まずはどんな話しをつくるかだ
2 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2010/12/28(火) 15:17:59
ぬるぽ小説を作ろう
ガミラス(自称)なエイリアンが「あなたはそこに書き込みますか?」と
某スレを荒らし侵略してくる。
親父にも打たれた事ないのに!(捨て子だから殴られるわけもない)と叫ぶ
>>1が
逃げちゃダメだとつぶやきながらアナルフリスク状態で(ry
後は任せた。
4 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2010/12/31(金) 16:55:25
新石器時代の全人類が、地球に不時着した迷子の宇宙人と戦う。
5 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2010/12/31(金) 16:57:52
地底人の帝国に幽閉された特殊部隊の主人公が超人的な能力を発揮して脱獄を試みる。
異星人が、地球を侵略するための第一歩として日本を選ぶ。
マスコミを操作して、選挙で当選する。
人類が団結すると、都合が悪いので日米を離間させる計画を進める。
あとは任せた。
・ \ / \ / \ / \ /
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8 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/01/08(土) 00:50:13
本当に読みたい小説を考えませんか?
アイディアはあります
真面目にカンファレンスできるなら、ぜひ他者の意見を聞きたいです
ポプラ大賞に応募しないのなら、ここで公表してもいいかもしれない。
応募しません!
って、このレス読んでる人いるんかな
面白そうなアイディアがあって、意見を聞きたいのなら、とりあえず書いてみればいい。
思い切って、暖めているものを書いてみます。
その1
世界は、ホモ・サピエンスとホモ・ミラージュの共存する世界。
世界を支配するのは、エネルギー王で、アルケミスト・ガスマン。
ある日、ガスマンは、薔薇の冠との諮問会のラウンドテーブルにて、神父達にアツォートの式を定義する。
アツォートの式には、二人の係数と一人の指数が必要である。
一人は、ガル・バル・ブロウ、正数の銃を持つ男で、ガスマンの第二婦人の子供。
もう一人は、主人公、ラチェット、奇数の銃を持つ男。
指数は、ティティとい名の女性。
ガスマンのメッセンジャーが、二人の男に係数の宣言を行う。
ガル・バル・ブロウは係数の宣言を受け入れる。
ラチェットは係数の宣言を断り逃げ回るも、幾度となくガル・バル・ブロウからの襲撃を受け、係数の宣言の受け入れを迫られる。
一方、主人公のラチェットは、森の神父殺しにより、薔薇の冠の神父達より襲撃を受ける。
主要、神父達。
森の神父=失踪。ラチェットの育ての親。失踪。第一神父の一人。植物界の調和をしていた。
黒鉄の神父=ゲートキーパー。防衛。名前=ペトロシアン。親衛隊。元鉄の神父。鉱物界の調和をしていた。
楽園の神父=楽園の管理。狩猟。元海の神父。動物界を調和をしていた。
音律の神父=聖歌隊を率いる。聖歌隊=攻撃部隊。
顕現の神父=謎。
隙間の神父=最年長。真実の見えない言動。知があるが、すべてを謎めかして語る。次元を知る者。
二面の神父=調和と輸送。
立場の神父=神父達の監視。諜報活動。
鎖骨の神父=森の神父の捜索・殺害を実行する者。楽園の神父を説得した者。黒鉄の神父との確執あり。自己犠牲と儀礼的殺害が、鎖骨の神父の信念・理念
その2
また、指数である民間人であるティティは、神父達の聖歌隊からのナイトレイド(夜襲)を受ける。
ラチェットも、ガル・バル・ブロウの執拗な攻撃、聖歌隊からの襲撃により、大切なモノを失う。
ラチェットも、係数の宣言を受け入れる。
ラチェットとガル・バル・ブロウとの戦い。
ガル・バル・ブロウを倒し、ラチェットは、正数の銃と奇数の銃を手に入れる。
そして、ラチェットは、その名の通り、不吉の犬。死のプレゼンターとなる。
ラチェット、ガスマンの宮殿を襲撃。
神父達との戦いの後、ラチェットとガスマンとの対峙。
ラチェット、涙を流しながら、奇数の銃と偶数の銃を持った2丁拳銃のまま、
ひざまづくガスマンの頭へ2発の犬を打ち込む。
ガスマンの帰化。
宮殿の破壊。
炎の中、本当のガスマンの部屋に辿り着く。
ホモ・サピエンスでもなく、ミラージュでもない、ガスマンの降臨。
揺らめくガスマンが、ラチェットにアツォートの式のことを告げる。
希望を求めるならば、ラチェットは、新たに自分の為である式を作成しなければならない。
ただ、誰かが絶望に落とされることを覚悟しなければならない。
その3
舞台は、ネームレスシティ。
係数や指数が人であること。
コア・バレットを打ち込める銃(正数の銃と奇数の銃)により、コアを中心に打ち込まれた物質によって形成された犬を出現させる。(正数の銃の犬の名はアートマン、奇数の銃の犬の名はブラフマン)
アツオートの式とは何か?
特殊部隊(神父達の聖歌隊)などの銃撃戦などがメインの小説。部隊の描写には懲りたい。
ざくっとした概要は、こんな感じです。
(その他、登場人物)
サンジリエーニイ=コア・バレットの製造
ブロディ=ガスマン・シンジゲートのバレット製造主任
ガスマンの執事
ナノプッシャー=ザペン
ガスマンのメッセンジャーのジオッコ兄
ガスマンのメッセンジャーのジオッコ弟
ガスマンの第一夫人
ガスマンの第二夫人
ガスマンの第三夫人
ガスマンの第三夫人の子供、ニムゾ
物理学者=フォント
ラウザーアイル空港税関局長
ラウザーアイル大統領
ネームレスシティ市長
ティティの母ヘム
アドバイス、なんとなくの感触、感想などあれば教えてください。
もし、本気の人がいれば、設定を詰めていきたいです。
アイデアというのが何なのか?
この設定の良さそうなポイントを
3行で頼む。
1.数字ではなく人間を式に当てはめるという。アイディア
2.SF版ゴッドファーザー(系)犬が形成される銃(正数と奇数の犬)
3.自己成就予言(死=ゼロ)。数学と哲学をベースにしている。
>>16 人間を式に当てはめるというのは良く分からないので、
SF版ゴッドファーザーというところに着目する
この世界観で読者に面白く読ませるには、
銃のウンチク、緊迫した銃撃戦、魅力的な悪役などが必須と思える
でそれらを構築するには、実在の銃、銃にかかわる歴史・事件、ギャング、アクション映画などの知識が
相当必要と思うが、その辺大丈夫かな?
犬が形成される銃(正数と奇数の犬)
↑
これの意味というか、イメージが判らない。 現実世界の銃とは、まるで違う性質のものなんだろうな。
どんなアクションが有り、どんな攻撃が行われているのかが分かるように描かれるのなら、面白くなるかもしれない。
>17
ありがとうございます。
系統・ムード的な、また重厚さの形容として、SF版ゴッドファーザーをあげてみました。
銃のうんちくは、かなり必要ですが、近未来orパラレルなので、現代の銃に沿いながら、新しい銃をデザインすることになります。
銃撃戦の描写、また特殊部隊の突撃方法、カバーをするタイミング等々、本気の特殊部隊の描写が必要です。
部隊の名前は、それぞれの神父名+聖歌隊ですが、着用しているものは、
ーーーーーー(例)
夜襲に関しての会議が行われた
立場の神父は、バーティカル・モニターを通じて指示を出す。
「レイドに関して、信託はなく、顕現の神父の聖歌隊だけで襲撃を行う。」立場の神父が述べる。
ヴァーティカルに地図が照らし出される。
フリージアアイランド。第五居住ランジャン・エリア。
顕現の神父の聖歌隊は十名。
隊の若い男が、ヴィンティード・スーツを装着しながら声を出す。
「これが終わったら、ヨーロッパに帰れるのか?」語気は強く、吐き捨てるように言った。
他の聖歌隊の隊員は、無言で漆黒のヴィンティード・スーツを着用する。装着時の金属音、圧縮音が部屋中にこだまする。ヴィンティード・ヘルメットを被り、シールドを下ろす。ヘルメット内のスコープが右目を覆う。
彼らの中の半数は、今夜、幾何することになるだろう。
無線が入る。「鎖骨の神父が、ランジャン・エリアのチャイニーズレストラン・タイドウで、インダストリアル・アートのサンジリエーニイを発見。衛星からの観察不可能。現在、タイドウの店内に鎖骨の神父が潜入。キッチン内で待機中。オーバー」
「こちら、顕現の聖歌隊。準備は整った。ヘリIUHF-6にてターゲットポイントへ向かう。到着時刻は2:00。オーバー」
----
ってな感じです。
>18
銃の名前は、共通してダイナモです。
固有名詞は、奇数の銃、偶数の銃と人は呼びます。
銃からは、コア・バレットという弾が出ます。
コア・バレットに打ち込まれた物質によって、犬が形成されます。
例えば、公園の噴水の中の水に向かって、コア・バレットを打ち込むとコアが最初に接触する物質である水。つまり、水の犬が形成されます。
もし、砂に向かって撃てば、砂の形をした犬が形成されます。
最初に当たった物質、もしくは当たった後、ダイナモの第二トリガーを引いた時に接触している媒体をコア(核)部分が物質を寄せ集め、犬の形になります。
それぞれの犬も、飼い主の指示に従いながら、時には従わずに、敵を「物理的な攻撃」もします。
しかし、これらの犬は、最終的には、敵に対して、物理的形状を捨て、敵の精神世界に入り込み、駆け巡りながら、対象の自我、超自我を、思い出を食い破ります。
犬の名前のアートマン、ブラフマンは、インド哲学から取っています。
アートマンとブラフマンの融合は、無になります。
追記
精神世界に犬を走りこませるときは、第一トリガーと第二トリガーの同時押しです。
第一トリガー(コア・バレット発射のトリガー)
第二トリガー(コアが、媒体に接触する瞬間を決めるトリガー)の
トリガーの数は多くせず、ボタンやスイッチなども配置しないシンプルな銃です。
独特の世界観を上手く創れたら、ハマる人はハマる作品に成りうる。
数学を応用するのなら、読む人を置いてけぼりにしない配慮が必要なのかな?
逆に、読む人が数学好きに成るくらいの作品が出来たら面白い。
23 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/04/09(土) 02:18:38.43
だめだ。カタカナが多すぎて斜め読みになってしまう。
綿密な世界観を描こうとしているのは分かるけど、著者以外覚えられないような
単語の羅列で読む気が失せる読者もいることを意識して欲しいな。
設定段階で文句言うのもなんだけどさ。
アフタヌーンでやってるバレット・ザ・ウイザードと雰囲気似てるかもね
なんか小説って言うよりTRPG(テーブルトークRPG)作ってるみたいだ
どもども、レスありがとうございます
>22さんが言ってること、ズバリですね
自分の作る世界観だけで、読み手をほったらかしにしてる感はあるかも。
緻密にはしたいけど、カタカタばかりで斜め読みにならないようにどうすればいいのか。
>24
一度、それ読んでみます
神父の設定とか、SF版ゴッドファーザー系はいいと思うんだけど。。。
いっそのこと、近未来(ややパラレル気味な)な、通天閣が6塔あるような、大阪を舞台にしてみようか・・・。
大国町とか。泉南の方では年に1回、武装した”だんじり”が走り回っているとか。。。w 御堂筋は閉鎖されて、闇市が並んでいるとか。。
ニューロマーンサーの千葉シティとかぶっちゃうか・・・。うーん
27 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/05/10(火) 01:38:21.52
ラノベ板で披露したら?
どこがSFやねん
ここがSFやねん
いまってSFの新人賞なにがあるの?
31 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/05/28(土) 09:47:53.95
再開予定のハヤカワSFコンテストと創元SF短編賞くらいじゃね
つくっても発表する場がない。
ラノベ版でさらしてもいいけど、どうせ
「うぜえんだよ設定や解説なんかどーでもいい」
と言われるのがオチ。
>>32 同人誌、あるいは小説サイトに上げるのは駄目かね?
ふぅ……
SFファンダム集まってなんかやるエネルギーあるなら、
ファンで金出し合って新人賞でも募集すればいいのに。
出版は電子出版にすればそんなにリスクないだろ。
長編の新人賞がないというのは、ちょっと酷すぎないか。
ミステリやホラーや純文学の衣を着せて、
ミステリ関係の賞か角川ホラー大賞か
群像やすばるの文学賞に送るほうが近道かもねw
SF部分の選者のリテラシー低そうだし案外そのほうが楽かも知れん
凄まじい過疎ぶりだな。書いたはいいけどSFの新人賞ないし、
ラノベ版に晒してもな。真剣に読んでくれる人も多いけど、
SFファンタジ嫌いも多いし、さすがに原稿用紙500枚超は……。
小説投稿サイトはほんと反応ないのよね。あーあ誰か
アドバイスを。
自費出版して通販で売れば。
39 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/08/01(月) 00:43:29.17
うっせーばか
40 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/08/01(月) 19:19:18.07
別にここで騒いだからって出版社が気に止める訳ないじゃん
やんならここでリレーで適当に遊べばいんじゃない?
前文文脈からそれぞれが勝手に解釈と創造して。。。カオスっぷりが面白いかもよ
このスレの趣旨って、既存のSF小説に飽き足りずに「みんなで新しいSF小説を作ろうぜ!」というもの
なのか、それともコテコテのSF小説にありがちなネタを持ち寄って「あるある!wwww」とか言って笑う
ようなネタスレなのか、どうなんだ?
前者
43 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/08/05(金) 06:55:43.29
過疎的に後者
>>37 SFオンリーじゃないが、9月末にC★NOVELS大賞の締切あるからそれに応募してみては?
90〜120枚が応募条件なんで、500枚から上手く再構成して、それ単体でも完結した第一話にするとか。
C★NOVELSは、SF色はあまりないけど、架空戦記で谷甲州御大も出版してるし、純SF的な作品じゃなければいいんじゃないかな
(500枚あるなら、キャラ造形もそれなりにあるだろうし)
45 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2011/12/11(日) 19:39:32.80
昔ニューロマンサーと攻殻を足して2で割ったような小説書いたなあ
俺的には満足だが映画化したらコケるだろうな
人間を数式に当てはめる、ってのがこの話のメインになると思うけど
まったくイメージがわかない、想像つかない
人間を数字で表すのは、管理社会において個人を表す情報の簡略化、とかだけど
数式にする意味は?
どうしてその世界では人間は数式で表されてるの?
それが分からんから係数とか指数とかワケワカメ
しかし去年の4月のレスに俺は何を…
わかるよ、その気持ち
セカイ系を脱構築するお話を構想中です。
>>12 見てたら俺が書きたくなってきた。
盗作になるから発表はしないよ、ありがとう。
SF小説は有益ですよ。
51 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/07/31(火) 14:34:54.52
どうせ作るなら銀河や時空をまたにかけて物理法則改変しまくる宇宙戦争みたいなスペースオペラがいいな
過疎凄まじいなWWW 前コメ2ヶ月前のコメじゃんWW
つうか、おまいらにはSF小説なんて一生無理だと思うから
俺のアイディアをsageで特別サービスで晒してやるから感謝汁WWW
舞台は第2次大戦中のとある軍需工場の地下施設、そこでは
恒星間航行宇宙戦艦が建造されていた。
勿論この太陽すら消し去る事の出来る兵器をこの時代に使用する事
は許されない、歴史改変者達から歴史を守る為に時間保護管理局の
工作員はありとあらゆる時代に工作員を潜伏させている、彼等に
よって歴史上の有名人の殆どは殺害されており、擬態潜伏している
時間保護管理局工作員が歴史上の偉人を演じている。
53 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/07/31(火) 21:28:35.66
日本語でおk
54 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/07/31(火) 21:37:58.61
設定を追加してみた
主人公は時間操作可能。3歳で高熱を出してから能力が身に付く。IQ200の秀才。ただし病弱。
時間管理局(15人体制)も同じ力がある。高い位になるほど細かく時間移動できる。歴史的人物をこの世から消そうとする。理由は金銭目的、局を歴史上で最も高貴な職種に仕立てるため、主人公の妹(世界を破壊出来る)を奪うために誘き寄せるため。
設定追加するより、まともな文章書けるようにならないと
ためを三回も連発したらダメですよ
美大に入学した主人公♂は、
コンパで出会ったユルかわ不思議ちゃん♀と付き合い始める。
彼女は時々夢見がちなに不思議な言葉を口走り、風景画と称して描く絵は、
幾何学模様の不吉な抽象画にしか見えなかった。
しかしある時主人公は気付いた。彼女は高次に広がる邪神の一端末であり、
口にする電波ワードや描いた絵はすべて事実だったのだ。
やがて主人公の眼にも、この世の背後に広がる異形の風景がはっきりと見え始めた・・・。
小林泰三先生のパクリだけど、この設定は色々応用できそうだ。
邪神を情報統合思念体にするだけで
長門有希ちゃんに早変わり!
そそんなラノベしりません。
ラノベがお嫌いなら現役SF作家で
邪神を何かドロっとした黒い触手っぽい古代宇宙生物に
風景画を人気SF小説にするだけで
山本弘『シュレディンガーのチョコパフェ』「闇からの衝動」に早変わり!
は、ちょっと強引かな
>>60 ょぅι゛ょ '`ァ'`ァは、やはり必要悪だな・・(`・ω・´)
海外の短編で、後期印象派の画家の描いた風景画が、
実は異次元生物を模写したものだったっていう話があったよね(詳細忘れた)
2012年某日、地球上の全人類の脳内に、あるメッセージが同時に響きわわたった。
「好きな時に願い事をしてください。どんな願いでも現実になります。ただし、1人1回なのでよく考えて決めてください。」
数瞬の後、天国の門と地獄の釜の蓋がパカパカ開きだし、
神とかサタンとか仏陀とかウルトラマンが、そこら中に降臨し始めた。
熾天使やダークナイトが雲霞のように湧いて小競り合いを始めた。
東京にはベリアル怪獣軍団が襲来し、エヴァンゲリヲン初号機〜萬号機がこれを迎撃、人類補完計画を完遂した。
地球は何万回も核の炎に包まれたり、コスモクリーナーで洗浄されたりした。
世界は何百億スレッドにも分岐し、
「あーなんか収集つかなくなっちゃったー」と思った観測者は、ぶちっとスイッチを切った。。
こんな感じの話を長編でお願いします。
主人公は、他人の願い事に相乗りして災禍から逃げまどう女の子(12)です。
64 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/08(水) 00:00:12.48
お
65 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/09(木) 22:00:09.36
ゴジラ VS 骨法
シャーロック・ホームズ VS 恐竜
巨大ロボ VS 梁山泊
上記のような異ジャンル対決もので、まだ書かれてないものがないか考えてみた。
吸血鬼 VS 幼女
ミッション系幼稚園のお泊り会を吸血鬼が襲撃!幼女にしばかれる。
エイリアン VS 秋田犬
赤カブトも瞬殺レベルの食人怪獣に秋田犬が挑む
シャーロック・ホームズ VS 神
ホームズが超絶屁理屈を駆使して最後の審判をやめさせる。
・・・(´・ω・`)
被造物に説得される神ってのが情けなくてなかなかいい。
67 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/11(土) 11:37:38.30
>>62 最終的になんかの実験だったってのはよくあるよなあ
実験とわかっていて観測者側と戦おうとする奴も出てきてほしい
>>65 今すぐにでも書けそうだが、書いちゃってもいい?
>>67 「絶対におかしい・・何かの罠だ。試されてる!」
売れない作家、加持リョウジ(28)は
数分前の異常な啓示体験に、強烈な違和感と恐怖を感じていた。
既にアパートのTVはお台場に出現した体長700mの高崎観音を映し出し、
しょうもない「奇跡」の見せっこで、ツイッターはダウンしていた。
彼は自分の不安が的中したことを知った。
少しでも有益な情報を得ようと、彼は学生時代の恩師で、宇宙物理学者の大槻教授に電話をかけた。
「先生、さっきの"声"をきかれましたか?こんなことが現実に有り得るんですか?」
「・・もういいんだよ加持君、フヘヘ全ては些細な事なんだ。今まさに宇宙誕生の秘密が頭に流れ込んできてるんだからあ'`あ'`あ'`あ'`あ'`・・」
・・くそ使えねえっ!てゆうか欲求に素直すぎだぜ先生!
リョウジは決意した。知り合いに片っ端から声をかけ、冷静な奴、頭の沸いてない奴を集めるのだ。
授けられた「権利」は来るべきカタストロフからの「護身」にも使えるはずだからだ。
だが何よりもリョウジが案じたのは、近所に住む姪のまどか(12)の安否だった。
「姉貴と義兄さんは二人とも会社に行ってる・・あいつは無事か!家にいるのか?」
既に携帯の回線はパンクしている。いてもたっても居られず、アパートを飛び出したリョウジ。
だが表に出た彼の眼前には、心が折れそうになる、異様な光景が広がっていた・・。
つづく
>>69 >だが何よりもリョウジが案じたのは、近所に住む姪のまどか(12)の安否だった。
ここがイイw
72 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/11(土) 22:28:59.10
なんだこれは? 生暖い雪が積もっている。
生暖い雪?
リョウジは雪の中でも寒さを感じなかった。
普通の雪ではなかった。
膝上積もった雪をかきわけながらリョウジは必死に進んた。
トントン
「……」
ドンドンドン!!
「……」
誰も出てこない。
「まどか〜っ!」
「……」
「まどかも居ないのか?」
>>72 まどかはクライマックスで使うんだから殺すなよ。ちなみに、
1.終わりの始まり ←今ここ
2.あぽかりぷす・なう
3.地獄の戦士
4.大槻教授との死闘
5.まるどぅっく・すくらんぶるの陥落
6.観測者
7.スイッチ
まるどぅっく・すくらんぶるも出て来るのかよw
大槻教授中盤で消えるのかw
雑魚すぎるwww
76 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/12(日) 09:02:28.31
>>72の続き
真夏なのに雪が積もり始めた。
リョウジは鹿目家の玄関先から空を見上げた。
厚い雲の切れ目からは、明らかに太陽でない、ぼんやりした光源が幾つも存在していた。
光源は時を追うごとに増えていき、そのいくつかの周りには、
鳥ではない巨大な何かがぐるぐる旋回していた。
リョウジはゾッとした。
勿論、こんな異常事態が起こっても、大抵の人は戸惑って何もしないか、
レクサスとかiPadが欲しいとか、目先の欲求に願い事を使うかもしれない
だが東京の人口は1300万人。仮にその中の10万人に一人が、
「最後の審判」とか「次元上昇」を願ったとしたら・・
日本の人口は1億弱・・世界は70億・・
玄関の鍵が開いた。
小さな肩を震わせて、まどかが立っていた。
彼女は泣きはらした目でリョウジを見つめた。
つづく
>>77の続き
「リョウジおじさん・・・。」
「まどかちゃん!どこも何ともないな!」
二人は居間に入った。
「・・うん、ねえおじさん、さっきの"声"は何だったの?
テレビで言ってるど、あれのせいでこんなことになってるのかな?」
彼女は、怯えた目でテレビの方を向いた。リョウジは目を覆いたくなった。
ゴジラが新宿の都庁舎を壊しているのだ。
・・確か彼女の両親も新宿にオフィスを構えていたはずだ。
やがて正気を疑うような事が起きた。高層ビル群がガチャガチャと展開を始め、
中から現れた巨人たちが、ゴジラに掴みかかっていったのだ。
・・ヱヴァンゲリヲンだ。リョウジはテレビを消した。
「・・まどかちゃん、姉き・・お母さんかお父さんから連絡はきてないのか?」
まどかは目を背け、震えながら電話機を指差した。
リョウジは本日付のメッセージを再生する。
メッセージが流れ始めた。彼の姉でまどかの母、ユイの声だった。
「まどか!携帯がつながらないからこっちに電話するよ!
(背後に爆音と悲鳴)うちに帰ってるなら、絶対に家から出ちゃだめ。
リョウジおじさんに連絡なさい。あいつは昼間からフラフラしてるから、
すぐ来てくれる。お父さんは、お父さんはうぐっ(嗚咽、爆音)
とにかく家で待ってなさい!後、絶対に(爆音)」
メッセージはそこで途切れていた。
まどかは耐え切れず、茫然自失のリョウジにすがって再び泣き出した。
つづく
79 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/12(日) 21:02:33.32
まどかの涙にリョウジは我に返った
……まどかちゃんを泣かせてはいけない。
リョウジはまどかを抱きしめた。
「まどかちゃん」
「おじさん」
「ぼくはきみのお母さんを助けに行く、だからここで待っててね」
「……えっ?」
「大丈夫、僕は不死身だ」
「でもおじさんだって……」
「なあに、学校で退屈な毎日過ごすよりも君のために……」
「きっと帰ってきてね、おじさん」
「ああ、お母さんと一緒に帰ってくるさ」
「絶対帰ってきてね、リョウジさん」
81 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/13(月) 21:25:08.98
「まどかマギカ」は魔法少女ものをダークにして成功している。
まだ暗黒面に堕ちていないジャンルを探せば勝てる気がしてきた。
水戸黄門
認知症となったご老公が諸国徘徊。
罪もない大名を思い込みで手打ちにする →シグルイ
戦隊もの
ウルトラマンやライダーほど堕ちきってないのが現状。
一般人を巻き込んで殺しまくりながら異星人を集団リンチする特殊戦隊! →GANTZ
むずかしい(´・ω・`)
>>79の続き
リョウジは玄関の扉を開けた。見送るまどか。だが事態は急変した。
いつの間にか、家の周りを何十体もの腐乱死体が取り囲んでいたのだ。
「いかんここも危険だ!逃げるぞまどか!」
「脳みそ〜脳みそをよこせ〜」2人に迫るゾンビ達。
リョウジは思った。こうゆう願い事をした奴を、
小一時間問い詰めてからなるべく苦しめて殺したい。誰得なんだよ。
だがすぐに当人がやってきた。機銃掃射がゾンビどもをなぎ払っていく。
巨大な車輪に機関銃を構えた特殊バイク、バットポッドが突入してきたのだ。
乗っているのはもちろんバットマンだ。
「ぎゃっはははー、こーゆーのがやりたかったんだ!
(俺より少し弱め設定の)悪の軍団を全員処刑に処す!」
バットマンは次々にゾンビを始末していく。
「ぎゃっはー思い知ったか街のダニども!俺TUEE..げぼあ(ブチュッ)」
背後から音もなく忍び寄ってきたヴェロキラプトルが、バットマンの喉笛を食いちぎったのだ。
次いで現れたティラノサウルス・レックスが、ラプトルと共に彼を踏みつぶした。
多摩動物公園の山本園長が、白亜紀の恐竜を飼育したいなーと願ったのだ。
危機は去るどころか猛威を増した。
「ギャオーーーン!」
コントラバスの様な咆哮を上げ、
T-REXはゆっくりとリョウジとまどかの方を向いた。
つづく
83 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/14(火) 21:45:12.59
「まどか、ちょっと下がってくれ」
「え? うん」
リョウジが謎の物体を掲げると、まどかの目の前で変貌した。
「あぁっ! リョウジさんがJAXAの前身のひとつである宇宙研が日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたときに使った全段固体ロケットのL-4Sみたいな赤と渋銀色をした巨人になった」
「シュワ!」
リョウジはT-REXに十六文キックを食らわせた。
「いてーよ、何すんだよ」
T-REXはそうつぶやいた、twitterで。
まどかはリョウジにたずねた。
「どいういこと? わけがわからないよ」
「シュワ」
「ええ? そんなことで助かるの?」
「シュワシュワ」
「わかったわ、やってみる」
まどかはREXに向かい大声で叫んだ。
「せーのっ、『 具 が 大 き い っ ! ! ! 』」ゼイゼイ
その声にREXは……
1.終わりの始まり
2.あぽかりぷす・なう ←今ここ
3.地獄の戦士
4.大槻教授との死闘
5.まるどぅっく・すくらんぶるの陥落
6.観測者
7.スイッチ
>>83の続き
「ギャオーーーン!」
ごみ映画「REX 恐竜物語」の事を思い出したT-REXは、怒り狂って2人に突進してきた。
「いかん逆効果だ!逃げろ!」絶体絶命のリョウジとまどか。
だが奇妙な事が起きた。T-REXの姿が光に包まれ、一瞬にして消え失せたのだ。
消えたT-REXの背後、リョウジ達の正面には、
高価そうなスーツに身をつつんだ一人の紳士が立っていた。
まどかが通う、天ノ川学園小学校の理事長、我望光明(47)だった。
「理事長先生!」
「鹿目君、怪我はないかね?そちらは保護者の方かな?」
「まどかの叔父の加持といいます。我望さんですね。今のは一体...?」
我望理事長はうなずいた。
「うむ、例の"声"が聞こえたあとにすぐ、とんがり頭の怪人に襲われてね。
思わずこう願ってしまったんだ。『飛んでいきな』・・と。」
怪人は理事長の前から消え去った。そして理事長は知ったのだ。
自分が、目の前の相手を望んだ座標に「転移」させる能力を得たことを。
「するとさっきの恐竜も同じように・・・・」
「日本の地理は完全に把握しているからね。
今頃奴は魔境・埼玉県熊谷市に飛ばされてるはずだ。奴にふさわしい。」
つづく
86 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/16(木) 01:52:22.32
「転移させる能力ですって?」
「ええ、転移させる能力です」
「ということは、巨大なT-REXを岐阜県多治見市(焼き物で有名。セラミックスの研究所が四つもあり、物質の転移や欠陥について研究しているものもいるに違いないよね的な地域)と双璧をなす暑い町に転移させたんですか?」
「ええ、簡単なことです」
リョウジは目を輝かせた。
「それって人間も転移できるのですか? たとえば私達とか」
その問いに対して、理事長はにっこり微笑みながら答えた。
>>86の続き
「できない事はないが、いくつか問題があるんだ。」
理事長は頭を掻いた。
「まず他者"飛ばす"ことはできても、私自身が"飛ぶ"ことはできない。
転送先で危険に巻き込まれても、帰ってくることは出来ないのだ。
次に、この能力は、緯度と経度は正確に指定できるのだが、標高の精度がいまいちでね。
転送先が地上100mの空中だったり、関東ローム層の真ん中だったりするかもしれない。」
「あーそれはきついですねー」
リョウジはガクっとなった。
「そんなことより加持くん、ここも安全ではない。鹿目くんと早く避難するんだ。」
「でもどこに?安全な場所なんて・・」
「地域住民の避難場所として、我が天ノ川学園を開放した。
災害時の蓄えも十分にあるからね。それに・・・(ニヤリ)
わが校の生徒を危険にさらすような奴がいたら、私が片っ端から"飛ばし"まくってやるよ。」
理事長は不敵に笑った。
つづく
×他者"飛ばす"
○他者を"飛ばす"
89 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/16(木) 22:37:17.80
「……」
理事長の話はもっともなものだ。
ただ、あまりに話が整いすぎてて信じがたい。
リョウジが悩んでいると、後ろから声がかかってきた。
「リョウジおじさん、学園に行きましょ」
>>89の続き
リョウジはふり返った。
憔悴しきった顔のまどかが、力なく、それでも笑いながら立っていた。膝は小刻みに震えている。
「お昼ごはんもまだだしさ、学校に行けばさ友達とか、お母さんが来てるかも知れないし、
おじさんの友達とかも来てるかも。」
朝方に起きた"あれ"から、たった数時間だ。両親の安否は不明、怪物や暴漢に殺されそうになり、
自分の家は恐竜の大立ち回りで半壊している。それでもなんとか笑っている。
「…そうだなまどかちゃん、少し休まないと。これからどうするか考えないといかんしな。」
天ノ川学園は多摩丘陵に広がる巨大学園都市の一角だ。
2人は、理事長の手配で行き来する避難者用送迎バスに居た。理事長も一緒だ。
「…なあ加持君、今回の"事件"、どう思う?」
「どう思う?あの"声"がみんなの頭に響いて、それでどこかの誰かが勝手な願い事をして…
それで俺らが大変な目にあって…」
「印象だよ。個別に起こった怪奇現象にどんな印象を持った?」
リョウジはテレビの光景、そして実際に出会った連中の事を思い返した。
ゴジラ、エヴァ、ゾンビ、バットマン、ティラノサウルス…
「…何というか、子供っぽいってゆうか、馬鹿ってゆうか・・」
「…私も同じ見解だ。キーワードは『ぼんくら』と『現状維持』だ。」
どういうことだ?リョウジは考えた。
つづく
>>90の続き
「どういうことです、我望さん?」
「加持君、例の"声"が聞こえて、各地で騒動が起き始めた時、私は恐怖した。
極端な政治思想や宗教観を持った人間、あるいは心に耐えがたい孤独を抱えた人間の
『願い』が、この世をメチャクチャにしてしまうのではないかと。
各国に核ミサイルが飛んできたり、ある宗派以外の人間が地獄の炎で焼かれたり、
特定の人種がさらなる災厄に見舞われたりするのではないかと。
私の『能力』も、そんな事態への恐怖から発現したのかもしれない。
だが少なくとも現在、そんな事態には至っていない。なぜだ?」
「大多数の人間はそんなこと望んでないからでしょう。」
「そうだ。だが確率的に必ず『やらかす』やつはいるだろう。そいつの願いはどこで実現した?」
「・・・」
「あくまで仮説だし、証明のしようはないが、こう考えてはどうだろう。その願いは『別の世界』で実現したのだ。」
「…並行世界ですか?」
「こんなニュースが報じられている。アメリカや日本のある地方都市で、
大量の人間が同時に姿を消したというのだ…彼らは、彼らの『救済』が実現した世界に移動ではないか?」
「別の『スレッド』に隔離されたということですか?」
「そういう見方もできる。」
各々が望んだ破局や救済が実現した世界が、この世界と並行して無数に出来上がる・・リョウジは目眩がした。
つづく
×移動ではないか?
○移動したのではないか?
>>91の続き
「ん?でも待ってください、我望さん。
セカイオワタ系の願いが『ここ』で実現していないのは、上述で説明つくとして、
現に今起きている災害はどうなるんです?ゴジラとかティラノサウルスとか、馬鹿っぽい願い事ばかり
目立ってるような気がするのですが・・・実際に大量に犠牲者も出ているし、
彼らは『隔離』されないのですか?」
「加持君、私もそこが納得いかなくてね、考えてみたんだ。
私は無神論者だが、今回の事件で 考えに修正を加えざるをえなくなった。
神だか何だかは知らないが、明らかに何者かがこの世界に干渉し、これまでの法則を変えてしまった。
そこでこう考えてはどうだろう?『そいつ』の想定した願い事のカテゴライズには、
『携挙』や『最終戦争』はあっても、『ゴジラやエヴァによる大量破壊』なんてものが想定されていなかった。
あまりにボンクラすぎるからね。」
「…ではこういうことですか?『そいつ』が想定していなかった願望による災厄が、
別スレッドに隔離されず『ここ』で実現していると・・でも子供はそういう願い事しがちじゃないですか?」
「子供のこと馬鹿にしてるだろ。未就学児童は暴力描写とか嫌うし、
学校にあがればそれなりに論理的に物事を考えるから、こんなこと願ったりしない。
要は、30ちかい、いい歳して日曜朝からライダーを見てるようなボンクラが今回の災厄の原因なのだ。」
・・・(´・ω・`)
自分の存在を否定された気がしてリョウジは悲しくなった。
つづく
94 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/19(日) 02:42:26.71
いまどこ
95 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/19(日) 20:01:25.65
1.終わりの始まり
2.あぽかりぷす・なう ←まだここ
3.地獄の戦士
4.大槻教授との死闘
5.まるどぅっく・すくらんぶるの陥落
6.観測者
7.スイッチ
「でも我望さん、そういう観点でみると、もっと歴代プリキュアとか海賊団とかLBXとか
アベンジャーズとかフリーザとかが沢山出てきてもいいような気がするんですが。」
「そのへんは不勉強だからよく知らないんだ。フリーザは収集つかなくなるし。」
理事長はすまなそうに答えた。
「ガンダムは?ガンダムはどうなんです?進化する奴とか。」
「今年のはつまらないから無しだ。」
理事長は吐き捨てた。
リョウジと理事長が駄話を繰り広げているころ、
まどかは、同じ天ノ川学園小学校に通う少年、雨(8)とあやとりで遊んでいた。
彼もまどかと同様、勤めに出ている母親の消息がわからないのだ・・
一同を乗せて天ノ川学園に向かう避難バス。
しかし猛スピードでそれを追う一台のバイクがあった。
乗っているのは果たして・・
つづく
97 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/22(水) 19:17:58.47
リョウジと理事長(の中身)の年代が微妙?
人名と年齢は後で置換してごまかすからいいのさ。
てゆうか誰もリレーしてくれないからつまんないよ(´・ω・`)
99 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/08/23(木) 20:11:38.44
リレーなんて無理だろ
>>73 >>80 のレスを見たら。
独りで最後までやれ。
>>96の続き
「うう…目がまわる〜(けぽっ)」
リョウジと理事長の後部座席で、あやとりしているまどかと雨。
まどか渾身の新作「ギャラクシー」を目の当たりにした雨は、ショックで小ゲロを吐きそうになった。
幾何学的に狂った角度で構成されたこのおぞましいあやとりは
見る者を深淵に引きずり込みそうになる名状し難い「何か」であった。
「ごめんね雨くん、つい本気出しちゃった。」
まどかは笑って雨の背中をさすった。
「ら…ライダーくらいいいじゃないですか見たって!次が最終回だし…今年は戦隊もいけてるし!」
「加持君、君の特殊な嗜好の是非を論じてるんじゃないんだ。
そういう嗜好の副産物を『例外』としてキャッチしない『そいつ』の杜撰さが今の事態を・・」
前の席ではリョウジと理事長が口角泡を飛ばしてわけのわからない議論をしていた。
「ねえお姉ちゃん…前の席の人、変なこと大声で話してて、なんか怖いんだけど。。
お姉ちゃんの知り合いなんでしょ大丈夫かな・・」
雨は不安そうにまどかをつついた。
「う〜ん…そうね〜」
まどかは困り顔で笑いながらリョウジの方を見た。
つづく
>>100の続き
小さい頃、まどかにとってリョウジは「大好きな近所のおじさん」だった。
母親のように口うるさくないし、神話や漫画やアニメの話をよくしてくれた。
父親のように仕事に追われず、なんだか「のんびり」しているところも好きだった。
アクションフィギュアを弄らせてくれたり、モデルガンを撃たせてくれたこともあった。
ところが学校に上がって何年か経つ頃には、まどかも分かってきた。
のんびりしているのは両親のように毎日勤めに出ていないからだし、
まどかにやさしいのは、彼女を育てる責任がないからだ。
だから今では「はずかしい近所のおじさん」のポジションだし、
できれば近寄らないようにしていたのだ。
(それでも…)
まどかは思った。
今朝起きた「あれ」で母親の連絡が途絶え、周囲におかしなことが起こり始めた時、
彼女は不安と恐怖で足元の地面が崩れ落ちるように感じた。
そこにリョウジが飛び込んできた時、どれだけホッとしただろう。
恐竜が出てきた時もそうだった。助けてくれたのは理事長だったが、
リョウジは保護者として体を張って彼女を守ろうとしてくれたのだ。
(だからさ…)
「大丈夫だよ雨くん。ちょっとキモいけどさ、いいおじさんだし、一緒にいようよ。」
まどかは雨に笑いかけた。
「でも僕…」
雨は泣きそうな顔で言った。
つづく
>>98 いやいや
世界観、文体が一貫してるから
このまま一人で続けたほうがいいと思うよ
じゃあがんばる。
みんなが夏休みのうちに終わらせたかったけど
無理そうなのでのんびり続けます。
>>101の続き
「お母さんが心配だよ。お母さんに会いたい!お姉ちゃんもあの『声』を聞いたでしょ。
お母さんに会えるようにお願いしたら、叶えてくれるかな…?」
「そ れ は だ め ! !」
まどかは思わず声を荒げた。雨は驚いて彼女を見上げた。そして切実な顔で聞いた。
「だめかな…なんで?」 「・・・・」
まどかは言葉を失った。雨には父親がいない。家族は母親だけなのだ。
だめだと答えた理由は、まどか自身にもわからなかった。彼女も両親に会いたくてたまらない。
だが雨の言葉が意味するものに得体の知れない恐怖を感じたのだ。
・・しばらく沈黙が続いた後、まどかは雨の肩を抱いた。
「雨くん。お母さんはきっと大丈夫だよ。学校で待ってれば絶対迎えに来てくれるから。
そうしたら、お母さんと相談して、なにをお願いするか決めようよ。
よく考えてさ。1人1回なんだしさ。」
「…うん、わかった」
分厚い雲が空を覆い、雷鳴が響いている。
まどかはぼんやりと、風にきしむ車窓をながめていた。
あやとりで疲れた雨が、彼女にもたれて眠っている。
「なんで『だめ』なんだろう…」
まどかは雨の問いに感じた恐怖の理由に、何度も思いを巡らせていた。
つづく
>>104の続き
雨の問いかけは、まどかが無意識に考えまいとしていた恐ろしい可能性を彼女に突きつけた。
「もし、このままずっと、お父さんとお母さんに会えなかったら…」
その時は、まどかも雨と同じことを願うのだろうか。
だが……まどかは最悪の想像をした。
既に両親が命を落としていたとしたら、一体まどかが会うのは「誰」なのだろう…?
「わからない…わからない…怖いよ…」
まどかは頭を抱えた。
「お姉ちゃん?お姉ちゃん?」
まどかは雨の方見た。目をさました雨がまどかの脇腹をつついていた。
「大丈夫?気分悪いの?」
「んーちょっと。バスとか久しぶりに乗ったけどやっぱ酔うわー。」
「じゃあこれあげるよ。」
雨はトラベルミンレモン味をまどかに手渡した。
「そんなことよりさ、お姉ちゃん。学校に着いたら、さっきのあやとりの『あれ』、やり方教えてよ。
なんかクラクラきてハイになって超クールだったんだけど!」
(そうだね)
まどかは思った。
願い事とか、キツイ系の事を考えるのは今じゃない。
雨くんと自分の面倒をしっかり見ないと。リョウジおじさんだけじゃ頼りないもんね。
「いいよ雨くん。」まどかはニヤリと笑った。
「ただし修業は厳しいよ〜。」
「ギャラクシー」は両小指を自ら脱臼させないと完成しない、恐るべき秘戯なのだ。
つづく
>>105の続き
天ノ川学園に到着した一同。
校庭には、リョウジ達のように避難してきた生徒やその家族が、着の身着のままで、何百人も集まっていた。
皆一様に不安と混乱で疲れ切った顔をしている。
街を恐竜達が闊歩し、パルスライフルで武装した100体のターミネーター部隊がそれらと戦っていた。
各所で火の手が上がっていた。消防隊や警察も手が回らないのだ。
「お母さん来てないね…」
「そのうち迎えに来てくれるから。それまで待ってよ。」
まどかは雨の手をひいた。
「お集まりの皆さん。」
朝礼台に立った理事長、がマイクを取って言った。
「皆さんの不安はよくわかりますす。ですがここにいれば安全です。落ち着いて行動してください。
災害時の備えは十分にあります。事態が収束して救助が来るのをわが校で待つのです。」
つづく
>>106の続き
「でも『やつら』がここまでやって来たらどうするんです? 警察も手一杯みたいだし。自衛隊はゴジラと戦ってますよ。」
前列にいる、生協の黒石さん(38)が不安そうに質問した。
「安心なさい黒石さん。不肖我望光明。我が身かわいさに恥ずかしい願いごとをしてしまいましてな。
もしわが校に不逞の輩がやってきたならば……熊谷市!(ピカッ)」
マイクの音を聞きつけて、空から理事長に襲いかかってきたテラノドンが、一瞬で消え去った。
「これこの通り!私が片端から、人外魔境の地底獣国に島流しにしてやりましょう。そんなことより…」
理事長は続けた。
「皆さんの中で、既に『願い』を果たされてしまった方がいたら教えていただきたい。」
ポツポツと手が上がり始めた。数十人といったところか。
それが本当ならば、残りの人は、まだ何もしていないということだ。
「…分かりました。皆さん、私からたってのお願いがあります。まだ願いを果たされていない方は、
本当に必要な時が来るまで、絶対にそれを使わないでいただきたい。
そして、願いを果たされた方は、差し支えなければその内容を教えていただきたい。」
「みなさん、例の『声』が聞こえてから1日。一部の不埒な輩の不用意な願いが、
世の中を混乱に陥れています。ですが絶望することはありません。
我々が、各々の願い事を理性的に行使して、災禍の根を摘み取っていけばいいのです。
狂ってしまった世界に、我々がパッチを当てて行くのです。」
理事長にそんな思惑があったとは・・・リョウジは驚いた。
つづく
×理事長、がマイクを取って言った。
○理事長が、マイクを取って言った。
109 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/09/03(月) 20:12:34.89
いまどこらへん?
1.終わりの始まり
2.あぽかりぷす・なう
3.地獄の戦士 ←ここの冒頭
4.大槻教授との死闘
5.まるどぅっく・すくらんぶるの陥落
6.観測者
7.スイッチ
>>107の続き
「教えてください。いったいどんな願い事をしたのか…。」
壇上から下りた理事長は、手を挙げた人たちに次々と質問していった。
「肩こりが治りました。」
「それは何よりですな。きみは?」
「円周率をどこまでも言えます。」
「パスワードとかに使えそうだね。きみは?」
「東大に合格しました。」 「いま夏なのに時空をゆがめるなよ。きみは?」
「一万円札(UN066957Y)を好きなだけ出すことができます。」
「ちり紙に困らなくなるな。きみは?」
「1日20時間眠れるようになりました」
「気持はわかるよ。きみは?」
「無明逆流れを体得しました。」
「なにと戦ってるんだよ。きみは?」
「ラーメンを無限に食べ続けることができます」
「業の深い男よの。きみは?」
リョウジにも理事長の意図は見てとれた。
理事長自身と同じく、災禍からの護身や救援に役立ちそうな人物を探しているのだ。
だがなかなか簡単には見つからないようだ。
(…みんな意外と他愛ない事考えてるんだな。)
リョウジは拍子抜けしたが、同時にホッとした。大多数はこんな感じなのだ。
「リョウジ?リョウジじゃないか!無事だったのか!」
聞き覚えのある声に思わず振り返ったリョウジ。そしてすぐ振り返ったことを後悔した。
この場所で、最も出会いたくない男が立っていたのだ。
つづく
>>111の続き
リョウジの後ろには、黒いTシャツを着た体重100kgの巨漢、
時田浩作(28)が立っていた。胸には血のついたスマイルバッジを付けている。
リョウジの友達の中でも、一番頭が沸いてる男なのだ。
「と、トッキー。お前も無事だったか。よかったよ。」
「そんなことよかさ、新宿のあれ見た?ゴジラだぜ。都庁壊してたぜ。
ちょ〜〜いけてんだけど!メカギドラとかレギオンとか、早く出てこねーかな!」
ぴ き ぴ き ぴ き っ
リョウジは空気が凍る音を聞いた。
理事長とまどかが、殺気を放ってこちらを睨んでいる。
「ちょおま…やめろっ!しゃべるなっ!
(小声)一応聞いとくが、『あれ』が起きてから、変な願い事とかしてないよな?」
「(大声)もちろんさ!1人1回だろ?よーく考えて決めないとな!
…ゾンビとか出てきたら、超かっけーんだけどな。そしたら俺、アイアンマンスーツ(MkZ)着て、
やつらを皆殺しにしてやるぜ!あ、もう死んでっかゾンビだからあはははー」
(…いかん殺されるっ!)
理事長とまどかがゴキブリを見るような目でこちらを見ていた。
「…くまがや」理事長がボソッとつぶやいた。
「ままて、まって下さい!!」リョウジはトッキーの襟首をつかんで体育館裏につれ込んだ。
つづく
×アイアンマンスーツ(MkZ)
○アイアンマンスーツ(Mk7)
>>113のつづき
「いいか!漫画だけじゃなく、少しは空気も読め!周りの奴のことを見ろ!
姪っ子と俺は家族が新宿で行方不明なんだ。あんなこと言われてどんな気分になるか考えろよ!」
体育館裏でトッキーを絞り上げるリョウジ。
「わ、悪かったよ、そこまで考えてなくて…でもさ、スーパーヒーローはいい考えじゃね? みんなの助けになるし。」
リョウジは惨死したバットマンの事を思い出した。
「だ め だ ! いいか、周りが落ち着くまで、願い事のことは絶対考えるなよ!口にもするな!…でないと絶交だ。」
「そんな〜。…わかったよ。ね、これやるからもう怒らないでくれ、まだ読んでないだろ?」
トッキーはリュックの中から、電撃ホビーの今月号を取り出してリョウジに手渡した。
リョウジは少しすまない気持ちになった。趣味も合うし、悪い奴ではないのだ・・・。
日が沈んだ。「あれ」が起きてから、最初の夜を東京は迎えようとしていた。
天ノ川学園に避難してきた人達も、体育館や校舎の教室に身を寄せていた。
理事長は校舎の屋上から市街を見下ろしていた。後ろにはリョウジが立っている。
「友達にはしっかり言い聞かせましたから。もうアホな事は言わないと思います。」
「感心できない男だが、君が言うならいいだろう。ちゃんと面倒見ろよ。」
理事長の言葉の端からは、まだ怒気が感じられた。
リョウジは街の灯を見た。
「こんなことになっても、電気やガスは無事なんですね…。」
「そうだ、誰かがインフラの維持管理を願っているのだ『善き願い』も確かに実現している。目立たないだけだ。」
理事長が答えた。
「でも我望さんがあんなことを考えたていたなんて…」
リョウジは先刻の理事長の演説を思い返していた。
俺たちが世界を「直す」・・・リョウジは英雄的な高揚感にクラクラした。
つづく
>>114の続き
「加持君、察しているかもしれないが、私はこれから、災禍からの復旧に役立つ人物を探し出す。もしくは『造り出す』つもりだ。
君にそれを強いるつもりはない。鹿目君の面倒もあるし、ご家族のことも心配だろうからね。だが誓ってくれ。自分の願いを、絶対に場当たりな浅慮から使わないことを。」
「…わかりました我望さん。」
リョウジが去った後も、理事長は屋上に立ち、各所に上がる黒煙を見つめ続けていた。
理事長の頬を、滂沱の涙が伝っていた。
「…すまなかった文音。」
理事長は亡き妻のことを思った。
病を得て、余命いくらもない妻の文音は、あの朝、新宿は天ノ川大学病院にいたのだ。
「あれ」が起きた時、すぐにでも文音のもとへ飛んで行くべきだった。
だが眼前に迫る危機に、理事長は己の保身を願ってしまったのだ。
程なく理事長は知った。病院がゴジラとヱヴァンゲリヲンの格闘に巻き込まれ、倒壊したことを。
「せめて最後は静かに送ってやりたかった…それなのに…」
よ り に も よ っ て ゴ ジ ラ だ と!!!
理事長のやり場のない怒りが、「ゴジラとか好きそうなボンクラども」に向けられたのも無理はなかった。(エヴァはよく知らないので)
理事長は空を仰いだ。「あれ」が起きてから、空には常にオレンジ色のぼんやりとした光点がいくつも見えるようになっていた。
月でも太陽でもない。これも人間が願ったものなのだろうか?
「みていろよ」理事長は唸った。光点は理事長を嘲笑う目のようにも思えてきた。
「神だか何だか知らないが、こんなことを仕組んだ奴は『ろくでなし』だ。『ゴジラとか』見てる連中と同類、考えなしの頓珍漢だ。
人間がこんなことにほだされない、理性の光で闇を照らす存在なのだと知らしめてやる!」
…だが理事長の志も、数日を経て潰える事となった。さらなる苛烈な運命が彼を襲ったのだ。
つづく
>>116の続き
「焼き鳥ー。焼き鳥はいらんかねー」
うだるような真夏の昼さがりだ。人影のない多摩市の住宅街を、焼き鳥の移動販売車が、後部キッチンを開け放しながら走っていた。
「ピチュルルルッ」
小鳥のような鳴き声が聞こえた。緑道の生け垣の中から、焼き鳥の匂いにつられた小型恐竜、コンプソグナトゥスが何十匹と沸いてきたのだ。
移動屋台を追いかけるコンピーの群れ。次いで興味に駆られた数匹のヴェロキラプトルがそれを追う。
「目標ヲ捕捉、破壊。破壊。」恐竜を狙う白銀の骸骨、T-800型もやってきた。
「ギャオーン!!」公園の雑木林をかきわけて、巨大な影が現れた。血に飢えた大型恐竜、スピノサウルスまでが追跡の列に加わったのだ。
「おいでなすったぞ。こっちだ!」
焼鳥屋を開業することが夢だった自由業、青葉シゲル(25)が、移動屋台「てば九郎」のアクセルを踏んだ。
市街を時速120キロで疾走するてば九郎。追いかける恐竜と鉄人兵団。
向かう先には、高々とした鉄柵に囲われ、さながら要塞と化した天ノ川学園があった。
「今だ。門を開けろ!」朝礼台に立った理事長が、風林火山の軍配を揚げて叫んだ。
軋んだ音をたてながら、巨大な校門がゆっくりと開いた。
つづく
>>117の続き
校門が開いた。
命からがら校庭に突入するてば九郎。
次いでコンピーの一団がなだれ込んでくる。だがコンピーは屋台からその眼先を変えて四散した。
校庭には、百個以上のばね式捕鼠器が用意されていたのだ。中にはポンジリや鶏皮が仕込まれている。
まどかと雨が前日から頑張って仕込んでおいたのだ。次々とネズミ捕りにはさかるコンピーたち。
だが喜ぶのは早い。ヴェロキラプトルとT-800型が、停車したてば九郎を取り囲んでいるのだ。
絶体絶命、その時だ。
ギ ガ ゴ ゴ ギ
駆動音とともに、てば九郎が人型の作業機械、パワーローダーへと変形した。
乗りこんで操縦しているのはもちろん青葉シゲルだ。ギュイーン、ボコッ!その剛腕でラプトルとT-800型を次々に叩きのめすパワーローダー。
てば九郎は土木作業や貨物の運搬、さらにはモンスターとの格闘にも役に立ち、平時は焼き鳥も焼けるすぐれものなのだ。
「ギャオーン!」最後に大物が現れた。スピノサウルスの身長は、てば九郎の三倍。これでは敵わない。
獲物をいたぶるかのように、ゆっくりとてば九郎に迫る巨大肉食竜。だが・・
ボコン!ものすごい轟音とともに、スピノサウルスの右足首が吹き飛んだ。
多摩市猟友会の飯島猛老人(75)の放った、ゾウ撃ち銃の一撃が命中したのだ。
「ギャオーーーーン」堪らずに土煙をあげて転倒するスピノサウルス。
「勝負あり!そこまで!」
理事長が軍配を上げた。そして朝礼台を下り、校庭の真ん中でのされた恐竜と鉄人兵団に近づいていく。
「理事長、仕上げをお願いします。」「うむ。…くまがや!(ピカッ)」
一瞬で煉獄に飛ばされる恐竜と鉄人たち。
「これで五戦目か。みんな、だいぶ手慣れてきたな。」
理事長が満足そうにうなずいた。
つづく
>>118の続き
「あれ」が起きてから、既に6日が過ぎていた。
テレビとネットは相変わらず、各地で多発する怪奇現象や災害を報じていた。
自衛隊は手一杯で状況が好転する気配はなかった。政府の発表も支離滅裂だった。
だが、リョウジとまどかの周辺、天ノ川学園に身を寄せている人々の間には、ある種の、奇妙に弛緩した空気が流れ始めていた。
まず電気、水道、ガスのライフラインが当初の危惧に反して、全く断たれる気配がないのだ。
学園に非常食の備蓄が豊富だったこと、またそうでなくても、願い事によって食料の調達が容易であると、みんなが気付いたのも原因の一つだった。
(とりわけ、6年生の豹朝夫くん(12)の悲願『無限にカレーの湧いてくる鍋(甘口)』『よそってもご飯の減らない炊飯ジャー』は、みんなに大好評だった。)
もちろん、往来を危険な怪物や怪人が闊歩している状況は変わらなかったし、それを良しとする理事長ではなかった。
連日のように彼の募った「有志」で組織された自警団が市街に繰り出し、怪物たちを着実に煉獄送りにしていった。
しかし、「討伐」とはまた違った兆候も見られ始めた。学園に避難していない住民の間では、各々の願い事で以って、怪奇現象に対する護身と、共存を図る人々が出てきたのだ。
例えば近所に住む冬月コウゾウさん(70)は、特殊なきび団子で恐竜を飼い慣らしていたし、会社員の高畑和夫さん(30)は、愛車を空飛ぶデロリアンに改造してスーパーに買い物に行っていた。
「先行きは全く見えないけど、今すぐどうこうなることは無さそうだ。」
そんな、なんだか投げやりだけど、妙に高揚した雰囲気が漂い始めたのだ。
そんなわけで天ノ川学園は、自警団の軍事教練や、避難者自治会での生活向上に関する各種課題の丁々発止、
「てば九郎」等の重機を用いたインフラ整備やバリケードの増設計画などが錯綜狂騒する、「終らない文化祭」の様相を呈してきた。
学校の友達に再会したまどかと雨も、一時は家族の事が頭から離れたし、リョウジは何故か自治会の食糧担当相を押し付けられてしまい、日毎のメニューに頭を悩ませていた。
「このまま、ここで頑張ってれば、どうにかなるんじゃないだろうか。」
リョウジとまどかはそんな気分になっていたのだ。
その日が来るまでは。
つづく
>>119の続き
「加持食糧相!『三日連続カレーはさすがにきつい』と、民草から苦情が寄せられてます!」
「確かにカレーと非常食のローテじゃ、いい加減飽きるよな…青葉君、どうしたもんだろ?」
「うちの『てば九郎』は、なんぼでも焼き鳥を焼けます。ご飯に乗せて焼き鳥丼というのはどうでしょう?」
「うーん、カレーとか焼き鳥丼とか、メニューがお子様寄りになってきたな。栄養価もアレだし、まどかちゃんは、どんなメニューがいい?」
「塩鮭、納豆、ほうれんそうのお浸し、わかめの味噌汁。」
「はい、よくできました。誰か、そーゆーのの調達を願った人はいないのかな?」
「地味飯は敬遠されてるみたいです。みんなラーメンとかピザとか食べたがってますよ。」
「勝手だなーみんな。てゆうか何で俺がこんなことを…栄養士のタニタさん(35)はどこ行ったんだよ?」
「外に恐竜狩りに出てます。今夜はティラノサウルスのステーキだって、張りきってましたよ。」
「ワイルドなのはいいけど昼飯の事も考えてくれよ…(キンコンカンコ-ン)いかん!もう昼か。まどかちゃん、カレー鍋を取ってきてくれ!」
「……またカレーですか。」
つづく
>>120の続き
カレーの湧く鍋を取りに給食室へ向かうまどか。
「こんなことしてていいのかなー。」そんな疑念が頭をよぎる。
だが他に行く場所はない。両親の安否を確かめたいが、それは危険すぎる行為だった。
新宿、渋谷、秋葉原の3つは、今や日本で最も荒廃した地域なのだ。
自衛隊が何度追い払っても、すぐにまた、新しい怪獣やロボットが暴れだす。
夜には妖怪や吸血鬼が跋扈しているという噂もあった。それだけ、激しい感情を喚起する土地だったのだ。
渡り廊下を歩いて行くまどか。
「ちょっといいかな。」
背中から呼び止めれて、振り返ったまどかの前には、1人の少女が立っていた。
長い黒髪に紅いリボンが印象的な、端正な顔をした少女だ。歳は16、7くらいだろうか。
「保健室を探しているんだけど、迷ってしまって。場所わかるかな?」
保 健 室 ?
「保健室ならあっちいってこっちですけど、あの…」
少女の言葉に妙な違和感を感じて、まどかは聞き返した。
「お医者さんの診療なら、今は体育館でされてますよ。保健室には誰もいないと思うけどいいんですか?」
「いいの、ありがとう。」
少女は踵を返して廊下の角に消えた。
「なんだったんだろ?学園のパイセンかな。でも…」まどかは首をかしげた。
あの顔、はじめてなのにどっかで会ったような…誰だっけ?
つづく
>>121の続き
体育館裏では、トッキーがゲームボーイアドバンスで遊んでいた。傍らには雨もいる。
「おじちゃん、もう昼ごはんだよ。食器とかカレー運びとか手伝わないと。」
「給食当番なんて子供の仕事だろ。俺は大人だからいーの。」
雨はカチンときた。
「でも他の人はみんな手伝ってるよ、働かざるものくう…働く…、てか仕事なにしてるの。」
「映 画 。」トッキーがめんどくさそうに答えた。
「映画…?映画監督?カメラマン?まさか俳優!?」
「ちがう、映画の勉強。」「お弟子さん?」
「ちがうちがう、映画撮るために映画見て勉強してんの。」
「勉強って…見てるだけなんでしょ。普段の仕事は?」
「だ か ら 映 画 。」
「・・・・・」
雨は触れてはならない何かに触れてしまったような気がした。
つづく
>>122の続き
「でも見てるだけじゃー」
「見てるだけじゃないぜ。今さ、ガンプラでストップモーションアニメの大作を撮ってるんだ。完成したらYouTubeにアップすんのさ。そしたらハリウッドデビューも夢じゃないぜ。作り中だけど見る?」
トッキーは携帯の動画を雨に見せた。
動画が始まった。畳の上で、ガンダムエクシア(1/144)がカクカクと剣を振り上げた。動画が終わった。3秒くらいだ。しかも最後のコマでは、頭のツノが取れていた。
「……おじちゃん、これじゃダメだと思うよ。」
「うっせーな。お子ちゃまは黙ってろよ。これはオープニングなの!」
「雨くん、もうすぐご飯だから、こっち来て手伝って。」
まどかが呼んでいる。
「わかった」
まどかのもとへ駆け去る雨。
「あーあ、つまんねーなー。」
トッキーは石畳に寝っ転がった。理事長が募った有志は、毎日のように怪物退治に繰り出しているのに、トッキーは参加させてもらえないのだ。
「絶対に願い事はするなよ!でないと絶交。」リョウジにそう言われたからだ。
だがリョウジとの約束を破るわけにはいかない。
もう何年も、トッキーと遊んでくれるのは、リョウジだけだったからだ。
「あーあ、空とか飛べて、ビームとか撃ちてーなあ。」
「特撮リボルテック」のアイアンマンを弄りながら、トッキーは独りごちた。
「おじさん、『それ』が欲しいの?私があげようか。」
頭上から声が聞こえた。トッキーは起き上がって振り向いた。
つづく
>>123の続き
理事長は苛立っていた。
確かに彼と、彼の募った自警団の「活躍」によって、怪物たちはその数を減じ、近隣の地域は平静を取り戻しつつあった。
SNSを通じた呼びかけ(ネットも絶対にダウンしなかった)や、Podcastでの演説も功を奏し、各地で天ノ川学園のような自警団が活動を始めていた。
だが新宿など都心部の混乱は一向に収まる様子がなく、逆に悪化の一途を辿っている。
どういうことだ?理事長は再度考えを巡らせた。すでに経験者の証言や、理事長らの実験によって、「願い事」の特徴、法則もかなり正確に分かってきている。
1.「一万円ほしい」「iPhone5がほしい」といった、具体的で即物的な願いは即座に実現する。
2.逆に「宇宙の根源的な悪のエネルギーを潰したい」「地上に神の国を作りたい」といった、
言ってる本人もよく意味がわからないような願い事は実現しない。
3.「○○氏ね」「○○人根絶」といったデスノート系の願いは、相手の同意がない限り成立しない。
4.「○○は俺の嫁」といった願いも3と同様。対象が二次元の場合は願った本人が二次元に飛ばされる。
5.2〜4のような願い事を無理に願うと、願った本人が消滅する。
(理事長の仮説では別の世界に移動するのだ)
6.物理法則は容易にねじ曲がる(でないと理事長の能力やゴジラも成立しない)
7.「○○を抹殺する殺人サイボーグが欲しい」とか「渋谷を襲うギャオスを出してほしい」といった、
ガジェットを介した凶悪な願い事は実現する。
「要は、項番7が最大の問題なのだ!ここを我々理性ある大人が地道に潰していけば、正常な世界に戻るはずだ!」
項番6もかなり問題な気がしたが、理事長は自分のことを棚に上げた。
だがまてよ?理事長は疑念に駆られた。
つづく
125 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/09/15(土) 14:34:53.13
>>124の続き
理事長たちは、怪奇現象に対するカウンターパワーとして、「くまがや」や「てば九郎」を作り出した。
それと同じことが新宿では、大きさやベクトルを変えて行われた、それだけのことだったのではないか?
折しもテレビは、自衛隊が秋葉原に投入した「機龍」と「MOGERA」が暴走し始めたニュースを報じていた。
「ひょっとして、『荒らし』に反応するのも『荒らし』と同じだったのでは・・いや、そもそも・・・」
理事長は恐怖した。
「私は願い事で荒らされたこの世界を元に戻そうと躍起になっていた。だが、そもそも『ここ』自体が『特撮・アニメ』枠で隔離された別世界なのではないか?私は英雄気取りで別スレッドに隔離された大馬鹿三太郎だったのか・・いや!」
理事長は自分に言い聞かせた。
「気をしっかり持て光明。願い事を果たした『私』と、そうでない鹿目君や加持君が同時に存在する。それこそがこの世界が『オリジナル』であることの証しだ。それに・・」
理事長は奮い立った。
「私は学園の生徒とご家族、そして近隣の人々の身を守っている。世界がどうであろうと、この一点だけは曇りない真実だ!」
「大変です理事長!」青葉シゲルが理事長室に駆け込んできた。
「第9地区で怪物が発生したとの報告です。今日の相手は大物です!」
「よし!」理事長は立ち上がって叫んだ。
「ギャラクシーフォース、スクランブルだ!!」
つづく
>>125の続き
「こいつはまずい!まじでやばい!」
ライフル銃を携え、恐竜狩りに出ていた栄養士のタニタさん(35)は、思わぬ「獲物」との邂逅に、ほうほうのていで逃げ出した。
猛スピードでスピーダーバイクを駆るタニタさんを追うのは、突如地底から出現した三本脚の宇宙戦車、トライポッドだった。
「ぶおーーーーーん!」
恐ろしい咆哮と共に両腕から放たれた破壊光線が、周囲の家屋を次々になぎ払っていく。
これまでの相手とは、比較にならない強さだ。
「タニタさん、こっちです早く!」
「てば九郎」に乗った青葉シゲルが、スピーダーバイクを誘導する。
悠然と歩む宇宙戦車の後方では、生協の黒石(38)さんや、救急救命士の伊吹マヤさん(24)達が、消火活動や被災者の救護に走り回っていた。
そして、てば九郎の後部ワゴンから降り立ち、宇宙戦車を鋭く睨めあげる男がいた。
対戦車擲弾発射器を構えた、多摩市猟友会の飯島老人だ。
バシュ!耳をつんざく発射音とともに、RPGのロケット弾がトライポッドに放たれた。
だがトライポッドに着弾する直前、砲弾は見えない障壁に阻まれ、爆発四散した。
「バリヤーだと…!小癪なマネを!」舌打ちする飯島老人。
「飯島さん、やはりここでは無理です。学園に退きましょう!」
飯島老人を乗せ発車するてば九郎。
トライポッドを誘導し、学園に入り込む寸前で何とか足止め、理事長の「能力」で煉獄に消し去る。それが一縷の望みだった。
つづく
>>126の続き
学園に向かって歩みを進めるトライポッド。その様は学園からもはっきりと見てとれた。
「我望さん、このままでは敵いませんよ!誰かの願い事で、巨大ロボなり魔法少女なりを出して、対抗しないと!」
「それは駄目だ、加持君。『強いやつのインフレ』が続けば、ここもいずれは新宿の二の舞いだ。今いるメンツでどうにかするのだ。」
少し知恵を付けた理事長が答える。それが無理難題であることも承知の上だ。
襲いかかる相手を片端から煉獄送りにする理事長の「必殺技」にも、1つの弱点があった。
大質量の相手を「飛ばす」場合、十数秒の精神集中を要するのだ。その間何とか相手の動きを封じなければならない。今の「戦力」でそれがかなうだろうか?
だが、理事長には歴史科の楊文里先生(33)から授かった、必勝の策があった。
トライポッドには、ある習性があった。広い場所で丸腰の人間を見つけると、その触手で捕獲して、食べようとするのだ。
そこが狙い目だ。用意した囮をトライポッドに捕獲させ、口を開けた瞬間に隠し持った手榴弾を放り込み、内側から爆破するのだ。あとはどうにでも料理すればいい。
「・・・というわけだ加持君。君が囮になってヤツに食べられるんだ。救出とか、アフターサービスは(なるべく)きっちりやるから。」
「ちょま…!まってください、いきなりそんな…なんで俺が!!」
「『隊員』はヤツの陽動で全員出払ってるんだ。それに、君はヒョロくて弱っちそうだから敵も油断するはずだ!鹿目君を守りたいんだろう・・男なら体を張れ!」
「ぶおーーーーーん!」
校門を跨いで、学園に人食い宇宙戦車が入り込んできた。校庭の真ん中にはただ一人、腰の引けたリョウジが立っている。
「あーくそ、絶対に頼みますよ我望さん。おーい、こっちだよーん!」
リョウジはトライポッドに手を振った。
つづく
×アフターサービス
○アフターケア
>>127の続き
「リョウジおじさん、何であんな無茶を…?」
まどかは雨と一緒に身を屈め、教室の窓から校庭の様子をうかがっていた。
「お姉ちゃん、おじさん大丈夫かな・・」まどかにすがる雨。
他の生徒と避難者たちも全員、教室や体育館に身を潜めていた。
「 ぶ お っ!」
リョウジに気付いたトライポッドが、その動きを止める。
そして体から金属製の触手を伸ばし、リョウジに巻きつけてきた。
「たのむぞ〜両手はふさがないでくれ!」
ホールドアップしたリョウジの胴体を触手がぐるぐる巻きにする。
理事長から渡された爆弾は一発。尻ポケットに引っかかっている。これなら手が届く。
「先生よ、あの兄ちゃん一人で本当に大丈夫かね?」
RPGに弾頭を装填しながら、飯島老人が理事長に聞く。
「時間がなくて彼に頼むしかなかったのです。失敗した時は私が囮になります。その時は、そいつで援護を頼みますよ。」
理事長が振り向いて答える。彼も命がけだ。
「救助の準備が出来ました。これが精一杯ですが…」
パワーローダーに変形したてば九郎が救命マットを抱え上げている。これでリョウジをキャッチするつもりなのだ。
「隊員」達は、校舎の死角から、出動の機会を窺っていた。
つづく
>>129の続き
その触手でゆっくりとリョウジを巻き上げていくトライポッド。
パ カ ッ !
リョウジを食べるため、宇宙戦車の下腹部が展開した。
ゆっくりとリョウジの眼前に迫るトライポッドの口腔。
「よし!これならいけるぞ!」
手榴弾の安全ピンに手をかけるリョウジ。
その時だ。
「リョウジ?何してるんだそんなところで?」
校庭に現れたのは、体育館裏で昼寝していたトッキーだ。目を覚まして、今頃「状況」に気付いたのだ。
「トッキー?ばか!危ないからこっちくるな!」
「いや…そんなこと言ったって…お前食われそうになってんじゃん!まってろ!!」
トッキーはパンパンのリュックを背中からおろすと、それに両手を突っ込んで叫んだ。
「ア ダ プ ト !」
カシャカシャカシャッ
リュックから現れた鉄塊が、ものすごいスピードで展開しながら、トッキーの体を包んでいく。
そこに立っているのは、100kgの巨体をパッツンパッツンのスーツで覆った、アイアンマンだった。
「まってろリョウジ!いま助けるぞ!」
「やめろ〜〜!余計なことすんな〜〜!」
つづく
>>130の続き
四肢からジェットを噴き上げてトライポッドに飛びかかるトッキー。
「ぶおーーーーーん!」
食事を邪魔されて怒り狂ったトライポッドが、リョウジをつかんだ触手を無茶苦茶に振り回し、トッキーに襲いかかった。
「のわ〜〜〜!!」リョウジの頭に、お花畑があふれだした。
「ばかなー!何をやってるんだあいつは!!」
激昂する理事長。
「・・・出るぞ。」
飯島老人がタニタさんに合図した。
戦いは続く。触手をかいくぐりながら両手からリパルサー光線を連射するトッキー。
だが光線はバリヤーに阻まれ、トライポッドを傷つけることはかなわない。
シュバッ!トライポッドの放った破壊光線が水を張ったプールをかすめた。
どかーーん!プールが水柱と化した。水蒸気爆発が起きたのだ。校庭を濃霧が覆う。
「なんだ!?」轟音に気をとられたトッキーを見過ごすトライポッドではない。
バチッ!触手の一撃がトッキーをたたき落とした。
「しまった!」凄い勢いで地面に激突するトッキー。幸いにもスーツのおかげで怪我はない。
だがそれが限界だった。ただでさえパツパツだったアイアンマンスーツが、衝撃ではち切れて四散したのだ。
「ぶおーーーーーん!」
勝ち誇ったトライポッドが、リョウジを空中に放り投げた。
もやしっこのリョウジよりも、食べ応えのありそうなトッキーを餌に選んだのだ。
「素敵な香りの…白いお花が…いっぱい…」
放物線を描きながら落下していくリョウジ。
ぼふっ!危機一髪、彼を受け止めたのは「てば九郎」の抱えた救命マットだった。
つづく
>>131の続き
「気がつきましたか、加持食糧相!」
「青葉くん、あいつは?トッキーは!?」
「あそこです!急がないと!」
トライポッドが今度はトッキーの脚を掴んで、引きずり上げようとしているのだ。
「いかん助けないと!青葉くん、こいつを借りるぞ!」「あ〜ちょっと!」
「てば九郎」に乗り込んだリョウジが、トッキーのもとに突進した。そしてローダーの剛腕でトッキーの両手を掴む。
「トッキー、絶対手を離すなよ!あきらめるな!がんばれ!」
「やめろ〜体がちぎれる〜〜!」
トライポッドとパワーローダーの綱引きが始まった。だが両者のパワーは比較にならない。
ずるずると空中に引きずり上げられるトッキーとリョウジ。
「 ぶ お っ!」トライポッドが、よだれを垂らしながら下腹部の口腔を展開した。
だが見よ。いつの間にかトライポッドの足元には、霧に紛れて発車したスピーダーバイクが停まっている。
降り立ったのは飯島老人だ。
「木偶人形め、足元がお留守だぜ。」
「やめろ飯島さん!校舎に寄りすぎている!」
理事長が叫ぶ。
だが時は遅かった。霧のせいで飯島老人の距離感覚も狂ってしまっていたのだ。
宇宙戦車の口腔に狙いを定め、老人は今まさにロケット弾を撃ち放った。
つづく
>>132の続き
飯島老人の狙いは正確だった。
ロケット弾はトライポッドの口中に吸い込まれるように飛んで行き、体内に着弾、爆発した。
「ぐもーーーん!」
さしものトライポッドも、体中から炎を上げながら、苦悶の咆哮を上げる。
そして、3脚のバランスを失い倒れる先には、天ノ川学園の校舎があった。
ドガガガガ!
生徒と避難者が身を潜めていた教室に、炎に包まれた宇宙戦車の胴体が突っ込んできたのだ。、
「うぎゃー」「逃げろー!」
教室から逃げ出し、我先にと校庭へ躍り出る人々。
まどかと雨も、もみくしゃにされながら、どうにか脱出する。
「迂闊!校舎に近づきすぎとったか!」
愕然とする飯島老人。
ぶ ん !
激突の反動でトッキーを掴んだ触手が大きく跳ね上がり一回転する。
「どわー!」
空中高く跳ね上がるトッキーとリョウジ。力を失った触手がほどけ、2人はそのまま放りだされた。
だが何たる幸運か。彼らが放りだされた先は、校舎の屋上だった。怪我も擦り傷程度だ。
「なんてことだー!避難誘導を急げ!消火もだ!」
怒髪衝天の火の玉と化した理事長が、隊員たちに檄を飛ばす。
トライポッドの激突で、校舎は半壊、建物の1/4を失っている。
死傷者がどれくらいになるか、まだ見当もつかない。
彼は怒りに燃える目で校舎の屋上を見た。
つづく
>>133の続き
校庭に逃げだした、まどかと雨。
「すまなかった、子供ら!早く安全なところに隠れてくれ・・」
憔悴した飯島老人がまどか達を誘導する。彼の眼には涙があった。その時だ。
「ぐもーん!」
3脚からもげたトライポッドの胴体が地上に落下してきた。
どしーん!・・・ずるずる!
驚くべきことに宇宙戦車はまだ生きていた。
そして、まどか達を食べんと、その触手でこちらに這い寄ってきたのだ。
「おのれ迷って出たか!往生せいや!」
まどか達を庇いながら、何度もライフル銃を放つ飯島老人。
バリヤーの機能しないポッドは、瞬く間にハチの巣となってゆく。
だがその時、
じゅっ
死の直前、断末魔のトライポッドの放った破壊光線が飯島老人を直撃した。
老人は一瞬で灰と化し、四散した。
つづく
>>134の続き
まどかの顔が、白い灰にまみれる。
「ひっ・・・!」
雨を抱き締め、声にならない悲鳴を上げるまどか。
「うわーー!もういやだ!お母さんに会いたい!お母さん!!」
雨が叫ぶ。
そして、
まどかの腕の中で雨が忽然と消えた。
雨は母親との再会を願った。そして母親の「生存」する世界に移動したのだ。
「だめ雨くんそんな・・・いやあああああああああああ!!」
まどかは自分の肩を抱いて絶叫した。
つづく
>>135の続き
「リョウジ、怪我はないか?」
「ああ、だがトッキー!なんだってあんな事を!」
「悪かったよ、お前が食べられそうになってるのを見て、いてもたってもいられなくて・・」
今度ばかりはトッキーも、自分の行動の招いた状況の深刻さに、打ち震えていた。
「時田!きさまか!」
屋上に理事長が上がってきた。その肩は、怒りでわなないている。
パンッ
トッキーに詰め寄った理事長が、彼を張り倒した。
「この穀潰しの唐変朴が!考えなしの頓珍漢が!自分のしたことが分かっているのか!貴様のような者がいるから、学園が!妻が!あんなことになったんだ!」
「す・・すみません!すみません!」
涙を流して土下座するトッキー。
「ゆるさん!く ま が や !」
憤怒の理事長が彼を煉獄に消さんとする。
「まって!それだけはだめです!」
理事長に体当たりして、やめさせようとするリョウジ。2人は縺れ合って屋上に転がった。
つづく
137 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/09/23(日) 21:19:27.71
>>136の続き
「ぐうう!」
ようやく我に返った理事長。だがその顔は失意と憤懣でやつれ果てていた。
「トッキー!願い事はするなって、あれだけ言っただろう!俺との約束なんかどうでもよかったんだな!」
理事長に代わってリョウジがトッキーを問いただす。
彼もトッキーに裏切られた気がして悲しかったのだ。
「ち、違うよ。願い事はしてないよ!本当だ!」
「嘘つけ。じゃあさっきの『アレ』は何だったんだよ!」
「・・・貰ったんだ。」
「貰った?あんあものを、わざわざ他人によこすような奴が、どこにいるんだよ!」
「・・・本当よ。私が彼に『アレ』をあげたの。仲間外れで、寂しそうにしていたから。」
3人の背中から、声が聞こえた。
振り向いた彼らの前には、
まどかが渡り廊下で出会った、紅いリボンの少女が立っていた。
「おおお・・・ ま さ か ! そ ん な 馬 鹿 な !」
理事長の顔が恐怖に歪んだ。
彼女は、三年前に不慮の事故で死んだ理事長の娘、てこな(享年17)だった。
つづく
>>137の続き
「好きな時に願い事をしてください。どんな願いでも現実になります。ただし、1人1回なのでよく考えて決めてね。」
闇の中で声が聞こえた。
てこなが目を覚ました時、彼女は病院の一室に立っていた。ベッドには衰弱した母親の文音が横たわっている。
「てこな・・・」
文音は涙を流して、彼女に手をのばした。
「よかった・・最後の最後に奇跡が起きた・・願いが叶った。お願い、もうどこにも行かないで・・・」
「母さん・・・」
てこなは母親の手を握りながら、混乱していた。
あの朝、自転車に乗って通学していた彼女は、信号無視で突っ込んできた自動車にはねられそうになったのだ。てこなの記憶はそこで途絶えていた。
なんで母さんの方が入院しているんだろう?
ゴオオ!! 突然、轟音と衝撃が2人を襲った
てこなは窓の外を見た。信じられない!黒山のような蠢く「何か」が病院に倒れてくる。
天井が、壁が崩れ始めた。
「母 さ ん !」
てこなは叫んだ。
つづく
>>138の続き
闇の中で声が聞こえた。
てこなが次に目を覚ました時、彼女は瓦礫の山と化した病院の跡地に立っていた。至る所で火の手が上がっている。
ここは・・新宿の天ノ川病院?さっきの地震で気を失っていたのだろうか?
でも母さんは?母さんは無事なの!?
「母さん!どこ?返事をしてよ!」
てこなは泣きながら母親の姿を探した。急に、あたりが暗くなった。
どおん!空を仰いだてこなは、病院を破壊した者の正体を知った。まさか、そんなことが!
山のように巨大な黒い怪物の皮膚から、何かがはがれおちてきた。動いている。
「ひッ!」てこなは息をのんだ。大型犬ほどもある、フナムシの様な怪物が、何匹もてこなに飛びかかってきたのだ。
闇の中で声が聞こえた。
てこなが次に目を覚ました時、あたりは暗くなっていた。
人通りのない明治通りを行進する、妖怪たちの百鬼夜行が、彼女の前を通り過ぎて行った。
空を人間ほどもある大蝙蝠が飛びまわり、てこなを見つけると歓喜の奇声を上げ飛びかかってきた。
続く
>>139の続き
何度も何度も死の恐怖を味わい、そのたびに闇の声を聞き、見知らぬ場所で覚醒するうちに、てこなは自分の呪われた運命を知った。
あの「声」は彼女だけではなく、全ての人間に聞こえていたのだ。
そして母親の文音は、死の間際、てこなの再生を願ったのだ。
3年前に交通事故で死んだ、かつての彼女の再生を。
もはや、てこなは死ぬことができなかった。
死の顎に捕われる度に、それは「なかったこと」にされ、死の直前の記憶を保持したてこなが「ここ」に再生されるのだ。
母親の強固な愛がそれを願ったのだ。
母親は「ここ」ではない「どこか」へ行ってしまったというのに!
てこなは母を呪った。自身の「願い事」で母を蘇らせ、問い詰めたいと何度も思った。
だがそのたびに死の間際の母の笑顔が瞼に浮かび、てこなは必死で思いとどまった。
その「願い」は新たな地獄の創出に他ならないからだ。
「母さん、なんでこんなことを・・・何で・・・・」
横転した都バスに身を潜め、てこなは泣いた。
つづく
>>140の続き
何度も怪物や暴漢に襲われる中、てこなはやがて、自身の「願い事」を使って、身を守る術を体得していった。
襲いかかる大蝙蝠は、指パッチンで発生する真空波で両断した。
怪獣や巨大ロボの吐きちらす熱線は、重力衝角で切り裂いた。
彼女の体を求めてつきまとう暴漢は、念力発火で焼きつくした。
体得した「能力」は、死からの再生の後も消えることがなかった。
無残な死を経る度に、てこなの能力は増していった。
数日を経ずして彼女は、中学生2年生の男子が夢想するような、最強の超人となった。
だが、てこなの心は虚ろだった。
こんな無茶苦茶な世界で、目的もなく場当たりな闘争に明け暮れる。死ぬこともできない。守るべき人影も今やなかった。
そうだ、次の「願い事」はこうしよう。「消えてしまいたい」そうすればもう生き返ることもないかも・・・。
ぼんやりとそんな事を考えながら、てこなは道端で拾ったスマートフォンをたどたどしくつついていた。
「!!!」
てこなの指が止まった。
そのSNSには、天ノ川学園から発信された、理事長の雄弁なメッセージがリンクされていたのだ。
つづく
>>141の続き
てこなはリンク先のPodcastを再生した。聞きなれた父の声が、端末から再生されてきた。
「みなさん、絶望することはありません。我々が、各々の願い事を理性的に行使して、狂ってしまった世界を再生させるのです!」
「・・・・・・・!」
てこなの虚ろな心に火が灯った。
それは憎しみの火だった。
「タクシー!」てこなは手を上げた。
人魂のライトをともした妖怪タクシーがてこなの前に停車した。
「お客さん、どちらまで?」
運転手の隻眼の少年がてこなに尋ねる。
「多摩市。天ノ川学園。」
てこなは答えた。
学園に降り立ったてこなは、校医を務めていた母の面影を求め、保健室を探した。
だが1年前に終わった校舎の改修で、保健室もその場所を変え、そこに母の痕跡はなかった。
母がペン立てに引っかけていたロケットペンダントも、今はなかった。家族3人の写真が納まっていたのだ。
保健室を出てトボトボと廊下を歩くてこなは、眼下の校庭で展開される光景に目を疑った。
風林火山の軍配をかざした理事長と、「ギャラクシーフォース」の面々が、恐竜達と戯れているのだ。
てこなは絶望した。やはり父は、母や自分の事など、どうでもよかったのだ。こんな所でヒーロー気取りで遊んでるなんて!
「わかったわ・・・」
てこなは虚ろな目でつぶやいた。
ヒーローごっこがしたいなら、もっと気の利いた相手を用意してやる。
「状況」を引っかき回す、ズッコケキャラなんてのも居れば面白いかもね・・・。
つづく
>>142の続き
校舎を照らす夕陽が、てこなと理事長を血の色に染めていた。
てこなは黙って父親の額を指差した。
「ぐおおおお!」
理事長が頭を抱えてもんどりうった。
この6日間の彼女の体験と苦悶が、頭に流れ込んできたのだ。
リョウジとトッキーも、その余波に巻き込まれた。
「うわー!」トッキーは、耐え切れず屋上を転げ回った。
「父さん!母さんが助けを求めていた時に、一体何をしていたの?私が新宿で苦しんでいる時に、こんな所でお友達と遊んでいたのね!」
てこなは理事長に詰め寄った。
「やめろ、てこな・・・・来るな!・・くまがや!・・深谷!・・東松山!」
思いつく限りの煉獄の名を口にする理事長。だがてこなを飛ばすことはかなわなかった。
理事長の心がそれを拒否していたのだ。
「雲よぉ!」
てこなが叫んだ。みるみるうちに暗雲が空を覆う。
どおん!どおん!
理事長とリョウジ達の周りを、何度も何度も雷撃が見舞った。穴だらけになる校舎の屋上。
「吹けよ風!呼べよ嵐!」
てこなは破滅の詩を詠った。
その瞳は、いかなる光も届かない真っ暗な洞穴だった。
校庭を暴風が襲い、人々はなす術なく、恐怖で身をすくめていた。
つづく
>>143の続き
「やめてくれ〜!てこな!生徒を、ご家族を傷つけるのは!」
理事長が泣きながら膝を着いて、娘に懇願した。
「・・・・・・・!」
てこなは詩を止め、校庭に目をやった。
そこには、行くあても無く学園に身を寄せ、嵐の恐怖にうずくまる子供達と、その家族がいた。
嵐が止んだ。
「・・わかった。でもあなたは許せない、父さん!母さんと私の味わった苦しみの、ほんの少しでも・・せめて!」
てこな理事長を睨んだ。そして指パッチンのフォームを理事長に向けた。
パ チ ン ッ
あらゆる有機物を両断する、必殺のかまいたちが理事長を襲った。
つづく
×中学生2年生
○中学2年生
×てこな理事長を睨んだ。
○てこなは理事長を睨んだ。
>>145の続き
理事長に迫る、かまいたちの一閃。
バシュ!血しぶきが屋上に舞う。
だがいかなることか。理事長は無傷だった。
「・・・時田!おまえ!」
理事長を庇ったのは、トッキーだった。
両腕にかろうじてくっついていたアイアンマンスーツの手甲で、かまいたちを弾いたのだ。
だがトッキーの方は無傷では済まなかった。避けきれなかった烈風の刃が、上腕や胸を切り裂き、血まみれにしていた。
「なぜ!どうしてあなたが!」
てこなが目を見開いた。
「てこな・・・だっけ?俺、アホだからみんなに迷惑かけたし、周りの事とか、よく見えないって言われるけど、さっきの『あれ』で君の事はわかったよ・・苦しかったんだな。」
トッキーは再び泣いていた。
「でも、今君がやってる事は、間違ってる。どんな事情があったって、お父さんや、関係ない人を傷つけるなんてやっぱりおかしい!」
トッキーは空を仰いで言った。
「・・・願い事を言うよ。この子を開放してくれ!もうこんなに苦しまなくて済むように!」
てこなの体が暖かな光に包まれた。
「時田さん、こんな・・・ああ、これでようやく」
光に包まれたてこなが消滅した。光は天に昇って、消えていった。
そして
トッキーの前に、てこなが立っていた。
つづく
>>146の続き
トッキーの願いで、さっきのてこなは救われ、昇天した。
だが母の願いが、新しいてこなを、この世界に再生したのだ。
「・・・そんな!そんな事って・・」
継ぐ言葉も無いトッキーを、てこなはやるせない顔で見つめた。
その瞳には初めて、人間らしい悲痛が宿っていた。
「おおお!済まなかった文音!てこな!私が怯懦で下らないことを願ったばかりに!お前達に!辛い思いを!」
理事長が慟哭した。てこなは父の胸元を見た。
そこには、母のペンダントがあった。
「・・・・・・」
てこなは翻ると、崩れかけた校舎の屋上から、その身を投げた。
そして拡散し、彼らの前から姿を消した。どこか離れた場所で実在化したのだろう。
呆然として声も無いリョウジとトッキー。
校庭には、雨を失ったまどかの嗚咽が、止むことなく響いていた。
理事長は、日の名残りを見つめながら、崩れた屋上に、いつまでも立ちつくしていた。
つづく
148 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/01(月) 22:05:51.31
続きが書けない。
まどかに立ち直ってほしいのにどーすりゃいいんだよ(´Д`)
>>147の続き
「リョウジ、ごめん、結局、約束破っちゃったな・・・絶交かな・・?」
トッキーが顔を伏せて言った。
「・・・・・」
リョウジは返事に詰まった。
トッキーは、やることなすこと間違いだらけだった。それでも、彼の「願い」を責められる奴が、どこにいるだろう。
「・・・何言ってんだトッキー、謝るのは後だ。それより早く傷の手当てをしないと。服が血まみれだぞ。」
「え・・・ほんとだ血・・うぎゃ痛ってーー!」
トッキーが卒倒した。
日が沈んだ。
校舎から逃れた人々が、暗い顔でタニタさん達の準備した炊き出しに並んでいた。
黒石さんや伊吹マヤさんは、怪我をした人達の手当てに忙殺されていた。
幸いにも火災による死者はいなかった。「隊員」達の迅速な避難誘導が功を奏したのだ。
だがトライポッドとの戦いで飯島老人は凄惨な死を遂げた。そして雨は・・・
「まどかちゃん・・・」
事の顛末を青葉シゲルから聞いたリョウジは、いたたまれない顔で、塞ぎこむまどかの背中を見た。
あれ以来、まどかは一言も話せず、食事も口にしていないのだ。リョウジにはかける言葉が見つからなかった。
「やはり狂っている・・」
リョウジは暗澹とした気持で空を仰いだ。この混乱と狂騒はいつまで続くのだろう。
対症療法を以って世界を正常に戻さんとする理事長の願いは、彼の家族の願いにより、絶望的な形で幕を閉じたのだ。
リョウジは、哀れなてこなの運命や、雨の行方、そして失意のまどかの事を思った。
てこなやまどかに手をさしのべる、どんな「願い」があるというのだろう。
つづく
>>149の続き
いっそ、この事件を「無かったこと」にしてほしい、そう願うのはどうだろう?
気の滅入っているリョウジに、それは意外な名案に思われた。
あの「声」が聞こえず、怪奇現象や災害の起きていない状態に、世界を「戻す」のだ。
リョウジとまどかは、こんな目にあうことなく、安穏とした日常に帰れるかもしれない・・・。
いや、待て。
リョウジの中の何かが、それを制した。
彼は消えた雨の事を思い返した。
たしかにリョウジがそれを願えば、「正常」な世界がリョウジの前に現れるかもしれない。
だがそれはリョウジにとっての話だ。
「ここ」に居るまどかやトッキー、理事長、てこなにとって、今の苦境は変わらない。
ただリョウジが「ここ」から消え去ったという事実が残るだけだ。
ではこういうのはどうだろう?
「自分」と「まどか」を平和な世界に帰してほしい、雨のいる世界に。そう願うのだ。
まどかは雨に会える。リョウジもこのプレッシャーから開放されるだろう。
いや、待て。
リョウジは混乱した。仮に、リョウジとまどかが雨の居る世界に移動できたとして、その雨は、昼間の戦いでまどかが守ろうとした雨と同じ雨なのだろうか?
いや、待て。
そもそも、リョウジと一緒に別世界に移動したまどかが「ここ」に居るまどかと同じまどかであると、どうしてリョウジが知り得るだろう。
「ここ」にいるまどかは、ただ取り残され、さらなる苦境に立たされる可能性が無いと誰に分かるだろう。
「・・・・・・・!」
これまで考えたこともない思考の迷路に迷い込み、リョウジは吐気を覚えた。
つづく
>>150の続き
「いかんいかん!しっかりしろ俺!」
リョウジは頭を振った。
ある日突然、家族や親しい人間と永遠に別れなければならない。
それは世界がこんな風になる前から、変わらない事じゃないか。
まどかにとって、たまたま今日がその日だったのだ。これはまどかが乗り越えるべき苦難なのだ。
それを俺は願い事でどうにかしようなんて・・・まどかと俺だけ別の世界に行く?馬鹿!馬鹿!馬鹿!
リョウジは、自分のアブノーマルな嗜好が願望に反映されていたことに気付き、自分を殴りたくなった。
「まどかちゃん!」
昼間の戦いの後から、リョウジは初めてまどかに声をかけた。
「わかったよ。おじさん。」
まどかが振り向いた。その目には涙があった。だが声には気魄があった。
「ある日突然、親しい人と離れ離れにならなきゃいけない。でもこれは今までも同じだったし、願い事でどうにかすることじゃない。
やっと気付いたの。自分が恥ずかしい・・・願い事で雨くんを取り返そうなんて、そんな事を考えていたの。馬鹿だった・・・。しっかりしなくちゃ。」
「え・・そうなの・・。いや、うん、それならいいんだけど、うん。」
まどかを叱咤しようとしていたリョウジは、思っていたことを全部先に言われてしまい、ちょっとがっかりした。
だが心は軽くなった。
そして、これまで後回しにしていた問題が頭をもたげてきた。
「これをまどかに知らせるべきだろうか・・・」
リョウジは6日間鳴ることのなかった携帯を手にしていた。携帯の液晶には、ついさっき受信したメールが表示されていた。
「新宿、天ノ川大学」
メールにはただこう記されていた。
発信者は彼の姉でまどかの母、ユイだった。
つづく
>>151の続き
夜が更けた。
崩れかけた校舎の中庭の花壇に、飯島老人の愛用していた猟銃が下向きに刺さっていた。前には線香が供えられている。
「飯島さん、今はこれが精一杯ですが、正式なご葬儀はいずれ必ず・・・。」
理事長が、墓標に手を合わせて泣いていた。
「すみませんでした…私が至らなかったばっかりに・・・」
間接的とはいえ、彼の娘が飯島老人を死なせたのだ。
後悔と心労で、一夜にして理事長の髪は白髪となっていた。
「我望さん・・・」
理事長が振り向くと、リョウジが1人立っていた。
「加持君、君にも色々苦労をかけたな。鹿目君や雨君には本当に済まないことをしてしまった。」
リョウジは再び、いたたまれない気持ちになった。
「実は、こんな大変な時に申し訳ないんですが、学園を出ようと思うんです。」
リョウジは、理事長にユイのメールの事を話した。そして、事実を確かめに、単身新宿に向かうつもりであることを。
「新宿・・・!危険すぎる、自殺行為だ。」
理事長が驚いて引き止める。
「我望さん・・・今確かめておかないと、一生後悔する気がするんです。確かに世界はこの先どうなるか分かりません。でも、まどかには約束したんです。絶対にあいつの両親を見つけるって。それに・・・」
リョウジは、天ノ川大学に研究室を構えていた恩師、大槻教授のことを考えていた。彼は世界の秘密を求めたはずだ。はたして無事だろうか。
「やはり新宿には何かがある。そんな気がするんです。もしかしたら、娘さんを助ける方法も見つかるかもしれない。」
理事長はリョウジを見た。その眼には決意の輝きがあった。
「・・・男なら体を張れか・・・わかった加持君。」
「ありがとうございます。俺が戻ってくるまで、まどかの事を頼みます!」
「だめだ・・・加持君、私には請け負えないよ。」
理事長が悲しそうに首を振った。
つづく
>>152の続き
「私は無能な男だ、お預かりした生徒とご家族を、大変な危険にさらしてしまった。飯島さんも・・・」
「我望さん・・・」
リョウジは言った。
「あなたが来てくれなかったら、俺とまどかは恐竜に食べられていました。他の生徒や家族だって一緒です。あなたは俺達を守ってくれた。どんなに結果が不条理で残酷でも、その一点は真実です。」
「・・・・・」
理事長の背筋が伸びた。
「わかった加持君。鹿目君は当校で責任をもってお預かりしよう。」
「その必要はないわ。おじさん。」
背中から声が聞こえた。まどかが立っていた。2人の話を立ち聞きしていたのだ。
「私も新宿に行くから。リョウジおじさんだけじゃ頼りないもんね。」
まどかが自分を指さして言った。
「まどかちゃん・・・駄目だ!危険すぎる!」
狼狽するリョウジ。
「学園で何を学んだの?おじさん。『願い事』は組織化されるほど有効に機能するのよ。1人より2人の方がずっと安全でしょ。それに、お父さんとお母さんのこと、自分の目で本当の事を確かめたいの。結果がどうであっても!」
何かが吹っ切れたまどかが、リョウジにまくしたてる。彼女の決意もまた固かった。
「俺も行くぜ。」
トッキーがひょっこり顔をだす。
「リョウジはヒョロくて弱っちいしな。戦いにはタフな漢が必要だろ?『これ』もまだ使えそうだし。」
トッキーは校庭で拾い集めたバラバラのアイアンマンスーツを指差して言った。
「まどか、トッキー、お前ら・・・。」
リョウジは理事長を見た。理事長は無言で頷いた。
つづく
>>153の続き
「本当にいいのかい、青葉君、君の商売道具だろ?」
焼き鳥の移動販売者「てば九郎」を前に、リョウジが青葉シゲルに言った。
「3人で移動に使えそうなのは、こいつくらいでしょ?力仕事にも使えるし、それに・・・」
青葉が答える。
「進呈するなんて言ってませんよ。『貸す』だけです。絶対に無事に戻ってきて下さいよ。商売道具なんだから。」
「青葉君・・・・ありがとう!シゲチー!」
感極まったリョウジが、勝手に変な仇名を付けて彼をハグした。
「時田君。」
理事長がトッキーに言った。
「君とは色々あったが、あの時は娘のことを・・・うれしかったよ。済まなかったな。」
「てこなさんの事、何とか助けたい・・絶対何とかします!」
トッキーが答えた。だまって頷く理事長。
「よし、出発だ。」
暗闇の中、3人をのせた「てば九郎」は、新宿めざして天ノ川学園をあとにした。
つづく
>>154の続き
新宿への道のりは平坦ではなかった。
3人は道中で様々な冒険に巻き込まれた。
リョウジは、ロリコンを憎む妖怪国際連合のベアード事務総長に捕まり、火あぶりにされかけた。
トッキーは夢の中で、彼を魅入ったてこなに連れられ、南極を横断する巨大山脈やその高次に広がる高原を探検した。
まどかは、キノコ派とタケノコ派の血で血を洗う抗争に巻き込まれ、双方から改宗を迫られた。
最後の決戦は、その機体に555基の太陽炉を搭載したタケノコの塊「ファイズオーライザー」が、キノコ軍を焼き尽くす凄惨なものだった。
タケノコの勝利は目前だった。しかし彼らの諍いを物陰から窺う第3の邪悪な勢力があった・・・。
だがこれは別の物語、いつかまた、別の時に話すことにしよう。
つづく
×焼き鳥の移動販売者
○焼き鳥の移動販売車
>>155の続き
「トッキー!大丈夫か!」
「もう限界だ!弾切れだよ!」
「行き止まりよ!リョウジおじさん!」
旧甲州街道を経て新宿に到着した一同を見舞ったのは、想像を絶するカオスだった。
銀河の向こうからやってきた巨大昆虫、アラクニドウォリアーが何百匹もの軍団を成して「てば九郎」を追いかけてきたのだ。
中には、人間に擬態した巨大ゴキブリや、大顎の完全生物、シリコンを主食にする宇宙大群獣も混じっていた。
ピュン!ピュン!「てば九郎」の後部からリパルサー光線で彼らを狙い撃つトッキー。だが数が多すぎる。
「このっ!このっ!」
まどかは「てば九郎」をよじ登ってくる巨大フナムシを、銃剣でこづきまわしていた。リョウジは運転席でアクセルを踏む。
ドーン!突如、巨大な高崎観音の首が、明治通りを疾走する彼らの前に落下してきた。
「うわー!」ハンドルを取られるリョウジ。
崩れたビルの谷間から姿を現したのは、東京湾から上陸してきた深海怪獣、クローバーだった。
ガリガリ!邪悪な一族の末裔は長い手足を振り回し、周囲のビルを引っ掻いた。落下する瓦礫が「てば九郎」を襲う。
「まずい!」
咄嗟に変形して瓦礫をかわす「てば九郎」。小脇にはまどかが抱えられている。
「うおーーーん」
怒り狂ってリョウジ達を叩き潰そうとするクローバー。後方には昆虫軍団が迫る。絶体絶命、その時だ。
バッチーン!強大な尻尾の一撃が深海怪獣を叩きのめした。
「ギャオーーーン!」
漆黒の怪獣王、ゴジラがやってきたのだ。
「うおーーーん」
なんとか体勢を立て直すクローバー。
長い手でゴジラに掴みかかり、頭部の口吻から露出した粒子砲を発射する。
ピカッ!ゴジラに突き刺さるスマッシャーの一閃。だが怪獣王は無傷だ。役者が違うのだ。
ゴオオオ!必殺の放射火炎が深海怪獣の半身を消し飛ばした。どどーん!深海怪獣は一敗地に塗れ、その体はドロドロに崩れ去った。
「ギャオーーーン!」
勝ち誇ったゴジラが、今度はリョウジ達を睨みつけた。
つづく
>>157の続き
ゴジラの背びれが青白く光る。再び放射火炎を吐くつもりなのだ。
「やはり今か!」
リョウジは覚悟した。この場まで温存していた「願い事」だが、命には替えられない。3人で安全な場所まで移動するのだ。
「願い事を言う。俺達を・・」
その時だ。とんっ!パワーローダーに変形した「てば九郎」の肩に突然、空中から現れた紅いリボンの少女が降り立った。てこなだった。
「てこな!どうしてここに!?」
「待って。ここは私が何とかする。」
てこなはゴジラの方を向いた。
ゴオオオ!彼らに放射火炎を浴びせるゴジラ。だが見よ。てこなの正面に現れた光の衝角が、熱線を切り裂いたのだ。拡散した熱線は、彼らの後方に迫る昆虫軍団に襲いかかった。
「キシャ――!」燃える昆虫軍団。ゴキブリやレギオン達は、焼き海老のように真っ赤に変色して果てた。
「ギャオ?」戸惑ったゴジラが、三度熱線を吐かんとしていた。
「ミ ラ ー !」
てこなが叫んだ。彼女の眼の前に、合成ダイヤモンドで造られた巨大な鏡が出現した。
ゴオオオ!ミラーはゴジラの放った放射火炎を反射した。一万倍に威力を増した熱線がゴジラを直撃する。
「ギャオーーーーン!」
さしもの怪獣王も耐えきれず、彼らに背を向け、その姿を消した。
「てこな。やっぱり君だったのか!ありがとう!」
トッキーがうれしそうに言う。
新宿への道中、3人は何度も危機に陥った。だがその度に姿を見せない誰かが、3人を助け、導いてくれていたのだ。
「話している時間はないわ。急いで!」
てこなが言った。昆虫の生き残りが、再び彼らに迫ってきたのだ。
「わかった。目指すは天ノ川大学だ!」
リョウジはトッキーとまどかを「てば九郎」に乗せ、アクセルを踏んだ。
つづく
159 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/10(水) 19:19:22.09
>>158の続き
危機は続く。騒ぎを聞きつけた、ここ一帯の全怪獣怪人が、地下鉄の構内やビルの中から湧きあがってきたのだ。
往来に怪物が溢れ、リョウジ達を追跡する。
早稲田通りを疾走し天ノ川大学に向かう「てば九郎」。
後尾には白銀のサーフボードに乗って宙を駆けるてこながいた。
廃墟と化した新宿だが、どういうわけだろう。天ノ川キャンパス内の研究棟の一棟だけが、無傷で残っているのだ。
「あそこに何かある!」
リョウジは直感して、ハンドルを切った。大学の正門を突破し研究棟に突っ走る「てば九郎」。
「先に行って!私がここをくい止める!」
正門で、てこながプルアウトした。
「そんなー!だめだてこな!」
トッキーが叫ぶ。
「大丈夫、時田さん。あいつらを放っておけないわ。ここでカタをつけてやる!」
テコナが正門一帯に超電磁バリアーを展開した。キャンパスへの侵入を阻まれ、猛り立つ怪物たち
「 さ あ ! 遊 び の 時 間 ! 」
リョウジ達が研究棟に辿りついたのを見届けると、てこなはバリアーを解除した。
「キシャーーーーーー!」
ウォリアーバグ、群体レギオン、サガミレガリス、ショッキラス、メガヌロン、メガニューラ、フェイスハガー、チェストバスター、ドッグバスター、
ビッグチャップ、クイーン、プレデリアン、いか、イクストル、ラダム、シェロブ、アラゴグ、ベヒモコイタル、アクレイ、デッドリースポーン、
くそイタチ、ミスターグレイ、人面蜘蛛、ヒルコ、クリッター、オコリンボール、リッカー、グラボイズ、ディープワン、13号、グエムル、ショゴス、ブロブ、アメーザ、
オクサレサマ、ゴケミドロ、マタンゴ、スプリットフェイス、その他ありとあらゆるうじゃじゃけた連中が、てこなを取り囲んだ。
「ぴきゅぴきゅっ!」
宇宙ナメクジの一匹が、彼女の白い脚を這いあがってきた。粘液が脚を伝う。
てこなは顔を上げてつぶやいた。
「数を揃えれば勝てると思ったの?」
てこながニタリと嗤った。その眼には嗜虐の悦びがあった。
つづく
>>159の続き
研究棟に辿りついたリョウジ達。棟の門戸は開け放されていた。
「急げ!やつらが足止めされてる隙に!」
棟に突入するリョウジとまどか。
「てこな・・・」
トッキーが不安そうに、来し方に目をやった。
「・・・・!!なんてこった!」
トッキーは我が目を疑った。
天大通りの往来、大学正門の周辺は、極彩色の霧に覆われた地獄と化していた。血の霧だ。
てこなが霧の中で舞っていた。殺戮のダンスだ。舞いの一所作の度に、
かまいたちがアラクニドの甲殻を切り裂いた。
衝撃波がサガミレガリスを砕き散らした。
念力発火がショゴスを沸騰させた。
ソニックバスターがイクストルを破裂させた。
稲妻がマタンゴをホイル焼きにした。
「キシャーー!」「うおーーん!」「ぴきゅきゅきゅーー!」「ぶちゅるrrrrーー!」
怪物たちの断末魔の咆哮がキャンパスに響く。
深紅の血しぶき、暗緑の臓物、灰色の脳漿、乳白の粘液が宙に舞い、てこなを濡らしていた。
てこなの瞳は漆黒の闇。顔は恍惚に歪んでいた。
「そおだぁ!おそれないでぇ!みんなのためにぃ!あいとゆうき!あいとゆうき!あいとゆうきああああいとゆうきぃぃ!!!」
てこなは、黄昏の空を仰いで皆殺しの詩を詠った。脳漿と粘液に塗れたその頬を、血の涙が伝った。
「てこな・・」
トッキーは恐怖した。夢の中で、彼女と旅した「高原」の記憶が鮮明に蘇った。
彼女は正常なのだろうか?何度も何度も死の淵から還る度に、その心を時空を漂う量り知れぬ「何か」が取り込んでしまったのではないか?
「トッキー!早く!ここは彼女に任せるんだ!」
リョウジが叫ぶ。研究棟に転がり込んだ3人。
「なんだこれ・・・」
棟内を、言い知れぬ邪な空気が漂っていた。
つづく
>>160の続き
日が沈んだ。地上の全ての人間の脳裏にあの「声」が響いてから、7回目の夜が訪れようとしていた。
研究棟に足を踏み入れた3人は、眼前に広がる異様な光景に息を飲んだ。
棟内に人の気配はなかった。だが、その床には、何百着と思しい数の血まみれの衣服が、男女年齢の別を問わず、無造作にまき散らされていたのだ。衣服の間には、革靴、パンプス、スニーカー等が散らばっている。靴下や下着と一緒に。
リョウジはゾッとした。まるで、人間が凄惨な暴行を受けた後に、その着衣を残して肉体だけを消失させたかのようだ。
「ううぁ!こんなことって・・・!」
両手で口を押さえるまどか。
「見るな、まどか!」
まどかを背中で遮るリョウジ。
「リョウジ!あれ・・・。」
トッキーが天井を指差した。吹き抜けの暗い研究棟の中に、唯一の灯があった。最上階の13階だけには、煌々と明かりが灯っているのだ。
「まるで誘蛾灯だ・・・」
リョウジは戦慄した。この一帯に唯一残ったガラス張りの高層建築は、夜には煌々たる灯を放ったはずだ。災害から焼きだされて行く場のない人々にとって、それは身を寄せる希望の砦に見えただろう。
だがその実態はどうだったか?
「絶対におかしい・・・何かの罠だ、試されてる・・・!!」
リョウジの本能が、この場からの逃亡を全力で告げていた。だが・・
リョウジは振り返り、背中のまどかを見た。まどかは震えながら、その目で訴えていた。
いきましょう。全て見届けるまで・・・・。
使命感と好奇心が本能を凌いだ。
「トッキー、一緒に来てくれるか?」
「ああ、ここまで来て後に退けるか!」
3人は13階を目指し、吹き抜けの階段を上って行った。
カツーン、カツーン、暗い棟内を足音が響いた。
つづく
>>161の続き
最上階に辿りついた3人。
「加持君、君か?こっちだ・・・こっち・・・」
廊下の奥からリョウジの聞き覚えのある声が響いてきた。彼の学生時代の恩師、大槻教授の声だ。
「先生、やはりここに・・・。」
廊下の突き当たりに扉があった。表札が掲示されている。
「天ノ川大学宇宙物理学研究室」
「・・・・いくぞ。」
リョウジが扉を開けた。まどかとトッキーが続く。
「・・・・!」
リョウジは絶句した。研究室の空中を、半透明の深海魚のような異生物が何匹も泳ぎ回っている。
そして、めちゃめちゃに壊された機器や積みあがった本の山の奥に、大槻教授が座っていた。
その頭部は数倍に膨れ上がり、周囲をパチパチと火花がスパークしていた。教授の背後を覆う闇の中では、巨大な「何か」が蠢いている。
「先生・・・なんて姿だ。苦しくないんですか?」
「苦しい?とんでもない。君にもすぐにわかるだろうが、しごく気持ちのいいものだよ。」
大槻教授がニヤリと嗤った。
「先生、教えてください。」
リョウジは吐き気を堪えながら教授に質問した。
「あの朝、先生は『世界』の『秘密』の求めたはずです。いったい何故こんな事が始まったんです?それと・・・階下に散らばっていた服、あれは何なんですか!?」
「いいだろう加持君。せっかくここまで来たんだ。君に自我があるうちに話してやろう。7日前に始まった『あれ』は『祭り』なのだ。
世界を管理していた何者かが、『ここ』を終わらせる前に、なげやりに最後の『実験』をしているのだ。」
「『ここ』って・・・この世界が終る・・そんな馬鹿な!」
リョウジは愕然とした。
つづく
>>162の続き
「本当だ、加持君、私は世界の外を垣間見たのだ。『彼ら』にとって、『ここ』は実験場に過ぎなかったのだ。何らかのデータ収集のための。『彼ら』は目的を果たした。遠からず『ここ』は闇に沈む。」
大槻教授がヘラヘラと嗤いながら続けた。
「そこでね加持君、考えたんだ。世界と一緒に消え去るなんざ、まっぴら御免。幸いにして私は膨大な情報を得ている。
これだけ巨大な『実験場』だ。必ず世界の外側に至るセキュリティホールが在るはずだ。その間隙をくぐって、『彼ら』の『階梯』まで移動するのだ。全人類を代表してね。」
狂っている。リョウジは恐怖した。膨大な情報がインストールされるうちに、大槻教授本来の人間性が消去されたのだ。
今や教授は得られた情報をもとに自己保存のためだけに行動を規定するおぞましい「何か」だった。
3人は大槻教授の狂気に圧倒され愕然と立ちつくしていた。大槻教授が得意げに続けた。
「計画には1つ課題があった。流れ込んできた膨大な情報を、私の脳だけで処理するのは不可能だった。
そこでここにいた研究員や職員の『協力』を仰いだんだ。だがそれでも足りなくてね。ここに避難してきた人達にも『協力』してもらった。」
「『協力』とは?」
いやな汗をかきながら、おぞ気をふるってリョウジが尋ねた。
「彼等の脳髄を摘出して私に『接続』した。処理速度の向上を図ってね。得られた『知識』を用いれば容易な事だったよ。」
ブルン!闇の奥の巨大な「何か」が大きく蠕動した。
つづく
>>163の続き
「『避難してきた人達』って、まさか!姉貴も・・・!?」
「君のお姉さんか。さてどうかな(検索)・・・ああ、『ユイ』君もここにいるよ。その連れ合いもね。」
「そんな・・・!お父さんとお母さんを・・・!許さない!」
「先生・・。」
激昂するまどかを制して、リョウジが大槻教授に質問を続けた。口の中はカラカラだ。
「それで・・・上手く行ったんですか?『計画』は?『間隙』が見つかれば、例えば俺なんかでも『外側』に出られるんですか?」
「そうだな・・『願い事』を用いればそれも可能だろう。君自身が世界と一体化すればいい。世界の全てを認識出来れば『間隙』の発見自体は容易だろう。」
大槻教授が嘲笑うように言った。
「だが、お勧めはしかねるね。それだけ巨大なものを『認識』したら、君の自我などあっという間に溶けて消えてしまうだろう。私は『私』のまま、上の『階梯』に進みたいんだ。」
一瞬、教授のおぞましい笑顔が消えた。
「そのために『協力者』の情報端末を使って君達を呼んだんだ。まだまだリソースが足りない。君達にも『協力』してもらう!」
つづく
165 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/13(土) 15:19:44.93
>>164の続き
大槻教授が「立ちあがった」。ブルン!ブルン!闇の中の「何か」がその姿を現した。
「まさか・・・こんな!」
リョウジは我が目を疑った。
「ぉぅああ!!」
まどかが嘔吐した。
「ぐ・・・」
トッキーが恐怖で固まった。
大槻教授の腰から下は、ヌラヌラしたけがらわしい緑灰色の粘液に覆われた、何百本ものミミズ状ののたくる触手の集合体だった。
触手は闇に隠れていた何百人分もの脳髄を寄せ集めた団子状の塊に接続され巨大な脳髄団子の塊からはさらに何本もの図太い蛸足状の触手がはえ、床を這いまわっていた。
「ぁ'`はあああああああ!!みたか!ひとりぐろーばるぶrrrれいぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!さあ君達も加わるんだ人類代表の列に!一緒に天国の階段をのぼろおおおおあ'`あ'`あ'`あ'`」
名状し難い怪物と化した大槻教授が、3人の眼前に迫ってきた。
つづく
>>165の続き
陽の堕ちた天ノ川キャンパスに独り、血に濡れた少女が虚空を見つめ立ちつくしていた。
蒼白の肌を、甲虫や大長虫の緑灰色の体液が滴っている。
「ふぅううううううううううううううううううううううううううううう」
怪獣達を誅戮し尽くしたてこなは、紅い唇を舐めながら甘く昏い歓喜の余韻に浸っていた。
ザリガニ、宇宙ナメクジ、不定形生物たちの残り滓がキャンパス中に撒き散らされ、腐った果実の様なふしだらな匂いを放っている。
「・・・!!」
てこなが我に返った。
ま た や っ て し ま っ た !
てこなは恐怖した。彼女の魂に巣食ったカオスは、日毎に膨れ上がり、もはや彼女の制御の域を超えつつあった。
だが、ここで悔んでいる時間はない。
「 時 田 さ ん ! 」
てこなは研究棟を見上げた。ぴぴぴ!彼女のリボンが最上階から発せられる強烈な毒電波を受信した。
時田さん達が危ない。助けないと!!
「ときたさんときたさんときたさんときたさんときたさん。」
秩序と混沌の狭間を漂うてこなにとって、今やトッキーは正気の岸に辿り着くためのアイコンとなっていた。
彼女は傷ついた軆を引きずり、研究棟に向かった。
つづく
>>166の続き
「脳みそ〜〜〜!脳みそをよこせ〜〜〜!!」
机やロッカーを押し倒し、蛸足の様な触手をのたくらせながら、大槻教授が3人に襲いかかってきた。
「どうかしてる!逃げろ!」
研究室から飛び出す3人。だが教授の触手が、まどかの足首に絡みついた。
「きゃあああ!!」
スカートを押さえながら逆さで宙づりになるまどか。教授の卑猥な頭部が迫る。
「あははあ!ιょぅがくせぇの脳髄にアクセスするのは初めてだぞ!どんな味かな〜あ'`あ'`あ'`あ'`あ」
興奮した教授は頭部を膨れ上がらせた。そして蛸足の先端から医療用メスを生やすと、まどかの喉元に突きつけた。
「いやああああ!リョウジおじさん!」
絶叫するまどか。
「まどかああ!」
妖刀「関の孫六兼元」を抜き放ち教授に斬りかかるリョウジ。
リョウジは次々と教授の触手を両断していく。だがすぐに新たな触手が再生しリョウジを阻むのだ。
「馬鹿め。そんなもので私は倒せん。肉体のセキュリティとバックアップにも気を使ってるのだ!」
シュバッ!教授のメスがリョウジの脛を切り裂いた。
「うあああああ!」
痛みで転げまわるリョウジを触手がなぎ払う。
ごっ!:*:・。,☆゚'ロッカーに頭を強打し、リョウジは昏倒した。
「ふん!貴様は後でゆっくり料理してやる。まずはιょぅがくせぇの処置だ。だがその前に・・・」
メスがまどかのスカートを切り裂いた。まどかの脚をヌラヌラとした汚らわしい触手がゆっくりとまさぐっていく。
「あっ・・・・!あっ・・・・!」
恐怖とおぞましさに硬直するまどか。
「あはははははあ!たぁまぁらぁんなぁぁぁ!!」
まどかの全身に触手が迫る。だがその時だ。
教授の触手が痙攣し動きを止めた。
つづく
>>167の続き
「何だ!体が!言うことを!」
教授は戸惑っていた。彼の肉体を構成する数百の「補助脳」の一部が、彼の管制を拒んでいるのだ。
「お父さん!お母さん!」
まどかは直感した。彼女の両親がまどかを助けようとしている!
「トッキー!用意はいいな!」
目を覚ましたリョウジが叫ぶ。
「ああ!」
アイアンマンスーツの掌底を構えるトッキー。
「まどか!これを使え!」
リョウジは、足をひきずりながら教授に近づくと、理事長から渡された手榴弾をまどかに放った。宙吊りになりながらキャッチするまどか。
「お父さん・・・お母さん・・・さ よ な ら !」
まどかは手榴弾のピンを抜くと、教授の口中に突っ込んだ。
今だ!じゅっ!教授の触手をリパルサー光線が焼き切った。落下するまどかをキャッチしてリョウジと共に研究室から飛び出すトッキー。
「 あ り が と う ・・・・ 」
まどかの頭に声が響いた。母、ユイの声だった。
「 お 母 さ ん ! ! 」
まどかが叫ぶ。その頬を涙が伝っていた。
「おごおおおおおおおおおお!!!」
慌てて手榴弾を飲み込んでしまった教授がもんどりうった。
ちゅどーーーん!
爆発四散する教授の体。研究室の壁が崩れ、夜気が流れ込んできた。
つづく
>>168の続き
最上階に辿りついたてこなが目にしたのは、号泣するまどかとその肩を抱くリョウジ、緊張から解放され床にひっくりかえっているトッキーだった。
「時田さん、無事だったのね、よかった。」
「ああ、てこな、君のおかげだよ。でも・・・」
正常に戻ったかに見えるてこなを見て、トッキーはホっとした。だがその顔は曇っていた。
トッキーは教授の言葉を思い出していた。「世界が終わる」・・・・。
それが本当ならば、理事長の努力も、てこなを救いたいというトッキー達の願いも、全て無駄だったということか?
「てこな、聞いてくれ・・・ここで・・・ぐお!」
突如、トッキーの胸部からアイアンマンスーツを引き裂き、鋭い刃物が出現した。
トッキーの口から鮮血が溢れた。
トッキーの背後、爆破された研究室から、異形の影が這いだしてきた。
「いっただろおおおおお!バックアップにも気を使ってるってええええ!」
なんということだろう。
四散した肉体を寄せ集めて、再生を果たした教授が、先端から医療用メスを生やした蛸足で、トッキーの背中から胸部を串刺しにしたのだ。
だが教授の集めた「補助脳」は失われ、その半身からは醜い蛸足の塊が露出していた。
「ぐぼお!!」苦悶の表情でうずくまるトッキー。床には血だまりが広がっていく。
トッキーから触手を引っこ抜く教授。アイアンマンスーツの胸部装甲が砕けて床に散った。
つづく
170 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/14(日) 20:06:49.99
>>169の続き
「トッキーーーーー!」
リョウジが叫ぶ。
「時田さん、そんな!」
愕然とするてこな。トッキーに駆けよるリョウジとまどか。
「私の計画、私の計画〜〜!絶対に許さんぞ貴様ら!全員まとめて引き裂いてやる!」
憤怒の形相で4人に立ちはだかる教授。その顔面は再生が追いつかないためか半分欠けていた。
てこなは血を流してうずくまっているトッキーを見た。
(傷は深い。助からないわ。)
てこなの中の混沌が楽しげに告げた。
「ふぅううううううううううううううううううううううう!!!」
てこなは顔を覆った。彼女の中にかろうじて残っている理性の箍が、今、溶け去ろうとしている。
つづく
171 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/14(日) 20:10:02.78
>>170の続き
だめだ!みんなに、もうあんな姿は見せたくない!ならばせめて!
「時田さん、聞こえる?まだ『飛べる』わね?」
てこなは顔を伏せたまま、トッキーに言った。
「あ・・・ああ。」
「2人を連れて飛んで!ここは私が片付ける。」
「でも君は・・・」
「大丈夫。後から必ず行くから。早く!」
「わかった・・・リョウジ!まどか!つかまれ!」
リョウジとまどかを両脇に抱え、研究室の崩れた壁めがけてトッキーは飛び発った。
すれ違いざまにてこながつぶやく。
「 あ り が と う 。 」
「 て こ な ! ! ! 」
「させるか!」
「離陸」を阻もうと教授の触手が迫る。だが、てこなのかまいたちが触手を切り裂いた。
1人残ったてこなは、教授と対峙した。教授がてこなに唾を吐いた。
「小娘が!あんな萌え豚を庇って命を捨てるか。いいだろう、本当ならιょぅがくせぇを(ピー)たかったが、JKでも一向に構わん!」
つづく
172 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/14(日) 20:14:23.74
>>171の続き
(許さない・・・時田さんは萌え豚じゃない・・・ 燃 え 豚 だ !)
てこなが顔を上げた。
逆巻くその髪は血の深紅。
その肌は氷の蒼白。
その瞳は灼熱の緋、あらゆる事物を溶かし尽くさんとする混沌の炎だった。
闇が質量を持ち、血を孕む風が吹いた。風に乗り歩む者が滅びの詩を詠った。
ふーふーひゅーくーとひゅるーるーるーうるるいるるえうくーとひゅるーうるるいるるえうーふー
「・・・・逝っちまえよぉ変態!くまがや!くまがや!くまがや!」
かつて父親のあみだした必殺技を、今こそてこなが解き放った!
光に包まれ、何度も何度も何度も煉獄に飛ばされる教授。
だが次の瞬間にはヘラヘラ嗤いながら、この場に舞い戻ってくるのだ。
「空間操作能力か・・・だが私の本質は虚数領域に在る。そんな技でこの身を封じることはかなわんぞ!」
「ええ、私には無理みたいね・・でも『彼ら』はどうかしら?」
「なんだと?」
教授は気付いた。
つづく
173 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/14(日) 20:16:20.85
>>172の続き
黒い靄に包まれ爛々と眼を光らせた獣の様なモノが、いつの間にか何匹も教授を取り囲んでいるのだ。
「こ、これは・・・まさか『猟犬』?!ばかな!なぜ小娘がこんなことを!!」
かの地に潜んでいた、この世ならざる者たちが教授の「匂い」を嗅ぎつけて、ここまで追いかけてきたのだ。
そして今まさに教授に爪を立て、その本質もろとも煉獄に引きずり込まんとしていた。
「う お お 認めんぞ!JK如きにこの私がああああああああ!!」
触手に生やしたメスを振り回し、てこなに斬りかかる教授。てこなの肢体が鮮血に染まっていく。
だが、てこなは一歩も退かず、冷たく言い放った。
「 飛 ん で い き な 。 」
「おごあ〜〜〜!ιょぅがくせぇえええ〜〜〜〜〜〜!!!」
教授は断末魔の叫びをあげながら、「猟犬」に引きずられ、「彼方」へと消え去った。
「 時 田 さ ん ・ ・ ・ 」
てこなはふらついた足取りでトッキーが飛び発った壁際に立った。
てこなは暗い夜空を、ジグザグに飛びまわりながら地上に墜ちてゆくジェットの光芒を見た。
てこなは寂しく微笑みながらつぶやいた。
「さようなら、時田さん。いつかまた会いましょう。そう、死もまた死ぬ。その時には・・・。」
光は新宿御苑に不時着した。だがそれを見届ける者はいなかった。
てこなは拡散した。
つづく
>>173の続き
夜の帳が降りた新宿御苑に、ジェット噴射の光芒を放ち芝生を抉りながら不時着する鉄塊があった。
小脇にまどかを抱え、背中にリョウジをおぶったトッキーだった。
限界を迎えたアイアンマンスーツは着地とともにバラバラに砕け、その動力は絶えた。
そしてトッキーもまた、限界を迎えようとしていた。力尽き芝生に横たわる彼の手を、リョウジが握っている
「リョウジ、最後の最後で、しくじったよ。最後まで彼女に頼りっぱなし・・・情けないな・・・。」
「・・・何言ってるんだトッキー、かっこよかったぞ!」
まどかも泣いていた。
「トッキーさん・・・!まってて。今その傷を・・・」
自身の願い事で、トッキーの命を助けようとするまどか。
「だめだ、まどか!」
力ない声でトッキーがまどかを制した。
「リョウジ、まどか、勝手な事を頼む。おまえ達の願いで、『世界』を救ってくれ!」
「・・・・・!」
リョウジは絶句した。彼は教授の言葉を思い返していた。
「『願い事』を用いて君自身が世界と一体化すればいい。世界の『間隙』が見つかるかもしれない・・・・」
だがそれは、それは願った本人の消滅を意味している。
それに、これは何の勝算もない破れかぶれの賭けにすぎない。仮説に仮説を重ねた憶測だ。
世界の「隙間」などそもそも存在しないのではないか?教授の出まかせでなかったと、誰に分かる?
リョウジは逡巡していた。リョウジはトッキーを見た。
つづく
>>174の続き
・・・トッキーは泣いていた。
「結局、彼女の事、最後まで助けられなかった・・・そしてもうすぐみんな消える・・・そんなのあんまりだ・・・こんな終わり方、あんまりだ・・・。」
「・・・・わかった、トッキー。」
リョウジは意を決してトッキーに答えた
「『世界』は俺が救う。彼女も、理事長も、みんな俺が助ける!だから安心しろ!」
リョウジの言葉はトッキーに届いたのだろうか?
彼は見えない何かを見つめて、宙に手をのばした。
「ああ・・・てこな、そこにいたのか、待ってろ・・今、助ける・・から」
そういってトッキーは宙を掴み、事切れた。
「・・・・トッキー!!」
リョウジは、芝生に顔をうずめ、泣いた。
まどかは震えながら、俯いていた。
つづく
>>175の続き
「まどかちゃん、君は『願い事』を使って、学園に戻るんだ。俺には行くところがある!」
しばし泣いた後、リョウジは立ちあがり、まどかに告げた。その胸には英雄的な使命感が燃えていた。
「・・・え?」
まどかが顔を上げて、いぶかしげに尋ねた。
「まさか、あの先生の言った通り、『世界』を一体化して『隙間』を見つけるとか、そういうつもりなの?」
「そうだ!!」
リョウジに迷いはない。
「・・・・おじさん、ナメクジ先生の言ってた事の、何を聞いていたの?」
「・・・あ・・・?え?」
リョウジは我に返った。その場の雰囲気でなんとなく突っ走ろうとしていた自分に気付いたのだ。
「『隙間』を見つけたって、そこでおじさんがへたってしまったり、どうかしてしまっていたら、意味ないのよ?目的は、世界の外側に行って・・・・そう・・・『神様』と話し合うことでしょ?」
・ ・ ・ ・ そ う い え ば そ う だ っ た 。
話の前後を忘れがちなリョウジは、小学生にそれを指摘されてひどく赤面した。
つづく
177 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/17(水) 23:55:13.82
>>176の続き
「だから、 私 も 行 く 。 私も『隙間』まで連れて行って。おじさんと私のどっちかが『外側』に出られればいいの。確率は倍になるでしょ?」
まどかが、リョウジをまっすぐ見つめて、そういった。
それはだめだ!リョウジは慌てた。何の勝算も無い賭けに、姪を巻き込むわけにはいかない。
仮に目論見どおりに事が運んだとして、「外側」に何が待っているか、想像もつかないのだ。
「ま・・」「聞いておじさん!」
まどかがリョウジを制した。そして静かに言った。
「・・・・こんなの絶対おかしいよ。もし、『神様』がこんなことをしたんだったら、それは『神様』の方が間違ってる。・・・そう、私達がとっちめてやらないと!!」
まどかは親指で自分を指して、笑った。その笑顔は悲壮だった。
「・・・・・・」
リョウジはしばし考え、つぶやいた。
「『願い事』は組織化されるほど有効に機能する・・・・か。まどか!覚悟はいいな!」
「ええ、覚悟完了!」
まどかが頷く。
リョウジは夜空を仰いだ。空には星や月とは異なる、オレンジ色のぼんやりとした光点がいくつも点在していた。
光点は彼らを嘲笑う目のように思えた
リョウジは黙ってまどかの手をとった。そして空に向かって叫んだ。
「よく聞け!願い事を言うぞ!」
「世界の全てを見せろ!俺を世界につなげ!そして俺とこいつを『外』に連れて行け!」
ぐ ぐ ぐ ぐ ぐ ぐ ぐ ぐ ぐ
リョウジの目の前に、空が落ちてきた。
つづく
リョウジの心に、星空が流れ込んできた。
夜と昼、月と太陽が何万回転もリョウジの頭上をめぐり彼は時間の感覚を失った。
やがてリョウジの眼は己の立っていた公園を俯瞰し新宿を俯瞰し日本を俯瞰し地球を俯瞰し、これまで考えた事もない、人間に視覚することのできない何かを俯瞰していた。
気がつけばリョウジの眼前には、幾多の人間の願いから派生した、無数の地球があった。
既にリョウジに時間の概念は無く過去現在未来の出来事が、彼の前では同時に存在した。
今やリョウジは世界そのものだった。
リョウジはそこで起きた事起きている事起きる事の全てを認識した。
或る地球は核の炎に包まれ、荒廃した大地をならず者たちが走り回っていた。
或る地球は全能の神が降臨し、人々は永遠の安寧に身を浸しながら頭に色々なものをダウンロードしていた。
或る地球は木星からやってきた珪素生命体に融合され、機界昇華を果たしていた。
或る地球では封印された煉獄でのたうちながらなお、いかがわしい謀を企む教授がいた。
或る地球では崩れ落ちた学園の校舎を前に、娘としみじみ語らう理事長がいた。
或る地球では地獄の荒野を毅然と歩む、何人ものてこながいた。
或る地球では母親と再会を果たした雨が、たのしそうに遊んでいた。
彼の意識が無限に拡散してから数秒か?数年か?
かしゃん。何かが砕ける音がした。
「なんだ?!」
リョウジは戦慄した。
突然、世界の一角、何万もの地球が、リョウジの視野からごっそりと消えうせたのだ。後にあるのは闇だった。
かしゃん。
かしゃん。
かしゃん。
崩壊は止まらなかった。さらに何万もの地球が、次々と闇に落ちていく。
理事長が消え、てこなが消えた。
リョウジは、今こそ大槻教授の言葉を認めざるをえなかった。
「これは『祭り』だ。世界を管理していた何者かが、『ここ』を終わらせる前に、なげやりに最後の『実験』をしているのだ。」
「・・・『おれたち』は一体何だったんだ・・・よくわからない目的のおかしな実験でいいように踊らされ、そして用が済んだら消されて、なかったことにされる・・ただそれだけの存在だったのか・・・・」
「 を を を を を を を を ! ! ! 」
怒りと絶望のあまり、リョウジは咆哮した。その声は三千世界に響き渡った。
その時だ。
リョウジは感じた。
風だ。
世界と一体となった己の内側を軽やかに駆け抜けて行く、一陣の風があった。
まどかだった。
「おじさん、私、行くよ!」
まどかが世界を駆け抜けていく。
「!!!!!!!!!!」
リョウジは気付いた。
今やあらゆる事象を認識するリョウジには、この世界の「間隙」、世界の「外」に至る道筋が、はっきりと分かったのだ。
「まどか!あそこだ!あの流れの果だ!」
リョウジが世界に示した道標を辿って、まどかは様々な地球を転々としながら世界を駆けあがっていった。
まどかは原始の海原を駆け抜けた。
まどかは核の荒野を駆け抜けた。
まどかは終わらない学園祭を駆け抜けた。
まどかは宇宙戦争のさなかを駆け抜けた。
まどかは深海の玉座を駆け抜けた。
刹那、まどかは雨の傍らを駆け抜けた。
まどかは振り返った。
雨と母親が、あやとりで遊んでいた。雨は幸せそうに笑っていた。
「さようなら・・・・・雨くん!!」
まどかはさみしそうに笑って、上を向いた。
181 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/18(木) 21:36:23.27
まどかが上昇してゆく。「外側」は目前だ。
光の奔流となったまどかは、今まさにこの「世界」の「外」へ向かい「間隙」を突破せんとしていた!
いっけぇぇぇぇええええええ〜〜〜〜〜〜!!!!
まどかぁぁぁあああああああ〜〜〜〜〜〜!!!!
リョウジが叫んだ。
「 あ り が と う ・・・・・ リ ョ ウ ジ お じ さ ん ! 」
それが、リョウジの聞いた最後の言葉だった。
か し ゃ ん 。
次の瞬間、リョウジの意識は己と一体となった無数の地球と共に、粉々に砕け散った。そして、虹色に輝く幾千億もの微塵となって、闇の底へ消えていった。
世界が終ったのだ。
気がつくと、
まどかは、何もない場所に立っていた。
見る目、聞く耳、嗅ぐ鼻からは、いかなる情報も入力されなかった。
目をこらしても、そこには闇すらなかった。
ここはまどかの心が認識できない場所なのだ。
「・・・・!これは・・・?」
●
一つだけ、まどかが感じられるものがあった。
それは、小さな、黒い球体としてまどかには認識された。
これまで、まどかの居た「世界」だった。
今は固く冷たく、閉ざされている。死んでしまった「世界」だ。
「みんなここにいたのに・・もう何もかも・・・」
耐えがたい悲痛がまどかの心を刺した。
「・・・・!」
急に、世界の他に、別の「何か」が感じられた。
それは、まどかを観察する幾つもの「視線」だった。
「視線」からは、ある気配が感じられた。
当初、それは「驚愕」と「嫌悪感」だった。
だが時を置かずそれは「侮蔑」「憐憫」「嘲笑」へと変わっていった。
(・∀・)ニヤニヤ (・∀・)ニヤニヤ
(・∀・)ニヤニヤ (・∀・)ニヤニヤ
まどかにも理由は想像できた。
シャーレで観察していた微生物が、目の前に飛び出してきたのだ。
"驚イタナ、λガコノ階層デ実在化スルトハ。"
"λノ権限ヲ広ゲスギタンダ。最後ダカラッテ無茶シスギダ。"
"●ノココニ、ほーるガアッタンダ。『次』ハ初期ぱらめたノ設定ヲ入念ニシナケレバ・・・"
世界を外部から管理、観察していた「外なる」者たちが会話を始めた。
何故か、まどかには彼らの「言葉」が理解できた。
「願い事を言います。これを元に戻して!みんなを返してよ!」
まどかは「世界」を指差して彼らに叫んだ。
"ソレハ無理ダ。'願イ事'ハ●ノ内部デノミ有効ナノダ。"
"スデニ●ハしゃっとだうんシテ廃棄シタ。"
"老朽化シテイタノダ、りそーすモ枯渇シテイタ。"
"最後ニ、オ前タチニ『褒美』ヲヤッタノダ。永年我々ニでーたヲ提供シテクレタ。セメテモノ礼ダ。"
"ノンビリシテイラレナイゾ!でーたノ移行ハ完了シタ。新タナ◎デ観測ヲ再開シヨウ"
"オ前モ、◎デ再生サセヨウ。コノ階層デハ、アマリニ不憫ダ・・・"
(・∀・)の1柱が憐れむようにまどかに語りかけた。
「・・・その必要はありません。もう一度言います。『これ』を元に戻しなさい!あなたたちにとっては、ただの実験でも、私には、私達には、『これ』しかないの!大切なの!他には替えられないの!」
まどかは再び彼らに言い放った。発した本人も驚くほど、鋭く、威厳のある声だった。
「・・・・・!」
(・∀・)達は一瞬、まどかに気押されたように沈黙した。
だがすぐに嘲るような調子に戻って、まどかにこう言った。
"ソコマデ言ウナラ、イイダロウ。●ヲ起動スル『すいっち』ハ、ココニ残シテオコウ。"
"コレデ●ヲ再起動サセロ、コノ階層ニ在ルオ前ナラバ、ソレモ可能ダロウ。"
"任意ノぽいんとカラλλλヲ再生サセルコトモデキルダロウ。ぱらめたノ調整モナ。"
"ダガ、ソンナコトヲシテモ徒労ダト思ウヨ・・・"
"古イ●ダ、我々ガしゃっとだうんシナクテモ、スグニ崩壊シテタサ。"
"ソレニ、オ前タチハ社会しすてむスラ満足ニ維持デキナイジャナイカ。"
"定期的ニめんてなんすシナイト、スグニ食イ合イヲ始メルシナ。"
"無駄ダト思ウヨ、無駄無駄無駄無駄。"
"サア、◎ヲ起動シヨウ。"
"今度ハ、上手クヤラナイトナ・・・"
(・∀・)達の気配が消えた。
まどかは独り無の中に取り残された。
「ここ」に在るのは、まどかと、死んだ「世界」だけだった
いや、もうひとつ。
まどかの手の中に「光」が在った。まどかは理解した。
これが、彼らの言っていた「スイッチ」だ。
「これで世界を『起動』できる。でも・・・」
まどかは彼らの言葉を思い出した。
たとえ世界を復活させても、彼女に上手くコントロール出来るだろうか。ぱらめた?調整?
両親やリョウジ達を生き返らせても、再び崩れゆく世界で、さらなる苦しみを与えてしまうだけなのではないか?
まどかは逡巡した。
186 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/19(金) 22:52:21.91
まどかは目を閉じた。
まどかは口うるさいが優しかった両親の事を思った。少し偏った熱血漢の理事長、ママっ子の雨、ヒーローになったトッキー、偏屈だが頼もしい飯島老人、かわいそうなてこな、そしてまどかをここまで導いて闇に散ったリョウジのことを思った。
両親と囲んだ食卓、級友と遊んだ校庭、雨とのあやとり、学園の喧騒、真夏の入道雲、何度も何度も食べたカレーの味、てば九郎のやきとり、崩れた校舎と夕陽、新宿のカーチェイス、リョウジと見上げた夜空。全てが鮮明にまどかの瞼に蘇ってきた
生命と世界に対する、言いようのない激しい思いが、まどかの胸を突き上げた。
「できるさ・・・」
まどかの中の誰かが言った。
187 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/10/19(金) 22:53:31.67
まどかは目を開けた。
そして、「世界」の前に立ち、手の中に在る「光」をかざした。
○
まどかは「スイッチ」を入れた。
===========================================
リジェネレイターまどか
おわり
===========================================
188 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/06(火) 02:50:17.74
サイバーパンクなweb小説を書こうと思ってるんだが設定が壮大すぎてストーリーが浮かばない
そして光の集合体に飲み込まれてアセンションしました!?♪。
>>188 おもしろそうだから、その壮大な設定を書き込んでよw
>>188 設定が壮大すぎると、書ききれなくて途中で嫌になる罠があるし、
世界観とか説明するのがめんどくさいから、
自分の日常の中にサイバーパンクな異物が挿入されるような話の方が書きやすいと思うよ。
暴走、増殖したナノマシンとIPS細胞が世界中に蔓延している近未来・・・2012年クリスマスイブ!
ボンクラのルサンチマンが具現化したイドの怪物たちが、主人公(14)の住む多摩市を襲った。
怪物の魔の手を逃れ、日野市はネオ・多摩テックに籠城する主人公達。
ヘタレの主人公と、ナノマシンに侵され無理やり義体化されてしまった電波ヒロイン(14)の運命やいかに。
「ナノマシンとIPS細胞」を君の最萌えガジェットに、
「イドの怪物」を好きな怪獣怪人に、
「多摩市」を自分の住んでる地域に、
「多摩テック」をデートで行きたい場所に、
「電波ヒロイン(14)」を君がペロペロしたい誰かに置換してみよう!
壮大な設定も教えてね。
>>191 >設定が壮大すぎると、書ききれなくて途中で嫌になる罠があるし、
いつから書ききらなければならないと錯覚していた?
>世界観とか説明するのがめんどくさいから、
いつから説明しなければならないとだと錯覚していた?
投げっぱなしジャーマンでいいだろ
設定を推測するのも世界観を考察するのも、読者の自己責任でいいだろ
書きたい話の書きたいシーンを書けばいい
大切なのは面白いかどうかだろ
俺はよそのスレの24
>>188 それでは、サイバーパンクの定番ストーリーで行ってみましょう。
犯罪組織に狙われて、瀕死の重傷を負った少女が、サイボーグ化されて犯罪組織と戦うw
ラスボス一人にその部下が5人くらい。
ラスボスの部下を一人一人倒していって、最後にラスボスを倒してハッピーエンド。
ネットの海に漂う「何か」が、時々少女の前に顕現したり、反転変身する万能道具存在の相棒もほしいな。
そこまでやっちゃうと、「マルドゥク・スクランブル」のバクリと呼ばれるw
借りるのは、あくまでもストーリーの大雑把な枠組みだけだよ。
完全オリジナルを創るのが、一番楽しいよ
サイバーパンクと聞いて、ほわんほわん妄想してみた。
新西暦2012年。
俺はある男を追って、背徳の街、ノイエ・タマベルクに降り立った。
禁制の死者蘇生ドラッグ「YOG」の流通ルートを探るため、バイヤーのモグロに接触する必要があったのだ。
俺は「ノーブル」だけが入ることを許される総合賭博施設「パルテノン」に潜入、首尾よく奴の居場所を掴んだ。
「デ、デバステイター!」
モグロは俺の顔を見るなり、いきなり「ワーウルフ・ドライブ」を取り出すと、自分のこめかみにブチこんだ。
「ぐお〜〜〜〜!」
醜いケダモノに変身したモグロが俺に飛びかかる。
だが俺は「イマジノス・アーム」をパンプアップさせると、奴を組み伏せ、その首をへし折り顎を引き裂いた。
俺の「通り名」を知っていながら近接戦闘を挑んでくるなんて、馬鹿な野郎だ。
仕方ない、「情報」は奴の脳から直接採取するとしよう。俺は「イマジノス・アーム」をブレインアクセサに変形させた。
だが様子がおかしい。いつの間にか「パルテノン」の周囲をエアバイクを駆るロボマッポどもが取り囲んでいる!
「スメラギせつな!『菟原てこな』の略取、監禁容疑で貴様を逮捕する!」
フロアに聞き覚えのある声がこだました。ノイエタマ署の大門刑事だ。馬鹿野郎は俺の方だったらしい、はめられたのだ!
「くくく・・もう手遅れだ、『トワイライト・サイン』が始まった・・・太古の魔法帝国『イズモ』・・・『あの御方』が蘇るのだ・・・もう誰にも・・・止められない。」
モグロが捨て台詞を吐いて事切れた。
「う・・・う〜ん・・」
聞き覚えのない声に振り向いた俺は愕然とした。
モグロが焼却処分しようとしていた一糸纏わぬ少女の死体が、苦悶の声を上げて起き上がろうとしているのだ!
「馬鹿な・・・生命活動は停止していた・・・まさか『YOG』の献体!?・・うおお!」
突如、右眼に激痛が走った。信じられない。俺の「イーブル・アイボールセンサー」が、彼女の発する「パワー」に呼応している!
だがここでのんびりしている暇は無い。おれは少女を抱え上げると非常階段に飛び出し、「パルテノン」の13階でフロートしていた「スピナー」に飛び乗った。
「この事件・・・やはり何かある。『あいつ』に直接会って、『網』を広げるしかないか・・・!」
俺は少女を肩に抱きながら「スピナー」のアクセルを踏んだ。
「あいつ」に会うのは10年ぶりだ・・・。
行先は日本最後の魔境、クマガヤバルトだった。
以上。つづきよろ。
>以上。つづきよろ。
…の前に、世界観ぐらい説明しやがれですのw
>>199 文中から察するんだ。「なんでもあり」だ。
サイバーパンクではない
却下
>>202 では「おとぎ話」というカテゴライズでひとつ。
wikiでサイバーパンクを見てみたら、
テクノロジーが異様に進んだ、退廃した未来社会を描くだけではサイバーパンクではなく、
「個人や集団がより大規模な構造(ネットワーク)に接続ないし取り込まれた状況の描写」
「構造・機構・体制に対する反発(いわゆるパンク)」
「社会や経済・政治などを俯瞰するメタ的な視野」
…と言った、小難しい理屈が必要ならしい。
>>203 ついに
>>197の基本設定を明かす時が来た。
主人公の俺、スメラギせつな(30)は元傭兵の私立探偵。
魔都ノイエ・タマベルクの人々を悪党から守る街の「顔」だ。
第五次昆虫戦争で失った両腕は、死んだ相棒の忘れ形見、高機能イマジノス体で代替している。
生まれ持った「イーブル・アイボールセンサー」の真の力を知る者は、俺以外にはいない。知った者は全て死ぬからだ。
俺が「パルテノン」で拾った少女は菟原てこな(14)。死者蘇生ドラッグ「YOG」の実験隊にされた哀れな娘だ。
薬の副作用で世界の上位に遍在する「何か」にアクセスした果てに取り込まれてしまったため、時々変な「啓示」を口走ったり、ドログチョの「奇跡」を起こしたりする、ちょっと困った子だ。
てこなをつけ狙う秘密結社「G∴O∴T」は彼女を「何か」を呼びだすための「触媒」にしたいらしい。
そんなことはさせるか!
さっき俺を追いまわした女は、ノイエタマ署の刑事、大門凛子(25)だ。
スレンダーな美人だが、真正のサディストだ。俺も何度も捜査の邪魔をされ、煮え湯を飲まされている。
憎むべき官憲の犬め!でもなんだ・・・この気持ちは・・・?いかんいかん!しっかりしろ俺!
俺がクマガヤバルト刑務所に向かうのは、連続殺人犯の大槻教授に面会するためだ。
男女問わず48人を殺し回った狂人だが、その脳内データベース「宮殿」に記録された犯罪者リストと、驚異のプロファイル能力には、警察も一目置いている。
奴の情報が必要だ。だが奴は俺の相棒、フィリップを殺した宿敵でもある。
虎視眈眈と脱獄の機会を窺っているようだが、出てきた時には今度こそ俺が引導を渡してやる!
書けば書くほどサイバーパンクでない気がしてきたが、まあいいや。
こんな感じでつづきよろ。
205 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/09(金) 17:24:27.38
サイバーパンクなら埼玉が舞台でないと……
「悔い改めるのです」俺は十字架を掲げた。
厚いアクリル板の向こうの大槻教授は顔を伏せて、必死に吹き出すのをこらえている。
「主の御前で懺悔すれば、必ず救われます」俺は口の前に人差し指を立て、目くばせをした。
事件被害者同僚という俺の立場では面会が難しそうだったので、ちょっと担当の神父さんに病気になってもらって代わりに入り込んだんだ。
俺が十字架のキリスト像の頭を押すと、大槻教授だけに見えるホログラムが発生した
(「G∴O∴Tの最新情報をよこせ。情報料は値切らせろ」という文字が発生したはずなんだが俺にも見えない)
笑いを誤魔化そうと大槻教授が横を向いて咳をしたとたん、俺のポケットで携帯電話が妙な着信音をたてた。
立ち会いの施設職員ににらまれた。俺だって携帯電話の電源を切るぐらいの常識はわきまえているし、確認したが電源は切れている。
大槻教授をみると眉毛を変に動かしているので、いったん退散する事にした。
本部から緊急呼び出しがあったという事にして、周りに頭を下げながらクマガヤバルト刑務所を後にした。
あの時、あの場所で、携帯電話に何が送られたかを確認しておけば、あんな目に合わなかったのに、と後悔するのは数日後の話だ。
207 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/09(金) 22:21:44.15
閑話休題
>>205 「さ・・・さ い た ま け ん 〜〜〜!?」
俺はジュクジュクと嫌な気分になった。
「ふざんな。何であんなブロッコリーしか生えてないような所にしなきゃなんねーんだ!武蔵野線とかすぐ止まるし、レッズファンは目に痛いし、まじいけてねーんだよ。タマでいいんだタマで!」
俺はノイエ・タマ市を愛していた。23区のブタどもは「パルテノンがあるんでしょw」とかいって馬鹿にしやがるが、いいじゃねーかパルテノンでも!!!!!!
何で足立区の蛮族に「タマタマw」とか言って笑われなきゃなんねーんだよ!
奴 ら は 絶 対 に 許 さ な い !
つづく
208 :
206:2012/11/09(金) 22:51:03.89
俺は、ダサイタマとか、チバラギとか穢土(edo)とかいう「東夷(あずまえびす)」の跳梁跋扈する未開の地に興味は無い
箱根の東は人外の土地だからw
三代住めば江戸っ子?なんてリーズナブルw
京都で京都の人間と認められる家は、先の戦争の前から住んでいる人だけという
先の戦争とはもちろん応仁の乱のことだw
209 :
206:2012/11/09(金) 22:57:37.55
ところで俺は主人公に
自分では二枚目だと思っている二枚目半
変にカッコつけて骨董品になりつつあるガラケーを使う奴
というキャラ付けを勝手にやったから、
よろしく
>>209だいたいその通りだからいいよ。
京都人がギャオスの大群に喰い尽されますように。
京都人がギャオスの大群に喰い尽されますように。
京都人がギャオスの大群に喰い尽されますように。
俺は不動明王の真言を唱えながらスピナーに飛び乗った。
前世紀のガラケー、iPhone105に着信があったようだが何だったのだろう?
だが俺の関心はすぐに別に移った。ノイエ・ウラワの別宅に匿った「少女」のことだ。
彼女は一体何者なのだろう?
つづく
211 :
206:2012/11/10(土) 21:26:00.76
「バチッ」
俺の頬がひっぱたかれる音が鳴り響いた
「変態。信じられない」てこなは真っ赤な顔で泣きながら、どこかに転移していった。
違う、俺は変態じゃない、でも女の子になじられてビンタされるのって……
「いやいやそうじゃなく。なんで俺のポケットに全裸フィギュアが入っているんだ。俺のiPhone105はどこに行ったんだ。てこなはどこに行ったんだ」
「お答えします」フィギュアが身動きしながら返事をしたので、思わず投げ捨ててしまった。
フィギュアはカゲロウのような翅で俺の目も前にホバーリングした。
「1.私はフィギュアではなく、大槻教授からのメールです。2.iPhone105はコミュニケーション機能を高める為にこの姿にトランスフォームしました。3.てこなさんはスメラギせつな様が発見しにくいところにいる可能性が高いと思われます」
「こんな変形をトランスフォームとは言わないだろ。コミュニケーション機能は高くならないだろ。何でメールを受信したらフィギュアになるんだ。ああ、説明してくれなくていい、どうせ理解できない」
このフィギュア、顔も姿もてこなに似ている。てこなは俺が自分に似せた全裸フィギュアを作って自分に見せつけたと思ったのだろう。そんなやつ、確かに変態だ。
「取りあえず服を着てくれない?」
「大槻教授とは御趣味が合わないようですね」フィギュアの表面が変化し、セーラー服を身にまとった。
「――ってことは、あんたがG∴O∴Tの情報をくれるんだな」
「はい、何でもご質問下さい。情報料については、おって話し合いましょうとの事です」
「だけど今はてこなを捜すのが第一優先だ、でもってこの件についてはあんたにも解らないと」
どこにいるてこな。G∴O∴Tよりも早くてこなを見付けなければ。
つづく
212 :
206:2012/11/10(土) 23:28:33.96
俺が連投するのは面白くないので、誰かが続きを誰かが進めるまで書き込まないでいようと思う
続きが思いつかないのもあるけどwww
>>211の続き
「『彼女』について、他に情報は?」
俺は変形したiPhone105に尋ねた。
「『菟原てこな』、住所不明、年齢不明、学籍不明、病歴を含む身体的特徴不明。役所を始め、ありとあらゆる機関のコンピューターから彼女の情報が抹消されています。」
大槻教授の放った萌えメール、「めるも」が翅をぱたぱたさせながら答えた。
「なんだよそれ、臭いなんてもんじゃないな。」
仕方ない、ノイエタマに戻って、足で洗い出すしかないか・・・。
「『G∴O∴T』の情報は?」
「『東方薄暮騎士団』・・・前世紀に暗躍していた異形の神々を崇拝する秘密結社です。過去『ルルイエ計画』『炎蛇計画』といった様々な犯罪に関わっていたようです。」
「『秘密結社』、『異形の神々』・・・・面白いな。」
大好物ワードの連発で、俺の胸は高まった。
「ん・・・?なんだあれ?」
突如、俺は異変に気付いた。疾走するスピナーの前方、ヤエン・シュトラーゼの真ん中に、巨大な黒い靄の様なものが立ち込めているのだ。
「何かおかしい!」
危険を感じて急ブレーキ踏むも、スピナーはそのまま靄の中に突入した。
ぶわーーーーーん!
何たることか。靄に見えたものは、その渦中に飛び込んでみれば、おぞましきかな!灰色の小さな羽虫の群れが形成する巨大な虫柱だった。何万匹もの羽虫が雲霞の如く道路に湧きあがり、スピナーを包んでいるのだ。
俺は恐怖に駆られ、スピナーを再発進させようとする。だがアクセルがかからない!
「!」俺はスピナーの前方に立つ人影に気づいた。羽虫の靄に覆われその姿は定かではない。
「人違いだったらごめんください。スメラギせつな・・・さんじゃございませんか?」
影が俺に尋ねる。男の声だ。やはり俺が狙いか・・。俺はスピナーを下りて「イマジノス・アーム」に意識を集中した。
「いかにも、スメラギですが、何かくれるんで?」
「ああ・・・こいつをな!」
しゅばっ!応えるや否や、無数の十字手裏剣が雲霞を切り裂いてこちらに飛んできた!
「『蟲使い』、『手裏剣』・・・・まさか、『甲賀』の『地虫十兵衛』!??」
高質化したイマジノス・アームで手裏剣を受け払いながら、俺は戦慄した。
214 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/11(日) 19:49:02.40
甲賀卍谷衆!何百年にも渡って近親交配を重ね、殺しの業を磨いてきた暗殺者集団。その存在は裏世界でも恐れられていた。俺も忍者と相対するのは初めてのことだ。
「くらえ!宇宙忍法『闇霞』!!」
十兵衛が叫ぶ。ぶわーーーーーん!何万匹もの羽虫の群れが、一斉に俺の体にたかってきた。
羽虫はその小さな顎で俺の皮膚を噛み割き、中に潜り込もうとしている!
「うおおおおお!」
苦痛に転げまわりながらも、俺はイマジノス・アームの発電細胞を活性化させた。
ばちん!俺の体を何十Aもの電流が伝い、羽虫どもが一瞬俺から振り払われる。勝機あり!俺は叫んだ。
「戦術神風!」
イマジノス・アームの掌底から吹きあがったアストロ・キンチョールが俺の体を覆う。
さしもの羽虫どもも、これは効いたようだ。羽虫は俺の周りを離れ、ヤエン・シュトラーゼの側道に新たな虫柱を形成した。
今だ!俺はイマジノス・アームをパンプアップさせ十兵衛に走り寄る。
「ぬうう!」狼狽した奴が手裏剣を雨あられと俺に浴びせかける。だが苦し紛れだ。俺は手裏剣を払い落すと奴の喉首を絞めあげた。
「とったり、十兵衛!!」
俺は左手にブレインアクセサを形成した。忍者が依頼主の名を明かすことは絶対に無い。直接脳髄に聞くしかない!
ぷつっ!ぷつっ!アクセサの端子が次々に奴の頭蓋に突き刺さる。だが何かがおかしい。この意識パターンは・・・・まさか!!!
ぶわっ!十兵衛の頭部が一瞬、倍ほどに膨れ上がった。その眼窩や鼻、口中から這い出てきた、ミミズ状の妖虫が、俺の腕と首を絞めあげたのだ!
「げへへええぇ!見たか! 宇宙忍法『 顔 中 蠱 』!!このまま絞め殺してくれる!」
勝ち誇る十兵衛。うかつだった!奴の頭蓋の奥に在るのは人間の脳髄ではなかった。替わりに何百匹もの火星長虫が蠢きのたうち発するスパークが、統一された自我を形成する。
十兵衛はそういう忍者なのだ!
長虫に呼吸を遮断され、俺の意識は朦朧としてきた。
つづく
215 :
206:2012/11/12(月) 18:56:17.76
息が出来ない。
なぜ息が出来ないんだろう。
そうだ、またおねしょをしてママに首を絞められているんだ。
ママにゴメンナサイをしないと。
がんばってゴメンナサイをしたら、また優しいママにもどってキスをしてくれるんだ。
「マ」マ!ゴ「メン」ナサ「イ。タスケテ」
「了解しました」
暗転。
何で俺はアスファルトの上に転がっているんだ。
えーっと、俺はさっきまで……。
「地虫十兵衛」
俺は四つんばいになってあたりを見回した。
首と腕が痛い。
空に歪んだ魔法陣が輝いている。
「地虫十兵衛が御入り用ですか?」ずいぶん遠くから、めるもの声が聞こえた。
上空から人型で翼の生えた化け物が降りてくる。コウモリのような翼、クジラのような肌、そして顔が無い。
「ナイトゴーント!」
ナイトゴーントは俺の目の前に地虫十兵衛を落とすと、上空に舞いあがり空の魔法陣に中に消えた。
「地虫十兵衛を生かしたまま捕らえようかとも思ったのですが、取り急ぎ召喚できるのがナイトゴーントでしたので、殺してしまう事になってしまいました」
輝くめるもは魔法陣から光の帯をたなびかせながら戻ってきた。また全裸になっている。
「お前が魔法陣だったのか。こいつは生きていても口は割らないからこれでいい」
俺は左手にブレインアクセサを形成した。
火星長虫から情報を奪った事はないんだが、さて試してみよう。
つづく
216 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/12(月) 19:27:09.05
>>187 乙
次はニュース速報VIP板でやれ。
あそこは厳しいぞ、いろんな意味でw
>>216 「あんな恐ろしい場所で、ほわんほわん妄想できるわけないだろ!」
理事長が怯えた目で答えた。
「そもそも、最初はまったりリレーするつもりで始めたのに、誰も構ってくれないから引っ込みがつかなくなったんだよ!」
理事長が必死で言い訳した。
つづく
218 :
206:2012/11/12(月) 21:29:23.83
火星長虫を調べて手に入れたのは、ひどい頭痛だけだった。
「ところでめるも。お前なんで召喚とかできるんだ?」スピナーのイグニッションキーを回しながら尋ねてみた。
「これは『G∴O∴T』の召喚魔法の技法です」
「『菟原てこな』は転移出来たけど、お前も同じ事が出来るのか?」さらにイグニッションキーを回しながら尋ねる。
「転移の際、何の呪文もゼスチャーも無く道具も使っていませんでした。あれは技術ではなく彼女の属性です。無意識に転移した可能性もあります」
「無意識だったら、打つ手はあるな。めるも、iPhone105にトランスフォームしてくれ。JAFに電話する」
つづく
>>218の続き
「あーこりゃひどいなー。メーカーから部品取り寄せないと。1カ月はかかるよ」
スピナーの機器にビッチリ詰まった羽虫の死骸を見て眉をしかめるおやじ。
「そこをなんとか頼むよおやっさん!」
おやっさんに頭を下げながら、俺はタイヤ館タマセンターを後にした。
「せつな様、さっき『打つ手』といいましたけど?」
めるもが翅をぱたぱたさせながら俺に尋ねる。
「てこなの『転移』が無意識であるなら、イメージした転移先は暗号化されていない可能性が高い。俺のブレインアクセサのアンテナが、彼女の発した脳量子波を受信しているかも知れん、それを辿れば或いは・・・」
俺は左手にアクセサの端子を形成した。
「めるも、解析を頼む。」
ぷちぷちぷち!アクセサの端子がめるもの背中に接続される。
「ゆーんゆーんゆーーん」
虹色に瞳を輝かせて、いろんなモノを受信するめるも。
「こ・・・これは・・・!なぜ彼女がそんな場所を!」
「わかったのか?めるも!」
めるもは戸惑いながら答えた。
「あらゆる並行世界に遍在し、混沌の『先触れ』と戦う『超時空学園要塞』・・・私達はただ『学園』と呼んでいます!」
・・・(´・ω・`)
また「学園」か!俺はちょっとうんざりした。
つづく
一方その頃
落日の残光も消えかかったヤエン・シュトラーゼのアスファルトに立ち、無残に撒き散らされた火星長虫の骸を囲む4つの影があった。
「まさか・・・十兵衛様ほどの手練が一瞬で・・・スメラギせつな!許さん!」
可憐な肩を怒りで震わすのは甲賀卍谷衆のくノ一 、焔(14)だった。まだJKにも満たない娘だが、その全身から凄絶な色香を放つ美少女だ。地虫十兵衛のことを憎からず思っていたのだ。
「落ちつけ焔、忍びの勤めは修羅の地獄、奴には天運がなかった、それだけのことよ。」
卍谷衆の首領、兜弦之助(20)が冷徹に言い放った。金色の双眸から強烈な殺気を放つ、身の丈6尺を超える偉丈夫だ。
「左様、十兵衛は我ら『甲賀5人衆』の中でも最も『血』の薄い男、残った4人がかかれば粗末なサイボーグ如き恐るるに足らん。」
「5人衆」の最長老、アミガサ粘菌斎(70)が頭部の菌状腫を揺らしながら不気味に笑う。
「しかし妙ですな。おかしなサイボーグは出るは、十兵衛は『魔法』に討たれるは、『菟原てこな』とかいう娘、やはり何かあるのでは・・・?」
ぼろ布を纏った全身から腐った魚のような悪臭を放ち、陀厳状介(30)が首をかしげた。その顔はさながら魚と蛙と人の合いの子だ。
「状介!余計な詮索は無用!我らは勤めを果たすまでじゃ!」
焔が状介を叱咤した。
221 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/13(火) 23:45:47.36
「4人衆よ・・・」
4人の背後から、しわがれた声が響いた。一際濃さを増した闇の奥に、灰色のローブに身を包んだ男女の別も分からぬ何者かが立っていた。
「これは『おおとり様』!わざわざお越しになられるとは!」
闇にかしずく4人。彼らの依頼主がやってきたのだ。弦之助の額を冷たい汗が伝う。甲賀の首領にして地上最強の忍者を自負する彼ですら、今回の「クライアント」には得体の知れない恐怖を感じていた。
「『菟原てこな』は『学園』に身を隠した。探し出し、捕えるのだ。失敗は許さぬぞ・・」
「は・・・はは〜〜〜〜〜!!!」
4人はアスファルトに額を着くと、数瞬の後には跳躍四散し、ヤエン・シュトラーゼを疾走した。目指す先は「学園」だ。
ここだけ三人称ですいません。
つづく
222Get!!!
「ここが『超時空学園要塞』〜〜〜〜!?」
めるもの案内で学園に辿りついた俺は、へろへろとテンションが下がった。
目の前に建つのは、俺がかつて通っていた、天ノ川学園中学校だったからだ。
俺の脳裏に色々と、思い出したくない魔の中学時代が蘇ってきた。
「この『世界』ではこういう形態なのです。さあ、てこなさんを探しに行きましょう。」
「うっ!」
俺は二の足を踏んだ。黒のトレンチコートにグラサン、山高帽の俺は、学校に入ったら、かなり不審者っぽいのでは・・・?
だがここで躊躇していては事件は解決しない。俺は思い切って、校門の周りの植木を手入れしている用務員さんと思しき人物に声をかけた。
「あの〜、最近この学校で、何か変わった事とか、ありませんでした?空から女の子が降ってきたとか・・・」
俺はモジモジしながら、怪しさ大爆発の質問を用務員さんに投げかけた。
「変わったことか・・・そうさなあ、たしかにあったよ、『探偵さん』!」
・・・・こいつ、何故俺のことを!!!
がきっ!咄嗟に身がまえた俺の両腕に巻きついたのは、特殊合金オリハルコン製の分銅鎖だった。
これはいかなることか!?振り向いた用務員の老人がその手に構えるは、分銅鎖に繋がれたひと振りの鎌であった。
「鎖鎌」の使い手!この距離で己が武器を気取らせぬとは・・・こやつ、出来る!
「スメラギせつな、とかいったな小僧。こんな年寄りに遅れをとっといて、『奴ら』と張り合おうってのかい?」
分銅鎖を巻き上げながら、じりじりと俺との距離を詰める老人。このままでは奴の刃の間合いだ。
ならばいっそ!俺はイマジノスアームの膂力を尽くすと、奴の鎖を引っ張り上げた!
「ぬおおお!」
一瞬、体勢を崩すかに見えた老人だったが、なんたること!奴は驚くべき跳躍を見せると、俺の頭上を飛び越えたのだ。背後を取られた俺の襟元に、研がれた鎌の刃があてがわれた!
「飯島さん、そこまで!」
気がつけば俺と老人の前には、高価そうなスーツに身を包んだ一人の紳士が立っていた。
天ノ川学園の理事長、我望光明(47)だった。
つづく
224 :
206:2012/11/17(土) 00:08:34.98
>黒のトレンチコートにグラサン、山高帽
世界中の何処にいても怪しいよ
>>224の続き
「スメラギくん、さっきは手荒な事をしてすまなかったね。」
応接室に案内されて、ほうじ茶をすする俺に、理事長が頭を下げた。
「飯島さんは、君の事を試していたのだよ。『資格』があるかどうかをね。」
「ふん!少しは腕に覚えがあるようじゃが、わしから見りゃひよっこよ。」
学園の用務員にしてベムハンター「マタギ」の凄腕、飯島猛老人(75)が、鋭く俺を睨めあげる。
「そんな事より、何で俺の名前を・・・」
俺は理事長に尋ねた。
「うむ、わが校の混沌検知システム『マギカ』がこの『世界』の異変を告げた当初から、君は学園の厳重な監視下にあったのだ。君がここに来ることも察知していた。そこの萌えメールが怪しげな毒電波を撒き散らしてたからね。」
「げっ!」
俺は、めるもを睨んだ。しれっと視線をそらすめるも。こいつは大槻教授の尖兵でもあったのだ。
「だいたい、そんな恰好をしていたら世界中のどこにいたって怪しまれるだろw」
飯島老人が俺を指差して笑う。俺は、男の美学を馬鹿にされてちょっと(´・ω・`)ショボーンだった。
226 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/17(土) 15:41:05.86
「では『菟原てこな』の事も知っているんですか。」
続けて尋ねる俺に理事長が頷く。
「ああ、菟原くんはわが校で保護している。転移する彼女にマーカーを送信し学園に誘導したのだ。彼女は生徒としてここに身を隠している。
そこでスメラギくん、君に依頼があるんだ。わが校に『入学』して、彼女のボディガードに就くのだ。この『世界』では『隊員』が不足していてね。」
ぶーーーーっ!ほうじ茶を吹きだす俺。中学校に入学て・・・。
「『敵』もいずれ、ここに気付くだろうしな。お主、腕はまだまだだが、筋はいいぞ。わしが鍛え直したる!」
飯島老人が二カッと笑う。
「いやでも、そんな急に・・・。」
モジモジする俺に理事長はこう言った。
「大丈夫だスメラギくん、学園生活を送りやすいよう、君を『チューン』するから。」
理事長は巨大な魔法の指輪をはめると、俺にむかってこう唱えた。
「チンカラホイ!」
ぽんっ!
俺の体が煙に包まれる。唖然として鏡を見た俺は仰天した。俺の体が、中学2年生当時に逆戻りしているのだ!ご丁寧に学ランも着ている!
「どわ〜〜〜〜〜〜!」
悲鳴を上げる俺に理事長が追い打ちをかける。
「ついでに君の、かっこつけた一人称ももうやめだ。なんか書いてて窮屈だしな。」
理事長が傲慢に言い放つ。
「そ、そんな〜〜」
せつなは、まじでがっくりきた。
つづく
サイバーパンクと思ったら、柳生一族が出てきて、魔法少女モノになったでござるw
次はどうなる!?
柳生一族にあらず。甲賀衆にござる!
読み返してみたら、甲賀卍谷衆と書いてあるw
十兵衛様がどうのこうの、と書いてあったので、カン違いしたわ。
「じゃあよろしくな、スメラギくん。クラスは菟原くんと同じ、2年C組にしといたから。あと学園に早く馴染めるように、記憶の方も少し『チューン』しといたから。」
理事長がせつな(14)の肩をたたく。
「ちょ・・ちょっと待って下さい。こんな体でどうやって彼女を!」
狼狽するせつな。
「大丈夫だ。君の怪しげな両腕と目玉の機能は残してあるから。」
せつなが体を検めると、たしかにその通りだ。
「いやでも、『これ』はなんか目立つんじゃ・・」
せつなは金色に輝く右眼「イーブル・アイボールセンサー」を指差した。
「それもそうか、じゃあこれで隠しときな。」
理事長がせつなに眼帯を渡した。
「まったく強引だな〜。」
眼帯をかけてブツブツ言いながら2年C組の教室に向かうせつな。だが何かが妙だった。
すれ違うダチやパイセンは皆初対面のはずなのに、どこか見覚えがあるのだ。
「『記憶をチューンした』って・・・どゆこと?」
怪訝そうに席につくせつな。1時限目が始まろうとしていた。
「せ、せつな君、おはよう!」
隣の机に、風紀委員のてこな(14)が着席した。
せつなの幼馴染で家も隣同士。黒髪ロングの美少女だ。
「どうしたの?なんか疲れた顔してるけど?」
「いやちょっと・・・CODのやりすぎで・・・」
心配そうに尋ねるてこなに、せつなが適当に答える。
「まったくゲームばっかしてて!そ、それよりこれ、せつな君のお弁当!き、昨日の夕飯が余っただけなんだから、勘違いしないでよね!」
ロシアに赴任中のせつなの両親にかわって、てこなが彼の昼飯を作ってくれたのだ。
彼女はおずおずと、三段重ねのゴッツイ弁当箱をせつなに差し出した。
「あ・・・ありがとうてこな・・・。」
戸惑いながら弁当を受け取るせつな。
ず っ し り 。
食べざかりのせつなだったが、てこなの「お弁当」は、なんだかいろいろ重かった。
「起立、礼!」
担任の岩本虎眼先生(50)が教室に入ってきた。
「皆の衆。急な話なのだが、クラスに新しい門徒が加わった。転校生の暁美だ。」
これはいかなることか?虎眼先生の横には、甲賀衆第2の刺客、焔(14)が立っているのだ。
「滋賀県から転校してきた、暁美焔じゃ。宜しくお願いいたす!」
おお〜〜!妖艶な美少女の登場にどよめく男子ども。
「席はそうよな・・・スメラギの後ろが空いておるから、とりあえずそこだ。」
せつなの方に焔がやってきた。焔はせつなの前に立つと彼の顎先にツと白魚の指をかけ、クイともちあげた。おお!思わず席を立つせつな。
「お主がスメラギせつな、か・・・」
そう呟くやいなや、焔はせつなを正面からギュっとはぐはぐして耳元で囁いた。
「 オ ヌ シ ヲ コ ロ ス 」
ぽ に ゅ に ゅ 。
焔の、育ってるようで育ってない、少し育った胸が彼の体にくっついた。
「ふ ん ぐ る (´Д`;) い い !」
鼻からスチームを吹きだしアホ毛をピョコピョコさせるせつな。
ざわ・・・ざわ・・・!騒然とする教室!
ぎ ら ん ! ! ! ! ! !
てこなの瞳が、緑色に輝いた。
つづく
233 :
206:2012/11/19(月) 00:10:10.99
暁美焔は痙攣しつつ崩れ落ちる。焔の腰のあたりに水たまりが出来た。
「う?いや!何?でも!いい!!」うわごとをつぶやく焔。
「え。おもらし」「何かの発作か?」「保健室の先生を呼んでくる!」「俺は持病があるなんて聞いていない。これは学年担当の責任だ。教頭先生の責任だ!」
叫び声が飛び交う中、せつなはてこなに囁いた。
「怖かったよ。なんなんだよあれ、気持ち悪かった。あ、病気だったら気持ち悪いとか言っちゃダメだね」
「そうよね。怖い目にあったよね。せつなは何にも悪くないのに」てこなは我が子をみる母親の表情になっている。
「コロス」と言われたその時から、せつなの脳は高速回転していた。
暁美焔は何者か?
1.甲賀卍谷衆の場合=その場で殺すことが望ましいが、衆人環視の教室の中では後に殺人罪を問われる恐れがある。
2.G∴O∴Tのエージェントの場合=生き残る事が優先されるが、可能であれば情報収集すべきである。
3.飯島老人の弟子かなにかが俺の力量を調べようとした場合=死なないように倒すべき。可能であればこちらの力量を知られないように。
4.昔付き合った女の関係者の場合。ひょっとしたら俺の娘かもしれない=事を荒立てずにお引き取り願う。
ショートレンジでせつなと戦うのは危険である。脳をむき出しで触れ合える距離でせつなと戦うのは愚かである。
せつなはブレインアクセサの逆用を行ったのだ。
微速度カメラで撮影していても、糸くずが風に流されたと判断されてであろう。
焔の脳に直接アクセスし、エンケファリンやβ-エンドルフィンを大量流出させた。
痛みではなく、快感で相手を倒したのだ。
『今のうちに暁美焔が何者か調べておこう、最近めるもが暇そうだし』
そう考えていたせつなは、担架に乗った暁美焔がとろけたような熱い視線を自分に送っている事に気付いた。
『ちょっと気持ちよくさせすぎたか?エンケファリンって加減が難しいんだよな』
つづく
234 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/19(月) 00:35:11.74
>>233 (・∀・)けけけ。私も俄然、姦る気が湧いてきたぞ!でも眠いからまた来週!
つづく
>>233の続き
焔が目を覚ますと、そこは学園の保健室だった。
起き上がった焔はぎょっとした。
「ゆーんゆーんゆーん」
萌えメール、めるもが毒電波を撒き散らしながら、焔の頭に端子を接続して、何かをインストールしようとしているのだ!
「あ、気付かれました?焔さん。まだ『処置』が終わってないから、動いたらダメですの(^o^)」
「ぎゃ〜〜!このたわけ!」
めるもを叩き落とし、端子を引っこ抜く焔。
「ふえ〜〜ん。ですの(T_T)」
めそめそと泣き出すめるもを、巾着袋に閉じ込める焔。
やっと人心地のついた焔は、先程のせつなとの立ち合いを思い出した。
「ひ!」思わず己が秘所を検める焔。幸いにも暴行の痕跡は無く彼女は無事であった。
探偵風情があのような妖術を使うとは!!彼女は同士の仇から被った、前後不覚に陥るほどの快楽地獄を思い返し、顔を真っ赤にし恥辱の涙を流した。
「よくもあのような辱めを、スメラギせつな!絶対に許さん!」
きんこんかんこーん。
放課を告げる鐘が鳴った。せつなの学園生活1日目がどうにか終わろうとしていた。
せつなは、親友の時田浩作(あだなはトッキー)と下校しようとしていた。せつなの横にはてこなもいる。
(なんかこいつら・・・急に仲良くなりやがったな!)
てこなとキャッキャウフフしているせつなを見て、トッキーは悲しくなった。
いつも通り、帰りに公民館でモンハンしようと思っていたのに、とてもそんなこと言いだせる空気では無いのだ。
「トッキー!先に帰っててくれ!俺、てこなにノート写させてもらったら行くよ!」
彼 女 出 来 た 途 端 に こ の 仕 打 !
トッキーはジュクジュクと嫌な気分になった。
「もう・・もういいよ〜〜!」
泣いて逃げ出そうとするトッキー。だがその時だ。
木枯らし吹き荒ぶ校庭の真ん中に、ガッシと腕を組み3人を待ちうける影があった。焔だ。
「スメラギせつな!こうなれば手段は選ばぬ!級友もろとも地獄に行くがよい!」
「せつなさま。ごめんなさいですの(>_<)しくじりましたの(T_T)」
彼女の手の中でめるもが謝る。
「虫けらが、黙っておれ!」
ブチュ!焔がめるもを握りつぶした。
「うわ〜〜〜!俺のiPhoneが〜〜〜〜〜〜!!」
せつなが悲鳴を上げた。
「まったくしつこいな〜!よくもせっかく買ったiPhoneを!!!!」
ブレインアクセサを構えるせつな。だが様子が変だった。
アクセサの端子が、何かの薬液に晒されたが如く、錆つき崩れている!
がじ!焔がおもむろに、己が手首に口をつけると、鋭い犬歯で自らの動脈を噛みちぎった!
ぶじゃゃあああああああああ!
手首から吹きだす血しぶき。眼前に展開されるサイコな風景に凍りつくせつな達。
「死ぬぇぇえええええええ!スメラギせつな!」
「せつな!危ない!」
何かを察したトッキーが、咄嗟にせつなとてこなの前に立った。
びしゃっ!焔の血をもろに浴びるトッキー。
「うぎゃああああああああああああああ!!」
トッキーの絶叫が校庭に木霊した。
「ひい!」せつなは眼前の地獄に息をのんだ!トッキーの体が、真っ赤な炎に包まれ、地面に溶け落ちていく!
「あうあうあああううう〜〜〜!」
親友の突然の死に言葉を失うせつな。
「見よ!血塗れ忍法『 緋 焔 乱 舞 』!次は貴様だせつな!」
何たる凄絶な忍法か!
焔の体内を巡る血液は、常人のそれではなかった。
彼女の血は、ひとたび体外に流出し外気に触れるや否や、強烈な化学反応を起こし、紅蓮の炎を発しながらあらゆる生物を腐蝕溶解する劇物へと変化するのだ。
彼女のセーラー服もまた、炎に包まれ溶け落ちて行く。
だがかような劇物をその可憐な裸身に浴びながら、なぜ焔自身は燃え尽きてしまわぬのか?
その秘密は彼女の常軌を逸した代謝機能にあった。彼女の血は確かに自身の皮膚を焼き、溶かしてはいるのだが、常人の数万倍のスピードで再生する皮膚組織が焔の躰を一に保っているのだ。
数百年にわたる近親交配と、常識を超えた鍛練が生み出した忍者の神秘であった。
せつなとてこなに、紅蓮の焔が迫る!
一方その頃。
学園の裏山から望遠鏡で校庭の様子を窺う3人の男がいた。
「機は熟した!我らも出るぞ!」
校庭に立つ血霞を認めた甲賀衆、兜弦之助(20)が鬨の声を上げる。
焔の「緋焔乱舞」は開戦を告げる狼煙だったのだ。
「応!」
アミガサ粘菌斎(70)と陀厳状介(30)がそれに続く。
3人の異形の忍びが、学園めがけて進撃を開始した。
つづく
239 :
206:2012/11/19(月) 23:52:10.96
「トッキー!なに!なんなの?わけがわかんないよ!!」絶叫するてこなに、せつなはくちづけをした。
「え?え?え?え?」錯乱しているてとなに、せつなは囁いた。
「君は飛べるよ、てこな。君は君だけが解る安全な所に飛べるんだ。さあ、転移しろ」せつなにもう一度口づけされたてこなは、旋風を残して消えた。
せつなは次の瞬間、跳躍してきた焔の鮮血の迸る右腕を掴み後ろを取り、耳元で囁いた。
「この快感がこの先の決して手に入れられなくて、いいのかい?」せつなは焔に、ブレインアクセサで一瞬だけ快感を与えた。
片膝をつく焔。
「これだけでは足りないんだろう」せつなは耳元で囁き続ける。
焔にせつなを任せ、アミガサ粘菌斎と共に校舎の破壊に専念していた陀厳状介が生臭い息で焔に怒鳴った。「そんな三下にいつまで手間取っている、それでも甲賀卍谷衆か!」
せつなは囁く「今までの人生の喜びと、これを比べてごらん」そして一秒間ブレインアクセサを起動させた。焔はうずくまる。
「これはいけないこと。祖先への孝、師匠への恩、お頭への忠、そのすべてに背くこと。でも。でも」焔は頭を抱えて転がっている。
せつなは奪った焔の巾着袋の中の、めるもに話しかけた「さっさと回復しろ、これで2対2で勝負できる」
つづく
240 :
206:2012/11/19(月) 23:58:55.91
自分でもちょっと下衆(げす)いかなと思うので、次の人、健全な方向に修正をお願いします。w
そのほかの俺の意思は、推測出来ても無視しておk
241 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/20(火) 00:17:44.96
>>240 (・∀・)全く問題ない。このまま、グチョグチョ忍者大血戦に突っ込むから、最後までつきあえよ!
忍者だけではなく、朝鮮妖術師も出してほしすw
>>242 (゚听)イラネ
政治意識の為に、こんな過疎化した板のこんな過疎化したスレにまで来る努力は認めますが
(゚听)イラネ
>>242 朝鮮妖術師と西洋妖怪軍団は第二部「昆虫大戦争」で出すから待ってな。
>>240の続き
「ふぐうううううううう!」
せつなの精神攻撃に悶えうつ焔。その肉体を再び凄絶な歓喜が貫く。
だが焔の心は折れなかった。
「 十 兵 衛 様 ! 」
彼女は、亡き十兵衛を想うと、アクセサの縛めを振り払いその端子を引きちぎった!
「なにいいい!」
狼狽するせつな。
「せつなぁ!忍者に、同じ技を二度用いたがお主の誤りよぉ!いざ十兵衛の仇!」
その裸身から再び業火を流出させ、せつなに迫る焔!だがその時だ。
ずぶっ!
焔の踏みだした一歩が、校庭の地面にめり込んだ。
「何!?」足を取られ困惑する焔。
これはいかなることか?焔の周囲の地面だけが泥沼の如く液状化し、波打ちながら、彼女の動きを阻んでいるのだ。
「せつな、今だ!早く逃げろ!」
地中から聞き慣れた声がした。
「と、トッキー!!!」
せつなが叫ぶ。
驚くべき事にトッキーは生きていた!彼が溶け落ちたのは、焔の忍法ゆえではなかったのだ。
トッキー自身が、その肉体を随意に液体化して土中に浸透し、周囲の地形を自在に操ることのできるミュータントだった。
彼もまた学園の「隊員」だったのだ!
「きゃー!」突然、せつなの頭上から、どこかに転移したはずのてこなが降ってきた。
「むぎゅ〜!」せつなを押し倒し彼の顔面に尻もちをつくてこな。
「うそ!?テレポートが上手くいかないなんて!」
空を見上げるてこな。いつの間にか、学園の上空を半球状に覆う光の障壁があった。
何者かが学園を結界で覆い、てこなの逃亡を阻んだのだ。
「てこな!来るんだ!安全な場所に隠れろ!」
ガバと跳ね起き、てこなの手を引くせつな。
「おのれ逃がすか!」
トッキーに足止めされた焔は、己が朱唇に二本の指を当てた。
ぴゅっ!ぴゅっ!ぴゅっ!
血塗れ忍法「飛焔弾」!焔がその唇から飛ばした唾液の飛礫が、これまた空中で発火、灼熱のミサイルと化してせつなに迫ってきたのだ。
絶体絶命、その時だ!
ばしゅ!何者かが振った巨大な出刃包丁の一薙ぎが、「飛焔弾」を弾き飛ばした。
「やっぱり新人に、いきなり実戦は酷か・・・坊主、お嬢ちゃんを安全なとこに連れてきな!」
「お兄ちゃん!てこにゃんを連れて早く逃げて!」
せつなとてこなの前に立ったのは、身の丈程もある出刃包丁を構えた壮漢と、半ズボンも眩しい紅顔の美少年だった。
宇宙寿司の達人にして戦う管理栄養士、タニタてふお(30)。
人狼化現象を自在に御する少年、大神雨(12)。
2人の「隊員」が焔に立ちはだかった。
つづく
>>242 なぜ人に頼る。リレー小説なんだから自分で出せ。l
>>245のつづき
せつなはてこなを抱きしめた。
「本当ならあんなバリアー楽勝のはずなのに。てこな。校長室のあたりに転移しろ」てこながかき消える。
「めるも。まだか」
せつなが握りしめた巾着袋から、掠れ声が聞こえた「ほぼ修復出来たのですが、電池切れです。近くのコンセントまで運んで下さい」「コンセントはいま作るから、俺の腕から充電しろ」「了解しました」
次の瞬間、せつなは丸太のように倒れた。
「とことん邪魔な男だな。おおかた、せつなとてこなの邪魔もしたんだろう」焔はトッキーを蹴り倒すと罵声を浴びせた。
「あぁ、やっぱりそうだったのかな」
動揺して人間の姿に戻ったトッキーに、焔は「飛焔弾」を浴びせた。
「ああ、あう〜!」トッキーの体が再び炎に包まれ、地面に溶け落ちていく。
「忍者に同じ技は二度目はないと言ったはず」
焔は再び手首を噛みちぎると、地面に向かって「緋焔乱舞」を放った。
「ぎゃ〜〜〜」地面が波のようにうねるが、焔は「緋焔乱舞」を繰り返した。
「トッキー!」トッキーを助けようとタニタが巨大な出刃包丁で焔に斬りかかった。
「おぬし腕力はあっても、体術の心得が無いだろ」焔は絶妙の間合いで刃を潜り抜けると、タニタの背中に密着し関節を決めた。
後ろからタニタの首筋にキスしつつ囁く。「愛の献血をお願いします」
焔はゆっくりとタニタの頸動脈を食いちぎり、音を立てて鮮血をすすった。
タニタは干からびたミイラと化し、焔が地面に「緋焔乱舞」を続けると、地面の揺れは止まり人型の黒い焦げが残った。
「タニタさん」雨は手の打ちようが無く、おろおろしている。
「せつな様、次の御命令はありませんか」
「おまえ、大食いだな。意識が飛んだじゃないか。アクセサの回復も進んでないし。とにかくあいつらに勝てそうなのを召喚してくれ。バリアーがあるけど、何とかしてくれ」
「了解しました」めるもは上空へ飛んで行った。
つづく
248 :
206:2012/11/22(木) 19:31:14.42
「焔!」せつなは無数のアクセサの端子を焔に投げかけ、快楽を与えた。
焔はかすかにゆらめくも、端子を引きちぎった。
「笑止。同じ技は効かぬと言ったはず」焔は冷笑を浮かべ、指の隙間から「飛焔弾」を放つ。
「お前の脳の中は知り尽くした。いまのは愛する人に愛された時の喜びだ」せつなはころがり、飛び退り「飛焔弾」を避けつつ、ことばを続ける。
「脳を探って知ったんだが、おまえ地虫十兵衛に片思いしていたんだな、十兵衛が生きていたら、いまの喜びが得られたかもしれなかったな」燃え上がった学ランを脱ぎ捨てる。
「だが十兵衛は死に、子作りの相手はおまえが嫌うアミガサ粘菌斎だ」
せつなは転がりながら、投網のようにアクセサの端子を浴びせた。「これが嫌いな相手に凌辱される苦しみだ」
つづく
249 :
206:2012/11/22(木) 19:31:45.44
「なんのこれしき。卍谷衆の修行の苦しみをなめるな」焔は数本の端子を引きちぎるが、せつなは尚も端子の網を投げ続けた。
「何度も凌辱され、やがて子供が産まれる」せつなはたんたんと話しかける。
「これが子供を産み、いつくしみ育てる喜びだ」焔の顔に慈愛の頬笑みが浮かび、赤ん坊を抱いているかのように自分の胸を抱きしめた。
「だが、その子は戦いに駆り出され、いつかは殺される」
「なにをいまさら。卍谷衆に生まれたもの、つとめの為とあらば死ぬ覚悟はある」
せつなはつらそうに話を続けた「これが、自分の子供を殺された時の苦しみだ」
「おぉお〜」焔は膝をついた。あふれる涙が炎で蒸発する。
「絶滅危惧種なみにヤバい卍谷衆では、お前は繁殖計画の為に何度も出産しなければならない」せつなの端子で焔は薄い繭に包まれたようになっている。せつなは喜びと苦しみを焔に与え続けた。
「産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される。産まれ。育み。殺される」
喚き声をあげていた焔は黙りこみ、動かなくなった。
「焔!」焔の危機に気付いたアミガサ粘菌斎が駆け寄り、端子の繭を切り裂いた。
「これはアミガサ粘菌斎殿」ぼんやりとした表情の焔は、焦点の合わない目を粘菌斎に向けた。
「大丈夫か?」
「アミガサ粘菌斎殿。おぬしの子は産まぬ」焔は右手の指をそろえ、胸に当てた。
「何の話をしておる?」
ズブッ。焔は胸の中に手を突っ込み、心臓を引きずり出した。
「これでわたしの赤ちゃんが死なずにすむ」焔は微笑みながら自分の心臓を握りつぶした。
生命活動の止まった焔の身体に火が回り、あわてて飛びのいた粘菌斎の前で、焔は黒い灰になった
つづく
250 :
206:2012/11/22(木) 19:33:03.56
247も俺です
251 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/22(木) 23:49:05.34
>>250 下衆いのはいいけど、忍法の1つくらい考えてくれよ(´・ω・`)
あと、1人殺したら1人新キャラをだしてくれ。濃い奴を頼むよ(`・ω・´)
252 :
206:2012/11/23(金) 04:41:20.08
253 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/23(金) 08:21:36.79
>>252 平均年齢63歳と言われるSF板で、リレーなどを試すはやはり無謀であった・・・。
焔の頬を無念の涙が伝った。
「お主がJDなら頭をナデナデしたいところじゃが、どうせおっさんじゃろ?俺、俺、俺。まったく、内的リソースの乏しい男じゃの。」
焔が、形の良い唇をキュウと歪めて嗤う。
「ならば、後は好きに進めよ!最後までよろしく!」
焔は捨て台詞を吐くと、胸の前にがっきと印を結んだ。
どろん!焔が雲散霧消した。
===========================================
ニンジャソルジャー☆ほむら
第一部「中二病の仮面」
おわり
===========================================
感動した!!!
リレー小説が完結するのを見るのは始めてだ。
255 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/24(土) 23:09:19.37
スチームパンクなweb小説を発表したいんだが設定が複雑すぎてストーリーが浮かばない
うーん・・・とりあえずその素敵なスチームパンク世界に殺人事件でも起こして
捜査官にウロウロさせれば良いんじゃないかなー
制約なくウロウロできる官憲なら世界観をイヤミなく説明できる。
使い古された手だが王道
スチームパンクと聞いて、ほわんほわん妄想してみた。
ぴーーーーーーーーーーーーー!!
しゅ・・、しゅ、しゅ、しゅ、しゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽ
しゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽ
しゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽ
ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん
ずずずうう、ががががががががががが!!!!!!
ずじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅ・・・・
ばん!ばん!ぴし!ぴし!
どっかんどっかんどっかんどっかんどっかんどっかんどっかんどっかんどっか〜〜〜ん!
がき!
「なに!そのアタッシュケースはまさか!!!!」
以上、つづきよろ。
>>255 1 主人公が登場する
2 ラスボスが登場する
3 主人公とラスボスが対立する
4 いろいろあって主人公が勝つ
ラノベのストーリーはだいたいこんな感じ。
259 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/11/26(月) 01:28:57.05
>>256さん、的確なアドバイスをありがとうございます。
しゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽしゅっぽ!
来るべき近未来、昭和89年。
帝都東京を横断する大鉄橋「新京皇線」の軌道を、猛煙を噴き上げながら爆走する装甲蒸気機関車「轟龍」。
その貨物車両の屋根を、マントをはためかせながら牽引車めざし風を切って疾走する孤影があった。
らん!満月の白光が黒マントの男を照らす。
・・・これはいかなる理由か!?男の顔を覆っているのは、何かを嘲笑うが如き不気味な人相を象った、奇怪な鉄仮面だ。
「これまでだ!『怪人シュラウド』!」
「轟龍」の牽引車に辿りついた鉄仮面を待ち受けていたのは、詰襟の警邏服にサーベルを携え、小形回転式拳銃を構えた、1人の女だった。
警視庁公安零課の警部補、大門凛子(25)だ。黒髪ショートに切れ長の目がちょっとグッとくる美人だ!
「目標ヲ捕捉、確保!確保!」
鉄仮面の背後には、その鉄腕に小銃を生やした機巧刑事達が迫る。
「今度こそ逃げ場はないぞ!おとなしくお縄につけ『シュラウド』!・・・いや!『 大 槻 教 授 』!」
凛子はそう叫ぶと鉄仮面の顔面に、はっしと狙いを定め拳銃の引き金を引いた。
ばきゅーーーん!
凛子の放った弾丸が、仮面の蝶番を撃ちぬく。
ぱかん!宙に舞った鉄仮面のその下にあったのは、禿頭に精力を滾らせた、怪しげな初老の紳士の顔であった。
あらゆる並行世界に遍在し、いかがわしい犯罪を企てる超時空変質者、大槻教授だ。くまがや刑務所から首尾よく脱走したのだ。
「ふはははははは!よくぞ見破った凛子君!」
大槻教授がマントをパタパタさせて嗤う。
「平日の昼間っから、通学路や公園を徘徊してる怪しい鉄仮面がいるって通報が後を絶たないんだ!お前しかいね〜だろ!」
怒りに燃える凛子が、大槻教授ににじり寄った。
つづく
「観念しろ教授!」
大槻教授に詰め寄る凛子。だが教授は不敵に笑うと、その指をパチリと鳴らした。
がこん!軋んだ音をたてて「轟龍」と貨車の連結器が外れた。教授が念動力を用いたのだ。
単騎、暴走する轟龍。貨車に取り残される機巧刑事達。
「ふはははは!観念するのは君の方だよ、凛子君!」
モーゼル銃を構えた教授が、舌なめずりをして凛子に迫る!
「さあ、どうかしら?」
冷たく笑う凛子。
バチン!突如頭上から、投光機の強烈な照射光が教授を捕えた。
「なにい!」
驚いて空を仰ぐ教授。見よ!教授と凛子の頭上を悠然と泳ぐのは警視庁航空隊の擁する巨大飛行船「おおわし」の雄姿があった。
ひゅーんひゅーんひゅーん
警視庁特殊部隊「ロケット決死隊」の隊員達が、ジェットパックを背負い次々に「おおわし」から降下してきた。
「おのれ、ちょこざいな!」
教授が、己がマントをバッサと脱ぎ捨てる!
にょろにょにょろ〜〜〜
なんということか!マントの下にあったのは、教授の体から生えた無数の蛸足状の触手だ。何庁ものモーゼル銃が蛸足に握られている!
ばきゅーん!ばきゅーん!ばきゅーん!
「轟龍」に降下する端から、教授の凶弾に斃れていくロケット決死隊。
「次は貴様だ!凛子!」
憤怒の形相で凛子に狙いを定める教授。
ばきゅーん!必殺の弾丸が凛子を襲った。
つづく
×雄姿があった。
○雄姿であった。
モーゼル銃って、たぶんモーゼル・ミリタリーだよね?
モーゼルHScとかじゃなくて
拳銃の数え方は「何庁もの」じゃなくて「何挺もの」
せめて「何丁もの」とすべき
>>262 ご指摘ありがとうございます。誤用でした。
モーゼル銃は満州からの復員兵が隠し持ってるようなイメージで書いたので
モーゼル・ミリタリーでいいと思いますが、銃の知識が皆無だったので曖昧に逃げました(-_-;)
ばきゅーん!教授の放った銃弾が凛子の左胸に命中した。
だがなぜだ、彼女は斃れない。冷笑を浮かべながら、教授に向かって歩みを止めぬ凛子の不思議。
見よ。はらりと外套を脱いだ凛子の半身を包むのは、特殊合金ミスリルの鎖で編まれた、白銀の帷子であった!「その帷子は・・・・まさか!きさま伊賀者!?」
驚愕する教授。
「私を、ただの婦警を侮ったな?教授!」
伊賀鍔隠れ衆の末裔、凛子はニタリと嗤うなり、艶かしくその身をよじった。
しゅらん!これは何たることか?
脱ぎ捨てられた外套の内側から、注射器、メス、剪刀、鉗子、鉤爪、開創器など、何に使うか目を疑う器具の数々が、宙に飛び出てきたのだ。
いや、よく見れば器具には微細な鋼の糸が繋がれていた。糸は凛子の纏う帷子に結えられ、彼女の身のうねりに応じて、無数のメスと剪刀が宙を舞っているのだ!
「ゲルマン忍法、『シュツルム・ウント・ドランク』!」
凛子が叫んだ。
しゅしゅしゅしゅしゅ!
教授に迫る刃の群れ。モーゼル・ミリタリーを構えた教授の蛸足が、幾閃ものメスによって、次々と切り落とされていく!
「きゃはははは!殺さなければ、何をしてもよいとのお達しだ!たっぷり楽しませてもらうぞ〜教授!」
巨大な注射器を手にした凛子が、目をギラギラさせながらヒステリックに笑う。
「けけけ、気に入ったぞ凛子!だが、楽しむのは私の方だ!」
教授が不気味に笑うと、カッとその目を見開いた!
ぐりゅん。突然、凛子が何かに足を取られて転倒した。なんということか。切り落とされ、「轟龍」のデッキに撒き散らされた蛸足が、いつのまにか彼女の下に這い寄ると、その両脚を縛り上げたのだ!
「あははははぁ!さ〜どうするぅ?婦警さあぁぁぁぁん!!」
興奮した教授が蛸足を再生させながら、凛子に迫ってきた。
つづく
にょろにょろにょろ〜〜
身動きの取れない凛子に向かって、教授が新たに生やした蛸足を巻きつけ、彼女を宙吊りにした。
「ふうぅぅぅぅあぁ!!」
ヌラヌラとした触手にまさぐられ、おぞましさに硬直する凛子。
「あははははぁ!いいザマだな、たっぷり可愛がってやるぞ!だがその前に・・・」
教授が、巨大な魔法の指輪を蛸足にはめると、凛子にむかってこう唱えた!
「私好みに『チューン』してやる!マージマジ・マジーロ!」
ぽんっ!
凛子の体が煙に包まれる。これは何たる趣向か!凛子の姿が中学2年生当時のそれに逆戻りしているのだ!
ご丁寧にセーラー服も着ている!
「どわ〜〜〜!何よこれ!」
スカートを押さえながら悲鳴を上げる凛子。
「あははははぁ!さあ!イタズラしちゃうぞ〜〜〜〜!」
教授が(´Д`;)ハアハアしながら、さらなる触手を伸ばしてきた!あぶない凛子!だがその時だ!
ぼかーーん!
突如、爆走する「轟龍」の動輪で何かが爆発した。バランスを失い脱線する装甲蒸気機関車。
大槻教授が撃ち落とした「ロケット決死隊」のジェットパックが、車輪に巻き込まれ暴発したのだ!
「なにい!」
不測の事態に教授の蛸足のいましめがゆるむ。
「隙あり!」
咄嗟に隠し持ったメスで触手を切り裂き教授に飛びかかる凛子。
教授と凛子の組んず解れつの死闘が始まった。
266 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/01(土) 00:03:09.65
だが見よ。2人を乗せた「轟龍」の暴走は止まらない。
機関車は高架を飛び出して市街に落下しようとしている!
大参事の危機。その時だ、凛子が腕時計型の通信機をかざして叫んだ。
「アストロトレヰン、モードB!」
「了解、あすとろとれゐん、もーどB!」
「轟龍」の制御電脳「アストロトレヰン」が復誦する。
ぎ が ご ご ぎ
高架から飛び出した「轟龍」が、奇怪な駆動音と共に、機関車の態を解くとスペースシャトルを思わせる航空機へと変形した!
ごーーーーーーーー!
間一髪、墜落を免れて水平飛行に移行する「轟龍」。
「やってくれたな教授!さあ、第2ラウンドだ!」
猛り立つ凛子。教授は目を回して倒れている。だが様子がおかしい。
「ぴーーー!凛子サマ、石炭ガ足リマセン!広所ヲサガシテ、不時着シマス!」
凛子に打診する「アストロトレヰン」、「轟龍」の高度が下がっていく。
「あ・・・あれはまさか!」
驚愕する凛子。「轟龍」の向かう先に見えるのは、かつて彼女が通っていた、天ノ川学園中学校だった。
「 何 だ あ れ ! 」
「 何 じゃ あ れ は ! 」
校庭で焔(14)と対峙するせつな(14)。彼らに向かって、空から巨大な鉄塊が突っ込んできた。
つづく
「てこな!来るんだ!安全な場所に隠れろ!」
てこな(14)の手を引くせつな。
「おのれ逃すか!」
せつなとてこなを追う焔。だがその時だ。
ずずずずずずずずずずずずずずう!
突然、彼らの前に突っ込んできた「轟龍」が焔の行く手を阻む。
「ちっ!」身を翻す焔に、宇宙寿司の求道者、タニタてふお(30)の放った投網が絡みつく。
「どこ見てる!嬢ちゃんの相手は俺だ!」
焔とてふおが対峙した。
一方その頃。
「な、何だあれ!」
驚愕するせつなの前に、航空機の機上から校庭に降り立つJCが1人。凛子(14)だ。
「げ!凛子!なんでここに!?」
せつなの顔が恐怖で歪む。
「お前・・まさか探偵!こんな所に潜伏してたのか!」
凛子が、思わぬ「獲物」との邂逅に目を輝かせた。
がき!凛子がせつなに飛びかかると、瞬く間に合気術で彼の腕をギリギリ絞めあげる。
「うぎゃあああ!ちょまっちょまっ!今はそんな事してる場合じゃ・・ふぐあ!」
激痛に悲鳴をあげるせつな。
「ふぅぅぅぅ!探偵風情がちょこまかしゃしゃり出やがって!おとなしくお縄につけよぉぉ!」
悲鳴にビクンビクン反応しながら、嗜虐の悦びに口の端を歪める凛子。
かじっ
凛子がせつなの耳を甘噛みした。
ぎ ら ん ! ! ! ! ! !
てこなの瞳が、緑色に輝いた。
つづく
269 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/02(日) 22:25:30.12
が ば っ !
てこなが、凛子の腕からせつなを無理やりもぎ取った。ぼごっ!せつなの腕がおかしな方向に折れ曲がる。
「どぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
泣き叫ぶせつな。だがてこなは意に介さず、片腕でせつなの襟首を締めあげて宙に持ち上げた。
「せつなくぅぅぅぅぅぅぅん!!誰その娘ぉぉぉぉ?お友達ぃぃぃぃ?!」
おだやかに微笑みながら、黒髪を逆立たせて、せつなを吊るしあげるてこな。ぐりっ!彼女の白い指がせつなの喉にめり込んだ。
「てこな・・・ちょまっ!ちょまっ!違うんだ〜〜〜〜!グブッ」
口から血泡を吹きながら必死で弁解するせつな。彼の意識は薄れかけていた。
「こら〜!民間人が乱暴なことしたらだめ!」
べりっ!凛子が、てこなから彼を引き剥がした。
「うぐううううううう!」
お昼に食べたトンカツを撒き散らしながら校庭に倒れ込むせつな。
「菟原てこな・・・。『探偵』に略取されたと通報を受けてこいつを追いかけてたのに。こんなところでイチャコロしてたのか!」
凛子は卑猥な笑みを浮かべて、てこなを眺めまわすとせつなをムギュッと踏みつけた。
「この豚野郎にいれあげてるみたいだけど、探偵は私のつかいっぱなの!よろしくね!てこにゃん!」
凛子が、勝手に変なあだなをつけて、てこなをはぎゅはぎゅした。公安零課ではこれが挨拶がわりなのだ。
ご お お お お お お お お !
校庭に瘴気が立ち込め、血を孕む風が吹いた。
「頃す・・・頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す頃す」
てこなが笑顔のまま、何かの念仏を唱えだした。
「もうやめてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
せつなは、恐怖でちょい漏れしていた。
つづく
焔の可憐な肢体に、タニタてふおの放った投網が絡みつく!
「嬢ちゃん、2人を追っかけるなんて、無粋な真似はしなさんな!」
てふおがニヤリと笑って網を引く。身動きのとれない焔。
「寿司屋如きが小賢しい!そんなもので私が止められるか!」
ごおお!怒りに燃える焔が、その身から再び業火を滾らせた!
投網が見る見るうちに焼け落ちていく。
だが、てふおが怯む様子は無い。
「おい!もうそろそろだよな!」
てふおが、校舎の物陰に立つ誰かに叫ぶ。
「ああ大将、すぐだよ!」
物陰から答えが返ってきた。
ご ご ご ご ご ご
これはいかなることか?これまで雲ひとつ無かった晴天がにわかに掻き曇ると、突然の豪雨が校庭を叩きはじめたのだ!
「い、いかん!」
焔の端正な顔が蒼ざめた。
酸鼻極まる焔の「血塗れ忍法」にも1つの弱点があった。
それは水だ。降り注ぐ雨が彼女の炎を消し去ると、その血を薄め、洗い流してしまったのだ!
だがこんなことが有り得るのか?
焔は今朝がたチェックしたNHK「おはよう日本」を思い返していた。
本日のノイエ多摩市は終日晴天のはず。馬鹿な!檜山さんが私を謀ったと申すか!?
焔が、ガクリと膝をつく。
271 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/06(木) 23:59:46.14
「お姉ちゃん、風邪ひくから服を着なよ。」
校舎の物陰から姿を現したのは、ビニール傘をさした1人の子供だった。
人狼化現象を自在に御する紅顔の美少年、大神雨(12)だ。
戦況を覆した突如の豪雨、だがこれは偶然の産物ではなかった。
人狼化現象は、雨が生まれ持った巨大な宿業の一部にすぎないのだ。
彼はその名が表すとおり、地上最強の「雨男」なのだ!
いかなる催事、行楽、イベントも彼が参加するや否や、百発百中で豪雨に見舞われるのだ。
その「能力」故に世間から蔑まれ石もて追われ、学園に身を隠す。
まさに呪われた宿命の一匹狼であった!
「さあ、観念しな嬢ちゃん!」
てふおが巨大な出刃包丁を構えて焔に迫る!
だがその時!
「焔さまぁ〜〜〜!」
焔の前に飛び込んで、てふおを制する男が1人。ぼろ布を纏った魚面の怪人だ。
暁美家の下男にして甲賀衆の1人、陀厳状介(30)であった。
つづく
272 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/09(日) 18:59:46.40
「焔さま!下がっておられよ、ここはわしが!」
「ああ、任せたぞ状介!」
いつまでマッパでも絵にならぬ。状介が手渡した闇ブレザーをはらりと纏う焔。
「助太刀だと!勝負は決したぞ!」
憤慨するてふお。だが忍法の大秘争にルールなどない。
状況が己に不利と判断した焔は躊躇なく状介と選手交代をとげると、せつなを追うべく「轟龍」に跳躍した。
「気象操作能力か!『学園』にも曲者がおるな・・だが!」
状介は腰に下げた魚籠から何かを取り出した。
なんだこれは?魚籠から出てきたのは、蛙とも魚ともつかぬ、奇怪な生物の干物であった。
「焔さまの術を封じて勝った気かも知れぬが、水は我が友よ!」
状介が幾つもの干物を水浸しの校庭に撒くと胸に印を結んで何かのお経をよみはじめた。
ふんぐるい〜むぐるうなふ〜くとぅるう〜るるいえ〜うがふなぐる〜ふたぐん
むくむくむく!
ああ!水で戻されて見る見る内に膨れ上がってゆく干物の妖しさよ。
「けろけろ、うー!」
元の姿に戻った状介の眷属たち。校庭に腐った魚のような悪臭がたちこめる。
その姿は人間と魚と蛙を混ぜ合わせたような忌わしい怪物であった!
「目覚めよ同胞!深海忍法『陰州升』!!」
状介が復活させた12体の「深きもの」がてふおと雨を取り囲んだ。
「がるるるる!」
雨が己の衣服を脱ぎ棄てた。少年のしなやかな肢体が、見る見るニホンオオカミの姿へと変わっていった。
つづく
274 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/09(日) 23:53:13.27
そ・・・そこに突っ込むか!
雨は驚愕した。もっと巨大な作品的齟齬が、筆者の知る限り108箇所くらい存在するのに・・。
よかろう。
「わかったよ、おじさん!」
雨が答える。
ついにこの作品の基本設定を明かす時がきたようだ!
この並行世界に於けるオオカミ一族のたどった1000年に及ぶ数奇な運命と人間との大戦争、
さらには雨男のSF的考察をたっぷりと述べねばなるまい!
でも眠いからまた来年!
「がるるるる!」
雨の姿が白銀の獣へと変わっていく!
見よ、食肉目オオカミ科オオカミ属ウチュウオオカミ種の孤影を、ニホンオオカミの凛然たる雄姿を!
輝く銀毛に覆われたしなやかな体躯は優に7尺。
その威容には狼王ロボや山犬の神モロも頭を垂れざるをえまい。
たん!ひと飛びで「深きもの」の包囲陣を飛び越えた雨が、状介の喉首めがけて一直線に走り寄る!
「うおおお!」
不意を突かれ身を竦める状介。だがその時!
にょきにょきにょき
なんたる怪異よ!校庭を割って、信じ難いスピードで状介の眼前に生えてきたのは、身の丈程もある巨大なエリンギだ。
ばしゅ!エリンギの身を割いて中から姿を現したのは、甲賀衆の最長老アミガサ粘菌斎(70)!
がつん!不気味な老人は樫の杖を構えるなり、飛びかかる雨の頭部をしたたか打ち払った。
「ぎゃいん!」
雨が苦悶の声をあげて校庭に転がる。
「粘菌斎殿、かたじけない!」
「ふしゅしゅ、状介!魚に頼って腕が鈍っとるのではあるまいな?まあよい、犬コロの相手はわしがするわい。」
粘菌斎が、頭部の菌状腫を揺らして不気味に笑った。
つづく
「ぐるるるる!」
校庭に伏した銀狼がガバと跳ね起きた。
恥辱の一撃を被った雨が、粘菌斎に怒りの牙を剥く!
「ほっ、威勢だけはよいの・・・ならば!」
見よ、粘菌斎が背中の信玄袋より取り出したるは、クヌギを断ち割って用意された何かの苗木だ。
「この湿り気、良い具合じゃて。」
粘菌斎はひとりごちると苗木を天にかざして叫んだ。
「いでよ茸の子!産めよ、増やせよ、地に満ちよ!」
もこもこもこ!
なんというおぞましさよ!苗木から生えてきたのは、ヌラヌラと不気味に光る大小無数の宇宙椎茸であった。
「ふしゅしゅ、喰らえ犬コロ!きのこ忍法、『椎茸地獄』!!」
ぽん!ぽん!ぽん!ぽん!ぽん!ぽん!苗木から発射された飛行椎茸の大群が、雨の口元めがけて一斉に飛んできた!
「ぎゃ〜〜〜〜ん!」
椎茸が死ぬほど嫌いな雨が、恐怖の悲鳴をあげた。
277 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/10(月) 23:34:06.59
椎 茸 !
事おぞましさに於いてこれに比する物体が、この地上に存在するだろうか?
蛞蝓を彷彿とさせるヌラヌラとした食感。傘の裏に密集した淫靡なヒダヒダ。
口腔に溢れかえる腐汁。環状生物の残滓の死臭にも似た嘔吐を催すその臭い。
かような狂気の産物が、ごく普通に日常の食卓を蹂躙している事実に、筆者は宇宙的な戦慄を禁じ得ない。
お吸い物、茶碗蒸し、給食のスパゲティ、果てはチェーン店の牛丼までが、この冒涜的な異次元生物に侵食されているのだ!
果たして筆者の認識する世界は正常なのだろうか?
この世は狂った神々の見る、一睡の夢なのではあるまいか?
とはいえ、かようなおぞましい人外兵器を躊躇なく死合に用いるのもまた、忍者の争いならではの残酷苛烈といえよう。
「きゃい〜〜〜〜ん!!!」
雨が、尻尾を巻いて逃げ出した。
つづく
「雨ー!しっかりしろ!」
タニタてふおが雨に叫ぶ。だが彼にも雨を援護する余裕などなかった。
「けろけろけろけろ!」
てふおに、状介の放った「深きもの」の群れが迫ってきたのだ。
すでに投網は焼け落ちている。彼はただ出刃包丁にて「深きもの」どもと対峙した。
だがてふお、何を考える?
おもむろに傍らの出前持ちを手にするてふお。
彼が出前持ちから取り出した寿司桶に収まっていたのは、マグロ、ヒラメ、寒ブリなど旬のネタを用いた、目を奪われそうなにぎりの盛り合わせだ。
「特選にぎり十人前!お待ち!」
ぴく、ぴく・・・。
これはいかなる妖術か?寿司達が、てふおの声に呼応するかのようにその身を蠢動させると、寿司桶から飛び跳ねた。
「キシャ〜〜〜!」
見よ、見よ!桶から溢れ出た寿司達が、地を這い、空を切りながら、「深きもの」どもにまとわりつくと、鋭い牙を露出させ彼らに噛みついたのだ。
なんたる狂ったフード・チェーンか!
宇宙寿司の求道者、タニタてふおの握った寿司は、ただ座して喰われるのを待つ駄寿司に非ず。逆に相手を喰らうのだ!
獰猛苛烈な人喰い寿司のレギオンが「深きもの」の全身にたかると、見る見るその身を齧りとっていく。
「げろげろげ〜〜〜!」
魚人の群れは、どす黒い体液を撒き散らしながら次々と校庭に斃れると、数秒を経ず哀れな魚骨となり果てた。
だが寿司達の食欲に底はない、彼らが次に狙うは魚人の主、陀厳状介。
ぴょん!ぴょん!ぴょん!
無数のマグロ、ヒラメ、寒ブリ、ウニ、コハダどもが、校庭から跳ね上がると状介に襲いかかった。
つづく
マグロが旬とは、近海物だね
280 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/13(木) 23:54:55.62
「さよう、大間の黒マグロだ!!」
そんなもの、1度も食べたことのない理事長が自信たっぷりに答えた。
つづく
ぴょん!ぴょん!ぴょん!
陀厳状介の体をめがけ、次から次へ飛びついてはその牙を剥く、人喰い寿司の大軍団。
とったぞ状介!てふおは勝利を確信した。だが待て、様子がおかしい。
も は〜〜〜〜
状介の体から、強烈な瘴気がたちのぼる。
「キシャ〜〜〜〜〜!」
寿司達が苦悶の声を上げた
なんと!フグの持つ、テトロドキシンにも似た状介の毒気に当てられた寿司どもは、状介の体から剥がれ落ちると、見る見るうちに傷み、摂食不能となったではないか。
「片腹痛い!海産物で俺と張ろうなど、千年早いわ!」
寿司どもの死骸を蹴散らす状介。同族を食べられた彼の魚眼が怒りに燃える。
彼は、己が魚籠の口をてふおに向けて叫んだ。
「深海忍法、『瑠々異慧』!!」
ずにゅるるるるるるる!
おお、魚籠の口いっぱいに這いだしてきたのは、木の幹ほどもある緑色の蛸足だ!
異界の門を通じて、深海に潜む「何か」がその触手を伸ばしてきたのだ。
ヌラヌラと粘つく蛸足が、てふおめがけてのたくってくる!
「へっ!今度は蛸か、こいつぁさばき甲斐があるぜ!」
てふおは不敵に笑い、出刃包丁を構えた。
ずちゃ!
蛸足の追跡をかわしながら、出刃包丁を振り下ろすてふお。
だがなんたること。包丁の刃は触手の粘液を滑り、蛸足は無傷そのもの!
うかつ!さっきの魚とは格が違う!てふおの首筋を冷たい汗が伝った。
ずるん!怯んだてふおの隙を逃さずその体に触手が巻きついた!
「しまった!」
必死の抵抗も空しく、魚籠に向かって巻き取られていくてふお。
「ぬはははは!いざ同胞の仇、このまま海に引きずり込んでくれる!」
状介の高笑いが校庭に響く。だがその時!
しゅらん!
何が起こったのだ?突如、図太い蛸足が空中で2つに割れた!
いましめが緩み地面に放り出されるてふお。
見よ、ギラリと光る真剣を構え、状介とてふおの間を割って立つ男が1人。
男の放った白刃の閃きが、蛸足を一刀両断したのだ!
「何奴!」
猛り立つ状介。
てふおを解き放ったのは、殺気双眸に満ちた獣の如き総髪の剣士。
「学園」の体育教師にして、てふおの剣技の師、岩本虎眼(50)であった。
つづく
両目からマジでヤバいイルなバイブスをカンジさせるサムライビースト、岩本虎眼がサムライブレイドをホールドエンレディ!
ヤツの相手はファナティックエルダーの異能者、ニンジャソルジャー陀厳状介!
「クソジジイが、すっこんでろっつーーーーの!」
状介が両手のファナティックボールを再びホールド。ルルイエ・オーバードライブがビュンビュン唸る。
「ホール」からグリーンスライムみたいな、マジでキモい触手がのたくってきた!!
シ・カ・シ、虎眼は超クール!ヤツは自分のブレイドを肩に担ぐと、大きくターンした。
(`・ω・´)シャキーン!空を切り裂くダマスカススラッシュ!エンターン!だがブレイドは状介にヒットしない。無理矢理すぎるロングレンジ!
「ボケてんのかよ!そんなスラッシュで、このオレを……げげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
バッキーーーン!状介の両手のボールが粉々にクラッシュ。そして…!
ぶっしゃあああああ!状介の頭も、グッチャグチャにクラッシュ!
「ゾ…ゾン゙ナ゙〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
残った右目がマジ涙目のダゴン状介。
ティーガークリンゲ「フリーゲン・シュトースツァーン」!
状介の頭をクラッシュしたのはダマスカスじゃない。
ハイフリークエンシーなスラッシュが発生させたソニックブームが、目に見えぬブレイドになってボールと状介をリンクしてクラッシュ!!!!
デリケートな気流をリードするハイパーセンスと、超絶ビミョーなパワーコントロールができないと無理めな、サムライビーストのスペシャルフィニッシュ!
モンスターニンジャもヘッドがクラッシュしたらもーおしまい。
ゲロゲロ!状介は灰色のブレインををベチョっと垂れ流して、校庭にダウンした!
「てぇふぅうぉ〜〜〜〜〜〜〜!」
虎眼がてふおに振り向いた。
「ひぃぃ!おゆるしを、マスターコガン!!」
校庭にDOGEZAして虎眼に詫びをいれるてふお。
他の「チーム」にボコられたシャテーへの虎眼のリンチのヤバさは、マジでハンパない。
だがドーシタ?虎眼は動かない。
「 ひ っ こ ん で な 。 」
虎眼がもっかいサムライブレイドをホールドエンレディして校舎をみあげた。ピシャアアアアアア!サンダーーーーーー!
ライトニングボルトのフラッシュをバックに屋上にスタンドアップしてたのは、ゴールデン・アイボールセンサーにファイトをメラメラさせた6フィートを超えるタフガイ。
チーム・コーガのヘッド、兜弦之助!!!!!戦いはまだまだスタートライン!!!!
To be continued!!
解りにくさが増えている。
筒井康隆は小説はSEXだと言った。
このままではマスターベーションだ。
それでも良いなら、このままでOK。
(´・ω・`)ショボーン
せっかく創作文芸板で添削してもらったのに。
最初のサイバーパンクぽい設定は、どこに行ったんじゃ〜
これは『荒山』ではないかw
「風太郎といってほしいの。」
荒山徹は多分読んだことのない焔がニヤリと笑った。
「最初の設定は……大丈夫、回収するから……多分。」
焔は、力なく答えた。
つづく
荒山にしては、朝鮮成分と柳生成分が足りぬw
山田風太郎ってもっとエロいんじゃないか
291 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/17(月) 23:25:41.29
「ふしゅしゅしゅ。逃げ場はないぞワッパ。さあ、椎茸を喰え〜〜!!」
体育館裏に雨を追いつめたアミガサ粘菌斎が、嗜虐の笑みを浮かべる。
その周囲には、無数の宇宙椎茸がネトネトとした粘液をひきながら、不気味に地をのたうっていた。
「あ、あ、あ・・・」
整った顔を恐怖にひきつらせる雨。
椎茸に臆した彼の姿は、すでに銀狼の態を解き凄艶な少年のそれへと戻っていた。
地面に裸身を投げ出し、泥にまみれながら震える少年。
ぬ ち ゃ。
雨のしなやかな脚に、椎茸の1匹が張りついた。
「ぴきゅぴきゅぴきゅ!」
椎茸が不気味に嗤う。
「ひぃぃぃぃぃいいい!!」
あまりのおぞましさに声も出ぬ少年。
魔茸が淫靡なヒダヒダをヌラヌラとくねらせながら彼の裸体を這いあがると、その口元に我が身を押し込めてきたのだ!
「うぶぇああぁうぅぅぅぅぅ!」
大きくえづきながら、椎茸を手で掴み、吐き出す雨。
美しい顔が、涙と涎と反吐で濡れそぼっている。
そして、地獄の釜の蓋が開いた。何百匹もの椎茸が一斉に雨の体にたかると、彼の口めがけて這い上がってきたのだ!
「ひ・・・ひ・・・ひやらぁぁぁぁぁぁああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
体育館裏に、雨の絶叫がこだました。
つづく
292 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2012/12/20(木) 00:34:21.55
金色の瞳に闘志を滾らせて、兜弦之助が屋上から校庭めがけて身を投げた。
ひゅーん。
落下する弦之助を、虎眼の双眸殺視が鋭く射抜く。
しゅしゅ!
虎眼は脇差に手を添えるなり、弦之助の軌道を見定め小刀を投げ打った!
空中で制動の利かぬ弦之助めがけ、虎眼の小刀が一直線に飛んでくる!
だがなぜだ?虎眼の先制に気付くなり、弦之助の体は、慣性の法則を無視して地面めざして急加速。
小刀は虚しく空を舞った。
ばさり!
自衛隊の落下傘降下でも用いられる五接地回転法にて校庭に降り立った弦之助は全くの無傷。
彼は涼やかに、憤怒の形相の剣鬼と対峙した。
「岩本虎眼・・・掛川の虎がこのような場所に潜みおるとは!」
甲賀衆の若き首領は、驚愕と歓喜の境で武者震いした。
「お待ちを、虎眼先生!ここはこの俺が!!」
状介に面目を潰されたタニタてふおが、必死の形相で2人の間に割って入る。
てふおが携える寿司桶には、必勝を期した最強の寿司どもが蠢いていた。
つづく
よそに書くな
294 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/01(火) 12:29:24.05
あ け お め
タニタてふおが、兜弦之助に向かって岡持ちを開けた。
おお、最後の寿司桶から飛び出してきたのは意外にも『玉子焼き』!
だが玉子焼きには、その寿司屋の味の全てが集約されると言われている。
てふおが放ったのは、正に寿司職人最後の矜持であった。
「ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよ!!」
何羽もの玉子焼きが金色の柔毛に覆われた羽をはばたかせて、てふをの周りを飛び回る。
「やれ!」
タニタてふおが一本指にて天を指す。
ピカッ!
暗天を裂く稲妻が、玉子どもをピシャリと撃った。
ばりばりばりばりばりばり!
これはいかなることか?落雷を吸収した玉子焼きが金色に輝きながら膨れ上がると、バレーボール大の球体に変化した!
ぼよーんぼよーんぼよーん
幾つもの『球電』に姿を変えた玉子焼きが、校庭を跳ねまわる。
「喰らえ、ライトニング・ロールドエッグ!!」
てふおが弦之助を指差して叫ぶ。
ぼよーんぼよーんぼよーん
弦之助を取り囲んだ球電が彼の体めがけて一斉に跳び上がった。
だが弦之助、微動だにせず。ぎらん!!彼の双眸が金色に輝いた。
295 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/01(火) 12:30:41.47
「ぴよ?」
玉子どもの動きが止まる。なんと、球電が源之助の周りを離れると。逆にてふおの方に襲いかかった。
「なにいいいいいい!」
我が子同然の玉子どもに囲まれて吃驚仰天のてふお。
「ぴよよよよーー!」
球電が次々とてふおに命中する。
「うぎゃああああああああああああああ!」
雷に撃たれて黒焦げになるてふおの体。
惨なり!異能の寿司職人も甲賀衆首領の不可思議な術の前に、ついに斃れて事切れた。
『甲賀瞳術竹篦返し』!!
これこそが、兜弦之助を地上最強の忍者たらしめる奥義であった。
敵意殺意を持ったあらゆる技は、ひとたび彼の金色の双眸に射抜かれると、放った相手に逆に返ってくるのだ。
ずさり。
岩本虎眼が前に出た。
校庭に斃れたてふおの屍をまたぎ、敗れた弟子を一顧だにせぬ剣鬼の非情。
「岩本虎眼……世に聞こえた虎眼流の業、見せてもらおうか!」
しゅらん。弦之助が不敵に笑うと、背中の忍刀を抜いた。
つづく
296 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/05(土) 20:38:50.34
甲賀弦之助が、忍者刀『蜥蜴丸』を担いで岩本虎眼に走り寄る。
こと剣技に関しても、甲賀の里で弦之助の右に出る者はいない。
これは若き忍者の慢心か?弦之助は己の腕を、名の聞こえた剣客で試そうというのだ。
大きく振りかぶり虎眼に斬りかかる弦之助。
だが剣客から、いや、我々から見ても彼の太刀筋は鈍重そのもの。
方や虎眼。老剣士は抜刀すらしていない。
がき!虎眼が弦之助の太刀を鞘で払う。
弦之助、すかさず退いて二の太刀を整えんとする。だが。
彼の握った柄はその場から微動だにしない。いや、出来なかった。
鞘で払ったその刀身を虎眼が素手でむんずと掴んでいたのだ。
『虎眼流白刃取り』!
常軌を逸した剣客の握力で掴み取られた弦之助の太刀は、押しても引いてもこれ抜く事能わず。
だが弦之助に狼狽の色は無し。
「くく……かかった!」
次の刹那、弦之助が跳んだ。虎眼に取られた太刀の柄を支柱にして、まるで平均台の演者のように宙に舞ったのだ!
一跳びで剣客の眼前に来た弦之助。彼が左手で腰から抜き撃ったのは、もう一振りの小刀!
先程の太刀とは比較にならぬ剣速だ。
『甲賀剣羽虫打ち』!!
鞘の中にて蚊蜻蛉を落とす精妙の剣が虎眼の顔前にきた。
岩本虎眼敗れたり!弦之助は勝利を確信した。だが……
ざぎい!手応えがおかしい。まるで砂袋に斬りつけたような鈍い異音。
おお、甲賀の首領は己が目を疑った。
信じられない!弦之助の剣が虎眼の口に咥え取られている!
ぎりり……ぼきっ!虎眼が凄まじい形相で刃を噛みしめ、弦之助の小刀を噛み折った!
『白刃取り・牙殺し』!
虎眼はただ、驚異的な集中力と鍛え上げられた咬筋によって忍びの剣を封じたのだ。
ぎらり。剣鬼の眼が光る。
……まずい!甲賀弦之助が初めて狼狽えた。
つづく
297 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/15(火) 00:57:43.67
夜だ。風が吹いている。
冷たい風は針葉樹の森を吹き抜け幹を叩き
フルートの様な悲鳴を哮てながら凍った土を撫で
カラカラ朽ちた葉を携えてひゅぅひゅぅと樹間をなぞってワルツを踊る。
私にはそれが見える。
氷雨の混じった風が蕭々と私の頬を濡らす。
この辺りでも一際高く聳えたモミの樹の天辺ちかく。
頼りなく撓う枝の一本に腰掛けて、私はあいつを待っている。
ごおお。
黒洞々の夜を駆け抜け山間を逆巻いた風が私を打つ。
細やかな氷が私の顔と脚と翅を叩く。
チリチリともどかしいこの感覚は、昔覚えた『寒さ』だろうか、或いは『痛み』?
「ぐるあぁぁぁぁああああああ!!」
三里先から怒号が聞こえ、血が香った。
きた、きた、きた。
私は戦慄きながら掌を額に添え樹上から目を凝らす。
私の眼が、三里むこうの裂け谷で、けたたましく吼える男を捉える。
男が右手に猟銃、左手に山刀を構えながら、
彼を取り囲む成体の羆ほどもあるだろう大狼の群れと睨み合っている。
「ぐるおおおおおおおおおおお!!」
聞こえる。狼どもが負けじと吠える。
そんなところでなにをしてる!
私はモミの枝から身を乗り出した。
さあ、さあこい、はやくこい、せつな!
……この男の話をしよう。
私がまだ人であった刻から見知っていた、優しくて哀しい男の話を。
つづく
一人称だ
別の人がリレーしたのかな?
299 :
ゲッパリラ:2013/01/15(火) 13:20:24.85
宇宙猿「宇宙に我々のような知的生命体は他にいないだろう。人間のような原始的な生物ならいるかもしれないが」
300 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/15(火) 21:49:16.75
つづき考えるのがだるい。
でも文章は書きたい。
まるで今まで「考えて」書いていたようなセリフw
302 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/15(火) 23:02:57.63
常に3レス先は見据えて書いておる。
深慮遠謀よ。
303 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/24(木) 22:35:08.15
殺られる!
両剣を封じられた弦之助が必死で虎眼から飛び退る。
だが虎眼、それを逃さず。
剣客がはじめて、己が刀の柄に手を遣った。
「いける!」
弦之助はほくそ笑んだ。彼の双眸が金色に輝く。
『甲賀瞳術竹篦返し』!
奥義を秘めた瞳が剣客をしかと見据える。
虎眼が抜き撃った刃は、自分の首を落とすはず。
だが……
ばしゅっ!
虎眼の抜刀は寸分狂わず弦之助の喉元めがけて飛んできた!
「なにいいい!」
術が効かない、驚愕する忍者。彼の脳裏を死がかすめる。だが、
ずちゃ!
血の泥濘に剣客が足を取られた。
一瞬揺らぐ太刀筋から必死に逃れる弦之助。
刀は彼の首の皮をかすめたのみに止まった。
無 意 の 剣 !
弦之助の首筋を冷たい汗が伝う。
虎が人を喰らう時、殺意など覚えるだろうか?
剣客はただ、己の本能のみで弦之助に斬りかかったのだ。
「岩本虎眼……!」
忍者が凄絶に笑った。
「お主と剣で相対したは俺の不遜であった。ここからは忍びの技にて相手をいたす!」
言うや否や、弦之助の体から、金色の光が迸った。
つづく
ぐぐった「竹篦返し」=「しっぺ返し」なのか知らなかった
ついでながら
「黒洞々」最近、羅生門を読んだのかな?
>「黒洞々」最近、羅生門を読んだのかな?
最近じゃないけどあの一文が好きで好きで
ほんとかどうか解らないけど、何かで読んだ話
狼(山犬?)の群れに襲われた人の話
狼達は唸ったりしない、怖い顔もしていない、うれしそうにしている
純粋に私の事を食べ物たと認識して、食事が始まる事を喜んでいた
という話
「昆虫忍法、『荒苦仁弩』!!」
弦之助が印を結んで叫ぶ。
彼の体が、金色の光を吹き上げながら容を変えていく。
おお、その身の丈は倍ほどに膨れ上がり、全身を覆っているのは黒々と光る甲殻。
頭上に戴くのは禍々しく二股に割れた巨大な角!
見ろ!変身を遂げた兜弦之助の姿は、その名の通り、二足歩行する巨大なカブトムシ!
ありえない!虎眼は目を瞠った。
人外の秘術を究めた忍者の不思議は十分承知の虎眼であったが、このような術は想定の外。
これは狐狸妖怪の類か?
だが、兜弦之助の変身は妖術やまじないに因るものではなかった。
彼の一族には、おそらく銀河の向こうからやってきた巨大昆虫軍団の血が混ざっていると思われる。
兜弦之助は想像を絶する鍛錬の末、その血を自在に顕現させ、
動物界の門をも超えたトランスフォームを可能にしたのだ!
兜弦之助を地上最強の忍者たらしめる本当の理由、甲賀衆最凶の忍法であった。
308 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/01/26(土) 23:11:18.43
ばくん。
弦之助が戴く角の先端が、二つに割れた。
角から露わになったのは煌々と金色の光を滾らす一門の砲眼!
「ぬうううううう!!」
何かを察した剣客が横とびに跳ぶ。
ばしゅううううううう!
なんたること!
砲眼から放たれたのは校庭を溶かしながら虎眼に迫る金色のビーム!
間一髪で逃れる虎眼。
ずずうううう
熱線は学園の校舎の壁を穿ち裏庭まで大穴を開けた。
「岩本虎眼!この俺の生体熱線砲、斬れるものなら斬ってみい!」
弦之助が吠えた。
つづく
>『荒苦仁弩』
こうくじんど?
読めんw
週刊少年サンデーで連載中の『常住戦陣!!ムシブギョー』で、真田十勇士が
虫型モンスターの真田十傑蟲になっていたのを思い出した
>>309 昆虫忍法『あらくにど』
音訓まじっててすいません。
アラクネは機織りに優れた女性であったが、その技術を誇るあまり、女神アテナと勝負をすることになる
この勝負でもアラクネは見事なタペストリーを織って腕前を披露したが、しかしその内容が神々に対し不敬なものであったため、アテナは激怒し、アラクネを罰した
結局アラクネは自殺したが、その死後、アテナによって蜘蛛に転生させられた。
神様はいつも心が狭い
「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1」は読んだ?
俺は読まないけどw
313 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/02/15(金) 22:10:37.44
ちょっと読んでみたけど同好の士がいるものじゃて。
314 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/08(日) 22:03:48.20
あげ
315 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/09(月) 20:14:29.55
316 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/09(月) 22:34:09.97
門外漢が「SF小説」と聞いて思い付く偏見イメージ
でざっくり書くと、
主人公男:
「うわー、突然宇宙人が攻めて来たー!!」
「あっこんな所に美女が倒れてる!君!大丈夫か!」
美女:
「私ももうダメかもしれません。両親は死にました」
「このまま地球は滅ぶのでしょうね・・・」
主人公男:
「そんな事は無い!希望を持って生き続けるんだ!!」
---人類の生き残りを賭けた戦いは、この時始まったばかり
だったのである<完>
みたいな感じなんだがw
SFマニアから見て「こんなの全然SF小説じゃねえ」と思う
ギャップがどういう所にあるのかコメント求む。
起承転結の起で終ってるからダメなんじゃなかろうか
ちゃんとSF的に設定ができる頭があれば承転結まで書いてる。
318 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/09(月) 23:43:59.57
>>317 偏見イメージのまま語ると、
>>316のような大雑把な粗筋の中で
細部描写に宇宙人と戦うための「SF的ガジェット」が登場したり、
あるいは主人公が追い詰められてピンチの状態から間一髪抜け出す
「スリリングな場面」があるくらいで、概ねろくにストーリー展開
も無いままウヤムヤに幕引きになるイメージなんだけど、
案外、メリハリある起承転結で展開するものなの?
>>316 立派なSF小説だと思います。
主人公が宇宙人と殴りあったりすると更にポイント高いですね!
320 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/10(火) 00:47:42.52
>>319 なるほど、宇宙人と殴り合いですか。
「まだ地球の環境に慣れていない宇宙人の表皮は意外と軟い」
だとか言いながら殴りかかる主人公男が思いの外に苦戦して
結局は命からがら逃げ出したりすればいいんですか?
それともワンパンでのしちゃう方がいいのでしょうか?
宇宙人の柔らかい表皮に腕がズブズブめりこんで
グチャグチャドロドロになりながら勝利したものの
ドロドロに浴びた宇宙人の体液によって
わけわかんない感染症かなんかになって半死半生の目に遭うのがいいです。
322 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/10(火) 21:02:16.14
>>321 > わけわかんない感染症かなんかになって半死半生の目に遭うのがいいです。
うーむ、主人公が感染症の病に伏してしまうと、その間のシーンで
動いてくれるキャラが必要になっちゃいますね。唐突なエピソード
を挟んで夢オチにして、目が覚めたら病気が治ってたような感じで
いいんでしょうか?
その感染症の布石によって、主人公男と、その看病をした周辺人物
だけに「抗体」が出来て、後の展開で「死の大感染」が地球を覆う
時に都合良く「地球上で主人公一味だけが生き残る」とかセカイ系
っぽい方向へ持って行ったりする訳ですね?
>夢オチにして、目が覚めたら病気が治ってたような感じで
>いいんでしょうか?
いい訳ないだろ、ボケ!
頭固いなあ。いくつ?
とりあえずフレドリック・ブラウンの短編集2冊と
スタージョン、ゼラズニイ、ブラッドベリを一冊ずつ、
あと小松左京と筒井康隆の短編集と
平井和正の「超革命的中学生集団」くらいは読んだ方がいいよ。
324 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/11(水) 01:53:11.34
>>322 まあなんか、滅びゆく世界駆け抜ける嵐感が表現できればいーと思うよ!
>>323 このオッサンめが!
>>324 そもそもSF板はオッサンの巣窟だろうがw
美女が両親の残した遺書を見ると
「お前は地球を救える力を持ったエスパーなのだ」
覚醒させるため修行してると宇宙人が
「ここは俺に任せて行け!」
主人公ぼこぼこにやられるが覚醒し復活
「俺もエスパーだったのか?!」
宇宙人をぼこぼこにやっつけるが今度は宇宙人覚醒
「俺モエスパーダッタノカ!?」
ふりだしに戻る
327 :
316:2013/09/14(土) 21:44:02.95
>>323 「超革命的中学生集団」は既に絶版で探すのに苦労したが、一応読んでみた。
内容をまとめると、突然宇宙人が現れて中学生6人に超能力が与えられるが、
それは宇宙人が人類の滅亡を企図していて、超能力によって人類滅亡の因果
が促進されるという狙いであったが、6人は「超革命的中学生集団(超革中)」
を結成して超能力で金を稼いだり画期的な発明品を作って地球を支配しよう
とした挙句に秘密結社との抗争になり・・・という顛末。美人秘書とか出て
来るとかSF的ガジェットが登場したり主人公が追い詰められるスリリングな
場面になったりのゴタゴタが数々あったりして、結局は元々の偏見イメージ
と大体合致してるかも。まあ強いて言えば粗筋については
>>316と大差無い
程度の話だったような感じw
なんだか巷でラノベの元祖とか言われてるらしいのだが、ラノベは読まない
のでその言説に是も非も言えるような見識は無い。しかし果たしてこの作品
がSF小説を代表するものの一つとして挙げられる事が妥当なのかどうかは、
一抹の不安を感じないでもない。少なくとも、この作品だけみれば
「大して展開のないストーリに、細部だけ色々味付けをして一丁あがり!」
という偏見イメージを裏付けるようなものであった。
328 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/09/15(日) 11:22:49.15
ラノベじゃない。ジュブナイルだ。
>>328 ググると大体「ラノベの元祖」と言われてる模様。
また、ジュブナイルとラノベが正味どう違うのか
明確に定義しようとする試みはあれど何とも釈然
としない失敗例しか見当たらないので、ほとんど
「正直どっちでもいい」
と言って片付けてしまって良さそうな気がするの
ですが、どうでしょうか?ダメですか?何が違う
のでしょうか?
ところで、あの作品を本当に「SF小説の典型例」
とみなして良いのでしょうか?
>>329 >ところで、あの作品を本当に「SF小説の典型例」
>とみなして良いのでしょうか?
SF者が100人いれば、「SFの定義」は120ほどある
SF者が100人いれば、「SF小説の典型例」は3000ほどある
典型例だと思っている奴にとっては典型例なんだる
超革中はその昔読んだが、漫画の「エリート」(原作平井和正、作画桑田次郎)の焼き直しっぽいなぁとか思った記憶がある。
「SF小説の典型例」(そもそも、そんなものがあるんだろうか?)かどうかは判らないが、ありがちな平井和正作品 ではある。
>>330 なるほど。
「朝鮮人が3人居ると4つの派閥に分かれる」みたいな話
ですね。同族嫌悪か何なのか知りませんが、内ゲバ状態
になりやすい集団だという事なのでしょうか。
「SFの王道」の解釈を巡って「自分たちこそ王道である」
と自称するマイナージャンル同士が「北SF」と「南SF」に
分裂して互いを中傷し合ったりするような対立構造も存在
したりするのでしょうか?
>>329 >323は「超革中」を典型例だとは書いてないと思うよ…
あくまで自分の感覚だけど
ブラウンから筒井までで、コアなハードSFやスペオペを覗く
SFの基本みたいなものが読めると思う。
「超革中」はちょっとしたハズシじゃないかと。
当時だって「ハチャメチャ」と銘打ったおふざけ作品だったもん。
自分は好きだけどね。
>>333 小松左京の短編「終わりなき負債」も読んでみたのですが、
昔の記憶が無い男が抱える「祖父の借金」を巡るミステリー
っぽい雰囲気で話が動きつつ終盤になると急にアンドロイド
の話が中心に切り替わって、主人公に協力的だった女の扱い
も取って付けたような使い捨てになってて、結末でああいう
事をアンドロイドができる設定なら「あれ」以外にも手段の
可能性に幅があったんじゃないかと思ったり。
やはり、基本的なSF小説のスタイルは、
・ストーリーはほとんどどうでもいい。
・美女(少なくとも女)が仲間になる。
・何らかのSF的技術の設定が登場する。
という感じだろうかとの印象が着々と深まりつつあります。
(
>>334続き)
でもって、話題を
>>323まで巻き戻すと、宇宙人との戦いで
感染症の病に伏していた主人公男が「夢オチ」エピソードを
挟んで目が覚めたら病気が治ってたような展開は、
全く問題無い
のではないかと思った次第です。「いやいや、ダメですよ」
と言うのであれば、もう少しわかりやすいヒントを下さい。
横から言うと、
癌治療の一環で 本人の免疫力を上げるために
小児癌の子供を集めて「体の中の敵をやっつける」という
イメージトレーニングをアメリカで行った事はあった気がする。
>>336 えーと、それは「病気の治し方」の問題ですよね。
「夢オチ」エピソードを挟むと言うのは、主人公男
が「感染症の病に伏してから治るまで」の文章上の
間をもたせるための技法の問題の話です。つまり、
"辛くも宇宙人との激闘を制した主人公男だが勝利と
引き換えるように宇宙性感染症に倒れたのであった"
------みたいな場面から、主人公男が動き出せるまで
に回復する「間」を文章表現的に稼ぐ方法の話で、
そういうのをすっ飛ばして身も蓋も無く直ぐに
"まあ結局病気は治ったので、その後の戦いが続く"
くらいで軽く流してしまうと半死半生ほどの危機を
乗り越えた描写にならない。しかし主人公男が瀕死
で動けない間に別のキャラを用意して整合性のある
話にまとめながら動かそうとするのは面倒臭いので、
この際、主人公男本人の視点で「うなされていた間」
に長い夢をみていたという事にしてしまうのが安直
で楽チンな方法なんじゃないかというのが論点です。
筒井康隆の「パプリカ」は、良い夢オチだね
339 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/10/28(月) 17:35:15.25
>>338 約一ヶ月半掛けて読みました。パプリカ。長かったなあ。
もはや振り返ってみると懐かしい。あの独特の濃い文体に
苦労しつつ、あのページ数と戦っていたんだったよなあ。
それでも読み終えたのは、勇敢だったよなあ。
でも、読み終わったのは、やっぱり、夢だったのかなあ。
そんな気分です。
340 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/10/28(月) 17:41:49.38
で、話を一ヵ月半前に戻すと、何も夢を舞台とする話ではなくて
もっとイージーな「美女をお供に宇宙人と戦う男の話」ですから
主人公男が宇宙人由来の感染症から回復するまでの間はひたすら
安直に夢オチのエピソードを挿入してしまえば良さげな気がする
んですけど、どうなんでしょうか。
341 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/11/04(月) 01:40:08.46
これまでのまとめ。
あらすじ(箇条書き)
・作者がバカなせいで、冒頭で突然宇宙人が攻めてきた!!
・主人公男は、その混乱の渦中で孤独な美女を救出して仲間にする。
・なんだかよくわからないけど、とにかく地球の危機だ!!
・勇敢な主人公男は偶然に鉢合わせた宇宙人と壮絶な殴り合いの決闘に。
・辛くも勝利するも宇宙人の体液を浴びて謎の感染症に伏す主人公男。
・ここで急に唐突なエピソードが挿入されるが、病床の主人公の夢オチでした(テヘペロ
・そして都合良く主人公男の病気は全快!!
(主人公男と、それを看病した身近な仲間たちには宇宙ウィルスに抗体ができたよ!!やったね!!)
・物語の終盤、宇宙人の持ち込んだウィルスで人類を滅ぼす「死の大感染」が地球を覆う!!
・既に抗体のある主人公男と仲間たちは無事に、セカイ系っぽい舞台と化した地球に生き残る。
・「作者は投げやりでも、俺たちの戦いはこれからだ!!<完>」みたいなw
・・・そういう感じのSF小説。
これでは足りない部分、または変更すべき部分など何でもご指摘ください。
342 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/11/25(月) 01:36:13.59
とりま
>>341に準拠して書き始めてみる。
---------------------------------
「やあ、諸君。ワタシは宇宙人だ」
そう言いながら深夜の吉野家に宇宙人が入ってきた。
これは地球の危機である。なにしろ宇宙人が突然現れたのだ。
向かい合った席に座る宇宙人と刺すか刺されるかの対峙をすること2分。
お持ち帰りの牛丼大盛りが出来上がった。勿論「ねぎだく」だ。店員が
注文した俺のところに持ってくる時、ちょうど家族連れが入店して近く
の席に座った。すかさず特盛を頼む一家のパパ。無性に得意げな顔だ。
「――つゆだくで」
そう言った。確かに、そう言ったのだ。
一瞬、時空が歪むような違和感があった。宇宙人がぶち切れたのだ。
厳密には、その時点で宇宙人自身は一見平静であったが、周辺の重力
の向きが0.2秒だけ約2度ほど傾いた。それは地球人には理解し得ない
超越的な力だった。
(つづく)
>>342 >それは地球人には理解し得ない超越的な力だった。
つまりそれが解った主人公(=あんた)は地球人じゃないわけだ、宇宙人かな異次元人かな、天使かな?w
あんたが
>>341がどうかは知らないけど
あんたも2ちゃんねらならトリぐらいつけろよ
344 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2013/12/28(土) 17:25:35.24
aaaa
規制解除されてたorz
>>343 >あんたも2ちゃんねらならトリぐらいつけろよ
このスレ見たらトリップ付けずに書く雰囲気のように感じたので付けなかった。
誰でもよかった。今は反省している。
・・・などと訳のわからない供述をしながら、一応トリップ付けてみる。
(
>>342のつづき)
その後の店内がどうなったか、俺は知らない。すぐに持ち帰りの牛丼を
手に提げて一人暮らしの安アパートに帰ったからだ。上京して2年目の
夏になるが、西日本の田舎町出身の俺が一浪して入った東京の中堅私大
に通学するために最初に入居したのは“意識の高い”学生寮で一癖ある
独特の環境に馴染めずに2ヶ月で出てしまった。そして2番目に入居した
のがJR中央線沿線で交通の便は良い割りに家賃の安い、このアパートだ。
「まさか宇宙人に遭遇するとは思わなかったなあ」
俺は、帰り着くと同時に湧き上がる安堵感を抑えきれずに誰も居るはず
もない自分の部屋の中に向かって独り言を放った。早速、牛丼の容器を
部屋の真ん中にある格安のミニテーブルに置くと、さすがIKEAで買った
中国製のテーブルだけあって元々から僅かに宙に浮いていた脚の一つが
床に着いてカタンと音を鳴らした。いつもの事だ。その流れで冷蔵庫の
中から生卵を2個取り出す。これもいつもの事だ。牛丼一杯で生卵2個、
このバランスは至高である。異論は認めない。そして、2リットル入り
ペットボトルのウーロン茶を偽物DURALEXのコップに注ぐと、いつもの
食卓が整った。ここで、いつもには無い事件が発生した。
(つづく)
【次回予告】
宇宙人が自宅に訪ねて来たーーー!!!の巻(最終回)
349 :
343:2013/12/30(月) 03:40:43.71
もめごとが起こりそうな気がしたので3mBn/nWM8Da8にトリを薦めました
クイズ出題者「性格の悪そうなブサイクなオールドミスの理系女(リケジョ)が、
クローン人間作ったとかタイムスリップしたとか荒唐無稽なことを言っていました。
さてこいつは誰でしょう? 」
一般人「小保方晴子だな」ブーー!間違い!
SFヲタ「ハヤカワSFの編集者だ」ピンポーン!正解!!
一般人「じゃあ小保方もハヤカワSFに就職したらいいじゃん」
SFヲタ「ギャフン!」
ハヤカワSFって、ホントに性格の悪いブサイクなオールドミスの理系女(リケジョ)がいるのですか?
こんな過疎スレで、こんな短時間でリプがあるはずがないのに
面白くもないし、なんてカッコ悪いマルチポストだろう
>>352はハヤカワSFの性格の悪いブサイクなオールドミスの理系女(リケジョ)か、その取り巻きのキモヲタ男
>>352 駄作スレでも見たからセットのコピペらしい
このスレの変な小説を書いている人は、書いている小説は変だけど
自分の小説を書いている
自分の言葉でもないコピペのを書きこんでいるひとは
みっともない
保守