【勝手に】仮面ライダー龍騎EPSODEFONAL【補完】
705 :
704:03/12/21 02:01 ID:blk/HE/T
Evergreenの続きをupしました。
>>700,
>>701,
>>702 読んでくださってありがとうございます、すごく嬉しいです・・・
結末までがんばります。
「雄一か。
悪いが、今日は行けなくなった。
お前も家から出ない方がいい−−
いや、絶対に出るな。ああ、そういうことだ。
コンクールが近いんだったな。手にケガなんかするなよ。
そうか、ならいい。じゃあな」
携帯をジャケットの内側にしまうと、
先ほどまで小さな店を開いていた路上を後にして、
青年は夜の街を歩きだした。
本当ならあと1時間ほど占い客を待ってから店を畳み、
親友と待ち合わせた場所へ出かけるはずだった。
だが事情が変わった。不吉な方向へ。
少し前に、あの耳を刺すような音を聞いてしまった時から。
砕けたガラス。中身をぶちまけてひっくり返った生ゴミのバケツ。
血まみれの身体を丸めて唸っている三下、チンピラ、
そして凶悪そうな若者たち。
普段は他人から被害を受けるより与える側に回る方が
多いたぐいの人間たちなのがせめてもの救いだった−−
男の通った後に累々と転がっているのが。
「畜生・・・浅倉の野郎、なんだって急に暴れだしやがったんだ」
「イライラしてる時に近づきさえしなけりゃいいんだが・・・
そのイライラが今日はえらく急にきやがったらしいからな。くそ、いてぇ」
「まさかあいつ、ついに粉に手を出したんじゃあ・・・
「何だこの音は、俺をイラつかせるなあっ!」って喚いてるのが
聞こえたんだけどよ、あいつが鉄パイプ持ってこっち来る時に。
幻聴ってやばいんじゃね?」
イルミネーションの華やかな方角を指して歩き続けながら
思いに沈む、占い師の青年。
あの音は自分にだけ聞こえたのだろうか。
聞こえた瞬間はっとして目の前の往来を見渡したが、
おかしな音を聞きつけたような素振りを見せる通行人はなかった。
それでも音は消えるどころか、次第に大きくなってきた。
自分の中で急速に広がりはじめたヴィジョンと共に・・・
降りしきる雪の中、突然黒い影に襲われて地面に倒れる雄一。
「手塚・・・ 手塚・・・ 手塚っ!」
何故か倒れている自分を抱えて、必死に名前を呼び続ける若者。
2つのヴィジョンが完全に像を結んだ瞬間、青年には分かった。
それぞれの意味ではなく、自分が今からしなくてはならないことが。
ひとつは雄一が、今夜絶対に街へ出ないようにすること。
そしてもうひとつは・・・
自分の名を呼んでいた若者に会うこと。
彼に会わなければ、何か取り返しのつかないことが起こる。
自分だけでなく彼自身にも、そしてこの世界全体にさえも。
そんな気がした。
友の能力を知る雄一は理由を聞きもせずに
予定の変更を承諾し、外出しないことを約束した。
問題は若者の方だ。いったいどこにいるのだろう。
それに何となく、初めて見る顔ではないような気がする。
だとしたらいつ、どこで会ったのか−−
新作キタ━━(*゚∀゚*)━━━!!
ちょこちょこスレ覗いてて良かった。
いつもながらぐいっと引き込まれる展開で続きがとても楽しみです。
がんがって下さい。
ガンバッテー
710 :
707:03/12/25 03:55 ID:767o+Aqp
Evergreenの続きをupします。すみませんがまだ未完なので、
結局クリスマスまでには間に合いませんでした。残念。
>>708 ありがとうございます。私も、できれば覗いて楽しんでもらえる話にしたいなーと
思っていますので、がんがります。
>>709 ありがとうございます、がんばります!
黒い龍と共に生じた異様な音は片時も止むことなく、
イルミネーションに輝く都会全体に広がっていった。
音が聞こえたのは、限られたわずかな人間たちだけだったが・・・
都心の一流ホテル最上階。
壁一面を使ったガラス窓の前に立ち、
うつろな表情で豪奢な夜景を眺めているスーツ姿の青年。
何もかもがつまらなかった。自分を見下す人間ばかりの
学校も、自分に無関心な人間ばかりの家の中も。
もちろん、父親が主催するこのパーティ会場も。
ここには「芝浦の御曹司」という自分の肩書きに
媚びへつらう人間しかいない。
だがその耳を刺すような音が聞こえた瞬間、
倦怠感を押しのけて奇妙な「記憶」が浮かんできた。
ずっと昔の俺は、こんなじゃなかったはずだ。
少なくとも、鋼の鎧を着けて闘っている時は・・・
そう思った時、今度は野獣の吼えるような声が聞こえた。
すぐ目の前のガラスの中から。
驚いて目を凝らすと、役員やその取巻き連中の群がる
テーブルの映り込みの向こうに、獣とも人とも
つかない姿が見えてきた。
低く下げた鼻面に載った巨大な角。鉤爪のついた両手。
とてつもなく頑丈そうな金属質の皮膚・・・
「面白くなってきたじゃん」
年の割に幼い顔に、やっと笑みが浮んだ。
たちの悪いいたずらを思いついた時のように。
「先生!しっかりしてください!」
瀟洒な自宅兼オフィスで突然目まいに襲われて
倒れた弁護士に向かって、秘書の男が懸命に呼びかける。
「ああ、大丈夫だからゴロちゃん・・・でもやっぱり、
検査さぼらない方がよかったかな?」
つとめて呑気そうに答えたものの、北岡は不安に苛まれていた。
最近、立ちくらみの回数が増えたような気はしてたんだが。
もしかしてかなりやばいのかな、俺・・・
でも、まだ死にたくないな。せっかくイブは約束取りつけたんだし。
死ぬ?冗談じゃない、なんでこの俺が死ななきゃならないのよ。
どんなことをしたって生き延びてやるさ。
それにしても、さっきからキンキン鳴ってるこの音は何だ?
ゴロちゃんには聞こえてないみたいだけど・・・
二人とも気づかなかった。執務机の背後にある大窓に、
長い角を持つ巨大な影がぼんやりと浮んでいることに。
街灯もまばらな暗い道を、とぼとぼと歩く青年。
大学からの帰りだった。
抑えつけた怒りと不満が、心の底で泡立っている。
田宮君も西本君も小川さんも、全然わかってない。
香川先生だって「東條君の言い分も分かります」とか
言ってたけど、結局はみんなの言うことしか
聞いてないじゃないか。きっと、僕を丸め込もうとしてるんだ。
そうとしか思えない・・・
でも、一番腹が立つのは仲村君だよ。
わざわざ先生に、僕の失敗を告げ口するような真似を
したんだから。その上、僕が抗議の意味で黙って
仲村君の顔を見たら「逆恨みはよせ!」なんて
すごんで見せたりした。本当に、嫌な奴。
いっそ、みんな、死んでしまえばいいのに。
怒りと屈辱感の虜になった青年には聞こえなかった。
自分の周りに響き渡る、甲高く不快な音が。
そして、今しがた通りすぎた街灯の脇に付いている
カーブミラーに映った獣人が、両手に生えた巨大な爪を
誇示しながら凄まじい吼え声をあげるのが。
夜の公園。街灯に照らされた池の水に、
冬の木立が映り込んでいる。
冷たいベンチに腰掛け、1時間近くもじっとしたままだった
娘が膝の上のバッグを開け、畳んだ便箋を取り出した。
何度も読んだためか、折り目の部分から破れかかっている。
「美穂へ。
そろそろ、父さんと母さんのところへ行かなければなりません。
でもあなたを1人で残していくのが一番心残りです。
なるべく早くいい人を見つけて、新しい家族をつくりなさい。
そうすれば、ひとりぼっちじゃなくなるでしょ?
お姉ちゃんだって、美穂と、美穂の血を受け継いだ
子供たちの中でずっと生きていけるから」
お姉ちゃん。どうして何も言ってくれなかったの?
父さんと母さんがいなくなった時から、辛いことや
悲しいことは何もあたしに言わないで、いつも無理して。
病気になったことまで、入院する直前まであたしには
隠してて、その挙句に突然逝ってしまうなんて・・・
こんなに短い遺言だけ枕元に残して。
それに家族を作るなんて無理だよ。
あたし、男なんて信じられない。
お姉ちゃんだって、いっぱいだまされたじゃない。
あたしにはお姉ちゃんがいればいい。
だからお願い、生き返ってきて・・・
そう思ったとたん、目の前の池の水が盛り上がった。
翼の下に首を入れて眠っていたカモたちが、
驚いてけたたましく鳴きながら飛び立つ。
ベンチから立とうとして立てないまま、
娘はただ呆けたように見つめていた。
池の中から飛沫を上げて現れた何かが、
夜空ヘ向かって一直線に飛んでいくのを。
「この池・・・白鳥なんて、いなかったよね?」
怯えたような呟きに答えたのは、まだ波立っている水の面と
周囲の木立に響き渡る、耳を刺すような音だけだった。
確かに俺は清廉潔白な地方公務員とはいえない。
それは認める。だがだからと言って、
このまま一生ゆすられ続けるつもりはない。
一度報酬額を上げてやると、加賀はほどなく
次の上乗せを要求してきた。
「寝言はよせ」と言ってやったら、野郎、
下卑た笑いを浮かべて眼鏡を直しながら
こうほざいたものだ。
「須藤さん。あたしのお願いを聞いてくれないと
後悔することになりますよ?」
後悔? どういうことだ。
「あたしが今あんたとやってる仕事の裏には、
ある組織の幹部が絡んでる。名前を聞けば
あんただって一発で分かる大物だ。そうそう、
小竹署のお偉いさんとも仲がいいんだとよ」
なんだと・・・?
「あんたが値上げを渋ったり、この仕事から
手を引こうなんて思ったら、その大物と
小竹署のお偉いさん、つまりあんたの上司が
黙っちゃいないってことさ。刑事の職を失うくらいなら
まだいいが、でかい重りを脚にくくりつけられて
東京湾に沈んだりしたかないだろ?まだ若いんだしな」
やつらみんな、最初からグルだったのだ。
そして俺は知らないうちに上司に嵌められ、利用され、
一生を闇に塗り込められつつあるというわけだった。
塗り込められる?ふざけるな。
俺が、あいつらを殺して塗り込めてやる。
加賀の小汚い古道具屋の壁にでも・・・
暗くなったというのに灯りもつけず、
外回り用の黒いコートを羽織ったまま
冷たい怒りに身体を震わせる男の周囲で、
異様な音が響き始めていた。
そしてアパートのベランダに通じるガラス窓には、
いつのまにか何かが映り込んでいた。
夕陽のような金色をした巨大なハサミを振り上げて
威嚇するような仕草を見せる、カニに似た怪物だった。
都内を見下ろす高層ビルのワンフロアを使った
豪勢な部屋に、たった一人で座る男。
憤怒と苦悶に歪んだ表情は、少し前に丁重な礼を
述べて出ていった男とその部下達のせいだった。
この高見沢グループを買収だと?
テレビで派手なCMを垂れ流すだけで、海のものとも
山のものともつかない新興企業のくせに・・・
しかもトップ自ら乗り込んでくるとはどういう了見だ。
「いい度胸だな、え、社長さんよ?おととい来やがれ!」
俺の嘲笑と恫喝にも顔色ひとつ変えず、胸の悪くなるような
愛想笑いと皮肉で応じたのはあいつが初めてだった。
「社長同士会った方が話は早い。そう思ったまでですよ。
それに、高見沢の総帥はとても気さくなお人柄だ−−
そのように聞いていましたのでね。どうやら噂は本当だったらしい」
答える代わりに俺は指を鳴らした。
間髪いれず、隣室から6名の黒服がなだれ込んでくる。
「おととい来やがれっていってんだよ、青二才。
社長だろうがなんだろうが知ったこっちゃねえ、
これ以上居座るなら痛い目に会うぜ」
わざとらしくため息をつくと、奴は部下達の方を向いた。
「仕方がない、見せて差し上げなさい」
上司の言葉と同時に、二人の屈強な男の身体が変化し始めた。
灰色で、ゴテゴテと飾りのついた姿に。
やたらでかい武者人形のようにも見える。
次の瞬間その頭から白い触手のようなものが飛び出し、
黒服どもの口や鼻に入りこんだ。
気がつくと絨緞の上に灰の山が6つできていた。
俺の耳に、青二才の声が聞こえてくる。
「返答の期限は1週間です。考える必要もないでしょうが・・・
では、これで失礼いたします。お忙しいところ私のような
若輩者のために時間を割いていただき、感謝しております」
警察はおろか、カネもヤクザも閣僚も役に立たない。
相手は化け物の支配する企業だ。
畜生、力さえあれば。
化け物に対抗できるような力が、俺にも・・・
いつのまにか、部屋中に不気味な音が響き始めていた。
机の上で頭を抱えて歯を食いしばる男の真上で、
豪華なシャンデリアがきらめいている。
男の背後の広い窓に映ったもうひとつのシャンデリアには、
長く巻いた尾と奇怪な形の脚を持つ緑色の怪物が張りついていた。
オールスターキャストになりつつあるうえに、
村上シャチョーまで登場とは、ますます
続きが楽しみです!
最初、サノマンが買収にきたのかと
思ったのは内緒だ(w
719 :
717:03/12/26 21:38 ID:WGsxSkEs
Evergreenの続きをupします。
>>718 ありがとうございます。まさかオールスターになるとは自分でも最初
思っていませんでしたが、一応全て出せそうです。サノマンもこれから出てきます。
ただ申し訳ないのですが、ファイズの村上社長の出番は今回のみです…
やれやれ。入ってくる車にも出てくる車にも、
金だけは腐るほど持ってそうな連中ばかりが乗ってる。
腐りかけてる分くらい、寒空の下で一生懸命他人様に
奉仕してる俺みたいな人間に回してくれよ・・・
夜になってさらに冷え込んできた駐車場の片隅で、
靴跡のついた万札を制服のポケットから取り出して
丁寧に皺を伸ばすと、バイトの青年はため息をついた。
「いくらヨイショしたって、今日はまだこれだけか。ちぇ」
だが、ついさっき誘導したイタリア車から出てきた
男女に気付くやいなや、青年の表情と声の調子は
素晴らしい速さで切り換わった。
「いってらっしゃいませーー!!」
自分の挨拶を完全に無視し、軽口を叩き合いながら
目の前を通り過ぎていく男女を見つめる青年の眼に、
一瞬暗く危険な影が差す。
が、2人の姿が消えるとすぐ大げさに息を吐き出した。
嫌な気分を吹き飛ばそうとするかのように。
「あーあ。いいなぁ〜」
そして、ことさら大きな声で独りごとを言いはじめる。
「親父にたてついたりするんじゃなかったかなあ。
見合い話ってのも、親父にタンカきった手前引っ込みが
つかなくなって結局蹴っちゃったし。
写真で見る限りじゃ、きれいな子だったのにな・・・ん?」
ふと何かを感じてあたりを見まわす。
「風の唸りか・・・しかしクリスマス前からこの調子じゃ、
イブはさらに腐れカップルで充満するんだろうなあ。
仮病使って休もうっと」
だが青年が聞いたのは風の唸りなどではなかった。
駐車場全体から、というより駐車場内の車全体から
湧き出し、低い天井に反響している甲高い音だった。
気配を感じながら青年が認識できなかったものがまだある。
視線を外したとたん、周りにあるすべての車の窓やボディや
ミラーにずらりと並んで映った、無数の怪物たちだ。
色も体の大きさもまちまちだったが、二本足で立ち、
頭部に太く長い角があるという点では共通していた。
「優衣・・・・・・許してくれ・・・!」
いくら耳をふさいでも無駄だった。
刺すように甲高い音は、その男の内側から聞こえてきたからだ。
遠い昔男が妹を捨てた時、一緒に捨てたはるか彼方の国で、
しかも一握りの人間にしか聞こえていないはずなのに・・・
黒い髪に両手の指を食い込ませてのたうちまわる男を、
冷ややかに見下ろしている者がいた。
壁に掛けられた横長の油彩画を保護するガラスの表面から。
身体の左右に巨大な金色の翼を広げて仁王立ちになった、
いかめしい黄金のマスクをつけた男のように見えた。
そして。
「何故だ、優衣・・・何故またこの音が聞こえる」
都心に近い住宅街にある小さな喫茶店のカウンターに座る、
漆黒のレザーコートを着た若い男が蒼白な顔でつぶやく。
目の前に置かれた少年と少女の写真の表面に映り込んで
はばたく、コウモリに似た怪物を見つめながら。
722 :
名無しより愛をこめて:03/12/27 00:25 ID:nHuyo84X
オモシロイ!!
シカモ作者タン、トッテモ気サクナ人ッポクテ良イ!!
723 :
1:03/12/27 14:01 ID:PnFbzCpH
スレの容量が480kを超えたので用心の為に次スレを立てておきました。
【勝手に】仮面ライダー龍騎R・D・C【補完2】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1072498669/l50 「Evergreen」の作者様へ。作品はいつも楽しみにしています。
スレの容量が480kを超えた現在、
このままだと「Evergreen」の続きは次スレへ持ち越しになり分散する可能性があります。
一括保管を兼ねて、「Evergreen」(1)〜(15)を次スレにまとめて再掲させて頂きました。
承諾が事後になった事をお許し下さい。
>>722 ありがとうございます、嬉しいです。
>シカモ作者タン、トッテモ気サクナ人ッポクテ良イ!!
うーむ・・・そうでしょうか?(汗)
>>723 >>1さん
新スレ立てお疲れ様です。その上に、
Evergreenの分散防止まで配慮してくださって、
本当にありがとうございます・。・゚(ノД`)゚・。・
>承諾が事後になった事をお許し下さい。
とんでもないです。こちらこそ、容量を考えながらupすると書いたのに
実際にはやみくもにupしてしまっていたので、申し訳ありません・・・
これからも楽しんでもらえるように、新スレを大事に使わせていただきます。
Evergreenの続きは次スレですね。
楽しみにしていますよ。
726 :
724:04/01/05 00:33 ID:XX0A59Nq
>>725 読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます。
次スレで続きを書かせてもらっていますので、完結までがんばります。
727 :
名無しより愛をこめて:04/01/08 03:06 ID:ZJyMpo5T
下がりすぎ、保守
保守
729 :
名無しより愛をこめて:04/01/17 05:31 ID:sRr9vfIi
age
sage
731 :
名無しより愛をこめて:04/01/28 00:24 ID:x6m5Hp9v
age
732 :
724:04/01/28 22:51 ID:W0ru8udT
>>727 -
>>731 保守ありがとうございます。
ageの時に何かないと淋しいというのもあって、1つ話を作りました(完結済み)。
時期的にはTV版22話の真中当たりで、1レス30行ずつ、6回分あります。
1レスに収まる話にしようと思って始めましたがこんな結果に(鬱)
Evergreenの方でずっと真司と手塚を書いていたのに引きずられて、
やはりこの2人が中心の話になりました。
出来は何ともいえない上に、スレ容量がもつかどうかもわかりませんが、
とりあえずこれから1回分upします。続きは今のところ、このスレが
また下がってきた時に追加しようかと思っています。
もしも話の途中でスレがいっぱいになったら、次スレの「Evergreen」
が完結した後に改めてupさせていただくことを考えています。
(Evergreenもまだ完成してない上に、勝手をしてすみません・・・>1さん)
「都内某所に実在する空き家にまつわる噂です。
叶えたい望みや、解決したい悩みを持つ人間が
そこにある古鏡の前に立ってそれを願うと、和服姿の
蒼白い顔の女が鏡の中に現れてこう言うそうです。
"望みを叶えてあげる・・・だから代りにお前の命を頂戴"
命を渡すことを約束すると女は消えます。
しばらくすると望みが本当に叶うんですが、
その後まもなく、願った当人は死ぬって話です。
場所は新宿区○○・・・」
なんだか神崎士郎の女版みたいだな。
神崎が何を考えてライダーの戦いを
仕組んだのかはわからないけどさ。
でもあいつよりはこの女の方がまだ良心的かもな。
まず望みを叶えてやってから約束の「報酬」を
受け取るんだから。他人の命を奪えなんて言わないし。
ともかく真司は、読者からメールで来たそのいかにも
ガセっぽい怪談話の取材を一も二もなく引き受けた。
「おい真司、令子が帰って来るまで待・・・」
「あー編集長俺ひとりで大丈夫っすから!」
神崎はともかく、鏡が絡んでるならモンスターが出てくる
かもしれないし、そうなったら変身して戦わなきゃいけない。
令子さんがいればモンスターに狙われるだろうし、
龍騎に変身したとこを見られるわけにはいかないもんな。
目的地に向かっていると、歩道から声をかけられた。
「城戸!」
ズーマーを停めて声のした方を見ると、
道端に占い台を出して営業中の手塚だった。
続きを楽しみに保守
「取材か」
「そう、神崎士郎みたいなやつが出るっていう場所の」
「何?」
真司のそばまでやってきて話を聞いた後、黙って
営業場所へ戻り、左手だけで台を片づけ始める手塚。
「おい・・・」
「俺も行く」
周囲を伸び放題の竹薮に囲まれた問題の空き家は、
怪談の舞台にふさわしい荒れ方だった。
「廃墟探訪の記事に切り替えた方がいいかなあ。うひゃっ!」
これで五度目くらいに腐った床板を踏み抜いて
悲鳴を上げた後、真司が不思議そうに横の手塚を見る。
「でもお前、なんで俺と一緒に来ようなんて・・・あっ!
もしかして占いで何か出たとか?」
「ああ。お前にトラブルが見えた」
「え。っておどかすなよ!」
「俺の占いは」
「当たるんだろ、分かったよもう、トラブルでも何でも来いってんだ」
ヤケ気味にぼやいて懐中電灯を前方へ向け直したとたん、
真司の足が止まった。
「手塚、あれ!」
TシャツにGパンの若者と赤いジャケット姿の青年が、
蜘蛛の巣まみれで破れ放題になった障子の陰から
こっちを見ている。
「鏡か・・・」
手塚が呟き、薄暗い廊下よりさらに暗い六畳間に
足を踏み入れる。真司も後から続く。
二人の姿を映し出していたのは、腐りかけた畳に鎮座した
埃だらけの鏡台の上で鈍い光を放つ、縦長の鏡だった。
736 :
735:04/02/02 21:46 ID:yNp6OeiF
>>734 保守してくださってありがとうございます。アク禁の巻き添えに
なっていましたが、やっと今晩解除になったのでupできました。
「はは、さすが怪奇ネタになるだけのことはある場所と
小道具だよな。なんかこう背筋が寒く」
やや引きつった笑みを浮かべた真司が言いかけた時。
「お前の望みを・・・」
細い声がした。確かに鏡の中から。
「!!」
目を見開き、ごくりとつばを飲み込む真司。
「望みを言ってごらん・・・なんでも叶えてあげるから・・・
お前の命とひきかえに・・・」
再び細く響いた声とともに、鏡の中に人の姿が現れた。
和服を着て、蒼白い顔をした若い女だった。
「その前に聞かせろ。お前自身の望みは何だ?」
手塚の声は冷静だった。
「私の望みはお前たちの望みを叶えること・・・」
鏡の中の女が艶然と笑う。
「な、ならなんで命をと、取るんだよ?」
今度は真司がどもりながらも問う。
「何かを得るために何かを代償に差し出すのは当たり前・・・」
「だからってなんで命まで!」
「それほどの覚悟を伴わぬ望みなど、叶えたとて仕方ない・・・」
手塚がまた何かを言おうとした時。
真司が大きく息を吸い込み、叫んだ。
「ならライダー同士の戦いを止めてくれ!」
一瞬の沈黙の後、女が答えた。なぜか声が震えている。
「それは・・・」
「何でもいいって言っただろ。戦いを止めてくれよ!」
738 :
初夏の廃屋(4/6):04/02/12 00:01 ID:Bjl1zPJA
手塚さえ驚いたほどの気迫で真司がまた叫んだ後。
冷ややかだった女の表情が凶々しく変わり始めた。
「悔しい・・・よくもこの私に無理難題を・・・悔しい・・・!」
「逃げるぞ、城戸!」
鏡の鬼女に魅入られたように突っ立っている真司の
腕をつかんで叫ぶと、手塚が六畳間から走り出た。
そのまま一気に朽ちた縁側を飛び越え、
背丈まで雑草の伸びた庭へ飛び降りる。
直後、六畳間から怨念に満ちた絶叫が響き渡った。
そしてガラスの砕け散るような音も。
「ありがと、おかげで助かったよ。でも驚いたよな、
半ばガセだと思ってたのに・・・何だったんだろ、あの女」
空き家から出てバイクを置いた場所に向かう
二人の影が、道路に長く伸びている。
少しだけ涼しい風が吹き始めていた。
「おそらく、つくも神・・・古い道具から自然に生まれる
妖怪のたぐいだろう。それにあの家に住んでいた女の
怨霊が合体して、たちの悪い物の怪になったのかもしれない。
俺は拝み屋じゃないが、鏡台から強い妖気が漂ってくる
ことくらいは感じ取れた。あの家に人が住まなくなった
経緯を詳しく調べれば何か分かるかもしれない・・・だが」
手塚が突然立ち止まり、真司の方を向く。
「お前、あの女に望みを言ったな。なぜあんな無茶をした?
本当に命を取られるかもしれなかったんだぞ!」
「−−よくわかんないんだけどさ」
路上に落ちた自分の影を見つめながら、困ったように答える真司。
739 :
朝倉さん:04/02/14 15:48 ID:5DQ7NKv4
_,,----、
r" \
_,/,,,,-‐''""'ー¬'゙ `i
ヽ i´ '''ニ二二ニ,!l゙ 甘いなぁ、死ぬぜぇ
./\、 ゙l `-,、 ――ー'''!.|
/. `くヽ、 .ヽ、`゙''''i、 ,「
/ \`‐x-、_.!--ー〈ir‐―'┤
/ __ く 、 \  ̄ー-、 `''''r゙―、_,,、
l゙ !ニニ¬''―ヘヽ、 ヽ.`-、 ``ー、.|、 │ ` -,、
,|,-'""""ー ,,、 `'、`"‐゙ i .i、 \ ヽ、 l
/ _,-'"゙^  ̄'''ミ〜゙ヽ \ ヽ__ ゙i、 ,,,,,,⊥ )
シ'" ` /i、 \  ̄` | ゙l, l゙ ,―-,,,,,,,、
/ | \ \,,---へ,,,,,,彳 |‐''゙l,/ , i、
__ / ,,- _.| l゙ `'-、 .゙l .| .| ,ー")'!゙‐ ′
 ̄''ヽ、 ,-!,,,-‐'″.,,i´ `-,、 .,,,ィ―ー,! .| .| | /
`ッ ,/ ゙l,,,,-‐´ `ー'"` L_―ト | 、 _i´
/ ,,r' ゙l,,,,_ |___l | `゙″
,、 i ,ィ′ |`゙"''―-,,,,,、 / ___l |
.゙ー-,,,,/\ /`ヽ | `゙゙'''―イ''´ l゙ .|
` ′ .| ′
俺がいないと盛り上がらないだろ?なぁ?
夏の続きに期待です
「本音が出ちゃったっていうか・・・ここ最近、ライダーの
戦いのことでずっと頭が爆発しそうだったんだ。
言ったろ、お前。ライダーになるのはそれに賭ける他に
どうしようもない人間ばかりだって。俺には背負っているものが
感じられないとも。そんな俺には戦いを止める資格なんて
ないんじゃないか、とか思ったりさ。
それに蓮は、恋人を助けるために戦ってる。
だからこの間言ったように、俺も戦おうってやっと決心した。
今できることはそれしかないって思ったから。
けどやっぱり−−戦いなんて止めたいんだ、俺。
だからもう物の怪でもなんでもいいから、止められるものなら
戦いを止めてくれ・・・そう思っちゃったのかもな。でも」
手塚の顔を見上げると、淋しそうに笑う。
「あの女、戦いを止めろっていったら悔しがってたよな。
無理難題を言ったって。望みが叶えられない以上、
俺の命だって取られることはないだろ。
お前の言うとおり、ライダーの運命はなかなか変わらないんだよ。
たとえ物の怪の力でも−−あ、それともまだ見える?俺のトラブル」
「・・・いや」
「そっか、よかった。あ〜それにしてもまいったな、取材は
大成功だったのに記事にできないなんて・・・でも、
本当のこと書いて編集長が心臓麻痺起こしても困るしなあ」
呑気にそう言って、夕陽を浴びながら先に歩いていく真司。
その背を見つめる手塚の顔が暗く翳っていたのは、
逆光のせいばかりではなかった。
742 :
741:04/02/22 01:32 ID:zo4RWDYU
初夏の廃屋の続きをupしました。
>>740 読んでくださって、ありがとうございます。
743 :
名無しより愛をこめて:04/02/23 11:10 ID:FRe9pLaE
早く続きがよみたい
ほしゅ
真司が蓮と戦う決意を語った、花鶏での夜。
手塚の擦った一本のマッチは恐ろしい未来を告げた。
「次に消えるライダーは−−」
龍騎だということを。
そして今日、手塚が真司について空き家まで
来たのは、その運命を変えようとしてのことだった。
だが占いが告げたのは、今日のことではなかったようだ。
ならば何時なのだろう。
ライダー同士の戦いを止めたい。その一念だけで、
命を捨てることも辞さずに物の怪に向かって願いを叫び、
結果として物の怪を滅ぼしたほどの強さを秘めた若者が
消える運命にあるのは。
そう。命を捨てることも辞さずに。
「・・・雄一!」
立ち止まって包帯をした右手を見つめ、
左の拳を握り締める手塚。
俺は、あの夜の占いを必ず外してみせる。
たとえ命にかけても。
廃屋を覆う朽ちた雨戸に、風に揺れる無数の
竹の葉が当たってざわざわと音を立てる。
そしてあの六畳間でも、得体の知れない音が響き始めていた。
前の主が持っていた以上の妖気と悲しみに満ちた音が。
「戦え・・・」
鏡台の前に散らばった鏡の破片のひとつひとつに
映り込んだコートの男が、そう呟いた。
END
746 :
745:04/02/29 01:20 ID:ImzQ9T8T
初夏の廃屋ラストをupしました。読んでいただいた方々、ありがとうございました。
>>743 読んでくださってありがとうございます。
>>744 保守してくださってありがとうございます。
747 :
745:04/02/29 01:27 ID:ImzQ9T8T
忘れてた・・・ageておきます。スレ容量ももう少しのようですね。
>>1さん、本当にありがとうございました。
>作者様
お疲れ様でした。
手塚がそう思ったように、これが真司の強さ、凄い所なんだよな、と
改めて思わされたお話でした。
Evergreenの方も楽しみにしています。
>作者様。
「初夏の廃屋」完結、お疲れ様でした。
真司の無鉄砲に近い行動の裏にある必死な思いと心にある芯の強さ、
ややあきれながらも何時の間にかその真司に影響を受けている手塚、
その対比が良かったです。
しかし、物の怪さえも恐れさせる神崎の執念は、なにか哀しいものがありますね。
「Evergreen」の完結も楽しみにしています。
750 :
745:04/03/08 00:37 ID:YHUzD1x/
スレ容量がもう少しもちますように・・・
>>748 読んでくださって、ありがとうございます。真司のキャラクターはとても好きな割に
(Evergreenを除けば)今まであまり正面から書いたことがなかったので、
真司の魅力の一端が出ていればとても嬉しいです。
>>749 読んでくださってありがとうございます。龍騎本編での真司の無鉄砲さと
それに呆れる手塚の組合せが面白いと思っていたので、この話でも
そういう所に興味を感じていただけたならすごく嬉しいです。
神崎については、書きながら「お化けより凶悪なんて士郎兄さんに
悪いかな」とか「でもやっぱりその辺の妖怪より強くなくちゃ失礼かな」
とか考えていましたw
751 :
名無しより愛をこめて:04/03/08 23:57 ID:AqE9/epQ
752 :
名無しより愛をこめて:04/03/09 11:30 ID:dftItNLn
続きが読みたいですね
753 :
名無しより愛をこめて:04/03/10 00:01 ID:H44Fnn0q
ほしゅ
某所から小説をパクって投稿した何処かの誰かさんよりはましだと思いますよ。