>>24 放射性同位体と放射線
放射能を持つ物質を放射性物質、放射能を持つ原子核の種類や同位体をそれぞれ放射性核種、放射性同位体と呼ぶ。
放射性同位体は不安定であるため、一定の確率で原子核崩壊を起こし、それにともない放射線が放出される。この性質が放射能である。
原子核崩壊は単に崩壊や壊変とも呼ばれ、いくつかの形式がある。これを崩壊モードといい、主な崩壊モードにはアルファ崩壊、ベータ崩壊、ガンマ崩壊がある。
それぞれの崩壊では、α粒子、β粒子、γ線が放射線として放出される。
放出されたα粒子、β粒子は崩壊モードに応じた数メガ電子ボルトの運動エネルギーを持つ。
また、γ線はエネルギーを持つ電磁波である。これらのエネルギーは崩壊エネルギーと呼ばれ、
崩壊後の原子核や放射された粒子の合計質量が崩壊前の原子核の質量より減ること、つまり質量欠損に対応する。
崩壊モードと崩壊エネルギーを図で示したものが壊変図式である。
崩壊エネルギーは最終的に熱エネルギーに変わる。このため、放射性物質はしばしば発熱して高温となる。
この熱エネルギーを回収して電気エネルギーに転換するしくみが原子力電池や原子力発電である。
放射能の影響と対策
放射線防護
人体が放射線にさらされることを放射線被曝という。 あまりに多くの放射線に被曝すると、健康に悪影響がある。
このような悪影響を総称して放射線障害という。
放射線障害を防止するため、法令により、人体が被曝する放射線の量(線量)に限度が設けられており、
放射性物質を取り扱う場合はこの値を超えないようにする必要がある。
また、放射性物質を取扱う施設の仕様、放射性物質の購入・保管・廃棄の管理、汚染の管理、
管理被服や放射線防護服、保護具の着用も、法令や施設の内規で定められている。