今日読んだSF/FT/HRの感想 11冊目

このエントリーをはてなブックマークに追加
316ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE
・「戦争と芸術」
ミリタリーSFに価値観が異なる母子(母が軍人、息子がアーティスト)の
対立関係という構図を配した異色作ではあるが、これは父子関係に置き換えればありきたりなネタに過ぎないとは言い得る。
まあ、最後は全滅フラグであり、母子の和解というたありきたりな展開に
走らないのが救いか。
・「密告者」
この作者にしては、やや読み辛い語りなのが難。
まあ、共有現実という設定を通じて「現実」とは何ぞや、
という感を抱かせるものはある。特にネットという仮想現実に耽溺し妄想を
吐き散らすきらいがあるねらーには、一読させたいものあり。
・「想い出に祈りを」
短い作だが、想い出が蓄積すると脳に負担となり老化するというもっとも
らしくも出鱈目なアイデアが面白くはある。
隣人のナイスガイがヒロインの元夫だったというオチも効いている。
・「ケイシーの帝国」
解説に「SFファンにとってはなんとも痛い物語」とあるように、
あるひとりのSF者の迷走の人生の果てにあった夢の終わりと現実的成功を
描いた作。UFOや宇宙人の存在が確認された時、スペースものSFは終る。
まあ、この点は間違いないでしょうな。
・「ダンシング・オン・エア」
俺が全く興味無しのバレエねたゆえ、どうかなあと思うて読み始めたが、
かなりの面白さであった。科学によりバレエ向きな肉体強化が可能と
なった社会の物語。ヒロイン(記者)の娘(バレリーナの卵デボラ)が最後に
肉体改造を選択する展開は、鉄郎が機械の体をチョイスしたかのような意外性があった。あえてアホなねらー風に書けば、改造され人語を解すガードマン犬
エンジェルが「かわええ〜〜」。
まあ彼(?)が守るプリマのキャロラインの秘密(遺伝子段階から
そうなるべく操作された天才バレリーナ)は、少しSFを読み慣れていれば
見え過ぎなのが難だ。