SF映画 これだけは見ておけ PART3

このエントリーをはてなブックマークに追加
327ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE

「ソラリスの陽のもとに」を初読した時の衝撃は忘れられない。
映画はオリジナル版もリメーク版も作品の肝であるそれ自身が生命を持つ「生きている海」
という映像表現が巧く出来ていないように思う。あれでは単なる「海」に過ぎない。
ソラリスの原作を読んで、「これが本物のサイエンティフィック・フィクションだ!」と
ボロアパートの窓を全開にして絶叫するSFヲタを目にした人もいるはずだ。
俺はSFヲタではないが、午前から午後にかけてアーサーの「幼年期の終り」、
午後から夜にかけてスタニスワフの「ソラリスの陽のもとに」を読破したあの夏の暑い1日は
いまだに忘れ難いものがある。
俺に理性というものが無ければ、SFヲタと同じ行為に及んだ可能性さえある。
以後、俺のスタンダードな評価基準は、この2作になってしまい、バラードを読んでも、
ディックを読んでも、満たされないものを感じてしまうことになる。
そう言えば、H・Gの「宇宙戦争」「透明人間」とジュールの「地底旅行」を連日で読破、
この衝撃を上回ったのが、「あの夏の1日」だったわけだ。
以後、「あの夏の1日」に匹敵するのは、何年か後の別な年のやはり夏の1日、
「果しなき流れの果に」読破の時を除いて無い。