『伯林星列』 野阿梓
SFかどうか迷うところですが、SFの作家さんで、一応歴史改変もあるということで感想投下。
団鬼六を豪華にした感じというか、悪徳の栄えをもう少し詳しくした感じというか、とりあえず絢爛豪華な印象です。
帯に『禁忌のみに挑み続けた』云々と書いてあるのですが、そこまででもないような。
北一輝が出てくる度に『魔王の風格』だのと言われていたので、
きっと平将門の霊でも乗り移ったのだと思っていたら全くそんなことはありませんでした。
本筋とは全く関係の無い所で二・二六事件が成功すると言う歴史改変が行われているのですが、
なぜか本筋とは絡んでこないし、日本側の描写は途中で投げ捨てた感がどうしても拭えませんでした。
もっとも、ミュラー、アイヒマン、ハイドリヒ、石原莞爾、川島芳子なんかが暗躍するのは見ていてうれしいものがありますし、
ハウスホーファー教授の台詞によるナチス評も結構読み応えがあります。
話の流れを読むものではなく、そういった一つずつの舞台装置に萌える小説のような気もしました。
それにしても、ハウスホーファーは出演作品によって予言者だったり加藤保憲と知り合いだったりと忙しい人です。
あと、主人公の少年への陵辱よりもロシアの女スパイへの拷問のほうが好みだったのですが、短くて残念。
総評:5点(ナチス幹部の皆さんの活躍度+史実の北一輝との乖離度+ボクっ娘が予想外にストライクだった度)
読んでいる間中、著者をグイン・サーガの作者と同一人物だと思い込んでいたのは内緒です。