今日読んだSF/FT/HRの感想 7冊目

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683ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
長山靖生「奇想科学の冒険」         3点
地球平面説を力説する浄土真宗大谷派僧侶佐田介石、SFという名称成立前のSF(?)
「新未来記」の翻訳者近藤真琴、SFオタにちっとは知られた明治のSF作家という
プロファイルを持つ矢野龍渓、メスメリストの渋江保(鴎外の「渋江抽斎」の子息)、
初の人型ロボット学天則の製作者西村真琴(西村黄門の父)…
今の季節は、「漏れだけの夏のロケットキター!コレ!」とか絶叫しながら、
市街地で手製ロケットの打ち上げを試みるアホなSFオタを見かけることがあるが、
これは単なるキティである。
そこには、本書で紹介されているような人々が持つ「奇想」の裏にある「思想性」
(人により時代への反発の場合もあり進取の場合もある)はかいま見ることさえ出来ない。

藤枝静男「田紳有楽 空気頭」            2点
「なにこれ?」というアホなSFオタに対して私は声を大にして言いたい。
「喪前の頭こそ空気頭だ(w 」と。
「田神有楽」は谷崎賞、「空気頭」は芸術選奨を受賞した純文学であるが、
内容的には、前者は陶器(志野筒型のグイ呑み)が主人公というトンデモなファンタジー、
後者は、療養中の妻を持つ男という私小説的設定ながら、トンデモ医学SFとでも
称すべきものである。
SFオタよ、こういった作を契機にして、たまには「純文学」にも親しんでみたまえ。