放射能のしくみ
放射性同位体と放射線
放射能を持つ物質を放射性物質、放射能を持つ原子核の種類や同位体をそれぞれ放射性核種、放射性同位体と呼ぶ。
放射性同位体は不安定であるため、一定の確率で原子核崩壊を起こし、それにともない放射線が放出される。この性質が放射能である。
原子核崩壊は単に崩壊や壊変とも呼ばれ、いくつかの形式がある。これを崩壊モードといい、主な崩壊モードにはアルファ崩壊、ベータ崩壊、ガンマ崩壊がある。
それぞれの崩壊では、α粒子、β粒子、γ線が放射線として放出される。
放出されたα粒子、β粒子は崩壊モードに応じた数メガ電子ボルトの運動エネルギーを持つ。
また、γ線はエネルギーを持つ電磁波である。これらのエネルギーは崩壊エネルギーと呼ばれ、
崩壊後の原子核や放射された粒子の合計質量が崩壊前の原子核の質量より減ること、つまり質量欠損に対応する。
崩壊モードと崩壊エネルギーを図で示したものが壊変図式である。
崩壊エネルギーは最終的に熱エネルギーに変わる。このため、放射性物質はしばしば発熱して高温となる。
この熱エネルギーを回収して電気エネルギーに転換するしくみが原子力電池や原子力発電である。
半減期
放射性同位体は、崩壊にともない指数関数にしたがって量が減っていく。そしてその同位体由来の放射能は減衰していく。
ある放射性同位体の量が半分に減るまでにかかる時間は核種ごとに常に一定であり、これを半減期という。
半減期は物質によって異なり、1秒以下から数百億年以上のものまでさまざまである。短い放射性同位体は早く壊変するため、
質量あたりの放射能である比放射能は高くなる。
自然界で観測される放射性物質には半減期の長いものが多い。
地球誕生以来46億年の時を経て生き残っているものも存在する。
自然界に存在する半減期の短い放射性同位体は地球誕生後に生じたもので、半減期の長い放射性核種の娘核種、
もしくは安定核種が宇宙線などの自然放射線を受けて核反応を起こして放射性核種に変わった生成物、もしくはその崩壊生成物である。
放射能の影響と対策
放射線防護
人体が放射線にさらされることを放射線被曝という。 あまりに多くの放射線に被曝すると、健康に悪影響がある。