今日読んだSF/FT/HRの感想 4冊目

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939ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
木原喜彦著「UFOとポストモダン」      2点
SFヲタでも知っている奴は知っているユングのUFO=集団的無意識説あたりから、
ポストモダンの時代におけるUFO像を語るのかと思いきや、いきなり前書き(はじめに)
で、深層心理学はオカルト的な疑似心理学の色合いを帯びているとし、この方向性を
取らないことを明言、以後は各章で社会学・哲学の観点からUFO神話とでも称すべき現象の変遷が分析されてゆく。
(ジャック・デリダの「バロール」と「エクリチュール」等は分析にあたっての肝要な
ツールのひとつとなっている)
不満点は、著者が論考の対象にUFO(及びその搭乗員と考えられるエイリアン)を
取り上げながら、終章ではほとんどUFOに関して語らなくなってしまうことである。
(代わって、聖書の暗号、アポロ月面着陸の陰謀説、スカイフィッシュ、環境ホルモン、
Y2K問題、911とテロ等の話題が、ポストUFO神話として分析対象とされている)
これは、ロズウェル事件の実態が判明する等、90年代後半以降のUFO現象の
沈滞傾向(つまり、語るに値するほどの社会現象足り得ない)もあって仕方無い面も
あろうが、アキバのグレイ(注 歌手ではない(w )タイプのコスプレをした奴を見て、
「やはり宇宙人は地球に来ていた!」と興奮、そのついでに新築のアニメセンターに乱入、
「山ちゃんキター!、ショウコタンもキター!コレ!」と絶叫のうえ、
警備員に不審者として叩き出されてしまうUFOヲタ兼SFヲタには、
納得がゆかないところであろうかと思う。