今日読んだSF/FT/HRの感想 8冊目

このエントリーをはてなブックマークに追加
743ミステリ板住人 ◆22RAaWR.nE
宇月原晴明『安徳天皇漂海記』           1点
本書を手にした時、俺は気が狂ったSF&ファンタジーオタの生霊が憑依したが如く、
加藤夏希似のキャッシャー(余談ながら、彼女は夜シフトに変わったらしい)の前面で
叫んだ「文庫化以前に『安徳天皇漂海記』ゲーーーーーーーーーーーーーーーット!!」と。
安徳天皇、源実朝、そして南宋最後の皇帝趙昦と日本史と世界史をまたがり
人気がある悲劇キャラをメーンに使ってファンタジーを書いてみますた、という感じの作である。
第1部は実朝の死による源氏に対する粛清、第2部はこれも歴史人気キャラであるマルコ
(注 「母をたずねて三千里」の主人公ではない(w )の目を通して、
元寇の失敗によりモンゴル王朝に暗雲が立ち込めることを示唆して終わる。
歴史の悲劇の主であった安徳天皇や趙昦の「呪い」は正に成就されたのである。
昨年度「SFが読みたい!」ランキング上位に入った作だが、
その内容を見ると、SFとファンタジーのランキングを峻別すべしという識者の見解に同意せざる
を得ないものがある。
ファンタジーとして読めば、琥珀の玉中に浮かんだ安徳天皇とか、アニメ的でもある美的イマジネーションはそれなりに良いのだが、SF的要素(歴史SFという観点から見ても)は皆無である。
本作を読んで「漏れだけの安徳キター!!」と絶叫しているアホなSF&ファンタジーオタ
(戦前なら不敬罪ものである)に対して、私は声を大にして言いたい、
「喪前が壇ノ浦に沈め!!」と。