しかし爆煙の中から出てきたダリドの体には殆ど傷もついていない。
「危なかったよ…いや、マジでびびった…
モンスターを身代わりにしなかったらかなりヤバかったな」
「てめぇ!」
「危なかったが…これで俺の勝ちだな!お前らは切り札(ファイナルベント)を使いきった上に体はボロボロだ。
俺は全てのカードを温存しているし、ダメージも殆どない。それに…」
ダリドは大量のカードを空中にばら撒いた。
「モンスターがさっきので終わりだと思うなよ?
お前ら程度が俺にカードゲームで勝てるワケねぇんだよ!」
再びアイシクルとリッパーの周りを数百体のモンスターが取り囲んだ。
「畜生!もう同じ手は使えない…ここまでかよ!」
「諦めるのはまだ早い。切り札ならまだある」
リッパーの声はまだ希望を失ってはいなかった。
「ダリド…修治もだ。お前らに教えておこう。
ゲームは最後まで気を抜くな。諦めなければ道が開ける事もある」
「何言ってやがる!お前らはもう終わりだろうが!」
「ところで…お前は今『カードゲーム』と言ったな。
お前はただ隠れてモンスターが戦っているのを見ていただけだろう。
そんなものは戦いでも、ゲームですらもない…
プレイヤーが何のリスクも背負わずして何が『ゲーム』だ!」
「てめぇ…今すぐ黙れ…」
「どうした?これだけ言われてもまだ自ら戦おうとしないのか?
カードゲームが得意なんだろ?自分の手札を使って戦えよ!!」
「てめぇぇぇ!」
「ストライクベント」
バグトラップの頭を模した巨大な武器、バグジャウがリッパーの顔面を殴り飛ばした。
「ぐあぁ!」
「嶋崎さん!」
「邪魔すんじゃねぇ!」
「アドベント」
ダリドの契約モンスター「バグトラップ」がアイシクルの体を触手で捕らえた。
「お前は絶対殺してやる…!食らえ!食らえ!食らえ!」
バグジャウとバグバイザーの二刀流が何度もリッパーの体を切り裂く。
しかし、リッパーは何度でも立ちあがった。
「そんな…もんか?」
「てめぇ!これはどうだ?」
「コピーベント」
エアロクレインの能力がバグトラップにコピーされ、超低温ガスがリッパーに噴射される。
リッパーの身体は一瞬にして凍りついた。
アイシクルは飛び出して助けようとしたが、バグトラップの触手に絡め取られ、動く事ができない。
「切り札があるとか言ってたよな?何だよそのザマは!
俺を馬鹿にした罰だ!死ね!」
「ファイナルベント」
「嶋崎さん!!」
ダリドはリッパーを掴んだまま空中へ飛びあがり、
バグトラップの開いた顎めがけ真っ逆さまにスープレックスを繰り出した。
しかしリッパーがバグトラップの内部へ落下する寸前、リッパーは力を振り絞り一枚のカードを装填した。
「プログラムベント」
リッパーの身体の氷が砕け、突然ダリドの前から姿を消す。
「何だと!?これが切り札か?いや、それより…どこへ消えた?どこ…」
「ここだ」
プログラムベントでダリドのファイナルベント「ピットトラップ」を脱出したリッパーは、なんとダリドの真上にいた。
(コイツ…何を考えてる!?まさか…!?)
リッパーの上からの蹴りがダリドをバグトラップの巨大な顎の中へ突き落とした!
「まさか!切り札は…俺のカードかぁぁぁぁぁぁぁ!」
バグトラップの顎が閉まり、何かが焼けるような溶解液の音が内部から漏れる。
「カードゲームが好きなんだって?生憎だが、私はチェスの方が好みだ」
リッパーはバグトラップの触手を切り裂き、アイシクルを救出した。
「嶋崎さん、さっきのは…」
「正直死ぬところだった。運が良かったな」
「『運が良かったな』じゃないですよ!ホントに…」
その時、ダリドが死んだことでコントロールを失ったバグトラップ、数百体のモンスター達が動き始め、
現実世界へと飛び出していった。それを追って二人もMWを出る。
モンスター達はバグトラップを先頭に、病院の前に集まっている。
「フフ…まだ命があって良かったよ…私にはまだ後始末があるからな」
「後始末…?」
「このモンスター達は多くの人間がいる病院を襲おうとするだろう。
本当の切り札は現実世界にある。私はそれを使い病院を守る」
「あんたまさか…死ぬつもりじゃ!?」
「五人もの人間を殺めてしまった私に出来る最後の償いだ」
「そんなの!仕方ないだろ!?あんたは…奥さんを助けるために…
そうだ、紗代さんは意識を取り戻したんだ!まだ助けられる!」
「願いを叶えるには戦いに勝ち残らなくてはいけない。あの娘…山県夢香が死んでもいいというのか?」
修治はその言葉に胸を貫かれ、心の葛藤に苦しんだ。
「じゃあせめて…俺が…俺がその役を引き受けるから…あんたは死なないでくれよぉ!
あんたは紗代さんの側にいてやってくれよぉ!」
「お前には帰りを待つ人間が…あの娘がいるだろう」
「なら紗代さんはどうなるんだよ!あんたのせいで紗代さんが余計苦しむ事になるだろ!」
「フフフ…こんなやり取りを前にした覚えがあるなぁ…」
ドゴォ!
「ぐ…!し、嶋崎さん…!」
嶋崎のボディーブローが修治の鳩尾に入り、不意を突かれた修治はその場に倒れた。
嶋崎は自分の車に飛び乗り、モンスターの中へと突っ込んでいく。
「そうだ来い!来い化け物ども!」
モンスター達は嶋崎の車を追いかけ、病院から引き離されていく。
「すまない紗代…私はお前を助けることが出来なかった。
すまない修治…お前がさらに苦しみを背負うことになるのは分かっている」
嶋崎の車が大量のモンスターに囲まれ、バグトラップの触手がフロントガラスを突き破った。
「最後に見る光景がこんな醜い化け物どもだとはな。
いや、私のような大罪人にはこれが相応しいか…」
「嶋崎さぁぁぁぁぁぁぁん!」
凄まじい閃光が地を走った。
そして巨大な炎が半球状に広がり、モンスターを飲みこんでいく。
仮面ライダーダリド
仮面ライダーリッパー 死亡 残るライダーはあと四人
「畜生…!畜生…!俺はまた…守れなかった…」
仮面ライダーアイシクル第九話 完
ものすごく長くなってしまいました。
途中で二話に分けようかとも思ったけど、リッパーの最後の戦いは一気に見て欲しかったので…
ダリドもリッパーもどんな死に方が一番なんだろう…とかものすごく考えていました。
登場人物はやっぱり最高の形で死なせてあげたい。
そろそろ残り容量が少ないですね。
759 :
名無しより愛をこめて:2006/01/02(月) 06:15:48 ID:gi+iEOYz0
禿同、もれも仮面遊戯がんがるっす。
仮面ライダーアイシクル
とても良いです。漫画にしてみたいと思ったぐらいです。
許可していただけるのなら何時になるか分かりませんが一生懸命に絵を覚えて漫画にして出したい思います。
>>760さん
勿論いいですよ。>漫画
そう言ってもらえると、やってて良かったと思えます。
ありがとうございます。
本当に漫画にしてみせます
仮面ライダーレジェンド
変身者:天上院北斗(てんじょういん ほくと) 28歳
身長:190cm
体重:80kg
パンチ力:290AP
キック力:500AP
最大視力:8km
最大聴力:8km
走力:100mを5・5秒
ジャンプ力:ひととび32m
契約モンスター:レオエンペラー(5000AP)
ライオンの姿をしたモンスター、色は赤と金。以下〜
召喚機:レオバイザー 杖型の召喚機(形はマジレンジャーの魔法聖杖ダイヤルロッドダイヤルみたいな感じ)
ソードベント:レオブレード(2000AP) 〜の尻尾を模した剣。
コントロールベント:エンペラーズブレイ 〜の半径40m以内の野生モンスターを操る(時間制限ナシ、ただ発動中ミラーワールドから出ると効果は切れる)
ウェザーベント:エンペラーズリポート 天候を自由に変える事が出来る
ファイナルベント:〜に乗り相手に向かって突進、爪や牙で粉砕する技。
ファイナルベントのアイデアが思い浮かばなかったです・・
続きです、天上院北斗の解説。
天上院北斗:天上院財閥の御曹司、幼少からの英才教育で文字通りの文武両道。基本的に傲慢な性格の為友人は居ない。
ライダーになったのはつまらない退屈しのぎ。黒の長髪で殿様口調
すみません、年齢は28じゃなくて20歳の大学生です
>>759 セリフの所は改行するとかした方がいい。読みづらい。
それから、いちいちageない。
760の者ですが、すいませんが仮面ライダーダリドについて教えて下さい。
お願いします。m(__)m
>>763 キック力500はサバイブ級で強杉かと。龍鯖が300,500ぐらいなんだし。
とはいえ武器が実質ソードベントだけで足もやや遅いから、釣り合いはとれてるっちゃとれてるけど。
ファイナルベント、せっかくだから名前ぐらい考えてあげようよ。
自分のファイナルベントで死亡とはダリド憐れ
それにしてもリッパー強いな
ダリドは際限なくモンスターをカード化できてたから強すぎ。
リッパーはプログラムの条件設定なんかどうやって決めるのか解らんしなあ。
まさか自分の頭の中で考えてOKとか言わんだろうな。
772 :
リッパー作者:2006/01/05(木) 19:46:23 ID:sR1pq+VrO
>>771 ・・・ごめん、そのまさかだったりするw
一瞬で獲物を捕らえるカマキリっぽい能力をつけたいと思ってこうなった。
自分でも胡散臭い効果だとは思ったけど、そこは目をつぶってノリを重視してしまった。
という訳で、本当にそのまさかとしか言いようがないです。
作者ですが、埋まりそうなので投下する前に新スレを立てようとしたのですが規制で無理でした。
どなたかスレ立てお願いします。
774 :
771:2006/01/06(金) 10:41:24 ID:h0cM6OnA0
>>772 細々とした両者の動きや無敵時間(昇龍拳かいっ)とか一切やめて
「相手の攻撃が当たる寸前に両者の立ち位置が入れ替わる(時間or回数制限有り)」
とかだったらスッキリしてインチキ臭もしないんだろうが、それだと
これがウリ、って部分が霞んじゃうもんなあ・・・・。
いっそ、「位置転換」「加速」「攻撃(プログラム専用の軽めの攻撃)」とかのカードを
その都度順序を決めて行う、専用カードのコンボ技、とかいうのはどうだろ。
775 :
772:2006/01/06(金) 22:01:56 ID:e/elPbIsO
>>774 うーん、そこまでプログラムを押し出したい訳でもなくて、むしろイメージとしては
HUNTER×HUNTERのノブナガの能力みたいにしたほうが近いかも。
プログラムのままでいくなら、相手の行動に関係なくあらかじめ決めた行動しかとれなくて、
発動条件は決められず、相手が半径〜mに入ったときのみ。もしくはベントインから数秒後。
カード挿入からはリッパー視点では魂だけが先に行動してるイメージ(これも多少胡散臭いが)というのはどうだろう?
これならSSとも大きく違った能力にはならないし。
ちなみに無敵効果は自分でも厨過ぎだと思ってたので、SSでは削られてて正直ほっとしてた。
嶋崎誠が病院を守り命を落とすよりもほんの数分前―――
山県夢香は修治との待ち合わせ場所、病院近くのコンビニエンスストアにいた。
待ち合わせの時間はとうに過ぎていたが、夢香は待ちつづけるしかなかった。
キィーン…キィーン…
「モンスター!?修治さんが大変な時に…」
このときダリドvsアイシクル、リッパーのMW病院前の戦いが始まる。
モンスターの気配のする方へ走るうちに、夢香の中に不安が広がっていく。
気配の方向は病院だった。
病院前に辿り着き、MW内の光景を見たとき、夢香は絶句した。
見た事もない数のモンスター達が群がり、リッパーとアイシクルを襲っている。
夢香はガラスの前に立ち、バックルを取り出した。
「変…」
「邪魔するなよ。今いいところだろ?」
夢香が変身しようとしたその時、背後に男の声がした。
振り向くとそこには、品のいいスーツにネクタイの男が立っていた。
夢香はこの男を知っている。
自分の仲間を手にかけ、仮面ライダーフール=宮原和志を殺した憎むべき仇、
修治が今まで命を狙い続けた―――
「ルスカ!!」
「見なよ。アイシクルとリッパーがダリドと戦っている。
この様子だとライダーが最低でも一人は死ぬとみた。上手くいけば全員…」
「私はあなたを相手にしてる暇なんかありません」
「だからァ邪魔されるわけにはいかないんだって。
男を守るためか?健気でかわいーじゃん」
夢香は鋭い目で安藤を睨み付けた。
しかし安藤は夢香を見ながらニヤニヤ笑っている。
「殺るのもったいないなァ。殺る前に一回…」
「殺しますよ…?」
二人はライダーの姿へと変わり、MWの中で対峙した。
「エレキベント」
ルスカは拳を振り上げて攻撃したが、ミラージュはそれをかわし、
続けて召喚したレインボーソードでルスカに一撃を加えた。
「修治さんから聞いてますよ。高圧電流に気を付けろって」
「チィ!またかよ」
レインボーソードのしなやかな攻撃がルスカにダメージを与えていく。
しかしミラージュの動きには焦りが見えた。すぐ近くではアイシクル達が戦っている。
一刻も早く助けに行かなければならない。さらに一週間前の負傷もまだ完治していなかった。
(こんな戦い方ではダメ…!近づいて一気に決める!)
しかしそのとき、リボン状のレインボーソードがルスカに掴まれてしまった。
ミラージュは咄嗟に武器を捨てようとしたが間に合わなかった。
ルスカは帯電したボルトバイザーをレインボーソードに押し付け、それを通して電流が流れていく。
ミラージュは呻き声をあげながら倒れ、身体を痙攣させた。
「いいなァその格好…もっと見せてみろよ」
ルスカは立ちあがろうとしていたミラージュを蹴り飛ばし、顔を踏みつけた。
「あぁ!」
「あーやっべスッゲ気持ちいい…
どうしよ?殺っちゃおかなァ?もうちょっと楽しもっかなァ?」
ルスカは何度もミラージュの身体を蹴り続けた。
「………………だよ」
「何だって?」
ルスカが顔を近づけた瞬間、ミラージュがルスカの腕を掴み、片足を相手の足の間にすべり込ませた。
「キモいんだよこの変態野郎!」
ミラージュの巴投げがルスカを跳ね飛ばし、地面に叩きつけた。
「この糞アマがぁぁぁ!」
ルスカは激昂しミラージュに飛びかかろうとしたが、
そのとき病院前にいる数百体のモンスター達が一斉にMWを出ていくのが見えた。
「あれは…ダリドが死んだみたいだな。ククククク…
しかしアイシクルとリッパーもあの数が相手では勝ち目はないだろうし…巻き添えは御免だ」
ルスカはそう言い残し姿を消した。
夢香がMWを飛び出したその瞬間だった。
凄まじい閃光と轟音が広がり、遠くの方で巨大な炎が上がっている。
「修治さぁん!」
夢香は爆発のあった方へ飛び出していった。
黒い煙が立ち昇っている中心に辿り着くとそこには巨大なクレーターが出来ている。
そして、その前で立ち尽くしている男がいた。
「修治さん!何があったんですか!?」
「…嶋崎さんが病院を守るために…
また俺は生き延びちまった…また俺は助けられちまったんだ…」
長い沈黙のあと、夢香は拳を握り締め思いきったように声を出した。
「それは…宮原さんも嶋崎さんもあなたに生きて欲しかったから!」
夢香は修治を叱咤した。今までは何も言う事が出来なかった夢香だったが、
こんな時こそ自分の力が必要だと感じたからだった。
「私も思うようになりました。あなたに生きていてほしいって…
修治さんはこの戦いに何かをもたらしてくれるような気がするんです」
「…ありがとな…ウジウジすんなってアイツにも言われたし…
夢香?その傷はどうした?」
「これは…ルスカと戦って…」
「あの野郎…!」
修治の目にまた復讐の炎が燃える。
「あの…私もルスカが憎いです。でも…
この戦いの根本は別の所にあるんじゃないかって思うんです。
私達がやらなければならないのは、まずこの戦いを止めることだと…」
「戦いを止める?そんなもん後回しだ…ルスカを殺すまでは…!」
修治の憎しみ深さは夢香にも分かっている。
夢香もこの修治の感情を否定する事はできなかった。
「もう今日は帰りましょう。明日に備えて…」
二人は夕暮れの道を歩いていった。
(嶋崎さん…アンタの言いたかった事が分かったよ。
夢香を残して死ぬなんて出来ない。夢香も守り…俺も生き残る!)
二日目の朝、修治は目が覚めたとき、携帯電話の着信に気が付いた。
それは夢香からのメールだった。
『約束覚えてますよね?いつものファミレスで待ってますよ』
修治には一瞬なんの事か分からなかった。
「約束?…ああ、あれか!」
「あそこのファミレスの高い物を上から順に五品でいいです」
「ま、まあそれくらいなら…」
↑あれ
「本当ならまだ入院してるくらいなのに…元気で何よりだが…
もしかして俺に気を使ってくれてるのかな」
しかしこの直後修治は恐ろしい事に気が付いた。
「ゲッ!着信時刻9時12分!?今は…」
恐る恐る時計を見ると、時刻は11時を回っている。
修治は高速で身支度を整え、家を飛び出した。修治には次の展開の予想がついていた。
修治がファミレスの中へ駆け込むとそこには…
物凄い数の皿が積み上げられているテーブルがあった。
「すまん夢香!俺が悪かった!」
「いいですよ…全然怒ってないですよ…
修治さんが来るの待ってる間こんなに御馳走になってますし…」
「やめてくれぇ―――!俺の金が!俺の金が!」
「病院のご飯、すっごい不味かったなぁ…誰のせいで入院したかは忘れましたけど…」
「ぐ…!」
「まあ今日はこのくらいで勘弁してあげましょうか」
「お前…どれだけ食うつもりだったんだよ…」
安藤哲也は神崎に呼びとめられ、路地裏へ向かった。
「神崎さんよォ、昨日の戦いはどうだったんスか?
アイシクルは死んだのかよ?」
「ダリドとリッパーが死亡した。これで残りは四人だ…」
「やりぃ!リッパーの奴死んだのかよ!?やっかいな奴が消えてくれたぜ!」
「アイシクルとミラージュの居場所を教えよう。
残された時間は二日…急いだ方がいい」
修治達の居場所を知った安藤はすぐその場を立ち去ろうとしたが、
突然立ち止まり、神崎の方を振り向いた。
「なぁ神崎さん?六人目は誰なんだよ?
いいかげん教えてくれても…ってもう居ねえのかよ」
安藤は舌打ちし、再び歩き出した。
再びファミレス内。
「それで…あの…これから遊園地行きませんか?」
「遊園地?なんでまた?」
「だって…ライダーバトルが終わったら会う機会もなくなっちゃうじゃないですか。
最後くらい楽しい思いで作りたいなぁって…」
「それもそうだなぁ…」
「そうですよ!行きましょう!」
夢香の心の声
(ああもう!何が『それもそうだなぁ…』だよ!言葉の裏を読めよ!
そこは戦いが終わっても会ってくれますかって聞いてんだろが!!)
「よし、じゃあ行こうか」
「は、はい!」
二人はファミレスを出て歩き出した。外の気温は低く、はく息が白くなる。
しかし夢香には暖かいひとときだった。
普通の女子高生とはかけ離れた生活を送る彼女にとって、普通の時間が恋しかったのだ。
しかし、楽しい時間は長くは続かない。
今日は修治と夢香にとって最悪の一日となる。
これまでの戦いの中で最も残酷な『真実』が待っていた。
始まりはルスカだった。
遊園地へ行く途中ルスカの契約モンスターの襲撃を受けた二人は、ルスカを追ってMWへと突入した。
そしてこれよりアイシクルと因縁のルスカの最後の戦いが始まる…しかしその結末は修治の心を粉々にするだろう。
さて、読者の皆様も心の準備はよろしいだろうか?
ではその幕を開けよう――――
「ルスカぁぁぁぁぁぁぁ!」
フリーズベントで凍った地面をアイシクルが駆ける。
「修治さん!落ちついてください!」
ルスカは余裕の表情でカードをベントインする。
「エレキベント」
ウイングブレードの一撃がルスカの肩口に入ったが、しかし同時に反撃の電流がアイシクルの身体を流れる。
一見相打ちのように見えるが、ルスカの電撃は相手を数秒硬直させるため実質はアイシクルの方が不利である。
「怒りで前が見えてないって感じだなァ。
このチャンスを見過ごす程俺はお人好しじゃないぜ!」
ルスカが一枚のカードを取り出した瞬間だった。突然ルスカの身体が地面にめり込んだ!
「な!?」
ルスカの右足がミラージュのレインボーループの中に入っていたのだ。
「ぐぅ…!身体が…重い!カードの音声は聞えなかったのに!?」
「先程のあなたのベントインに合わせて使いました。気付きませんでしたか?
修治さん!早くそいつのカードを拾って!」
アイシクルはルスカのカードを拾い、自分の召喚機に装填した。
「ソードベント」
「どうなるんだ?これ?」
「恐らく…私の予想通りなら…」
ルスカの両手にスキッドブレードが装着される。
「重っ!!!」
ルスカは自分の剣の重さで地面にダウンした。
「お前…よくそんなこと思いつくな…」
「ね?今の修治さんの戦い方じゃダメでしょ?
憎しみだけで戦ってたら見える物も見えませんよ」
「………………」
アイシクルは無言で倒れたルスカの首にウイングブレードを突き付けた。
「や…やめ!」
「修治さん…」
「ルスカ…お前が今までやった事の報いだ」
「ひぃぃぃ!」
アイシクルはウイングブレードを振り下ろした…
しかし剣はルスカの首を外れ、空を切っていた。
「出来ない…!やっぱり俺には…!」
修治は泣いていた。
「今…俺の命があるのは他の人の命のおかげなんだ…!
俺の為に死んだ宮原や…嶋崎さんの事を思うと…!人の命を奪うなんて出来ない…」
「修治さん…」
しかし命を助けられたルスカは、まるで怒りを露わにするように拳を握り締めて言った。
「何てめえの都合ばっかベラベラ喋ってんだ!
お前だって俺の仲間を…レイドを殺したじゃねぇか!」
「!?」
「……え?」
数秒の間、二人はルスカの言葉が理解できなかった。
「ちょっと待て…レイドはお前が殺したんじゃ…」
「とぼけんじゃねぇ!あの日だって…俺はレイドの仇を討つためにお前らと戦ったんだよ!」
あの日…ルスカとアイシクルが初めて会った日。宮原和志が死んだ日。
「あいつは…レイドは馬鹿で使えねえ奴だったが…
俺にとってはたった一人の仲間だったんだよ!」
修治と夢香はこの異様な空気に気が付いていた。
「修治さん…何か嫌な予感がします…誰か第三者の影を感じる…
早くここから逃げたい!ものすごく怖い物がいます!」
「レイドを殺したのは誰なんだ…六人目…!?」
……………ゾクッ……………
修治に悪寒が走る。修治は過去にこの感覚を味わったことがあった。
一度目は修治が初めて嶋崎のいる病院へ行った時…二度目は…
「ピンポーン」
間の抜けた声が響いた。
「お前は誰だ!?出て来い!」
修治は大きな声で叫んだ。夢香は怯えているのか身体を小刻みに震わせている。
「連れないなぁ…修治。お前は俺のことを知ってる筈なんだけどなぁ」
声の主はMWのビルの上に立っていた。
「そんな…そんな…」
「ここまで来るのも大変だったよ。計画を立てたはいいけど、
俺の思うように動いてくれる人材がいるかどうかも分からなかったしな」
「まさか…あなたが…」
「折角計画が成功したと思ったら今度はタイムリミットだよ。
そんでわざわざ俺が顔を見せる羽目になったというわけさ」
「お前は…俺が殺したはず…」
「安心しなよ。今日は再会の挨拶に来ただけさ。
そこの死に損ないにトドメを刺したらすぐ帰る」
その道化を思わせる暗紫色のライダーはファストバイザーを玩びながら楽しそうに話していた。
「馬鹿な…フール…!」
「宮原…!」
「宮原さん…!」
「状況は理解できたかな?
修治?夢香ちゃん?安藤?」
「ストライクベント」
フールの手にファストロッドが装着された。
「アイシクル!ミラージュ!何してる!?
早くアイツを攻撃しろぉ!早く!」
ルスカが叫んだが、修治と夢香はただ呆然と立ちすくんでいた。
「チィィ!」
ルスカは舌打ちしながらカードを抜き取り、バイザーに装填した。
「ホールドベント」
「レイドを殺したのは…お前かぁぁぁぁ!」
ルスカはスキッドアンカーをビル屋上のフール目掛けぶん投げた。
「トリックベント」
ガキィイン!
その一撃でフールの身体が砕け散る。
しかし次の瞬間、フールはルスカの背後にいた。
そしてルスカの背中にはファストロッドが深々と突き刺さっている。
アイシクルにもミラージュにもそしてルスカにも何が起きたのか分からなかった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
「これが今まで隠していた俺の能力…零距離で炸裂した焼夷ミサイルを回避し、
ルスカのファイナルベントを脱出し感動の死を演出した素敵な能力だ」
「宮原…お前…」
「修治、夢香ちゃん…マスクが邪魔で君達の表情が見れないのが残念だよ。
信じていた友に裏切られてどんな気分かな?話したいことが山程あるんだ。
やっぱり一番焦ったのはあのときかなぁ…
今さっきチラッと言ったけど、三人でリッパーと戦った時だ。覚えてる?」
フールはルスカにファストロッドを突き立てたまま話しだした。
ルスカの絶叫が続いていたが、二人はどうすることも出来なかった。
「あのとき…?」
修治は過去の記憶を辿っていった。リッパーと初めて戦った日の記憶を。
「まさかあんな破壊力のミサイルの前に放り出されるとは思わなかったよ。
計画の前に君達に「トリックベント」を見せるわけにはいかないかったしな。
やむを得ず使ったんだが、幸い爆発の音と炎が煙幕となってバレなかったんだ。
危うく本当に死ぬところだったんだけど。
あそこで『死ぬ』ことも出来たんだが、あの時にはまだ君達との信頼関係が築けてなかったしね。
当初の予定通りルスカでやることにしたというわけだ」
アイシクルは我に返った。目の前の状況をようやく呑み込む事が出来た。
「まさか…妹の話は…」
「全部ウソに決まってんだろ?安藤の素性に合わせて考えただけさ」
そのとき、倒れていたルスカが立ちあがり、フールに飛びかかった。
「フールゥゥゥゥゥ!」
「トリックベント」
殴られたフールの身体が崩れ、再びルスカの背後にフールがいた。
「今まで悪役ご苦労だったな、安藤。もう休んでいいぞ。
お前は俺の思い通り動いてくれる実に滑稽な…『道化』だったよ」
「ファイナルベント」
フールの契約モンスター「ファストワイズレス」がルスカの背後に風の壁を作り出した。
「うあああああああああああああああああああああああ!!!」
修治は自分でも気付かずに叫んでいた。自分の信じていたものが音を立てて崩れていく。
「ちょっとまったぁ!!
女の娘がやられてるのをみて黙ってるわけにはいかねえな!」
「俺は仮面ライダーフールこと宮原和志だ。
気軽にカズちゃん、もしくは夜明けのエクスプレスと呼んでくれ」
「おはよー。修治」
「悪い方にばかり考えるなよ。皆が皆あんな奴ばかりじゃないんだ」
「…妹がいたんだ。愛香っていう…」
「お前と…夢香ちゃんと…三人でいるときなぁ…
なんだか家族といるって感じで…楽しかったぜ」
「夢香ちゃんを…守ってやれよ…」
「ハハ…やっと仲間と…認めて…」
ファストロッドの一撃がルスカを抉り、風の壁へ叩きつける。
ルスカは悲鳴も上げず力なく倒れた。
「安藤だけじゃない…
君達も自分の意思で行動しているつもりが実は俺の思い通りに動かされていただけさ。
俺の手の上で踊る『道化』なんだよ!!ヒャハハハハハハハハハハハ!!」
アイシクルは力を失い、その場に膝をついた。
「じゃあな修治、夢香ちゃん。明日でライダーバトルも終わりだ。
結局俺達三人が残っちまったな」
フールは闇の中へ消えた。
仮面ライダールスカ死亡 残るライダーはあと三人
「まさか…宮原さんが…」
「そんな…そんな…宮原ぁ…」
二人は暫くその場を動く事が出来なかった。
仮面ライダーアイシクル第十話 完
なんとか埋まらないように収めれた…
出来ればこのスレで完結させたかったけど、あと少しで終わりです。
最初「?」だったから読み返してみたら
>>708の会話で意味が分かった
ルスカかわいそ過ぎ
舞HIME連想した
俺はからくりサーカス連想した
作者は藤田和日朗とか福本とか好きそうだな
もう新スレいるの?
新スレ移ったのか?
ちんこ!
皆容量オーバーを警戒して書き込みを控えているのか?
うかつに書き込んで途中でオーバーする位ならもう新スレ立てちまうか?
仮面ライダーぱかぽこ
変身者 木馬愛花(もくばまなか)17ちゃい 女子高生
身長:170.3cm
体重:62.3kg
最高視力:約10km
最高聴力:約10km
最高走力:100mを7秒
ジャンプ力:ひととび30m
パンチ力:50AP
キック力:800AP
召還機:馬召機具「ホースバイザー」蹄鉄型ペンダント
モンスター:馬型モンスター「セキトバッシャー(3000AP)」
ソードベント:シュバンツセイバー(800AP)ポニーテールの剣
ストライクベント:テインメタル(3000AP)足に装着する蹄鉄、ライダーキックでモンスターを粉砕
シュートベント:ダブルリボルバー(900AP)二丁拳銃、弾から人参の香り
アドベント:セキトバッシャー(3000AP)馬型のモンスター
ファイナルベント:ホースクラッシュ(4000AP)テインメタルを装着したぱかぽこがセキトバッシャーにまたがり疾走。セキトバッシャーが対象を後足で蹴り上げ、同時にジャンプしたぱかぽこが猛スピードでライダーキックをかましちゃうぞ。
変身者の木馬愛花は、都内の高校に通う17歳。運動も勉強もソツなくこなす。友達も多く、周りから信頼されている人気者だ。
結構可愛いので、よく街中でナンパされる。今の彼氏、いっくんとも、ナンパされて知り合った。大学生で車持ちで、木馬を学校に送り迎えしたりしている。
そんな彼氏が、交通事故にあったのは半年前のことだった。彼は今も意識不明である。
絶望にくれる木馬に、神崎はカードデッキを渡した。彼女は大好きな人のために生き残りバトルロワイヤルに身を投じる事となる。
木馬の性格は、ノリがよく、「キレてますか?」とやると必ず「キレてないですよ」とやってくれるほどだ。笑いのセンスも抜群だ。
提出物もちゃんと出すし、授業はまじめに受けるし、後輩の面倒見もよいので、先生からも後輩からも好かれている。
可愛いものが大好き。しかし可愛いものに対するアレが周りとズレている。ファッションセンスは悪くない。
戦い方は、キックが主体だ。ただ戦いのプロというわけではないので、闇雲にけり続ける。そして最後にはストライクベントからのライダーキックを決める。
可愛いからという理由でモンスターを殺めるのをたまに戸惑うが、そこは割り切る。倒したあとはテンションが低い。
ライダー相手には馬上からシュートベントで攻撃することもある。ちなみに乗馬は修学旅行の体験学習でかじった程度。
>>794 それがいいかと。可能ならお願いします。
さらしage
802 :
名無しより愛をこめて:2006/01/15(日) 14:16:19 ID:uEzIMdR30
うんちぶりぶり