☆★アーシュラ・K・ル・グィン 2冊目★☆

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700 ◆GacHAPiUUE
-イシ-
北米最後の野生インディアン
著)シオドーラ・クローバー
訳)行方昭夫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4006030851

 北米、カルフォルニアのヤナ族最後の一人、そして最後の「野生」のインディアン、イシの物語。

 よく混合されてるんだけど狩った人間の頭を剥いだのはインディアンではなく、白人なんだよね。
しかも得意げに。今回、その辺の自分の誤解だとか19世紀末から20世紀初頭のアメリカ開拓期の
真の姿をよくよく写す第一部、そして、人間として暖かさと優しさの思い出としての第二部。
読んでてこれだけ安心していられるのは、書き手の控えめで穏やかな性質のおかげなんだろう。

 でもお母さん、娘さんと書き方が似すぎ。皮肉や批判の描き方が実に似ていてほほえましかった。

 一つの文明が、文化が、国家の事業としてではなく、個々人の野心によって八つ裂きにされていく
姿というのは読んでいても痛ましいものがあって、でも読みながら、これはもしかしたら我々日本人の
過去にもそして未来でも起こりうる光景なのだ、ということを否がうえにも思い起こされた。
 また、イシや、ヤナ族の印象があまりにオールウエイズカミングホームやアースシーに灯影されて
感慨深くすることもあった。これは家族の記憶でもあるんだな。きっと。

ともかく、「オール〜」再読前に届いてよかった。ル=グィン母さんを理解する上で絶対不可欠な書だろう。

10点