平井和正【アンド6イドお雪】

このエントリーをはてなブックマークに追加
54【虎2】774
情報提供である。既出であれば申し訳ない、と先に断っておく。
日本推理作家協会会員のミステリー作家36人でアンソロジーを編むという、
ユニークな企画が進められている。タイトルは「推理作家になりたくて」。

企画の主旨はこれだ。
まず会員作家が自作のうち、一番好きな短篇を選ぶ。つぎに他作家の短篇で
一番好きなものを選び、その作品を選んだ理由をエッセイで綴るというもの。
全6巻を予定。この形式は宮部みゆきの発案であるらしい。
ここに書き込むのは以下の理由による。実は第2巻を担当する作家のひとり、
逢坂剛が他作家のベスト短編に選んだのが、『憎しみの罠』なのである。
ご存知、平井ノンSF集「虎はねむらない」所収のハードボイルド短編だ。

逢坂は大学入学後に「白門文学」に掲載された同作品と出会ったらしい。
ウィリアム・マッギヴァーンの長編「最悪のとき」の影響を感じたのだとか。
感銘をうけた氏は、平井さんに長いファンレターを送ったところ、やはり
長文の返事をもらったという話だ。
知る人ぞ知るデビュー前の味わい深い名作が、多くの人びとの目に触れる
機会を得て、うれしく思う。逢坂のエッセイとともに楽しみに待ちたい。

くわしくは「オール読み物」03年7月号を御覧頂きたい。
アンソロジーを担当する逢坂ら三作家の対談が掲載され、『憎しみの罠』に
ついては2頁にわたり言及されている。なお、前述のマッギヴァーン作品は、
1960年に東京創元社から文庫で刊行されている。
あっ、774氏だ。現・日本推理作家協会理事長の逢坂剛氏がひらりんの後輩であるとは
知っていたが、まさかひらりんへファンレターを出し長文の返信を受け取っていたとは…。
その手紙、是非読みたいね。

考えてみれば、ひらりんがハードボイルドでデビューし、日本推理作家協会の理事長に
なっているというパラレルワールドだって存在したのかもしれないなあ。逢坂氏の作品は
一冊も読んでいないので、チェックしなければ。

「オール讀物・7月号」目次
http://bunshun.topica.ne.jp/ooru/ooru.htm

>人気ミステリー
>作家36人が参加! 一日一篇、これぞ究極のアンソロジー
>白熱鼎談
>逢坂 剛×篠田節子×北村 薫