山本弘part19

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>>97
反重力

主にSF小説で用いられる架空の力。
自然界に存在する電磁力には引力と斥力が存在する。
では重力にも同様に引力と対になる力があるのではないか?
という仮定から構想されたという。

この力を利用すれば重力下においてその影響を無視出来る(らしい)。
同様のアイディアに重力制御や慣性制御がある。
今のところ現実世界では発見されていない。

SFにおけるこのアイディアの登場は古く、嚆矢となるのは恐らく
月旅行を描いたウェルズの小説『月世界最初の人間』に登場する
重力遮断物質「ケイバラー(ケイバリット)」であろう。

しかしウェルズは当時の科学水準で月面に着陸するアイディアを
思いつけなかったため、この極めて都合の良い架空の物質を考案したという。

これに対して月旅行小説を書きながら、同様に月面着陸のアイディアを
思いつけなかったヴェルヌは月を周回して帰ってくるだけ、というプロットを採用した。

そして、ここでSF界最古の論争が起こる。ズバリ、

「話を面白くするために架空の物質を考案するのは科学小説としてどうよ?」

というものだ。
詳しい内容はスペースの都合で割愛するが、SF者というのは
昔からこんな事ばかりやっていたのだ。何とも微笑ましく鬱陶しい連中ではないか。