クトゥルフ/クトゥルー/Cthulhu -タイタス・九ロウ-

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306ウルトラマン@気持ちは御大風
無数のおぞましくのたうつ不定形。
そのひとつ、薄暗い色の個体が傍らを漂う若い個体に取り付いた。穴を開け、
自分の断片を送り込む。食い荒らしている。別の方向―あり得ない角度から接
近するもうひとつ。細い金色の針が伸びて若い個体を突き刺す。先の個体から
侵入した断片を突き刺している。針は伸びたり縮んだり―

―おまえは――――触れた――
      ――開くのだ―――門を―

同僚たちが見おろしている。
目を開くと、一斉に安堵の色を浮かべた。
隕石に衝突したなんて、それこそ天文学的な事故だ。幸運と丈夫な機体のおか
げで助かったのだ。
皆が驚くのも構わずに起き上がる。
307ウルトラマン@気持ちは御大風:2005/12/21(水) 03:30:01
もうひとつの隕石が湖に落ちるのを見た。放射性物質の可能性がある。すぐに
取水を中止すべきだ。
嘘がすらすらと口をついて出る。いや、嘘は一箇所だけだ、構うまい。
あれは放射性物質なんかじゃない。はるかにたちの悪いものだ。
異次元の色彩。まもなく湖は不気味な光を放ち始めるだろう。水は汚染される。
水を飲むものも皆。
そしてやがて、手の届く限りの生命を吸い尽くしたとき、そいつは姿を現す。
そのとき。
「門」を開け。「あれ」はそう言った。湖の怪物が現れたとき、門を開け。そう
すればその門から出て、怪物を滅ぼしてやると。これから来るものたちもその
度に滅ぼしてやると。
308ウルトラマン@気持ちは御大風:2005/12/21(水) 03:31:58
そうだ。これから来るものたち。若い個体に侵入した断片。
あれはこの宇宙だ。我々の宇宙。喰い荒らされ、突き刺される宇宙。
手の中にある物体に目を落とす。この地上のものではない物体。異界の鍵。
これが無かったら、気絶している間の悪夢だと思い込めたかもしれない。
これを分析すれば。いや、狂人と思われるのがオチだ。あるいはもっと悪いこ
とになるかもしれない。なまじ狂った想像力に恵まれた組織だ、人間扱いされ
なくなるかも。これは誰にも見せてはならない。それに。
「あれ」の言った言葉。
――おまえが「門」なのだ――

名状できない理由って難しー。こんなに説明的なのってw。
ちょうど「異次元の色彩」読んでたので、ちょっと入れてみた。