特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ3

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1名無しより愛をこめて
熱く燃える連作長編も良いけれど
単発の話を書きたくなった時や、ちょっと思い付いた話を気軽に書きたい時、
そんな時にこのスレを活用してみてください

時代も世代も違う作品群の夢の競演(単品でも可)
シリアス、ギャグ、ほのぼの、一発ネタ、なんでもありで自由度の高いSSを
肩の力を入れずにお気楽極楽に職人さんに発表してもらうスレです
age,sageは自由、批評は良いですが煽りをしてはいけません

※混乱を避けるため、作品にはタイトルを入れてください
 良いタイトルが浮かばなかったら「無題」で構いません

※混乱を避けるため、作品には今のレスが作品全体の何話目か判りやすくするため
 なるべく通し番号を入れてください(タイトル 何話目/全何話)

 不定期の連載形式で分割して載せたい時や、出来あがった分だけアップしたい時など
 作品全体の合計が何レスになるか判らない時は、
 (タイトル 何話目/全何話)の形でなくて、通し番号だけ(タイトル 何話目)でも構いません
 通し番号が無い時はそのレスで完結した単品の作品とみなされます

※いま全部書き切れなくて連載の形になる時は
 アップした話全体の一番最後でいいですから、「続く」を入れておくと判りやすいです

※作品はその作者さんの手できちんと完結させてください
 (途中まで書いて「ここまで書いたから続きは誰かよろしく〜」は無しで)

それでは良いお話を…

前スレ:特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ2
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1057921161/
前々スレ:特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1056418536/
2名無しより愛をこめて:04/01/11 04:21 ID:fB/X0LIw
前スレがまた落ちてしまいましたので、以下に
連載されていた名無しさん達の作品を再掲したいと思います

・「月よりの技術者」
・「新型ファイズギア」
・「戦う中間”管理”職」
・「プロX番外編・星に願いを」
・「特撮版剣客商売」
・「冷血」
・「バイオレンス仮面ライダー」
・「バイオレンス仮面ライダー(蠍男1)」
・「プロX番外編・激闘!仮面ライダー!」
・「プロX番外編・ソーメン75」
・「プロX番外編・駄菓子菓子」
・「バジンたんは一生懸命なので」
・「イケメン狂想曲」
・「旅の空から」
・「サカサガエリでシュババババーン」
・「幼稚園すくすく日記」
・「ANOTHR ABARENGER」
・「アバレンジャー外伝」
・「ネバー・クライ・ウルフ」
・「カニ・カニ・ドコカニ・・・」
・「Amazing Grace」
・「待ち続ける者」
3名無しより愛をこめて:04/01/11 04:22 ID:fB/X0LIw

11 :折角なんで使わせて貰います :03/06/26 12:19 ID:/2Q6nal4

月よりの技術者(全8回)
第1回 概要と説明(展開部)
チタンシルバーのノートパソコンに、いつものように新開発ブースターのデー
タをあらかた入力する。窓の外を眺めると今日も月が綺麗だ。・・つってもこ
こは月の上。みんなもよく知っているINET月面基地だ。かつてここで作られた
物は、数機の組合せからなる変形システムの開発、外宇宙活動用の特殊スーツ
(実際は戦闘用)など。俺も技術者として開発プロジェクトの中心となって結構
いろんなもん作ってきた訳だが、今回はちと毛色が違って面白い。各技術者宛
てにメール発信した物を俺が偶然見ちまった訳だが、依頼元はなんと警視庁。
こりゃ面白そうだ。俺はその打ち合わせ当日から一週間前、すでに休暇届も出
した。「あいつは・・全くあのころと変わっておらん!!」てなもんで、久保田
博士のカミナリを喰らう前にさっさと地球へ向かったわけだ。で、話は戻るが
依頼を受けた技術者は、俺以外にも数名の技術者(大抵は名のあるロボット工
学云々の学者さん)も集まっている。技術者数名、頭を突っつきあわせての相
談てなわけだ。それで依頼の内容だが・・続きはまた今度。
4名無しより愛をこめて:04/01/11 04:23 ID:fB/X0LIw

12 :月よりの技術者(全8回) :03/06/26 12:22 ID:/2Q6nal4

第2回 依頼主との面会
やってきました警視庁。どっかで見た婦警さんに中に通されて会議室まで案内
された。婦警さんがどうも他人に思えなかったもんで一応、お礼に手みやげ
(九州名物ばんぺいゆゼリー)を手渡したら喜んでくれた。それはそうと会議室
には、既にネクタイ姿の偉そうな技術屋が数人、姿勢を正して座っていた。で
例の依頼主と言えば、席の真ん中あたりに立ってこっちを睨んでいた。依頼主
(警視庁捜査一課刑事:北條透)は、いかにもお高そうなスーツに身を包んだ、
自分よりはいくらか若い男だった。広い額が蛍光灯に反射してテカっていたも
んで思わず吹き出しそうになったが、何とか堪えて席に着いた。
「新甲南重工、早川裕作さんでしたね。15秒の遅刻ですよ。」
「15秒!?おっしいなぁー!ぴったり2分30秒!だったら、俺的に狙い目だった
のにな!いやぁーおしいことした。」
北條は一瞬面食らったようで、ぽかんとしていた。軽く咳払いをしてその場を
取り繕うと、早速「次世代型特殊装甲服」とやらの提案に移っていった。
(・・次回に続く。)
*さすがに世界科学連邦という立場のINETの名前出したらまずいもんで、架空
の会社名を使わせて貰いました。
5名無しより愛をこめて:04/01/11 04:23 ID:fB/X0LIw

16 :月よりの技術者(全8回) :03/06/27 17:34 ID:LGNWeUYC

第3回 商品に関する議論
 もっともらしい顔で専門用語の羅列。重力緩衝システム、放射能除去、あら
ゆる状況に対応した高性能ソナー、装備もなんつったっけ、毎秒150発打ち込
める高性能ガトリングなどの物騒なもんで。正直意見だけっつうのも流して聞
くと結構面白い。却っていろいろと想像力が膨らんでくるからな。
 そんな自分に気づいてか、北條がいらついたように言葉を投げた。
「先ほどから何の発言もなさっていないようですね。このプロジェクトに参加
した技術者としての、あなたの意見もお聞かせ願いたいのですが。」
「まぁまぁ、そう焦りなさんなって。一通り意見を聞いて判断する事も大事だ
ろ?」
「市民の安全を最優先に考え、守りの要になる為にも、私は一刻も早くプロジ
ェクトの完成を急がなければならないのです!もう少し自主的に・・」
「・・・んな目くじら立てんなよ。」
 目をつり上げて睨み付ける北條。カルシウム不足か?あんまりイライラする
と毛が抜けちまうぞ。やれやれってなもんで席を立つ自分に対し、北條が微か
に焦りを見せた。
「どこへ行かれるのです?」
「・・・トイレ。」
 お偉方の怒号だのざわめきだのを聞きながら、自分は会議室を後にした。
 トイレに寄った後、一息つこうと自販機でジュースを買い、簡易ソファーで
のんびりしていると、件の婦警さん(笹山望見)と鉢合わせになった。
(・・次回に続く。)
6名無しより愛をこめて:04/01/11 04:24 ID:fB/X0LIw

17 :月よりの技術者(全8回) :03/06/27 17:36 ID:LGNWeUYC

第4回 事件の発端
「・・お疲れのようですね、早川さん。」
「そう見えるか?体力共に精神力にも結構自信あるんだが・・」
 望見ちゃんの嬉しそうに笑ったところは本当に知り合いによく似ていた。
 打ち解けるのも早かったもんで、ジュースを片手に二人で簡易ソファーに腰
掛けながら雑談に耽った。
「北條刑事に何か言われたんでしょう?あまり気にしなくていいですよ。あの
人、小姑みたいに細かいし、いつも澄ましてエリート気取りなんだから。」
「いや、北條刑事がどうこうは気にしちゃいない。ただ、分からないわけでも
ないんだよな。市民の安全を最優先に・・か。だが・・」
 その時だ。誰かが置き去りした空き缶が突然、その場でぐるぐる回りだした。
 そのままぐるぐると回り出す空き缶は、奇妙な形に曲がりだし、カラカラと
音を立ててその場に制止した。
「何なの・・これ。」
 缶を拾い上げてみるが、間違いない。こいつは人為的に曲げられた物ではな
かった。そして立て続けに周囲の椅子やら自販機やらが奇妙な形で捻れ始めた。
「ネジレ反応・・」
(・・次回に続く。)
7名無しより愛をこめて:04/01/11 04:24 ID:fB/X0LIw

21 :月よりの技術者(全8回) :03/06/29 12:54 ID:DIpDJ0q0

第5回 それぞれの対処
 俺は望見ちゃんを連れてその場を離れたが、通路の外は案の定とでもいうべ
きか、異常現象の影響で通路は警察官やら職員でごった返していた。
 ちょうど階段を下りようとしたとき、<G5システム格納ガレージ>とかいうプ
レートが目に付いた。使える、と判断した俺はガレージのある地下へ向かった。
 地下駐車場にある格納ガレージには、既に俺と同じ判断をした先客がいた。
「異変が起こったと同時にG5システムの起動を確認しに来た訳か。
異常現象の裏にある何者かの存在を想定してな。・・違うかい北條さん。」
「ええ。ですが周囲の磁場がシステム内にまで及んでいるようで、起動できま
せんでした。システムを手動で操作したのですが・・」
 北條の話によると、運の悪い話でG5システムの面々は出動要請があったにも
かかわらず、行方しれずだそうだ。
 おまけに唯一の装備、G5システムまで使えないってか。
 こういう緊張感ってのはいつ味わってもいいねぇ〜。状況が危機に面するほ
ど、アドレナリンの分泌が高まり、全神経の感覚が冴えてくる。
「システム云々なら・・技術者である俺の専門だ。」
「あなたが?」
「信用できる出来ないの問題か?守るための装備、そいつを使うための技術を
今、必要としているなら・・こだわっている暇はないだろ?」
 俺の言葉に、微かに困惑の表情を見せた北條だが、急を要する事態であるこ
とをちゃんと理解しその上で決断を下した。
「わかりました。早川さん、専門家として御協力を願います。」
「そうこなくちゃな!」
(・・次回に続く。)
8名無しより愛をこめて:04/01/11 04:30 ID:fB/X0LIw

23 :月よりの技術者(全8回) :03/06/30 11:42 ID:sXXYOCxE

第6回 悪夢復活、そして探索
 望見ちゃんを格納ガレージに残し(その方が安全だと判断した上だ)心当たり
のある別の場所に移動した。地下から再び階段を駆け上がり<1F>のプレートを
横切る。警視庁内の部屋の位置は北條が把握しているので、向かおうとしてい
る場所を探す手間が省けた。
 すぐ辿り着けるはずだったが・・
「あいつら!?・・とっくに倒したはずだ。」
 死者累々いや、ただ気絶しているだけだろうが、さきほど通路を埋め尽くし
ていた職員らが全てその場に倒れ伏していた。その中に立ちすくむ一つの存在。
 かつてネジレジアの司令官であったユガンデとギレール。その二対の身体が
融合された化け物が、空間をねじ曲げながら一歩ずつ近づいてきた。
<コロス・・キサマラ・・スベテ・・>
 敵対していた奴らが、一つの意志によって完全に融合されている。
 そう言えば一週間前、ポップが地球に降り注ぐ多量の磁場を観測したと報告
してたな。まさかその影響で、一部次元のよどみが突出したのか?
 不気味な形相で衝撃波を繰り出す相手に、俺達は為す術もなかった。何とか
受け身で交わすのが精一杯だ。
 こりゃまいった。ケイタイザーはオーバーホール中でメガシルバーにもイン
ストールできない。となると・・
「あいつらにかまっている時間はない!早くお宝・・お蔵入りした特殊装甲服
を探すぞ!」
(・・次回に続く。)
9名無しより愛をこめて:04/01/11 04:32 ID:fB/X0LIw

24 :月よりの技術者(全8回) :03/06/30 11:46 ID:sXXYOCxE

第7回 発掘・臨戦
<製造年月日19900204 コードネーム:ファイヤー>。
 俺の狙いは当たっていた。既に誰もいなくなっていた証拠品の管理室。様々
な物品に混じって、お宝は新品同様で残っていた。用意されていたノートで立
ち上げを行うが、装甲服のシステム自体がカナリの曲者で、極端な装着リミッ
トまで設定されている。それだけ強烈なアバレ馬ちゃんってわけだ。
 最後の締めに、北條をシステムの前に引き寄せ、声紋を登録させる。無機質
な完了の声と同時に<WSP-F.I.R.E.>の起動画面が現れた。
「北條刑事、G3を装着するために身体鍛えてたんだろ?だったらこいつも扱える
はずだぜ。」
「しかし、このシステムはG3と全く異なります。いくら装着できたとしても、使
いこなせるかどうか・・」
「心配すんなって!各種機能のバックアップを俺がする。だから、思う存分暴れ
てこい!」
勢いよく背中をどやしつけると、意外に初めてとは思えないくらいに、北條は
手際よく装甲服の装着を行った。胸部グリーンのランプと頭頂部のアンテナ、
サイギントシーカーの動作確認で、装着が完了する。
「装甲服製造コード:ファイヤーテクター、オペレーション開始!」
こうして起動したファイヤーテクター。フルスペックの状態まで初期化したも
んだから、かなりの成果を上げた。(活躍を紹介できないのは残念だが。)
 ファイヤーテクターに集約された技術力。
 それはおそらく「普通じゃこんなんありえねぇ!」ってな装備だった。
 正直、さっきやっていた特殊装甲服の提案なんざ、全くアホらしく思えたの
も事実だった。
(・・次回に続く。)
10名無しより愛をこめて:04/01/11 04:33 ID:fB/X0LIw

28 :月よりの技術者(全8回) :03/07/03 12:49 ID:uAbpcUsK

最終話 後日談
 あの事件から数日後、結局装甲服の話はお流れになっちまった。
 俺は簡易星間通信室<電話ボックスだな>で、最近知り合った技術者仲間と久
々に話をしていた。彼女はかつて警視庁に在籍しており、今はどっかの大学の
教授だとか言っていた。
 ネジレジアを排除したあの装備。元々はアングラ系のネットで拾い出した、
警察上層部のごく一部であった噂にあったものだ。
 あるお偉いさんが、独自のルートで入手した特殊装甲服のデータで、非常識
かつ凶悪すぎるために封印されたんだとか。
 てっきり冗談だと思ったんだよな。俺が趣味で集めていたヒーロー物のデー
タ・・何とかポリスっつったっけ・・そいつが実在していたんだから。
「封印したはずの装甲服まで持ち出しちまって、北條には気の毒なことをした
な。」
「大したことじゃないわよ。彼は結構懲りない男だから、あれくらいでへこむ
なんて考えられない。それにしても、そんなデータが存在するなら、一度日本
に戻るべきだったわね。」
「そいつなら心配はいらない。どさくさでデータはしっかりとコピーしておい
た。」
「あいかわらずって言うべきかしら。あなたにも呆れたわね・・。」
「・・お、戻ってきたか久保田博士?・・じゃあな、澄子ちゃん。」
「ええ。」
 さぁて、久保田博士のお小言を聞かされる前に、とっとと部屋に戻って、残
った研究を仕上げないとな。
 生涯一技術者・早川裕作、ここにあり!・・なんちって。
(おしまい。)
11名無しより愛をこめて:04/01/11 04:34 ID:fB/X0LIw

18 :新型ファイズギア(全4回) :03/06/27 22:55 ID:+LGy7W+2

第1回 謎の小包と刺客
 数日前、ファイズのベルトを謎の男(琢磨)に盗られてしまった巧、
しかし、草加にベルトを取り返してもらい、さらに新型ファイズギア
の力で変身できるフォームを巧は気に入っていた。
そんな中、巧宛ての小包が届いた。
「なんだこりゃ?」
「早く開けてみようよタックン。」
啓太郎の言葉にうんざりしたような声で巧は答えた。
「うっせ〜なぁ〜分かってるよ。」
巧が箱を開けてみると、そこには先日、草加から受け取った新型のファイズギア
と同型のデジタルウォッチだった。
「何これ、変な時計。」
そのデジタルウォッチを見ながら真理は言った。
しかし、その時事件は起こった!
近くの商店街で大爆発が起きたらしいのだ。
早速巧たちは現場へ急行した、そこには、死んだはずのクロコダイルオルフェノク
がいたのだ
それだけではない、センチピィードオルフェノクとロブスターオルフェノク
もそこに現れたのだった。
「変身!!」
ファイズに変身して3人に立ち向かう巧、そして、後ろからファイズに続いて思わぬ人物が
現れたのだった!
12名無しより愛をこめて:04/01/11 04:35 ID:fB/X0LIw

20 :新型ファイズギア(全4回) :03/06/29 10:12 ID:unmTUKbR

第2回 馬の背に翼
 ファイズに続いて現れたのは、木馬勇治=ホースオルフェノクだった。
「味方が一人増えただけで勝てると思ってるの?馬鹿ねぇ。」
ロブスターオルフェノクが言った、次の瞬間、ホースオルフェノクに異変が起こった。
「ううっ!」
ホースオルフェノクが急に苦しみ出した。
「お、おい!大丈夫か・・・・・!!」
ファイズが見たものは、ホースオルフェノクの背中から翼のような物が生えてきたのだった。
「あ、あれは一体・・・・」
驚いたセンチピィードオルフェノクが言った。
「まさか・・・・」
ロブスターオルフェノクが言った、彼女は何か知っているのか?
(続く)
13名無しより愛をこめて:04/01/11 04:36 ID:fB/X0LIw

181 :新型ファイズギア(全4回) :03/09/14 09:13 ID:H1Fc6qWH

第三回 科学者
ロブスター「ここは一旦引くわよ。」
去っていく三人。
ファイズ「待て!」
三人を追いかけようとするファイズ、その時。
??「ま、待ってくれ・・・・・」
ファイズ「?」
そこには、一人の年老いた男性がいた。
ファイズ「あんたは?」
科学者「あんたに小包を送った男じゃ。」
ファイズ「!?」
科学者「さて、そこの馬も連れて行こうかね。」
果たして、小包の正体は!?
続く



182 :新型ファイズギア(全4回) :03/09/14 09:20 ID:H1Fc6qWH

最終回 日記
結局、あの小包は草加から貰ったギアを改造する為のものだったんだと。
それから、あのワニの奴はあの馬と俺で倒したけど、馬の奴は頭打って
また敵になっちまった。
それから、あのじいさんは、小包の中身と一緒に消えちまった、関係ねえがな。
でも、俺はこれからも戦い続ける、夢の守り人、仮面ライダーファイズとして。


14名無しより愛をこめて:04/01/11 04:38 ID:fB/X0LIw

25 :戦う中間”管理”職(全三回) :03/06/30 12:40 ID:sXXYOCxE

−−−プロジェクトXスレより−−−
「第一話:九州異変」
(説明:乾巧)スマートブレイン社内教育係担当の戸田英一は、浅倉とかいう奴
の巨大化騒ぎをきっかけに、清明院大学401号室−香川英行・まかない夫の苦
労人仲村創・永遠の園児東條悟−の奴らと関わりを持つことになったらしいぜ。
何でか知らないが、スマートブレインが手を付けているろくでもない仕事に責
任者として顔を出しては、いろいろと世話を焼く・・中間管理職、ってのか?
・・そいつが板に付いていたそうだ。その後はトイストアの店長としてしばら
く居座っていたが、スマートブレインの辞令で九州へ転勤、交流のあった401
の奴らから一旦離れる羽目になった。
分からないときはスレを参照するといいぜ。
戸田「昇進が決定した。俺が・・九州エコセンターの新しい責任者だそうだ。」
(本編)
熊本県荒尾市にある大型レジャー施設・三井グリーンランド。
その敷地内にあるエコセンターに、責任者として赴任してから早一ヶ月が過ぎ
た。もと中間管理職ゆえか、自らが出向いての工場内生産ラインの把握、そし
て社員とのコミュニケーションなど細かい気配りが、社員に好感を持たれたよ
うである。当然なじむのも早かった。
そんなある日。
「所長、大変です!怪獣が・・怪獣が出現しました!」
「何だって!?」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
恐竜コースターが命を持った!
緊迫感の走るエコセンター内で猛威を振るう怪獣!
このままでは三井グリーンランドが危ない!その時・・!
次回、戦う中間管理職 「キセキノヒカリ」・・お楽しみに。
15名無しより愛をこめて:04/01/11 04:38 ID:fB/X0LIw

27 :戦う中間”管理”職(全三回) :03/07/01 12:37 ID:UeOY0Wbp

「第二話:キセキノヒカリ」
 突然起こった怪獣騒ぎ。エコセンターの社員はおろか、三井グリーンランド
内の係員や来客全てが逃げまどっていた。避難誘導を行う責任者・戸田。
 その時、大きな外壁が逃げ遅れた社員の上に崩れ落ちようとする。
「あぶない!」
 こだわっている暇はない。戸田は社員を助けるべく、自らの力<オルフェノ
クの能力>を解放した。棍棒を振り回し崩れかかった外壁を粉砕する。
 幸い「走れー!」と戸田の一喝に押され、社員は戸田の姿に気づくことはなか
った。全ての社員が避難したのを確認し、戸田は施設から脱出した。
 脱出間際、不意に仰ぎ見る怪獣の姿。それはまごうことなき恐竜コースター
である。
「エコセンター内のシステムが再び暴走し、マニュピレーターが恐竜コースタ
ーを怪獣に作り替えた・・そんなところか。」
 社長自らの現場見学も控えているあたり、これは手違いじゃ済まないし、や
れやれどうしたもんか・・と戸田(イカ)が考えていた瞬間である。
 怪獣の巨大な足が戸田を踏みつぶした。
 何とか抵抗を試みるものの、質量からしてあまりにも差がありすぎる。
 軟体型のオルフェノクであるため、急激な圧力による即死は免れるものの、
このままではどうしようもなかった。
<チカラガホシイ・・スベテヲマモル・・チカラヲ・・>
戸田が強く願ったその時、ウルトラマンランドから眩いほどの光のオーラが噴
出した。それは吸い込まれるように三井の方へ向かっていく。そして。
「何だ・・?」
 降り注ぐ黄金の光。光に包まれ、戸田の体が徐々に膨らんでいく。
 同時に、怪獣の足を勢い良く払いのける。
 しっかりと大地に立つその姿は、あの英雄<ギャラクシアンイグレック>その
ものだった。
16名無しより愛をこめて:04/01/11 04:41 ID:fB/X0LIw

32 名前:名無しより愛をこめて [sage] 投稿日:03/07/14 09:07 ID:SaaCBO2L

恐竜コースターと対峙するイグレックこと戸田英一。時は既に夕方、うっすら
と茜色の陽光に黄金のイグレックが何とも映えた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
戦う中間管理職「最終話・勝利そして」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
しばらく対峙するも、先に動き出したのは恐竜コースターだった。突進する恐
竜コースターを押さえ込むイグレック。
これ以上遊園地に被害を及ぼすわけにはいかない。人一倍子供の夢を重んじる
戸田の判断だった。恐竜コースターの力に対抗するにはイグレックの細い身体
ではやはり力不足である。重量級の恐竜コースターに吹っ飛ばされ、さらにの
し掛かられた。
倒れ伏すイグレック。朦朧とした意識の中、戸田は三つの幻影を見ていた。
<戸田さん、あんたらしくないぜ。そんなところで、くたばってんなよ。>
<ふっ・・所詮あなたは上の上である僕を越えることは、一生かかっても出来
ませんよ>
<がんばれ、うえまつさ〜ん!>
親しい(一部腹立つ)誰かの声。そして子供達の声援が、戸田に新たな力を注ぎ
込んでいく。
遊園地を包む<光>。
そしてイグレックの勝利を信じる誰もが<光>となってイグレックに流れ込んだ。
新たなる力。イグレックの中に闘志が沸き上がる。
のし掛かる恐竜コースターを押し返し、イグレックは恐竜コースターを空高く
放り投げた。
そして・・・。
17名無しより愛をこめて:04/01/11 04:45 ID:fB/X0LIw

33 名前:戦う中間”管理”職・エピローグ [sage] 投稿日:03/07/14 09:09 ID:SaaCBO2L
数日後。
トイストアはいつになく大盛況だった。
木場「乾君、君の提案が当たったようだね。」
巧「ああ。今の店長からかなり反発くらったけどよ。ニュースを見て思ったん
 だ。イグレックとか言うの、売れるんじゃないかってよ。それに・・」
木場「それに?」
巧「あの人・・戸田さんなら、こんなオイシイ機会を逃すはず、ねぇだろ?」
木場「そうだね。」
雑談はそこで途切れ、ふたりは来客の応対に大わらわであった。
そして、401号室。
東條「もいっかい、いぐれっく、みるぅ〜。」
仲村「またか・・。ハム太郎はもういいのか?」
東條「ちがうもーん。きょうは、いぐれっくなのー。」
両手をぶんぶん振り回しながら仲村にねだる園児。半分呆れ気味の仲村は、ギ
ャラクシアンイグレックのビデオを回し、そのまま家事にいそしんだ。
いくぞ!必殺・ツインギャラクシー!の勇ましい声に、園児が目をきらきら輝
かせながら「いぐれっく〜!!」と声援を送っている姿を振り返り、仲村は嬉し
そうに呟いた。
(戸田さん、元気そうでなによりだ。)
園児の傍ら、自らの机で九州のサイトを眺める香川。
スマブレ社での事件の全容を眺めつつ外を見る。
今日もまた暑い日になりそうだ、と香川の思う、七月の昼下がりだった。
(ED:男は一人己の道を往く 作詞作曲:海堂直也 歌:戸田英一)
※スマブレトイストアにてリリース中。紅白出場なるか?
<おしまい。>
18名無しより愛をこめて:04/01/11 04:51 ID:fB/X0LIw

ところで、このスレではちょくちょく元ネタとして引き合いに出される
「プロジェクトX」スレですが。

超記憶能力を持ち、正義感の強い天才科学者だけど微妙にズレてる香川英行教授、
知能とアレな性格を封印された代わりに善良になった「心の園児」な大学院生・東條悟、
文句を言いながら彼らの世話を焼く、同じく大学院生・仲村創、
江戸っ子な性格の虎型モンスター・デストワイルダーと
穏やかな性格で静かに家事をするコオロギ型モンスター・サイコローグ。

清明院大学401号室を中心に、この5人と龍騎世界や他の特撮世界の住人達とが
ドタバタに巻き込まれるコントスレです。


プロXに出てくるキャラ達は龍騎の嫌スレがベースになってるので、
原作とは多少性格が違っています。

判りやすい初代スレ
ttp://tv3.2ch.net/sfx/kako/1033/10333/1033369563.html
嫌スレリンク集
ttp://kobe.cool.ne.jp/zolda/iya.htm
19名無しより愛をこめて:04/01/11 04:52 ID:fB/X0LIw

38 :プロX番外編・星に願いを 1 :03/07/15 10:55 ID:4TTMkVBP

照り返しが余計に空気を熱くする線路脇、
OREJの桃井令子は腰に手を当て白牛乳を一気呑みしていた。

そこは令子のお気に入りの場所で、
錆びたレールと網や、割れた石の広がる荒廃した光景が気持ちを冷ややかにし、
怒りで昂ぶる心を静めてくれた。

警察の頑固な取材拒否にひとしきり悪態付いてから、
「よっしゃ!」と自分に気合いを入れて令子は取材活動の続きに向かった。


同じ頃、少し寒いくらいの警視庁の中で、ケーブルTV・KCBの吉井玲子は
笑顔でインタビュー相手にマイクを向けていた。

奇怪な話の内容に寒さだけでなく鳥肌が立っていたが、
笑顔は絶やさずに相手に頷き続けた。
20名無しより愛をこめて:04/01/11 04:53 ID:fB/X0LIw

39 :プロX番外編・星に願いを 2 :03/07/15 10:56 ID:4TTMkVBP

そしてぬるい冷房の効いたOREJでは、社員一堂で「貰いも〜ん」のスイカを齧っていた。
TVで流れるKCB独占インタビューを眺めながら、歯軋りして種ごとスイカを飲み下す大久保。

大久保「あ〜あ畜生。令子もさ、も少し可愛げを出しゃ向こうさんもああ反発しないのに。
  一度令子に、もうちょっと柔らかくあたれねぇか聞いてみたんだがよ、
  『女性の色香を盾に、異性に媚びるのは私の流儀に反します』ときた。
  生真面目なのもいいけどな、使い所を間違えるとただのガチガチ石頭だ。
  あいつは優秀なだけに、そういう依怙地な所がものすげぇ残念だわな」

島田「警察叩きもね〜、ストレートにやっちゃうと反感買うよねぇ?
  それにせっかく持って生まれたものを活用しないでどうする!…ってか?」
城戸「そんなこと令子さんに言ったら『色仕掛けで話せって言うんですかっ!』って
  怒り出しますよ。令子さん、腐敗した権力に媚びるのは嫌だって言い続けてるし…」

めぐみ「色仕掛け上等!…でしょ?でしょ?令子さんだって良い素質持ってるのにぃ。
  私だったらセクシィダイナマイツなバデェで悩殺。それでも駄目だったら鶴拳」
大久保「それ人としてどうよ?」
島田「私だったらセクシィプリチーなバデェで悩殺。それでも駄目だったらトロイ」
大久保「っつーかそれ犯罪」
21名無しより愛をこめて:04/01/11 04:54 ID:fB/X0LIw

40 :プロX番外編・星に願いを 3 :03/07/15 10:56 ID:4TTMkVBP

数日後、取材先の研究所の会議室の隅で、令子と玲子はお久しぶり〜と再会をハシャイだ。
上司が肝心な所で頼りないと苦労するよね〜。
そうそう。それに一緒に働く後輩がアホの子だとなにかと困るし〜。
だよねえ〜。

令子「あーもー。私の事を判ってくれて大事にしてくれる、どこかに良い男居ないかな〜」
玲子「えぇー?あんなに素敵な人達に囲まれてて?なんでそんな贅沢言うかなー(笑」
令子「素敵な人って?どこ?どこに?(真顔」
玲子「えーと、桃井さんの所の編集長と新人ちゃんと、あといつも良く会う弁護士さんと…」
令子「弁護士さん?北岡さんが良い男?やだぁ。あの人は自分の事しか考えてない
  キザで嫌味で自信過剰でお金に汚いガノタ(←ここ特に蔑む様に)ですよ?」
玲子「…。ねえ?桃井さんって、色々と偏見強くない?」

令子「それより、私は吉井さんが羨ましいな。素敵なカレシが居るし」
玲子「あー…。藤宮君は一緒にご飯食べたりするぐらいの付合いで、
  そんなんじゃないですよぉ、全然(顔ちょっと真っ赤」
そんなんじゃないよなぁと溜息付く玲子。
淡々と、美術館に行くぐらいの付き合いだし、互いに仕事が忙しくてほとんど会えないし…。
今日は7月7日。織姫の気持ちがなんとなく判るな〜とちょっぴりブルーの入る玲子だった。
22名無しより愛をこめて:04/01/11 04:56 ID:fB/X0LIw

41 :プロX番外編・星に願いを 4 :03/07/15 10:57 ID:4TTMkVBP

令子「ほら?噂をすれば…」
玲子「あ」
藤宮「なんだ。取材に来ていたのか。良ければここを案内しよう」
令子「ちょっと用事を思い出したわ。吉井さん、また後でね。じゃあごゆっくり(くす」
玲子「桃井さん〜。待ってよ。やだぁ。そんな風に気を使われたら困りますよぉ(汗」

二人きりになるとなぜか話が途切れて、適当な話題を振ってみる玲子だった。
玲子「えと。前から聞きたかったんだけど。もう…青いウルトラマンには変身しないの?」
藤宮「まあな。あれは封印同然だ。アグルの力は無くなったと回りに言ってる。
  あれは地球の危機の際、地球から一時的に授かった物だから…と。
  …。ふ。馬鹿者共が変身してみせろと煩いからな。
  俺は見世物じゃない。静かに暮らしたいだけだ」
玲子「そうなんだ…」

星空の下、また変身した藤宮君の掌に乗って一緒に空を飛びたいな〜
…とは言いにくくなる玲子だった。
23名無しより愛をこめて:04/01/11 04:57 ID:fB/X0LIw

42 :プロX番外編・星に願いを 5 :03/07/15 10:58 ID:4TTMkVBP

令子は研究者の中に良く知ってる連中を見付けてインタビューを始めた。

香川「今、頻繁に起きている死人が甦る怪事件の調査の為に、
  各界のスペシャリストが招かれここに集っています。
  宇宙からの怪光線の仕業ではないかという説もあるのですが…」
令子「怪光線…ですか?」
東條「かにこうせんじゃないよー。かにこうせんは、すどうさん せんもんびーむかも」
仲村「そんな技、あいつが持っててたまるか。ほらほら園児。邪魔だからあっち行ってろ」


一方その頃、研究所の見学者コースの人ごみの中に、手塚海之と斉藤雄一が混じっていた。
手塚「災厄の予感がする。不吉な空気が辺りに漂っているようだ。止められれば良いが…」
斉藤「そう言えば、今日の七夕って手塚の命日だしね。確かに不吉だ〜。不吉だ〜」
手塚「だーかーらー!あれは別な世界の出来事だ!
  …それを言いだすとお前が無事なのも変じゃないか!」
お前にも適当な命日を作って勝手に呪うぞ!と、バット片手に斉藤を追い掛ける手塚だった。


そして隣の研究室内では、永遠の喧嘩腰がいつもに増してキレていた。
仲村「いい加減にしろ。ここで遊ぶな!菓子食うな!
  お前は先生を手伝いに(足引っ張るだけだけど)来たんじゃなかったのか?」
東條「えー?ちゃんとてつだってるのに。なかむらくんには、みえないの?」
仲村「見えない!寝ッ転がって、甘い物を食うかワケの判らん物を描いてるだけじゃないか!
  せめて、食った物の空き箱や落書したメモぐらいはゴミ箱に入れろ!」

怒鳴りながらゴミを集めていた仲村は、怒りでよそ見していた為に
東條の食い散らかした菓子の食べ残しを踏んで、思いっきり豪快に蹴躓いた。「うぎゃー!」
宙を舞った身体は実験装置のガラスケースをひっくり返し実験装置を床に倒した。
歪んでひしゃげた保護シールドの隙間から怪しい光線が漏れ、散った紙束を直撃した。
24名無しより愛をこめて:04/01/11 04:59 ID:fB/X0LIw

43 :プロX番外編・星に願いを 6 :03/07/15 11:04 ID:4TTMkVBP

紙束は、あぶった烏賊の様に踊りだし、紙の表面がぶくぶくと爛れだした。

騒ぎを聞いて駆け付ける香川教授達。
令子「なんですか?あれは?」
香川「あれはある種の見本です。数十年前に報告のあった宇宙からの怪光線を
  擬似的に再現した物だそうですよ。害は無いと聞いていますが…」

職員「依代として画像に取り付き、その残留思念を増幅させ実体化させる…という効果が
  あるそうですが、今のところ表面的な再現しか出来ていないので真相は判りません。
  はっきりした意思のあるもの、例えば文字や写真が相手なら、
  しばらくすると意味に捕われ動きが固まって活動が停止しますし、
  残留の意思が単純なもの、例えば童画には激しく反応したという前例もありますが、
  今時の子供の心は複雑な為か、児童に描かせた絵の反応も同じでした」

仲村「そうか、なら良かった。それに子供の絵なんてここには無…。ハッ!」

その紙束はただの実験資料ではなかった。
東條がそこらの書類に勝手に書き散らしたクレヨン画だったのだ。

光線の当ったは書類は、みるみる嫌な膨らみ方を始め、
いきなり書類からニョキっと手足が伸びだすと巨大な姿が現れだした。
25名無しより愛をこめて:04/01/11 05:01 ID:fB/X0LIw

44 :プロX番外編・星に願いを 7 :03/07/15 11:06 ID:4TTMkVBP

壁を揺さぶり壊し外へ出て行こうとする巨体を前に、右往左往する研究所の職員や研究者達。
飛び込んできた藤宮や手塚達も怪物の姿にあっけに取られた。「遅かったか…」

仲村「子供(?)の落書が怪光線で生物に…って。ガヴァドンかよ!」
ttp://www.asahi-net.or.jp/~AN4S-OKD/private/tv/tv01015.htm

手塚「まったく、子供の絵が怪物になるなんて、非常識にもほどがあるな」

デス「う…うがうが(…。まあ〜それ言い出したら、俺らも似た様な物だしな)」
ローグ「…(ですね。私達も子供のクレヨン画に命が宿って生まれたものですから)」


香川「みんな!落ち付くんだ!
  確かああいうものは、実体の元になった絵を消せば本体も消えるはずです!」
藤宮「おい?絵はどこだ!元の絵が無いじゃないか!」
手塚「絵の…行方は…。(コインをパシッ)どうやら吸収されているな、怪物の中に」
仲村「それじゃ戦う以外に手は無いんだな?(嫌な予感がする…)」
26名無しより愛をこめて:04/01/11 05:02 ID:fB/X0LIw

45 :プロX番外編・星に願いを 8 :03/07/15 11:07 ID:4TTMkVBP

街をひょろひょろ歩く、どこか不定形な巨大な青と白の身体。
シュールにねじれて輪郭が繋がってる所は実体化しているものの、
線が途切れた部分や塗り残しの部分は向こうに身が透けて穴が開いていた。

香川「あの形は見た事がありますね。東條君が時々描くデストワイルダーにそっくりですよ」
東條「ほんとだ。ですちゃんだ。すごいな〜」
デス「うがう?(あれって俺か?俺の姿が怪獣に?なんってこった!怪獣キモッ!)」
ローグ「…(いや、私達もある意味、怪獣みたいなものですが(汗)」

怪獣は近くのビルを幾つか爪で引っ掻くと、身体を丸めだしそのままあくびをしだした。
仲村「そういえば元の怪獣も、子供の描いた適当な落書だったから寝てばかりだったな。
  東條、今だ!今のうちにお前の知合いを呼べ!すぐに呼べ!」
東條「うん。かぐらくんか、たかやまくんにでんわ・・あ、そうだ!
  さっき、ふじみやくんが いたんじゃないかな?・・あれ?あれれ?」

息を切らして駆けつける黒いバトルスーツの男。
アスカ「ギガノイドはここですか?」
27名無しより愛をこめて:04/01/11 05:05 ID:fB/X0LIw

46 :プロX番外編・星に願いを 9 :03/07/15 11:08 ID:4TTMkVBP

手塚「多分、違うと思うが、まあいい。退治を頼む」

壮大な音楽をBGMにアバレンジャーチームの合体メカ、アバレンオーが出動した。
勢いを込めたトリケラパンチが、怪獣の腹にもふっ!とめり込んだ。
凌駕「え?」らんる「うそ!」幸人「効いてないのか…」

怪獣はめりこんだ腹をぽよんと戻すと、何事も無かった様に殴り返してきた。
ドリルを使っても、ノコやハサミを使っても、隙間から攻撃が外れるか、
粘土のように柔らかい身体はすぐに元の様にくっついてしまうかで、
相手にはダメージを受けている様子は無かった。

力尽き、抽象画の巨大ですちゃんに引きずって行かれるアバレンオー
藤宮「なんだあれは?」←ガリガリを知らない
手塚「ガリガ…クリスタルブレイクと言う究極の攻撃に見えるが、
  パワーが足りないから只の引っ張りだな、あれでは。
  弱く引きずられる分、かえって悲惨な感じがするぞ」
東條「そっか。よわいんだ。じゃあ、がんばって
  ですちゃんがもっとつよくなるように えをかきなおしてみるね?」

余計な真似するなと東條を揺さぶった仲村が
本家デストワイルダーにガリガリされて行くのを見送りながら香川は溜息を付いた。
28名無しより愛をこめて:04/01/11 05:28 ID:fB/X0LIw

47 :プロX番外編・星に願いを 10 :03/07/15 11:09 ID:4TTMkVBP

アバレンオーの合体が解け、中心のティラノが転がり倒れた。
ティラノ「身体中が痛いテラ…ヒリヒリするテラ…」

合体無しで爆竜達が個別に攻撃を始めても、隙間だらけの身体にダメージは届かなかった。
逆に攻撃しても攻撃してもダメージの無い相手に、爆竜達は体力を消耗していった…。

らんる「撤退よ!お願い、今は撤退して!」
プテラノ「でも、ここで頑張らないとギガノイドがまた暴れるプラ」
トリケラ「そうだよ。ここで頑張らないと街の人達が悲しむケラ」


その様子を見てるうち、街の中心へ走りだすと、ゾルダのデッキを鏡の前で構える(31)。
(31)「変身!こうなりゃ俺の出番だね?令子さんに格好良い所を見せて点を稼がなきゃ?」
(25)「先生…その姿、素敵です。頑張ってください!」

召還したマグナギガを前に、ファイナルベント『EOW』を怪獣に仕掛けるゾルダ。
ゾルダが銃の引き金を引いた瞬間、
視界の端で、怪獣の側に立つ令子の姿を視線が捉えた。

あっと思う間も無く
有無を言わさず降り注ぐビームとミサイル弾の嵐が放たれ、怪獣の巨体に炸裂した…。
29名無しより愛をこめて:04/01/11 05:29 ID:fB/X0LIw

48 :プロX番外編・星に願いを 11 :03/07/15 11:10 ID:4TTMkVBP

怪獣の身体は熱で一部が溶けてくっつき、隙間から出ていったミサイルはビルの壁を崩した。
崩れたビルの近くで、デジカメを持ったまま顔を煤だらけにして呆然となる令子。

髪もチリチリになって、服に付いた埃をパタパタ叩きながら、令子はゾルダを怒鳴り付けた。

令子「北岡さん!被害を増やしてどうするんですか!もう、常識が無いんだから!」
(31)「令子すわぁ〜ん(泣)なんでそこに居るんですか?
  その区域は避難命令が出て無人のはずなのに?」

令子「報道に関わる者なら、身の危険を顧みずに取材をするのは当たり前じゃないですか!
  前後確認も取らず、よく確かめもしないで
  人が居るかもしれない場所で兵器を使うなんて神経を疑いますよ!
  余計な真似はしないで下さい!
  これ以上の攻撃もやめて下さい!」←自分の無茶を棚に置いて言い掛り
(31)「そんな御無体な〜(泣)」
30名無しより愛をこめて:04/01/11 05:31 ID:fB/X0LIw

49 :プロX番外編・星に願いを 12 :03/07/15 11:12 ID:4TTMkVBP

香川「こうなれば、浅倉の騒動のときに使った機龍改を出しましょう。
  柔らかい物が相手ならアブソリュート・ゼロ改の持つ生命体を凍らせる機能で固めて
  倒せるはずです」
仲村「機龍改ですか?あれを出動させると校舎が変形してしまうので、
  また他の教室に謝りに行かなきゃいけなくなりますが?(汗」
東條「だいじょうぶだよ。まえも なかむらくんが、ちゃんとあやまったから。
  こんども なかむらくんがあやまったら、みんなおこらないかも」
仲村「みんなが怒る怒らないじゃない!(…多分、怒ると思うけど)
  後始末を俺にやらせるから嫌だって言ってるんだ!判らないのかこのアホタレ!」

仲村がガリガリされて行くのを見送りながら、やれやれと肩をすくめる藤宮。
藤宮「つくづく学習能力の無い男だな。仕方無い、俺が行く」
玲子「藤宮君…いいの?静かな生活が終わっちゃうよ?」
藤宮「大した事じゃ無い。ここであれを止めないと、街やお前が傷付けられるからな」

アグレイターを空にかざし、アグルに変身しようとする藤宮の側を疾走する白い影。
白い影は怪獣の膝の後ろへ頭突きで体当たりし、巨体を転倒させるとその身体に爪を掛けた。

デス「うーがーうーー!(これでもくらいやがれ!ニセモノがオリジナルに勝てるかよ!)」
東條「ですちゃんっ!」
31名無しより愛をこめて:04/01/11 05:32 ID:fB/X0LIw

50 :プロX番外編・星に願いを 13 :03/07/15 11:13 ID:4TTMkVBP

がうがう吼えながら、怪獣を爪で引きずろうと努力するデストワイルダーだった。

手塚「どうやらクリスタルブレイクを仕掛けようとしているようだが…無茶も甚だしいな」
東條「ちいさいですちゃーん!がんばれー!」
仲村「このバカチン!無責任に応援するな!止めろよ!」
凌駕「さぁ、街の皆さーん。今こそ立ち上がってあの虎さんを応援しましょう。
  皆さんの中にぃ眠るダイノガッツを集めれば、きっとあれは動きだします!」
仲村「だからっ!等身大の生き物に、巨大怪獣相手で無茶させるなよぉ(泣)」

巨大生物を掴んだまま身体中に血管を浮かして
「うがががががががが!」と踏ん張るデストワイルダー。

街中の声援を受け、斉藤が演奏する応援歌が鳴り響く中、
浮いた血管がぶち切れると思うほど力を込め、デストワイルダーが大きな吼え声をあげると、
じりっと、巨体は動き出しゆっくりと加速を始めた。

東條「うごいたー!やったー!」
凌駕「皆さん!ありがとうございます!これも皆さんの応援とダイノガッツのおかげです!」
斉藤「そうだよ、みんなのダイノガッツのおかげなんだよ!」
手塚「よく判らないがそういうものか…。ところで、ダイノガッツって何だ?」
斉藤「あはは。俺も知らな〜い」

爆竜達も後押しし、巨大デストはガリガリされて…
やがて…
磨り減ってどんどん小さくなっていった。
32名無しより愛をこめて:04/01/11 05:34 ID:fB/X0LIw

51 :プロX番外編・星に願いを 14 :03/07/15 11:15 ID:4TTMkVBP

(31)「うそー!」
香川「まあ元はクレヨンですからね」
(25)「そういうものなんっすか?」
ガリガリされ続けた巨大デストは、いつのまにか磨り減って消えてしまった。

斉藤「こうして無事に事件は解決したんだ。…そして毎年7月7日の夜、
  晴れた日の空を見上げるとそこに白い虎が見えるかもしれないね(カメラ目線で」
手塚「いや、別にガヴァドンと違って、あの怪獣は空に持って行かれてないぞ(困惑」
斉藤「ロマンが無いな〜。磨り減って消えちゃいましたって言うよりも、
  星になりましたって言うのが素敵じゃないかな?」


街の端、疲労でのびてるデストワイルダーと爆竜達。
そして、その側の地面に落ちてるクレヨン画を拾い上げる神埼。

神崎「これは俺が預かっておこう…。一度命を得た絵だからな…。
  また暴れられてはかなわないし…無碍に消されるのは哀れで忍びない…」

走って走ってやっとデスト達の場所に追い付くと、
へたばってるペット達を囲んで万歳をする街のみなさんと飼い主のみなさんだった。
33名無しより愛をこめて:04/01/11 05:35 ID:fB/X0LIw

52 :プロX番外編・星に願いを 15 :03/07/15 11:17 ID:4TTMkVBP

令子「編集長。いい絵が撮れました。すぐに送ります」
大久保「でかしたぞ令子!いや、さすが!これでネットニュースのトップは間違い無しだ!
  …でもよ?怪我は無かったか?どえらく近くで撮ってねえか、これ?」
令子「いいえ、ちょっと埃を被っただけです。スクープの為なら尽力は惜しみません。
  報道に全てを賭ける意思とその構築とが私のレーゾンデートルですから」

桃井さん…もうちょっと、ほんの少しでいいですからその仕事に向ける空回り気味の情熱を
うちの先生にも向けてあげて貰えませんか?と、影で涙ぐむ(25)だった。


それぞれタクシーとKCBの中継車に向かう、令子と玲子を見送る男達。
玲子「藤宮君、今日はありがとう」
藤宮「ああ。だが、何の役にも立てなかったな…」
令子「北岡さん、今日はどうも酷い目に会わせてくれて有難うございました!(窓をピシャ!」
(31)「令子すわぁ〜ん(泣)誤解ですよぉ〜(泣)」

藤宮「そういえば、何か話したい事があるんじゃなかったか?」
玲子「ううん。なんでもなーい。じゃあまた今度ね。今からこの事件の特番があるから、
  早く行かなくちゃ。ね?今晩の放送、楽しみにしててね?」
うん。もうくよくよしないよ。だって…。
織姫と違って私は、1年のうち何度でも待ち人に会えるんだから…。


斉藤「手塚?いや〜、今日は心温まる話のおかげでいい供養になったね?」
手塚「そうか…お前はそう思っていてくれるのか?」
無言で金属バットを取り出すと「不吉な事を言うなー!」と雄一を追い掛け回す手塚だった。
34名無しより愛をこめて:04/01/11 05:50 ID:fB/X0LIw

53 :プロX番外編・星に願いを 終わり :03/07/15 11:18 ID:4TTMkVBP

幸人「おい?街一面のクレヨン跡、あれどうするんだ?」
デストが無理矢理引きずったあとには、白青の縞模様が延々と…。

(31)「どうせ虎の縞々なら、バターの方が面白かったのにねー?」
手塚「そのネタは不吉だ。それに第一、白と青の縞模様の不気味なホットケーキなぞ、
  誰が作って、誰が食べたがる?」
東條「ですちゃんもようの けーきだったら、ぼくちょっとたべてみたいかもー」
斉藤「あはは。誰って、目の前に居たね?俺も食べてみたいかな」
舞「わたしもたべたいなー」


「俺か?やっぱり後始末は俺なのか?」

お疲れ様と開かれた打ち上げ会で、
(25)特製「ヨーグルトとブルーベリーの縞々ホットケーキ」をパクつく東條やえみぽん達。

それを背景に、黙々と町の片づけをするアバレンオー(幸人抜きver.)と、アスカ、それに…

発端はお前だからお前も責任取って片付けろと三条幸人に言い渡され
機龍改と香川製巨大モップで街を掃除するトホホ気分な仲村が居た。←更に校舎の謝罪も後で控え中
35名無しより愛をこめて:04/01/11 05:52 ID:fB/X0LIw

55 :特撮版剣客商売・一の巻 :03/07/16 12:46 ID:UKT9y8S0

「フン。どいつもこいつもいい子ちゃんばかりで話にならないぜ。骨のある奴
はいないもんかぁ?」
「俺のことは俺自身にしか分からない。あんな奴らに俺の何が分かる。」
 ぶつぶつ言いながら<ドラえもん>に出てくるようなご近所を徘徊する二人。
 一人は元・某病院の天才医師・仲代壬琴。
 かたや一人は、大学で幾つものクラブを掛け持つほどの、天才的な運動神経
の持ち主・草加雅人。
 どちらとも腕に自信のある輩である。
 二人の性格は、今更ながら説明も不要であろう。だがある種同じ志を持つ者
であることには間違いない。
 自らの力一つで、権力にのしあがろうとする精神の持ち主。良かれ悪しかれ
そう言うたぐいの人間であるのだ。勿論、束縛されることを好まない孤高の精
神をも併せ持っていた。
 それはさておき、草加の前に突如立ちはだかるは、増毛済みのランナウェイ
(都合によりカット)男である。
36名無しより愛をこめて:04/01/11 05:53 ID:fB/X0LIw

56 :特撮版剣客商売・二の巻 :03/07/16 12:48 ID:UKT9y8S0

「フッ・・今日こそはカイザのベルトを頂きますよ。」
「懲りないな、あんたも。」
 草加はいつものように丁寧に手を拭き終え、カイザフォンを取り出す。
 が。
「邪魔だ。」
 琢磨の背後にいる、白いコートを着た男が小さく呟いた。
 その瞬間、どげしっ!!の効果音と共に、琢磨がトップゲイラーに吹っ飛ば
された。
 あわや満天の星と化した琢磨。
 丁度仲代壬琴の立っている延長上にいた為に、気の毒以外の何者でもなかっ
た。
 その場に残った草加は突如起こった出来事に、微かに眉をひそめたが、後は
平静のままである。
 上空に留まっている巨大な怪鳥は、コートの男に向かってクールに呟いた。
「なんだゲラ?あのインテリ男は・・。」
「しらん。」
 コートの男・仲代の興味は<骨のある奴>にしか向けられない。
 弱い、と認識された琢磨は、仲代の興味の対象外でしかなかった。
 そして新たに。仲代の延長線上に立ちはだかる草加に視線が向けられた。
「どけ。」
 仲代のふてぶてしい態度。草加は微かに眉をつり上げた。
37名無しより愛をこめて:04/01/11 05:55 ID:fB/X0LIw

57 :特撮版剣客商売・三の巻 :03/07/16 14:39 ID:UKT9y8S0

 仲代の前に立ちはだかる草加を排除すべく、トップゲイラーが襲いかかろう
とした瞬間である。
 不適な笑みを浮かべる草加。突如、ミサイルの嵐がトップゲイラーに向けて
襲いかかった。
「何!?」
 突然の迎撃にひるむ仲代とトップゲイラー。轟音と爆音がとどろく中、草加
はのんびりと再び手を拭きながら呟いた。
「君、人にものを頼むときはちゃんと丁寧に言ってくれないと。」
 ミサイルによる迎撃が止むと、仲代が草加を睨み付けた。
「なるほど。味な真似をしてくれる・・。お前も只の人間ではないわけだな。」
「そう言う君は何者かな?そんな物騒な怪物を引き連れて。」
「・・こいつは俺の相棒だ。フン・・久々に骨のある奴に出くわしたもんだな。
少しは運が向いてきたか。」
 無駄のない動きでダイノマインダーを構える仲代。
「爆竜チェンジ。」
 抑揚のないクールな声と共に、白き凶器・アバレキラーの登場である。
 そして琢磨と対峙したとき、既にコードを入力し終えた草加は<ENTER>を押
した。
<STANDING-BY>
「変身。」
 黄色のフォトンエッジが草加の全身を包み、紫の罠・カイザの登場である。

 果たして史上最強のDQN対決、勝者の行方は・・?

 その頃、宇宙では。
 とある勇士司令部の宇宙人に保護された琢磨逸郎がいた。
ネ○ス「はぁ〜そうですか。まだ地球に怪獣が生き残ってるんですかぁ。」
琢磨「・・・・・」
38名無しより愛をこめて:04/01/11 05:57 ID:fB/X0LIw

58 :特撮版剣客商売・四の巻 :03/07/16 15:22 ID:UKT9y8S0

 ミサイルの嵐(サイドバッシャーによる物)の被害で、ご近所では既に救急車
やパトカーのうなる音が鳴り響いていた中。
 睨み合う二人はカイザブレイガン・ブレードモードとウイングペンタクトを
それぞれに構え、微かに身体を沈めた。
 跳躍。真っ先に切り込んだカイザ。受け流すアバレキラー。
 一見押しているカイザだが、アバレキラーには不適なほどの余裕が伺えた。
「ゲームは、簡単に片が付けば面白くないからな。」
 カイザの剣を受け流しつつ蹴りを放つアバレキラー。
 蹴りで吹っ飛ばされ咄嗟に受け身を取るカイザは、跳びすさりつつブレイガ
ン・ガンモードで反撃に転じる。
 だが、アバレキラーはすべてウイングペンタクトで受け流していた。背後に
跳躍するカイザを追って走るアバレキラー。
「でぇっ!」
 切り込むアバレキラーを交わし、高く跳躍するカイザ。
 追うアバレキラーの前には・・
「何!?」
 バトルモードのサイドバッシャーが立ち塞がっていた。
 再び一斉放射でアバレキラーを吹っ飛ばすカイザ。
「ゲームだと?ふざけた奴め。貴様に・・命がけの戦いを知らない貴様に何が
分かる!」
「ハハハ・・分かるさ、命をかけなければゲームの意味がないからな!」
 嘲笑を含んだ、アバレキラーの声である。しかも・・
「上か!?」
 跳躍し一斉掃射を逃れたアバレキラーは、トップゲイラーの上にいた。
 上空に待機していたトップゲイラーの翼圧が、バッシャーごとカイザを吹っ
飛ばす。
「これで五分五分だ。やはり剣で勝負を付けるか?」
 ウイングペンタクトを構えるアバレキラーは跳躍し、カイザの下へ降り立っ
た。
39名無しより愛をこめて:04/01/11 06:07 ID:fB/X0LIw

62 :特撮版剣客商売・最終巻 :03/07/18 11:35 ID:levH24zV
最後の勝負。それぞれの得物を構える二人。
ウイングペンタクトを正眼に構えるアバレキラー、カイザブレイガンを逆手に
構えるカイザ。
さわさわと何処かから吹き込む風に揺られ、木々の葉音のみがあたりを漂って
いた。
風に揺れる樹木。生い茂る樹木を離れた、一枚の葉がつい、と二人の間に漂い
落ちる。

刹那、木々が激しくざわめき始めた。
力と技のぶつかりあう衝撃。すれ違いざま降り立つ二人。

周囲に散在する、破壊された瓦礫の数々。ひっそりと漂う夕日に反射し、たた
ずむ二人の姿を静かに見つめていた。
静寂という名の均衡。それが崩れたのは、次の瞬間だった。
カイザの大技でダメージを喰らったアバレキラーの身体。
硝煙の臭いを漂わせ、そのまま膝をつき崩れ落ちた。
そしてカイザも、アバレキラーの太刀筋を急所に喰らい、崩れ落ちた。
<真理・・・>
微かな意識に映し出された園田真理の顔。
草加は満足そうな笑みを浮かべながら、静かに目を閉じた。

倒れ伏す、もののふの亡骸二つ。
そこへ流れ込むは無情の風ただひとつ。
<了>
¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
凌駕「・・・って渋ーい夢見たんですけど、どう思いますぅ?」
巧「しらねぇよ。」
40名無しより愛をこめて:04/01/11 06:10 ID:fB/X0LIw

70 :冷血・1 :03/07/23 14:12 ID:uLHEam83

<最後の授業だ>
完全なる消滅。オルフェノクとしての死を迎え、砂の塊となって崩れ落ちる身
体。声もあげずに凝視する二人のオリジナルに看取られ、一人のオルフェノク
は砂塵となって消えた。新たなる仲間を残して。

闇の中でうずくまる男。彼は一つの小さな明かりを見ていた。
生前、仲間と共に大きなプロジェクトの発足に向けて奮闘し続けた自分。
プロジェクトに関する書類を、上司の裏切りによって破棄され、上司に詰め寄
った自分。
螢の灯火のように儚く消える、生前の思い出が小さな明かりとなって、男の周
囲に漂っていた。
<あのとき、人としての心を捨てていなかったら・・俺はどうしていただろう。>
人間対オルフェノクの戦い。人間、と言う名の裏切られた過去との戦い。
男は遠くを見上げる。
陰惨な色のない世界。自分と同じ、人として生きることのない化け物らが支配
する世界。その行く末には、何が。
もう一つの明かりが指す世界。希望や夢を追い求める者達が手にする、温かな
世界。
男はためらいがちに、一つの世界に手を伸ばした。
守りたい物は既にない。捨てる物も失った物もない。だが・・・
ただ男は<陰惨な世界>よりも<生ある光>を強く望んだ。
<あのとき、人としての心を捨てていなかったら・・>
答えは、手を伸ばした光の中にあった。
41名無しより愛をこめて:04/01/11 06:22 ID:fB/X0LIw

71 :冷血・了 :03/07/23 16:54 ID:uLHEam83

荒ぶる紅蓮の龍が空を舞う。
龍の力を纏いし戦士は、異形の者へ戦いを臨んだ。舞い降りる龍の戦士。
紅蓮の力によって異形の者は一つ、また一つと躯に変わる。

男は一人、孤独に耐え、戦いに耐える。
たとえ・・最後の一人になろうとも。
そして思いを託し、光となって消滅した。

同じ闇の中。男は遠い光を見ていた。
光を手にし別の空間へ来た男<戸田英一>は、もう一人の男<榊原耕一>に問うた。
「俺は人を捨てた身だが・・あんたは人としての心を最後まで捨てようとしな
かった。そればかりか、次を担う若者へ力を託し、思いを託した。
何故、そこまでして自分の想いを押し通す。」
榊原は黙ったまま、遠くに浮かぶ温かな光を見つめていた。
緩やかな時間の流れ。男の見つめる先にある光は<優しさ>に満ちていた。
「純粋な願い・・。誰かを傷つける悲しい未来より、人同士が笑いあえる明る
い未来の方がいい。俺はそう願っている。」
「それが例え叶わなかったとしてもか・・」
「叶わない、とは思わないさ。俺は、俺自身の意志を継いだ若者を信じている。」
闇の中にありながらも、榊原の双眸に宿る輝きは<生>の意志に満ちあふれてい
た。
「お人好しすぎるだろうな。」
「そうかも知れん。」

違う時間軸に存在した二人の男。
自らの信念を貫き通し、若者らに強く影響を与えた二人の男。
新たに<生>という光を得たとき、彼らはどのような運命の道を辿るのだろう。

新たなる光を求め、男達は闇の中へと姿を消した。
42名無しより愛をこめて:04/01/11 06:25 ID:fB/X0LIw

75 :バイオレンス仮面ライダー(1) :03/07/24 23:31 ID:sVqhEzRQ

「みなさま、ようこそ私のパーティーにお集まりくださいました」
古い洋館、吹き抜けの2階より降りてくるナイトドレスの女。
青いサングラスをかけ、ブロンドヘアの端正な顔立ちの美女は、
口元に妖しい笑みを浮かべながら、そう挨拶した。
洋館のフロアに集まっている数十人の男女。みな正装し、顔を仮面で覆い隠している。
ここには政界の大物や財界人、経済人、有名タレント、モデルなどが多数出席しており、
みな素顔・素性を秘密にしなければならない為、仮面を着けていた。

照明を抑えた薄暗いフロアは香の薫りに満ち、トリップ系と呼ばれる音楽が流れ続ける。
そこは非日常の要素に溢れ、妖しげな魅力を放つ幻想的な世界。
「今日は日頃の俗世を忘れ、存分にこの魅惑的な空間をお楽しみください」
集まった紳士淑女達に女はその美しい笑顔で呼びかけた。
その女の甘美なる誘いは人々の心をときめかせた。
決して触れてはならない非日常の世界への鍵を手渡された、そんな幻想を抱かせる。
そして女は妖艶なる美しさを醸し出しながら、フロア正面に位置する主催席に腰を降ろす。

招待客である紳士淑女達は、従者が運んで来た酒を手に取り、パーティーははじまる。
思い思いに談笑する紳士淑女達。紳士はタキシードや礼服に身を包み、淑女は華やかな衣装で美を競う。
主催者の女はその艶やかな唇でカクテルを口にする。
スラリと伸びたしなやかな美脚を組み、カクテルグラスを片手にシガレットをくゆらす。
そして女は集まった人々の談笑を笑顔を浮かべみつめている。
43名無しより愛をこめて:04/01/11 06:28 ID:fB/X0LIw

76 :バイオレンス仮面ライダー(2) :03/07/24 23:37 ID:sVqhEzRQ

だが時間の経過と共に、フロアに集まる紳士淑女達の様子が一変する。
人々の目は一様に精彩を欠き、思考能力を失い、理性を失い、自我を失い、ただの動物としての人間に成り下がる。
香の中に含まれたドラッグの成分、精神に作用する音楽、極度に強くドラッグの成分を含んだアルコール、
それらが招待客達の正常な思考と精神を奪っていた。
こうなると動物としての人間が取る行動はただひとつ。
己を失った人々はみな自ら進んで裸になり、酒池肉林の宴がはじまる。
一糸まとわぬ姿で淫らな行為に興じ、深ける数十人の男女。
羞恥心を失い、人間であることを止めた動物達が痴態を繰り広げる。
その光景を高笑いを上げながら見ている主催者の女。

「人間であるということは愚かなことね。
そう、今はただ本能と快楽にのみ従い、この刹那を楽しむといいわ。
自我を失い、人間であること止めたお前達は、この先私が下僕としてたっぷり可愛がってあげるわ」
女はそう言うと再び高笑いを上げるのだった。

そこへフロアの扉を蹴破り入ってくる一人の男がいた。
その蹴りの勢いのよさで扉は壊れ、外れて吹き飛ぶ。
大きな音がしたにも関わらず、その場の人間達は相変わらず淫猥なる行為に深けっている。
「困りますっ!ここは関係者以外立入禁止なんですっ!」
そう言い男の侵入を止めようとする従者、男はその従者の顔面に裏拳を一発打ち込む。
従者は鼻血を出してその場に座り込み悶絶する。
44名無しより愛をこめて:04/01/11 06:30 ID:fB/X0LIw

77 :バイオレンス仮面ライダー(3) :03/07/24 23:38 ID:sVqhEzRQ

その男は周囲を一瞥し、主催者である女を睨みつける。
「まだこんなくだらない遊びに興じているのか?」その男は女の行動を鼻で笑う。
「まるで女王様気取りだな?」
「来たわね、裏切り者。ここまでやって来るとはご苦労なことね。」女は男を見下して言う。
「あなたもここまでせっかくここまで来たのだから一緒に遊んでいらしたら?
ショッカーの裏切り者、タケシ、いえ仮面ライダー」対峙する男と女。
「ああ、俺と同じ醜い改造人間であるお前達を処刑する為ならどこへでも行くさ。蜂女、お前を処刑するっ」
男は身構える「変身っ」男の低く力強い声に反応して、男の腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光に男の体は包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。

ナイトドレスの肩の結び目を解く女、ドレスをそのまま投げ捨てる。
宙に舞うドレスに女の全身が隠れ、ドレスが地に落ちた時、そこに立っているのは蜂女の姿であった。
蜂女はフルーレを手に持ち、仮面ライダーに対し身構える。
「武器か?つまらんなぁ」「まぁいい、少しは遊んでやろう」
仮面ライダーは部屋の装飾品として置いてあったフルーレを手にする。
蜂女はフェンシングの姿勢に構え、鋭い突きで仮面ライダーに猛攻。
蜂女の猛攻をすべて軽くいなす仮面ライダー「こんなもんか?」
フルーレを交錯したまま力比べとなる蜂女と仮面ライダー。
仮面ライダーは容赦なく蜂女の顔面に蹴りを入れる。
後ずさる蜂女「よっ、よくも私の美しい顔を足蹴にっ!!」
「はんっ」蜂女の言葉を鼻で笑う仮面ライダー。
45名無しより愛をこめて:04/01/11 06:33 ID:fB/X0LIw

78 :バイオレンス仮面ライダー(4) :03/07/24 23:40 ID:sVqhEzRQ

間合いを一気に詰め、今度はライダーの猛攻。
ライダーの鉄拳が蜂女を殴打、これを防御する蜂女。
そしてライダーの鉄拳が蜂女の腹部を突き上げ、蜂女は唸り声を上げて床に沈み込む。
ライダーは蜂女が倒れることを許さず、その手で蜂女の体を鷲づかみにする。
それは偶然にも蜂女の胸部であった。
ライダーは容赦なくつかんだその手で蜂女の体の一部を引きちぎる。悲鳴を上げて悶絶する蜂女。
「わっ、私の美しい体が、体がっ」蜂女の言動をライダーは一蹴する。
「安心しろ、お前はもうとっくに人間じゃないんだ、美しくなんかないだよ。
お前は俺と同じ、醜い改造人間なんだよっ!!」
仮面ライダーはそう言うと蜂女の顔面を鷲づかみにし、
そのままあらん限りに力を込めて蜂女の顔面を握りつぶす。
地飛沫が飛び散り、周囲は凄絶な血の色で染められる。
「処刑、完了」血塗れになった仮面ライダーはその場にしばし立ち尽くす。
理性を失い動物と化した人間達はまだ快楽の夢の中を彷徨っていた。

仮面ライダーに変身した男は洋館から出て、バイクにまたがる。
エンジンを吹かし、バイクで走り去り、洋館を後にする。
彼は自分を醜い改造人間にした組織ショッカーを憎み、
自分と同じ醜い改造人間の存在を許せず、改造人間狩りを行っていた。
彼の人間の時の名前は浅倉威。
運命のいたずらにより、本郷猛の代わりに改造されてしまった凶悪犯。
彼はまた次の改造人間を追い求める、自らの手で処刑する為に。
46名無しより愛をこめて:04/01/11 06:36 ID:fB/X0LIw

84 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男1) :03/07/25 23:04 ID:1NdHZfcb

まるで西部開拓時代をそのまま再現したかのような街並み。街外れには荒野が広がっている。
「蠍だっ!!砂漠の蠍が来たぞっ!!」そう叫びながら逃げ走る男。
男の背後からは鉄の馬(バイク)に乗った集団が、その男をいたぶるかのように追いかける。
街の人々は砂漠の蠍の名を聞き、震え上がり、逃げ出し隠れる。
バイクに乗る、腕にタトゥーをした男が手に持つ銃を指で回し、面白半分に逃げる男の脚を撃ち抜く。
転倒し悶絶する逃げていた男。バイクの集団は容赦なくその男を轢殺す。

砂漠の蠍、泣く子も黙る荒らくれ者、荒野の無法者集団。
鉄の馬(バイク)に乗り、略奪、強盗、殺人、強姦、放火、破壊、無法の限りを尽くす者達。
砂漠の蠍と呼ばれるバイク集団は、奇声・雄叫びを上げながら街の人々を次々に襲って行く。
バイクに乗りながら鉄パイプで逃げ惑う人々を殴り倒し喜ぶ者、
逃げ惑う人々を拳銃で撃ちまくる者、バイク集団の出現で街は一瞬のうちに地獄へと変わり果てていた。

逃げ遅れた男女がバイク集団に囲まれる。
「へっへへ、いい女じゃねぇかよ」タトゥーの男はニヤニヤしながら言う。
その発言に怯えきった目で震える女。震えながらもその女を庇おうとする男。
「ボス、俺らの好きにしてもいいよね?」タトゥーの男が目をやる先には、バイクに跨ったモヒカン頭の男がいた。
「好きにしろ」ボスと呼ばれる男は、バイクを降りて街の酒場へと入って行く。
「へっへへ」タトゥーの男はニヤニヤ笑う。
「やめろ彼女には指一本触れさせないぞっ!」連れの男は勇敢に立ち向かおうとする。
砂漠の蠍の一同は大爆笑する。「おいおい聞いたかよっ、今の」
バイクのエンジンを吹かす音が響き渡る。「こいつちょっと痛い目にあわせてやんなっ」
砂漠の蠍のナンバー2であるタトゥーの男はメンバーに合図する。
47名無しより愛をこめて:04/01/11 06:38 ID:fB/X0LIw

85 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男2) :03/07/25 23:06 ID:1NdHZfcb

女を守ろうとする男の首に縄がかけられ、その縄の先はタトゥーの男のバイクにつながっている。
タトゥーの男は女を片手に抱きかかえ、バイクはエンジンを吹かし走り出す。
「やめてぇぇぇ!!やめてぇぇぇ!!やめてぇぇぇ!!」タトゥーの男の腕の中で泣きながら狂乱する女。
バイクに引きずられる男、首に締まる縄を両手で抑えようとするが、それも虚しいあがきでしかなかった。
みるみるうちに首にかけられた縄は男の首を締め上げ、男は泡を吹いてそのまま動かなくなる。
その男の死体はそのまま酒場の屋根から吊るされた。

「きゃぁぁぁぁ!!」泣き叫びながら抵抗する女。女に群がる男達。
その屈強な腕力で女はたちどころに押さえ込まれ、身動きが取れなくなる。
女の服を強引に引き千切る男達。女の美しい裸体があらわにされる。
男達は涎を垂らし、女の肉体にむさぼりつく。悲鳴を上げ助けを求める女。
だが当然助けなど来るはずはなかった。男達は女の体を弄ぶ。

その時、女の上に覆い被さっていたタトゥーの男が吹き飛び、後ろに転げ回る。
何者かに顔面を蹴飛ばされたのだ。
女を力ずくで襲う男達、その目の前に立つひとりの男。
「お前達のボスは何処にいる?」その男はそう言った。
「てめぇなにしやがるんでいっ!」砂漠の蠍と呼ばれる男達は、その男に襲いかかろうとする。
その男は、殴りかかって来た男にカウンターで拳を放つ。次の男の攻撃を避け相手のボディに膝蹴りを入れ、
背後から襲いかかって来た男に裏拳、最後の男の顔面に蹴りを入れる。
鼻を折り血を流す者、口から血を吐く者、泡を吹いて気を失って倒れる者、4人の大男達が一瞬にして倒された。
48名無しより愛をこめて:04/01/11 06:41 ID:fB/X0LIw

86 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男3) :03/07/25 23:07 ID:1NdHZfcb

「て、てめぇっ一体何者だぁっ?」タトゥーの男がよろめきながら立ち上がろうとする。
突如現れたその男はタトゥーの男の頭をわしづかみにする。
「俺の質問に答えろ、お前達のボスは何処にいる?」
その男はタトゥーの男をわしづかみにしたその手に力を込める。痛みに顔を歪めるタトゥーの男。
「あっ、あ、あそこだっ」タトゥーの男は街の酒場を指差す。
「言ったんだから離してくれよっ、なっ、なっ」タトゥーの男は痛みに顔が青ざめる。
その男は手を離そうとはしない。タトゥーの男はあまりの痛みに泡を吹いて失神する。

その男がその場を立ち去ろうとした時
「あ、あのぉ、あ、ありがとうございました、、」
無法の男達に引き裂かれた服でその裸身を隠した女が礼を言う。
「うるさいっ、俺は人間の女には興味がない」
その男はそう言い残して酒場の方へと向かって行く。
そこには呆気に取られている女が残されただけ。
49名無しより愛をこめて:04/01/11 06:51 ID:fB/X0LIw

87 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男4) :03/07/25 23:08 ID:1NdHZfcb

酒場のカウンターに立ち、酒をあおるモヒカンの男。
酒場のカウンターにゆっくりと近づく先程の男「テキーラだっ」
店のマスターにそう告げ、出されたテキーラを一気に飲み干す。
モヒカンの男は先程の男を一瞥する「例の裏切り者か、俺に何か用かい?」
「はんっ、お前を処刑しに来た、それだけだ」先程の男はモヒカンの男を睨みつける。
モヒカンの男は笑いを押し殺しながら言う「そうかい、俺を殺しに来たのかい」
「なぁ兄弟よ、ここはひとつ余興でもしようじゃないか、この街に相応しい余興をよ。
背を向けて、3歩進んで振り返る、早撃ちってのはどうだい?」モヒカンの男はまだ笑いながら言う。
「ゲームか?くだらんなっ」「まぁいい、少しは遊んでやろう」

荒野の街に2人の男の決闘がはじまる。
銃を手に持ち、背を向け合って立つモヒカンの男と先程の男。
「じゃぁそろそろはじめるぜ兄弟よ」
「お前らに兄弟呼ばわりされると虫唾が走る、その口を黙らせてやる」吹きすさぶ風に砂塵が舞う。
モヒカンの男は大声叫ぶっ「イチッ!!」
両者はそこで振り向きざま銃口を相手に向ける。
「おいおい、いくらお前が裏切り者でも、ルール違反は勘弁してくれよ、兄弟」
「お互い様だろ、それに改造人間にルールはいらない、違うか?」
「ふはははっ」モヒカンの男は再び豪快に笑い出す。
そして突然銃を相手に向かって発砲する。
先程の男はこれを予測していたかのように転がりながらこれをかわす。
50名無しより愛をこめて:04/01/11 06:53 ID:fB/X0LIw

88 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男5) :03/07/25 23:09 ID:1NdHZfcb

先程の男に向かって銃を乱射するモヒカンの男。
先程の男はその弾切れを見計らってバイクに飛び乗る。
銃に弾を詰め直すモヒカンの男、その首に縄が飛んで来てモヒカンの男の首を締め上げる。
先程の男はモヒカンの男の首に縄をかけると、バイクで走り出しモヒカン男をバイクで引きずる。
モヒカンの男は首を締めつける縄を両手で抑えるが、苦しみに耐えられなくなりその本性を現す。
モヒカンの男は蠍男の姿へと変身していた。

蠍男をバイクで引きずって走る男もまたその本性を現す。
「変身っ」男の低く力強い声に反応して、男の腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光に男の体は包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。
蠍男をバイクで引きずる仮面ライダー。蠍男の首を締める縄を手にし、バイクの上から大きくジャンプして宙を舞う。
仮面ライダーは大木の上を飛び越え、その大木に蠍男を吊るし上げる。
蠍男は縄を切ろうと必死になっていたが、その縄は決して切れない、
その縄には仮面ライダーのマフラーをそのまま使っていたからであった。

吊るされた蠍男の前に立つ仮面ライダー「蠍男、お前を処刑する」
身動きの取れない蠍男を仮面ライダーは容赦なく殴打する。
まるでサンドバックの如くひたすら殴られ続ける蠍男。
仮面ライダーもまるで何かに執りつかれているかのように夢中になって蠍男を殴り続ける。
やがてぐったりとして動かなくなる蠍男。
「処刑完了」「ハングドマン、吊られた男、お前に相応しい最後だ」
仮面ライダーはそう言い残しその場を立ち去る。
51名無しより愛をこめて:04/01/11 06:55 ID:fB/X0LIw

89 :バイオレンス仮面ライダー(蠍男6) :03/07/25 23:10 ID:1NdHZfcb

砂漠の蠍がいなくなった街では、先程襲われていた女が再び襲われていた。
今度は、砂漠の蠍達がいた間、ずっと逃げ隠れしていた街の男共が、
砂漠の蠍がいなくなってから先程の女を襲ったのだった。泣き叫び助けを求める女。
女に覆い被さる男共、だが彼らもまた足蹴にされる。
仮面ライダーに変身した男が街に戻って来たのだった。
「俺はハイエナも嫌いなんだよっ」男共を蹴散らすライダーの男。
「、、あ、あの、度々ありがとうございます、、」女はおそるおそる礼を言う。
「うるさいっ、助けた訳じゃない、そいつらがむかついただけだ。」
「俺は人間の女には興味はない、俺が興味があるのは改造人間だけだっ」
男はそう言い再びバイクに跨ってその場を後にするのだった。

彼は自分を醜い改造人間にした組織ショッカーを憎み、
自分と同じ醜い改造人間の存在を許せず、改造人間狩りを行っていた。
彼の人間の時の名前は浅倉威。
運命のいたずらにより、本郷猛の代わりに改造されてしまった凶悪犯。
彼はまた次の改造人間を追い求める、自らの手で処刑する為に。
52名無しより愛をこめて:04/01/11 06:58 ID:fB/X0LIw

95 :プロX番外編・激闘!仮面ライダー! 1 :03/07/28 10:43 ID:AxYuGHG3

ここは、ライダーバトルの特設会場、ミラーワールド内のゲートから、20人の
ライダーがやって来る。
ガルド(改造版)「さあやってまいりました、第1回ライダーバトル!果たして、
優勝は誰の手に渡るのでしょうか?」
オーディン「え〜、開会式は1時間後に行われますので、出場者の方は控え室
へ移動して下さい、ちなみに、控え室は関係者以外も出入り自由ですので、
ご自由に出入り下さい。」
控え室A 龍騎・ナイト・ゾルダ・アギト・ギルス・G3−X・ライア・
インペラー・タイガ・ファイズ
控え室B リュウガ・ベルデ・王蛇・アナザーアギト・シザース・G4・ガイ
オルタナティブ・オルタナティブゼロ・カイザ
1時間後
ガルド(改造版)「それでは、ライダーバトル主催者、神崎士郎のお言葉です。」
神崎を見る観客達、その中には、我夢や藤宮、アバレンの面々、中継に来た玲子達。
取材と真司の応援に来た大久保達がいた、神崎も、今回ばかりは服を着ている。
神崎「みなさん、ご来場ありがとうございます、今回は、存分にお楽しみ下さい・・・」
一瞬の静寂の後、神崎が叫んだ。
神崎「戦 え!」
興奮する観客達。
龍騎&アギト&ギルス&ファイズ「おっしゃあ!」
ベルデ&ガイ&王蛇「やってやるぜ!」
やる気まんまんになる選手。
かくして、戦いの火蓋は切って落とされた!
53名無しより愛をこめて:04/01/11 07:00 ID:fB/X0LIw
96 :プロX番外編・激闘!仮面ライダー! 2 :03/07/28 21:58 ID:WMEFpcso
ガルド(改造版)「さあて、第1回戦は・・・・・・・・」
巨大モニターに映ったライダーは・・・ゾルダと王蛇。
オーディン「仮面ライダーゾルダと仮面ライダー王蛇です!」
すると、南の門からゾルダが現れ、北の門からは王蛇が現れた。
ゾルダ「やれやれ、いきなり宿命の対決ってわけか。」
王蛇「はぁ、久しぶりに暴れてやるぜ。」
オーディン「始め!」
オーディンの合図と共にマグナバイザーで王蛇を撃つゾルダ。
王蛇「そんなもん当たるかよ!」
マグナバイザーの銃弾をかわす王蛇、カードを装填するゾルダ。
『ストライクベント』
ギガホーンを装着するゾルダ、王蛇もカードを装填した。
『ストライクベント』
突っ込んでくる王蛇にマグナバイザーを放つゾルダ、まともに喰らう王蛇。
王蛇「ぐあっ!・・・きさまぁぁぁぁぁぁぁ!」
ベントインする王蛇。
『ユナイトベント』
ジェノサイダーに乗って突っ込んでくる王蛇、
冷静にベントインするゾルダ。
『アドベント』
するとバーニアを追加装備したマグナギガが現れた。
ゾルダ「行くぞ、マグナカスタム。」
マグナカスタムに乗りジェノサイダーに向かって行くゾルダ。
ゾルダ「エンドオブワールドネオ!」
王蛇「ジェノバスター!」
物凄い大爆発を起こすリング。
リングには、倒れたゾルダと王蛇がいた。
オーディン「・・・ふむ・・・・両者戦闘不能!よって引き分け!」
両者を運び、リングを修理するガルド軍団。
オーディン「え〜、2回戦は修理が終わり次第行われますのでしばらくお待ち下さい。」
果たして、2回戦は誰と誰が戦うのか?
54名無しより愛をこめて:04/01/11 07:03 ID:fB/X0LIw

97 :プロX番外編・激闘!仮面ライダー! 3 :03/07/29 09:26 ID:hW3kY0de
数時間後、洗濯物の配達を終えた真理達がやってきた、丁度修理が完了していた。
オーディン「皆様、長らくお待たせしました、2回戦は・・・・・・・」
今度は、巨大モニターに龍騎とリュウガが映った。
オーディン「仮面ライダー龍騎と仮面ライダーリュウガです!」
すると、観客達の歓声と共に南から龍騎が、北からリュウガが現れた。
オーディン「始め!」
『ソードベント』
オーディンの合図と共に二人はベントイン、ソードベントを構え、戦闘体勢に入った。
龍騎「とりゃあっ!」
リュウガ「ふんっ!」
ぶつかり火花を散らすソードベント、とっさに龍騎がリュウガに蹴りを入れる。
リュウガ「くっ。」
よろめくリュウガ、一瞬の隙をついて
龍騎のドラグセイバーがリュウガを斬る。
『ストライクベント』
『ガードベント』
龍騎のドラグクローパンチをドラグシールドで防ぐリュウガ、ソードベントで龍騎の体を貫く。
大久保「真司!」
令子&島田「城戸君!」
蓮「城戸ッ!」
だが、龍騎の引いたカードが形勢逆転のチャンスを呼び起こした。
『サバイブ』
リュウガのドラグセイバーを引き抜き、跳び上がり、
キックの体勢に入る龍騎サバイブ。
龍騎サバイブ「ドラゴンライダーーーーーーー回転キーーーック!」
空中で何度も回転した後、龍騎のキックを喰らい、場外に吹っ飛ぶリュウガ。
青ローグ「龍騎の奴、2号ライダーやクウガみたいに回転して破壊力を倍増させる、って事か。」
オーディン「場外により、仮面ライダー龍騎の勝利!」
飛び交う歓声、医務室へ去って行く龍騎、運ばれて行くリュウガ。
3回戦、ご期待下さい!
55名無しより愛をこめて:04/01/11 07:06 ID:fB/X0LIw

98 :プロX番外編・激闘!仮面ライダー! 4 :03/07/30 16:05 ID:N4yOuB90

オーディン「さて、3回戦は・・・・・・・」
巨大モニターには、ナイトとベルデの姿が。
オーディン「仮面ライダーナイトと仮面ライダーベルデ!」
すると、北からベルデが、南からナイトがやって来た。
オーディン「始め!」
『ソードベント』
『ホールドベント』
ホールドベントを投げるベルデ、ソードベントで打ち返すナイト。
『クリアベント』
透明になるベルデ、ホールドベントでナイトを打ちのめす。
ナイト「ぐっ・・・・」
ガードで精一杯になるナイト、ベントインしてもホールドベントで飛ばされて
しまい、やがて膝を着くナイト。
真司「蓮!心眼だ!」
その言葉を聞いて、精神を集中させるナイト。
ナイト「心の眼だ心の眼で奴を探すんだ。」
ナイトの後ろをホールドベントが襲う。
ナイト「そこだ!」
ウイングランサーで打ち返すナイト、それを喰らい、クリアベントの効果が切れる
ベルデ、そして流れる果てなき希望。
『サバイブ』
ソードベントを抜きベルデを斬るナイトサバイブ、倒れるベルデ。
オーディン「勝負あり!勝者、仮面ライダーナイト!」
リングを去っていくナイト、運び出されるベルデ。
4回戦は、あの男がついに登場!
56名無しより愛をこめて:04/01/11 07:08 ID:fB/X0LIw
110 :激闘!仮面ライダー! 5 :03/07/31 15:00 ID:kASrxIOX
オーディン「4回戦は・・・・・」
巨大モニターには、アギトとアナザーアギトの姿が。
オーディン「仮面ライダーアギトと仮面ライダーアナザーアギト!!」
南からアギトが、北からアナザーアギトが現れた。
オーディン「始め!」
オーディンの合図と共に、パンチを繰り出す二人。
アギト「はぁぁぁっ!」
アナザーアギト「ふんっ!」
ぶつかる拳と拳、フレイムフォームにチェンジし、フレイムセイバーを取り出すアギト。
アナザーアギト「剣か・・・ならばこちらも!」
そのまま放置されていたリュウガのドラグセイバーを拾うアナザーアギト。
ガルド(改造版)「おおっーと!アナザーアギト、ここでリュウガのドラグセイバーを拾ったーーー!」
ぶつかり合う二つの剣、飛ばされるフレイムセイバー。
アギト「くっ。」
ストームフォームにチェンジし、ストームハルバートを取り出すアギト、
ドラグセイバーを捨て、ナイトのウイングランサーを拾うアナザーアギト。
ストームハルバートを捨て、グランドフォームに戻るアギト。
ガルド(改造)「おおっとー!これはどうした事だ?ーーーーー」
アナザーアギト「隙だらけだな・・・・・・」
ウイングランサーを振りかざすアナザーアギト、しかし。
アナザーアギト「ぐおっ!」
折れるウイングランサー、吹っ飛ぶアナザーアギト。
そこには、バーニングフォームにチェンジしたアギトが立っていた。
アギト「はぁっ!」
アナザーアギトにパンチをお見舞いするアギト。
オーディン「勝負あり!勝者、仮面ライダーアギト!」
アギト「木野さん、大丈夫ですか?」
アナザーアギトに手を差し伸べるアギト。
アナザーアギト「まあ、なんとかな・・・・・」
アギトの手に捕まり、立つアナザーアギト、去っていく二人。
5回戦は、異色の対決!?
57名無しより愛をこめて:04/01/11 07:11 ID:fB/X0LIw

237 :激闘!仮面ライダー!ダイジェスト版1 開催セレモニー編 :03/11/14 20:51 ID:hwNVglar

ガルド(改)「やあやあ、みなさんどうも、ガルドサンダー改です、今回は、
プロジェクトX番外編『激闘!仮面ライダー』のダイジェスト版の司会を
仮面ライダーオーディンさんと共に勤めさせていただきます。」
オーディン「まずは、開催セレモニー編からご覧下さい。」
神崎「戦え!」
この一言から観客達は大興奮、観客席から降りて来てリング上で壮大かつ物凄い
セレモニーが行われた。
そして、出場者も揃った所でアギト〜ファイズまでの主題歌メドレーが流れた所で
さらにヒートアップ、出場者の一部がやる気のありそうな一声を上げた。
オーディン「これはすごいですね〜」
ガルド(改)「はい、アバレンの皆さん変身してファイズ、カイザに『頑張れ!』
と言っちゃってるくらいですもんね。」
オーディン「さて、いきなりヒートアップしてる会場、この後、物凄い戦いが
始まるわけですね、さて次回は、王蛇VSゾルダ戦〜アギトVSアナザーアギト戦の
ダイジェストをお送りします。
58名無しより愛をこめて:04/01/11 07:15 ID:fB/X0LIw
238 :激闘!仮面ライダー!ダイジェスト版2 王蛇VSゾルダ戦〜アギトVSアナザーアギト戦編 :03/11/14 21:30 ID:hwNVglar
ガルド改「どうも、司会のガルドサンダー改です。」
オーディン「同じく司会の仮面ライダーオーディンです、さて今回は、王蛇VS
ゾルダ〜アギトVSアナザーアギト編をお送りします。」
ガルド改「ちなみに、これが勝敗をあらわした表なんですが・・・・
△ゾルダ 王蛇△
○龍騎 リュウガ●
○ナイト ベルデ●
○アギト アナザーアギト●
殆ど控え室Aの選手が勝ってるんですよ。
オーディン「なるほど。」
ガルド改「そして、これが決まり手一覧表です。」
龍騎 ドラゴンライダー回転キック
ナイト ソードベント縦一文字斬り
アギト バーニングフォームパンチ
オーディン「龍騎の決まり手は非常に興味深いですね。」
ガルド改「でしょう、実は、龍騎こと城戸真司さんが来てらっしゃるんですよ、どうぞ。
真司「どうも、仮面ライダー龍騎こと城戸真司です。」
ガルド改「何故あのような技を?」
真司「あれはですね、開催前日に仮面ライダーシリーズのビデオを見て研究して、つかんだんです。」
ガルド改「一体どのような研究をなさったんですか?」
真司「どうしたらあのキックを強く出来るかって事なんですけど、その結果、
仮面ライダー旧二号編と仮面ライダークウガを見て回転してキック力がアップ
すると言うことが分かったんですよ。」
オーディン「ほぉ〜。」
ガルド改「あ、もうこんな時間になってしまいました、なんか各戦をダイジェスト紹介するん
じゃなくて龍騎VSリュウガの解説になってしまいましたね、城戸真司さん、
ありがとうございました。」
真司「いえいえ。」
オーディン「え〜、次回はギルスVSシザース戦〜インペラーVSオルタナティブ戦
ダイジェストをお送りします。」
ガルド改「今度こそちゃんとしたダイジェスト物になるといいですね(笑)では。」
59名無しより愛をこめて:04/01/11 07:18 ID:fB/X0LIw

100 :プロX番外編・ソーメン75 (1) :03/07/31 11:08 ID:BPyIh0vQ

(31)「いやあ〜。あつはなついね〜」
仲村「のっけから何だ!今の寒おやじギャグで、気温が10℃は下がったぞ」
(31)「下がったなら大歓迎でしょ?よくこんな蒸し風呂の中で作業出来るよねぇ?
  やっぱ俺みたいな繊細な人間と違って耐性があるよね、貧b…」
(25)「(余計な嫌味を言う(31)を慌てて制止しながら)いや、その…。
  (ヒソヒソ声で「先生、お届け先に喧嘩を売ってどうするんすか?」)
  こちらをどうぞ。お中元のお裾分けを持って来ましたので皆さんで召し上がって下さい」
東條「わーい。そうめんがいっぱいだー」

暑い暑い夏の午前中、赤字続きの401号室は冷房を切っていて
うだるような中で扇風機と団扇だけで熱々のMacG4に立ち向かっていた。

香川「それはどうもご丁寧に。こんなに沢山いただいて良いんですか?」
(31)「沢山て言ってもね。これでも、うちのスレのちび達には量が足りないからね〜。
  中途半端に作って『もう無いでつー』とか騒がれるよりは、
  城戸とかあんた達とか 貧 乏 そ う な所に恵んで恩を売った方が得かm…」
(31)の袖を引っ張り「先生、これ以上余計な事は言わないで下さい」と嘆く(25)だった。
60名無しより愛をこめて:04/01/11 07:23 ID:fB/X0LIw

101 :ソーメン75 (2) :03/07/31 11:09 ID:BPyIh0vQ

貰う理由はどうあれ、これで今月は食費が助かると浮かれる仲村の肩を
素麺束でぽんぽん叩く東條。

東條「どうせつくるなら、ながしそうめんがいいかも。
  このまえ、てれびでとくしゅうがあったけど、つめたくておいしそうだったよ」
仲村「そんな手間隙かかるものを誰が作るんだよ!竹だって無いし、
  あんな物いちいち流すのは面倒だし、自動流し機もここには無いぞ」
香川「では流し機を作りましょう。東條君も手伝ってくださいね」
東條「はーい」
仲村「ったく。先生は奴に甘いんだから…」


香川「北岡さんも由良さんも一緒にどうぞ。こちらの機械は麺を入れておくだけで
  全自動で茹であげて、水に晒し、適度な量とタイミングで流していきますよ。
  食べる分だけ流すので水も綺麗で素麺も冷たいまま頂けます」

水が円形のパイプの上を回りだし、しばらくして素麺が小さな束になって現れた出した。
あー!あかいのとった〜、うるさい!色付きぐらいで騒ぐな!、ガリガリガリ…
お約束の騒ぎを挟んでお代りを待つものの、いつまで経っても次の素麺は出てこなかった。

蓋を開けると素麺流し機はカラッポなままで、入れた麺は微塵も見当たらなかった。

(31)「どうなってんのよ、全く。なまじっか一口食べたせいか、なんだか喉乾いちゃった。
  ゴロちゃん、水ちょうだい」
(25)が氷の入ったグラスを片手に水道を捻ると、蛇口から勢い良く素麺が流れだした。
61名無しより愛をこめて:04/01/11 07:28 ID:fB/X0LIw

102 :ソーメン75 (3) :03/07/31 11:10 ID:BPyIh0vQ

校内中あちこちから巻き起こる悲鳴。
「助けて!シャワーから麺が!」
「なんだよこれ?タオルが冷やせないぞ。素麺を乗せたら余計気持ち悪くなってきた」
「どうなってんのさ!学食の味噌汁が作れないよ!にゅうめんに変更しろってのかい!」
「大変だ。トイレを流すとブツと一緒に素麺がでろ〜んとなが…」
「おえ」

階下の実験室から、江島教授が麺でいっぱいのビーカーを抱えバタバタ走ってきた。
江島「香川先生!これは一体どういう事ですか?!また君の所の実験の失敗か何かですか?」
香川「どうやらそういう事になりますかね。見た感じでは、空間がどこかで捻れてしまい、
  学校の貯水槽にでも素麺が転移してしまったようです」

眉を寄せて機械を調べる香川。
香川「東條君?制御データはちゃんと1.205と0.727にセットしましたか?」
東條「うん。ちゃんと 1 2 0 5 と 7 2 7 にせっとしたよ」
香川「なるほど。それが原因ですね」
仲村「おーまーえーはー!何で余計な真似するんだ!このバカ!バカ!バカ!バカ!バカ!」

ガリガリされて行く仲村を見送りながら、学校の騒ぎを眺める(31)。
(31)「ヤだねー、寒イボ立っちゃう。噴水から麺がドバドバ溢れて鯉がわらわら集ってるよ。
  でもさ。何か変なんだよね〜。あれって教授が装置に入れた量より多いじゃないの?」
香川「確かに変ですね。麺の量が増えています。(更に機械をチェック)ああやっぱり。
  無茶な転送の指定で座標が平行世界と重なって、そこからこぼれ落ちている様です。
  装置は止めましたから、もう麺が増える心配はありませんよ」
江島「では、素麺がこっちに取られてしまった侘しい平行世界が何十とある訳ですか?
  それは気の毒だな」

「ソーメンが何十と?これが本当のソーメン75!」
寒ネタを口にした(31)が、仲村とバトンタッチでガリガリされて行ったのはともかく。
62名無しより愛をこめて:04/01/11 07:41 ID:fB/X0LIw

103 :ソーメン75 (4) :03/07/31 11:11 ID:BPyIh0vQ

ガリガリされる(31)を追い掛けて辿り付いたプールの側で、水泳部の部員達が騒いでいた。
部員「助けて下さい!親善試合で来ていた葦原涼選手が素麺の海に溺れています」
仲村「葦原?!あいつ、また溺れてるのかよ!」
部員「それと、葦原さんの知合いとか言ってたシンクロナイズド関係の人も、
  『出してくれ〜』って一緒に麺の中で騒いでますが」
(25)「…。その人が誰か予想は付いたっす」

ザクザクと素麺塊をぶった斬って泳ぐデストワイルダーに救出され、
「いや〜先輩、死ぬかと思いました」「げほげほ…大丈夫だ、俺は不死身だ」と
佐野満と葦原涼とがお約束なやりとりの後。

プール一面にみっちり詰まった素麺を前に、蒼ざめる葦原達だった。
香川「なるほど。ここが最も多くの転送先でしたか」
仲村「どうしましょうか、これ?」
東條「がっこうのみんなで、ながしそうめんをたべたらいいかも」
香川「いや。口に入れるのは危険ですよ?ここの水は消毒用の塩素が満ち充ちていますし、
  他にも風に飛ばされた木の葉などのゴミや垢や埃や錆がごっそりと蓄積していますから」
見てる内、所々ゴミ混ざりで白色の途切れてる塊が水を吸って更にぶよぶよに膨れ始め、
風に乗って茹で麺と消毒液の混ざった臭いが辺り一面に漂い始めた。

うぇっぷと、なんだか酸っぱい玉が胃から昇ってきそうな光景だった。

仲村「流せ!こんなもの流しちまえ!気持ち悪いから、とっとと排水弁を開けろ!」
佐野「それがですね、先輩。麺が絡まってて排水溝から一滴も流れようとしませんよー」
香川「これは酷いですね。仮に機龍改で取り除いたとしてもそのまま捨てる訳にいきません。
  消毒薬を吸った大量のでんぷん質の投棄で川が汚染されてしまいますよ?
  処理だけでもかなりの費用が掛りそうです。それに校舎内外の清掃費も莫大な物に…」

莫大な費用って…また今月も、うちの研究室は大赤字かよと涙する仲村だった。
63名無しより愛をこめて:04/01/11 07:43 ID:fB/X0LIw

104 :ソーメン75 (5) :03/07/31 11:12 ID:BPyIh0vQ

これからを相談し合う香川達の元に、麺つゆと薬味を乗せた盆を持ってローグがやって来た。
ローグ「…(食べれば少しはこれが減って、香川先生の負担が軽くなるかもしれません。
  私は消毒薬ぐらいは平気ですから、頑張って挑戦してみます)」
デス「がうう(俺も付合うぜ。肉以外は食いたくねえんだがなぁ。まあ仕方無ぇやな)」

仲村「くー。泣かせるな。ありがとうお前達。おい(31)、あんたにも若干責任があるんだし
  事務所に大勢居るちび達も呼んで来い。あの恐れ知らずの人形達なら『わーい!
  嬉しいでつ。泳ぎながらご飯が食べられまつ』って喜んで食い尽してくれそうだ」
(31)「冗談はよしてよね。うちのちび達にお腹壊させる気ぃ?
  それによそへ行っちゃ駄目だって言ってあるから、あいつら来れないよ」

葦原「『でつ』で思い出したが、佐野。お前のゼール達なら食いきれるんじゃないか?
  いつも腹を減らしてて『ご飯を炊き出してくれる百合絵さんが女神様に見えるでつ』とか
  言ってるし」
佐野「やめて下さいよ〜。あいつら、美味しい料理に慣れて口が奢ってきてますから、
  そんな事頼んだら暴動が起きますよ」


そんなやりとりを聞いて、麺つゆを前にゲッソリした顔になる2匹。
ローグ「…(壮絶に美味しくなさそうですし身体にも悪そうですが…貴方はどうします?)」
デス「うがうがう(あ゛ー!仕方ねえ。ボウズと先生とデカっ鼻の為だ。
  な〜に、あとで骨付き肉でも齧れば気力も戻らぁ。俺はやるぜ!)」
ローグ「…(ええ、そうですね。あの人達の為なら…。私も思いきって挑んでみます)」

デストワイルダー達が嫌々素麺に手を伸ばそうとした瞬間、大きな咀嚼音が辺りに響いた。
64名無しより愛をこめて:04/01/11 07:47 ID:fB/X0LIw

105 :ソーメン75 (6) :03/07/31 11:14 ID:BPyIh0vQ

何時の間にかプールの端に現れた浅倉が、平気な顔で素麺をバクバクと平らげていた。
浅倉「ここか、昼食の場所は」


その隣で黙々と、直にプールに腕を伸ばし素麺を食べる真司。
誰かが待て待て待てと叫びながら勢い良く走ってきた。
秋山「城戸!なにやってるんだ!みっともない真似はよせ!」

真司の肩を掴んだ瞬間、真司の腕の一振りで校舎の果てまで吹っ飛んで行く秋山蓮。
腕を上げたままの男は真司と違い、目が据わってて、口の端に邪悪な笑いを浮かべていて、
こっちの生活に慣れて大分性格が丸くなったとはいえまだまだ殺気を身体中に漲らせていた。

裏真司「うるさいな…。浅倉だけ良い思いをさせてたまるか。
  邪魔をしようたって、そうはいかないからな」
葦原「良い思いって、お前…」
佐野「いや〜。リュウガさんが良いならぜーんぜん構いませんよ〜。
  いや、胃がお強い!素晴らしい!どんどん続けちゃってください!」


時計搭にぶつかる寸前に時計盤の反射でとっととナイトになって翼を広げ、
空中でプールの騒動を見下ろす蓮。
「あいつ(ら)は、人間じゃない…モンスターだ」

だから人間の食べ物の味の良し悪しが判らないんだろうなと
ちょっと哀れに思ったりする蓮だった。

ゼール以下じゃん?(味覚が)
65名無しより愛をこめて:04/01/11 07:49 ID:fB/X0LIw
106 :ソーメン75 (7) :03/07/31 11:20 ID:BPyIh0vQ

相手が居る事で対抗心が燃えるのか、破竹の勢いで麺を喉に流し込む浅倉達だったが、
一向に麺が減る気配は無かった。
東條「あさくらくんたち、たのしそうだなー。いいなー。ぼくもたべたいかも」
仲村「やめろっての!体を壊す!絶対にやるn…」
ガリガリされて行きながらも、いいか!絶対食うなよバカタレ!と叫び続ける仲村だった。

そんな騒ぎの中、水面の反射からふらりと麺だらけのコートの男が現れた。
神崎「収拾がつかないようだな。ここら辺でタイムベントはどうだ?」
仲村「遅いぞ全裸!今頃ノコノコ現れやがって!
  勿体ぶらずにさっさとやr…。あ〜。
  …。
  …。
  神崎…さん。どうか、お願い、します」
神崎「お前の物言いには、今一つ誠意が感じられん」
佐野「いや〜神崎さん!さすが(パシッ!)世界の最高峰に君臨するゲームマスター!
  安易な依頼をシビアに跳ね除ける誇り高いその意思が、また漢らしくて渋くって!
  確かにこんな非常事態を収められるのは、地球随一の真の天才科学者大学院生、
  神崎さんしか居ません!いや〜その所々白いラインもコートに映えてお似合いで、
  濡れたような…ってゆーか濡れたままの黒髪も艶やかで、まさに水もしたたるいい男!
  いや〜憧れちゃうな〜。素敵だな〜」←久々の本気のヨイショモード

そんな見え見えのお世辞はかえって相手を不愉快にさせるだけだがと、顔を顰める涼。
神崎「まあ、いいだろう」 「(゚д゚;;)いいのか?」


    『  タ  イ  ム  ベ  ン  ト  』


そして時刻は動き出し…。
時が戻った香川達の目の前を、蓮がぴゅ〜と飛んで行った。
66名無しより愛をこめて:04/01/11 07:51 ID:fB/X0LIw
107 :ソーメン75 (8) :03/07/31 11:23 ID:BPyIh0vQ
仲村「全裸!10分前に戻してどうするんだ!意味無いっての!こら!逃げるな!」

葦原「やっぱり機龍改を出動させ、凍らせて固めて太平洋に捨てるしかないか。
  俺も手伝ってやるから、早くあれを呼び出した方が良いだろうな」
仲村「機龍改…って、また後始末が俺かよ〜(泣)」
葦原「俺も手伝ってやるから、後の事は気にするな」

いや、お前は謝るより先に殴るから、手伝ってくれなくてもいいよと心で呟く仲村だった。

東條「そっか、こおらしたら いーんだ。ねえ、なかむらくん。
  きりゅうがいやなら、ぼくのふりーずべんとをつかったら いーかも?」
仲村「何も考えずに喋るなドアホ!凍らした後どう捨てるかが問題なn…」→ガリガリガリ…
香川「それですよ東條君!凍らせた状態で真空に置けば勝手に乾燥されて重量が減ります。
  フリーズドライの技法、それでいきましょう」

香川の指揮で軽く打ち合わせた後、各々配置に付いた。
ストライクベントで麺ごとプールの水を巻き上げる北岡&吾郎ゾルダ。
フリーズベントで吹き飛んだ麺を一気に凍らせる東條。
アクセルベントで繋がりを細かく切刻む香川と仲村。
エクシードギルスに変身して、触手で素早く氷った塊を束ねる涼。
バケツリレーの要領で真空装置に凍った麺を運ぶ佐野のゼール達。
面倒そうな作業を目にして「俺を巻き込むな!」と言ってさっさと逃げ帰る蓮。
ひたすら麺を食べ続ける浅倉と裏真司。

間抜けで地味な重労働を何度も繰り返して、水が少なくなってきたら爆撃の代わりに
バケツですくって一斉に麺を放り上げ凍らせ、どうにかプールをカラッポにしていった。

香川「後は軽くなった麺を砕くなり焼却するなりすればここも片付きますよ」
浅倉「食いものを燃やして捨てるだと?ハァ?何考えてるんだ…お前ぇ」
怖い顔で詰め寄る浅倉達を前に香川は怖じずにニッコリと笑った。
香川「では、これの処分はお二方にお任せします」
67名無しより愛をこめて:04/01/11 07:53 ID:fB/X0LIw

108 :ソーメン75 (9) :03/07/31 11:24 ID:BPyIh0vQ

塩素その他味((((;゚Д゚)))の大量の乾麺を無理矢理ベノスネーカーの背中に乗せ、
秘密基地に持って帰る浅倉だった。

「食うか?まあ食わないだろうな…」一人で勝手に麺を貪り続ける浅倉の側、
頼まれても要らねえとばかりベノスネイカーはホッと胸を撫で下ろしていた。


そしてリュウガの居候してる霧島美穂の家では…。
美穂「どうしたの?あんたが食事を用意してくれるなんてね。気が効くじゃん?」
裏真司「貰いもんだ。霧島も城戸も食え。遠慮するな」
真司「うん判った。これに餃子を乗せてさ、スタミナ素麺にしようよ」

…浅倉と違って、身近な者にも分けてあげようなんて思い付くのは
こっちの生活に慣れて大分性格が丸くなったせいだった。
餃子を茹でたり、ネギや小皿を楽しそうに食卓に並べる美穂達。
刻一刻と、口に入れた瞬間の悲鳴と怒声のドタバタ騒ぎの時が近付いていた…。
68名無しより愛をこめて:04/01/11 07:56 ID:fB/X0LIw
109 :ソーメン75 (終) :03/07/31 11:25 ID:BPyIh0vQ
香川「いやはや。疲れました。当分、麺類を食べる気がしませんね」
(31)「ゴロちゃん、お願い。麺以外の料理を頼む」
(25)「はい、先生。暑気払には舌に熱い物の方が良いらしいので、夏野菜の辛口カレーを
  用意しておきました。東條さんの分は特別に辛味を控えめにしてあります」

特製カレーに舌鼓を打ちつつ、もうこんな騒動はこりごりだとこぼす香川達。
香川「今度素麺を流す時は、自動転送装置は外してローグに手動で流して貰いますよ」
(31)「えぇ?まだ素麺流しにチャレンジする気ぃ?一度作った物は大事にするのってさ、
  やっぱ貧乏人は一味ちg…」←いきなり(25)から苦いゴーヤジュースを手渡され沈黙

葦原「お前、さっきから何をしてるんだ?」
東條「ぼくのじゃないぶんの、かれーが からいから、ぐるぐるにながしてうすめてみたけど
  からいのはおなじだったよ。がっかり」
仲村「カレーって…流すって…まさか…」

蓋を開けると素麺流し機はカラッポなままで、入れたカレーは微塵も見当たらなかった。
涼が恐る恐る蛇口を捻ってみると、茶色のどろどろが(略)
すぐに校内から悲鳴(略)

香川「プールの方から何か声が聞こえてきますよ。『辛い〜!身体中ピリピリする!
  出してくれ!出して!ここから出して〜!』…と言ってるようですが」
仲村「(げっそりした顔で)またあいつかよ」

涼と(25)と仲村がハシゴを担いで馬鹿者救出に向かうのを窓から見送りながら
(31)「いや〜。あつはなついね」
東條「なついねー」
香川「なついですね」
全員総意で現実逃避に走りだそうとしていた。

飛んで来たソノラブーマが窓枠に掴まってミンミン鳴きだし、暑苦しさに拍車をかけた。
…今から、もっともっと暑くなりそうだった。
69名無しより愛をこめて:04/01/11 07:59 ID:fB/X0LIw

113 :プロX番外編・駄菓子菓子 1 :03/08/06 13:14 ID:zNd+vZtt

海堂「ちゅうか。スコンブと、すももが、マイフェイバリット…
  いや…もう、らぶらぶ愛してるって感じか?」
東條「ぼくがすきなのは、たべっこどうぶつだよー」
海堂「ふっふっふ。こ〜の、お子様めぇ!甘ケりゃ美味いってぇのは、お子様の証拠。
  砂糖を水に溶かしただけの代物をゴクゴクっと飲んで『うーまーいーぞー!』って
  言うのとおんなじだぁ。そんな事平気で言うのは、お子様かカブトムシぐらい…っテな」

東條「(真顔で)さとうみずも、おいしいかも。じゅーすのかわりに のんでみようかな」
海堂「あ〜。あんたならやるな。うん。かっくじつに。ま、やめとけ。
  菓子の旨さっちゅうのは、甘いだけじゃないからな。ショッパ味も酸い味も辛味も
  色々あって、それでそこがまた良いんだわ」
東條「なんで?おかしは、あまいもののほうがいーよ」
海堂「酸いも甘いも噛分けて、苦味までも美味いと感じられるようになったら大人の証拠。
  ちゅうんで、スコンブ系は多めに発注すれ。いますぐ。さあ早く」
仲村「おいおい。勝手な話しをするな。俺は調べてるだけで、注文はしないんだからな」

出張で久しぶりに顔見世に来た戸田に付いて来て、駄菓子談義で盛りあがる海堂達をよそ目に
ttp://www2a.biglobe.ne.jp/~dagashi/index.html
こういう所を参考に、サークルの後輩達の為に学園祭の模擬店の下調べをしてる仲村だった。

ttp://www2a.biglobe.ne.jp/~dagashi/dagashisouannai.html
戸田「なるほどー。懐かしいな。よっちゃんカット…よっちゃんイカか。あれもいいぞ。
  これを模擬店の主力商品にしたらどうだ?」
海堂「スコンブも・ぬかりなく・忘れるなよ(変なポージングをしつつ」
東條「たべっこどうぶつもね?」

仲村「どこの世界にっ!酢イカと酢昆布とたべっこどうぶつばかりの駄菓子屋へっ!
  来 る 客 が 居 る か ー っ !この馬鹿ちん共ーっ!」
70名無しより愛をこめて:04/01/11 08:05 ID:fB/X0LIw
114 :駄菓子菓子 2 :03/08/06 13:14 ID:zNd+vZtt
騒ぐ仲村達を冷ややかに眺めつつ、恒例のミーティングで香川と茶を飲む北條透だった。
海堂「そこの凸兄ちゃん。スコンブ食うか?」
北條「いいえ。ご遠慮します。駄菓子なんて下賎な物は食べた事が無いですから」
海堂「ウソだろ?そう言や、似た様なツラの凸も同じ様にスカした事を言ってたな。
  ハハァ?お前ら、好き嫌いして昆布を食べないからそのせいで凸が…」
ダッシュで海堂を担いで、真っ白になりかけてる北條の側から急いで引き離す木場だった。

木場「スコンブ、スコンブって、そんなに酸っぱい物が良いのか?ひょっとして疲れてる?」
海堂「そうさのぉー(マシューじいさんの物真似で)。酸っぱいものが欲しい時って〜、
  色々あるけどな。振られた時とか振られた時とか振られた時とか振られた時とか。
  ま、心身共に疲れた時はぁ、あの酸っぱさが気を引き締めてくれるっちゅうか、
  クエン酸のパワーが細胞1個1個に染み込んで気を奮わせるっちゅうか。
  論より実践。酸っぱアイテムを試しに食え。食ってみろ。ほらほら遠慮するな」

海堂から梅ジャムを貰って、アーーすっぱ〜と口をすぼめる木場勇治だった。
なんだか懐かしいな。祭りの夜を思い出すよ。酸っぱいと言うよりしょっぱい桃色を、
甘いふわふわのミルクせんべいに付けて食べて歩いたっけ。
安っぽくて懐かしい駄菓子の味。ハッカパイプ、りんご飴、チューブゼリー、卵カステラ…。
チリンと鳴るガラスの風鈴。花火の屋台に漂う火薬独特の臭い。…浴衣で笑う娘の笑顔。

   ねえ勇治?…こうやって一緒に…
   …来年も一緒に行こうね?…
   …一緒に…

「ちぃぃぃぃえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ウワァァァァァン!!」
大好きだったはずの千恵に手酷く振られちゃった事その他を思い出し
涙と鼻水をダダ漏れに流しながら、馬オルフェ疾走体になって走り去る木場だった。

北條「い、今、馬型アンノウンがそこに居ませんでしたか?」
香川「さあ。見間違いではありませんか?(空とぼけつつ茶を飲みながら」
海堂「な?な?振られた酸っぱい思いは、酸っぱい味で癒されるよな?な?」←逆
71名無しより愛をこめて:04/01/11 08:29 ID:fB/X0LIw

115 :駄菓子菓子 3 :03/08/06 13:17 ID:zNd+vZtt

空き地でえぐえぐ泣いてる木場の肩をぽんぽんと叩いて、
振り返った木場の頬にブニっと当るマーブルチョコの筒を見て、クスクス笑う東條だった。

東條「はいこれ。ちょこをたべて、げんきだしてね。
  きばくん、ないて はしっていったから、せんせいが しんぱいしてたよ?」
木場「何でも無いよ。んー、何でもあるかな?駄菓子のせいかもしれない。
  父さんや母さんや親戚や友達と一緒に縁日に行った事を思い出したら泣けてきたんだ」

東條「おかーさんや、おとーさんを、おもいだしてたの?」
木場「うん。もう走っても追い付けない、どこにも無いものを、追い掛けても仕方無いって
  そう決めた筈なのに。父さんや母さんが居てまだ幸せだった頃の思い出が、ふっとね」
東條「そっか。でも、きばくんは いいなー。
  やさしいおかーさんとおとーさんの、おもいでが いっぱいあって。
  まえにはなしてくれた かぞくりょこうのはなし、とっても おもしろかったよ」
木場「うん、そうだったよ。父さんも母さんも、面白くて素敵な人たちだった」
72名無しより愛をこめて:04/01/11 08:31 ID:fB/X0LIw

116 :駄菓子菓子 4 :03/08/06 13:17 ID:zNd+vZtt

東條「きばくんのおかあさんたちは、てんごくのりょかんで のんびりおさけを のみながら
  『いそがなくてもいいから あとからゆっくりきなさいね』って、
  そういってるんじゃないかな・・って、あとで せんせいがいってたよ。
  ぼくも、そうおもうよ。でね、うーんとうーんと みらいに、きばくんがおじいさんに
  なったころ、きっとみんなで また、たのしく りょこうできるのかも・・って」

木場「ありがとう。俺はもう、そこに行って父さん達に会えないと思うけど、ありがとう。
  そう言えば君のお父さんとお母さんってどんな人?楽しい人かな?真面目な人?
  きっと、君みたいに素直で幸せそうな人のご両親なら、優しくて良い人だよね」
東條「ぼくのおかーさんや、おとーさんはねー・・。あー、ですちゃんだー。ですちゃーん!
  たべっこどうぶつ いぱーいけいかくは どうなったのー?」←木場を置いて走り去り

木場「おーい、おーい。話の途中で、何話してたか忘れるなよー。しょうがないなぁ(苦笑」
デス「がうがう(ボウズ、ここに居たのかよ。おっと、木場のダンナも一緒か。
  済まないな。ボウズがまた何か迷惑を掛けなかったか?)」
木場「いや。むしろ迷惑を掛けたのは俺の方で。今日は、東條君に元気付けられたかな」
73名無しより愛をこめて:04/01/11 08:33 ID:fB/X0LIw

117 名前:駄菓子菓子 5 [sage] 投稿日:03/08/06 13:18 ID:zNd+vZtt

バリバリと菓子を食べながら歩く東條を、隣でぼーっと眺める木場だった。
俺が甘い物を普通ぐらいにしか好きじゃないからかもしれないけど…。
んんー、良く判らないな。
菓子を口にしたぐらいで、どうしてここまで幸せそうな顔が出来るんだろう?
このひとは心の底から本当に甘いものが大好きなんだな。だから丸っこいのかな?

甘い物を無性に欲しくなる時は、疲れてる時以外にはどんな時なんだろう。
俺だったら何かこう…子供に帰って色々と懐かしくなりたい時かな。

木場「君は良いよなぁ。いつも甘い物を食べて幸せな顔をしている。優しい先生と
  面倒見の良い友達としっかり物のペットが居て、君を色々守ってくれているし。
  それに引き換え俺は…(人間関係の苦労多いよなー。溜息)」

東條「きばくんには、ゆかさんやー、かいどうさんやー、いぬいくんやー、まりさんやー。
  ほかにもともだちがいっぱい いて、きばくんのことを だいすきだし
  きばくんをたよりにしてるって みんないってるよ?」
木場「そんなに頼られてるかな」
東條「それに、うえまつさんや、とおるちゃんや、しゃっちょさんや、さえこさんや、
  しまださんも、きばくんたちといろいろ おいかけっこや かいしゃごっこしてるから、
  まいにち たいくつしないよね?」
木場「まぁ、そうかもしれないけどね」

酸っぱい物が食べたくなる時は、気を引き締めたい時
甘い物が食べたくなる時は、懐かしくなりたい時
今の俺は、何が食べたい気分かな。
激辛の柿の種?ビターハードなスイーツ?

そうだな。もっと心を強くしよう。俺だけじゃなくて、俺を信頼してくれる人達の為にも。
苦味も辛さも何もかも自分の物にして、守る事も戦う事もジレンマも乗り越えられる様に。
74名無しより愛をこめて:04/01/11 08:36 ID:fB/X0LIw

118 名前:駄菓子菓子 終 [sage] 投稿日:03/08/06 13:19 ID:zNd+vZtt

東條達が401号室に戻ると、「こりゃ懐かしいな」と
画面を見てワイワイ騒ぐ人数が増えていた。

城戸「でもさ。焼きギョーザ味のベビースターが無いのって納得いかない」
仲村「あれは限定版で高額商品だから、大規模店舗向けの卸が扱ってるんだろうな」

浅倉「ハァ?何だこれは?うまい棒のヤキソバ味はどうした?無いじゃないか?」
真司「それにギョーザ味のうまい棒も無いじゃん」
仲村「それっていつの話しだ。どっちもとうの昔に製造中止になってるっての!」

浅倉「まあいい。やきそば屋さん太郎で手を打つぜ?」
仲村「手を打つって何だよ?待て、浅倉!蛇!勝手にメールに入力するな!」
真司「ラスクってさ、バゲット風の食感が良いんだよな〜。ぜひ入れておいてよ」
仲村「城戸!キーボードに触るな!学祭は再来月なんだから、今から頼んでどうするんだ!」
海堂「酢ダコさん太郎に、のし梅さん太郎に、すも太郎に…」
戸田「甘イカ太郎や、信玄イカも良いな」
芝浦「ケチケチすんなよな〜。貧乏人はこれだから。じゃあさ、全商品を10カートンづつ…と
  んで、ポチっとな。これだけ頼むと、キャンセル料も馬鹿にならないね(クスクス」


「蛇×2!その他大勢!何て事しやがる!」即金で払え、さあ払え!と喚き散しながら、
狭い室内の中、蛇混ぜその他大勢をサイコローダーで追い掛け回す仲村と、
当分、昼食はうまい棒になりそうですねと遠い目で茶を飲む香川。
まだ真っ白なままの北條。


…401号室は今日も平和だった。
75名無しより愛をこめて:04/01/11 08:39 ID:fB/X0LIw

124 :バジンたんは一生懸命なので 1 [sage] 投稿日:03/08/16 13:17 ID:Pw8ezd0r

怒声と蹄の音。 異質な金属と硬質な物体のぶつかる響き。
その場では、空気を熱く奮わせるオゾンの躍動が、武器と武器で奏でられていた。

やがて小一時間続いた抗争も体力差から拮抗していた形勢は崩れ始め、
叩き付ける様に振り下ろされたホースオルフェノクの剣が
やや動きが弱まりだしたファイズの身体を弾き転がした。

倒れる際の僅かなタイムラグを利用して、リベンジの用意をするファイズ。
次の攻撃が振り下ろされる前にグランインパクトが放たれ、
盾では防ぎきれないほどの衝撃を馬に与えた。

青い炎をあげて盾が朽ちると同時に、剣を両腕に構え直し突撃する馬。
迎え撃つ為にファイズエッジに手を伸ばすファイズ。
その時バイクが起き上がり一瞬で変形した。

ド! ガッ!ガッガッガッガッガッ! ガッ! ガッガッ!!

最初の射撃音を聞いただけで、とっさに左右に逃げるファイズと馬オルフェノク。
辺り一面、乱入してきたオートバジンの射撃で地面中に穴が穿たれ、
砕けた敷石とその下の土とで灰色と赤黒色のまだらが大きく地面に描かれていた。

この隙にホースオルフェノクが逃走したと気付き、舌打ちをするファイズ。
変身を解いた乾巧は、オートバジンに駆け足で近付くと思いきり蹴り上げた。


乾「あいたっ!痛って〜! おい!いい加減、敵味方の区別を覚えろ!このポンコツ!」
バジン「なんでかな?たっくん。助けてあげたのにそんな言い方無いバジン」
乾「うっせぇぇぇぇー!あのまま戦ってたら俺の方が勝ってたんだ!
  お前はもう何もするなーーーーー!!(切実)」
76名無しより愛をこめて:04/01/11 08:40 ID:fB/X0LIw

125 :バジンたんは一生懸命なので 2 :03/08/16 13:18 ID:Pw8ezd0r

恐竜やの近くの空き地、保父仲間同士仲良く、
ティラノ相手に買い物帰りのデストワイルダーが世間話をしてた。

側でガソリンを飲みながら呟くオートバジン。
バジン「もっともっと、たっくんの役に立ちたいバジン」
デス「がうがう(そりゃ良い心掛けだ)」
バジン「でも何をすれば良いバジン?他のみんなと違って、戦闘以外なにも出来ないバジン。
  最近は『バッシャーの方がよっぽど役に立つ』って言われて、なんだか辛いバジン。
  ティラノサウルスさんもデストワイルダーさんも、合体や家事や色々出来て凄いバジン」

…。まあ、合体はともかく。本来は戦闘補助が専門の俺達が、買い物や家事や保父をする方が
よっぽど変なんだけどな、とはバジンに言わずにおくデストワイルダーだった。

デス「うが(なにってな。そりゃま戦うしか能が無ぇなら、それこそ戦いの機敏を学ばなきゃ
  話しになんねぇわな。よしゃ。いっちょ手伝ってやらぁ。
  ご町内のドンパチでも眺めてりゃ、おのずと身に付く事もあらぁわな)」
ティラノ「俺も協力するテラ。俺も戦う以外、凌駕や舞ちゃんをうまく手伝えなくて
  お前の歯がゆい気持ち、ちょっとは判るテラ。だから、慣れない下手な事よりも
  出来る事を磨く方が良いテラ。お前は戦いの術を学ぶ方がよっぽど乾の力になれるテラ」
77名無しより愛をこめて:04/01/11 08:43 ID:fB/X0LIw

126 :バジンたんは一生懸命なので 3 :03/08/16 13:19 ID:Pw8ezd0r

東條「てぃらのさーん! せんせーの りょうしなんとかへんかんき、もってきたよー。
  これで ゆうがたまで ちいさくなれるかもー」
ティラノ「おう。すまねえな」

東條が抱える機械から何かの振動を浴びると、ティラノは大きな土佐犬くらいのサイズに縮んだ。
ティラノ「こりゃいいや。俺が滅多に入れない場所もラクラク行けそうだテラ。
  これならバイク野郎にも色々直で助言が出来るテラ」

ティラノの様子を見て、他の爆竜達もゾロゾロ集まってきた。

東條「えー?みんなも ちーさくなってみたいの?」
プテラノ「うん。一度、らんると一緒に買い物がしてみたかったプラ♪」
トリケラ「ニンゲンの大きさになれたら、幸人さんの手伝いがいっぱい出来るケラ」
アンキロ「キロキロ。これで楽しい事(= イタズラ)がいっぱい出来るキロ」
パラサロ「街に躍り出て、アミーゴ達に色々とアッピィルするパラサ」

東條「ぶらきおさんも ちーさくなってみる?」
ブラキオ「別にいいブラ。大きさが変ると、みんなが安心して帰れないブラ。
  ゆっくり昼寝でもしながら、このサイズのままで、みんなの帰りを待つブラ」

東條「はい じゅんばんにならんで。えーと。めもりはこれでいーかな?ぽちっとな」
並んだ爆竜の居た場所はカラッポになった。

草地を良く見ると…
指の先ぐらいのトリケラトプスとアンキロベイルスが困惑気味に立っていた。
78名無しより愛をこめて:04/01/11 08:46 ID:fB/X0LIw

127 :バジンたんは一生懸命なので 4 :03/08/16 13:21 ID:Pw8ezd0r

三条「なんだ?これは?」
東條「おもちゃじゃないよー。けらちゃんたちだよ。よていより ちょっとちっちゃく
  なっちゃたかも。でも おひさまがしずんだら もとにもどるから」

トリケラ「MMのみんなみたいに、幸人さんの側で役に立ちたかったのに…申し訳無いケラ。
  これじゃ役立たずで足を引っ張るしかないケラ(半泣き」
アンキロ「そうそう。本当にトリケラは馬鹿だキロ。あんなアホの子の口車に乗るから、
  こんな目に会わされて。こっちまで迷惑キロ(ウソ泣き」
三条「まあいい。事情はゆっくり後で聞く。とりあえずこれにでも入ってろ。
  ふ。たまには、お前達が入れないような店で一緒に食事をとるのも良いだろうな」
トリケラ・アンキロ「一緒に食事?わーい♪」



パラサロ「では行ってらっしゃ〜い!セニョール達」
プテラノ「先に並ばなかったのは運が良かったプラ。じゃあティラノ、頑張ってプラ。
  今日はティラノの代わりに舞ちゃんと留守番しておくからプラ」

デス「うがうがう(実践に一番良いなぁMWだな。俺に付いて来れば入れるが…。
  どうするよ?ティラノ?生物は9分ちょいで帰らないと粉々になっちまうぜ?)」
ティラノ「すぐに帰れば良いテラ。前からあっちの世界、ちょっと見てみたかったテラ」
デス「ぐがう(うーん。トンボや鹿がいっぱいで、あんまり面白い所じゃない無ぇんだが。
  まあ行きたいなら良いや。くれぐれも時間にゃ気を付けろな)」
バジン「タイマーは任せてバジン」


MWに付いた途端、無数のミサイルがデストワイルダー達に降り注いだ。
79名無しより愛をこめて:04/01/11 08:49 ID:fB/X0LIw

128 :バジンたんは一生懸命なので 5 :03/08/18 12:48 ID:MA8KI0QP

「わ゛〜!」と叫んで全員ふっ飛ぶものの、毎度のEOWの事なので大した被害は無かった。
呆然とした様子で側に立つ、マグナギガと散歩中の(25)版ゾルダ。
慌てて謝る(25)に、EOW慣れしてなかったのでちょっと説教するティラノ。

ストレス解消とトレーニングを兼ねてEOWを撃ちまくる(25)を、バジンは興味深そうに眺めた。
バジン「この前輪のバスターホイールにも、マグナギガさんのEOWや
  バッシャーのエクザップバスターみたいな大きな攻撃力があったら、
  もっと役に立てて、たっくんにも誉められたかもバジン」
デス「がうがうが(よそはよそだ。お前にゃ身軽に飛べる技があるじゃねえかよ)」
ティラノ「おおよ。一芸があるなら、そっちを鍛錬すれば良いテラ。
  そうだ!この緑牛の弾薬から身をかわす練習なんてどうだテラ?
  そこの兄ちゃん、弾の前を走っていいか?俺達も一緒に走って撹乱するテラ」
デス「がうがう(そりゃいいな。最近、スリルのない生活で身体がなまって
  仕方無かったからよ。丁度いい筋肉ほぐしになりそうだ)」


小洒落た店の中。回りに見られない様にそっと料理をひとさじ、小箱に差入れる樹らんる。
頭だけ出して受け取ると、これも美味しいとハシャぐアンキロ。
アンキロ「トリケラは意地汚く食べ過ぎて〜、引っくり返ってフーフー言ってるキロ」
三条「そうか。そんなになるまで詰め込むか。馬鹿な奴だ(苦笑」
らんる「本当に良く食べるとね。見てて楽しか(笑」

アンキロ「なになに?今度は『白桃のムースが食べたいケラ』って言ってるキロ。
  『デザートは別腹だケラ』とか無茶な事言ってるキロ。もういいキロ!
  こんな食いしん坊の言う事は聞く事ないキロ!」
アスカ「こら。ちょっと口が過ぎないかアンキロベイルス?」
三条「そんなに腹を壊したいのか?どうなっても知らないぞ。
  ウェイター、この27番のデザートを追加だ」
アンキロ「キロキロ(♪しめしめキロ)」
80名無しより愛をこめて:04/01/11 08:51 ID:fB/X0LIw

129 名前:バジンたんは一生懸命なので 6 [sage] 投稿日:03/08/18 12:49 ID:MA8KI0QP

バジン「AIに避けのパターンが色々インプット出来て助かったバジン。
  それに、相手の立場を想像して補助する由良さんの話しも参考になったバジン。
  たっくんの危機には色々応用してみるバジン。
  それにしても由良さんとマグナギガさんの連携ぶりは凄いバジン」
(25)「いいえ。先生の方がマグナとは良い関係を築いていますから、
  先生の方がもっと上手く動けます。俺なんか、まだまだっす。
  それにいつもマグナには俺の方が助けてもらってて、感謝しても感謝が尽きないっす」
マグ「ブモー(ウレシイデス ゴロウサン)」

バジン「いーなー。一度で良いからたっくんから、お礼の一言が聞いてみたいバジン」
(25)「乾さんも心の中では感謝してるんじゃないっすか?あの人は俺と同じで口下手だし。
  オートバジンさんには戦闘の時に随分助けて貰ってるって聞いてますよ」
バジン「由良さんはフォローの達人バジン。…あ?あれ?今そこに、
  オモチャみたいにちびっちゃい、ゾルダやマグナギガや青ガンダムが
  いっぱいいっぱい居なかったバジン?」
(25)「さ…さあ?見間違いじゃないっすか?」

…ヒソヒソ…ほらほら他所のスレへ来ちゃだめでしょ?…
…水羊羹を作ってあるからそれでおとなしく留守番してるっす…
…あーい、わかりますた!……ドヤドヤドヤ…

バジン「や、やっぱり何か居たバジン!」
(25)「気のせいっす!」
マグ「ぶーもー!(キノセイデスッ!!)」
81名無しより愛をこめて:04/01/11 08:54 ID:fB/X0LIw
130 名前:バジンたんは一生懸命なので 7 [sage] 投稿日:03/08/18 12:50 ID:MA8KI0QP
その頃…。
西洋洗濯鋪菊池の前に、暗い怪しい気配を漂わせて立つ影二つ。

須藤「ふ…。今日こそ園田さんに、私の思いを伝えますよ。
  この世に貴女ほど、私の壁を埋めるのにふさわしい女性は居ません、と」
ボル「ぼるぼる(須藤さん、まだあの女の子を諦めてなかったんですか?)」

須藤「園田さん、須藤です。いつかはお世話になりました。園田さん?居ませんか?」
草加「だれだ おまえ。まりに なんのようだ」

須藤「おや?随分と馴染みのある奇妙な喋り方ですが。あなたこそ園田さんの何ですか?」
草加「かのじょとは めっちゃらぶらぶな あいだがらだ。ふん。しょっくだったか?
  あと、かんちがいしてほしくないな。すきでこんなしゃべりかたを するわけないだろ?
  これも・・。くそ!とうじょうめ・・」

須藤「ほお。東條さんのお知り合いですか?」
草加「しりあいでもなんでもない!あいつが おれのたんじょうびに へんなそうちを
  おくってから、おれは あいつとおなじ ぴよしゃべりになった。
  おまえ あいつを しってるなら かいじょほうを きいていないか?」
須藤「もし解除方法を知っていても、あなたに教えるつもりはありません。ふふん。顔真っ赤
  ですよ?『口を割らせる』とはまた穏やかでないですね。…いいでしょう。1対1で」

良く似た顔同士、互いに睨み合ったあと…
「す゛た゛ん゛でぃ゛ばぁ゛」「standing by」
「へんしん!!」「変身っ!」
…そこにはカイザとオルタナファイズが睨み合っていた。

須藤「ボル!やってしまいなさい!」
草加「1たい1の さしじゃないのか?はなしがちがうな。ま、それなら はなしがはやい」

草加のサイドカーがその場で1回転すると、サイドバッシャーの巨体がズン!と降臨した。
82名無しより愛をこめて:04/01/11 08:57 ID:fB/X0LIw
131 :バジンたんは一生懸命なので 8 :03/08/18 12:52 ID:MA8KI0QP

トリケラ「幸人さん…どこ行っちゃたケラ?お腹すいたケラ」

…ちょっと前。
わーい♪お食事♪お食事♪と浮かれて景色を見ていたら、
気が付いたら身を乗り出した箱の縁からポトっと落ちていたトリケラだった。

トリケラ「幸人さん!幸人さん!ゆーきーとーさーん!!置いて行かないでケラ!
  そんな!ダイノブレスに通じてないケラ!助けてケラ!」
アンキロ「大変キロ!じっとして、そこから動いちゃダメだキロ!絶対ダメだキロ!
  アスカに伝えて回収してもらうキロ!(…ご飯が終わってからだけどね〜キロ♪)
  すぐ助けに来るから、それまで我慢して待ってるキロ!」

…と。アンキロとの会話を思い出しながら
言われた通り素直にぺたっと座り込んだまま、幸人が来るのを待ってるトリケラだったが、
気が付くとなんだか小さいものに、わらわらと囲まれてた。
??「この子、知ってまーつ!『アバレンジャー大集合』って食玩でつ!」
トリケラ「失礼な。食玩じゃないケラ!本物ケラ!」ぐ〜!!
??「おや?お腹が鳴ってまつね?」

やめろ!離せ!動いちゃダメなんだ!どこへ連れて行く気だ!と抗議するトリケラをよそに
可愛い〜可愛い〜仲間〜仲間〜仲間〜ワショーイ!と担がれて行って…
着いた先で水羊羹と特製和風サラダを出されて一息つくトリケラだった。

…ザワザワ……番犬みたいでカッコいいでつね……野菜が好きな良い子で良かったでつ…
…名前はどうしまつ?……ポチがいいでつ……チャコは?……番号はどうでつか?…

妙な相談が聞こえる中、ガンプラ空き箱製の「犬小屋」で途方に暮れるトリケラトプス。
トリケラ「困ったケラ。悪い奴らじゃないみたいだけど、一緒に暮らす気は無いケラ。
  隙をみて幸人さんの所に戻らなきゃ。でも、ちっちゃいって言われると変な気分ケラ。
  今までちっちゃく見えてたニンゲンみたいに見えてるのかなケラ?」
83名無しより愛をこめて:04/01/11 09:00 ID:fB/X0LIw
132 :バジンたんは一生懸命なので 9 :03/08/25 13:14 ID:XS0uqsSv
バッシャーのエクザップバスターが、須藤の居た場所に炸裂した。
爆風の中に消えた姿に向かって高笑いするカイザ。その真後ろに現れる須藤。
須藤「これはEOWと同じタイプの追尾弾ですね。慣れれば、避けは難しくは無いですよ」
草加「なに?!」
須藤「それに追尾弾と言う事は…」

次の瞬間、バッシャーの操縦席で爆裂する弾薬群。
間一髪で爆破から逃れると、カイザブレイガンを構え、正面から須藤に斬りかかる草加。
須藤「あなたは剣術を学んでるようだが、私も職業柄、武道は多少たしなんでいますので…」
ボルキャンサーの投げ寄越したシザースピンチでブレイガンの柄を捉え、弾き返す須藤。
草加の怒声と須藤の挑発、剣と鋏がぶつかる不協和音は、暫くの間途絶える事が無かった。

ボル「ぼるぼる?(須藤さん?この男はこのままMWに連れて行きましょうか?)」
須藤「そうですね。この 程 度 の腕なら引きずり込まなくても簡単に勝てるでしょうが」
草加「なめられたものだな。おれは そうかんたんには ・・そこだ!ばっしゃー!」
バッシャー「ヴァ!」
上半身を煤で真っ黒にして、口(あるのか?)からパフっと煙を吐きながら、
怒り狂って須藤に掴みかかるバッシャーだった。
須藤「しまった!!」


??「爆竜の番犬たん、喜んでくだちぃ。番犬たんの名前は『ゼロ』に決まりますた」
??「『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の賢いワンちゃんのゼロでつ」
??「そう言えば『うしろの百太郎』の根性悪超能力犬もゼロだったよねー」
??「大きい俺だったら『魔犬ライナー 0011変身せよ』から取ったって言うかもね?」

トリケラ「違うケラ。犬じゃないよぉ。堪忍してくださいケラ」

…わーい!ゼロ〜ゼロ〜!一緒に遊ぼ〜!……違ーう!犬じゃないケラ〜!!…
なんだか勢いに流されて、気が付くとボールを転がしたり家中を一緒に走るトリケラだった。
トリケラ「んー。大勢で遊ぶのは面白いけど、こんな事をしてていいのかなケラ?」
84名無しより愛をこめて:04/01/11 09:02 ID:fB/X0LIw
134 :バジンたんは一生懸命なので 10 :03/08/28 13:14 ID:ydBKR9yd
香川「おや?東條君、この装置を動かしましたか?」
仲村「お前まさか、また余計な事をしてないだろうな?」
東條「ばくりゅーさんを ちいさくしただけだよ。てぃらのさんは よろこんでたから。
  けらちゃんも さんじょうさんと ごはんをたべられるって よろこんでたかも」
香川「喜んで貰えたなら良かったですね。効果はすぐ切れるのであまり害は無いと思いますが
  あれは、他所で見掛けた装置を試しに再現した物で、動作が今一つ不安定です。
  思わぬ誤作動が起きるかもしれませんから、もう勝手に使ってはいけませんよ?」
東條「はーい」

既に、予定以上に、機械の性能以上に対象が縮んじゃった事は園児の脳から飛んでいた。
飛んでいたので香川には何も告げずに、黙々と「小さなけらちゃん達」を描いて遊びだした。


特売のアイスを大量に抱えて洗濯店に帰って来た啓太郎と巧、手伝って袋を持つ木場だった。

木場「あれは? あ!ファイズだー!!」
乾「だな。(また蟹刑事のニセファイズかよ。めんどくせー)
  馬鹿は放っとけよ。草加が適当に相手してくれっだろう」」
啓太郎「たっくん、酷いや。喧嘩なら見てないですぐに止めなきゃ!」
乾「止めなくたってもう勝負は…。あぁ?バッシャーに壁に叩きつけられたと思ったのに。
  身体丸めたジャンプで回避したか。ちょっとは、やるな。あいつ」
木場「ごめん。用事を思い出したから帰る。真理さん達にはよろしく伝えておいて」
乾「あ?ああ。じゃあな」

ぱからん ぱからん ばかっぱか! 「ふぁぁぁぁぁいずぅぅぅぅぅぅ!!」
木場が角を曲がった直後、怒りでバーサク状態のホースオルフェノクが乱入してきた。
啓太郎「たっくん!大変だ!オルフェノクも来たよ!」 乾「またあいつか!」

…まだ夏が始まったばかりで、互いの正体も知らない木場と巧達だった。
馬は須藤も草加もボルキャンサーも手当たり次第に斬り付けてその場を混乱させた。
慌てて本物のファイズギアを取り出しかけた巧の前に、異様な形の影3つが…。
85名無しより愛をこめて:04/01/11 09:06 ID:fB/X0LIw

135 :バジンたんは一生懸命なので 11 :03/08/28 13:16 ID:ydBKR9yd

ティラノ「…だな。あの世界、建物や車に気兼ねなく暴れられて楽しかったテラ」
デス「うがうが(そうか。また機会がありゃ…って、なんだこりゃ。
  おいおいおい。また派手なドンパチだな?ご町内で暴れていいのか?)」
バジン「たっくん、ただいま!修行の成果を見て欲しいバジン!」

乾「オートバジンか。丁度いい。お前、あいつらまとめてぶっ飛ばして来い!」
バジン「了解バジン。おい、バッシャー!避けの極意を学んだ新生オートバジンを見…」

口上途中でサイドバッシャーに掴まれ空遠くふっ飛ばされて行くバジンだった。
乾「駄目じゃん」
デス「がうがうー!(ったく。な〜にやってんだよぉ。考え無しに突撃するなぃ!)」
ティラノ「もうちょっと戦闘センスを鍛えた方が良いテラ。あれじゃ実力が勿体無いテラ」



トリケラ「次は…かくれんぼはどうかなケラ?鬼は任せてケラ」
…それいいでつねー……わーい逃げろー!…

小さな姿が全部消えたのを確認してから、急いで外への道を探すトリケラ。
トリケラ「ごめんね、ごめんなさいケラ。でも、もう帰らなきゃいけないケラ」

が。幾ら調べても、窓も扉も内側から固く閉ざされ、力の無い身体では鍵を回せなかった。
開かない脱出口を前に、絶望的な気分で叫ぶトリケラ。
トリケラ「幸人さーん!幸人さん…助けて下さい。ああ、もう、どうしたらいいケラ?
  幸人さん…このまま知らない家の番犬になって終りたくないですケラ。
  エヴォリアンと戦ってダイノアースを取り戻すって、そう仲間達に誓ったのに…
  だから…こんな事をしてる暇は無いケラ!幸人さん…。幸人さん…今どこに居るケラ?」
86名無しより愛をこめて:04/01/11 09:09 ID:fB/X0LIw

136 :バジンたんは一生懸命なので 12 :03/08/28 13:17 ID:ydBKR9yd

アンキロ「わ〜ん!ごめんなさいキロ!まさかどっかに行くなんて思ってなかったキロ!」
アスカ「どうしてこんな酷い真似を…。お前は最低だ!
  何故だ?!何故、トリケラトプスが足を滑らせた時にすぐに教えなかったんだ!」
アンキロ「お腹すかして目を回した所で見つかった方が面白いと思ったキロ。
  ちょっと悪いと思ったから、トリケラの分のお土産も貰ったのに…わーん!ごめんキロ!
  行方不明だなんて…そんなつもりなかったのにー(本当泣き」

白亜「探しましょう。大丈夫です三条さん!きっと近くに居るはずですよ。
  時間がたってないなら、そんなに遠くに移動できませんから」
三条「俺が馬鹿だった。オモチャを持ち歩いてると思われるのが嫌で、
  外から見られない様に隠してしまって…。
  あいつをちゃんと掌に掴んで、しっかり見ていれば良かった」
らんる「過ぎた事をぐじぐじ言っても仕方なか!今はケラちゃん探しが先たい!」


三条(接触不良だと?この前の戦闘の後でメンテをしっかりしておかなかったと、
  らんるの奴ぎゃあぎゃあ怒ってるが、それこそ過ぎた事…。いや…。
  確かに翻訳に頼り放しでダイノブレスを過信してた。
  直であいつの声が響いてたのに、意味を判ってやろうとしなかった俺は大馬鹿だ。
  トリケラのダイノガッツをもっと真剣に受けとめてやれば良かった…)

苦虫を噛み潰した顔で腕を組む三条幸人の上に、オートバジンが落っこちてきた。
87名無しより愛をこめて:04/01/11 09:10 ID:fB/X0LIw

137 :バジンたんは一生懸命なので 13 :03/08/28 13:18 ID:ydBKR9yd

ティラノ「おやぁ?凌駕、どうしたテラ?」
白亜「ああ、丁度良い所に来た来た〜。トリケラトプスが行方不明になったんだ。
  ティラノの力でなんとか行方が判らないかな?」
ティラノ「そいつは大変だテラ!」
デス「うが?(姿が消えた?任せろ!MMはターゲット追跡能力が高ぇんだぜ!)」

デストワイルダーは辺りの空気を胸いっぱい吸い込んだ。

デス「がうがう!(匂いはこの鏡の所で途切れてる。…って、おいおい。鏡の中かよ?!)」
ティラノ「まさか…ミラーモンスターにさらわれたテラ?」
アンキロ「それって…食べら… れ…。 …。 きゅぅ」
アスカ「アンキロ!アンキロベイルス!お前が目を回してどうする?しっかりしろ!」


騒ぎの中、幸人はダイノブレスを額に当てると、一心に力を注いだ。
三条「感じる…。トリケラの気配が…。俺を呼んでる。距離は相当ある。だが…
  無事だ!
  よし判った、今行くぞ!トリケラトプス!」

ヴィ! ウィ〜ン ガシャン!
オートバジンは人間型のバトルモードから、バイク型のビークルモードに変形した。
バジン「三条さん!乗るバジン!」

デス「うがう!(俺は鏡の中から追ってみるぜ!)」
88名無しより愛をこめて:04/01/11 09:20 ID:fB/X0LIw
156 :バジンたんは一生懸命なので 14 :03/08/31 21:35 ID:axIZsMhL

笑い声を上げて追ってくる紫色が迫る中、
必至でビークルモードで幸人達と逃走するオートバジンだった。

トリケラ「幸人さん、ごめんなさいケラ。小さくなったせいで力が足りなくて…
  だから…だから…」
三条「そうだな。お前はいつだって足りなくて抜けてるからな」
トリケラ「がーーーーーーーん ケラ」


少し時間を遡って…。
嘆くトリケラの目の前、ドアがいきなり蜂の巣に撃ち抜かれ、バン!と蹴り開けられた。

バジン「この場所で良いのかバジン?」
三条「トリケラトプス!居るのか?返事をし…おぁ!危うく踏む所だった…。
  トリケラ、怪我は無いか?!…ふ。まったく、手間をかけさせる奴だ」
トリケラ「幸人さん!来てくれたんです…ね…ケラ(涙だだ漏れ」

バジン達が扉から出ると、ザワザワと小さな声が聞こえたような気がした。

…うわーん!泥棒にゼロがさらわれたでつー!……誰か助けてー!…

声に応えるように、鉄パイプを持った男がゆらりと起き上がると
手入れの行き届いた緑いっぱいの庭の奥からダッシュし、幸人の目の前に立ち塞がった。
「泥棒か…ハァ。俺の台所を荒すとは…いい度胸だな。死ぬか?」
恒例行事の事務所の冷蔵庫漁りの後、庭の土管で昼寝をしてた浅倉だった。

…蛇ー!蛇ー!がんばれー!……がんばったら水羊羹あげるでつー!…

にやっと笑うとカードデッキを取りだし、右手を曲げて素早くかざす浅倉。「変身!!」
軽蔑のマナコで浅倉を見上げ、鼻笑いのままで左腕を構える三条幸人。「爆竜チェンジ!」
89名無しより愛をこめて:04/01/11 09:23 ID:fB/X0LIw

157 :バジンたんは一生懸命なので 15 :03/08/31 21:37 ID:axIZsMhL
バジン「危ないバジン!」
変身できずに蒼ざめる幸人の襟首を掴んで引っ張り、浅倉の最初の攻撃から逸らさせると
バイクにチェンジしてふたりを乗せその場から逃走するバジンだった。

後からけたたましく嘲笑いながら追い続ける紫の悪鬼。
待て〜逃げるのか〜鬼ごっこが趣味なのか〜はははは〜逃げろ逃げろ〜捕まったら俺と戦え〜
バジン「逃げるのは…嫌いバジン」

オートバジンは最初、いつもの様に邪魔物はバスターホイールで蹴散らすべく
バトルモードにチェンジし身構えたが…
   『危うく踏む所だった…』『怪我は無いか?』
…トリケラを見付けた時の幸人の反応と表情、会話内容を思い出し、ちょっと考え
「ここで戦ったら」→「トリケラトプスが危ない」との結論に至ったのだ。

三条「…だがこれはお前のせいじゃない。ダイノブレスの故障だ。だから気にするな」
トリケラ「幸人さん…」
上着のポケットから心配そうに顔を覗かせるトリケラと、ハンドルを強く握り締める幸人。
最速で走ってるはずなのに、今にも手が届きそうなほど間近に迫る王蛇。

バジン「嫌いでも…今は白亜さん達の所まで無事にふたりを送るのが最優先事項バジン!」
体内のソルグリセリンを燃やしまくり限界以上に速度をあげるオートバジンだった。

見慣れた看板が目に入った途端、走り回るサイドバッシャーの巨体に撒き込まれかけ
危うくバランスを崩しそうになるバジン。
バッシャーの足元で団子状態になって戦い合う集団を見て眉を上げる幸人。
三条「なんだこれは?エヴォリアンの仕業か?」
バジン「こっちは危険バジン。迂回するバジン」

草加達を見て一段と高く哄笑しながら戦闘の輪に飛び込んでいく浅倉。「お前も来い!」
呼び声に応じて水溜りからベノスネイカーが躍り出ると、バジン達の方に向かって来た。
90名無しより愛をこめて:04/01/11 09:26 ID:fB/X0LIw
158 :バジンたんは一生懸命なので 16 :03/08/31 22:44 ID:axIZsMhL
間一髪でカーブミラーからデストワイルダーが現れると、ベノめがけ飛び掛った。
デス「うがうがう!(へ!いつ見てもぞろぞろの、長虫引きずるのぁちょいと面倒だぜ)」
ベノ「シャー!(うるさい!でかいドラ猫風情が生意気ぬかすな!これでも食らえ!)」

ベノが口を開いて毒液を吐く前に、続いて飛び出たティラノの尻尾ドリルが横っ面をヒットし
そのまま一瞬目が回ったベノの首の後ろにティラノは噛み付いた。
ティラノを叩き落とそうとするベノの尻尾を手で受けとめ、ベノの背中で踏ん張るデスト。
2匹を背中に乗せたままゴロゴロ転がり回るベノ「シャ!(落ちろー!)」「が!(け!)」

子分の不甲斐無さに腹を立てたのか、ベノサーベルの矛先を須藤からバジンに戻す浅倉。
再び追ってくる浅倉に向け、幸人の襟から小さなミサイル砲の筒先がのぞき、狙いを定めた。
微かな衝撃音と共に発射された緑の弾は、王蛇のマスクの隙間から浅倉の口内を直撃した。
浅倉「ぐげぇふ!」派手な悲鳴を上げ、浅倉は口を押さえ膝をついた。

口中に広がる大嫌いなグリーンピースの味に、地面に転げてのた打ち回る浅倉。
??「蛇、ごめん。蛇の苦手なエンドウ豆使って、ごめんなちぃでつ」


菊池「たっくん!たっくん!こっちだよ!こっちに逃げようよ!」
乾「畜生!草加の奴、どさくさに紛れてバッシャーけしかけやがって!
  おかげでベルトが取り出せねーじゃないかよ」
菊池「そんな酷い事、草加さんがする訳無いじゃないか。たっくんの考え過ぎだよ。
  あー!ごめんなさい!」
啓太郎を避けようとしてバジンは転倒した。「しまったバジン!」
蹄の音、武器の音、工場の終業のサイレンが鳴り響く騒音の中、
乱戦の真っ只中に三条達は放り出された。三条「トリケラトプス!どこだ!」

トリケラは幸人を庇うつもりなのか、バッシャーに向って足を踏ん張り一生懸命吼えていた。
乾「そこのどこかで見た奴!オモチャを拾う暇あったら逃げろよ!あっ!!危ねー!」
トリケラを救おうと走る幸人と、幸人を走って引き止めようとした巧の上に
覆い被さる様に巨大な足が振り下ろされ…。
91名無しより愛をこめて:04/01/11 09:28 ID:fB/X0LIw

159 :バジンたんは一生懸命なので 17 :03/08/31 22:49 ID:axIZsMhL


    喧嘩は駄目だケラ!やめるケラ!!
                            ,、
                         /::l
                         />::i
        ___,.―v― 、          />:::l
     ヽ二V ヽ<::::::::| ヽ,、___      _ノ,>:::::l
 ヽ二 ̄ヽノ::::`ヽ_/\  ̄::::ヽ、 ヽ'^ヽ'フヽノ::::::/
     `ヽ/-―〉::>-/ヽ  ―〈 ヽノ `-'::::へ::::::/
      /三/ 〉   V ..::::::/::i]::::::::::::/ / ^V
    |>/ ̄..:::'' ...:::::::`〈::::::::::;;::::::ヽヽ ___ゝ
    〈_,'---‐‐'フ`、 l^ヽ./:::::::::、:::::::::;;`ー-‐' 
       )_//:::,`'―' 、__=二>、-‐'^ヽ二ニヽ
      __`―';::::::/    〉三 l:::::'i  < < <j_ノ
    ∠∠∠〉_〉     ,ヘ,.ヘ,.ヘ_/    
プチッ>  ooo□o    V V Vo{ア゙ー o{…    o{タックン!!
        ↑         ↑     ↑      ↑
 浅・須・草・バッシャー・木 巻添えの巧 幸人   啓太郎



92名無しより愛をこめて:04/01/11 09:32 ID:fB/X0LIw

160 :バジンたんは一生懸命なので 18 :03/08/31 22:51 ID:axIZsMhL
トリケラ「わーい!元に戻れたケラ!あれ?幸人さん…背丈が縮みましたかケラ?」
幸人「…。お前、ギガノイド並に大きくなってないか?」

乾「うわー。死ぬかと思った!危ねー」  木場「(邪魔が多い。引き上げるか)」

須藤「非常識です!いい加減にして下さい!そこの青服の人、ペットの躾がなってませんよ。
  なんだか身体中が痛いので今日は帰らせて貰いますが、またいずれ改めて御伺いします」
草加「そのほうがいいな。もうにどと きてほしくないかも〜、な(東條の口調を真似て」
バッシャー「ヴァ!」←塩をまくポーズで
ボル「ぼるる(それでは失礼いたします)」←鋏中央を立てる挑発姿でにこやかに笑いながら

浅倉「ここか…?祭りのあった場所は…?」←漫画みたいなひらひらのペッチャンコのままで

ぷしゅるしゅると空気抜け風船の様に本来の大きさに戻る爆竜を「すごーい」と見上げながら
ハッと手元の袋を開ける啓太郎だった。
菊池「とほほ。たっくーん。どーしよー、これー」
乾「げえ。どろどろだ。どーするんだよ?おい?」
菊池「でも、たっくんなら平気で食べられるよね?」
乾「…。なあ?お前、俺をどんな人間だと思ってんだ?」


…あの子、本物の爆竜たんですた……ザワザワ……リーダーそれホントでつか?…
…あい。泥棒じゃなくてアバレブルーの人が爆竜たんを迎えに来ただけでつ……ガヤガヤ…

…ヒソヒソ……しくしく……どうしちゃったのさ、ちび達?しょんぼりしちゃって?…
…それはだね相棒、食玩のお友達が増えたと思ったのに急に居なくなったから寂しいんだよ…
…あい……もうゼロには会えないんでつね……(溜息)……どうして泣くのさ?…
…こっそり遊びに行っても、僕たちは小さ過ぎて爆竜たんにはもう見えないでつ……

…泣くなって。良い方法を思い付いたからさ……ホントでつかー!……ザワザワ…
93名無しより愛をこめて:04/01/11 09:34 ID:fB/X0LIw

188 :バジンたんは一生懸命なので 19 :03/09/23 02:43 ID:UtpoC72L
ティラノ「あのコブラ、可笑しかったなテラ。俺が元の大きさに戻った時の顔ったら、
  ありゃあ見モノだったテラ」
デス「うがう(まったくだ。久々に爆笑させてもらったぜ)」

乾「なんで肝心な時に引っくり返ったままなんだ」
バジン「…たっくん、ごめんバジン」
乾「それにいつも余計な事するくせに、俺が危ない時に助けに来ないってどーゆーつもりだ」
バジン「訓練を兼ねて保護対象のガードプログラムを強化させてたバジン。
  たっくんは走って遊んでるから危険じゃないと判断したバジン」
乾「勝手に判断するなーーーーー!」

三条「いや。そいつを責めるな。さっきは世話になったな。改めて礼を言う。
  お前に免じてお前の主人の整体料は無料にしておいたぞ」
乾「え?あんな、首や肩の『ゴキっ』だけで金取る気だったのかよ?!」
トリケラ「ありがとうですケラ。オートバジンさんに助けて貰わなかったら、幸人さんも私も
  変な人に捕まってどんな怖い目にあわされた事か判りませんケラ。お礼に幸人さん特製の
  カレーを、あとでお家にお届けしますケラ」←悪気は無い
バジン「当り前の事をしただけバジン。お礼だなんて照れるバジン」←お礼の怖さを知らない

乾「そっか。こんなヤツでも人助けになったのか。
  だったらお前、今度からおとなしくバイクにだけ変身しとけって。
  その方がよっぽどみんなの役に立ってるみたいだからな」←いちおう誉めてるつもり
バジン「がーーーーーーーん バジン」
乾「おい?オートバジン!バイク!勝手にどっか行くなよ!おーい!」


…ヒソヒソ……えー!よそには行っちゃいけないんでつよ……(31)と(25)と約束したでつ…
…じゃあ、鏡から一歩も出なきゃ良いんじゃない?……ザワザワ……出ないんでつか?…
…んー、境界を越えなきゃ『行った事』にならないからね?……おーー!(どよめき)…
…そうそう、ついでに姿も隠せば完璧でしょ?……それでつね……ガヤガヤ……そうしまつ…
94名無しより愛をこめて:04/01/11 09:50 ID:fB/X0LIw
401号室の鏡の中から、コツコツと内側から鏡を叩く音が響いた。
香川が振り返ると、鏡の中にはサングラスを掛けたスキー帽だけが映っていて、
良く見ると帽子と地面の隙間から何組かの足の先がちょっぴりハミ出ていた。
香川「おや?」
??「どこも怪しくない通りすがりのものでつが、おりいって教授にお願いがありまつ」
仲村「おもいっきり怪しいじゃないか!ってゆーより、その声、その喋り方!
  さてはお前ら、(31)の所の生き人形…」
香川「(仲村を遮って)通りすがりさん、それでご用は何でしょうか?」
??「あい。生き物が小さく出来るなら、反対に大きく出来る方法がないかと思いますて」

仲村「生き物?馬鹿言うな。だって、お前らオモチャ…」
香川「仲村君、よしなさい。大きくなってどうしたいのでしょう?ああ、もしかすると
  由良さんのお手伝いがしたい…とかですか?それとも何か他に理由がありますかね?」
??「あい、そうでつ。(25)のお手伝いも大事でつが、仲良しになった大きな番犬たんに
  ちゃんとお別れが言いたいんでつ」
香川「番犬ですか?」

??「ホントは爆竜のケラたんでつ。今日は、番犬のゼロ・・・ちっちゃなケラたんと
  一緒に遊べて楽しかったのでつが、ケラたんは飼い主の人とすぐに帰りますたので
  バイバイを言うひまが無かったでつ。それで・・・ちょっと背が低いので困っていまつ。
  ちょっと低い背たけから、爆竜たんに見えるぐらいの大きさになれまつか?」
香川「方法は、無い事も無いですよ。こちらの機械で解決できます。ただ…」
教授は眼鏡を光らせて、口元にちょっと笑いを浮かべた。
香川「あなた達が通りすがりの人で良かったですが、もしも北岡さんの所の御方なら
  貸し出す訳にはいきません。北岡さんから、もしこの場所であの方達を見掛けても
  関わらないで欲しい、家に戻る様に強く言って欲しいと頼まれていますからね」
??「う!…。(ヒソヒソヒソ…ヒソ?!)あい!あの方達はここから外へ出ないから大丈夫でつ!」

しかめっ面のまま、飛んできた釣糸が鏡の中へ小さな包みを引き込むのを見送る仲村だった。
香川「これなら確かに誰も『この場所』に来ていませんね。北岡さんにはそう伝えましょう」
仲村「はあ…」
95名無しより愛をこめて:04/01/11 09:54 ID:fB/X0LIw
ローグ「…(失敗は成長の鍵ですよ。そこから得る物があれば、より一層強くなれます)」
バジン「そういうものなのかなバジン」
ローグ「…(失敗の一つ二つは誰にでもありますよ。私だって、先生を裏切って襲いかかった
  過去がありますから。でもあれは…。あれは…いいえ、やっぱり私が悪かったです。
  だから私は、もう2度と先生を失望させない様、誠実に努めたいと思っています)」
バジン「でも頑張っても、たっくんはいつも怒るか、ガッカリだって言うだけバジン…」

ローグ達は気にしなかったが、乗り手の居ないバイク(?)が並んで走る姿は充分に怪しかった。
奇怪な無人バイク騒ぎを受けて市民の通報からG3ユニットが出動したり、
OREジャーナルに「真夏の怪談」として紹介されたのは、また別な話。

…そして「真夏の怪談その2」も間髪を置かずにアップされちゃったりなんかした。
『釣り竿を引きずりつつ騒いで地面を走る帽子が街角の古鏡に映ったとの奇怪な噂が…』


…ガヤガヤ……変装は成功しますたね〜……完璧でつ、これなら絶対に誰か判らないでつよ…
…でも、教授をだましたみたいでちょっと気の毒ですた………でつね。よくないでつね…
…ザワザワ……いー考えがありまつ!あとで水羊羹を持ってお礼に行けばいーでーつ!…
…そっかー!にいたん、あたまいいでしゅ……お礼の時も変装すれば更にエクセレントでつ…

移動の足を止めて、小さな手が何かのボタンをぽちっと押すと、
帽子から少し離れた先に2M近いサイズの2頭身ゾルダの立体像が現れた。

ゾルダ像は、試す様にちょっと足踏みしてみたり、腕をぐるぐる回してみたりした。
それを見た途端わらわらとボタンに手が伸びて、ぽちぽちとボタンを押す音が響くたび、
像は普通のスタイルのゾルダやマグナギガやその他の姿に次々と切り替わった。

…ペン型立体プロジェクターって姿を大きく映すだけなんでつね……ちょっとがっかりでつ…
…でもさ、俺達が持ち運び出来る大きさの物を選んでくれて助かったよね…
…小型マイクも付けてくれてイッセキニチョーですた……さすが、教授は気が効きまつねー…
…そうだね……(小声で)あれ多分、判ってるんだよな?相棒……(小声で)お前もそう思うか…
96名無しより愛をこめて:04/01/11 09:57 ID:fB/X0LIw
191 :バジンたんは一生懸命なので 22 :03/09/23 12:51 ID:UtpoC72L
デス「がうがう、がが(ティラノは舞ちゃんを送りに一足先に帰ったぜ。よろしくってよ。
  俺もでかい園児の子守りがあるからもう帰るわ。じゃあな。
  今日は色々面白かったが、おめえはどうだ?何かコツは掴めたか?)」

バジン「…。せっかく色々手伝って貰ったのにダメだったバジン。
  いっぱいパターンがプログラムできたと判断して得意になってたけど、
  本当に肝心な事は、あまり学習できてなかったバジン。
  また、たっくんに怒られて落ち込んだバジン。
  もっともっと、サポート方法の研究をしないといけないバジン」

デス「うーがーがう(バイクよ?それでいいんだよ。お前はちゃんと学んでるぜ。
  『もうこれでいいや』と満足してふんぞり返ったりしねぇで
  もっと色々努力してぇって気持ちがある奴ぁ、ぜってぇに伸びる。
  あとは気を利かせて空気を読む事のコツの掴み方だけだ)」
バジン「そのコツの学習が一番難しいバジン…。まだまだ目標地点には遠いバジン」
ローグ「…。…(頑張ってくださいね、あなたならきっと出来ます。…では失礼します)」
デス「うがうう(また今度な)」


オートバジンが洗濯屋に戻ると、丁度、巨大な青い姿がノシノシと立ち去る所で、
緑色の人影が遠くに消えていく姿に手を振っていた。

バジン「そこに居るのは、北岡さんバジン?」
??「そ、そうでつ。かっこさんじゅうい…じゃなくて北岡秀一でつ!」
バジン「今日は特訓で由良さん達にお世話になったバジン。由良さんは凄い人バジン」
??「あい。(25)は生身最強で最高のスーパー秘書でつから」
バジン「あのサポート振りは本当に素晴らしかったバジン。北岡さんは恵まれてるバジン。
  いつかは由良さんの様に、マグナギガさんの様に、
  対象のサポートがきちんとできて心から信頼されるパートナーになりたいバジン。
  でも…。やっぱり工業製品だと、生き物の感覚や感情がうまく掴めないのかも…バジン」
??「それは・・・。それは違うと思うでつ!」
97名無しより愛をこめて:04/01/11 09:59 ID:fB/X0LIw

192 :バジンたんは一生懸命なので 23 :03/09/23 13:13 ID:UtpoC72L

??「似たよーな立場だからなんだか判るでつ。人工の身体でも人工知能でも、命は命でつ」

バジン「命?」

??「あい。命は心でつ。バジンたんにはちゃんと心があると思うでつ。

  たとえ命が無いソフビやプラモでも、
  壊れたら泣いてくれるぐらい大事にしてもらったら命が宿りまつ。
  命をもらったお礼に『一生懸命恩返しするでつ!』と思っても、
  この世界のルールが判らなくて、よく失敗して怒られまつ。
  でも(31)も(25)も、怒るのは心配してるからでつ。大好きだからでつ。

  たっくんに幾ら怒られても、護る気持ちがあって努力を忘れないなら
  いつかはバジンたんを友達って呼んでくれると思いまつ。

  バジンたんは一生懸命なので、いつかはその心、伝わると思いまつ。

  ヒトの形でもバイクの形でも、大好きな人の役に立つ事が一番なんだと思いまつから。
  たっくんも、本当はバジンたんの事は頼りにしてくれてると思うでつ。
  だからきっと…
  バジンたんが壊れたら泣いてくれるはずでつ。(31)のように」

バジン「泣かないと思う。たっくんは、そういう人じゃないバジン。
  …でもそこが良いバジン。
  簡単に泣いたりしないけど、本当は心が熱い人だから、
  ファイズギアを任せるのに一番ふさわしい人だと、そう判断したバジン。
  たっくんの手助けがしたいとAIの底から思うバジン」
98名無しより愛をこめて:04/01/11 10:02 ID:fB/X0LIw
…ヒソヒソ……代わってよ。いいからさ?……えー!……なんでここに居るんでつか?!…
…ったく、仕事部屋の側で大声で「秘密」の相談なんかしたら、全部筒抜けでしょ?…
…おや?バレバレだったよ相棒……そうだな相棒。やっぱ、でかい俺は目聡いな…
…ガヤガヤ……バレてたでつかー?!…

緑の姿はすっと消えて、ダブルのスーツの男がその場に現れた。
洗濯鋪のガラス窓を見ながら苦笑する(31)。
(31)「確かに、ここに見えてたのは虚像だけで、こっちには出て来てないし。
  『約束』は守ってるってワケだ。やるね〜。でも、ゴロちゃんに見付かる前に
  事務所に帰った方が良いかもね。遠出がバレてしばらくおやつ抜きは辛いでしょ?
  今ならゴロちゃん、修理用品の買い物中だからさ」

…あーい!ケラたんにも会えたし、もう帰りまつー!……ドヤドヤドヤ……

(31)「ま、あいつら見てたら、心がどうってのも納得するしかないよね〜。
  …実際生きて動いてるし。 …理屈は判らないけど。
  あんたもさ、あーんまり深く考え込まなくても良いんじゃない?
  要はクライアントをどう納得させるかって、話しでしょ?」
バジン「納得…バジン?」

(31)「そう。戦闘の場の対応が、突撃か逃走しかないのは、ちょっとパターンが弱いかもね。
  援護するにしても、有得ないぐらいありとあらゆる場面を想定しておかないとマズいし、
  かと言って、緊急に的確な判断が要求されてる場面なら、最優先事項を決めておかないと
  どのパターンを取るか迷ってロスが出るし。そこら辺はクライアントと良く話し合って、
  何を必要とされてるかしっかり確認しとけば、不満も出にくいと思うんだよね」
バジン「ありとあらゆる場面を想定…。話し合い…。北岡さん、ありがとうバジン!」
(31)「じゃあね。あ、そうそう。うちのちび達はあんたのファンも多いよ。
  バイクからの変形が面白いんだって。
  暇があったらあんたの方から遊びに来て貰えたら、
  他所に行っちゃいけないって約束も破らずに済んで、ちび達も喜ぶと思うんだけどね〜。
  どうよ?」
バジン「アドバイスのお礼に考えてみるバジン」
99名無しより愛をこめて:04/01/11 10:06 ID:fB/X0LIw

195 :バジンたんは一生懸命なので 25 :03/09/24 01:25 ID:azmfZXr+

一方その頃、事務所の前では、バジンに壊された玄関のドアを黙々と直す覆面の男が…。
??「ありがとうでつ。カタツムリさん、水羊羹のお代りどうでつか?」
スネイルオルフェノク「どうもどうも。もうちょっとで終わるからな〜」
ガサッ
浅倉「誰だお前? ハァ…さてはまた泥棒だな…(黒いニヤリ」→ キャーーー!!

本気モードの浅倉に追い回されるしょぼくれた男を眺めながら
どこかで見たような光景だなーと思う、通りすがりの沢木哲也(仮名)だった。



菊池「なんだか良く判らないけど、”恐竜や”さんからオートバジン宛に
  カレーが届いたよ。うわー、凄い。具が色々乗ってる♪」
真理「チーズと唐揚は美味しそうだけど、なんだかヘンな匂いがするよ、このカレー…」
菊池「”恐竜や”って、美味しいって評判の店だもの、本場風だからかもしれないね。
  でも何で、バジンなのかなぁ?」
草加「おーとばじんはもともと まりのものだし、これは きっと まりへの
  おくりものじゃないかな?それじゃあ、あついうちに みんなでいただこうか?」
真理「草加君?巧が戻るまで待とうよ?」
草加「いや、いぬいくんは ねこじただから、あついかれーは くちにあわないだろう、
  さめてしまってはもったいないよ。
  いぬいくんが ここにもどるまえに ぜんぶたべてしまうのは かわいそうだから、
  こっちの とくせいきょうりゅうさらだを のこしてあげればいいとおもうな」
真理「私は待ちたいんだけどな〜。啓太郎、草加君、いいから先に食べてて」

ラッシーを作ったり、福神漬けやスプーンを楽しそうに食卓に並べる啓太郎。
刻一刻と、口に入れた瞬間の悲鳴と怒声のドタバタ騒ぎの時が近付いていた…。
100名無しより愛をこめて:04/01/11 10:08 ID:fB/X0LIw
196 :バジンたんは一生懸命なので 26 :03/09/24 12:07 ID:azmfZXr+
バジン「ただいまー。あ、たっくん。その顔、まだ怒ってるバジン?」
乾「ああ怒ってるさ。勝手にバイクが消えたら、どーやって家に帰るんだよ」
バジン「ええー?!なんで帰れないかな〜バジン。
  西洋洗濯鋪菊池は、たっくんの目の前だったバジン」
乾「うるっせーっ!そういう意味じゃなくて!お前は、俺のサポート役なんだろ?
  ふらふらどっかに行ったり、要る時に来なかったり、ホントに助ける気あんのかよ?
  それに、こんな遅くまで一体どこで何してたんだ?」
バジン「比較ロジックの強化と再配置かなバジン。たっくんが知らなくても大丈夫バジン」
乾「お前…いっつも何か一言余計なんだよな〜」

バジン「そうそう、危険が身近に迫った時は、保護対象のガードと反撃と、
  どっちに重点を置いた方がいいと思うバジン?」
乾「フツー、保護じゃないのか?護りたい相手の命の方が大事だろ?」
バジン「じゃあ、10人の命と1人の命、どちらかだけを救えるとすればどちらを選ぶバジン?」
乾「決まってるだろ! 11人だ! 無理しても全員救えよ」
バジン「リサーチ終わりバジン。これでクライアントの苦情対策も万全バジン」
乾「??」

バジン「たっくん、万全のサポートにはビークルモードだけでは無理かもバジン。
  必要な時はバトルモードになってもいいかな?バジン」
乾「え?『バイクにだけ変身しとけ』って、本気にしてたのかよ?!このカチカチ頭!
  んー、言い過ぎたとこもあっかもな。真理とか啓太郎とかいつも助けて貰ってるし…、
  いいから好きにしろよ、お前の判断に任せっから。これからもみんなのサポート頼む」
バジン「そうだねバジン。これからも、一生懸命サポートするバジン」

   ゴオオオオオオオ!!

巧はまだ気付いていなかったが、角を曲がって急接近するタイヤの軋む音が…。

バジン「たっくん!」
オートバジンは考えるよりも先に身体を動かした。
101名無しより愛をこめて:04/01/11 10:11 ID:fB/X0LIw
197 :バジンたんは一生懸命なので 終 :03/09/24 12:09 ID:azmfZXr+
バジン「たっくん危ない!」→緊急放り投げ!→落ちた所を鯖折り!→道路にポイ!
乾「あ〜ーーー!」
オートバジンが警戒する中、東條の乗る三輪車「アンパンマン号」がトロトロ走リ去る。
バジン「ふー。轢かれてたら危ない所だったバジン」
乾「な ななな 何だよ!」←頭から血ィだらだらで
バジン「たっくんの目の前の危険を回避する最善の方法を選択したバジン」
乾「三輪車より車道に投げ飛ばす方が一般的に危険じゃねーかよ」
バジン「結果で物事を判断しちゃうのはどうかなあバジン?」

乾「あと2つ目のアクションは要らな…」
バジン「あ!!あぶ!(ベギ!)ない!(ボガッ!)たっくーん!!(ドゴォォォーン!)」
乾「ぶべらぁ!」
バジン「蚊に刺されかけてましたよ、たっくん。危ない危ない。蚊は思わぬ伝染病を
  運んできたりしますからバジン」
乾「ごふ…蚊対策としてはいささか犠牲が大き過ぎねぇか?これ」
バジン「一説には夏風邪の原因は蚊とも言われているとかいないとかバジン」
乾「いねぇよ」

真理「どうしたの?巧。淹れたて飲んで元気出しなさいよ。はい、コーヒー」
乾「あちっ」
バジン「あぶなーい!!」バン!バン!バン!バン!←銃乱射
乾「わあああッ」←カップ粉々
バジン「…。一説には夏風邪の原因は熱すぎるコーヒーとも言われて…」
乾「ねえっつーの」

仲村「投げられて、殴られて、撃たれた?…だめじゃんそれ」チットモ ガクシュウ デキテナイッテノ・・・
??「バジンたんは一生懸命なのでつが、一生懸命の方向に何か問題があると思いまつ」
これは昔見た漫画そっくりな展開ですねと、とりあえず成り行きを見守る香川達だった。

どこからか聞こえる罵声に爆裂音。毎度毎度の日常茶飯事。得る物も失う物もある日々。
…ご町内は今日も平和だった。
102名無しより愛をこめて:04/01/11 10:14 ID:fB/X0LIw

138 :イケメン狂想曲・1 :03/08/28 17:45 ID:7nkI1KaM

参照:ウルトラセブン1999最終章(客演:プロジェクトX一同)
(セブン関連はVAPホムペかセブンスレをご確認ください。)

スマブレ社のロビーで茶を飲んでいた渋めの男。このくそ暑い時期でもコート
を手放さない<戸田英一>は、ある男と待ち合わせていた。
赤井「ちわっす。」
戸田「おお、やっと来たか。」
無造作に茶の入った容器をテーブルに置・・いや、きちんと給湯室まで持って
いって茶碗を洗っているようだ。妙に所帯じみた中間管理職の姿に、思わず苦
笑する赤井だった。
戸田「ところで俺に話というのは?」
赤井「いや、大した話じゃないんですけどね。こいつが・・」
そういいつつ赤井は、手首に付けている通信機・ビデオシーバーを戸田の眼前
にかざした。
貝のようにぱっくりと開いた小さなモニター。そこには伝統的な隊員服に身を
包んだ、小動物を思わせるような妙に可愛らしい男が映っていた。
戸田「・・お前は!」
大した相談ではないらしいのだが、戸田と赤井は再びロビーに腰掛けながらシ
ーバー越しに話を聞いていた。
赤井「ミズノ、話もわかんだけどなぁ、今更流行の波に乗るっつうのもどうか
  と思うぜ。」
戸田「そうだなぁ。いくら乾巧みたいな奴からデコみたいなイロモノまで<イケ
  メンブーム>がピンキリだっつっても(←デコのあたりは強調)それなりに
  地道にやってりゃあ、ちゃんとついてくるファンはいるだろ?」
ミズノ「それはそうなんですけどねぇ。でも、この前・・・」
103名無しより愛をこめて:04/01/11 10:18 ID:fB/X0LIw

139 :イケメン狂想曲・2 :03/08/28 17:47 ID:7nkI1KaM

警備隊司令室での会話。
シマ「最近はやってるらしいな、仮面ライダー。」
サトミ「そーねぇ。まぁ、主役のコが格好いいからでしょ。(←興味なさそう」
ルミ「そーなんですよっ!!もう、たっくんすてき〜〜!」
ミズノ「・・?ルミ隊員、それは?」
ルミ「これ?これね〜、たっくんのDVDなんですよ〜!!」
シマ「おいおい!おねいちゃんじゃあるめぇし、野郎の癖にんなもんも出して
  んのか!?」
ルミ「あとねぇ、写真集に雑誌に番組の特集にバラエティーに・・いろいろ出
  てるんですよ〜!」
ミズノ「随分売れてるなぁ〜。(ため息」
サトミ「そういえば昔さぁ、トークライブの勢いに乗って、あるウルトラ系の
   役者二人をメインに某雑誌から連動企画を作ったらしいけど、確か名前
   が電・・・」
ミズノ「その話は勘弁してくださいよ〜(泣」
確かに今の流行がもう少し早かったらうまーく何とかなったのだろうけど。
今更乗れるわけもなく・・・と溜息をつくミズノだった。
104名無しより愛をこめて:04/01/11 10:20 ID:fB/X0LIw

140 :イケメン狂想曲・3 :03/08/28 19:13 ID:Xgc/NtC6

戸田「まぁ、ウルトラセブンの二番煎じってあたりもネックになっているだろ
  うな。」
ミズノ「戸田さんまで〜〜!!」
赤井「メジャーの波に乗れなかったのはお互い様ですよ、戸田さん。」
戸田「・・・う。で・・でもなぁ!当時の俺たちこそがイケメンの走りで・・」
ミズノ「戸田さんも他の二人も長身でかっこよかったですからねぇ。」
180cm台の長身である戸田に比べると173cmのミズノは正直小さかった。
ちなみに赤井は175cmでミズノと大差はない。
戸田「俺のことはいい!とにかく、問題は・・・」
そんなこんなで<目指せ!ウルトラ系イケメン計画・主に平成セブン>が始動
(?)したのであった。
戸田「一寸待。<目指せ!>は余計じゃないのか!?俺は今でも現役バリバリの
  イケメ・・・」
赤井「はいはい、親父の愚痴なら居酒屋でとっくりと聞いてあげますから我慢
  しましょうねー。」
ミズノ「ところで基本的にはどうすれば良いんでしょうね?」
赤井「堂々とアピールだろ!俺たちがこう、どれだけ男前かって言う・・」
戸田「イケメンにはイケメンなりのオーラがある。小細工は不要だ。」
二人の暴走に何だか<相談持ちかけない方がよかったかなぁ>と考え込むミズノ
だった。
105名無しより愛をこめて:04/01/11 10:23 ID:fB/X0LIw

141 :イケメン狂想曲・4 :03/08/28 19:14 ID:Xgc/NtC6

数時間後のどこかで見慣れたご近所。
定期パトロールの途中にポインターを降り、とぼとぼと歩くミズノを、いつも
のコンビ(さとちゃん&ですちゃん)が見つけた。
東條「あー、うるとらけいびたいのひとだぁ〜。」
デス「うがうがうがう。(それにしちゃあ軍人らしくねぇ面だな。)」
最近戸田から貰った<1999最終章>を見ていた園児はにこにこと笑顔で応えた。
東條「みずのたいいんは、こわいひとじゃないよ。のんびりやさんでやさしい
  んだよ〜。」
デス「うがうがう(爆竜のトリケラみてぇなもんか。)」
東條「うん。けらちゃんに、にてるかも〜。」
そんなこんな立ち話をしていると、思わず目線があった。
一瞬驚いたような表情を見せたミズノだったが、何事もなく笑顔で軽く会釈を
した。
デス「うがうが、うがうがうがう?(まさか、俺たちを知ってるのか?)」
106名無しより愛をこめて:04/01/11 10:25 ID:fB/X0LIw

142 :イケメン狂想曲・5 :03/08/28 19:16 ID:Xgc/NtC6

浅倉の住みかがある土手にのんびり座り込む二人と一匹。
手にはそれぞれ自販機で買った飲み物(ミズノの奢り)を持ちながら、少しずつ
日差しの弱まっている川縁を眺めていた。
ミズノ「話は赤井から聞いてたよ。やっぱり君たちが清明院大学の・・」
東條「さとちゃんは、さとちゃんてゆうの。ですちゃんは、みらーもんすたー
  なんだよ〜。」
デス「うがうがうがう、がうがう?(兄ちゃんよぉ、随分元気がねぇが、どうし
  たい?)」
ミズノ「ああ、大したことじゃないんですけど・・」
見た目はあれだが妙に親しげな親父キャラのですちゃんに、何の疑問もなく悩
みをうち明けるミズノ。
デス「うがうがうがぁ。がうがう・・
  (人間ってのもいろいろ大変だよなぁ。でもよ・・)」
ミズノ「でも?」
デス「うがうがう、がうがう。がうがうが、がうがう。
  (俺は元々神崎優衣の落書きから姿をもらい、命を貰った身だ。こんな姿
  にして欲しくないなんて文句は言えねぇ。俺が思うによ、お前の本当の
  悩みってのはイケメンどうこうじゃなくて、要は自分に自信を持てるか、
  その上で気に入るか気に入らないかの問題じゃねぇか?)」
ミズノ「それは・・」
107名無しより愛をこめて:04/01/11 10:28 ID:fB/X0LIw

143 :イケメン狂想曲・6 :03/08/28 19:18 ID:Xgc/NtC6

話が難しくなったのか、園児は飲み物をおいて河原で石投げをして遊び始めた。
デス「うがうがうがうがう。
  (自信持てや。あんたには並はずれた頭脳と技術力ってのがあるだろ?)」
東條「よくわかんないけど〜、みずのたいいんのつくった、そうめんながしき、
  すーっごくかっこよかったよね〜。」
デス「がうがうがうう、うが・・がう。うがうがうがう。
  (その通りだ。あんな非常識な科学力があるならよ、香川の旦那みてぇに
  もう少し<有り余るほどの自信>を持つのも悪くないってこった。)」
モンスターに励まされるというのも妙な構図ではあるのだが、問題は外見では
なく、自分に自信を持てるか、その上で気に入るか気に入らないか。その言葉
にミズノは何か吹っ切れる思いがしたのも事実だった。
108名無しより愛をこめて:04/01/11 10:31 ID:fB/X0LIw

144 :イケメン狂想曲・7 :03/08/28 19:20 ID:Xgc/NtC6

401号室まで園児とですちゃんをポインターで送ったのだが、401号室ではえら
いことになっていた。
東條「あれ〜?おへや、ちらかってるよ〜?」
デス「うがうがうがう?(ローグの奴も血相変えてやがんな?)」
ミズノ「どうしたんですか?一体。」
仲村の話によると、どこからどう乱入したのか、いきなりファイズとセンチピ
ードオルフェノクが401号室で乱闘となり、さらにトリノイド&アバレンジャ
ーが乱入し室内が滅茶苦茶になったのだ。
ローグ「・・・・・
  (原因はおそらく、実験途中だったミラーワールド次元間のつながりを計
  測するために使用したシステムが、外部によるわずかなショックで暴走し
  たのかと。)」
仲村「実験室の鏡から突然そいつ等が現れたんだ。榊原さんに協力してもらっ
  て、あいつらを叩き出すのは簡単だったが、やはり計測器のハード的な問
  題は・・」
ハード的な問題、と聞いて思わず顔を見合わせる園児とですちゃん。
109名無しより愛をこめて:04/01/11 10:34 ID:fB/X0LIw

145 :イケメン狂想曲・8 :03/08/28 19:21 ID:Xgc/NtC6

東條「そうだ〜、みずのたいいんに、なおしてもらうといいかも〜。」
デス「うがうがうがう!(おう、丁度いい機会だ、やってもらおう!)」
いきなり乗り気な二人だが、事情がつかめない仲村はやはり怒っていた。
仲村「一寸待。いくら何でも外部の人間に扱える代物じゃないんだぞ!大体ど
  この・・」
東條「ですちゃ〜ん、おねがいね(にこ」
数分後、阿鼻叫喚の悲鳴と供に開け放たれた401号室。
ローグがそそくさと扉を閉め、再び園児と供にミズノに向き直った。
ローグ「・・・・・
   (さとちゃんさんからお話は伺っておりました。香川先生が不在ですの
   で代わりに修復をお願いできますでしょうか?)」
少しの間だけ考え込むミズノ。
子犬じみた黒目がちの目は既に科学者としての鋭い目線と化していた。
ミズノ「わかりました。僕で良かったらお引き受けしましょう。」
110名無しより愛をこめて:04/01/11 10:37 ID:fB/X0LIw

146 :イケメン狂想曲・9 :03/08/29 09:38 ID:ixRIMVdB

戻ってきた仲村とローグの協力を得て、ミズノは香川の残したシステムの修復
に当たった。記録された資料を見ながらシステム内部を丹念に調べる。
ミズノ「やはり外部からの衝撃で真空管の一部が破損しています。」
仲村「し・・真空管?」
ローグ「・・・・・(真空管を使うと空間同士のつながりが滑らかになると先生
   がおっしゃってましたから。)」
仲村「スピーカーじゃないんだぞ(泣」
ミズノ「取り替えれば問題はありませんよ。ポインターに戻って取ってきます。」
仲村「何であんたが持ってるんだ?」
ミズノ「ここにある機材は、元々ウチで取り扱ってましたからね。」

そういえば一度401号室が留守になった時、誰かが来て部屋の内部がまっさら
になったことがあったなーと思い返す仲村。
そしてその時機材を提供したのが、戸田と赤井の知り合いである人物で。
ウルトラ警備隊の・・え?

仲村「機材提供してくれたのは、あんただったのか!?」
ミズノ「はい。(にこ」
そういやホリイさん経由で<タキオン粒子に関する考察>をメールしたけど本人
の顔は知らなかったんだぁ〜。呆然と固まる仲村を残してミズノはポインター
へ戻り、真空管を手に戻ってきた。
111名無しより愛をこめて:04/01/11 10:40 ID:fB/X0LIw

147 :イケメン狂想曲・10 :03/08/29 10:53 ID:ixRIMVdB

そして数時間後、香川教授も感嘆するほどの完璧を期した状態でシステムは修
復された。
香川「ミズノ隊員、本当にお世話になりました。」
東條「みずのたいいん、すごいや〜。さすがは<こんなこともあろうかと!>の
  たいいんさんかも〜。」
ミズノ「それって確かイデ隊員の口癖だったっけ?よく知ってるねぇ。」
東條「さとちゃん、らいだーもだいすきだけど、うるとらまんも、たいいんさ
  んも、みーんな、みーんな、だいすきだよ〜。」
子供(か?)の嬉しそうな笑顔を見、ミズノは<自分に自信が持てること>が何な
のかを改めて噛み締める思いだった。

香川「外見など問題ではありませんよ。あなたには素晴らしい技術力がある。
  デスト君ではありませんが、自分に誇りを持てる物があることは、素晴ら
  しいことだと思いますよ。」

満面の笑みを浮かべる香川。科学者としての自信に満ちあふれたミズノに、も
う迷いはなかった。

ミズノ「僕、本部に戻ります。どうも、おじゃましました。」

ちなみに帰り際、仲村からかなり平謝りを受け、土産として<宮崎産完熟マン
ゴー>を貰ったことは追記しておく。
112名無しより愛をこめて:04/01/11 10:42 ID:fB/X0LIw

148 :イケメン狂想曲・了 :03/08/29 10:55 ID:ixRIMVdB

すっかり日の落ちた近所をポインターで走りつつ本部に戻ったミズノは、その
日の夜、401号室に園児とですちゃん宛でメールを送った。
それは<ありがとう>の、ごく簡単な一言だった。

そのころ、近所の喫茶店にて。
赤井「やっぱり三人で<ウルトラ777>ってユニットで売り出せば・・」
戸田「いやいや、一旦謎のイケメンヒーローとして売り出して話題先行という
  形を取り、あとで名前をばーんと張り出すという手も・・・」
ミズノが自分なりの自信を取り戻した後。
結局、イケメン計画はまだ続いていたのだった。(半分冗談交じりで。)
おしまい。
113名無しより愛をこめて:04/01/11 10:45 ID:fB/X0LIw

150 :旅の空から(ファイズご一行の熊本旅行)・1 :03/08/30 15:05 ID:mBjNOSgG

<ちょっとパロディ系で、本編では死んだはずの人も出ています。>
西洋洗濯舗・菊池では、福引きの一等商品を巡って睨み合いが続いていた。

啓太郎「僕が貰った福引き券だよ!?それで当てたんだから、僕が行ってもい
   いよね!?」
真理「けいたろーはいいとして、補助券はあたしが貰ったんだから、あたしだ
  って少しは協力してるし。」
巧「んなどーだっていいだろ。お前等だけで行って来い。一週間もお前等が居
 なけりゃあ、こっちもせいせいする。」
真理「巧はだめよ。福引きで一等当てたんだから、あんたにも行く権利はある
  の!」
巧「だからよ、草加はどーすんだよ。お前等そこら辺考えてんのか?」
真理・啓太郎「・・・・・」

事の起こりは、商店街のスーパーで買い物を頼まれた乾巧が「めんどくせーな
ー」といつものノリで福引きを行い、一等を当てたことである。
一等商品の熊本旅行は、あいにく定員は六名と決まっていた。
そして参加する面子は既に<木場勇治・長田結花・海堂直也>の三人が確定だっ
た。まめな木場はインターネットで熊本について熱心に下調べをしていた。
木場「何だか修学旅行の前の日みたいに、わくわくするよ。熊本って初めてだ
  から。」
海堂「ちゅーか、何も好きこのんで九州の離れ小島なんてなぁー!」
結花「海堂さん、嬉しい癖に素直に喜べないんだから・・」

旅行に行ける楽しさで盛り上がる三人とは引き替えに、菊池家では未だ睨み合
いが続いていた。
114名無しより愛をこめて:04/01/11 10:47 ID:fB/X0LIw

151 :旅の空から・2 :03/08/30 15:11 ID:mBjNOSgG

啓太郎「草加さん・・すぐ自分の意見押しつけようとするし、団体行動とれな
   いし。大体あの人、外面ばっかで全然人のこと考えてないじゃん!」
真理「そこまで言う必要はないと思うけど。ま、団体行動のとれないってあた
  りは巧も同じだし。」
巧「悪かったな。団体行動が苦手でよ。」
啓太郎「ちがうよたっくん!ただ団体行動がとれないだけの、たっくんの方が
   ずーっとマシだって!」
巧「お前、褒めてんのか貶してんのかどっちだよ!?」
どんな手を使ったのかはさておき、草加雅人をほったらかしに六名は羽田から
九州へ旅立った。
一時間四十分の間、機内のビジネスシートでそれぞれ暇をつぶす六人。
一番嫌がっていたはずの巧は、窓側で雲海を眺めつつ妙にご満悦だった。
真理「旅行行けるのが嬉しいのに、素直じゃないんだから。」
木場「そういうところが、乾君らしくていいよ。」
115名無しより愛をこめて:04/01/11 10:50 ID:fB/X0LIw

152 :旅の空から・3 :03/08/30 15:13 ID:mBjNOSgG

熊本空港へ到着したご一行。飛行機を降りると、いきなり空港内で派手な看板
の洗礼を受けた。
<ようこそ熊本へ>
<武蔵晩年の地・熊本>
<一万人だごとるーぱーをあいてに戦え!もっこすらいだーぎゃんと!>
巧「・・・?最後のはどっかで見たな。」
到着口のエスカレーターの途中、結花が蛍光パネルを指さした。
結花「木場さん、あれが阿蘇山ですか?」
木場「あれは阿蘇山じゃなくて米塚だね。阿蘇山は活火山として世界的にも有
  名な山だから見に行ってみたいけど・・・」
啓太郎「いいですね〜、一緒に行きましょうよ!ね?たっくん!」
巧「俺を巻き込むな!」
空港を出た六人は、高速バスに乗り込んだ。熊本で有名な交通会社<産交バス>
から運行されているバスに乗り込み熊本市内へ向かう六人。
だがバスの中でどこかで見た人物の姿が数名あった。
琢磨「もう、嫌なんです〜!!帰りたくない〜〜!!」
冴子「よしよし、泣かないの。今日はあたしがたっぷり奢ってあげるから。
  市内のホテルに着いたら、ね?」
ジェイ「チャコ・・カラシレンコンヘイキカ?」
戸田「熊本か・・どこか懐かしいな。俺にとっては。」
赤井「おねーちゃん!ウルトラマンランドはパックに入ってねぇのかよ!?」
何故かぎょっとする巧と木場。
一方他の数名はのんきに会話しながらはしゃいでいた。
巧「定員六名のはずじゃなかったのかよ!?」
木場「もしかして、別の場所でも同じ福引きがあったのかもね(汗」
116名無しより愛をこめて:04/01/11 10:53 ID:fB/X0LIw

153 :旅の空から・4 :03/08/30 15:17 ID:mBjNOSgG

四十分後、熊本駅に近いニュースカイホテルに到着した。宿泊するツアー客・
総勢十一名。
木場と巧がチェックインしたのは、555号室という何とも形容しがたい部屋だ
った。
木場「何なんだろうね、この番号。」
海堂「俺とけいたろは913号室か。ちゅーか番号バラバラすぎ。一括して部屋取
   れなかったのかよ?」
結花「あたしと真理さんは333号室です。」
333という単語を耳にし、ツアー客の一人が何故か青ざめた。
琢磨「・・・うわぁぁぁ!!!!」
一同「?」
117名無しより愛をこめて:04/01/11 10:55 ID:fB/X0LIw

154 :旅の空から・5 :03/08/30 15:34 ID:mBjNOSgG

添乗員からの注意を受け、一旦解散する面々。
数時間後、園田真理と長田結花がロビーに姿を現した。
真理「どこ行こうかなぁ〜。あたし、熊本なんてあんまりよくわかんないしぃ。」
結花「ここからなら、路面電車で繁華街に行けますよ。」
真理「へぇー、長田さん詳しいね。」
結花「木場さんのパソコンで調べたんです。そうだ真理さん、上通りと下通り
  に行ってみませんか?大きなアーケードを歩いてみるのも楽しいですよ。こっちの方が物も安いから、買い物してもいいかも。」
真理「そうだね。いっぱい買い込んじゃお!」
二人の傍らで話を聞いていたらしい影山冴子。何だかんだ言って面倒見のいい
彼女は思わず保護者役を買って出た。
冴子「あらあら、若い子二人じゃ危なっかしいわ。あたしも用事があるから、
  ご同伴よろしいかしら?」
真理「わ、助かります!」
ロビーで盛り上がっている一方。
白川の土手でぼんやり寝ころぶ海堂。暇そうに石を投げながら時間をつぶして
いると、誰かが声を掛けてきた。
巧「暇そうだな、あんた。」
海堂「おっ?乾か。・・何だ?おめぇ、どこに行くんだ?」
巧「城だよ。天下の名城とか言う熊本城を見にな。」
海堂「あほか、城なんざどこでも・・・行こうか。」
妙な変わり身の早さにテンポを狂わされる巧だった。
一方、木場と啓太郎は案の定、阿蘇山の火口を見に行くはずだったが、途中で
地元の人間に、火山ガスの発生が激しいため見られないといわれ、仕方なく美
術館見物に赴いた。
木場「最近、現代美術館がオープンしたって言ってたね。そこに行ってみよう
  か。」
啓太郎「いいですねー!いきましょう!」
爆発しまくった岡本太郎展を<ポカーン>と見に行く二人だった。
118名無しより愛をこめて:04/01/11 10:58 ID:fB/X0LIw
161 :旅の空から・6 :03/09/03 12:48 ID:k0AqrtWe
路面電車で市役所前まで向かい、途中周遊バスに乗って熊本城へ向かう。
その時、海堂が突如「引き返す」と言い出した。
巧「おいおい、これからだろ。何で引き返すんだよ?」
海堂「この空気の匂いが鍵だ。雨降るべ、確実にな・・・(ビシッと空を指さ
  す」
巧「こんなに天気いいのにか?」
海堂「俺は傘を持ってきてねぇ。ちゅーか濡れるのは一番嫌いだっつの!行く
  べ。」
巧「おい、待てよ!」
渋々引き返した巧と海堂だったが、帰路に着いてから数分後。
突如青空は黒い雲に被われ、土砂降りの雨に見舞われた。
ホテルのロビーから外を眺める巧は、簡潔に呟いた。
巧「本当に降ってきたな。」
海堂「な?まぁ、どーせあのまま行ったって閉館間近だしなぁ。意味ねぇべ。」
巧「随分詳しいな?」
海堂「そのくらい、インターネット様で調べたっつの!行くところを確認する
  のはふつーやっとくべ?」
図星を指され、巧はさすがに何も言えなかった。
日を改めて二日目。周遊バスに乗ってたどり着いたのは裏口の駐車場。
そして二人を迎えたのは、一面に広がる新緑の芝生と、根を伸ばす木々だった。
海堂「おーおー!芝生でチビどもが元気に遊んでるなぁ!」
巧「ったく天気がいいにしたって暑すぎだぜ・・・」
二の丸広場を横切り、ぷらぷらと歩きながら天守閣を目指す二人。
城の中にはいると、急な階段のために海堂は半ばへばっていた。
反対に巧は城の中にある展示物を見ながら、一人感心に浸っていた。
そして天守閣。狭いながら四方を見渡せる天守閣へ辿り着いた途端、海堂も疲
れが吹っ飛びひたすらはしゃいでいた。
巧「ここの殿様は・・本当にこんな景色を見たのか?」
海堂「天下人っつうくらいだからよ、見たんじゃねぇのぉ?そこな下々の女風呂とかよ。」
巧「どこにあんだよ・・」
感慨に浸っている巧だが、相も変わらず飄々とした海堂にやはり呆れていた。
119名無しより愛をこめて:04/01/11 11:00 ID:fB/X0LIw

162 :旅の空から・7 :03/09/03 12:51 ID:k0AqrtWe

ひととおり熊本市内を眺め終え、天守閣を出ようと階段を下りていた時である。
どこから紛れ込んだのだろう、古い着物を着た可愛らしい子供が巧の手をちょ
んちょん、と引っ張った。
手を引かれ妙な顔で子供を見る巧。子供は可愛らしい笑顔を浮かべながら急に
ぱたぱたと走り出した。
巧「おい、待てよ!」
幾ら階段が舗装されているとはいえ、急な降り口を無造作に駆け下りる子供。
そして何度も転びそうになる巧。やっと一階の出口まで駆け下りたが、子供の
姿はぷっつりと消えていた。
海堂「乾よぉ、どしたぁー?」
急な階段を駆け下り、息切れする巧に対して海堂は涼しげな顔である。
登りよりも下りの方が楽だからか?
巧「・・今そこに・・着物きた妙なジャリが・・」
海堂「あーあー、いたなぁおこちゃまが。まぁ追っかけても無理だろ。ありゃ
  あ人間じゃねぇ。」
巧「何だって?」
海堂「ほれ。」
不意に海堂が指す方向を見る巧。
出口内の深い井戸には、先ほどの子供が立っていた。そしてしきりに下を指さ
すと、ふっと掻き消えた。
海堂「あの井戸に、なにかあるなぁ?まさか将軍様のお宝・・よっしゃ!乾、見
  張ってろ。」
言うが早いが海堂は、青白い光を放ちながらオルフェノクへ変化した。
スネーク「俺様の能力なら、金網張ってようがらくらくだっつーの。んじゃ、
    いくぜ。」
巧「しょうがねぇな・・まぁ、気を付けろよ。」
毎度のことながら半ば呆れつつも事の成り行きを見守る巧だった。
120名無しより愛をこめて:04/01/11 11:03 ID:fB/X0LIw

163 :旅の空から・8 :03/09/03 13:06 ID:k0AqrtWe

十五分が経過し、誰かが降りる足音がした。慌てて井戸に駆け寄る巧。
巧「おい海堂、誰か来たぞ!早く上がってこい!」
声を聞きつけ、真っ暗な井戸の底から立ち上る煙のように、するすると井戸を
上がるスネーク。
スネーク「・・よっと!」
ちょうど数人の観光客が巧に挨拶を交わし天守閣を出た。勿論海堂も埃を払い
ながら、いかにも作ったような笑顔を返した。
そして観光客等が居なくなると、にんまりと笑みを浮かべ、背中にかくした古
い袱紗を取り出した。
海堂「あったぜあったぜ!九曜紋の袱紗にくるまってよぉ!こりゃ絶対全体間
  違い無しのドンピシャリだぜ!」
巧「本当に、殿様のお宝なんだろうな?」
海堂「だぁーっ!!決まってるっつの!あんな所に勿体ぶって隠してるっつう
  ことは、お宝以外のなにもんでもねぇっつの!ほら、さっさと行くぜ!」
二の丸公園の近くにある休憩所へ向かった二人は、周囲の目をはばかるように
袱紗の中身を開いた。そして中身を見た途端、海堂は何とも複雑な顔をした。
海堂「・・・なんだこりゃ?」
袱紗に包まれていた物は、漆塗りに肥後象嵌をあしらった妙な形の腰巻きだっ
た。腰巻きの他には、キセル入れやらキセルそのものがあり、少々大きめに作
られていた。
巧はこの宝らしき物の配列に、妙な既視感を感じていた。
巧「こいつ、ファイズギアに似てねぇか?」
121名無しより愛をこめて:04/01/11 11:05 ID:fB/X0LIw

164 :旅の空から・9 :03/09/03 15:46 ID:k0AqrtWe

琢磨「それこそが、我々の求めていた清正公<せいしょこ>のベルトです。」
いきなり巧の肩に乗っかってきた、目映いデコ。
巧・海堂「うわ、まぶしっ!!」
二人はしっかりと袱紗を持ったまま慌てて席を立った。
琢磨「・・フッ、全く無粋な方達だ。」
巧「なんだぁ?お前、もう元に戻ったのかよ。」
海堂「ちくしょー!あと二日間あの調子だったら、掛け金全部俺様の物だった
  のになぁ!」
巧「賭けぇ?」
海堂「結花とな、千円賭けてデコがいつ元に戻るか賭けたの。さえこさぁ〜〜
  ん、かえりたくなぁ〜〜い!!ってな!」
いきなりかました海堂の、妙になよなよした物まねに琢磨の理性がぶち切れた。
琢磨「覚悟なさい!!」
一方その頃、熊本の県立図書館で清正公のベルトに関する文献をつぶさに見て
いた人物が三人。
冴子「やっぱりベルトは熊本城にあるのね。」
図書館を出、足早に熊本城へ向かう冴子。それとは反対に戸田と赤井は、じっ
くりと文献に目を通していた。
戸田「清正公のベルト・・正式には細川家の細工師数名の手で作られた<強装鬼
  神之腰当>と呼ばれる物で、西南の役では政府軍の数名がこの腰当を身に
  付け、西郷隆盛率いる薩軍を退けた・・と記されているな。」
赤井「そんな昔からオルフェノクがいたり、ベルトを作った訳の分からない職
  人がいたりするんすか?」
戸田「確かに、実際にその力を見聞せんことには史実かどうかわからんだろう。」
そう言いつつ戸田は文献をコピーしたのちに図書館を出、赤井と一緒に冴子の
後を追った。
122名無しより愛をこめて:04/01/11 11:08 ID:fB/X0LIw

165 :旅の空から・10 :03/09/03 17:43 ID:k0AqrtWe

センチピードの縦横無尽に奔る鞭に追いつめられる巧と海堂。そこへ<たっく
ーん!!>と<乾君!>と言ういつもの声が聞こえた。
巧「木場、けいたろ!お前等、阿蘇に行ったんじゃなかったのか?」
啓太郎「話はあとだから、たっくん受け取って!」
放り投げられたファイズギアを手に取り、無造作に腰に付ける。
海堂「お前、わざわざ持ってきてたのか?」
巧「まぁ、な。」
ファイズフォンを手にコードを入力する巧。
巧「懲りねぇな漫才コンビ。おとなしく観光してりゃいいだろが。」
<5.5.5.Enter−−−−−−−−Standing=by>
巧「変身!」
<COMPLETE>
フォトンブラッドが全身を包み、ファイズへと変貌する。
海堂「んじゃ、選手交代だな!」
てくてくと呑気に走りながら、海堂は木場の肩をポン、と叩いた。
木場「うおおおおおおおおっ!」
気合いと供に青白い光を放ち、木場はオルフェノクへ変化した。
ファイズ&ホースオルフェノク<激情体>。鮮やかな緑広がる芝生の下でそろい
踏みである。
そして駆けつけた冴子も面子に加わった。
冴子「せっかくの旅行だけど、それはそれ、これはこれ。清正公のベルトを戴
  く前に、まずあなた達を倒さなきゃ。」
その頃、オルフェノクの能力で感知しあわてて駆けつけた戸田と赤井は、周囲
の人々を旨い具合に避難誘導させるのだった。たまたま昔懐かしいノリダーの
「うわ〜い」逃げをして楽しんでいる海堂を見、戸田はこめかみの辺りを押さえ
た。
戸田「仲間を増やしたとはいえ、どうしょうもない奴を当てたもんだな俺・・
  (溜息」
123名無しより愛をこめて:04/01/11 11:10 ID:fB/X0LIw

166 :旅の空から・11 :03/09/03 17:47 ID:k0AqrtWe

コンビネーション抜群のファイズ&ホース。能力的にラッキークローバー二人
<漫才コンビ>の方が上だとしても、発展途上な二人に対しやや劣勢だった。
だが突如、クロコダイルオルフェノクが、突如ホースを横殴りに吹っ飛ばした。
ファイズ「木場っ!」
クロコダイル「ファイズ・・BATTLEスル。」
そして吹っ飛ばされた位置には二人のオルフェノクが待ちかまえる。センチピ
ードの鞭とロブスターの剣に翻弄されるホース。そしてクロコダイルの攻撃に
より徐々に膝を折るファイズ。
スネーク「見てらんねぇっつの!」
クレイン「木場さん!」
助けに向かおうとする二人だが、赤井が行く手を阻んだ。
スネーク「邪魔すんなっつの、お前!」
赤井「多勢に無勢は卑怯だろぉ?ま、あんたらが入ってもジェイのとっつぁん
  には勝てないだろうけどな。」
その頃、完全に忘れ去られていた清正公のベルトは、戸田の手に握られていた。
おもむろに清正公のベルトを身につける戸田。ここへ来る前に文献をしっかり
と見ていた為、取り扱いも手慣れていた。
腰当の前方にある漆箱に両手を添えると漆箱が左右に開き、ギヤマン作りの
<九曜の紋>が輝きだした。
そして戸田は握りしめた両腕を交差させ振り下ろす<鬼神の型>をとった。
戸田「変身・・」
124名無しより愛をこめて:04/01/11 11:13 ID:fB/X0LIw

169 :旅の空から・12 :03/09/04 15:30 ID:dC3bf2u2

センチピード「みんな僕を馬鹿にして・・馬鹿にしてぇ!!」
鬼気迫る鞭使いに翻弄されるホース。疾走体で体当たりを狙うが、ロブスター
の計算通りだった。
ロブスター「運がなかったわね、坊や。」
ふわり、と軽々とホースの背中に乗り、背中に剣を突き立てようとするその時
である。
<がしゃっ・・・がしゃっ・・・>
静かにゆっくりとした調子で大きくなる足音。
ロブスター「何者?」
ひときわ大きな大木の影から現れたのは、鎖帷子に鎧甲の古めかしいファイズ
だった。まるで亡霊のように芝生を踏みしめながらゆっくりと向かっていく。
クロコダイルとファイズ、双方の前に立つと緩慢な一撃をクロコダイルに見舞
い、そして片腕を上げファイズの首をひっつかみ、横へ放り投げた。
ファイズ「・・!」
清正公ファイズ(以下、クヨウ)「お前は見物していろ。」
丁度ロブスターの乗っていた位置に激突するファイズだが、ロブスターから逃
れたホースがうまく受け止めた。
クヨウ「木場勇治、しばらくの間そいつを押さえていろ。仕事上、力を確かめ
   なきゃならんのでな。」
ホース「その声は・・戸田さん?」
125名無しより愛をこめて:04/01/11 11:15 ID:fB/X0LIw
170 :旅の空から・13 :03/09/04 15:32 ID:dC3bf2u2
クヨウは軽くうなずき、クロコダイルに向かって突進した。格闘系同士の鬼気
迫る雄々しさに、息を飲む一同。だが、その隙を見逃す誰かさんではなかった。
<Reformation>
ロブスター「・・琢磨君!」
センチピード「させませんよ!」
慌てて鞭を振り上げるも、先端は空を切った。
3.2.1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
横殴りのクリムゾン=スマッシュ二発が二人に降り注ぎ、そして。
<time-out>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アクセルの活動時間終了後、胸部カバーが閉じファイズはゆっくりと降り立ち
ファイズは遠く空を見上げた。
そして一方。
クヨウ「はぁぁ・・・」
拳左右を上下に組み、ゆっくりと腰を落とす。大地や草木がクヨウの放つ気に
揺らいでいた。そして、気合いと供に拳を放つと<焔>の如き紅い気弾が放たれ
クロコダイルを包み込んだ。
紅蓮の炎に包まれたクロコダイルは、ゆっくりと仰向けに身体を横たえた。
炎が収まるのを見届け、クロコダイルに歩み寄るクヨウだが、その時何かが割
れるような音がした。
戸田「これは・・?」
紅く透明な破片。それは力の源であるギヤマンの<九曜紋>であった。九曜紋が
粉々に砕け散ると、戸田は元の姿に戻ってしまった。
解除キーで元の姿に戻った巧が、いつの間にか戸田のそばへ駆け寄っていた。
巧「おい、そいつは、さっきの・・。」
戸田「ああ。琢磨の言っていた清正公のベルトだ。・・・・やはり歴史に生き
  た物は、その歴史に帰るのが道理というわけか。これで案外よかったのか
  もしれんな。」
妙に哲学的な感慨に浸る戸田。傍らの巧は、ぼんやりと青空を眺めながら戸田
に聞いた。
巧「あの方向で良かったんだよな?熊本港。」
戸田「・・?ああ。」
126名無しより愛をこめて:04/01/11 11:18 ID:fB/X0LIw

171 :旅の空から・14 :03/09/04 15:35 ID:dC3bf2u2

クリムゾン=スマッシュによって吹っ飛ばされたラッキークローバーは、空の
彼方から突如、海に転落した。激しい波しぶきを立て海に落ちると、周囲の人
々に見つからないように姿を隠した。
数時間後。しっかり無事だったジェイが、三人分の荷物を抱えて熊本港にやっ
てきた。
ジェイ「チケットヨヤクトレタ。ミンナ、フネデカエル。」
琢磨「何ですって!?」
冴子「仕方がないわね。任務が失敗したために、経費の節約が私たちに回って
  きたから。当然とは言え、村上君も手厳しい事するわね・・・」
琢磨「落ち着いてる場合ですかっ!!僕は船が一番嫌いなんです!!あー忘れ
  もしない高校の頃、僕はその時・・・」
一人ひたすらわめき散らす琢磨をそのままに、冴子はチャコの頭をなでながら
<旅行は楽しかったわよね。>と笑顔で呟いた。

ちなみに前述で記したとおり、初日に繁華街へ行った冴子は、きちんと村上社
長や他の社員にと熊本の土産を買い込んでいたために、スマートブレイン本社
へ戻ってもお咎めはなかったらしい。

何だかんだ言ってジェイもスマートブレイン社の<表向きな商売>できちんと契
約等を取り付けていたのでこれもお咎めはなし。

琢磨は・・・あえて言う必要はないだろう。
127名無しより愛をこめて:04/01/11 11:20 ID:fB/X0LIw

172 :旅の空から・15 :03/09/04 15:39 ID:dC3bf2u2

翌日、再び町へ繰り出そうと結花と真理がロビーへ下りたとき、チェックアウ
トする戸田らの姿を見かけ、結花が声をかけた。
結花「戸田さん、もう帰られるんですか?」
戸田「ああ。上からの指示で、ラッキークローバーとは別に俺たちも清正公の
  ベルト探索を命じられたが、まぁベルトの性能があれだけって事は俺たち
  が動いても結果は同じだったということだ。」
結花「そうだったんですか。」
前日、結花は海堂から話を聞かされており、最もらしく頷いた。
戸田の後ろから赤井が顔を出し、ニヤニヤと笑いながら戸田をこづいた。
赤井「んな事言ってぇ、この人もなかなか小ずるいよぉ?あいつ等がヘマした
  上に、ボーナスも上がって万々歳だもんなぁ、内心は。」
戸田「お前なぁ・・・」
赤井をたしなめようとするが、半分にやける戸田。割と本音らしかった。
戸田「まぁ、初日にだいぶ遊ばせて貰ったから充分だ。赤井と一緒に念願だっ
  たウルトラマンランドも堪能したしな。そう言う訳だから長田結花、しば
  らくゆっくり楽しんでこい。・・そこのお嬢さんもな。」
真理「ありがと。ところで・・せいしょこのべると、って何?」

こうして清正公のベルトはその力を二度と解放する事はなかった。
128名無しより愛をこめて:04/01/11 11:23 ID:fB/X0LIw

173 :旅の空から・只今帰宅 :03/09/04 15:42 ID:dC3bf2u2

そしてツアー最終日をむかえ羽田に到着した六人。
木場らと別れ帰途に就く巧・真理・啓太郎の三人は、抱えきれない土産を手に
してあれやこれやと騒いでいた。
真理「草加君のおみやげ、これでいいかな?」
巧「馬刺の薫製に球磨焼酎か。まぁ無難だろ。」
啓太郎「でも、草加さんってお酒飲めたっけ?」
巧「土産話の一つでも聞かせりゃいいだろ。草加だってガキじゃねぇんだから
 よ。」
やいのやいのと騒ぎながら西洋洗濯舗・菊池へと入る二人。
最後に荷物を抱え家に入る巧だが、夕日をぼんやりと見つめ、一言嬉しそうに
呟いた。
巧「・・・また、いつか行くからな。」

こうして、またいつものせわしない日常が始まるのであった。
(おしまい。)
129名無しより愛をこめて:04/01/11 11:25 ID:fB/X0LIw

176 :サカサガエリでシュババババーン・1 :03/09/06 16:56 ID:NI+O88Gk
※誰もが考えたであろうネタです。特定のキャラしか出さなくてすいません。

いつもの日常。それはトリノイド(今回はペンタノイドらしい)が出現しアバレ
ンジャーが向かいそしてアバレキラーがゲームを仕掛ける、そんな日常である。
レッド「仲代先生!やめてください!」
キラー「ほらどうした?早くしないとペンタノイドが乱れ帳面とやらで、街全
   てを粉々に斬りきざんじまうぜ?」
アバレキラーに阻まれ、苦戦するブルーとイエローに加勢できずいらだつレッ
ド。ウイングペンタクト・ペンモードで苛立つレッドを楽しむかのように攻撃
するアバレキラー。
レッド「・・いい加減にしないかぁっ!」
怒りが頂点に達し、アバレモードに変化する・・その瞬間である。
レッド「何だ・・?」
ブルー「!!・・身体が・・」
イエロー「いやぁ!どうなっとっと!?」
急に四肢が痺れ出す三人。そしてその場に駆けつけたブラックだが、なぜかブ
ラックのみは何の異変も感じなかった。
ブラック「どうしたというんです!?」
ただ一人戸惑う中、攻撃を仕掛けてきたはずのアバレキラーまでもが急に手を
止めた。
キラー「くっ!なんなんだよっ!?この・・痺れはぁ!!」
身体の変調によって動きが止まる三人。そしてそれぞれの身体から霧状のプラ
ズムがどんどんわき出していく。
好機と見たペンタノイド・カブキチョウは、突如巨大な帳面を取り出し、紙を
引きちぎりだした。
カブ「秘技・乱れ帳面!」
降り注ぐ紙は鋭い刃となり、五人に襲いかかる。
130名無しより愛をこめて:04/01/11 11:27 ID:fB/X0LIw

177 :サカサガエリでシュババババーン・2 :03/09/06 16:58 ID:NI+O88Gk

うわぁっ!!!

刃降り注ぐ中、周囲の物は粉々に砕け散り切り刻まれ、砂塵がもうもうと沸き
上がった。
砂塵が収まり、ペンタノイド・カブキチョウはゆっくりと歩を進め五人の遺体
を確認しようと迫った。変身解除したままの五人はうつぶせに倒れたままであ
る。
カブ「絶景かな、絶景かな!いよいよアバレンジャーの最後だなぁ〜!!」
大きく見得を切るカブキチョウ。その刃が、気絶した凌駕に迫る。
カブ「お命頂戴!!」
振り下ろされる刃。だが、それよりも素早くカブキチョウの腕をむんずとひっ
掴んだ。
カブ「何っ!?」
凌駕?「せりゃあっ!!」
固く握りしめられた、重い一撃。カブキチョウは軽く後ろに吹っ飛んだ。
カブ「な・・何事!?」
凌駕?「迂闊に相手に近寄るなかれ、ってな。兵隊さんならよ、兵法ぐれぇま
   なんどけや。」
ゆっくりと立ち上がる凌駕・・のはずが。
131名無しより愛をこめて:04/01/11 11:30 ID:fB/X0LIw

178 :サカサガエリでシュババババーン・3 :03/09/09 12:46 ID:xpj2H9CB

カブ「・・!貴様、何者!?」
アスカ「・・・うっ・・」
意識を取り戻したアスカは、目の前の光景に愕然となった。
アスカ「あれは・・・!」
ペンタノイドと対峙しているのは凌駕ではなく、全く別の男だった。精悍な顔立ちのなかなか渋めな30代といったところか。しかもがっしりとした上背の持ち主で、頬には竜人族特有の<竜の爪>があった。
謎の男「アスカ、大丈夫か?」
アスカ「・・・ああ。」
カブ「あ〜〜!わけがわからぬわぁ!!この際、いとわぬ!お前も逝くがよい
  わ!」
再び振り下ろされる刃。だが、何者かが横っ飛びでペンタノイドを取り押さえ
さらに鋭い蹴りがペンタノイドの顔面に跳んだ。
カブ「ええいっ!分が悪い!幕引きじゃぁ!!」
ふっと姿を消すペンタノイド。その場には、先ほどの面子のみが残っていた。
謎の男「・・・加勢すまねぇな。」
幸人?「どういたしまして!(にこ」
らんる?「なかなかのもんでしょ。」
132名無しより愛をこめて:04/01/11 11:32 ID:fB/X0LIw

179 :サカサガエリでシュババババーン・4 :03/09/09 12:48 ID:xpj2H9CB

加勢に来たらしい幸人もらんるも、やはり全くの別人にすり替わっていた。
黒目がちな愛らしい顔でほのぼのとした雰囲気を持つ青年と、はっきりした目
鼻立ちの気の強そうな女性である。勿論竜の爪が頬に付いている。
二人の姿を見てさらに愕然とするアスカ。
わなわなと唇をふるわせながら叫んだ。
アスカ「・・やはり来てしまったのか、サカサガエリが!」
壬琴?「成る程。爆竜と繋がりのある戦士ならば、アナザーアースでも同じ現
   象が起きる訳か。」
アスカ「やはりお前もか!」
四人の背後に立つ、壬琴の白いコートを着た別の男。
クールな顔立ちの男前で他の三人よりは年上の男は皮肉そうな笑みを浮かべた。
コートの男「あいつの言うゲームとやらをする気はない。肩慣らしをする時間
     が必要なのでな。」
アスカ「・・・」
コートの男「また会おう。」
フッ、とウン十メートルもの高さを舞うように飛び上がり、去っていく男。
どう見ても人間業ではなかった。
その後ろ姿を見送りながら、アスカはただ歯がみするしかなかった。
133名無しより愛をこめて:04/01/11 11:35 ID:fB/X0LIw

180 :サカサガエリでシュババババーン・5 :03/09/09 12:51 ID:xpj2H9CB

そして数時間後。
いつものように恐竜やへ戻ってきたアスカ達だが、店主の杉下竜之介、そして
今中笑理は、ただただ唖然としていた。
竜之介「こちら様はどちら様で・・?」
笑理「アスカさん、凌駕さん達は?」
アスカ「いや、その・・実は・・」
言いにくそうに目を伏せるアスカ。だが、傍らの赤いジャケットの男が気合い
を入れるように肩をブッ叩いた。
赤「何、なっちまったもんはしょうがねぇっテラ!」
竜之介「は?」
青「ティラノさん、そんなこと言っても仕方ないですケラ!」
黄「そうプラ!アスカだって・・」
どう考えても聞き覚えのあるそれぞれの口調に、いち早くえみぽんが気付いて
しまった。
笑理「まさか・・テラちゃんとケラちゃんとプラちゃん?」
アスカ「・・・はい(うなだれ」
テラ「凌駕や幸人、らんるは俺達と<姿>が入れかわっちまったんだ。サカサガ
  エリでな。」
竜之介「サカサガエリ・・?」
134名無しより愛をこめて:04/01/11 11:37 ID:fB/X0LIw

183 :サカサガエリでシュババババーン・6 :03/09/16 12:40 ID:GMBA9VBE

ケラ「サカサガエリは、戦士と爆竜との気持ちを理解し合うためにも必要な現
  象だって、ダイノアースの賢者・アグガル様も仰っていました。でも、
  アナザーアースでも同じ現象が起きるなんて・・」
プラ「まぁね、あたし達は慣れているからいいけど、らんる達が・・・」
そう言いつつモニターを見つめる一同。大体ご想像の通り、爆竜の姿<ティラ
ノ・トリケラ・プテラ>となってしまった三人のモニター越しから困惑した様
子が伺えた。
凌駕「うわ!すっげー!!俺、ティラノになっちゃったよ!」
幸人「馬鹿!驚いている場合か!」
らんる「すごかー!あたし空飛んどるー!」
・・・・・困惑しているのは幸人だけだったらしい。
凌駕もらんるも妙に楽しそうだった。
だがその時<あ〜〜っ!!>とブラキオが震えるほどの大声で凌駕が叫んだ。
凌駕「どうしよう!この姿じゃ舞ちゃんのお迎えに行けない〜!」
ティラノの姿でおたおたする凌駕。
人間になったティラノは、モニター越しにどんと胸を叩いた。
テラ「心配すんな凌駕、舞ちゃんの迎えなら俺達が行ってやる。」
凌駕「そっか!頼むよ、ティラノ!」
テラ「まかしとけっテラ!」
らんる「いいのかなぁ・・?他人じゃないと言えば他人じゃない訳だけど?」
笑理「でもぉ、テラちゃんって渋い・・(うっとり」
135名無しより愛をこめて:04/01/11 11:40 ID:fB/X0LIw

184 :サカサガエリでシュババババーン・7 :03/09/16 12:53 ID:GMBA9VBE

あかり幼稚園にお迎えに行った一同。
先生に凌駕が行けなくなった事情<事の真実は問わず>を説明をするのだが、ど
うしても信じてもらえなかった。
当然と言えば当然なのだが、そんなときにケラちゃんが<うるうる>とアイフル
犬のような目を潤ませながら<信じてくださいよ〜>とかましたもんで、やっと
こ幼稚園にはいることが出来たのである。
何人かの園児と一緒に待っていた舞は、三人の姿を見つけると不思議そうな顔
をしたのだが、すぐに嬉しそうに飛びついた。
舞「ティラノ!」
ケラ「あれ?よくわかったね〜。」
舞「うん。お兄ちゃんはトリケラで、お姉ちゃんはプテラでしょ。」
プラ「さすがは舞ちゃんねー!ねね、人間になったあたしって、美人でしょ?」
テラ「おいおい、それは一言よけいだろ。」
プラ「ごめん。」
人間になっても相変わらずの三人に、舞は嬉しそうにほほえんだ。
テラ「よっしゃ、おうちに帰るかっテラ!」
舞「うん!」
園児達と別れた四人。凌駕と同じ、もしくはそれ以上上背のあるティラノは、
舞を肩車しながら帰り道の河原を嬉しそうに歩く。
河原を眺めながら、かつて子供がいた頃を思い出し、少しだけ寂しそうな表情
を浮かべるティラノだった。
136名無しより愛をこめて:04/01/11 11:42 ID:fB/X0LIw

186 :サカサガエリでシュババババーン・8 :03/09/17 12:59 ID:UUM11bf/

丁度陸橋の辺りまでさしかかった時、四人は不意の突風にあおられた。
テラ「うわっ!?」
あまりもの風の強さに河原を転げ落ちる四人。だが、すぐに体を起こすと何者
かの気配を感じ取ったティラノは、はっと背後を振り向いた。
テラ「やっぱりお前か・・トップゲイラー!」
件の白いコート姿の男が、宙に制止したまま浮かんでいる。
そして脇には舞を抱えていた。
ゲラ「そうとも。戦士とあろう物が油断するとは皮肉な物だな。フン、この娘
  も勝負をするには都合がいい。」
舞「ティラノー!!」
トップゲイラーに抱えられ泣きそうな舞。歯がみをするティラノ。
そのとき、トップゲイラーがふっと鋭い視線を背後に投げかけた。
ケラ「舞ちゃんを離せーっ!」
いつの間にかトップゲイラーの背後へ回り込み突進するトリケラ。
だがトップゲイラーは空を舞い鮮やかに交わす。そして鋭い蹴りをトリケラの
背中に放った。
ケラ「うわあっ!!」
そのまま地面にたたきつけられるトリケラ。起きあがろうとするも、背中をじ
りじりと踏みつけられ、立ち上がることが出来ない。
ゲラ「まずはこいつからか・・フンッ!」
踏みつけた足を離しトリケラの身体を数発も蹴り上げる。
吹っ飛んだトリケラは河原に転げ落ちた。
137名無しより愛をこめて:04/01/11 11:44 ID:fB/X0LIw

200 :サカサガエリでシュババババーン・9 :03/09/26 10:01 ID:ouRqvFSI

テラ「しっかりしろトリケラ!」
ティラノに助け起こされたトリケラは、泣きそうな顔でティラノの顔を見上げ
た。
ケラ「ごめん・・舞ちゃんを助けられなくて・・」
ゲラ「さて・・・次の相手は?」
プラ「あたしよ!」
トップゲイラーのさらに頭上に浮かび上がるプテラが待ちかまえていた。
プラ「よくもまぁトリケラを痛めつけたもんだね、覚悟しな!」
ゲラ「フン、面白い・・」
舞をその場に置き、不規則なスピードで空中戦を繰り広げるプテラとトップゲ
イラー。
プラ「はあっ!」
隙を見て掌から発する風圧で、ゲイラーを地面にたたきつけた。
プラ「貰った!」
だが、ゲイラーは好機とばかりに仰向けになると、両手を大きく広げ、羽ばた
き一つをプテラに放った。
プラ「・・わっ!?」
プテラの何倍もの風圧が襲いかかる。その瞬間、ゲイラーが眼前に現れた。
ゲラ「やはり、実力はこんな物か・・・」
拳一撃で吹っ飛ばされるプテラ。弧を描きながら陸橋の壁に叩きつけられた。
テラ「プテラ!」
プラ「・・やっぱ、強いわ。」
叩きつけられた衝撃で、ずるずると壁にへばりつきながらプテラは気絶した。
138名無しより愛をこめて:04/01/11 11:46 ID:fB/X0LIw

201 :サカサガエリでシュババババーン・10 :03/09/26 10:03 ID:ouRqvFSI

カブ「まぁたぁせたなぁ〜〜!!これぞ好機と言わざるべきかぁ!!」
高らかに叫びながらやってきたペンタノイド。
そしてプテラを助け起こすトリケラとティラノを見つけると、にんまりと笑み
を浮かべた。
歩を進め寄ろうとした時である。
ゲラ「貴様か・・・丁度いい。あいつらに乱れ帳面とやらを見舞ってやれ。」
カブ「ななっ!?なにゆえにこのカブキチョウにさしずをされるか!?」
ゲラ「・・・やれ。」
周りが瞬時に凍り付くほどの鋭い一瞥を放つゲイラー。
さすがのカブキチョウも肝が凍り付きかけた。
カブ「・・はは・・は・・はい。承知つかまつったぁ〜!!」
大きな見得を切ると、巨大な帳面を派手に宙にばらまくカブキチョウ。
宙に舞う帳面は、渦を巻きながら次第に小さな刃と化していった。
カブ「いつもより余計に散らしてやろうかぁ〜〜!!!」
突如降り注ぐ刃の雨。寸分とも隙間無く垂直に突き刺さった。

うわあああああああっ!!!!

三人の叫びは爆炎轟く轟音と土煙の中に消えた。
139名無しより愛をこめて:04/01/11 11:49 ID:fB/X0LIw

202 :サカサガエリでシュババババーン・11 :03/09/26 10:05 ID:ouRqvFSI

ゲラ「フン・・あっけない幕引きだったな。」
もうもうと立ちこめる土煙を見つめ、つまらなそうにその場を立ち去ろうとす
るゲイラー。
だが、何かを感じ取ったのか歩を止め視線を後ろに送った。
立ちこめる土煙に微かに揺らめく三つの影。そしてゆっくりと晴れていく土煙
の中、三人は身体に着いた刃の破片を振り払いながら、しっかりと立ち上がっ
た。
舞「ティラノー!」
安堵する舞の声に、ティラノがにかっと笑みを見せた。
テラ「そう簡単にくたばるかっての。最初にあった時から、乱れ帳面とやらは
  見切っていたんだよ。」
ケラ「僕たちだって戦士なんだから・・」
プラ「なめて貰っちゃあ困るわね!」
三人の様子を見つつ、フッと笑みを見せるゲイラー。
その視線を真っ正面から睨み付けるティラノ。そして力強く言い放った。
テラ「見せてやるぜ・・。本当のアバレモードって奴をな!」
140名無しより愛をこめて:04/01/11 11:52 ID:fB/X0LIw

203 :サカサガエリでシュババババーン・12 :03/09/26 12:42 ID:ouRqvFSI

三人はゆっくりと腰を落とし、獣のような姿勢を取る。そして本来の姿<爆竜>
の咆吼と供に瞳の色がうっすらと緑と赤それぞれに変わると同時に、三人の姿
は人とも竜人ともつかぬ姿に変化した。
テラ「いくぜっテラぁ!!」
咆吼をあげて突進するティラノ。乱れ帳面を物ともせず突っ込むと片手でカブ
キチョウを鷲掴みにした。
テラ「うわぁぁぁっ!!」
片手でカブキチョウを引きずり回しそのまま壁にたたきつける。さらに・・
ケラ「わあああああああっ!!」
突進するトリケラの鋭い頭突きが何発も入り・・
プラ「はああああっ!!」
宙を舞うプテラの鋭い蹴りが連続して入った。
気合い十分の<真・アバレモード>の威力を喰らい、カブキチョウの身体はその
エネルギーによって徐々に崩壊した。
無念の断末魔を挙げ爆発四散するカブキチョウ。だが、爆煙の背後・・
ゲラ「フッ・・少しは楽しませてくれそうだ。」
爆煙の晴れる中、佇むトップゲイラーが自信ありげに控えていた。
ゲラ「貴様とは本気でやり合いたくなった・・。ティラノ、勝負するか?」
テラ「ああ・・悪くないな。」

ふっと凶悪な笑みを浮かべるティラノ。

ゆっくりと歩を進め対峙する戦士二人。

そして・・・
141名無しより愛をこめて:04/01/11 11:55 ID:fB/X0LIw

205 :サカサガエリでシュババババーン13 :03/10/06 17:19 ID:Fy2bljxj

数時間後の恐竜やにて。
凌駕「いやー、一時はどうなることかと思いましたよ!」
幸人「もうあんな事は二度とごめんだ。」
らんる「でもぉ、楽しかったよね?」
幸人「楽しくない!」
凌駕「仲代先生も元に戻ったらしいし。またいつも通りの戦いが始まるんです
  ね・・・」
ティラノとゲイラー、一対一の対決のはずだった。
だが、突如<サカサガエリ>が解けてしまった為に、元に戻って何が何やら解ら
ない伯亜凌駕と仲代壬琴がその場に残ってしまったのだ。
いつもなら流れでゲームを始めようとする壬琴だが、爆竜の身体にされてかな
り不機嫌だったので<気分じゃない>と言い残し去っていった。
笑理「でも変ですよね?どーしてアスカさんはサカサガエリしなかったんです
  か?」
アスカ「サカサガエリは戦士としての登竜門みたいな物です。一度洗礼を受け
   た物は、もうサカサガエリをすることはありません。」
笑理「え〜?つまんないなぁー!!ブラちゃんの人間体も見たかったぁ〜。」
凌駕「そうですねー。」
のんびりと芋ようかん片手にお茶をすする一同。
ばたばたした一日がもうすぐ終わろうとしていた。
142名無しより愛をこめて:04/01/11 12:00 ID:fB/X0LIw

206 :サカサガエリでシュババババーン・了 :03/10/06 17:21 ID:Fy2bljxj

数分後、買い物袋を下げた二人組が、ちょうど恐竜やの前を通りがかった。
若い方は無理矢理頼まれたであろう、うんざりとした表情で、もう一人は書店
に寄ったであろう紙包みを手にしている。
??「はるかな・・はるかな・・星の物語・・」
??「なんだそりゃ?」
??「有名な童話作家・ハヤカワ=サトミの新作ですよ。結構好きなんですよね、
  童話。気持ちが和むっていうか・・」
??「・・俺は、腹が落ち着く方がいい。」
??「(ふっ、と笑いながら)乾さんらしいですね。じゃあ、ここに入りましょ
  うか。この近所じゃ有名なカレー屋さんですから。」
巧「詳しいんだな、木場。」
勇治「暇な時にインターネットばっかりやってましたから。」
(店内)
凌駕「いらっしゃいませ〜!」
勇治「すいません、恐竜カレーと冷やし恐竜カレー。」
らんる「かしこまりましたー!」
竜之介「いやいや、めでたいめでたい。冷やし恐竜カレーを頼んでくださる方
   がいるとは・・」
巧「カレーは好きだが・・熱いのは駄目なんだよ。」
幸人「ひねくれたやつもいるもんだな・・・」

店での団欒というごく普通の日常で、この話はあっさりと終わるのであった。
(どっとはらい。)
143名無しより愛をこめて:04/01/11 12:03 ID:fB/X0LIw

213 :幼稚園すくすく日記1 :03/10/28 14:53 ID:wwwTOaDE

巧「自信がないんだ…」
真理「巧……」
巧「保父としてやっていけるのか…」
真理「何いってんの?これからお迎えなんだから早くしなよ!」
巧「おい、真理!」
は〜い。ここは某企業が提携元のちょっと変わった幼稚園で〜す。
一癖も二癖もある園児達に囲まれて、今日も乾巧先生は一日大奮闘なので〜す。
三原「ほっといてくれ!俺は家に帰るんだ!」
巧「朝っぱらから何寝ぼけてんだ?早くガキの迎えに行くぞ!」
あらあら、バス運転手の三原さんがいつもの発作を起こしちゃってますね?
でも大丈夫!乾先生が手振りの一発で三原君をどやしつけました。
これから、園児達のお迎えに行きまーす。
木場「おはようございます、いぬいせんせい」
巧「おう。いつも早いな、木場」
木場「いぬいせんせい、おはようとごあいさつしたら、ちゃんとごあいさつし
  なきゃだめですよ?」
巧「…おはよう」
木場「よくできました(にこ」
このよい子ちゃんは、木場勇治くん。
乾先生のクラス(555組)の、優等生なんで〜す。
結花「……オハヨウゴザイマス(もじもじ」
巧「おいおい、隠れるこたねぇだろ。ほら、バスに乗るぞ」
結花「…ごめんなさい(照」
はにかみ屋さんで長い髪の女の子は長田結花ちゃん。
木場くんと同じ(555組)のお友達なんでーす。
144名無しより愛をこめて:04/01/11 12:06 ID:fB/X0LIw

214 :幼稚園すくすく日記1つづき :03/10/28 14:54 ID:wwwTOaDE

巧「次は海堂んとこだが…多分遅刻だろうな」
木場「かいどう…ようちえんに、はいってから、いちどもばすにのったことな
  いよなぁ」
結花「でも…かいどうさんらしくて、すきです…(照」
他のお友達の所を廻って、やっと幼稚園に戻ってきましたぁ。
おや?慌ててお部屋に入ってくる子がいますね〜?
海堂「いぇ〜!また、しゃちょうしゅっきんだぜ!」
巧「お前…今度からしんのすけに名前を変えるぞ?」
海堂「んがっ!せんせいのくせに、いいのか!んなさべつしてっ!」
巧「少しはバスに間に合うように努力しろ」
このお調子者なこまったちゃんは、海堂直也くん。
木場君と結花ちゃんと大の仲良しで、実は結花ちゃんの片思いの相手なんで〜
す(きゃ

(2につづく
145名無しより愛をこめて:04/01/11 12:08 ID:fB/X0LIw

216 :幼稚園すくすく日記2 :03/10/29 14:13 ID:hFFT9jcx

はぁ〜い、よい子のお友達が集まってこれからお遊戯の時間でーす。
(555組)のおとなり(913組)では、とっても優秀な先生・草加雅人先生が、ファ
イズサウンダーを準備してま〜す。

雅人「お遊戯をさせて貰う…俺自身のお遊戯をな!」

曲目はexistence〜KAIXA〜nized dice。
あら?アップテンポの激しい曲ですよ?大丈夫かしら?

#ふーのうず!むーらさきーのー…♪

あらあら、やっぱりテンポが速くてついていけないみたいで〜す。園児の二人
(かたつむり君とうさぎ君)がちょっと振り付けを間違えちゃいましたぁ。

雅人「君たち…お遊戯が出来ないって解釈で…いいのかな?」

わぁお!ブラックな草加先生の笑顔に、かたつむり君とうさぎ君がガクガクブ
ルブルでーす。今にも取って喰らいそうな怖さでぇす。

おや?ベルトを取り出して、カイザブレイガンを構えましたよ?
大丈夫かしら?

??「やーめーろー!!」

ど げ し っ ! !

おやおや、ちびうま君しっそう体が、草加先生をどやしつけましたぁ。
146名無しより愛をこめて:04/01/11 12:11 ID:fB/X0LIw

217 :幼稚園すくすく日記2つづき :03/10/29 14:14 ID:hFFT9jcx

木場「きみのおゆうぎは、うそがおおすぎるんだよ!!」
巧「こら木場!勝手に部屋から出るな…」

あらあら、かたつむり君とうさぎ君がベソかきながら、乾先生の後ろに隠れち
ゃいました。

雅人「どういうことかな?」
巧「あ?」
雅人「大事なお遊戯の時間を邪魔するとは…無粋すぎじゃないかな」
巧「ガキが踊れねぇような曲かけるのも…どうかと思うぜ」
雅人「大体、君のクラス自体…邪魔なんだよ」
巧「邪魔ってお前…クラス三つしかねぇのに一個へったらどうすんだよ」

乾先生、流石に冷静なツッコミで返しましたぁ。
そうなんですぅ。この幼稚園は、クラスが(555組)(913組)(333組)の三つしか
ないんで〜す。

そんなこんなで、もうすぐ給食の時間が来ちゃいまーす。
もうっ、乾先生も草加先生も、いっつもこの調子なんだから…お姉さん、悲し
いでーす。

(3につづく
147名無しより愛をこめて:04/01/11 12:14 ID:fB/X0LIw

221 :幼稚園すくすく日記3 :03/11/01 11:05 ID:0znNxE/N

海堂「だれだぁ〜〜!?おれのでしを、なかしたやつはぁ!!」
555組では、開口一発、お調子者の海堂君がトサカに来ていますね〜?
おやおや、海堂君につられて、ほかの園児達もオルフェノクになっちゃいまし
たぁ〜。
あら?お部屋のすみっこにいる三人の園児達の、様子がおかしいわね〜?
赤井「…べると」
青木「べると?」
緑川「べると…だな」
そんなこんなしているうちに、ベソをかいているかたつむり君とうさぎ君を連
れて、ちびうま君を小脇に抱えながらやっとお部屋に帰ってきた乾先生で〜す。

緑川「べるとをわたせ!」

きゃっ!ちびかまきり君が乾先生のべるとを、引きちぎろうとしてるわっ!
巧「こら!お前等の玩具じゃねぇんだぞ!」
乾先生も、べるとを取られないように頑張ってますぅ。
大丈夫かしら?お姉さん、と〜っても心配。
148名無しより愛をこめて:04/01/11 12:16 ID:fB/X0LIw

222 :幼稚園すくすく日記3つづき :03/11/01 11:06 ID:0znNxE/N

ここで説明しちゃうけどぉ、オルフェノクになった園児達は、普通の大人が二
人がかりでも手に余っちゃうから大変なんで〜す。
だから、先生達は専用のベルトを付ける事を義務づけられてるのよ。

赤井「うりゃ!」
巧「しまった!」
まぁ、乾先生がとうとうべるとを取られてしまったわ!
赤井「べるとは、おれのもんだぁ!」
緑川「なんだと!?きさまぁ〜!」
大変!今度は赤井君と緑川君がけんかを始めてしまったわ!

どうなっちゃうのかしら?
お勉強のお時間もあるのに、ぶっちぎられてばっかりでもう大変で〜す。
え〜ん。

(4につづく
149名無しより愛をこめて:04/01/11 12:19 ID:fB/X0LIw

226 :幼稚園すくすく日記4 :03/11/05 20:13 ID:ygTD5Fu7

とうとうべるとを取ってしまった赤井君が…アレをしようとしていますよ?
<5.5.5.ENTER>
フォトンブラッドに包まれてとうとうファイズに変身します!わくわく…
赤井「これが、ふぁいずかぁ〜!」
って………あら?
赤井君、べるとが…ぶかぶかですよ?
これじゃファイズじゃなくて首だけファイズですね〜?
巧「だからお前等の玩具じゃねぇって言ったんだよ…」
乾先生のツッコミも終わって何とか丸く収まってしまいましたね?よかったぁ〜。

さーて、気を取り直して、今度は給食のお時間で〜す!
園田真理さんと菊池啓太郎君は、給食係と用務員さんを兼ねていまーす。
園児達の相談相手にもなってくれるんですよ?

真理「はーい、一列に並んで、食器もって!そこ、横入りしない!」
150名無しより愛をこめて:04/01/11 12:21 ID:fB/X0LIw

227 :幼稚園すくすく日記4つづき :03/11/05 20:14 ID:ygTD5Fu7

オルフェノクの園児たちも真理さんの迫力には勝てないみたいですね?
…あら?一人の園児の様子がおかしいわね?こそこそ何かを出そうとしていま
すよ?
真理「そこ、なにやってんの!早く食器を出して!」

ず ば っ !

まあっ!真っ赤な薔薇の花束ですよ!素敵だわぁ……(うっとり

海堂「まりちゃん…あいらう゛っゅー…」
真理「…最っ低ー」
海堂「がーん!!!」

あらあら?海堂君、固まっちゃいましたね。
一生懸命がんばったのにぃ!かわいそう。え〜ん。

そんな海堂君をよそに、反対側では乾先生と啓太郎くんがお話ししてますよ?
151名無しより愛をこめて:04/01/11 12:24 ID:fB/X0LIw

228 :幼稚園すくすく日記4つづき :03/11/05 20:15 ID:ygTD5Fu7

巧「…毎回毎回草加ンとこのガキに泣きつかれちゃこっちのクラスの面倒もみ
 きれねぇよ」
啓太郎「だったら僕が面倒見るよ!だから、たっくんは木場君達の面倒を見る
   事だけに集中してよ!」
巧「おいおい大丈夫か?ここのガキは全員……」
木場「いぬいせんせい、きっと、はなせばわかってくれるこもいますよ…」
巧「全員が全員、お前みたいに手の掛からないガキじゃねぇからなぁ。お前い
 い子すぎなんだよ」
木場「そうですか?」

やっぱりオルフェノクの園児のお世話をする先生達は、苦労が多いみたいで〜す。
あら?木場君の事を、じーっと見ている園児がいますね?
何だか園児なのに渋くてお姉さん好み……(きゃっ
一体、誰かしら?

(5につづく
152名無しより愛をこめて:04/01/11 12:26 ID:fB/X0LIw

230 :幼稚園すくすく日記5 :03/11/12 09:02 ID:QCL5E9Pe

コートを着た小さい子が、木場君を部屋の隅にひっぱってますぅ。
何か、お話があるみたいですね?
??「おまえ…ねんしょうぐみか…」
木場「はぁ…?」
??「このようちえんは…ねんちょうもねんしょうも、かんけいない」

やけに親父臭さ爆発の園児君ですね?なんて思ってるでしょ?
この子が、お姉さん一押しの年長組さん、戸田英一君で〜す。

戸田「おれたちおるふぇのくは、まだ…かずがすくなすぎる。くらすがみっつ
  しかないのが、そのしょうこだ」
木場「いまのにんずうなら、かえってみっつだけでも、おおすぎるきがするけ
  ど…」
戸田「これは、たたかいなんだよ…せんせいと…おるふぇのくのな…」

クールに決まってますね、きゃ、格好いい!
153名無しより愛をこめて:04/01/11 12:29 ID:fB/X0LIw

231 :幼稚園すくすく日記5つづき :03/11/12 09:04 ID:QCL5E9Pe

…あら?戸田君の頭上に影が差してますね?それにぃ、どこかで聞いた電子音がぴこぴこって…

<EXCEED-CHARGE> がしゃっ!

<READY> びいいいいいいい…

まぁ!三角錐の光が戸田君の頭上に…戸田君も慌ててオルフェノク体(ちびいかくん)になりました!

戸田「ふぁいずかっ!」

「だああああああああああ!」
ご ん っ !

−−−−−五分後。
巧「戸田、お前まだそんな事いってんのかよ…ほら、もうみんな飯くっちまったぞ。お前も早く片づけろ」
戸田「さいごのじゅぎょうだ…おまえらに、おるふぇのくのしについて…」
巧「うるせぇ!」
ご ち ん !
乾先生のげんこつに、戸田君が頭を抑えてますぅ。
戸田「おれ、こんなきゃらじゃなかったのに〜…なんでおまえがせんせいなんだよぉ…」
巧「さぁな…片づけたら、一緒に部屋に戻るぞ」
戸田「はい…」
どうやら乾先生、戸田君が片づけ終わるまで、一緒に待っててくれたみたいですね。ちょっと乱暴だけど、園児達一人一人に親身になっちゃうところが、乾先生の良いところでぇす。
何だかお馬鹿な話がちょっと真面目な話になっちゃったわね(ぐすっ
次はお姉さん、お馬鹿な話を期待しちゃおうかしら…

(6につづく
154名無しより愛をこめて:04/01/11 12:31 ID:fB/X0LIw

218 :ANOTHR ABARENGER (1/3) :03/10/30 23:52 ID:bJbMm+tp

朝、目覚めた時、彼は路上にいた。
俺はなぜここに?ここはどこだ?
見覚えのない景色に戸惑う凌駕。
「地球はエヴォリアンの物です。無駄な抵抗はやめて下さい。
エヴォリアンに対する暴言、暴動、器物破損は思想犯として逮捕後、
処刑されます。繰り返します。地球はエヴォリアンの物です」
なんだこの放送は?俺は地球を守れなかったのか?
「次の人物をエヴォリアンに対する反逆者として指名手配します。
伯亜凌駕、22歳。エヴォリアンに対して数々の凶悪な犯罪を犯しています。
見つけ次第、最寄りの警察に通報して下さい。
逮捕につながった情報提供者は市民階級を2つ上げることが出来ます。
エヴォリアンの統治に協力してください」
俺が指名手配?幸人さんは?らんるさんは?
「なお次の者を今日公開処刑にします。三条幸人、樹らんる。
場所は旧東京都庁前です。たくさんの方の御来場を
心よりお待ちしています」
そうか、俺達負けたんだ……、俺はアバレマックスになったけど
アバレキラーから逃げ出したんだ。どうしよう?俺?
考えるまでもなかった。遠巻きに凌駕を取り囲んだ人間達が
携帯で電話している。目的は俺でもわかる。
逃げよう、とりあえず逃げよう。そうだ!恐竜屋に行こう!
そこで介さんやえみポンと会えれば、俺は恐竜屋に向かった。
155名無しより愛をこめて:04/01/11 12:34 ID:fB/X0LIw

219 :ANOTHR ABARENGER (2/3) :03/10/30 23:55 ID:bJbMm+tp

恐竜屋までたどり着いた俺を待っていたのはガレキの山だった。
この調子じゃ。介さんも、えみポンも……。
俺にはもう行くあても無い。ダイノコマンダーも反応が無い。
1人通行人をボコって、服をはぎ取り変装しているが
バレルのも時間の問題だろう。立ち去ろうとした俺の腕を誰かが
つかんだ。裏の路地に引きずり込まれ、殴られた。
「何をやっていたんですか?あなたは?あなたにダイノガッツを与えて、
アバレマックスにした後。三条君もらんるちゃんも
必死に戦って捕まったんですよ。それを、そんな仲間を見捨てて
あなたはそれでも……」
介さんはそれ以上何も言わず、そのまま歩き出した。
行く先はわかっている。俺は何も言わずに後を歩いた。
東京都庁前には大勢の人だかりが出来ていた。
みんな口々に幸人さん、らんるさんを罵っている。
物を投げている連中もいた。
「これがあなたの行動の結果ですよ。アバレキラーから、
自分から逃げ出した結果です。ここで死ぬもよし、逃げるもよし。
地球はもうエヴォリアンの物です。私も追われています。
ここで私は最後の暴れっぷりを見せてあの世に行くつもりです。
あなたも自分の好きなようにしなさい」
介さんは人ごみをかき分け、前に進む。死ぬ気なんだ。
俺は嫌だ。俺は死にたくない。俺は……、生きたい。
156名無しより愛をこめて:04/01/11 12:36 ID:fB/X0LIw

220 :ANOTHR ABARENGER (3/3) :03/10/30 23:57 ID:bJbMm+tp

介さんは前に出るとこちらを向き、上着をひるがえした。
ダイナマイト?!ダイナマイトらしきものを腹に巻いている。
野次馬が乱れた。我先に逃げようと大混乱が起きている。
介さんは俺を見ていた。死の淵で俺の目だけを見ている。
エヴォリアンの部隊が介さんを囲む。その中にアバレキラーがいた。
「面白い、実に面白いよ、じいさん。アイデア賞もんだ。
ときめくぜ!いいゲームの素材だよ」
「幸人君とらんるちゃんを放しなさい。わたしは本気ですよ」
「いいねぇ、いいねぇ。死を覚悟のそのセリフ。じゃあ、こんなのは
どうかなぁ?逃げ出したレッドを連れてくればおまえら3人は
生かしてやるぜ」
「そんな取り引きにはおうじられません」
「あっ、そ。じゃあ死になよ」
アバレキラーはダイナマイトを一刀で斬り離すと
何のためらいもなく、介さんをなます斬りにしていく。
医者だけに生かさず殺さず、急所を外して。
「そ、それが医者のやることですか。い、命はもう捨ている。
や、やるなら、ひと思いに」
「それじゃ、ゲームにならないじゃない。この様子を中継して
レッドをおびき出すんだから、そら、そら」
介さんの口から血が一筋たれる。俺は直視出来ず、うつむいていた。
俺に出来ることはあるのか?逃げ出した俺に?甘すぎた俺に?
俺は逃げ出した。何も見えない、逃げて逃げて逃げた。
俺も捕まる日が来る。そして殺されるだろう。
俺にはもう明日はない。
157名無しより愛をこめて:04/01/11 12:40 ID:fB/X0LIw
241 :アバレンジャー外伝(1/4) :03/11/22 18:43 ID:9WfFfIp3
アバレキラーとリジュエルは大規模に東京を攻撃していた。
そして、ここ、恐竜屋では。

「完成したたい!時空破断装置が!」
「アバレキラーとリジュエルを倒しに行きましょう!」
「待って、時空破断装置は本体と起爆発信機の2つしか出来てないの。
起爆すると半径50メートルの空間が消滅するのよ!
今から本体を誘導する装置を作って」
「もう、時間がない、行くぞ」
「行きますか、幸人さん」
「私は、うっ」
「介さん、らんるさんを頼みます」
「起きても引き止めてくれ、頼む」
「わかりました。二人とも、本当にそれしかもう手はないんですか?」
「それとこれも」
「俺のものだ」
「2人のダイノブレス、2人とも……」
「そうです。あいつらを道連れにします」
「……凌駕さん、あなたは舞ちゃんの父親ですよ。絶対に話してから」
「行く途中で電話しますよ、まだ何を言っていいのか分からないんです」
「わかりました。絶対に電話するんですよ、凌駕さん」
「はい、介さん。今までありがとうございました」
「俺もだ。腰には気をつけるんだな。行くか?凌駕?」
「行きましょう!幸人さん!」

「2人ともダイノブレスを置いていくなんて」
「男が覚悟したんです。二人は可能性を残したかったんでしょう。
誰かが後を継いでくれると」
「凌駕さん!幸人さん!」
「落ち着いて下さい、笑里さん。残された私達がしっかりしないで」
「分かっています!でも、でも……」
158名無しより愛をこめて:04/01/11 12:43 ID:fB/X0LIw

242 :アバレンジャー外伝(2/4) :03/11/22 18:49 ID:9WfFfIp3
「この車に乗せてもらうのも最後ですね」
「そうだな。」
「舞ちゃんに電話しないのか、後悔するぞ」
「まだ、何も思い浮かばないんですよ。真実を言うべきなのか。それとも」
「おまえの言いたいことを言え」
「えっ?」
「おまえの言いたいことを言うんだ。難しく考えなくていい」
「そうですね」
「伯亜凌駕です。舞ちゃんをお願いします」
「はい、少しお待ち下さい。舞ちゃんー」
「りょうちゃん、どうしたの?」
「うん、元気かなぁ、と思って」
「元気だよ、なにかあったの?」
「よく聞いてね。遅くまで起きてちゃダメだよ。歯は磨くんだよ、それから」
「いつもやってるよ、なにかあったの?」
「……もう、帰らないかもしれない……」
「どういうこと?りょうちゃん?」
「もう会えなくても舞ちゃんはらんるさんや介さんやえみポンの言うことをよく聞いて」
「わからないよ、りょうちゃん?」
「今は分からなくても大きくなれば分かるよ。みんなと仲良くね。さよなら、舞ちゃん」
「まって!りょうちゃん」
「いいのか?」
「ええ、舞ちゃんを任せられる人達が恐竜屋にはいるんです。俺がいなくたって」
「そうだな。俺には何も背負う物がないから気楽だがおまえは辛いな」
「幸人さん、覚悟はいいか?なぁーんて、ね?」
「もうさんづけはいい。最後くらいリーダーらしいところを見せてみろ」
「見せますよ。あの2人を道連れに。俺が本体を持ちます。起爆発信機で爆発を起こして下さい」
「それじゃ、片方逃がす。俺もエサになる」
「わかりました。やりましょう。幸人さん」
「まぁ、いいか。やろう」
159名無しより愛をこめて:04/01/11 12:45 ID:fB/X0LIw

243 :アバレンジャー外伝(3/4) :03/11/22 18:55 ID:9WfFfIp3

「キャハハ、楽しい〜、もっとやってよ壬琴」
「面白いか?面白いよなぁ、人が死んでゆくのは。ときめくぜ!」
「そこまでだ」
「あいつらか」
「これ以上おまえ達の好きにはさせない!行きましょう!幸人さん!」
「あぁ、行くぜ!」
「あいつら変身もしないで馬鹿みたい〜。やっっちゃってよ。み、こ、と」
「いいだろう。生身の人間をいたぶるのも楽しいもんだ」

「おまえら、アバレンジャーなんだろ?もっと暴れてみろよ?」
「壬琴、私にもやらせてよ」
「あぁ、いいぜ。来いよ」
「楽しめそう!ときめくわ!」
「行きますか。幸人さん」
「あぁ、行こう」
「うぁー」
「馬鹿2人が突進してくるぜ。ハハッ!」
「あははははっ、馬鹿みたい〜」
「起爆するぞ!」
「やっちゃいましょう」

「何?手が歪んでゆく。壬琴!何よ!これ!」
「俺の体が、おまえ達!」
「そうさ、おまえらを道連れにするのさ」
「やめろ!離せ!俺はまだ」
「今までの報いを受ける時ですよ」
「う、うわぁー」
160名無しより愛をこめて:04/01/11 12:48 ID:fB/X0LIw

244 :アバレンジャー外伝(4/4) :03/11/22 18:58 ID:9WfFfIp3

恐竜屋のスクリーンに半球状にえぐられた地面が映っている。
「やったのですね。凌駕君、幸人君」
「2人は……」
「彼らは自らを捨ててでも、みんなを助けたのです。
今日は店を閉めましょう。でも、明日になったら店は開けます。
手伝ってくださいね。えみポンさん」
「はい……」
アバレキラーとリジュエルは死んだ。二人の戦士の行動で。戦いは続く。
END。
161名無しより愛をこめて:04/01/11 12:54 ID:fB/X0LIw

245 :ネバー・クライ・ウルフ(1/2):03/11/28 20:30 ID:UFj9nEiq

狼。
狼に。
狼になる。
狼になるな。
なるな。
戻れ。
体。
俺の体、元に戻れ。

子供の時からいつも思っていた。
自分の中の怪物を憎んだ事もある。
怪物じゃない。
俺は人間だ。
人間だ。

いつかきっと人間と普通に暮らせる日が来る。
それだけを考えて戦ってきた。
人の姿をした化け物として
憎まれ追われた時も考え続けた。
俺は人間でいたい。
俺は人間だ。
人間だ。
162名無しより愛をこめて:04/01/11 12:57 ID:fB/X0LIw

246 :ネバー・クライ・ウルフ(2/2) :03/11/28 20:31 ID:UFj9nEiq

「化け物は滅ぶべきなんだ。」
いつもの調子の嫌味な声。
続いて響く銃声。
化物!怪物!魔物!
罵りと憎悪と軽蔑。

銃を構えるあいつの冷ややかな憎しみに満ちた目を見てると
人間達と本当に分かりあえる日が来るのか不安になって
絶望的な気分にもなる。

だけど彼らが俺を変え俺の力に誇りを与えてくれた。
秘密を知っても受け入れてくれた優しい人達。
姿が変わっても心は人間だった仲間達。
彼らの事を思うと胸が苦しくなる。
彼らの事を思うと心が奮い立つ。
あの人達の為にも俺は戦う。
狼として。人として。

あいつもどうにか振りきった。
家へ帰ろう。
先生と弟の笑顔をみるだけで疲れも飛んで行く。

いつかはバンパイヤも人間と共に暮らせる日が
きっと来る事を信じて
トッペイは浅い眠りについた。
163名無しより愛をこめて:04/01/11 12:59 ID:fB/X0LIw

247 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(1/6) :03/12/06 20:20 ID:dkFoIb8E

警官としての誇りを捨てた時に、
この身体は死んだと同じだったんだろうな。

もう戻る事は出来ない。
この手は人を護る事をやめた。
この手は血に染まってる。

鏡の中に化け物が映る。
鏡の中に蟹が居る。
鏡を叩き割っても、目に映さない様にしても、
どこにも逃れる事が出来なかった。

なぜなら…自らが為した罪からは逃れられないからだ。
罪は自分自身の中にある。


怪物は俺自身だった。

今ここに居る自分は、化け物に乗っ取られた虚像だ…そう思い込もうともした。

あれは俺がやったんじゃない!相手が悪いんだ!殺されそうになったから仕方なかったんだ!
そうだ、普段は人間と同じに見えるなら、人間で無くなった事を隠せば良いだけなんだ。
俺は人間だ。人間なんだ!だから隠してしまえば…。
いや…。自首しよう…。罪は償うべきだ…。まだ間に合う筈だ…。

罪に怯え、悶々と悩み続ける毎日。ふいに夜更けに呼び鈴が鳴った。

「私はあなたを、いや、あなたと同じような苦しみを抱えた人達を、救いに来たのですよ?」
銃を構える男達の真中で、長髪の男はニヤリと陰気な笑いを浮かべた。
164名無しより愛をこめて:04/01/11 13:02 ID:fB/X0LIw

248 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(2/6) :03/12/06 20:21 ID:dkFoIb8E

溶液の中で、もがく。吐気と苦痛が何時までも続く無間地獄のような水槽の中で。
だがこれが俺の贖罪なら、身が解けて消えるまでこの中に居ようと、
そう決心していた…ついさっきまでは。

どこからか悲鳴が聞えた。
不安と苦しみから、助けを求めてる声。女の声だった。
全細胞が軋みをあげる痛みの中でも確かに判るほどハッキリと。

幾つか下卑た笑いも聞え、処置について心配する声…、実験をいさめる声もあがった…。
それに反発する声は、「死んでも構わない」と言い切るこの声は、南のものだった。
話が違う!

俺を束縛していたのは、薬でも鎖でもなく、南との約束だった。
耳を塞ぐ事も出来ないまま、助けを求める声に耐えられなくなった俺は、
拘束具を断ち斬ると、止める科学者達を跳ね除け、悲鳴の主の元へ近寄った。

これが同族か?俺以外の怪物を初めて見た。
怪物は…、実験体にされたのは…、幼い顔立ちの少女だった。
少女は涙を浮かべ「これで…人間に…戻れるの…?」と小さく呟いて気を失った。


とっさに少女を抱え実験室から走り出す。
叫びながら、扉を壊しながら、知らないうちに右目から涙が滴り落ちていた。
…まだ涙が残っていたんだ。
俺にも。

一つだけ言える。
お前達のやっている事は、人間のする事じゃない!
165名無しより愛をこめて:04/01/11 13:05 ID:fB/X0LIw

249 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(3/6) :03/12/06 20:22 ID:dkFoIb8E

ぐったりしたままの少女を、少女の知り合い連中に託して俺はその場を離れた。

何処へ?何処へ行こうとしてるんだ?俺は。
行く宛なんか何も無く、あの研究室に戻る事も出来ない。
いや…最初から、この身体になった時から、俺には帰る場所なんて…。

あの少女は、無事に逃げられたのかな。
迎えに来る者が居るなら、あの子はまだ俺よりも救われてるかもな?

カニ、カニ、ドコカニ?…
カニ、カニ、ドコカニ?…

さっきから響く。呪文の様な言葉。
…なんだったかな?

これは確か…。そうだ!
子供の頃、君と一緒に遊んだゲームのセリフ…だったよな?
推理ゲームの聞き込みの途中で、出たばかりの店に入り直した時、
やっさんの姿が変わったタイミングに君は笑い転げていたっけ…。
166名無しより愛をこめて:04/01/11 13:07 ID:fB/X0LIw

250 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(4/6) :03/12/06 20:23 ID:dkFoIb8E

カニ、カニ、ドコカニ?…

何処かに居る君。
会いたい。
もう一度、君に。

手が血で汚れてしまった時に
君の事は諦めてしまったけど。

君にはまだ笑顔は残ってるか?
君はいま幸せなのか?
それを確かめるまでは…俺は…。

もう一度、君に会えたら…。
そうしたら俺は…。
たとえやり直す事が出来なくても、悔いだけは残したくなかった。


全身が痛みと疲労で麻痺しかけてる。足を動かすのも苦しかった。
身を隠す事も出来ず、それでも覚束無い足取りで歩きだす。

すれ違いざま、青いワゴン車に乗った青年が悲鳴を上げると、
それから暫くしないうちに、爆音をあげながら闇色のサイドカーが近付いて来た…。
167名無しより愛をこめて:04/01/11 13:10 ID:fB/X0LIw

251 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(5/6) :03/12/06 20:24 ID:dkFoIb8E

乗り物から降り立った戦闘スーツを着た男達に殴られるたび、
漬けられていた溶液とは違う激痛が走り、
罵詈雑言を浴びせられた時と違う悲しみが走る。
痛みの形は違っても、苦しい事には変わりなかった。

とっさに、分厚い鋼鉄を引き裂く威力のある左義手の鋏を広げかけ、俺は手の力を抜いた。
二度とやらない。
この手を血に染めるのはもう嫌だ…。

…突然攻撃から解放された。「逃げろ!」と言って俺をかばう者が居る。
よろめいて離れながら微かに礼を返す。まだ人間には希望が残ってるのかもしれないな…。
これからこの世界に起きる事は、共存なのか淘汰なのか。確かめる時間が俺に残ってれば…。

進もう。少しでも早く、少しでも近くに。
この青空の下、何処かに居る君のもとへ。

カニ、カニ、ドコカニ?…

カニ、カニ、ドコカニ?…
168名無しより愛をこめて:04/01/11 13:12 ID:fB/X0LIw

252 :カニ・カニ・ドコカニ・・・(6/6) :03/12/06 20:24 ID:dkFoIb8E

「…あともう少し歩いたらあの娘に会える…」


そう自分を騙しながら、痛みに耐え全身全霊力を振り絞って一歩一歩踏み出す男。
突然、くしゃっと嫌な音を上げて右足が潰れ、男の身体は地面に突っ伏した。

もう何も映す事の無い瞳が最後の力で焦点を絞り、愛しい者の幻を結ぶ。
震える手をその姿に伸ばそうとしても、指先は風に吹かれた砂のように飛び散り
虚しく宙を握った拳の形も失われ、全身は塵のようにもろく崩れ去る。


かりそめの命を与えられ蟹オルフェノクとして甦った男は、
誰にもその最後を知られる事なく小さな青い炎と共に消えていった。
169名無しより愛をこめて:04/01/11 13:15 ID:fB/X0LIw

254 :Amazing Grace (1/3) :03/12/15 03:50 ID:gJBLTBIt

「どうやらオルフェノクの力を失ったようね・・・」
声と同じくらい冷たい剣の切先が喉に当たる。
風がまた頭上の葉をざわめかせて樹の間を抜けてゆく。

でも風がおさまったとき、あの女はまた人間の姿に戻っていた。
そしてあの何とも言えない眼でわたしを少し見つめてから、
ゆっくりと樹の影に姿を消していった。

どうして殺さなかったんだろう。
ラッキークローバー、だったか、
あいつらはとてもプライドが高そうだったから、
変身できないわたしでは相手にとって不足なのかもしれない。
それともまさか・・・哀れんだのだろうか。
情けなどかけらも持っているようには思えない、あの女が。

いけない。早く啓太郎さんと待ち合わせた場所へ行かないと。
だけど、数歩も足を運ばないうちに倒れた。
立ち上がろうとしたけれど、だめだった。

そうか。わたしは一度、死んだんだ。
そして、もうオルフェノクにもなれない。
だとしたら残る運命はひとつ−−
あの戸田さんがわたしと木場さんに見せたような、
「完全なる消滅」。

いやだ。こわい。
やっと心から人を好きになることができたのに。
このまま青い炎を身体中から噴き出して灰になるなんて。
神様、助けて!わたしはあんな死に方したくありません!
170名無しより愛をこめて:04/01/11 13:17 ID:fB/X0LIw

255 :Amazing Grace (2/3) :03/12/15 03:53 ID:gJBLTBIt

・・・もう、神様にお願いする権利もわたしには
ないのかもしれない。人をいっぱい殺したから−−
あのラッキークローバーに眼をつけられるほどまでに。
スマートブレインの女の人が言ったみたいに、
本当はわたし、ずっと人間を憎んでいたのかもしれない。

だとしたら、今ここでただの灰になるという
最期こそ、わたしにはふさわしいのかもしれない。
人殺しの化物に、啓太郎さんのような人と一緒に歩いたり、
笑ったりする資格なんてあるはずはないから・・・

錆びた鎖のような疲労に何重にも取り巻かれた気がして、
そのまま固い土の上で目を閉じた。
さよなら、啓太郎さん。わたしのことはこのまま忘れてください。

不意に身体が軽くなり、地から離れる気配がした。
驚いて目を開け、宙に浮いた身体の両脇を見る。
腰のあたりから大きな翼が生えていた。柔らかな灰色をしている。

わたしの中に、まだオルフェノクの力が残っていた?
それとも・・・
神様が、わたしを許してくれたの・・・?

・・・・・・ありがとうございます。
こんなわたしでも、迎えてくれるんですね。
すぐいきますから少しだけ時間をください。
どうしてもお別れを言いたい人がいるんです。
171名無しより愛をこめて:04/01/11 13:20 ID:fB/X0LIw

256 :Amazing Grace (3/3) :03/12/15 03:56 ID:gJBLTBIt

近くに立つ一本の樹まで飛んでいった。
はばたく度に、灰色の翼は今日の強い風にも
負けない大風を巻き起こした。少しも音をたてずに。

樹の下で最後のメールを打って、送信した。
そして立ちあがり、再び軽く地面を蹴ってはばたいた。
今度は抜けるように青い空へ向かって。

たくさんの羽根が、翼の起こす風と本物の風に乗って舞い踊る。

さようなら、木場さん。
さようなら、乾さん。
さようなら、真理さん。
そして、さようなら、啓太郎さん・・・


誰も気づかなかった。
戦い傷つきながら樹の下に辿りつき、灰と羽根に埋もれた
赤い携帯を見つけて崩れ落ちるように座り込んだ若者も。
その後、同じ場所で同じものを見つけた若者も。
新宿駅南口の階段下に立ち続ける若者も。

自分たちの頭上高く、灰色の翼をつけた天使が、
雲ひとつない蒼穹の奥を目指して飛んでいくことを。
172名無しより愛をこめて:04/01/11 13:23 ID:fB/X0LIw

257 :待ち続ける者 (1/3) :03/12/16 23:32 ID:U8aYejkD

やだな、たっくん。そんな顔して。
まるで誰かのお葬式に行く途中みたいだよ。
たとえば、大事な友達のお葬式に・・・

だからすぐ分かっちゃったじゃない。
嫌な予感が的中したって。
数時間前にあのメールが届いた時、
黒い雲のように湧き上がってきた予感が。

「あたし、幸せでした。啓太郎さんと出会えて」
どうして過去形なの、結花さん。
「あたしも、啓太郎さんと普通のデートがしてみたかったな」
だったらなぜ今すぐ来てくれないの?
もしかして俺、振られた?

・・・その方が、まだいい。

結花さんはもうこの世にいないんじゃないか。
違う、何かの都合で遅くなってるだけだ。きっと来てくれる。
せめぎ合う正反対の心の声をなんとかしないと
気が狂いそうで、街灯の下に座り込んで目を閉じた。
眠れば何も考えなくてすむ。
なのに今、俺の肩を叩いて起こしてくれた
たっくんの表情が一気に天秤を傾けた。
決して傾いてはならない方へ。
173名無しより愛をこめて:04/01/11 13:25 ID:fB/X0LIw

258 :待ち続ける者 (2/3) :03/12/16 23:36 ID:U8aYejkD

「結花さん、来てくれなかった・・・初めてのデートだったのに」

たっくん。結花さんを呼び出した後で何があったの?
「デートには絶対行くって言ってたから」
真理ちゃんはそう言ってた。
なのに、来なかったんだ。いったい何があったのさ?

「やっぱ俺・・・ 振られちゃったみたい」

ねえたっくん。何かしゃべってよ。
「ホカされたのかよ、お前らしいな」とかでもいいから。
たっくんが無口な上に、嘘がつけない性格なのは知ってるけどさ。
そんなに黙ってたら動かしようがなくなるじゃない。
結花さんがもう俺だけじゃなく誰の前にも現れないってことが。

でもそれってひどすぎるよね?
今までファイズが倒してきたオルフェノクみたいに
結花さんが灰になって、風に吹き飛ばされて終りだなんて。
信じられない。信じたくない。信じるもんか。

結花さんが消えたなんて、絶対に信じない!

・・・そうだよ。
俺があっさり振られた。それだけの話なんだ。
ああ、悲しいな。俺って本当に駄目な男だよな。
でも早いとこ気持ちを切り替えなきゃ。
仕事中も落ち込んでて、ワイシャツでも焦がしたら
洒落にならないしさ。
174名無しより愛をこめて:04/01/11 13:28 ID:fB/X0LIw

259 :待ち続ける者 (3/3) :03/12/16 23:40 ID:U8aYejkD

結花さんは今ごろ、木場さんや海堂さんと一緒に
住んでいるマンションへ帰ってるんだろうな。
きっとそれが一番いいんだ。あの二人なら、
結花さんを守り抜いてくれるだろうから・・・

俺なんて、いつもたっくんや草加さんに助けを
求めてばっかりだから。
気の強い真理ちゃんの方がよっぽど頼りになるし。
そもそも俺、オルフェノクになった結花さんに
助けられちゃったし。あのエビみたいな
オルフェノクが襲ってきた時に。
愛想尽かされても仕方ないよな!

でもあのメールは反則だよ、結花さん。
まるで、遺書みたいじゃないか・・・

その晩の食卓で、改めて失恋宣言をした。
たっくんはやっぱり黙ったままだった。
結花さんが一緒に帰ってこなかったせいで
薄々何かを感じていたらしい真理ちゃんも、
「・・・啓太郎」と言ったきり黙ってしまった。
一生懸命、なぐさめるための言葉を探しているらしい。

固まった空気をほぐそうと、俺は精一杯明るく言った。
「ねえ、また明日みんなで街へ出直そうよ?
おいしいものでも食べにさ」

二度と会えなくても構わない。
だから、どうか生きていて、結花さん・・・
175名無しより愛をこめて:04/01/12 23:12 ID:6v8z4/m7
>>1
遅くなってスマソ 救出乙でした〜 )ノシ
176名無しより愛をこめて:04/01/13 23:59 ID:ZHF2COes
>175
どうもです。休日潰した甲斐がありました。
特に最近のお話ですと、結花と啓太郎の話は
埋もれたままになるのは非常に惜しいと思いましたので。
177名無しより愛をこめて
age待ちでごめんなさぁぁぁい。・゚・(ノД`)・゚・