「ミエゴンさーん、誰かいないっスかー」
「大声出すと、敵が来ると思うよぉ」
裏口から忍び込んだムカデンダーとベロン。今二匹は廊下を探索中だった。
「やっぱり、逃げるんじゃなかったっスねぇ」
「グロスト、どこ行ったんだろ」
ベロンを氷付けにしたグロストは現在行方不明のままだった。
二匹は廊下の奥から聞こえてくる咆哮、激突音を前に、これ以上進むかどうか迷っていたが、
完全に凍りついたままの区域にたどり着いた。
ムカデンダーの火炎で氷を溶かすと、グランドキングの部屋が現れる。
「グランドキングの部屋っスかねえ」
「へえ?あれ、何?」
部屋を覗き込むムカデンダーたち。
部屋の中央には、祭壇と召喚陣のようなものが設置されていた。
「助太刀だ、助太刀だ、俺がゴジラを倒し須ために助太刀だ・・・」
念仏のように呟きを繰り返しながら猛スピードで島へ飛ぶヘドラ。
その後を追いかけるのはFWガイガン、メガロ、バランの三匹である。
海上からはエビラが背中にクモンガを乗せて猛スピードで追いかける!
「ガイガン、光線を撃て!」
メガロが命じるが、FWガイガンは無視したまま飛び続けている。
「おい、聴いているのか・・・うわあっ!?」
エビラが顔を上げると、FWガイガンが鎖鎌をメガロの首に巻きつけ、鉤爪で叩き落したところだった。
「こうなりゃヘドラを止めるのはFWガイガン様だけだ!貴様らに手柄を分けてたまるかっ!」
バランスを崩し海へ落下するメガロを慌ててバランが助けに向かう。その間にFWガイガンは
ヘドラを追いかけ、スピードを更に上げた。もう島は目の前だ。
軟体怪獣であるヘドラを相手にするのはFWガイガンの装備では分が悪い。
だが、ヘドラには核があるはずなのだ。そこを一撃すれば勝機は十分にある!
自分はガイガンだ、負ける筈が無い。そりゃ、GFWでは負けたが、あれはきっと
統制官のせいだ。自分の力不足のせいじゃない。
「ギガリューム・クラスター!」
赤紫色の拡散光線が発射され、ヘドラを包み込む。爆発を起こし、ヘドラは回転しながら
島へと落下していった。
691 :
一撃:2005/08/07(日) 23:04:52 ID:7Ctka4Ee
島へ落下したヘドラは、すぐさま飛行形態を解除し立ち上がった。
「邪神殿、公害怪獣ヘドラ、助太刀を・・・」
島の大地を抉り取りながらFWガイガンが着陸すると同時にギガリューム・クラスターを放つ。
ヘドラはタフだが動きが鈍く、攻撃をマトモに喰らいよろめいた。
「なーにが助太刀だ、バカ野郎め!このチェーンソーの錆にしてやらぁ!」
言うなりFWガイガンは鉤爪からチェーンソーへモードチェンジを行い、ヘドラに向かって突撃する。
ヘドラはヘドロ弾を発射するが、光線によってことごとく撃墜される。
そして、すれ違いざまFWガイガンのチェーンソーがヘドラの頭部を切り裂いた!
692 :
縮むヘドラ:2005/08/07(日) 23:05:39 ID:7Ctka4Ee
「ぐぎゃああああっ!」
切り裂かれた箇所からあふれ出るドロを撒き散らしながら暴れるヘドラ。どんどん背丈が縮んでゆく。
攻撃を終えたFWガイガンは毎度の決めポーズを決めると、全く溶けていないチェーンソーを振りかざした。
「どうだ、X星人の科学力は!お前がゴジラに手を出す、それを俺様が止める、そして世間は俺様をヒーローとして持ち上げる!完璧だ!」
今までの行動からそう上手くいく訳ないのだが、FWガイガンの考えはそこまで及ばなかった。
再び向かってくるかに思えたヘドラだが、急に戸惑った表情を見せると、周囲を見回し始めた。
すでに背丈は平成ゴジラと同じくらいまで縮んでいた。
693 :
間抜け!:2005/08/07(日) 23:06:37 ID:7Ctka4Ee
「おい、俺様の話を聞いてたのかよ」
「ちょっと待って・・・邪神殿はどこだ?」
あたふたし始めたヘドラを見たFWガイガンは笑い出した。
「アハハハハ、お前馬鹿だな。もう邪神は倒されたんだよ!ゴジラが倒したのさ!」
「嘘だ!」
「嘘じゃないよ、間抜け!お前の負けだ!」
言うなりFWガイガンはフルパワーの拡散光線を発射した。
それを避けもせず、真正面から受けたヘドラは大爆発を起こした。周囲に大量のヘドロが飛び散る。
だが、ヘドラは身長二十メートルほどの姿でまだ立っていた。
「嘘だ・・・」
そう言うと、ヘドラはそのまま倒れ、動かなくなった。そして、残ったのはFWガイガン。
彼は勝ち誇った表情で決めポーズを見せたが、すぐに大事な事を思い出した。
「・・・あ・・・ヘドラ倒したら、ゴジラに襲いかかる奴がいないじゃねえか!」
「前スレ271から始まった『名前にキングが入っている怪獣GP』も、
残すところ1試合となりました。実況を担当させて頂きます658(本人)です。」
「解説の661(本人)です。よろしくお願いします。」
「さて、途中キングザイガー選手の行方不明というアクシデントもありましたが、何があったんでしょうか?」
「怪獣たちはなにやらあわただしくしていたようですが、人智の及ばぬ何かがあったのでしょう。」
「そうですか。では決勝戦の見所についてはどう見られますでしょうか。」
「組んでブラックキング、離れてエレキングでしょう。エレキング選手も格闘戦は得意とは言え、
レッドキング相手に力負けしていたことからして、それを上回るパワーファイター相手では苦しいでしょう。
一方のブラックキング選手はこれといった飛び道具はなく遠距離での決め手にかけます。
鉄壁といっていいディフェンス力があるとはいえ、相手は3分間でいなくなるわけではないですから。」
「相変わらず月並みな解説ですね。」
「知識薄いですから。」
「それでは両選手とも用意が整ったようです。」
「開け放たれたゲートから現れたナックル親衛隊、その隊列の中ほどに一際高くそびえる黒き巨獣、
青コーナーよりブラックキング選手の入場です!
隊列の先頭に掲げられた黒字に真紅で染め抜かれた1文字は、ナックル語で『拳』を表すそうですが、
その拳で1回戦の相手フライトキングを一蹴、2回戦ではキングザイガーが行方不明となったため、
急遽繰り上がったアイアンキングを瞬殺、そして準決勝ではジャンボキングとの対戦を制しました。
まさに磐石、余裕すら感じさせる戦いぶりは『ウルトラマンを倒した男』の称号を感じさせるものでした。
そして、隊列の殿を行く2本角の兜にマントを翻したその姿は、総帥ナックルキングだ。
しかし、あのプライドの高いナックルキングがよく青コーナー、要は各下扱いを飲みましたね。」
「いえ、これはナックル星人サイドの申し入れだそうです。相手はウルトラ怪獣では重鎮中の重鎮。
先達に礼を尽くすのは拳法家としてのたしなみだそうです。」
「なるほど、細かいところにこだわるのもナックル星人らしいのかもしれません。」
「あるいはおだてておいて油断を誘おうという、お得意の心理作戦でしょうか。」
「続きまして、赤コーナーサイドからエレキング選手の入場です!
・・・・が、なかなか出てきませんね・・・・・」
「それより上空の雲行きが怪しくなってきたような・・・・・」
ゴ ロ ゴ ロ ド ッ カ ー ン !!
「うわぁっ!入場ゲートに落雷! おおっ、その閃光の中からエレキング出現!」
「この辺の無駄に格好を付けるのが江戸っ子たる所以でしょうか。」
「でしょうねぇ。おや、エレキングが2頭?これは先日デビューした3代目でしょうか。」
「いえ、平成版に登場の2代目ようですね。」
「準決勝のときにいた3代目はどうしたんでしょうか。」
「さあ?」
「役に立たない解説をありがとうございました。え〜あとに続くセコンド陣は、
お馴染みムーンサンダーとルナチクスの熊さん八つぁんコンビ。生後間もない曾孫さんまでいますね。」
「重々しいブラックキングサイドとは好対照な家庭的ムードですね。」
「そうですね。しかしここまでの戦績はといいますと、このオチャラケたムードに反した凄いものです。
1回戦ではキングコング、2回戦はレッドキング、準決勝ではキングギドラ、
そうそうたる相手との激闘を制して勝ち上がってきました。
さあ、そして、リング中央でにらみ合った両者ですが、こうして見ますとその容姿も好対照ですね。
共に正統派二足歩行怪獣ですが、ブラックキングは岩の塊のような漆黒の肌にはじけんばかりの筋肉、
爛々と輝く目と頭頂にそびえる1本角、存在そのものが肉体派である事を誇示しています。
一方のエレキングは白を基調として黒いライン、スレンダーボディの伊達男、
全くのポーカーフェイスには目にも見える2本角がクルクルと回り、異形の者らしい美を放ちます。」
「両者主に怪獣史にその名を残す名怪獣だけあって、立っているだけで画になります。」
「本当ですね。これが動き出すとなると、考えてだけでワクワクしてきます。
そして、いよいよその時がやってきました。両勇がそれぞれのコーナーに分かれて、
共に静かなたたずまい。さあ、そして、今運命のゴング!決戦の火蓋が気って落とされたぁっ!!」
オチャラケはここまでね。なるべく重厚さを心がけるつもり。
破壊目標である衛星を盾にスターデストロイヤーの攻撃を避けるベムラーたちに、その10倍以上の数のゾイガーが強襲してきた。
(バリアーをなんとかできないと全滅だぞ!)ドラコのテレパシーが飛んだ。
ベムラーも怪獣の姿になると同時に、突っ込んで来たゾイガーにシッポで一撃食らわせてから応えた。
(現有勢力でゾイガーを防ぎながらバリアーを破壊するのはムリだ!ベムスターたちの援軍が来るまでなんとか持ちこたえろ!)
(がああああっ!)
姿が見えないゴースラがゾイガーの背後から襲い掛かって一匹仕留めた。
(ベムスター、ほんとに来るのかよ!?)
そう言いながらドラコも両手の鎌で応戦する。
ベムラーも熱線で二匹目のゾイガーを撃ち落した。
だが、その背後から最初にシッボで一撃したゾイガーが飛び掛ってきた!
打ち倒しても打ち倒しても、底無しの闘志で襲い掛かってくるゾイガーの軍団!
(ダメだ!このままじゃ何時か殺られる!?)
(よしボクがかく乱してやる!)
(待て!衛星の影から出るな!)
ベムラーの静止も聞かず、若いムーンサンダーJrが衛星の影から飛び出した!
そのままゾイガーの集団中央を突破すると、数匹のゾイガーがムーンサンダーJrを追尾した!
(ムチャだ!)
逃げるは戦闘経験の浅いムーンサンダーJr!
しかも追っ手はゾイガー6匹!
掴まったらひとたまりもない!
(…けど、掴まるもんか!)
699 :
狙撃!:2005/08/08(月) 12:12:43 ID:6JLw8pbh
ゾイガー6匹を引き連れ真空の宇宙を駆けるムーンサンダーJr。
若さは戦闘経験の浅さであると同時に、身の軽さであり判断の果断さでもある。
ムーンサンダーJrは最速を維持したまま反転すると6匹の追手のただ中を突っ切った!
激しいショックでゾイガーたちが弾けるように飛ばされる。
ムーンサンダーJrは父譲りの、スペクトルフラッシュにも耐えるヨロイを標準装備しているのだ。
(へん!ざまあみろい!)
だが、6匹のゾイガーはなんとか体勢を立て直し追撃を再開してきた。
さらに気がつくと前からもゾイガーが3匹!
(よし!そんなら後ろのヤツラと鉢合わせさせてやる!)
Jrは速度を緩めず正面の3匹に突っ込んでいく!
だが、正面の3匹のゾイガーは後ろの6匹より手馴れていた。
瞬時に散開するとJrの三方から順次に攻撃をかけてきたのだ!
3匹のゾイガーの波状攻撃!さらに追いついた6匹もこれに加わる!
(まずいぞ!Jrの動きが止った!?)
ベムラーがそう思った瞬間である。
白い閃光がムーンサンダーJrと9匹のゾイガーを一瞬で飲込んだ。
700 :
相次ぐ犠牲…:2005/08/08(月) 12:14:58 ID:6JLw8pbh
ガラキングから怒りのテレパシーがぶちまけられた!
(ヤツラ、仲間のゾイガーごとJrを撃ちやがった!)
(怪獣なんぞ仲間とは思ってないからいいのさ。)とドラコからも怒りのデレパシーが放たれる。
そのとき、仲間の苦しみのテレパシーが戦場を駆け抜けた。
(ゴースラか!?)
3匹目のゾイガーを仕留めた直後、最後の獲物から離れる前に別のゾイガーの攻撃を受けたのだ。
ゴースラのコウモリのような皮膜のツバサがあっというまに切裂かれた。
(待ってろ!)
救援に飛び出したドラコだったが、たちまちゾイガー3匹に前を塞がれた。
(ちくしょう、このまま一匹づつ潰そうってのかよ!)
701 :
殺人シュート:2005/08/08(月) 12:17:33 ID:6JLw8pbh
……デス。)
(……そうねガラ…。)
囁くようなテレパシーが行交った。
(……『そうね』って、まだ何も言ってないだろう!?デスコングキング。)
(言われなくったって判るわ。だってアナタの考えてることなんですもの。)
ガラキングはデスコンクキングに微笑みかけた。
(やってやろう!殺人シュートでバリアーをぶち破ってやるんだ!)
邪神が衛星を裸で置いておくとは思えない…。
そう考えたガラキングとデスコングキングは、ショッカーの改造人間トカゲロンに一日弟子入りし、殺人シュートのトレーニングを受けていた。
つまり…デスコングキングそのものをバリアー破壊ボールと化し、邪神が展開しているバリアーを破壊しようというのである。
ただその場合、例えバリアー破壊に成功したとしてもデスコングキングは…。
(…いいの。いいのよガラ。アンチゴーネさまたちは私たちの関係を決して許しては下さらないわ。それならいっそアナタのキックで……。)
(怪獣墓場で添い遂げよう…。後から逝くからねデス。)
そして二匹の怪獣は、衛星の影から飛び出した。
(ベムラー!ドラコ!衛星から離れろ!)(さようならみんな!)
702 :
木っ端微塵に:2005/08/08(月) 12:18:37 ID:6JLw8pbh
「怪獣が二匹、衛星の後ろを離れました。何をする気でしょうか?」
レーダーサイトを監視していた士官が振返ると、艦長に報告した。
「何をする気だろうと関係無い。前部主砲の斉射で木っ端微塵にしてやれ。」
艦長は事務的な口調で、射撃管制に指示を下した。
デスコングキングとガラキングは手を繋いで飛んだ。
2人の前に立ち塞がるゾイガーはガラキングが身を立てにして蹴散らしていく。
(これがワタシたちの新婚旅行ね。)
(ひでえ新婚旅行もあったもんだな。)
2匹は人工衛星の方に振り返った。
(…じゃ、いくよ。)
ニッコリ頷くとデスコングキングは丸くなってデスコングボールになった。
静かに片足を退くガラキング……。
そして心で叫んだ!
(殺人シュート!)
704 :
待たせたな:2005/08/08(月) 12:20:43 ID:6JLw8pbh
「ロックオン終了。2匹とも片付けます。」
「よし、主砲発射!!」
だがそのとき!ガラキングとデスコングキングを狙っていた艦の数箇所で大爆発が発生した!
その爆発の閃光の中に、何匹もの巨大生物の影が浮かび上がった。
(待たせたなぁ!!)
ベムスター率いる増援部隊が到着したのだ!
705 :
尻に火が…:2005/08/08(月) 12:21:34 ID:6JLw8pbh
「怪獣です!」
「左舷にも怪獣!猛スピードで抜けていきます。」
「右舷後方にも怪獣が…、ああっ!?プリンツ・オイゲンが炎上しました。」
突然の増援怪獣の出現にスターデストロイヤーの艦橋は一時的にパニック状態になった。
だが、さすがに艦長クラスは冷静だった。
「うろたえるな。増援の怪獣が来たとしても勢力はまだまだ我々の方が優勢だ。落ち着いて一匹づつ撃ち落せ!」
艦長の落ち着いた態度に、艦橋でのパニックはたちまち終息する。
しかし、その落ち着いた艦長の「尻」にも、間もなく火がつこうとしていたのである。
706 :
艦尾にて…:2005/08/08(月) 12:22:43 ID:6JLw8pbh
ゴン…。
艦尾に小さなショックが走った。
「…なんだ?」
機関員の一人が、音のした辺りに向かう。
そこには船外活動用のハッチがあるはずだ……。
……。
「……気のせいか…。」
艦尾には何の異常も認められなかった。
……少なくともそのときまでは……。
ボン!
乾いた小さな音とともにハッチが弾け飛び、その向こうから数人の人影が飛び出してきたのである!
「か、艦長!」
艦内連絡用の端末を放り出し副艦長が叫んだ!
「ん?どうかしたのか?副艦長??」
「艦尾に敵が侵入しました!」
「なんだと!?また宇宙刑事どもか!?」
「いえ、連絡によりますと『怪人フーマンチュー』の組織だそうです!」
「なんだと!?大至急皇帝陛下にご連絡せよ!リーが、ドラキュラがやって来たと!」
>>こんどはオタクの差別に立ち向かう話キボンヌ!!!
ほんとはそういう方向で話しを膨らませる考えもござりもうした。
例えば、カメバズーカがプロトンミサイルに乗って出撃するとは、軍オタの集団が見送ってござましょう?
あの軍オタたちが破壊された宇宙破壊光線砲を修理してスターデイトロイヤーを砲撃する展開もかんがえとりましたが…。
512規制にひっかかりそうなのでカットでござる。
代わりに「特撮」に的を絞りもうしたでござる。
709 :
吸血鬼の影:2005/08/08(月) 17:11:13 ID:6JLw8pbh
(ドラキュラで来るとばかり思っていたが、フーマンチューの組織を使ってくるとは…。迂闊だったぜ。)
ボバ・フェットは戦艦内の通路を艦尾へと急いでいた。
帝国艦隊の旗艦艦内でストームトルーパーとフーマンチューの兵が白兵戦になってしまっていた。
遠距離では圧倒的威力を発揮する光線銃も、狭い艦内での接近戦では青龍刀に圧倒されること、しばしばであった。
ストームトルーパーの装備火器は軽量コンパクトに過ぎ白兵戦には不向きなのである!
(ベイダーとモールなら中国兵あいてによもや負けることもあるまいが…ドラキュラ=ティラナスが来ているなら話は別だ!)
だが、ボバの走る通路の先の十字路を、長身の黒マントが悠然と横切った!?
(なに!ヤツは!?ま、待てドラキュラ!)
十字路を曲がって少し行ったところで、ボバは相手に追いついた。
ベイダー並みの長身に長い黒マント!まちがいない!ヤツだ!
「ドラキュラめ!こんなところで出くわせるとは思ってもみなかったぞ!下で戦っている連中は指揮官抜きのオトリというわけだな!?」
大男が悠然と振返った。やはりドラキュラだ!
「……下部デッキで戦っている連中には私などよりずっと優秀な指揮官がついている。もっとも彼が正体を現したとき……、ストームトルーパーどもで戦闘になるのかな?」
「なんだと?貴様以外にフーマンチューがいるとでも……。」
そこまで言いかけたところで、ボバははっとある名前に気がついた。
あいつだ!
あいつがいる!
下部デッキで謎の中国人たちを指揮しているのは、あの男なのだ!
711 :
暗黒怪獣:2005/08/08(月) 17:14:18 ID:6JLw8pbh
邪魔な戦艦を蹴散らしながらベムスター(帰りマン)、ゴルゴザウルス、マヤザウルス、ハレージャック、アンドロザウルスの親子(以上ミラーマン)。
バドラ、ピドラ、ダコーダ(マグマ大使)、ギエロン星獣(セブン)、そして大物ガイガン(初代)がゾイガーの群れに襲いかかった!
殺人シュートを中止したガラキングとデスコングキングもこれに加わる!
その一方で、シルバーブルーメ、ブラックエンド、ブニョといった円盤生物たちがスターデストロイヤーを襲い主砲を撃たせない!
戦況は「圧倒的な不利」から「ふつうに不利」に変化していた。
だが、この戦力バランスをひっくり返し得る力が二つ存在していたのである。
一方は衛星に陣取る邪神オトゥゥム。
そしてもう一方は……。
「グアー、助かった。バキューモンが主戦場に移動し始めました!」
「なんだと!?バキューモンが!?」
それまでGK艦隊を攻撃し一手に足止め役を引き受けていた暗黒怪獣バキューモンが、主戦場での趨勢を決めるべ移動を開始したのだ。
「これで我々は助かりました……。」
胸を撫で下ろす乗員たち。
だが、艦長代理の命令は…。
「…………艦首をバキューモンに向けよ。」
「グ?グアーって……、あの……せっかく助かったのにバキューモンに突撃するってんですか?」
「そうだ。GK様からのお話を忘れたか!?あの衛星で召喚されるのはGK様のご家族の敵なのだ!」
「し、しかし…。」
「ベムラーやベムスターたちは明らかに人工衛星を破壊しようとしている。それを援護するのだ!」
「…それでバキューモンを!?」
「そうだ!」艦長代理は立ち上がった。「……バキューモンを人工衛星周辺に移動させるな!総兵力をもって暗黒怪獣を足止めする!」
そのころ、帝国艦隊旗艦内での白兵戦は、一方的に押し捲られていた帝国側が反撃に転じていた。
バタバタ倒れた「謎の中国人」たち。
その真っ只中に返り血を浴びて立つは異星の赤鬼、ダース・モール!
竜巻の如きダブルライトセイバーの切っ先は、青龍刀と違い血糊で切れ味の鈍ることなど有り得ない。
歯を剥き出して一瞥すれば、「謎の中国人」たちも怖気走って二歩三歩と後退する。
このまま一気に失地回復か?
ああだがしかし、モール以上に痩せた桃色の影が、中国人たちの頭上飛び越え、モールの前に立ち塞がった!
新手の敵の、その正体の意外さに、思わず眼を剥くダース・モール!
「異星の赤鬼」の前に立つのは「ピンクの豹」=ピンクパンサーであった!
え、・・・ピンクパンサーって強いの?
715 :
使徒は嗤う:2005/08/09(火) 01:47:40 ID:a4WepJyZ
――砂の間――
熱く焼けた砂を蹴散らし、三人が散開する。
「ふはははは!このサソリベーダー(FC版スターウォーズ)が相手だ!」
「く!先輩たち、ここは僕が引き止めます、先を……」巨大サソリにのしかかられつつシャイダーが他の二人を促す。
その言葉に応え先行する二人。彼らは後輩がきっと勝って合流してくれると信じているのだ……
「いい加減に……しろ!」渾身の力でサソリをひっくり返し、腹部に一撃を叩き込もうとするもすぐさま元の人型に戻る。
「ふはははは!私は所詮囮であり足止め。貴様一人でもここに釘付けに出来ればよいのよ!」
――鏡の間――
映画『怒りの鉄拳』を思わせる、そこかしこに鏡の吊るされた広間。
シャリバンはそこに一人残り、見えざる敵と対峙していた。
その赤い強化服に刻まれたは無数の刀傷。それを映し出す鏡の中で黒い影が動き……
「そこだ!」レーザーブレードが鏡の中から湧き出た黒いドラグセイバーを受け止める。
仮面ライダーリュウガ
黒き龍騎士と赤き忍者の末裔の振るう光刃は永久に打ち合うかに見えた……
――闇の間――
「貴様がダース・ベーダーか!」闇の中に佇む人影に向かって声を上げるギャバン。
「ふっふっふ(コーホー)、貴様には(コーホー)そう見えるか。わたしが(コーホー)ベーダー卿で(コーホー)あると」
スーツの暗視システムはその影をダース・ベーダーと識別し、熱分析システムは暗黒卿に施されているはずのサイボーグ部分を確認できず、
そしてその声は……
「貴様は……マモーか!」
「たこにも!(コーホー)いやさいかにも(コーホー)……だからうっとおしいわ!」
黒いマスクを脱ぎ捨てた下から見える緑色の顔、紛れも無くマモー(『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』ナン魔くん最終回スペシャル『ナン魔くんのスターウォーズ マモーの最期』)その人であった。
因みに、息苦しくなってマスクを脱ぎ捨てるのは実際に番組内でやっていたギャグである。
「光の剣士と闇の剣士。ここいらで腕比べと行こうか……マーモー!」
「どの道、貴様を倒さないと通れないのだろうが……!」
716 :
間抜け!:2005/08/09(火) 04:19:26 ID:t1VpQuiX
会場に並べられた食事を食い荒らしながらも遂に召喚陣にたどり着いたシェルターとロードラ。
そこへ最後の難関が立ちはだかった!
「ザビデーンッ!貴様ら、ここから先へは一歩も通さん!」
言うと同時にザビデンが襲い掛かってきた。ダクミランと違い、素早い動きで
シェルター達にダメージを与えるとすぐさま火炎の有効範囲外へ離れるという
ヒット&アウェイの戦い方で責めてくる。
「グア軍団のファイティングベムを見くびるなよ、怪獣め!」
その時。
轟音と共に、会場を黒い影が覆いつくした。ビヤーキー達が逃げ惑う。
グランドキングに帰還命令を受けたキングジョーグ、ギエロニア、ベムズンが遂に戻ってきたのだ!
「シズルン!」「エドラス!」「バゼリア!」
「我等ただ今地球に帰還しました!」
エンマーゴ達は一気に不利な状況に追い込まれてしまい、一方のグランドキングは大喜びだ。
会場から飛び出してきたシェルターとロードラも仰天して声も出ないでいる。
「おお、良く帰ったなお前たち!で、宇宙の様子はどうだ?」
キングジョーグに乗ったシズルンが答えた。
「今、宇宙戦艦部隊がバキューモンと戦ってますよ」
「なに、バキューモンと?」
718 :
一時休戦:2005/08/09(火) 04:21:43 ID:t1VpQuiX
結局一時休戦した怪獣達は、シズルン、エドラス、バゼリアに宇宙の状況を聞いていた。
「じゃ、じゃあ今ベムラーたちはオトゥームとかいう奴らと戦ってるってのか?」
ムルロアが焦った声で叫ぶ。
「ていうか、何でバキューモンが俺の戦艦を・・・ヘドラの野郎、騙したな!」
怒り出すグランドキングだが、ここでようやく自分が戦闘に至った経緯を思い出した。
「いけね、ヘドラの野郎を止めないと・・・」
「止める?」
怪訝な顔をする怪獣達。だが、ヘドラのゴジラ抹殺計画を聞いて、
慌ててシェルターが鎌倉へ電話をしに行ったが、すぐに戻ってきた。
「心配ご無用、ガイガンが倒したんだってさ。ヘドラ」
「ガイガン、宇宙にいたけどなぁ」
首を傾げるシズルンに、グランドキングが笑いながら説明をする。
「違う、違う、ガイガンの弟子か孫のFWガイガンだよ」
719 :
攻撃させろ!:2005/08/09(火) 04:22:44 ID:t1VpQuiX
それからグランドキング達とエンマーゴ達は少しの間話し合いを行った。
ムルロアとアストロモンスはベムラーたちを助けるといって宇宙へ飛んでしまい、
ザビデンは残っているグア兵を率いて、戦いで荒れた会場の清掃中だ。
「ようするに、俺に父さんたちを呼ぶのをやめろ、と」
「その通りだ。オトゥーム、ガタノトーア、ダゴン、ハイドラ・・・これ以上邪神に復活されたら本当に手に負えなくなってしまう」
「・・・よくわからねえけれど、確かにこれ以上のトラブルは御免だ。エドラス!」
呼ばれたエドラスがグランドキングの側に駆け寄った。
「何でしょうか」
「スペクターの衛星レーザー兵器で敵の戦艦を集中攻撃させろ!」
目的は違えどタロウ怪獣達は遂に結託し、クトゥルー復活阻止のために動き始めた。
エンマーゴはすぐに戻り、タロウ怪獣で宇宙に行ける者たちを組織し、ベムラー達の救援に向かう事になった。
バードンはGKのアジトへ行き、ミエゴン達に戦闘を中止するよう伝えに向かう。
一方のグランドキングはグア軍団の技術部隊と共に、対バキューモンの戦略を練っていた。
「対バキューモン対策は、改造ベムスター方式で行う!」
よく分からず、顔を見合わせるエドラスたち。
「分かりやすく言うと、ベムズンに、濃縮エネルギー爆弾AとBを搭載して、バキューモンに飲み込ませるんだ」
>>714 >>え、・・・ピンクパンサーって強いの?
強くはござらん(笑)。
ただ、「謎の中国人」集団を率いる「天才悪魔フーマンチュー」を演ってるのがピーター・セラーズなんで、PPが出てきただけにござる。
ちなみにP・セラーズの遺作はアカデミー賞候補にもなった「チャンス」でなく、「天才悪魔フーマンチュー」にござる。
フランスで映画が始めて登場したとき、その後を追ってすぐ登場したのが「特撮」にござる。
この辺のことはスレでノスフェラトゥが語ってくれ申した。
さて最初の映画人たちが「特撮」を何に使ったかというと「恐怖」「驚き」そして「笑い」を導く「一発ネタ」でござって…。
美女がゆるゆると骸骨になったり、美女を膝に乗せて鼻の下伸ばしてると古女房に一転したり…。
だから「特撮大戦」と化したこのスレにコメディ系キャラを出しておこうと思ったのでござるよ。
さて、GP本戦でブラックキング対エレキングの決着がつくころまでには、宇宙での戦争の趨勢も決めておきまへんとな…。
まともなエンディングまで、もうひとがんばりにござる。
チカッ!
光線銃の銃口が光る!
だが、ドラキュラはそれより僅かに速く手近の通路に飛び込んでいた。
「ちっ!さすがに速い!」
光は音より速い。
だから銃声を耳にしてから反応したのでは、光線銃による攻撃には対応できない。
つまりドラキュラはボバが銃を撃つより先に回避を開始しているのである!
「それでこそ、オレの獲物に相応しい。」
ボバはマスクの背後で舌なめずりをしていた。
723 :
ボバ坊や:2005/08/09(火) 12:13:36 ID:kYEWh85F
(ジャンゴ・フェットが連れていた息子、ボバか。あんな子供がワシの命を狙うまでに成長していたとは…。)
ずーーーーーん…。
どこかで爆発音がした。フーマンチューの組織か?それとも先に艦橋近くに侵入した宇宙刑事たちか?
爆発音と衝撃は、ドラキュラに彼の果たすべき任務を思い出させてくれた。
急がなければ…。
だが、そのためにはボバ坊やを倒さねばならない。
724 :
黄金銃:2005/08/09(火) 12:14:34 ID:kYEWh85F
ドラキュラはかすかに笑うと、マントの下からキラキラ光る小物を取り出した。
まず黄金のライター。
次に黄金の万年筆。
つづいて黄金のシガレットケース。
そして最後に黄金のネクタイピン。
それらを今度は要領よく組み合わせていく……。
ライターの底部に銃身である万年筆を捻じ込む。
ライターの側面に引き金であるタイピンを取り付け、その直後の部分にグリップ代わりのシガレットケースをはめ込んだ。
そしてすべての仕上げに、ライターの火蓋を開き金メッキの弾丸を装填…。
伝説の『黄金銃』の完成である!
同じころ地球では……。
もんたーXと初代ギドラの問答がまだ続いていた……のだが…。
「さて、もんたーよ。もうこの辺でよかろうぞ。」
「………はぁ?『この辺で』と仰られますと、どの辺で……。」
「しらばっくれるでない。もうワシにはとっくに判っておるぞ。」
「……………。」
「オマエは弟のモンスターXが宇宙(そら)に上がるまでの時間稼ぎをしていたのであろう?」
「そんなことが読めぬワシだと思うてか?」
(こりゃ完全にバレてるな……)
もんたーXはアッサリ頭を縦にふった。
「ピンポーン!正解です。そうです、オレ、時間稼ぎしてました。でも、途中で気がついてんなら何でオレの時間稼ぎに付き合ったんですか?」
「…途中で気がついてたなら、何でオレの時間稼ぎに付き合ったんですか?」
もんたーXは開き直って初代ギドラに尋ね返した。
「……通過儀礼だとおもったからだ。」
「モンスターX=カイザーギドラが真に偉大な怪獣となるためには、ここでヤツ自身の考えで邪神と闘わねばならん。」
「…ここでそれが出来ねば、一生口だけ大将で終わる。」
そして例によって発言は三つ首を一巡し、最初の首に戻ってきた。
「……オマエもそう思ったからこそ、弟だけを行かせて、ワシに足止めしたのであろう?」
「そうです。」もんたーは答えた。「……弟には、モンスターXにはこれが必要なんです。これをしなければ、弟は一生あのハイテンションのX星人統制官の影から出られません。」
もんたーXの答えに一応は頷きながらも、初代ギドラは静かに言葉を返した。
「だが、それは危険な賭けだぞ。」
「…星の配列は完成しつつある。と、いうことはオトゥゥムの力も最大となっているハズだ。ワシの読みでは、例えカイザーギドラになったとしても、オトゥゥムに勝てる可能性は五分五分よりもずっと低い…。」
「判っています。」もんたーは顔を伏せ静かに答えた「…弟がオトゥゥムに倒される可能性の方が強いということは……。でも…。」
ここで、もんたーXはキッと顔を上げた。
「…自分の野望に、出来もしない野望に押しつぶされながら生きるくらいなら、いま闘って死んだほうがましです!」
ここではじめて、初代ギドラの三つ首は深く大きく頷いた。
「その答え。まさに我が意を得たり。……待とうぞ、我らは。この場所から、若きカイザーの勝利を祈って…。」
728 :
流れ星になる:2005/08/09(火) 12:23:00 ID:kYEWh85F
(あ…れ……ぜんぜん痛くないや……、死ぬって、とても痛いんだと思ってたのに…)
9匹のゾイガーとともに、スターデストロイヤーからの砲撃を受けたムーンサンダーJrは戦場から遠く離れた宇宙空間を漂っていた。
生きてはいた、一応は……。
だがもう、飛ぶことはおろか指一本すら自分の意志では動かせない。
それでもムーンサンダーJrは『移動』していた。
ムーンサンダーJrは地球の引力圏に掴まり、地球に向かって落ち始めていたのだ。
(ボク、このまんま流れ星になるのかな?どうせ流れ星になるんなら、地球でいちばん綺麗な流れ星になりたいんだけど…。)
落下速度が速まり、それにつれて体の表面が暖かくなってきた。
もう少しすれば、真赤な火の玉になるのであろう。
(ああ…、月島の蕎麦屋に行きたい。とうちゃんに会いたい。………とうちゃん、ごめん。)
ムーンタンダーJrが、地球に残してきた父に詫びたときである。
父に似た力強い腕が、ムーンサンダーJrを抱き止めた!
「ずいぶん騒がしくなってきたな。」
…ここは人工衛星内に作り上げられた亜空間。
「クトゥルーの騎士」ことオトゥゥムが立ち上がった。
彼は「多次元に開いた窓」を通し、各地で繰り広げられた闘いの様子を逐一眺めていた。
鋼鉄参謀が口を開いた。「……艦橋に上がれる通路を途中で二本パスしているから、司令部は狙っていない…。ドラキュラの狙いはおそらく…。」
「パワーフィールドの発生装置ね。」Drケイトが鋼鉄参謀の鼻先から結論をひっさらった。
普段ならひともんちゃくあるところだが、何故か鋼鉄参謀はDrケイトにちらりと一瞥くれただけだった。
730 :
どこか変…:2005/08/09(火) 15:18:28 ID:kYEWh85F
「おお、あの358とかいう子供、意識がもどったぞ!いや良かった、良かっ…。」そこまで言ったところで自分の立場を思い出したのは磁石団長である。彼はGP会場での佐野史郎氏と358少年の事件を手に汗握って見ていたのだ。
「…悪の怪人の分際で、何が『良かった、良かった』だ。」皮肉たっぷりに突っ込んだのは荒ワシ師団長だ。
「あんな子供が命張って闘ってるんだぞ!その価値が判らんヤツに戦士を名乗る資格など無い!」ヨロイ騎士が磁石団長に珍しいことに助け舟を出した。そもそもデルザー怪人のあいだには協調性が皆無なので、助け舟など絶対に出さないはずなのだが…。
「じゃあ聞くが、オレたちのやっていることはなんだ!?あの感心なクソガキの鼻先から、世界支配を掠め取ろうってんだぞ!?」
ヨロイ騎士と磁石団長が、初めて気づいたというように立ち尽くす…。
彼らの行動もどこか変だった。
731 :
怒りの矛先:2005/08/09(火) 15:20:41 ID:kYEWh85F
「オレたちのやろうとしてるのはな、クソガキが守ろうとしてる世界を横から掻っ攫うことなんでえ!」
荒ワシ師団長はムシャクシャしたように誰彼なく喚き散らし当り散らしていた。
他の怪人たちは、何故か言い返さない…。
「…あの少年がクソガキなら、オレたちはクソバエ以下だな。」オオカミ長官が視線を落としたまま呟いた。
それを耳にし、一瞬怒りに斧を振り上げた荒ワシ師団長だったが、けっきょく力無く床に落としただけだった。
彼の怒りは、オオカミ長官には向かっていなかった。
怒りの矛先は、「自分」に向いていたのである。
732 :
「彼」:2005/08/09(火) 17:00:51 ID:kYEWh85F
一方こちらは「戦場」から少し離れた宇宙空間…。
(……なんだよ、なりはデカクても、まだ子供じゃねえか?こんなのが命張ってやがんのかよ!?)
彼は宇宙(そら)に上がる途中、偶然地球に落下しつつあったムーンサンダーJrに遭遇。
再び無重力圏まで運びあげたのだ。
彼は意識を無くして漂うムーンサンダーの体を眺め回した。
(ひどい傷だ。この頑丈そうなヨロイが無かったら、五体バラバラだったろう…。)
ヨロイは無数のキズや焼け焦げに覆われていた。
彼が見つめていると、ムーンサンダーJrが微かに眼を開いた。
(とうさん…)
…テレパシーだ。彼を父と勘違いしている。
(…来てくれたんだね。あと少し、あと少しなんだ。あと少しで……。)
そこでテレパシーは途絶えた。彼は慌てて相手の体に触れてみた…。
(…死んだんじゃない。意識を無くしただけだ。よかった……。)
彼はほっと胸をなで降ろした。
と同時に、これまで経験したことの無い激しい怒りが胸の奥から絶叫を上げ飛び出してきた!
733 :
起動:2005/08/09(火) 17:02:24 ID:kYEWh85F
理知的で狡猾なのが「彼」だった。
ならば、いま体を支配している「彼」は全くの別人であるといえるだろう。
だが、それでも間違いなく「彼」は「彼」だった。
「ふざけやがって。あれはオレたちの星だ。オレの生まれた星だ。オレの住む星だ。
神だろうが何だろうが、好き勝手にさせてたまるか!
オレは皇帝だ、カイザーだ。オレは、オレは、オレはオレはオレは、オレオレオレオレオレ……………………。」
「オレ」が無限にコダマした果てに、いつしか「オレ」は三つになった。
「オレはカイザーだ!」「そうだ!最強の存在だ!」「オレは闘わねばならない存在なのだ!」
「神と!」「神と!!」「そうだ!神と!」
「彼」は人工衛星の方向を睨み据えた。
真空の宇宙では音は伝わらない。
ただ無数に走る閃光が、そこが戦場であることを知らせていた。
「行くぞぉ!邪神っ!!」
体中の血液が瞬時に沸騰し、全神経をイナヅマが駆け巡る!
「ぐああああああああああああああああああああっ!
…カイザーーーーーーーッ…起ぃ動ぉぉぉぉぉぉっ!」
「へ、変身した!なんだあの怪物は!?」
突然、隊長ブランクが大声を張り上げた!
彼は重傷を負って地球に落下しつつあったムーンサンダーJrを「窓」から心配しいしい見ていたのだ。
「窓」は真っ直ぐこちらに向け飛行する三つ首の巨龍を映し出していた。
デルザー怪人たちの頭上からオトゥゥムの声が降って来た。
「…ついに来たか……。だが、よりによって一番の若造が来るとは、ワタシも随分舐められたようだな。」
オトゥゥムの体を包むローブが激しくざわめいた。
邪神はデルザー怪人たちに向かい語った。
「ワタシは結界を出てアイツと闘う。オマエたちはここにいてもよい。ここなら安全だ。それから…。」
オトゥゥムが空間の一点を指差してなにやら呪文を唱えると、そこにポッカリ黒い洞窟のようなものが現れた。
「……あれは『扉』だ。地球に通じておる。あれを抜ければ安全に地球に戻れるであろう…。好きにせよ。」
そしてオトゥゥムの姿は、亜空間内から掻き消えてしまった。
さて、と…、これで「カイザーギドラ対オトゥゥム」の準備は終了にござる。
「衛星破壊作戦」もようやく大詰めに…。
ばん!ばん!ばんっ!
艦全体を軽い衝撃が連続して走った。
「ボス!戦闘衛星からの砲撃アルよ。」
硝煙漂う通路を悠然と進むチャイナ服の男に、「謎の中国人」が駆け寄り報告した。
「…グランドキングとやら言うヤツが複製した兵器だな。とうだ?スターデストロイヤーのパワーフィールドは破れそうか?」
「むずかしアルね。破れるにしても時間かかるアルよ。」
「……やはりドラキュラ頼みか…。」
チャイナ服の男はとってつけたようなドジョウヒゲをしごくと、部下である「謎の中国人」たちに命令を発した。
「派手に暴れよ。一人でも多くのストームトルーパーをこちらに引き付けるのだ。」
737 :
DM対PP:
そのころ、下部機関室の入り口付近では、暗黒卿ダースモールとピンクパンサーの対決が続いていた。
ヴ、ヴゥンッ!
独特の唸りを発し、暗黒卿ダース・モールのダブル・ライトセイバーが敵のチャイナ服を連続的に斬りさいた!
この武器は一撃めを放った後の切り返し動作が無いのが特徴だ!
だが、ピンクパンサーは何故か無傷で見をかわした。
衣装が「サウンド・オブ・ミュージック」のシスター・マリア(=ジュリー・アンドリュース)のそれに早変わりしているだけである。
さっきからズッとこの調子なのだ。
ダース・モールが一方的に攻撃し、ピンクパンサーは逃げるだけだ。
しかしモールが他の相手に手を出そうとするとキッチリ邪魔してくるから始末が悪い。
PPが両手を広げ、くるくる回りながら「サウンドオブミュージック」のオープニングテーマを歌いだすと、モールの表情が怒りに歪んだ。
(ふざけやがって!)
ダブルライトセイバーを振りかざすモール!
そこへ三人の親衛隊を引き連れて、チャイナ服の怪人=天才悪魔フーマンチューが乗り込んで来た。