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ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE :
ロバート・J・ソウヤー「フレームシフト」 2点
俺はSFオタの言うことなど滅多なことでは信用しないが、質問スレで紹介されて読んだ
「ゴールデン・フリース」は本当に面白く、今まで読んだベスト15に入れることも差し支えない
ものであった。
だが、行きつけの古書店(例のナッキーに似た子がいるショップである)で同じ作者ということで
ゲットしてみた「ターミナル・エクスペリメント」はネビュラ賞作品のわりには、いまいちという感が
強く、本作では更にその感を強くした。
「ターミナル・・・」以上に舞台設定が現実に即し過ぎSFの魅力のひとつである飛翔感が弱いこと、
メーンのネタが刊行当時はともかくヒトゲノム解読が終了した現時点ではやや時代遅れなものと
なりつつあること、ネオナチとこれに絡む戦犯追跡(保険会社会長ダニエルスンの正体、
多額な保険金支払いが必要となる遺伝病患者の抹殺を指示している)のエピが
メーンなネタとのミスマッチ感があること等弱点ばかり目立つ。
人工受精によるネアンデルタール人のクローン(アマンダ出生の秘密)作成という発想は
今でも十分に面白いのだが、育ての親(借り腹でもある)母モリーもテレパスという異端者で
あることから、無理やりなハッピー・エンディングには白けるものを感じざるを得ない。
この作者は「ゴールデン・・・」の悲劇・鬱エンド志向を、なにゆえ放棄してしまったのであろうか?