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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
小松左京「ゴルディアスの結び目」
久々に再読。御大の手になる精緻な法螺話を堪能した。
以下にハルキ文庫版の収録作品について記す。
文庫解説を美人評論家として著名な小谷真理嬢(なぜ、彼女の単独スレが無いのか、
不可思議。この辺もこの板の駄目なところであると言える)が担当しているのも
嬉しいものがある。
・ 「岬にて」 7点
SFヲタにも多い厨房にはわからないオトナのSF。
中田青年がカルロス=S・タカハシが殺した妻の弟だったといった、
見え透いた安易な展開にしなかった点は評価出来る。
・ 「ゴルディアスの結び目」 8点
短編ながら、日本SF作家倶楽部オールタイム・オールジャンル・ベストの堂々第11位
にランクインされた衝撃作。
何度読んでも惹き込まれるような面白さだが、執筆当時の「エクソシスト」に始まる
オカルトブームに便乗気味の極端なゴシックホラー風の設定には、感心しないものがある。
「牙と角が生えたなんとも不気味な美少女キター!キター!…」と絶叫しまくる
アホなSFヲタの姿が目に浮かぶようだ。
しかし、このレベルでは本作を語ったことにならないのは、今さら言うまでもないで
あろう。
・ 「すぺるむ・さぴえんすの冒険」 7点
F・Kを想起させるような奇抜な発想で読ませる。
シリアスな状況下の最後っ屁には笑った。
マエストロとは言え、この辺がいかにも関西の作家らしい。
・ 「あなろぐ・らぶ」 8点
冒頭から「なんとも濃厚なエロキタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」と興奮状態と
なったSFヲタは、最後に脱力してしまうのではないか(w
「宇宙」のセックス(「宇宙のセックス」ではない点がミソ)という発想が凄過ぎる。