【昭和59年】20年以上特ヲタしてる俺ら【1984年】
1992年だから、いまから12年前。
銀座の広告会社に勤めていたおれは、昼飯の帰り道、
「成田亨展」という看板を見かけた。
え、と思ってよく見ると、小さな手芸屋の二階が画廊になっているのだった。
ドキドキしながら階段を上がると、そこには懐かしい成田先生の原画と造型物が飾ってある。
…しかし、よくみると、造型物の腕や脚に分割したあとがあるのだ。
おれはその理由を学芸員のひとに尋ねた。
はなしによると、レプリカを量産するために、業者が無断で適当に分割したらしい。
ふ、ふざけんな。
原型の全体を透明レジンで固めて、ナイフで切り出していけば造型物にキズはつかない。
自分の大切な思い出を穢されたような気がした。畜生、ブタ野郎。
成田先生はどんな想いで、キズものにされた自分の作品を御覧になったのだろう。
せめて今後の展覧会では、綺麗に修復されていることを祈るよ。