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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
山田正紀「神狩り」 3点
刊行当時はセンセーショナルな感があった本作だが、現時点での客観的で妥当な評価は
こんなところであろうかと思う。
後に日本でも読書人の間で静かなブームとなるヴィトゲンシュタイン哲学に
下手に触発されたSF(思索小説の方の意)に過ぎないとの辛口な評さえあり得よう。
学生運動による大学封鎖を利用したCP利用、ヒロイン理亜(ユリア)があっさりと
自死し退場してしまうクールさ等、いかにも70年代を感じさせる。
物語は謎の古代文字がいわゆる火星の運河と称されるものの紋様と同じであること、
これが神から人類への何らかのメッセージだということまでは明らかにされるものの、
(ここでまたしても「赤い星はやっぱり、やっぱり漏れの故郷だ!」
と絶叫するアホなSFオタはいい加減に逝ってよし!)
本格的な神との対決(タイトルの神狩り)までには到らず、
後の続編(まさか21世紀になるとは思わなんだが)を予想させて終わる。