「……なんと…邪神の復活がそこまで迫っているとは…。」
ゼネラルシャドウのトランプ占いの話し、そしてコスモリキッドからもたらされたコックリさんの託宣。そしてゴジラ宗家に老キングコングが語ったという話が明かされると、さしもの黒猫も驚きを隠せなかった。
「…東映地獄に現れたOtuumが申したという話しと、いちいち符合する!」
こんどは黒猫からキングザイガーとOtuumに関する情報が「悪の帝王」たちにもたらされた。
今度は、「悪の帝王」たちが色を失う番だった。
576 :
宇宙の悪霊:2005/04/18(月) 17:16:10 ID:miASYWuU
「小神格とはいえ、すでに復活している邪神があったとは……。」掠れるような声でミスターKがそう搾り出した。
すると黒猫が眉を不意にひそめて言った。
「ひとつ気がかりなことがある。」
「それは?」
「グランドキング…とかのやったコックリさんの話しじゃ。『星々のはざまをよぎりしもの』とは、あの深海の魔神のことではない。」
…黒猫は天井を見上げた。…いや、正確には、天井の上、空の上、雲の上…、無限に広がる暗黒宇宙を見上げていたのだ。
「……『星々のはざまをよぎりしもの』とは『宇宙の悪霊』、つまり『黄衣の王』とその眷属どものことじゃ。」
そのとき、ショッカー首領に仕える赤戦闘員がいきせききって駆け込んで来るなり、大声で報告した。
「キングザイガーがブラックキング戦の出場手続を終えました!ヤツは出場します!」
577 :
xegy:2005/04/20(水) 08:49:17 ID:KoNe4bly
…昭和ゴジラの元をとある怪獣が訪れた。
それが、あの忌まわしい騒動の始まりだとは、昭和ゴジラには知る由もなかった。
とんとん…。
「おお、入れ。」
「……失礼します。」
襖を開けて昭和の私室に入ってきたのはカメーバであった。
入ってくるなりカメーバは、昭和に向かって、床につくまでアタマを下げた。
「ゴロザウルスから聞いてるぞ。何かオレに話があるそうだな。」
「は、はい……。」
そう答えただけで、カメーバはアタマを下げた姿勢のままピクとも動かない。
一分近くもそのままそうしていただろうか。
「黙ってちゃ判らんだろ?いったい何の話しがしたいんだ?」シビレを切らし昭和はカメーバに話すよううながした。
「……じ、実は……。」決心がついたか、カメーバは掠れた声で切り出した。
「実は、お願いがあります。」
「…なんだ?とりあえず言ってみよ!」
「はい……………。」
「今回はいろいろ騒動があってオレは忙しいのだ。話さんならオレはこれで…。」
「ガ、ガメラさまの元に行かせて下さい!」
昭和の目がギロリと光った。
「……オマエは我らゴジラ一族から離れ、ガメラの側につきたいと、そう言うのだな?」
「……はい。」蚊の鳴くような声で、カメーバは答えた。
「……この前のGPで…ガメラの男気に惚れたと、それでガメラを将に頂きたいと……そう…。」
「いえ、違います!」ガバと顔を上げ、カメーバは小さく叫んだ。
「違うと??…では何故ガメラのもとに?」昭和の顔に「さっぱり合点がいかぬ」と書いてある。
「……将としてガメラ様をお慕いしているのではありません。」
「では?」
カメーバは泣きそうな顔になった。
「………殿方としてお慕い申しているのです!!」
「……………………………おまえ!?メスだったんかあっ?!」
さてと……カメーバの「特撮版ロミオとジュリエット」はあっちにおいといて……。
メフィストが干上がらせた川床に、メットンの姿は無かった。
「メットン……いなくなっちゃった。泥に潜ったの?」こわごわ川床を覗きながら、いのちゃんが言った。
「…気をつけろよ小僧。近くにいるぞ!」
にゅるにゅるにゅるにゅる………。
耳を澄ますと、ウナギがのたくるような音があたりから、と言うより、正確には足元一面から聞こえてくる。
「地面の下をミミズみたいに進んでるんだ!」
いのちゃんが叫ぶと同時に、足元の湿った地面がクジラの飛び出そうとする海面のように一気に丸く盛り上がった。
「小僧!飛べ!」叫ぶと同時に、メフィストは いのちゃんの手を引っ掴んで飛び上がる!
同時に膨らんだ地面が弾け、クジラがジャンプするようにメットンが飛び出した!!
580 :
地下を泳ぐ:2005/04/20(水) 17:02:50 ID:KoNe4bly
急上昇しながら いのちゃんが視線を下に転じると、足の下でメットンがぐんぐん大写しになっていた!
(ボクたちより速い!?)
いのちゃんたちとのあいだは瞬時に詰まり、怪物が真赤な口を開けた!
メットンの口が迫る!
3メートル!2メートル!1メートル!!
バクン!
メットルの口が、いのちゃんの足から数センチのところで閉じた。
上昇するメフィストと いのちゃん。
一方メットンは重力で下降していった。
「地べたに落ちたところを攻撃するぞ!」メフィストはステッキを構えた。
ところが、メットンは地面がまるで流動体であるかのように、音もたてず潜り込んでしまった!
「…まるで水みたいに潜ったよ…地面の中に…。」驚いたようすで、いのちゃんがもらした。
「意外な難敵だな。」メフィストも油断なくステッキを握りなおした。
581 :
神との約束:2005/04/20(水) 17:04:34 ID:KoNe4bly
「グアァァァ……ニガサン。ニガサンゾ。」
突然、川原一帯に非人間的な声が響き渡った。
「この声って?」
「メットンだ!……人語を操れるところまで変化しやがったか!?」
怪物はメフィストと いのちゃんの会話もしっかり理解できるらしく、ただちに答えが返ってきた。
「ソウダ。ココニ繋ガレタ、永イ、永アイダニ。オデハ、人間ノコトバカリ、カンガエテタ。人間ヲ喰ウコトバカリ、カンガエテタ。ソシタラ、コウナッタ。」
「妄執での妖怪化か。典型的なパターンだな。」メフィストが渋い顔で言った。
「…こりゃ厄介だぞ。」
あたりに、鼓膜が破れるかと思う音量で狂的な哄笑が響き渡った。
「ウシャシャシャシャ(笑)。オデハ喰ウ。ソトノ世界デ、人間ヲ思ウ存分喰ウ!」
いのちゃんが怪物に負けじと声を張り上げた。
「そんなことできるもんか!オマエはここから出られないんだろ!」
「ウシャシャシャシャ、オマエヲ食エバ、ココカラ出レル。出シテ、モラエル。オデ、神サマト、約束シタ。」
富士の裾野に広がる原野。その一角にある湖の畔で、2頭の巨獣が組討を繰り広げている。
片や、大地の隆起がそのまま生を受けたかのような荒々しさを全身に漲らせた野生の塊。
此方、ポインター犬の如き洗練されたしなやかさにこの星の者ならざる幻惑の無表情。
言わずと知れたレッドキングとエレキングの戦いである。
レッドキングと言えば、怪獣界広しと言えども並ぶ者無き名声を誇る典型的パワーファイター、
肉弾戦には絶対の自信を持っている。
当然の如く仕掛けたファーストコンタクトでのぶちかましを、
以外にも一見華奢に見えるエレキングが真っ向から受け切った。
「火事とケンカは江戸の華ってな。売られた喧嘩を買えねぇとあっちゃあ漢が廃るってもんだ。」
いつもの彼ならそう軽口を叩くであろう。
しかしながら、瞬時たりとも気を緩められるような生半な相手ではない。
突進を止められても尚、レッドキングの動きは止まらない。
2本の足で大地をえぐり返し、豪腕をふるって力勝負を挑んでくる。
常に全開。ただひたすら前へ。
引く事も小細工も、微塵たりとも脳裏には浮かばない。
無尽蔵のスタミナを頼りに、ただひたすらに正面突破を繰り返し、飽く事を知らない。
エレキングもまた、レッドキングの攻撃をかわそうとはしない。
むしろ、積極的に組討に応じている。
共に長い年月をメジャーですごし、戦績を詰み重ねてきながら、すれ違いを繰り返し、いま始めて相まみえる。
互いに実力を認め合った好敵手を相手に、小手先のテクニックなど意味を持たない。
「なぜかって?それが怪獣ってもんだ!」
「レッドキング対エレキング、とうとう始まったな。」
「今回は屋内の闘場じゃなく、屋外特設リングだ。この二匹の激突なら、こっちの方が相応しかろうよ。」
他の仲間たちから離れテレビ観戦しているのはベムラーとドラコだ。
二匹が他のウルトラ怪獣たちから離れているワケはというと…。
「なあベムラー、あんたどっちを応援してるんだ?」テレビを見ながらボソッとドラコが呟いた。
「オマエと同じさ。……決められねえよ。レッドキングは同じウルトラマン怪獣だが、エレキングは同じ宇宙怪獣だからな。」
「なら、なんでレッドキングに必勝法アドバイスしようとしたんだよ?」
「オレはウルトラマン怪獣第一号だ。長兄格の怪獣として弟どものことを考える義務がある。」
ベムラーはテレビ画面の中で激突する二匹の大怪獣から目を離さぬまま、短く続けた。
「……レッドキングがオレのアドバイスを拒否してくれて内心ほっとしたよ。」
「どっちにも勝って欲しいな……。」とドラコ。
テレビでレッドキングが反撃すると、同時にどこかから歓声が湧き上がった。
たぶんレッドキング控室にたむろしている地球産ウルトラマン怪獣たちだろう。
ベムラーとドラコは、黙りこんだままだった。
584 :
xhd':2005/04/25(月) 08:47:57 ID:T2pD8zE4
テレビでは、突進してきたレッドキングの足元をエレキングが光線で掃射したところだった。レッドキングの足元から、たちまち炎のカーテンが巻き起こった。
「やるなご隠居。」ルナチクスが感心したように呟いた。
「…けどなんで足元なんか撃ってんだ?」
「水爆さ。」答えたのはもちろんムーンサンダーである。
「…レッドキングはまだ水爆を飲み込んでるんだ。」
「なるほど…。」
585 :
二重の乱入:2005/04/25(月) 08:51:32 ID:T2pD8zE4
作者のスレ住人とムーンサンダーの二重乱入にござる。
邪魔だったら、こっちのラインはアナーザストーリー扱いでかまいもうさぬ。
では……。
…水爆を飲み込んだ怪獣に電撃や光線は使えない。
しかもご隠居は腰に爆弾を抱えて参戦なので、あの激しい動きならいいとこ保って
3分…。
底無しスタミナと無限の闘志を誇るレッドキングを相手に、ご隠居の苦戦は必死だ。
だが…。
「……そろそろオレの出番だ。」
ムーンサンダーが立ち上がった。
驚き見上げるルナチクス。
「お、おい!ムーンの字!まさか乱入する気か?そんなことしたらご隠居ブチ切れるぞ!?」
「……そのご隠居の頼みで行くのさ。」
「そんな…あの江戸っ子のご隠居が乱入依頼なんか……。」
戸惑うルナチクスを尻目に、ムーンサンダーは月島の蕎麦屋から飛び立った。
互いにクリンチを繰り返しながらの殴り合い。腕を掴み首を抱えての投げの打ち合い。
レッドキングの距離での攻防だが、エレキングも譲らない。
怪獣としては細身のエレキングだが、典型的ブルファイターであるミクラスを相手に勝利を収めた実績がある。
敗れた相手も、ウルトラセブンやタロウといった類稀な格闘技術の持ち主たち。
彼自身も格闘戦は大得意である。
とはいえ、パワーとスタミナ、それにケンカなれしていると言う点においては、
やはりレッドキングに一日の長がある。
組討を続けるうちに徐々に押し込まれ始めた。しかし離れようとはしない。飛び道具は封印したままだ。
レッドキングの突進を巧みにかわし、一瞬の隙をついて腕の関節を取って逆に捻り上げる。
窮地に立ったかに見えたレッドキングは、すぐさま開いた手で相手の足を取ると、
腕一本で強引にエレキングを持ち上げ、力任せに放り投げた。
弧を描いて宙をまったエレキングは、綺麗に受身をとって膝立ちになると、
くるりと向き直って、間髪いれずにタックルをかましてきたレッドキング目掛けて光弾の連射を浴びせかけた。
直撃を受けたレッドキングは、しかし僅かに速度を緩めただけでそのまま突進する。
尚も畳み掛ける光弾の雨を腕をクロスさせて跳ね返しながら、
その弾道を逆にたどる事でエレキングがいる位置に検討をつけ、めくらめっぽうに体当たりを仕掛けた。
エレキングは一旦正面で受け止めてから、今押し返さずに身をそらし、相手の勢いを利用して投げを打った。
今度はレッドキングが宙を舞った。
ラグビーのトライのように地面に突っ伏した後、のそりと起き上がる。
その顔面を、エレキングの尻尾が打つ。
2度3度とレッドキングを打ち据える。
4度目尻尾は、レッドキングに掴まれた。
レッドキングがぐいと尻尾を手繰り寄せると、バランスを崩したエレキングが突っ伏した。
そのままハンマー投げの要領で高々と放り投げた。
倒れたエレキングに対し、今度は仁王立ちのまま、レッドキングが声を掛ける。
「立て」
ありゃ、おいらがもたもたしているうちに先越されてた。
どうしよう?
>>586 >どうしよう?
お続け下され。
ご隠居と暴れん坊がフリーズしちゃったみたいだから、乱入しただけにござる。
余計なことを致しもうしました。拙者は撤退ということで。
ちなみに考えていた展開は…
激闘のすえ、ご隠居のシッポが狙い済ましてレッドキングの首の後ろに炸裂。
その衝撃でレッドキングの口から水爆が弧を描き飛び出した!
地面に激突すれば大爆発必至!
しかし、それを乱入してきたムーンサンダーが急降下キャッチ。そのまま宇宙に飛んでいく…。
やがて大爆発。
解説者が「いまのは、もとに戻ろうとする宇宙空間の逆爆発です。」とワケの判らんことを言って…ちゃんちゃん。
勝敗は「最初からオレの水爆を引っこ抜くのが狙いだったんだろ?なら、狙いどおりになったんだからオレの負けだな。」とレッドキングが敗北を認め、ご隠居の勝ち。
…にござりもうした。
589 :
娑婆に帰れ:2005/04/25(月) 15:15:35 ID:T2pD8zE4
その知らせは、まだ東映系地獄のペロリゴンの家(洞窟)で居候を決め込んでいたアンギラスの耳に突然飛び込んで来たのだった。
「大ニュース!大ニュース!キングザイガーがブラックキング戦の参戦手続をやったそうだべぇ!」
「な、なんだって!」
アンギラスは飛び上がった!
「そんじゃザイガーのヤツ、あのオトゥゥムとかいうバケモンのとこから脱出できたんだな!」
「どうしてそこまで楽観的になれるんだべよ。オラ感心するべ。
手続はしてあるそうだけど、誰がやったのか全然判んないらしいんだべさ。」
「じゃあザイガーは?」
「それも行方不明のまんまだべ。たぶん今度ザイガーが姿を現すときは……」
ガンッ!大きな打音でペロリゴンの言葉が途切れた。
アンギラスが両拳で洞窟の岩肌を殴りつけたのだ。
「くそう…このオレがついてながら、こんなことに……。」
「オメエが悪いワケじゃねえべよ。なにせ相手はこの東映地獄にもワケなく侵入したぐらいのヤツだべ。」
だが、慰めるペロリゴンへとアンギラスは頭を巡らせた。
「こうしちゃあいられねえ!なあペロ!オレを元の世界に帰らせてくれ!」
590 :
連れてったる:2005/04/25(月) 15:18:10 ID:T2pD8zE4
「オレを元の世界に帰らせてくれ!」
「帰らせろって言われてもなあ……。」
ペロリゴンは口篭もった。
「娑婆で召喚されない限りは、勝手に行ったり来たりはできないべよ。地獄ってのは波いるのは簡単だけど出るのは難しいっぺ。それが掟なんだっぺ。」
「でもよ!オメエたしかGP会場に来てたじゃねえか?たのむよ!」
アンギラスはペロリゴンの前でアタマを地面に擦りつけるまで下げ、懇願した。
「お、オメ、そんなこと止めるだよ。どんなに頼まれても、掟は曲げられねえべ。」
眉間に皺を寄せ、拒否のポーズをとるペロリゴン。
そんな状態が何分、何十分続いたろうか?
「頼む、頼む」と懇願するアンギラスを前に、ペロリゴンはついに根負けした。
「……しょうがねえ。ここにオメエ連れこんだのはオラだしな。地獄の掟破ることになるだども……、オラが娑婆に連れてったるべえ!」
「…ヨモツヒラサカを抜ければいいんだべ。」
アンギラスの先に立って歩きながら、ペロリゴンは話した。
「…ただ、妖怪じゃない生物が突破するのは至難なんだべ。」
「そりゃまたいったいなんで?」
「途中に魔法系のトラップがシコタマしかけてあるんだべよ。いくら怪獣でも力づくで突破するのはムリだべ。」
「そんじゃいったいオレどうすれば?」
「オラが案内してやるべ。」
「でもそれじゃあ……ペロの立場が悪くなんねえかい?」
「気にすることねえだよ。ほら、ここを曲がるともう……!!!」
なんと!いつもは無人であるヨモツヒラサカの入り口が、ショッカーの改造人間たちにガッチリガードされしまっていたのだ。
(しまった!Otuumの侵入で警備が厳重になってるべ!)
ペロリゴンは目でアンギラスに(黙ってろ)と合図すると、そのままヨモツヒラサカ入り口へと歩いていった。
「どこへ行かれます?ペロリゴンさま。」怪人たちを束ねていたゾル大佐(仮面ライダー)が進み出た。
「……娑婆へ行く。通らせよ。」ペロリゴンの口から発せられたのは、それまでと違う、威厳たっぷりの声だった。
(あれれ?ペロの喋り方が違うぞ??)
ザコの怪人たちはペロリゴンの威光の前に直ちに道を開けようとした。
しかし、ゾル大佐はショッカー最高の実力者大幹部だけありそう簡単には引き下がらない。
「…失礼ですが、ペロリゴンさま。後ろにいるのは妖怪でなく怪獣なのでは?怪獣や怪人は娑婆で召喚されねばココから出られぬのが掟にございます。」
「……ワシは通る。このものを連れてな。」
「しかし……。」
「通さぬというのか?」
593 :
富樫登場:2005/04/25(月) 17:11:31 ID:T2pD8zE4
「通さぬというのか?」
ゾル大佐の片目の視線とペロリゴンの視線がしばしぶつかり合った…。
だが、東映系は体育会系。
ゾル大佐といえども東映系長老の一人であるペロリゴンに、それ以上たて突くことはできなかった。
「判りました。」ついにゾル大佐も怪人たち同様ペロリゴンに道を開けた。
「…では行くぞ、アンギラス。」
アンギラスとペロリゴンは再び歩き出そうとした。
そのとき!?
「どこへ行くのだ?ペロリゴンよ??」
アンギラスとペロリゴンが振り返ると、東映系怪物の長、百目妖怪ガンマが立っていた。
594 :
{:2005/04/26(火) 15:13:09 ID:dKO9NO8f
「どこへ行こうというのだ?ペロリゴンよ?」
低くボウボウと響く声で、ガンマが問い掛けた。
「こいつ(=アンギラス)を連れて娑婆まで行くのだ。」
隠してもムダと承知してか、ペロリゴンは率直だった。
「ヨモツヒラサカを抜けるというのか?魔力を持たぬ怪獣には不可能なことじゃぞ。」
「だからオレがついていくのだ。」
…ペロリゴンに引く気は無い。
「…この東映地獄の長老の一人であるオマエが、自ら掟を破るというのか?」
「ああ、破る。もともとこいつは…」ペロリゴンはアンギラスをアゴで指し示した「…オレがこっちに連れてきた。だからこいつを娑婆に帰すのもオレの責任だ。」
595 :
覚悟の上だ:2005/04/26(火) 15:14:31 ID:dKO9NO8f
「こいつを娑婆に帰すのもオレの責任だ。」
ペロリゴンはぐいっと胸を張った。
「罰なら受ける。逃げはしない。ただし、こいつを娑婆に帰してからだ。」
ガンマは重ねて問うた。
「液体に変えられて亀に閉じ込められるのだぞ。それでもよいのか?」
アボラスとバニラみたいな扱いだが、「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場する有名な刑罰だ。
「承知だ。」…ペロリゴンには迷いの気配すらない。
「………覚悟の上か………。ならばペロリゴンよ、頼みがある。」
ガンマは自分の後ろから何者かを招き寄せた。
すると、招きに応じて巨大な影がずずずいっと現れ、無言でアタマを下げた。
「ん?おまえは確か?」
「ペロリゴンよ。この超獣カウラも娑婆まで連れて行ってやって欲しい。」
596 :
三銃士:2005/04/26(火) 17:05:08 ID:dKO9NO8f
「ペロリゴン殿、よろしくお願い申し上げる。」
ガンマの依頼で、アンギラスだけでなくカウラまで先導し、ペロリゴンはヨモツヒラサカを上っているところだった。
「任せるべえ。…だども、ガンマまで同じ目的できてたなんてビックリだったべ。」
「百目殿は、今回の件を地球全体に対する存亡の危機と捉えられているのだ。」
「それでまずは黒猫が娑婆に行ったってわけだべか。オラたちも黒猫と力合わせて悪い神様の復活を阻止しなくちゃなんねえだべな。」
「なんだかエライことになったな。」とアンギラス。
「うむ。ウルトラマンA最終回の後に、このような大業がオレを待っていようとは、思ってもみなかった。」とカウラ。
妖怪と怪獣と超獣のデコボコ三銃士は、遠く娑婆を目指して、ヨモツヒラサカを上って行くのだった。
597 :
フライヤーズ:2005/04/26(火) 17:06:36 ID:dKO9NO8f
「なあ、いまプロ野球のペナントレースはどうなってるんだべか?」
それまで無言で進んでいたペロリゴンが急に妙な話題を振ってきた。
「ペナントレース?」アンギラスは首を捻った。
「……オレがザイガーと地獄に行ったときにゃ、まだ始まってなかったからな。」
「そうだべか……。」
いったん口を閉ざしたペロリゴンだが、しばらくするとどこか遠くを見るような目線でニヤニヤしながら言い出した。
「……娑婆に行けば、フライヤーズの試合も見られるべ。楽しみだべな。」
「フライヤーズ?」カウラは怪訝そうな顔をした。
「フライヤーズだべよ!知らねえだべか?世間知らずなヤツだべ。」
常識知らず!と非難するようにペロリゴンは言った。
カウラにはまだ判らない。だが、アンギラスにはすぐ判った。
(東映フライヤーズか!)
東映フライヤーズ!
…とっくの昔に親会社が東映でなくなり、名称も「日本ハム・ファイターズ」に変わった球団だ。
「……ペロリゴン殿、ひょっとしてそのフライヤーズというのは…。」
「わーわーわーわー!」
でたらめに叫び声を上げながら、アンギラスはカウラの後頭部を張り倒した。
「アンギラス殿!何を血迷って…。」
(言っちゃいけない!言っちゃいけない!)
必死に目で話そうとするアンギラス!
それを見て、カウラにもどうやら理解できたらしい。
「(そうか!)あ、いや、フライヤーズですな。はは、モチロン知ってますな。ははは、いやオレとしたことが。」
「そうだべ!知ってるべ!楽しみだんべぇ。」
ニコニコ子供のように笑うペロリゴン。
だが、
フライヤーズはもう無い。
そんなことどうしてペロリゴンに告げられようか?
こんなに楽しみにしているのに…。
心痛める優しいアンギラスであった。
599 :
科学と魔法:2005/04/26(火) 17:10:15 ID:dKO9NO8f
そのころ「悪の帝王控室」では、東映地獄からやって来た「黒猫妖怪」を中心に、イグアナとゴッドイグアナの母娘(レインボーマン)、ツバサ大僧正(仮面ライダーV3)、悪魔道人(変身忍者アラシ)ら魔術の心得のある怪人たちが寄り集って、空の星辰を読み続けていた。
「……邪神復活をもたらすような星の動きはどこにも見出せませぬ。」と母娘を代表してゴッドイグアナ。
「こちらも同じじゃ」と、これは悪魔道人。
「どこかに見落としはないか?必ずあるはずなのじゃ!見落としが!!」
黒猫妖怪も途方に暮れていた。
「ザイガーがGPへの参戦を継続するということは、きっと儀式がココでのうては行えぬからなのじゃ!故に星辰もココを中心に読まねばならぬハズ!」
「しかし、」とこんどは娘のイグアナが答えた「…そこまで星の読み位置が限定される以上、見落としなど在り得ませぬ 。」
「あるいはザイガーのGP参戦継続そのものが罠なのでは?」ツバサ大僧正が鬚をしごきながらイグアナに続いた。
「……」さしもの黒猫妖怪も黙り込むしかなかった。
「見落とし」はたしかにあった。
だがしかし、魔術に長けた者たちにとっては、魔法・妖術の世界が全て。
科学の機器などは眼中に無かったのだ。
す、素晴らしいスレを見つけてしまった……
ウルトラマンとギャバンを原体験に持つこの身としてはもうたまらない、
たまらない上にクトゥルフまでもが……ちなみに北海道在住なので当然日ハムファンw
くうぅぅ、参加してぇ!
??『やれやれ、仕方が無いですね。久しぶりに戻ってきましょうか……』
??『だが、その魔術、日本じゃあ二番目だ』
??『――を僕に操縦させてください!』
……あ、あなた方はっ!?
「なあペロリゴン。ヨモツヒラサカってのは、こうダラダラ長いだけの洞窟なのか?
オレはまた、もっと物凄いトコかとばっかし……。」
アンギラスがそう言うと超獣カウラは目を丸くした。
「ダラダラ長いだけですと!?さっきから同じ場所を何度も何度も通っているのに気がつかれんのですか?!」
「同じトコを何度もだとぉ!?」今度はアンギラスの目も真ん丸くなった。
「そんなワケねえぞ!だって枝道無しの一本道じゃねえか!」
「でも何度も同じところを通っているのは事実だ。げんにほら!」とカウラは近くの岩を指差した。「あの岩のキズは、オレがついさっき目印のつもりでつけたものだ!」
「そ、そんじゃオレたちちっとも前に進んでねえってことかよ!?」
アンギラスとカウラが立ち止まって口論しているあいだにも足を止ず先に行っていたペロリゴンが、このときやっと立ち止まり振り返った。
「モタモタしてねえでさっさと進むべえ!」
「いやしかし!」「だって、だってよう!」カウラとアンギラスが同時に口を開いた。
「さっきから全然前に進んでおりもうさぬ。」
しかしペロリゴンはカウラの問いかけにも平然としたものだった。
「いんや、ちゃんと進んでるだよ。」
「ここに掛かってるトラップは…」ペロリゴンが歩きながら説明してくれた「…同じトコをどうどう巡りしてるように見せる魔法なんだべ。」
「そうしたワナなら、我ら超獣にも心得があります。」カウラは簡単には納得しない「…そうした幻視系トラップならコチラが目印を置けば引っ掛からずに済むはずです!しかしココの場合は…」
「オメエが仕掛けた目印までちゃんと出てきたって言いたいワケだべ?」
「そのとおりです。」
「そこが魔法の怖さだべよ。仮に10メートルおきに見張り番を立てたって同じだべ。」
ベロリゴンの回答に絶句したカウラに代わって、アンギラスが口を開いた。
「……しばらく行くと、最初に立たせた見張りと出くわすってワケかい?」
「そうだべ。」
「ま、魔法……恐るべし。」ゴクリとヨダレを飲込んでカウラが言った。
「こんなんで驚いてちゃダメだべ。これは地獄に帰らせるのが目的のワナだから怖くねえべよ。でも、もう少し行ったら……。」
「…もう少し行ったら……どうなるの?」恐る恐る尋ねるアンギラス。
「命に関わるワナが出てくるべ。」
603 :
f@d):2005/04/27(水) 15:06:51 ID:MxqErPZA
「おい小僧!気をつけろ!どっから出てくるか判らないぞ!」
「だから!ぼくの名前は『小僧』じゃなくて、『いのちゃん』だってば!」
メフィストと いのちゃんの2人は地鳴りも振動も無いまま地底から飛び出してくるメットンに苦戦を強いられていた。
「ねえメフィスト!こっちから地底に行くわけにいかないの?」
「そりゃムチャだ!こっちは地面をシャベルなりドリルなりで掘らなきゃならんが、あいつは地底を水の中みたいに泳いでやがるんだぞ!」
「でもこのままじゃ……。」
メットンが半ば妖怪化しているといっても、さすがに空は飛べないらしい。
2人はメットンが地下からジャンプしてきても決して捕まらない高さの空中に留まっていた。
この高さなら一応安全だ。
だがその代わり、メットンを倒すこともできない。
そしてガマン較べならメットンの方が絶対に強いはずなのだ。
なぜなら、メットンはこの空間に何千年か?何万年か?閉じ込められていたのだから。
しばしの持久戦など、屁でもないはずなのだ。
連続もうしわけござらぬ。タイトルが無いと場面転換がわからぬもので…。
「おい小僧!気をつけろ!どっから出てくるか判らないぞ!」
「だから!ぼくの名前は『小僧』じゃなくて、『いのちゃん』だってば!」
メフィストと いのちゃんの2人は地鳴りも振動も無いまま地底から飛び出してくるメットンに苦戦を強いられていた。
「ねえメフィスト!こっちから地底に行くわけにいかないの?」
「そりゃムチャだ!こっちは地面をシャベルなりドリルなりで掘らなきゃならんが、あいつは地底を水の中みたいに泳いでやがるんだぞ!」
「でもこのままじゃ……。」
メットンが半ば妖怪化しているといっても、さすがに空は飛べないらしい。
2人はメットンが地下からジャンプしてきても決して捕まらない高さの空中に留まっていた。
この高さなら一応安全だ。
だがその代わり、メットンを倒すこともできない。
そしてガマン較べならメットンの方が絶対に強いはずなのだ。
なぜなら、メットンはこの空間に何千年か?何万年か?閉じ込められていたのだから。
しばしの持久戦など、屁でもないはずなのだ。
(早くGP会場に行かないと!)
いのちゃんの心に「急がないと大変なことになる」という思いがどんどん膨らんでいった。
(このままじゃどうにもなんないよ!…………ようしっ!!)
すうーっ!
何を思ったか?いのちゃんは突然川原に向かって降下した!
「おい!気でもくるったか!?」
(*メフィストは昭和40年代のキャラなので、こういう言葉も使います)
「ぼくがオトリになる!メットンが出てきたらやっつけて!!」
「ムチャするな!」
いのちゃんを追ってメフィストも降下しようとしたそのとき、いのちゃんが飛ぶ少し後ろの草原が風向きに逆らう向きに揺れだした。
(出やがった!)
草の不気味な動きは低空飛行する いのちゃんの動きを追い、距離を一気に詰めた。
「小僧!後ろだ!」
いのちゃんがメフィストの声に振り返ると同時だった。メットンが草原をすり抜けるように地下から滑り出したのは。
「魔力!地獄の火!!」
メフィストのステッキから炎が噴出しメットンを飲み尽くさんと唸りをあげた。
しかしメットンはそれを体を左右にかわしながら、まるでジェットボートのように いのちゃんに迫る!
「グシャシャシャシャ、食ウゾ!食ッテヤルゾ!」
あっというまに距離はつまり、メットンの口がくわっと開いた!
「シャアアアアアッ!!」
バクンッ!
いのちゃんは素早く飛びながら横滑りした!
激しく音をたて閉じた口の、そのキバのあいだをすり抜けて、いのちゃんは素早く右に横滑りした!
「シンゴっ!」メフィストが叫んだ。
(シンゴじゃないよ!いのちゃんだよ!)
「チョコマカ、ウザイゾ!!」
バクンッ!またメットンの口が閉じるが、こんどは左に横滑りしてかわす!
(メフィスト!はやくコイツをやっつけて!ぼくが食べられちゃう前に!)
場面かわってこちらは妖怪・怪獣・超獣の珍三銃士……。
無限ループと見えた地下道も、おしゃべりしながらだと結構簡単に抜けられてしまった。
もちろん話題は「東映フライヤーズ」である。
「へええええっ!ぶったまげたべえ!フライヤーズ、いまは札幌なんだべか!?」
アンギラスは「日本ハム・ファイターズ」という部分だけ伏せて、球団の近況をペロリゴンに説明していた。
「おうよ、フラレターズはいま札幌よ。」
「……すすき野でブイブイ言わせてるだべな!」
彼女にフラレターズ……、古い駄洒落だがペロリゴンにはリアルタイムだ。
「いいのか?アンギラスどの。」カウラがアンギラスの耳元(どこが耳だ?)囁いた。「ペロリゴンどのは期待モリモリですぞ!」
「んなこといったって、『そんな球団ありません』なんて言えるかよ!」
「なんの話してるだべか?」急にペロリゴンが振り返った。
「なんでもないでーす。」息の合った漫才コンビのようにカウラとアンギラスは声を揃えて答えた。
「そうだべか………。」そしてその直後、ペロリゴンの口調が少し変わった。「…また別のトラップだべ。今度は命懸けだーよ。」
608 :
風を統べる者:2005/04/27(水) 21:17:16 ID:WqKllTFZ
悪の帝王達が自分を話題に上げていることも知らず、グランドキングは
ダクミランと一緒に彼が録画していたキングザウルスV世対ジャンボキング戦を見ていた。
「でも・・・」
試合が終わり、停止ボタンを押すとダクミランは口を開いた。
「何でまた、試合終了の後にジャンボキングを襲ったんですか?」
言われてグランドキングも首を傾げた。
コスモリキッドにも訊かれたが、意識を失った後の事は全く覚えが無いのだ。
ただ、意識を失う直前に“声”を聞いた。
「よく超獣達に仕返しされませんでしたねぇ」
ダクミランの声は耳に入らない。
“声”。そして・・・
(目覚めよ・・・星々の間を過ぎる者にて構成されし者よ)
(え?誰だお前・・・)
(我が名は・・・・・・目覚めよ・・・汝の敵を倒せ・・・妨げるものを排除せよ・・・)
あの時、“彼”は確かに名乗った。
(我が名はイタカ・・・風を統べる“星々の間を過ぎる者”に従う者・・・・・・)
609 :
北国馬鹿一代:2005/04/28(木) 02:52:59 ID:6Nn1oCC8
男は、特撮が大好きだった。
古来より『好きこそ物のあわれ也けり』と言う。
彼は、貴重な有給を使い、怪獣GPを見んが為にはるばる北海道より来ていた。
自身がどのような体験をするかも知らず……
えらいことになってきもうした。イタカまで出るでござるか?
特撮板だかSF板だかわからんようになってきました(笑)。
>>608 ところでイタカは「C」のサイドにござりまするか?
それともハスターなんかと同じ反「C」サイド?
それがしは例の人口衛星を破壊して星辰を崩す役目に、もんたーX、モンスターX、GKのどれかを考えており申しました。
GP準決勝と並行ぐらいのタイミングで人工衛星を守るオトゥゥムと戦う役目の怪獣にござる。
血統に飲まれるキングザイガーと、血統に飲まれず「己」を見出したGKという対比で構成するのが綺麗にござるが…。
>610
イタカはハスター(ハストゥールとも)の下に付く邪神ですよ。
吹雪の夜、哀れな犠牲者を見下ろす二つの瞳がある。
その瞳を見た者は風に乗りて歩むものに連れ去られ、絶対零度の宇宙をさまよい、凍て付いた骸となって繰り返される……
612 :
深淵の回廊:2005/04/28(木) 15:13:11 ID:yAKkbsVh
「命の危険のあるワナって……、これまでと同じ洞窟が続いてるだけじゃねえのかい?」
アンギラスが言うと、カウラも続いた。
「まあ、強いて違いを言うなら…これまでより広いというぐらいしか……。」
「ところが大違いなんだべよ。おめえたち、ここが普通の洞窟に見えてるべえ?」
「……違うのかよ?」
「目には見えねえけんど、そこいらじゅうに無限の深淵が口開けてるだーよ。」
ペロリゴンの第六感と第七感には、そこいらじゅうに広がった深淵から吹き上がる異次元の冷気が捉えられていた。
「なんだってぇ!?そんじゃここはホントは穴だらけなんかよ?」
アンギラスが愕きの声をあげたが、ペロリゴンの答えはもっととんでもないものだった。
「穴だらけじゃねえべよ。足を置いていい場所の方がずっと少ねえんだから。」
613 :
二足?四足?:2005/04/28(木) 15:15:03 ID:yAKkbsVh
「穴だらけじゃねえべよ。足を置いていい場所の方がずっと少ねえんだから。」
ペロリゴンの言葉にアンギラスの顔が引き攣った。
「では、飛び石のようになっているのか!?」
カウラの例えには、ペロリゴンも頷いた。
「そーだよ。オラは妖怪だから気配でそこに淵があることが判るべ。だからいいだか!?オラが足置いたとこだけは安全だから、そこだけ踏んで進むだよ。」
「……わかった。慎重に行くとしよう。」
「んじゃ、行くだーよ。」
ペロリゴンが一歩、二歩と進みだした。
その後を、カウラが慎重になぞって足を下ろす。
「あ、あの……ちょっと。」
「ん?なんだべか?」
「あんたら忘れてない?」
「…忘れてるって、何を?」
「あんたらは二足だけど………、オレ四足なんだよね。うまく…なぞれねえんだけど…。」
「こんどこそいいだか?」
「一応だいじょぶみたい。」
心配そうなアンギラスに、超獣カウラが後ろから声をかけた。
「オレがついてる。心配するな。」
妖怪・怪獣・超獣の珍三銃士は先頭のペロリゴンの両肩にアンギラスが両前足をかけ、そのアンギラスの背中のトゲを掴むようにしてカウラが続く縦列隊形をとっていた。
ペロリゴンがアンギラスを支え、不慣れな二足歩行で踏み間違えないよう後ろからカウラがアンギラスを補助しようというのである。
「んじゃ、ムカデ競争!スタートだべ!」
シティ!イン シティ!!……と叫んだりはしない。
もちろんホンダ♪ホンダ♪ホンダ♪ホンダ♪なんて掛け声も無い。
ペロリゴンはそんな「新しい」コマーシャルなんか知らないのだ。
「それ、いーーーーち!にーーーーーーい!………」
味も素っ気もない掛け声とともに、ペロリゴン率いる珍三銃士は、見えない深淵がそこここに口を開くエリアへと踏み込んでいった。
つむじ風のように巨体が川原の面を飛びぬける!
いのちゃんとメットンの追いかけっこは最悪のエンディングを迎えつつあった。
メットンは予想以上に速かったのだ!
永く絶食状態で封印されていたのだから、普通の生物なら体力不足で遅いのが当然だ。
しかし、永い封印の果てに妖怪化しかかっていたメットンにとっては、「いのちゃんを喰いたい!血を啜りたい!」というおぞましい執念そのものがエネルギー源になる!
「ウショショショショ!喰イタイ!食ワセロ!喰イタイ!食ワセロ!」
もう いのちゃんとヨダレを垂らすメットンの距離は0メートルになっていた。
つまり いのちゃんは足で怪物の鼻先を蹴ったりしながら、死の顎をかわしている状態なのだ。
(食べられてなんかやるもんか!)
ぱしっ!
すぐそこまで迫ったキバを蹴った直後、メットンの顎が音をたてて閉じた。
ばくんっ!
キバの切っ先はとっさに引っ込めた いのちゃんの足先をかすめた。
(早く!メフィスト早く!)
いのちゃんがメットンの胃袋に納まるのは、もう時間の問題だ!
616 :
ある法則:2005/04/28(木) 15:19:45 ID:yAKkbsVh
(ちくしょう!メルッンのヤツ意外と早いぞ!?このままじゃオレが追いつく前に 小僧が食われっちまうぞ!)
いのちゃんは「メットンの前を飛ぶ」というより「メットンの鼻先に立ち、メットンに押されている」状態に近い。
ここからメットンを振り切って上昇するのはもうムリだ。
(なんとか早く追いつかねえと……)
そのとき、メフイストはこの世界の特徴である「ある法則」を思い出した。
(そうだ!その手があった!!)
(あっ!)
メットンの口から白い紐のようなものが何本も飛び出し、いのちゃんの足首に絡みついた。
「グシャシャシャシャ……捕マエタァ。」
白い紐と見えたのは、途中で何本にも枝分かれした舌だった!
白濁した粘液に包まれ脈動する舌がうにょうにょ動いて、よりしっかり いのちゃんの足首を絡め獲った。
「グヴェェェェエエエエッ!」
振り返った いのちゃんの目の前で、メットンは歓喜の叫びをあげ口を開いた。
「きゃああっ!」
しかし、悲鳴をあげる いのちゃんのすぐ横を、真っ黒いものが稲光のように通り抜けた!
「地獄の火!」
真っ黒いもの=メフィストのステッキから魔力の炎が迸り、大口を開けたメットンの口の中で荒れ狂った!
いのちゃんを捕らえていた舌も一瞬で焼け落ちた!
「メフィスト!なんで後から追っかけてたはずなのに、なんで前から!?」
「この世界が無限ループしてるからさ。だから、後からメットンを追いかけるより、反対側に飛んで迎え撃った方が速いと思ったのさ。」
メフィストは「ココのできが違うよ」というふうに自分の頭を指さした。
「あ!メフィスト!メットンが逃げるよ!」
「ゴゲゲゲゲゲゲ………!?」
言葉にならぬ悲鳴をあげ口を押さえていた、メットンは川原の地下に潜行して逃げようとした。
「逃がすかメットン!」
「逃がすかメットン!魔力!ワイアーロープ!」
メフィストのステッキの一振りで、魔法のロープがどこからともなく飛び出すとメットンの体に幾重にも巻きつく!
ダイブしかかった地下から、見えないクレーン車にでも引かれるようにメットンが姿を現した!
「魔力!ボウガン!」
メフィストがステッキを一振りすると、水辺の葦の茎が一斉に金属製の矢に変わる!
「発射!」
びゅびゅびゅんんっ!
無数の魔法の矢がメットンに向け飛び、突き刺さる!
「ギェエエエエエエエエエッ!」
メットンは体に刺さった矢を払い落とすが、容赦することなく第二波、第三波が突き刺さった。
「ゴ、ゴアアアアアア!!」
たちまち血だるまになったメットンだったが、体を激しく痙攣させると死力を振り絞って体に巻きついたワイアーロープを引きちぎった!
ブチッ!
「あっ逃げる!」
すぐさま川原の大地へと身を躍らせるメットンだが、メフィストは慌てない。
「魔力!深淵流し!!」
魔法のステッキの一振りで、メットンが身を躍らせた先の大地がバックリ二つに裂けた。
無限の深淵の冷気が立ち上る!
「ギ!?ギャアアアッ!」
自分が飛び込もうとしているのがどういうところなのか、メットンが気がついたときにはもう遅かった。
「…タスケテクレーーーーッ!」
メットンの姿が地割れの中に消え、助けを求める声が微かな谺になると、地割れは静かに閉じ合わさった。
620 :
GP会場へ:2005/04/28(木) 16:59:55 ID:yAKkbsVh
「メットン死んだの?」
「死んじゃあいねえさ。だが、次元の狭間にある深淵に落っことしてやったから、もう二度と出て来れねえ。」
「じゃあボクたちココから……。」
いのちゃんが最後まで言うより早く、あたりの雰囲気がにわかに一変した。
……車のエンジン音。
……人の話声
そして…。
いのちゃんは、勝手知ったる自分の町の空にいるのに気がついた。
閉鎖空間からの脱出に成功したのだ。
「よし小僧、これからその…なんとかGPの会場までひとっ飛びだ!」
「だからボクはいのちゃんだってば!」
空飛ぶ2人の話声は、あっというまに東の空へと消えてしまったのであった。
>>611 普通に考えると、首領格の「H」が「C」と敵対してるから「I」も同じく「C」と敵対するんでござろうか?
なんといってもティガ怪獣のゾイガー(ツァール+ロイガー)がガタノゾアの子分だったって既定事実があるもんで。
……特撮板なのにスレ違いすみもうさぬ。
>621
そらぁ、敵だろうな……と思って『クトゥルフ神話TRPG』を紐解いた。
はっきりそうと書かれていない……矢野健太郎の漫画だとそれでいいみたいだけど……
このレスは、多分丸ごと板違いだけど……
後、ロイガーにはツァールと関係のない種族のロイガー(実体化すると爬虫類に似ている力の渦)てのもいて、
そっちはガタノゾアと関連付けられたりイタカと関連付けられたり。
ツァールはツァールでハスターやハスターの下僕のビヤーキーに関わる呪文を知っていたり、
あるいはツァン高原のチョー=チョー人という連中に崇拝されているので、
同じ場所にいて同じ連中に崇拝されるチャウグナー=フォーンと関わるとか関わらないとか?
623 :
本当の家族:2005/04/29(金) 13:29:59 ID:szCtRzY4
珍三銃士が深淵へ足を踏みこんだ時と同じ頃・・・・・・
「イターカ?何ですか、そりゃ」
「イターカじゃなくて、イタカ!」
グランドキングは声の主、イタカの事をダクミランに話したが
ダクミランにはさっぱり分からないようだった。
「で、そのイターカがグランドさんの本当の家族だって言うんですか?」
ダクミランの問いに対し、グランドキングは満面の笑みで答えた。
「そうだよ、いいか、きっとイタカは、俺の家族の一員なんだ、きっとそうだ!だから話しかけてきたんだ!」
「はあ」
「でもなあ・・・・・・」
さっきまでの笑顔が消え、暗い顔になるグランドキング。
「何で、俺の試合のときに来てくれなかったんだろう・・・・・・」
624 :
GP会場へ:
ダクミランはいつ「そういや何でお前らは来なかったんだ!」と言われないかヒヤヒヤしていた。
まさか、試合の事を忘れてハリウッドへ遊びに行っていたなどとは言えない。
が、グランドキングは何かを決心した顔つきになると立ち上がった。
「よし!決めたぞ!」
「えっ?」
「俺の本当の家族が来なかったのは、来られない事情があるからに違いない!」
「えっ?えっ?」
「俺が本当の家族を迎えに行くぞ!俺が迎えに行くんだ!」
「ちょ、ちょっと!まさかアンタ・・・・・・」
「GP会場へ戻る!ここでじっとしていても始まらない、行くぞ、俺は、絶対に迎えに行くぞーっ!」