今日読んだSF/FT/HRの感想 3冊目

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848ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2
J・G・バラード「結晶世界」    4点
初読時は早川だったが、今回は創元で読む。
まあ、現時点での評価こんなものかと思う。
結晶化してゆく世界(結晶化した鰐というイメージが鮮烈だ)、
この美的かつ凄惨な滅びのイメージで読ませる作品だが、
あまりに科学的考証がスルーされ過ぎ、かつ、小説として秘境冒険もの風の設定も全く
と言ってよいほど活かされていない。
科学の衣装をまとった面白い法螺話であり、ミステリ、冒険、エロ等先行して確立された
他ジャンルの要素を効果的に取り入れられること、これが「SF」というジャンルの持味
なのだが、この2点を放棄してしまったら、最早それがSFと言い得るのかどうか、
大きな疑問があるところである。
この事は、ニュー・ウエーブ、サイバー・パンク以降のSFに一般論として妥当する
ものである。改めてSFヲタ諸兄の猛省を促したい。