ふぅー」
わたしはテーブルの上に置いてある料理を目の前にしてため息を付く。
いつもなら時間通りに帰ってくるお姉ちゃんの帰りが遅い。
時計の針は夜の九時。
たまには時間通りに帰ってこないこともあるか。
もしかしたら恋人とかできたのかな?
わたしはテレビのチャンネルを変えながらそんな事を考える。
ガチャと言うドアの開く音がして「・・・・・・ただいま」と言うお姉ちゃんの声がした。
「お帰り、遅かったね」
「えぇ、人に会っていたのよ。ちょっと着替えてくるわね」
そう言うとお姉ちゃんは二階にある自分の部屋に入っていった。
この家にはお姉ちゃんとわたしの二人だけで住んでいる。
両親は海外に行っちゃっているし。
わたしは来年高校卒業したら大学へ行こうと思っている。
火をつけてわたしは味噌汁を温め直す。
鍋が沸騰しかかったのでわたしは火を止めた。ちょうどその時お姉ちゃんがリビングのドアを開けてリビングルームに入ってきた。
振り向いた瞬間にわたしは自分の目を疑った。
「服なんて必要ないわよね。ふふふっ」
お姉ちゃんは何も服を着ていなかったのだ。
下着さえも着ていない。
「あなたも服を脱ぎなさい。真菜」
お姉ちゃんの口調が普通じゃない?何なの、これ?
「い、嫌!!」
いきなり近寄ってきてお姉ちゃんはわたしの腕を掴んできた。
必死に振り払おうとするが、まったくのお姉ちゃんは腕は動かない。
「くふふふっ、無駄よ。だって私は」
目の前のお姉ちゃんが変わっていく。
掴んでいる手、腕、身体、足がどんどん黒くなっていく。
「いやああぁぁぁぁっ!!」
お姉ちゃん。ううん、お姉ちゃんだった生き物が目の前にいた。
全身が真っ黒で昆虫のような姿。顔のところだけがお姉ちゃんの顔だったがその表情もいつもの表情とは違っていた。
「私はね、生まれ変わったのよ。グロンのナイトナイト様のお力でね。今の私はグロンの蟻女よ」
いきなり、わたしの首に舌を這わせてきた。
「ひあっ・・・・・・」
ぬるっとした唾液の温かみと不快さがわたしの全身を駆け巡る。
掴まれていた腕が自由になり、わたしは離れた。
「お姉ちゃんをどうしたの!!」
きっと、こいつにお姉ちゃんはどうにかされたんだ。そうに決まっている。
「酷いわね真菜。わたしはお姉ちゃんの高峰志穂よ?」
「嘘よ!!お姉ちゃんはそんな姿していないもの!!」
「ふふふっ、そうよね。こんな姿していないものね。人間だった頃のお姉ちゃんは」
不適に笑いながら目の前の蟻女はゆっくりとわたしにお尻を向けた。まるで蟻の尾のように大きく膨らんだ尾をもったお尻を。
「でもすぐにあなたも分かるわよ志穂。人間を捨てて生まれ変わる悦びとナイトナイト様に忠誠を誓うことの幸せをね」
そう言うといきなり尾から何かが噴出してきた。
「きゃっ」
それはわたしの顔に付いた。何かネバネバした液体のような物。
「き、気持ち悪い・・・・・・」
な、何なの?ネバついて手で拭おうにも全然取れない。
「うふふふ、時期に気持ちよくなってくるわ。私の可愛い志穂」
何なの?この香り・・・・・・。
意識が朦朧としてくる・・・・・・。
なんだかすごく甘い香り・・・・・・。
あぁ、身体が熱い・・・・・・。
身体も疼く・・・・・・。
「志穂、私の声が聞こえる?」
綺麗な声・・・・・・。
この声はお姉ちゃんの声・・・・・・。
「聞こえるよ・・・・・・お姉ちゃん」
「ふふふ、お姉さまと呼びなさい。志穂」
おねえさま?
そうだよね・・・・・・お姉さまのほうがいいよね・・・・・・。
「はい・・・・・・お姉さま」
美味しい蜜・・・・・・。
目の前のお姉さまの尻尾からどんどん美味しい蜜が溢れ出てくる。
頭が蕩けるような感じがする。
なんて気持ちいいんだろう。
こんなのはじめて・・・・・・・。
「志穂、服を脱いで裸になりなさい」
「はい・・・・・・お姉さま・・・・・・」
わたしは言われたとおり服を脱ぎ捨てた。
四つんばいの姿勢でわたしは床に広がった蜜に舌を這わせる。
甘くて美味しい蜜・・・・・・。
「ふふふっ、生まれ変わらせてあげるわ。私の僕としてね」
お姉さまの尻尾から勢い良く蜜が出てわたしの身体に絡みつく。
ベタベタしてる・・・・・・、でも気持ちいいなぁ。
お姉さまの尻尾からどんどん蜜が出てくる。
あぁ・・・・・・身体が蜜塗れになってる・・・・・・。
あはぁ・・・・・・気持ちいいよぉ・・・・・・。
身体が疼くよ・・・・・・。
ムズムズして身体が疼くよぉ・・・・・・。
もう我慢できない。
蜜が欲しい。蜜が欲しいよぉ!!
蜜があふれ出ている真っ黒な尻尾。
「あぁー美味しいよぉ。お姉さまぁー」
あぁー美味しい。
尻尾から滲み出ている蜜美味しいよぉー
「ふふふっ、舌を這わせるのよ。すぐに眠くなるから」
なんだか身体がムズムズする・・・・・・。
それに眠いなぁ・・・・・・。
あ、あれ?わたし寝ちゃっていたんだ。
「目が覚めた?志穂」
お姉さまの声が聞こえたほうを振り向く。
立ち上がると足が変化している事に気付いた。
ブーツのような形をしている。
そっか、わたし生まれ変わったんだよね。
蟻女様の蜜によって忠実な僕にね。
「とても良い気分です。蟻女様」
「ふふふ、いいのよ。お姉さまで」
あぁ、嬉しい。
すごく胸が高鳴ってとても心地よいなぁ。
「それにしても、どうしてあなたの身体は白いのかしらね?」
「分かりません。でもこの姿はすごく綺麗ですね。お姉さま」
わたしは素晴らしいことに身体はお姉さまと同じ身体になっている。
でも、どうして身体の色は白なのだろう?昔、何かの本で読んだ時は白蟻はゴキブリに誓い種類だと書いてあったのに。
「うふふふ、まぁいいわ。どんな姿であろうとね」
お姉さまはわたしの顎に手を掛けるとゆっくりとキスをしてくれた。
嬉しい・・・・・・。
とっても嬉しいなぁ・・・・・・。
「あなたのお名前は?」
お姉さまの言葉にわたしはゆっくりと答える。
「わたしの名前は白蟻女。グロンとナイトナイト様に忠誠を誓う者です」