【勝手に】仮面ライダー龍騎EPSODEFONAL【補完】
なんか昨日はひどい目に会ったなー。
久しぶりに日本に戻った小沢さんの歓迎会で焼肉を食べてたら
バカップルの喧嘩に巻き込まれて青ノリだらけにされた上、
「もう!尾室君も尾室君よ!このお調子者!『昔ここでバイトしてたんですよね〜』って店の手伝い始めちゃって!」
「はぁ…」
「あんたG5部隊の教官でしょ!しっかりしなさいよ!!」
小沢さんに逆ギレで叱られたし、北條さんにまでイヤミいわれて。
氷川さんは不器用だから青ノリ落とすのを手伝ってたらもっとひどい事になったし。
嫌な事は忘れよう。今日は小学生が対象の「G5の歴史」講演会だ。拍手で迎えられると鬱な気分も吹っ飛んでいく。
旧タイプのG3に入って、開発の歴史を説明したりG5相手の実演をしてみせる。憧れの眼で俺を見る子供達。
そうだよな。軽量型のG5と違ってヘビー級のG3が乗りこなせるのは、俺を入れても世界で3人だけなんだよなー。
でも熱心に見てるのは子供達だけで、記者のほとんどは半分退屈そうにメモをとってる。
前の席なんかイチャついてる奴も居るぞ。あ、女性記者の肘鉄くらった。ざまみろ。
いきなりガラスがパリーンと割れ、怪物が現れた。
トンボ型のアンノウンが狭い枠から次々身を乗り出し、押し合いへしあい1匹づつ入って来る!
しまった!武器が無い!講演会だから重火器は用意してなかった!デモ用にわずかな在庫があるだけだ!
泣き叫ぶ子供達。混乱して走り出ようとする記者達を引きとめ、パニックを収めようと奮闘する俺の部下と婦警さん達。
小沢さんから緊急連絡が入ってきた。泣きながら惨状を訴え救助を求めると意外な答えが返ってくる。
「尾室君!なんとか持ちこたえて!武器弾薬は氷川君のG3-Xと北條さんのV1-ZZZψturboRVer5で運ぶから!」
「ふっふっふ…。今度のV1は一味違いますよ。先月みたいに壊される事は無いですからね?楽しみに待ってて下さいよ」
「街は今大変な状態なの!でも、街を襲ってるアンノウンは自衛隊のG4-改部隊が鎮圧してるし、
目撃者の通報によると未確認のアギト2体がアンノウンと空中戦を行ってるそうよ。
だから望みはあるの。少し時間がかかるけど、救援が来るまで被害を抑えて!頼むわね!」
頼むわねって言われても、どうしたらいーんだよー!
目の前でG5が一体持ち上げられようとしてる。手足をバタバタさせる部下に飛び付いて何とかひきずり降ろす。
ぎゃーーーー!!アンノウンが噛み付いてきた!さらわれるー!助けてーー!!
あれ?あれれ?
「そうか!奴ら、G3は重くて持ち運べないんだ!俺が囮になる!お前ら援護しろ!」
偉そうに言ったけど俺、本当は足がガクガクブルブル(゚д゚)になって逃げる事が出来なかっただけで…。
ガン!ガン!と装甲にぶつかるトンボ。端から隊員がナイフや銃で潰す。
1匹づつならどうにか仕留められると判って、隊員の間に安堵感と自信が生まれる。
「尾室さん!頑張りましょう!」「教官!俺、感激しました」「さすがG3時代の英雄ですね!」
「おう!当たり前じゃないか。子供達を護れなくて、なにが公僕だぁ!」
…ハッタリだけは得意なんだよなぁ、俺。
怖くて怖くて涙が出る。大きい方までちびってしまった。おろしたてのパンツがー。うわぁぁぁぁぁん!
でも、ここで気絶したり逃げたりしたら、ちびっこと婦警(ここ重要)が怪物に…。
ゲロまで出そうになった時、口の端から血を出してパニくってた肘鉄男が声をかけてきた。
俺のガクブルに気付いたらしい。
「なあ?あんた。怖いなら交代すればいいじゃないの?」
「できません。できるわけないじゃないですか!」
「なんで?」
「だって…(動けないし)。誰かがやらなきゃいけない!今ここで戦えるのは俺達だけなんすよ」
「でも限界でしょ?あんた達、あまり強そうに見えないしさー」
「それでも…戦える力を持ってるなら、目の前で襲われてる人を救うのは当たり前の事です!」
「…。もし仮に力を持っててもさ、自分のため以外に動くのなんかごめんだね。それが俺の信念だし」
「信念なんて見栄っぱりと同じです!見栄できれいなままで居たくない!汚れたって構いません!
パンツは汚しても洗えるけど命は無くしたら戻ってこないんすよ!」
もう何言ってるのかワケワカランな俺。
怪物に追われたのか、チンピラみたいな男が転がり込んできた。すぐに窓を塞いで応戦する部下達。
「先生!」目の前の男に何か手渡すチンピラ。
え?なに?あやしい薬の取引?
さっきまでの半泣きがうそみたいに、すくっと立つ男。
「あのさ?あんたヘタレみたいだけど、いい事言うよね?」
ヘタレって…民間人にまで言われた ・゚・(ノД`)・゚・。
なんだか軽く笑いながら、部下達が苦戦してる所に長身の男は歩いて行く。
「下がってください!危険です!ここは私達に任せて!」
「へん…しん!」男の姿が変った。うそー!!この人もアギトだったんだ。
緑色で武器をいっぱい持ってるアギトは、的確な射撃で次々トンボを撃ち落す。
新しい助っ人に歓声を上げる部下達。
「ま、この数じゃ自分を護らなきゃ。ちょっとぐらいなら、天井のチリがかかって汚れてもいいかもね?」
アギトの参加で楽観的なムードになってくる。子供達も婦警も記者も、希望を込めて戦いを見守る。
…部下も子供達も知らない。ちらっと見えた空を埋め尽すトンボの群れの事を。
でも…絶望するにはまだ早いかもしれない。
この人が居れば、なんだかどうにかなりそうな気がする。
いつのまにかガクブルが止まってる。俺もGX-05を解除しながら戦いの輪に向かった。
おまけ。遊園地。
「真魚ちゃん、バイト慣れた?」
「うん。翔一君はどう?」
「あのお店凄いよ〜。色々エスニック料理の勉強になって。真魚ちゃんのおかげでいい店で研修出来て良かった」
「お互い頑張ろうね?」
が、出現する怪物に会話は中断する。
「すぐ戻る!真魚ちゃんは隠れてて!」
「判った。翔一君…無理しちゃ駄目よ?」
おまけ。どこかの繁華街。
蛇柄男の悪口で盛り上がるチンピラ達。ほおのバンソウコウに手を触れ、痛みに顔をしかめ呟く男。
「俺は何をしてたんだろう?誰かとつるんでるのは心地よくて…楽で…。だが、群れて弱くなった…。俺は…俺は…」
パリーンとガラスの割れる音と共に現れた怪物。次々襲われる仲間。
目の前で泣き叫ぶ青年を救えず唇を噛む涼。
「俺は忘れてた…。人を守る為に力を使うって、あいつに、木野に誓った事を!」
「葦原さん!」
「さがってろ!俺は…俺は…うおぉぉぉぉぉ!!!!」
身体中から触覚やトゲを出して変身する男を、救いや祈りを込めた顔で見上げる街の人々。
アギトの人達があの世界に居た事の補完です。
(ついでに先生の「その後」も補完)
映画が本当にこういう世界だったらいいなあ。