今日読んだSF/FT/HRの感想 5冊目

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350ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
小松左京「さよならジュピター」    3点
御大の数々の実績に敬意を表して、これでもやや甘目の評点である。
太陽に迫り来る巨大ブラックホール、この太陽系最大の危機に対して木星を爆破して、
ブラックホールへ衝突させるという奇想天外なワンアイデア、これが「日本沈没」を
上回る長大な作品の全てと言い得る。
本書にある科学的な薀蓄に対する説明は私の責務ではないが、小松御大がノリノリで
書いているのはわかるものの、全体的には基本設定が「日本沈没」の宇宙版に過ぎない
感が強く、結果的に作品評価は厳しいものとならざるを得ない。
作品中で、掛詞的役割を果す海豚のジュピター(鮫に襲われた人間を救うため犠牲になる)
も創り過ぎた余計なキャラ(?)と言い得る。
本書の一部分のみを再読三読し、「無重力セクース!!」とか絶叫しながら、
石丸の屋上からダイブを試みるSFヲタが現れないがどうか、この点のみが深く
憂慮されるところである。
「公衆道徳」、これもまたSFヲタに欠ける要素のひとつと言い得よう。
心しておけ!