ヤンが帝国に、ラインハルトが同盟に生れたらどうなってただろう?
まぁ、
ヤン:歴史家・・・の卵
ライ:シスコンで我侭で傲慢なサラリーマン
じゃあ面白くないので、二人とも一応、高級軍人になる前提で。
オプションとしてユリアンがラインハルトの養子に、キルヒアイスがヤンの親友になった感じで話を広げたら面白いかも。
>437
もしそうなってたら、ヤンは今度こそ断固として退官しそう。
政府は慌てて引き留めるだろうけど、こいつらのおかげで
大切な人たちが死んでしまったっつー怒りは解けないだろう。
もしかしたら帝国に亡命するかも。……それはないかなあ?
フェザーンあたりに行く可能性はあるかな。
>439
ユリアンとラインハルトは息が合わなさそうだw
ラインハルトはほっといても軍人目指しそうだけど
(それで同盟の腐敗に怒って、将来的には政治家目指しそう)
ヤンはどうかなあ。
「帝国の歴史の本当の部分を知りたい。だが、それを知るには、
出世して地位を得るしかない」とか、そういう知識欲で頑張って
出世するとか?
ヤンは帝国に生れても、「ただで歴史を勉強する為に」士官学校に入学してそうな気がする。
そうなると、キルヒアイスが軍人になる理由がなくなるけど・・・
帝国の士官学校は、ただで入れるんだろうか?
だから、そういう話は本スレでやってよ。
コピペしてあげるから、そっちで続けてくれ。
>>443 ?
アカラサマにIFスレよりの話だと思うけど?
最近SSが出張ってきてるけど、スレとしてはこの手の話の方が古いんじゃないの?
>443
スマンが荒らし認定させていただいた。
以後放置する。
>>442 軍属扱いになるなら、只かむしろ給料もらえるかも。
貧乏貴族であるファーレンハイトが食う為に将官になったのなら、少なくともそれ程高額な学費ではないと思う。
>446
貴族と平民で違いそうだが……。
士官学校や幼年学校は、平民が入れない訳じゃないが基本的には
貴族のためのもの、みたいな描写だったと思う。
キルヒアイスが幼年学校に入れたのはアンネローゼのおかげだったし、
ミッターマイヤーも平民ってことで士官学校で苦労してるし。
そもそもこの「ヤン:帝国、ラインハルト:同盟」のIFでヤンは帝国平民出身なのか下級貴族出身なのか門閥貴族出身なのか決めてないんじゃないか?
雰囲気的には平民出身だろう。とは思うけど。
>448
後、姉がいるかとか、年齢をどうするかとか、その辺によっても
変わるよね。
追記。
ただ、年齢設定をそのままにした場合、ヤンとラインハルトが戦場で
相まみえるのはカナーリ後になりそう。
同盟では、ラインハルトは帝国ほど出世できないだろうし、ヤンも
そんなに出世欲ない上に、平民だとしたらますます出世遅れるだろうし。
ヤン40代後半、ラインハルト30代後半で戦うってこともありそう。
>>445 どっちが荒らしだよ。ふざけんな。
嫌がらせみたいにレスを伸ばして、本当に幼稚だな。
いい加減にしてくれ。そんな話はむしろ本スレの方がふさわしいだろう。
頼むから自重してくれよ。せっかくSSが波に乗りかけてるのに
間にくだらんレスが多いとぶち壊しになるんだよ。
もう少しよく考えてくれよ。これについての返レスはいらない。
謝罪もいらないから、もうレスしないでくれ。
SSが来るまでおとなしく待てって。
レスはいらないって自分以外の仕切りは認めないなんて典型的ですね
あれだな、約1名カッターナイフで他人の首を切りそうな奴がいるな。
しかし、ヤンが帝国で生まれた場合(生家は平民とする)
運動神経はやや鈍いがそこそこ頭が切れるので親も大学に行かせようとする。
大学では当然歴史学を専攻。
しかし、理系学生でもなけりゃコネもないので二等兵で徴兵される。
「このままだと負ける」とか上層部への不満をうっかり口に出したので、
馬鹿貴族に目をつけられひどい目に遭う。
そのうち乗っている艦が大破して脱出艇で脱出しようとするが、間に合わないでそのままお陀仏。
そんなのしか思いうかばねーorz
何だか、二次創作を書いたことで場が荒れてしまったようで
申し訳ありません。
私も、IFネタをこちらで話すのは全然問題ないと思います。
もともと、そういうレスか゜主流だったスレですし、そこから
生まれる話もあると思います。
SSの邪魔になるなんてことはまったくありません。むしろ、
楽しく話していただいていた方がありがたいです。
普通に考えると453になるのでw
ご都合主義に任せて、取りあえず、メルカッツの部隊に配属されてメルカッツに見出されたりする辺りから初めてみてはどうだろう?
ヤンの愚痴だか進言だかで劣勢を挽回できたメルカッツに目を掛けられて〜みたいな感じで。
むしろSSが邪魔なんだってば
213 ◆IfKirKRfcA さん。気分を害してしまってすいません。
SSで場が荒れたなんてとんでもないです。
貴方があやまる事は何もありません。
どうかこれからもお願いします。
>456
邪魔ってことはないだろう。
>1を見ると創作もオッケーってことになっているし。
加えてSF板自体、別に創作は禁じてない。
ていうか、ネタが面白ければオッケー、ってな気風のある
板だからな。
もっとも、最近はちょっと雰囲気変わってきている気もするが。
本当はもうレスしたくないし、こんな荒らし厨房(452,453,455,456)
を相手にするのもバカらしいんだけど、けじめをつける為には仕方ない。
何故嫌がらせみたいにレスを続ける? 信じられないな。
どういうつもりだ。いつもはこんなにレスを伸ばさない癖に、俺が
注意した途端、わざとらしくレスを続けるのが腹立たしいんだよ。
本当に陰険だな。少しでも良心があるのなら自重してくれ。
そんなやり取りは本スレの方でもできるじゃないか。何故そういう
いやがらせをする? 一人の人間がまじめに言ってる事くらい聞けないのか?
もともと俺はAA荒らしやスレ違いレスを批判するのが初めだったのに、
それをからかうみたいにわざとらしくレスを伸ばすから許せないんだよ。
そんな事してみじめになるのは君らだけだぞ。本当に情けないな。
俺が言いたいのは一つ。ルールに従ってくれって事だ。
そんなに言うなら、自分でSS投稿専用の掲示板なりスレを作れ。
ヤンがメルカッツ艦隊付けになった場合、やれるのは参謀か。
シトレ提督付けの頃みたいな感じになるのかね〜。
その後は艦隊司令に、となると考えたいけれど、
ヤンの場合辺に不器用で強情なところがあるから、
必要以上に貴族の恨みとかを買ってそうだから、
艦隊司令への昇進の話があると貴族の反対で常にお流れ。
そのうちメルカッツも引退するので、それにあわせて引退。
そんな感じかな。最終階級は中将か少将ぐらいかな。
>456
現状ではそうなってしまってますね。本当にすみません。
私自身、ネタ話とか楽しく話していたので残念です。
(>447とか、私です)
>459さんが冷静になれるまで、二次創作は止めておきます。
>460
そんなところかなー。
もともとヤンは、人の上に立とうとする意識は薄いから、
別に栄達しなくても不満はないと思う。
でも、そこでご都合主義第2弾として、グリンメルスハウゼンを
登場させましょう。
彼に気に入られたヤンは、自分の意志に反して出世してしまう、と。
>>459 まぁ、何でそんなに必死になってるのかわからんがモチツケ。
別にスレ違いなわけじゃないんだし、小説のネタ出しだと思えば、それほど腹も立たないだろ。
君のレスが呼び水になってスレが伸びてる事は否定しないけど。
>>460 まぁ、メルカッツ配下時代にミッターマイヤーやミュラー辺りと親交を深めておけばもう少し伸びそうな気もするけど、
この場合は皇帝崩御から誰がどう動くかで全然変わってきそう。
ラインハルトが居ないって事はリヒテンラーデが出張る事もないだろうし、もし出張る場合はロイエンタール辺りをラインハルトの代用にするのかな。
>>461 そう言わずにガンガン書いて下さい。
期待してます。
464 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/15 20:07
なんでこういう時シュターデン閣下は名無しに戻るんですか?
出て来いよ、知障が
>>463 >ミッターマイヤーやミュラー辺りと親交を深めておけばもう少し伸びそうな気もするけど
ラインハルトがいないならこいつらも良いように使い倒されて終わるんじゃなかろうか
「20代で中将までなったはいいけど60代になってもあいかわらず中将だぜ」みたいな。タダの平民だし
やはり貴族のコネが欲しい。周囲の状況を作らないとさっさと退役してしまうw
>465
そこでグリンメルスハウゼンですよ。
親しくなっておけば、黒歴史を書いた秘密文書も手に入るしw
じゃ、ヤンが大貴族に生まれたと仮定しよう。それもブラウンシュヴァイク本家に。
歴史が好きで帝政に懐疑的と、一族から煙たげられているんだけど、
戦場に出るとかなりの功績をあげるもんで、どう取り扱ったらいいか分からないので
変人扱いを受けているヤン。そんなのが想像できた。
貴族になったら食うに困らないから引きこもって金にもならない歴史書を書いて一生を終えたでしょうよ
「毒にもクスリにもならない」「会ったことがない」とゴシップにすらならん人畜無害な存在になる悪寒
469 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/15 21:00
西欧式エリート(貴族)ならば、軍隊に行くのは当たり前。
ヤンならば案外提督まで出世したら退役して領地に戻り、年金を貰いながら疑似民主制をやるかも。
平民から選挙で選ばれた人間を家臣に選んで、平民自治による行政を任せる。
そして自身は、自分の本業と思う歴史の研究と歴史書執筆。そんな彼にも転機が…。
ある日彼は、大学への進学を志ながら両親を亡くした理知的な平民の娘に出会う。
名前はフレデリカと言う。弟ユリアンと暮らす彼女に、ヤンは学資支援を申し出る。
彼女フレデリカの大学進学を応援し、相変わらず領地の平民自治支援と執筆を続けるヤン。
卒業したフレデリカは迷わずヤンと結婚し、同時に彼女の弟ユリアンも引き取る。
そして、三人の楽しい生活は始まったが、ヤンを妬む門閥貴族達が…。
盛り上がっているようだけどヤンが貴族であるなら
ゲルマン風のかっこいい名前をつけてあげないと。そのままじゃまずいでしょう。
グリンメルスハウゼンのじーさんの知己を得たとしても、
じーさんは割と早く寿命で死ぬので、
後ろ盾がなくなったヤンはケスラー同様辺境送りに。
しかし、辺境なら海賊退治ぐらいで他にやることがないので、
のんびり歴史書を書いているような気がする。
ヤンが黒歴史書を使用しなかった場合だが。
>>461 僕も463さん同様あなたの話を楽しみにしていますよ。気にしないで書いて下さい。
>>459 お前が一番の荒し厨房なんだよヴォケ
さっさと氏ね!
神経質で胃痛持ちのシュターデンはよ出て来い
_,,,,,,,,,,,,_ _,,,,,,,,,,,_
,;r'" ミf"'"三- `゙''-、
,;r'" ,,:r'''''''ー、ミi;ニ二─-:、 ゙ヽ.
,i' /" ,,:-─-:、,_ミi;ニ-─-:、_゙ヽ. .゙l;
,,f"〃 ,f" ̄ ̄ ̄~゙゙"~ ̄ ̄~`'ヽ.ヽヾi
f",i:.;| |; ゙l } i :}
|/j; リ ,|' | ! l ,l
{ ,/ ,ソ ゙l; ヽ ゙}
| /.,rj .,,,__ __,,,,,,... ゙l, ゙l;.}
>>459氏ね………
( l リ-l -=wァ三''';;:. '''~←wァ=- ノミ、| }
l {ノl! ゙l.  ̄ ''´ :: `''  ̄ ト |,リ }
゙l;ヾヽ、l .::: ノ ノ,イ:{
,) :i ゙-i\ ;; ,, ,/f'"i ,}
{. i: l l゙i、 `_´ ,イ i l リ
. ゙l, i l |゙、. -=====- ,i', { l :|
:| ; ; | ゙、. ''=='' .,/ ,l | ,リ ,リ
゙ヽi,ir"ヒ,,_ ゙ヽ. / /,ノ、'-'"
j-、`''-ニミ`''──''":-ー''" 'r゙li.
,(.(ヘ`f"-'"`'''i,`l! ̄"~て~'y',n }
,,::-rvー''f">ミ ゝ ゙vっ /.,i゙|.| とヽ)ノ フフ`=ニェ-:rェ_
==-'''''""~ヾミ-,,_ゝ(_ ,/ ;i' :|.l ノ,,r", ,f"''二`ニ=-=-
=ニ" ̄ ̄~`ヽ、`''-ニ___,ノ :l,三,ニ-''",,-'',,r'''''ー-ニ二
(゚∀゚)
貴族に生まれたヤン。やっぱり歴史好き。
親が事故死、借金のかたに屋敷をとられ無一文になってしまう。
しょうがなく親類の貴族にやっかいになる。
だが物好きな貴族の娘がヤンを気にいってしまい、ヤンと仲良くなってしまう。
これは、いかん。・・・とばかり親類の怒りをかい、軍隊に無理やり入れられ最前線へ。
そこでオスカー・フォン・ロイエンタールとウォルフガング・ミッターマイヤーに出会う。
477 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/15 23:08
すると、ミッターマイヤーの機動性とロイエンタールの頭脳戦を利用できるな。
と、心なく自由な戦略を空想する作戦参謀ヤン。
(゚∀゚)
イゼルローンで起こった事件を解決したとき、
「下級貴族で女たらしの中尉」と
「かたぶつの平民中尉」と
「ぼんぼんのおのぼり少尉」は胸襟を開いて語り合う仲になった。
軍部はこの三人を組まして戦わせるようになった。
ミッターマイヤーの迅速さに呼応できるのは、ロイエンタールとヤンだけであり、
ロイエンタールの巧緻さに匹敵するのは、ヤンとミッターマイヤーだけであり、
ヤンの知略を戦場において完璧に具象化できるのは、ミッターマイヤーとロイエンタールだけだった。
本来、かたぶつのミッターマイヤーが、女たらしのロイエンタールと仲良くなる要素は少なかったのだが、
ヤンの柔和な性格と言動が、三人をより強固に結びつける要因となった。
「おい、ロイエンタール。」
「なんだ、ミッターマイヤー?」
「今度、赴任してきたあの参謀をどう思う?」
「あの参謀・・・・、ああ、あの古本屋の3代目のような容姿の作戦参謀殿のことか?」
「ああ、そうだ。」
「どうだ、といわれてもな。まだあの男の立案した作戦を見たこともないしな。
何ともいえんよ。せいぜい貴族の出と言うことが名前で分かるぐらいか。卿は何かしっているのか?」
「いや、俺も特に知っているというわけではないのだが、
あの参謀、司令官に『何もするな。』と言われたから本当に、寝るか歴史書を読むかしていないらしい。
今までにボンクラの貴族を何人も見てきたが何もするなと言われて本当に何もしなかったのは初めて聞いてな。
それで多少興味がわいたんだ。」
「なるほど。確かに『多少』は興味がわくな。
といってもあまりに暇だったのでちょっとしたことでも興味がわいているだけなのかもしれないが。
しかし、あの参謀。単に今までのボンクラ貴族に輪をかけたボンクラなのか?それとも大物なのか。
ふむ、どうだミッタマイヤー、460年モノの赤ワインをかけてかけてみないか?」
むぅ、ダメダメのできだ。もっと妄想力を働かせてくる。
480 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/15 23:46
帝国側で産まれたヤンなら、喜んでラインハルトに賛同するだろうな。
ヤンなら同盟の存在をどう考えたかな?
帝国体制のアンチテーゼに必要不可欠な存在として、侵攻は反対だろう。
すると、ラインハルトには嫌われるな…。
現在の安定した体制を「次善」とし、
ラインハルトによる宇宙統一を、過去の歴史から
「悲劇の端緒」として否定するヤン。
ラインハルトと袂を別ったヤンは、軍才を買われ貴族連合の雇われ大将となる。
そして両者は、リップシュタット戦役で激突する・・・
482 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/15 23:54
そして、その後は同盟に亡命…。
それじゃ、メルカッツ提督…。うーん。
(゚∀゚)
ある日、ミッターマイヤーはエヴァンゼリンに結婚を申し込もうとした。
誰に相談しよう?
だが、よき相談役となるはずのヤン青年は、前線から武勲をあげて帰ってきたのに、
恋人がすでにヤンよりも外見も家柄もよい貴族と結婚していたことを知って傷心中であり、
ロイエンタールはロイエンタールで漁色家としての道をばく進していたから、
勢い余った彼は黄色の薔薇を買って求婚することになった。
484 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/16 00:00
ラインハルトが同盟侵攻を仕掛ける前に退役し、自分の領地で民主制を実現…。
それが妥当かな。同盟が、帝国のアンチテーゼではなくなる。
その後は、立憲君主国家の青写真を描いて議会を設立。
皇帝の非常大権を残しつつも機能する議会。
485 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/16 00:02
なんで、黄色なの?
(゚∀゚)
ミッターマイヤーの結婚式。
ロイエンタールはさっさと引き上げたため、ヤンもつきあって退出した。
その夜、酒によったロイエンタールはヤン相手に自分の過去を暴露した。
「ミッターマイヤーが結婚したというのに・・・俺は祝福の言葉が言えない。
・・・情けない話だがな」
ヤンは黙ってロイエンタールのグラスに酒を注いだ。
翌朝、ロイエンタールは今まで経験したことが無いような酷い二日酔いに悩んだ。
が、ヤンはもっとひどく、ほんとに死んだようにベットから起き上がれないでいる。
・・・おれは幸福かもしれんな。
手本となるような友がいる。その男は時に眩しい。
それに反する自分がいる。だが、眩しい光をやわらげるカーテンのような友もいる。
案外、俺は幸福な男なのかもしれない。
二人の得がたい親友をもったのだからな。ロイエンタールは思った。
487 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/16 00:27
をっ、いいねぇ。ロイエンタールやヤンのキャラが、魅せるね。
>>486 読みながらなんだかニヤニヤしてしもたw
こんなに幸せそうなロイも、いずれはやはり反乱することになるのだろうか
491 :
フォーゲル:04/06/16 08:51
>>486 いいですねえ。その時系列だとミッタマイヤーが投獄されたとき
救うべく、ロイとヤンで動くわけですね。あ、ヤンも民間人迫害は
大嫌いだからミッターと一緒かな?
(?名前がいつのまにかフォーゲルになってる? 一度質問したときに
冗談で入れただけなのに。。まあ彼も一瞬で消えた人だから思い出して
?もらうためにしばらく名乗りましょう。)
フォーゲルって何した奴だっけ?
思い出せん。
落ち着いたようなので続きを。
-------手抜きのあらすじ----------
ついに始まった「要塞対要塞」の対決。
ヤン不在のイゼルローンは艦隊指揮をファーレンハイトに委ねる。
そして数回の小競り合いが行われ・・・。
--------------------------------
膠着した状況を打開すべく、ミュラーの進言を容れたケンプは艦隊出撃を許可した。
ミュラー艦隊を要塞背後に展開させ、港湾を封鎖することで要塞の機動戦力を殺ごうというものだった。
「艦隊さえ封じ込めてしまえば、イゼルローンなど浮き砲台に過ぎぬ」
ケンプは豪快に笑った。しかし哀しいかな、彼は気づいていない。
自分の豪語の中に、問題を究極的に解決するヒントがあった事に。
ミュラー艦隊出撃す、との報に要塞首脳部(というよりキャゼルヌ)は頭を抱えた。
「どうする。艦隊で迎撃すべきか、要塞をもって迎え撃つか」
「敵戦力が判然としない状況でこちらの艦隊を出撃させるのは危険ではないか」
と主張したのはムライだった。
「出撃してきた敵は少数だが、要塞内にまだ兵力を控えてあるだろう。劣勢で決戦を強要されるのはまずい」
彼の言い分には合理性は確かにある。しかし。
・・・ヤン提督が戻るまで、戦力に傷を付けたくない、か。艦隊温存主義の三分前だな。
まぁ気持ちは分かるが。ファーレンハイトはおもむろに口を開いた。
「しかし要塞が要塞たる所以は、その攻防力と共に内部に抱えた機動戦力にこそある」
「それはそうだが・・・」
「自ら望んで機動力を封殺するような事態は避けたい。ケンプにも教えておいてよかろう、我らは要塞と艦隊の両腕で戦うのだ、ということを」
恰幅のいい元撃墜王の勇姿を思い起こす。難敵ではあるが、不思議と負ける気はしない。
ミラクル・ヤンの代役と考えれば荷が重いが、なに、そんなこと誰も期待してはおるまいし。
「では、貴官の意向は」
「そういうことだ、出撃するべきだ」
ファーレンハイトは頷くと、傍らのアッテンボローに視線を向けた。
「同意する。切って出ておくのは損にはならんだろうよ」
「決まりだな」
話を引き取るように、シェーンコップが頷いた。
旗艦リューベックの艦橋正面、戦術スクリーンには出撃してくる敵艦隊の姿が映し出されていた。
「敵旗艦確認できません・・・」
その中に名高いヤン・ウェンリーの旗艦ヒューベリオンの姿がない事に、ミュラーは自らの疑惑が膨らんでいく気がしている。
・・・ヤン・ウェンリーはここにはいないのではないのか?
その彼の思考を破ったのは、オペレーターの甲高い叫びだった。
「陣形中央、指揮位置と思しき位置にいるのは・・・アースグリムです!」
「アースグリム?」
そうだ。メルカッツやファーレンハイトがガイエスブルグから逃亡する際に奪取したという、特殊砲艦。
という事は・・・。
次の瞬間、更なる叫びがミュラーの耳を打った。
「敵艦隊、紡錘陣形に転換しつつ距離を詰めてきます!」
同盟にもなかなか腕がいい奴がいる。自らの指示を過不足無く艦隊運用の指示に変え、艦艇の流れを捌いていくフィッシャーの手並みに、ファーレンハイトは感心している。
要塞から出撃し、止まることなく移動しながら陣形を整形し敵中に突入する。難事だし、一つ間違えれば目も当てられない事になる。
こんな芸当ができるのは、例の疾風ウォルフか俺くらいのものだろうが、それも付いてくる部下があってこそだ。
・・・メルカッツ提督ではない。この強引な速攻、これはファーレンハイト提督だ・・・!
ミュラーが対応を指示し始めた時、既に艦隊前衛は交戦に入っている。
後の先を取られた格好だった。うかつだったと言われれば、確かにそうだ。
先ほどまではだんまりの一手だった相手が、まさかこうもいきなり積極策に出るとは!
「ええい、言い訳にもならん!」
後退と陣形再編を指示しつつ、ミュラーは歯がみしていた。
・・・なんとぶざまな!
>>491 シュターデン閣下ご無沙汰しております
ぃょぅ イヨウ アヒャ!
∧∧ .Λ_Λ
(*´ω`)人(゚∀゚* )
〜( x) ( )
'ノ 'ノ | | |
゙ ゙ (_(__)
496 :
エルラッハ:04/06/16 17:58
ウザすぎ
ロイ、ミッタ、ヤンの親友エピソード良い。
なんでこんなに微笑えましくなるんだろ。
バーミリオンでのヒルダの行動ウザ過ぎ
あそこでヒルダがよけいなことをするから…
>>493-494 (;´Д`)
ありがとうございます。ミュラーとファーレンハイトの戦いが
楽しみです。ファーレンの方が用兵家としては一日の長がありますしねぇ。
500 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/16 22:03
ファーレンタソは薄幸だったから、活躍して欲すい。
>>492 (゚∀゚)
アスターテ星域会戦の時、
メルカッツやシュターデンと一緒にいた提督。
ここ数日、盛況で追い付けません。
週末にでも落ち着いて読みたいし、まさに後世に残す価値があるんじゃないかと思うので、
どなたか、まとめサイトを作って頂ける勇者はおられませんか?
無論、筆者様に了承頂いた分だけでも結構です。
「ミュラー艦隊、交戦に入りました」
「敵指揮官、恐らくファーレンハイト提督と思われます」
要塞内でその報告を聞いた瞬間、ケンプは自らの血液が沸騰する音もまた聞いたような気がした。
・・・あの生っ白い小僧か!
ケンプはこの男の事をよく覚えていた。三歳年下のこの男が士官学校を出たばかりの新米士官だった頃、既にケンプ自身はエースとして勇名を馳せていた。
・・・それなのに、まがりなりにも貴族というだけで士官学校に潜り込み、それが故に最初から奴は俺の上官だった。
・・・俺がいくら愛機にキルマークを書き加え、必死に昇進しても、奴はいつも俺より格上だった。
ケンプとて、ファーレンハイトがただ貴族だから昇進した訳では無いことは分かっている。それどころか、ローエングラム侯が高く買う程の手腕を持っていることも知っている。
しかし、しかし。
俺より年下の癖に貴族であるが故に士官学校入りし。
俺より早くローエングラム侯の知遇を得ながら大貴族どもにつき。
そうでありながらローエングラム侯に手腕を評価され、同僚達にも勇名をもてはやされ。
更にそうでありながら、事もあろうに亡命して叛徒の仲間入りし。
・・・奴は許せん!
ケンプの、知らず知らずの対抗意識が、こうして相手が公然と敵として現れた瞬間に、炎を上げて燃え上がった。
「艦隊の出動用意を!フーセネガー、要塞指揮は卿に任せる!」
旗艦ヨーツンハイムの桟橋に向かいながら、ケンプは自らの闘志のたぎりを抑えかねていた。
(゚∀゚) ヤンが帝国に貴族として生まれていたら(続き)
それからロイエンタールは、ヤンという青年を注意して観察するようになった。
今まで、軍略家としての才能はともかく、一人の男としては、
大貴族の出身のわりには善良な人間・・・という以外にはとりえのない男と見ていた。
ヤンは他人や時代に流されるタイプの人間だ・・・ロイエンタールはそう思っていた。
ヤンは大貴族の出身ではあるが、領地や屋敷はすべて親類筋に強奪されたも同然で、
軍隊に入ったのも他人からの強制であり、身の置き場がないから、軍隊に入っているにすぎない。
ロイエンタールのような男にとって、ヤンが軟弱に見えたとしても仕方がないところであろう。
だが、運命に流されるだけの男以上のものを感じたように金銀妖眼の青年には思えた。
それは最初、漠然として感覚的に感じた予感程度のものだったが、
月日がたつごとに、それは確信に近いものとなっていった。
一方、ミュラーはじりじり後退しながらも追撃してくる敵を振り切れず、苦戦を続けていた。
・・・いかん、いかん!まるで相手のペースで踊らされているではないか!
彼は拳を握りしめると、キッとスクリーンを見上げた。
・・・かなわぬまでも踏みとどまり、友軍の来援まで敵を拘束しよう。
ケンプに助けを乞うのもしゃくではあったが、しかしそんなことを言っている場合ではない。
ミュラー艦隊が後退を停止して踏みとどまる構えを見せたところで、ファーレンハイトは顎に手をやった。
・・・さて、どうする。
答えは最初から分かっている。あれはケンプの来援を待つつもりなのだろう。
接敵した最初からそこに考えが至らなかったところがミュラーの若さだろうし、途中で気づいて踏みとどまる胆力を見せたところはまた非凡な点だ。
敵と自分、そしてガイエスブルグの距離を勘案する。来援までにミュラーをもう少々いたぶる事も出来るだろう。
そこへ、メルカッツからの通信が入った。
「撤退しろ、ですと?」
そうだ、とモニターの向こうの宿将は言った。
「まずは敵に一撃入れた、それで当初の目的は達した。それ以上は欲張らぬことだ」
それは、と反論しそうになり、ファーレンハイトは頭をかいた。
・・・いかんいかん、知らぬうちに熱くなっていたのか?
彼は気を取り直すと、諒解した、と返信した。
かくして、ミュラー艦隊が阻止陣形に艦隊を再編している隙をついた要塞機動艦隊はさっさと要塞内に引き揚げた。
殿軍を勤めるアッテンボロー分艦隊は慌てて追撃してくるミュラーを適当にあしらいつつ、最小限の損害で撤退に成功している。
>264 ◆X4sTWrpuic氏
ケンプがファーレンハイトにライバル意識持っているんですね。
はたして、それがいい方に向かうか、悪い方に向かうか。
続きが楽しみです。
>504
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
続けてくれるとは思わなかったです。
この場合の人物配置は、ヤンとラインハルトのみの交換でしょうか。
それとも、ユリアンやフレデリカもどっかにいるのかな。
淡々と続けています・・・。
--------------------------
急な撤退指示と言えばそうだった。もちろん、種はある。
ファーレンハイトがミュラーを追撃していた頃、イゼルローン要塞司令室ではメルカッツが眠そうな顔をしてスクリーンを眺めていた。
つきあいの短いアンスバッハや、更に短いヤン・ファミリーにはともかく、副官たるシュナイダーには、それが彼が何か思案している事を示すとよく分かっている。
「これは勝てそうだな」
「さすがは勇将と名を馳せた男だけはある。見事なものだ」
キャゼルヌやムライは上機嫌のようだったが、そうも老将はそう簡単に見ている訳でも無いらしい。それに気づいたか、先ほどからシェーンコップだけが人の悪そうな微笑を浮かべてこちらを見ていた。
そして、やおらメルカッツは口を開いた。
「頃合いですな」
「頃合い?」
うむ、とメルカッツは頷いた。
「十分目的は果たしました。これ以上の深追いは避けるべきかと」
「援軍が要塞から出てくる、と?」
「それもありますが・・・ここは勝ちすぎぬことが肝要ですな」
「勝ちすぎない?」
首を傾げるキャゼルヌ。続きを引き取ったのはシェーンコップだった。
・・・さすが、喰えない爺さんだ。
「つまり主演抜きでのクライマックスはよろしくない、ということですかな?」
「左様。ヤン提督の立場を考えれば、ここは簡単に勝たぬ方がよろしい」
あっ、と一同は息を呑む。
「つまりヤン提督の価値を損なうような真似はしないべきだ、と」
桟橋でメルカッツの出迎えを受けたファーレンハイトとアッテンボローは、老将の思慮に舌を巻いた。
「そういう事だな。イゼルローン回廊はヤン・ウェンリーあってこそ金城湯池たり得る・・・そういう事にしておくべきだ」
「なるほど、しかし大したもんですな。提督はハイネセンの政治業者どものことまでよくご存じだ」
「ここに辿り着くまでの間、色々と勉強もしてきた。それにこういった小細工は貴族相手の頃とさして変わらんよ」
表情を変えることなくメルカッツはそう言った。これが彼にしては最大限の軽口だったらしいことに、二人はしばらく気づかなかった。
508 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/17 18:57
うまいね。
509 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/17 21:33
ふむ。つまり、ラインハルトの戦場をイゼルローン回廊に限定してしまう…。
フェザーンの扱いは、どうするの?
510 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/18 21:47
そういえば気になるのは、同盟と帝国はどちらが科学力が上なんだろう?
同盟の艦船の方が、人道主義から居住性が良く装甲能力に長けるとか…?
お互いに艦船とかの兵器は現物を手に入れてるから同程度になってると思う。
(いいところや新兵器はすぐコピーとかして取り入れるだろうし、コピーできる技術力はあるだろうし)
512 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/18 22:14
ははぁ。かつてのアメリカとソ連みたいな、関係か。
新兵器が出たら、お互いすぐにコピーするという。
アニメ版だと同盟軍の艦船の方が低コストで作られてる感じですが(大気圏突入能力が
ない事や、華美な装飾がない事など)攻撃力・防御力・機動性はほぼ同等、居住性は多分
こうでしょう。
帝国軍貴族士官>>>帝国軍平民士官≧同盟軍士官>同盟軍兵士>>帝国軍兵士
>513
設定では、性能的には同盟艦の方が上みたいです。
ただ帝国艦は大気圏内でも行動可能ということらしいですね。
ミュラーどうしようかなぁ。
殺すには惜しいし、亡命させるには都合が良すぎるし、栄達させるとケンプが死ぬし。
一方、ガイエスブルグ要塞の軍港では、ミュラーの厄日はまだ終わっていなかった。
「・・・卿が如き未練卑怯な者が将官とあっては、もはや帝国軍の恥でしかない!卿の戦い振りがどれだけ我が軍の威信を損ねたか、分かっておるのか?」
ケンプの叱責は延々と続いていた。これが司令室かどこかでのものならまだ救いはあったが、帰還直後に艦から降りてすぐ、待ちかまえていたケンプに捕まったからたまらない。
フーセネガー参謀長以下要塞首脳やケンプの幕僚、ミュラー自身の部下の目の前での罵倒に、彼は必死で耐えていた。
「ええい、何か言うべき事は無いのか!」
あるわけがない。ミュラーはうつむくだけだった。確かに後の先を取られ、不本意な戦いだった。反撃に転じようとした矢先に敵には逃げられた。
しかし、あの態勢で被害を抑え、それなりのことはやったつもりではある。だが。
「・・・もういい!卿の顔など、もう見たくもない!さっさとオーディンへ帰れ!」
ケンプの叫びがミュラーの耳を打つ。彼は思わず顔を上げた。
「そ、それは小官を馘首するということですか」
「ついに耳までおかしくなったのか?それ以外どう聞こえるというのだ!卿は我が部下たるに値しない、さっさと失せろ!」
「・・・なんと・・・」
「閣下、それは余りにもご無体です。ミュラー提督はローエングラム公が副将として派遣された立場、それを勝手に更迭するのは越権行為とみなされかねません!」
さすがにフーセネガーが助け船を出すが、しかしケンプはそれをも一蹴した。
「この要塞と艦隊の指揮権は私にある!不甲斐ない副将は更迭せねば、全軍の統率を損なうではないか!」
「ですが閣下!」
「・・・もういい」
ミュラーは小声でそう呟くと、彼のために反論してくれているフーセネガーの肩を叩いた。
「私の失態は失態だ。閣下の指示に従おう」
「・・・」
足音も高く歩み去るケンプの後ろ姿を睨みながら、ミュラーは視界が暗く絶望に染まっていく気がしていた。
数時間後、ミュラーの旗艦リューベックは出航準備を終えていた。
「・・・帰ろう、オーディンへ」
彼が旗艦と直属艦隊に指示を出そうとした矢先、スクリーンに通信が入った。見覚えのある、若い将官だった。
「トゥルナイゼン少将であります、閣下」
ああ、そういう名だった。ミュラーは疲労を感じながら答礼する。そう、ケンプの部下にそんな奴がいたな。
「今からオーディンへ帰還する所だが、何か」
「承知しております。ついては、帰還は閣下と旗艦のみで、との総司令官閣下のご命令を伝達致します」
「・・・どういう、意味だ?」
「言葉通りです。閣下の艦隊は要塞に残り、ケンプ総司令官閣下の指揮下に入ります。恐らく小官が暫定的に指揮を執る事になるでしょう」
無表情に語る若い将官の姿に、溜まりに溜まっていたミュラーの怒りは暴発しかける。
「何を馬鹿な!この艦隊は、元帥閣下から与えられた私の直属艦隊だ!それをどうこうする権限が、一方面司令官にあろうものか!」
「しかし閣下はケンプ総司令官閣下の指揮下に組み込まれました」
「その私を更迭したのも閣下ではないか!」
「更迭したのはミュラー閣下個人であって、艦隊にまで帰還命令は出ておりません」
「・・・・くっ・・・!」
反論する余地はいくらでもあるはずだった。この小生意気な少将とねじ伏せる事もできたろう。
しかし、ミュラーはもうその気力も失いかけていた。がっくりと指揮座に体を沈めると、諦めたように手を振った。
「・・・諒解した」
「ご配慮、感謝します」
一方的に通信が切れる。
ミュラーは思わず顔を覆った。あまりの惨めさに、泣けるものなら泣きたい気分だった。
かくしてミュラーはその旗艦リューベックのみを率い、寂しく戦場を去った。
カール・ロベルト・シュタインメッツ中将がその艦隊と共に辺境を巡察していたのは、ミュラーと帝国軍にとって僥倖というものだったろう。
先行するピケット艦が単独で航行するリューベックを確認した時、この慎重な提督はまずそれが敵の謀略では無かろうかと考えた。しかし、そのまま普通に艦隊と合流したリューベックの様子には特に不審な点もない。
何事かを察したシュタインメッツは、ミュラーを自らの旗艦フォンケルに招くことにした。
ミュラーは憔悴しきっていた。
快活だった筈の表情は暗く沈んでおり、頬はこけ、視線には力がない。
「一体どうしたのだ、ミュラー提督」
「・・・」
ミュラーが切れ切れに事の顛末を話す。シュタインメッツは無表情のままそれを聞いていたが、内心では頭を抱えている。
・・・ケンプの馬鹿め、何を逸っているのだ・・・。
関係各所に連絡しなかったのは恥をさらすようで嫌だったのだ、と説明するミュラーを彼は押しとどめた。
「もういい。事情はよく分かった、卿の気持ちはよく分かる」
「えない私服姿のジークフリード・キルヒアイス元帥と、彼に影のように寄り添う金髪の美女だった。
(うを、切りそこなったぁ。前の最後の一行は無視して下さい)
「申し訳ない・・・」
「全く、ケンプ提督は何を焦っているのだろう。私が聞いた限りでは、元帥閣下のご指示は橋頭堡の確保と可能な場合における出戦だったはず。このような無理な攻勢は指示にないのではないか」
「それはそうなのだが、副将の立場では止める訳にもいかず・・・」
「しかも相手はあの奇術師、それにメルカッツやファーレンハイトも付いているのだろう?慎重に事を運んで然るべきではないか」
シュタインメッツは何やら思案している風情だったが、不意に副官に筆記用具を持ってこさせると達者な筆跡で何か書き、それを封筒に入れてミュラーに手渡した。
「これは?」
「オーディンに戻ったら、機会を見つけてキルヒアイス提督に面会してこれを渡すといい。事情を私なりに説明しておいた」
「キルヒアイス元帥に?」
「もう随分快復されたと聞いている。きっと取りなしてくれるだろう」
「しかし・・・」
取りなして貰うというのもどうも、と口を濁すと、シュタインメッツは怒ったように首を振った。
「勘違いしないで貰いたい。私は別に卿を助けようというのではない、卿の才覚が惜しいと言っているだけだ。一度の失敗で処断すれば、後で必ずや後悔する」
「・・・そういうことでしたら」
ミュラーは封書を押し頂くように受け取った。
多少気を取り直したミュラーを乗せたリューベックがオーディン中央軍港にたどりついたのは、そのしばらく後の事だった。
宇宙港の桟橋で彼を出迎えたのは、いまだ傷が完全に癒えない私服姿のジークフリード・キルヒアイス元帥と、彼に影のように寄り添う金髪の美女だった。
519 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/20 20:35
金髪の美女って誰?
520 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/20 20:50
お、トゥルナイゼンが出てきた事で大惨敗フラグが立ちましたな。
声は遠くにとどくのに、目は近くのものしか見えない輩の登場ですな。
おもしろくなってきたああああああああああ。
ミュラーは出迎えに恐懼するしかない。
「こ、これは・・・敗軍の将に、元帥閣下・・・それに伯爵夫人のお出迎えまで・・・」
キルヒアイスの傍らに立つグリューネワルト伯爵夫人アンネローゼは、控えめな微笑みを傷心の若い大将に向けた。
「申し訳ありません、ミュラー提督。ですがどうしてもジ・・・いえ、キルヒアイス元帥が閣下を出迎えるとおっしゃるものですから、わたくしもお供しないと、と」
「いえ、その・・・アンネローゼ様には、私の傷が癒えるまでお世話を頂いておりまして」
「・・・え、ええ。ラインハルトに頼まれて、こうして・・・」
・・・噂は本当だったか。
宰相の姉君と赤毛の元帥は相思相愛である、との噂はミュラーも聞いたことがあった。瀕死の重傷を負ったキルヒアイスの看病を、宰相はその姉君にしかさせなかったという話も。
まぁそれはそれで、と思い直したミュラーは、封筒を取り出すと赤毛の元帥に渡した。一読したキルヒアイスは、彼を車の後部座席に乗るよううながす。
「とにかく、お話をお聞きしましょう。私の私邸なら問題はないはずです、提督」
523 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/20 22:06
キルヒアイス、アンネローゼをゲットかぁ?
「・・・そうでしたか。ご苦労様でした」
アンネローゼはお茶菓子の準備だとかでキッチンに下がっていた。それが彼女に気配りだと察したミュラーは、早口に事情を説明していた。
キルヒアイスは困惑したような表情を浮かべている。
「ヤン・ウェンリーを逃がしたのが罪だというのなら、私もアムリッツァの前哨戦で彼を取り逃がしています」
「いえ、あれは」
「ファーレンハイト提督だった、と言うのでしょう?」
キルヒアイスは、あの水色の瞳をした白皙の勇将の姿を思い起こしている。
・・・私やラインハルト様に近しい人の思えたものだ・・・。
「同じ事です。私が提督と同じ立場だったとて、よりうまくやれたとは思いがたい」
アンネローゼがお茶のセットを抱えて戻ってくる。黙ったままそれを手に取ったキルヒアイスは、済まなさそうに首を振ると彼女に視線を向けた。
「アンネローゼ様、どうやら私もいつまでも休んでいられないようです」
「・・・」
「今からラインハルト様の所へ行ってきます。そのまま出征、ということになるかも知れません」
「そ、それは!」
ミュラーは一瞬でキルヒアイスの意図を察している。しかし、この若者はいまだ・・・!
「いえ、ケンプ提督の顔を潰さずに指揮権を奪うには、私が行くしかないでしょう」
「ですが・・・」
「なに、実務は他の方にやって頂きますよ。ロイエンタール提督を借りようか、と考えていますから。私はバルバロッサの艦橋で昼寝でもしていますよ」
ラインハルト自らが行っても、ミッターマイヤーやロイエンタールが行っても、ケンプは傷つくだろう。しかし宰相の寵臣たるキルヒアイスなら、自尊心も傷つかずに済む。
しかし・・・それでは。
「それでは、閣下の名に傷が・・・」
リハビリがてらの功名としてラインハルトがキルヒアイスに指揮権を与える。そういうシナリオなら、ケンプも他の者も傷つかずに済む。
ただ、キルヒアイスを除いては。宰相の寵愛を一身に集める赤毛の元帥が、また依怙贔屓を・・・と口さがない者は言うだろう。
「いいんですよ。分かる方に分かって頂けていれば、それで構いません」
ミュラーの困惑を察したかのように、キルヒアイスは微笑む。
「さ、行きましょう。時間がありません」
525 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/20 23:38
おお、思わぬどんでん返しです。
これは意外でした。
まさかキルヒアイスが出てくるとは。。。。
トゥルナイゼンフラグONで一方的な展開になると思いきや、
赤毛の名将の登場で予想がつけられなくなりましたな。
ケンプ、キルヒアイス、トゥルナイゼンwの3者が
これからの戦いにそれぞれどう絡んでいくのか楽しみです。
>>525 キルヒアイス健在時間軸という設定を忘れていたので、かなーり驚いた(w)
でも、いい感じですねぇ。特にアンルローゼとの関係。
この後の展開の焦点は、キルヒーの回廊到着とヤンの帰還の、どっちが先か? あるいは、
同時になり、回廊でヤン×キルヒー第二ラウンド?
受けたみたいで嬉しいです。ジークとミュラーはどことなくキャラが被るので、組ませると面白いかな、と。
------------------------------
ジークフリード・キルヒアイスは人望の人と言われるが、それは一面的な見方でしかない。
彼は確かに人望家だったが、それは彼の努力の賜物だった。根回しなど全くしない主君の陰にあって、どれだけそういう面倒な雑事をこなしてきたか、想像するに余りある。
・・・ミュラーはリムジンの中でそんなことを考えていた。
元帥府に向かう道すがら、リムジンに乗ったキルヒアイスは次々に電話を掛けている。既に根回しを始めているらしかった。
「・・・はい、はい、それで結構です。では私のオフィスに資料を回しておいて下さい。はい、感謝します」
電話を切るや、また別の所へ。大したもんだ、とミュラーはただ感心している。今度の相手はミッターマイヤーのようだった。
「ええ、そうです。あはは・・・ええ、大丈夫ですよ。それで先ほどの件ですが・・・そうですか、良かった。お願いします、では後ほど」
それでようやく終わりのようだった。赤毛の元帥は一つ息をつくと、ミュラーに視線を向ける。
「ミッターマイヤー提督の了承は取れました。彼からもロイエンタール提督に働きかけてくれるそうです」
「・・・なるほど」
「私から直接頼むよりもその方がいいと思いました。後はラインハルト様の決定一つ、ですね」
・・・このお人が生き延びる事が出来たのは僥倖だ。
ミュラーは嘆息した。
・・・キルヒアイス元帥があって始めてローエングラム陣営はバランスが取れる。この方は生きた緩衝材であり、潤滑剤だ。しかも無双の名将であり、私心も無い・・・天はとんでもない人物を下し給うたものだ。
うーむ、ちょっとケンプがお馬鹿すぎるような……
司令官が副官更迭して麾下の艦隊ぶんどるってあり得るのか?
529 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/21 22:30
帝国なら、あるんじゃないの?
軍法と身分制の二重規範なんでしょう。
ラインハルト軍でそんなことしたらケンプの方が
罰せられる気がする。
ケンプ曰く、「将、軍に在りては、君命も受けざるところあり」
…いやだってほら、原作者って中国好きでしょ?
532 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/22 00:42
264さん
面白いので続編期待してます
部下を更迭する権限くらいは司令官にあるんじゃねーの?
ローエングラム元帥府の壮麗な玄関には、その主たる金髪の宰相が待っていた。
無論ミュラーを待っているのではない。赤毛の友を待っていたのだった。
「キルヒアイス、もう大丈夫なのか。姉上から知らせがあった時は驚いたぞ」
優しく肩を叩く。キルヒアイスは小さくうなずく。
「はい、それにもうのんびり療養している段ではありませんから。そろそろ職務に戻らないと勘も鈍りますし」
「そうか、ならもう何も言うまい」
言葉を切り、ミュラーに視線を向ける。それは友へのものとはうって変わって、鋭利なものだった。
「一つだけ聞こう、ミュラー提督」
「はっ」
「キルヒアイス元帥を頼ったのは卿の判断か、それとも誰かの入れ知恵によるものか?入れ知恵したとすれば、それは誰か?」
「・・・」
ミュラーは言葉に詰まる。シュタインメッツの名を出せば、恩人とも言うべき先輩の顔を潰す事になりはしないか・・・。
「・・・その分では、卿に忠告した者がいるようだな」
固まってしまったミュラーを一別すると、ラインハルトは穏やかに微笑した。
「もう良い。それから、そういう忠告をしてくれる友人は大切にすることだ。卿は懇意にしてくれる知人に恵まれている、それを忘れるな」
・・・赦された?
「は、肝に銘じます」
「では細かい話は中で聞こう」
胸をなで下ろすミュラーに、キルヒアイスは小さく頷いてみせた。
「・・・なるほどな。してやられた訳だ」
ミュラーからの報告を聞き終えたラインハルトはおかしそうに笑った。
「卿からの報告そのものには満足した。卿の言葉には虚飾も、取り繕いも無い。自分の失態を直截に報告できる率直さは評価に値する」
「・・・痛み入ります。しかし」
「そうだ。敗北は敗北だな」
金髪の宰相は、そのやや癖のある前髪をごく優雅にかきあげる。
「ではこの敗北を糧とし、次回は雪辱を果たすが良かろう。勝敗は兵家の常という、今後の卿の働きに期待しよう」
事実上お咎め無し、ということのようだった。明らかにほっとした様子のミュラーに頷き掛けると、ラインハルトは言葉を継ぐ。
「ではミュラー提督、直ちに麾下兵力を率いてガイエスブルグへ戻り、従来と同じくケンプを補佐せよ」
ミュラーは思わずキルヒアイスに視線を向ける。キルヒアイスは頷くと、ラインハルトに視線を向けた。
「お言葉ですが閣下、ミュラー提督に麾下兵力はありません。提督は単独でオーディンに帰還しています」
「どういう事だ?戦闘での損失は僅かな筈ではないか」
「ケンプ提督の命令によります。兵力を引き渡し、単独で帰還せよ、と」
「・・・なに?」
ラインハルトの表情が変わる。それは明らかに嚇怒の前兆だった。
「ケンプは何を血迷っているのだ!ミュラーの艦隊は帝国軍最高司令官たる私の命令で、ミュラー個人に配属したものだ。それをどうこうする権限など、奴にやった覚えは無いぞ!」
「お待ちください、閣下」
キルヒアイスの声はあくまで冷静だ。
「ケンプ提督としては、艦隊ごとミュラー提督に去られては兵力的に劣勢になるとの懸念があったのでしょう」
「ではミュラーに帰還など命じなければ良いではないか。そもそもミュラーの失敗が更迭と帰還命令に値するほどのものか?」
「ええ、仰るとおりです。確かにケンプ提督の行為は越権行為ですが、それでも悪意からのものとも言い切れません。前線指揮官の判断はある程度は尊重するべきです」
「・・・キルヒアイス、お前はどうしてそう誰にでも優しいのだ」
毒気を抜かれたような風情で、ラインハルトは首を振った。紅茶を手に取り、口を付ける。
「・・・まあ良い。済んだことだ、考えるべきは今後のことだが・・・」
キルヒアイス、ミュラーと順に眺め回したラインハルトは、しばらく思案しているようだった。
そこへ従卒が来客を告げる。ロイエンタール上級大将が伺候に参られました、と。
「そうか、では状況はほぼ了解しているのだな」
キルヒアイスからミッターマイヤーに連絡が行き、さらにロイエンタールに話が行ったのだ、という報告をキルヒアイス自身から聞いたラインハルトは、それがごく当然のように頷いた。
・・・ふつうなら、こういう露骨な根回しは嫌われかねないのだが。
ミュラーは今更ながら、二人の絆に目を見張っている。
・・・ローエングラム閣下は、キルヒアイス閣下の動きをごく当然のこととして受け止めておられる。自分の為に最善のことをしているのだと、信頼しきっているのだろう・・・。
「では卿に問おう。このままケンプに作戦指揮を任せていて良いものか」
「率直に言って甚だ危険かと思われます、元帥閣下」
ロイエンタールは即答した。
「ケンプ提督個人の能力はこの際問いませんが、問題は彼の焦りです。功名を立てようとの決意は誉むべきでしょうが、少々功に逸る様子が、ミュラー提督の件にも伺えるかと」
「それが危険だと言うのだな」
「はい。そうした僅かな隙に乗じるのが、あのペテン師の常套手段ですから」
「ヤン・ウェンリーか・・・」
では私が行こう、と言い出しかねないと思ったらしい。キルヒアイスがすかざず口を開いた。
「それでは閣下、私が援軍として参りましょう」
「お前が・・・?まだ完全に傷が癒えてはおるまい」
「あくまで私は名代です。実際の指揮運用はロイエンタール提督にお願いしようかと考えますが」
それでラインハルトは全てを見抜いたようだった。
「・・・そうか。私が行けば、ケンプは自決しかねぬか」
「おそらくは。小官単独で行けば、今度はいらぬ角も立ち軋轢も生じましょう」
とロイエンタール。ラインハルトはまだ迷っているようだったが、しばらく黙考した後大きく頷いた。
「・・・そうだな、それが最も適当だろう。ではキルヒアイス、苦労だがガイエスブルグへ出向き、ケンプの後詰めに入ってくれ」
「承りました」
「ロイエンタール・・・何分キルヒアイスは病み上がりの身だ。宜しく頼む」
「心得ております」
「ミュラー、今度は勝利を期待しているぞ」
「はっ」
「よろしい」
金髪の独裁者は勢いよく立ち上がる。
「無理にイゼルローンを落とす必要はない。作戦目的は当初と同じく、橋頭堡の確保にある・・・目先の功績に逸ってはならぬ。今更、卿たちに言うべき事でもなかろうが」
かくして、キルヒアイス元帥率いる援軍がオーディンを出撃することとなった。
副将ロイエンタール上級大将、更にミュラー大将を擁するこの艦隊の兵力は3万5千に達する。
帝国音頭でどどんがどん
ケンプがミュラーの艦隊の指揮権奪えるんならアスターテでラインハルトだってそうしてる
一時的に作戦の指揮権与えられてるだけだから副将を更迭したりする権限は無かろう
第一どっちも階級は大将で同格だし
そのあたりを踏まえた上で話が進んでいるようだし。
しかしこのままだとご一行の到着前にケンプが功を焦って戦死して退場というパターンもありえるかな。
さて、時間はいくらか遡る。
ミュラーが悄然と去って後、ガイエスブルグでは改めて作戦会議が開かれていた。
「・・・」
ケンプはむっつりと押し黙っている。
目の前では積極的な出戦を主張するトゥルナイゼンと持久策を唱えるフーセネガーが言い争っている。それを眺めながら、ケンプは苦々しい思いを噛みしめていた。
・・・早まったか・・・。
無論、ミュラーに対して怒りを覚えていたのは事実だった。しかしファーレンハイトを叩くべく出撃しようとした矢先にミュラーが引き揚げてきたのだから、もって行き場のない憤りがミュラーに向いてしまったのは否めない。
その彼の思いを知ってか知らずか、景気よくミュラー批判を繰り広げたのがトゥルナイゼンだった。その高拍子振りはフーセネガー当たりを鼻白ませるほどだったが、ミュラーや幕僚達の慎重さに飽き足りないケンプには好ましく思えた。
・・・それで、これだ。
ミュラーの指揮権を剥奪し謹慎させようと考えたのはケンプ本人だった。しかしそれすら手緩い、とトゥルナイゼンは唱えた。いっそのこと・・・。
「だいたい、卿が耳障りの良い事ばかり並べたのがいかんのだ。ミュラー提督に帰還命令を出したのは大間違いだったのだ」
いつもは冷静で温厚なフーセネガーだったが、続く議論にエキサイトしてきたらしい。声が大きくなっている。
「帰還したミュラー提督の口から状況が宰相閣下の耳に入ったらどうなる!」
「これはこれは、参謀長殿はミュラー提督が我らを讒訴すると仰るのか」
「口を慎め、青二才!」
顔を真っ赤にする参謀長。
「誰もそんなことは言っていない!ミュラー提督の艦隊を奪ったこと、それだけでも十分越権行為の嫌疑を持たれて然るべきではないか!」
「しかし、ここの兵力を削る訳には行かなかった、参謀長殿もそれは認めたではないですか!」
「私はミュラー提督を罰することそのものに反対したのだ!事がオーディンに知れればどのようなことになるか・・・!」
「もういい、参謀長」
ケンプは大声を張り上げた。参謀長の言うのは正論だったが、それが自分を糾弾しているようで彼には耐えられなかったのだ。
「ミュラーがオーディンに戻るまでに勝利を得ておれば問題は無かろう」
「その通りです、閣下」
とトゥルナイゼン。ケンプはそちらにも怒声を向ける。
「やかましい!卿に感想など聞いておらぬ、卿も少しは口を慎まんか!」
「・・・!」
「では、積極策ということですか、閣下」
フーセネガーが言った。その声が何か疲れているように聞こえる事そのものが、ケンプの神経を逆なでする。
「その通りだ。どの道我らに選択肢はない・・・敵艦隊を誘い出して決戦を強い、以て機動戦力を削ぐ。機動戦力を失った要塞など、黙っていても陥ちるだろう」
「しかし、そんな手がありましょうや」
「ある」
ケンプは断言する。
その後彼が説明した作戦内容は、さすがに彼が武勲の数々で大将にまで登り詰めただけのことはある、と周囲に示すものだった。
543 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/22 22:40
ほほう。その策とは何?
544 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/22 23:24
>>543 帝国軍に襲われてボロボロになってイゼルローンに逃げてくる艦から
イゼルローンに
『助けてくれ、帝国の猛攻撃を受けて大ピンチです♪ by やん・うぇんりー』
と通信を送らせる。
で、出てきたところを・・・・。
どうだ、ミラクルヤンばりの名案だろうw
>>264 毎日会社から帰ってきて、264さんの続きを見るのが楽しみです。
頑張ってください。
アムリッツァで同盟があそこまでボロ負けせず、兵力を
失わず、そ してリップシュタット戦役では、マリーンドル
フ家が貴族連合につき、 ヒルダが権謀術数の限りを尽
くし、ブラ公の娘を擁立して女帝にし、 ブラ公にはもう1
人居たボスクラスの何とか侯と共倒れして貰って 政治
的実権を握り、そしてメルカッツとファーレンハイトが軍
事の総指揮権を握っていたらってIFを、思いついたこと
が有るですよ。
帝国の内乱に同盟が介入、色々有って、ヒルダグルー
プが一旦敗れるものの、帝国領土での或る程度の勢力
を保持しつつ(ヒルダなりの開明的な改革を行っていま
す)フェザーンを占拠、フェザーンへの債務が自動的に
帳消しになり大笑いの同盟とは一時講和、ここに新たな
三勢力鼎立状態が成立、とか。
三国志で言いますと、ヒルダが袁紹+劉備という感じで
しょうか。
ハルぼんは曹操、ヤンは呉の周瑜ですね。
どなたか、書いて頂けませんかね。
単行本3冊は行きそうなプロットだなぁ。
264さん、その他の作家さんいつもご苦労様です。
前に
>>502氏も言ってたけど、まとめサイトを作ってくれる英雄は
いないでしょうか?自分にはそんな才幹が無いので不可能ですので依頼するしかできません・・・・・・。
2ちゃんねるという媒体では、こんな良文を保存するのには不安がありますし。
>>547 仕事が落ち着いたら作ろうと思ってます が、いつになることやら…
今月中には何とかするつもりですが、その前に英雄がいたらヨロシクです
>>548 クレクレ君で申し訳ありません。
応援しかすることができませんが、お仕事の方も頑張ってください!
こんなIFも読みたいですね。
ラグナロク作戦にて、ヤンがイゼルローン要塞を放棄し
て、行動の自由を確保しましたが、その折に残した仕掛
けを、放棄直後に使って要塞再占拠、ロイエンタール達
を捕縛。
そしてヤン艦隊は帝国領内に侵入、メックリンガー艦隊
を破って帝都オーディンを占拠、それをもってハルぼん
と交渉、対等の講和、とか。
多分、5巻目辺りで、ユリアンが、ヤンから説明を受け
た後、薄々勘付いていた、でも言うにははばかられた、
もう1つのやり方だと思うのですが。
ガイシュツでしょうか?
まとめサイト、期待しております。
どなた様か、頑張って下さいまし。
一方、イゼルローンは吉報に沸き返っていた。
・・・魔術師、還る!
イゼルローン回廊に帝国軍侵攻、ファーレンハイト提督ら奮戦中なれど苦戦しつつあり、との報はハイネセンの政治業者どもの思惑など吹き飛ばし、ヤンは晴れてイゼルローンへ帰還することになった。
しかも当初予定されていた寄せ集めの警備艦隊5000隻余だけでなく、第1艦隊から抽出した兵力も加え1万隻余の艦隊を率いて戻るという。
「パエッタ提督は自らイゼルローンに移ると言ったが、さすがに政治屋どもがそれを認めなかったらしい」
とキャゼルヌ。彼がかつてアスターテで手合わせした敵将だと言うことを、メルカッツとファーレンハイトは知らされている。
・・・これで勝てる!
要塞は沸き返っていた。それを目の当たりにしながら、ファーレンハイトは眩むような感覚を覚えている。
・・・ヤン・ウェンリーというのはそういう男なのだ。本人がどう思おうと、周囲は彼をカリスマとせずにはおかない。
「ヤン提督が戻るまで敵をあしらい続けていればいい。単純に想定される敵兵力よりも数で上回ることもできる」
ムライもさすがに喜色を隠せないようだったが、ファーレンハイトはそれに危うさを感じる。
・・・ヤン提督にカリスマ的な人望があるのはいい。しかし、唯一無二に頼る軍隊というものも健全ではあるまい。
メルカッツにもそういう危惧は伝えてあった。しかし老提督は首を振ったのだ。
「それでもいいではないか。我らは外様に過ぎぬ、必要以上に目立ってもいかぬだろう」
まぁそうなのかも知れぬが、万一ヤンに何かあった場合を考えれば、イゼルローンのヤン一党というのは組織として脆弱に過ぎるのではないか?
そこまで物思いを巡らせたところで、彼の意識は現実に引き戻された。
ガイエスブルグから敵艦隊が大挙して出撃した、そう報告は告げていた。
>>551 お、となると、ファーレンハイトがユリアンが「ヤンの一番弟子」で「後継者」となるべき
資質の持ち主と見抜き(その辺は原作どおりでもいいかも)、一軍の将として鍛えていく
とかいう話になるのかな?
種を明かせば簡単なことだった。よくできた作戦というものは往々にして単純なものだ。
トゥルナイゼン率いる旧ミュラー艦隊でイゼルローンの左翼方面を牽制しつつ、ケンプ直率の主力はイゼルローンの右翼へ回りそのまま回廊を突っ切っていく。
ガイエスブルグはイゼルローンとの距離を保ち、お互いの要塞砲を封じる。
「つまり、奴らが穴蔵のなかで引きこもりを決め込むなら、我らは敵領内を好き放題に荒らし回ってやるまでのことだ」
ケンプはそう豪語する。芸がない作戦のようにも思われたが、ガイエスブルグという要素を計算に入れれば十分嫌らしい策だ。
「我らを領内に入れたくなければ要塞を出て迎撃するしかない。我らの退路を断って敵領内に孤立させたくても、ガイエスブルグがある限りそれも困難・・・ということですな」
「その通りだ参謀長。ガイエスブルグという橋頭堡を同一回廊内に持ち込まれた時点で、イゼルローンの戦略的価値は半減しているのだ」
さすがに一介の戦闘機乗りから叩き上げてきたお人だ、とフーセネガーはこのときばかりは感心した。
実はラインハルトあたりは最初からそう考えていたのだが、彼らはようやくそこに気づいていたのだ。
敵が迎撃に出てくればしめたもの、トゥルナイゼンがまず敵を拘束して遅滞しつつガイエスブルグ方面へ誘導し、とって返した主力と挟撃して始末すればよい。万一ケンプが間に合わなくても、ガイエスブルグを楯にすれば大怪我はしない。
攻勢と守勢のいいとこ取りというプランは確かに非凡なものだった。
しかし、この作戦がイゼルローン首脳部を動揺させた理由は、全てケンプの策中から出たものではなかった。
彼の全く与り知らない角度で、彼の策は敵を深刻な動揺に追い込んでいたのだった。皮肉といえば皮肉な話だった。
・・・帝国軍はヤン提督を迎撃する気なのだ。
「しかしヤン提督の回廊到着はまだしばらく先ではないか」
「さればこそ、だ。イゼルローンから距離を置いてヤン提督と交戦状態に入れば、我らが援軍に出ようにも間に合わない」
「では即座に出撃して敵を追撃しなければ」
そうした議論を聞きながら、メルカッツはまたしても眠そうに腕組みしている。
・・・どうなのだろう?ケンプがヤン提督の来援を知っている、と決めてかかるのはどんなものか・・・。
隣に座っていたファーレンハイトが彼の肘をつつき、小声で耳打ちする。
「ケンプがそこまで器用な真似をするとは思えないのですがね」
「・・・わしも同感だが」
ええ、と頷いたものの、ファーレンハイトはそのまま首を傾げる。
「ですが、そうは言っても我らが困った状況にあるのは同じですか」
「そういうことだな。敵の意図以上に、我らは追い込まれているらしい」
555 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/26 16:29
a
熟慮の末、要塞駐留機動艦隊司令官代行ファーレンハイト少将は口を開いた。
「好むと好まざるとに関わらず、やはり敵艦隊を阻止しなければなるまい。全力出撃が妥当だ」
「ヤン提督の帰還前にそこまで大規模な行動を起こすというのはいかがなものか」
一同を代表するようにムライが言う。この男、わざとやっているな、とファーレンハイトは思った。
「ヤン提督がいようがいまいが、敵はそんなことを斟酌しはしない。ここにこうして要塞があり、艦隊が駐留している。敵がその前を素通りして領内に攻め入ろうとしている。これを阻止しないで何が要塞か、何が宇宙艦隊か」
「なるほどな、そういう考えもあるか・・・いかんね、どうも俺たちはヤン提督の幻影に縋りすぎのようだ」
軍用ベレーを指先でくるくる回しながらアッテンボローが独り言のように言う。
「ヤン提督の事は置いておくとしても、これは国境防衛上の危機だ。これを放置していては要塞と駐留艦隊の存在意義を問われる。そういうことだな」
「そういうことだ」
ばん、とアッテンボローが机を叩く。
「俺はファーレンハイト提督の意見に賛同する。ここはやるしかない」
一瞬の沈黙の後、シェーンコップが頷いた。
「それが艦隊の意見なら、異論はない。大丈夫だ、お前さんらが負けて逃げ帰ってきても、逃げ場はちゃんと確保しておいてやるさ」
「負けて貰ってはこまるのだがな」
こほん、と咳払いするムライ。最後にキャゼルヌがメルカッツの方に視線を向ける。
「メルカッツ提督、何かご意見は」
「いや、小官もファーレンハイト提督と同意見です。異論はありません」
「そうですか。・・・よし、やろう。ファーレンハイト提督、よろしく頼む」
「諒解した」
557 :
シュターデン:04/06/27 10:52
嘆かわしい
トゥルナイゼン少将率いる旧ミュラー艦隊、約6千の兵力がイゼルローンを指向した直後のことである。
「敵艦隊、要塞から出撃してきます!」
「兵力・・・およそ1万4千!」
全力出撃だな、とトゥルナイゼンは判断した。ケンプ提督の策は当たった訳だ。
「よろしい、適宜反撃せよ。このまま順次後退し、敵を要塞から引き離す」
この規模の艦隊を指揮するのは初体験だったが、彼は自分に言い聞かせている。
・・・大丈夫、やれるさ・・・。
「あれを主力と合流させる訳にはいかん」
旗艦アースグリムの艦橋。帝国風と同盟風の折衷のように改装されたその指揮座から、ファーレンハイトはスクリーンを睨む。
「アッテンボロー提督」
自らの旗艦トリグラフに座乗するアッテンボローを呼び出す。
「貴官は逃げるのが得意と聞いたが」
「ああ、敗走させれば右に出る者はいない」
「では、小艦隊を率いての嫌がらせはどうだ」
「それも得意中の得意だ。大好きだね」
「結構。では、貴官は麾下兵力を率い、右方向へ延翼行動を取ってくれ。後は分かるな」
「・・・なるほどね。諒解した。支援はきっちりやってくれよ、割を喰わされるのは御免だ」
「分かっている」
敬礼。続いて、旗艦マウリヤに座乗するグエンを呼び出す。
「貴官の剛勇を発揮して貰おうか」
「俺は決戦兵力では無かったのか?」
「時と場合による。今回は一番槍だ、遮二無二敵中に突入し、対応の暇を与えず突き崩せ。フォローはする」
「望むところだ」
通信が切れると、先ほどからやりとりを聞いていた旗艦アガートラム座乗のフィッシャーに声を向ける。
「貴官については言うことはなかろう。グエン艦隊の後詰、適宜やってくれればいい」
「諒解です」
さて。
前哨戦で勝負はつくだろう。ファーレンハイトは腕を組むと、スクリーン越しの虚空を睨んだ。
味方は少数。艦隊司令は俊才の呼び声は高いが経験不足。
しかも敵は名だたる勇将で、それが彼らしく先手先手の攻勢を掛けてくる。
この状況を何とかしろというのが無理な相談だった。
グエン艦隊の熱狂的な突進で開始された戦闘は、速攻を旨とするファーレンハイトの指揮らしく速いテンポで推移した。
まず前衛を分断してこれに一撃を加え、怯んだ隙に間合いを取ろうとしたトゥルナイゼンの判断そのものは間違ってはいないだろう。
事実それはうまく行きかけたが、吶喊するグエンを巧みにフォローし後詰の兵力を送り込むフィッシャーの手腕が成功を阻んだ。
普通なら敵中で孤立しかねないグエンの突撃も、うまく支援してやれば鋭利この上ない槍になるということだった。
トゥルナイゼンはそれへの対応に忙殺された。グエンの突入で開いた戦線の穴は次第に拡大し、かつファーレンハイトは戦線全面で圧迫を加えていく。
まずは一旦敵の攻勢を止めなければ撤退は覚束ない。このような状況での後退は敗走に繋がってしまう。その判断も、確かに正しかった。
もしこの戦闘指揮を執っているのがミュラーなら、もっとうまくやれたのかも知れない。しかし根本的に積極性と能動性が信条のトゥルナイゼンは、こういう状況が苦手だった。
「さすがだ、うまいもんだぜ」
延翼運動から敵後側面への機動に入っているアッテンボローは舌を巻く。
ファーレンハイトは約束通り、彼の分艦隊に負担を掛けなかった。全戦線で攻勢を取り、敵はその対応に追われている。
・・・いくら敵が少数だからと言って、こうも主導権を握りっぱなしで戦い通すというのは大したもんだ。
「よぉし、このまま敵の背後に回り込め!急げよ!」
そろそろ敵が気づく頃だろう。気づいたところでどうにもなるまいが。
>>557 > 嘆かわしい
そうでちゅか
そうでちゅか
消えていいよ
561 :
シュターデン:04/06/27 11:31
ふむ、もう釣れたか
「敵分艦隊、我が左翼より後背に展開しつつあります!」
オペレーターの悲鳴のような叫び。トゥルナイゼンは拳を握りしめる。
その少し前から敵の動きには気づいていた。しかし。
・・・だからといって、一体どうせよと言うのだ?
こうも先手を取られ続けるとは。これでは、ミュラーを批判などできん・・・!
トゥルナイゼンは顔を露骨にしかめると、大きく息をついた。もう駄目だ。もう駄目ならば、やることは一つしかない。
「敵の包囲が完成する前に、後方から撤退する。後ろには構うな、全力で逃げるのだ」
「しかし、それでは・・・!」
「全滅よりはずっといい。前衛部隊は委細構わず前進し、攻撃せよ。本艦も攻勢に参加する」
それで副官達にも全てが分かったようだった。最後の最後で、若き俊才はその美点を発揮しようとしているのだった。
「ケンプ総司令官に打電、本艦はこれより敵中に突入、以て友軍撤退の時間を稼ぐ。小官の不才により軍を損ねた罪を謝し、復仇を閣下に委ねる、と」
「・・・は!」
生存者は後に語る。最後の瞬間、旗艦テオドリクスの艦橋は不思議な高揚感に包まれていたと。
「・・・そういうことか」
攻撃は組織されず、半ば破れかぶれだった。しかしそうであるが故に、ファーレンハイトは手綱を引き締めなければならなかった。
グエンのような男が指揮する兵力は、こういう混乱の中には絶対に置いておいてはならないのだ。混乱というのは敵味方を問わず伝染する。
その隙をついて、帝国軍は逃げ始めた。半ば潰走に近かったが、それでも包囲の輪から逃れていく。
・・・トゥルナイゼン少将か。いい噂は聞かない男だったが、奴もまた一人の将官ではあった訳だ。
アッテンボローが包囲を完成させた頃には、帝国軍の三分の一、およそ2千隻余が脱出に成功していた。
敗戦はもちろんトゥルナイゼンの責任だったが、三分の一が生き残ることができたのもまた彼の功績ではあったろう。
ファーレンハイトは、黙ったままスクリーンに向けて黙礼した。
そして顔を上げる。戦闘はまだ終わっていないのだ。
>>561 ちゅれた、ちゅれた
裏の裏をかいているとも知らにゃいでダボ鯊がちゅれた ♪
564 :
シュターデン:04/06/27 11:53
おはようビームっ!!(★_★)ノシ
264さん、今日もお勤めごくろうさまです。
トゥルナイゼンの陽動作戦を逆手に取って、逆に総攻撃をかけるとは
いかにもファーレンハイトらしいですね。
グエンタンの活躍萌え〜
戦闘開始との報を受けたケンプは即座に取って返し、イゼルローン艦隊の挟撃に向かっていた。
事前計画では、どんなに悪くてもトゥルナイゼン分艦隊はガイエスブルグに逃げ込めるはずだった。足を止めて殴り合い時間を稼げればなお良いが、そこまで贅沢を言わなくてもガイエスブルグへ向け後退すれば途中で追撃を躊躇うと読んでいた。
まさかトゥルナイゼンが後退もままならず屠られようとは思いもしなかったのだ。
分艦隊の潰走とトゥルナイゼンの壮烈な戦死を聞かされたケンプは、瞬間怒声をあげかけたが、しかし表向きは無表情なままだった。
・・・なんということだ、種をあかせばアスターテか!
分進合撃を企てて失敗した、ということだ。しかもあの時、ファーレンハイトは戦闘に参加していたではないか。
ミュラーなら何とかなったのか、ケンプはそう思いかけてやめる。繰り言だ、所詮。
・・・これでこちらは1万余、敵は1万2千程度・・・まだ何とかなる。
「要塞に連絡艇を出せ。逃げ帰った艦隊は直ちに再編し、出撃待機。我が艦隊はこのまま敵を叩く」
「しかし・・・」
口を濁すパトリッケン少将を、ケンプは睨んだ。
「敵はトゥルナイゼンとの交戦で疲労もしておろう。こちらは休養も十分だ、一気に叩いてやる」
「確かにそうですが・・・」
「トゥルナイゼンの弔い合戦だ」
ケンプの強気もあながち根拠がない訳では無かった。圧勝したとはいえ、同盟軍もそれなりに被害は受けている。
もしこの時点で、彼がキルヒアイス艦隊の増援を知っていれば、自重も考えたかも知れない。
あるいは万一決戦に敗れた時のことを考える冷静さがあれば、要塞に籠もる策を選んだかも知れない。
しかしケンプは敢えて決戦を選んだ。同数なら何とかなる、と彼は確信していた。
569 :
シュターデン:04/06/27 16:36
嘆かわしい
しかし、ケンプの知らない情報はまだあった。
彼は知らなかったのだ。ヤン・ウェンリーが帰還しつつあったことを。
イゼルローンに緒戦の勝利を伝え、入れ替わりにヤンが近づいているとの返事を貰ったファーレンハイトは、まだ戦うのだと不平を言い立てるグエンごと損傷艦を要塞に帰し艦隊を再編した。
「次は貴官が先鋒だ、アッテンボロー提督」
「アイアイサー」
ニヤリとして敬礼を向ける若い提督に微笑を返すと、ファーレンハイトは腕を組んだ。
「幸い緒戦は完勝した。ついては、第二戦も積極的に行こうと思う」
「と、言うと」
「こうなったら奴らはガイエスブルグには帰さん。敵はこちらに向かっているだろうから、途中で迎撃する。そうだな・・・回廊の同盟側に近ければ近いほどいい」
「・・・なるほどね」
つまり、敵がガイエスブルグに帰るにしてもこちらとの決戦を求めているにしても、有無を言わさず航路途中で決戦を強いるというのだ。しばらく粘っていれば、ヤン提督も駆けつけてくるだろう。
ここでも、ミュラーがいないことが帝国軍にとっての災厄となっていた。帝国軍首脳にあってヤンの不在に感づいていたのは彼だけだったのだから。
「そういう事なら話は早い。このまま進撃すればいい」
「そういう事だ」
ケンプ大将直率の帝国軍1万1千とファーレンハイト少将率いる同盟軍1万2千が接触したのは、その半日後だった。
・・・こういうとき、先輩なら受け身に回って敵の攻勢をかわし、反撃の隙を伺うだろう。
アッテンボローは思う。
・・・しかしこの男は違う。常に積極的、常に攻撃的だ。
ファーレンハイトという指揮官は、ヤンとは対極的なのかも知れない。彼には直感めいた洞察力があり、十分に敵の動きを読んで指揮を執ることができた。しかし、何度か苦笑いしながら言ったものだ、俺は防戦は下手だ、と。
その通りに戦闘は推移していた。ケンプ率いる帝国軍が攻勢を掛けている。傍目には同盟軍は防戦に回っている。
しかし、アッテンボローには違う側面が見えていた。ファーレンハイトは、敵の攻撃を攻撃的にさばいていたのだ。
ファーレンハイトはもはや確信している。あの冴えない中年男、エドウィン・フィッシャー少将こそがヤン一党の要なのだ、と。
フィッシャーには独自性がない。天才的な閃きも、冴え渡る直感もない。しかし、この男には緻密さと職人芸めいた処理能力があった。
司令官の構想を具体化し、各艦への指示に変換する能力にかけては、この男は異能と言っても良いだろう。
ファーレンハイトは戦闘開始前、こうフィッシャーに伝達していた。
「私は前衛にでて、敵の動きを読む。私が砲火を集中すべきポイント、防備を堅くするべきポイントを逐一貴官に通達するから、貴官はそれを実現するべく艦隊に指示を出してくれ」
「・・・承知しました」
これだけだった。後はポイントを指定し、どのように対処するか短く付け加えるだけで、フィッシャーは自在に艦隊を操ってみせた。
・・・これなら、俺のカンが冴えている限り、相手がミッターマイヤーでも遅れは取らんぞ。
敵の攻勢をかわすのではない。攻勢そのものを集中した火力で砕く。ファーレンハイトは、まるで自分は熟達したオーケストラを操る指揮者のようだと思った。
5波に渡る攻勢が阻まれた時、さすがに剛腹なケンプも悟らざるを得なかった。
・・・これは、奴の方が腕がいい・・・!
かつてアムリッツァの前哨戦でヤンと対峙したときも、彼は何度も攻勢をかわされ、最後には逃げられた。
今度も同じように、幾度も攻勢を阻止されている。今度はかわされているのではなく、攻勢発起の起点をその都度潰されているのだが。
被害は大したことはないが、いかんせん兵の疲労が激しい。連戦のはずの敵にはまだ余裕があるように見えるのだが。
・・・では、少し手を替えよう・・・。
ケンプは艦隊に密集陣に転換しつつ後退するよう命じた。釣れるものなら釣り込もうと考えたのだった。
「敵艦隊、後退します」
すかさずアッテンボローから追撃を具申してくる。無用だ、と返信しながら、ファーレンハイトはやはりグエンを帰しておいて良かった、と思った。
・・・その手には乗るか。俺はこのままの戦がしたいんだ。
「これでは、敵に呼吸を整える暇を与えてしまいますが」
心配性そうな顔の参謀が口にする。ファーレンハイトは首を振った。
「それならそれでいい。こちらにとって、時間は味方だ」
彼はスクリーン越しの虚空に目を凝らした。
ケンプにとっての最後の災厄が、そこには見えているようだった。
ケンプやっぱり死亡フラグON?
キルヒアイス到着まで頑張って欲しいが無理かなー。
艦隊戦がウマーでワクワクします。続き楽しみです。
自分も続き投下します。
もしもキルヒアイスが生きていたら>184バージョン
>234-237、>252-258、>334-340続き
モルト中将から指揮官の不在を聞いた3提督の反応は三者三様であった。
ミッターマイヤーは目を丸くして驚いたし、ロイエンタールは興味深げに金銀妖瞳を光
らせた。オーベルシュタインは無表情に「そうか」と呟くと、すぐにモルト中将と事務的
な相談に入った。リヒテンラーデ公と国璽は抑えたが、公爵一派の逮捕拘禁は依然として
続行中であったし、逮捕した彼らをどこに収監するかなど、細々とした処理が残っていた。
そのような状況下で、行き先を告げただけで後の指示もせずに留守をモルト中将に任せ
たキルヒアイスの行動は、作戦司令官としては責められても仕方ないものであっただろう。
もっとも彼はシュワルツェンの館に到着後、ほとんど間をおかずに軍務省に連絡を入れて
おり、気の毒なモルト中将が途方に暮れていた時間はそれほど長くはなかったのだが。
「こちらは心配しなくて大丈夫だ。もうあらかた片づいてるからな。卿はそちらの事後処
理に専念してくれ。グリューネワルト伯爵夫人が、ローエングラム侯にとってどれほど大
切な方かは、我々もよく知っている。慎重にして慎重にしすぎると言うことはない」
軍務省に帰還したミッターマイヤーは、通信機のあちら側で恐縮するキルヒアイスに快
活に笑いかけた。対照的に人の悪い笑みを浮かべたのがロイエンタールである。
「それにしても、卿にそのような情熱的なところがあるとは思わなかったぞ」
21歳の上級大将は頬にわずかに血を昇らせた。いつもは年下ということを感じさせな
い、穏やかで落ち着いた表情が驚くほど少年じみて見えて、ミッターマイヤーはおやと目
を瞠り、ロイエンタールはますます面白げに笑いを深めた。
「情熱的で、純情でもあるらしい」
「からかわないでください。こちらの警備の再確認を終えましたら、襲撃犯を護送して軍務省に戻りますので――」
苦笑するキルヒアイスは、すでに有能な軍人の顔を取り戻している。その後、通信はい
くつかの伝達事項を簡単に済ませて終わったが、会話の最後に、ロイエンタールは近々海
鷲で飲む約束を取りつけるのを忘れなかった。
「敵わないな……」
ブラックアウトした画面に、キルヒアイスはため息の塊を吐き出した。軍服の襟元を少
しだけ緩めて、熱の残滓を身体から追い出す。艦隊を指揮しての戦いでは、例え双璧相手
でも後れをとるとは思っていない。射撃や白兵戦においても自信はある。しかし、彼が一
方的に負けを認める分野というのも確かに存在するのである。
もっとも海鷲で奢るぐらいは――酒の肴になるのは勘弁したいが――仕方ないことかも
しれないと、キルヒアイスは思う。モルトやオーベルシュタインの両提督にも後で改めて
詫びておかねばなるまい。
キルヒアイス自身、後先を考えずに飛び出した自分の行動に驚いている。だが、軽率さ
は反省するものの、後悔しているかと聞かれれば否と答えるであろう。
アンネローゼとは、会話らしい会話はほとんどしなかった。深夜ということもあり、キ
ルヒアイスは襲撃を許した警備の甘さを謝罪して、すぐにその場を立ち去ったからだ。だ
が、彼の顔を見た瞬間のアンネローゼの表情が、今もなお鮮烈に脳裏に焼きついて消えな
い。硬い氷が一瞬で溶けるように、青ざめ強ばっていた顔がほころび、春の陽射しを思わ
せる柔らかな微笑みが白磁の頬に浮かんだ。
ジーク、とアンネローゼは彼を呼んだ。11年前のあの日と変わらない、優しい温かな
声で。
……彼女の信頼に応えなければならない。いいや、違う。それは義務ではない。自分が
応えたいと思うのだ。それは、あの神聖な日に許されたキルヒアイスだけの特権なのだか
ら。どのようなことがあっても――例えラインハルトとの間に隔意が生じたとしても、自
分が昔の誓いを捨てる理由にはならない。
シュワルツェンの館を出たキルヒアイスは、一度だけ、アンネローゼの寝室の窓を振り
仰いだ。とうに灯りの落ちたその窓辺に、一瞬、白い人影があったように思ったのは気の
せいだろうか。
キルヒアイスは穏やかな微笑みを浮かべ、部下達の待つ護送車へ向かった。
同じ頃、ラインハルトはオーベルシュタインからの超光速通信を受けていた。
「なぜ卿が報告するのだ。キルヒアイスはどうした」
ラインハルトは不快の表情を隠さなかった。
「シュワルツェンの館に行っております。閣下へのご報告がまだとモルト中将に聞きまし
たので、小官の判断でご連絡を」
「何だと」
若い元帥の蒼氷色の瞳が鋭さを増し、名工の彫像にも喩えられる白皙に血が昇った。
「それはどういうことだ」
「シュワルツェンの館が襲撃されたためです。警備の再確認後、犯人を護送して戻る旨、
先ほど連絡がありました」
「襲撃だと! モルトは何をやっていたのか」
ラインハルトは激昂した。先ほどとは別の怒りが灼熱の蒼い炎を噴きあげる。もしも報
告者がモルト中将自身であったなら、通信スクリーン越しですらそのプレッシャーに耐え
られず、弁明もまともにできなかったに違いない。しかし、ドライアイスの剣と評される
男は、主君の怒気にも表情ひとつ変えず言葉を続けた。
「モルト中将を責めるには及びますまい。襲撃はありましたが、館内に侵入すら果たせず、
捕縛に成功しております。元帥閣下の姉君もご無事です。背景はまだわかっておりません
が、襲撃者を尋問すれば明らかになりましょう」
「……わかった。二度とそのようなことが起こらぬよう、背後関係を徹底的に洗い出せ。
警備もさらに厳重にせよ」
「御意」
オーベルシュタインとの通話を終え、ラインハルトはブリュンヒルトの自室のソファに
深く沈みこんだ。
アンネローゼを狙われたことによる怒りが、まだ身の内で燻っていた。その可能性に気
づいていなかったわけではない。だからこそモルト中将を置いていったのだ。だが、実際
の襲撃の可能性は低いとも思っていた。
皇帝亡き後、アンネローゼの存在を邪魔に思う者は宮廷にはほとんどいない。今さら彼
女を害そうと企む輩がいるとは考えられなかった。あるとすればアンネローゼ自身を敵と
する者ではなく、ラインハルトの敵対者――つまりはリヒテンラーデ公であろうが、クー
デター計画に全精力を傾けている彼がアンネローゼに目を向けることはないと、ラインハ
ルトは踏んだのだった。
しかし、襲撃は起こった。ラインハルトが読み間違えたか、あるいは別の敵対者がいる
のか。どちらにしても腹立たしいことに違いはなかった。
「くそっ」
ラインハルトが外見にも地位にも不似合いな罵倒の言葉を吐いた時、新たな通信が入っ
たとの連絡が伝えられた。
「誰からだ」
「ジークフリード・キルヒアイス上級大将です」
ソファから身を起こしかけていたラインハルトの動きが止まった。キルヒアイスがシュ
ワルツェンの館に向かったと聞いた時に覚えた、奇妙なさざ波がふたたび胸の中に沸き立
つ。形のいい唇を何度か開閉させたが、「回線を繋げ」という命令は口腔内に留まって、
どうしても出ていってはくれなかった。
「元帥閣下?」
「オーベルシュタインから報告は聞いた。連絡の必要なしと伝えろ」
「は? ……はい、了解しました」
納得いかないような通信士の声と共に、コンソールの明かりが消える。
自分の狭量な対応をすぐにラインハルトは後悔したが、撤回しようという気にはなれな
かった。
ラインハルトに、シュワルツェンの館に向かったキルヒアイスを責める気はない。指揮
官としてみれば正しいとは言い難いが、問題とするようなレベルのことでもない。それに
彼ら2人の心情からすれば、アンネローゼを何より優先させるのは当然であった。
報告が遅れた理由も判っている。シュワルツェンの館は仮にも元帥の居館である。超光
速通信機が設置されていないわけではないが、それはあくまでもラインハルト個人の所有
物だ。キルヒアイスは使用するのを遠慮して、軍務省に帰還してから連絡したのだろう。
そこまでわかっていて、なお、ラインハルトの手は通信コンソールに延びようとはしな
かった。
――アンネローゼとキルヒアイスは何を話したのだろうか。
以前ならば気にならなかったことが、今はラインハルトを奇妙に刺激する。
それが自分のいない場所で行われたのだと考えると、ラインハルトは平静にキルヒアイ
スと話せる自信がなかったのである。
ラインハルトの帰還まで後1日と迫った日の朝、キルヒアイスは軍務省でオーベルシュ
タインの訪問を受けていた。
「キルヒアイス上級大将にひとつお聞きしたいことがあるのだが」
「なんでしょう」
相変わらず表情というものがほとんどない義眼の男にソファを勧め、自分もその向かい
に腰掛けながら、キルヒアイスは穏やかに問いかけた。
「貴官のバルバロッサ内に匿われている捕虜についてだ」
完全な奇襲であったはずだが、オーベルシュタインが内心で感心したことに、キルヒア
イスは少なくとも外見上は完全に平静を保っていた。
「コンラート・リンツ大尉とコンラート・フォン・モーデル上等兵のことでしょうか?
彼らはリッテンハイム侯との戦いにおいて功績のあった協力者である旨、ローエングラム
侯にご報告し、我が旗艦にてオーディンまで送り届ける許可を頂いています」
「そうではない」
オーベルシュタインの義眼が鋭い光を放つ。
「その2人ではなく、もう1人、ブラウンシュバイク公の部下であった兵士のことだ」
「……心当たりはありませんが」
さすがのキルヒアイスも、今度は動揺を完全に隠すことはできなかった。返答の前の一
瞬の沈黙、それだけでこの怜悧な男に真実を確信させるには十分であったろう。赤毛の青
年は自分の迂闊さを心の中で呪った。いつか探り当てるだろうとは思っていたが、まさか
これほど早いとは。十分な安全を確保してからと思ったのが間違いだった。オーディンに
帰還した直後に、彼を逃がすべきであったのだ。
……そこまで考えて、キルヒアイスはふとあることに思い至り慄然とした。
オーディンに還ったその日、オーベルシュタインが宇宙港まで出迎えに来ていた。それ
もあって、彼は兵士を逃がすことを躊躇ったのだ。もしや、あの時にすでに罠が張られて
いたとは考えられないだろうか。本来、オーベルシュタインは実働に参加する予定ではな
かったのだ。そこを強引な理屈で加わったのは、キルヒアイスを牽制するためだったとし
たら――。
あくまでも推論でしかない。だが、目の前の男にはそれだけの知略があることをキルヒ
アイスは知っている。
「その兵士はヴェスターラントの件で流言を広め、元帥閣下に対する暴言を吐いたと聞く。
そのような誹謗を見過ごすわけにはいかない。引き渡しを願いたい」
「流言……ですか?」
キルヒアイスの声が、いつになく硬質な響きを帯びた。
「彼の言葉に根拠がないと、本当にそう思いますか。私はヴェスターラントの真実を元帥
閣下から直接伺っています。あなたもご存じのはずです」
「いったい何のことを言っているのかわからぬが、為政者の真実と民衆が知る真実は同じ
である必要はなかろう。そして双方が違う場合には、民衆に真実を知らせようとする者は
害悪でしかない。そんなことぐらいキルヒアイス上級大将にはおわかりだと思っていたが」
「誰にとっての害悪ですか」
「いちいち説明せねば理解していただけぬか。私は貴官を買いかぶっていたようだな」
キルヒアイスの瞳に瞋恚の炎が宿る。自分に対する侮辱への怒りではない。ラインハル
トの為という大義名分でラインハルト自身を貶めようとする論理への怒りである。
無論、綺麗事だけで大望が果たせるなどとは、キルヒアイスも思ってはいない。だが、
民衆に犠牲を強いて、それを当然とする思考は決して看過できるものではなかった。民衆
の血と涙で描かれた皇帝の肖像画は、ルドルフの醜悪な戯画の再現としか成り得ない。
キルヒアイスは、そのようなラインハルトの絵を新しい時代に掲げるつもりはなかった。
「益のない議論で時間を無駄にするつもりはない。兵士を引き渡していただこうか」
「その必要を認めません。辺境平定における捕虜の処遇は、作戦司令官たる私に一任され
ています」
これまでキルヒアイスは、オーベルシュタインとの対立を避けてきた。自分の理念と彼
のそれは相容れないものではあるが、だからこそ、この冷徹な男はラインハルトの覇業に
欠くことのできない存在なのである。
しかし、今回ばかりは譲るわけにはいかない。
兵士を引き渡せば、口封じのために謀殺されるのはわかりきっている。断じて諾うわけ
にはいかなかった。
ヴェスターラントのことは、もう取り返しはつかない。今さら兵士1人の口を塞いだと
ころで真実を完全に隠滅することなど不可能なのだ。あの惨劇は、おそらく今後のライン
ハルトの治世に重苦しい影を落とすことになるだろう。だからこそ、これ以上、彼を貶め
るような策を許容することはできなかった。
「確かに私には捕虜に対する権限はない。だが、ローエングラム侯に悪意を抱く者を匿う
ことは、閣下への反逆行為に値するのではないか」
「私は、私に与えられた正当な職権に基づいて、提督の要請を拒否しているだけです」
「件の兵士の名前は、捕虜名簿に記載されていない。上級大将にはローエングラム侯に虚
偽の報告をした疑いもある。あくまでも引き渡しを拒むのならば、貴官を告発さぜるを得
ないがよろしいか」
「ご随意に」
脅しとも取れるオーベルシュタインの言葉を、キルヒアイスは鋼の強さではね返した。
「……やむを得ぬな。では後は元帥閣下の御前で」
無表情にソファから立ち上がり、部屋から出ていく義眼の提督を、キルヒアイスもまた
表情を消して見送った。
9レス……我ながら長っ。
さすがに今回は連続投稿規制が出てしまいました。
次までまた間が空くと思います。
手が遅くてすみません。
>213
お待ちしてました!
どうなるのかドキドキです!頑張って下さい!
>246さん
ファーレンカコ(・∀・)イイ!
ヤンが帰ってきたらどうなるか楽しみです。
>213さん
ここにあの兵士が出てくるとは!
そういや本編であの兵士どうなったんだろう。
殺されたのかな。
キルヒアイスとラインハルトが戦うってのはなかなか想像できないよね。
キルヒアイスが絶対引くだろうし。
唯一、キルヒアイスがラインハルトと戦うことがあるとしたら
アンネローゼから懇願されたときだけだとおもうけど・・・・。
アンネローゼが思い悩むくらいラインハルトが暴君ぶりを
発揮できるとは思えんし・・・・。
むずい
>>213 この流れで、ラインハルトとキルヒアイスが決定的に決別、結果キルヒアイスが死ん
だら、ローエングラム王朝は成立前に終わりだな。提督連中もさすがについていけんと
思うぞ。
ふむ…となると、ラインハルト陣営が分裂して、再内戦勃発という可能性も(つか、内
ゲバか)。
しかし、あれだね。
キルヒアイスを積極的に排除しようとするオーベルシュタインは、如何に私心がない
とは言え、その思惑と行動の結果は彼を実質ナンバー2にしてないか?
>213氏
いやぁ、面白いというか辛くなりそうな話ですね。
どうするんだジーク・・・アンネローゼ様次第なのかなぁ。
うちのジークは弟公認のラブラブ状態みたいですがw
<以下独り言>
私的な感覚では、ファーレンハイトってビッテンフェルトの親戚っていうより小型ラインハルトなんですよ。
ラインハルトから戦略手腕を減点し、政治手腕を外し、性格を落ち着かせればあら不思議、ファーレンハイトのできあがり。
戦場での勘働きと言うか、動物的に戦機を見切るセンスは帝国軍でもラインハルトに次ぐのではないかと考えています。
ロイエンタールはより理詰めですし、ミッターマイヤーは動物的というにはバランスが取れすぎているし。
ビッテンは動物的なんじゃなくて動物だしw
>264氏
面白い展開になってきましたね。
ケンプは生き残れるのか?楽しみにしてます。
>かつてアムリッツァの前哨戦でヤンと対峙したときも、彼は何度も攻勢をかわされ、最後には逃げられた。
>今度も同じように、幾度も攻勢を阻止されている。今度はかわされているのではなく、攻勢発起の起点をその都度潰されているのだが。
こういう攻勢的な防御って小気味良いですね。
なんていうか個人的に理想的なファーレンハイトです。
回廊の戦いでもこんなファーレンハイトを見たかったですよ;;
個人的には、ヤンの指示で動き、フィッシャーに補佐される
ビッテンフェルトも見たいですな。最強かも。
ヤンの作戦がビッテンの攻撃力を活かす事はあっても、ビッテンの攻撃力がヤンの作戦でうpする事はないだろう。細かく指示して守れる程器用なヤツでもないだろうし。
フィッシャーの手腕が猪突する事自体にどれだけ適用できるかつーのは未知数だけど。
>>590 いや、猪突だけじゃナイと思うスよ、指揮官としてのビッテンは…(汗)。
>>591 乙っス。
強行偵察艇を急拵えの連絡艇にした判断は正しかった。帝国軍の封鎖が無かった事も幸いしたが、一分一秒でもこういう連絡は早いほうがいい。
イゼルローンからの報告を受けたヤンは、鈍足の警備艦艇の指揮をアラルコン少将に委ねると、自らは身軽な高速艦艇7000隻を率いて戦場へ急行することにした。
「艦隊の指揮を執っているのはファーレンハイト提督だそうだ」
何故急ぐのか、と怪訝な顔をしたフレデリカに向け、ヤンは種明かしをしてみせる。
「彼なら、私を利用して敵を挟撃するくらいのことは考えるだろうね」
「ですが、それではアスターテの二の舞になりませんか」
とユリアン。養子の質問に、ヤンは頭を掻いた。
「いや、それは無いだろう。あの時、ローエングラム公は自らの周囲に三個艦隊が存在する事を明確に知っていた。しかし今回は、恐らく帝国軍は我々の事に気づいていない」
「気づいていない・・・ですか」
「ああ。そうでなければ、ああいう機動は取らない。今の帝国軍の機動は、ただ要塞から艦隊をつり出そうとしているだけのものだよ」
そこまで言って、ヤンは紅茶のカップに手をやった。
「それに、あの時ファーレンハイト提督は戦場にいたというじゃないか。その彼が、我々の犯したミスをなぞるとは思えないね」
それは帝国軍が第二波の攻撃に転じようとした直後のことだった。
後退しても乗ってこないファーレンハイトの動きに首を傾げながらも一息ついたケンプは、彼らしく積極策を通す事にしていた。
・・・要は、小出しにするからいかんのだ。全力で敵翼を叩き、抵抗を粉砕してやる。
ビッテンフェルトなら中央突破だと言い出す所だったが、そこはケンプの老練さだった。翼側への攻勢は、中央を叩くより対処が難しい。特に兵力的に均衡していれば。
手際よく兵力を配置し、前進を開始した直後、その報告が飛び込んできた。
「所属不明の艦隊を我が後方に確認・・・数、1万弱!」
「・・・何だと!」
瞬間、ケンプは吠え、次いで拳を握りしめた。
・・・奴ら、最初からこれが狙いだったか!
「不明とはどういうことだ!」
叫ぶ参謀。ケンプは大喝する。
「うろたえるな!敵に決まっておろう!」
・・・こうなれば翼側を突き破り、ガイエスブルグへ走るしか手がない!
ケンプは躊躇しなかった。さすがと言えばさすがだった。
「恐れるな、後方の敵は振り切れば良い!ひたすらに前進して敵陣を突破せよ!」
もうケンプの敗北は避けられないでしょうな。
冷静さまで失ってる状態で、ファーレンハイトの戦列を突破するのは
不可能でしょうし。。。。
そこでレンテンベルグ移動要塞、ガルミッシュ移動要塞の到着ですよ
ヒューズやシェイクリの因縁が有りますし、ポプランと彼率いる
スパルタニアン部隊が、ケンプの旗艦を仕留めるってのも見たい
ですな。
単座式戦闘艇部隊は、ガチでやれば、運用次第で、戦艦や巡航艦
よりむしろ強い筈と思っていますし(逃げられたらそれまでです
が)。
あ、先に言われた。ウワァァァンw
-------------------------------
ファーレンハイトは一瞬判断に迷った。
阻止するか、行かせてやるか。行かせてやればケンプを取り逃がす事になるが、阻止するとなるとあの突破力を正面から受け止めなければならない。リスクが大きすぎる。
帝国軍が接触しつつある右翼前衛にいるのはアッテンボローだった。それが彼を救った。
アッテンボローは、彼らしく一瞬で状況を看破した。ヤン一党に共通することだが、彼も周囲や敵の心理を斟酌する事がうまかった。
・・・先輩が言っていたが、帰師は留むるなかれ、だ。帰りたい一心の敵を無理に遮ればこちらが痛い眼を見る。
だがしかし。
・・・そのへんを理解しない阿呆どもは、ファーレンハイト提督がかつての同僚に手加減したと言い立てるだろう。間違いない。
「だとすりゃ、俺がやってやるしか無いじゃないか」
そう呟くと、彼は独断で陣形を再編しはじめた。ケンプを突破させつつ、自らの分艦隊はその側面に回り込むのだ。
・・・後はフィッシャーのおっさんがうまくやるだろうさ。
事態は彼の読み通りに動いた。フィッシャーもまたファーレンハイトの指示を待たず、右翼部分断の危機(に見えるだけだが)を回避すべく、後衛をケンプの阻止の為右翼にスライドさせ、半包囲下に置く機動を取ったのだった。
さらに、状況を察知したヤンがカールセン率いる前衛部隊を急進させる。結果として、ケンプは完全に包囲下に陥る羽目になってしまった。
参謀達が動揺する。しかしケンプは腕組みし、巌のように艦橋に佇立してただ前を見据えるだけだ。
「うろたえるな、敵の包囲は薄い!近接戦闘に持ち込み、食い破れ!」
その指示は的確であり、意図は明確だった。ケンプの艦隊は得意とする近接格闘戦に持ち込み、右翼をカバーに入った敵を蹴散らし、突破していく。
同時刻、ガイエスブルグ要塞。
ケンプよりの命令を受けたフーセネガー参謀長は、トゥルナイゼン艦隊の残存兵力2000隻を率いて要塞を出撃しつつあった。
それを察知したイゼルローンは対応を迫られる事となった。
ヤン及びファーレンハイトとケンプが交戦中との連絡は入っていた。わずか2000とはいえ、そこへ他兵力の介入を許すのはいかがなものか、との主張がムライから出される。
メルカッツは腕組みをしたまま黙っていたが、不意にシェーンコップに視線を向けた。
「何ですかな?」
「一つ質問があるのだが」
・・・約三十分後、キャゼルヌとシェーンコップは、メルカッツの作戦を承認していた。
成功すれば、同盟軍の戦略的優位は揺るぎないものになるはずだ。
メルカッツ自身はその作戦に沿って、グエン艦隊を主力とする要塞残存兵力約1500隻を率いて出撃、フーセネガーを追った。
彼らしくもなく初動が遅れたファーレンハイトだったが、アッテンボローらの効果的な助けとヤンの支援もあって戦線を立て直していた。
ケンプ艦隊前衛の突破は許したものの、カールセンの強烈な横撃とアッテンボローの巧みな側面展開によって後続の分断に成功している。
旗艦レダUよりその有様を眺めているヤンは、紅茶を片手にユリアンに頷き掛けた。
「こうなってくれば、敵の取るべき手は一つしかない。何が何でも包囲網を突破し、切り抜けるしかないんだ」
「それをしようとして、一度失敗していますね」
「そうだね。しかし、それでもやらなければ被害は増える一方だ。今の帝国軍は、戦術的には地獄にいるのと同じだよ」
同情するように、ヤンは視線を落とす。
その位のことはケンプも承知だった。
彼は持てる智力の限りで敵陣を精査し、突破できそうな一点を探し求めた。古来名将というものは、そうした「戦場の蝶番」を見切る能力に長けた者の称だった。
そして彼もまた、その名に値する人物なのかも知れなかった。ついに彼はそれを発見したのだ。
そしてケンプの、渾身の猛撃が始まる。
敵の集中射は艦隊右翼、アッテンボロー分艦隊の最右翼に向けられていた。カールセン艦隊との戦線接合部だった。
・・・さすがにやるな、そこが弱いと気づいたか!
フィッシャーが懸命に傷口を縫い合わせようとしているが、恐らく間に合わない。ファーレンハイトは思う。今だ、と。
そこへ、艦内通信が入ってきた。戦闘艇格納庫からのようだった。
「何か?」
「第1飛行隊長、オリビエ・ポプラン少佐でありますっ!」
帝国軍の常識では、一介の戦闘艇乗りの少佐ごときが艦隊司令の将官に直接意見具申するなど考えられない事だ。
もっともそれは同盟軍でもあまり変わらず、こういう事はヤン艦隊独自の気風なのだが、そのあたりまだ詳しくないファーレンハイトは取りあえず気にしないことにした。
一つ頷くと、スクリーン越しの瀟洒な若者に視線を向ける。
「是非出撃の許可を!」
「理由は?」
「仇討ちでありますっ!」
何でも、この男の友人が何人もケンプに殺されているらしい。先年の侵攻作戦の折りの話だとか。
しばらく前にヤン提督の副官(思わず見とれるほどの美人だったが)から渡された資料には、このポプラン少佐というのは同盟軍きっての撃墜王だという。その彼が出撃を具申しているのだから、聞いておく必要はあるだろうとも思う。
「しかし、まだ敵との距離が詰まっておらんが」
「なら詰めりゃいいでしょう。寄せてくれれば、仕留めてみせます!」
ファーレンハイトは思わず苦笑した。格闘戦がしたいから敵艦に寄せろ、と艦隊司令に要求する戦闘艇乗りとは前代未聞じゃないか?
数秒考えた後、大きく頷く。
「よかろう。これより近接戦闘に移行する。戦果に期待しよう」
もともと似たようなことは考えていたのだ。
ファーレンハイト率いる艦隊主力は、適宜陣形を整形すると前進を開始した。
それは今までのような攻勢防御でも、迎撃戦でもなく、純然たる突撃だった。
あの帝国野郎、とポプランは笑った。
あの帝国野郎、なかなか話せるじゃないか。こりゃ面白いことになりそうだ。
艦隊は突撃に入っている。モニターには、みるみる近づいてくるケンプの旗艦ヨーツンハイムの姿が捉えられている。
・・・頃合いだ!
「よし野郎ども、ヒューズとシェイクリの仇討ちだ!いくぞ!」
発艦指示。リニアカタパルトが作動し、ポプランと彼の仲間達のスパルタニアンは虚空へ駆けだしていった。
一点突破を図るケンプに、ファーレンハイトの突撃を阻止する力も余裕も無かった。
左側面にファーレンハイト、更に右背後からはヤンの本隊が遠慮仮借のない集中射撃を浴びせてくる。それでもケンプは前に進むしかない。
「前衛、敵陣を突破・・・やりました、突破しました!」
歓声があがる。その直後、ヨーツンハイムの巨体が大きく揺れた。
「なにごとか!」
「左舷機関部に被弾・・・更に艦尾に被弾!戦闘艇の集中攻撃を受けています!」
・・・なんと皮肉な。
ケンプは笑った。苦笑ではなく、それは哄笑だった。
・・・大神はつくづく皮肉好きとみえる。戦闘艇で勲功を挙げのし上がったこの俺が、戦闘艇に討たれるのか!
「それも本望だ!」
腕組みしたまま、うろたえる周囲と炎上する艦橋を睥睨しつつ、ケンプは吠えた。
「これも武人の本懐だ!ファーレンハイト、先に地獄で待っておるぞ!」
直後、ヨーツンハイムを最後の激震が襲った。
・・・ヒューズ、シェイクリ、お前達の敵は討ったぜ・・・!
規定違反を承知でコクピットに持ち込んだラムの栓を抜き、ポプランは爆沈するヨーツンハイムに向け小さく頷く。
第1飛行隊の全力を挙げた、狙撃めいたピンポイント攻撃だった。普通ならまず許可されないだろうが、許可したあの帝国野郎も帝国野郎だろう。
「・・・よーし、あとは適当にそのあたりの敵をあしらって引き揚げだ!やることはやった!」
敵旗艦撃沈との報告を送ると、ポプランはそう仲間達に指示を飛ばした。
ヨーツンハイム撃沈を確認したファーレンハイトは、周囲の視線を気にすることなくスクリーンの向こうに敬礼を送った。
・・・さらばだ、ケンプ。先にヴァルハラで待っているがいい・・・。
「よし、後は掃討戦だ」
先ほどから負担が掛かっているアッテンボローを後方に下げるよう手配すると、ファーレンハイトは瞑目した。
ヤンはもういらないねw
包囲を突破した帝国艦隊は全軍の四割、約4000強だった。ヤンは手負いの彼らの追撃を引き続きファーレンハイトに委ねると、自らは1万隻を再編して急進を開始した。
ファーレンハイトはその意図を図りかねたが、妙に自信ありげなヤンの表情に、それでいいのだろうと思うことにした。
この後ファーレンハイト艦隊はフーセネガーを追撃していたメルカッツと会合し、ケンプの残存兵力及びフーセネガーを挟撃する形となる。
この戦闘のけりはあっけなくついた。司令官を失い、重なる敗戦に意気消沈した帝国軍は一時間ほどの抵抗の後、降伏を申し出たのだった。
急進するヤンを待っていたのは、揚陸艦艇に分乗した陸戦隊を率いるシェーンコップだった。
「いやなに、思いついたのはメルカッツ提督なんですがね。なかなかのアイデアだったでしょう?」
ニヤリと不敵に笑う彼に、ヤンは苦笑するしかなかった。
「やれやれ、さすがに見抜かれていたか」
「たいしたものですよ。敵にしないで済んだのは幸運、でしたな」
「まあ、おかげで手間が省けたよ」
肩をすくめたヤンは、直ちに強力な通信妨害を指示した。回廊内と外をどうしても遮断しておく必要があった。
メルカッツとヤンが考えたのはごく簡単なことだった。
要は空家泥棒である。艦隊が出払ったのなら、要塞も奪ってしまえというわけだった。
ガイエスブルグは機動戦力を失い、通信も妨害され、まさに手足をもがれ眼も耳も封じられた巨人と化している。あとは何とかできる、と彼は踏んでいる。
「私は自由惑星同盟軍イゼルローン駐留艦隊司令官ヤン・ウェンリー大将だ」
極力表情を消し、冷たく聞こえるように声色を落として、彼は要塞に呼びかける。
「ガイエスブルグ要塞に駐留する帝国軍将兵諸君に降伏を勧告する」
曰く、ケンプ提督は戦死し、既に要塞艦隊は壊滅した。ガイエスブルグは回廊内の孤塁と化しており、周囲は完全に封鎖されている。
要塞の防御力を頼って防戦したところで、艦隊とより規模の大きな要塞を保有する我々を阻むのは不可能だ。
「よしんば回廊内に要塞を持ち込んだ時のようなワープ設備を利用したとしても、こちらは艦隊の火力でそれを容易に阻むことができる。もはや諸君の命運は尽きている」
絶妙の間を置いた後で、ヤンは顔を上げる。
「このまま孤立の死を選ぶか名誉ある降伏を選択するか、全ては諸君に掛かっている。降伏した場合の処遇については、小官が保証する・・・この状況下での降伏は恥ではない。諸君らの健闘は、小官が最も良く知るものである」
607 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/04 08:46
なんと、同盟軍は回廊に、イゼルローンとガイエスブルグの二つの要塞を
得る事になるとは・・・
この状況じゃいかにキルヒアイスでもどうしようもないでしょう・・・
はやくキルヒアイスを出してくれい
> なんと、同盟軍は回廊に、イゼルローンとガイエスブルグの二つの要塞を
しかも片方はワープエンジン付きだからな〜
これで艦隊の数さえ揃っていれば、補給の心配もなくいつでも帝国領に
侵攻できる計算になる・・・・・・筈。
うーむ。ちょーっとご都合主義っぽい気が……。
でも、ファーレンを小ラインハルトと位置づけてるから
そうならざるを得ないのかなあ。
(自分は、彼はそこまでの器ではないと思っているので
違和感があるのかも)
そーいやアンスバッハは何してるんだろう。
私の希望通りポプランが復仇してくれてナイスw
>同盟軍は回廊に、イゼルローンとガイエスブルグの二つの要塞を
今の同盟が、帝国領に侵攻するのは、国力的に無謀でしょうけど。
ガイエスブルグ要塞で、フェザーン回廊の同盟側出口に蓋することが可能に
なりますな。
駐留艦隊と要塞の司令官がアッテンボロー中将、艦隊副司令官がファーレン
ハイト少将ってとこでしょうか。
>この状況じゃいかにキルヒアイスでもどうしようもないでしょう
彼が、もしも内乱後も健在なら、同盟との講和を考える可能性は高いと思い
ますし。
この状況なら、そうなる可能性は高いと思うですよ。
>>612 >>彼が、もしも内乱後も健在なら、同盟との講和を考える可能性は高いと思い
ますし。
ラインハルトの目的が
アンネローゼを守れるだけの権力を手に入れることなら、
あえて同盟を倒す必要ないですしね。
キルヒアイスが死ぬ間際に、銀河を・・・って言わなけりゃ。
あと、アンネローゼが奪われる可能性といったら・・・
回廊をふさがれたなら、銀河外縁を大回りして同盟の背後に出る作戦ですよ。
>アンネローゼが奪われる可能性
キルヒアイスとケコーンくらいしか思いつかない
それと知らず、ロイエンタールの前に出てしまう
同盟勝ちすぎ。ちゃんと仕事しろよ>フェザーン
戦力バランスを考えたら現時点でも
帝国>>同盟
てな状態か。帝国のフェザーン占領が早まるかな。
619 :
シュターデン:04/07/04 22:12
ドウモ〜〜〜ッ!!ハジメマシテ〜〜〜ッ☆☆(*⌒ヮ⌒*)
私は日本国政府〜〜〜っ♪(#⌒〇⌒#)キャハ
うーんとー、私、新兵がすっごくすっごく欲しくってー、\(⌒∇⌒)/
探してたら(◎_◎)なんとっ!☆彡(ノ^^)ノ☆彡ヘ(^^ヘ)☆彡(ノ^^)ノ☆彡
あなたの素敵な戸籍♪を発見!!!!条件ばっちり〜〜(^o^)//""" パチパチパチ
てなわけで、ついつい徴兵しちゃったのらー(o^v^o) エヘヘ
戦争に、逝ってくれるよねっ。(*^-^*) お・ね・が・い♪(* ̄・ ̄)ちゅ♪ッ
え?逝ってくれないのぉ〜?(;¬_¬)そんなの死刑〜〜、ガ━━━(゚ロ゚)━━━ン
逝ってくれなかったら身内も世間と、( `_)乂(_´ ) 勝負! \(^o^)/
☆○(゜ο゜)o 村八分ぱ〜んち、☆(゜o(○=(゜ο゜)o 配給品カットー!!
( ゚▽゚)=◯)`ν゚)・;'妹の縁談くら〜〜っしゅ☆
(>_<) いてっ!ダメ!! ゛o(≧◇≦*)oo(*≧◇≦)o″ダメ!!
(☆o☆)きゃ〜〜(@_@;)やられた〜〜(o_ _)o ドテッ ガ━━(゚Д゚;)━━ン!
(+_+) 一族絶滅。。。。・゚゚・o(iДi)o・゚゚・。うぇぇん <(゜ロ゜;)>ノォオオオオオ!!
なあんて(#⌒▽⌒#)こんな日本国政府っ!σ(^_^)だけど、(///▽///)
お国の礎になってm(_ _)mくださいませませ♪('-'*)フフ
ということで。(^-^)v ほんじゃo(゜▽゜ヽ)(/゜▽゜)o レッツゴー♪
それでは、今から他の戸籍も色々見てきまーすC= C= C= C=┌(^ .^)┘
(*^-^*)ノ~~戦場でネー☆'.・*.・:★'.・*.・:☆'.・*.・:★
620 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/04 22:50
>>612 ガイエスブルグはダメージを受けておらずワープシステムも健在なので
フェザーン回廊の出口に設置するのは、極めていい作戦ですね。
要塞司令官はメルカッツ、駐留艦隊司令官はファーレンハイトと
言ったところでしょうか。
ラインハルトがラグナロク作戦を発令したら、両方の回廊で大会戦が
勃発する事になりますね。
イゼルローン=ヤン軍はロイエンタールと相対し、本命のフェザーン回廊では
ファーレンハイト&メルカッツvsラインハルト&ミッターマイヤーの
夢のタッグマッチが繰り広げられそうです。
兵力的には圧倒的劣勢ですが、それでこそファーレンハイトの腕の見せ所
でしょう。
それはいいが、敵軍遺棄物資?であるガイエスブルグは
まず国防委員会の管理下に入り、方針が決定してから軍の管轄になるんじゃ
ないかな。
トリューニヒト政権のことだから、「アルテミスの首飾り」の代わりに
ハイネセンに置きそうだ
オーディンにワープさせて少し脅したら
姉上〜〜0(>_<)0 ←ラインハルト
って降伏しそうな気がする。
そんなほいほい持ってけるものじゃないとは思うけど。
>>620 同意っス。
ただ、外様のメルやファーに司令官を任せることは無いような気が致しますので、
アッちゃんが中将に昇進して司令官になり、ファーがその副将を勤めるのが順当
ではと思いました。
メルカッツにも、責任有る立場で活躍させてあげたいところですが。
フィッシャーたちを昇進させた上で、アッテンボローの後任の分艦隊司令とか。
派閥バランス上、ヤンやビュコックの息がかかっている人間には任せないと見た。
とりあえず無派閥の真っ当な人間を吊り上げて要塞を与えるか、子飼いの連中に与えるか。
>無派閥の真っ当な人間
クブルスリー大将ですかね。
シトレ元帥に復帰してもらう手も有りますが。
最凶チーム
総司令官 ドーソン大将
防御指揮官 ロックウェル大将
艦隊指揮官 ベイ少将
作戦主任参謀 フォーク准将
>625
元からの派閥構成員を送り込むのもありだけど、中央を固めたい意向もあるしなぁ
こちらも貴重な実戦部隊だから、能力主義を出来る限り貫きつつ、政府の意向を聴かせたいし。
たとえばカールセンなどを取り立ててあげて恩を売り、
自派閥に引き込みつつ、ヤン派閥に対抗させる。
香具師はまだ少将だから、昇進させて駐留艦隊司令とか(要塞司令に身内の大将を据える)
ノンキャリア組のモートンを一本釣りするのも有効かも。
>派閥
私がエドワーズ委員会の人間なら、ヤンを説得して、選挙に出て貰うなあ(苦笑)。
630 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/05 01:15
「ドーソン閣下。イゼルローン軍がガイエスブルグ要塞を
奪取したそうです。ワープシステムも健在です。」
「ただちにフェザーン回廊へ移動させよ。これ以上ヤン一派を
増長させる訳にはいかん。私を含む同盟軍最強メンバーが
ガイエスブルグに乗り込む。」
「ついに彼を呼び戻す時が来たようだな。」
こうして下記の幕僚名簿が発表された。
ガイエスブルグ要塞・司令部編成表
総司令官 ドーソン大将
要塞防衛司令官 ロックウェル大将
駐留艦隊司令官 アラルコン少将
参謀長 アンドリュー・フォーク准将
副参謀長 ヴィオラ大佐
事務総監 ベイ准将
陸戦隊長 ジャワフ大佐
「次の武勲は我々のものになるだろう。」
>>630 >ただちにフェザーン回廊へ移動させよ
これはないだろう。
実際、同盟首脳部は、帝国のフェザーン回廊通過という戦略を、ヤンやビュコックの
警告があったにもかかわらず、現実の可能性すら考えられなかった。
それ辺りの意識を変革させる要素が出ていない以上、ガイエスブルグをフェザーン方
面に配置は考えにくい(むしろ、フェザーンへ対して武力的な圧力をかけていると反対意
見が出るだろう)。
ガイエスブルグを中心とした艦隊を編成して、一気に帝国領へ再侵攻! とか(w) レン
ズマンみてぇ。
632 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/05 01:28
同盟軍の戦略拠点は二つに分かれた。
ガイエスブルグ軍 イゼルローン軍
(フェザーン方面軍)
総司令官 ドーソン ヤン
要塞防衛司令官 ロックウェル シェーンコップ&メルカッツ
駐留艦隊司令官 アラルコン フィッシャー&ファーレンハイト
参謀長 アンドリュー・フォーク ムライ
副参謀長 ヴィオラ パトリチェフ
事務総監 ベイ キャゼルヌ
陸戦隊長 ジャワフ リンツ
ガイエという強力な機動予備を手に入れたことを背景として、
イゼルローンに張り付けとなっていた「不要な兵力」を引き抜き、これを持って艦隊再建の基礎と為す
という事で幹部の引き抜きによるヤン派閥弱体化を狙いたいな。政府としては。
ファーレンハイトやメルカッツは艦隊司令官に任じて部隊の再建をやってもらうと
共に、訓練が済めば別の司令官を据えることで飼い殺す。転向者は信用できんからな。
どのみち同盟、自滅路線まっしぐらですか?(笑)
しかし、ガイエスブルグ要塞に居残ってた責任者が、敵の手に渡すよりはと、
部下を全員下ろしてから自爆する可能性も有りそうな。
最低限、移動用ワープエンジンくらいはわざと暴走させるとかで
どうにか出来そうですしね。
きるぴーご一行がどう出るかですなー
264氏のガイエスブルグ要塞奪取の展開は、その後のレスの伸び方を
見ても分かる通り、かなりインパクトがあったみたいだな。
ていうか、ほとんどの人が奪取したという前提で話しているのが面白いw
みんな先走りすぎですなw
ケンプはやっぱり戦死ですかー
ラインハルト陣営では初期から率先して名前の挙がる人物だったのに
原作ではほとんどいいとこなし。
今度こそと思ったんだけどなw
反応があるのは嬉しいんですが、先に書かないでよウワァァァンですw
ですがまぁ、淡々といきますです。
--------------------------------------------------
考慮期間を24時間与える、と話を打ち切ったヤンは、通信が切れると椅子にへたり込んだ。
「やれやれ、悪党の振りは疲れるよ」
「よく言いますな、悪党の振り、ですか」
皮肉気に笑うシェーンコップ。
「要塞の帝国軍将兵諸君には、あなたの顔が悪魔に見えたでしょうよ」
「失礼だな、こんな善良そうな顔は他にはないぞ」
思わずフレデリカが口元に手を当てる。シェーンコップは肩をすくめた。
「悪魔は言い過ぎとしても、ミラクル・ヤンの降伏勧告ですからな。彼らには死刑宣告に聞こえるでしょう」
そうであってくれよ、とヤンは思った。
彼はまだ知らなかったが、帝国軍の増援が来ないという保証はないのだ。
その数時間後、ファーレンハイト艦隊もヤンに合流した。降伏して捕虜となったフーセネガー参謀長は捕虜全員の身の保全を条件に要塞への降伏呼びかけに同意していた。
期限の24時間のうち23時間と30分が経過した時、ガイエルブルグ要塞は降伏を受諾することになる。
ガイエスブルグが開城すると、とたんに大忙しになったのはシェーンコップとアンスバッハだった。
「アンスバッハ准将は要塞の構造と運用に詳しい。彼を補佐につけるが宜しかろう」
そう助言したのはメルカッツだった。彼の助言をもとに、シェーンコップとイゼルローンから引き抜いてきた要塞守備隊がガイエスブルグの機能を保全する。
捕虜達は全員軍港付近に集められ、その前に同盟軍の軍服を着たファーレンハイトが憎々しげに仁王立ちになった。
「諸君には証人になって貰おう。要塞に小細工をしていれば、私も諸君も巻き添えということだ」
裏切り者、との痛罵がそこかしこからあがる。ファーレンハイトは能面のような無表情で、それを受け止めた。
「そうだ。私は転向者なのでな・・・必死にもなるということだ」
にたり、と毒々しい笑み。捕虜達は縮み上がる。
結局破壊工作の形跡もなく、要塞は短時間で戦力を取り戻した。
「あんた、結構そういう芝居も得意なんだな」
どこからかあの恫喝を見ていたのだろう、アッテンボローがにやりと笑う。
ファーレンハイトはただ薄い笑みでそれに応えた。
話の流れをぶったぎるが、外伝3巻で言っていたように、
ラインハルトがアンネローゼをつれて同盟に亡命していたら、
ローゼンリッターに入っていたのかな。(アンネローゼはパン・ケーキ職人?)
その場合、帝国に残してきたキルヒアイスと戦場でまみえるのかも。
うーん、なんだか「アドルフに告ぐ」?
>634
いや、政府としては自分達なりの思惑があるというだけで、必ずそうなるとは限らない。
飼い殺しのつもりで、後方で訓練させてたら敵が侵攻してきて急遽出動、
予備として決定的な時期に投入されて大勝利、一躍ヒーローになってしまい、
政府高官が地団駄踏んでしまうことだったあるかもしれぬ
>643
その場合、キルヒアイスは軍人にならないのでは。
徴兵はされるだろうけど下士官からの出発だから
そんな出世もしないだろうし、死亡確率も上がるわな。
キルヒアイス青年が、恋人とその家族と自分の両親連れて逃げるって仮定も
面白そうだ。
>>644 ビュコック爺さん辺りなら、身近に有益な人材が来てくれたら、有効利用を
考えてくれるでしょうしね。
ビュコックとメルカッツ、老将2人の最強タッグ。
これは見たいっスねえ。
>有効利用を考えてくれる
そこで当然、妨害ですよ。
状況次第では、フェザーンが、帝国と同盟とのバランスを取らせる為に、
トリューニヒト派を押えるべく動く事も有りそうですな。
その場合、同盟による、ガイエスブルグ要塞のフェザーン回廊の同盟側出口への
設置も、黙認するかもですね。
>646
昔、ニフティでそういう二次創作が書かれたらしい。
このスレの最初の方に書いてあった。
ガイエをフェザーン回廊に設置するのは色々な意味で無理だと思うのだが。
フェザーンが反発して政治・外交的に圧力を加えるとか言う事もあるが、
そもそも回廊周辺はフェザーン領なわけで、まあ回廊周辺の地形(?)にも
よるが、いわゆる狭隘部に要塞を配置する事はできないのではないか。
回廊の同盟側出口から離れた所に要塞をおいたとしても、まあ軍事拠点と
して無いよりはマシだが、イゼルローン要塞程の絶対的な存在には成りえ
ないだろう。
それよりもむしろ、ガイエもイゼルローン回廊に置くことで、いつでも帝
国領に侵攻できる体制を見せつけておけば、帝国側も相当の守備体制を以っ
て応じざるを得ない筈。ラグナロクに際してイゼルローンに対し3個艦隊
を貼付けた訳だが、これにガイエが加わると対抗するのにさらに数個艦隊
がさかれ、さらに帝国領内の守備にも相応の艦隊を残しておかねばならな
となると、同盟領に侵攻できる艦隊は何個になるだろうか?
帝国領守備 芸術家 一個艦隊
イゼ侵攻 色目 ヒゲ 鉄壁 ルッツ ワーレン シュタインメッツ 六個艦隊
フェ侵攻 疾風 猪 沈黙 ハルぼん(こいつの直属が一個ってことはないだろう)
取り敢えず、5、6個は軽いと思われ。
あ。ファーを忘れてたw
こいつもフェ侵攻組ね。
イゼから、ヤン艦隊もガイエスブルグ要塞も動かさないとすれば、どのみち
爺さんは絶望的な戦いを強いられることになる。
動けばイゼ回廊の帝国軍も六個は動かせるようになる。
ガイエスブルグのようなでかい要塞は、ヤンの取ったゲリラ戦術には、幾ら
なんでも持ち歩けそうにないから、戦略的に「遊兵」になって無意味。
要害の地に有ってこそ、要塞は難攻不落足り得る。
フェの了承が有ればフェの領土内に要塞設置は可能。
取り敢えず入り口辺りに置いておいて、帝国が侵攻してきたら、大急ぎで、
更に奥にワープして設置かな。
結局、同盟的には、いかにフェを「この状況では同盟寄りになった方が得」
と思わせるかだなあ。
上、3行目。訂正。
六個じゃないや、五個だ。
IF話インデックス
今日の予想(妄想)>131>133>137>142-143>147>151-152>165-166>169-171>181
妄想で考える軍人たちの経歴>144-145>148>155>204-205
184の勝手な続き>187-188
銀河妄想伝説 第二巻 その1>221-222>225
213 ◆IfKirKRfcAさん>234-237>252-258>334-337>339-340>574-582
264 ◆X4sTWrpuicさん>268-270>280-281>290-291>299>306-308>493-494>503>505>507
>515-518>522>524>527>534-537>541-542>551>553-554>556>558-559>562>568>570-572
>594-595>599-603>605-606>641-642
キルヒアイス生存でラインハルトに疎まれている場合>293-298
貴族に生まれたヤン>476>478>483>486>504
皆様、続きをお待ちしております。
他、ネタや議論など
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sukekota ◆m13z/0d98cさんによるまとめサイト
http://www.geocities.jp/sukekota/ 608さんによる264さんまとめ
http://naha.cool.ne.jp/jpn_plus/264_268-606.html インデックス作っていて気がついたけど、もしかして>264さんって>54さん?
>659
そうですよ。
>>656 >フェの了承が有ればフェの領土内に要塞設置は可能。
ちょっと待て。
たしかに、フェザーンは自治領で、本編中では独立しているように見えるが、あくまでも
「自治」が認められているだけだろう。
そんなところへ、叛乱勢力に奪われた要塞なんぞを向こうとの政治的合意の上で置く
なんてしたら、それはイコール帝国への叛意ありと宣言するようなものだ。わざわざ、武力
侵攻を招くようなバカなマネをする? 少なくとも経済的覇権を狙うフェザーンがとるべき
戦略ではない。まあ、その前に帝国からの分離独立でも宣言すれば、別だが。しかし、
それは同盟につくということを意味するわけだ。帝国領大侵攻作戦の失敗で国力大低
下した同盟と組んでも、帝国には対抗できないだろう(だからこそ、同盟を見限り、ライ
ンハルトに統一させて、裏から乗っ取るという陰謀が企まれるワケで)。
ガイエをフェザーン方面に配置し、戦略的に活かすには、かなり状況そのものを変え
ないと難しい以前に、あり得ないとしか思えない。
確かにガイエをフェザーン方面に配置となると、
フェザーン回廊からの侵攻(同盟からってのもあり)を意識してますよ〜とアピールしてしまうな
それでラインハルトに対する抑止力になればいいんだが
同盟政府なら何かをやってくれそうな(笑
どちらにしろフェザーンが黙ってないな
それはそれで面白そうなんだけど
>>655 264氏のIFの場合、ファーレンハイトではなくてキルヒアイスですな。
>>661 ですから、「取り敢えず入り口辺りに置いておいて、帝国が侵攻してきたら、
大急ぎで、更に奥にワープして設置かな。」です。
「入り口辺り」は同盟の領域ということで。
武力侵攻を実際に受けたなら、フェ政府もしのごの言えません。
何なら、同盟駐在弁務官にでも亡命政府を作らせて、その要請ということに
しましょう。
フェザーン占拠直後、帝国軍が大急ぎで同盟領に進入してきても、ガイ要塞
が機動戦力込みで回廊内の要所に移動すれば、帝国は補給線を断たれます。
>>662 >同盟政府なら何かをやってくれそうな(笑
同感ですな。結局そこが、同盟の最大の弱点ですなあ。
アンスバッハは要塞のほぼ全てを掌握していた。当然の事だった。何せ彼はあの公爵の下でありとあらゆる雑用を一手に引き受けていたのだから。
その彼が唯一把握していないものがある。シャフト技術大将謹製の、あの要塞推進システムだった。
概要程度は捕虜の尋問から分かったのだが、これをどうすればいいのやら迷った彼は相方のシェーンコップにお伺いを立てることにした。
「・・・」
この不遜な亡命者は腕組みをする。しばし考えた後で、彼はイゼルローンから一人の男を呼び寄せることにした。
「・・・なるほど、ねぇ」
不遜な上官の前で、輪を掛けて不遜なその男は大げさに首を捻った。
「まぁ、閣下のおっしゃる通りですなぁ。こいつはハイネセンに巣くう有象無象にとっては、少々危険すぎる玩具だ」
その男、バグダッシュ中佐は口元をゆがめて笑う。
「だろう。移動する要塞なんて物騒な玩具をあの阿呆どもに与えてみろ、何を考え出すか分かったものじゃない」
「ヤン提督の立場もますます微妙になってしまいます、な」
「・・・」
余計なことを言うな、と視線で釘を刺したあと、シェーンコップはアンスバッハに視線を戻した。
「聞いての通りだ。何を言いたいか、分かってもらえるかな?」
「・・・なるほど」
その手の腹芸は得意中の得意だった。伊達に長いこと、貴族社会で生きてはいない。
アンスバッハは謹厳実直を絵に描いたような表情で敬礼すると、そのままこう言った。
「要塞を改めて調査したところ、要塞を移動させた推進機構は一回限りの使用を前提としたものであったらしく、残念ながら既に崩壊しており使用に耐える状態ではありませんでした。復元も困難と思われます」
シェーンコップも鹿爪らしく答礼した。
「誠に残念だが仕方があるまい。後ほど私に報告書を提出して貰いたい。ヤン提督には私から説明しておく」
その光景を眺めているバグダッシュも、このときばかりは無表情を通している。
おやおや。
うまいw
>>664 いや、だからさ。その前提として、「帝国のフェザーン占領」戦略があるワケだが、
今の状況で、そのプランを考えられるのはラインハルトとヤンくらいだろ?
上の方にもあったが、同盟政府はその時点では(後に警告されても)「フェザーン
占領なんてあり得ない」「帝国軍はイゼルローンから来る」と思い込んでいた。そん
な状況で、フェザーン方面に大戦力を配置なんてのはあり得ない(同盟の感覚で
は、無駄な戦力を配置することになる)。
アルテミスの首飾りの変わりにハイネセン近くに置いて、総司令部そこへを移
すくらいだろう。
あ…先に読んどきゃよかった。
ガイエ移動のほぼ可能性がなくなりましたね。
>>668 同盟政府がマヌケってのは承知してますし、その上で、「同盟がもしも賢く
振舞うなら」って前提であれこれ書いていたんスよ。
もし、フェが同盟寄り政策を選べば(「それは有り得ない」とか言わないで
下さいよ?)、むしろ先方がガイ要塞をフェ回廊へ移動させることがすぐに
でも可能なような位置に置いておいてくれって要請くらいは、事前に内密に
やっておくでしょうけどね。
ま、264氏のIF的には、取り敢えず、ガイ要塞移動の要素は封印ってとこ
ですか。
「同盟寄り政策を選べば」と言うより、「帝国によるフェザーン武力占拠の
危険性を想定すれば」の方が有りそうですかね。
帝国軍がラグナロック作戦を始めた折は、イゼに置いておいたガイ要塞を、
如何にして帝国軍を出しぬきフェザーン回廊へ持ちこむかって作戦も、面
白そうですね。
>>671 いや、少なくともルビンスキーは、最悪そこまで想定していた。
だからこそ、こちらから「通行権」を出そうとしたりしたワケでしょ? 上手いこと立ちまわっ
て、フェザーンを高く売りつけようとしたが、ボルテックが交渉失敗して足下見られただ
けで。
アムリッツアの大敗で同盟見限ったからこその、ガイエ作戦だったワケだからさ、いき
なり180度転換は難しかろう(現状では、まだフェザーン回廊の戦略的意義は十分だし)。
でも、これでフェザーン出方も変わるかも。それ次第で、ラグナロク作戦が根本的に
変わってきますね。
翌日。
その報告を受けたヤンは、まるで友人の悪戯を眺めているような微妙な目つきで要塞防御司令官を眺めた。
シェーンコップはその視線に全く動じる事無く、半ば周囲の全てを小馬鹿にしたようないつもの態度で若き魔術師の前に立っている。
しばしの沈黙が続いた後で、ヤンは報告書をその美貌の副官に手渡した。
「目を通して、アラがあったら潰しておいてくれ。君が見終わったら、キャゼルヌ少将にも回しておいてくれ」
「了解しました、閣下」
頷くフレデリカ。ヤンは大きく伸びをすると、シェーンコップに人の悪い視線を向けた。
「上が技術者でもよこしたらどうする?」
「その時は本当に壊してしまえばいいでしょう。あれが使い物になるってことは、うちでは一部しか知りませんからな」
「・・・やれやれ、よくもまぁそういうたちの悪いペテンを思いつくものだよ」
「銀河最高のペテン師にそう言って頂くのはこの上ない栄誉、ですな」
お互い同じように苦笑すると、ヤンはひらひらと手を振った。この件はおしまい、という意味らしかった。
「で、要塞は使えそうかい?」
「長期的には要員の派遣は求めなければならんでしょうが、ここ数ヶ月の話なら手持ちのマンパワーで何とかしますよ」
気障ったらしくシェーンコップが指を鳴らす。フレデリカが少し笑って、スクリーンに映像を投影した。
「イゼルローン、まぁ端的に言えばトール・ハンマーの死角を常時カバーする軌道にあれを乗せておきました。二つの要塞は連動して防御コンプレクスを形成します」
まるで姉妹のように軌道を回る二つの要塞が映し出される。
「回廊の帝国側にガイエスブルグが位置し、ここに前衛艦隊を置きます。回廊戦区司令部と艦隊主力はイゼルローンに配置します」
「なるほど、ガイエスブルグを出城扱いにする訳だな」
「そうです。相互が相互を支援できる態勢を維持できれば、この回廊は十万隻の攻勢にも容易に耐える金城湯池になるでしょう」
「維持できれば、ね。どのくらいの兵力がいると思う?」
「要塞守備そのものは大した頭数はいらんでしょうが、機動戦力はこの構想の要です。イゼルローンと併せて最低三個艦隊、欲を言えば四個から五個艦隊は欲しいですな」
ヤンは軍用ベレーを脱ぎ、指先でくるくると回す。
「・・・どうしました?」
「いや、よく言うよと思っているんだ」
シェーンコップはしらじらと笑った。
>670
後知恵の典型みたいな意見で賢く振舞うってのはちょっと。
あと、軍事的にどうかというのと、政治的にどうかという問題があって、
政治家は政治的配慮を優先するんだから正面切ってはどう考えても無し
政府がそのアイデアを却下するのをマヌケ呼ばわりするのというのは、
貴方の視点が軍人的に過ぎると思う。
264さん、乙。話が着実に進んでますな。
>670,671
> 「同盟寄り政策を選べば」と言うより、「帝国によるフェザーン武力占拠の
> 危険性を想定すれば」の方が有りそうですかね。
フェザーン本土は回廊の帝国側であり、回廊に要塞を置いても、帝国軍からフェザーン
を守るのには全く役に立たない。逆に、帝国に侵攻の口実を与え、また将来同盟に回廊
の通行税を取られるようになる懸念もある。
ルビンスキーがまともなら、どっちにしてもあり得ない。
膨大な借金を帳消しにする代わりに要塞を買い取って、回廊ではなく、フェザーン本星
の防衛にあてる方がまだありそう。まあ、要塞1個では守りきれんだろうが、メルカッツ
とファーレンハイトが要塞に付いていけば、それはそれで面白いかもしれん。
678 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/06 23:09
キルヒアイス・・・・
まさか、気づかずにガイエスブルクにこないだろうなw
>>264氏
キルヒアイスを長生きさせてやってください
更に三日後、イゼルローンよりヤン・ウェンリー大将名で、ガイエスブルグ奪取の報告と増援の派遣を求める要請がハイネセンに打電された。
ジークフリード・キルヒアイス元帥率いる帝国軍三万が回廊に現れたのはその更に二日後のことだった。
「こうして見ると、まさに用兵上の地獄ですな」
旗艦バルバロッサの艦橋。スクリーン越しにロイエンタールが苦笑する様に、キルヒアイスは同じく苦笑で応じた。
「全くです。こうして目にするまで信じたくない光景でしたが、こうなってしまうと信じざるを得ませんね」
行軍中、キルヒアイス達はケンプと連絡をつけようと度々通信を送り、連絡艦も出していた。
最初は通信妨害で連絡がつかなかった。一週間ほどすると、妨害は無くなったが全く返信が来ない状況が続いた。
キルヒアイスとロイエンタールは異変が起きたと考えざるを得なくなり、更に回廊に接近するにつれケンプ艦隊は壊滅したと考えるしか無くなっていた。
・・・ではガイエスブルグはどうなったのだ?籠城して抵抗でもしているのか?
その結果がこれだった。回廊内は全く静かで、もはや交戦状態ではなかった。要塞は落ちていたのだった。
そして、そこへ通信が入った。
スクリーン越しの男は誰あろう、ヤン・ウェンリーだった。
「自由惑星同盟軍、ヤン・ウェンリー大将です」
「銀河帝国軍、ジークフリード・キルヒアイス元帥です」
キルヒアイスはこの高名な敵将を前に、丁重に敬礼した。スクリーンの向こうの黒髪の敵将は穏やかな表情をしていた。
「遠路ご苦労様です。もうお分かりとは思いますが、ガイエスブルグ要塞は既に我々が占拠しています」
「どうやらそのようですね。銀河最強と言われる要塞二つ、続けて奪取した閣下の手腕に敬意を表します」
ヤンは心底照れくさそうに苦笑いした。
「いえ、今回はたまたまですよ・・・そこで用件なのですが」
「はい」
「今回、貴軍の将兵を多く捕虜として収容しました。つきましては、彼らをお返ししたいと考えています」
「・・・捕虜を返して頂ける、と?」
「はい。貴官たちが出征した時点と現在では、状況も大きく異なります。この状況下での交戦に意味がない事は、あなたがたなら容易に理解されるでしょう」
「・・・」
「ですので、今回は兵をお引きなさい。おとなしく撤兵して頂けるなら、捕虜はお返しします」
「・・・敵将から手土産まで都合して頂けるとは、私たちも落ちぶれたものですね」
言った後で、キルヒアイスは首を振る。
「いいえ、言い過ぎました・・・検討に値する提案だと考えます。しばらく猶予を頂けますか」
「喜んで」
そして特に時間を区切ることもなく検討の為の一時停戦を約して、通信は終わった。
「・・・これで良かったのでしょうか」
通信が終わった途端、ユリアンが首をひねった。ヤンはティーカップを取り、小さく頷く。
「いいのさ。小細工はしないに限る、特に相手が名将である場合は」
「名将・・・ですか」
「ああ。キルヒアイス提督は正統派の用兵家だ。アムリッツァの前哨戦でよく分かった・・・あの若さであの冷静さとケレン味の無さ、恐るべきものだよ」
紅茶を一口すする。
「しかも、副将はロイエンタール提督ときている・・・やり合わないでお引き取り頂けるものなら、そうするに越したことはない」
実際、ファーレンハイトとアッテンボローからは作戦案まで提示されていた。捕獲した帝国軍の艦船は5000隻近くあるので、これを利用して帝国軍をガイエスブルグ付近に誘引して二つの要塞主砲で一挙に殲滅してしまおう、と。
しかしヤンはそれをはねつけた。理由を問われたヤンはすましてこう答えている。
「運は使い果たさない事だよ。我々はもう十分に勝った・・・欲を張るとろくなことにならない」
それで策を見破られれば、また面倒なことになるしね。
一方、バルバロッサにロイエンタールを呼び寄せたキルヒアイスは割合簡単に結論を出していた。
「受け入れましょう」
ロイエンタールは無言だった。替わって参謀長ベルゲングリューン少将が口を開く。
「しかしそれでは戦意不足の誹りを受けましょう。一戦も交えず、捕虜を返して貰って引き下がる、では・・・」
「言いたいことは分かります」
キルヒアイスは穏やかに頷くと、諭すように口を開く。
「ですが参謀長、たかだか三万の兵力で、あの要塞・・・いいえ、もはや一つの複郭要塞と化してしまったあの要塞群を抜くことが可能でしょうか?」
「それはそうですが・・・」
「これ以上の損害は無意味です。いわば我らは死地に飛び込むところだった・・・交渉に応じて失うものはもはやありません。受け入れるべきです」
「・・・確かに」
ロイエンタールもようやく口を開いた。
「あれをどうにかするには三万程度では全く足りない。俺でも十万は欲しいところだ」
「・・・分かりました。お二方がそう仰るのなら、もはや異存はありません」
ベルゲングリューンは表情を消すと、大きく頷いた。
結局翌日になって、交渉は成立した。
帝国軍はフーセネガー少将以下の捕虜を収容し、回廊を去る事となった。
この戦いで帝国軍は二人の将官と一万五千隻の艦隊、そして要塞一つを失った。対して同盟軍は二千隻の艦艇を失う替わりに要塞一個と帝国製の艦艇約五千を手に入れている。
アムリッツァの大勝利を帳消しにするほどではないが、帝国軍としては久々の完膚無きまでの大敗だった。
なるほど。5000隻では一個艦隊にはちと及ばんが、一応ファーレンにも自前の艦隊を与える
下地はできたわけだ。しかし艦を操作する兵員が足りないね。
ところで、ベルゲンはどっちの幕僚なの?キルヒの死後、ロイの幕下に移ったと記憶してい
たんだが、キルヒの死んでいないこの世界ではまだキルヒの幕僚ではないの?
>>676 >政治家は政治的配慮を優先するんだから
当時の同盟政府は、大半、「政治家」ではなくて「政治屋」。
優先するのは「政治」ではなく、自分たちの権益。これは原作を読んで
いれば常識。
スレの話の流れもそうだったでしょ?
>>677 フェザーンは、片方に脅威を感じればもう片方に頼り肩入れする、そう
いう手口は伝統的に繰り返していたと思いますよ。
この場合、回廊の同盟側に要塞を置かせると言う形で、同盟の便宜を図
るのは、フェ防衛の為の直接の軍事効果などを狙うのではなく、フェ回
廊通行(ひいてはフェ占領)の、帝国にとっての戦略的効果を低下させ
る為の政治的カードと言うものです。
もっとも、264氏的には、「複合要塞」になってしまいましたか。
もう同盟には、駐留させる戦力の余裕は、そうは無い筈ですが、さて。
まあ、既にストーリーは進んでいるからどうでも良いが、>684は無理過ぎ。
> この場合、回廊の同盟側に要塞を置かせると言う形で、同盟の便宜を図る
さすがにここまであからさまに同盟側に肩入れしたことは無いのでは?
つーか、回廊を独占している事がフェザーンの強みなんだから、それを同盟に明け渡した
ら自らの存在価値を放棄する事になる。その時点で、同盟にとってはフェザーンを守る理
由がなくなる。むしろ滅びてくれた方が、借金が棒引きになるので同盟にとってはありが
たいので、政治屋達は喜んで見捨てるだろう。
> フェ回廊通行(ひいてはフェ占領)の、帝国にとっての戦略的効果を低下させる
んな事はない。仮に戦略的効果が下がるとしても、イゼルローン回廊と同レベル以下には
ならない。同盟領の航路情報等、フェザーン自身の付加価値を考慮すれば、依然として戦
略的価値が高い事には変わりはない。
それに、数十年先に同盟が国力(戦力)を回復した時に、フェザーンは同盟軍の帝国侵攻作
戦の橋頭堡になる。もちろん、その時はフェザーンは帝国側に付く可能性もあるが、不確
実性を除くため今のうちに占領しておいたほうが良いを帝国軍なら考えるだろう。
> もう同盟には、駐留させる戦力の余裕は、そうは無い筈ですが
要塞の要員は別にして、ガイエをイゼ回廊におくなら駐留艦隊の増派は不要だろう。
鹵獲した帝国艦も合わせれば、3万隻近く既に揃っている。
ヤンが連れてきたアラルコンとモートンの1万隻は本土に返しても良いくらい。
686 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/07 12:18
>>679 ワタクシがヤンだったら。。。。
「いい機会だから敵の援軍も屠っておこうか。捕虜の帝国軍オペレーターに
こう通信させよ。『戦闘は一段落し我が要塞は一時後退した。至急援軍を
請う。ただちにガイエスブルグに入港されたし』と。」
「キルヒアイス提督。ようやくガイエスブルグから返信が来ました。
我が軍の来援を求めています。」
「分かりました。急いで向かいましょう。」
「ガイエスブルグが見えました。周囲に敵はいません。」
「全艦に指令。ただちに入港を。」「はっ。」
ずど〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん
「何事か!」
「ガイエスハーケンです! 我が軍に向けて撃ってきます!」
「馬鹿な!我々は味方だぞ! 気でも違ったか!」
どか〜〜〜〜ん うわ〜〜〜〜〜〜〜!!
「ラインハルト様。アンネローゼ様。申し訳ありません。ジークは
約束を守れませんでした。。。ぐふっ。」
ヤンは無益な戦闘つーか一方的な虐殺は極力避けるんじゃない?
原作でもトールハンマー射程内の敵に対して降伏or撤退勧告してるくらいだし。
>>685 >回廊を独占している事がフェザーンの強みなんだから、それを同盟に明け渡した
ら
フェザーン本星に同盟軍が駐留して、帝国側出口にも何らかの橋頭堡を築く、そこ
までやったら、「回廊を明渡す」って言えるだろうけど。
フェザーンの政治力と経済力と言う要素を、無視するべきではないかと。
>駐留艦隊の増派は不要だろう
684は、シェの「機動戦力はこの構想の要です。イゼルローンと併せて最低三個
艦隊、欲を言えば四個から五個艦隊は欲しいですな」の台詞に掛けていたのでは。
>>687 念の為書いておくが、686は、ネタではと思うがにゃ。
ネタや、「もしも」の思考実験に、「それは有り得ない」はやめれ。
>>688 ネタはともかく、「思考実験」なら前提条件をちゃんと示さないとな。
それがない・いい加減だから、「あり得ない」と否定されるわけで。
「蓋然性」を無視して、「とにかく、そういう状況にしたい」というのもかまわんが、それなら
それと言ってくれないと。
もっとも、蓋然性を無視して想定した状況から得られた結果なんか、砂上の楼閣もいい
ところで、それこそネタにしかならん。
つまり、ネタとしてもつまらんからツッコミが入ったというだけの話。
>689
前提条件って、
「ワタクシがヤンだったら。。。。」
でないの?
つまり、原作から離れた俺ヤンの世界ね。
それに対して、原作のヤンはそんなことしないという
ツッコミはあまりに野暮でないかと。
それこそネタにマジレスカコワルイの世界だと思うが。
他人のカキコがつまらないと思うなら、もっと面白いネタをカキコなされよ。
その方が建設的だ。
692 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/07 17:18
>>686 IF物語からさらにIF物語を書くとは。。。
ガイエ作のオリジナルすらIF物語である以上、君の発言は的外れ
そも二次創作が良くて三次創作がダメは理屈が通らんよ
別にダメとは言ってないのでは。単に感心したのでは?
IFっつうか、雑談ぽいな。
真面目に考察するほどのもんでもないでしょ。
ハイネセンの政治屋たちが、イゼルローン要塞の軍閥化の危険性を疑いもせずに
放置するなど不自然だ。
中将か大将クラスの「軍監」の派遣を思いついた可能性は極めて高い!
(例えば、源義経に対する梶原景時とかね)
ベイ辺りを昇進させてとか。
フォークを復帰させてとか。
697 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/07 19:44
「統合作戦本部長の名代として来たアンドリュー・フォーク少将です。
イゼルローン軍・高等統監を拝命しました。
ヤン司令官の決定には全て私の承認が必要です。これは国防委員長、
直々の指示です。よくよく肝に銘じて頂きたい。」
「早速ですが、第二次帝国領侵攻作戦を立案しました。
拒否権はありません。全将兵は速やかに従ってください。
まずガイエスブルグを前衛にして。。。
フォークが来たら不良中年たちのいいおもちゃになりそうだな。
泣き疲れて司令室の片隅でうずくまって眠るフォーク。
所変わって、惑星ハイネセン。
市民は「ミラクル・ヤンの新たなる奇跡」に歓呼の声を上げていたが、重苦しい空気に包まれている場所がその中でいくつか存在した。
政治屋の牙城、最高評議会ビルと統合作戦本部ビルである。
中でも真剣に困っていたのは統合作戦本部だった。政治業者達は例の査問会以来思考停止状態に陥っており、軍事面の課題は全て統合作戦本部に丸投げを決め込んでいたからだった。
この時期の統合作戦本部長はドーソン大将、総参謀長はチェン大将だった。本部長と総参謀長の階級が同じであるのは理由があった。今の自由惑星同盟軍には元帥がいないのだ。
ロボス、シトレ両元帥が予備役入りしてしまい、最高評議会は使い勝手がいい駒としてドーソンを起用したものらしかったが、しかし彼はその付託に耐える人材ではなかった。
能力が足りないだけなら、彼でも何とかなったかも知れない。彼は無能かも知れなかったが、出世欲と権勢欲はあった。プライドもあった。そういう人間は、取りあえず自分の椅子を守ることには長けているものだ。
しかし、今回の事態は彼の精神的キャパシティを超えてしまっていた。
まず、彼自身が片棒を担いだヤン吊し上げ査問会は大失敗した。
更に、そのヤンがまたしても帝国軍に痛打を与え、イゼルローン回廊に要塞を一個増やす離れ業を演じて見せた。
そして、政治業者たちはその後始末からはさっさと手を引いてしまった。口ではヤンの功績を褒め称え、自分は救国の英雄たるヤン提督を支持している、と皆アピールしたりしている。
責任を取らされるのは軍部だった。軍部のトップ、ドーソン大将、彼自身だった。
ある政治家が「奪取したガイエスブルグ要塞を、アドミラル・ヤン要塞に改名してはどうか」などど発言し、それが市民の熱狂的支持を呼んだりしている状況は、彼のプライドをズタズタに引き裂いた。
今回の功績でヤンに元帥号を、等という話も政府筋から流れ、民衆はそれを当然のことのように囃し立てた。言を前後にしてあいまいな態度を取る統合作戦本部は仮借のない批判に晒された。
統合作戦本部長が大将でしかないのにヤンを元帥にするのは組織論的に困難だ、とドーソンは新聞記者に説明してみたが、翌日彼の自宅とオフィスの電話はパンクする結果となった。
更には妻には逃げられ、親族からは白い目で見られるようになってしまった。皆ヤンを褒めそやし、それに正当に報いないと何故かドーソンを批判した。
・・・私のせいではない、こんな状況に私を追い込んだのは政府、政治屋どもじゃないか!
ドーソンは眠れぬ夜を過ごした。元来小心者の彼は、ついには自らの部下達まで自分を批判がましい目で見ていると信じ込むようになった。
・・・あぁ、私はどうすればいいんだ・・・!
ある朝、目覚まし時計が鳴ってもドーソン大将はベッドから出られなかった。
起きあがろうとしても体が言うことをきかなかった。彼は泣きながら枕を抱きしめるだけだった。
もはや身体も精神も、平衡を保ってはいられなくなっていた。
昼になっても出勤してこない上司の様子を見に来た副官が見たものは、ベッドの中で丸くなり嗚咽している統合作戦本部長の姿だった。
・・・書いててドーソンが哀れになってきた・・・済まんドーソン(泣
まあ、リタイアした方が幸せでしょうな、ドーソン氏はw
ところで、同盟軍の統合作戦本部のNo.2は、「総参謀長」ではなくて
「幕僚総監」では。
いや、文脈的に、チュン・ウー・チェン大将を、統合作戦本部のNo.2と
書かれた訳ではないですから、別にいいんスかね。
大変失礼しました。
>703
まぁ、704だと考えてくだされば。細かいミスは指摘してくださいませ。
---------------------------
ドーソン大将は精神衰弱状態、との知らせは軍上層部を一気に脱力させた。
またか、と呟いた者は百や二百では無かったろう。故グリーンヒル大将のやりきれなさに思いを馳せる者もいたろう。しかし何より、当座の責任者をどうするのか。問題はそこにあった。
統合作戦本部長に擬される現役軍人は三人いた。
近日中に元帥昇進が確実視されているヤン大将、ビュコック大将、ロックウェル大将の三名である。
政治業者達はロックウェル大将を望んだが、現役軍人達はビュコック大将に信望を寄せていた。市民の人気はヤンにあるが、これはまぁ論外だと誰もが思っていた。
ヤンをおいてイゼルローンを任せうる者はいないし、彼をハイネセンに縛り付けるわけにもいかない。
今、ヤンの勝利によって軍部の発言力は増大している。ビュコックを強力に推せば政府首脳としても無視はできないかと思われた。
しかし当のビュコックにその気は全くなかった。彼は、自分自身がそういう役回りに向いていないことをよく承知している。
・・・それにわしが艦隊におらなんだら、誰がヤンの面倒を見てやるというんだ。
そういう役柄も好きではないが、あのイゼルローンの魔術師を支えてやる者が艦隊にもいなければ、あの若者も大変だろう、と思う。
・・・ウランフかボロディンでも生きておれば何とかなったろうが・・・。
老提督はため息をつくと、手元の秘話回路付きホットラインに手を伸ばした。もはや頼るべき人間は一人しかいない、と彼は考えていた。
電話の相手は、カッシナという田舎の惑星で養蜂業者をしているはずだった。
ホットラインでの会話はごく手短なものだった。
その相手、シドニー・シトレ予備役元帥はビュコックの懇願をはねつけようとした。自分はもう過去の人間で、今更何かをどうこうしようとも思わない、と明言した。
当然そういう反応はビュコックも予期していた。わしは諦めませんぞ、と言った後で、ビュコックはこう言った。
「同じ事を考えておる者はわしだけではありませんでな。覚悟はしておかれたほうが良いですぞ」
電話が切れるとすぐ、ビュコックはイゼルローンへの超光速通信回線を開き、まずバグダッシュ中佐を呼び出した。防諜態勢の確認を行ったのだ。
このあたりの老獪さはさすがに「呼吸する軍事博物館」と称されるだけのことはあった。中佐から機密保持については問題なし、との返答を受けると、いよいよ彼はヤンを呼び出した。
「・・・え?私にシトレ閣下を口説け、と?」
用件を告げられたヤンは素っ頓狂な声をあげた。
他に誰が、この難局を担えるものか。ビュコックの言葉に不承不承ヤンは頷いたが、しかし冴えない顔で老提督を見つめ返す。
「ですが、私ごときの言うことをあのお人が聞きますか?」
「お前さんはかつて、あの御仁から無理矢理イゼルローン攻略を押しつけられ、見事に成し遂げた。それを楯に取れば、あの人も文句は言えまいよ」
「はぁ・・・」
「それに、あのロックウェルあたりが上に乗っかってきたらどうしようもあるまい?我々が少しでも楽をする為だ、少しくらい手を貸してくれてもバチはあたるまいて」
「・・・はぁ」
曖昧に頷く。とんでもないことになってしまった、とヤンは頭を抱えたい心境ではあった。
ヤンが養蜂業者の楽隠居と化したかつての恩師と連絡を取ったのは、その翌日だった。彼が寝ないで策を練るなど、実は珍しいことだった。
「やはり君か」
開口一番、シトレはそう言った。ヤンは頭を掻くしかない。
「昨日ビュコック翁から連絡があったとき、そんなことを言っていたからな。次は君しかいないと思っていたよ」
存外機嫌が良さそうだ、とヤンは取りあえず胸をなで下ろす。
「それでしたら話は早いのですが・・・」
「断わる」
言い終わらないうちにダメ出し。ヤンは途方に暮れそうになる感情をなんとか抑える。
「いえ、ですから最後まで話を・・・」
「私に現役に復帰しろ、と言うのだろう?断る」
あぁ、やはりだ。仕方がない。
ヤンは心の中で手を合わせた。校長、済みません。こういうロジックは嫌いなのですが、もう他に手がありません。
彼はビュコックが示唆し、昨夜寝ないで作戦立案に付き合ってくれたフレデリカが構想した作戦を展開することにした。
「・・・校長、あなたは以前こうおっしゃいましたよね」
シトレの声が途切れる。
「能力のある者がその責任を果たさないのは怠惰なことだ、と。私にイゼルローン攻略を命じられたとき、そうおっしゃいましたよね」
「・・・む」
「そしてこうもおっしゃいました・・・君なら出来ると信じている、と。私も信じています、あなたにならできる、と」
しばしの無言。
ヤンは冷や汗をかきながら、声の続きを待つ。
しばらくして、くぐもった笑い声が聞こえてきた。
「・・・閣下?」
「・・・入れ知恵をしたのは誰かね」
「は?」
「君はその手の説得法は嫌いな筈だ。それでも敢えてそう言えと仕向けたのは誰だ?ビュコック翁か?」
「いえ・・・えっと、それは・・・小官の副官で・・・」
「・・・あぁ、グリーンヒルの娘さんか。なるほどな」
くぐもった笑いは、いまや苦笑混じりの哄笑になっていた。
「分かった、そう言われれば断りようが無い。引き受けよう・・・ただし三つ、条件がある」
「はい」
三つ、というのが腑に落ちない。二つの見当ならついているのだが。
「第一に、ビュコック翁と君が強力に推薦している、ということにして貰わなければならん」
予想通りだ。まぁ当然だろうな。
「分かっています」
「第二に、私が君に何をさせようと文句を言わないことだ。気にくわないからと言って退役して年金生活、というのは諦めて貰うぞ」
やれやれ、やはりそう来たか。
「・・・まぁ、仕方がないでしょう」
「そして第三。君らの結婚式には私を真っ先に呼ぶように」
「・・・は?」
完全な不意打ちだった。ヤンは目を白黒させ、ようやくシトレの真意に気づく。
「ちょ、ちょっと待ってください校長!」
「いいや、聞く耳持たんよヤン生徒」
おかしそうに笑う。ヤンも苦笑するしかない。
ややあって、シトレは言った。真剣そのものの声色で。
「・・・ともあれ、やるからにはベストは尽くす。君も私を全力で支えてくれ。期待している」
「・・・ご期待に沿います」
敬礼。私服姿のシトレも、かつてのように悠然と答礼した。
シドニー・シトレ退役元帥が現役復帰願いを提出したのはその二日後の事だった。
ヤンとビュコックの強力な支持がメディアを通じて流布されると、民衆は熱狂的に彼を迎えた。
・・・これでいいのだろうか?どう思う、グリーンヒル?
困惑とかすかな絶望を感じながら、シトレはその光景を眺めていた。
シトレの心情とか、いい感じと思います。
ちなみに、シトレが新米士官当時、ビュコックが下士官として彼を補佐していた
そうで。相当な古馴染みなんですね。原作の外伝に有ったと思うのですが。
そこらに触れた記述も、少しで結構ですので、出来ましたら。
あと、「チェン大将」は、チュン・ウー・チェンのことで宜しいのでしょうか?
(ちなみにこの人は、田中先生によりますと、「チュン・ウー」が苗字だそう
です。漢字で書くと「淳于 建」)
彼は、原作では、ラグナロック作戦当時、士官学校教授から抜擢されて副参謀
長になり、当時の総参謀長のリタイアで更に昇格と昇進(中将、出撃前に大将)
をした人でした。
「チェン大将」がチュン・ウーでしたら、この人の抜擢と昇進も、原作より早
くになった訳ですね。
そこら辺のフォローもお願い致します。
…ロボスも復帰してきたらワラえますな。
>684
では訂正しよう。「政治屋」どもが「自己の権益」を優先するんだから、そんなこたぁやるはずがない。
これでどうだ?満足してくれたかい?
フォロー多謝です。
>ビュコックとシトレ
直接書いてはいませんが、念頭に置いてはいます。ですからこの説得工作は、ヤンだけではなくビュコックも必要だと思いました。
余談ですが、軍隊では「新品少尉と、彼にはじめて付いた古参下士官」の関係というのは特別なもので、そうした下士官の事を士官は決して忘れないそうです。
ビュコックとシトレもそういう信頼関係にあるのでしょう。
>チュンだかチェンだか
これは失敗でした。淳于姓だったんですね。三国志に登場する人物にもいる、割合古い姓のようです。
そういうことで、先の「チェン大将」は「チュン・ウー大将」に訂正します。
彼が既に大将という記述もミスです。次で改めて書きますので、読み流しておいてください。
現役復帰したシトレ元帥は、当日付で統合作戦本部長への就任を発令された。
辞令を伝達するトリューニヒトはいつものように過剰なまでに紳士的で爽やかな笑顔を作っていたが、その彼の心情たるや想像するに難くはなかろう。
しかし、ともかくはシトレ新体制の下で軍は再編されることとなったのだ。
まず彼の仕事は、彼を支えるスタッフと実戦指揮官達の選任だった。
彼は就任の翌日、ビュコックを連れてこれまた隠退生活を決め込んでいたクブルスリー退役大将の元を訪れ、出馬を要請した。
もとよりトリューニヒト派の専横ぶりに嫌気がさして退役した人物であり、シトレ自身も復帰組ということもあってもめることもなく快諾、統合作戦本部次長への就任が決まった。
少数精鋭・家族主義を旨とすることとしたシトレは他のスタッフも出来る限り兼任で片づける事とした。後方勤務本部長にはキャゼルヌに就任を打診しようとしたものの、何か思うところもあったのか諦めている。
三日後、発令された主要ポストはこうなっていた。
>チュンだかチェンだか
いえいえ。こちらは失敗とは言いがたいです。公表されているデータではないですから。
ソースは、「私がSF大会で直接」ですので。
統合作戦本部長:シトレ元帥
同次長兼後方勤務本部長:クブルスリー大将
作戦部長:チュン・ウー大将
情報部長兼本部長主席副官:マリネスク中将
宇宙艦隊司令長官兼第5艦隊司令:ビュコック大将
第1艦隊司令:アル・サレム中将
第3艦隊司令:パエッタ中将
アル・サレム提督はアムリッツァで重傷を負って退役していたところを引きずり出してきたものだが、どうせ第1艦隊などあって無いようなものなのでそれでいい、とシトレは考えていた。
チュン・ウー大将は士官学校の教官をしていた縁でシトレに引っ張り出されたものらしいが、この冴えない男のどこがどう使い物になるのか、訝しむ者も多かった。
イゼルローンにも異変が起きている。
ヤンの元帥昇進は見送りとはなったが、イゼルローン方面軍総司令官として回廊方面の全権を掌握する事となった。格としては宇宙艦隊司令長官と同格である。
その下にはイゼルローンとガイエスブルグの二要塞、そして数個の艦隊が付く。ちなみにガイエスブルグはすぐに改名され、フリートマーシャルズ要塞と呼ばれるようになった。
アムリッツァ戦役で戦死したウランフ、ボロディン、ルフェーブル、アップルトンの四元帥(戦死して元帥号を追贈されたのだ)を記念したものということだった。
イゼルローン要塞司令官はキャゼルヌ。フリートマーシャルズ要塞の司令官はヤンが兼任、軍属待遇のままメルカッツが代行することとなった。
方面軍麾下の艦隊は二桁の艦隊番号が振られる事となり、第11艦隊から第14艦隊の四コ艦隊が編成された。
第11艦隊、司令官アッテンボロー中将。旗艦トリグラフ。兵力7000。
第12艦隊、司令官ファーレンハイト中将。旗艦アースグリム、兵力5000。
第13艦隊、司令官フィッシャー中将。旗艦アガートラム、兵力5000。
第14艦隊、司令官モートン中将。旗艦アキレウス、兵力6000。
そしてヤンが手元に置いて運用する要塞機動艦隊が8000。旗艦は当然の如くヒューベリオン。
しめて30000余が、イゼルローン回廊の支配者たるヤン・ウェンリーの手駒だった。
>フリートマーシャルズ要塞
うわ、なんか語感わるっ……
どうでもいいなら、適当な少将かだれか昇進させればいいと思うんだが>1F
怪我人よりかはいいだろ。
あと、軍属じゃなくて客員待遇だと思うんだけど、これだけ大規模な組織改変やっといて
正規の人員を任命しないの?
>うわ、なんか語感わるっ……
いやなに、「ドライ・グロスアドミラルスブルグ要塞」よりはマシじゃんって・・・w
>これだけ大規模な組織改変やっといて正規の人員を任命しないの?
後で書こうと思ってましたが、「回廊のことはヤンにお任せ」というのがシトレの基本スタンスです。
うまくいっているものを下手にいじらなくてもいいだろう、と。イゼルローン方面の事は、ヤンのやったことを追認していく形になるでしょう。
第1艦隊はほとんど書類の上だけの存在です。原作中の第1艦隊にほぼ相当するのがパエッタの第3艦隊です。
それだったらメルカッツを正規に任命しる。
つか、恒常的運用のためには激しくまずいんじゃないの?
>708
>昨夜寝ないで作戦立案に付き合ってくれた
フレデリカたん、ハァハァ
>716
ランテマリオに際してモートン、カールセン両提督が第14,15艦隊を指揮した故事に習えば、
14〜17艦隊が新設されるような気がするが……。
5000隻で1個艦隊も少なすぎる。第13艦隊創設時の故事にならえば、6400隻は半個艦隊で、
司令官は少将のヤンが任命されている。あとアラルコン少将、グエン少将は?
同盟本土の艦隊については、ランテマリオ会戦直前において35000隻揃えているんで、
(あ、ヤンが5000隻多く回廊に連れていってるんで、残りは3万隻か)
まあ数だけは3個艦隊を名乗ってもいいと思うが、第一艦隊は首都防衛の伝統があるんで、
名目だけの存在にはしないんじゃないかな。
個人的にはモートンを回廊から戻して中将に昇進させ、第3艦隊を与えた方が無難だと思う。
>264さん
難癖つけてる様に聞こえたらスマソ。そんな気はありませんので。
細かいツッコミはあまり気にしないで、ストーリーを進める方を優先して下さい。
>>717 >うわ、なんか語感わるっ……
いや、このセンスの悪さが同盟らしくていいのでは(w)
トリューニヒト要塞よりは、ずっとマシ(w)
第3艦隊司令官に再任されたパエッタ中将と言えば、かつては「強面のパエッタ」と言われた歴戦の勇将である。
アスターテで重傷を負って後療養生活に入り、復帰して第1艦隊の司令官をしていたが、このたびの異動となったものだ。
しかし異動とは言っても、旗艦以下艦艇のほとんどは彼と共に第1艦隊から第3艦隊に転籍され、新造艦の補充も行われた結果第3艦隊は定数通り18000隻を数え、一方第1艦隊は「編成中」と書類に書いてあるだけの存在と成り果てていた。
いったいどういうつもりなのだろう。改めてシトレの呼び出しを受けるまで、彼の頭の中には疑念が渦巻いているだけだった。
シトレは単刀直入に言った。
「貴官と第3艦隊はイゼルローンに駐留して貰いたい」
「はぁ?」
素早く計算する。第3艦隊まで繰り出せば、回廊には5万近い兵力が張り付く事になる。
「しかし、それでは・・・」
「ハイネセンには第1、第5両艦隊が残る事になる。十分だ」
「しかし第1艦隊は・・・」
「編成中、だ。つまりいつかは編成が終わる。存在していることに替わりはない」
目茶苦茶だ、とパエッタは思った。しかし納得もできるような気がした。つまりはそういう強弁をするつもりで、この編成換えをしたのだろう。
更にシトレは続ける。
「それに貴官でなければならない理由もあってな」
そう言うと、シトレは皮肉気に笑った。
「率直に応えて欲しい。貴官はヤンをどう思う」
「・・・どういう意味ですか」
「聞いたままの意味だ。ヤンをどう思ってきた?そして今はどう思う?」
パエッタは首を捻りながらも、率直に答えてみることにする。
「・・・現在では尊敬すべき指揮官だと考えています。アスターテでは命まで救われました」
「そうだな。しかしかつてはいけ好かない男だと思っていた訳だ」
「・・・否定はしません」
「そうだ、それでいい」
とシトレ。パエッタは首を傾げる。
「君は艦隊司令官クラスではトリューニヒト派に近いと思われている唯一の人物だ」
「・・・」
「君が回廊に行けば、軍閥化を恐れるハイネセンポリスの政治家諸君の不安を和らげることもできるだろう」
「・・・私がお目付役をするのですか?それは・・・」
「そうだな。今の君なら、ヤンを掣肘するよりその指揮に従う方を選ぶだろう。しかし政治家達はそうは思わない」
あっ、とようやくパエッタは得心した。そういうことか。
「私ならトリューニヒト派も納得し、ヤンの足手まといにもならない、と」
「そういうことだ。ロックウェルあたりを軍監に派遣でもされたらたまったものではない」
大きく頷くと、パエッタは元帥にむけ敬礼した。
「納得がいきました。喜んで赴任します・・・小官としても、ヤンに借りを返す機会ができて喜ばしくあります」
「若いものに、我ら年寄りの意地を見せてやってくれ」
ニヤリと笑い、シトレも答礼する。
パエッタ率いる第3艦隊のイゼルローン駐留は、当初悪いニュースとしてヤン一党に受け止められた。
「あのガミガミ親父が来るんじゃ、好き勝手もできんぞ」
というポプラン氏の慨嘆に代表される感想を誰もが持ったものである。
しかし二週間後、イゼルローンに現れたパエッタは彼らの印象を大きく裏切った。イゼルローン方面軍の各艦隊の編成を知らされると、第3艦隊から兵力を裂いて各艦隊を補強するよう申し出たのである。
「私は外様だ。今のところうまくいっているのだから、ここの流儀に従おうと思う」
元部下で今は上官になってしまった「若き英雄」に、彼は悪びれることもなく堂々とそう言い切った。
「しかし、それでは・・・」
「この戦区の全権は貴官にある。私はその指示に従うまでだ」
そして彼は自らの司令部をフリートアドミラルズ要塞に置く事を宣言した。彼なりの配慮らしかった。
しかし彼は別に「強面パエッタ」「ガミガミ親父」を廃業したつもりはないようだった。
「戦力には限界がある。補充兵力にも限りはある。しかし訓練に限りはない。練度こそが我らの寄って立つ所以である」
彼はそう唱え、ことあるごとに厳しい演習を行った。自らの艦隊だけではなく、度々ヤンの司令部に顔を出しては共同演習を要請する。
いつしか彼は「教官」の渾名を奉られるようになっていった。ただ厳しく激しいだけでなく、ヤンやフィッシャーの意見も取り入れ回廊の地勢を最大限生かす訓練計画による演習は、知らず知らずのうちに彼らを精鋭に仕立て上げていった。
さて、話は少し戻る。
ケンプ大将とトゥルナイゼン少将が戦死、艦隊は全滅、要塞まで奪われるという考え得る限り最悪の結果となった遠征は、キルヒアイス艦隊のオーディン帰還で取りあえず幕となった。
さすがのラインハルトも出迎える気がしなかったのか、軍港にはミッターマイヤーとケスラーの二人だけが一行を出迎えに出ていた。
「報告を受けた時の元帥閣下のお怒りは、それはもう凄まじかった」
キルヒアイスからの報告を受けた時までは彼は冷静さを保っていたらしいが、しかし通信が切れるや一時間ほど荒れ狂っていたらしい。
ミッターマイヤーが落ち着かせようと試みたが果たせず、オーベルシュタインでは話にならず、たまたまキルヒアイスの様子を聞きにアンネローゼが元帥府を訪ねてきたおかげでようやく収まったのだとか。
「・・・シャフトは自殺したと聞いたが」
「自殺というより自殺強要だな、あれは」
作戦を思いついたシャフト技術大将は要塞が奪われた旨報告が入った翌日に自殺していた。裏で何があったのか、分かったものではない。
「オーベルシュタインも謹慎だそうだ。ビッテンフェルトあたりは大喜びしているそうだがな」
「ほう、それは初耳だ」
「話によると辞表を提出したらしい。どう処断するかは分からんが、ここの所あの男の発言力は低下しているしな」
とミッターマイヤー。ロイエンタールは肩をすくめた。
「・・・私は誤ったのでしょうか?」
キルヒアイスがうつむき、小声で呟く。慌ててミッターマイヤーが彼の肩を叩いた。
「何を言っているのですか、あなたの判断は間違ってはいない。あの態勢から戦端を開けば、被害はなお大きくなったでしょう」
「ミッターマイヤーの言うとおりだ・・・あなたの判断は正しい。それはあの場にいた私が一番良く知っています」
「・・・そうですか。それならいいのですが・・・」
元帥府で彼らを迎えた金髪の独裁者は、簡単な報告を聞くと彼らの労をねぎらい、杯を挙げて戦死した将兵に黙祷してみせた。
叱責を予想していた彼らにしてみれば意外ではあった。簡単な会食の間も、ラインハルトは上機嫌ではないものの普段通りの対応を見せていた。
そして夜になり、一行に解散を宣すると、ラインハルトはキルヒアイスだけに残るように命じた。
「・・・キルヒアイス」
「はい、ラインハルト様」
「姉上に随分怒られた」
苦笑混じりにキルヒアイスを見つめる彼の視線は、親友に対するものに戻っていた。
「ケンプやシャフトを批判するのは筋違いだろう、とな。あんなに怒られたのは久しぶりだ。あの時も、俺を叱りはされなかったのにな」
アンネローゼという女性は、本当はただ単に穏和なだけではない。幼い頃は、ともすればトラブルばかり起こす弟をよく叱り飛ばしていたものだ。
何となくその頃のことを思い出したキルヒアイスは、なだめるように頷いた。
「それは大変でしたね」
「全くだ。お前が横にいてくれないものだから、楯にするものがなくて困ったぞ」
そう言うと、ラインハルトは上物のワインボトルを取りだした。
「姉上から、お前が戻ったら出してやれ、とな。最近姉上はお前の心配ばかりしている」
従卒につまみの軽食を用意させると、ラインハルトは元帥用のマントを放り出した。
「・・・それでどうだ。ヤン・ウェンリーの様子は」
「はい、完全にガイエスブルグも掌握している様子でした。正直、あれでは手が出せません」
「だろうな。イゼルローンだけでも手を焼く所を、ガイエスブルグまで使われては・・・ロイエンタールではないが、十万の大軍を以てしても容易には抜けまい」
「しかし彼らも疲弊の極みにあります。こちらに手を出してくる事もあり得ないでしょう」
「確かにそうだ」
ワイングラスを手に取ると、彼は赤毛の友人を眺めた。
「姉上にも言われた。もはや皇帝すら凌駕する力も手にしたのだし、無理に戦争を続けなくてもいいのではないか、とな」
「・・・アンネローゼ様が?」
意外だった。あの聡明な女性が、わざわざそこまで口にするとは。
「・・・意外です、あのお方がそう言うことに口を挟まれるのは」
「俺も意外だった。だが、しばらく考えていると、どうも思い当たる節が無くはない」
ラインハルトは悪戯っぽく笑うと、手づからワインをグラスに注ぐ。
「・・・姉上はうんざりされたのだろう。出征したお前の身を案じながら帰りを待ち続ける事に」
キルヒアイスの手が止まる。いや、全身が硬直していた。
次第に顔が赤くなっていく。その様子を、ラインハルトは愉快そうに見つめている。
「・・・お戯れを、ラインハルト様」
「冗談など言ってはいないぞ。いくら鈍い俺でもいい加減理解しようというものだ」
身を乗り出す。赤毛の友人の前髪を指に絡め、さも秘中の秘のように、ラインハルトは囁いた。
「・・・で、どうだ。俺は、姉上を託すに足る人間は、この宇宙にお前しかいないと思うのだが、キルヒアイス」
「・・・!」
狼狽したキルヒアイスは慌てて身を引こうとしたが、髪の毛を引っ張られている状況では如何ともしがたい。
「し、し、しかしラインハルト様、こ、こういうことは、その、相手方の意向というものも・・・」
「だったら何の問題も無いじゃないか。姉上は間違いなく、お前を愛しておられる」
「・・・!!」
それから何がどうなったのか、キルヒアイスはどうしても思い出すことができない。
翌朝気が付いてみると、彼自身はグラスを片手にテーブルに突っ伏していた。
友人にして主君たる金髪の青年は、その足元に転がって寝息を立てていた。
いい流れだなぁ。
でも、これはみんなハッピー(フェザーン・地球教一党を除く)ラストへの道程なのか、
キルヒーアボーンのフラグなのか…。
結果として講和がなされるのはいいが、ラグナロククラスの大規模作戦で雌雄を決し
ないと銀英伝らしくない。
とりあえず、Jr誕生まではキルヒー生かしておいてほしい。
>>264殿
/⌒ヽ お疲れ様です。
/ ´_ゝ`) まぁ一休みしてお茶でもどうぞ。
| /
と__)__) 旦
「閣下」
ノックもせずに、すべるように入室してきたのはベイだ。
トリューニヒトはいかにも不愉快そうな顔をしてみせたが、
この厚顔な男はそれに動じたそぶりはみせない。
以前、クーデター派の中から情報をよこした功績で将官にまでのぼったが、
それ以来、彼の役にたっているわけではない。そろそろ潮時かもしれない。
「新要塞に潜入させた部下から、報告がありました。やはりヤンは要塞の機能について
報告をふせていたようです」
ベイはトリュー二ヒトのそばに寄り、顔を近づけていった。彼の体臭がのぼってくる。
さらに不愉快だった。だが、その言葉は、離れることのできないものだった。
「部下の報告によれば」
ベイは言葉を切った。一呼吸おいて続ける。
「要塞はロボットに変形します」
一刻の猶予もならなかった。顔のデザインを、ヨブ・トリューニヒトのそれに
変えるべきであった。
731 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/08 22:21
264さんお疲れ様です。
ラインハルト、よく姉上を渡す気になったな・・・・w
お疲れです。
パエッタ中将の活躍はイイ!!どんどんさせて欲しいです。
原作では不遇すぎですから。
アイランズの「覚醒」も早めて欲しいですね。
その後数日は何事もなく過ぎていった。キルヒアイスは安堵とそこはかとない失望を感じながら日々を過ごしていた。
しかし彼は知らなかった。ラインハルト・フォン・ローエングラム一世一代の策謀が彼を絡め取りつつあったことを。
政略面での参謀がオーベルシュタイン上級大将だったように、この件に関してもラインハルトには参謀が存在した。
宮廷一の女傑と噂されるヴェスパトーレ男爵夫人マグダレーナその人である。
アンネローゼの親友であり数少ない庇護者だったこの美しく聡明な女性は、どうもかねてより全てお見通しだったらしい。銀河最高の軍事能力を誇るローエングラム元帥府でも、ことこういう話題になると彼女の前では子供同然である(約一名例外がいるが)。
瀕死のキルヒアイスを献身的に看護するアンネローゼの姿に、彼女は今こそ行動を起こす時だと判断した。そして元帥府の門をくぐったのである。
もちろん当初ラインハルトはいい顔をしなかった。いや、困惑したと言うべきだろう。戦争と政治以外のことにはてんで疎い彼は、そこまで考えたことも無かった。
しかしマグダレーナは説きに説いた。相思相愛の二人が結ばれないのは罪悪だ、と。
「おそれながら元帥閣下、あなたのその態度そのものが二人を隔てているのです。ああいう気配り優先の二人であればこそ、誰かが背中を押してやらねば」
ラインハルトの人生において、ある意味これほど迫力のある説得というものも無かったろう。彼にしては本当に珍しく、完全に貫禄負けである。
「し、しかし男爵夫人、そういうことであれば百戦錬磨の貴女が適任でしょう」
「あなたでなければならないんです、閣下!」
チェックメイト。ラインハルトは俯き、そして決意した。そういう責任くらい取らなければならないのかも、と。
「・・・分かりました。しかし私はそういう事に関しては全く疎い。ここは貴女に教えを請いたいものだが、よろしいか」
「もちろんですわ。銀河最高の名将に手練手管を指南できるなど、身に余る光栄です」
男爵夫人は優雅に微笑んだ。
キルヒアイスが幸せなのは良い事だ。
ただこの流れだとラインハルト自身がヒルダと結婚するキッカケがなくなるね。
原作では恋愛感情とは無縁・・・ではないにしろ疎遠だった2人だし。
まぁ、その辺りはどうとでも繕える話だろう。
幸せそうなキルヒアイス夫妻を前に嬉しさ半分疎外感半分のラインハルトをヒルダが慰めて云々でも別に問題ない。
「閣下。どうなさったのですか?今日はキルヒアイス提督や姉上様とお出かけのご予定だったのではなかったのですか?」
元帥府の広い廊下で金髪の青年を見かけたヒルダが意外そうに声をかける。
ラインハルトは門限破りを見つかった士官学校の生徒の様にバツの悪い表情を浮かべ、彼にしては珍しく歯切れの悪い口調でモゴモゴと事情を説明する。
「いや、私が居ると2人の邪魔になるのではないかと思ってな・・・」
「だからと言ってお休みの日に元帥府に来られる事もないと存じますが」
書類の整理に来た自分自身の事は棚に上げて、そう言って苦笑するヒルダ。
ラインハルトは自らの無趣味を恥じ入るように頬を紅潮させる。
「休日を一人で過ごすなど久しくなかったのでな。何をして時間を過ごせば良いのかわからないのだ」
取り合えず元帥府にやって来たと言うだけで、実際の所、急いで処理しなければならないような事項は特に無い。
勿論、探せば一日潰せる程度の仕事はあるだろうが、今のラインハルトでは碌な判断が出来るとも思えずヒルダは、後日の訂正の手間を省く為にもラインハルトに他の時間の潰し方を提供する必要性を認め、思案気に眉を寄せた。
急に黙り込んだヒルダを訝し気に覗き込むラインハルト。
相手を馬鹿にするような女性ではないとわかっては居るが、何やら自分の恥ずかしいところを見られたようで落ち着かない。
そもそも、ヒルダにそこまで説明する必要はなかったのだな。と思いもしたが後の祭りである。
「そう言えば、先日、処理致しました図書館の件ですが・・・」
「ん?あぁ、貴族どもが読みもしないのに抱えていた蔵書を皆が閲覧できるように新しく新設した図書館の事か」
「はい。その図書館が先日無事に一般公開を始める事が敵いまして、館長より是非閣下の行幸を仰ぎたいとの依頼を受けておりました。足をお運びいただければ館長も喜びましょう」
「ふむ・・・」
元帥府に居ても何もする気になれないであろう事は自分でもわかっているので、ヒルダの提案には抗しがたい魅力を感じる。
ただ無為に時間を浪費する位なら図書館で戦術書や歴史書を紐解いていたほうがよほど有意義であろう。
「そうだな。これから行ってみるとしよう」
踵を返し早速図書館に向かおうと歩を進めていたラインハルトが不意に足を止め振り向く。
浮かべていた苦笑混じりの微笑みを慌てて真面目な表情に取り繕いながら、ヒルダが「なにか?」と尋ねる。
「いや、良かったらフロイラインも一緒に行かないか?折角の休日を一日中元帥府で過ごす事もあるまい」
これはデートに誘われているのかしらと一瞬動揺したものの、恐らく閲覧した図書に関して会話を交わす事の出来る相手を欲しているのだろうと思い直す。
「わかりました、ご一緒させていただきます。すぐに用意致しますので少し待っていて頂けますか?」
「うむ。では表の車で待っている」
そそくさと行ってしまうラインハルトの背中を見送るヒルダは、昨日まで尊敬が九割を占めていた親愛の気持ちに別の感情が少なからず混ざってしまった事を自覚していた。
って感じですか?
取り合えず今思いつきで考えて勢いで書いちゃっただけなんで見苦しいと思った方は無視してくださいね。
そう言えば264さんのお話ってヒルダはまだ出てきてなかったですよね?
数日後、策謀は最終段階に入っていた。
キルヒアイスに任せていては全く埒があかないと判断したラインハルトとマグダレーナは、ミッターマイヤ上級大将夫人エヴァンゼリンの協力も仰いでアンネローゼの意思を確認した。
急な話に驚いた彼女だったが、友人の親身の説得と予想外に積極的な弟の態度に、ようやく頷いた。
「・・・ですがラインハルト、わたくしが本当にジークと釣り合うのでしょうか?わたくしはもう、汚れた身ですから・・・」
「何をおっしゃいます、姉上っ!」
彼がこれほど血相を変えて姉に食って掛かったことは今までに無かったことだったろう。
「キルヒアイスが姉上以外の女性など眼中にないことくらいお分かりでしょうに!それにキルヒアイスがそんなことを気に掛けるほど了見の狭い男だと本気でお考えですか?それは彼に対する侮辱ではありませんか?」
「・・・ラインハルト・・・」
アンネローゼは、握りしめられた弟の拳にそっと手を重ねると、愛おしげに撫でた。
「・・・すっかり大人になっていたのですね。わたくしが間違っていました」
「姉上・・・」
「ええ、わたくしはジークを愛しています。彼がわたくしを受け入れてくれるのなら、何を躊躇う必要があるでしょう」
何度も頷くラインハルト。マグダレーナとエヴァンゼリンは、そっと視線を合わせて微笑した。
翌日、アンネローゼはキルヒアイスを私邸に招いた。珍しいことに、弟にお呼びは掛かっていない。
その日に何が起きたのか、わざわざ書き記す必要は無いだろう。
その更に翌日。ジークフリード・キルヒアイス元帥は、緊張した面持ちでローエングラム元帥府を訪れた。
既に用件を察していラインハルトは人払いを命じ、ただ一人腹心にして親友に対した。
「・・・」
かつて無いほど緊張しきっているキルヒアイスを、ラインハルトは優しい視線で見つめている。
「・・・ラ、ラ、ラインハルト様」
「何だ、キルヒアイス」
「そ、そ、その・・・あ、あ・・・」
「どうしたんだキルヒアイス、いつものお前らしくないじゃないか」
「あ・・・はい、申し訳ありません」
慌てて頭を何度も下げるキルヒアイス。とうとうラインハルトは笑いだし、固まっている親友の肩を叩いた。
「落ち着け。私を相手にそんなに緊張することはあるまい?」
「・・・はい」
大きく息を吸い込む。キルヒアイスは姿勢を正すと眼を閉じ、そのまま一気に言い切った。
「ラインハルト様、アンネローゼ様と私の結婚をお許し下さい!」
静寂。ラインハルトは無言で、もう一度キルヒアイスの肩を叩いた。
「俺はお前を義兄上と呼ばねばならんのかな?」
「・・・えっ」
「いや、それは無いな。キルヒアイスはキルヒアイスだ」
手を離す。ラインハルトは満面の笑顔で、大きく頷いた。
「俺が許すも許さないも無いことじゃないか?だが式は盛大にやろう。帝国史上最も壮麗で美しい結婚式にしなければな」
「で、では・・・」
「あぁ、姉上を宜しく頼む、キルヒアイス」
ジークフリード・キルヒアイス元帥とアンネローゼ・フォン・グリューネワルト伯爵夫人の婚約が発表されたのはその翌日だった。
帝国内は歓呼と賛嘆の声に包まれた。花嫁がかつて皇帝の寵姫だったことを気にする者など、ほとんど存在しなかった。
数日後。謹慎中の身だったパウル・フォン・オーベルシュタイン上級大将は、前もって伺候したい旨連絡した上で元帥府を訪れた。
ここ数日かつて無いほど上機嫌だった元帥府の主は、突然の来訪に怪訝な顔をしながらも引見する旨告げた。
「なに?退役したい?」
突然の申し出に、ラインハルトは眼をむいた。義眼の参謀長は、黙って頷く。
「何が気に入らぬのだ。謹慎の期日ももう数日も残ってはおらぬではないか」
「気に入らないのではありません。もはや帝国に、私のやるべき事は無いと考えたまでです」
「やる事が・・・無い?」
「はい」
オーベルシュタインは聞き取りにくい低い声で、しかしはっきりと言った。
・・・自分はゴールデンバウム王朝とそれに付随する全てを滅ぼそうと考えてきたこと。それがラインハルトの手で一応達成されつつあること。キルヒアイスらの存在があれば、もはや自分のいる意味はないと考えたこと。
ラインハルトは、この冷徹な男でも拗ねる事があるのかと思った。しかし、内実はそうでもないようだった。
「私はかつて申し上げました。光には陰が伴う、と。ですが、光ばかりの道を歩む覇者がいても良いのではないか、とも最近思うのです」
「・・・」
「あなたは光の中を歩まれるのが宜しいでしょう。しかし、その近くに私が立っている余地はありません」
「・・・退役して、それからどうするのだ」
「それは・・・」
結局ラインハルトはこの謀将の退役を裁可した。この件に関しては、彼はキルヒアイスにすら内実を打ち明けなかった。
ただ、この後元帥府でオーベルシュタインを話題にする事を禁じる布告を出している。
また、彼が残した様々な計画書の類は後任の参謀長に任命されたロイエンタールに委ねられることとなる。
そしてその一週間後、オーベルシュタイン退役上級大将の姿はオーディンから忽然と消えた。
>>739 あれですか?
図書館で本を取ろうと偶然、ふたりの手が重なってしまうとか、上の方の本を取ろうとし
てよろけたヒルダをラインハルトが抱きとめるとか、あるワケですな。基本、基本。
>738
うまいですな。原作のヒルダよりよほど魅力的な気がするのはどういうことでしょうw
いや、なんかこのヒルダ、フレデリカが中の人なのでは・・・(射殺
おぉう。書き逃げして行ったので気付かなかったけれども、ご本人と被ってしまってるじゃないか。
>>743-744 恐縮です。お目汚しスマソ。
SS作家の皆さんとてもうまいですね
まるで原作を読んでいるようです。
オベタン退場かぁ、もしかしたら忘れたころに見せ場が
748 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/09 21:12
マグダレーナファン?の私としては再登場うれしいです。原作では、いつのまに
か消えた一人でしたもんね。アニメでは若干長く(特に外伝)いてましたが。
アンネローゼの友人なんだから、キルヒアイスの死後でも、彼女とは親交あって
もよさそうなのに。
749 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/09 21:12
マグダレーナファン?の私としては再登場うれしいです。原作では、いつのまに
か消えた一人でしたもんね。アニメでは若干長く(特に外伝)いてましたが。
アンネローゼの友人なんだから、キルヒアイスの死後でも、彼女とは親交あって
もよさそうなのに。
このペースですと、ルビに講和の仲介をさせて、フェザーンに「銀河連合」
本部でも設置すれば、もう大団円ですな。
で、帝国領の辺境の某惑星では、さる筋からのたれ込みにより、サイオキシ
ン麻薬の密売の咎で某宗教結社が一斉摘発を食らって壊滅し、人類の大半は
それを気にも留めませんでしたとさ、と。
さぁご都合主義とでも何とでも呼んでくれw
-------------------------------------------
一隻の小型連絡艇がイゼルローン回廊入り口で拿捕されたのはその一週間後の事だった。
中には二人の男と一匹の犬が乗っていた。パウル・フォン・オーベルシュタイン氏、アントン・フェルナー氏、そしてオーベルシュタインの愛犬である。
・・・今度という今度は極めつきだぞ。
ヤンは間の悪さと運の悪さに目眩すら覚えながら義眼の男の向かいに座っている。傍らには、いつでもヤンをかばえる態勢にあるシェーンコップが控えている。
尋問室。オーベルシュタインは私服を着ていた。全く動ずる気配もなく、魔術師と呼ばれる男を眺めている。
「・・・亡命を希望している、と取って良いのか?」
「少し違う」
オーベルシュタインは視線を動かすことなくそう言った。
「私を買え、と言っている」
「あなたを買う?」
「そうだ。亡命と言うからには亡命先に何か魅力を感じているべきだろうが、私は自由惑星同盟というものに全く魅力を感じていない」
「・・・言っている意味が分かりかねるが」
「では言い換えるとしよう。私は、私の理念に近い銀河を実現させる為にここへ来た。自由惑星同盟を勝たせる為にではない」
「・・・」
「まず私にとって理想的だったのは、ラインハルト・フォン・ローエングラムをして銀河の覇者たらしめることだった」
淡々と、だがどこか懐かしそうに彼は言う。
「しかしその未来は消えた。彼は銀河を統一しようという積極的意志を持っていない。だがそれはそれで構わぬ。問題なのは」
ヤンに視線を向ける。義眼が異様な光を帯びる。
「彼をして銀河の統一に無理に駆り立てるような事態が起きることだ。彼にとって望ましい未来がねじ曲げられ、別の未来が取って代わる事だ」
「・・・それはローエングラム侯の為、なのか?」
「違う。彼にとって意に沿わぬ未来は、彼の精神の平衡をも損なうだろう。そうなるのは望ましくない」
「・・・つまり」
ヤンは思う。不思議な男だ、と。だが、その言わんとする所は少し見えたような気がしていた。
「銀河帝国の支配者として現在のローエングラム侯が存在するのは良いが、何かが起きて彼の精神が損なわれ、そうして壊れてしまった彼が帝国やこの同盟も支配するようになるのは避けたい、と?」
「さすがにミラクル・ヤン、理解が早い」
オーベルシュタインは陰鬱に笑った。
「今の彼であれば、安定した良き支配者となり得るだろう。だがあの人格は、一旦平衡を失えば際限なく戦いと流血を要求する」
「・・・」
「そうなってしまった彼が帝国を支配するのも、更に進んで全銀河の覇者となるのも、人類にとって不幸以外のなにものでもない」
この男。
ヤンは目眩が強くなるのを感じた。
この男、神の視点で物を見ているつもりなのか?
「故に、自由惑星同盟には彼と対等に手を携えるだけの国家になって貰わねばならない。その為に、私はここに来たのだ」
「・・・傲慢な・・・」
「そうか?現に民主主義こそ最良ではないにしても最良、などと言う割に、この国家は腐敗しきっているではないか」
「・・・面白い男だな、あんた」
いつの間にか微笑を浮かべていたシェーンコップが口を挟む。
「あんたの理想の世界を作るため、この同盟を自分の良いように操ろうとしているのか?」
「理想ではなく次善ではあるが」
全く表情を変えず、オーベルシュタインはそう言った。
753 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/09 22:30
おお、シェーンコップとオべのからみ、原作では幼少のみぎりに舌
だしただけ??? でしたが、確かに見て(読んで)みたい展開です。
また、フェルナーもきたなら、バクダッシュと話があったりして。
オーベルならトリューニヒトやルビンスキーとかを手玉にとってなんて
芸当も出来そうだな。障害物を一つずつ潰していくかな。
疲れた、とヤンは思った。
だが、嘆いてもいられない。
「私の考えでは、あの男は信頼できると思う。その気になればいくらでもあざとい策略を弄することもできる男だが、筋は通っているのではないかな」
亡命者の身の振り方の世話、というイレギュラーな仕事がすっかり馴染んでしまったキャゼルヌが、やれやれと肩をすくめる。
「で、奴さんはどうするんだ?ここの参謀でもして貰うのか?」
「いや、シトレ元帥にお任せしようと思う」
「おい・・・!」
「オーベルシュタインという人物、あれは前線に置いておくより首都で腕を振るわせた方がいいだろう。彼なら、シトレ元帥やビュコック提督をうまく守ってくれるのではないかな」
「おいおい」
ついにキャゼルヌは笑い出した。
「そりゃ軍にとっては好都合だろうさ。だが政府の横やりを防ぐ為だからってあんな妖怪じみた男をハイネセンに送るなんて、お前さんらしくもない策略じゃないか」
「私もそこは思わないでは無いんだけど」
ヤンは手を組むと、視線を伏せた。
「今の同盟の不幸は、政府が軍を信用していない・・・いや、信用していないどころか真剣に物事を考えていない点にあるのだと思う」
「それは同感だが・・・」
「政府は自己権力の維持しか考えていない。軍がそれの向こうを張る必要は無いし、シトレ元帥にもその気も無いとは思うんだが、しかし介入や横やりを防ぐだけでも手間だ」
「・・・オーベルシュタインならうまくやる、と?」
ヤンは頷く。
「多分ね。彼は同盟政府や民主主義には価値を見いだしていないかも知れないが、帝国の良きカウンターパート、人類社会の片翼としての同盟には意義があると考えていると思うんだ」
「だからこそ・・・か」
「そうだね。だからこそ、彼は同盟を守ろうとするだろう。ローエングラム侯のもと、かつてないほど開明的になった帝国、そのパートナーとしてね」
ヤンは軍というものを必要悪だと考えている。それは今も変わらない。
民主主義国家における軍は、政府の良き道具でなければならないと、そう思う。
だから軍が政府を掣肘したり、蔑ろにしたりすることは許されない。
「しかし、その枠の中で政府に助言し、忠告し、よりよい未来を目指す、そうする権利と義務くらいはあると思う」
だからオーベルシュタインをシトレ元帥のもとへ送ろう、とヤンは言った。
政治体制にも権力にも忠誠心を抱かない彼だからこそ、そうした危うい天秤の護り手には相応しいのだろう、と。
結局、オーベルシュタインとフェルナーはヤンからの紹介状を携え、ハイネセンに向かった。
かれが少将待遇で統合作戦本部情報部次長の役職を与えられたのは、その翌月の事だった。
オベ、あのまま退場かと思いましたが、面白い展開ですね。
でも上級大将だった彼なら、大将か、少なくともメルカッツ同様、中将待遇
でも良いと思いますが。
ところで、チュン・ウーとオベのコンビが成立しましたら、2人の性格的に
も、たいそうユカイな組み合わせと思うのですが、どうでしょうね。
チュン・ウーは、原作でビュコックの自殺を止めた際の口車を見ますと、意
外と政略のセンスの有る人みたいでしたし。
758 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 01:35
オベはシトレの命令をどうやってきくんだろ。
シトレ『トリュがこんな難題を出してきた。対処を頼む』
オベ『・・・御意』
同盟来ても御意とか言うのか??
759 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 01:38
ユリアン「オーベルシュタイン少将は紅茶でよろしいですか?」
オベ「・・・御意」
「『ミロ』は無いか?」
762 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 02:16
確か、ヴぇストパーレとヒルダは知り合いでしょ?
キルヒの件でキューピット役も楽しいと気付いた男爵夫人が
次に手を伸ばすのは。。。。。
>>762 アニメでは、ヒルダに釣り合う男の心当たりがあるとか何とか言ってたっけな。
764 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 08:48
264さん乙。お勤め(?)ご苦労様ですw
オーベルシュタインの亡命はご都合と言うか予想外な展開で新鮮な印象ですな。
ハイネセンでトリューニヒトと政争させてみたら面白いかも。
それにキルヒアイスが幸せ一杯なのがイイですね。原作では薄幸だったので、この話では最後まで幸せにしてあげて欲しいです。
後
>>738-739さんも乙です。
ヒルダもいい感じですけど、キルヒアイスたちに不器用な気の使い方をしているラインハルトもポイント高いと思います。
766 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 11:46
>>759 オーベルシュタイン元帥は紅茶でよろしかったですか?
私が紅茶好きに見えるのか?
てっきりコーヒーより紅茶好きかと・・・
そうか、紅茶好きに見えるのか・・・・
767 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/10 17:59
264氏
毎日楽しみにしております
これからも頑張って下さい
213 ◆IfKirKRfcAさんの続きはまだかなー
自覚しているところに追い討ちをかけるのもアレかと思うが……
やはりあまりに都合よすぎる展開かと。
キャラも変えられてしまってちと萎えた。
「七都市」で、或る都市から別の都市に気軽に移動し、そして他都市からの亡命
者が、軍などで、亡命直後に重用されるのが不自然でなく、珍しくないって書か
れ方をされていたのを思い出しましたよ。
もしもキルヒアイスが生きていたら>184バージョン
>234-237、>252-258、>334-340、>574-582続き
ラインハルトがオーディンに帰還したのは、秋晴れの空が抜けるように美しい日の午後
であった。
新たな帝国の支配者を、街の住人は怯えと好奇を含んだ視線で、兵士たちは熱烈な歓呼
を持って迎えた。リップシュタット戦役以前にオイゲン・リヒターとカール・ブラッケを
招聘したことで、すでにラインハルトの改革の姿勢は彼らに知れ渡っている。それを別に
しても、ラインハルトの強さはその半神的美貌と相まって、兵士たちに信仰と畏敬の念を
抱かせているのだった。
出迎えたキルヒアイスたち提督を、ラインハルトは笑顔でねぎらった。そのまま地上車
に乗って元帥府へと凱旋する。クッションの効いた豪華なシートに収まりながら、しかし、
ラインハルトは奇妙な居心地の悪さを感じていた。
原因はわかっていた。赤毛の青年が傍らにいないせいだ。
微かな苛立ちを押し殺しながら、シートにもたれかかり、ラインハルトは瞑目した。気
にしないことだ、すぐに慣れると自らに言い聞かせる。だが、それははたしていつになる
のか――。心裡の問いに明確な答えを見いだせないまま、元帥府に到着したラインハルト
であったが、そこには彼をさらに動揺させる出来事が待ち受けていた。
「――これはどういうことだ?」
手元の書類と、それを差しだしたオーベルシュタインの感情のない顔を見比べながら、
ラインハルトは怒るべきか笑うべきか、表情の選択に窮した。
「書類にあるとおりです、閣下。キルヒアイス上級大将を拘禁、審問する許可をいただき
たい」
後世、オーベルシュタインは妬心からキルヒアイスを陥れようとしたのだと評価される
ことがある。しかし、それは的はずれだといわざるを得ない。
告発書にはキルヒアイスが捕虜名簿に記載されていない兵士を匿っていること、その旨、
キルヒアイス自身も認めていること、ラインハルトに虚偽の報告をした疑いがあることな
ど、事実が淡々と述べられているに過ぎなかった。
だが、それこそがオーベルシュタインの厄介な点であった。いっそ讒言でも書かれてい
たならば、ラインハルトはそれを一笑に付して破り捨てることもできたのだが、義眼の提
督にはそのような隙さえなかったのである。
完全な正論で迫られれば、ラインハルトとしてもキルヒアイスの罪を認めないわけには
いかなかった。
「……しかし、捕虜名簿の記載漏れなど、あまりに軽微な罪ではないか。その程度で審問
とは――」
「閣下」
ラインハルトの反論を、オーベルシュタインは冷徹な声音で遮った。いつものラインハ
ルトならば無論、そのようなことは許さなかったであろう。だが、彼は元帥府に到着早々
与えられた動揺から、また立ち直れていなかった。
「記載漏れそのものが問題なのではありません。意図してそれを行い、閣下に対して虚偽
の報告をしたことが問題なのです。まして兵士の引き渡しまで拒むとあっては、二心を疑
われても仕方ありますまい」
「辺境の作戦行動はキルヒアイスに全権を委ねている。捕虜の取り扱いも当然そこに含ま
れる。何が問題だというのか」
「ただの捕虜ではありません。ヴェスターラントを知る兵士です」
まるでオーベルシュタインの言葉に打たれでもしたかのように、ラインハルトは顰め面
になった。
「閣下がヴェスターラントを後悔なさっていることはわかっております。ですが、あの時
にも申し上げたとおり、いまさら取り返しのつかないこと。事はすでに起こってしまった
のです。であるならば状況を最大限に活用することを考え、邪魔となる者は徹底的に排除
すべきでありましょう」
「今さら兵士一人の口を封じたところで、事実を隠しおおせるとは思わぬが」
ラインハルトの口に自嘲の笑みがのぼる。表立っては言わないが、部下の提督の中にも
うすうす真実に気づいているものが何人かいるようであった。
「完全に隠蔽することは不可能でしょう。だからといって小火を見逃して大火を招くのは
あまりに愚か」
不意にラインハルトはもう一人の兵士の存在を思い出した。今まで完全に失念していた
のは、迂闊として言いようがない。
「――我が軍に核攻撃計画を知らせた兵士はどうした」
いつか聞かれるだろうと予想していたのか、突然のラインハルトの問いに、オーベルシ
ュタインはよどみなく答えた。
「自殺いたしました」
「殺したのか」
ラインハルトの声が怒りをはらんで低くなる。しかし、オーベルシュタインは動じる様
子もなかった。
「自殺と申し上げました」
蒼氷色の瞳が鋭さを増し、参謀長を貫いた。――嘘は言っていない、とラインハルトは
直感した。事実、その後の調査で兵士の自殺は確認されている。核攻撃を阻止できなかっ
たことを知り、悲嘆のあまりの自死だった。
だが、もしも自殺をしなければ、殺されていただろうことも確かであった。そして、ラ
インハルトはそれを認めざるを得ない。ヴェスターラントの罪を隠蔽するために。
ラインハルトの口中に苦いものがこみ上げた。罪を一生背負っていく覚悟はある。だが、
それを隠すために、さらなる苦杯をあおらねばならないのか――。しかも、恐らくはこれ
が最後というわけではないのだ。
ラインハルトの迷いを見透かすように、オーベルシュタインが口を開いた。
「閣下、僭越ながらあえて申し上げます。大事をなすには犠牲はつきものです。人類の歴
史が始まって以来、白い手の王者は存在しません。その手は、時に敵だけでなく味方の血
で汚れているものです」
「そんなことはわかっている。今さら卿からマキャベリズムの初歩を教わる必要はない」
吐き捨てるように言ってから、ラインハルトは憮然とした表情になった。自分が子供っ
ぽい反発心を顕わにしたことに気づいたのだ。
「――ともかく、これは預かっておく」
「閣下」
「認めぬわけではない。だが、少し考える時間をくれ。だいたいリヒテンラーデ一族の処
遇も未定だ。キルヒアイスのことよりも、そちらを先決すべきだろう」
オーベルシュタインはなおも何か言いたげであったが、結局、主君の言葉に従った。
今回はここまでー。
チュン・ウーの早期登場、264さんに先こされてしまいました_| ̄|○
といっても、私の話がそこまで行くには、まだまだかかりそうですが……。
>>769 そんなに変わっているかなぁ?
面白いんだし、都合やなんたらで制限をかけるのはどうかと。
プロじゃないしね。
213さんグッショブ!
どんだけかかってもついていくので頑張って下さい。
私のって、213氏のと比べるとあらすじレベルですなぁ・・・。
ま、いいか。細かいトコは読者の皆さんの脳内で補完してくださいませ。
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銀河帝国軍でこれ以後の謀将と言えばロイエンタールを示すこととなる。同盟軍のオーベルシュタインと並び称される事となるのだが、この二人に共通していたと言われることがある。
それはフェザーンへの態度だった。この二人の軍師はフェザーンという存在そのものをひどく嫌っていた。
「少し考えれば埒もないことだ。あの程度の経済力で銀河のキャスティングボードを握ろうなどと、烏滸がましい」
そうオーベルシュタインが嘯けば、ロイエンタールもこう皮肉っている。
「愚者は現在の状況が未来永劫続くとでも思っているというが、フェザーンの守銭奴どもはそういう意味で間違いなく愚者だ」
そう言うことだった。二人が偶然にもほぼ同じ頃、口を揃えて言ったのはこういう事だ。
「帝国と同盟の利害がフェザーン排除で一致した場合を、連中は考えたことがあるのか?」
あるだろう、と二人は思う。だが傲慢な事に、フェザーンはそうなる事を自らの知略で回避できると思っている。
・・・しかし我々が本気でフェザーンの抹殺を望み、相手もそう思うように仕向けたらどうだ。
・・・それすらも回避できると思っているのなら、つまり連中は帝国よりも同盟よりも自分たちが聡明だと思いこんでいる事になる。
それこそ愚かな事だ。二人の謀将は、ほぼ時を同じくしてそう思った。
前代未聞の「皇帝亡命事件」が発生したのはこの頃のことである。
なるほど、こーいうイベントも有り得ますなあ。
フェザーンを共通の敵にすることによる、帝国・同盟の利害の一致でしょうか?
ロイが「謀将」「軍師」ってスタンスに付くのは、予想外でした。
でも、金髪・赤毛・疾風・色目と並べましたら、義眼の後任としては、彼が一番
適当そうですよね。性格的にw
「でしょうか?」って、そー書いておいでですなw
皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世がランズベルグ伯らによって誘拐された時点で、フェザーン自治領領主アドリアン・ルビンスキーはオーベルシュタイン亡命の一件を知らなかった。
彼の諜報網をもってしても、オーベルシュタインの退役は帝国宰相との不和によるもの、としか判断できなかったのである。
後任がロイエンタールという事で彼が油断したというのは無かったろうが、結果として彼の策謀は前提条件から狂うことになる。
帝国側の反応は冷静そのものだった。
「幼帝がどこへ行こうと、何の問題もあるまい」
ラインハルトは簡単にそう言った。
「同盟への亡命も考えられますが」
とロイエンタール。話題にすることが禁じられているので口には出さないが、オーベルシュタインの残した書簡の中で彼はこの可能性を指摘している。
・・・好きになれぬ男ではあったが、やはり異能ではあったか。
「そうだな。それに、後ろで黒狐めが糸を引いておろう」
「既に情報収集を開始しております・・・しかしそうなった場合、奴らは陛下を受け入れるでしょうか?」
「卿はどう見る」
「民主主義という政治体制の負の側面を彼らが体現しているとすれば、恐らくは」
「・・・卿の言は正しい。だが」
ラインハルトはロイエンタールから視線を外した。オーベルシュタインの事は、この新参謀長にすら話していない。
「だが、そうはならぬかも知れぬ。これからが見物だが」
一方、ハイネセンにはフェザーン経由で既に一報が届いていた。しかし同盟政府はこの情報を当初は伏せている。無論、軍部に知られる事を恐れたのである。
しかし、そうは問屋が卸さなかった。統合作戦本部の情報収集能力と分析能力は、この一ヶ月で様変わりしていた。
「・・・これは確かなのか、少将」
「はい」
眼を剥いたシトレを、オーベルシュタインはその半白の義眼で無表情に眺めている。
「既に第一報は政府筋に入っている筈です。恐らく、対応を決めるまで軍には伏せる気でしょう」
「・・・なんということだ・・・」
シトレは卓上の電話機を取ろうとした。国防委員長へのホットライン。
しかし、オーベルシュタインはそれを制止した。
「お待ち下さい。こちらから連絡を取るのは得策ではありません」
「どういう意味かね」
「こちらがこの情報を既に握っている事そのものを、彼らに気取らせるのはよろしくないかと」
「・・・」
それも一理あるな。シトレは椅子に座り直す。
「では少将、我らはどうすれば良いと思う」
「最善手は一つです。ビュコック提督をフェザーン方面へ急派し、皇帝一行の乗った船を秘密裏に葬り去ればよろしい」
「・・・なるほど」
軍はこのことを知らない。だから秘密裏に抹殺してしまっても、政府としては軍のやったことをとやかく言えはしないだろう。
「しかし、亡命希望者にそういう仕打ちは出来まい。そもそも君だって亡命者ではないか」
「それとこれとは別ですが・・・まぁいいでしょう」
どうせこの策が容れられるとも思っていなかったらしいオーベルシュタインは淡々と頷いた。
「ですが、この亡命を受け入れるということは、この国が自らの死刑執行令状にサインをすることと同義です」
「・・・帝国に侵攻の大義名分を与えてしまう、か」
「と言うより、侵攻せざるを得なくなる、と言うべきです。帝国宰相ローエングラム元帥にその気が無くとも」
それでシトレも察したらしい。さすがに明敏な男ではある。
「フェザーンは我らを共食いさせるつもりか」
「恐らくは」
「ではどうする?政府の方針に真っ向から刃向かうのか?しかし我が国は文民政府が統治する民主主義国家だ。政府の方針に公然と反発はできまい」
全く面倒な事だ、とオーベルシュタインは思う。形式を守るために国家を滅ぼすのか?くだらない。
しかし彼が自分に課した仕事は、この手の掛かる国家を守ることでもあった。彼は無表情のままで口を開く。
「世論を味方につけねばならないでしょう」
「・・・亡命受け入れを拒絶する世論を喚起するのか?」
「はい。政府の決定を覆すことは出来ないかも知れませんが、やるだけはやるべきです。そのこと自体が後々重要になってくるかと」
沈黙。数秒後、シトレはこの義眼の亡命者を、恐るべき男だと再確認した。
「・・・アリバイを作るのだな」
「ご明察です、元帥閣下」
・・・これで事態は動く。案外予想よりも早くやれるかも知れない。
オーベルシュタインは表情こそ変えなかったが、状況が好転していることを感じている。
この場合の好転とは、同盟政府にとっての好転とイコールではないのだが。
あとの仕事はシトレの職分だった。
嫌がるヤンを説き伏せるのは面倒だったが、私を支えると約束したではないか、との殺し文句の前にはさすがのヤンも沈黙せざるを得なかった。
話を承諾したヤンは、フレデリカとファーレンハイトを連れてハイネセンに急行した。緊急の出張という名目であり、政府筋にも秘密にしている。
ヤンがハイネセンに着いた日の午後、トリューニヒト最高会議議長は記者会見を行い、銀河帝国皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世の亡命受け入れを発表した。
「このような幼い皇帝に流浪の憂き目を遭わせ、自らは権力をほしいままにするローエングラム侯こそ民主主義の敵であり・・・」
その砂糖菓子のように甘い扇情的な演説がまだ終わらないうちの事だった。
今度は統合作戦本部長シトレ元帥と宇宙艦隊司令長官ビュコック大将、イゼルローン方面軍総司令官ヤン大将、第12艦隊司令官ファーレンハイト中将が緊急記者会見を行ったのである。
シトレは亡命の情報が一週間以上も前から政府にもたらされていたにも関わらず軍にも市民にも通知がなかったことを批判した。
ビュコックは老将らしく、皇帝などの亡命を認める事は今まで帝国と戦って死んでいった父祖将兵に申し訳が立たないと拳を震わせた。
ヤンは、これが我が国と帝国を相争わせる策謀だと主張した。ミラクル・ヤンの言説には市民向けの説得力があった。
最後にファーレンハイトは、間近にラインハルトを知る者として、亡命を受け入れれば間違いなく帝国は同盟に仮借無い攻撃を仕掛けてくると警告した。先に十万隻を失った同盟は、この亡命者のせいで存亡の危機に陥る、と。
軍がこれだけの手際の良さと適材適所の役者起用で反撃してくるとは、トリューニヒトらも想像していなかったらしい。
彼らは自派のマスコミを動員して軍部を攻撃した。文民統制を逸脱しているだの、非人道的であるだの、軍人は政府の方針に口を挟むべきではないだの、と。
これらの事全てを、オーベルシュタインは読み切っていた。トリューニヒトらをしてこういう行動に走らせることそのものが彼の目的だった。
最後に最高会議議長の名において決定が下されると、シトレは記者達に淡々とこう語った。
「政府の決定が出た以上、軍はそれに従う。もはや是非もない。ただ、市民諸君にはこれからも、事態をしっかりと見守っていて欲しい」
この言葉もまた、オーベルシュタインの構想に入っている。それはシトレも承知のことだったが。
その一方、軍より宿舎としてあてがわれたホテル住まいのフレデリカは、意外な人物の訪問を受けていた。
今度の一件でシトレの信任を得て中将への昇進と情報部長就任が決まっていたオーベルシュタインだった。何故か居心地の悪そうな表情をしたファーレンハイトも一緒にいる。
父を失って以後、フレデリカは自宅には戻っていない。父も母もいない実家は広すぎたからだった。
「・・・何でしょうか、閣下」
言いながら、明敏な彼女は用件を察していた。部屋に招き入れようとしたが、オーベルシュタインはそれを断った。
「私は貴女に、個人的に謝罪しなければなるまい、そう思ってここへ来た」
表情を変えることなく、彼は言った。
「貴官の父上を策謀に巻き込み、結果として死に至らしめたのは私だ。貴官は私に報復する権利がある」
「・・・」
「私は自分の行ったことが間違いだ等とは思わない。あれはやらねばならぬ事ではあった。故にその事そのものを謝罪する必要性は感じない」
「・・・」
「しかしそれと個人の感情は別だ。公人としての私は全く恥じる所など無いと考えるが、私人として見れば貴官の父上以下多くの関係者を殺した事は間違いない」
そう言って、彼は慇懃に頭を下げた。
「貴官には私に報復する権利がある。ただし、その行使はしばらく待って貰いたい。事が全て終われば、喜んで報復の刃を受けよう」
先ほどからフレデリカが拳を握りしめているのを、ファーレンハイトははらはらしながら見守っていた。何だってこの男はこういう物の言い方しかできないのだろう?
ややあって、フレデリカは顔を上げた。
「何をおっしゃっているのか分かりません」
「・・・?」
「父は自らの信念で決起し、命を落としました。それが正しかったのか間違っていたのかは分かりませんが、私にとって愛すべき父が自らの意思で行動した、そのことを誇りに思っています」
瞳は涙をたたえてはいたが、歯を食いしばって耐える。
「ですから閣下がおっしゃることは的はずれもいいところです。それに・・・父が誰かに動かされたなんて、そういう事を言う者がいたら私はそちらの方が許せません」
オーベルシュタインはしばし無言だったが、やがてゆっくりと敬礼した。
「そうか・・・詮無い事を言った、申し訳ない」
それだけ言うと、黙ったまま背を向け足早に歩み去っていった。
置いてけぼりを食らったファーレンハイトに、フレデリカはこう付け加える。
「・・・正直、こんなことをわざわざ言いに来る人とは思っていませんでした」
「俺もそうだ・・・意外と言うか、どう言うべきか」
「ですけれど・・・案外、律儀なのかも知れませんね、ああ見えて」
微笑する。無理して笑わなくてもいいだろうに、とファーレンハイトは思った。
この展開・・・・・なんかデジャヴを感じる。
ま、定番ネタではあるんだけど。
でもオベがオベじゃなくて別のキャラのようだ。
皇帝の亡命受け入れは決まったものの、同盟の世論は割れていた。
軍人たちやその家族、身寄りを戦争で失った者たちは政府を批判した。都市部や人口の多い惑星では宣伝が行き届いているのか政府支持者が多かったが、田舎に行けば住民の声は圧倒的に政府を批判するものばかりだった。
その結果に、シトレとオーベルシュタインは一定の満足を覚えていた。そしてそこから先は、帝国が考えることだった。
ヤンがイゼルローンに戻ると、統合作戦本部は再度の軍の再編を内示した。
書類上の存在でしかなかった第1艦隊は廃止され、国内各星系の警備艦艇は治安維持に最低必要な分を残してそのほとんど全てがイゼルローンに送られた。
替わってファーレンハイトの第12艦隊、カールセンの第14艦隊がハイネセンに移駐、統合されて第7艦隊として再編された。司令官はファーレンハイトである。
シトレはそれをただ単に「新造艦艇の配分の問題で、艦隊を入れ替えた」とだけ説明した。
更に、陸戦兵力はそのほとんどがイゼルローン方面に振り向けられている。
一方帝国でも事態は動いていた。帝国宰相ローエングラム候は同盟政府を非難し、幼帝を道具に使うその非人道性を激しく攻撃した。
さらにエルウィン・ヨーゼフ二世の廃位とカザリン・ケートヘンの皇帝即位を発表。こんどの皇帝は幼帝どころではなく、乳児に過ぎなかった。
名実共にラインハルトこそが帝国の支配者である、誰もがそう確信する出来事ではあった。
更に翌月、帝国軍は本格的な同盟領侵攻計画を発令する。
参加兵力10万隻余を数えるこの作戦は「神々の黄昏」と命名された。
歴史はその流れを速めていた。
後に「常勝と不敗の争覇戦」と称される決戦の幕が、静かに上がろうとしている。
私的なオべも、自分が直接責任を負う立場で無いなら、そして必要と信じてやっ
たことなら、いちいち謝罪などはしない性格です。
まあ、状況と環境が違ってくれば、性格も変化すると言うことで。
しかし、亡命受け入れ批判の演説は、政治家のジョアン・レべロやホアン・ルイ
が主導的立場だった方が、と思いますな。その上で、ファーレンハイトが最近の
亡命者として証言すると(オべにやらせた方がより適任と思いますけどね)。
シトレは、ホアン辺りとは、仲は悪くなさそうな気がしますし。
その日の夜、ラインハルトはキルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールの三名と夕食を共にしていた。
皇帝の「交換」に伴う人事発令で、キルヒアイスは軍務尚書、ミッターマイヤーは宇宙艦隊司令長官、ロイエンタールは統帥本部長兼総参謀長に改めて任命されている。
よってこれは事実上、帝国軍の最高首脳会議でもあった。
「つまり」
食事を取りながら状況説明を終えたロイエンタールに、ミッターマイヤーが視線を向けた。
「フェザーンを突破する障害は無いというのか、卿は」
「ああ、ほとんど無かろう」
とロイエンタール。キルヒアイスは黙って二人のやりとりを見守っている。
「経済的な問題はあるにはあるが、短期的かつ限定的なものだ。帝国の経済力は上向いている、混乱は起きないだろう」
「いや、そうではない。反徒どもを利することにはならないのか」
「その心配も無用だ。奴らの国内経済は疲弊し、根本的な対策を打たねば早急な回復はあり得ん。フェザーンの商人どもがあちらに付いたとて、すぐに改善されるほど甘い状況ではない」
「するとつまり、今までのフェザーン脅威論とは何だったのでしょうか」
キルヒアイスが首を傾げる。ロイエンタールはそんな彼にワインを注いでやり、自らも口にする。
「フェザーンを支点にした均衡理論は、あくまで帝国と同盟が対等に近い軍事力と経済力を持っている事が前提だったということです」
「なるほど。今回のように力の格差が大きくなりすぎると、フェザーンがどう動いてもバランスは変わらない、と」
「そういうことです」
「では、フェザーン回廊を突破しての侵攻作戦について、基本的に同意は得られたとみて良いな」
総括するようにラインハルトが言うと、一同は頷いた。
「では次の件だ。兵力配置についてだが」
「おっしゃることは分かるのですが、これは・・・」
手元に配布された試案を手に取り、ミッターマイヤーが怪訝そうな声を上げる。
「あまりにフェザーン回廊に集中しすぎています。イゼルローン方面にも抑えは必要ではないでしょうか」
「常識的に考えればその通りだ。卿が言うが如く抑えの兵力を置いておかねば、イゼルローンから敵が突出した場合防ぎようがない」
「さればこそ、この配置の真意をお伺いしたいのです」
「・・・ミッターマイヤー」
ラインハルトはふと、窓の外の星空を見上げた。
「私の考えている通りに事が進めば、恐らく今回の戦役で戦争は終わる。その後には長い平和が訪れよう」
「そうなれば、と切望します」
「そうか?」
金髪の、半神を思わせる青年はまっすぐにミッターマイヤーを見据える。その視線の鋭さと直截さに、ミッターマイヤーは目眩すら覚える。
「本当にそうか?もう戦いは無い・・・あの高揚感も、名誉も、武勲も、全てが遠い過去のものとなろう。私は何よりもまず武人でありたいと思ってきた。卿もそうであろう」
「・・・は」
「なればこそ、この戦いは決戦でなければならぬ。長きにわたった帝国と彼らとの戦いの歴史の最後を飾る、最後の決戦でなければならぬ」
「決戦・・・ですか」
「そうだ。そしてこの決戦そのものが平和を招来するだろう。戦争の時代に終止符を打ち、平和をもたらす為の、そして我ら武人の時代を終わらせるにふさわしい、徹底的な決戦が」
ラインハルトはそう言い切ると、一同を見渡す。
「我が帝国軍の全力をもって、自由惑星同盟軍の全力を撃つ。そうでなければならぬ」
もしもキルヒアイスが生きていたら>184バージョン
>234-237、>252-258、>334-340、>574-582、>771-775続き
その日、ラインハルトがシュワルツェンの館に帰ったのは、そろそろ日付も変わろうか
という頃だった。リヒテンラーデ公は自栽、一族は辺境に流刑と即断したが、その他にも
細々と決めねばならぬことがあり、こんな時間になってしまったのだ。
キルヒアイスの件はまだ保留にしたままだ。オーベルシュタインの冷徹な視線を感じつ
つも、ラインハルトは返事を避けていた。とはいえ、明日には答えを出さねばなるまい。
ラインハルトの迷いは、キルヒアイスを指弾することにあるのではなかった。彼は優し
い。そして、自分を恐れない。告発を受けても、兵士を引き渡すとは思えなかった。そう
なれば、ラインハルトはキルヒアイスを罰さなくてはならなくなる……。
ため息を吐きながら、ラインハルトは邸内に足を踏み入れた。
「お帰りなさい、ラインハルト」
柔らかな声に出迎えられ、ラインハルトはぎくりと足を止める。
「姉上……」
ラインハルトの悩み多き一日はまだ終わってはいなかった。
思えば約半年ぶりの再会である。嬉しくないはずはなかったが、今のラインハルトはそ
れよりは戸惑いの方が先に立ってしまうのであった。
そんな彼の様子に気づかぬはずはなかったが、アンネローゼは何も言わず、ただあの春
の陽射しのような笑顔を浮かべた。
「戦勝おめでとう。遅くまでご苦労様」
「あ、ありがとうございます……」
「お祝いを用意していたのだけど、こんな時間だから明日にするわね。疲れているだろう
から、今日はもうゆっくりお休みなさい」
「あ、姉上!」
労りの言葉を残して立ち去ろうとする姉を、思わずラインハルトは呼び止めていた。
「なあに?」
「姉上は、キルヒアイスと……いえ、何でもありません」
何を言おうとしているのだ、俺は! ラインハルトは自分を叱った。
煩悶する弟の様子を、アンネローゼはしばらく無言で見つめていたが、やがて優しく微
笑んだ。
「……お夜食は食べたの? 簡単なものでいいのなら、何か作るけれど」
姉に気を遣わせてしまったことを情けなく思いながら、ラインハルトは頷いた。
ラインハルトが自室に戻って着替えていると、程なく、ワイン漬けにした牛肉のロース
トに干しぶどう入りソースをかけたザウアーブラーテン、おろしジャガイモを丸く焼いた
ライベクーヘンにソーセージというメニューをワゴンに乗せ、アンネローゼが入ってきた。
「わざわざすみません」
「いいのよ。また、こうやってあなたに世話を焼けるようになったのが楽しいの。あなた
は外征が多くて、なかなかこういう時間がとれないのがつまらないぐらい」
今も、給仕の者を押しきって自分で運んできたのだという。テーブルの上に手早く料理
を並べながら、アンネローゼは悪戯っぽく笑った。ちなみに、料理人はすでにアンネロー
ゼが調理場に立つことに関しては諦めている。
「これからしばらくは、いやというほど顔を合わせることになると思いますよ」
ラインハルトも軽口で返し、アンネローゼが注いでくれたワインをひと口含む。その途
端、彼は軽く目を瞠った。元帥ともなれば普段口にするワインも良質なものになる。だが、
それにしてもこれはランクが違った。
「もしかして、これがお祝いですか?」
「そういうわけでもないのだけど……。421年ものの赤のいいのが手に入ったから」
どれほど高貴な生まれの貴婦人でも真似できないような優雅な動作で、アンネローゼは
ラインハルトの向かいの席に着いた。
「しばらくはオーディンにいるのね、ラインハルト」
「はい」
「ならば二重にお祝いしなくてはいけないわね。……また、新しいお役目を拝命するので
しょう?」
ラインハルトは言葉に詰まった。彼は姉の前では慎重に己の野心を隠していたが、聡明
な彼女は無論気づいていたのである。
「……近いうちに宰相の地位につくことになると思います」
「そう……」
今度はアンネローゼは祝いの言葉は言わなかった。ただ、けぶるような微笑みを浮かべ
て、ラインハルトを見るだけだった。沈黙に耐えかねて、ラインハルトは慌てて別の話題
を探した。
「そ、そう、先日は申し訳ありませんでした。姉上を危険に目にお合わせして。もう二度
とあのようなことがないように警備を厳しくいたしますから」
「あら、わたしは危ないことはなかったのよ。屋敷の者も誰も傷つかなかったわ。警備の
方たちがちゃんと守ってくださったから。まさか彼らを叱ったのではないでしょうね、ラ
インハルト」
「いいえ、そのようなことは……」
ラインハルトは首を竦めた。帰ってきたときはそのつもりだったが、オーベルシュタイ
ンの告発でそれどころではなくなってしまったというのが実状である。
「心配性すぎるのよ、あなたもキルヒアイスも」
青年の手元で食器とシルバーがこすれ合い、耳障りな音を立てた。ラインハルトにして
は大変珍しいことである。
アンネローゼは軽く息をつくと、挙動不審な弟を問いただした。
「いったいどうしたの、ラインハルト。ジークがどうかしたの?」
「いえ……別に……」
ラインハルトは言葉を濁したが、その表情を見れば何かがあったことぐらいありありと
わかる。姉ともう一人の人物の前では、自分の心情を隠すことが不得手な弟であった。
ラインハルトにも、自分の態度が姉の不審を呼ぶであろうことは十分に判っている。だ
が、キルヒアイスのことをうち明ける決心はなかなかつかなかった。どのような強敵に対
しても怯んだことのない彼が、今は姉一人を前に途方に暮れている。
「その……姉上は、キルヒアイスから何かお聞きになっていますか」
何度も口を開き、ワインを大量に流し込んで舌の滑りをよくして、ラインハルトはやっ
と言葉を押し出だしたが、その内容は臆病のそしりを免れえるとは、自分でも到底思えな
いような遠回しなものであった。
アンネローゼは訝しげに小首を傾げた。なぜ弟がそれほど躊躇するのかわからぬ様子だ。
「いいえ。襲撃があった日に会ったきりだけど、あの日は警備について少し話した程度で
……そういえば、お祝いも言えなかったわ」
「そう、ですか……」
ラインハルトは唇を噛みしめた。そうだ、当たり前だ。あの赤毛の親友がアンネローゼ
を心配させるようなことを言うはずがないし、例え姉相手だとしても、ラインハルトが不
利になるようなことを口にするわけがなかった。
キルヒアイスは優しい。その優しさに甘えて、わがままを言ってきたのは自分だ。そし
て、彼はいつでも笑って許してくれた――あの時を除いて。
だが――あれは――ヴェスターラントが、内戦の終わりを早めてのも事実だ。キルヒア
イスのように、綺麗事ばかりでは――いや、違う。本当にそう思うのならば、俺はキルヒ
アイスに理論だてて説明できたはずだ。あんな風に高圧的に抑えつけるのではなく。……
しかし、そもそも主君が部下を説得する必要などないのではないだろうか。主君と部下の
けじめはつけなくてはならない。
『私は閣下の忠実な部下です、ローエングラム侯』
脳裏にキルヒアイスの言葉が木霊する。
そう、キルヒアイスは部下だ。もっとも忠実で、もっとも信頼できる――。でも、それ
ならばどうして自分はあの時、彼の言葉で傷ついたような気分になったのだろう。
思考の海で自問自答する弟を、アンネローゼはそっと見守っていた。彼女はラインハル
トとキルヒアイスの間に何かあったことを見抜く洞察力を持っていたが、それと同時に弟
の悩みに無遠慮に踏みこまない賢明さもまた持ち合わせていたのである。
珍しく、早めに次を投下できました。たぶん次も早めのはず。
読んで下さる方、感謝です。
>776
私は264氏のスピード感ある展開と艦隊戦の上手さがが
うらやましいですよ。ていか、自分、トロ過ぎかとw
自分のスタンスで書くしかないので諦めてますが。
おつ
>798のリンクアンカーは>778の間違いでした_| ̄|○
どっちもおもろいので、イイ!!です。
頑張れ〜
>ヴェスターラントが、内戦の終わりを早めてのも事実だ
>本当にそう思うのならば、俺はキルヒアイスに理論だてて説明できたはずだ
話の腰を折るようで申し訳無いのですが。
以下は、私の私見であって、他人に賛成して欲しい訳でも、見解の異なる他
人を説得したい訳でも有りませんので。
思ったんですが、あの見殺しの一件は、ラインハルトの父親の、セバスティ
アン・フォン・ミューゼル氏が、アンネローゼを「売った」一件と、微妙に
重なるんですよね。
ラインハルトは「父さんは姉さんを売ったんだ」とか言っていましたが、実
のところ、セバ氏が積極的に「売った」訳ではなく、「売らされた」に過ぎ
ない訳で。
セバ氏にしてみれば、無駄な抵抗(酔っ払いの自分が子供2人を連れて、遥々
同盟まで亡命)を試み、結果失敗して、家族ぐるみで酷い目に遇わされる危
険を冒すより、より安全で、尚且つ経済的・社会的に利益を家族3人享受出
来る選択をした、という心境だったと思われます。
一方、ラインハルトは、「父親としての責任を果たさなかった」「正面から
戦おうともせず、結果、アンネローゼの尊厳の冒涜の共犯者になった」とい
う、それはそれで至極真っ当な論理を重視し、それに基づいて、父親を責め、
憎んでいたのでしょう。
そして、ヴェス虐殺見殺しの正当化の理屈は、セバ氏の寄っていた理屈と本
質的に同じなんですね。
更に、ラインハルトがセバ氏を憎むのと同様の理屈で、ヴェスの虐殺見殺し
も、批難可能なのですよ。キルヒアイスもそんな感じでした。(もっとも、
そもそも、「見殺ししたから、結果、他の選択肢を選ぶよりも早期に内戦が
終結し、より少ない犠牲で済んだ」ってのは、状況の完璧なシミュレーショ
ンも、そして当然、理詰めの論証も不可能ですので、正しいと言える訳が無
い屁理屈なんですけどね)。
アンネローゼが受けた仕打ちが、ラインハルトの、そしてキルヒアイスの原
点であるなら、彼らは、同じ真似をするのも、それを見過ごしにするのも、
けっして許されないのですね。
2人は、たとえ帝国の人民や全人類に責任は負わずとも、アンネローゼと、
そしてお互いの誓いには、責任を負うのですから。
アンネローゼ本人のコメントも、是非聴いてみたいものです。
彼女なら、自分が受けた仕打ちについては、「それで、家族が無事だったの
だから」で済ませるような気もします。
ヴェス虐殺見殺し事件については、どうでしょうね?
二一三氏、264氏、双方、アンネローゼの出番を増やしておいでですので、
余計気になりました。(特に、二一三氏のお話の今後の展開)
では、お2人とも、頑張って下さいまし。
イゼルローンに戻ったヤンは、ファーレンハイトとカールセンを送り出すにあたって方面軍首脳部を集めていた。
テーブルには酒肴が並べられて酒宴の構えになってはいたが、しかし彼の表情はいつになく真剣だった。
「単刀直入に言うと、今度の戦いが恐らく最後になる、と思っている」
ヤンは静かにそう言った。一同の周囲の空気がざわめくようだった。
「帝国軍は全力を以て侵攻してくるだろう。我々も全力でそれを迎え撃つ。最後の決戦という訳だね」
「この回廊で・・・ですか?」
「いや、そうじゃない。敵は間違いなく、フェザーン回廊を突破しようとするだろう」
ユリアンの言葉を遮り、彼はそう言った。たちまち場の雰囲気が沸騰し始める。
「フェザーンの中立を無視すると?」
「それよりも何よりも、もうフェザーンは必要ではないんだ。歴史的使命を終えた、というべきだろう」
ヤンは手を組むと、説明し始めた。もはや帝国と同盟の国力の差は歴然としており、フェザーンの重要性は薄れたこと。イゼルローン回廊を突破することは事実上不可能となったこと。
「そして、新たな時代を導くためには、フェザーンは排除しなければならないんだ。象徴としても、実効的にも」
この時点で彼は地球教徒の動きに気づいていた訳ではない。しかし、それは別にしてもフェザーンというものの存在をラインハルトは許容しないだろう、とヤンは考えている。
「では、我々はどうするんだ」
キャゼルヌが首を傾げる。ヤンは彼、そしてパエッタを順に眺め渡した。
「イゼルローン回廊には警戒兵力のみを残し、機動兵力はすぐにでもフェザーン方面へ移動できるようにしておくべきだろう」
「本国の艦隊と共同で帝国軍を迎撃するのですか」
「そういうことだ。ついてはパエッタ提督」
パエッタが居住まいを正し、ヤンに視線を向ける。
「あなたに私がいない間の方面軍司令官代行をお願いしたいのですが」
周囲の視線が集まるのを感じながら、彼は大きく頷いた。
「諒解した。代行する上での方針などあれば、教えておいて欲しい」
「専守防衛で。二つの要塞を連携させてやれば、いくら帝国軍が大軍を催しても容易には抜けない筈です」
「・・・承知した」
「副司令官としてフィッシャー提督を付けます。要塞の方は引き続きシェーンコップ少将とアンスバッハ准将にお願いします」
三人がそれぞれ頷く。
フィッシャーが居なくて大丈夫ですかヤン艦隊(笑)
この流れですと、同盟側の実戦部隊最高指揮官はビュコック提督になっちゃい
そうですが。
まあ、「司令長官ビュコック 総参謀長ヤン」が当時の同盟軍の理想の布陣と、
原作中でも言われていましたから、それに近い形になるのは面白そうではあり
ますね。
上の、1行目は、「原作でのバーミリオン会戦に相当する、帝国と同盟の決戦に
おいての、同盟側の実戦部隊最高指揮官は、ビュコック提督に…」と、訂正致し
ます。
もしもキルヒアイスが生きていたら>184バージョン
>234-237、>252-258、>334-340、>574-582、>771-775、>794-798続き
どれぐらいそうしていたのか、コーヒーの芳香が鼻孔をくすぐり、ラインハルトは心を
現実に引き戻した。
「す、すみません、姉上。お相手もしないで黙りこんでしまって」
「今日は謝ってばかりね、ラインハルト」
クリームをたっぷり入れたコーヒーをラインハルトの前に置きながら、アンネローゼは
くすりと笑った。しかし、すぐに表情を引き締める。
「ねえ、ラインハルト。帝国宰相の地位に昇り、あなたはこの国の行く末を決める人にな
るのね。あなたが目指すのは、いったいどんな国かしら」
ラインハルトは、帝国の未来に関してすでに具体的なビジョンを持っていた。それは、
幼年学校時代から赤毛の親友と二人で繰り返しシミュレーションして作り上げてきたのも
であった。
その一端は、オイゲン・リヒターとカール・ブラッケによって、さらに具体的かつ実行
力のある計画として練り上げられつつある。
だが、弟からそのことを告げられたアンネローゼは、小さく首を横に振った。深夜だと
いうのにほつれ毛の一筋もなく、美しくまとめ上げられた髪に部屋の灯りがキラキラと反
射して輝いた。
「そういうことではないの。……あなたはこれから強大な権力を握ることになるわね、ラ
インハルト。でも、それに中味がともなわなければ、不幸なことだと思うのよ」
「姉上は、私が宰相に相応しくないとお考えなのですか」
ラインハルトは拗ねた少年のような表情になった。比類なき軍事的才能と政治的センス
を持ちながら、この青年は今だにこういった子供っぽさを残している。そのアンバランス
さを愛しく思いながらも、危うさも感じてしまうアンネローゼだった。
「そうではないわ、ラインハルト。あなたにその力があることは、私にも十分わかってい
ます。だけど、巨きな力を持つ者は、なおさら強く自分を律しなくてはならないわ。力が
あっても心が――それに耐えうる精神がなければ、力に振り回されて己を見失ってしまう
ものよ。ラインハルト、わたしはあなたにそうなって欲しくはないの」
「姉上……」
アンネローゼの真摯な瞳にラインハルトは背筋を伸ばした。彼女の声からは、弟を心配
する姉の真情が痛いほど感じられた。
「どんなに高潔な人でも、権力の陥穽にはまってしまうことがあるわ。けれどね、ライン
ハルト、その時に確かな心の拠り処があれば、自分を見失うことはないと思うの。手紙に
も書いたけれど……あなたにとって、もっとも大切なものを忘れないでね。理想、信念、
愛情、家族、友人――それがどんなものであっても、きっとあなたの支えとなってくれる
から」
「私にとって、いちばん大切なのは姉上です」
ラインハルトは即答した。しかし、その口調とは裏腹に、表情にはどこか迷いがあるよ
うだった。
「ありがとう、ラインハルト」
弟の迷いを見透かしたアンネローゼは、包みこむような、柔らかな微笑みを浮かべた。
「けれども、わたしはあなたともに羽ばたくことはできないわ。あなたの夢を果たすため
の力にはなれない」
「…………」
沈黙する弟を、サファイアの瞳が優しく見つめた。
「ねえ、ラインハルト。ジークは、あなたにとってどういう存在かしら……?」
「キルヒアイスは……」
蒼氷色の瞳が揺れる。頼りなげな、いっそ気弱にすら見える眼差しで、弟は姉を見返し
た。姉はただ、優しく自分を見ている。その温かな視線の前では、意地も見栄も、すべて
はがれ落ちていくようであった。
『私は閣下の忠実な部下です、ローエングラム侯』
キルヒアイスの声が、表情が、頭の中で何度もリピートされる。あの時、彼の面上にあ
ったのは怒りではなかった。苦悩と、それよりも大きな哀しみ。
やがて、別の声がキルヒアイスの声に重なった。
『そうじゃない、キルヒアイス、そうじゃない。勝ったのはおれたちさ』
あれは第四次ティアマト会戦の後のことだ。ラインハルトの勝利を告げる友に、彼はそ
う返答したのだった。そして、もうひとつの声。
『おれが手に入れるものは、どんなものでも、半分はお前のものだ。名誉も、権力も、財
宝も、あとなんでもな』
はじかれるように、ラインハルトは立ち上がった。
「ありがとうございました、姉上」
「――いってらっしゃい」
晴れ晴れとした顔で礼を言い、行く先も告げずに部屋を飛び出していく弟を、アンネロ
ーゼは明るい声で送り出した。
その頃、主君より1時間ほど遅れて元帥府を出たキルヒアイスは、いまだ軍服も脱がず
に官舎の自分の部屋でコンピュータに向かっていた。
今日にでもオーベルシュタインの告発があるかと覚悟していたが、意外なことに何事も
なく一日が終わった。だからといって、あれが本当にただの脅しで、告発がないと考える
ほど彼は脳天気ではない。どちらにしろ、近日中に審問されることになるだろう。その前
に、打てるだけの手は打っておかなくてはならない。
兵士をどこかに移送することを考えないでもなかったが、そこを狙われては守りきれな
いかもしれない。バルバロッサ内部であれば、彼の命令なしに兵士を連れ去ることはでき
ない。今のところは最も安全な場所であろう――キルヒアイスが叛逆罪で投獄でもされな
い限りは。
現時点で、彼に後ろ暗いところはまったくない。だが、もしもラインハルトが、兵士引
き渡しの命を下したら……。
キルヒアイスは瞑目した。
その時、彼は叛逆の罪に問われることになるだろう。キルヒアイスには、その命令を受
け入れるつもりは微塵もないのだから。
インターホンがけたたましく鳴り響いて、キルヒアイスは辛い仮想未来から現実に立ち
戻った。
コンピュータ画面をドアの外の映像に切り替えた彼は、驚愕に目を見開いた。そこには、
走ってきたのか豪奢な金髪と息を乱して立つ彼の主君の姿があったのだ。
慌てて立ち上がったキルヒアイスは、その勢いで椅子が倒れるのにも構わず、玄関に向
かって駆けだした。実は、コンピュータ操作でドアのロックを解除できるのだが、そんな
ことは頭の中から吹き飛んでいる。
官舎とはいっても、キルヒアイスの部屋はかなり広い。2人で住んでいたリンベルク・
シュトラーゼの下宿を引き払うとき、シュワルツェンの館に一緒に住もうとラインハルト
は言ってくれたのだが、彼は丁重にそれを辞退した。それに憤慨したラインハルトが探し
出してきたのが、シュワルツェンの館に近いこの部屋であった。最初に見せられたとき、
キルヒアイスはここまで広くなくても――と控えめながら反対意見を唱えたのだが、金髪
の友人はこのこの部屋以外は認めぬ、そもそも上級大将たるもの、これぐらいの部屋に住
まなければどうするのだと頑固に主張したのだった。自分のことにはさっぱり無頓着で、
ともすれば少将か大佐並みの質素な暮らしをしかねないラインハルトにそのようなことを
主張されてもはなはだ説得力に欠けていたが、貧乏性であるのはキルヒアイスも同じであ
ったし、友人の好意は疑うべくもなかったので、ありがたく受けることにしたのだった。
「ラインハルトさま!」
――玄関のドアにたどり着くまでのわずかな間に、そんなことを思い出していたせいだ
ろうか、もどかしくロックを外したキルヒアイスは、つい主君を名前で呼んでしまった。
「キルヒアイス!」
だが、金髪の覇者はそれを咎めることなく、キルヒアイスに笑いかけた。煌めきわたる
水晶のような笑顔を彼が目にするのは、あの日以来のことであった。
「ライン――閣下。いかがなさいましたか」
「名前でいい。いや、名前で呼べ」
呼び方を改めようとするキルヒアイスを、ラインハルトは首を振って制止した。それか
ら、間髪を入れずに頭を下げる。
「すまなかった」
いつもは7センチ下にある黄金が、今はずっと下降している。ほとんど呆然としてそれ
を眺めていたキルヒアイスは、一拍置いて我に返った。
「頭をお上げください、ラインハルトさま」
しかし、ラインハルトにはそのつもりはなかった。少なくとも、胸中にあることをすべ
て吐き出してしまうまでは。
「ヴェスターラントのことは――」
どうにかしてラインハルトの体勢を変えようと努力していたキルヒアイスの手がピタリ
と止まる。
「後悔している。もはや取り返しがつかないことだ、今さら悔いたところで己の愚かさが
消せるとは思わないが――。だが、誓う。もうヴェスターラントで一人も殺さない」
直截すぎるほどの言葉であったが、それが逆に心からの声であることを伝えていた。キ
ルヒアイスは、胸の中をずっと塞いでいた重苦しいものが、あたたかい水となって溶けて
流れていくのを感じた。
「――ともかく、中にお入りください」
玄関先から室内に誘導すると、ラインハルトは今度はおとなしく従った。
キルヒアイスの家に使用人はいない。このクラスの部屋なら、少なくとも2〜3人は雇
うのが普通であったが、彼は身の回りの雑事をこなすのに苦痛を感じなかったし、外征が
多く留守がちなこともあって、週に何日か通いのハウスキーパーを頼むにとどめていた。
家に人を招く時には不便を感じることもあったが、今回に限って言えば余人に煩わされ
ずにすむので逆にありがたかった。
居間のソファにラインハルトを案内し、自分もその向かいに腰を落ち着ける。
「私も、ラインハルトさまにお詫びしなければなりません。心にもないことを申し上げま
した」
キルヒアイスの言葉が何を指しているのか正確に読みとって、ラインハルトは首を横に
振った。
「あれはおれが言わせたんだ、そうだろう? おれは狭量で心の貧しい人間だった。名誉
であれ、権力であれ、おれが手に入れるものは、どんなものでも半分はお前のものだと、
おれ自身が言ったのにな……」
幼年学校を卒業したばかりの年、惑星カプチェランカで初陣にあった2人は、味方の顔
をした敵の罠によって雪原で立ち往生する羽目になった。装甲車の中に閉じこめられ、わ
ずかな食料を分け合いながら、ラインハルトはそう言ったのだった。
15歳の子どもの口約束だと、他人が聞いたら笑うかもしれない。
だが、彼らは子どもの頃の誓いを叶えるために、ただそれだけのために高みへと翔け上
ってきたのだ。夢も、野望も、勝利も――過去のすべてを彼らは共有してきた。かけがえ
のないその時間を切り捨てようとしていた自分は、なんと愚かだったことか。
816 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/12 20:53
フィッシャーを連れてくるべきだったなー
とぼやくヤンが見られそうw
「そのようなことはもう――」
どうでもいいことだと、キルヒアイスは首を振った。ラインハルトが、今夜ここに来た
ということ、それで十分なのだと。
どんなに耳を澄ましても、キルヒアイスの言葉のどこにも、ラインハルトを責めるよう
な響きは聞き取れない。
「……キルヒアイス、お前は優しいな」
その優しさに、自分は甘えてばかりだとラインハルトは苦笑する。だが、これからはそ
うではない。自分は――ラインハルト・フォン・ローエングラムは、もう二度と大切なの
を忘れたりはしないだろう。
こうして一対の翼はまったき姿を取り戻し、ふたたび天の高みを目指して飛翔する力を
得たのであった。
今日はここまでー。
>802-803
レスを読む前に続きを書いてしまっていたので、あまりご期待に
添える内容でなくてすみません。
ただ、アンネローゼは父親のことを哀しい人だとは思っていても、
断罪はしていなかったと思うので、ヴェスターラントのことを知っても
ラインハルトが反省しているなら許すような気がします。
反省してなかったら、叱るでしょうがが。
それでも弟が言うことを聞かなかったら>182あたりの展開になりそうw
818 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/12 21:44
2つのストーリーを読ませていただいてますが、
オーベルシュタインとキルヒアイスは共存できないのでしょうか?
ラインハルトが早死にしたら
オーベルシュタインとキルヒアイスが手に手をとって
一緒に宇宙統一とかできるだろうか
264氏のお話の決戦で、同盟軍大ピンチ。
まさにその時現れる、フィッシャー率いるガイエスブルグ要塞w
>213氏
いや、うまいですな。もはや張り合う気も失せました。
私が書いているのは小説とは言えませんね、これじゃ。私のは小説風歴史の教科書だw
------------------------------------------
帝国軍の布陣はそうする間にも頻々と同盟側にも伝わっていた。どうも彼らは、意図的に情報を流している節すらあった。
帝国軍は三つの集団に分けられていた。
前衛集団はキルヒアイス元帥が率いる4万隻で、麾下にはミッターマイヤー上級大将、ルッツ大将、ワーレン大将、シュタインメッツ大将らが入る。
本隊はラインハルトが直率し、兵力は同じく4万隻。麾下にはロイエンタール上級大将、ビッテンフェルト大将、レンネンカンプ大将、ミュラー大将らが従う。
そして別働隊として2万隻が分割され、メックリンガー大将が指揮を委ねられる事となった。
帝都オーディンに勢揃いした10万隻の大艦隊は、ラインハルトの観閲を受けた。遠征が始まるのは時間の問題だった。
一方統合作戦本部は帝国軍の侵攻が近いと判断、政府に警告を行った。しかしロイエンタールらの欺瞞外交に完全に引っかかっていた同盟政府はそれを一蹴、どころかそうした警告そのものが軍部の策動に過ぎないとアピールした。
事ここに至るや、もはや是非もなかった。シトレは統合作戦本部そのものを前線近くに移すことを決断、要衝ガンダルヴァ星域の惑星ウルヴァシーが拠点に選ばれる。
オーベルシュタインは政府部内の複数名に、軍部がハイネセンから出て行くほうが好都合との観測を流した。これに踊らされた政治家達はシトレの動きを妨害しなかった。
>>818 >>819 赤毛の幽霊が、義眼に憑依して操るお話とか、つい、思い付いてしまいましたよw
「オーベルシュタインは、最近妙に人当りが良くなったなあ」
「コーヒーを持ってきた従卒に、笑顔で有り難うって言ってたぞ。従卒が脅えて泣
き出してさあ」
同盟政府の駄目っぷりをみて思うのですが。
2巻での同盟のクーデター。
クーデター部隊が、ハイネセンの政財官界の腐敗した権力者を全員、隠れていた
トリューニヒトも見つけ出して皆殺しにして、その後、自ら武装解除し、ヤン艦
隊とは一戦も交えず降伏し自首する、そんな展開になってたら、その後、どうなっ
ていたでしょうな。
同盟の腐敗構造は首都ばかりじゃなかったでしょうけど、少なくとも、皇帝誘拐
事件以降の歴史の流れは結構変わっていたような気が。
取りあえず、もしジェシカ・エドワーズが死なずに済み、同盟の元首になってい
たら、とか、妄想しちゃうのですよ。
ヤンのイエスウーマンになれば同盟に勝機はあるが。
ひたすら反戦を叫ぶ怖いおばさん化したら危ないな。
もう一つ、真っ当な判断力と決断力を持ち合わせた場合はヤンをうまく使いこなせるだろうけど、
あの惨劇に際して真正面からぶち当たったところを見ると、寝技とかは駄目そうだ。やっぱ野党の人ぽ
「統治者を殺しておきながら自らが統治を行わないのは卑怯だ」
「反逆者の政府でも無政府状態よりはましだ」うんぬんかんぬんと
ヤンがまたグダグダ言いそうだな。
ってこれは十二国記の「乗月」か。(わからん人ゴメン)
>>817 レス、どうもです。
「期待に添えない」などと、とんでも無いことでございます。
アンネローゼ、大変良い感じでした。
繰り言ですが、原作でも、キルの死後、彼女が田舎に引っ込んだりせず、もう
少し、二一三さんのIFの半分でも、弟を積極的に諭してやってたら、と思い
ますです。
>>824 決戦前にあっさり帝国に降伏し、10年後、野党党首として、帝国議会で大暴れする
エドワーズ議員w
828 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/13 07:21
>>827 そして、年金で昼間から酒を飲む、
今はあの<Gドワーズ議員の旦那としか認知されていない
かつての英雄ヤン・ウェンリーw
「ヤン・エドワーズ・ウェンリー」は、有りそうだし大変結構なことだが、
せめて、民間の大学の教授(歴史学科で「戦史」担当)に成りおおせて、
日々、ぼんやりやってるってのとかにしてくれい
830 :
コーヒーブレイク:04/07/13 22:12
フェザーン大学で講義するヤン教授
↓在校生が新入生に配るガイダンス
〜おすすめ講義〜
・「銀河歴史学概論」ヤン・エドワーズ・ウェンリー教授
銀河の歴史を主に主要人物の心理面から講義する。
ヤン教授のちょっと自嘲気味の語り口が学生の人気になっている。
さらにお勧めの理由は単位の取りやすさにある!
教科書持ち込み可。
それでもわからない人、解答用紙の裏面に「酒と人類」についてレポートを書けば
単位は来ます(実話)
831 :
コーヒーブレイク:04/07/13 22:24
フェザーンで呑み屋を開いたヤン・ウェンリー
〜居酒屋 イゼルローン〜
フェザーンで呑むといったらここ!
従業員全員が旧同盟国の軍服を着てるのが特徴。
座席は各個室に別れ、それぞれ
ビュコック、シトレ、ロボス、アッシュビー・・・・等
旧同盟国の提督の名前が付けられている。
帝国高級軍人御用達の店であり、あのミッターマイヤー主席元帥、ケスラー元帥達も
お忍びできているという。
土曜の晩は毎週ブランデーの日と決められており、
オーナーの「まあ、みなさん楽しくやってください」の掛け声と、
外壁に取り付けられた主砲から発射される打ち上げ花火の音で
呑み放題タイムが始まります。
832 :
コーヒーブレイク:04/07/13 22:41
今はあの<Gドワーズ議員の旦那としか認知されていない
かつての英雄ヤン・ウェンリー
が、暇なのでオンライン戦略ゲームにはまる。
ネットフェザーン6月号
特集〜オンライン戦略ゲームで話題!謎の常勝提督に迫る!〜
内容↓
今、一番フェザーンで熱いオンラインゲーム「ブリュンヒルト」。
ご存知、艦隊を率いて戦うオンライン戦略ゲームである。
さて、このゲームの世界で今一番話題になっている人物の噂を
聞いたことはあるだろうか?
彼の名は「ハイネセン」。もちろん本名は誰も知らない。
もちろん、その強さが彼の人気の秘密ではあるが、
もう一つ、大人気の理由がある。
それは・・・・
833 :
コーヒーブレイク:04/07/13 22:43
264さんが次を書いてくれるまで
落書きしながら起きてようと思ったけど、
もうむりっす。。。眠い。。。
楽しみにしてるので、今後もよろしくお願いします。
おやすみなさい。
面白かったっスよ、コーヒーブレイクさん。
835 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/13 22:46
836 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/14 12:23
>>264 いやー、素晴らしく壮大な展開ですね。
かつてない壮絶な大会戦の予感に胸がドキドキです。
(ラインハルト&ロイエンタール)、(キルヒアイス&ミッターマイヤー)、
(メックリンガー)の3つの軍集団と、
(ヤン&ファーレンハイト)、(パエッタ、フィッシャー)の2つの軍集団が
いかなる展開で相まみえて交戦するのか楽しみです。
>830-832
いや、面白かったっス
832の続きが普通に気になってるんだが…
>>823 あの当時だと、まだ「目覚めて」いないアイランズも一緒に殺されてしまう可能性が…
839 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/14 18:19
>>832 閣議前の雑談で
ケスラー「私もハイネセンにこないだやられました。」
ワーレン「ケスラー殿もか。私もやられましたよ。なぜか追撃はしてきませんでしたが」
ビッテン「卿らは腕がなえたか?w私はやったことがないが、
実戦経験のある提督達が負けるなどとは恥ずかしいぞ。
俺なら絶対に負けない!」
ミッター「カイザーが来られたぞ」
ラインハルト「遅くなったな。オンラインゲームをやっていたのだが、
強い奴が一人いた。何度も挑んだので時間を取られた。
余がまさか歯が立たないとはな・・・。
一度会ってみたいものだ・・・
うん?ビッテンフェルトどうした?顔色がすぐれぬぞ」
一同「苦笑」
もしもキルヒアイスが生きていたら>184バージョン
>234-237、>252-258、>334-340、>574-582、>771-775、>794-798
>809-815、>817続き
翌日、ラインハルトは元帥府に到着早々、オーベルシュタインを呼び出した。
「昨日の告発の件だが」
前置きをせず、ラインハルトは切り出した。
「昨夜、私自らキルヒアイス上級大将を審問した。捕虜名簿の記載漏れの件に関しては、
始末書を提出させる。虚偽の報告については、捕虜の引き渡しを諒解したことで不問に付
した。――ただし、件の兵士は私が預かる。この意味がわかるな、オーベルシュタイン」
ヤーともナインとも、オーベルシュタインは答えなかった。ただ、その義眼が奇妙な光
を放ったように、ラインハルトには思えた。
「私はキルヒアイスに約束した。ヴェスターラントでは、もう一人も殺さないと。この誓
いを破らせる者がいれば私は容赦しないだろう」
「――閣下」
何かを言いかけたオーベルシュタインを無視して、ラインハルトは言葉を続けた。
「彼は取り調べをした後、他の捕虜たちと同じように収容所に収監する」
兵士の命をとろうとは思わないが、好遇を与えるつもりもラインハルトにはなかった。
核攻撃を止めさせようと、ラインハルトの軍に投降してきた兵士はともかく、ただブラウ
ンシュバイク公から逃げてきただけの兵士に、温情を与える必要はないと彼は判断したの
である。この点、彼は冷淡ですらあった。
「兵士がヴェスターラントの件を触れ回った場合はいかがいたしますか」
秘密を知る者をどうするかという、核心に触れる問いに、ラインハルトは答えは簡潔を
極めていた。
「放っておけ」
オーベルシュタインがわすかに眉をあげた。この男が感情を表に出すことは珍しい。そ
れほど意外だったのであろう。
「真実を話している者を、罪に問うわけにもいくまい。ヴェスターラントを私が見捨てた
のは事実だ。こちらからそうと喧伝する気はないが、隠蔽する必要もない。逆にそのよう
な工作をすればするほど、瑕は広がっていくだろう」
「しかし閣下」
「もう決めたのだ、オーベルシュタイン」
ラインハルトがこの件に関してこれ以上の意見を容れるつもりがないのは明白であった。
主君が冷静な判断力を有しており、愚かしい感傷に引きずられて兵士の処遇を決めたわけ
ではないらしいこと、今回はそれだけでオーベルシュタインは満足しなければならないよ
うだった。
「……捕虜収容所には閣下への不満を持つ者も多くいましょう。彼が不平分子どもと結託
して、閣下に刃を向けてきたらどうされます」
「そうなったら、その時に彼らを処罰すればよい。もしも私が討たれても文句はない。実
力のない覇者が倒されるのは当然のことだからな」
ラインハルトは笑った。華麗なその笑い声は、ここ最近の憂色を払拭し、確かな自信と
覇気に満ちていた。
ラインハルトの変化をオーベルシュタインははっきりと感じ取った。半身を取り戻し、
彼は自らの覇道を見定めた。黄金の髪の若者はもはや揺るぎない存在となったのだ。
「卿らも同様だ。私を倒すだけの自信と覚悟があるのなら、いつでも挑んできて構わない
ぞ」
ラインハルトの軽口に、ご冗談を、とオーベルシュタインは返した。その口調にも表情
にも、相変わらず感情はまったく表れず、義眼の提督の心情をうかがい知ることはできな
かった。
帝国暦四八八年一〇月。ラインハルト・フォン・ローエングラムはかねてから囁かれて
いたとおり、帝国宰相の地位についた。爵位も公爵に進めている。
彼の麾下の提督たちもそれぞれ新たな階級を得たが、ただ一人、ジークフリード・キル
ヒアイスだけは上級大将のままであった。リップシュタット戦役で最大の功績を挙げた彼
であったが、ラインハルトと同じ階級にあがることを遠慮したのである。さんざん説得し
たのだが固辞され、仕方なくラインハルトは宇宙艦隊司令長官の地位を持って、彼に報い
た。最初、キルヒアイスはそれも辞退しようとしたのだが、「これぐらいは受けてもらう
ぞ。最大の武勲をあげたお前を昇進させず、地位も与えないのでは、おれは吝嗇と言われ
てしまうではないか」と言い張って、ラインハルトが押しきった。ラインハルト自身は変
わらず軍務尚書、帝国軍統帥本部総長を兼任し、宇宙軍最高司令官の称号で呼ばれている。
キルヒアイスにしてみれば、またともにラインハルトと在ることができる、それが何よ
りの褒賞であり、それ以外に何も望みはなかった。同時に彼には、自分を麾下の提督たち
から突出させないようにしようとする計算も働いていた。無論、オーベルシュタインの視
線を意識してのことである。過日以来、ラインハルトはキルヒアイスを公然とナンバー2
として扱うようになったが、キルヒアイスとしては、それによって無用の軋轢が発生する
ようなことは避けねばならなかったのである。
そのオーベルシュタインは中将から一気に上級大将に昇進し、総参謀長に任ぜられた。
この人事を決めるとき、ラインハルトはキルヒアイスに言った。
「奴を御そうとして、おれは一度、失敗した。だからこそ、もう一度やってみるのさ。奴
一人扱えないようでは、宇宙の覇権をのぞむなんて不可能だと思わないか」
かつてと同じセリフを吐いて、ラインハルトは悪童めいた笑いを浮かべた。
あとひとつ、特筆すべき点は、美貌の伯爵令嬢ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
が主席秘書官としてラインハルトを補佐する役目を負ったことである。彼女の政治、外交、
戦略に関するセンスのゆたかさは、リップシュタット戦役でラインハルトに公文書を要求
した件で広く知れ渡っていたが、異例の抜擢の陰には別の意味合いも含まれているのでは
ないかと、軍部内ではもっぱらの噂である。
本当のところはどうなのだとキルヒアイスに聞いてくるものもいたが、彼の見るところ
ラインハルトは純粋に彼女の才能を評価しているだけだと思えた――今のところは。
政治・軍事の両大権を手にし、ローエングラム独裁体制を誕生させたラインハルトは、
内政の整備と自己の権力基盤の充実に、忙しい日々を送ることになった。財政、法体系、
行政組織など、改革せねばならない問題は山積みであった。それらを解決する上で、赤毛
の友が大きな助けとなったことは言うまでもない。
「この分では、ヤン・ウェンリーとの決着はしばらくお預けだな」
処理しても処理しても減らない書類の山にいささかうんざりしながら、ラインハルトは
キルヒアイスに愚痴とも軽口ともとれるセリフをこぼした。
政治の分野でも傑出した才能をみせるラインハルトであったが、やはり彼は本質的に軍
人であり、彼にとって強敵との戦いは、デスクワークなどよりずっと食指がそそられるご
馳走なのであった。
その頃、“ご馳走”のヤン・ウェンリーは、トリューニヒトとの握手という不愉快かつ
忌々しい苦行を終えて、イゼルローンへ戻ってきていた。帝国から亡命してきたメルカッ
ツ提督が麾下に加わり、陣容の厚みも増した。いつか来るであろうラインハルトとの戦い
に備え、その頭の中にはいくつものシミュレーションが行われている。
彼が深刻かつ馬鹿馬鹿しい陰謀に巻きこまれ、ハイネセンで苦痛の時間を強いられるこ
とになるのは、もう少し後の話である。
と、いうところで一区切りです。
次書くとしたらヤンの辞表騒ぎなのですが(辞表出した
からって辞められるとは限らないわけですが)、その前に
原作もう一回熟読しないと。細かいところポロポロ忘れてます。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。
乙です!
ラインハルトがあのセリフをオベに言ったということは、
オベに叛乱フラグON?(ドキドキ
いいところで続くというのは・・・
でもお疲れです。またいいものを期待してますよ。
ところでオベが反乱したとしても味方になる提督とかはいるのかな?
847 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/14 22:44
オベに艦隊はないから、誰かを頭に立たせて参謀するのでは?
御しやすいのは?
猪頭脳の彼かな?w
ひと区切りって……まだ続くんですよね?
続かないとヤダヤダヤダヤダヤダーーーーーーーー!
オベの場合、反乱でなくて暗殺とか狙いそうだが。
もしくはクーデター。
>>845 なぜ、オベ叛乱のフラグ?
現時点で、武人としての野心が薄いオベが反旗を翻す理由はないだろう。
キルヒー格下げは失敗したが、それはあくまでも彼の持論に基づく意見であって、
それを主君が否としたからといって、即叛乱を起こすような単細胞でもなかろう。根に
もっても、結果としてうまくいけば、「そういうこともあるだろう」と大人しくしていると思う。
理屈に合わんからといって、現実に難癖つけていては、それは単なる「理屈倒れ」
だし。
850 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/14 23:51
>>849 なんか845の言ってることとずれてるぞ。。。
845の言ってるのは、
ほんとのラインハルト「いつでもかかってこいや!」→ロイエンタール
→ロイエンタール反乱
213氏のラインハルト「いつでもかかってこいや!」→オーベルシュタイン
→もしかしてオーベルシュタイン反乱??(わくわく)
ってことだよ。
そゆことです。
>850
フォローアリガトン
ところで、「No.2不要論」についてなんですが。
依然、堺屋太一氏の「豊臣秀長」を読んだのですが、これによると、「うまく
いくNo.2」ってのは、「No.1のライバルにはならず、後継者でもない」
「有能であり、尚且つ性格や言動、存在感が地味」等が要件であるらしいです。
豊臣秀長は理想的なそれだったと。
キルヒアイスはどうでしょうね。
性格の控えめさは、いい線いっていると思うのですが。
訂正。
依然でなくて以前です。
>存在感が地味
これがあかん。副官のままとか、ミッターマイヤーやロイエンタールと同レベルとかなら問題なかった。
秀吉の場合、軍師としては半兵衛と官兵衛が居たしね。
九州や四国への遠征の指揮官は秀長だったでしょ。たしか。
つまり、秀長は、「お前が無事だったら遠征軍の総指揮官を任せて
俺は内政に専念できたのに・・・」を実現していたNo.2だった。
213さんの話だと、キルヒアイスが宇宙艦隊司令官になっているから
>「お前が無事だったら遠征軍の総指揮官を任せて
>俺は内政に専念できたのに・・・」
が実現できるかも。
まあ、地味ではないけどな。原作でも辺境王だの武勲が大きすぎると
囁かれていたりもしたようだし、心ならずも和を乱すNO.2になる
可能性もあるよね。
秀長の場合は実弟で、兄に長らく子が無かったから後継者としての側面もあったな。
オーベルシュタインに言わせれば、むしろ歓迎すべきNo.2ということか。
ラインハルトって、自分で遠征しないで満足できるのかね。
キルヒアイスに内政を任せて自分は飛んでってるだろうな
860 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/15 20:41
でもなんでロイエンタールの反乱の時は自分で行かずによりによって一番やりづらい
ミッターマイヤーに討伐させたんだろ?
ミッターマイヤーが、「友人の仇は自分自身、皇帝を憎む筋ではない」と
思えるようになりたかったから、自分でやりたがったのだろう。
そういう心情を、オベが推察し解説してたな。
オベに判ることなら、ラインハルトだって察してやることが出来るだろう。
皇帝の御手を汚してはあかんという事だ。
ラインハルトも自分で倒すのは駄目と解ってたから命じたんだろう。
キルヒアイス以外で、堺屋氏の説的に、No.2に適当な人材って、
ラインハルトグループだったら誰がいいでしょうね。
私は、ミッターマイヤーやロイエンタールより、ミュラー辺りが良い
のではと。
性格や印象は地味な方ですし、充分有能、天才なトップを控えめに補
佐し、皆をまとめられる調整者タイプと思います。
ここまで書いて、国務尚書マリーンドルフ伯は、政治的にまさにそう
いう立場だったのではと思いました。
「地味で有能」って、そうは居ませんし、得難い人材だったのでは。
864 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/15 22:52
>>863 地味で有能って言ったらあいつだよ、あいつ。
・・・・地味すぎて名前が出てこない。
ほら、無口で指を鳴らしたらコーヒーとかってやつ。
>864
アイゼナッハだな
アンスバッハは、キルヒアイスを殺した人っすよ。
似た名前といや、ナイセバッハとかいうの居なかったっけ。
No2その条件ならミュラーぴったりだね。キルヒアイスと似ているし。
みんな忘れてるな、一回も小説内で記述されず一回もアニメで出番がなかったほど
影の薄い、でもとっても有能な「アイツ」が居るじゃないか。ほら貴方の後ろに…
ルビンスカヤだな。
みんなわかってないよ。
地味で、聡明で、ラインハルトに忠実で、
でもラインハルトが間違ったことをすると優しく諌める
No.2はグリューネワルト大公妃殿下でFA?
ラインハルト陣営じゃないけど、アンスバッハもNo2.向きかも。
>871
いや、彼は執事なんで駄目でしょう。
あとはネタばれになるんでやめときますw
大公妃殿下はある意味No1だからダメだろ。彼女の言葉はラインハルトに取っては助言じゃなくて神託になりそうな雰囲気もあるし
ナンバー2?
しとらいと!
しとらいとに決まっておろうが!
帝都オーディンにおいてラインハルトの観閲を受けた帝国軍が最後の作戦会議を行ったのは、帝国歴798年(宇宙歴489年)10月27日の事だった。
「・・・以上、10月1日付で敵軍は拠点を首都ハイネセンよりウルヴァシーに移設しております。統合作戦本部長シトレ元帥以下、スタッフ全てがここへ移っているとの事です」
ロイエンタールの報告が続いている。スクリーンには、シトレ元帥以下主要スタッフの画像が映し出されている。情報部長としてオーベルシュタインの顔もあったが、誰も何も言わない。それが禁忌であることは皆が理解している。
「先だって現役復帰したシトレ元帥は、現在敵軍中最もこのポストに相応しい人物だと判断しております」
「あぁ、なかなかのやり手だ。軍政軍令共に豊富な経験を持ち、内外の令名も高い・・・」
ラインハルトが髪をかきあげる。その様子を見つめていたメックリンガーが、小首を傾げた。
「国家存亡の折、最適の人材を充てたものでしょうか。ならば敵もまだ脳髄まで死んではいないことになりましょうが」
「いや、それは無かろう」
至極あっさりと、ロイエンタールは冷淡とも取れる態度でそう言った。
「彼の起用は軍部の意思だ。先般の回廊での大勝で、軍部ひいてはヤン・ウェンリーの大衆的な人気は極大にまで達している。今の同盟政府に、それに抗することはできまい」
「しかし意外と言えば意外だな」
とミッターマイヤー。ロイエンタールは友人に視線を向ける。
「ヤンという男は政治に容喙しないことを佳しとする、と聞いていたが」
「容喙というより、他に選択肢が無いという事だろうな」
「なるほど・・・」
「ではロイエンタール、軍部と政府の意思は完全に乖離していると判断して良いのだな」
とりまとめるようにラインハルトが声をあげる。ロイエンタールは頷いた。
「その通りかと。同盟政府はこちらの謀略に乗り、我々と秘密不戦協定を結べると考えています。この協定でもって軍部に奪われた支持と威信を回復しようとしているのでしょう」
ロイエンタールが先般から進めている工作がこれだった。同盟と秘密の内に不戦協定を結び、両国がお互いを承認して共存しようというのだ。
トリューニヒトはこの謀略に乗った。それほど苦しかった、ということはあるのだろうが、実のところこれにはもう一つからくりがあった。
そのからくりにロイエンタールが気づくのはもう少し先になるのだが。
トリューニヒトは、「悪い意味で凡人ではない」ですから、皆を呆れさせる
妖怪じみたところを、原作以上に、是非見せて戴きたいものです。
そして無論、その交渉そのものが擬態に過ぎない。それはロイエンタールもよく承知している。
「フェザーンには動きはありません。敵政府と接触している所までは掴んでいますが」
そう言うと、ロイエンタールは微妙な表情を見せた。それが少しばかり焦りと苛立ちを含んでいる事に、ミッターマイヤーだけが気づいている。
しかしラインハルトは優雅に首を振った。
「それで良い、今のところは」
「今のところは、ですか」
「そうだ」
そして我々は既定通りに作戦を遂行すれば良いのだ、そう彼は言った。
同盟内部におけるオーベルシュタインは全くの孤独だった。
彼はもちろん同盟軍統合作戦本部情報部長として相応以上の働きを見せていたが、彼の真意と目的はまた別のところにある。
彼は既に、トリューニヒトと地球教徒の関係をある程度まで掴んでいた。そこにフェザーンも絡んでくることも、今のところ証拠はないが推測出来ている。
そこで打ったのがこの手だった。明敏なロイエンタールがこの種の策略を仕掛けてくることは見えていたので、それがより美味しそうに見えるように少し手を加えてやったのだ。
ありていに言えば、彼は独断で情報の伝達速度を恣意的に変えていた。時系列的には不戦協定絡みの欺瞞外交を仕掛けてきたのはロイエンタールの方が早かったのだが、彼は意図的に情報を握りつぶした。
同種の策謀をフェザーンが仕掛けてくるだろう、と考えたからだった。そして案の定、フェザーンは帝国と同盟を共存させ得るように見える未来図を同盟首脳にちらつかせた。
そこでオーベルシュタインははじめて握り込んでいた情報を明かした。帝国とフェザーン、その両方から似たような情報を掴んだと考えた同盟政府は、手もなくこの策動に乗った。
・・・そしてそれこそが証拠なのだ。
と彼は思う。トリューニヒトという一種悪魔的な男がこうも簡単に策謀に乗ったのは、それが自分の策謀と状況的に符合したからだった。
つまり、背後にフェザーンと地球教徒が絡んでいる、とトリューニヒトは判断し、これを好機と考えたのだろう。
全て、そこまで読み切ったオーベルシュタインの奇計とも知らずに。
264さんへ質問(というか要望)
復活したアル・サレム中将は何処へ移動されたのでしょうか。
乗艦の「パラミデュ−ス」と共にイゼルローン駐留軍に編入されたんですか?
あと、パエッタ中将指揮下の新第三艦隊の旗艦はまだ記されてませんが
やはり「パトロクロス」なんでしょうか。
同盟艦艇ずきな自分としては、↑の2艦がどうなったのか気になるところです。
あっ、それと・・
264さんの銀英伝では、ロボス元帥の乗艦であった「アイアース」と
故ルグランジュ中将の乗艦でヤン艦隊に拿捕された「レオニダスU」は
まだ健在ですか?
イゼルローン駐留軍に参加してるか、シトレ元帥の乗艦になってたりして・・・
ビュコック老人とチェンは旗艦「リオ・グランデ」共々ウルヴァシーに居るんでしょうね。
881 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/18 09:24
264氏と213氏に敬意を表し、age!
882 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/18 19:37
考えてみれば、同盟の艦艇ってパトロクロスとかパラミデュースとか
レオニダスとかディオメデスとかアキレウスとか、明らかに映画「トロイ」の
パクリだよな。トロイがヒットしたからだろうけど、結構作者って
ミーハーなんだな。
_,,:-ー''"""""゙''ー;、,,_
,,;rー''" `''ミヾミヾ、゙ヽ,,_
,r'" -ー--;;,,_ ヽミヽ,゙i ), )゙ヽ.
,r'" ,,,ニ"二=-ー-=ニリツノ_ソ,ク,ノ ,)゙!
,/ "-'''",/ (( lr"~`ミ:、 ̄`<ノヽ,
| _,,r'" `' `'ー }) }\ソ
.| ,i;' -ー彡| 〃 |, ヽ, そんな餌で俺様が釣られる
レ'i' " ̄_,ィ! ,,,__ ゙l ;| とでも思っているのか?
;'f, ,ニ≡ヲ' _二ニ:ェ__ _,,,,=-、| ソ
,f,/',if'" `i_l! `''-゙''゙-''"_~` <''セァ,ラ ソノ
゙l ll!゙l, l〈 ~ ,, '''" l` lリ
゙l l! \`'' { ゙ ,|
=リ,l ノ ゝ-i ゙':i;, 、 -、 ,,). ,r"
,f.i f~ ハ,ト. ゙i ,,,,,____ /
゙い. l ;l' ゙l、. `''ー==='" ∧
゙),) ぃ、も=' \ `'''==-' /),}
(、ミヾf`'<,,_ \ / r"
ゝニ/,;へーニ'''ー-ミ=:,,,_ ,,/';、,)
,,r-'/  ̄`フ'' -ャ、`l!'';ニ":<i.l'
ニ-:、ミ-ニ,,, し⌒'l | | | i⌒'| |、_
`'''-ニ''-ニ__ノ .,| | | ゙l,. ゙'ハ  ̄`'''ー-
`''-、. 、-''",! l! lゝミー' ノ
ヽ.゙ヽ,/',r'゙'ヾヽ7,/
`''-、f~ヽ l ゙! : l⌒゙i: ゙| i,
>>882 発表年代わかってての釣りか?
本気で言ってるのなら大恥だぞ。
同盟の恒星系のネーミングの由来からして...
バカが一匹釣れたぜ!ゲラゲラ
まあしかし、帝国でも同盟でも、艦艇数が半端じゃないから、名前つけるのも
大変だったろうね。特定のグループ(昔の日本海軍なら地名)に限った命名だ
と、どうしても重複は出るだろうし。
艦名は一応登録されているのものの、
結局管理上は記号で見るしかないのではないかと。
管理の為の記号が有るから、艦名は要らんというものでもなかろうし。
命名者は、リストや辞書や百科事典とかを見ながら、あれこれ考えていたのでは
ないかな。
ちなみに、「ブリュンヒルト」は誰の命名ですかね。
フリードリヒ4世が、直々にだったとか。
889 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/18 23:48
>>882 つまり発表年代からいってトロイは銀英伝のパクリでしかあり得ないというワケです
えらい人にはそれがわからんのです
魁!男塾で登場人物の名前が銀英伝と被ってた時期があったが、
アレはなんだったんだろうか。
891 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/19 09:09
外伝1巻20章から出てきたエダジーマ大将、
同時期、正伝6巻58章から99章で活躍するモモタロー少尉
「バーミリオン」と「ジークフリード」が相次いで登場したことがあったな。
それ以上は思い出せない・・・
ランズベルク伯が「リップシュタット戦役壮烈従軍回想録激闘編第1巻」を
持ちこんだのが民明書房。
もしもキルヒアイスが、アンネローゼが後宮に入れられる時点で
成人していたら、同盟に亡命していたかも……とか原作で言って
だけど、本当にそんなことできたんだろうか。
実は逃げないように監視がついていたりして。んで、亡命しよう
としたらたちまち捕まっちゃったりして、キルヒアイスアボーン。
ラインハルトはその復讐のために帝国打倒を誓う……なんだ、
結局同じ流れか。
>895自己レス
キルヒアイスが犠牲になって、ラインハルトとアンネローゼを
亡命させた方がドラマとしては盛り上がるか。
で、同盟で帝国打倒を誓うラインハルトは、軍人としてのし上がると。
ラインハルトが同盟に参加していたら、ヤンは前線に出て提督になることもなく、
大学でのんびり戦史研究三昧な生活を送れたのだろうなぁ・・・ヤンが死なない話と
しては悪くない。
エルファシルまではそのまま、第六次イゼルローンではラインハルトがいないから同盟が攻略に成功していたかもしれない。
宇宙艦隊司令部からの転任がないまま参謀としてそれなりにうまくやっていくということは、ラインハルトの上司や部下になってる可能性も高いのでは
ミューゼル中将28歳にヤン中将37歳とか。
ついでに、ユリアン・ミンツ少佐22歳。
総司令部ニ連絡。
我、キリ番900を占拠セリ。
「キリ番だと?そんなものに何の意味がある?」
と、ラインハルトは冷たく切り捨てた。
>>899 28歳になるまでに、例の病気が発病しなければだが。
25歳で早世したミューゼル准将を悼むヤン少将、てのが有りそうだ。
「神々の黄昏」と命名された同盟侵攻作戦が正式に発動されたのは、帝国歴798年11月1日の事である。
この日、まずメックリンガー大将率いる2万隻が先発、イゼルローン回廊へ向かった。更に翌日にはキルヒアイス元帥指揮の4万隻がオーディンを進発、その最前衛を任されたミッターマイヤー上級大将は高速部隊1万5千を率いてフェザーン回廊へ急行している。
ラインハルト率いる本隊が出撃したのはその3日後11月5日のことだった。
この3日の間に、ラインハルトの身辺でちょっとした出来事が起きていた。
彼は個人的な秘書官としてマリーンドルフ伯の息女であるヒルデガルドを任用していたのだが、彼女がラインハルトの不興を買って暇を出されたのだった。
直接的な引き金は、彼女がラインハルトに出征を思いとどまらせようとしたことにある。
「宰相閣下は帝都に留まり、キルヒアイス元帥が勝利の果実をもたらすのをお待ちになられては如何でしょうか」
そう彼女が進言した時のラインハルトの様子を、同席していた主席副官シュトライト中将はこう語る。
まさに獅子の咆哮と言うべきだった、と。
「フロイライン!あなたは何を言っているのか、自分で分かっているのか?」
「王者には王者の態度というものもあるのではないか、と申し上げているのです。征戦は部下にお任せになって閣下は大局を総攬されるべきではないでしょうか」
その言葉は、金髪の独裁者の怒りの炎に油を注いだだけだった。
「部下?部下と言ったか?私がキルヒアイスらをただの部下扱いしていると、本気でそう思うのか?」
「・・・それは・・・」
「彼らと共に私が前線に赴き、敵の主将と雌雄を決する、そうせねばこの戦いは終わらぬ!それが分からぬか!」
ここで素直に謝罪して自分の非を認めれば、この聡明な伯爵令嬢にもまだ舞台は与えられたろう。しかし自分で自分を聡明だと考えているこの女性は、それ故に墓穴を掘った。
「・・・お言葉ですが、それが王者たるお方に相応しい行いでしょうか?」
瞬間、ラインハルトは思いきりテーブルを叩いた。
「ならば私は王者などにはならぬ!」
そしてそのまま、戸口を指さす。
「フロイライン、あなたには失望した。もう出仕の要は無い・・・屋敷に帰られるがよかろう」
こうして一人の女性が歴史の表舞台から姿を消したのだった。
このエピソードを引いて後世の歴史家は語る。ラインハルト・フォン・ローエングラムはまず何よりも先に誇り高い戦士だったのだ、と。
うあ。
ヒルダが気の毒ですが、つまり直系による世襲の可能性が消滅したということ
でしょうか?
出撃に際し、はじめて弟の出征をアンネローゼが見送った事も、ある意味では特筆すべきエピソードかも知れない。
その場に居合わせた者は皆同じような感想を持った。ここではミュラー大将の言葉を引いておく。
・・・それはまるで、我らが元帥閣下に勝利の女神が祝福を与えているかのような光景であった・・・。
「それでは行って参ります、姉上」
「気をつけて、ラインハルト・・・幸運を祈っています」
姉の言葉に、ラインハルトは破顔した。
「私の幸運より、キルヒアイスの幸運を祈ってやってください」
「まぁ・・・」
「冗談ですよ、姉上。お言葉、感謝します・・・ですが、私にはキルヒアイスも、多くの優れた提督たちもいます。必ず、無事に戻ります」
「・・・ええ、そうですね」
アンネローゼは思う。いくら姉である自分に対してとはいえ、弟がこうして他人を思いやるような事を普通に言えるようになるとは、と。
彼女にとっては、自分やキルヒアイスだけでなく、提督たちのことにも気を遣う弟の姿が何よりも嬉しかった。
・・・これもジークのおかげ、なのでしょうか・・・。
純白のマントを翻して全軍の先頭に立つ弟に、彼女はかつて感じた危うさが薄れているように思えた。
>>904 なんか、「ヒルダが嫌いなのか?」と聞きたくなってしまいそうな扱い…。
>>906のライと比べると、「中の人が違うだろ?」と言いたくなってしまう。
ヒルダの復権を願います(
>>905のような件もあるし)。
仕方ないのでは。
ちょっと原作とイメージ違う気はするけど、これが264氏の
ヒルダなんだろうから。
>ヒルダの扱い
キルヒアイスがいてオーベルシュタインがいない以上、ラインハルトにとって彼女の存在は必要ないと考えました。
戦争についての考え方では叱責も受けていますし。
まぁ、好きなキャラクターではないという事は否定しませんが。
別に必要なければ出さなきゃいいだけの話では。
ヒルダが王者の行いにこだわるとは思えないんだがなあ。
彼女はオーベルシュタインと違って、ラインハルトをそういう
型にはめようとはしてなかったから。
ラインハルトが狭量な行いして、王者らしい振る舞いを、と
諫めることはあるとしても、今回の場合は????って感じ。
ウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将が、その俊足ぶりを存分に発揮してフェザーン回廊に突入、惑星フェザーンを包囲したのは11月10日のことだった。
この記録的な強行軍を可能にしたのは彼の艦隊運用手腕のみならず、彼がただ急進撃に集中できるように万事ぬかりなく手配したキルヒアイスの非凡な支援能力によるものだった。
何の前触れもなく虚を衝かれたフェザーン側は何の対応手腕も打てず、包囲突破を試みた数隻の高速船があっけなく拿捕された時点で抵抗を諦めるしかなかった。
翌日、フェザーン自治領はミッターマイヤーに降伏し、自治権返上を申し出た。
なお、自治領主ルビンスキー氏はその私邸で死体となって発見されたが、同じ部屋でケッセルリンク主席秘書官、ルビンスキーの愛人とされる歌手サン・ピエール嬢も同じく死体で発見されている。帝国軍憲兵隊は、何らかのトラブルによって殺し合ったらしい、と発表している。
一方で、メックリンガー艦隊がフェザーン回廊に到達したのは11月15日のことだった。その気になれば数日は早く進出することも可能だったのだが、ラインハルトより15日付での到着を厳命されていた彼は、几帳面にその日の零時に回廊宙域に侵入している。
イゼルローン回廊は沈黙の内にあった。恒星アルテナと二つの要塞が、彼とその艦隊を静かに迎えていた。
>ここで素直に謝罪して自分の非を認めれば、この聡明な伯爵令嬢にもまだ舞
台は与えられたろう。
しかし自分で自分を聡明だと考えているこの女性は、それ故に墓穴を掘った。
ヒルダは、「由無いことを申し上げました。お許し下さい」って、さらっと言
えそうなタイプと思いますがにゃー。
自分の正しさに拘るタイプなら、原作でも、もっと食い下がっていい場面が有
りましたし。
ラインハルトがヒルダに諫言されて、「あなたの直言をいつも喜ぶと思って貰っ
ては困る」とか、マヌケなことをほざいた場面とか。
キャラクターの人格にIF設定があってもいいんじゃないの。
好き嫌いがあるのはわかるけど、作者の設定を尊重しようや。
あ、「作者」ってIFの作者のことだからな。
決戦前の重要な時期に、キルが死んでなくて和解できて落ちついている筈のラ
インハルトが、ヒルダクラスの有能な人材を、ちょっとした言葉や考え方の行
き違いで、左遷どころか追い出すまでするかな、って気もします。
それに、姉上や親友や双璧が、よってたかって取り成すでしょうに。
左遷された彼女が自分から辞める、とかなら、まだ有りそうですが。
>キャラクターの人格にIF設定があってもいいんじゃないの。
好き嫌いがあるのはわかるけど、作者の設定を尊重しようや。
ま、そうなんですが。
NHKの「人形劇三国志」で、ある人物が、演義だか正史だかでは立派な人物
だったのに、人形劇では非道な悪人に描かれていたのを、田中先生が、「これ
はあんまりではないか」って意味のことを書いておられたのを、なんか思い出
しましたよ。歴史の解釈は色々有っても、人物の人格を貶めるのは許容できな
いって感じでおいででした。
退場させるにしても、「明哲な女性」として、もっと納得いく形にして欲しかっ
たものです。
「秘書官としての任は解く。代わって内閣官房長官に任ずる。留守をお願い
したい」とかですかね。
で、シルヴァーベルヒ辺りと仲良くなって、結婚に至るとか。
917 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/07/20 18:38
>>915 ああ、呂蒙ですな。
カンウを敗死させたので、ストーリー上の都合から
かなりの卑劣漢にしてたね。
実際では、カンウの方が人間的によっぽど問題が
あったのだが。。。。
しかし、人間を極端に英雄と大バカに区分する
ミーハー主義の作者が言うべき事ではないと思うが。。。
ルビンスキーやトリュ−ニヒトや、それにフリードリヒ4世とかは、なかなか
陰翳の有るキャラクターになっていたと思いますよ。
>>916 後年、シルヴァーベルヒは語っている。
「帝国宰相になる積りだったが、まさか『帝国宰相のご亭主』と呼ばれる身の上
になるとは、予想外だったなあ」
>>915 そうそう。そこに違和感を感じた。
現状のライなら、怒ってもいきなり「おまクビ」は言わないだろうし、キルヒー辺りがフォ
ローして、復帰。で、「お前は誰にでもやさしいな」と締めるパターンでしょ?'(これでクビな
ら、原作のオーベは何度クビが飛んでいるやらw)。
ヒルダを退場させたいなら、それでもいいけど、そうすると
>>904の
>弟がこうして他人を思いやるような事を普通に言えるようになるとは、と。
と、思っているアンネローゼが大ボケに見えてしまう。
まあ、基本的には作者の思うがままを尊重しますので、これまでとしておきますが、フォ
ローできるなら、してあげてください。「みんなハッピーEND」が望みなので。
ヒルダを退場させるために、無理に挿入したエピソードという
気がしなくもない。
だからヒルダもラインハルトも、性格が歪んじゃってる。
別に必要ないなら、>910の通りにヒルダを出さなきゃいいだけの
話だと思うんだけどな。
まー、今さら言っても仕方ないことだけど。
ジャーナリストに転職して、時代状況の証人になり、そして硬骨の報道人として
の名を歴史に残すとか。
私個人の感想としては、ヒルダが更迭されなかったとしても、
原作と違って、この先活躍するような場面はないように思う。
それに、キルヒアイスやミッターマイヤー、ミュラー達は共に戦場で戦ってきた戦友だが、
ヒルダは保身のためにラインハルトに組した(利用しようとした)打算的な人物と解釈することも出来る。
というわけで、私にとってはヒルダ退場は正直嬉しい展開です。
IF作者様
これからもご思慮のまま、物語を進めてください。
ヒルダなんてウザイだけだろ。
キルヒアイスが居れば、正直ヒルダなどイラン。
>キルヒアイスがいてオーベルシュタインがいない以上、ラインハルトにとって
彼女の存在は必要ないと考えました
ヒルダのような、文官方面での天才肌の傑出した人材って、原作中はシルヴァー
ベルヒ以外居なかったです。
どうせ早死にする天才坊やには不必要でも、草創期の新帝国には必要では。
わかってると思いますが、IFの世界ですよ。
原作でヒルダがやってた役はキルヒアイスが担当するから必要ないってことだろ。
IFの世界ではキルヒアイスがアンスバッハに殺されていないように、
ラインハルトが早死にするとは限らないわけだが。
個人的な見解を言わせてただければ、二次創作はできれば
各キャラクターに対する配慮を欠いて欲しくないな。
無論、キャラに好き嫌いがあるのは当然のことだが、嫌い
だからといってキャラを歪めちゃいかんと思う。
だったら最初から書かなければいいだけ。
例えば自分はトリュが嫌いだけれども、それでもこういう
二次創作でトリュが原作以上に醜悪に描いて欲しいとは
思わない。
自分の見たいIFが、キャラの性格を変えたものではなくて、
同じキャラが違う設定で活躍する姿だから、なおさらそう思う。
IFでも、あまり改変を濫用すると萎える。
分岐点は「アンスバッハとファーレンハイトの亡命」だけに限定するべきでは。
生来の病気は、歴史の流れとは無関係だし。
930の最後の行は、「生来の病気の因子の存在と発病は」に訂正。
>923>924>927
必要ないなら、最初から登場させなきゃいいのでは。
どうせ今まで触れられてないのだし。
登場させるなら、原作に添ったキャラ、あるいは今までの
ストーリーの流れに添った展開を求められるのは当たり
前だと思う。
すでに他の方が指摘してるけど、今回のヒルダは原作の
キャラとしてはちょっとおかしい。その点に関しては、IFの
ヒルダはそうなんだと納得しても、ラインハルトの行動が
今までのストーリーの流れから考えてもおかしい。
この2点があるために、納得できない人が多いのだと思われ。
もちろん、私も264さんのIFを楽しみにしてる一人だけど、
素直な感想も言わせて欲しいよ。
>930
まあ、ラインハルトは自然死だからねえ。
あんまりIFが入りこむ余地はないよね。
せいぜい特効薬が開発された程度か。
ま、キルヒーが、有能かつ硬骨の軍医を見つけて、推薦してハルの主治医にする
とかなら状況も違ってくるかもだが。
「半年に1度は徹底的な精密検査を受けて戴きます。1週間は拘束しますからね。
何、面倒? 仕事が有る? 病気がもし有っても、早期発見出来なかったら手の
打ちようが無い事例など幾らでも有ります。それに万が一、あなたがた御姉弟に
共通して何か良くない病気の可能性が有ったなら、あなたの治療は同時に姉上の
それにも繋がるのですが。それがお嫌でしたら、お好きに」
なんてね。
あー、まぁ、いいんですけどね。ちょっとは我儘させてよ、ってことで。
ヒルダに関しては異論が山のように出るとは思っていました。
私のヒルダに対する感覚は923氏に似ています。有り体に言えば、「小賢しい小娘」です。
頭は良いのでしょうが、元々ラインハルトに近づいた原因は保身ですし、職務権限を逸脱するような真似も度々しています。
ラインハルトに心服しているかと言えばそうでもありません(ヴァーミリオンでのエピソードなど)。
彼女は、下手をすると呂后か西太后になってしまう人物です。即天武后になる器量は無いでしょうが。
もちろん無視して話を進めようとも思ったのですが、やはり原作中の重要人物ですので触れない訳にもいかないと思いました。
色々考えた末の結末がこれです。私的には、やはり彼女は排除されなければなりませんでした。
しかし退場しただけでこれだけ惜しまれるヒルダと、死んだのに誰も相手にしてくれないルビンスキー・・・なんか哀れな・・・。
気に入らないなら、自分でIF物語を書けばいいだけの話だと思うがね。
私は作者の意思を尊重するよ。これは264氏が作ったIF物語だからね。
思ったとおりに書いてください。応援してます。
ラインハルトに従っている人間の大半(大将クラス以下も含めて)は、
保身がきっかけだったと思いますが。
武則天(武后)は勤まると思いますよ。もうちょっと善良でしょうけど。
>936
気に入らないなら、こんなスレ読まなければいいだけの話と思うがね。
私は他人の異見は尊重するよ。
思ったとおりに書いて下さい。応援してます。
>私のヒルダに対する感覚は923氏に似ています。有り体に言えば、「小賢しい小娘」です。
>頭は良いのでしょうが、元々ラインハルトに近づいた原因は保身ですし、職務権限を逸脱するような真似も度々しています。
同意。
彼女は自分を何様だと思っているのやら・・・・
煽りは放置ということで。
ヒルダはラインハルトのもとに来る前は何してたんだろうか
IFに人格を変えてはいけないというルールなど無い。
ヒルダが嫌いなら放置しておけばいいのに、わざわざキャラをゆがめて
攻撃せずにはいられないという狭量ぶりが鼻につく。
ヒルダだけなら兎も角、ラインハルトまでゆがめるとはな。
というより、書き手自身を投影してるから、作者の痛さが完全に乗り移って
ひたすら心の狭いキャラに変貌してる。これのどこがラインハルトなのか
あと、キルヒアイスを部下と言われて激怒とか、訳わかんない。
言葉尻を捕らえていきなりブチ切れですか。小学生かよ
もう少しそれらしくしてくれればいいのに、投げやりすぎ。
部下以上の存在だというのは解るが、ならばそれこそラインハルト
の代わりにいかせてもいいんじゃないのかい?とヒルダに言わせたい(w
>942
つーことは人格が変わっていることは認めるんだねw
ヒルダを悪く書かれて怒るのも狭量かと思いますがね。
改変の度が過ぎるというのも、所詮人によって基準が違うし、
仮に否定派が過半数だとしても、作品自体を否定することはできませんよ。
>935
自分が納得いかないのは、排除したことではなくて、
排除するにたる理由付けがされなかったことです。
ヒルダの描写はまあ、264さんのヒルダということで
いいとしても、展開が強引すぎたような……?
まあ、いろいろ意見は言いましたが、読み手の
我が儘ということで許してください。
今後の展開も楽しみにしてます。
>ヒルダを悪く書かれて怒るのも狭量かと思いますがね。
ラインハルトがクソッタレになってるのを怒ってるのだけれども
文句言うなら読むなよ。
>>945 認めるなんてどこに書いてあるんですか?
よく読んで発言して欲しいですねw
煽り煽られている間に950突破。
次スレはどうするかね。
950は立てられるかね。
それとも、970あたりにしとくか。
普段はマターリ進行だし。
気に入らないなら、立ち去ればいいだけ。
264氏がヘソまげて書かなくなってしまうと困る。
私は最後まで読みたい。
>>943 作風を否定すればいいのに、
人格攻撃しているところが鼻につく。
すり替わってます。
>>944 ヒルダがキルヒを部下呼ばわりするかどうかが疑問ですが、
仮に部下と言ったなら、ラインハルトがぶちぎれるのはオッケーだと思う。
キルヒアイスは親友だし、他の上級大将陣はある意味戦友だし。
キルヒアイスが死ななかったので、人間的に一皮向けなかったラインハルが
ぶちきれるのは、よくあることだと思う。
>>952 同意。
使い捨ての道具としての「部下」じゃないってことやね。
〜キルヒアイス 愛の物語〜
(キルヒアイスとアンネローゼとその他大勢の物語)
恋をした相手が相手が皇帝に奪われた!
彼はアンネローゼを取り戻すために、親友ラインハルトとともに
武勲を重ねる。
そして、ついにアンネローゼを取り戻し、
元帥にまで上り詰めたキルヒアイス。
アンネローゼとの結婚・・・・・。
264氏の話のあらすじはこんなところでしょ?
だから、ヒルダには退場してもらわないといけないんだよ。
二人の愛の結晶が皇帝になるためには。
>952
その場合、>906が矛盾するんだよね。
一皮むけたラインハルトになっているから。
あと、264氏は異論を唱えられたからと言ってへそ曲げるような
ケツの穴の小さい人ではないと思うが。
今までも異論があっても許容してきてるし。
逆に264氏以外の人が、そうやって他の人の感想を封じようとする
方が荒れる原因になるのでやめた方がいいと思う。
そ、そうかな・・・?
>953
別にヒルダが部下を使い捨てろと言った訳じゃないのに
激怒するのはあまりにも変。
この物語のライはヒルダが嫌いだったんだよ。
213氏の続きマダー
>>955 ヘソ曲げない人だとは思うけど、
読めないと悲しいんでつい・・・。
感想を封じ込めるのは良くなかった。
余も至らぬところがあった、許せ ということですんません。
>>906 他人を思いやったり、無能者に冷たく当たることはなくなったと思うけど、
批判に取れるような言葉で意見してくる人間に
「余に問題があれば、いつでも意見を言うが良い。
間違った事を行う皇帝が打倒されるのは当然だ!」
って言えるような皮の向け方はしてないと思う。
あれ?剥けてたっけ??
まずい、荒らしてるのは自分のようだ(汗
退場します。。。
>批判に取れるような言葉で意見してくる人間に
常識論を批判とおっしゃるとは不本意だが、とオベなら思うだろう
ヒルダとオベはよく似ている気がする
>952
二次創作の作者が自分の人物評をダイレクトに登場人物に反映させてるんだもん。
ヒルダが小ざかしい娘。それは結構。ラインハルトがそう見なしてもおかしくない。
だから即切り捨て?
ラインハルトが減点主義者ならそれもありかもしれないけどさ。香具師は割と極端な
加点主義をもってよしとしているだろう。この、ヒルダを切り捨てたラインハルトの下
には誰一人残らない気がするんだが。まあラングなんかはうまく取り入れたりして(w
>970を取った人が新スレ立てる
結局「感情に任せて嫌いなキャラを酷い目にあわせた」ありさまが醜くていやになる訳で。
例えば、政治的に磐石の地位を手に入れ、リップシュタットで自陣営に与した貴族達が
最早不要になったので切り捨てたいと考えていた。とかそういう背景があって、その勢力
を削ぐためにたいした事のない発言の言葉尻を捉えて叱責したとかなら、
ああ、なんて酷い作者なんだと文句をつけていただろうに
名前を略す香具師がキモイ
ライ?ハル?キルヒー?ヴァカジャネーノw
もともとヒルダ、オベ、トリュ、ルビンスキあたりは同じタイプ
ただ世の中へのスタンスが違うだけでね
けっして自分以上の存在を認めてないあたりが同じ
ただルパートや地球教の悪役(名前忘れた)と違うのが
自分以下の存在も認めてない点だろうな
まーバーミリオンで停戦がなくなるIFの伏線だと思えば許容できる。
うーむ、このラインハルト誰かに似てると思ったら、ブラウンシュバイク公そっくりなんだな(笑
ヤンとのタイマン時にミュラーが側衛に残してくれっていったら、漏れが負けるといいたいのかよゴルァと即刻クビだな。
あ、その前に双頭の蛇の時にクビか。シュトライトも何も言えないだろうな、自主的に退役しそうだ…
>>969 命を懸けて戦い抜いてきた人には寛容だよ
ヒルダにミッターマイヤーやミュラーのような忠誠心なんてあるのだろうか?
ラインハルトを利用しようとしてるだけのような希ガス。
ラインハルトが誰かに負けても、その日の内に鞍替えしそうだ。
ヒルダは、軍服を着た野蛮人の中の天才と呼ばれる井の中の蛙で世間知らずの金髪の坊やを、
神の視点から趣味で見てるだけです。間違いない。
元々原作のラインハルト自体の、考え方や行動が好きではないからか、
そんなに変わってると思えないです。
ヒルダ自体も、もう登場しないと書かれているのが問題なだけで、
ラインハルトが頭にきて、謹慎なんてあり得そうなヨカン。
というか、原作のラインハルトがヒルダを変に登用しすぎだと思う。
キルヒアイスの身代わりなのか知らないけど。
とりあえず、ヤン以外の同盟軍人が頑張ってくれれば素晴らしいです。
>保身
リップシュタット戦役当時に、それまでラインハルトの部下だったからという
成り行き任せな人たちや(大半)、勝敗が定まった戦役後に帰順した人(ファ
ーレンハイトやシュトライト)、それに多分居た筈の、どちらも選べず中立し
ていた人たちとは違い、戦役前、どうなるか判らない状況で(財力と兵力では
貴族連合軍が上だったみたいですし)、自分の洞察と意志とそして決断で、ラ
インハルトを選ぶ。
それを「保身」と呼ぶのは、酷でしょう。
だったら、双璧がラインハルトに忠誠を誓ったのも、あの疾風謀殺未遂事件の
成り行きから言って、立派な「保身」です。
どちらのケースも、むしろラインハルトが、頼ってきた色目なりヒルダなりを
評価するきっかけになっているのではと思いますし。
ヒルダが傑出した政治家になり、新帝国を安泰に導いたのも、原作にそれを示
唆する記述が有ります。
だいたい、そーでないと、原作のその後、アンネローゼ(アレク以外の皇位継
承権者)がえらいことになりそうですし。
ま、IFは1つきりでないと駄目という決まりも無いですから、2番目のIF
ということで。
まぁヒルダを原作より愚かな人物として描くのはまだいいとして(ラインハルトにとって
キルヒアイスはただの部下でない事も、彼が王者であるより覇者であろうとしている
事も見抜けないヒルダなんて…)、ラインハルトの方までが前後のレスと別人のような
言動を取るのは頂けませんね。ここまでの展開が納得いくものばかりだっただけに
違和感が尽きないです。
それはともかくとしてこの件による影響を考えてみると。
*968の通り、ラインハルトがヤンに追いつめられても停戦命令が出ない
*キュンメル事件が起きない=地球教が摘発されない
*ラインハルトの結婚相手がいない
まあ、お手並み拝見といきましょう。
新スレ立てようとしたのですが駄目でした。誰かお願いします。テンプレは
>>1の最後にこれを付け足す
くらいでいいかと。
前スレ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/sf/1081305188/ まとめサイト
ttp://www.geocities.jp/sukekota/
職制上部下には違いないのだし、「只の部下だ」と見下すような発言したわけでもないのに怒るのが既におかしいような気がする
結局、保身なんだが。
原作その後のヒルダが、アンネローゼを抹殺し、アレクを退位させ、反対勢力は
そうなる可能性の有る人も含めて大粛清し(七元帥は全滅)、そして自分が皇帝
になり、改革を更に徹底し、文民支配と憲法制定と議会開設、事実上の民主化を
成し遂げ、最期は退位し、帝政は廃絶し、自ら望んで、「皇帝」ではなく「皇后」
(つまり「ラインハルトの妻」)として葬られるお話。
読んでみたい気もしますな。
ありゃりゃ、もう一個スレ立っちゃったよ。
昨日立てた人、乙だけれども、誘導も忘れないで欲しかったよー。
>ラインハルトの結婚相手がいない
ヴェストパーレ男爵夫人とか。
頭も良くて器も大きい。摂政皇太后も立派に勤まるかもです。
ちょい姉さんですが、あのワガママ坊やにはむしろ調度良いですし(笑)。
「ビッテンフェルトが実は女だった」も、捨てがたいですがねw
「姉さん」→「姉さん女房」って意味ですので。
>982
ああっ、言うなぁw