アバレンジャー打ち切り!

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84名無しより愛をこめて
世界が「ドームの中」と「ドームの外」に二分化してから、何千年もの時が経とうとしていた。
かつて人類は地球を汚染しつづけ、気づいたときには隔離した世界を作るしか手段は残されていなかったのである。
砂漠の真ん中にたたずむドームは北海道くらいの大きさがあり、そこには厳選された動物・植物が子孫を残せるように
運び込まれ、大気や水など、ドームの中でのみ生態系が正常に循環していた。
だが当然、ドームには全人類を収容できる規模はなく、一握りの選ばれた人間たちだけがドームに入ったのだ。

ドームの端のほうの街に暮らすある少年は、いつもドームの極端まで出かけて、灼熱の放射能地獄である「外の世界」を
眺めることが大好きだった。
いつ見に行ってもドームの周りには、不気味な生き物たちが群がっているのだった。
服を着ているので知的生命体だろう。手足はひょろりと細く、緑色の巨大な目は彼らの顔の半分くらいを占めている。
以前、少年は親から聞いたことがある。
彼らは、ドームの外に取り残された人間たちが、外の環境に適応できるように数千年かけて進化したものなのだと。

彼らのうち一人が、ドームの外からじっと少年の顔を見つめていた。少年と同年代くらいだろうか。
少年はいつも不思議に思っている。なぜこうして平和に暮らせる僕たちと、外の世界に取り残された彼らがいるのか。
あの子には、ちゃんとお母さんはいるのだろうか…。

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「ただいまお母さん」
「あら、また『動物園』に行ってたの?」
「うん。『地球人』を見てきたんだ。ねえお母さん、地球人って何千年も昔から、ずっとあそこに閉じこもってるんだよね。」
「そうよ。あの人たちは決して、わたしたちの世界に出てくることはないのよ」
「ふーん。でも、いつかドームを壊して、こっちの世界に出てきたりしないの?なんだか怖いよ」
「大丈夫よ。だってあの人たちの体は、正常な私たちとは違うの。あの人たちは、あそこから出た瞬間に死んじゃうのよ……」