今日読んだSF/FT/HRの感想 7冊目

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308ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
半村良「石の血脈」         3点
アトランティス、バンパイア、狼男、巨石信仰、イスラムのアサシンズ等々に関する
薀蓄(注 うんちではない(w )が散りばめられて展開してゆく、
SFちゅーか、SF仕立ての伝奇小説。
石化することにより永遠の生命を得る(その過程で人間の生血を必要とする)という
トンデモなネタがメーンだが、このストーリーで全編東京が舞台というのは珍しい。
反面、陰謀(?)のわりには舞台のスケール感を欠く面が否めないのだが、
東京の盛り場の描写は、作者の豊富な実地体験が活かされたのか、この手の作品には
珍しい生活観・臨場感に富んでいるのが面白い。
中盤以降は、とにかくエロ満載であり、「エロキター!」と半狂乱になるアホなSFヲタ
の姿が目に浮かぶようだが、なにせ70年代前半に書かれた作だけに古臭さは否めず、
今では広く知られるようになった熱中症に関する記述も誤りっぽいものとなっている。
ちょっと厚いが、一応の暇潰しの読物とは成り得る程度の評価が妥当であろう。