞ、私は」
「既に政府並びに関係各省庁への根回しは済んでおる」
「大量虐殺はN国の工作員によるテロとして処理される手筈になっておる」
「当日は15分前より該当エリアは完全封鎖」「人間達は出入りが全く出来なくなるであろう」
「もちろん報道機関・各メディアの方も手を打ってある」
「彼らにはこちらで用意した映像と画像を報道してもらうことになる」
「もし万一仮に上空からの空撮を行おうとして、闇夜の中では何が起こっているかは全くわかるまい」
「実際にこの国に潜入しているN国の工作員にも参加して頂く」
「資金援助、武器の譲渡などは既に済ませてある」
「もちろん彼らも他の人間同様に最終的には死んで頂くことになるが」
「最後はN国工作員のテロリストの死体を国民に見せて、国民には納得してもらう」
「この国とN国との新たな火種としても申し訳無い」
「上手くいけばN国から核ミサイルが飛んで来て、この国の人減らしに多いに役に立つかもしれんしな」
大使はことの次第を説明するといつもにまして大きな声で高笑いする。それは大使が上機嫌でもある証。

「随分と大掛かりな作戦であるな」「この作戦の真の目的はなんだ?」訝し気な目で大使を見る大佐。
「おいおい、そんな目で見るなよ」「実の所はな、血の気の多い快人達が大暴れしたくてウズウズしておるのだよ」
「血の気の多い奴らには困ったものだわい」大使は再び高笑いする。
「なるほどな調整という名の憂さ晴らしか」大佐は鼻で笑う。
「それにしては随分と嬉しそうだな、大使よ」「私とて元々は軍人なのだよ、大佐」
「秘密クラブでパフォーマンスを行うより、こっちの方が余程性に合っておる」「私でも軍人としての血が騒ぐのだよ」
194名無しより愛をこめて:2005/08/19(金) 12:29:25 ID:f7ZAOL5F

大使と大佐の交渉が一段落すると博士は問う。
「時に、クィーンは、緑川ルリ子は元気かね?」
「彼女は良くやってくれておりますよ、博士」
「我々としては、緑川ルリ子とあすかの姉妹で、クィーン二人体制を敷きたかったのですが」
「派遣した快人蝙蝠男が姉あすかの抵抗にあい誤って殺害してしまったのは大きな誤算でしたが」
大使の報告に博士はあすかの死を悼んだ。「そうか、それは残念なことをした」

「彼女の父・緑川博士は私の非常に優秀な生徒であった」
「ガイア・ブレインですかな?」
「緑川博士をはじめとし、風見博士、神博士、結城丈二、そして本郷猛と、
この国の優秀な科学者達が集まって『死神博士の後継者』の座をめぐって競い合ったのでしたな」
「それは結果としてそうなったというだけだよ、大使」

「そしてせっかく『死神博士の後継者』に選ばれた本郷猛も我らを裏切った」
「せかっく博士からこの宇宙の真理とすべての叡智を引き継ぐチャンスを得たと言うのに」

「それも大した問題ではない」
「そうそれもまた想定の範囲内なのだよ、大使」
「すべては『あのお方』の掌の上に過ぎないのだ」
「私は悠久なる時をここで過ごし、これからもまたここにいる、ただそれだけのことだ」
培養液に満ちた巨大浴槽の中に浮かぶ剥き出しの脳と脊髄、そして神経、それが博士の姿。
195名無しより愛をこめて:2005/08/19(金) 17:33:08 ID:B5jxa360
195

白い壁に覆い隠された静寂なる施設の中を足早な靴音だけが響渡る。
その靴音が止むと、鍵を開ける音、そして鉄の扉が開かれる。
「一文字隼人、出ろ」その言葉に隼人は片目を開けて周囲の様子を伺う。
開かれた鉄の扉より隼人が外へ出ると、そこに扉を開けた男は、隼人の手首に手錠をかける。
「これから、お前を別の場所へと移送する」
「あ〜ここも結構居心地良かったんだがなぁ〜」
「で、何処に移されるんですか?」
「それはまだ言えん」
「そりゃ無いでしょう〜被疑者にだって知る権利はありますよ」
「こういうとこは人権問題とか、五月蝿いんでしょ?」
隼人の軽口に男はしかめっ面をする。
「とりあえず、ここでは言えん。移送の途中で説明する」
「まぁだいたい察しはつきますがね」
隼人はやれやれと言った顔を肩をすくめる。

隼人は拘置所に拘留されていた・・・
197名無しより愛をこめて:2005/08/20(土) 11:10:24 ID:6Y9RJw5F

護送車で移送される隼人。乗っている被疑者は隼人ただ一人。
だが護送車には他の被疑者の代わりに十数人も及ぶ物々しい武装をした警護の者達が同乗していた。
警護のリーダーと思われる男から隼人は説明を受ける。
「世界的に有名であるカメラマンにより連続殺人事件容疑、
マスコミは連日過熱報道を続け、世界のメディアの注目も非常に高い」
「政府はこれを国家的レベルの問題だと考慮し」
「本件に関する管轄を国家公安委員会付の特務機関に委譲することとした」
「あなたはこれからその特務機関に身柄を引き渡される」
男のいかにもそれらしい説明に隼人はため息をつく。
「国家公安委員会付の特務機関ねぇ・・・」

隼人がその常人とは異なる特殊な能力を使えば当然この状況から脱することは訳の無いことであった。
だがここで普通の人間を相手に立ち回りをする気は隼人にはさらさら無かったし、
ここで脱走を試み、さらに罪を重ねた指名手配犯として、再び逃走を繰り返しても、
根本的な解決にはならないことを隼人は理解していた。
この事態に裏にいる存在、それについて大方の察しはついてはいたが、そこに辿り着くまでは様子を見るしかない。
198名無しより愛をこめて:2005/08/21(日) 07:29:05 ID:Or9ZWr2S
hosyu
199名無しより愛をこめて:2005/08/21(日) 19:30:18 ID:KRyMQF1y
で、「あすか」が出てきたと言う事は、
この後、隼人は「矢野哲彦」を名乗る羽目にとか・・・?
200名無しより愛をこめて:2005/08/21(日) 19:35:41 ID:KRyMQF1y
「克彦」だった
201HAYATO:2005/08/22(月) 09:49:14 ID:LuSTswkn
>>199
一文字隼人は社会的に抹消されたも同然だから
今後世を忍ぶ仮の姿で「矢野克彦」の偽名を名乗ることはありそう
そこまで考えては無かったけど
202HAYATO:2005/08/22(月) 09:54:30 ID:LuSTswkn
EP2隼人編は三話で終了
その後はN国の工作員として新宿テロに参戦していた城茂と二人目のクィーン岬ユリ子の話EP7に移行する予定
古のダークサイドの者達=デルザー魔人とかいろいろと構想が膨らんではいる
そこまで続けばだけど
203名無しより愛をこめて:2005/08/22(月) 10:02:51 ID:IppbyiyJ
では、隼人の今後の運命は?汚名は雪がれないのか。

本郷は機械改造を受けているけど、隼人は受けないまま?
隼人は、下手をすると快人化したり、
ダークサイドに堕ちるかもしれない不安定さがあるわけ?

大変だろうけど、続きもお願いします。


204HAYATO:2005/08/22(月) 10:31:03 ID:LuSTswkn
>>203
このシリーズ、ダークサイドに堕ちかかる人ばかりだから(汗
風見志郎=復讐、神啓介=孤独と絶望、城茂=感情無、あたりで
SWエピ3見た影響なのかも

快人の設定てよく考えるとまんまオルフェノクだしなぁ〜

気長に待って頂ければ幸いです

秘密クラブSHOCKERを脱走した後、傷ついた隼人は帰る場所すらも無く、彷徨い続けた。
その隼人を執拗なまでに追い迫るSHOCKERの追撃部隊。
光を屈折させて身を隠し隼人の尾行を続けるカメレオン男の尾行班。
そして闇夜に乗じて奇襲をかける蝙蝠男の夜襲部隊。
隼人は激痛に耐えながら彼ら快人を次々と撃破する。
だが自らも傷つき、ナノマシンウィルスの肉体改造の痛みに耐え切れなくなった隼人は意識を失う。

傷ついた隼人を助け、安息の場所を与えたのが、表向きは喫茶アミーゴのマスターでもあり、
裏ではSHOCKERに抵抗を続けるアンチSHOCKER同盟の主要メンバーである、立花藤兵衛であった。
隼人は立花藤兵衛からSHOCKERの存在、快人について、そして己の力の制御についてを学ぶ。
有史以来人類を影で管理統制して来たと言われるSHOCKER。
そしてSHOCKERが生み出す快楽殺人者である快人。
快人としての能力を与えられた隼人だが、強い意志を持ち続けることで快人となることを拒否し、
快人の能力と人間の意志を併せ持つ存在となることが出来ること。
それを知り苦悩する隼人を支えたのは立花藤兵衛であった。

そして立花藤兵衛は本郷猛から預かっていたベルトを隼人に手渡す。
それは本郷猛が腰に巻いていたのと同じく、強化服を一瞬の内に装着するベルト。
隼人はそのベルトを手にし、まだ解らぬことは多かったが、
本郷猛と同様にSHOCKERの快人達を戦うことを決意する。

ベルトによる変身で仮面ライダー2号となった隼人は人々を襲う快人を倒すも、その前に現れる大佐を呼ばれる男。
大佐は隼人いや2号ライダーにその圧倒的な力の差を見せつける。隼人は大佐の前に敗北を喫する。
だが隼人に興味を示した大佐はとどめを刺さずにその場を立ち去ったのであった。
206名無しより愛をこめて:2005/08/22(月) 15:04:25 ID:LuSTswkn

大佐への敗北に傷つき喫茶アミーゴへと戻った隼人であったが、そこでは深刻な顔をした立花藤兵衛が待っていた。
立花藤兵衛は隼人にすぐにここから逃げろと言う。
ホストクラブの支配人殺し並びに連続殺人犯としての容疑がかけられていたのであった。
秘密クラブSHOCKERの支配人・快人サボテグロンはホストクラブの支配人として、
その他の快人・カメレオン、蝙蝠男もまた微妙にその身元の詳細を変えられ、ホストクラブ従業員とされていた。
隼人は世界的に有名なカメラマンという名声・地位から、
一瞬の内に連続殺人犯としての汚名を着せられることになったのである。
名声も地位も隼人にとっては大した問題では無かったが、連続殺人犯とされたことは隼人の心に暗い影を落とした。

隼人の脳裏にはサボテグロンを倒した時の記憶が甦る。
人間の肉体が壊れる音。サボテグロンの腹を突き抜けた時のその拳何とも言えない後味の悪い感触。
生温かく、ヌメヌメとしたその感触を隼人は何度か経験している。真っ赤に血塗られた拳。
隼人は戦いが終わると何度も、何時間もその手を洗い続ける。
いつまで経ってもその拳の血が落ちてはいないと脅迫観念に迫られるからだ。
207名無しより愛をこめて:2005/08/22(月) 15:04:58 ID:LuSTswkn

「人を殺しちまったな」
「奴らはすでに人じゃない・・・それもただの言い訳か」
隼人の脳裏に自らが呟いた言葉がリフレインする。
異形の者へと姿を変えるその能力こそあれ、彼らも元はただの人間である。
しかも彼らは基本的に人間の姿を多く残している。
サボテグロンは体表に無数の針を突き出したが、基本的に人間の姿をしていたし、また他の快人も同様に人間の姿を残していた。
その彼らの命を奪ったこと、それが隼人の心の中で大きな罪の意識となっていた。

そして彼らの命を奪うことは正しかったことなのか?という疑念。
隼人は今迄自らが生き残る為に戦って来た。
彼らは快楽殺人者であり、今迄多くの罪も無い人間を殺めて来たのだから、彼らの命を奪っても許される。
その考え方に疑念が無い訳では無かった。
本来の法治国家であれば、そうした快楽殺人者は法の下に裁かれるであろう。
しかしSHOCKERの権力下にある現政権ではそれは不可能に等しい。
だからと言って隼人が快人に裁きを下すことが許されるのであろうか。
殺人の嗜好があるとは言え、人間と同じである快人を。

確かに隼人は本来の意味での連続殺人犯では無かったが、ある意味では連続殺人犯でもあった。
少なくとも隼人本人はそのことに良心の呵責を感じていた。
208名無しより愛をこめて:2005/08/22(月) 16:07:40 ID:LuSTswkn

世界的に有名なカメラマンの連続殺人事件の疑いに、世のマスコミ・報道機関も大騒ぎとなる。
国内だけでは無く全世界のメディアがこれを報じ、注目した。
そこにも何かしらの力が働いているのかもしれなかったが、それはもはや定かでは無かった。
いやもっとも問題であったのは、仮面ライダーとしての仮面と強化服の姿が、世に晒されたことであった。
快人と戦う2号ライダーの姿が、人間を襲う悪しき者の姿として大々的に報じられた。
仮面ライダーのその姿は人間の命と生活を脅かす悪しき者として、
TV、新聞、雑誌、ネット等あらゆる媒体で全世界の認識された。
マスコミは「世界的に有名なカメラマン、コスプレ連続殺人」と、
事件を面白可笑しく煽り立て、その報道はますます過熱して行くばかりであった。
そうした現象は隼人の神経をますます擦り減らしていった。

喫茶アミーゴのマスターであり、アンチSHOCKER同盟のメンバーである立花藤兵衛は、
隼人をこれ以上匿いきれいないと感じ、アンチSHOCKER同盟のアジトに身を隠すように指示する。
アンチSHOCKER同盟のアジトに身を隠す隼人。
しかしそこでもアンチSHOCKER同盟の同士の密告・裏切りにより、再び逃亡生活を余儀無くされる。
アンチSHOCKER同盟の内部にも密かにSHOCKERと通じる者がいたということであろうか。

行くあての無い逃亡生活を続けながらSHOCKERの快人と戦う隼人。
隼人が守る者達からも、おそれられ、怒り、憎しみといった悪意を向けられる。
既に一文字隼人であろうとも仮面ライダー2号であろうとも、隼人には常に悪意が向けられる。
行くべき場所も、守るべき者も隼人にはもはや無かったのかもしれない。

それでも人間達を守ろうとし、快人と戦った隼人。
最後は快人を倒し傷つき倒れた所を人間達の手によって捕らえられた。
209名無しより愛をこめて:2005/08/22(月) 16:34:19 ID:LuSTswkn

隼人を乗せた移送車は新宿のとある高層ビルの地下駐車場に止められる。
武装した警護の者に囲まれ車両から降ろされる隼人を出迎えたのは、
秘密クラブSHOCKERに居た黒服と同じ姿をした者達。
「どう見ても国家公安委員会の人達じゃないし〜」隼人は呆れ顔でぼやいた。
しかし隼人は少し意外でもあった。
てっきり自分は秘密クラブSHOCKERのあの地下巨大施設に連れて行かれると予想していたからだ。

高層ビルの中から隼人を乗せた移送車の到着を見守る大佐と大使。
「待ち人来たれリ、というところかね?大佐」
「しかし、今回は随分と手の込んだことをしたものだ」相変わらずの高笑いの大使。
「なに、奴の世俗への未練を断ち切ってやった迄だよ」
「奴もこれで自らに帰る場所も、守るべき者も無いことを自覚したことだろう」
「これから追い詰め甲斐があると言うものだ」大佐は笑みを浮かべる。

「ここに連れて来たということは、Xデーを見越してかね?大佐」
「もちろんだよ大使、ホントは都庁を使っても良かったんだがね」大佐は珍しくジョークを飛ばす。
「無理ではないが、それは面倒で困るな、大佐」大使も大佐のジョークに付き合う。

「最も人出が多く街が賑わうであろう12月24日」「その日にここが地獄と化す」
「その様を彼にも見てもらわないとな、我々の良き仲間として」
「まぁもっともその時は彼自ら率先して虐殺に励んでいると思うがね」
大佐は至って上機嫌な様子であった。

「しかしどうやって彼を落すつもりだね?大佐」
「至極簡単なことだよ、大使」「人間の本性を見せる」
「強気意志を砕き、更地に戻し、深き悪意を植え付ける」
「奴を見ていると、私のこの隻眼の傷跡が疼くのだよ、大使」
210名無しより愛をこめて:2005/08/23(火) 12:27:41 ID:Fj7cIYw7

黒服達により新宿高層ビルの内部へと連行される隼人、その手には手錠がはめられている。
エレベーターで地下最深部へと到着するとそこで隼人を待ち受けていたのは、黒い軍服の隻眼の大佐であった。
「また、あんたか」「あんたが国家公安委員会付の特務機関だとは知らなかったぜ」隼人は大佐の顔を見るなり軽口を叩く。
「よく来たな、一文字隼人」「まぁ嘘も方便と言うヤツだよ」大佐は隼人の皮肉を軽く受け流した。

「君とはいろいろと話しをしたいと思ってな」
「君を招待しようと使者を派遣したが、君がことごとく倒してしまうものだから」
「こういう手段を取らざる得なかった訳だ」それは今迄隼人に向けられた刺客のことであろう。

「そうか?奴ら招待状も無しにいきなり襲ってきやがったがな」
「とてもゲストを迎えに来たような感じじゃなかったっぜ」

「君も知っての通り、快人は血の気が多い者達が多くてな」「私もほとほと手を焼いておるのだよ」
大佐はオーバーリアクションで手で額を押さえ嘆く素振りを見せる。

「君と我々の間には不幸な行き違いがあった」「そもそも、何故我らは敵対せぬばならぬのだ?」
「快人達が一方的に暴力に及んだ」「君も身を守る為正当防衛を行使した」「そこまでを認めるとしよう」
「では、快人達が君に害を及ぼさなくなった場合、君は我らと敵対する理由は無いのはないのか?」

「人のことを社会的に抹消しておいて良く言うよ」

「そう確かに今回の騒動で君の名声も地位も地に堕ちたかもしれない」
「だが問題なのは既に君がそんなものはどうでもいいと思っていることだ」
「S国という戦場で写真を撮り、世界的な賞に輝いた」
「その名声に飽き足らずに、我らの秘密クラブに潜入し、さらなるスクープを追い求めた」
「その君の飽くなき欲望はまさに賞賛に値した」
「現状に満足することなく、更なる高位を目指す、それだからこそ人は進歩する」
「そんな君だからこそ我々も君に、神にも近づける、その能力を与えたのだ」
「だがその能力を得てからの君は極めて怠惰だ、実に嘆かわしい」
「君がその能力を自らの欲望の為に使っていれば、我々とてこのような真似をせずに済んだのだ」
211名無しより愛をこめて:2005/08/23(火) 12:28:28 ID:Fj7cIYw7

「欲望に身を染め、罪も無い人間達を殺せと?」

「それも大きな誤解ではあるな」
「欲望により得た力をどのように使うかは個人の判断によるものだ」
「我々はその力の使い方を強制するものではない」

「つまりあんた達の組織自体に罪は無いと?」

「我々の真の目的は、人類とこの星の健やかなる未来だ」
「人類の発展と共に山積みにされてきた多くの問題」
「それを速やかに解決し、人類の正しき未来を確保すること、それこそが我らの本意」
「その為には、自らを欲望により常に向上させていける新たなる人間、快人が必要であるのだ」

「それがあんた達の行って来た管理統制という訳か」

「有史以来人類は我々の管理統制の下にあったのだよ」「ただほとんど人間がその事を知らなかっただけだ」
「人類の歴史が我らと共にあったのだ」「今更それが悪いことでもなかろう?」

「一文字隼人よ、君は何故そんな我らと戦おうというのか?」
「戦う理由は何処にも無いと思うのだがね」
「快人により襲われる罪も無い人々の命を救う為か?」
「では何故人々の命を救いたいと願う?」
隼人は大佐の問いにしばし考える
「・・・・・・自己満足」
隼人の答えに大佐は声を出して笑う。
「やはり君は面白い」「それが分かっていて、開き直ってそれを口に出来る君は実に賢明だ」
212名無しより愛をこめて:2005/08/23(火) 12:29:08 ID:Fj7cIYw7

「そう、それは君のただの自己満足に過ぎない」
「誰が君に助けを求める訳でもない」
「むしろ今は君を悪しき異形の者として恐れ、憎み、悪意を向ける」

「それでも君は人々の命を救おうと快人と戦う」「それは何の為か?」
「それは償いか?」
「君は今人々の命を救うことで、S国で見殺しに人々に対する罪を償おうとしているのか?」
「償い、そんな後ろ向きな意志では、強き意志とは呼べんよ」
「その程度の意志では、今の君の能力が優れていても、やがて限界が訪れるであろう」

隼人は大佐の言葉にハッとする。確かに自分は今迄人々を救って来たのは、
S国で村人を見殺しにした村人達への罪の償い、心の何処かにそうした気持ちがあったからだ。
人々を救えば、自分が見殺しにした村人達への罪が軽減されるのではないか、そう思っていた。
だがそれ自体が既に心の救済を求める、見返りを求める行為であるのだ。
それは偽善と言いように言っては偽善と言えたし、人々を助ける自分に酔っている自己満足に過ぎないとも言えた。
隼人は自らが無意識の内に口にした自己満足の意味を改めて認識したのだ。

と同時に組織には隼人の素性がことごとく知られているという事実。
確かにSHOCKERという組織の強大さを考えれば十分に有り得ることではあった。
隼人は自らの両親は既に亡く、天涯孤独の身であることに安堵した。
だがそれ故に隼人が守るべき者とのつながりが希薄であるのも事実であったが。
213HAYATO:2005/08/23(火) 18:51:27 ID:Fj7cIYw7
しばらく欝会話の展開続きますがみなさん大丈夫でしょうか?
先にネタばらした方がいいような気もしてるんですが
214名無しより愛をこめて:2005/08/23(火) 19:39:40 ID:oA91uuD6
こう言う時は続けたものの勝ちです、ROMに構わず続けてください。
つか、面白いよ、この展開。
215名無しより愛をこめて:2005/08/23(火) 20:03:53 ID:TLPsP/2T
面白いですよ
長編になりそう(むろん、これは歓迎するところ)だから、
終了したらリライトしてコミケにでも出品なさったら?
216名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 09:39:33 ID:BLqHZozx
>>214>>215
ありがとうございます。
とりあえず隼人編だけでもちゃんと書き上げたいと思ってます。

「誰かの犠牲の上に自分が地位と名声を得た場合」
「あんたならきっとそれがこの社会の摂理であり、弱肉強食である以上、当然のことだと思うんだろうな」
「だが世の中にはそれを当然と思えない人間も居てね」
「自分が得たものの為に犠牲になった人たちのことを考えちまう奴もいるってこった」
S国の村人を見殺しにしたこと、それは心の奥底で常に罪の意識として隼人を苦しめ続けていた。
それは決して消すことの出来ない、大きく深い心の傷跡。

「君がS国のことで心を傷めているというのはよくわかる」
「しかしそれはあまりにも感傷的過ぎるのではないかね?」
「いや美化し過ぎていると言ってもいいかもしれない」
「君が戦場で精神的に追い詰められていた為、S国の村人の温情が殊の外身に染みた、それも良くわかる話だ」
「私も軍人であるからね」

「私もS国のことは非常に良く知っているが」「あの国の人たちはそんなに素晴らしい者達では無いよ」
「内戦に明け暮れ、長年に渡る内戦で、人々の心は疲弊し、荒み、病んでしまっている」
「自らの命をつなぐ為とは言え、目の前の食料の為に、人の命さえ奪う」
「そんな国なのだよ、あのS国は」

「君はおそらく戦場での辛い記憶を思い出したくないあまりに」
「自分の記憶の一部を封印してしまっているのではないかな?」
「あまりにも過酷な出来事の記憶は精神に異常をきたす」
「それは精神だけに及ばす、精神を通じて、肉体にも異常をきたす、そして時には自らの命を危険に晒すことにもなる」
「PSDに悩まされて来た君であれば良くわかる話だろう?」
「それ故、人間は時として、自らの命を守る為に、自らの記憶を無意識の内に封印する」
「それは人間の防衛本能に基づく行為でもある」

「君は時間を掛けて、自らが封印した記憶を呼び起こしてみるといい」
「時間は掛かるかもしれないがね」
「そしてそれは思い出したとしてもツラク苦しいものでしかないかもしれないが」
大佐は隼人にその隻眼の傷を手で何度か撫でながら隼人にそう語った。
218名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 11:43:55 ID:BLqHZozx

「それにだ、私にはもうひとつ不思議でならないことがある」
「何故、君は本郷猛を信用するのだ?」
「君は本郷猛のことをあまりにも知らないであろう、なのにだ」
「君の窮地を救ったからか?」
確かに隼人にとって本郷猛は謎の人物であった。
窮地を救われたこともあり、立花藤兵衛づてにベルトを渡されはしたが、その素性について隼人は何もしらなかった。

「今でこそ本郷猛は我等と敵対しているが、彼が我が組織に属していたのは紛れも無い事実なのだ」
「それも強制や洗脳などではなく、彼自らの意志で我等の下に居たのだよ」

「我が組織には、有史以来未曾有の、人類史上唯一無二の優れた頭脳を持つ大天才がいる、彼の名は死神博士」
「博士はこの宇宙の真理と叡智を授かったとも言われている」
「本郷猛は自らの師である緑川博士と共に、その死神博士に師事を仰いでいたのだよ」
「この宇宙の真理と叡智を得る為に」

「彼の戦う目的は君とは全く違うのだよ」「彼、本郷猛は人の命を守る為に戦っているのではない」
「この宇宙の真理と叡智を手に入れること、それが彼の最大の目的なのだ」
「君とはその根本からして何もかも違うのだ」

「緑川博士ってのは?もしかして」

「そう君の亡き恋人・緑川あすかの父君だ」
「そして君が最初にここで出会った我等のクィーンは、緑川博士の娘であり、緑川あすかの妹なのだよ」
さすがにこの事実を前に隼人は言葉を失った。このような偶然があるものであろうかと。
隼人の胸の内に妙なざわめきが起こる。それは今迄の感覚とは違うざわめき。

「君はそんなことも知らされていなかったのだな」「いやわざと知らせなかったと考えるのが普通か・・・」
大佐はそこに意味を含めるかの如く、もったいぶったような口ぶりである。
219名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 11:44:38 ID:BLqHZozx
「そうか・・・これは全て仕組まれたことであったか・・・」大佐は唸るような声で呟く。

「君には大変失礼であるがね」
「本郷猛と緑川あすかは幼い頃より旧知の仲であってね」
「本郷猛と緑川あすかは互いに思いを寄せる仲だったと聞く」
「私は君が彼らにハメられたのではないかと思うのだがね」

「あすかを侮辱するような発言は、聞き捨てならないな」そう発する隼人であったが、その声は明らかな動揺を隠せない。

「いやいや、落ち着いて聞いてくれたまえ」
「君の亡き恋人が本郷猛と旧知の仲であり」「君が秘密クラブに導かれたこと」
「そして君が亡き恋人の妹の口づけにより、その能力を授かったこと」
「それらすべてを偶然として片してしまうのは、あまりに愚かではないかな?」
「そこには何かしらの恣意がはじめからあったと考えるのは至極当然であると思うが」

「つまりははじめから俺を仮面ライダーにする為に仕組まれたことだと?」
平静を装うと努めたが隼人の頭の中は既にかなり混乱していた。

「そういうことになるであろうな」
「君も彼の戦いぶりを見たからわかるであろう」
「本郷猛は合理的と言っているが、彼の戦いぶりは非常に狡猾で残忍なものだ」
「私は軍人であるからな、その戦いぶりで、その者の人と成りは想像につく」

「現に緑川あすかの妹であるルリ子、いや我等がクィーンは」
「本郷猛を父・緑川博士と姉・あすかの仇として憎み、我等に協力してくれている」
220名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 11:45:13 ID:BLqHZozx

「ちょっと待ってくれ、何故本郷猛をあすかを殺す理由がある!?」

「緑川あすかは君を本気で愛していたが為、本郷猛の計画を止めようとしたのであろう」
「君をこの過酷な運命に巻き込みたくはなかったのではないかな」
「彼女もまた我等がクィーン同様、芯は心優しき慈愛の女性であったのであろうな」

これは隼人が今迄信じて来たものがすべて引っ繰り返されるような話であった。
だが残念なことにこれが真実であれば、今迄のすべての出来事に説明がついた。
ベルトが予め用意されており、隼人に手渡されたこともこれなら納得出来る。
221名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 12:26:29 ID:BLqHZozx

隼人の心は大きく揺れ動いていた。
今迄現実離れした予測不可能な事態が次々と隼人を襲って来た。
解らないながらも隼人は必死にそれに対応し、
事実を見極め、自分が信じるものを見つけたと思っていた。
その矢先にそれがすべて偽りであったとすべてを覆されようとしていたからだ。
今迄に積み上げられて来た価値観がすべて一瞬の内に無に帰そうとしたいたのだ。

「どうも顔色が優れないようだな」「今日のところはここまでにしよう」
大佐はそう言うと、黒服を呼び、隼人を部屋に案内するように指示した。

隼人は一瞬ふと我に帰り、兼ねてよりの素朴な疑問を大佐に投げかける。
「あんたのその眼」「どうして治さないんだい?」
「ここのオーバーテクノロジーならそれぐらい治せそうに思うんだがね」

「やはり君は面白いな」「さすがは本郷猛が仲間に引き入れようとするだけのことはある」
「左様、この隻眼を治すのは造作も無いことであろう」
「だがこれは戒めなのだよ、私自身へのな」
「私も以前は君と同じように、人を信じようとした」
「ある戦場で窮地に陥った我が部隊を救おうと私は必死に戦った」
「だが最後に私は仲間に裏切られ、戦場に孤立無援の置き去りにされた」「この傷はその時のものだ」
「それ以来私は人間であることを止め、SHOCKERの一員として生きて行くことにしたのだ」
大佐はその隻眼の傷を撫でる。

「一文字君、私はね、今の君を見ていると当時の私を思い出すのだよ」
「人間を守ろうと必死に命を賭けて戦う君を、悪しき異形の者として恐れ、化け物と罵り」
「憎み、怒り、不満をぶつけ、悪意を放つ」
「自らの身のみを案じ、君の痛みを知ろうともしない」
「人間とはかくも醜い生き物であるのかと、嘆かずにはおられんよ」
「果たして君が命を賭して守るべき価値はあるのだろうかね」
222名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 12:45:42 ID:BLqHZozx

隼人が部屋を退室すると、大佐の前には大使が現れる。
「なかなかいい感じではないか」「あれなら陥落もそう難しくはないな」
「当たり前であろう」「我々はこの手でクィーンも落したのだからな」大佐は誇らしげに答える。

「私は彼の心に小石を投じた」「それは時間を掛けて大きな波紋となり、彼の心を揺さぶるであろう」

「物事に心を囚われれば、それは執着となる」「執着は冷静な判断を失わせる」
「冷静な判断を失った者は負の感情に導かれ、やがて闇へと堕ちて行く」

「彼は一度私に敗北しているから、畏れ、恐怖、不安、失意、絶望などの負の感情の下地は既に出来ている」
「そして今日、迷い、不信、不安、怒り、憎しみ、悲しみ、嫉妬、羨望、妬み、欲望、執着などの負の感情が植えつけられた」

「今しばらく時を置き、彼を迷い、彷徨わせ」
「次の段階で絶対的な敗北で彼の恐怖、絶望などの負の感情を増幅させ」
「最後は怒り、憎しみなどの負の感情を爆発させ、力に溺れさせる」
「その時がダークサイドの者誕生の瞬間となる」
223名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 19:28:02 ID:BLqHZozx

「一文字隼人の心が負の感情で満ちる時」
「強烈な負の感情に反応したナノマシンウィルスが、闇の力へと彼を導く
「人間としての意識を奪い、凶暴凶悪な力を彼にもたらす」
「その時もはや彼にとってSHOCKERであるとか仮面ライダーであるなどと言うことはどうでもいいことであろう」
「そこにあるのはただ破壊と殺戮の意志のみ」

「やはり危険なのではないか?大佐」「我等の目的は人類の絶滅ではないのだぞ」大佐の言葉を大使は案ずる。

「心配には及ばぬよ、大使」
「一文字隼人がダークサイドに堕ちた際には」
「古のダークサイドの者達、デルサー魔神にちなんで、彼を魔神と呼ぶとでもしよう」大佐は嬉々として語る。


「本郷猛の最大の弱点はなんだと思う?大使」大佐の言葉の意図を計りかねる大使。
「彼はあまりにも何も語らないということだ」
「彼が多くを語らないおかでげで、我々はクィーン・緑川ルリ子を手に入れ」
「今また一文字隼人をもこの手にしようとしている」
「だがそれもまた仕方無いことではある」
「本郷猛にとって、世の中の出来事の8割ぐらいは大したことの無い問題となる」
「我等が同胞死神博士と同様にな」
「彼の天才的な頭脳では、常人の感情などは理解出来ないのだよ」
「大天才であるが故の孤独、悲劇、そして何より喜劇であるがな」大佐は誇らしげに高笑いする。
224HAYATO:2005/08/24(水) 22:31:13 ID:/w4xWOor
何か足りないと思っていたら、滝の存在をすっかり忘れていた
今更ストーリーに組み込めないよorz
225名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 22:49:59 ID:STVE1d/C
自分もライダーの共闘ストーリー書いてますが、ここの見て絶句です。
すんごい面白い。自分の想像力がいかに貧困か思い知りました。
続きを楽しみにしてます!
226名無しより愛をこめて:2005/08/24(水) 22:59:33 ID:c2gv+BRx
>>224
てっきり、この特務機関とやらの中に潜入しているのかと思ってた<滝>

でも、この話の中では、ライダースーツは本郷のデザインなのか。
そりゃ、確かに喜劇の域に達したセンスですなw
227名無しより愛をこめて:2005/08/25(木) 00:08:02 ID:rpYHySKc
大佐の暴走に懼れた大使が、隼人の魔神化を防ぐため、
こっそりと本郷に連絡を取るとかするのかな・・・

>>225
あなたのも読んでみたい。
ぜひとも描いてみてください。
228HAYATO:2005/08/25(木) 00:46:32 ID:cIsRPjKr
>>225
ありがとうございます、私も是非読んでみたいです、お待ちしております
>>226
本郷は本格改造を受けているので組織がバッタをイメージしてデザインしたという設定に落ち着くと思います
隼人のベルトは本郷が自らを模してつくったものです、いつか志を同じくするものが現れることを願って
>>227
しばらくはみなさまには申し訳ないぐらいの鬱展開が続きます、すいません
大使にも思惑がありますが、それはエピローグに当る部分で明かされます
229名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 00:16:35 ID:/VmioeYW
ルリ子がダークサイドに落ちかかる隼人の魂を救うのかな

信じるべきものを失い、すべてに疑心暗鬼となった隼人。
この数日、迷いを抱き、精神的に追い詰めらた隼人に激しい苦痛が容赦無く襲い掛かった。
ウィルスに感染して以来、その影響下にあって落ち着きを見せていたPSDの症状が再発したのであろうか。
肉体的な苦痛と精神的な苦痛、その両方が隼人を絶望の淵へと誘う。

呼吸困難となりもがき苦しむ隼人、肉体への激痛も伴い、床を転げ回りのたうち回る。
大量の汗が滝のように流れしたたり落ちる。必死になって空気を求めようとするその呼吸音。

隼人の脳裏に浮かんでは消えるイメージ、ビジョンの数々。
隼人にはもはや何が現実であり、何が虚構であるか、そんなことすらもわからなくなりつつあった。

「・・・とうとう・・・脳味噌までウィルスに侵されたか?・・・」

それが体内に侵入したウィルスが隼人の精神に感応して見せるビジョンであるのか、
単なる隼人の妄想が精神崩壊に伴い、隼人の中で現実へと認識を変えつつあるのであろうか、それもまたよくはわからぬことであった。

苦痛に耐えると同時に隼人は畏れた。
それは何かはっきりと理解出来ない、漠然とした闇のようなものであったが。
それは自らの人格が壊れていきつつあることへの畏れであろうか。
隼人の中に広がり蔓延しつつある、絶対的な絶望、深い闇への畏れであろうか。
極限状態の中での自らの喪失、死への畏れであろうか。
その対象が何かは自身もわからなかったが、確かに隼人は何かを畏れていた、隼人の中で。
231HAYATO:2005/08/26(金) 11:17:35 ID:rL47QF59
↓この後ちょっとだけグロ描写あり
嫌いな方は要注意
232名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 12:27:39 ID:rL47QF59

銃撃音と共に血を流し倒れ行く人々。
爆撃音、爆煙と共に、吹き飛ばされる人々。その体は肉塊・肉片となり、血飛沫と共に飛散する。
火薬の匂いと血の臭い、さらには山のように積まれた遺体からは腐臭が蔓延する。

夜であってもいつ奇襲がわからないという緊張感、そして飛び回る虫のあまりの多さに、眠ることすらかなわぬ。
その虫もあの遺体にわいた蛆がその源だと思うと尚更気も狂わんばかりである。
極悪なる環境に、不眠、その極限状態に気が狂いそうになる隼人。

村人達の笑顔。太陽の恵みの下、額に汗して農作物を育てようと必死に働く村人の姿。
傷ついた隼人を介抱してくれる姉妹。
年頃の心優しく美しい姉とまだ幼く明るい妹。両親を戦争で失いながらも健気に前向きに生きる姉妹。
隼人をいたわる村長。自らの限られた食料と医療品をも隼人に分け与える。
内戦で心身共に傷ついている筈の村人達は、自らが生きる事も精一杯であるにも関わらず、
負傷した隼人を受け入れ面倒を見てくれる。
いつ終わるとも知れない戦争で心身共に疲れ果てているにも関わらず、
希望を捨てずに前向きに生き、笑顔で隼人に語り掛ける村人達。
小さな村に滞在し、いつしか村人達と共に日々の生活を送るようになっていた隼人。

しかし、隼人の存在を快く思わない村の一部の若者達。
「なんで村長はあんな訳の分からない他所者を置いておくんだっ!!」
「村の人間の食べる物ですら底を突きかけていると言うのに!!」
「以前から村長のやり方には納得がいかなかったんだっ!!」
233名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 12:28:11 ID:rL47QF59

「反体制派勢力のゲリラ組織が活動資金に困っているらしい」
「そこにあの日本人を引き渡すってのはどうだ?」
「ゲリラ組織は日本人を人質に取って、日本政府に莫大な身代金を要求する」
「日本って国は金持ちらしいし」「俺らからは想像も尽かない程平和ボケしているらしいからな」
「俺らはその金の一部を報酬としてもらう」
「いや、引き渡す際に、金と食料、物資との交換条件にした方がいいだろう」
「奴らも上手く行くとは限らないからな」
「幸い武器はあるルートで手に入る」
「村を制圧して、あの日本人を売り飛ばす」
「金と食い物が手に入れ村の奴らだって文句は言うまいよ」

武器を手にした若者達が、武器を突きつけ村人達に迫る。
方針に応じず、抵抗する者は容赦無く暴力が加えられる。
撃ち殺される者も居る。同じ村人であるにも関わらず。
反対する女達は、武器を目の前に突きつけられ、抵抗すらも許されず辱められる。
その中には隼人を介抱したあの美しい姉妹の姉の姿もあった。
幼き妹ですら陵辱され撃ち殺された。

半殺しにされ身柄を拘束された隼人は、泣き叫びながらただその光景を見ているしか出来ない。

近くで交戦中の軍隊が、銃声を聞きつけ、村へとやって来る。
軍隊は村人達を反政府勢力の仲間と見なし、村人達を問答無用で次々と撃ち殺す。

拘束から解き放たれた隼人はその目の前の光景にシャッターを切り続けた。
もはや自らの心を守るには、それしかなかった。
シャッターを切り続けるという行為に没頭し依存することで、隼人は自らの心が壊れることを防いだ。
それは隼人の心の防衛本能であったのかもしれない。
234名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 13:09:30 ID:rL47QF59

暗いあすかの部屋。ベランダの窓ガラスからは月明かりが差し込む。
あすかの甘くせつない声が聞こえてくる。
だが、相手は隼人ではない。
暗がりに浮き上がるようなあすかの白い肌に覆いかぶさる男の影。
長身の男の影が裸身のあすかを組み敷く。
あすかの女としての悦びの声がいつまでも続く。

いつの間にかあすかの首を絞めている隼人。
リアルにあすかの肌の感触とぬくもりが隼人の手に伝わる。
苦しむあすかの口から漏れると吐息。
「・・・キモイ・・・」
「・・・化け物・・・」
忌み嫌うようなあすかの目が向けられる。

あすかの顔は隼人が今迄助けた人々への顔へと変わる。
「化け物!!」「助けてっお願い殺さないでっ」「人間じゃねぇえっ!!」「死ねっ!!」
快人に襲われそうになったところを、命を助けて来た隼人に、そうした言葉はいつも吐き続けられて来た。

その顔はさらに秘密クラブSHOCKERの支配人の顔となる。
「・・・酷いよ・・・なにも、殺さなくてもいいじゃないか・・・」
手には生温かく、ヌメヌメとした感触が。
支配人の腹を突きぬけ刺さる、真っ赤に血塗られた拳。
隼人が今迄葬り去って来た快人達の顔を声。
「・・・お前だって・・・同じないか・・・」
「・・・ただの・・・人殺しじゃないか・・・」
「・・・どうせなら・・・お前が死ねば良かったのに・・・」
絶叫する隼人。
235名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 13:10:11 ID:rL47QF59

快人と戦い傷つき倒れている隼人。遠巻きにその姿を眺める人々。
「おい、こいつ今人を助けようとしてなかったか?」
「そんなことあるわけないだろ」「こいつ噂のコスプレ連続殺人犯だろ」
「こんな奴に関わって巻き込まれるのはごめんだろ」
「どうせただのキ○ガイだろ」「世も末だよな」
「早く警察に通報しちまえよ」「下手すると俺らも逃走幇助になっちまうぞ」
「目撃者の事情聴取って結構時間かかって面倒だぜ」
「んじゃスルーだな、時間無いからな、放置決定」
「どうせ死んでも大したこと無いでしょ」
「どうせなら死ねば良かったのにな」
「もし生きてたら逆恨みされて、仕返しとかされそうじゃん」
「こえぇよ、早く行こうぜ」
罪の意識の無い、些細な悪意。


「・・・とうとう・・・脳までウィルスに侵されたか?・・・」

隼人の脳裏に浮かんでは消えるイメージ、ビジョンの数々。
隼人にはもはや何が現実であり、何が虚構であるか、そんなことすらもわからなくなりつつあった。
236名無しより愛をこめて:2005/08/26(金) 16:19:14 ID:rL47QF59

12月24日 PM1:00

新宿の一部エリアを全面封鎖して、SHOCKERの大規模な作戦が行われる予定である、その日。
新宿の高層ビル建設予定地、まだ工事が着手がなされていない広い敷地。
工事予定区画は囲まれている為外から中を覗くことは出来ないそのエリアに、対峙する隼人と大佐。

肉体的苦痛と精神的苦痛により絶望の淵へと追い詰められた隼人、だがまだ辛うじて踏み止まっていた。
どんなに辛く苦しくとも、深く暗い闇への、その一線を越えてまいと隼人は踏ん張っていた。

「一文字隼人、君と我等の間に、戦う理由など何も無い」
「それでも君は我等と敵対しようとしている」「実に残念だよ」
大佐はその言葉とは裏腹にこの時を待ち望んでいた。隼人がダークサイドへ堕ち、魔神と化す時を。

「これは君にお返ししよう」大佐はそう言うと、
隼人が捕らえられた際に、取り上げられた仮面ライダーのベルトを放り投げ、隼人に返した。
放り投げられたベルトをキャッチする隼人「余裕、って訳か?」隼人はライダーのベルトを自らの腰に巻く。
「いや、今ここで君に与えられるのは絶対的な敗北でなければならない」
「ベルトが無かったのを言い訳にされては困るのでね」大佐の言葉に嘘は無い。
言い逃れの出来ないような絶対的な敗北、そうで無ければこの計画は水泡に帰す。

苦痛のせいか、隼人の全身からは大量の汗が滝のように流れしたたり落ちる。
だが隼人は力を振り絞ってベルトのスイッチを押す「変身っ」
変身時のさらなる苦痛に耐える隼人。
だが今の隼人がこの変身の意味を、この場面で大佐と戦うことの意味を全く知る筈も無かった。
237名無しより愛をこめて:2005/08/27(土) 19:28:19 ID:MG47/4mY
ホシュ
238名無しより愛をこめて:2005/08/29(月) 12:23:17 ID:mp6wFm7x
hosyu
239名無しより愛をこめて:2005/08/29(月) 22:32:59 ID:liFa/XyH
保守ついでに質問だが、
おまいら今までのSSの中でどれが好き?
240名無しより愛をこめて:2005/08/29(月) 23:11:25 ID:6jOZ/2Om
質問あるしageてみる?
241名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 01:11:56 ID:fe23Fine
     ♪    /.i   /.i  /.i   ♪
   ♪     ∠__ノ ∠__ノ ∠__ノ    エライヤッチャ ♪
        〈,(・∀・;)ノ・∀・;)ノ・∀・;)ノ     エライヤッチャ ♪
         └i===|┘i===|┘.i===|┘        ヨイヨイヨイヨイ ♪
           〈__〈 〈__〈 〈__〈
>>238
この状態で放っておかれたら拷問です
2422005:2005/08/30(火) 10:24:12 ID:fBCR4A81
「平和になったら誰もいない静かな所で二人切りで一緒に暮らそうね」 早く岬ユリ子にこのセリフ言わせたい
ストロンガーを茂とユリ子の純愛の話とかにしちゃってもこのスレ的にはOKですか??w

しかし隼人編のこの三話がすべてのはじまりだから、これを書かないことには前に進めない、先はかなり遠いな(汗

ベルトの高速回転と共に光に包まれ、強化服を身に纏い、仮面ライダー2号の姿となる隼人。
しかし仮面ライダーへの変身を果たしたものの、強き意志が挫け、迷い続ける隼人に、その能力が応えることは無かった。
心が挫けた隼人には、充分に能力を引き出せぬままで戦うしか無かった。

広い敷地で対峙する仮面ライダー2号と大佐。両者共に間合いを取ったまま動かない。
いや厳密には隼人は動くことが出来なかったのだ。
前回の大佐との戦いで手痛い敗北を喫している隼人、そのスピード・瞬発力、パワー・攻撃力の前に成す術も無かった。

その敗北が隼人に大佐をおそれさせた。
大佐の威圧感により、隼人には大佐の姿が、実際の姿よりも何倍にも大きく見えた。
大佐に向かい合う2号ライダー・隼人、その心にはおそれ、戦慄、不安、焦り、苛立ちを抱え、
肉体は緊張状態というよりもむしろ硬直状態に近かった。
心臓の鼓動は早くなり、やがて高鳴り、背筋には大量の汗が流れ、その体は本人にしかわからない程度に微かに震える。
肩が大きく動き、呼吸がどんどん荒くなって行く。
それはPSDの発作とも似ていたが、その原因は自らの忌まわしい過去では無く、
目の前でプレッシャーを与える隻眼の大佐によるものであった。

対峙し合っているこの瞬間、その時の流れですら隼人にとっては長く感じられた、まるで永遠であるかのように。
この場の空気ですら重苦しく、重圧となり、隼人の肌に不快にまとわりつく。
強化服を着ているにも関わらず、隼人にはそう思えてならなかった。

対峙する極度の緊張状態の中で、焦燥、不安、苛立ち、そしておそれ、戦慄と絶望が渦巻き、増幅されていく。
244名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 15:07:46 ID:fBCR4A81

強き意志が挫け、迷い続ける隼人。
だが一線で踏み留まり、大佐と敵対することを選んだ隼人であったが、
得に策がある訳でも無く、大佐に勝てる見込みも無かった。
それでも敵対を選んだのは、単なる隼人の意地であったのかもしれないし、
隼人の自らの運命へのささやかな抵抗であったのかもしれない。

前回の大佐との戦いでは、巨大な金色の狼・野獣と化した大佐のそのスピードと瞬発力の前に翻弄された。
自由自在に駆け、跳ね飛び回る野獣の姿を捉えることすら出来なかった。

本郷猛が自らを模してつくった2号ライダーのベルト。
その強化服の複眼には、周囲360度の多方面多角度から捉えられた情報が映像として送られる。
だが、何十何百にもなる情報を瞬時に解析し、瞬時に判断することが出来るのは、本郷猛の天才的な頭脳があればこそである。
常人にそれを解析するのはまず不可能であると言えた。
そこで本郷猛は2号ライダーのベルトは、複眼から得られる無数の情報をAIにより処理する仕様にした。
だがその情報処理の為、2号ライダーは1号ライダーよりもスピード的に若干劣るものとなった。
そこで本郷猛は、その代わりにバッタをモチーフにした仮面ライダー最大の弱点である、
非力さを補う方向で2号ライダーのベルトを開発した。
それは2号ライダーのベルトの最初からの開発設計思想でもあった。

だが、大佐がメタモルフォーゼした巨大な金色の狼の前では、
その2号ライダーの最大の特徴であるパワー・攻撃力・破壊力も通じるものではなかった。
それよりも以前に、動きを捉えられないのであるから、当る筈も無かったし、
かすってもそれは金色の狼には蚊ほどに刺されたものでもなかった。

2号ライダーは前回金色の狼のその巨大な牙と爪に切り裂かれ、ズタズタにされた。

その時の恐怖と戦慄が、隼人の肉体を硬直させ、精神的に追い込み、隼人は戦う前から既に負けていた。
245名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 15:47:03 ID:fBCR4A81

威圧感、重圧、プレッシャーに耐え切れなくなった隼人は、隻眼の大佐に向かって突進する。
こわがっている、その姿勢では隼人のその能力が応える筈は無い。
恐怖に既に負けている隼人は動きに精彩さを欠き、その持ち味でもある、無駄は多いがトリッキーな動きは見られない。
むしろその焦りからか、極めて単調で、直線的な動きでしかしない。

一方の大佐の戦いぶりは職業軍人ならではの、理に適ったプロフェッショナルな動き。
隻眼の大佐は2号ライダーの突進、次々に繰り出す拳を紙一重で難なくかわすと同時に、その顔面に裏拳を叩き込む。
遥か後方へと吹き飛ばされる2号ライダー。置いてある資材の鉄柱に激突する。
鈍い音と共にその物凄い衝撃で鉄柱はひしゃげる。

「おいおい、この程度では本気を出すまでもないではないか」
隻眼の大佐は明らかに隼人を見下すように笑った。
だが隼人にはそれに対する怒りはなかった、心挫けた隼人には最早おそれしかなかったのだ。
人間の姿を維持している隻眼の大佐にすら適わぬ今、
職業軍人としての経験の上に更に野生の凶暴さが加わった、
メタモルフォーゼした巨大な金色の狼には到底勝てるものではなかった。

それでも最後の勇気を、力を振り絞り立ち上がる2号ライダー。
「まだまだこれからだよ、これからが本番なのだ」
隻眼の大佐は容赦無く、その真の能力を有する、巨大な金色の狼にその姿を変える。
その肉体の筋肉が盛り上がり、服をも引き裂き、皮膚は一面金色の毛に覆われていく。

快人や改造人間はその強き欲望で、自らの欲望を能力として具現化させる。
その欲望・意志が強い者、能力が高い者程、具現化の度合い、メタモルフォーゼの度合いも高くなっていくのだ。
つまり大佐のこの完全な巨大な金色の狼へのメタモルフォーゼこそ、大佐の幹部としての能力が非常に高いことの現れでもあった。
246:2005/08/30(火) 16:26:50 ID:fBCR4A81
この後グロ描写連発です、お気をつけを
247名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 16:27:30 ID:fBCR4A81

美しい金色の毛並みに覆われた巨大な狼と化した隻眼の大佐は、
目にも止まらぬ超高速の野生の動きで隼人に襲いかかる。
2号ライダー・隼人の首から鮮血が宙に吹き出す。
おそらく常人であれば、強化服は無ければ、その一撃で絶命していたであろう急所への攻撃。

金色の狼は隼人の周囲を駆け回り、跳ね回り、飛び回り、電光石火の如く次々と隼人に傷を与えて行く。
その鉄柱をも容易に切り裂く、巨大な鋭き爪は隼人の肉体を次々と切り裂く。
ダメージにより隼人の動きが鈍ると、今度はその巨大な牙で隼人の肉体を食い千切る。

その超高速の素早さはやっと立ち上がった隼人に今度は倒れる暇を与えなかった。

瞬く間に金色の狼は、隼人の関節、筋肉の筋をその巨大な牙で食い千切っていった。
それは完全人間の肉体を破壊する為の行為。
次に金色の狼が動きを止めると同時に隼人は倒れた。
完全に肉体を破壊された隼人、もはやその四肢は隼人の思い通りに動かなかった。
手足の自由を奪われた隼人はその場を動くことすら不可能となった。

金色の狼はさらに容赦無く、四肢を失ったも同然の隼人に再び襲い掛かった。
その鋭い巨大な牙で強化服ごと隼人の腹を引き裂いた。
248名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 16:41:16 ID:fBCR4A81

「たわいもないものだな」巨大な金色の狼は隻眼の大佐の姿を取り戻す。

そして自らがその巨大な爪で引き裂いた鉄柱を手にし、
その鋭く尖った切り口を、四肢が動かず倒れる隼人の、引き裂かれた腹に突き刺した。
あまりの激痛に絶叫する隼人。
その絶叫と共に、隼人を覆い尽くす、絶対的な敗北、失意、絶望、そして恐怖。
今迄様々な苦痛を味わい、それに耐え偲んで来た隼人であったが、
この瞬間はじめて、更なる痛みを、苦しみを、自らの死をおそれる。

隼人の心にさらなる負の感情が植え付けられた瞬間でもあった。
249名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 17:19:53 ID:fBCR4A81

だが大佐の残虐性はそれだけにとどまらなかった。
「下手に再生能力があるのが君の悲劇だな」
「君は己の再生能力を恨むことになるだろう」
確かに能力のひとつである再生能力によって、
通常であればとても考えられぬような瞬時とも言える速度で、
隼人の肉体は傷を修復し再生しようとしていた。
体内のナノマシンが集中して修復作業を行っているのであろう。

大佐は指笛を吹く。指笛に呼び寄せられるように何処からともなく、
大佐が常日頃可愛がっている狼達が集まって来る。
それはおそらく大使がこの場に連れて来ていたのであろう、この為に。
狼達はナノマシンウィルスに感染しており、普通の狼とは違った能力を持っているようでもある。

大佐により集められた狼は、四肢が動かず、倒れているだけしか出来ない隼人の、
再生しかけている隼人の肉体を食らいはじめた。
生きながらにして、自らの肉体を食われるという感覚、それは想像を絶するものであり、筆舌に尽くし難いものであった。
隼人は思わず絶叫する。

ナノマシンによる再生、それにあわせるかの如く、隼人の肉体を食らう狼達。
「人間達の神話の中に似たような話があったな」
「罪を犯した神が、罰として生きながらにして鳥にその肉体をついばまれる」
「その者は不老不死であったが為に、死ぬに死ねず、肉体が再生する度に、その神は肉体を生きながらにして食われる」
「その苦痛が百年も続いたとか」
「まさしく、今の君に相応しいではないか」
「罪を犯した能力者にはそれに相応しい罰が与えられるのだよ」
「私に逆らった者の末路だよ」大佐は高笑いする。

『頼む、殺してくれ』隼人はそう発したが、もはやそれは言葉にすらならなかった。
隼人の中に絶対的な絶望が急速に広がっていく。
250名無しより愛をこめて:2005/08/30(火) 17:49:12 ID:C197zi9m
>>242
「暮らそうね」とまでは言ってないよぉ。
「二人でどこか遠い美しいところへ行きたいわ」って言っただけだよぉ。

でも、積極的なユリ子タン(*´Д`)ハァハァ

2005さん頑張ってね。 楽しみに待ってまつ。
2512005:2005/08/30(火) 18:02:34 ID:fBCR4A81
メチャクチャ後味が悪い所で申し訳無いですが、おそらく今日はここまでです(汗)
続きは明日にでも。早くスカッとする展開まで行きたいのですが。
戦闘シーンが後3回ぐらいあり、戦闘プランが思いつかないのが遅筆の原因です。
全体の構成はセリフのニュアンスまで大体決まっているのですが。

>>250
ありがとうございます
勝手に脳内でイメージ膨らんでましたw
252名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 12:17:14 ID:hm+r84G2

『そろそろ最終段階の頃合であろうな』大佐は心の中で呟く。
大佐の残虐性もあったが、これらすべては隼人を魔神化する為の所業。
その大佐の計画も最後の仕上げの段階に差し掛かっていた。

絶対的な絶望の淵に立たされ、深い闇へと落ちる寸前である隼人に、大佐は語る。
「冥土の土産に教えてやろう」
「君の心の大きな傷を残し」「そしてすべての発端となったもの」
「君が取材したS国」「あのS国を内乱に導いたのはこの私だ」
絶望と苦痛の中で、その真実を耳にする隼人。

「S国は元々内乱の火種があり、周辺諸国との対立も激しかった」
「反政府勢力を煽り、裏工作を行い、武器を与え、援助を続けた」
「内乱勃発後も両勢力を煽り、さらには周辺諸国を煽り他国を強引に介入させた」
「そして某大国の介入に漕ぎつけた」「もちろんこの国も無関係では無いのだがね」

「S国を内戦に導くのには苦労した」
「だがその甲斐はあった、あの国は今後10年は紛争を続けるであろう」
「我ながら良い仕事が出来たと思っておるよ」

隼人の中に絶望とは違う別の何か、どす黒い種がひとつ蒔かれ芽生えた。
253名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 12:17:47 ID:hm+r84G2

「君が居たS国のあの村」
「あの村の血気盛んな若者達に武器を与えたのは私だ」
「あの村に軍を派遣し、反政府勢力と見なし、村人達を撃ち殺させたのも」
「そして、そもそもあの村の若者に、日本人を反政府勢力に売れ煽ったのも私の意図だ」
「反政府勢力に、捕らえた日本人を人質にして、日本政府に身代金を要求しろと提案したのも私だ」

「君ははじめから私の掌の上で弄ばれていたに過ぎないのだよ、一文字隼人」

隼人の中で芽生えたどす黒い何かは、急速に成長する、熱く硬く太く。
S国に取材に行ってからのすべての不幸な出来事、そのすべてが目の男の所業である。
隼人の中で芽生えたどす黒い何かは、絶望をも急速に越えようとしていた。
254名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 15:27:04 ID:hm+r84G2

「我等SHOCKERのエンブレムの通りに、我等は巨大な鳥であるのだ」
「大空から地上を監視し続け、時に干渉し、正しき流れへと導く」
「個々の人間など我等から見れば地を這う蟻にしか過ぎぬ」「いやそれ以下か」

「どんなに蟻の一匹一匹が必死になって生きようとも」
「我等の巨大な力が生み出す流れの前では芥にも等しい」
「あの村の蟻に等しい人間達も、巨大な鳥である我等が生み出した流れに呑み込まれたに過ぎん」

どす黒い何かが強く、熱く、隼人の中でたぎる。

「そして今日、12月24日 PM07:00」
「今私と君のいるこの街が、我等が生み出す流れに飲み込まれることとなる」
「最も人出が多くこの街が賑わうであろう夜、100人の快人達による人間の大量殺戮が行われる」
「血気盛んな100人の快人どもが、人間の血を求め、肉欲を求め、快楽を求め」
「己の欲望を満たす為だけにこの街の人間達を虐殺するのだ」
「もう後数時間しかないな」「ここもやがて地獄と化す」

隼人の中で、強く、熱く、たぎる、どす黒い何かがたまっていく。

「そしてまたしても君には何も出来ない」
「ここでただその惨劇を見続けるのみだ」
「その無様な格好でな」
「人間達の悲鳴を、泣き叫ぶ声を、狂気の歓声を、絶命の断末魔を」
「いや、何も出来ずに君はまた見殺しにするのだ」
「あのS国の村人達を見殺しにしたような」

隼人の中で、強く、熱く、たぎる、どす黒い何か。
たまりにたまったその何かが、隼人の中で暴発する。
255名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 15:27:38 ID:hm+r84G2

隼人は完全に壊れた。
踏み止まっていた最後の一線を越え、深い闇へと堕ちていく。
広がる深い闇の奥底に呑み込まれていく。

強く、熱く、たぎる、どす黒い何かは暴発すると同時に、
脈打ちながらそそり立ち、一瞬の内に膨張し大きくなり、あっという間に隼人の本体となった。
その瞬間、もはや今迄の本来の隼人はどす黒いものに付随するオマケのようなものでしかなかくなっていた。

隼人は完全に闇に堕ちた。
ダークサイドの者、魔神がここに誕生した。
256名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 16:36:41 ID:hm+r84G2

禍々しき黒きオーラが隼人のカラダから発せられる。
自らの手で腹に突き刺さった鉄柱を引き抜き、起き上がる。
と同時に集まって来ていた狼達を瞬殺。
狼達は首を引き千切られて、投げ捨てられる。

魔神と化した隼人の雄叫び、咆哮。

魔神の誕生に歓喜する大佐は高笑いする。
魔神は大佐の存在を認識する。
当然、真っ先に魔神の獲物となるのは目の前にいる大佐。
その事を充分に理解している大佐は瞬時にメタモルフォーゼする。
巨大な金色の狼と化す大佐。

金色の狼に向かい突進する魔神、そして猛攻。
金色の狼はこれを飛びかわす。
「そうだっ!!」「怒れ!!」「憎しめ!!」「恨め!!」「悲しめ!!」「嘆け!!」
「負の感情にっ!!」「闇の力に溺れよっ!!」
「そしてすべてを破壊しっ!!」「すべてを滅せよっ!!」

金色の狼は魔神の猛攻をかわしてはいたが、そのスピードはほぼ互角。
先程2号ライダーが金色の狼の動きを捉えることが出来なかったことを考えれば、
その能力は飛躍的に跳ね上がったことになる。
2号ライダーが得意とする力も同等に能力が上がっていたとすれば、
大佐にしても魔神の攻撃に一度たりとて当る訳にはいかない。
大佐はその事を充分に理解していた。
257名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 16:44:30 ID:hm+r84G2

「素晴らしい!!」「先程までは相手にすらならなかったのに」
「もはや私と互角か、それ以上ではないかっ!!」
「まだ目覚めたばかりだというのにっ!!」
「これが魔神の力かっ!!」
巨大な金色の狼と化した大佐は魔神のその能力に喚起する。

確かに魔神はまだ目覚めたばかり、つまり覚醒がはじまった初期の段階で、
大佐の巨大な金色の狼と同等の能力を有していた。
その能力が完全覚醒すれば大佐を遥かに越える力となるのは間違いは無い。

事実このわずかな時間で魔神は、大佐の巨大な金色の狼のスピードを追い越しはじめていた。
駆け回り、跳ね回り、飛び回る、金色の狼。
だが魔神は金色の狼の移動先に先回りしている。
そして物凄い風圧と共に振り回される拳。
その拳が金色の狼の脇腹にかすっただけで、金色の狼は何メートルもの後方へ吹き飛ばされる。
更に金色の狼が飛ばされた先へ先回りして待ち構える魔神。
金色の狼は咄嗟に体勢を立て直しこれを髪一重でかわす。
「まさかこれ程までとは」

巨大な金色の狼も魔神の猛攻の前に逃げ回るしか無くなっていた。
258名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 17:06:19 ID:hm+r84G2

それは結果として大佐の窮地を救うカタチとなった。
仮組された足場の上に立つ長身の男の姿。
その存在に気づいた金色の狼。
「本郷猛か!?」「仲間を救いに来たか!?」

「お前達の不穏な動きを調べていたが」
「ここで何をしている?」
長身の男、本郷猛は微動だにせずにその場に立つ。

「お前の仲間が闇に堕ちたのだよ」
「ダークサイドの者、魔神がここに誕生したのだ」

大佐の言葉にも平然としている本郷猛。
「それだけではあるまい?」
「新宿一帯を完全封鎖する、その周到な念の入った準備」「N国の工作員の動き」
「もっと大規模なミッションが行われる筈だ」
本郷猛は隼人のことなどまるで眼中に無いかのように
SHOCKERが目論むXデーの話しをする。

「いずれにせよ、お前には感謝せねばなるまい」
「この場を脱する千載一遇のチャンスを与えてくれたのだからな」
魔神が本郷猛に気をとられている隙を突き、
巨大な金色の狼は本郷猛のはるか頭上を飛び越える。

「魔神は後で回収させてもらう」
「それまではお前が魔神の相手をしてやれ」
大佐はそう言い残すとその場を駆け去って行く。
259名無しより愛をこめて:2005/08/31(水) 17:19:39 ID:hm+r84G2

その場に残された本郷猛と一文字隼人、いやダークサイドの魔神。
魔神は金色の狼という獲物を逃し、次の獲物を本郷猛に定める。
「一文字、闇の力に溺れたか」
魔神と化した一文字隼人を見つめる本郷猛。

「言った筈だ・・・」
「お前が欲望に自らを支配される快人となっていたら」
「俺はお前を躊躇無く殺す、と」

「変身っ」その言葉と共に猛が腰に巻かれたベルトのスイッチを押すと、ベルトの風車が高速回転をはじめる。
ベルトから形状記憶粒子が猛の体に散布され、ベルトの回転により発生したエネルギーが加わることで、
形状記憶粒子は本来の強化服への姿へと形を変える。
仮面ライダー1号へと変身を果たした本郷猛はジャンプして魔神の前に着地する。

対峙する仮面ライダー1号と魔神と化した仮面ライダー2号。

「約束通り、お前を殺す」
2602005:2005/08/31(水) 20:57:40 ID:hm+r84G2
ちょっとまた数日あいだあくと思います
1号と2号のガチバトル、どこかで見たことあるような決着になりますが(汗
261119-121を書き込んだ者:2005/09/01(木) 00:45:01 ID:njmOghpm
 突如、現実世界に大量発生したハイドラグーン。
 逃げ惑う人々を次々と捕まえては空中へ舞い上がり、己の空腹を満たす為にその肉に喰らいつく。
「きゃぁぁぁっ!」
 悲鳴を上げる女性にハイドラグーンが迫る。だが―

 ズバァ!

 次の瞬間、そのハイドラグーンはその動きを永遠に止めた。突如出現した白騎士が、手にした長剣で真っ二つに斬り裂いたのだ。
「早く逃げてください!」
 そう言いながら女性を、いや逃げ惑う人々全てを庇うようにハイドラグーンの群れに立ち塞がる白騎士。その名は仮面ライダーヴァイス。
 するとハイドラグーン達は目標をヴァイスへと変え、一斉に襲い掛かってきた。
「ここから先は一歩も通さん!」 
 手にした長剣『ヴァイスキャリバー』を構え、迎え撃つヴァイス。

 ズドォン!ズドォン!ズドォン!

 突如周囲に響く銃声。同時にハイドラグーンが次々と撃ち落とされていく。
262119-121を書き込んだ者:2005/09/01(木) 00:47:26 ID:njmOghpm
「無事か! 日下部君!!」
 銃声の主、それもまた仮面ライダーだった。鋭角的な紺のアーマーを身に纏い、ショットガンを手にしたガンファイター。その名も仮面ライダーデュエル。
「助かりました、長瀬さん!」
 そう言いながらデュエルと合流するヴァイス。だが、彼の元へやって来たライダーはデュエルだけではなかった。
「友よ! 無事かぁ!!」
「日下部さん! 長瀬さん!」
「助太刀するぞ! 日下部!!」 
 3方向から同時に響く声。その内2つは男性、1つは女性の物だ。
 やがて、声の主がそれぞれ姿を現した。
 漆黒の翼で天を翔け、細身の剣を振るう麗騎士。仮面ライダーシュバルツ。
 突き、蹴り、投げ、多種多様の技を駆使して次々と敵を打ち倒す格闘士。仮面ライダーレオン。
 大型バイクを操り、手にした大鉈で立ち塞がる者全てを斬り捨てていく戦士。オルタナティブ・タイプG
 3人は立ち塞がるハイドラグーンを次々と打ち倒し、ヴァイスとデュエルの元に到着した。
「那岐さん! 雪乃ちゃん! 元宮さん! どうやら、役者が揃ったみたいですね」
「俺達5人は同じ志を持つ仲間。戦う時は常に一緒だ」 
「うむ! 我ら5人力を合わせれば、あんな蜻蛉など物の数ではない!!」
「那岐さんは強気だな…まあ、その位でないとあの数を相手には出来ないけどね」
「相手が1000体なら、こっちは1人で200体分の働きをすれば互角です…強気で行きましょう!」
「そうだな……皆、いくぞぉ!!」
「「「「おう!」」」」
 ヴァイスの声を合図にして、ハイドラグーン軍団と5人ライダーとの戦いが始まった。
263119-121を書き込んだ者:2005/09/01(木) 00:49:07 ID:njmOghpm
 主を失った豪邸の一室。神崎士郎はソファーに座り、じっと鏡を見つめていた。
 鏡にはハイドラグーンの群れと戦うヴァイス達の姿が映し出されている。
「彼らは、最後の最後まで君の邪魔をするようだな…」
 そんな神崎に何者かが声をかけた。
「お前の出番はまだ先だ…最後の1人が決まるまでもう暫く待て」
 声の主を確認する事もなく、鏡を見つめたまま言葉を返す神崎。
「最後の1人…『流水』のサバイブを持つ彼か、『大地』のサバイブを持つ彼か…それとも他の誰かか…楽しみに待たせてもらうよ」
 声の主は楽しそうに呟きながらその姿を消した。やがて神埼も姿を消し、館は完全に無人となった。



仮面ライダー龍騎-ANOTHER EPISODE FINAL- プロローグ・完
264119-121を書き込んだ者:2005/09/01(木) 00:51:49 ID:njmOghpm
PCの故障やらなんやらで投稿が遅くなり申し訳ないです。

今回書き込んだ分は、某スレに書き込んだプロローグを改訂したものです

時期的には、龍騎本編第49話『叶えたい願い』のあたりです。
真司が命を落とした後、蓮がオーディンとの戦いを始める直前でしょうか。

SS本編は龍騎本編序盤からスタートします。
2652005:2005/09/01(木) 14:58:36 ID:r+MXuLoM
思いついたこと忘れないうちにちょっと書きます

隼人、仮面ライダー2号、いや魔神、
その強化服は先程の金色の狼・大佐との戦いで引き裂かれボロボロであったにも関わらず、既に修復を済ませていた。
2号ライダーのベルトには形状記憶粒子の他にもナノマシンの技術が使われている為である。
そして、隼人の体内のナノマシンウィルスが人の持つ意志や感情に反応してその能力を引き出すように、
2号ライダーのベルトもナノマシンウィルスと同種の精神感応型のナノマシンが使われており、
隼人の意志や感情に応じてその能力を最大限に引き出すことが可能であった。

対峙する本郷猛、仮面ライダー1号。
秘密クラブSHOCKERに潜入し、緑川ルリ子奪還を試みるが、大佐と大使の二人を相手に迎撃される。
深手を負った本郷猛を匿ったのは、かっての緑川博士と共に師と仰いだ、死神博士であった。
死神博士の手引きにより窮地を脱した本郷猛は、
さらに神博士(啓介の父)の協力を得て、死神博士の提案による再改造手術を受ける。

再改造手術を受け、飛躍的な性能UPと共に新たなる能力を手に入れた本郷猛。
今魔神と化した隼人、2号ライダーの前に立つのは、
グラブとブーツが銀色に輝き、側面にラインの加わった、いわゆる新1号ライダーであった。
267名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 15:41:31 ID:r+MXuLoM

1号ライダーに向かって突進する魔神。
本郷猛にはその魔神の動きが、体内の神経伝達経路に信号が送られる様すら手に取るようにわかった。
透視能力を有す1号ライダー、医学や科学、ロボット工学の分野にも秀でた才能を誇る大天才本郷猛。
今迄この二つのアドバンテージで、快人や改造人間の構造を分析・解析し、敵の弱点を攻め優位に戦って来た。
体内を伝達する信号を読み取り、零コンマ何秒か先の行動を予測する、
それは常人を遥かに越えた超人同士の戦いに於いて、ほぼ無敵であることを意味していた。

だが、魔神が次々と繰り出す拳、その高速の拳は、
零コンマ何秒か先を予測出来ても、かわすことは容易ではなかった。

「相変わらず無駄が多いな」「だが速いっ」
1号ライダーの性能が飛躍的に上がり、耐衝撃性能が上がってはいても、
魔神と化した隼人の一撃必殺の拳が直撃すれば、新1号とて無事では済まなかった。
そもそもがパワー重視タイプに2号のベルトを開発したのは本郷猛自らであり、その事は充分承知していた。

そして魔神の能力は明らかに一瞬一瞬成長を果たしている。
それまで避けるのに余裕があった拳の連打が、明らかに紙一重ギリギリでかわすようになり、追い込まれつつあった。
さらに驚くべきはそのスタミナ、持久力。
何分にも及び途切れること繰り出されるその拳。
その連打をかわすことに神経を擦り減らし、反撃に転じる為の、一瞬の隙すらも無い。
その圧倒的な猛攻の前に状況を打開することも許されない。

もしかすると魔神は戦う相手の能力に合わせて成長しているのかもしれない。
戦う相手が強くなればなる程、その能力は高くなり強くなっていく。
もしそうであれば長期戦は不利、短期決戦で決着をつけねばならない。その考えが本郷猛の脳裏を過ぎる。
268名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 16:13:15 ID:r+MXuLoM

1号ライダーは一瞬に神経を集中した。
魔神が繰り出したその右拳を避けながら、その腕が伸びた瞬間、
それにタイミングを合わせて、自らの拳で魔神の肘を下から突き上げた。
魔神はよろけながらも左拳を放つが、それも紙一重でかわす。

自らがつくったその一瞬の隙、だがむしろ本郷猛は反撃に転ずるよりも、跳躍し魔神との距離を取った。
その一瞬の隙で一撃を食らわした所で、パワーで劣る1号が魔神に致命傷を与えられる筈が無いのは明白。
むしろ攻撃により出来た隙で魔神に捕まれることだけは避けねばならなかった。
掴み合い、もしくは接近戦となれば勝つ可能性が皆無に等しいこともまた明白である。

1号ライダーには間合い、距離を取りながら、自分が優位に立てるスピードで勝負するしか無い。
再度間合いを詰められ、接近戦となるのは避けなくてはならない。
超高速で駆け回り、跳ね回り、飛び回る1号ライダー。
1号ライダーの後を追い掛け回す、魔神と化した2号ライダー。
両者の超高速での追いかけっこが繰り広げられる。
269名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 16:30:48 ID:r+MXuLoM

1号ライダーの誇る超高速スピード。
だが魔神も徐々にそのスピードに追いつこうとしていた。
やはり戦う相手の能力に合わせて魔神はその能力を成長させているのであろうか。

1号ライダーは超高速で駆けながら、ベルトのスイッチを押す。
ベルトから粒子が散布され、それが1号ライダーの動きに反応して質量ある残像となる。
スピードを優位とする技の1号ならではの特殊能力である。
魔神は高速で駆けながら1号に殴りかかる。だがそれは1号の残像。
本体の1号は空高く上方に跳躍していた。
魔神はそのまま組まれている足場に激突、その衝撃で足場が崩れ、上の資材が魔神の上に落ちてくる。

その隙を突いて、1号は宙を回転し、空を裂きライダーキックを放つ。
だがすぐさま体勢を立て直した魔神は鉄柱を手に、その1号のライダーキックをなぎ払う。
宙を飛び、回転しながら着地する1号。
瞬時の間も無く再び超高速で駆ける。

魔神になぎ払われ多少の負傷を負う1号。
いやむしろ魔神が鉄柱を使ったのは幸いであった。
これが魔神の渾身の拳であればおそらくは機能停止となっていたかもしれない。
270名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 17:18:09 ID:r+MXuLoM

超高速での追跡が再開される。
ダメージを負い、若干そのスピードが遅くなった1号ライダーに追いついた魔神は、1号にその拳を繰り出す。
超高速で移動をしながらの接近戦。
1号はその機能により残像を使えたが、その機能を有していない筈の隼人にもその現象は起こっていた。

いやそれこそが、本来の隼人の、2号ライダーの最大の特徴。
動きは無駄が多いが、それが隼人の持つ気迫によって生じる、
残像に近いようなオーラ・揺らぎとシンクロしトリッキーな動きを見せる。
これにより敵の攻撃を完全にかわすことは出来なくても、敵の攻撃は微妙にポイントがずれる。
攻撃のポイントがずれれば、急所に致命的な一撃を食らう可能性は非常に低い。
その動きは攻撃の際にはフェイントを織り交ぜたような予測不能な動きともなる。
その揺らぎを利用して敵の攻撃ポイントを外し、攻撃を受けながらも、その懐に飛び込み、超近接距離から必殺の一撃を放つ。
それこそが本来の隼人・2号ライダーの真骨頂。
まさしく、肉を切らせて骨を断つ。

その気迫、オーラによる揺らぎは1号ライダーにとってかなり厄介なものであった。
動きを完全に予測出来ても視覚的にどうしても惑わされかける。
さらに厄介なことに魔神の攻撃にさらに変化が見えはじめる。
その繰り出される拳の軌道、本郷猛はこの軌道を事前に予測するのであるが、
その軌道を拳を放っている途中で変えてきている。
拳を放ちながら腕の動きを微妙に変えることで、微妙に軌道を変えているのであろう。
当然それは本来の必殺の一撃よりは威力が落ちるが、相手に拳の軌道を読みずらくし、当てやすくなる。
直撃させずとも、かすりさえすれば、相手に多少なりともダメージを与えることが出来る。
魔神はそう判断したのであろうか。
それも魔神の戦闘中の成長によるものであろうか。
それともそれが隼人の戦闘におけるポテンシャルなのであろうか。

本郷猛はその魔神の変化に「このままではやられる」と直感し、
魔神の拳をかわす際にその瞬発力を使い、大きく後ろに飛び退いた。
本郷猛はますます追い詰められて行く。
271名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 17:49:56 ID:r+MXuLoM

超高速で駆ける1号ライダー、それを追う魔神。
超高速での移動から一瞬の内に急停止する1号。
それもまた1号ライダーの能力のひとつ。
常人の物理法則・慣性を全く無視した動きに対応しきれず、
再びパイプで組まれた足場へと激突する魔神。

1号ライダーは、先程まで隼人の体に突き刺さっていた、
金色の狼の爪で切り裂かれ、その切り口が鋭く尖った鉄柱を渾身の力で投げつける。
強化服の最も弱いであろう箇所を狙い投げられた鉄柱は、振り返った魔神の腹に再び鉄柱が突き刺さる。
魔神は雄叫びを上げるが、それを何食わぬように引き抜き投げ捨てる。

だが何よりも驚きなのはその再生能力。
引き抜いたとほぼ同時にその傷口は再生を果たしている。
通常の再生能力も尋常な早さではないが、ここまで来るともはや
傷を負わせダメージを蓄積させるという戦法は不可能でもあった。

そうなると本郷猛の戦いは限られて来る。
だが再生能力といえど万能では無い。
心臓を貫かれるか、頭を吹き飛ばされる、その場合は再生する前に死ぬ。
もしくは切断された場合、腕や足が生えて来る訳では無い、流石に原型が無いものは再生は不可能である。

本郷猛はそのどれかを選ばねばならなかった。
272名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 18:03:34 ID:r+MXuLoM

「スピードが足りぬか」「もっと加速せねば」
本郷猛は超高速で走りながら、呟いた。

本郷猛にはひとつの案があった。魔神を仕留める為の。
だがその為にはここの地形はあまりにも不利であった。
この破壊と殺戮の魔神を、街中に連れ出すのは、
本郷猛としても本意ではなかったが、もはやそれしか方法は無かった。

戦闘がこれ以上長引けば、魔神がさらに成長を遂げるのは必死であったし、
SHOCKERが企む大規模な作戦、
それを止める為の時間ももう左程残されていないことは感じていた。

それは本郷猛にとってもひとつの賭けでもあった。
普段であれば、可能性の低いことは決してしないのである彼だが、今はそれしか選択の余地が無かった。

魔神を仕留める唯一の方法、本郷猛はそれに賭けた。

超高速で駆ける1号ライダーは、大きく跳躍すると
囲いの遥か上空を越え、街中へと飛び出した。

魔神と化した隼人、2号ライダーもそれを追随する。
273名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 18:42:05 ID:r+MXuLoM

新宿の街中のビル群の壁面を超高速で駆け抜ける1号ライダー、それに追随する魔神。
それは決して常人の目には捉えられぬ超高速の世界。空気が裂け焦げる匂いが漂う。
ビル群の壁面を蹴り、次々と向き合うビルを跳ね、飛び回る1号ライダー。
その最終目的地は密集する超高速ビル群。

ビル群を蹴り跳躍し続けることで1号ライダーは更なる超加速を手に入れる。
だがそれは時間との勝負でもあった。
魔神がその超加速の世界に慣れる迄に、更なる成長を果たす前に勝負を決さなければならない。
本郷猛はその理想の地形を探し求めているのでもあった。

街中に出ても魔神が1号ライダーのみを標的としたのは幸いであった。
今は自分を追い続けて貰わなければならない、そうでなければこの賭けの意味が無いのだ。

「許せっ」1号ライダーはそう吐き捨てると、超高速で駆けながら、
時折ビルの看板やビルの壁を壊し、魔神に投げ捨てた。
当然、魔神にはその真意は分からなかった。
おそらく走行妨害をしているのであろう、その程度に考えていた。
事実時折投げられる障害物は邪魔であったし、避ける分速さは若干衰えた。
超高速で駆けている際にそれにつまずけでもすればそれなりのダメージはあるだろう。
だがそれも一時的なものに過ぎない、根本的な解決にはなっていない。
それは本郷猛もまた理解している筈ではある。

だが1号ライダーはことある如く駆けながら何かを投げつけた。
実はそれが最後に大きな意味を持つことになるのだが。
274名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 19:13:57 ID:r+MXuLoM

超高層ビル群の中で理想の地形を発見する1号ライダー。
その超加速は既に通常の倍以上の加速となっている。
最後の賭け、その時が迫っていた。

超高層ビルの合間を跳ね回り駆け上がる1号ライダー。
それに追従する魔神と化した2号ライダー。
そのスピードも既に1号ライダーとほぼ変わらない速度まで迫って来ていた。
ビルの屋上付近に迫ると1号ライダーはビルの看板を放り投げる。

ビルの屋上から空へ跳躍する1号ライダー。
それに合わせて空へ跳躍する魔神。

本郷猛はその瞬間を待っていた。
空中では動きが止まる瞬間が出来る。
案の定、魔神はその跳躍の最高点でその動きが止まる。

しかしそれは1号ライダーも同じこと。
だが1号ライダーは空中であるにも関わらず、
その向きを変え、超加速で、魔神の死角である背後に突っ込む。

1号ライダーが最後に投げたビルの看板、それは渾身の力で空高く放り投げられた。
1号ライダーはその滞空する看板を利用して空中で方向転換を果たしたのだ。

自らのスピードと跳躍力と、魔神のスピード・跳躍力、看板を投げるスピードと位置と滞空時間等々、
本郷猛はそれらすべてを計算し一瞬のタイミングに賭けたのだ。
それは本郷猛の天才的な頭脳を持ってしても賭けと言わざるを得なかった。
275名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 19:56:21 ID:r+MXuLoM

自らを超加速の閃光・弾丸と化し、魔神の死角に突っ込む1号ライダー。
魔神はその気配を感じ、向きを変えようとするが空中での姿勢制御は思うようにならない。
それでも魔神はその拳で1号ライダー叩き落そうとする。過信であろうか?
いやその位置とタイミングをその一瞬に合わせればそれは可能であったのかもしれない。

魔神は自らの渾身の力で拳を振り降ろす。
だがそこには大きな誤算があった。
魔神は自らの心臓か頭を狙って来ると確信していた。
魔神を倒すには、心臓か頭を一撃で破壊するしかないからだ。
だがその考えが位置を狂わせた。そして1号ライダーの超加速の残像によりタイミングがわずかにずれた。

超加速の1号ライダーが魔神と交錯した直後、
魔神が血飛沫を上げたのは、受け止めようとしていたその両腕だった。
本郷猛は自らが活路を開いた、その千載一遇の好機を潰す訳にはいかなかった。
魔神の反応を見て、そのターゲットを変えていた。
一撃で魔神の心臓か頭を破壊出来なかった場合、その再生能力で今迄の苦労が水の泡となる可能性は高かった。
であるならば、両腕を切断して、その最大の脅威・一撃の必殺を封じた方が勝利の確率は高くなる。
本郷猛は瞬時にそう判断していた。

超加速の1号ライダーが、そのすべてのエネルギーを注いだ手刀により、両腕を切断された魔神。
滞空により超高速を失い、バランスを崩し落下をはじめる。
超加速の1号ライダーは再びビルを蹴り、今度は魔神に向かい上昇する。
その一撃必殺の拳を封じられた魔神に今度こそ成す術は無い。
1号ライダーは再びその手刀で魔神の両脚を切り落とす。

落下いて行く魔神。
1号ライダーは再び滞空する障害物を足掛かりにして反転、
落ち行く魔神の心臓部にライダーキックを放つ。
276名無しより愛をこめて:2005/09/01(木) 20:08:32 ID:r+MXuLoM

ライダーキックによる加速を得て、急速に落下する魔神。
超高空より落下した魔神は、大衝撃と共に地面に激突する。
それは大地震であるかのような衝撃を残し、地面には十数メートルにも及ぶ穴と亀裂が生じる。

四肢を切断され、呼吸すら出来ずにもがく魔神。
そのベルトは壊れ、既に外れており、仮面ライダーとしての姿も無く、
そこにいるのは四肢をもがれた姿の隼人であった。

その魔神の前に降り立つ1号ライダー。
その仮面の下の表情は誰にもわかりはしない。

1号ライダー、本郷猛の姿を見る魔神。
その一瞬、もはや消えかかっていた隼人の本来の意識が甦る。

「・・・お前の手で・・・とどめを・・・殺してくれ・・・」

隼人がそう言い残すと、魔神、いや隼人は動かなくなった。
その心臓は完全に停止していた。

隼人は息を引き取ったのだ・・・。
2772005:2005/09/01(木) 20:14:52 ID:r+MXuLoM
↑まだまだ終わりじゃないんで(汗)今中盤終わりぐらい(汗)でも今日はここ迄で(汗)
SWネタな訳ですが(汗)それは無理だろとかの突っ込みも無しで(汗)
278名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 09:12:01 ID:bH1Wie8W
乙!

作戦実行時まで時間がないけど、これから本郷はどうやって作戦を阻止するの?
後で回収に来るといっていたから、身柄を渡す代わりに作戦を中止させるとか?
で、隼人を本格的に改造した後、本郷には仲間が必要だと判断した博士が、洗脳させなかったとか。
279名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 09:55:55 ID:Z0lWmDAi
>>278 ありがとう
量は多いけど話し自体はスゴイシンプルだから
複雑な展開期待されるとガッカリさせちゃうかも(汗

たゆたう水の中に浮かぶような心地良さ。そのぬくもり、浮遊感。
それはまるで母体の中、胎内の羊水に浮かぶ、感覚とはこういうものであろうか。
その心地良さ以外には何も無い世界。
ここに居ればおそらく二度と他の世界に出たいという気にはならないであろう。

今迄の時の流れで、出会った人々の姿が、浮かんでは消えて行く。
時の流れの順に。幼き頃に亡くした父と母、幼き頃からの友人、初恋の女の子、恋人、同僚・・・
あの村の人々、村人達の笑顔、村の美しく優しい姉妹・・・
そして本郷猛、緑川ルリ子、おやっさん・・・
大勢の人々の姿が浮かんでは消えて行く。
その姿を見て想う
『俺は今迄ずっとたった一人で生きて来たと思っていた・・・』
『だがみんなに生かされて来たんだな・・・』
『人は一人では生きてはいけないのか・・・』
281名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 10:25:37 ID:Z0lWmDAi

そして目の前に姿を見せるあすか。あすかはそっと手を差し伸べる。
その白くしなやかな美しい指先をつかもうと手を伸ばす。
『あすかのそばに行くよ』

伸ばしたその手が届こうとする瞬間、誰かの声が聞こえる。
その声は最初は何を言っているのかもわからない程の小さな音であった。
だが次第にその声は段々と大きくなっていく。
大きくなるにつれ、その声が何であるかわかった。

人々の泣き叫ぶ声、悲鳴、断末魔。それが何処からともなく聞こえて来る声の正体。

目の前の差し伸べた手を下ろした。
目の前のあすかがどんどん遠退いて行く。
『待ってくれっ!!あすかっ!!』
必死になって手を伸ばし、あすか求めるが、あすかは遠退いて離れて行くばかり。

あすかは笑顔を向け、手を振る。
『あすかっーーー!!』
必死に手を伸ばして絶叫する。
だがあすかは笑顔で手を振り続ける。

そして人々の声が大きくなると共に、あすかの姿は小さくなって消えて行く。
『あすかっーーー!!』
282名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 11:14:08 ID:Z0lWmDAi

12月24日 PM07:00

耳に届く声で隼人はその深い眠りより目を醒ます。
その声は人々の泣き叫ぶ声、悲鳴、断末魔。
おそらく遠く離れているであろうその場所からでも、その人々の声は鮮明に隼人の耳に届いていた。
それはその与えらた特別の能力故の、その能力を得た者の宿命であろうか。
深い眠りより目覚め混濁する意識の中、ここが現世であるのかあの世であるのかすら、
理解出来ないまま、それでも隼人の口をふと突いて出た言葉。

『奴ら、とうとうはじめやがったな』

四肢を切断され、動けぬ状態で壁に寄り掛けられたような姿勢の隼人。
混濁する意識も徐々に正常化していくが、その間も人々の声が途切れることは無い。

隼人は自らが与えられた特別な能力を今程怨んだことは無い。
その能力により研ぎ澄まされた五感が、望んではいないのに、否応無しに、
遠く離れて行われている、その惨劇の有様を隼人に伝えて来るからだ。
人々の泣き叫ぶ声、悲鳴、断末魔という聞きたく無い声を聞き。人々の血の匂いを嗅ぐ。
その声と匂いは途切れることは無い。
それは途切れること無く、誰かが犠牲になっているというのと同義であった。
耳と鼻から入ってくる忌まわしい情報が隼人の脳に満ち溢れる。

隼人の胸は締め付けられるように痛み、神経がザラつき、気が狂いそうになる。
だが自らの四肢は無く、自由に動くことすら出来ない。
それはこの上無く過酷な拷問のようでもあった。
283名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 11:46:59 ID:Z0lWmDAi

それは全く皮肉にも大佐の言葉通りの状況。
隼人の心に深い傷跡を残した、あの村での悲劇と全く同じことが今繰り返されようとしている。

目の前で次々に銃弾や爆撃に倒れる村人達を前に、
成す術も無く、ただシャッターを切り続けた隼人。

『あの時と全く同じだな』
『また俺には何も出来ない』
『ここで人々が泣き叫ぶ姿を見続けることしか出来ない』
『泣き叫び、逃げ惑い、命を奪われていく人たち』
『俺はこの無様な格好でただそれを見ているだけだ』

『何も出来ずに俺はまた見殺しにするのか』
『あの村人達を見殺しにしたように』
284名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 11:47:49 ID:Z0lWmDAi

隼人の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

『俺は馬鹿だな・・・』
『いや馬鹿の癖に難しいことを考え過ぎた・・・』

『目の前で泣いている人がいれば』
『俺の胸が痛む』
『心が痛む』

『ただそれだけじゃないか』
『他に理由なんていらなかったんだよ』

『償いなんかじゃない』
『報われたかったわけでもない』
『わかって欲しかったわけでもない』

『正義とか悪とか』
『正しいとか正しくないとか』
『そんなのはどうでもいい』

『どんなに人に憎まれようとも、恨まれようとも』
『目の前で泣いている人がいれば』
『俺の胸が痛む』
『心が痛む』
『だから俺は戦った』
『それだけだ』

『俺は馬鹿だな・・・』
『力がある時には気づかず・・・』
『力を無くしてはじめて気づくなんて・・・』
285名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 12:40:35 ID:Z0lWmDAi

絶えることの無い、人々の泣き叫ぶ声、悲鳴、断末魔、そして血の匂い。
まるで戦場と化した新宿。隼人は失意、絶望、無力感、諦めの中に居た。
それは魔神と化した時の負の感情とはまた違うものであったが。

その隼人の中で唯一の光明となるかもしれぬ存在。
『本郷は!?』『本郷猛は戦っているのか!?』
魔神と化した自分と戦い、傷を負った本郷猛。
彼はやはり戦っているのであろうか?
この戦場を、100人の快人を相手に。
隼人は居ても立ってもいられなくなり、絶叫する。
286名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 12:41:07 ID:Z0lWmDAi

だが、本郷猛で連鎖的に思い出す。
何故、自分は生きているのか?正気に戻っているのか?という根本的な疑問を。

両手両足を切断され、心臓にライダーキックを受け、
確かに自分は息を引き取った、心臓は停止した筈である。

確かに快人は再生能力があるが故に、
心臓を貫くか頭を吹き飛ばすかしない限り、絶命することはない。

停止した筈の心臓はナノマシンウィルスにより再生・修復され、活動を再開したのか?
本郷猛は自分に止めを刺さなかったということか?
快人について熟知する本郷猛であれば心臓が停止しても、
再生・修復により機能を再開することは知っていて当然であろう。
だとすれば敢えて止めを刺さなかった可能性は高い。

一度心臓が停止して死んだ為に、魔神と化した筈の自分が正気に戻ったということであろうか?
はじめから本郷猛はそれを狙っていたのであろうか?
もしそうだとしてもおそらく本郷猛にも確信は無かったのであろう。
だから、もし甦ってもまだ魔神であった場合を懸念して、
四肢を切断された動けぬ状態でここに放置したということであろうか。

本郷猛のその真意は隼人にはわからない。
いやおそらくこの先も生涯わからないままであろうと、隼人は思った。
本郷猛は多くを語らない男であり、おそらくこのことは「大した問題では無い」で済まされてしまうであろうから。
287名無しより愛をこめて:2005/09/02(金) 12:41:41 ID:Z0lWmDAi

隼人の脳裏に、深い眠りの中でイメージが過ぎる。
たゆたう水の中に浮かぶような心地良さ。
それは胎内の羊水の中にもいるようにも感じた。
『生まれ変わったってことか??』
『そりゃいくらなんでも出来すぎだ』
それは隼人の中の潜在的なイメージが眠りに投影されたのかもしれない。

『よく考えりゃ、なんで俺はここにいる?』
『本郷が運んだのか?』
『ここは一体何処なんだ??』

そう考えている隼人の前にひとりの救いの天使が現れる。
天使と呼ぶにしてはあまりに年配の気さくな男であるが。
「おっ、隼人、目が醒めたのか?」
その男は気さくな人なっつこい笑顔を隼人に向ける。
「随分と酷いかっこになっちまったもんだなぁ〜」
隼人はその男の顔を見て呆然とした。

「おやっさん!?」
2882005:2005/09/03(土) 23:51:19 ID:GyIoVpCQ
>>280 の前に作戦開始時の街の描写とか入れれば良かったかもと後悔
後で時間軸を強引に戻す展開があるかもしれません(汗
289名無しより愛をこめて:2005/09/05(月) 00:18:40 ID:D41oc4Va
今、東映チャンネルでギラーコーロギを見てるが、
スーツのできがちょっと悪いね。
290555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:02:17 ID:dGIq7MgL
コインを入れる、スタートを押す。
そして正義のガンマンに早代わり。
と、ふと何時ものゲームの事を考える海堂。
・・・・やはりそれは、何かが違うのだろう。
現実では、そんなにアッサリと勝つことは出来ないのだから。
「当たれよォ!」『やだよ。』
ドゥ、ドゥと言うオモチャのような銃声と、子供のような台詞とは裏腹に、
外れた光は別荘を破壊し、ある意味芸術的な空洞の開いた木を量産していく。
一歩間違えれば確実にどちらかが死ぬ状況。
別荘から離れつつ茂みに隠れる海堂。
それを楽しみながら、追いかけるサイガ。
そして、海堂は賭けに出た。
今まで隠れていた場所から駆け出し、サイガに近づく。
撃たれることは予想していた。
それでも、せめて―――
カクレンボをやめ、約二十メートル走自己新記録を出し突っ込む海堂。
一発だ。
一発くらいは、当ててやる。
半ば自棄になった海堂は、咆哮と共に突っ込んでいく。
此方へ逃げず向かってくる暴走した獲物を前に、冷静に猟師―――サイガは銃を向け、
引き金を。
291555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:03:19 ID:dGIq7MgL
「―――だぁあぁぁぁッ!」
紅い剣がアンノウンを襲う。
―――これで、三度目だ。
前のように蹴り。
前のように切り。
前のように、輪がアンノウンの上に輝くのを見た。
だが、
先程のようにその輪は振り落とされる。
先程のように立ち上がる。
先程と同じように、生きている。
「・・・・・まだなのか?」
そう呟くと、もう一度アギトは切りかかる。
フレイムセイバーと、アンノウンの鎌が触れ合い、キンと言う音をさせたのと同時に、
アギトの背後に迫る紅い影。
それに気付くと、アギトは軽く跳躍し、その影の上に乗る。
不意に視界から消えたアギトの代わりに、アンノウンの目に映る紅い板。
いや、正確にはバイクなのだが―――変形したその姿は、良くてサーフボードに見えればいい様な物だったが―――
「・・・助かったよ!」
アンノウンを跳ね飛ばしたマシントルネイダーに飛び乗ると、アギトはそう言った。
受身をとるアンノウンの方をいったん見ると、アギトは飛び去る。
―――なんにせよ、コイツを倒すには手を貸してもらわないと―――
時間は稼いだ。
いったん戻り、葦原さんや海堂さんや三原さんや―――
―――琢磨さん。
自分が気絶している間、加奈さんや氷川さんや、会員達を助けてくれたアルバイター。
彼らの力を借りないと―――。
292555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:04:41 ID:dGIq7MgL
「どぅいうつもりだぁ!」
銃口をサイガに向けながら、海堂は叫ぶ。
腹にフォンブラスターを突きつけられていても、激情を隠すつもりは無かった。
あの時。
熱暴走を起こしていたとはいえ、それでも分かる。
このヤロウ―――
撃たなかった。
撃てたのに、撃たなかった。
―――何時でも殺せますよ、って事か?
海堂のアタマにくすぶっていた熱は少しづつ醒め、
冷静な判断を下せるようになって来てはいる。
だが、
何故未だに時間稼ぎをするかについては、分かる筈が無かったが。
『よーい、』
サイガの声。
ふと見ると、サイガの照準も海堂に。
『どん。』
回転と同時に周りへ飛び散る光。
相手の体という、意外と狭い的を狙いながら回り続ける奇怪なダンス。
二転、三転。
何度と無く回転して、ようやく二人は距離をとる。
そして、同じようにもう一度相手に銃口を向け合う二人。
がちゃ。
がちゃ。
鏡に映されたかのように、それぞれの顔に向けられた銃口。
293555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:05:14 ID:dGIq7MgL
そして、一瞬の硬直の後―――
どぉん。
やはりオモチャのような音がした。
互いの顔があった位置を正確に通る光。
サイガは、軽く首を動かして避け。
海堂は、左手でフォンブラスターを持ち、無理やり方向を変えさせた。
『無茶をするねぇ。』
「・・・うるせぇ!」
だが、左手をフォンブラスターにやっている以上、右手を払われた場合どうしようもない。
軽やかに払いのけられた右手から視線を動かす海堂。
バレエのように天高く上がっていくサイガの足を、ただ見守る事しか出来なかった。

『そろそろ・・・かな?』
いい加減飽きた、といった感じで、倒れた海堂のアタマに突きつけられるフォンブラスター。
『それじゃあ・・・』
サイガは、引き金を引く。
朦朧となった海堂の意識が、ゲームオーバーを告げる中で―――

じゃかり。

とても重々しいその音が、なぜかコインを入れる音のように聞こえた。
294555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:05:58 ID:dGIq7MgL
ドン。
『・・・・・なっ!?』
吹き飛ばされるフォンブラスター、一瞬戸惑いを見せるサイガ。
そして、海堂はその隙を逃さない。
「うぉぉおぉりゃぁっ!」
刹那の創造。
サイガに向けて振るわれた剣は、ようやく命中し―――
スッ、とサイガに向けられたブレイガン。
どぉん。
直撃する金色のエネルギー。
カチ、カチと言う音がする中で、海堂は、何時ものような口調で呟く。
「一発は当ててやる―――俺は、有言実行ってヤツなワケだ。」
海堂は、ポケットに手を突っ込むとそう振り向く。
ソコには氷川が銃を構えて立っていた。
なぁるほど。
あの時サイガの銃を撃ったのは、この不器用クンか。
・・・よくあんな遠くから当たったな、これはやはりオレサマの運が影響しているのか?それとも・・・
「海堂さん!?未だですよ!!」
そして振り向く、サイガは既に立ちあがっていた。
一応ダメージは与えられたようだが、それでも微弱な物のようだ。
「・・・まだやるかい?」虚勢を張ってそう言う海堂。
『折角だけど・・・そろそろ時間だ。』あっさりと答えるサイガ。
295555外伝 もう一人の夢の守人:2005/09/06(火) 21:07:21 ID:dGIq7MgL
「時間?」
『そう―――』
その言葉と共に、森を引き裂いて現れる金色の戦士。
「・・・沢木さん!?」
「何があったんですか!?一体―――」
「説明は後です!とにかく今は―――」
そして、沢木の後を追い現れるアンノウン。
「なんだ・・・ありゃぁ!?」
氷川の思いを代弁する海堂の呟き。
そして、アギトでもオルフェノクでもない氷川に対し―――
咆哮と共に、襲い掛かるアンノウン。
「「なっ!?」」
沢木の声と海堂の声が、ステレオで聞こえる中。
そして、鎌は振り―――上がった。

「間一髪・・・・ですね」
ふと上を見ると、木に吊り下げられている謎のムチ状の物体が、鎌を固定している。
そして、その声とそのムチの先は此方へ向かってくるワゴン車から。
同じワゴン車から放たれる青い光により、アンノウンは吹き飛ばされ――ー
受身を取ったのと同時に、彼の敵が二体増えた。
『―――ずいぶん遅かったじゃないか』
そう愚痴るサイガの目に映るデルタとセンチピード。
三原と、琢磨。
『―――お楽しみは最後まで取っておくものだと、母から習いませんでしたか?』
平然と、相手に合わせ英語で話す琢磨。
『生憎、待たされるのは嫌いな方でね。これでも待ったんだよ?』
そしてサイガは身構える。
『さぁ・・・行くよ。―――』
戦闘の始まりを告げるその言葉の最後に、琢磨だけは、聞いた。
サイガが誰に聞こえるか判らないような小さな声で、付け加えた一言を。

『―――パパ。』
296スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/07(水) 19:42:45 ID:WI9SySxs
皆さん、お久しぶりです。
任務の途中経過を報告する為、日本に一時帰国いたしました。
ショッカー東南アジア支部は思った以上の強敵ですが、何とか奮闘しております。
スムーズにいけば10月頭には帰国できると思います。

で、ここからが本題です。
>>33で、連載中止を宣言した『スーパーライダー大戦』ですが、連載中止を撤回させていただきます。
10月の帰国後、連載を再開させていただきます。
打ち切ったり、再開したりと我侭をさせていただきますが、どうか以前同様応援をよろしくお願いします
297名無しより愛をこめて:2005/09/07(水) 22:01:12 ID:lewXCBcg
スーパーライダー大戦連載再開記念age!
298名無しより愛をこめて:2005/09/08(木) 07:43:43 ID:XyCWKILs
久しぶりにのぞきました。
えらくいっぱいお話が増えているのでびっくら!・・・
とりあえず
祝!スーパーライダー大戦再開
期待してますので頑張ってください。
299スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:19:25 ID:uZooFOZ/
 MRAの活躍により、スマートブレインの破壊活動による被害は最小限に食い止められた。
 だが、長田結花と海道直也、オルフェノクでありながらも人間として生きようとした友の死、それをきっかけとした木場勇治のスマートブレイン参加と言う残酷な事実は、仮面ライダーファイズ=乾巧の心に深い傷を与えるのだった。
 そして今、スマートブレインは新たな動きを見せようとしていた。 


 第2話『暗躍(改訂版)』 
300スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:21:00 ID:uZooFOZ/
「他の組織と…交渉?」
「そうです。貴方と私、そしてガイの3人でショッカー、ゴルゴム、クライシス帝国との交渉を行います」
 木場の言葉にそう答えた村上は一旦言葉を切り、会議室にいる全員を見渡してから再度口を開く。
「我々は他の組織に比べ、人的資源という点で大きく劣っています。如何に個々が一騎当千の兵であろうとも圧倒的な物量が相手ではいずれは疲弊し、倒されてしまう。それを防ぐ為にも同じ目的を持つ組織同士手を組むべきだと私は思っています」
「正論ですね。私も村上さんの意見に賛成します」
 村上の言葉にいち早く賛成の意思を示す琢磨。すると― 
「へぇ、琢磨君は怖いの? 他の組織と戦うのが…」
 案の定、北崎が突っ込みを入れてきた。 
「北崎さん…これは怖いとかそう言う問題ではなく―」
 琢磨もすぐさま言い返すが―
「戦いを長く楽しむ為の工夫…そう言う事よ北崎君」 
 それを遮るように影山冴子が、北崎にそう告げた。すると―
「ああ、そう言う事なんだ。なら、納得かな」
 北崎は意外に早く納得した。それを見た村上は三度口を開く。
「では、そう言う方向で行動を開始したいと思います。ラッキークローバーの皆さんは交渉が終わるまでの間、MRAの注意をひきつけて下さい」
「それは好きに暴れて良いってこと?」
「そう言う事です」
「そっか、クウガとか言った…あのライダーはこの手で…潰す!」 
 村上の言葉を聞いた瞬間、北崎の雰囲気が変わり、全身から物質を灰化させるエネルギーが溢れ出す。
「き、きき、北崎さん!」
 その場を逃げ出すように離れながら、北崎に呼びかける琢磨。その表情からは必死の一言が感じられる。
「ああ、ごめん…ちょっと力が入っちゃって」
 琢磨の声で我に返ったのか、いつもの様子に戻る北崎。同時に灰化のエネルギーも消失する。
 それをきっかけにして会議に参加していた者達が退室を開始し、室内には4人の男だけが残った。
301スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:22:27 ID:uZooFOZ/
「交渉ねぇ…ま、いいけどさ。俺は何処に行けば良いわけ?」 
 部屋に残った4人の内、最初に口を開いたのはブランド物のスーツをラフに着こなした、ホスト風の男だった。
 男の名はガイ。軟派な外見とは裏腹に高い実力を持つ上の上のオルフェノクであり、スマートブレインが開発した『帝王のベルト』の1つ『海のベルト』の適合者でもある。
「ガイにはショッカーとの交渉をお願いします。また、木場君はゴルゴムとの交渉を」
「了解」
「わかりました」
「クライシス帝国とは私が交渉を行います。レオ、すみませんが護衛をお願いしますよ」
 村上の言葉に無言で頷く寡黙な青年の名はレオ。
 木場やガイ同様、非常に高い実力を持つオルフェノクで、『帝王のベルト』の1つ『天のベルト』の適合者でもある。
「では、任務開始といきましょう。ああ、それと研究開発部から新兵器が完成したと連絡があったので、各自受け取っていくように」
 村上の言葉を引き金に退室していく木場、レオ、ガイ。それを見送りながら村上はある人物と連絡を取る為、携帯を操作していた。
302スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:24:05 ID:uZooFOZ/
 見渡すかぎり、破壊された建物と数え切れないほどの死体が広がっている。
 そこは日本のとある小さな都市。
 数時間前まで2万人ほどの人々が平和に暮らしていた。だが、今は死が都市全体を包んでいる。そして、そうなるまでの時間は2時間とかからなかった。

 死の街と化した都市の真ん中で、ボンヤリと空を見つめる少女がいた。
 年は15、6。何処かの高校の制服であろうブレザーと腰に巻かれたベルトというミスマッチな格好を除けば、美少女と呼べる外見だった。
 少女の名はリオ。彼女もまた高い実力を持つオルフェノクで、『帝王のベルト』の1つ『冥のベルト』の適合者である。
 『地のベルト』に適合した木場勇治、『天のベルト』に適合したレオ、『海のベルト』に適応したガイ、そして『冥のベルト』に適合したリオ。
 この4人が、アークオルフェノクの親衛隊にして、スマートブレイン最強の部隊『ロイヤルガード』である。
 
 携帯の着信音が響く。
 顔を輝かせ携帯に出るリオ。
「おじ様ですか?」
『ええ、私です。首尾はどうでしたか?』
 電話の相手は村上だった。彼女は村上をおじ様と呼び慕っている。なお、村上と彼女の関係について、詳しい説明は今回は避ける事にする。
「街は2時間で壊滅完了。覚醒した住人は97人でした」
「97人ですか。素晴らしい、上の上ですよ。『冥のベルト』を完全に使いこなせているようですね」
「はい、おじ様の指導のおかげです」
「いえいえ、全て貴方の才能と努力の賜物ですよ。私はこれから外出しますが、夜には戻ります。夕食は一緒に取りましょう」
「本当ですか! 嬉しい…楽しみにしてますね、おじ様」
「…ええ、私も楽しみにしていますよ」
 
 村上が電話を終えてから暫く後、準備を整えた4人がそれぞれの目的地へと出発した。
303スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:26:50 ID:uZooFOZ/
 数時間後、ガイはカイザから奪い取ったサイドバッシャーを駆り、某山中に建設されたショッカーの秘密基地を目指していた。
 ある程度まで来た所でサイドバッシャーから降り、徒歩で移動を開始する。
「情報ではこのあたりなんだけどなぁ〜」 
 鼻歌交じりに山道を登っていくガイ。スーツ姿、しかも両手にトランクを持っているにも拘らず、その足取りは軽やかだ。その時―
「ギィッ!」
 茂みから1人の戦闘員が跳びかかってきた。その手には大型のナイフが握られている。
「おおっと」
 戦闘員の鋭い斬撃をバックステップで回避したガイは、にこやかな笑顔で戦闘員に話しかける。
「タイムタイム、俺はここのトップの人に話があって来た訳、取り次いでくれないか…っとぉ!」
 だが、戦闘員は聞く耳持たずと言わんばかりに攻撃を再開した。
 普通の人間なら5回は死んでいるほどの激しい連続攻撃がガイを襲う。
「だーかーらー、俺は怪しく見えるかも知れないけど、敵対する意思は無いんだって」
 しかしガイは飄々とした態度を崩さずにその攻撃を避け続ける。そして、戦闘員の僅かな隙を突き―
「少しは…落ち着けって」
 鋭い蹴りでナイフを弾き飛ばし、そのまま流れるような動きで戦闘員の腹に蹴りを叩き込んだ。
 強烈な蹴りを受け、吹き飛ぶ戦闘員。近くの木に叩きつけられそのまま動かなくなる。
「あら…手加減したんだけどな……強すぎたか…ごめんね〜」
 何処かバツが悪そうな感じで戦闘員に謝るガイ。すると―
304スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:30:05 ID:uZooFOZ/
「我が配下を子ども扱いとは、なかなかやるな」
 そんな台詞と共にショッカー怪人蜘蛛男が、戦闘員10名を引き連れて姿を現した。
「少しは話が通じそうだな…あのさぁ、悪いんだけどここのトップの人に取り次いで―」
「だが、この基地を見たからには生かしては帰さん!」
 話が通じる。そんなガイの考えは無残にも打ち砕かれた。蜘蛛男は完全にこちらの声を無視し話を続けている。
「我らショッカーの恐ろしさ、骨の髄まで叩き込んでから惨めな死を与えてやろう。ハッハッハッハ―」 
 蜘蛛男の笑い声はそこで止まった。自分の僅か30cm横を強力な破壊弾が通り過ぎたからだ。
 破壊弾は、山肌に直撃し巨大な穴を空ける。
「話聞いてくれる? 俺はスマートブレインからの使者で、ここのトップの人と話がしたい。悪いんだけど取り次いでくれるかな?」
 ようやく周囲が自分の話を聞く状況になったので、ガイは再度自分の要求を発表した。にこやかな笑顔を崩さずに…
305スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:31:52 ID:uZooFOZ/
 数分後、ガイはこの基地のトップと面会する事が出来た。
「私がこの基地の責任者を務める死神博士だ」
「スマートブレインから参りました、ガイと申します。お会いできて光栄です、プロフェッサー」
 挨拶を交わす死神博士とガイ。外見上は友好的な態度を両者とも取っている。
「まずは、部下の非礼をお詫びせねばな。職務に忠実ゆえの事なので、どうかご容赦願いたい」 
「いえいえ、お気になさらず。忠誠心に厚い部下をお持ちで羨ましい限りです」
「では、ここに来られた理由をお聞かせ願おうか」
「ええ、現在うちのトップを務めている村上からの提案を、そちらで御検討頂けないかと思いまして」
「提案…切れ者と噂の村上殿の提案となれば、こちらにとって有意義な事でしょうな」
「ええ、そう思いますが」
 そこまで言うとガイは一旦言葉を切り、本題を切り出そうとした。その時―
「博士」
「何事だ、御客人の前だぞ」
「申し訳ありません、ラボの方でトラブルがおきまして…」
「そうか…申し訳ない、少々お時間をいただけますかな?」
「ええ、構いませんよ」
「それはありがたい、そうだ。こんな殺風景な司令室では何なので、部下に応接室の方へご案内させましょう」
 死神博士のその言葉と共に、ショッカー怪人蜂女が姿を現した。
「どうぞ、こちらです」
 どうやら、死神博士の秘書的な役割を担っているようだ。蜂女に案内され司令室を後にするガイ。
「…フム…あの男、若いがなかなかの曲者のようだな」
 そして死神博士もそう呟き司令室を後にした。
306スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:33:59 ID:uZooFOZ/
 それから暫く後、場所を応接室に移して死神博士とガイの会談が再開された。
「スマートブレインとの同盟…」
「はい、理想としてはショッカー、ゴルゴム、クライシス帝国。この3つの組織全てと同盟を結びたいと村上は考えています」
「なるほど…4つの組織の力を集め、MRAを叩き潰す事が目的ですな」
「そう言う訳です。同じ敵を持つ者同士、力を合わせこれを打砕くべきではないか? と、村上は言っています」
「ふむ…MRAの存在は我々にとって目の上の瘤。そして、それを取り除く為には総力を結集しなければならない」
「その為にも、組織同士の潰しあいは得策とは思えません」
「たしかにな。私個人としてはこの申し出、受けても良いと考えている。だが…」
「他の十闘将がどう動くか…ですね」
「さよう、我がショッカーの行動は基本的に十闘将の合議制なのでな」
「ですが、この申し出決して悪い物ではないと思います。私は何とかなると考えていますよ、プロフェッサー」
「宜しい、次回の十闘将会議の際、この事を私の方から提案しましょう」
「ありがとうございます、プロフェッサー」
 こうして、ショッカーとの交渉は一応成功した。


「交渉は成功♪ 後は待つだけ♪け♪け♪け♪け♪結果は後日のお楽しみ〜♪」
 訳のわからない替え歌を歌いながら、停車しておいたサイドバッシャーの元まで戻ってきたガイ。
 だが、すぐにサイドバッシャーには乗らず、車体を入念にチェックしている。すると―
「あった」
 カウルの下から小さな機械が見つかった。小型の発信機だ。
「あの爺さん、抜け目ないねぇ〜。まあ、一種の社交辞令みたいなもんか」
 そう言って発信機を握り潰すとガイはサイドバッシャーを走らせ、その場を後にした。
307スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:35:49 ID:uZooFOZ/
 ガイがショッカーとの交渉を成功させていたその頃、クライシス帝国との交渉に当たっていた村上とレオは、クライシス帝国地球攻撃兵団最高司令官ジャーク将軍の提案で、クライシス帝国の代表と一戦交える事となった。
「そちらの代表と戦い、こちらが勝利すれば同盟の件を検討していただけるのですね?」
 村上が再度ジャーク将軍に条件を確認する。その声からは揺ぎ無い自信が感じられる。
「さよう、貴公らが勝利すれば同盟の件、皇帝陛下に進言し前向きに検討させてもらう」
 その問いに答えるジャーク将軍も同様だ。
「わかりました…レオ! It is time of work(仕事の時間です)」
 村上の声に応えるように前に進み出るレオ。その腰にはスマートブレインが開発した『帝王のベルト』の1つ『天のベルト』が既に巻かれている。
「怪魔ロボット、キューブリカンMK−U出撃せよ!」
 ジャーク将軍の一声で、クライシス側の代表も姿を現す。以前、仮面ライダーBLACKRXと戦い、善戦空しく破壊された怪魔ロボット『キューブリカン』の2号機だ。
 しかし、レオはキューブリカンの巨体を前にしてもまったく動じず―
「After all,you are only a machine(お前は所詮、ただの機械だよ)」
 そう呟きながら、持っていた『サイガフォン』にスタートアップコード『315』を入力した。
『Standing by』
 電子音声が響く中、サイガフォンを投げ上げてキャッチすると―
「Henshin!!」
 サイガドライバーのバックル部に装填した。
『Complete』
 再び電子音声が響き、レオをフォトンストリームが包み、その姿を変えていく。
 帝王のベルトの戦士『サイガ』へと!!
「Now the iodination including the game(さあ、ゲームを始めようか)」
 変身完了したサイガはそう言いながら、右手で首を掻っ切る仕草をして見せた。得意の挑発だ。
 それに反応した為かどうかはわからないが、キューブリカンは右手のビーム砲を乱射してきた。ビームがサイガの周囲に着弾し、爆発が起きる。
308スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:36:50 ID:uZooFOZ/
 その光景にクライシス側から声が上がる。だが、村上は余裕の態度を崩していなかった。事実、爆煙が晴れると―
「Cannot you hit it also even to the stopped target?(止まった的に当てる事も出来ないのか?)」
 そこには無傷のサイガの姿があった。サイガは背中の飛行ユニット『フライングアタッカー』を起動させ、空へ舞い上がると―
「This blockhead(この木偶の坊)」
 『フライングアタッカー』に装備されているビームライフル『ブースターライフル』を構え、地上のキューブリカンへ連射した。
 強烈なビームによるダメージがキューブリカンの全身に刻まれていく。
「It ends(終わりだ)」
 そして、その呟きと共に放たれた一撃がキューブリカンの頭部を貫き、頭部を破壊されたキューブリカンは、その機能を停止した…かに見えた。
「What!?(なんだと!?)」
 直後、驚愕の声を上げるサイガ。頭部を失ったキューブリカンが再び動き出したのだ。
 破壊された頭部が強制排除され、重火器を装備した第2の頭部が出現。圧倒的な火力で上空のサイガに攻撃を仕掛ける。
「There is no problem. if not hitting(当たらなければ、どうという事はない)」
 キューブリカンの対空砲火を類稀な機動性で回避するサイガ。しかし、圧倒的な弾幕の前に反撃が出来ずにいる。その時―
「レオ! The use of the imperial memory is approved(インペリアルメモリーの使用を承認します)」
 村上から指示が下った。すぐさまサイガは、左腕に装備した篭手型の新兵器『サイガガントレット』から新型ミッションメモリーである『インペリアルメモリー』を取り外し、サイガフォンのミッションメモリーと入れ替えるようにメモリースロットへ装填した。
『Standing by』
 電子音声が響き、サイガギアが再起動を開始。青い閃光に包まれ、サイガが新たな姿へと『転身』する。
 サイガ版ブラスターフォームとでも言うべきその姿の名は『サイガ・インペリアルフォーム』!!
309スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:38:37 ID:uZooFOZ/
「レオ、The instruction is only one(命令はただ1つ)
「Destroy the enemy in the presence completely(目の前の敵を完全破壊しなさい)」
 『転身』を終えたサイガに村上が指示を送る。サイガは静かに頷くと、こう叫んだ。
「Go! Blasterpod!!(行け! ブラスターポッド!!)」
 次の瞬間、サイガの両肩から合計6基の小型メカ『ブラスターポッド』が射出された。
 ブラスターポッドは、それぞれが縦横無尽に飛び回りながら、キューブリカンに接近。全方位からビーム攻撃をしかける。
 高速で飛行する物体からの全方位攻撃に成す術もないキューブリカン。
 それに追い討ちをかけるようにサイガは、背中の飛行ユニット『ネオフライングアタッカー』に装備されている全火器を―
「Blow off by the death(死ぬほど吹き飛べ)」
 一斉発射した。
 『ブースターライフル』の倍以上の威力を持つ『メガブースターライフル』の強烈なビームが、キューブリカンの全身に風穴を空け、両腕を吹き飛ばす。
 『マイクロフォトンミサイルポッド』 から発射された無数のマイクロフォトンミサイルが、雨のようにキューブリカンに降り注ぎ、その全身を炎で彩る。
 相当なダメージを与えた事を確認したサイガは、間髪を入れず『ネオフライングアタッカー』の出力を全開にして、瞬く間に高度1000mの高空へ舞い上がる。
「Sky impact!」
 数秒後、サイガ必殺の鉄拳『スカイインパクト』が、スクラップになりかけていたキューブリカンを完全に破壊した。
310スーパーライダー大戦作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:40:26 ID:uZooFOZ/
 サイガの勝利が確定していたその頃。ゴルゴムとの交渉に向かっていた木場勇治は―
「では、同盟の件は成立という事で宜しいのですね」
 交渉をほぼ成功の形で終わらせようとしていた。
「ああ、MRAを倒すその日まで我らは同志という事になる」 
 木場の言葉に静かに答える世紀王シャドームーン。その言葉は木場の言葉を肯定する。
「では、同盟の条件など詳しい事は後日、こちらから使者をお送りします」
 そう言って去っていく木場。その姿をシャドームーンは静かに見つめていた。
「(スマートブレイン、予想以上の勢力のようだ……敵対すればこちらも危うい。ここは手を組み力を蓄えるが大事か…)」
 心の中でそう呟き、視線を横にやる。
 そこには5体をバラバラに斬り裂かれ、絶命したビルゲニアの姿があった。その表情は恐怖で無残に歪んでいる。
 クライシス帝国同様、ゴルゴムもスマートブレインが同盟を汲むに相応しい組織かどうか見極める為に、勝負を挑んでいた。
 ゴルゴム側の代表は剣聖ビルゲニア。ゴルゴムの中でもかなりの兵だ。
 だが、木場勇治…いや、オーガの力はビルゲニアを大きく上回っていた。そして―
「(インペリアルフォーム…そう言っていたな。あの力、警戒せねばなるまい…そして、いずれは……)」
 再度、心で呟くシャドームーンの心には闘争という炎が燃え始めていた。。

 
 サイガ同様、新たな力を手にしていたオーガ。
 だが、その真の力は、未だベールに包まれている。


 第2話完
311スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:49:50 ID:uZooFOZ/
どうも、スーパーライダー大戦、略して『スパライ』作者です。
週明けにまた東南アジアのほうへと戻るわけですが、その前に以前投稿した第2話の改訂版を投稿させていただきます。
お楽しみ頂ければ幸いです。

あと、まとめサイト管理人さん。お手数ですが第2話の入れ替えをお願いします


スマートブレインの組織図なども大分変わっていますので、すぐに投稿します。
312スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:52:52 ID:uZooFOZ/
スマートブレイン

表向きは世界有数の大企業。
しかし、その実体はオルフェノク(過激派)の本拠地であり、『オルフェノクの王』こと、アークオルフェノクを頂点としたオルフェノクの理想郷を築く事を目的としている。
だが、本編の3ヶ月前、木場勇治(ホースオルフェノク)を始めとする穏健派のオルフェノク達の協力を得たMRAの総攻撃を受け、多大な被害を受ける。
更にその戦いのダメージでアークオルフェノクが休眠状態となった為、現在は村上峡児(ローズオルフェノク)が、暫定的に指揮を取っている。
現在はアークオルフェノクの復活とオルフェノクの増殖を最優先目標として活動を行っており、他の組織に比べて破壊活動は若干控えめである。
また、オルフェノクという種族自体が少数である事もあり、勢力という面では最も小さい。
しかし、『帝王のベルト』を所有するアークオルフェノク親衛隊『ロイヤルガード』や独立部隊『ラッキークローバー』など、一騎当千の精鋭達の戦力は特筆すべき物がある。
また1万人を超える量産型ライダー騎兵部隊『ライオトルーパー』も有しており、戦闘員の質という点では他の組織の追随を許さない。
また、数多くの機動兵器を所有している事も特徴である。

313スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/09/08(木) 23:53:41 ID:uZooFOZ/
<組織図>

         アークオルフェノク
             |
     ――――――――――――――――
     ↓              ↓
村上峡児(ローズオルフェノク)   ロイヤルガード―→仮面ライダーオーガ=木場勇治(ホースオルフェノク)
     |                  |→仮面ライダーサイガ=レオ(グリフォンオルフェノク)
     |                  |→仮面ライダーシグマ=ガイ(メガロドンオルフェノク)
     |                  |→仮面ライダーラムダ=リオ(フォックスオルフェノク)
     ↓
 ラッキークローバー―→北崎(ドラゴンオルフェノク)
     |    |→影山冴子(ロブスターオルフェノク)
     |    |→琢磨逸郎(センチピードオルフェノク)
     |    |→ジェイ(クロコダイルオルフェノク)
     |
 ライオトルーパー部隊→ジャイロアタッカー部隊(約7500人)
     |    |→量産型サイドバッシャー部隊(約1500人)
     |    |→量産型ジェットスライガー部隊(約500人)
     |    |→フライングストライカー部隊(約300人)
     |    |→アームドライオトルーパー部隊(約200人)
     ↓
 一般オルフェノク
314名無しより愛をこめて:2005/09/09(金) 01:48:15 ID:403sG0hk
改訂版掲載age
315名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 21:00:10 ID:gw3hd7DG
age
316名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 23:47:24 ID:er/MbRyR
いろんな作品の続きまだぁ〜?(チンチン
317ラグナを始めるその前に:2005/09/10(土) 23:59:20 ID:VIN9yIZD
人が神に縋る行為は、花瓶を割ってしまった子供が誰かのせいにするのに似ている。
====================================================================================
【rAguena】
====================================================================================
プラント衛星プリオメテス
究極のナノマシン≪ヴォータン≫を開発するための工場衛星。
不慮の事故により、スティーラーを貯蔵していたタンクが切り離されてしまい
地球上にナノマシンを散布してしまう。
中東アフリカ連合に対し、ユーラシア・アジア連邦の特務機関(通称アレクサンドライト)が
極秘に開発したといわれている。
====================================================================================
ニーベルング計画
深刻な資源不足、エネルギー不足を解消するべく発足されたプロジェクト。
電子構造を自在に変化させることで、どんな物質にも変化できるナノマシン“ヴォータン”を
開発しようとしていた。
これを用いればいかなる物質のコピーが可能となり、最終的には生物のクローンまでもが
可能と思われていた。
パラベラムもスティーラーも、開発半ばに偶然生まれた副産物である。
ヴォータンを生成する過程で、1%がスティーラーになる。
====================================================================================
ナノマシン:タイプ:スティーラー
プリオメテスから散布されたナノマシン
生物に憑くとそれを母体とし、他の生物を取り込む。
その生物の攻撃特性のみを自分に取り込む。
人間をベースになるとライカン、それ以外だとビーストと呼ばれる。
318ラグナを始めるその前に:2005/09/11(日) 00:00:02 ID:VIN9yIZD
ナノマシン:タイプ・パラベラム
特殊歩兵用に開発されたナノマシン。
刺青の状態で兵士に移植され、変身デバイス、アクセスコードを発声、もしくは思考することにより
大気圏内スパイ衛星から特殊強化スーツの構成パターンが転送され、ナノマシンが特殊強化スーツを
使用者の体に展開、身体能力を数千倍に跳ね上げる。
戦術AIと使用者の思考を読み取るリードブレインチップ
そしてEMSを用いて人間では不可能な反射神経と行動を実現した。
使用者が頭に「こう動いて攻撃したい」と思考すると、戦術AIが最も有効な位置と
スピードとヒットポイントを照らし合わせ、それをEMSを用い、その行動を実現する。
つまり、使用者に戦闘経験が全く無くても、凄腕の兵士へと仕立て上げることが出来る。
その処理時間はと実行時間は合計で0.0007秒。
使用者の行動パターンが適切でなかった場合
戦術AIはそれを無視し、適切な行動を強制させることもある(使用者の生命レベル低下による撤退)
使用者は体の限界を超えた動きを強制されることになり、相当の鍛錬を要する。
ウェアブルコンピュータ方式を採用していて、スーツそのものがCPUであり
万が一、どこかが破損しても、その部分を回避して、0.0004秒で回路を再構築する。
素材は超ダイラタンシー金属ジェイディウムという新物質で構成されている。
スーツに与えられる衝撃が強ければ強いほど、強度を増し、使用者を守る。
最高硬度はダイヤモンドと同じ10。
ジェイディウムは精製方法により2種類が作れる。
一つは繊維のような状態で、普段から柔軟性と伸縮性に富み、主に肘、肩等の稼動部分と
使用者の力を増幅させる人工筋肉に使用されている。
もう一つは普段から高度に秀で、アーマー部分に用いられている。
ただし、変身するたびナノマシンは、使用者の体に侵食していく。
つまり、やがては死に至る。
パラベラムは欠陥品である。
その度合いは刺青の大きさでわかる。
319ラグナを始めるその前に:2005/09/11(日) 00:04:11 ID:ZFBcuE2Z
====================================================================================
大気圏内衛星ステルスカイトシリーズ
各パラベラムと一対のもの。
成層圏ぎりぎりを常に維持し、パラベラム保持者の上空に常に待機している。
特殊装甲服のパターンを転送、援護、インテリジェンスサポートが主な役目。
ステルスガンナー :ラグナ
ステルスボマー  :ガイナ
ステルスキャノン :ゼグナ
ステルスランサー :バグナ(ゼグナが破壊。登場せず
ステルスアーチャー:マグナ(ゼグナが破壊。登場せず
ステルスキューブ :レグナ(ゼグナが破壊。登場せず
320名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 00:05:02 ID:VIN9yIZD
====================================================================================
ラグナ
タイプ・パラベラムの初期開発の物
アクセスコードを発声、もしくは思考することにより変身できる。
物語中盤、ナノマシンの侵食を軽減兼補助武器として、ベルトを用い変身することになる。
大気圏内スパイ衛星ステルスガンナーと一対となっている。
基本的に他のパラベラムと違い、変身する際にデバイスを必要としない。
物語中盤に、ナノマシンの侵食を軽減する為にセイバーバックルを用い、変身する。
初期開発の為、様々な実験的な性能を組み込まれていて
状況に応じて3つのモード3(トライ)シェイプに移行できる
黒をベースにした青の模様のスズメバチを思わせる特殊装甲服。
必殺技はクリスタル・ブレイク
ステルスガンナーから発射されるクリスタルキャプチャービームで、相手を捕捉し
青い結晶体へと転換させ、そこに重力ブラスターを足に纏ったラグナがキックで突き抜けていく。
跳び蹴りから放ったり、至近距離からハイキックで放ったりする。
====================================================================================
シェイプ・ヴァルキリー
ラグナの後頭部からナノマシンを放出する触手が伸び、体の色は黄色となる。
またこの時、100mを約2秒で走り抜けるほどの高速行動が可能になる。
ナノマシンが急速な増殖を繰り返し、触手から放出される。
放出されたナノマシンはラグナのコピー体で、その寿命は約1分。
一度に作り出されるコピー体の最大数は4体。
このコピー体はラグナの動きを完全トレースでき、ラグナの残像のように動くことも
ここの判断で動くことも可能。
必殺技はノートゥング・スラッシュ
右腕をから重力ブラスターを刀状に放出させ、一秒間に900回斬り付ける。
コピー体をフル稼働させた状態だと、斬戟は1500tにも及ぶ。
ただし、ナノマシンの侵食は通常のシェイプ時より1.7倍となる。
321ラグナを始めるその前に:2005/09/11(日) 00:05:47 ID:ZFBcuE2Z
====================================================================================
シェイプ・アサルト
ステルスガンナーがラグナの追加装甲及び武装として合体することで、このシェイプとなる。
但し、ベルトを用いて変身していては、合体の妨げになる為、使用することが出来ない。
巡航ミサイル程度の破壊力からは、中の使用者を完全に防御できる。
最大マッハ2で飛行可能で、その速さから瞬時に滞空できる。
また1200mの深海での行動も可能。
腕と足、そして背中に24門の重力ブラスターを装備し、全方位攻撃が可能。
この重力ブラスターは、相手の分子の重量を自己崩壊するまで上げていく。
またステルスガンナーと一体化していることにより、いきなりクリスタルブレイクを放てる。
このシェイプ時には、ヴァルキリーと同じく100mを2秒で動ける。
ナノマシンの侵食は3倍となる。
322ラグナを始めるその前に:2005/09/11(日) 00:08:13 ID:ZFBcuE2Z
すんまそ。最低限知っておいて欲しいなあってことをまず書かせてもらいました。
シナリオ的形式で、一週間に一話ずつ書いていこうと思ってます。
よろしくです。
323名無しより愛をこめて:2005/09/13(火) 21:11:58 ID:VB0+iJYM
急に賑い出して嬉しい限り
でも・・・

      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |オーストラリアみかん |/
3242005:2005/09/13(火) 23:14:29 ID:LOZn7Y+W
当方は最近響鬼関連スレ読み漁ってますスマソ
そろそろ再開を、とは思ってますが
325ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:06:26 ID:WJmeffV4
その年の一月は、例年に比べて雪が多かった。
ここ東京でも、雪による交通手段の麻痺であえでいた。

○新宿 西武新宿駅付近

1人の男が雪に足を取られるように歩いている。
冬だというのに、ぼろぼろのTシャツとジーンズ姿。
周りには、人気は無い。
まるで人が滅んだ未来の街並みのようだ。
やがて、男の歩幅は狭くなり、雪の中に倒れこむ。


○新大久保 カウンセリングホーム あすなろの家(内部)

ここは引きこもりや不登校児達の為の施設。
普段は、大勢の子供たちがいるのだが、今日はこの大雪の為に誰も来ていない。
不意に電話がが鳴った。
奥の部屋から、1人の女性が出てくる。
彼女の名前は、御厨瑠璃。
このあすなろの家の娘であり、カウンセラーの1人だ。

326ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:07:32 ID:WJmeffV4
瑠璃「はい、あすなろの家ですが?
   あら、信也?
   今日?
   まだ誰も来てないのよ。
   ていうか、この雪じゃ今日は誰も来ないんじゃないかな?
   え? これから来るの?
   今どこに居るの? 西部新宿駅?
   あなた足が悪いんだから、私がこれから行くから、そこで待ってて」

瑠璃は相手の返答も待たず、電話を切ってしまった。

瑠璃「お父さん!
   今ね、信也君から電話があったから、私迎えに行って来る!」

そう言い残すと、玄関の傘たてから傘を引っこ抜き出て行ってしまった。
その声に反応するように、のっそりと男が現れた。
ホームの園長御厨忠志だ。

忠志「やれやれ、けたたましい奴だ」
327ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:10:04 ID:WJmeffV4
○新宿 西武新宿駅付近 歌舞伎町とを繋ぐ小さな横断歩道

また、1人の男が立っている。
手にはPDAを握られている。
画面には、レーダーらしきものが表示されていて、反応がある。

男「間違いない、この辺だ」

男はレーダーの反応を頼りに、駅のほうへ向かっていく。
そこには先ほどあすなろの家に電話をした、那川信也が瑠璃を待っている。
右足が悪いらしく、手にはステッキを携えている。


男「君、ここは今、ちょっと危険なんだ。
  すぐ離れたほうがいい」

信也は困ったような顔をして、視線を足に移し、男を見返す。

男「君、聞こえないのか?」

そこへ現れる瑠璃。

瑠璃「お待たせ、信也!
   あら、この人は?」

信也「それが…」

男「君たち、ここはもうすぐ危険な場所になる。
  早く離れたほうがいい」
328ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:10:53 ID:WJmeffV4
瑠璃「は?何言ってるんです?
   この子は、足が悪いんです。
   急に危ないからどこかへ行けって言われても、それを信用して良いのか分からないし、困ります!」

信也の顔はは瑠璃の”足が悪い”という言葉に少しの恥ずかしさと傷つきの表情を表していた。

瑠璃「それに、あなたは誰なんですか?
   見たところ警察の人でも無さそうなんですけど」

男「うーん、似たようなものかな。
  でも、俺の言うことは本当なんだけど、その理由を君たちに説明するわけには
  いかないんだよ。
  お願いだから、ほんの少し俺を信用して…」

男は急に言葉を切ると、PDAのレーダーを覗き込んだ。
表情が険しくなる。

男「ちっ…。
  そこから動かないで…」

瑠璃「何を言ってるんです?
   もういいわ。信也、こんな人放って置いて行こう」

男を無視して歩き出す瑠璃と信也。
男は相変わらずPDAを険しい顔で見つめている。
不意に男は二人を追いかけ、前に立ちはだかった。

瑠璃「な、なんなのよ!」

男「駄目だ、ここから先には行かせられない」
329ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:11:33 ID:WJmeffV4
瑠璃「な…」

男の体がまるで、見えない糸に引っ張られたように吹っ飛んだ。
男の持っていたPDAが、二人の足元に降り積もった雪の上に音も無く落ちた。

男「…なにをしてる!
  早く逃げろ!!」

だが瑠璃も信也も、何が起こったのか分からず呆然としている。
男は立ち上がろうとするが、ダメージと深く降り積もった雪に足を取られ、立ち上がれないでいる。
すると、二人の前に、異形の者が現れた。
人型のカマキリと機械を融合したような姿。
男はよろめきながら立ち、

男「坊主、足元のそいつを俺に投げてくれ!」

信也は異形の者におののきながらも、ステッキを捨て、倒れこむようにPDAを拾うと
男に向かって投げた。
男は、それを受け取ると、小さなカードのようなものを取り出し、PDAに差し込み
上着を跳ね上げた。
そこには、機械仕掛けのベルトが巻かれており、PDAから音声が流れた

PDA「ACCEPT]

男は、PDAを構えた。
PDAから何かの起動音が、雪に静まり返った街に鳴り響く。

男「変身!」

男はそう叫ぶと同時に、PDAをベルトに差し込んだ。
330ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:12:30 ID:WJmeffV4
PDA「GUINA LOADED」

不意に上空から緑色の光の柱が降り注ぎ、男を包み込んだ。
男の姿は、オニヤンマと機械を融合した鎧のような姿に変わっていた。
目の前にいる異形の者と男の変貌に呆然とする二人。
男は、異形の者に向かっていった。
深い雪をものともせず男はジャンプすると、異形の者にパンチを繰り出した。
大きく吹き飛ぶ異形の者。

男「どこかへ隠れているんだ!」

男は二人に言い残すと、再び異形のもに襲い掛かった。
その身のこなしはムエタイの選手のようで、独特のリズムで蹴りを主体に戦っていく。
やがて不利と見たのか、異形の者は、両手の周りの空間を水が波打つように歪ませ
鋭い鎌に変え、男に襲い掛かり、金属音と共に切り裂いた。
しかし、男の体は切り裂かれる度に、波紋のように波打ち、まったくダメージを受けていないようだった。
男は、ワンツーからミドルキックを放ち、異形の者を吹き飛ばし、ベルトに装着したPDAのカバーを開いた。
そこにはタッチパネルがあり、人差し指で何やら奇妙な紋章を描くと、男の手は緑の光に包まれた。
その手を上空にかざすと、空からエメラルド色の光線が異形の者に降り注いだ。
光に当たった異形の者とその周りは、まるで巨大な重力を掛けられたようにひしゃげていく。
男は滑り出すように走り出すと、そのままジャンプする。
両膝に銀色の光を纏い、跳び膝二段回し蹴りを叩き込むと、異形の者はメタリックグリーンの光に包まれ
霧が霧散するように、消えてしまった。
331ラグナ第一話 ◆SS980CPqHY :2005/09/14(水) 02:13:39 ID:WJmeffV4
瑠璃「な、なんなの…。
   なんなのよ、これ…TVの撮影かなんかなの?」

男はベルトからPDAを抜き取ると、何やらボタンを押し、カードを引き抜いた。

PDA「OVER」

すると、やはり霧が霧散するように男の姿が元に戻った。

男「大丈夫?怪我は無い?」

瑠璃「え、ええ。
   信也、あんたは?」

しかし、信也は瑠璃の言葉を聞いてなかった。
その視線は、ある一点を見つめていた。
それは、雪の中に倒れ、埋もれかけた季節外れの夏の姿の男であった。

第一話 終
332 ◆DppZDahiPc :2005/09/16(金) 22:48:35 ID:y1sC3Slq
(龍騎×555SS)
sign#第一話

――いつものこととは言え……
城戸は僅かばかりに歯噛み、持っていたメモ用紙をクシャクシャにしてジーンズのポケットに突っ込む。
辺りを見回し鏡、自らの姿を移す為の物を探す。その間にも手は肩にかけている鞄をまさぐり、ある物を取り出さんとする。
――ま、取材より人助け優先だよな。なんていっても、俺
路駐されたワゴン車のサイドミラーに、取り出したソレをかざし、微かに表情を引き締める。
ソレ、バックルをかざした鏡の中の自分の腰にベルトが出現。
馴れた動作で構え、バックルをベルトにはめ込み
「変身!」
 その刹那、城戸の身体がまるで赤熱の炎を纏った様に転化、異形の外殻が包む。
――ライダーなんだから


現実の光景をひっくり返した様なミラーワールドの中はいつもの如く閑散としていて、人気がしない。
赤い外殻を纏った城戸はフェイスガード越しに周囲を見渡す。
しかし、敵が居る。といった感触がしない、確かに何者かの気配は感じるが酷く弱々しい。
「あれ、おかしいなぁ……」


しかし、城戸が感じていないだけで、高層ビルの屋上に一人居た。――いつものこととは言え……
城戸は僅かばかりに歯噛
「やれやれ……俺も勘が鈍ったかな」
自身の体格とさして変わらぬ長距離砲のスコープを城戸に向けたまま、城戸とはまた違う外殻。どこか機械的な印象を受けるゾルダは、マスクの内でため息を吐いた。
ミラーモンスターが現れたと勘違いした迄は良いが、常日頃バカにしていた城戸も、というのは彼の自尊心を微かに傷つけた。
だからといって腹いせに城戸を撃つ訳にもいかない。
城戸自身、気づいていないだろうが。ライダー同士の戦いをかき乱す、ジョーカーとまではいかなくとも。城戸の存在というのは次第に大きくなってきている。
今生き残っているライダーはナイト、王蛇、ライア、それに彼と城戸。
ライアと城戸は積極的に彼を倒そうとはしないし、ナイトは未だにどこか迷っている。
けれど最大の懸案事項は何時自分へ鎌首をもたげるか分からない王蛇、浅倉猛だ。
 一対一で相対した場合死力となる。下手を打てば彼といえど殺られるかもしれない。
そうなった時に城戸は必要だ。
自分が負傷している間、別のライダーが現れ、手負いの自分を消そうとするかもしれない。
そういう場合。城戸は確実に助ける。
そこまで考えてゾルダ、北岡秀一は思考を止めた。
334 ◆DppZDahiPc :2005/09/16(金) 22:53:48 ID:y1sC3Slq
――それじゃ、まるでオトモダチじゃない。
肩を竦めて半笑するも、彼の顔を覆う仮面は無表情なまま。
「さてと、帰りますか――って!?」
瞬間、ミラーワールドに初めて訪れた時感じた恐怖が蘇り、背筋を伝う。
――浅倉か……いや、違う。けど、なんか嫌な……
長距離砲を再び構え、勘を頼りに周囲を探る。
手応えとでも言うような感触を。
しかし、やはり城戸しか近くには、
「…………灰色の狼……? お仲間、か?」
そこには……


ただ帰るのも癪だったのでと、城戸は微弱だが感じる気配を頼りに、策敵することにした。
この段階で取材先との約束の時間を過ぎていたが、城戸は気づかずミラーワールドを散策した。
そんなことをしていると、一瞬だが何かが『狂った』様な悪寒を受け、足を止めた。
――まるで……
二の句が浮かばないが、以前感じた様な気もする。けれど城戸自身それが何かは理解できなかったが。
何時の間にか俯いていた顔をあげると、そこに
「あ……え、えぇっ?」
うずくまった灰色の何かが居た。
「ミラー、モンスターなのか?」
それはピクリとも動かず、触ってみてもなんの反応も返さない。
335 ◆DppZDahiPc :2005/09/16(金) 22:54:29 ID:y1sC3Slq
モンスターというには、らしからぬ。けれど城戸はそれが何か説明出来る知識も口も無く、ただ呆然と眺めるばかりだ。
「まさか、死んでる?」
剣を召喚し、灰色の物体をつついてみると。解けるようにして、それは灰へと変わっていった。
城戸は不思議気にそれを眺めたが、息をつく間も無く灰が変化し、何かを形作っていく。
それはまさに産まれる瞬間だ、灰から何かが。
――そういえば人間は灰から作られたんだっけ。
何時か誰かから聞いた神話を思いだしながら生誕を見守る。
それは一時裸の人型を取ったかと思えば、直ぐに形状を変え、全く別の異形へと変貌していき。
 やがて一つの形を成した。
灰色の狼とでも言うのか、その異形は産まれて間もないのに痩躯を起こし、城戸を見下ろす。
城戸はジリと後ずさり、異形の両眼を見据える。
敵、だという感触は薄く。逆に親しみを滲ませる何処か寂しげな異形の瞳。
城戸は戦うのも忘れ、それを見入っていると。
瞬間、爆音が轟き、城戸の居た通りを吹き飛ばした。

スコープを覗き、ゾルダは僅かに口の端を歪めた。

一話了
336 ◆DppZDahiPc :2005/09/16(金) 23:02:03 ID:y1sC3Slq
新参ですが勢い付けの為、投下してみました。

>>332>>333の名前欄にある通り、オカシナミスを…………orz


城戸だったり、龍騎とは書いて無かったりは複線のつもりです。
バカシナリオにこれから少しの間お付き合い下さい(ノ∀`)
337 ◆DppZDahiPc :2005/09/17(土) 00:21:07 ID:WARdlRNh
字間違い大杉す。

これだから頭の性能が低いのは嫌だ…………orz
338名無しより愛をこめて:2005/09/20(火) 11:14:55 ID:1XlnBD4T
保守
339very short SS ◆SS980CPqHY :2005/09/20(火) 20:02:12 ID:OXfS6Mtd
【Someday Somewhere】

その日は、特別な日だった。
今にも落ちてきそうに重く垂れ込めた灰色の空。どこまでも続く荒廃した大地。完全に干上がった海。
そこかしこにある廃墟━━ほとんど自然物と化している━━が点在している。
人と言わず、生物の気配の欠片さえ無い。
強い風が、切り裂くような音と共に凄まじい量の砂塵を舞い上げていった。
こんな風景は、もう何世紀も続いている。しかし、今日だけは晴れた。 風すら吹いていない。
何世紀ぶりかの静寂が辺りを包んでいた。

やがて、その静寂を破る音が━━間違いなく人の足音だ━━が現れた。
その足音の持ち主は、1人の男だった。煤けたロングコート姿だ。
両手で何かを優しく包み、それに向かって話しかけている。
「━━ん、久々に晴れたよ。 見てごらん」
男は、うやうやしく両手を太陽に向かって差し出した。それは太陽の光を受け、キラキラと光った。
青い二つの小瓶だ。中には何かが入っている。
静かに両手を自分の胸元に戻すと、男は革の小袋に入れ、大事そう首にかけ、胸にしまいこんだ。

男はどこに向かうとも無く歩き続けていた。
時折、胸の革袋の辺りを撫ぜながら一言二言話しかけていた。
どれくらい歩き続けただろうか。空に再び陰りが見え始め、ぽつり、ぽつりと、雨が降り始めた。
「雨か・・・今日はどこかに雨宿りしないと駄目だね、あ━━」
辺りを白い光と大きな音がが包み込み、男の言葉をさえぎった。雷だった。
男は胸を雨から庇うようにし、足早に走り出した。
340very short SS ◆SS980CPqHY :2005/09/20(火) 20:04:27 ID:OXfS6Mtd
しばらく行くと、崩れたビルらしき残骸が、ちょっとしたテント型の空洞を作り出しているのを見つけた。
男はそこに駆け込むと、自分のことを構いもせず、革袋の中身の安否を確かめている。
「ごめん、濡れちゃったね・・・。寒くは無いかい?」
鋭い雷鳴と、激しい雨が辺りを埋め尽くしていた。
ふいに男の表情が険しいものに変わり、ある一点を睨みつけた。
その険しい表情は一瞬で、懐かしむ優しいもの変わっていた。
男のほうへ何かが近づいてくる。
「お前は・・・剣崎!」
剣崎と呼ばれた男の顔が、雷光に照らし出された。
それはまさに、剣崎一真だった。
「始、久しぶりだな」
男は相川始だった。
剣崎は雨に濡れたまま、始に語りかけた。
「皮肉なものさ、みんなを守る為に、俺はアンデッドになったのに。
 あの戦争で、俺たちだけが生き残る結果になった」
始は剣崎の言葉を黙って聞いていた。
「守るべきものも、全て滅びてしまった世界で、俺は━━」
そう言うと、剣崎の腰の周りから緑のベルトが現れた。
その右手にはAのカードが握られている。
剣崎は左手で別の12枚のカードを取り出した。
ハートの12枚━━カリスが封印したものだった。
「これは始のカードだ」
そういうと、始のほうへ放り投げた。
「少し待ってくれ、剣崎。
 この人たちだけは巻き込みたくない」
そう言うと、相川始は首から下げた革袋をそうっと外し、自分のコートで優しく包むと雨に濡れないように地面に埋め込んだ。
341very short SS ◆SS980CPqHY :2005/09/20(火) 20:07:15 ID:OXfS6Mtd
剣崎はその姿を見て問いかけた。
「それはまさか」
「ああ、天音ちゃんと遥香さんだ」
始はコートを埋めた場所から視線を外さず、こう語った。
「俺たちはアンデッドだ。歳をとる事も無い。
 天音ちゃんも大人になるにつれ、歳を全くとらない俺に疑問を持ち始めた。
 やがて、何もかも隠し切れなくなって、俺はあの家を出た。
 そしてあの戦争が起きた。
、核ミサイルが落ち━━俺はなんとも無かったが━━二人は重なるように焼け死んでいた」
そういうと、始はカードを拾い集め始めた
「俺は二人の亡骸を瓶の中に入れて、肌身離さずに今日まで来たんだ。
 お前は今までどこに?」
342very short SS ◆SS980CPqHY :2005/09/20(火) 20:09:02 ID:OXfS6Mtd
「俺は、あの日以来海の底で眠り続けていた。
 何度か目を覚ますことはあっても、どんなに人恋しくて寂しくなっても
 世界を守る為と信じ、海の底で眠り続けることを選んだ。
 だけど、あの戦争で海さえも干上がり、俺は目を覚ました。
 栞さんや虎太郎たち、橘さんも探したけど、もうこの世界は俺の知ってる世界じゃなくなってた」
そういうと剣崎は、悲しげな表情を浮かべた。
「俺は、この何十年間も生き残った人を探して世界を歩き続けた。
 だけど、もう俺たち二人だけだ。
 もう滅びの運命から守らなきゃいけないものも、何も無い。
 決着を付けよう」
始も意を決したように立ち上がり、Aのカードを構えた。
剣崎もAのカードをベルトにスライドさせた。
「━━変身!」CHANGE
剣崎の姿が弾けるようにカテゴリーAの姿に変わった。
始もそれに呼応するようにカードをスライドさせた。
「・・・変身」CHANGE
カリスの姿に変わる瞬間、始の視線は小瓶を埋めた場所に注がれていた。


二人はどちらかが封印されるまで戦い続けるだろう。
その結果、やはり統制者からはダークローチは生まれるのだろうか。
人間は、JOKERの勝利ではなく、自らの手で自分たちだけではなく、全ての生物を道連れに滅んでいった。
いったい、この世界で何を滅びに導くと言うのだろう。
「EVOLUTION」
「EVILUTION」
戦いの為だけの進化の声が、滅んだ世界に響き渡った。
まもなく、その答えは出る。


仮面ライダー剣-BLADE-:ANOTHER ENDING STORY 【Someday Somewhere】 Fin
343very short SS ◆SS980CPqHY :2005/09/20(火) 20:19:55 ID:OXfS6Mtd
ベリーショートと言う割りに、2レス分で収まりませんでした・・・。
自分の中で不定命の者と定命の者とが共存は出来ないだろうという、思いがありまして。
また不死である以上、いつまでも天音のそばにもいられないはずだろうと。
そして何より、永遠の命である以上、やがては自分が守った「人間」の滅びの日も目の当たりにするだろうと。
そのあと、二人の決着と言うより終末の再会はどんな風なんだろうと、考え描いてみました。
稚拙な文体ですが、大目に見つつ、ご自分で考えた二人の再会とを照らし合わせながら
ああでもない、こうでもないと、画面に向かってツッコミをいれてもらえたなら、無上の喜びです。

というわけで、ブレイドのSS(になるんですかね?)でした。
344名無しより愛をこめて:2005/09/21(水) 01:14:23 ID:5Q3/kguE
>>343
GJ!
よかったですけど、なんか悲しいですねぇ・・・・・
345343 ◆SS980CPqHY :2005/09/21(水) 15:46:05 ID:1qd4hssB
>>344
ありがとうございます。
大事なとこでタイプミスしてますが、許してください・・・。
3462005:2005/09/21(水) 16:24:15 ID:A1THpzMK
◆DppZDahiPcさん very short SS ◆SS980CPqHYさん
乙です〜 またよろしくです〜

俺はこの上無く非常に誤字・脱字率が高くてみなさまには迷惑掛けてます orz
347名無しより愛をこめて:2005/09/21(水) 20:34:08 ID:fdKZ2SCO
>>346
まぁ、人間は間違える生き物ですから、そんなに気にせず。
348名無しより愛をこめて:2005/09/23(金) 08:23:53 ID:sQ2tTwwU
1号vs2号の最終決戦SSに似て、物悲しいですね…
349名無しより愛をこめて:2005/09/23(金) 21:51:03 ID:2U27o22V
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < そろそろ沈没さんの新作も読みたいでーす
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |オーストラリアみかん |/
350名無しより愛をこめて:2005/09/25(日) 14:01:28 ID:hNxeQlv2
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < まとめサイトの更新まだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |国産愛媛みかん|/
351GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 15:02:08 ID:LWZ99XF7
初めまして。それでは書かせていただきます。

仮面ライダー エピソード∞ 第0001話

 と、ある場所にある高級レストランの一角に、彼等は居た。夜風吹き荒ぶ外気
とは正に別世界のテーブル上には、格式高いメニューが落ち着いたペースで運ば
れる。
 一つの円卓に紳士淑女が三人。一人は社長という立場に就く歳若き男だった。
その表情には若者の活気と人の上に立つ立場の者としての威厳が揃えられている。
 今二人は、立場上は彼の部下である人物だった。だが、それもいわば形式だけの 
もので、業務上は社長に逆らう権限は明記されていないものの、実質としては彼に
対し自由に意見を述べられる立場に二人は居る。
 彼等、琢磨、影山の両名は、そうした立場を有する4人衆、人呼んで『ラッキー
クローバー』の一員だった。
 琢磨逸朗は、グラスを静かに卓上に置くと、おもむろに話を切り出した。
「……村上さん、ではそろそろお伺いしましょうか。あなたのお話とやらをね」
 歳は若いが、堂々たる風格を持つ社長は、苦笑しつつ答える。
「貴方もせっかちなお方だ。ここのシェフは上の上、ミシュランにこそ未掲載です
が、その腕前は貴方も味わっている通りのものです」
 申し訳ないが村上さん、と琢磨は再び切り出した。
「あなたの言う所のお話というものが気になって、僕は先刻から落ち着いて味の繊
細さを楽しむ事が出来ないでいましてね……」
 彼は、冗談めかして言う。
「それでは致し方ありませんね。私はまずここの料理を楽しんで頂きたかったので
が、そういう事でしたらお話せねば」
「聞かせてもうらおうかしら?」
 影山冴子も、妖しい笑みを浮かべる。
「こうなれば、手短にお話した方がいいでしょう。実は、あなた方にお願いしたい
事がありまして」
352GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 15:10:46 ID:LWZ99XF7
「あら、村上君から頼みごとなんて、怖いわね」
 しかし影山の顔は笑みを浮かべる。
「何、簡単な事ですよ。あなた方にとってはね」
 村上は、魚の料理を一口口に運ぶ。そしてワインでそれを流し込むと、話を切り
出した。
「こういった所で他店の名を口にするのははばかられるのですが、お二人はレスト
ラン・アギトという店を御存じでしょうか」
「行った事はありませんが、評判だけは耳にしますね」
 琢磨が答える。
「実は後日、お二人にそこへ行って頂きたいのです。無論その際の飲食代は社のカ
ードを使って頂いて結構ですよ。これは、いわば我々の業務です」
「と、言うと、その店の関係者が………………」
 琢磨は、そこで言葉を濁らせた。村上が言う。
「ここでは、マナーに反しさえしなければ発言は自由です。会員制でしてね……社
の高級幹部以外は入店できない仕組みになってます」
「もっと早く教えてくれればよかったのに」
 影山が料理を口に運ぶ。
「これは失礼……以降御愛顧下さい。ところで琢磨さん、そう、その店の関係者は、
いわゆる常人ではありません」
 影山、琢磨の二人がなるほど、とうなずく。
「ですが、オルフェノクでもありません」
 一瞬の沈黙がテーブルに流れる。村上は、ちらと左右を伺うと、待っていたかの
ように話を切り出した。
「……お話しましょうか。我が社の調査によりますと、彼、沢木哲也は『アギト』
と呼ばれる存在らしいのです」
「アギト…… ?」
353GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 15:11:17 ID:LWZ99XF7

 私の名は神崎士郎。
 私のカードの力で、今まで幾つもの物語が語られたのは貴方達も良く知っている
だろう。その多くは、不本意な事情を修正すべくやむを得ず行ったものだが、それ
を可能にするまで、私は幾度か実験を行ってきた。
 これは、私が行ったそんな実験の中でも、とりわけ興味深い流れとなった物語だ。 
 この世界では、ライダーと呼ばれる者はカードデッキの所持者だけではない。
 ある者は進化した人間として、ある者は企業の傀儡として、そしてある者は
伝説の存在として…………
 彼等ライダーが、いかなる戦いを繰り広げるのか……
 それは、貴方達の目で確かめて欲しい…………
354GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 20:46:19 ID:LWZ99XF7
第0002話

 その晩、琢磨逸朗と影山冴子は、都内某所にある、レストラン・アギトを訪ねた。
「アギト、ですか」
 郊外の夕闇にライトアップされた店の看板を、琢磨は見遣る。そこには、店の名
と共に何かのシンボルマークがあしらわれていた。昆虫の顔のようにも、動物の角
の様にも見える。
「影山さん、1年前、都内を中心に起こったあの事件を覚えていますか」
 琢磨は視線を保ったまま歩を進めつつ、傍らの影山に訪ねた。
「私も少し調べさせてもらったわ……警察ではアンノウンって呼んでいるそうね」
「ええ、アンノウン……つまり、正体不明という事です。つまりは、警察は無力
にも1年間にわたって自らが戦っている敵の正体を把握できず終いだった、といっ
たところですか……」
「で、琢磨君、あなたは知っているのかしら? そのアンノウンの正体を」
 視線を合わせず、影山が問う。店のドアを明けつつ、彼は答えた。
「彼等は、『ロード』ですよ。間違いありません」

 同店の一角では、店に馴染みのある顔が揃っていた。
「おや、氷川さん…………」
 予約席を囲む内の一人が、隣に座る長髪の若者に語りかける。年令は長髪の若者
と同じ程度だろうか、鋭い眼差しが印象的な男だ。
「その料理は、そうやって頂くものではありませんよ。フォークでで肉を押さえ、
ナイフで削ぐようにすれば、そんな食べ方をしなくてもいいのに」
「ふん、何を言うんですか」
 氷川誠は、鋭い眼差しの男……北條透に虚勢を張り反論する。
「確かにある程度のマナーは必要かも知れない。しかし、北條さんがやってるみた
いな方法で万人が食べねばならない決まりなんて無い筈だ。津上さんだって、そん
な堅苦しい作法は望んでいませんよ、きっと」
355GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 20:47:39 ID:LWZ99XF7
「おっしゃいますね。しかしいいですか、氷川さん、マナーというものは主観的な
ものでは無いのです。受け手としては効率的に、周囲から見ればエレガントに。
そもそも、洋食とは猟で狩って来た獲物を薪の直火で料理する、決して上品とは言
えない、ある種、野蛮ともいえる出発点を持っています。ゆえに、頂く際のマナー
は常にその時点での文明レベルにおいて一歩先を行くものでなければならない……」
 そして彼はこう締めた。
「違いますか?」
「確かにそれはそうかも知れませんが……だからといって、それに気をつかいすぎ
る余り料理を楽しめないのであれば、正に本末転倒じゃありませんか?」
 氷川の熱のこもった反論に、北條は余裕の笑みをもって答えた。
「それはあなたが、気をつかわねばマナーを発揮できない人間だからです。私のよ
うにマナーというものが骨の随まで行き渡っていれさえすれば、気をつかうまでも
なく、見た目にも味覚的にも最も効率良く頂けるのですよ」
「やめなさい。もっと美味しく頂きましょう」
 氷川の隣に座る、細い線ながらも強い意志を感じさす面持ちの女性が釘を刺した。 彼女……小沢澄子は、実の所
「料理が不味くなるわ」
 と、言いたかったのだが、それでは場の空気を更に気まずくするだけである。折
角久しぶりに一同が集まったのだから、それは野暮の極みというものだろう。
「それに、こういった場所で知識をあまりひけらかすものではなくてよ。能有る鷹
は爪を隠す、という事はを御存じかしら?」
 北條は、にやりと笑みを浮かべ言う。
「確かに……こんなことは基本ですからね」
「さ、仕切り直しよ! 美味しく食べましょ!」

 
356GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/25(日) 20:48:51 ID:LWZ99XF7
琢磨と影山は、それらのやりとりを遠目に見ながら同時に店内を見回した。
 琢磨は凡人のやりとりに苦笑する。その間に給仕が二人を出迎えた。
「予約していた影山だけど、いいかしら?」
 彼女は給仕に告げる。そして、琢磨と席に案内される間に、再度店内を見回す。
「どう? 琢磨君」
 琢磨は、その意味を見てとり返す。
「客層が随分と広いですね。まるで流行りのファミリー
レストランだ」
 先刻の饒舌な客をちらと見つつ言うパートナーに、影山は返す。
「それでいて、ファミレスにありがちな凡俗な雰囲気は希薄……オーナーのセンス
だとしたら、なかなかのものね」
「オーナーの人柄を詮索するのは、料理を頂いてからにしましょう。ここのシェフ
はオーナーでもありますからね……それが一番確実ですよ」
 二人は、壁際の予約席に付き、メニューを渡された。
「それじゃあ、シェフのお薦めコースを。あとワインはこれを貰おうかしら」
 予め予定していたメニューを注文し終えると、二人は先刻の話題に戻った。
「ところで、その『ロード』なんですが………………」



 私の名は神崎士郎。
 
 私もこういった店で食事をしてみたいのだが、あいにく私の持つカードでは
決済が不可能だ……
それ以前に、今の私には戸籍や身分を示すものが無いので、そういった種の
カードを持つ事が許されない……

 いつの日にか、私がおいしい食事をする事が可能になるのか…………
 貴方達も、それを祈って欲しい………… 

                        第0002話  終
357GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/27(火) 00:03:04 ID:QNb+C2yg
第0003話

「ロード……? 聞いた事はあるけど……」
 とりあえず、お話を聞こうかしら…… 影山冴子は告げる。琢磨はそれに応じた。
「三年前、日本を恐怖の渦に叩き込んだ未確認生物事件は御存じですね? 彼等
未確認は……学術的にはグロンギというそうですが、ロードというのは彼等グロ
ンギが崇拝していた、高次の存在の事ですよ」
 彼は一呼吸置き、続ける。
「詳しいお話は食事でもしながら……、と行きたいところですが、気になるで
しょう。僕の話の続きが」
 あくまで気取り彼は話す。
「ええ、是非お聞きしたいわ」
 言葉とは裏腹に、射抜くような視線で影山は語る。
「ふ、怖いお人だ……」
 彼は話を続けた。
「ロードを語る前に、グロンギと『我々』の進化のお話をしましょう。『我々』
のような特殊な、例えば一見すると超物理的なような能力を持つ方向に進化する
事を『立体進化』と呼ぶという事は御存じですか?」
「スマートブレインの研究部が最近発表した説ね」
「ええ、通常の生物の進化が、あくまで紙の上に描かれたような『平面進化』で
あるのに対し、グロンギ等の進化はそれに対して三次元方向に進化している形態で
ある、とする説です。いわば『我々』の能力は、異次元的なものであると言える
わけです」
 淡々と語る琢磨に対し、影山の眼差しは興味を示す。
「ロードは、元からその異次元にいる存在だと?」
「残念ながらそこまでは断定できません。あるいはロードの更に上の存在がいるの
かも…… いずれにせよ、グロンギよりは高い存在である事は確な様ですね」
 
358GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/27(火) 00:04:13 ID:QNb+C2yg
 影山が問う。
「それは貴方の見解?」
 いえ、と男は眼鏡を直す。
「グロンギに対する調査論文と、ロードに関する研究を比較すれば誰しも辿り着く
結論ですよ。それによるとグロンギの戦闘形態は動物のそれを模した、というより
ロードを模してあの姿に行き着いたらしいんですよ」
 続ける。
「更にお話すると長くなってしまいますが…… これはグロンギと闘った古代人の
記録によれば、重ねますがロードをグロンギが崇拝していた事は、まず間違いあり
ません。いずれは、ロードすら追いこすつもりだったのかも……」
 彼は続ける。
「でも、当のロードの活動が本格的に始まったのはこのグロンギが掃討されてから
の事……これこそが今回お話したい話の核心なんです」
「どういう事?」
 影山は、もはや琢磨の話の虜となっていた。
「それが、村上さんが仰っていた『アギト』ですよ。この『アギト』こそが、我々
オルフェノクの天敵になる可能性を秘めた、極めて危険な存在かも知れないんです」
 声を潜め、しかし力を込めて琢磨は言った。
「村上さんが危惧する筈ですよ……」
 だが、その表情は、どことはなしに楽しそうなものだった。
 その時、影山の目は一人のスーツ姿の男を捉えた。
 向う側も、影山に気付く。
「あれ? 影山さんじゃない。社長は元気?」
「あら、北岡先生。御無沙汰ね」
 影山と北岡秀一が出逢うのは、彼が弁護を請け負った会社絡みのさる事件の、
最高裁での席以来だった。あれから2ヶ月ほどになるのか。若干痩せた風にも見え
るが、飄々とした振る舞いは相変わらずだった。
359GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/27(火) 00:05:05 ID:QNb+C2yg
「堅苦しいねえ。北岡『君』でいいよ。そっちは琢磨くんだっけか。イェーツが好
きだったよね」
「ええ、専ら原書で読んでます。邦訳すると、どうしてもニュアンスが違ってきて
しまいますので」
「ふうん、なるほど。でもイェーツはいいよね。俺は『薔薇』なんて好きだな」
「僕は『薔薇』はちょっとね……いえ、個人的な事情がありまして」
「ま、詩ってそういうふうに色々思い起こさせるよね。ところで、ぶっちゃけこ
の店どうよ? うちの吾郎ちゃんお薦めなんだけどさ、俺こういう庶民派の店っ
て、どうも苦手なんだよね」
 「そうはおっしゃいますが、時には大地の視点で大空を見上げてみるのも乙な
ものですよ」
「言うじゃない」
 北岡は、楽しそうに笑った。そして給仕を呼び止める。
「あ、ちょっといいかな」
 彼は、上機嫌で告げた。
「俺この人たちとお話したいんで、隣の席にしてくれる?」
 表情を曇らす影山に、北岡がすかさず言う。
「あれ? 取込み中なの?」
「いえ、仕事の話が乗って来た所でしたので……」
 だが、琢磨はこう続けた。
「まあ、そうですね…… 折角ですから影山さん、そろそろ本来の目的に戻りま
しょうか。この店の評価を、村上さんに伝えるという仕事にね………………」
 琢磨は、にやりと笑みを浮かべた。
360GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/27(火) 00:06:18 ID:QNb+C2yg
私の名は神崎士郎。

ロード、グロンギ、アギト、そしてオルフェノク………………
 これらを結ぶ線は、いったいどう言った状態ではり巡らされているのか……

 それは、遠からず明らかとなるだろう…………

 そして、貴方達は既に気付いている筈だ……
 この店が、遠からず常ならざる状態に置かれる事を…………
 
 また、私がこの店で平穏に食事が出来そうにない事を…………

 私は書き換える事は可能だが、ねじ曲げる事は出来ない……
 それが、神ならざる私の限界だ…………


            第0003話 完
361GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/09/27(火) 00:14:24 ID:WW3x2tGO
すみません、申し遅れましたがモチーフは平成ライダーの、クウガから
響鬼まで全てです。
362名無しより愛をこめて:2005/09/27(火) 16:02:30 ID:gfRsJMON
GvsZ ◆2V5TMXGvAsさんGJ。琢磨くんが北条さんを見る辺りで笑ってまいました
363名無しより愛をこめて:2005/09/28(水) 00:06:46 ID:d7hp3ysW
ROMってましたがGvsZ ◆2V5TMXGvAsさんGJ。
剣〜響鬼がどのように絡むのか楽しみです
364名無しより愛をこめて:2005/09/30(金) 21:59:24 ID:n6TJqD61
皆様・・・続きをお願いします
   ☆           
     ヽ   ☆      
       =≡= ∧_∧          ☆。:.+: 
        / 〃(・∀・ #)  シャンシャン   
      〆  ┌\と\と.ヾ∈≡∋ゞ  マチクタビレタ〜
       ||  γ ⌒ヽヽコ ノ || 
   ドコドコ || ΣΣ  .|:::|∪〓 || 
.     /|\人 _.ノノ _||_. /|\ :.°+ 
                               。::.☆ο
 マチクタビレタ〜  
365名無しより愛をこめて:2005/10/02(日) 19:34:42 ID:bswdIKyZ
「仮面ライダー2005 EPISODE」おもしろいです

タブーを犯したために呪われた主人公
(本郷の忠告も聞かず、基地へ乗り込んだため、超能力を得た隼人)
            ↓
その力の正しい使い方を知るが、彼の呪いは融けない
(ライダーとして敵を倒しても、その結果、手を洗わずにはいられない)
            ↓
           破 滅

というパターンは面白いと思います。
このパターンの話をラノベ当たりで見たいと思ってみたり。
このパターンで電撃あたりの新人賞に応募なさっては?
366前スレ728:2005/10/03(月) 03:17:35 ID:sEHosiMA
『未来、悲しみが終わる場所。』
プロローグ〜ある物語の終わりと小さな星の話〜













「人間賛歌は勇気の賛歌ッ!! 人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!」

――――――――――――荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』より













367前スレ728:2005/10/03(月) 03:29:44 ID:sEHosiMA
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン・・・・!!!!
「はっははははははははははははははははははははははははっ!!」

邪神の咆哮とそれを繰る、白い道化師の呪いの哄笑が空に響く。
その蒼白の巨躯を揺すりながら、邪神は天空を泳いでいた。
吸い込まれそうになるほど白くて、金の紋様を散りばめたその姿はおぞましくも神々しく見える。
しかし『これ』は紛れも無く、すべての生命を滅ぼさんとしている邪悪の化身なのだった。

邪神の魔力により空は暗雲に覆われ、海は荒れ狂い、滝のように降り頻る雨が地を打つ。
地上を這う三人の戦士を叩き潰すべく、邪神の四本もある腕に握られた剣、天秤、聖杯、棍棒からは
火の雨と雷が放たれ、大地を打ち砕き、そして焼き尽くした。

戦士たちは邪神と道化師を斃さんと、不死者の力を借りてその身を天空へと躍らせる。
しかし彼らは皆、邪神の一撃により翅をもがれた羽虫のごとく、大地に叩き伏せられてしまった。
この『物語』を見る誰もが絶望したであろうその時、立ち向かう戦士が一人。


『アブゾーブQueen、、、、エヴォリューションKing!』
紫紺の戦士が2枚の『カード』を左手に備えた機械へセットし、スラッシュした。
すると豪雨の中、その電子音が響き――――――――――――――――

バシュウウウウウウウウウウッ

13体の動植物を模したレリーフが空中に現れ――――――――――――――――

ギュウウウウウウウウウウウン

それらが戦士の身体へと吸い込まれると――――――――――――――――

黄金の鎧をまとった王が、悠然と立っていた。

368前スレ728:2005/10/03(月) 03:31:06 ID:sEHosiMA

『10、Jack、Queen、King、Ace、、、、ロイヤルストレートフラッシュ!』
王がその左手に持った大剣に5枚のカードを差し込むと、厳かに死の宣告が邪神と道化師に言い渡される。

そして王が天空へと飛び立ち、邪神の眼前で大剣を構えると、五つのレリーフ―――死の刻印だ―――が現れた。

「ウェエアアアァァ――――――――!!!」
裂帛の気合と共に、不死者をも滅する王の一撃が放たれ、邪神と道化師を両断する。

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!
「ぎぃいいいいやぁあああああああああああああああああっ!!!!」

邪神と道化師は断末魔の悲鳴をあげ、その身体は閃光を放ちながら消滅していった。
世界は光に包まれていき、邪悪が滅びようとしていた。だが――――――――――――
369前スレ728:2005/10/03(月) 03:32:12 ID:sEHosiMA














『・・・ナオス・・・ベテヲ・・・・』














370前スレ728:2005/10/03(月) 03:35:44 ID:sEHosiMA

すべてが終わったその日、日本からチベットへと向かう59の光が、多くの人工衛星により観測された。
371前スレ728:2005/10/03(月) 03:48:05 ID:sEHosiMA
深夜に失礼します。前スレ728です。
やっとプロローグが完成できたので投下しました。

なんども読み直したんですが、あらためて書き込んでみると、
おかしいところが沢山ありますね・・・・
一レスごとの文章量とか、ちぐはぐでバランスが悪い・・・すいません。

これで『ある物語の終わり』は終了です。
プロローグ後半『小さな星の話』は明日、というか今日投下します。
月曜が休みでよかった・・・・寝よう・・・・・・
372名無しより愛をこめて:2005/10/08(土) 15:33:02 ID:BDy368Xu
保守
373名無しより愛をこめて:2005/10/08(土) 23:32:15 ID:8q+DEizm
     ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |オーストラリアみかん|/
374名無しより愛をこめて:2005/10/10(月) 21:48:01 ID:U8QFwHup
ほしゅ
375555外伝 もう一人の夢の守人:2005/10/11(火) 21:28:21 ID:+jOxBx0/
パパ。
―――それは私に向けられた言葉なのか?
琢磨は一瞬戸惑うが、すぐに頭を切り替える。
―――大体私はまだ・・・
いや、切り替えなければ。
センチピードに殴り掛かる蒼い装甲服。
攻撃を受け止めながら、記憶からその正体を検索する。
相手はおそらくサイガ―――天のベルトと呼ばれていた筈のスマートブレインの切り札の一つだろう。
だが、それにしては―――
一箇所だけ、違和感を感じる。
何処だ、いや―――切り替えろ!
サイガの拳を受け止めるセンチピード。
即座に反撃の膝蹴りが、私の意識を吹き飛ばしかける。
どさり。
―――少々冷静さを欠いた攻撃だが、純粋な攻撃力はあの北崎さん並だ。
なんとか防げてはいるが―――勝てるか?
一瞬にしてNOと答える自分の意識に、少し苛付いた。
そして、倒れた自分に迫る追い討ちを避け、飛び起きる反動で両足をその仮面に食らわせる。
吹き飛ばされながらも、優雅に宙返りをして着地するサイガ。
サイガは、まるで何も無かったかのように立ち上がる。
「大丈夫かぁ!」
―――スネークオルフェノク、海堂の声が聞こえた。
サイガヘ向かって、一直線で向かってくるスネーク、そして。
「今、行きます!」
氷川まで居るのか!?
状況を理解しているのか!?・・・・あの一般人は―――ッ!
早く逃げ―――
そう叫ぼうとした瞬間。
376555外伝 もう一人の夢の守人:2005/10/11(火) 21:29:16 ID:+jOxBx0/
その行く手を阻むかのように、サイガとスネークの間で止まる一台のバイク。
サイガ―――レオが此処まで乗って来た物だ。
『邪魔なんだよぉ!君等はコイツとでも遊んでいてくれ!』
先程までとは違う感情的なサイガに、一瞬驚くスネーク。
そして、目の前で変形を始めるバイクに、なおさら驚いた。
「コイツは―――ッ!?」
「知っているんですか!?」
銃を構える氷川に、スネークの影、海堂は答える。
「コイツは・・・・」
一度は自分の物になった、目の前のヒトガタのことを。
「・・・・・オート・バジン。アイツの・・・乾の相棒だ!」
カラカラカラカラ。
バイザーを光らせるバジン、スネーク達へ向けられた前輪。
そこから放たれる銃弾を避け、結局二人はサイガから離れることになった。
『・・・・メインを味わう途中なんだ・・・邪魔するな・・・ッ!』
そして即座に近づかれ、目前に迫る拳を見ると、センチピードはとっさに腕を交差、防御する。
ジリジリと迫る無表情な仮面。
時代劇の鍔迫り合いさながらに拳で迫り合うサイガとセンチピード。
『まだまだ楽しませてよぉ!』
その無邪気ともいえる台詞に、センチピードの影は答える。
「・・・糞」
流石にこの言葉までは、訳したくなかった。
377555外伝 もう一人の夢の守人:2005/10/11(火) 21:30:30 ID:+jOxBx0/
「いい加減にしろォ!」
一直線に氷川の方に向かってくるアンノウンに、フレイムフォームでアギトは切りかかる。
その紅い剣は、アンノウンの鎌に受け止められた。
火花を立てじりじりと迫る距離、そして。
「ウウェェアァ!」
咆哮と共になぎ払われ、アギトは吹き飛ばされた。
だが。
「喰らえ!」
burstmodeと言う声と共のその言葉。
放たれた光は空間を引き裂き、アンノウンに直撃する。
アンノウンは一瞬よろめき―――
そこへ、体制を取り戻し切りかかる蒼い風。
アギト・ストームフォーム。
「はぁぁぁぁあ!」
その青い嵐にはじかれた鎌が、大地に刺さるまでのわずか数秒の間。
ハルバートはアンノウンを切り刻む。
ザクリと、大地に鎌が刺さる音が空気を震わせ―――
大地に両手を突くアンノウン。
発生する天使の輪が、なんとも滑稽に映る。
そしてアンノウンは、また同じようにそれを砕こうとした。
―――あと、ホンの数秒早ければ、砕けていたであろう。
378555外伝 もう一人の夢の守人:2005/10/11(火) 21:31:23 ID:+jOxBx0/
黒い巨体が、アンノウンを跳ね飛ばす前に、
デルタの専用機、ジェット・スライガーが来るよりも前に、動けていたのならば。
「そっちが何度も生き返るのなら―ー―」
ブースターを吹かし、一旦地面に転がるアンノウンから離れた愛機に乗り込むデルタ。
その指がスライガーに命令し。
立ち上がったアンノウンへ向けられる車体。
「終わりが来るまで、壊すだけだァ!」
そして、展開。
気持ち悪くなる程のミサイルが、放たれた。
アンノウンにそれを避ける間は無く、吸い込まれるように直撃した。
その姿を爆音と火柱が覆い隠し、数秒後ボロボロのアンノウンの影が見えて来る。
体の所々から終わりの象徴―――灰を出しながらも、一部は再生を始めているその姿は、
やはりその存在が人知を超えたものである事を意味している。
そして、アンノウンは気付いた。
先程と同じく、自分に迫る黒い巨体に。
そして、アンノウンは気付いた。
その黒い巨体の上に乗る、金色のアギトに。
「これで――――」
そして、跳躍。
「終わりだぁぁぁぁァァァッ!!」
先程のミサイルのように、スライガーから飛び立つアギト。
紋章を潜り、さらに加速し迫るアギトを避ける術は、ボロボロのアンノウンには残っていなかった。
ジェットスライガーの加速と、アギトの紋章の力。
それらを合体させた攻撃は―――
貫通。
アンノウンの上半身と下半身を突き破り、そのまま完全なる消滅―――灰化を齎した。
379555外伝 もう一人の夢の守人:2005/10/11(火) 21:32:34 ID:+jOxBx0/
終わり―――か。
なるほど。
確かに、そうだ。
サイガの拳に吹き飛ばされ、宙を舞う琢磨はそう思っていた。
霞がかった風景の中で、蒼いサイガがくっきりと見える。
そして、此方へ向けて追い討ちをかけようと向けられたフォン・ブラスターも。

終わり、か。
今思えば―――
なんで、私はこうまで此処に拘っていたんだろうか?
今までだったら、逃げ出しても何とも思わなかったのに。

どおん。

終わり、か。
今思えば―――
結局私は、如何すればよかったのだろう?
アンノウンとして生きるのか。
ヒトとして生きるのか。
結局、ワタシ、は、


耳が、遠くなった。
目が、見辛くなった。
意識が、何処かへ行った。
それと―――
腹が、
腹が、痛かった。

どさ。
380GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:10:48 ID:LtJiKWM8
仮面ライダー エピソード∞   第0004話

 運ばれて来た食事を口にしつつ、影山と琢磨は語り合った。
「影山さん……どう思います?」
 影山冴子は、白ワインを一口口に運ぶと答えた。
「なかなか良いんじゃない? 私は好きよ、こういう味は」
「ま、思った以上ではあるよね」
 北岡も続けた。
「僕の感想を述べましょう……本来、食事の席でこういった話をするのは不粋と捉
える向きもお有りでしょうが…………」
 琢磨は語った。
「今まで運ばれて来たコースは、いずれも伝統的なフレンチやイタリアンをベース
としつつも、その根底を為す良さを維持しながら庶民に馴染みある方向にアレンジ
されてます。ここのシェフは下積みこそ1年ほどだと聞いてますが、だとしたら、
これは正に弛まぬリサーチの賜物だと言えますね」
 彼は続けた。
「……本当の所を言いましょう。これらの料理は、儲けのために作られた味ではあ
りません。心から皆に美味しいものを提供したい…………そういう心根でなければ、こういった味は出ない」
 だが、次に続けた彼の言葉は、意外なものだった。琢磨はパートナーに向け、言う。
「…………影山さん、これは厄介ですよ」
「どういう事かしら?」
「ここのシェフ……沢木哲也(津上翔一)は、いわゆる『正義の味方』です。村上
さんが考えるような存在だとしたら、尚の事厄介だ」
「ふうん、何かまた良からぬ事を企んでるんじゃない?」
 北岡が冗談めかして言う。
「お察し頂けると思いますが、少々込み入った話でしてね。おっと、御当人が見え
ましたよ」
 二人が琢磨の視線を追うと、厨房の方から調理服姿の若者が、客に挨拶して回っ
ているのが伺えた。
381GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:11:41 ID:LtJiKWM8
「愛想を振りまくと同時に、さり気なくお客の意見を聞いて回ってる、といった所
かしら」
歳若きシェフは、笑顔でテーブルの客と短い談笑を交わしている。だが、
「!」
 彼は、突如何かを思い出したかの様に頭を上げ、客に短く詫びを入れその場を後
にした。
「何かあったのかしら?」
 影山が不審に思う。
「鍋の時間でも思い出したのでしょう。とりあえず、彼がここまで来たら一応言っ
ておきますよ。絶賛の言葉をね」
 彼は続けた。
「一応、料理は気に要りましたので」
 影山が、ふふ、と笑む。
「こういった席では、あまり不躾な発言は
しない主義でしてね」
 しかし直後、今度は北岡が頭を上げる。
「何か?」
 琢磨の問いに、北岡は答える。
「いや、うちの吾郎ちゃんにちょっと言付けを忘れてね…… なに、大した用事
じゃないから食事の後にでも電話する事にしたよ」
「はは、僕はまた近くにお化けでもいるのかと思いましたよ」
「それじゃあここのシェフも同じね」
 笑う二人をよそに、北岡は思っていた。
 
……ま、俺が出なくてもあいつがいるから大丈夫でしょ…… と。
382GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:12:37 ID:LtJiKWM8
一方ここは、レストラン・アギトの厨房を抜けた裏口である。翔一は、手を腰に
添え何かのポーズを取った。だがその時、
「おっと、まだあんたの出番じゃないぜ」
 窓明かりに煙る湯気の向うから、一人の若者が現れ、告げた。
「お客があんたとの話を楽しみにしてるんだ。
行ってやれよ」
「乾君…………」
 その後を、別の若者が急ぎ足で追って来る。
「おいおい! おいてくなよ……!」
「あれ!? 城戸君も来てたの」
「いや、こいつが抜け駆けしようとするからさ…………」
「俺一人で充分だ。お前は特ダネでも探してろ」
 乾巧は、城戸真司にぶっきらぼうに言う。
「そうじゃないんだよ、この反応はヤバいんだって!!」
 巧は、3秒ほど黙った後、言う。
「足手纏いにだけは成んなよ」
 そして、翔一に告げた。
「そういうわけだ。あんたはあんたの仕事に専念しててくれ。ここは俺達が引き受
ける」
 翔一は、しばらく渋い顔をするも、笑顔でそれを承諾した。
383GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:13:31 ID:LtJiKWM8
 そして、一方では更に別の二人が動いていた。
夜の公園にバイクを停め、彼等は周囲を見回す。
「敵がアンデッドだけなら、まだ勝手は知れているんだが……」
「しかし橘さん、奴ら何で今頃になって……」
「正確な情報は俺にも伝わってない。しかし可能性があるとすれば……」
 橘は続ける。
「あれだけの捜査体勢プラス、クウガの活躍だ。あの時復活した奴らは根絶やしに
なったと見てまず間違いは無い。と、すればあの戦いの後で復活したグループがい
るのか、あるいは……」
「アンデッドの様に、何者かが復活させた、って言うんですか?」
 若者…… 剣崎一真は問う。橘は答えた。
「可能性の問題だ。それよりも、奴らは力を付ければ付けるほど、攻撃力と同時に
倒された際の爆発力も大きくなる。最強の『ゴ』ともなれば、個体にもよるが大型
の爆弾ほどの大爆発をするそうだ」
 剣崎は息を飲む。
「そうなった場合、どうすれば……」
「そうなる前にやるんだ。幸い、今度はこちらにも戦力が多い。睦月と始は別な
場所に向ってもらっているが、それを補う為の助っ人を呼んである。そろそろ到着
している筈なんだが……」
 橘は、眉をひそめ周囲を見回す。その時、彼の携帯電話が着信を告げた。
「橘だ…………………… そうか……………………ふむ、わかった。………………
いや、まだ合流してない。そっちから響鬼さんに連絡はつかないのか?…………
…………………… ふむ、仕方ない、俺と剣崎で先に動いていよう」
 直後、彼の表情と口調が一変する
「北西300m……!? わかった。じゃあ切るぞ!!」
 彼は、剣崎に言い放つ。
「この並木道のちょうど先に反応があったそうだ。行くぞ!!」
384GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:15:09 ID:LtJiKWM8
 その一方、都内とある廃虚にて、一つの勢力が動いていた。
 それは、人里を少々離れた、古びた洋館だった。一室には、試験管やビーカー、
そしてフラスコといった実験用具が並び、得体の知れない液体が何種類も中に収め
られ煙りを上げている。薄暗い照明のもとには、三人の男女の姿があった。
 一人は眼鏡をかけた長身長髪の、身なりのいい男性。一人は目鼻立ちのいい、同
じく身なりの良い女性。ともに着流しの和装である。
「なるほど、リントにしては見事だ……」
 野太い声でそう言ったのは、二人の何れでもなかった。声の主に、身なりのいい
男性が答える。
「気に入ってくれて何よりだ。さっきも言ったように、こちらの迷惑にさえならな
ければ戦力は可能な限り提供しよう。その代わり……」
「心得ている。じき、ここへ俺の仲間が地図を携えてやってくる。そこには貴様ら
の欲する知識の源が記されていよう」
 男は、研究室を見回しつつ続けた。
「それは、この研究に大いに役立つだろう。貴様らにとっても、この俺にとっても、
な……」
 それに答えたのは、身なりのいい女性だった。
「心強い限りですわ………… ええと、何ておっしゃいましたかしら……?」
 昔の軍人、といった風情の身なりをした、筋骨たくましい偉丈夫は答えた。
「ゴ・ガドル・バ。言い辛ければガドルでいい。さもなくば『破壊のカリスマ』と
でも呼んでもらおうか」
 笑えぬほどの威を込めた口調で、男は恐らくは独自のユーモア交えた笑みを
浮かべ、答えた。
385GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/12(水) 00:16:08 ID:LtJiKWM8
 私の名は神崎士郎。
 ついに、彼等の真なる敵が姿を現しはじめた…… 
 そして、物語は新たな局面を向かえた……

 貴方達は、知る事になるだろう…………
 人類の歴史に先んじ…………
 恐るべき超越者達の戦いがあった事を……

 それが如何なるものなのか…………
 いずれ、物語が明らかにしてくれる事だろう……



                         第0004話 完
386名無しより愛をこめて:2005/10/12(水) 23:40:15 ID:8bNIylB1
洋館夫妻
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
387名無しより愛をこめて:2005/10/13(木) 01:46:40 ID:EA+CyxpB
>>379-380
タイミングが絶妙すぎて、話が続いてるのかと思ったYO!
388名無しより愛をこめて:2005/10/13(木) 16:29:56 ID:kwDGo6jZ
洋館夫妻はなかよしだー
いつも二人で水洋館
(水入らずってことやね)
389名無しより愛をこめて:2005/10/13(木) 19:13:16 ID:0+VUe12K
洋館夫妻はなかよしだー
いつも二人でクリ洋館
(ピーってことやね)
390名無しより愛をこめて:2005/10/14(金) 17:54:54 ID:IgHX/XDu
フハー!
391名無しより愛をこめて:2005/10/15(土) 13:37:49 ID:rtH79CPb
すみません、ごめんなさい
つい洋館夫妻に反応しました…
もうしませんので続きお願いします…
392名無しより愛をこめて:2005/10/15(土) 13:54:11 ID:rB0zLxGg

   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( ´∀`)< 休日期待あげ!
  (    )  \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | | |
  (__)_)
393名無しより愛をこめて:2005/10/18(火) 19:22:43 ID:MNx1Y50e0
       ∧_∧      ∧_∧     ∧_∧
      ( ・∀・)     (. ・∀・)    ( ・∀・.)
     (;;"~゛;;;~゛;; )))  (;;"~゛;;;~゛;; )))  (;;"~゛;;;~゛;; )))
     . ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ    .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ    .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ


       ∧_∧      ∧_∧     ∧_∧
       (・∀・ )     .(・∀・ )    (.・∀・ )
   ((( ;;"~;;;"~゛;;)  ((( ;;"~;;;"~゛;;)  ((( ;;"~;;;"~゛;;)
    . ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ      ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ      ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ

新作応援あげ
394555外伝の中の人:2005/10/20(木) 14:37:35 ID:7R3rdlka0
昼間からこんにちは。
今までオリジナルのアンノウンやらブレイガン装備デルタやら無茶なものを出しましたけど、
TVに出たキャラクターのオリジナル状態+オリジナル能力ってありですかね?
395名無しより愛をこめて:2005/10/20(木) 21:09:20 ID:5bo4r0Rr0
>>382
ちょっと気になったので言わせてください。
翔一君がもしたっくんと木戸真二の知り合いで、二人の事を呼ぶのなら
「乾さん」「城戸さん」がしっくりくるような気がするんだが、もし意図が有って
「乾君」「城戸君」にしたのなら、でしゃばった事して申し訳無い
396名無しより愛をこめて:2005/10/20(木) 21:51:53 ID:Jhh0fIhF0
>>394
いつも楽しませていただいてます。
オリジナルの類はやはり劇物ですのでなかなか難しく、勢いを殺いでしまう危険性もあり、
本編や設定上に居たキャラの能力の発展系とかだったらまだ問題は少ないと思います。
どうも、失礼しました。
397スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/21(金) 20:33:32 ID:F3na05ue0
スーパーライダー大戦を再度掲載する為に!
読者の皆さんに喜んでもらう為に!
共闘SSスレよ!私は帰ってきたぁ!!

と、言う訳で昨日、ショッカー東南アジア支部との戦いを終え、日本に帰国いたしました。
今後も残党狩り目的で数回、現地に飛ぶ事はありますが、長期の戦線離脱は今回が最初で最後だと思います。
改めまして作者の皆さん、そして読者の皆さん、よろしくお願いいたします。
現在、スパライ第3話を執筆中であります
398555外伝の中の人:2005/10/21(金) 21:17:04 ID:60Y4u60M0
>396
OKOK了解しましたァ!
取りあえず今、二人ほどオリジナル変化ネタを考えています。
今後の展開によっては変わるかもしれませんが、気長に待っていて下さい。
・・・・ボクニハマダドクシャガイル、コンナニウレシイコトハナイ・・・・

>397 スパライ作者様
ガトーネタキタ━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
帰国キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
連載再開キタ━(゚∀゚)━━━━ッ!!
399名無しより愛をこめて:2005/10/22(土) 12:06:58 ID:vN6sU0Z90
スパライ作者は…ガノタ?
400名無しより愛をこめて:2005/10/22(土) 12:09:07 ID:y4fOdeTv0
ぬるぽ
401名無しより愛をこめて:2005/10/22(土) 12:17:52 ID:UMdBOWhCO
>>400
ガッ
402スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:24:34 ID:vN6sU0Z90
 MRAに対抗する為、スマートブレインの指揮を取る村上峡児は、他の組織に対し同盟を打診。
 ショッカー、ゴルゴム、そしてクライシス帝国はこれに応じ、ここに組織の垣根を越えた巨大同盟が完成した。
 新たな脅威が淡々と機会を狙う中、MRAに嵐が吹き荒れようとしていた。


 第3話『憎悪』 

403スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:25:30 ID:vN6sU0Z90
 スマートブレインが他の組織と秘密裏に接触を図ろうと暗躍を始める少し前、MRA本部のとある一室では、巧が啓太郎や真理に辛い報告をしていた。
 海道直也と長田結花の死、そして木場勇治のスマートブレインへの参加。そして、そのどちらもが草加の暗躍によってもたらされた物だという事。
 これらは、真理達を驚きと絶望の底へ叩きこむに十分すぎるものだった。
「長田さんが……死んだ?」
 驚きを隠せないまま、呆然と呟く啓太郎。
「う、嘘だよね…たっくん、そんな冗談…笑えないよ」
 必死に、巧の言葉を打ち消そうとするが―
「こんな事…冗談で言えるかよ!」
 逆に巧の一言が室内に響く。
「う、うぁ…うわぁぁぁっ!!」
 その一言がきっかけになったのか、床に崩れ込み声を上げて泣き始める啓太郎。真理も涙を流している。
「すまねぇ…やっぱり言うべきじゃなかった…」
 いたたまれなくなったのか、巧はそう言い残すと逃げるように部屋をあとにした。
404スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:30:24 ID:vN6sU0Z90
 ちょうどその頃、別の一室では本郷猛と立花藤兵衛が、ある男との会談を終えようとしていた。
 男の名は一之瀬禅。木場勇治が海道直也、長田結花と共に旅に出た後、穏健派のオルフェノク達を纏め上げてきた人物である。
 当然、彼もオリジナルのオルフェノクで、かなりの実力を秘めているのは言うまでもない。
「我々としてもMRA、そして人類との関係を壊したくはない…しかし、一部の者達が草加雅人に対して抱いている憎悪は、もはや私でも押さえられない所まで来ています」
「故に草加雅人に制裁を与えると?」
「それはなんとも言えません…ですが、このままでは今の関係は壊れ、血気盛んな者達は我々や貴方達と敵対する事になるのだけは、間違いないでしょう」
405スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:33:33 ID:vN6sU0Z90
 一之瀬との会談から暫く後、司令室には全ての仮面ライダーと主なMRAスタッフが集まっていた。
「以上が、一之瀬代表からの要望だ…皆の率直な意見を聞かせて欲しい」
「もしも、草加を引き渡したら…草加はどうなるんですか?」
「十中八九…殺されるだろうな……彼はそれだけの事をしてきている」
「…巧、お前はどう思っている?」
 本郷にそう問われた巧は、少し考え込むと―
「正直、わからねぇ…間接的とはいえ海道や結花を殺して、木場をあんな風に変えちまった事は許せねえし…それでも死んで当然とは思えない…」
 巧のその言葉に黙り込む一同。その時―
「巧、大変!」
 真理が慌てた表情で司令室に飛び込んできた。
406スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:34:33 ID:vN6sU0Z90
 真理が司令室に飛び込んだちょうどその頃、啓太郎は1人医務室へと足を運んでいた。
 職員の目を掻い潜りながら、集中治療室へと進んでいく。
 そして、集中治療室の一角で眠る草加の前まで来ると、啓太郎は隠し持っていたナイフを取り出し―
「長田さんの…仇だ」
 草加の胸元めがけて振り下ろした。

 ドン!

 だが、ナイフが草加に刺さるその寸前、何かが啓太郎に激突した。それにより啓太郎の手から零れ落ちるナイフ。
「馬鹿な事はやめろ啓太郎!」
 それは巧だった。激突によって零れ落ちたナイフを蹴り飛ばし、そのまま啓太郎を押さえつける。
「離してよたっくん! 長田さんの仇をとるんだ!!」
「こんな事して、結花が本当に喜ぶと思うのかよ!」
 巧のその言葉に動きを止める啓太郎。やがて―
「じゃあ、どうすればいいのさ…長田さんが死んだのに…何でこいつが生きてるのさ…」
 嗚咽と共に呟いた啓太郎の言葉に、その場にいた誰もが何も言えなかった。
407スパライ作者 ◆rAbda18lAE :2005/10/22(土) 17:41:16 ID:vN6sU0Z90
途中までですが、スパライ第3話を投稿します。
やっぱり、ドロドロの人間関係は難しいですね…orz
もっと精進します

408GvsZ ◆2V5TMXGvAs :2005/10/24(月) 00:58:23 ID:+txdUWoe0
>>395
御指摘ありがとうございます。
言われてみれば確かに…… これに関しては、本文中で
フォローを入れておきます。
本職が肉体労働系なので、このところなかなか書く気力が
起きないのですが、きちんと続かせていきますので
何卒よろしくお願いできれば幸いかと。
0005話は、1話ぶんまとまり次第書き込みしますので
待ってるかたは今暫し御辛抱ください……
409名無しより愛をこめて:2005/10/27(木) 14:21:15 ID:Qd0F9Jx/0
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
            \_/⊂ ⊂_)    \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  仙台みかん |/
410名無しより愛をこめて:2005/10/27(木) 21:47:47 ID:x4b7m8bW0
ちと違うがここのブログの厨房が555の続編に当たる話を書いてるぞ
厨房のだから大した事ないが
ttp://ameblo.jp/lily-kind-devil/theme-10000842701.html
411名無しより愛をこめて:2005/10/30(日) 00:41:57 ID:9J2lfrAb0
ほす
412名無しより愛をこめて:2005/11/01(火) 22:51:33 ID:l9yQIaZO0
ほしゅほしゅ
413名無しより愛をこめて:2005/11/02(水) 12:11:58 ID:c7s86bkp0
>397
それは素晴らしい。

僕はジョッカー北海道支部の髭ゴジラ男と2ヶ月あまりにわたる戦いを終えて帰ってきました。




昔の奴のリライトする予定。第2話にいたっては別物の形相に……期待せず待て。
414名無しより愛をこめて:2005/11/05(土) 00:41:10 ID:kBQcT4890
hossyu

  ∧,,∧    ∧,,∧    ∧,,▲    ∧,,∧
  (,,・∀・)   ミ,,・∀・ミ   (;;・∀・)   ミ,,・∀・ミ . ミャァー
〜(_u,uノ @ミ_u,,uミ @(;;;;uuノ 〜ミ_u,,uミ     ミャァー
4152005:2005/11/06(日) 22:57:34 ID:Gds7xxAg0
First見て来たんで、俺も俺の一文字隼人の話を書き上げなければと思ったり。
もうじき2005年の12月24日ですしね
416名無しより愛をこめて:2005/11/09(水) 20:49:40 ID:xWNModHR0
ho
417名無しより愛をこめて:2005/11/09(水) 22:57:17 ID:Vm1Nee7a0
shu
418名無しより愛をこめて:2005/11/12(土) 21:41:46 ID:Rp0WhSmH0

          、-'''"´ ̄ ̄`"''''-、
        /   ̄       ̄  \
       /   ● ,,.  .,, ●    ヽ
      ⊂|.     (__人__)      ⊃
       ''-、、,,,,,,______,,,,,,、、-ホシュホシュ
419555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/12(土) 23:41:34 ID:b5dLow5P0
落下と共に、変身は解けた。
今の琢磨に、戦闘能力は残っていないことを確認すると、サイガは動き出す。
命令とは関係ない目的―――琢磨の抹殺の為に。
「待ちやがれェ!」
「待てェ!」
デルタとスネークが、サイガの前へ立ち塞がる。
琢磨を護るように。
サイガは、ブツブツと呟く。
『邪魔をするなって・・・後一口だからァ!!」
言うや否や、サイガは琢磨と言う極上のメインディッシュに在り付く為、
琢磨と戦った時と同じ凶暴性を出し彼らに襲い掛かった。

―――もう、いいんじゃないか?
襤褸切れのような服をまとい、それでも動かない腕に力を込めようとしながら、
琢磨の薄れた意識はふと、そう思った。
―――無理だった。それだけじゃないか。
それでも、足に力を入れようとした。鋭い痛みは、力を入れることを許すつもりは無いらしい。
―――これまで、ってやつですかね。
「逃げろ!」三原の声。
そして、海道の叫びが聞こえた。
まだ、彼らは戦っている。
420555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/12(土) 23:42:06 ID:b5dLow5P0
ああ―――そうか。

ようやく納得した。
私がなぜ、こんなに拘っていたのか。
それは―――彼らの為。
いや。
彼らの為に戦う自分に酔う為。
―――それもそうか。

加奈さんを助けようとした時も、思えばキッカケは違う。
彼らの様に、ただ助けたいからじゃなく―――


「もう、沢山なんだよォ!」


―――自分の、安い誇りの為。

そして―――結果は。

動く事を拒否する体。
勝手に目が閉じた。漆黒とは、この状況にはなんともお似合いだ。
数秒だが、時間がわからない暗闇の中で―――

――ー―ばかだなぁ。

何だ?
421555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/12(土) 23:43:38 ID:b5dLow5P0
――こんなところで死んじゃうの。

薄らと目を開けた。いつの間にかそこは光に包まれた空間の中、誰かが呼んでいる。

――琢磨くん。

そして、カツリ、カツリと音を立てて近寄る―――
「北崎・・・さん!?」
動けなかったはずなのに、なぜか声が出た。
目の前にいるのは、紛れも無く北崎さん―――自分と同じラッキークローバー「だった」男。
彼が、私の名を呼んでいた。
―――ふっ。
一瞬、鼻で笑った。
そうか。
そういうことか。
―――走馬灯。
もうすぐ命を失う私が私に見せる最後の夢。
―――だいたい、彼はもう―――
目の前の北崎さんの姿は、あの化石のような姿ではなく、琢磨のよく知る人間の姿だった。
―――ハァ。
「幾らなんでも、こんな時まで出てくることは―――無いんじゃないですか?」
そう呟く琢磨を見て、北崎さんは、にやりと笑った。
「まだ―――生きたいの?」
422555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/12(土) 23:44:10 ID:b5dLow5P0
「・・・」
「どうなの?」
こちらを見る北崎さんの顔は、学校のいじめっ子の様にニヤニヤと笑っている。
そして私も、学校のいじめられっ子の様にオドオドしながら答えた。
「死にたくは・・・ないですよ」
「どうして?」
「どうしてって・・・・言われましても・・・」
―――だからこういうタイプの人間は嫌いなんだ。
答えたくない事を聞いて、
そしてどうしても、その答えを出さないといけない状況にしてしまう・・・そんな人間が。
「琢磨くんのそう言うところ、ぼくは嫌いだなぁ・・・」
そんな事、誰も聞いていない。
そう思う私を無視し、北崎は手を頭の後ろで組みながら言った。
「そうやって、ハッキリ言わないところとか。」
私の周りをぐるぐると回る北崎さんは、さらに続ける。
「じゃあ、さ。―――どうしてまだ生きたいの?」
答えられなかった。
目線を下げる私を尻目に、北崎さんは笑った。
「そこだよ。」
「そこ・・・?」
「琢磨君の、ばかな所。」
423555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/12(土) 23:44:56 ID:b5dLow5P0
―――何を言っているのか、判らない。
「生か、死か、イエスかノーかしか答えはないのに、
琢磨君は中途半端に答えを濁そうとする。―――そこだよ。」
こちらに背を向け、動きを止める北崎さん。
「一度位答えを出したら。―――生を望むか、それとも死を望むか。」
口ごもる琢磨を背中で感じて、北崎は笑う。
「なんでこんな事すら、ハッキリ言えないのかなぁ?」
そう言い振り返る北崎に、琢磨は答える。
「・・・・貴方には、わかりませんよ。
・・・・私は貴方とは違う、
何事もジブンの思う通りに言えて、何事もジブンの思った通りに動けるタイプじゃあないですから・・・」
「ばかだなぁ琢磨君。琢磨くんだって―――動けるじゃないか。」
「・・・動ける?」
「あの時、ボロボロの僕を襲った時。あの時ならドサクサに紛れて殺せる・・・とでも思ってたんでしょ?
それと、加奈―――だっけ?
あのコを助けようとした時の琢磨君は、ジブンの意思で動いていた。―――ああ、なんだ。」
―――目的はあるじゃないか。
そう北崎は言った。
「――琢磨くん、一つだけ、言っておくよ。」
そう言って、しゃがみこむ北崎。
「―――ジブンは、何のために戦うのか。琢磨くんは琢磨くんなりの答えを持っている。
・・・だったら、琢磨くんはその目的の為に生きれば良い。」
しゃがみこんだ体制を崩し、地面があるかどうか判らない空間で胡坐をかいた。
「答え・・・」
「わかってるでしょ?―――それは。」

それは。
424555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/14(月) 19:29:09 ID:cOhqIrE40
ポツリと北崎の口が動いた。
その答えを聞いた琢磨は、溜息をつくとにやりと笑う。
「・・・ええ。想像通りでしたよ。」
軽く笑いあう二人。
「―――ああ、本当に私は貴方の事が嫌いですよ。」
その顔も、
その性格も、
その態度も、
その目的も。
私が言えなかった、判っていた筈なのに答えられなかった私の目的を答えた所も。
――――そして、自分に―――
「うん、ぼくもだよ。―――琢磨。」
もう一度笑い会う琢磨と北崎。
そして、琢磨の額に振り落とされる二本の指。
シッペだ。
そう思ったときには遅く、ぺちりと音を立てて―――
そして―――

「・・・海堂!」
まるでヌイグルミを壁にたたきつけるかのごとく、スネークの首を持って、その体をデルタやその辺の木にぶつけるサイガ。
そして、遊びに飽きた幼児は、そのぐったりと動かなくなったオモチャを投げる。
デルタは、投げられた海道へ駆け寄る。
「海堂!オイ聞こえるか!」
「・・・うるせぇな・・今からオレ様の大逆転の時間だってのによ・・」
「・・・軽口はいい!とにかく・・・」
そして、デルタに襲い掛かる弾丸の雨。
オートバジンの正確無比な射撃は、デルタに吸い込まれるように当たる。
「うぉぁあ!」
呻きのような声をあげて吹き飛ぶデルタ。
オートバジンは向きを変えると、次の獲物へ向かう。
此方へ走ってくるアギトへ。
425555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/14(月) 19:30:19 ID:cOhqIrE40
デルタを吹き飛ばしたように、アギトへ放たれる銃弾。
だが、アギトは手首を中心にハルバートを回転させ、これを切り払った。
一歩ずつ近づき、そして。
「―――だぁぁ!」
瞬間的に変化した紅いアギトは、セイバーを振り落とす。
それを受け止めるオートバジン。
それらの映像を、地面に転がりながら―――琢磨は見ていた。

「・・・ふと、今でも思うときがあるんですよ。
これがーーー夢なんじゃないかって。」
サイガが、向きを変えた。
琢磨はそう誰にとも無く呟き、手を動かす。
「あそこで沢木さんに出会った時か、」
左手。
アギトとバジンが、琢磨を見る。
「ラッキークローバーに入った時か、」
右手。
デルタとスネークが、顔を見合す。
地面に突き立てた腕を軸に、体を持ち上がらせる琢磨。
「私が―――オルフェノクになった時からかもしれませんね。」
そして、立ち上がる。
「いや、ひょっとしたら―――」
全て。
今までの全てが、夢なのかも知れない。
『・・・気でも触れたのかい?』
その呟きを全て聞き取ったサイガが、苛立ちながら言った。
『気が触れた、か。それならそれで良い―――』
426555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/14(月) 19:32:07 ID:cOhqIrE40
・・・答え。
それはもう、出ているはずだ。
なんだか酷く、単純な事。

『私は、誰かの為に動いてきた。』
―――スマートブレインの為。
―――オルフェノクの未来の為。
『いや―――誰かの為に動いている振りをして、自分の為だけに生きてきた。』
―――何人もの人を殺して。
―――何人ものオルフェノクを殺して。
そして、笑って。
そして、愉しんで。
『だったら』
軽く、息を吸い込んだ。
そして、吐き出すように答える。
自分の、目的を。
『私は―――私の為に生きる。
―――私の為に、私の正しいと思える事の為に!』

『そう、ジブンの為。』

北崎さんは、そう言った。

ああ―――そうか。

ようやく納得した。
私がなぜ、こんなに北崎と言う男を嫌悪していたのか。
それは―――彼がジブンの為にしか生きていなかったから。
いや。
427555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/14(月) 19:32:38 ID:cOhqIrE40
ジブンの為だけに生きる北崎と言う男を、私はただ妬んでいただけだったから。
―――それもそうか。
私は憎み、妬み、恨み、そして憧れていた。
動物の様に、ジブンの目的を達成する為だけに動く。
北崎さんのその一点に―――。

そうだ。
北崎さんに言われて、ようやく、何かが落ちた気がした。
あれが全て、夢でも良い。
私にあんな事を言う北崎さんなんて、存在しないだろうから。
だが―――
もう、『さん』は要らない。
私もようやく、到達したのだから。
そうでしょう?―――北崎。

『彼がいなかったら、私はこんな気持ちになる事も無かったでしょうね―――』
『・・・・・言いたい事はそれだけかい!?』
そして、琢磨に向かって走り出すサイガ。
振りかぶった拳が、琢磨の顔面に向け迫る中―――琢磨は目を閉じる。
瞳の内側で、北崎が笑ったような気がした。

そして、開く。

「さぁ・・・・て―――」
428555外伝 もう一人の夢の守人:2005/11/14(月) 19:35:01 ID:cOhqIrE40
そう、日本語で呟き、変身を始める。
今までの、センチピード・オルフェノクとは違うラインが琢磨を覆う。
全身の棘が無くなり。
その灰色がより濃くなり。
太股と腹と肩の部分だけ、蛇腹状になっていた部分が完全に消え去り。
そして、肘から下の腕が、完全に変化した。
斜めの段差が何本も入った、純白の腕。
「シャァッ!」
その場で回転する琢磨。
回転と同時にその腕は、スライドをして伸びきる。
『―――クッ!?』
ムチのように振るわれる腕に、サイガは吹き飛ばされた。
着地したサイガは、琢磨の方へ向き直る。
仁王立ちのまま、ダラリと腕を地面に下ろし、
顔を俯かせたオルフェノクが、そこに立っていた。
それは顔を上げる。見慣れたセンチピードの顔があった。
そしてそれは、サイガの目の前で変化していく。
瞳の部分だけ、蛇腹になっていた顔が剣道のマスクの様になっていた。
内側から除く、二つの瞳。
一瞬、恐怖を覚えるサイガ。
そして、センチピードは呟いた。

「一気にケリを―――つけてやる。」

センチピード・オルフェノク脱業体。
それが、今の琢磨の姿。
429555外伝の中の人:2005/11/14(月) 19:39:46 ID:cOhqIrE40
・・・と、オリジナルはこんな感じになりますた。
次か次くらいで別荘襲撃編を終えたいと思っとります。
430まとめサイト:2005/11/17(木) 04:25:55 ID:NjIw8tyN0

     -ーー ,,_  
   r'"      `ヽ,__
   ヽ       ∩/ ̄ ̄ ヽつ     313まで更新しました
  ノ ̄ヽ  "ヽ/ "   ノ   ヽi      
 |  \_)\ .\  lll ●   ●|\     
 \ ~ )     \ .\_  ( _●_)\_つ
    ̄       \_つ-ー''''  


431名無しより愛をこめて:2005/11/17(木) 19:24:16 ID:sqXgp54z0
お疲れ様でした
432名無しより愛をこめて:2005/11/19(土) 13:13:44 ID:+roj6gEL0

 ♪∧ ∧  ∧ ∧   ∧ ∧  ∧ ∧ ♪  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (´∀`) (´∀`)  (´∀`) (´∀`)     >>430
  ⊂   つ ⊂  つ ⊂  つ ⊂  つ    | 本当にありがとうございました〜♪        
 〜( つ ノ〜( つ ノ〜 ( つ ノ〜( つ ノ     \_____
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433テスト:2005/11/19(土) 13:17:57 ID:9P1ZTnnD0

 ♪ 人   /H\   \/  〔∴〕 ♪  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (0w0) (0M0)  (<V>) (0H0)     
  ⊂   つ ⊂  つ ⊂  つ ⊂  つ    | 楽しいな〜♪        
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434テスト:2005/11/19(土) 13:18:38 ID:9P1ZTnnD0

 ♪ 人   /H\   \/  〔∴〕 ♪  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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435名無しより愛をこめて:2005/11/20(日) 12:49:16 ID:fcEg93D50
THE FIRSTのその後書いて大丈夫?12月ぐらいまで待った方が良いか?
436名無しより愛をこめて:2005/11/21(月) 11:52:02 ID:SDwFU/WT0
>>435
俺個人はかまわないけど、一応、解禁は一ヵ月後と>>1に書いてあるんだから、
12月まで待った方がいいんじゃネ?
437まとめサイト:2005/11/22(火) 12:19:49 ID:vCX9sfej0

     ヘ⌒ヽフ
   ◯(  ・ω・)◯ 追いついた、429迄更新しました。
    \    /
     |⌒I │
    (_) ノ
      し'

438名無しより愛をこめて:2005/11/23(水) 15:45:10 ID:uD35BxzG0

   , - ,----、 
  (U(    ) どうも有り難うございました
  | |∨T∨
  (__)_)
439名無しより愛をこめて:2005/11/23(水) 16:39:12 ID:s8fiUPF50
職人の皆さん、煮詰まったらこれでも見て気分転換しる!!
ttp://elements.xrea.jp/ondulup/img/136.wmv
ttp://elements.xrea.jp/ondulup/img/137.wmv
ttp://elements.xrea.jp/ondulup/img/138.wmv
(と言いつつ女性向けばかりかな?)
440名無しより愛をこめて:2005/11/26(土) 13:36:52 ID:7P0RB1KH0
              
   ∧_∧           /〜ヽ
  (´・ω・` ) _______(・-・。)
  (  つ旦   ,._.,旦      O旦と
   と_/           / (__(_う
     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||

ええと・・・
みなさん、>>437さんがみんなまとめてくださいましたので、
そろそろ新作を・・・
コミケで忙しいのかなw
441名無しより愛をこめて:2005/11/29(火) 21:10:15 ID:M7ycJvgq0
 
442名無しより愛をこめて:2005/12/02(金) 21:58:09 ID:3XpAVAXH0
     ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 12月です 師走です
            \_/⊂ ⊂_)    \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  仙台みかん |/
443555外伝 もう一人の夢の守人:2005/12/07(水) 17:15:03 ID:C6U4LJ/p0
ドドドドドドド!
オートバジンの向けた前輪から、まるでアニメのように大量の弾丸が迫る。
そして目標点であるセンチピードは、天高く腕を伸ばした。
しゅるり。
帯が解けるような音を出し、伸び切るその腕。
その伸びた腕は側の木の先まで届き、地面を蹴るセンチピードと共にたたまれる。
そして、乗った木の上から、空中ブランコの要領で又飛び立つセンチピード。
着地。
そして、コマの様に回転する。
ムチの様に使われる右腕。
前輪を持った左手で受け止めるオートバジン。だが、
『だからぁ!ジャマをするなと言ってるだろぉ!』
冷静さと言う物を捨てたサイガは、オートバジンを蹴り飛ばしそう叫ぶ。
『―――八つ当たりは見苦しいですよぉ?』
そう嫌味を言い、右腕をたたみ左手を振り落とすセンチピード。
『・・・・少し変化したからって、いい気になってないかな!?』
顔面へ一直線に向かう左腕を、軽く避け迫る。
―――左腕はそのまま自分の背後へ行った、右手だけなら何とかできる―――。
そう思い、大振りのハイキックをかまそうとするサイガ。
だが。
「―――ふっ。」
センチピードの目線が動く。
右足を振りかぶりながら、一瞬、のびた左手が動いたのをサイガが見た。
そして、直後―――
444555外伝 もう一人の夢の守人:2005/12/07(水) 17:16:12 ID:C6U4LJ/p0
『―――うぉあぁぁぁっ!?』
背後からの銃撃に悶絶するサイガ。
―――恐ろしい相手だよ。
デルタはそう呟き、先程の出来事を反芻する。
サイガヘ左腕を振るったと思われたセンチピード、
だがその真の標的は、倒れながらも、センチピードへ前輪を向け射撃体勢を取っていたオートバジン。
センチピードは、その発射までサイガを引き付け、タイミング良く前輪を動かし銃弾の矛先をサイガへ向けた。
後は―――
背中からごうごうと煙を出すサイガの姿が物語っている。
「―――がっ・・・・」
英語にすらなっていない獣のような声を上げ、膝を突くサイガ。
『・・・・油断大敵。』
木に映るセンチピードの影―――琢磨は、冷たく言い放つ。
『―――何が目的ですか?』
『・・・彼女の―――スマート・レディの奪還さ。』
『それだけじゃあないでしょう?―――ここまで派手にやったんだ。
・・・本当の目的は何だ?』
『・・・さぁ、ね。だから僕も知らないんだ。』
言い終わると同時に、地面を蹴り接近するサイガ。
センチピードは一歩も動かず、その場で腕を振るう。
だが、それを回避し、もう一度センチピードへ近づくと、その顎へむけアッパーを振るう。
それをわざと受け、一瞬空中を舞いつつ両腕を伸ばすセンチピード。
そして、両手の先はサイガの両肩へ。
オモチャのパチンコの要領で、反動の付いたドロップキックは、サイガを吹き飛ばすのに十分な威力を持っていた。
受身を取るサイガだが、流石に立ち上がるのには少し時間がかかった。
445555外伝 もう一人の夢の守人:2005/12/07(水) 17:17:47 ID:C6U4LJ/p0
そして立ち上がると、動きを止める。
西部劇の様に、相手の動きを読み会う二人。
―――隙を見せたら、負ける。
相手の動きを考えつつ、互いに同じその考えを持ち、
―――ふっ。
そして彼らは、互いに、楽しんでいた。
静寂。

だが、それを打ち破ったのは、サイガでもセンチピードでもなく―――
「―――来る!」
アギトのその呟き。
そして、二人の間へ落下する現れる紅い影。
「『・・・なっ!?』」
二人の興奮に、水を差したのは―――
「―――いい加減しつこい・・・・ッ!」
琢磨の影は、紅い影の正体――先程看板の下敷きになったオルフェノク覚醒アンノウン――に向けて呟いた。
446555外伝 もう一人の夢の守人:2005/12/07(水) 17:20:53 ID:C6U4LJ/p0
赤い、だが所々に灰のまじった色のアンノウン―――そういえば、名前くらいはあるのだろうか?―――が目の前にいる。
お偉いさんが呼んだのか?
それとも、レディが呼んだのか?
サイガは始め、味方が来たと思った。
だが、その予想を覆すように、自分に鎌を振り下ろすアンノウン。
まるでそれを予想していたかのように、タイミングよく盾になるバジン。
鎌はバジンの右手に突き刺さり、抜き取られると同時にサイガに方角を変え迫る。
「「『――――どうなってる!?』」」
まるで計ったかのように同じ言葉を紡ぐセンチピード、デルタ、サイガ。
オートバジンの射撃を体で受け止め、鎌の背でなぎ払うと、真直ぐサイガヘ―――いや。
さらぁ、
風が吹き、サイガの後方にある灰を飛ばす。

―――灰が狙いか!?
何故そんな物を欲しているのかはわからないが、このまま放って置く訳にはいかない。
そして、呼吸を整えるデルタ。
「うぉぉりゃぁ!」
咄嗟の判断で、とび蹴りを食らわせるスネーク。
そして、一瞬ひるんだその首に絡みつく白い腕。
センチピードの腕が、アンノウンの動きを止める。
時間にして約三秒弱―――
そして、開放されたアンノウンに待っていたのは、
デルタの命令に従い、展開したミサイルの雨。
身をかわし、目をくらませる爆音と炎を避けるセンチピード達。
炎上を見て、何時の間にかスマートレディを捕らえていた氷川は、ポツリと呟いた。
「―――やった・・・のか?」
だが、彼も、琢磨達も、ましてやサイガも、気付いていなかった。
ミサイルの直撃の前に、アンノウンは灰の元へ到達していた事を。
そして、より激しくなる炎。
その原因も。
―――レディだけが、哂っている。
447555外伝 もう一人の夢の守人:2005/12/07(水) 17:22:07 ID:C6U4LJ/p0
「―――えっ!?」
アギトの驚いた声が、その異変へ視線を集中させる。
炎がより燃え上がった。
『な・・・・・!?』
何が起きたか知らされていないサイガは、只呆然として。

炎は、焔となった。

そして、

「何・・・・・!?」
影は、琢磨は呟く。
焔の中の黒い影に向かって、

そして、焔が――――
448555外伝の中の人:2005/12/07(水) 17:33:35 ID:C6U4LJ/p0
時間が無い・・・・・ようやくまとめに行けそうなのに・・・・orz
続きは多分来年行くかも・・・・orz
>まとめさん
何時もお疲れ様です
長い文しか書けなくてすみませんorz

>前スレ728
ドサクサに紛れて(0゚・∀・)ワクワクテカテカしながら期待してますよ

449名無しより愛をこめて:2005/12/10(土) 21:58:14 ID:oKZ7GYlF0
ごめんちょっとスレ違いなんだけど質問イイかな?
龍騎のSSの「Ever Green」て今どこでやってる?
龍騎SSスレDAT落ちしてたんで・・・
450名無しより愛をこめて:2005/12/10(土) 22:49:43 ID:o6CbchLV0
>>449
もう完結しましたよ。
まとめサイトに全部ログ入ってるので

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/9968/hokan002.html
451449:2005/12/11(日) 11:27:41 ID:65IVP/qB0
>>450
うぉ〜〜。ありがとう!!
452名無しより愛をこめて:2005/12/11(日) 23:41:44 ID:MvV6aVBM0

           ∧∧                       人 
           (*゚ー゚)  冬ハダンボールモイイケド        ノノノノゝ
         ヘ ̄UU. ̄\ コタツガイイナ♪         ノノ"*+ヽ
        / ※.\___ \                ノ‰人+Yヽ 
        \\ ※ ※∧∧※ヽ、             人ノ‰ヽ☆ヾ
          \`ー‐─(*゚Д゚)つ‐─ ヽ          ノノ★人\))>※
                                 ノノノノノヽヽヽ○
     ____                      ノノノノ人ゝヽヽヽ
    /     /\                        凶
  /| ̄ ̄ ̄ ̄|\/
    |  ミカソ  |/
     ̄ ̄ ̄ ̄

マターリ
453435:2005/12/14(水) 23:36:57 ID:GIlfcnp40
とりあえず、プロローグだけでもどうぞ。

―もう幽閉されて何日、いや何ヶ月経ったのだろうか?―
男はそんな事を考えていた。
彼は不治の病に冒された妻を救う為、不眠不休で研究を続けた。だが、成果は無かった。
彼が諦めようとしたその時、『奴等』が現れ、彼の妻の命を救った。その代わりに、彼は協力を求められた。
『奴等』は、人々の命を救うべく、あらゆる難病を研究する平和団体と名乗った。しかし、それは
偽りに過ぎなかった。
『奴等』の目的は人間社会の支配。その為には手段を選ばず、邪魔な存在は『奴等』の尖兵、改造人間
によって次々と消されていった。彼はそれを知らずに、『奴等』の手駒となる改造人間の製作に協力していたのだ。
事実を知った彼は、『奴等』と戦う為の協力者として自らの一番弟子を推薦した。
そして、改造手術当日。彼は弟子が改造される前に救出しようとした。だが、彼の計画は全て筒抜けだった。
「裏切り者は即刻処刑するのみだ。」
「だが、処刑するのは惜しい。」
「それでも、裏切った事に変わりは無い。」
「やはり処刑するべきだ。」
幾人もの幹部達が意見を言い合った結果、彼は処刑を免れたものの地下牢に幽閉される
事となった。
正直、処刑された方が楽だったかもしれない。彼は思った。
ガシャン・・・・
牢の鍵が開き、黒い骨模様の服にガスマスクをつけた男が彼に言った。
「釈放だ、さっさと出ろ。緑川。」

仮面ライダーTHE FIRST〜after〜 第一話「脱走者」
454名無しより愛をこめて:2005/12/15(木) 23:58:54 ID:Dr9duVGA0
響鬼でオリジナル作品作ってみました。
1話の前半だけですが、投稿します。


 鬼。それは厳しい修行の果てに大自然が持つ変化の力を得た人の総称。
 鬼。それは魔化魍と呼ばれる悪しき存在から人々を守る為、自分の命をも顧みず戦い続ける者達。
 この物語は、そんな鬼の1人『双鬼』の戦いの記録である。


―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―


一之巻…蒼碧の鬼


「ほう、では君はアームドセイバーに原因があると…そう言いたいのかね?」
 秘密組織『猛士』本部の一角、研究開発室のデスクで室長の小暮耕之助は、目の前に立つ女性にそう問いかけた。
「はい、今回の関西、四国、九州の各支部における鬼の集団変身不能化現象は、各方面のデータから92.36%の確率で小暮先生の開発されたアームドセイバーに原因があると考えられます」
 小暮の射抜くような視線にも萎縮する事無く、堂々とした態度で返答する女性は水無月美沙。猛士九州支部に所属する『銀』である。
 彼女は今、とある命令を受け同行者1名と共に吉野へと乗り込んできていた。
「提出された報告書によると、アームドセイバーの発する波動が、鬼の力に干渉し変身能力を一時的に奪うとあるが、どうも信用できんね」
「信用できない…と仰いますと?」
「そのままの意味だ。最近の鬼は鍛えが足りん連中ばかりだからな。自分の非力をアームドセイバーのせいにしているんだよ!」
 苛立ち紛れに発せられた小暮の言葉。それが引き金となった。
455名無しより愛をこめて:2005/12/15(木) 23:59:49 ID:Dr9duVGA0
「欠陥品ば作っておいて責任転嫁すっなんて…アンタそいでん男ね?」
 突然、美沙の口調が変わった。流暢な標準語から長崎弁に変化し音量も一気に跳ね上がる。
「な、なんだと!?」
「聞こえんかったとね? 欠陥品ば作っておいて責任転嫁すっなんて…アンタそいでん男ね? って言うたったい!」 
 突然の方言に一瞬虚を突かれた小暮だが、すぐに意味を理解し、顔を真っ赤にして反論を開始した。
「貴様、私の最高傑作であるアームドセイバーを欠陥品呼ばわりしたばかりか…目上の人間に対してその言葉遣いは何だ!」
「目上の人間やろうと関係なか! 欠陥品ば正直に欠陥品って言うてなんが悪かとね? こがんガラクタのせいで、九州支部の皆が迷惑しよるかと思うたら頭に来る!」
 怒声と方言が飛び交う異様な口喧嘩の光景に呆然となる周囲の職員達。そんな中―
「ソウキさん、止めなくて…大丈夫ですか?」 
「大丈夫でしょ、今のところ口喧嘩だし…それに…」
「それに?」
「君、あの中に飛び込んで喧嘩の仲裁できる勇気ある?」
「ありません…ソウキさんは?」
「ある訳無いじゃん」
 部屋の隅で茶を飲んでいた1人の男だけは事態を静観していた。 
 男の名はソウキ。美沙の同行者にして、九州支部に所属する鬼である。 
456名無しより愛をこめて:2005/12/16(金) 00:00:41 ID:Dr9duVGA0
 次ぎの日、ソウキと美沙は和歌山県の某山中でベースキャンプを設営。魔化魍探索を行っていた。
「しかし、ピンチヒッターで魔化魍探索するなんて…関西支部の被害は相当酷いみたいだねぇ……D−5外れ」  
 探索から帰ってきたディスクアニマル『茜鷹』をチェックしつつ、そんな事を呟くソウキ。
「あの欠陥品のせいで、関西支部は半数近い鬼が変身不能になったからね…動ける鬼総動員しても追いつかないんだって」
 美沙も帰ってきたディスクを収納しつつ相槌を打つ。
「ま、九州や四国も同じ状態だからね…正直、俺と美沙がこっちに来れたのは奇跡みたいなもんだよ。レンキやハバタキ、ジンキには飯でも奢ってやらないと…F−2外れ」
「四国はウズマキさんとカイキさんの2人で頑張っているらしいよ…過労で倒れなきゃいいけど…」 
「支部長は四国との連名で抗議文を送る予定だってさ………当たりだ」
「場所は?」
「地図によると…C−2だから……2km先ってところか」
 場所を確認するとソウキは愛車である『雷龍』へと走り、中から愛用の音撃武器『双角』を取り出す。
「気をつけてね。九州の山とは色々違うだろうから」
「百も承知。じゃあ、いってきます!」
「いってらっしゃい!」
 決めポーズであるサムズアップを決めて走り出すソウキを、美沙は火打ち石で切り火をして見送った。
457名無しより愛をこめて:2005/12/16(金) 10:08:39 ID:VlIyLfct0
>456
サムズアップキター
458名無しより愛をこめて:2005/12/16(金) 12:35:28 ID:u0gR9m7fO
>>456
方言キャラきたー!
459名無しより愛をこめて:2005/12/16(金) 19:19:47 ID:bJt1B7Xk0
新作キター!
キャラも結構魅力的。ソツのない行動派のソウキはかなり楽しみ。
探索シーン好きだった自分には、嬉しい導入です。

だけど、一つだけ文句言わせて。
原作にいるキャラを貶めて、その対比でオリジナルキャラを引き立てると
嫌な思いする人もいるし、最悪U-1モノかと叩かれたりするから、
できるだけ控えてほしい。

続き、待ってますー。
460名無しより愛をこめて:2005/12/16(金) 19:51:54 ID:m0aGwkTm0
>>453
FIRSTネタキター!
劇場版の後日談という形のようですね。続きを楽しみにしています

>>454-456
新作乙。
>>459の言うとおり、原作キャラを貶めてオリキャラを立たせるのはよくないと思う。
でも、アームドセイバーに関しては『完璧すぎる作品=失敗作』という式は十分に成り立つだろうし、小暮氏の台詞に関しても本編で似たような事言っているから俺個人としては問題ないと思う。
そして、関東支部に来る前に吉野の本部や近辺の支部で試したであろう事は容易に想像できるから…現時点ではそう不自然な点はないかな?
とにかく続きを楽しみにしています。
461―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2005/12/18(日) 00:22:17 ID:M36+9OW20
>>454-456

「ここか…」
 茜鷹の先導で山道を進んでいたソウキは、目的地と考えられる河の上流へと辿り着いていた。
「案内ご苦労さん、助かったぜ」
 先導の役目を終え、頭上で旋回している茜鷹に礼を言うソウキ。茜鷹も嬉しそうに声を上げる。
 そして、ソウキが周囲を探索しようと歩き出したその時―
「現れたな、鬼め」
「我らの行く手を阻みに来たか…」
 1組の男女がソウキの前に立ち塞がった。魔化魍を育成する役目を帯びた存在、童子と姫だ。
「我らの子は腹を減らしている…」
「里へ降りる前に、鬼の骨を食わせるとしよう」
 そう言い終えるが早いか、それぞれ怪童子と妖姫に姿を変える童子と姫。
 それを見たソウキも―
「その姿…予想通りバケガニだな」
 そう呟きながら手にしていた『双牙』のカバーを外し、地面に突き刺す。そして、怪童子と妖姫が飛びかかってきたのとほぼ同時に、左手首の『変身音弦・音鳴』に仕込まれた弦を弾いた。
 三味線のような音が響くと同時にソウキの全身を旋風が包み、更にその周囲に雷が落ちる。
 風と雷、2段構えの防御に怪童子と妖姫が弾き飛ばされ、再度立ち上がった時にはソウキの変身は完了していた。風と雷の力を合わせ持つ鬼。その名も双鬼!
 変身を終えた双鬼は、地面に刺した双牙をそのままに―  
「いくぜ!」
 気合と共に走りだした。
462―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2005/12/18(日) 00:25:32 ID:M36+9OW20
 振り下ろされるハサミを左手で受け止め、間髪入れず右フックで根元から打ち砕く。更にその勢いを利用してのバックハンドブローで怪童子を吹き飛ばす。
 続けて突進してきた妖姫も矢継ぎ早に繰り出されるハサミ攻撃をかわしつつ、左の連打を叩き込んで小刻みにダメージを与えた後、回し蹴りでこちらも吹き飛ばす。
 フラフラと立ち上がる2体のダメージが相当なものである事を確認した双鬼は、バックステップで距離を取ると―
「はぁぁぁぁっ…」
 今までとは違う構えを取り、気合を込め始めた。瞬く間に双鬼の四肢が風を纏っていく。
「鬼闘術! 旋風刃!!」
 次の瞬間、風を纏い威力を格段に増した双鬼の手刀が怪童子を、足刀が妖姫を切り裂いた。
 一瞬の間を置き、爆発。土と枯葉へと還っていく怪童子達。
「あとはバケガニか…」
 地面に刺した双牙を回収し、周囲を油断なく見回す双鬼。
463―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2005/12/18(日) 00:26:35 ID:M36+9OW20
 沈黙が周囲を支配する。
 3分がたち、5分がたとうとした頃、痺れを切らしたかのように双鬼の背後からバケガニが出現した。
 ハサミの一撃が双鬼を襲う。
「っとぉ!」
 斧形態の双牙で、そのハサミを受け止める双鬼。
「ぬぅぅおりゃぁぁぁっ!!」
 渾身の力でハサミを押し返し、一旦距離を取る。そして、装備帯に装着していた3枚のディスクをバケガニへ投げつけ―
「頼んだぜ!」
 音鳴の弦を弾く。3枚のディスクは瞬時に『茜鷹』『瑠璃狼』『緑大猿』へと変わり、バケガニへと向かっていく。
 3体の攻撃に気を取られ、バケガニの注意が一瞬双鬼から逸れる。
「はぁぁぁぁっ…」
 そしてこの好機を逃す双鬼ではない。再度双牙を地面へと突き刺し、気合を込める。そして左手に風、右手に雷を纏い双鬼が叫んだ。
「鬼闘術! 風爪雷牙!!」 
 縦一文字に振るわれた左手から放たれる無数のカマイタチが、バケガニの巨体に幾筋もの傷を付け、突き出された右手から放たれる雷光が左のハサミを焼き砕く。
 思わぬダメージを受け、苦悶の叫びを上げるバケガニ。だが、双鬼の攻撃はまだ終わらない。
「どぅおりゃぁぁぁっ!!」
 渾身の力を込め、双牙をブーメランのように投げ、足3本を一気に切り落とす。
 バランスを失った巨体に一気に接近し、残る右のハサミを掴むと―
「せぇりゃぁぁぁっ!」
 力任せに捻じ切り、そのまま投げ捨てる。
 武器と足の半分を失い、半死半生状態のバケガニの腹に蹴りを叩き込み、仰向けにひっくり返すとそこに双牙を突き刺し捻じ込んだ。
「とどめだ!」
 手早く、装備帯から音撃震『双鍵』を取り外し、双牙にセットする。
「音撃斬! 迅雷烈破!! おぉぉらいくぜぇ!!」
 刃が展開し、ギターモードへと姿を変えた双牙をかき鳴らす度、清めの音がバケガニの体へ響いていく。
 そして、演奏終了と同時に、バケガニの体は木っ端微塵に吹き飛んだ。
464―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2005/12/18(日) 00:28:52 ID:M36+9OW20
 翌日。

 ソウキと美沙は九州支部へと帰還していた。
「吉野から連絡をもらったよ。あの愚兄にキッチリ言ってくれたようだね。ありがとう、美沙君」
 報告書の提出を済ませ、技術開発室へと戻ってきた美沙を出迎えたのは、この部屋の主である小暮耕次郎。
 全国でも5本の指に入る優秀な『銀』であり、あの小暮耕之助の弟である。
「あの小暮さんと五分に渡り合う美沙の勇姿、師匠にも見せたかったですよ」 
 そして、7年前まで現役の鬼『虹鬼』として活躍しており、ソウキの師匠も勤めていた。
「今回の件で、あの愚兄も少しは考えを改めればいいのだが…その為に美沙君とソウキには吉野へ行ってもらったんだから」 
「あー…考えを改める可能性は低いかと…」
「何故かね?」
「…関東支部に行っちゃったんです」
「え?」
「いや、俺達がバケガニ退治から戻ったら『関東支部の連中で試してくる』という伝言を受け取りまして…その…行っちゃったそうです…関東支部に」
「なんと言うことだ…」 
 美沙、そしてソウキの言葉に顔を青ざめる耕次郎。
「また、被害者が出るのか…」
「一応、私の方から関東支部の滝澤さんに、連絡は入れておきました…」
「賢明な判断だよ……何事もおきなければ良いが…」
 耕次郎の呟きは美沙とソウキの思いでもあった。

 その後、小暮耕之助とアームドセイバーが関東支部にひと騒動を巻き起こし、紆余曲折の末、アームド響鬼が誕生する事となる。


 一之巻了
465―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2005/12/18(日) 00:36:54 ID:M36+9OW20
一之巻完成しました。
お見苦しい点等あると思いますが、ご容赦ください。

二之巻からは舞台を九州に移し、オリキャラメインで進めていきます
466名無しより愛をこめて:2005/12/18(日) 01:04:01 ID:YOKzV1x7O
いいっすね!
成るほど。全くのオリジナルではなく、キャラだけオリジナルでもアリですよ。
続き楽しみにしてます!
467名無しより愛をこめて:2005/12/18(日) 19:32:34 ID:sFmaH5wu0
斬鬼主人公のSS書いてみようと思います。投下するので宜しく。
468名無しより愛をこめて:2005/12/18(日) 21:06:36 ID:UM+rxyDG0
>>467
wktk
469斬鬼外伝:2005/12/18(日) 21:48:30 ID:sFmaH5wu0
第一話「知らぬ自分」予告

時は、轟鬼と斬鬼が出会う3年前。
魔化網対峙の為、千葉に来ていたザンキとある少年が出会う事から始まる。
偶然、ザンキが魔化網と戦う現場を目撃した少年。
彼は、学校で孤立し自分の居場所が無い、そして夢が無い。
生きる意味が分からない、と嘆く。

そして、ザンキの戦う姿を見て訴えた。
「自分も鬼になりたい、変わりたい」と。
力を得て、復讐をしたい、と。

だが、ザンキはそれを否定する。「それは強さではない」と。
ザンキは少年に鬼の意味、そして「変わる」という事の真実を教える。
戦いを通し、ザンキは少年に何を伝えるのか。


前編後編形式の1話完結予定。
第一話「知らぬ自分」。
470名無しより愛をこめて:2005/12/25(日) 20:58:32 ID:FO6sFs+t0
      ☆ チン     
                        
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 2005さん、クリスマスですよ
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |国産愛媛みかん|/

でも、2005さんの読ませてもらって、
小池一夫の「乾いて候」で、主人公が
何でこんな事をしなければならないんだ・・・、
自分のためでなく、好きな女のためでなく、
父親のために、それもその父親は将軍ではないか、
だったら、私はやりたい事が出来るはずなのに、はて・・・
と呟いているシーンを思い出しましたよ。
471名無しより愛をこめて:2005/12/29(木) 13:04:27 ID:3E6SBpSqO
保守AGE
472名無しより愛をこめて:2006/01/01(日) 00:53:24 ID:YxZTQd9C0
ううむ…厨房の溜まり場と甘く見てたら思わぬ良作があるもんだ。
>>465さん、GJ!!
俺も個人運営サイトの小説投稿掲示板で『響鬼』もの書いているんだが、
どうも冗長気味になるから貴方みたいに簡潔に分かりやすく、しかもリアルな描写、感服っス。
俺もこっちに転載してみるかな…
473名無しより愛をこめて:2006/01/05(木) 21:33:30 ID:a1Jim772O
保守
474名無しより愛をこめて:2006/01/09(月) 11:36:00 ID:mqbadCKT0
119-121さん
仮面ライダー龍騎-ANOTHER EPISODE FINAL-

近日公開予定

とありますが、今後公開予定はあるのでしょうか?
475 ◆utqnf46htc :2006/01/14(土) 11:33:59 ID:7LNG+/iy0
人ineeeeeeeee
476名無しより愛をこめて:2006/01/14(土) 21:33:32 ID:lZQUYypq0
人はいるんだけど、作者がいないんだお
477名無しより愛をこめて:2006/01/15(日) 08:47:47 ID:4tknHgJU0
擦れ違いなんだが
オリジナルライダーのSS書くスレ何処にあるか知ってる?
478名無しより愛をこめて:2006/01/15(日) 09:18:05 ID:6TLL5dI80
>>477
ここじゃないの?
479名無しより愛をこめて:2006/01/15(日) 19:02:10 ID:4tknHgJU0
>>478
違う場所見つけたからそこに書くことにするよ。
一応声かけてくれてあんがとう。
480名無しより愛をこめて:2006/01/15(日) 20:26:38 ID:2z303GwG0
>>479
そこのアドキボン
481名無しより愛をこめて:2006/01/17(火) 20:30:54 ID:eQkk8o0MO
立花藤宮兵衛と橘朔也と黒ダミがやる熱々あんかけ対決
482名無しより愛をこめて:2006/01/17(火) 20:54:39 ID:0IT2pJ080
剣&ヒビキの競演話を考えてる

 明日夢をブレイドに変身させようと考えてる
483名無しより愛をこめて:2006/01/18(水) 10:06:42 ID:I5czsDih0
つまり
ウゾダドンドコドーン!!
で太鼓をドンドコドーン?
484名無しより愛をこめて:2006/01/20(金) 08:41:04 ID:cGyDOtVEO
変身した途端に滑舌悪くなる明日夢w
485名無しより愛をこめて:2006/01/20(金) 16:19:16 ID:q2xtYd3N0
仮面ライダーヒジキ

一の幕の内 「ヒジキ大好き」
486名無しより愛をこめて:2006/01/20(金) 22:21:26 ID:dpuX+bnqO
今日、朝日の夕刊でカブトの記事を読んだんだが、写真に剣が思いっきり写ってなくて悲しくなった。
ワザワザ陰になるような写し方すんなよ……まったく。(剣好きな私)


それはそうとスレ違いだが、今更プリキュアが主人公変えて三年目もやると知り、ビビッた。
きっと、もはや平成ライダーでは不可能な“ダブルライダー”や「栄光の七人ライダー」をやってくれるにちがいない。
『新たなる出会い!? 伝説の戦士たち!』ってな感じのタイトルで。
487名無しより愛をこめて:2006/01/21(土) 14:42:29 ID:t1zGzxgm0
               ∧_∧_∧
            ___(・∀・≡;・∀・) ドキドキドキ
             \_/(つ/と ) _
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/

                       _∧_∧_∧_
        ☆ パリン 〃   ∧_∧   |
          ヽ _, _\(・∀・ ) <新作ま
             \乂/⊂ ⊂ ) _ |_ _ _ __
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| .  ∨ ∨ ∨
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/



   _  ___
   \>,\/

          <⌒/ヽ-、_ _ 
          <_/____ノ
488名無しより愛をこめて:2006/01/22(日) 02:26:02 ID:DoJqIiu70
響鬼外伝 「大阪支部最悪の鬼 ニシキ」

一の幕の内 「呼ぶ銭」
489名無しより愛をこめて:2006/01/22(日) 08:30:12 ID:ToIRxVWa0
まあ、特撮板は今からいろいろ荒れるだろうけど
このスレ的には龍騎や555より後日談の作りやすい最終回だったね
490名無しより愛をこめて:2006/01/23(月) 22:24:35 ID:HE2IrMs40
         ,-、            ,.-、
        ./:::::\          /::::::ヽ
       /::::::::::::;ゝ--──-- 、._/::::::::::::::|
       /,.-‐''"´          \::::::::::: |
     / /           \ ヽ、::::|
    /    ●         ●     ヽ|
     l   , , ,                      l このスレkeep
    .|        (_人__丿  """       |
     l        ヽノ            l
    ` 、  /⌒⌒i   /⌒ヽ        /
      `/    |   |    \    /
491名無しより愛をこめて:2006/01/23(月) 22:27:18 ID:HE2IrMs40
          ;' ':;,,     ,;'':;,
         ;'   ':;,.,.,.,.,.,,,;'  ';,
        ,:'           : :、
       ,:' \  ,,. 、./  ノ( ::::::::',
       :'  ●     ● ⌒   :::::i.
       i  ''' (_人_) '''' *   :::::i  
        :    {+ + +}      :::::i
       `:,、   ̄ ̄      ::::::::: /
        ,:'        : ::::::::::::`:、
        ,:'         : : ::::::::::`:、   むきー*
492―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2006/01/26(木) 01:46:26 ID:d4Gvk4eL0
「音撃射! 疾風怒濤!!」
 双鬼の構えた音撃管『双翼』から、イッタンモメンへ清めの音が吹き鳴らされる。
 清めの音は撃ち込まれた鬼石によって増幅され、イッタンモメンの全身に響いていく。
 そして、演奏終了と同時に、イッタンモメンは木っ端微塵に吹き飛んだ。
493―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2006/01/26(木) 01:47:17 ID:d4Gvk4eL0
―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―


二之巻…集う戦鬼


「うーん…いい匂い」
 イッタンモメンの撃破から暫く後、変身を解き着替えを済ませたソウキは、遅い昼食を取ろうとしていた。
 今日のメニューは、山菜ときのこがタップリ入った特製うどん。食材はうどんと調味料以外全て現地調達だ。
「猛士特製のレトルトメニューも美味いけど、こうやって現地調達で作るのまた格別なんだよね…さて、いただきます」
 キチンと食前の合掌を済ませ、うどんを啜ろうとしたその時―

♪少年よ 旅立つのなら 晴れた日に胸を張って♪

 ソウキの携帯が着信を知らせた。着メロから判断して猛士九州支部からだ。
「…イッタンモメン撃破はもう伝えたよな……」
 微かに疑問を感じながらもながらも電話に出るソウキ。
「はい、ソウキです…あ、事務局長」
 電話の主は猛士九州支部事務局長である田所泰蔵だった。
『突然すまんな。今、吉野のほうから連絡が来てな』
「吉野からですか? またどうして…」
『詳しい事は私にもわからん、だが…おまえとハバタキに本部長の方から第一級の特別召集命令が下されている』
「第一級!?」 
 田所の口から出た『第一級の特別召集命令』という言葉に反応するソウキ。その表情は先程までとは違い、緊張感に満ちている。
『ああ、そう言うわけで可能な限り早く帰ってきてくれ』
「わかりました。大急ぎで撤収作業に入りますので…6時前にはそっちに着くと」
『そうか、じゃあ気をつけて』
 田所との会話を終え、電話を切るソウキ。そのまま大急ぎでうどんを胃に収めるのだった。
494―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2006/01/26(木) 01:48:06 ID:d4Gvk4eL0
 次の日。

 ソウキと同じく九州支部に所属するハバタキは、吉野の猛士本部へと来ていた。
 職員に案内され、施設を進んでいく。 
「ソウキさん、何で俺達呼ばれたんでしょうね?」  
「わからん。だが、第一級の特別召集命令が出たって事からして、ただ事じゃないな」 
 第一級特別召集命令。それは吉野の猛士本部長のみが発令可能である最上級命令で、この命令を下された鬼は如何なる状況下であろうとも、早急に吉野へと向かわなければならない。
 それ故に発令には厳しい条件が設定されており、そう簡単に発令することは出来ない。 
 逆を言えば、この命令が下されたという事は最悪、日本という国の存亡に関わるほどの事態であるという事である。
 そうこうしている内に2人は目的地である本部長室へと辿り着いた。 
495―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2006/01/26(木) 01:48:56 ID:d4Gvk4eL0
 2人が入室したときには他の鬼達は既に集結していた。
「おお、九州支部の2人も到着したか。遠路はるばるご苦労だった」
 2人を出迎えた紳士こそ、全国の猛士を統括する総本部長・和泉伊勢之介が迎える。
「さて、君達の中には初対面の者もいるだろう。まずは自己紹介からはじめよう」
「では自分から…猛士北海道支部所属、15代目トウキであります」
「次はワイやな。猛士関西支部所属、15代目ニシキや。以後よろしゅう」
「猛士中部支部所属、14代目キラメキと言います」
「猛士九州支部所属、16代目ハバタキです」
「猛士四国支部所属、カイキだ」
「猛士東北支部所属のレイキです」
「猛士中国支部所属、ランキだ」
「猛士九州支部所属、ソウキだ。これからよろしく」
 全員の自己紹介が終わった所で、伊勢之介が再び口を開いた。
「君達8人に集まってもらったのは言うまでもない…吉野の夢見が予言を下したのだ」
「夢見が…予言を?」
「夢見っちゅうたら、予知夢を見る事で災いを知らせるあの夢見ですか?」
「そう、その夢見だ」
「それで、その予言とは?」 
 ソウキの問いに伊勢之介は一旦言葉を切り、静かに語りだした。
「邪なる大蛇現る時、深緑の輝き振るう悲しき戦鬼蘇る 8つの希望、光となりてこれを討たん」
「…邪なる大蛇、深緑の輝き振るう悲しき戦鬼……」 
 伊勢之介の言葉を静かに反復するハバタキ。そして―
「予言、そして集められた8人のうち4人は…」
「君も同じ結論に至ったようだな、ハバタキ君」
「ええ、最悪の結論ですが……総本部長…深緑の輝き振るう悲しき戦鬼とは俺達、正しくは俺達の祖先に関わりがある…鬼ですね」 
「夢見の見た夢が100%真実だとすればな…」
「やっぱりな…ワイら4人全員が揃っとるから、予感はしとったんや」
 ニシキの言葉にハバタキ、トウキ、キラメキが頷く。
「恐らく敵は…猛士創設期に我々4人の祖先を含む7人の戦鬼が力を合わせ撃退した巨大魔化魍オロチと…」
「人に絶望し、悪の道に走った鬼…歌舞鬼」
496―仮面ライダー響鬼非公式外伝・風雷戦記―:2006/01/26(木) 01:52:22 ID:d4Gvk4eL0
久しぶりに書き込みます。

続きは近いうちに…
497名無しより愛をこめて:2006/01/26(木) 17:04:43 ID:DJ2hW3ib0
折角投下してくれた職人さんの気を悪くするようで申し訳ないんだけど
オリキャラ出すのってアリなの?
面白いことは面白かったけど何か違和感あったんで…
498名無しより愛をこめて:2006/01/27(金) 01:12:39 ID:715ihSDj0
>>1
499497:2006/01/27(金) 20:59:06 ID:Dj8IoF610
>>498
すまん、>>1読み飛ばしてた
わざわざ私的有り難う
500名無しより愛をこめて:2006/01/30(月) 10:25:51 ID:w/kh3kZu0
唐突だがこれを見てくれ。
ttp://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1138125972/225

……こんな仮面ライダー、どうよ?
501『ゼクトルーパー第7小隊』:2006/01/30(月) 23:06:13 ID:0bxiTI/x0
「馬鹿野郎ッッ!」
怒号とともに、目の前にいたサラリーマンの身体が爆ぜた。
「どけ、新米ッ!」
小隊長は俺を突き飛ばすと、ぐったりと崩れ落ちたサラリーマンに向かって執拗に銃弾を
叩きこみ続けた。二度、三度と地面で踊ったあとサラリーマンの身体はありえない方向に
捻じ曲がり、そこから粘液にまみれた“蛹”が這い出した。
俺は悲鳴をあげながら、無我夢中でマシンガンを撃っていた。
小隊長に肩を掴まれて正気に返ったとき、すでに手持ちの銃弾は尽き果て、あの忌々しい
“蛹”は警戒区域外へと逃げのびていた。

「いいか、小僧。警戒区域内では隊員以外すべて標的だ。見つけ次第ブチかませ。
 擬態中にたっぷりと銃弾のフルコースをご馳走してやること、それが奴等に対抗する
 唯一の手段だと養成所で教わらなかったのかウスノロ野郎!」
でも――俺は、反射的に疑問を口走っていた。
でも、それで相手がただの民間人だったらどうするんです?
「擬態に銃弾喰らって飛びだしてくるのが糞ワームだ。飛びだしてこなかったら……
 そいつは演技の巧い糞ワームだ。死にたくなかったらよく憶えとけ、小僧」

「やった、やりましたよ隊長!」
初老の男だったものが、足元でのたうっている。生臭い粘液があたりに飛散する。
「よし、上出来だ小僧。第7小隊から本部へ、第7小隊から本部へ――」
502『ゼクトルーパー第7小隊』:2006/01/30(月) 23:07:38 ID:0bxiTI/x0
シャワーをいくら浴びても、断末魔のワームが撒き散らした臭気はとれなかった。
「小僧、お前はどうして糞ゼクトなんぞに入ったんだ」
「さあ――どうしてっすかね。俺、家にいても学校でも居場所なんかなかったし。
 あの辛気臭いカウンセリング施設から出られるんなら、なんでもいいやって」
そうか、とだけ呟いて小隊長は髪を洗いはじめた。
鍛えあげられた背中が、無言で佇んでいた。
『第7小隊、第8小隊。あと5分だ!』
小隊長はどうしてゼクトに?――その疑問を口にすることは、できなかった。

「No.2、No.3俺に続け。No.4は通路を哨戒、小僧はバックアップだ」
大丈夫。いつもと同じ、どうってことない任務だ。
俺は深呼吸して、遮蔽をとった。
3、2、1――小隊長が鉄扉を蹴破る。
濛々とたつ埃のなかで、ブレザーの制服を着た少女が怯えていた。薄っぺらな学生鞄が
地面に滑り落ち、ピンク色のマスコットがけらけらと笑い声をたてながら転がる。
沈黙。
1秒、2秒。
その2秒が、俺達にとっては致命的な空白になる。
「隊長!」
誰かが叫んだ。
俺達がマシンガンをぶっ放すのと、醜く歪んだ少女の顔から触手が湧きだしたのは
ほとんど同時だった。隊長の身体が壁に叩きつけられる。“蛹”が這い出してくる。
仲間の誰かだった肉塊が、床に転がる。
それを呆然と眺めている俺の視界が、鮮血に染まり――
503『ゼクトルーパー第7小隊』:2006/01/30(月) 23:09:37 ID:0bxiTI/x0
「……小僧、まだ動けるか?
 済まない、俺のミスだ……皆……皆、死なせちまった。
 ああ……どうしてもな、引鉄がひけなかった。口ほどにもねぇな。

 ……なぁ小僧、ヤマンバって知ってるか?
 そうか、お前の歳じゃ……あまり憶えちゃいないかもしれんな、はは。
 靴墨みたいに日焼けして、糞ワームよりも化け物じみた化粧してよ……
 だけど……俺には自慢の可愛い娘だった……

 あの日……あいつは家に帰らなかった。
 いつもどおり、渋谷で一日中ふらつき歩いて……それで……

 ……済まねぇな、小僧……
 いいか、お前は生き延びろ。俺みたいなヘマするんじゃねえ……
 糞ワームどもを撃って、撃って、撃ちまくれ……奴等を……」

俺は右腕のマシンガンを構え、駆けだした。


『本日の戦況を報告します。
 ゼクトルーパー第7、8小隊、ワーム1体と交戦。
 投入10、負傷0、死亡10。消耗率100%です。
 なお、ワームは逃走の模様。
 次に、ゼクトルーパー第9、10小隊……』
                                      ◆END◆
504名無しゼクトルーパー隊員:2006/01/31(火) 15:30:17 ID:Vix76uSw0

母さん、父さん、俺ゼクトルーパーに選ばれちまったよ・・・・・・さよなら
505名無しより愛をこめて:2006/01/31(火) 17:19:05 ID:Wj5Bz6Sw0
ゼクトage
506名無しゼクトルーパー隊員:2006/01/31(火) 17:41:09 ID:Vix76uSw0

もっともっとみんなに伝えたいことがあったのに・・・俺ここで死ぬのかな・・・

なんだよ あの光る大きな目は・・・

・・・『仮面ライダー』??

・・・俺、助かったのかな??

・・・変だな・・・さきっからずっと 涙が止まらないや・・・
507名無しより愛をこめて:2006/01/31(火) 21:23:48 ID:tme9bDUh0
やばいな、早くも来週からゼクトルーパー見たら涙しそうだw
508名無しより愛をこめて:2006/01/31(火) 21:34:55 ID:fxL92nn20
ゼクトルーパー大人気だなw なんやかんやでスレ3つも乱立してるし。
トルーパーの思いスレの23も良かった。
509名無しより愛をこめて
何この「仮面ライダーになりたかった戦闘員」