この件で最大の影響があったのは、もちろん撮影現場である。
新番組をオンエア一ヶ月前にデリートするという前代未聞の
作業は困難を極めた。
まずスタッフ・キャストに対する厳重な箝口令と説得が最大の
ハードルだった。これについては、穏当な説得から事務所経由
でのプレッシャー、さらには任侠映画の監修等で東映本社と
付き合いがあるその筋の人々まで動員されての「強い説得」に
よって何とか全ての口は塞がれた。
セットは全て極秘の内に解体され、ライダーの衣装やバイクは
巧妙に破棄された。怪人については、改造されて戦隊やメタルヒーロー
に回されたらしいが、どの怪人かについては諸説がある。
台本はすべて回収・焼却された。企画書は関係各企業にも回ったため
全冊の回収には至らなかったが、元々仮面ライダーシリーズの未制作
企画書は多いので、守秘の障害にはならなかった。
毎日放送では短期に制作可能な情報番組を、わずか2週間で企画から
制作にこぎつけ、9月24日に「RX」は最初から新ライダーへの引き継ぎなど
なかったかのように幕を下ろした。
しかし、これほどの水面下のドタバタが人々の記憶から完全抹消される
わけもなく、幻のライダーの存在は語られ続け、以下のサイトでもその
事実が指摘されている。
ttp://tiyu.to/n0201.html#14_01_12 この幻のライダーがネットで話題になるたびに「RXで終了は前から
決まっていた」「新番組を一ヶ月で抹消できるわけがない」という発言が
出てくるが、この手の発言が未だに打ち消しにやっきになっている東映の
工作員なのかどうかは定かではない。
(おわり)