平井和正

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507その1
週刊SPA! 1998年2月4日号
トーキングエクスプロージョン
エッジな人々special (30)

(大見出し)
平井和正×大槻ケンヂ
「オウム以後」――。ハルマゲドンを待ち望んでいるのは誰だ!!

(中見出し)
オカルト、言霊、そして『幻魔大戦』……。
あのウルトラカルト作家が、
神秘に耽溺するロッカーに、
いま、初めて胸中を明かした!!

ある冬の昼下がり、熱狂的ファンを持つ作家とロッカーが出会った。
作家は、「オウム事件」より遥か以前から“ハルマゲドン”について、熱心に語ってきた。そして、それらの作品を思春期に読んで育ったと話すロッカー。
2人は、迫りつつあるハルマゲドンから宗教問題まで、あとわずかになった“世紀末”だからこそ気になる問題について、縦横に対話を繰り広げたのだった……。
508その2:02/04/01 23:40
大槻 実は僕、平井先生の息子さんと高校の同級生でして、「平井の親父は作家らしい
ぜ」って噂が伝わってきて、エエエーッとなって。平井先生の作品は、中学生の頃から
『ウルフガイ・シリーズ』『アダルト・ウルフガイ・シリーズ』『ゾンビー・ハンター』
(註1)と全部読んできたんです。だから、もう、ズダダダダッと行って「平井くん、
俺は君のお父さんの本、全部読んでるぜ」と言ったんです。そうしたら、平井くんにピ
タッと心を閉ざされてしまって……それっきり高校3年間、ほとんどしゃべんなかった
ですけどね。
平井 そうですか。ショックだったのね。ところで、大槻(義彦)教授(註2)はご親
戚かなにか?
大槻 いいえ、違います。
平井 ああ、そうですか、よかった。
大槻 仲、悪いんですか?
平井 いや、私はこの1、2年、テレビとかは全然観てないんで、いまの大槻教授は知
りませんが、テレビを観ていた頃の教授の目は完全にイッちゃってて、「私のところに
すぐに来るんじゃないか」(笑い)。……私の目、イッてますか?
大槻 平井先生は……僕、ずばり申し上げて、イッてると……。
平井 “神懸かりの平井和正”とか“天使懸かりの平井和正”とか、さんざん言われて
ましたからね。
509その3:02/04/01 23:42
大槻 中学か高校の頃に、角川文庫版の『幻魔大戦』(註3)を、3巻目まではオオー
ッって読んでたんですよ。でも、4巻目ぐらいから「これはなにか違うぞ」というもの
が出てきまして、それからどんどんどんどん、下手すると一巻丸ごと、主人公が講堂と
かで宗教の教義のようなことを言って終わっちゃう巻とかがあって、十何巻目で「これ
はちょっと近づいちゃいかん世界かもしれない」と思って、読むのをやめたんです。


「神懸かりの平井」は誤解

平井 いや、もう賢明な判断です。私も大変でしたよ。’83年頃ですね。『幻魔大戦』
は、私がずっぽりと浸ってた神懸かり、天使懸かりの世界を清算するために書いたもの
なの。つまり宗教や狂信者や、そういうものの実態を書いてやろうと。
大槻 え、そうだったんですか? 僕はてっきり、先生がずっぽり天使懸かりの世界に
入っておられる頃に書いていたのかと思い込んでいました。
平井 違うんですよ、あれはもう離れようとした時代のもの。誤解はかなりあるんです。
「オウム真理教の連中が『幻魔大戦』を一所懸命に読んでた」なんて誤解が広まっちゃ
う。でもね、オウムがやったことっていうのは全部、『幻魔大戦』に「絶対にやるな」
と書いてあるんですよ。
大槻 そこ、そこをおうかがいしたかったんです。オウム信者の中には、平井和正ファ
ンがものすごく多いと思うんですよ。あと、永井豪、大槻ケンヂのファン。なぜ大槻ケ
ンヂかというと、オウムが信者獲得のために早稲田大学かどこかにつくったサークルの
名前が、「日本印度化計画」(註4)。僕の歌のタイトルなんです。それで、先生にお
うかがいしたいんですけど、一連のオウム事件があった時、平井先生はどんなことを考
えていらっしゃったんですか?
平井 あの頃は、なにも考えてなかったと思います。目の前で起きていることを見てい
ると道を誤るという信念があるので、目の前のことはとりあえず全部シャットオフする。
で、数年たってから遅れてやってくる。だから『エヴァンゲリオン』も、まだ観てない。
3年くらいたつと追いつくんじゃないかと。
大槻 じゃあ、オウム事件から今年で3年になって……。
平井 やっと追いついてきて、初めて発言できる時点に達した。
大槻 そこでまた『幻魔大戦』を書こう、となるんですか?
平井 いや、それは言霊(註5)が来ないかぎりわかりません。
大槻 うーん……言霊、さっそくもうドーンと嬉しくなっちゃいます。
平井 鳥のオウムは人の言葉を口写しにするでしょう。オウム真理教もあっちこっちからの受け売りの教義で、自分のものはなにもない。それがオウムの本質だったんです。
大槻 ひじょうに駄洒落ではありますが……、ずばり言ってそうですね。
平井 いや、これは本質をついたもので、決して駄洒落ではありません。
510その4:02/04/01 23:43
大槻 はい……。オウム事件の時に“ハルマゲドン”(註6)が流行り言葉になった
じゃないですか。その時、「平井和正や永井豪を読んでる奴は、そんなの小学生の頃か
ら知ってるよ!」と思ったんです。
平井 ただ、私のことをとんでもない存在だと思っている人たちがずいぶんいて、なに
か言うとすぐに誤解されます(註7)から、あまり表立っては発言しないようにしてき
たんです。
大槻 一読者として見ると、先生は自分の世界観を人々に啓蒙しようとしているような
感じがしちゃうんですよ。だから影響力も強い。
平井 私は言霊使いなんですよ。『幻魔大戦』の主人公・東丈のしゃべる言葉は、私は
なにも考えていない。東丈の語りたいことを私がキャッチしてるだけなんです。別のこ
とを語らせようとしても駄目なんです。
大槻 お筆先みたいに。
平井 だから、私は普通の作家とは小説の書き方が違う。言葉に対する信頼感がないん
です。「ああ言えば、こう言う」というのが言葉の本質だから。「こういうふうに思っ
てもらいたい」と思って書いたって、読者によって全然受け取り方が違うんです。だっ
たらなにが通じるんだろうと思ったら、感情なんですよ。感情だけは動物にも通じる。
「小説は感情がすべてだ」と私が唱えているのはそういう意味で、理屈は通じなくても
、感情だけは読者に伝わるんですよ。だから読者に与えるインパクトが強いのかもしれ
ないですね。
511その5:02/04/01 23:44
ハルマゲドンはこれからピーク

大槻 平井先生は少年期のトラウマ作家(註8)なんですよ。バイオレンスあり、SF
あり、少年少女ありという世界観をつくろうとしている作家やロックミュージシャン、
マンガ家、ゲーム制作者、みんな少年期に先生の作品を読んでますから。
平井 ただ、私は“いま”に生きている人間なんですよ。“いま”の言霊は過去の言霊
とは連続していないから、過去の作品はもう自分とは関わり合いないという感じになる。
だから、新しい作品がどんどん自信がある。
大槻 いやあ、面白いなあ。
平井 言霊は外から来ますからね。「来る」といえば、最近「ああ、ハルマゲドンは本
番だ」と思いますね。
大槻 先生の考えるハルマゲドンとは、どんなものなんですか?
平井 「ハルマゲドンの時にキリスト教会は娼婦となる」という予言があるんです。
11月の新聞にこれを裏付ける報道もありました。つまり、これでキリスト教の教えが
崩壊してしまうということです。
大槻 そうすると、仏教徒にとってはどうでもいいじゃないかという気もするんですが。平井 (笑いながら)でも、キリスト教徒は確か10億人いるでしょう。10億人の心
の基盤が崩れ、キリスト教が支える西欧文明が崩壊しちゃう。
大槻 みんなが想像するような、空から大悪魔軍団とかが来て、ドガーン、バゴーンと
大変なことになる、というハルマゲドンではなかった。
512その6:02/04/01 23:45
平井 いや、だから、まず精神世界で起こって、それに対応するような崩壊が物質的に
追いついてくる。両方そろってハルマゲドンになる。これから10年が、そのピークで
すね。
大槻 いわゆるノストラダムスの1999年の……。
平井 あれは生殖能力を奪うダイオキシンだという説がありますね。それから、私は
カラス・ウォッチャーをやってるんですけど……。
大槻 ちょ、ちょっと待ってください、カラス・ウォッチャーですか?
平井 うん。カラスっていうのは、小型人類なの。第2の人類なの。
大槻 ……小型人類はなにをやってるんですか?
平井 カラスは人類そっくりなんですよ。貪欲で、強欲で、自分の周囲の環境のすべて
を破壊しちゃう。だから小型人類なんです。カラスはいま野鳥の卵もヒナも成鳥も食っ
ちゃう。猫を寄ってたかって食っちゃう。あの自然破壊の形態は人類と瓜二つで、人間
の自画像を見るような思いがしますね。いま、カラスは人間を攻撃しはじめてます。
カラスと人間の戦争っていうのは今後起きますね。
大槻 うーん……。先生の作品を見ると、とにかく人間の醜い面を憎んでいるという話
が多いですよね。
平井 だって嫌じゃないですか。自分の醜さを見ると腹が立ちません?
大槻 結局のところ、ハルマゲドンを一番望んでいるのは先生なんじゃないかという気
もしなくもないんですけど。つまり、この醜い人間どもをどうにかしてしまいたいという。
513その7:02/04/01 23:46
平井 選別の時でしょうね。一度ご破算になって、リセットされる。ハルマゲドンのい
ろんな証拠は、どんどん集まってくるんじゃないですかね。失礼ですが、大槻さんって
いうのは芸能人に分類されるんですか?
大槻 僕は……一応本業はロックミュージシャンって言っちゃっていいのかなあ、エッ
セーや本なども書いて(註9)、テレビとか、タレント的なお仕事に関しては、「自分
ができるものであるならやりますよ」みたいなスタンスでいければなあ、と……。
平井 芸能人はガン死する人が多いじゃない。あれ、私、わかったよ。
大槻 ええっ?
平井 『幻魔大戦』を書いてた頃、あれは2000万部売れたんだけど、読者の意識が
全部私のところへ来るんですよ。その重圧感は並大抵のものじゃないね(註10)。
午前2時頃になると家じゅう暴走族が来たんじゃないかと思うくらい騒然となるんです。
でも、外はシーンと静まり返ってる。人間の霊的な想念というのは、そういうものすご
い破壊力があるんです。芸能人なんて、大量の人間の意識が一身に集まってくるから、
たいがい腰痛とか肩凝りとか……。
大槻 自分も腰痛です。
平井 体じゅう必ずどこかが悪い。ガンで死ぬのは避けがたい運命なんです。だって、
命が的の商売ですよ。霊的に弱い芸能人はすぐに引退したほうがいいですね。
大槻 先生の場合は、その状況をどう乗り越えられてきたんですか?
平井 私の場合は言霊じたいが霊的なものだから、言霊がバリアになっているような気
がする。
514その8:02/04/01 23:47
大槻 言霊バリア。うーん……。
平井 言霊のプレッシャーが他の圧力を全部はね除けている感じです。
大槻 俺も、バリア、欲しいなあ。
平井 人間は誰でも言霊使いですよ。言霊に目覚めれば、自分を守ってもらえるんじゃ
ないですか。


自分の主人公と対談した!?

大槻 そういえば先生は、『ウルフガイ』の主人公・犬神明を名乗る男と雑誌で対談
(註11)していらっしゃいましたよね。どんな人だったんですか?
平井 すごく面白い人でしたよ。チャーミングでした。言うことが面白いし、人間的な
魅力もある。
大槻 虚言症の人だったんですか。
平井 違う違う、違うんですよ。詐欺師の作り話は、何度も繰り返すと食い違いが出て
くるものだけど、彼の場合は、同じ話を5回ぐらいしても、ひとつも食い違いがない。
大槻 長谷川町子のところにサザエさんが来たみたいな話ですよね。
平井 彼は車より足が速いらしいし、音楽もできるし、体術の名人で、タイガーマスク
の佐山聡とも知り合いです。
大槻 じゃあ、ぜひヒクソン・グレイシーと闘わせたいなあ。佐山聡も公認の、犬神明
対ヒクソン・グレイシー。これ、ドームでいけますよ。結局、彼は何者だったんですか。
515その9:02/04/01 23:48
平井 わからない。謎です。
大槻 いまは、どうなさってるんですか。
平井 わからない。謎です。
大槻 先生、僕、これもおうかがいしたかったんですが、宗教とかを信じる人の中には、
一つのことを真面目に信じていくんだけど、それが間違いだと思った時には180度転
換して「間違いだ!」と声高らかに言う人がいます。先生の場合は……。
平井 私は、面白がり屋なんですよ。
大槻 先生は、あるカリスマ(註12)にずーっと入っていった時がありましたよね。
その時の自分を振り返ってみると、どうなんですか?
平井 いつも、面白がってる自分しか見えない。
大槻 じゃあ、当時はそのカリスマを面白がり過ぎてしまった、と。
平井 面白かったんだね、きっと。
大槻 そのカリスマはやっぱり魅力的だったわけでしょう?
平井 ……言霊が来ないの(笑い)。
大槻 来ませんか。
平井 ああ、来ないわ。
大槻 いやあ、先生、素敵です。そういう核心の時に言霊が来ないっていうのは。「ノーコメント」に代わる言葉として使えますよ。リポーターとかに「どうですか」と訊かれた時に、「……言霊が来ない」。今度、使おう。
平井 ね、いいね、いいね(笑い)。
516その10:02/04/01 23:49
超カルトな作家の超カルトな発言に、時にはビビりながらも、懸命に“言霊使いの
言霊”を引き出していった大槻ケンヂ。初の顔合わせで少年時代のトラウマは癒された
のか、それともまた、新たなトラウマが刻みこまれたのか……。


(欄外)
Kenji Otuski
’66年、東京都生まれ。
ロックグループ「筋肉少女帯」を結成し、’85年のシングル「高木ブー伝説」が話題を呼んでメジャーデビュー。
ハードなサウンドと特異な歌詞が人気を集めている

Kazumasa Hirai
’38年、神奈川県生まれ。
’63年に『エイトマン』の原作でSF作家の地位を確立した。
代表作は『狼の紋章』などのほか『幻魔大戦シリーズ』など、多数ある。
最新作は『月光魔術團』(アスペクト)
517その11:02/04/01 23:51
註1
『ウルフガイ・シリーズ』……
犬神一族の血を引く犬神明が主人公の代表作。犬神明が高校生の『ウルフガイ』と成人
の『アダルト』の2シリーズがある。第1作の映画化『狼の紋章』は志垣太郎(!)が
主演で、松田優作のデビュー作。最新シリーズの『月光魔術團』は、犬神明(メイ)と
いう少女が主役だ。『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』はゾンビーと呼ばれる「侵入
者」との闘いを描いたバイオレンスアクション。

註2
大槻(義彦)教授
早稲田大学理工学部教授。アンチ・オカルト派の論客として有名で、宜保愛子などとも
対決してきた。だが、オカルト現象の大半を「プラズマ」で説明しようとする姿勢もま
た“?”であるとSPA!は思うのだが……。

註3
『幻魔大戦』
救世主たる高校生・東丈と破壊者「幻魔」の闘いを描いたハルマゲドン・ストーリー。
当初はアクション満点の超能力SFだったが、東丈がサークル「GENKEN」を主宰
するあたりから宗教色が強くなり、東丈の意志に反して組織が硬直していく様子などが
克明に描かれる。宗教礼賛小説との誤解に、作者は新版で徹底反論。
518その12:02/04/01 23:51
註4
「日本印度化計画」
筋少の持ち味は「ほのぼのとしたユーモアセンス溢れるメルヘンチックでドラマチック
な、しかしハードでメロディアスでかっこいい筋少サウンド」。ナゴム・レコードから
デビューして、第1次インディーズシーンを席巻したことからもわかるように、極めて
正統派の東京出身ロックバンドである。これまでにベストを含むアルバム15枚を発表。
「日本印度化計画」はアルバム『猫のテブクロ』('89)所収。

註5
言霊
言葉が持っている霊力のことで、日本的アミニズムの一種だが、平井和正にとっては自
らにペンを執らせる強い力、という意味合いが強い。恋愛小説『ボヘミアンガラス・ス
トリート』は、“言霊”が強烈に降りてきて、数か月で全9巻を書き上げてしまったと
いう。

註6
ハルマゲドン
この世の終わりにあるという神と悪魔の最終戦争。大昔から来る来ると言われながらな
かなか来ないところがポイント。新約聖書のヨハネ黙示録に描かれた壮麗なその風景は、
マンガ(例・『デビルマン』)や小説、新宗教の元ネタになっている。アニメ映画『幻
魔大戦』ではずばり「ハルマゲドン接近」というフレーズがキャッチコピー。角川映画
らしい大量のスポットCMの効果もあって、ハルマゲドンという言葉は一気に広まった
と思うのだが。
519その13:02/04/01 23:52
註7
誤解されます
オカルティックなことに深い興味を持つためか、普通の発言も曲解されることが多いよ
うだ。映画『めぞん一刻』によせた応援のコメントが、「映画は失敗する、との不吉な
手紙。送り主は平井和正氏」と東京スポーツに、面白おかしく取り上げられてしまった
こともあった。

註8
少年期のトラウマ作家
壮大なテーマだけでなく、ハードな暴力描写と、エロティックなシーンのなまめかしさ
も、平井作品の魅力の一つ。大槻ケンヂいわく「小中学生の性の扉をバンバン開けてい
く作家」「これだけ“愛”を描いているんだから、どんなに暴力シーンが残酷でもいー
の」と、いうことになるらしい。

註9
エッセーや本なども書いて、
大槻ケンヂは短編小説「ぐるぐる使い」と「のの子の復讐ジグジグ」で、SFの星雲賞
(短編部門)を2年連続受賞。役者としては『極道忍者ドス竜』(永井豪監督)で初主
演、『ファンシイダンス』(周防正行監督)にも顔を覗かせている。そして某雑誌に連
載された日記『オーケンののほほん日記』を読むと、マニアックすぎる私生活の秘密が
垣間見られるのだ。
520その14:02/04/01 23:52
註10
その重圧感は並大抵のものじゃないね
平井作品は後書きが“熱い”。日本の出版文化の荒廃を憂いて怒り、あるいは作品に絡
めて好きなコミック(『めぞん一刻』と『きまぐれオレンジロード』)への愛情を語っ
たり……。後書きが楽しい作家は数多いが、これほど自分の考えを赤裸々に晒すのは珍
しいのでは。そしてファンレターにはすべて返事を書くという伝説。だからこそ読者の
思いが本人に集まってくるに違いない。

註11
犬神明を名乗る男と雑誌で対談
このリアル犬神明氏、平井のファン大会にも登場。この大会に参加していた作家の志水
一夫は、本人から「犬神明」とサインをしてもらい、大槻ケンヂもそのサインを見たこ
とがあるという。このメタフィクショナル(?)な対談は平井和正のホームページで読
める。すごいぞ。

註12
あるカリスマ
平井和正が「新宗教の大本教」と呼ばれる宗教から離脱したのは’78年。現在再刊中
の『幻魔大戦』の後書きで、その時の心境を告白している。ちなみにこの宗教団体は
「G○A」であったのは有名な話。