【勝手に】仮面ライダー龍騎EPSODEFONAL【補完】

このエントリーをはてなブックマークに追加
19ベノの走馬灯・1
イライラさせられる。

粗暴なサイと無感情なエイに、いつもイラつく。あいつらを心から軽蔑する。
契約さえなければすぐにでも身を引き裂き、腹の足しにしてくれるものを。
不機嫌に尾をくねらせ呼び出しの時を待つ。

呼び出されたら呼び出されたらで不愉快な事が待ち構える。
あいつらと一つに融合され、合身させられるほど辛いものは無かった。
繋がってる間に時々見える、奴らのぬるい記憶の数々に吐き気に近い怒りを覚える。

こうやってただ待つ間にも、奴らのゴミ同然の「思い出」が浮かんで消える。

赤い服の男と夕日を眺めるエイ。
「俺は怪物を憎む。だが…お前は別だ。いつもいつも、助けてもらって済まない」

ちんそーを追っかけろー。ざまざまー川に落ちた、はい1点。くそ!逃げられたー、0点。
油断すると身体が塵になる危険な世界で、間抜けな遊びを嬉々として手伝うサイ。

屠った魔物の群れを前にし、屍を足元で蹴飛ばしながら銀の鎧が満足そうに語る。
「格好良いじゃん。やっぱお前って強いよなー、うん」
強いと言われて無上に嬉しがるサイ。勢いで更に数体を撃破し誉められる。

銀の鎧を解き元の姿に戻りながら、ふとサイを見上げ素手で顔にぺたぺた触れてくるチビ。
「へぇ、柔らかいんだ。やっぱ生き物なんだなー。メカと全然違うね」
機械じゃないと言われて無上に嬉しがるサイ。勢いで辺りの物を撃破し叱られる。

  どいつもこいつも!どれもこれも!下らない戯言を。
  所詮、蹴り一閃で潰されたクズ共の寝言だ。
20ベノの走馬灯・2:02/09/12 23:09 ID:L7hsJDQ4
合図があった。鬱陶しい記憶を立ちきる。
戦いは良い。全てのイラつきを払ってくれる。

呼び出され、白い鎧を痛めつける。いつになく楽勝だ。
息も絶え絶えに地に伏すそれは、とてつもなく美味そうだった。
合身させられた嫌悪にも勝る、極上の食事の予感に喜びをおぼえた時
黒い鎧が現れ全てを終わらせた。

一瞬だった。
黒龍から放たれた闇の炎に包まれ、痺れて身動きが取れなくなる。
直撃する蹴りに耐えられず、一瞬のうちにヒビが入り砕ける全身。

身を共通にさせたまま、それぞれの意識がバラバラになり皆でのたうち苦しむ。
苦痛も3倍に。記憶も3倍に。
今まで出会ったもの、今まで身に受けた感覚、今まで思ったこと。
その全てが逆流し、奔走し、混ざり合っていく。

  嫌だ!こんな形で消えるのは嫌だ!

朦朧となった目の前に赤い鎧の姿が…消したはずの姿が立っている。

  幻覚だ。つまらない幻覚だ。はやく醒めろ。

赤い鎧は言った。「戦友(とも)よ…」
すっと差し出した手に導かれるように、エイが合身から泳ぎ出る。
…赤鎧の幻と一緒に、エイの意識は消えていった。

  消えろ。消えろ。勝手に消え去れ。
  何を夢見てるんだろう…この愚かものは…。
21ベノの走馬灯・3:02/09/12 23:10 ID:L7hsJDQ4
わずかに残った肉が容赦なく炎に焦がされていく。
苦痛で絶叫するたびボロボロと崩れる皮膚。
すっと近付くものの気配。通路の向こうに何かが見えた。

焼け落ちたはずの眼にうつるものは、
とっくの昔に消えたはずのチビの姿だった。

鎧も付けず生身のまま、手をぶんぶん振り回してる。
「あー!こんな所に居たんだ?探したよ」

躍るように合身から抜け、チビに突進するサイ。

抱え込むように我が身を持ちあげるサイを見上げ、
手を伸ばすと頭をぽんぽんと叩くチビ。
「な?また一緒に遊ぼうぜ」

頬をすり寄せ、チビを肩に乗せると通路の外へ向かって行く。
ぬくもりを、楽しそうに喋りかける声を、全力で戦いに鼓舞する日々を。
再び取り戻した喜びで胸がいっぱいになりながら。

…そんな幻を見つつ、サイの意識も消えていった。

  馬鹿馬鹿しい…。うす甘い虚構にすがるがいい。
  ひ弱なものどもよ、滅び果てろ!

断末魔の苦痛の中で都合の良い夢を見たに過ぎない。
迎えに来る者などいない…。行くべき所など無い…。
魂を持っていない自分達がどこへ行くというのだ?
22ベノの走馬灯・終:02/09/12 23:14 ID:L7hsJDQ4
全てが消える寸前、意識の端に柔らかな生身に戻って苦しむ男が居た。

あれとは契約しただけだ…。
声をかけられたりで喜ぶような、そんな生温い関係なぞこちらから願い下げだ。

  だから良かった。
  だから強くいられた。

迎えに来る者などいない…。行くべき所など無い…。
全ては無となって消えていくだけだ。

やがて男が塵になりだした。

  消えてしまう…
  消えてしまうのか…。

迎えに来る者などいない…。行くべき所など無い…。

  でも本当は…。
  本当に望んでいたものは…。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「死ぬのか?…俺が?…この…俺が?…」
突然、何かが飛び込んできた衝撃に撃たれ男は跳ね起きる。

ゾクゾクする気分が内側から入り込んだ様に感じる。
まるでこの世界と一体となったように気分がいい。

奇妙な高揚感を抱いたまま
地獄に落ちるまで男の高笑いは続いた。
23SS職人見習い:02/09/13 00:04 ID:haihXiGg
浅倉アナザーストーリーキター
24名無しより愛をこめて:02/09/13 00:46 ID:9GFHRnf6
何なんだよ、お前は。

怒りと疑問が交差したまま、俺の拳が、黒い『俺』の腹にぶち当たる。


誰かを守る事なんか、今はどうだっていい。

俺は、『俺』と一つになった時に知ったんだ。

『俺』は、あいつを殺した。


あの夜、どうして俺はずっとあいつの側にいなかったんだろう。
そうしたら、まだあいつは生きていられたかもしれないのに。

もう、あいつは俺の靴ヒモが解けていることに気付く事さえできないんだ。
25名無しより愛をこめて:02/09/13 00:47 ID:9GFHRnf6
迷いの無い黒い『俺』の拳が、俺の胸を突く。
俺が後退したその隙に、『俺』の黒いドラグバイザーにカードが差し込まれる。

『アドベント』

禍々しいその声と共に、黒い龍が現れる。
近距離のせいで、俺がドラグレッダーを出す暇は無い。
壁に追い込まれ、ほんの一瞬だけ死を覚悟した瞬間、俺の後ろの壁が崩れる。
ドラグレッダーだ。


どうして殺した。
あいつは、言ってくれたんだ。

「考えとく」って。

俺がどれだけ嬉しかったと思ってるんだ。
もしかしたら、ライダー同士の戦いを止められるかもしれない、って思ったんだ。

でも、それをお前が全てブチ壊したんだ。
26名無しより愛をこめて:02/09/13 00:49 ID:9GFHRnf6
どうしてお前は俺と同じ姿をしてるんだ。
どうしてお前は出てきたんだ。

どうしてお前は、美穂を殺したんだ。


『俺』の昇竜突破が、俺を最初にいた部屋まで吹き飛ばした。

横には蓮が。
後ろには優衣ちゃんが。


そして遥か向こうには、ドラグクローを携えた『俺』がいる。


俺はデッキに手をかけた。
カードを抜き取ると、ドラグバイザーに差し入れる。

『ファイナルベント』


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」


美穂を殺したお前を、俺は絶対に許さない!!!!!!!!


怒りと、疑問と、そして悲しみを交差させ、俺は走り出した。
27名無しより愛をこめて:02/09/13 00:52 ID:9GFHRnf6
というわけで龍騎対リュウガバトル中の漏れ的な真司の感情の脳内補完ダス。
最近この時にかかってたBGMばっか聞いてるから中毒になってこんな話書いてしまった。
スマソ。
28北岡偏エピロローグ:02/09/13 15:58 ID:haihXiGg
「うっ…」
目が覚めたときはいつもの場所だった、俺は何をしていてたんだろう。
そうだライダーバトルだ…と思った瞬間にごろーちゃんの顔が目に入った。
淡々と昨日の記憶が蘇る。
「ありがと」
ごろーちゃんにお礼をいい、ふと思考を張り巡らせる。
自分でしてきた付けがライダーバトルに回ってきた…
そうとも取れることだった。霧島美穂…朝倉威…
やはりあいつの弁護をしたのが間違いだったのか?
いや違う、俺が本当に弁護するものは…
ふと過去を思い出す。自分は最初からこういう人間だったのか?
こんなに自問自答するのはいつ以来だろう…
結論は…虚しさ…か、そうして思ったことを淡々とごろーちゃんに吐いていく。
うっ…どうも最近調子が悪いと思ったら…
咳き込んで覆った手を鮮血が染める、俺の人生もそろそろ終わりか。
散々好き勝手やってきて、欲しいものはほとんど手に入れた。
だが、最後に虚しさが残るとは…俺の命は後…
       …1日…
か、皮肉なもんだ、ライダーバトルの締切がちょうど自分の死とはな…
「・・・・待ってますよ・・・ラ・ルポンで」
天才弁護士北岡秀一はやっぱりこうでなくっちゃな。
最後は美女を口説いてすごす、これだね。
身支度を済ませて出かけるか…
ポケットの中に手を突っ込ませ…
じゃあねマグナギガ…俺はデッキを机の上に置いた。

―北岡秀一脱落―

せりふイマイチ覚えてなくてスマソ
一応北岡の最後の思考を描写してみました。
ずいぶんと叩きがいのある文章ですが(w
29がんばれオムロン:02/09/13 20:22 ID:zjUKtjVp
なんか昨日はひどい目に会ったなー。
久しぶりに日本に戻った小沢さんの歓迎会で焼肉を食べてたら
バカップルの喧嘩に巻き込まれて青ノリだらけにされた上、
「もう!尾室君も尾室君よ!このお調子者!『昔ここでバイトしてたんですよね〜』って店の手伝い始めちゃって!」
「はぁ…」
「あんたG5部隊の教官でしょ!しっかりしなさいよ!!」
小沢さんに逆ギレで叱られたし、北條さんにまでイヤミいわれて。
氷川さんは不器用だから青ノリ落とすのを手伝ってたらもっとひどい事になったし。

嫌な事は忘れよう。今日は小学生が対象の「G5の歴史」講演会だ。拍手で迎えられると鬱な気分も吹っ飛んでいく。
旧タイプのG3に入って、開発の歴史を説明したりG5相手の実演をしてみせる。憧れの眼で俺を見る子供達。
そうだよな。軽量型のG5と違ってヘビー級のG3が乗りこなせるのは、俺を入れても世界で3人だけなんだよなー。

でも熱心に見てるのは子供達だけで、記者のほとんどは半分退屈そうにメモをとってる。
前の席なんかイチャついてる奴も居るぞ。あ、女性記者の肘鉄くらった。ざまみろ。

いきなりガラスがパリーンと割れ、怪物が現れた。
トンボ型のアンノウンが狭い枠から次々身を乗り出し、押し合いへしあい1匹づつ入って来る!

しまった!武器が無い!講演会だから重火器は用意してなかった!デモ用にわずかな在庫があるだけだ!
泣き叫ぶ子供達。混乱して走り出ようとする記者達を引きとめ、パニックを収めようと奮闘する俺の部下と婦警さん達。
30がんばれオムロン:02/09/13 20:24 ID:zjUKtjVp
小沢さんから緊急連絡が入ってきた。泣きながら惨状を訴え救助を求めると意外な答えが返ってくる。
「尾室君!なんとか持ちこたえて!武器弾薬は氷川君のG3-Xと北條さんのV1-ZZZψturboRVer5で運ぶから!」
「ふっふっふ…。今度のV1は一味違いますよ。先月みたいに壊される事は無いですからね?楽しみに待ってて下さいよ」
「街は今大変な状態なの!でも、街を襲ってるアンノウンは自衛隊のG4-改部隊が鎮圧してるし、
目撃者の通報によると未確認のアギト2体がアンノウンと空中戦を行ってるそうよ。
だから望みはあるの。少し時間がかかるけど、救援が来るまで被害を抑えて!頼むわね!」

頼むわねって言われても、どうしたらいーんだよー!
目の前でG5が一体持ち上げられようとしてる。手足をバタバタさせる部下に飛び付いて何とかひきずり降ろす。
ぎゃーーーー!!アンノウンが噛み付いてきた!さらわれるー!助けてーー!!
あれ?あれれ?
「そうか!奴ら、G3は重くて持ち運べないんだ!俺が囮になる!お前ら援護しろ!」
偉そうに言ったけど俺、本当は足がガクガクブルブル(゚д゚)になって逃げる事が出来なかっただけで…。


ガン!ガン!と装甲にぶつかるトンボ。端から隊員がナイフや銃で潰す。
1匹づつならどうにか仕留められると判って、隊員の間に安堵感と自信が生まれる。
「尾室さん!頑張りましょう!」「教官!俺、感激しました」「さすがG3時代の英雄ですね!」
「おう!当たり前じゃないか。子供達を護れなくて、なにが公僕だぁ!」
…ハッタリだけは得意なんだよなぁ、俺。
31がんばれオムロン:02/09/13 20:26 ID:zjUKtjVp
怖くて怖くて涙が出る。大きい方までちびってしまった。おろしたてのパンツがー。うわぁぁぁぁぁん!
でも、ここで気絶したり逃げたりしたら、ちびっこと婦警(ここ重要)が怪物に…。
ゲロまで出そうになった時、口の端から血を出してパニくってた肘鉄男が声をかけてきた。
俺のガクブルに気付いたらしい。

「なあ?あんた。怖いなら交代すればいいじゃないの?」
「できません。できるわけないじゃないですか!」
「なんで?」
「だって…(動けないし)。誰かがやらなきゃいけない!今ここで戦えるのは俺達だけなんすよ」
「でも限界でしょ?あんた達、あまり強そうに見えないしさー」
「それでも…戦える力を持ってるなら、目の前で襲われてる人を救うのは当たり前の事です!」
「…。もし仮に力を持っててもさ、自分のため以外に動くのなんかごめんだね。それが俺の信念だし」
「信念なんて見栄っぱりと同じです!見栄できれいなままで居たくない!汚れたって構いません!
パンツは汚しても洗えるけど命は無くしたら戻ってこないんすよ!」
もう何言ってるのかワケワカランな俺。

怪物に追われたのか、チンピラみたいな男が転がり込んできた。すぐに窓を塞いで応戦する部下達。
「先生!」目の前の男に何か手渡すチンピラ。
え?なに?あやしい薬の取引?

さっきまでの半泣きがうそみたいに、すくっと立つ男。
「あのさ?あんたヘタレみたいだけど、いい事言うよね?」
ヘタレって…民間人にまで言われた ・゚・(ノД`)・゚・。

なんだか軽く笑いながら、部下達が苦戦してる所に長身の男は歩いて行く。
「下がってください!危険です!ここは私達に任せて!」
「へん…しん!」男の姿が変った。うそー!!この人もアギトだったんだ。
32がんばれオムロン:02/09/13 20:29 ID:zjUKtjVp
緑色で武器をいっぱい持ってるアギトは、的確な射撃で次々トンボを撃ち落す。
新しい助っ人に歓声を上げる部下達。
「ま、この数じゃ自分を護らなきゃ。ちょっとぐらいなら、天井のチリがかかって汚れてもいいかもね?」

アギトの参加で楽観的なムードになってくる。子供達も婦警も記者も、希望を込めて戦いを見守る。
…部下も子供達も知らない。ちらっと見えた空を埋め尽すトンボの群れの事を。
でも…絶望するにはまだ早いかもしれない。
この人が居れば、なんだかどうにかなりそうな気がする。

いつのまにかガクブルが止まってる。俺もGX-05を解除しながら戦いの輪に向かった。

おまけ。遊園地。

「真魚ちゃん、バイト慣れた?」
「うん。翔一君はどう?」
「あのお店凄いよ〜。色々エスニック料理の勉強になって。真魚ちゃんのおかげでいい店で研修出来て良かった」
「お互い頑張ろうね?」
が、出現する怪物に会話は中断する。
「すぐ戻る!真魚ちゃんは隠れてて!」
「判った。翔一君…無理しちゃ駄目よ?」

おまけ。どこかの繁華街。

蛇柄男の悪口で盛り上がるチンピラ達。ほおのバンソウコウに手を触れ、痛みに顔をしかめ呟く男。
「俺は何をしてたんだろう?誰かとつるんでるのは心地よくて…楽で…。だが、群れて弱くなった…。俺は…俺は…」
パリーンとガラスの割れる音と共に現れた怪物。次々襲われる仲間。
目の前で泣き叫ぶ青年を救えず唇を噛む涼。
「俺は忘れてた…。人を守る為に力を使うって、あいつに、木野に誓った事を!」
「葦原さん!」
「さがってろ!俺は…俺は…うおぉぉぉぉぉ!!!!」
身体中から触覚やトゲを出して変身する男を、救いや祈りを込めた顔で見上げる街の人々。
33名無しより愛をこめて:02/09/13 20:41 ID:zjUKtjVp
アギトの人達があの世界に居た事の補完です。
(ついでに先生の「その後」も補完)
映画が本当にこういう世界だったらいいなあ。
34おまるじゃない!・1:02/09/14 10:19 ID:Ks6tMEpn
蓮に腕をねじあげられ暴れる美穂。
「離せ、ハゲ!離せー!」

「サバイブカードを盗ろうなんていい度胸だな。これは返してもらうぞ」
「ずるいじゃないか!2段変身なんて。ヘタレなんかに勿体無い!私が有効利用してやるよ!」
「ずるくない。あと俺はヘタレじゃない」
「ファムサバイブになったら、お前らなんかメッタメタにやっつけてやるんだからな!
 純白で華麗なブランレイダーで1人残らず蹴散らしてやる!」
「ふざけるな。お前バカか?ブランウィングが乗り物になったら、
 志村けんがいっちょめいっちょめワオ〜ってやってたアレみたいなおまるバイクになるぞ。
 それに乗ってる自分を想像したら鬱にならないか?」

ジェネレーションギャップで蓮が何を言ってるか良く判らないが、志村けんでなんとなく予想がつく美穂。
「うっさいハゲ!ブランはおまるじゃない!綺麗な白鳥なんだよ!」
「眼科行け。どう見てもおまるだ」
「なにを!おまる言うな!今すぐブランに謝れ!謝らないならここで戦え!」
「俺は正直、お前なんかどうでもいいと思ってる。わざわざ戦う気も無い。
 放っておいてもいずれお前は死ぬからな。あんなザコと契約して生き延びられる訳ないだろう?
 ひょっとしてあれか?強さより見た目で選んだのか?まともに戦いたいなら契約モンスターを替えろ。
 話はそれからだ」
「ヘタレのくせに説教すんな!」
「ヘタレ言うな!」

花鶏の帰り道でブランウィングに愚痴る美穂。
「作戦大失敗ー。ちっくしょー。でも、鯖カードってもう1枚あるんだよな」
「ぴー」
「じゃあ作戦続行!2匹目のヘタレにターゲット変えるよ!」
「ぴー!」
美穂は携帯を取り出すと、真司を呼び出して強引にデートの約束させる。
「ちょろーい。こいつ簡単に落とせそうじゃん。さ、これからが腕の見せ所だ!
 サバイブカードでさ。お互いもっと格好良くて強くて馬鹿にされない新フォームになろうね?」
「きゅきゅー」
35おまるじゃない!・2:02/09/14 10:20 ID:Ks6tMEpn
待ってる間、戦いの事を色々と思い出して不愉快になる美穂。
鼻で笑う王蛇
「ふ。おまるか。笑わせるぜ」
同じく鼻で笑うナイト
「プ。おまるでバトルか?幼稚園児並って事だな」
ぽか〜んと口を開けてブランウィングを見る龍騎
「おまるだ。おまるの契約モンスターだ…」
いきなり銃を乱射するゾルダ
「おまるねえ。俺、そういう趣味ないからさ?」

どいつも!こいつも!ブランの事を馬鹿にしやがってー!あいつら目が腐ってんじゃないの?
初めてブランを見た時白い羽根のまぶしさに心おどったし、変身した時の姿もバッチリ決まって嬉しかったのに。

「ねえ、ブラン?」
「ぴー?」
「お願いがあるんだけどさー。もしも…もしもだよ、私がバトルに負けちゃって…
 あーもー悲しそうな顔すんな!この私が負けるわけ無いじゃないの。
 だからさ。もしもだよ?それで契約が終わったらね…。人間、食べないで欲しいんだ」
「きゅ?」
「人間てさ、欲張りで意地悪で残酷で、私の事受け入れない冷たい生き物だけど…でも一応私の仲間だし。
 それにブランは格好良くて綺麗で優雅な生き物なんだから、怪物になって欲しくないんだ。
 私はヨゴレだけど、ブランには清楚なままで、真っ白で、汚れてない…お姉ちゃんみたいなピュアな、
 危機の時は王子様が駆けつけて助けてくれそうな、そんな無垢な感じでいて欲しいの。ワガママかな?」
「きゅーきゅー」
「ありがと。いつかさ、獲物相手の罠じゃなくて、普通にデートしたり、普通の女の子みたいな恋したりしたいな…。ふ。私には無理か…」
そんな事ありません、いつか美穂さんにふさわしい素敵な王子様が現れますよと、通じない言葉で呟くブランウィング。
私の事を綺麗な鳥って言ってくれる心の純粋な美穂さんが不幸せになる訳ないじゃないですか。約束は必ず護ります…。
36名無しより愛をこめて:02/09/14 10:21 ID:Ks6tMEpn
美穂ファンのひとゴメン。
でも、ブランウィングが出てきた時「げ!おまるかよ!」って思ったのは事実。
とーとつに真司のカードを盗ろうとする動機を補完してみました。
37sage:02/09/14 13:09 ID:E+AEHPph
ブランの受け答えがメチャクチャ可愛い・・・
けなげだー
3835の続き:02/09/14 23:58 ID:Ks6tMEpn
美穂の危機に、ブランウィングは必死でカードの外に出ようと羽ばたいたが、
幾らあがいても契約したてで経験値の少ない身体には、外までの道は遠く険しかった。


星を見ながら考える美穂。
「真司…やっと判った。
 あんたが純粋で真っ白なのは…闇と…別れてしまったからなんだ…。
 あんた足りない子だったんだね…。
 でも…人間として…それって…不完全だよ?

 私…ずっと…真っ白なものに…憧れてた…
 ヒネくれた自分自身に無いものだから…。
 だから…真っ白な心の…真司が…羨ましかった…
 助けて貰った時は…照れくさかったけど…嬉しかった…。

 でも…真司…真司…。やっと判った…
 ブランにも…無茶言ったけど…純粋で…真っ白なままでいて…なんて…不自然なんだね…
 闇を捨てるんじゃなくて…闇と向き合わないと…いつか…闇に潰されちゃうよ…

 でも…真司…。
 闇を…受け入れても…あんたやっぱり…真っ白なままで…いるような気がする…。

 あ…もう限界かも…。サヨナラぐらい…言っとけば…良かったかな?
 ま…いいか…
 私の事…誰が傷付けたか…知らないままで居た方が…いいよね?」


突然、全ての拘束が無くなり自由になるブランウィング。
拘束が無くなった = 契約が切れた = 契約者の死を悟って、悲しみの声をあげて舞い上がる。

数時間後。鏡が割れ、街が多量の怪物に襲われた時
持ち主を無くした白いカードデッキから巨大な鳥が現れ、人々を襲う怪物の群れに飛びかかっていった。
39名無しより愛をこめて:02/09/15 00:00 ID:NeVqvVe7
>>37 感想ありがとう。

続きを書いたら笑い所が無くなったのでタイトル外しました。
美穂とブランがこう言う関係だったらいいなと補完。
40名無しより愛をこめて:02/09/15 00:22 ID:l8pWDQVL
>>38
映画にもこういうシーンがあればいいと思ってたので、すごく嬉しい。

>>34-35
笑えてほのぼのして最高でした。
41名無しより愛をこめて:02/09/15 01:55 ID:08qiRzNu
真司です。
最終決戦で突然起こった大爆発。
モンスター共々吹き飛んだ僕は別世界の“トロマヴィル”と言う都市に流れ着きました。
そこで地元の新聞社に入社した僕はいつもは新聞記者そして事件(ここは結構物騒なんです。)が起これば
「龍騎」に変身して悪と戦う日々を過ごしています。けれど一緒に戦う心強い仲間も出来たので安心です。
・・・リンリンリン。ああっ警察から緊急電話だ。きっと悪人が暴れているに違いない。
「龍騎」の出番だ!よし変身!(もはや元の世界の設定はここでは何故か通用しません。“いい加減”がこの世界の身上だそうで)
変身してオフィスから出ると、そこには大切な仲間の「悪魔の毒毒モンスター」と「カブキマン」が
僕を待っていてくれました。続きは「悪魔の毒毒龍騎/新世紀絶叫ファイナル・バトル」で!!
じゃ!(w

勿論ウソです。
4238:02/09/15 12:58 ID:NeVqvVe7
>>40
どうもです。映画内は殺伐してるんで
せめてモンスとの関係がこんなのだったらいいなあと思って書いてみました。

>>41 悪魔の毒々ハイスクールも混ぜたSSをキボンヌ。
43名無しより愛をこめて:02/09/16 00:45 ID:y7KgqlL+
カブキマンのファイナルベントはやっぱり、「エンド・オブ・ワールド」式に
割り箸を大量に撃ちまくる?
44名無しより愛をこめて:02/09/16 02:15 ID:uJeOSfCG
数日後、決戦の現場に故あって潜入したミヤモトはその惨状を見て呆然とした。
見慣れた風景は跡形も無く、謝の呉れた情報以上の凄まじさだった。
そこは決して知らない街では無かった。そこは以前にも他の仕事で行った事があり、
その際に、美味しいコーヒーが飲めるカフェも見つけた。今ではそこの常連でもある。

謝の依頼してきた仕事は直ぐに終わった。廃墟と化した街で邪魔する者は誰もいなかった。
奪還品をバックに入れて、街から出ようとした時、ふと馴染みのカフェを思い出した。
“花鶏は無事だろうか?”ミヤモトは帰りに様子だけ見ようとバイクを走らせた。
45名無しより愛をこめて:02/09/16 02:15 ID:uJeOSfCG
カフェに着くと花鶏は周囲と同じように瓦礫の山と化していた。
ただ一人、よく店で見た長髪の若者が泣きながら瓦礫を片付けていた。ミヤモトは思わず
その若者に話し掛けた。
しかし、若者の話はあまりにも突飛で、謝の言っていたガスや化学物質の爆発の方がまだ信じられた。彼の言うミラーワールドにモンスターそして仮面ライダーまるでSFだ。
「悪いけど、俺SF信じないから…」正直に若者に言うと彼は静かに頷いただけだった。

裏道や近道を駆使して、政府の検問をやり過ごすといつも通りの風景が、目に入ってきた。
ミヤモトは若者と別れた際に、最後に若者が最後に呟いた言葉が心の中で何度も木霊していた。
「…優衣ちゃんも連も店長も…ライダーや街の人達も…俺は誰も守れなかった…」
何故、この言葉にこうも引っかかるのかミヤモト自身にも解らなかった。
“正義の仮面ライダー龍騎になって、皆を救う?冗談じゃない。例え俺がライダーに
 なっても、そんなの御免だね。“そう笑い飛ばしても心はスッキリしなかった。
まるで、その言葉が自分の身にも起こるような不安が心に渦巻いていたからだ。
“人々を、世界を救う?冗談じゃない。そんな未来なんかキョーミねえよ!!”
そう思うや腕利きの「リターナー」ミヤモトはバイクのスピードを上げた。
いずれ自分も地球の命運を賭けた戦いをすることも知らずに…。

一方。大陸マフィアの一員である溝口は、“凄い力を手に入れる”と豪語した
元舎弟の浅倉を待っていた。
「あの野郎、弁護士まで世話してやったというのに、恩忘れて何やってやがる?!
 いつになったら、スゲエパワーってやつを手に入れてくるんだあああ!!」
46名無しより愛をこめて:02/09/16 02:19 ID:uJeOSfCG
時制に無茶があるのは勘弁して下さい。
47名無しより愛をこめて:02/09/17 00:29 ID:rDm/XC6K
>>29〜32
ビーファイターみたく最終話後にこんなノリで1話欲しい
48欠けているもの:02/09/17 09:46 ID:zCTl48Zz
「お前が封印の絵を見た時に、俺は覚醒した」

引きずり込まれた真っ黒な意識の中で、
真司と全く同じ顔をした男が囁く。

「鏡の向こうでずっと
 俺はお前の夢を見続けた。
 俺はお前の欲を見続けた。
 俺はお前の闇を見続けた。

 俺はお前の影じゃない。
 真のお前の姿なんだ。
 俺達は二人でひとつだ
 ここまできて何故逆らう?俺を受け入れろ…」

「違う!違う!お前なんか知らない!
 お前は俺と関係無い!」

「俺はずっとあの世界に居た。
 神埼優衣がお前を絵に描いた時から。
 そして…『約束を破る悪い子』として
 お前から引き離されて埋められた。

 だがもう、帰るべき場所に戻って来れた。
 お前に会いたかったよ。本当の自分を取り戻せて嬉しいだろう?」

「でたらめ言うな!お前が俺であるはずないじゃないか!
 お前はただの人殺しの化け物だ!」

「おいおい?人聞きが悪いな。お前が望んだんだろ?
 俺がお前の願望を代りに叶えてやっただけだ。
 浅倉も霧島も、お前が望んだから殺したんだよ?」
49欠けているもの:02/09/17 09:47 ID:zCTl48Zz
にこにこ笑いながら告げられる衝撃的な内容に
揺さぶられながらも、涙を流して否定する真司。

「ウソだ!ウソだウソだ!ウソだーっ!」

「いや、ウソじゃない。自分でも判ってるだろう?」

「俺が美穂を殺したいなんて、でたらめだ!
 人を殺すなんて考えた事もない!たとえそれが浅倉でも!」

「いや。お前は浅倉を憎んでた。
 本当はこの手で殺したいほど憎んでた。

 秋山に向かって『死んでいい奴なんて居ないんだよ』
 …なんてきれい事を言ったけど、
 心の底では、須藤雅史や竹内真理を見殺しにした時と同じ様に
 自分の手を汚さずにモンスターに食われる事を願ってた」

「そんな事思わない!
 須藤も誘拐犯も、助ける事が出来なかっただけだ!」

「正義感の強いお前は、
 『悪い奴は罰を受けるべきだ』と思ってる。違うか?」

「それは…」

「だから真っ先に浅倉を殺った。
 霧島に気を取られて隙だらけで、殺るのは蟻をひねるより簡単だったな。
 勝ち誇った奴の虚を付いて、徹底的に打ちのめすのは気持ち良かったよ」
50欠けているもの:02/09/17 09:48 ID:zCTl48Zz
口で嘘だと言っても
伝わってくるなにかに精神が応える
真実を見たくない思いに魂が震える。

本当に俺が?望んだ?俺が…?
揺らぐ真司に追い討ちをかける男。

「都合良い事に霧島が俺とお前を勘違いした。
 浅倉から助けてくれてありがとうだってさ。
 知ってたか?あいつお前に惚れてたんだぜ?
 ちょっと付き合うふりだけで、簡単にのぼせ上がった。

 可笑しかったなあ。
 今度は自分が騙されたと知った時の顔、
 殺されると知った時の霧島の顔は最高だったよ」

「なんで美穂を?あの子を…」

「騙されて腹が立ったろう?
 メチャクチャにしてやりたいって思ったろう?
 だから、その望みを叶えてやった。それだけだ」

「そんな事思わない!思ってない!」

真司は今でも美穂の死を信じたくなかった。
さっきまであんなに元気に笑ってたのに…。
結んでもらった靴紐は、まだしっかりと足に留まってるのに…。

それなのに、俺が美穂を憎んでただって?
俺が…美穂を…殺させた…?
51欠けているもの:02/09/17 09:52 ID:zCTl48Zz
自分の微かな思いが惨劇を招いたとの指摘に
自我を支えていた何かが急速に消えていく真司。
呆けて虚ろになっていく真司に追い討ちをかける男。

「いい加減、俺とひとつになれよ。お前の望みを全て叶えてやる。

 桃井令子に…神崎優衣に…島田奈々子に…
 お前が抱いてた欲望を好きなだけ注げるぞ。

 先輩風をふかす大久保大介
 小言がうるさい神崎沙奈子
 ガーガー喋る口を永遠に塞ぎたくないか?

 いつもお前を見下す北岡秀一
 会えば威圧してくる由良吾郎
 叩き潰して地に這わせ、血わたを吐かせたいよな?

 そしてお前が憎んでも余りある秋山蓮
 お前をなじり、痛め付け、恥をかかせるあの男…
 あいつの屍に請求書をネジ入れたいと思わないか?

 諸悪の根源、神埼士郎だって同じだ。
 俺とひとつになれば幾らでもあいつに復讐出来るぞ?」

既に男の誘いの声も耳に入っていず、ボロボロに崩れていく真司の自我。
片端から取り込んで満足げなため息を漏らす男。

それでも『完全にひとつ』にはなれなかった。
真司の全てを手に入れたはずなのに、わずかだが欠けた部分があるのに男はイラ立った。

『誰かを守る為だけに変身するから…』
昔、優衣に告げた記憶が、真司の奥底で最後まで抵抗を続けていた…。
5251:02/09/17 09:53 ID:zCTl48Zz
ところで、埋まってたあの絵って
ディスパイダーなのか、リュウガ&ドラグブラッガーなのか
何度見ても判らなかったですが、どっちなんでしょう?

黄色の横縞の入った黒い人影と黒い塊なので
どっちにも見えて困りました。

とりあえず、リュウガだったという解釈で。
53名無しより愛をこめて:02/09/18 00:03 ID:lAvB5n2J
机に突っ伏している優衣ちゃんを見た時、不意に、俺の意識が呼び起こされた。
死んでいることは、一目でわかった。

蓮が泣いている。
誰の前でも、涙一つ流さず、弱音一つ吐かなかったあの蓮が。


瞬間、俺の意識は完全に覚醒した。


俺とリュウガが完全に別たれ、俺は自分自身の目で、優衣ちゃんの姿を見た。
手首から紅い血を流し、顔はまるで眠っているようだった。

悲しいという感情は、不思議と沸き起こってこない。
いつもの俺なら、きっと泣いて叫んでいたことだろう。


だけど今は違う。
ほんの一瞬だけ、欠けていた自分自身の『闇』と一つになった俺にはわかったんだ。


優衣ちゃんは、他人の命なんかいらない。
他人の命で生きていくぐらいなら、自らの命を絶つ。


それが、優衣ちゃんが自分で考え、自分で選び取った結果。
優位ちゃん自身の選択だったんだ。
54名無しより愛をこめて:02/09/18 00:04 ID:lAvB5n2J
『俺とまた一つになれ・・・・・
 そうすれば、まだ神埼優衣を救う事が出来る・・・・・』

「・・・・・・・・もうだまされない・・・・・・
 優衣ちゃんは、他人の命なんかいらないんだ。
 それが、優衣ちゃんの選択なんだ」

迷いの無い俺の言葉に、リュウガは気が付いた様だった。
突然、リュウガの腕が俺の首を絞める。


リュウガ、お前は俺自身の欠けていたもの。
俺の中の闇だ。
だからこそ、俺はお前と戦い続けてやる。


俺が生きている限り、永遠に!!!


「変身!!!!!」
55名無しより愛をこめて:02/09/18 00:09 ID:lAvB5n2J
>>24-27を書いていた者です。
>>48-52氏の話に影響受けて思わず書きますた。
お目汚し失敬。
56名無しより愛をこめて:02/09/18 04:23 ID:2zvytFO7
>>55
あ〜、別な人だったんすね!
つながってるから同じ人なんだろうと思ってた
5748-52:02/09/18 11:13 ID:FCxVUTPJ
>>55さん、ありがとうございます。
実はこれって、24-27と38に刺激されて書いたのでビックリしてます。

「欠けているもの」はダブルミーニングで、
真司に欠けているものと、
闇に染まる事無い真司の中のひとかけらの意味で付けました。

それにしても映画の終わりの方の真司は格好良かった。
「なんだこりゃなんだこりゃなんだこりゃ〜!」と同じ人に見えないですね(笑)
58アマゾンの不思議な下駄:02/09/20 22:53 ID:KWGWtwMF
…を頭に載せると、願いが叶うとか言うけどねぇ。
どんなのか一遍見てみたいよと呟きつつ神崎沙奈子は椅子から立ちあがった。

最近みんな暗い顔してるし、どうしたんだかねえ?
せっかくあの子の誕生日だってのに、誰もその話をしないし。
せめてあたしが美味しい物でも作ってあげなきゃ。

あたしゃあの子に心から笑って欲しいんだよ。

あたしの趣味が趣味だから金銭じゃ苦労掛けちまって
同じ年代の子と比べて地味で所帯持ち臭くなっちまったけど、
あの子は本当は、笑うと華やかで可愛い顔立ちの娘なんだよ。

シンちゃんも、レンちゃんも、どっかへ引っ越した手塚ちゃんも、
あの子の良さに気付いてない鈍感な子達なんだから…。
でも案外、優衣の本当の笑顔を見たらイチコロになっちまうかもね?

…さてと。新鮮な卵でふかふかの台を焼いて、封を切ったばかりの生クリームを飾って、
摘みたてイチゴ、仕上げにとっておきのアマゾンの果物のジャムを混ぜてお花をこしらえたよ。
このケーキを食べればきっと、悩みなんか吹っ飛んでいつもの笑顔に戻るから。

アマゾンの下駄は無いけど、アマゾンのジャムを額にポンと乗せてみる。
ジャムよジャム。あたしの願いを叶えておくれ。
このケーキを食べた優衣に笑顔が戻りますように。
みんなで楽しい誕生日会になりますように。
59名無しより愛をこめて:02/09/20 22:55 ID:KWGWtwMF
…まあ結局、食べなかったし。
あのあとのおばっさんが心配でなりません。
60sage:02/09/22 18:20 ID:xLn1d1Ob
>>58
ぱっくんたまご?
61名無しより愛をこめて:02/09/23 22:23 ID:xL9nBZfz
hosyu
62名無しより愛をこめて:02/09/24 16:35 ID:bOnDuzDi
がんがれ
63名無しより愛をこめて:02/09/26 03:03 ID:NzAcrnis
ほしゅ。
64名無しより愛をこめて:02/09/27 01:37 ID:IYdCWN9F
ほしゅほしゅ
65夜の翼・1:02/09/27 12:41 ID:x3yEPeQN
私は翼を広げ、あのひとを護る為
そっとその身体を包んだ。

夢を見る。ずっと夢を見ている。幸せだった頃の夢を。
悲しい時、辛い時、楽しい時。どんな時でもいつもあなたが居た。
あなたのぬくもりがあれば何も怖くなかった。

今も私はあなたの側に居る。
ぬくもりはあっても孤独なまま。
消して名前を呼ばれる事の無い虚しさを抱えて。

もう長い間、あなたの笑顔を見ていない。
絶望と、悲しみと、怒りしか見た覚えが無い。
私に向けるのは深い憎しみ。深い後悔と深い嫌悪。

長く回想する暇も無く
あなたの身体を捕らえた化け物から逃れるため
私から離れ落下していくあなた。

追い付いた私は再びあなたを抱きしめる。
そのまま二人一緒に急速に落ちて行く。
このままでいたいと何度思った事だろう。
66夜の翼・2:02/09/27 12:42 ID:x3yEPeQN
化け物が砕け散る炎と爆音の中で
鏡から見えたあのひとの姿を思う。
眠る身体に向かって涙を見せるあなたを見てると
いっそ、この身体を永遠に眠らせてしまいたい…
何度も願った。何度も翼を伸ばしかけた。

でも…。
そんな事をすれば、あのひとは狂ってしまうだろう。
繊細なあなたの心は、辛うじて糸のような希望で形を繋いでいる。
いつか私を救えると思う事で。
薄幸な少女を私に重ねて救いたいと思う事で。

そのわずかばかりの願いが無くなれば、
あなたの心は跡形も無く崩れて消えてしまう。
まるで鏡の中に迷い込んだように…。
67夜の翼・3:02/09/27 12:43 ID:x3yEPeQN
願いの為なら何でもする。
あなたのその思いを迷わせたのは、
城戸さんの無邪気な笑みだった。
城戸さんの無垢で真摯な涙だった

あなたにこのひとの命を絶つことが出来る訳なかった。
そうよね。
あなたは元から、他人に手を掛けられる人じゃないもの。
そんなひとなら、私はあなたを好きになっていないもの。

あなたに初めて出来た友達を犠牲にしてまで、
私はあなたを取り戻したくは無かった。
あなたと同じように、私も苦しみながら、
戦いからあなたを守る事で目の前の不安を忘れた。
68夜の翼・4:02/09/27 12:44 ID:x3yEPeQN
…糸が切れてしまった。
全てが絶望に覆われ、あのひとは腑抜けたまましゃがみ込んでいる。

人前で泣き顔を見せる事をあんなに嫌ったあなたが
ただ泣いているばかりで、殺気だつ刃から身を護ろうともしなかった。

城戸さんに助けてもらっても感情を現す事なく、
動かなくなった小さな身体と
壊れた椅子を虚ろになって眺めている。

城戸さんの姿を見ながらあなたは考え込む。
城戸さんの言葉を反芻するように考え込む。
「優衣ちゃんは、他人の命なんて欲しくなかったんだ!」

私も同じ気持ちだった。
あの子の気持ちは痛いほど良く判る。
それでも私は、あの子の様な選択はできない。
悲しむあなたを思うと、どんな事になっても最後まであなたの側に居たい。
たとえそこが冥府魔道に通じてでも。

面前に広がる凄まじい炎の中にあなたは何かを見つけた。
ゆっくりと感情が戻ってくるのが判る。
やがて、あなたの決意が私にも伝わった。
69夜の翼・5:02/09/27 12:45 ID:x3yEPeQN
このまま戦い続けても破滅、戦いをやめても破滅。
いつか聞いた言葉が心に響いてくる。

ねえ、蓮?
あなたが地獄へ落ちるなら
私も一緒に行こうと思うの。
城戸さんは良い人だから
あなたの気持ち、とても良く判るの。

でも…。せめて最後に…。
あなたの笑顔をもう一度見る事ができたら良かった…。
私だけが知ってるあの笑顔に包まれて
もう一度「恵理」と呼んで欲しかった…。

ふいに瞬時のうちに、疾風の力が私に新たな気力を与える。

サバイブは「生きる」という意味。

まだ絶望するには早いのかもしれない。
この修羅場を抜ければ何か変れるかもしれない。

私は翼を広げ、あのひとと共に
邪悪にうごめく黒雲に向かって飛び立って行った。
7065:02/09/27 12:46 ID:x3yEPeQN
契約モンスターは実は霊体がサポートしてるんじゃないかなと妄想で。

ダークウイングの忠実さや献身ぷりっを見てると、
正体はヘタレな恋人を心配してる恵理なんじゃないかと。

ついでに、
ドラグレッダーには榊原(SPの様な正義感強い人だけど契約前に散る)
ブランウイングには美穂のお姉さん
エビルダイバーには雄一
メタルゲラスには亡くなった愛犬(それじゃ、ぶぶチャチャ)
マグナギガには吾郎ちゃんの生霊(生霊かい!)

逆に悪行三昧な浅倉や須藤はサポートが無いのですぐモンスターに裏切られるとか、
勝手に妄想してみましたがどうでしょう?
7165:02/09/27 12:47 ID:x3yEPeQN
それにしても、あちこちで
「お前のせい」「不細工」呼ばわりされてる恵理が不憫で不憫で。
これで少しはイメージ向上になれば良いかな〜とか思ったり。

ネタバレがチラホラ見えて
微妙にキナ臭い事になってきてる本編の恵理ですが
このまま不幸せな事にならないか気になりますね。
72名無しより愛をこめて:02/09/28 01:03 ID:qu4MZaFv
>>70
>マグナギガには吾郎ちゃんの生霊
爆笑。ゴロちゃんマグナギガ説が懐かしい

>逆に悪行三昧な浅倉や須藤はサポートが無いのですぐモンスターに裏切られるとか、
その上アンティークショップの親父や弟の怨霊が足を引っ張ってたり
73名無しより愛をこめて:02/09/28 16:58 ID:QYDlwht1
>>29->>33
これ読んで映画が打ち切りっぽい終り方なのが理解できたよ。
あの続きをやると「仮面ライダーアギト〜after story〜」に
タイトルが変わるからか(w
7465:02/09/29 02:04 ID:z4wluUEF
>>72
>>マグナギガには吾郎ちゃんの生霊
>爆笑。ゴロちゃんマグナギガ説が懐かしい

姉がいまだに、いつか吾郎ちゃんが正体を見せると言い張ってますよ(笑)
7565:02/09/29 02:06 ID:z4wluUEF
実は34-38書いてた者ですが、
霧島美穂タン嫌だスレの
「ブランウィングがお腹を空かせているのに野良モンスターが捕まらないときは、
 パンの耳や麩やポップコーンを投げてやる霧島美穂タン」
がツボにはまってます。
戦って無い時の日常はこんな調子だったのかも。

「ごめんね耳ばっかりで。いまのハゲ落としたらさ、新食感宣言を箱買いしてあげるからね?」
「ピー!♪」

お目汚し失礼。
76名無しより愛をこめて:02/09/29 18:13 ID:AVJ2g8IZ
保守しとこう
77名無しより愛をこめて:02/09/29 18:21 ID:4q1V44/N
78名無しより愛をこめて:02/09/29 20:29 ID:FmfGnIcd
>>75

現実世界にいる美穂たんが公園の池にパンを放ってあげると、
水面に逆さに映り込んだブランウィングがぱくっと受けとめる。

・・・75さんの書く美穂&ブランのコンビが好きなので、
75の台詞にんなシーンを補完してみました。失礼をば・・・
7978:02/09/29 20:34 ID:FmfGnIcd
>>78

× 75の台詞にんなシーンを補完してみました。
○ 75の台詞にこんなシーンを補完してみました。
脱字スマソ
80名無しより愛をこめて:02/10/01 18:42 ID:j8pWD/VR

8175:02/10/02 10:55 ID:Mr5vw9PP
>>78さん、それいい感じですね。
映画からどんどん外れるけど
そういった感じの美穂&ブランの日常を書いてみたいです。
82名無しより愛をこめて:02/10/03 22:55 ID:Hps1JkmP
保守
8378:02/10/04 00:15 ID:HBj+8ckS
>>81さん
また何か、新しいSSできたらオネガイシマス

そういえば、
ブランのカードってキレイだな・・・ちょっと花札ぽいけど(w
84王蛇誕生(1):02/10/05 23:15 ID:RjPLQBFi
「お前が契約するのは、あいつだ」
そう言ったコート姿の男の後ろに横たわる、巨大な紫の塊。
その頂上から、菱形の頭がゆっくりと持ち上がった。

男は言わなかった。
いまだかつて、そいつに向かって契約のカードを
かざすことのできた人間はいないことを。
肉片も骨も残らない。何の模様もない紫色の板だけが残される。
そんなパターンが何回続いたか、すでに男は憶えていない。

今度の奴も、王蛇にはなれないか。
ベノスネーカーの食事がまた1回増えるだけだな・・・
自分の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、
塊を見上げて突っ立ったままの「彼」を見て男がそう結論づけた時だった。

暗い灰色の身体をゆらりとさせ、彼が一歩前へ出た。
そのまま目の前の堆積に向かって歩き始める。

近づいてくるブランク体のライダーを、菱形の鎌首が冷ややかに見下ろす。
二又に分かれた舌がのぞき、嘲るようにひらめく。

次の瞬間ミラーワールドの空気が灼け、嫌な匂いが立ちのぼった。
鎌首が彼に向かって吐いた液体の匂いだった。
右後方で、地面が煙を上げて陥没している。

彼が何気なく首を左へ傾けたのと、
秒殺の猛毒攻撃のタイミングが偶然一致したのか。
それとも人間離れした勘で彼が攻撃を察知し、毒液を避けたのか。

どちらにせよ、コートの男にとっては俄然面白い事態になった。
85王蛇誕生(2):02/10/05 23:18 ID:RjPLQBFi
巨大な蛇に自分から近づいたというだけでも
今までの「餌」たちとは明らかに違うのに、
不意打ちをあっさり避けてみせるとは・・・微塵も恐れを見せずに。

そう。何もかも逆転した世界にいきなり放りこまれ、
文字通りこの世のものでない怪物と向き合っている今も、
彼は何の恐れも不安も抱いていない。
あの散歩のように無造作な足取りを見ればわかる。

だからベノスネーカーは、わざわざ毒液で攻撃したのだ。
自分に対する恐怖を少しでも感じ取っていたら、
即座に飛びかかって呑み込むだけだったろう。
明らかに試している。彼がどこまで自分に近づくことができるか。

だがまもなく、男は気づかされることになる。
この場を一番面白がっているのは自分でもモンスターでもなく、
彼なのだということを・・・
86王蛇誕生(3):02/10/05 23:20 ID:RjPLQBFi
「もういい、お前の器量は分かった。早く契約のカードを出せ」
男がそう言おうとした時だった。

シュッと音を立てて、二人の頭の横を何かが掠めた。
彼が、ゆっくりと振りかえった。
「・・・なんだ?」
コートの男が少し眼を細めた。
「雑魚が来たな」

三対六本の腕。
先端の鋭く反った、身長の1.5倍はあるメタリックな尾。
サソリ型の直立二足歩行モンスターが三匹、
尾の先端から毒針を飛ばしながら、男とライダーの方へ向かって来る。

「厄介だな。お前はまだ契約していない。ひとまず元の世界へ・・・・」

自分の言葉が聞こえなかったのか、それとも無視したのか、
次々に飛んでくる毒針を避けようともせずに
モンスターに向かって突進し始めたライダーを見て、
男がいつになく動揺を見せた。

「やめろ、ブランク体で何ができる!
契約しなければ戦えない−−今のお前では無理だ!」

低く笑って、ライダーはサソリの顔面に思いきり拳を叩き込んだ。
2回、3回。拳の数が増えるにつれ、笑い声が高くなっていく。
87王蛇誕生(4):02/10/05 23:22 ID:RjPLQBFi
だが男の言ったとおり、ブランク体のライダーが
モンスターに勝てるはずはなかった。
すぐに六本の腕にがっちり捕らえられ、
凄まじい力で締め上げられていく。

だが灰色のライダーの笑いは途切れなかった。
今また、凶暴な力を存分に揮える歓びを押さえられないらしい。

面倒な。ガルドサンダー達を呼んで片付けさせるか・・・
コートの男がそう思った時、

「どけ、それはあたしの獲物だよ!」
女の声と共に、空から地へ白い稲妻が走った。

モンスターがどっと地に倒れた。ライダーも投げ出される。

長く曳く鳴き声とともに、白鳥は再び空へ舞い上がった。
少し遅れてサソリの体に亀裂が走り、爆発する。
翼の鋭い先端で背中を切り裂かれたのだ。

炎の中、空に昇る光球を白鳥が追っていくのを見届けると、
細身の剣を構えた白いライダーは周囲を見まわした。
残る2体のモンスターを探しているらしい。

身体を起こしながら、灰色のライダーが男を振りかえった。
「おい。あいつもライダーだな? あいつと戦って倒すんだろ」
「そうだ」
そう答えた男の薄い唇が、上向きに歪んだ。
「だがあいつなら今、お前を倒すかもしれんな」
88王蛇誕生(5):02/10/05 23:25 ID:RjPLQBFi
見知らぬライダーの向こうに自分がいることに気づき、
驚いて見つめる白いライダーに向かって、男は呼びかけた。

「ファム!そのブランク体は浅倉威だ。
放っておけば、向こうの蛇と契約する。倒すならいまのうちだ」

白いライダーの優美な姿が凍りついた。
しばらくそのままでいたが、やがて構えていた細身の剣が
わなわなと震えはじめる。
「浅・・・・・倉!」
銀と白のマスクを、憎悪の炎が包んだように見えた。

「ファイナルベント」
目にも止まらぬ早さで一枚のカードがバイザーに消え、
上空を舞う鳥の、ひときわ甲高い声が響きわたった。

白い羽根が一帯に乱舞したと思う間もなく、
巨大な翼が凄まじい風を巻き起こした。

成すすべもなく宙にさらわれた灰色のライダーに、
薙刀状の武器を構えて待ち受ける白いライダーが見えた。
自分より先に吹き飛ばされていった2体のサソリが
その武器で次々と両断されるのも。

そして突然、白いライダーの前に紫色の影が躍り出たのも。
89王蛇誕生(6):02/10/05 23:29 ID:RjPLQBFi
亀裂のような両眼を黄色く光らせながら、
戦いの成り行きをじっと見つめていたコブラ型モンスター。
それが今、行動を起こした。長い胴を一度くねらせると
瞬時に白いライダーの前に飛び、かっと巨大な口を開く。
飛んでくるライダーに向かって。

鋭い牙が、毒液を滴らせてきらめいた。

やはり、一度目をつけた人間は餌食にするつもりなのか。
白いライダーに殺される前に。

だがコートの男には分かった。
ベノスネーカーは、ライダーに最後の試練を課したのだ。
男自身が、怒りに燃えるファムとブランク体のまま
戦わせるという試練を課したように・・・

空中でデッキに手を伸ばし、
「CONTRACT」と書かれたカードを出し、
何のためらいもなく突きつける。
眼前に迫る毒蛇の牙に向かって。

すべてが一瞬で終わった。彼の勝ちだった。
紫の蛇体が幾重にも灰色の体を取り巻き、まばゆい光が迸った。

ミラーワールドで最も凶暴なモンスターに数えられるベノスネーカー。
一切の恐れを持たず、常に戦いに飢えた男、浅倉威。
その両者が契約して誕生した仮面ライダー、王蛇。
90王蛇誕生(6):02/10/05 23:31 ID:RjPLQBFi
「やっと望み通りのライダーが現れた・・・
これで戦いも加速するだろう」

そう呟いた男の首に、細身の剣がぐいと押し当てられた。
白いライダー・ファムだった。
もう一方の手で、男の胸座をつかむ。
「おまえ・・・・なぜあいつをライダーに!」

激昂する女ライダーに揺さぶられながら、
神崎士郎は黒々とした笑いを浮かべた。

「ライダー同士の戦いなら、相手を殺せる。
姉を殺されたお前には、
浅倉がライダーになった方が都合がいいはずだ・・・
戦いのチャンスはいくらでもある。憎み続けろ。
その憎しみで奴を倒し、お前の最後の願いをかなえるがいい」

気がつくと、そこは元の独房の中だった。
自分の身体が鮮やかな紫色になっていることも、
腰のカードデッキに金色の毒蛇の紋章が
浮かび上がっていることも、浅倉にはどうでもよかった。
ついさっき手に入れたばかりの「力」を早く使いたい。
彼を動かしているのはその思いだけだった。
白いライダーをけしかけた神崎に対する怒りや、
自分に激烈な憎しみを抱く白いライダーの正体への疑問など、
ただのひとかけらも持っていない。

蹴りの一撃で独房の扉を吹っ飛ばすと、
けたたましく警報が鳴り響いた。

浅倉威は、意気揚揚と脱獄を開始した。