完全版 吸血鬼ドラキュラ講義

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34ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE
IPを把握出来る削除人が、自演を認めて削除しないって理屈はおかしいんじゃない?
普通に考えれば、俺のスレは人気があるってこと。

読んどけ

155 :書斎魔神 ◆CMyVE4SVIw :03/11/04 12:14
ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(創元推理文庫)をひさびさに再読した。
かって私は「大部で冗長にして散漫」と本作を評したが、この評は今回の再読に
においても変わらず。
同じバンパイアものの古典ということなら、やはりレ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」
を推す。吸血鬼もののツボを押えている上に、簡潔にして明瞭、2ちゃんねらー好み
ではないが、上品なエロティシズムも読み所だ。
しかしながら、怪奇小説翻訳の大家にして江戸っ子の平井呈一氏の歯切れ良い語り口は
好ましい。本作が1度も絶版にならず、長年にわたり読み継がれたのは翻訳の良さ
ゆえではないだろうかと思う。
ドラキュラ伯爵とヘルシング教授、若者たちの対決は、あたかも江戸時代を舞台にした
伝奇小説を読んでいるかの感さえある。
また、本書はいたずらに恐怖感を煽るばかりの作品ではない。
むしろ中盤から後半にかけては、ロンドンからドラキュラ伯爵の故郷ルーマニアの
トランシルバニア地方にまで及ぶヨーロッパを股にかけた追跡劇を主眼とした冒険小説
の趣さえある。この辺はいかにも英国作品らしい。
さらに付け加えれば、これも英国お家芸である騎士道ものの要素も十分に備えている。
(作中にウオルター・スコットの名が見える)
魔人ドラキュラ伯爵の毒牙から美女を守る19世紀英国の騎士たち(ヘルシング教授と
若者たち)という構図である。
同じく現代まで読む継がれているゴシックホラーの名作という点で比較すれば、
メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」が有する哲学的とも称すべき深みには、
遠く及ばないものの、逆に年末・年始に肩の力を抜いてゆくーり読むには適した作品かと思う。