今日読んだSF/FT/HRの感想 6冊目

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450ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
一柳廣孝編著「オカルトの帝国 1970年代の日本を読む」   1点
編著者を筆頭にした若手の学者による論考集。
一連のオカルトブームを通して、各執筆陣の専攻分野の視点から
70年代の日本及び21世紀への現代への連環を読み取らんとした論考集である。
「日本沈没」、横溝ブーム、映画「エクソシスト」、
「ノストラダムスの大予言」
(今だにSFヲタには信奉者が多いと聞く、とうに21世紀だというのにである(w )、
宗教書のベストセラー化、恐怖の心霊写真集シリーズ、水木しげるの妖怪ブーム、
つのだじろうの「恐怖新聞」、空飛ぶ円盤とコンタクティ、超能力ブーム…
取り上げたネタそのものははどれも面白く、企画の趣旨そのものも悪くはないのだが、
いかんせん、肝心のネタの処理の仕方に無理が有り、いたずらに遠回りで難解に帰す結果となっている論考が多いのが難である。
例えば、ディスカバー・ジャパン・ブームと横溝ブームのダイレクトな関連付けは、
いささか(繰り返し注意を喚起しておくが、伊佐坂先生ではない(w )強引なきらい
があるし、エクソシストやノストラダムス等の大ヒット関する時代検証はそれなりに
面白いのだが、そのバックグラウンドに関しては紙数の制約もあるせいか、
踏み込み不足の感を否めないものがある。
宗教書ブームに関しては、その歴史を敷衍するのみに終わっているやに見える。
本書に限らず、青弓社という版元のサブカル関係の出版物に共通したことであるが、
もっと一般読者にわかり易く、面白く読ませることに一工夫必要かと思う。