子供の頃読んだ思いで深いSF小説ってなに?

このエントリーをはてなブックマークに追加
220名無しは無慈悲な夜の女王
「月が死んだ日」というジュブナイルSFを読んだことのある人はいますか?
30年位前、小学校の図書館で読みました。
アメリカのような国が舞台で、敵対する外国勢力と海外の発展途上国で(ベトナム戦争のような)泥沼の戦争をしている。
主人公の少年の父親は開発期の宇宙飛行士だったが、宇宙船の事故で同乗の若者に酸素を譲り軌道上で死亡、
遺体はまだ地球を回っている。若者は帰還したが気が狂っている。
少年も宇宙飛行士を志望して学校で勉学に励むが、戦地からの留学生少女と出会い戦争の真実を知る。
やがてアポロ計画のような宇宙開発がはじまったが、宇宙でも軍拡競争を始め、月面で核実験を行おうとした。
ところが秒読みが始まった後、核爆発を起こすと月が粉々になることがわかり、月の裏側にある実験基地まで知らせに
ロケットで飛び立つのだが、宇宙船には密航者がいた・・・それは主人公の友人で、事故のため宇宙飛行士になれなかった男だった。
彼は一度で良いから宇宙に行きたいと密航したのだった。彼は自分の分の空気と燃料が無いことを知っていて、宇宙服を着ると
宇宙空間へ身を投げる。やがて宇宙船は月の裏側に回りこみ、着陸船に一人乗り込んだキャプテンは急いで基地に着陸するが間に合わず
核爆発が実行され月が崩れてゆく。
少年は一人軌道船で地球に帰還するが、やがて月の無数の破片は太い帯になって地球を取り巻き、人間は月より遠い宇宙へ進出することが
永遠に出来なくなってしまう・・・というお話しです。
日本人作家によるもので、舞台は架空の世界の話ですが、登場人物も日本人のキャラクターとして描かれていたように思います。
寓話ではなくリアリズムな物語で、冷戦世界に対するアイロニーというより自分達の住んでいる世界さえ破壊してしまう
人間の業のようなものを容赦なく描いた作品でした。ひたすら暗いお話しで、自分の性格形成に大きな影響を受けました。
でも、子供心にそれまで読んだ小説とは違うシリアスさに触れて、これまで読んだ子供向けのお話しとは違うなと思ったことを
覚えています。