これから、女子大生がアンドロメダ星雲に住む
彼の家に招待されるというSF小説を書いて
いきます。文句をいうなり、批評するなり、
放置するなり、好きにしてください。
早稲田大学2回生広末涼子は、自分の目を疑った。
地球とアンドロメダ星雲では基準が違うとはいえ、
格差があり過ぎる。この星では、各家庭に備えてある
という宇宙船格納庫を見て、我が目を疑った。
地球でいえば、どこかの国の宇宙センターのような
規模なのだ。男は3台ある宇宙船のうち、一番小さい
宇宙船に向かった。
早稲田では「2回生」とは言わん
なんだかわからないけど、20世紀ノスタルジアの話ではないらしいね
宇宙船の前まで来ると、涼子は、「これは、宇宙船では
ないな」と思った。宇宙船にしてはちいさすぎるし、
車のような形をしているからだ。よく地球で見る
未来の車のように見えた。男は流線型の車の前迄来ると
振り向いて涼子に笑顔で声をかけた。
「どうぞ」
車のドアに手をかけ、ノブを引いてからそういった。
涼子は「ありがとう」といってから、身を屈めて
車の中に入る。男も運転席に座りハンドルを握った。
すると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「○○○○○」
涼子には、何を言われたのか、さっぱりわからなかった。
どうやらアンドロメダ星雲にある星の言葉らしい。
声は綺麗な女の声だったが、どうやらこの車が
喋ったらしい。多分ハンドルに手をかけただけで
喋る装置がついているのだろう。喋る車というのは、
地球でもある。驚くほどのこともないが、この車は
どうやらそれだけではない。洗練された
計器や、内装、室内の広さなどを見ればわかる。この
星ではシートベルトをつける必要もないのか、男がな
にやら喋ると、車はスムーズに走り出した。妙な感覚
がしたので横を見ると、車はすでに宙に浮いている。
涼子は、ちょっと吃驚したが、この星に連れて来られた
経緯を考えればそれほど驚くに値しない。男は操縦も
何もしていない。行き先を告げただけで後は勝手に
車が連れて行ってくれる気配だ。車は自動的に開いた
格納庫のドアを出ると、まばゆいばかりの気色が目の
前に広がった。よくSF映画でみる未来世界そのものだ。
2げとー
天まで届け、とばかりに目も眩むような超高層ビルが
乱立していて、その間を縫うかのように何千、何万もの
空を飛ぶ車が往来していた。地上を見ると透明カプセル
の中をリニアモーターカーのような列車が、矢のような
スピードで走っている。地球とは、何もかもが桁違いで
ある。一気に未来社会に来たような錯覚にとらわれた。
空を見上げると、太陽の2倍はあるような大きい星が
二つも輝いていた。こんな豊かな星が230万光年も離れた
別世界に存在していたなんて、夢にも思わなかった。
心の中は少女のようにわくわくしている。これからどこへ
連れて行ってもらえるんだろう。涼子はふと気になって
訊いてみた。
「これからどこへ行くんですか。」
「別に目的地はありません。この星を一周してどんな
星かを知ってもらおうと思っただけです。どこか見たい
所があればどこにでも案内しますよ。もっとも、どこに
何があるかも分からないようですから、ここに行って
ほしい、なんて言えないでしょうけどね。」
そう言って男は微笑んだ。
「そうね、この星の特徴なんて何も知らないし、あっ
そうだ、世界一高い山なんてあります、エベレスト山
みたいな」
「ありますよ。エベレスト山より約80倍は高い山が…、
標高753,928メートルを誇ってます。この星は地球に
比べて100倍は大きいですから、殆どのものは100倍
前後あると考えてください。川も海も国もそんな
感じです。ただ人間の大きさは地球とほぼ一緒です。
植物や動物なんかも地球とさほど変わりませんよ。
こういったものは、神の摂理というものなんでしょうかね。
生き物の大きさというのは、常識的な大きさになるみたい
ですね。人間の大きさがあまりにも違っていたら
星と星の交友があっても結婚なんかは出来ないです
からね。その点は都合よく出来ていますよ。地球から
来ている花嫁さんも結構いますよ。」
涼子は結婚という言葉を聞いただけで、顔を赤らめた。
こんな素敵な人と、夢みたいな星で一生暮らせたら
どんなに幸せだろう。そんなことを考えてぼんやりして
しまった。気がつくと目の前に信じがたいほどの高い
山が聳えていた。富士山のような形をしているが、富士
山ほど美しいことはないと思うのは、ただの半官びいき
というやつだろうか。しかしぐんぐん近づくにつれて
信じ難い景色に圧倒されはじめた。ぶつかるかもしれない
という恐怖感に少し襲われたが、山はまだまだ先のようで
ある。あまりの大きさに錯覚するのだ。車は山の周りを
ぐるぐる回りだした。
「涼子さん、他にも見たいところはありますか。どこに
でも行きますよ。」
「それじゃあ、ナイアガラの滝みたいなところはありま
すか。それに世界一高い超高層ビルなんてのも見てみた
いな」
「ナイアガラの滝の120倍の規模を誇る滝があります。
それに5000メートルの高さがある超高層ビルがあります。ど
ちらもいきましょう。きっと吃驚しますよ。」
「ほんとにー、嬉しいー。あのー、ちょっと訊いていいです
か。この車は操縦しなくていいんですか。」
「この車は人間の意志を読み取って自動で運転してくれ
るんですよ。私たちは考えるだけでいいんです。しかし
危険なことには同調してくれません。3重、4重の安全
装置がついていますから、安心して乗っててください。
スピードも速いですよ。最高速は光の10倍のスピードが出ま
す。しかしもう10年も乗ってるポンコツですからね。この
星の中では、遅いほうになってしまいました。最新型は
すでに光の35倍のスピードを達成したらしいですから。」
「えーっ、なんだか吃驚するようなことばかり。それに
もう10年も乗ってるなんてとても思えない。だって新品
同様なんですもの。」
11 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 04:00
思考で操縦できるんならハンドルはいらない気が
12 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 04:28
>>11に同意。
惑星内で光速を超える経済的意味は?単なる暴走族?
そうか涼子のお好みなのね。
「この星自体を超大型空気清浄機で常に殺菌して
るので細菌や埃が少ないんですよ。それで非常に汚れ
にくくなってます。おまけに汚れにくい材質で出来て
いますし、汚れれば自動的に掃除してくれる機械も
ついていますからいつも新品同様です。」
「素晴らしいですね。何もかもが素晴らしいです。
それはそうと、hiroponさんは、何歳なんですか。
さっきからずーと、気になってたんですけど。」
「私は24歳ですが、地球年に直すと、2800歳ぐ
らいですね。実は私たちは年をとらないんですよ。
数千年前に開発された薬を飲むと自分の好きな歳
でいてられるんですよ。もちろん世の中には、
変わった人がいて老人のままでいる人や、子供の
ままでいる人もいます。中には死にたいといって
薬を飲むことを拒否する人もいます。
死ぬのも生きるのも自由ですし、誰にも死にたい
人を止める権利もありませんから年間5000人ぐらい
は、死ぬ人が出ます。死にたい人もいれば子供を産
みたい人もいますから、そのへんは政府のほうで
うまく調整します。私は永遠に生きたいですから、
薬を止める気はないですね。といっても薬は好きな
ときに1錠飲むだけでいいんですけどね。」
「永遠に生きられるなんて、素晴らしすぎるー、
そんな薬があれば私も是非ほしいです。子供は
ほしいですけど、他人を押しのけてでもほしいとは
思わないから、私には理想の星ですね、ここは、
是非住んでみたいわ、こんな夢のような星に」
「私の生まれた地球では、今も世界中のあちこちで
戦争をやってますし、全人類の三分の一ぐらいの
人は、満足に食べる食料もなく、飢えに直面しな
がら暮らしているんです。
お金持ちと貧乏の差が激しいですし、お金持ちの
人も、ほとんどの人は貧乏な人に援助などはしま
せんので、差は広がる一方なんです。こちらの星
では、貧富の差とかはないんですか。」
「基本的には殆どないですね。もちろん仕事が
嫌いな人もいますから、貧乏な人もいますよ。
しかし、最低限の生活は、政府が保証してくれ
ます。ただし働かないと私が乗ってる車なんかにも
乗れませんし、快適な生活を保障してくれる家にも
住めません。みんな、より快適な生活を求めて、
結構これでも必死で働いているんですよ。」
「羨ましいわー、本当に羨ましい。地球にとっては
まさに理想の星だわ、なんとか地球もこの星のように
理想的な星に出来ないかしら。ねぇ、hiroponさん、
お願いします。私たちの地球もこの星と同じように
してください。駄目かしら」
えらくおばさんクサい喋り方やな(藁
「うーん、それはちょっと難しいですね。実は
この星も地球のような歴史を持ってるんです。
昔は戦争に明け暮れていたんですよ。アンドロメ
ダ星雲にはもう一つ知的生命を持つ星が存在し
まして、宇宙戦争も経験しました。確率的に一つ
の銀河に一つか二つの知的生命を持つ星が誕生す
るようですね。宇宙戦争ともなると、規模も大きく
なりますし、どちらかが滅亡するまでとことんやり
ます。結局明暗を分けるのは、宇宙では、科学力
の差ということになりますが、こちらの科学力が、
向こうよりもちょっとばかり勝っていたということ
でしょうか。それら非情な戦争を経験する度に
この星の科学は飛躍的に発展してきたんです。そし
て数千年前にようやく理想的な社会になったんです
ね。だから地球もそういう経験を自ら重ねないと
無理なんじゃないでしょうか。
ここらでオチをつけてしまえば、
星新一風ショートショートとして
そこそこの出来と言えなくもない気がする。
こればっかりは、他の星が力を貸すという訳にはいか
ないでしょう。」
そんなことを喋っているうちに、いつの間にか車は
滝の上空に来ていた。
「すっごーい、これが滝? なんか果てが全然見えない
わ、夢にも出て来ないような、凄い景色ね。目も眩む
ような感じだわ、あっ、滝の中から車が出て来た。
あっ、あっちの方では滝の中に車が突っ込んでる。
一体どうなってるの?」
「ははは、実は、滝の中には人口空洞があるんです
よ。ここから全世界に通じてます。いわば近道で
すね。世界一の超高層ビルにもここからなら
ひとっ飛びですから、行ってみましょうか。」
言うが早いか、車は滝に突っ込んでいた。ザブーンと
飛び込むと巨大な空間が待っていた。何十台もの車
が行き交っている。
涼子は訳も分からず、放心状態だ。
暫く水平飛行が続いていたが、上の方にぽっかり開いて
いる、巨大なトンネルに吸い込まれるように入って
いった。車は垂直飛行になったが、全然不快ではない。
自動的に感覚を調整する装置が働くらしい。座席自体も
回転するようになっているし、圧も自動調整装置が
付いていて、時速50kmぐらいでのんびり走ってるような
感覚だ。床を見るような形になるが、床に仕掛があって、
自動的に液晶パネルのようなものに前の景色を映し出すの
である。天国に昇るような快適さであった。一瞬にして車
はビルの屋上から吐き出された。なんとこれが5000メート
ルの高さを誇る超高層ビルだったのだ。
>>1 あの長岡秀星が、キョンキョンとコラボレート(?)した
「迷宮のアンドローラ」という画集、知ってる?
>>22 知らん
車は超高層ビルの上をぐるぐる旋回しだした。
「とんでもない高さね。まさに絶景だわー、雲が遥か
下にあるなんて、信じらんなーい」
「どうします。ビルの中に入りますか? そろそろ
お腹も空いてきたでしょう。」
「えぇ、実は昨夜から何も食べてないんで、お腹が
ぺこぺこなんです。」
「そうですか、それは失礼しました。じゃあ、屋上に
着陸して中に入りましょう。」
車は音もなく屋上に着陸した。5000メートルの高さだと
いうのに寒くもなく、空気が薄いわけでもなく、風が
きついわけでもない。地球でいえば10階ぐらいの屋上に
着陸したような感じだ。温度も気圧も地球そのものであ
る。屋上からエスカレータで下に降りるとそこは展望レ
ストランになっている。
地球にもある360度回転の結構普通のレストランであったが、
景色は雲泥の違いがある。なにせ地上5000メートルだ、遥か
彼方迄見通せる。これだけ発達した星だから、さぞかし
レストランも超未来的に洗練されているだろうし、料理も
機械がオートメーション式に全部作るんだろうなと、涼子
は、考えていたが案外古典的な様子をみて以外な気がした。
「へぇー、レストランの内装も料理の仕方も結構地球的なんで
すね。コックさんが中でフライパンを振ってらっしゃるし、」
「えぇ、だいぶ昔は、何でも機械が作るフルオートメーション
方式だったんですが、やっぱり機械が作る料理は味気ないと
いうことで、人が直接作るのが見直されたんですよ。職の確保
にも貢献しますしね」
説明を聞いて以外な気がした。やっぱりこんな星でも
人材が余るようなことがあるんだろうか。涼子は不思
議な気がした。食事は、事情がよくわからないので
hiroponさんに全部お任せすることにする。hiroponは、
涼子の好みそうな料理を次々に注文した。テーブルは
たちまち料理であふれんばかりになった。hiroponは、
料理の味を涼子に聞いてみた。
「もう、とってもデリシャスです。地球でもこんなに
美味しい料理は食べたことがなかったです。どうもご
馳走様でした。」
「そうですか、それは良かったです。この星に招待し
た甲斐もあるというもんです。」
「あのー、お願いがあるんですけど、夕べあわてて出
て来たもんですから、ひょっとしたら母が心配してる
かもしれないので電話をかけさせてもらえないでしょ
うか。」
「いいですよ、この携帯を使ってください。最初に
0000を押してから、自宅の電話番号を入れれば
直接かかりますよ。しかし、アンドロメダ銀河から
掛けてるなんて言わないほうがいいですよ。ひょっ
として、涼子さんは狂ったなんて、思われかねない
ですからね、ははは」
「でもこれ、まさか、電話が通じるまで230万年もか
かるなんてこと、ないですよね。」
「まさか、これも地球でいうところのスーパータキ
オン粒子を利用した電話ですから、完全にリアルタ
イムで話せますよ。安心してください。」
「それじゃ、遠慮なく使わせてもらいますね、
ピピピピ、ピポパポピポパピポ」
「あー、もしもしー、お母さん。。私ぃ、あのねぇ、
今友達んとこ、・・あっ、心配してたぁ、ご免ねぇ、
今日中には帰るからねぇ、それじゃあ、ガチャン」
「あのう、やっぱり母は心配してたので今日中には
帰してもらえないでしょうか。」
「勿論、好きなときに帰しますよ。心配はいりませ
ん。ところで、この星は、気に入ってもらえまし
たでしょうか。」
「気に入るなんてもんじゃないですよ。もぉー、今
すぐ永住しちゃいたいぐらい。」
「そうですか、気に入ってもらえて私も嬉しいです。
いつでもご招待しますので又来てください。」
28 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 21:25
「はい、いつでも遠慮なく来させてもらいますので、
又ご招待してくださいね。ところで、hiroponさんは、
ご結婚なされているんでしょうか。」
「私ですか、私はまだ結婚しておりません。」
「あら、どうしてなんですか、地球年に直すと2800年
も生きてらっしゃるんでしょう。それにお顔も草刈正雄
と阿部寛を足して2で割ったような素敵なお顔をされ
ていらっしゃるのに、どうしてなんですか。」
「ははは、実は、この手の顔はこの星ではありふれて
いましてね、ぜんぜんもてないんですよ。今この星で一
番もててる顔といえば、池野めだかや、間勘平のような、
吉本系の顔ですね。彼らに似た顔の人は本当にもてて
もてて困ってますよ。憎らしいくらいにね、、はっ、はっ、
はっ、~~あ~~~ぁ(涙でむせぶ)この星の価値観は
狂ってるんですよ、本当に」
29 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 22:20
「そんなぁ、この星の女性達は、きっと見る目がな
いんですよ。私だったら絶対に………」
「絶対にぃ!!!!!!!!!!!!!
その続きは何ですか」目が爛々と輝いてきた。
というよりはっきり言って超興奮状態に陥る。とほほ
「い、いや、絶対に逃がしはしないかなぁ~~と、
思ったり、思わなかったり、やっぱし思ったり、
かなぁ~~と、………ほほほほほほ………」
冷静の塊のような男だと思ってたhiroponが異性問題
では案外、以外な面を暴露してしまったと感じた涼子
は、心底たじろぐのであった。いや、少し恐怖すら感
じるのであった。しかし内心「しめた」と思った心も
潜在意識としてあったことを報告しておこう。
30 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 07:27
3ヶ月程前に手痛い失恋を経験していた涼子は、
「これはチャンス」と思い始めていた。一方の
hiroponも、「ここで逢ったが百年目、千載一遇の
チャンスかも」と虎視眈々と、しかし慎重且つ
大胆にアタックを開始することを心に誓うので
あった。まず彼女の気を引くことが肝心だな、
プレゼント攻撃をするか、最新型の車を買って
彼女にあげようかな、しかし、地球で空を飛ぶ車を
走らす訳にもいかんし、宝の持ち腐れになるかも。
じゃあ、何をプレゼントすればいいのだ、
やっぱり宝石か、それともバッグか、化粧類か、
誰でも喜ぶ食べ物がいいのか、いざ考え始めると
結構難しいもんである。そうだ、彼女に直接訊いて
みよう。そのほうが確かだし、手っ取り早いわい。
「涼子さんは、今何か欲しい物はありますか」
31 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 07:28
「今一番欲しい物は、恋人」と答えようとしたが、
思わず喉元まで上がって来た言葉を、寸前の所で
飲み込んだ。危ない、危ない、こんな段階で本心
を言ってしまえば、軽い女だと見られてしまう。
もっと慎重にならねば、う~ん、欲しい物か、一体
何だろう。改めて問われるとわからない。やっぱり
お金かな、お金さえあれば何でも自由に買えるし、
幾らたくさん有っても困ることはない。いや、無けれ
ば困ることの方が多い。実際お金さえあればこの地球
上では、大概のことは解決できる。幾らお金が有っても
買えない物もあるにはある。例えば自分の命、他人の命、
人の心などだ、健康だってお金さえあればかなりの部分
まで買えてしまうご時世なのである。しかしそのことを
口に出すのはまずい。冗談の通じる男ならいいが、下手
をすると、守銭奴だと思われ、二度と口を利いて貰え
なくなる可能性だってある。
32 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 07:29
実際今までの経験でそんなことが
あったのも一度や二度ではすまない。相手の心な
んて、本当にわからないものだ。案外冗談の通じない
人間がこの世には、わんさかいるのだ。ましてや、
今相手にしている人は、アンドロメダ星人である。
お金という言葉を口にしただけで、顔を真っ赤に
して怒りだす可能性だって無きにしもあらずである。
やっぱり素直に「お金」という訳にはいかない。
じゃあ、子供の頃から顔もみたことがない「お父
さん」かな、しかしこれも現実性が無さ過ぎる。
なんか、単純な物にするか、しかし、最近洋服も
買ったし、バッグも買った。靴もたくさん持ってる
し、ちょっとたくさん有りすぎて困ってるぐらい
だ。慎重に考えてから絞り出すように答えた。
「う~ん、別に無いけど、強いて言えば車かな、
33 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 07:29
といっても、この星にあるような車じゃなくて
地球で売ってるような車、ちっちゃくて、丸くて
可愛い、おもちゃのような車かな、うふ」
「ちっちゃくて、丸くて可愛い、おもちゃのよ
うな車ですか、いいでしょう。知り合った記念
に買ってあげましょう。私はこれでも結構お金
持ちですから、遠慮することはないですよ。」
「いえいえ、そ~んな、いいですよ。それに
車なんて所有すると、駐車場のことなんかも
考えなくてはなりませんし、わずらわしいこと
も増えるから、かえって面倒なことも増えるん
ですよね。お気持ちだけありがたく頂戴して
おきます。」
面白くないヤプー
35 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 20:58
「そうですか、残念ですね、涼子さんって、
遠慮するタイプの女性なんですね。私はそ
ういう奥ゆかしいタイプの女性って好きで
すよ。よく遠慮もくそもない女性っていま
すよね。そんな感じの女性って、私は好き
ではないですから、涼子さんとは、趣味が
合いそうですね。」
「いいぇー、私は別に遠慮してる訳ではな
いんですよ。ただ、車って面倒くさそうだ
から、いらないと言ってるだけで、本当は
ほしいなぁーと思ってるんですよ。決して
hiroponさんが思ってるような、奥ゆかしい
女性ではないですから誤解しないでくださ
いね。」
涼子は喋ってから「しまった」と思った。
37 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 21:30
坂口安吾みたいに書けるようになれ
38 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 21:44
自分の気持ちとはまるで反対のことを言っ
たような気がしたのだ。しかし自分の心の
欠片でも他人に詮索されるのは涼子のプラ
イドが許さなかった。ただ、プレゼントを
断ったため、この場の雰囲気を気まずくし
てしまったようである。何とか取り繕わな
ければならない。何でもいいから質問しょう。
そう考え、何も考えず、条件反射的に言った。
「hiroponさんは、どんなお仕事をされて
らっしゃるんですか。」
「私は星間パトロール隊の隊員です。まぁ
地球でいえば、ザ・ガードマンみたいな
もんですね。ハハハ」
「へぇー、随分かっこいいお仕事をされてらっし
ゃるんですね。それであのような特殊な望遠鏡で日
夜遠くの星を見張ってらっしゃるんですね。
39 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 21:46
最近宇宙に異変とかございます。?」
「それがですね、最近85億光年彼方の星に
不審な動きが見えるんで我々は用心して
いるんですよ。昔から注意はしていたんで
すが、最近特に活発化してるので警戒レベル
はぐんぐん上昇してきています。」
「はぁー?、85億光年彼方の星ですか、そんなに
遠くの星なら別に心配する必要もないんじゃ
ないかと、素人としては、思ってしまいますが、
どうなんですか。」
「宇宙においては遠さなんかは、関係ないん
ですよ。85億光年なんて距離は、我々レベルの
科学力になると一瞬なんです。それは、85億光
年彼方の星から考えても一瞬だということです。
40 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 22:03
「それは攻撃されるときは一瞬だということ
ですか。」
「そうです。結局科学力で決まるのです。今
我々の星と85億光年彼方の星とで大変な科学
開発戦争に入っているんです。少しでも科学開発で
遅れを取ると先制攻撃を受け負けてしまいます。
ですからどちらの星の科学者も科学力を総動員
して、ほとんど全員が毎日徹夜に近い状態で
頑張っているんですよ。涼子さんは、まさか、
こんなシビアな状態が宇宙で始まっていたとは
夢にも思わなかったでしょう。」
「吃驚しました。晴天の霹靂とはこのことです。
宇宙って平和で、この世には、地球しか存在し
ないから、宇宙には地球の上の戦争しかないと
今の今迄思っておりました。」
41 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 22:24
「まぁ、我々がじたばたしても仕方の無いこと
なんですけどね。こうしてる間にも向こうの
星で殺人レーザー光線を先に開発され、一瞬に
して滅ぼされるかもしれないんです。宇宙戦争に
おいては、宣戦布告も何もないです。先に開発して
先に攻撃した方が勝ちます。全く非情なんですよ。
今は宇宙最終兵器と言われる殺人レーザー光線
の開発競争に焦点が集まっております。これを
先に開発した方が先に発射します。その時点で
決着が付く訳です。仕掛けられた方は堪ったもん
ではありません。生き物だけが一瞬にして消される
のです。星そのものは無傷で残してね。奴らが
先に開発すれば、何の躊躇もせずに発射してく
るでしょう。話し合いもくそもないのです。
42 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 22:44
そして奴らは誰もいなくなったこの星に
ゆうゆうと乗り込んで来て、植民地化
する訳です。この星が制覇されると、もうこの
宇宙には、奴らに逆らえる星は存在しません。
奴らはやがてあなたが住む地球にも魔の触手を
伸ばしてくるでしょう。勿論地球に逆らえる
科学力はありませんから、殺人レーザー光線を
発射する必要もなく、全員奴隷にされ
生きる屍のごとく働かされるのです。奴らの
手口はわかっているのです。奴らの毒牙に
かかってすでに奴隷化された星が、現実に何万と
存在しているのです。我々の星からは、奴隷化
された星を開放すべく宇宙戦艦が派遣され、
日夜戦っておりますが、戦況はあまりかんばしく
ありません。
43 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/14 23:21
とにかく今は殺人レーザー光線の開発が、宇宙の
平和を維持出来るかどうかの鍵になっているので
す。最新情報では、お互いに開発段階が99%迄
来てると聞いております。といっても1秒後に
開発されるのか、100年後に開発されるのかは、
私にもわかりません。しかし切羽詰まってきて
いるのは確かです。開発出来たとしても設計
ミスがあった場合、発射した方の星が、星ごと
消えてしまう可能性だってあります。とんでも
なく恐ろしい最終兵器なんです。」
「そうなんですか、宇宙の平和って単なる見かけ
だけだったんですね。ちっとも知りませんでした。
裏では、信じ難いシビアな攻防が繰り返されてい
たんですね。何か、話を聞いたら、恐ろしくなっ
てきました。」
ますます安吾っぽい
45 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 00:26
ニコっと笑って
「まぁ、人間死ぬときは死ぬんですから深刻に
考えたって仕方ありません。幾ら永久に生きれる
薬を持っていても、体ごと消されたんでは生きる
ことは出来ませんしね。なるようにしかならない
でしょう。そんなことより人生を楽しみませんか。
人間は楽しむために生まれてくるのです。ねぇ、
涼子さん、そう思いませんか。」
「確かにそう思います。楽しむために生まれてきて
楽しむために仕事をしたり、学んだりするんです
よね。しかし、今の話を聞いて何だかむなしく
なりました。地球上の人は裏で起こってる出来事
なんて何も知らず、殆どの人はただただ、生活する
ためだけに、仕事をしたり、勉強をしたりしてる
感じなんです地球ってつくづくつまらない星だ
なぁーって、思えてくるんです。」
46 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 00:27
「あまり深刻に考えるのは止めましょう。そうだ、
これからお酒でも飲みにいきませんか。涼子さん
はお酒が飲めますか。」
「ええ、たしなむ程度なら」
「それじゃ、行きましょう。この階に飲めるお店
もあります。案内しますよ。」
カードで支払いを済ますと、二人は、店を出て、
地球でいうところの洋酒喫茶か、スナック風の
店に入った。店はゴージャスな雰囲気があり、
雰囲気だげでも酔ってしまうような感じのする
店だった。
「事情がわからないでしょうから、又適当に
注文しますね」
そう言ってから、「ベルモンテ二つ」と言って
注文した。涼子はベルモンテを一口飲むと
「美味しい、これなら何杯でも飲めそう」
こんなのSFじゃねえ!!
48 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 06:03
そう言うと、一息に飲み干した。飲み終わる
とおかわりを頼んでしまう。すっかりいい気分に
なった涼子は歯止めが利かなくなり、おかわりを
重ねていく。酔いのせいか、警戒心のなくなった
涼子は自分が母一人、子一人で育てられた家庭の
事情や、学校の事情などもすっかり話し合った。
そして会話をする度に涼子の心と彼の心は打ち解け
ていく。
実は涼子は、大変な面食いであり、アンドロメダ
星人の彼に、ほとんどひと目ぼれしてしまって
いたのだ。酔って話をしている内に益々彼を
好きになってしまう。彼の真剣な眼差しといい、
薄氷を踏む思いで生きている現実といい、涼子を
酔わせ、メロメロにする下地は十分過ぎるほど
整っていた。
49 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 06:05
薄れゆく意識の中で、彼にホテルに行こうと誘われ
ると「はい」と素直に言おうと決心していた。
気が付いたときはベッドの上だった。横には彼が
心配そうにこちらを見ていた。
「あっ、私どうしちゃったのかしら?」
「大丈夫ですか、涼子さん、お酒を飲んでいたら、
急に眠ってしまったんでこちらまで運んで来たん
ですよ。」
「私もう帰らなくては」
「涼子さん、あなたが好きです。」
そう言うなり強引に涼子の唇を奪った。涼子は
抵抗しなかった。自然な成り行きである。もう
何もかもがどうなってもいい、全てを彼に上げ
よう。涼子はそう思った。二人の口づけは次第
に激しいものとなっていった。最後の一線を
超えようとしたとき彼の携帯のベルが鳴った。
50 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 08:46
彼は携帯を取り、何やら話し始めた。
どうやら、アンドロメダ星人語らしい。涼子
には、さっぱり内容は理解できなかった。
かなりの長時間電話になったが、携帯を
置くと彼は深刻な顔をして、涼子に言った。
「大変なことになった。私がスパイとして
敵星に送られることになったんです。
一刻を争う事態ですので、今すぐ家に帰り
大型宇宙船で敵星に向かわねばなりません。
友達に連絡を取りますので涼子さんは、私の
友達の宇宙船で地球にお帰りください。」
「いやです。私も一緒に連れていってください。
あなたと一緒なら死んでもかまいません。」
「それは出来ません。危険が大き過ぎます。
第一、涼子さんが一緒では、かえって足手まとい
になってしまいます。どうか分かってください。」
51 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 08:46
「いやです。私・・・、あなたを心の底から愛し
てしまったんです。あなたのいない宇宙なんて
意味がないんです。決して足手まといには
なりませんから是非連れていってください。」
「涼子さん、聞き分けのない人ですね。こう
やって言い争いをしている暇もないのです。
分かりました。それじゃ、一緒に行きましょう。
しかし、あなたの幸せは、勿論命の保証さえも
出来ませんよ。それでもいいですか、決して
後悔しませんか。」
「愛とは、決して後悔しないことだと映画の
台詞で聞きました。」
「いいでしょう。一緒に行きましょう。早く
服を着てください。準備が出来次第出発
しますよ。」
二人は、服を着ると、早足で車に向かった。
「迷宮のアンドーラ」を語るスレじゃないのか?
53 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:03
車に乗り、ハンドルに手を掛けた。ハンドルは
決して伊達で付いてるわけではない。自動操縦
装置が万一壊れたときは手動に切り替えて運転
しなければならないのだ。ハンドル自動収納タ
イプの車もあるにはあるが、やはりその分コスト
がかかる。究極に発達した星でもやはりコスト
計算は大事だ。たかがハンドルが自動収納して
くれるだけで、1万ダラーも出すのは勿体ないと
思ってこちらを選んだのである。運転手の気分
がいいときは、車も気を使ってくれてさらに気分
を癒してくれるためにやさしい女性の声で、行
き先を聞いてくれたり聞きたい音楽をかけてく
れたりするが、今回のような緊急事態の場合は、
余計な事は一切しない。ドアを閉めるなりこの
車本来の性能をフルに発揮して、車は超光速で
空を飛んだ。
54 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:03
光速の10倍ものスピードを出すと、景色
さえも見えない。フロントガラスが一瞬
真っ白になったかと思ったらもう自宅に着いて
いた。涼子はあっけにとられた。いつの間に
自動ドアは開いて、そして閉まったんだろう。
自動ドアも超光速で連動してるんだろうか。
涼子は呆然としていると、彼が、
「さあ、行きましょう。今度はあの一番大きな
宇宙船に乗るんです。あの小さな車では、とても
85億光年彼方の星までは行けません。光速の10
倍程度のスピードでは、8億年以上もかかって
しまします。この大型宇宙船だと、85億光年
ぐらいはひとっ飛びです。」
今度の宇宙船はとてつもない大きさである。
いかにもスピードが出そうな超流線型をして
いた。
55 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:04
「この宇宙船は無限エンジンを積んでいます。
つまり無限大のスピードが出るんです。本気で
飛ばせば宇宙を突き抜けて、無の世界にだって
行けるんです。我々は、このエンジンのお陰で
全宇宙の謎も解明することが出来たんです。」
彼は、シートに身を委ねながら、簡単にエンジ
ンの説明をしてくれた。
「宇宙の果ては無なんですか。」
「無です。そのことは何千年も前から分かって
いました。ただそのことを実証するには、現実に
行ってみるしかないだろうということになって、
沢山の勇者がチャレンジしました。そして1320人
の勇者が犠牲になりました。やはり無の世界に突
っ込んだ宇宙船は、宇宙船そのものが無となる。
つまり消えて無くなるという理論が態勢を占め始
めました。
56 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:05
もう駄目なのかと、みんながあきらめ
かけたとき、一人の大天才が現れました。
その勇者は、独特のアイデアを盛り込み設計した
自分の宇宙船で宇宙の果ての無の世界に突っ込ん
で行きました。絶対に帰って来れるという理論を
完璧に構築してから、無の世界に旅立ったのです。
そして、証拠のビデオと共に彼は見事に帰って来
たんです。今迄のエンジンでは、突っ込むことは
出来ても帰ることは、出来ないという根本的な欠
陥を修正し、見事に克服することに成功した初の
勇者になりました。彼は神そのもの、いや神以上
の人間なんです。」涼子は感情的な声を出して言った。
「信じられません。それじゃ証拠のビデオというもの
をhiroponさんも見られたんですか。」
「勿論見させてもらいましたよ。今からそのビデオを
フロントパネルに映しますからよーく見てください。」
57 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:05
「どうですか、これが証拠のビデオです。真っ暗
な中に小さく光る白い点が見えるでしょう。これが
宇宙です。」
「えっ、これが宇宙なんですか、宇宙ってこんなに
ちっぽけなもんだったんですか。」
「そうなんですよ、宇宙は広いとはいえ、無の世界
から見ると、ほとんど存在しないほど小さいもの
なんですよ。」
「これからどんどん接近して行きますよ。どう
ですか、宇宙が動いてませんか。」
「動いてます、動いてます。何か回転してま
すよ。」
「そうなんです。宇宙は回転してるんです。
ほぼ1秒に1回の割でね。我々はこれは、
人間の心臓の鼓動と連動してるのではない
かと考えています。これはちょっと意外
だったでしょう。」
58 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:06
「いや、意外なんてもんじゃないですね。想像
すら出来ませんでした。」
「それでは、今準備が出来ましたので敵星に向かっ
て発進しますよ。ただし、直接敵の星に直接は行き
ません。近づいた段階で撃ち落されてしまいます。自分の
敵の科学力はあなどれません。まずここから83億
光年先にある我々の秘密の最前線基地に行って仲間
と策を練ります。ちょっと妙な気分になるかも知
れませんが、我慢してくださいよ。それでは行きま
す。オグリ宇宙船発進。」
涼子は失神していた。やはり強烈な圧力が掛かった
ようである。気が付くと横にいた彼はいなかった。
「どうなったんだろう、もう着いたんだろうか、」
涼子は当たりを見回してみた。最新型の機器が所
狭しと並べられている。前のスクリーンパネルは
真っ暗で何も映ってない。
59 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:08
書いてある字はアンドロメダ星人語
なのだろうか。さっぱり意味はわからない。
こんな訳のわからない宇宙船を自分一人で動か
さなければならないシーンがやって来たりするのだ
ろうか。そんな場面が来たりしたら、私はとても生き
てはいけない。一人になると急に底知れぬ不安感が
襲い始めた。後悔めいたものが心の底からわいて来る
ような感じだ。なにかとてつもないことに巻き込まれ
たような感覚がぼんやりと実感を伴って現出し始めた。
「あれからどれだけ時間が経ったのだろう。
そうだ、お母さんに電話をしなくっちゃいけない
んだ。もう相当時間が経過してるかもしれないのに、
私は何を考えていたんだろう。もしかしたら物凄く
心配してるかもしれない。しかしここには携帯は
ないし、連絡のとりようもない。
60 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:08
無駄だと思うけど、自分の携帯で電話をしてみるか、
ひょっとしたら、0000を最初に付ければ掛かるかも
しれない。」
藁にも縋る思いで、自分の携帯を掛けてみたが、
やはり無駄であった。そのとき思わず彼が帰って来た。
涼子はたちまち安堵感に包まれ、訳も分からず涙が
あふれた。
「おや、涼子さん、気が付かれましたか、何故泣いて
らっしゃるんですか。ホームシックですか。この携帯で
早く電話をして、お母さんを安心させてあげてください。」
「ありがとう。ちょっとお借りします。ルルルルル、あっ、
お母さん、私ぃ、ご免ね、お母さん、あのー、今日はちょっと
帰れなくなっちゃたみたいなの。ひょっとしたら、1週間
ぐらい帰れないかもしんない。でも心配しないで、大丈夫
よ。あぁ、そんなんじゃないから大丈夫、大丈夫、
じゃあね、あー、はいはい、それではね、ガチャン」
61 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:09
涼子は携帯電話を返しながら言った。
「どうも、ありがとうございました。お陰様で
だいぶ落ち着きました。」
「それは良かったです。今、前線基地と連絡を
取り、敵基地に潜り込む作戦を色々と考えて
来ました。すでに偽の入国許可証や、パスポート、
身分証明書なども準備してもらいました。涼子
さんの分もあります。我々は、敵の中枢部に
潜入せねばなりません。失敗は即、死を意味し
ます。慎重には慎重を期して、さらに大胆に
行動せねばなりません。こう言うと難しいかも
しれませんが、大丈夫です。落ち着いてください。
敵の星の名前は、グリゴン帝国と言います。
この星は、殺人レーザー光線を開発するに当たって
最大の友好国カダカレヤ星から技術提供を受けて
おります。
62 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 23:09
そこで我々は、カダカレヤ星からの技術者と
してうまく潜り込むのです。しかし我々はカダ
カレヤ星の言葉は喋れません。そこで今から
睡眠学習を行います。といっても本当に眠る必要
はありません。3分程この睡眠学習ヘッドを掛けて
目をつぶってるだけでオッケーですよ。それではやっ
てみましょう。」
hiroponは、涼子に睡眠学習ヘッドを掛けてあげた。
それから自分の頭にも睡眠学習ヘッドを掛けた。
それから素早くカダカレヤ星の言葉を機器にセット
し、スイッチを入れた。
63 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 02:06
ボキャブラリが幼稚っぽいわりには、あちこちに年寄り臭さが滲んでるね。
すまんsage忘れた.。
65 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 12:18
なにやら心地の良い音楽が聞こえてきた。小さく
囁くようにお喋りしている声も入っているようだ。
涼子は目を閉じてうっとりと音楽に聞き入った。
やがて3分程して音楽は終了した。彼は言った。
「もういいですよ、ゆっくり目を開けてください。
今からヘッドを外しますね、どんな感じですか?」
「えっ、どんな感じって? 何も変わってません
けど」「結構ですよ。もうすでに変わってます。
今喋った言葉がカダカレヤ星の言語なんです。
睡眠学習を受けると今迄主としていた言語が
カダカレヤ星の言語に置き換わるのです。つまり
涼子さんが普通に日本語だと思ってる言葉がすで
にカダカレヤ語になってるというわけです。」
涼子は信じられなかったが、本当にそうらしい。
66 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 12:18
「今から我々はここを出てカダカレヤ星人の
ロケットに乗ります。そこには本物のカダカレヤ
星人が一人乗っています。我々の意思に賛同して
くれて、本気でグリゴン帝国を潰そうと考えて
らっしゃる方です。この方はグリゴン帝国の言葉
を自在に操ることができますし、殺人レーザー光
線にも詳しい方ですので、技術者兼通訳として
一緒に行って貰います。きっと我々の役に立って
くれるでしょう。それでは行きましょう。」
二人は外に出た。傍にはカダカレヤ星人のロケット
が天に向かって聳え立っていた。二人は足早に
ロケットに向かった。ロケットに近づくと自動的
にドアが開き、タラップが無音で伸びて来た。
タラップに足を掛けると自動的にロケットの中に
引き込まれて行く。中は外から見た感じと違って
だだっ広い空間が広がっていた。
67 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 12:20
真ん中の方に一人の人間が立っているのが見える。
私たちは足早に近づいた。あちらの方も気がついた
のか、こちらに向かって歩いてきている。お互いに
適当な距離迄近づくと彼の方から軽く挨拶をした。
「やあ、初めまして」
「連絡は受けております。よろしくお願いします。」
なんと、相手の方は綺麗な女性だった。背が高く
髪は金髪、目はブルー、地球でいえばドイツ人の
ような方だ。
「早速ですが、銃が使えなくては話になりません
ので、今から射撃練習場に行って銃の扱い方を
マスターしてもらいます。付いて来てください。」
そう言うなり、彼女は踵を返し、つかつかと
歩き始めた。私たちも後を追って歩き出す。
彼女はエレベーターに乗った。後に続いて全員乗
ると、エレベーターは自動的に動き出した。
「地球でいえば」が多すぎますね。
想像力と描写力の貧困を読者に印象付けてしまいます。
そういうところを豊かに描いてこそのSFですよ。
70 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:46
地球にあるエレベーターのように、ボタン
などは一切ない。このエレベーターも、人の
意思を読み取って勝手に動いてくれるのだろう
か。そんなことを考えていると、ドアが自動的
に開き、彼女はつかつかと出て行った。私達も
後に続く。何もないような部屋の真ん中迄来る
と、彼女はさっと手を挙げた。すると、銃を
満載した棚が上から「シュー」と降りて来た。
彼女はそのうちの一つの銃を取り彼に手渡した。
さらに彼女はやや、小型の銃を取り私に「これ
を」と言って渡してくれた。続けて彼女は言う。
「時間がないので余計な説明は一切省きます。
まず銃の左側を見てください。大きいレバーが
ありますね。このレバーを銃口の方に向けると
安全装置が外れます。
71 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:48
それから銃の右側を見てください。こちらに
も大きなレバーがありますが、現在レバーは
上に向いております。これは普通の状態で、
人や動物を殺すときにだけ使用するものです。
通常はこの状態になっておりますが、人や動
物を気絶させたいときだけの場合はこのレバ
ーを銃口の方に向けてください。人も物も壊
したいときはレバーを銃口の反対方向に向け
てください。さらに物だけを壊したいという
ような特殊なときは普通の状態から180度回し
てください。つまりレバーを下に向ければい
いんです。では今から安全装置を外して用意
する的に向けて発射し、練習してください。
5分だけ練習時間を設けますのでビシバシ撃
ってください。慣れるに従って標的は素早く
動き出します。」
72 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:48
そう言い終わると10m程前方に、お馴染みの
三重丸の標的が現れた。私はど真ん中に狙い
を定め引き金を引いた。
銃口から赤い光線が「プシュゥー」という音を
立てて飛んで行った。光線は見事に的を外れ、
闇の彼方に消えていった。私は又もあっけに
取られた。なんとレーザー銃だったんだ、しかし
無反動だけに扱いやすい。私は続けて撃った。
今度は真ん中の方に的中した。標的は「スカーン」
という心地いい音を残して消滅し、次はいかに
も悪人らしい標的が登場した。どうやらこれ
は全て特殊な映像らしい。私は面白く
なって次々に現れる標的を倒していった。倒す
度に標的は小さく素早くなっていき、だんだん
難しくなっていく。
73 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:50
そのうちに動物や、泣き叫ぶ女子供も出て来たが、
今の私には、撃っていいかどうかを判断している
余裕はない。何でもいいから撃ってしまえという
気持ちで、標的らしきものは全て撃ちまくった。
と、突然標的は視界から消えた。彼女が傍に寄っ
て来て、
「ハイ、結構です。これらは銃ホルダーですが、
適当なのを選んで隠し持ってください。」
私はどこに隠せば一番安全かを考えあぐねたが、
結局スカートを穿いているので太股に付けるの
が、一番いいと思った。しかし今ここで付ける
のは恥ずかしいので、付けられる余裕が出来る
ときまで持って歩くことにした。
「それではこれからグリゴン帝国に乗り込みますが、
すでにカダカレヤ星の方からグリゴン帝国に向けて、
殺人レーザー光線の最終調整のため、
74 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:50
優秀な技術者を3名派遣すると伝えてあります。
今のところ作戦は順調に進んでおります。それでは
操縦室にご案内しますのでついて来てください。」
我々は又同じエレベーターに乗った。操縦室は最上階
にあるらしい。さっきの倍は時間がかった。ドアが
開くと宇宙戦艦ヤマトのような艦橋が現れた。
ミーハーの私はいつもならこんなとき
「すんごーい、かっこいいー、素敵ー、」なんて
騒ぐんだけど、さすがに非常な緊張状態の続いて
いる今はそんな気にはなれない。
「それでは、hiroponさんは、こちらの席に、涼子
さんは、そちらの席に掛けて出発準備が終わる
迄お待ちください。」そう言って彼女はどちら
ともなく消えていった。彼以外に人はいないし、
彼から私の方は見えない位置なので私は、
75 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:51
安心してゆっくりと銃のホルダーを太股に装着す
ることが出来た。装着を終えると艦橋の様子を観察
することにする。正面に見える超巨大パネルには
何も映し出されていないが、左右に広がるスペー
スには、訳の分からないコンソールパネルや、デ
ィスプレイ、ツマミやレバー、インターコム、レ
ーダーのような物などが、所狭しと並べられて
いた。ほとんどの装置は点滅を繰り返したり、数
字が自動スクロールされていたりして、しっかり機
能していることを物語っている。それにしても人が
いない。この巨大なロケットは彼女一人で操縦出来
るのかしらと、不思議な気持ちがした。そのとき
突然巨大パネルに彼女が大写しされ、私達に語り
かけた。
「準備が整いましたので、今から発進します。
3、2、1・・・発進・・・」
76 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:53
そう言うと彼女の姿が消え、変わりに猛烈な
スピードで星が後ろに流れていく映像に変わった。
どうやら、なんのショックもなくロケットは
出発し、すでに宇宙空間を飛んでいるらしい。
暫く星が後ろに流れていく映像を楽しんでい
たら前方に茶色っぽい星が出現し、どんどん
大きくなってきた。何だか不気味な星である。
そう思っていたら巨大パネルの映像が切れ、
彼女が姿を現した。
「グリゴン帝国に到着しましたので今から
潜入します。付いてきてください。」
そう言って彼女は先頭に立って歩き出した。
ドアが開くとまさにスターウォーズの世界
そのものだった。何千、何万もの白い鉄火面
をしたロボット(そう見えた)が、銃を上に
向けて整然と並んで敬礼していた。
77 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/16 21:54
すでにタラップ迄真っ赤な絨毯が引かれ未来
都市を思わせる建物の中にまで続いていた。
絨毯を挟んで2列になって敬礼するロボット
の真ん中を私達は、彼女を先頭にして私と
彼がやや後ろに並んで歩き出した。暫く
歩くと建物の入り口の前で出迎えている
らしい男がいることに気づいた。彼女は
笑顔で手を振って挨拶をした。私も同じ
ように手を振って挨拶をしようと思ったが、
横目で彼を見ると、彼は何の反応もして
いないので止めておくことにする。私の緊
張感は最高潮に達していて、今にも心臓が
飛び出さんばかりだ。いかん、いかん、も
っとリラックスしないと私達の素性がバレ
てしまう。男も笑顔で手を振って挨拶を
している。
78 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/17 01:30
男は黒っぽい軍服をビシッと決めているが、
胸には、たくさんの勲章やバッジが付いて
いる。どうやら地位も名誉もある立派な軍人らしい。
彼女と知り合いなんだろうか、男はニコニコ
しながらこちらに向かって歩き出した。それ
にしても凄いVIP待遇ぶりである。ほんの二日程前迄
しがない地球でしがない女子大生をやっていた私は、
どこでどう狂ったのか、どういう因果なのか、
宇宙の果てのような星にひょいとやって来て、
現実に宇宙の危機を乗り切るかどうかの重要な
役を演じているなんて、ほんとに世の中どうな
っちゃってるんだろう。夢なら早く覚めてほし
い心境である。膝でも抓ってみようかしら、なんて
私、これでもまだ結構心に余裕を持ってるんだわ、
私って、ほんとは大物女子大生かも。
79 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/17 01:31
これも運命に違いないんだわ、だったら、やれるだけや
るっきゃないんだわ、覚悟を決めれば何でも出来ないこ
とはない。どうせ死ぬときは死ぬんだし、もうやけのや
んぱちよ。きっと神様に私の度胸を試されてるに違い
ないんだ、そうだ、そうに違いない。あまりの状況の
変化に、もう私の心は支離滅裂、どうにでもなれ状態
である。1mぐらいの近くまで来ると、男は手を差し
出して来た。彼女も手を出し、握手をした。何やら
彼女は喋りだした。グリゴン帝国語なのだろうか、
私には、さっぱり理解できない。男も何やら喋って
いる。そのうち彼女はこちらを振り向いて私達を
紹介し出した。お互いにニコニコしながら握手をした。
ひと通り紹介が終わると建物の中に案内された。中に
入ると案内係の女性らしい人をを紹介され、彼女
はその女性と何やら話を始めた。暫くして彼女は、
80 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/17 01:32
彼と私に身分証明書と入国許可証、パスポートを
出してほしいと言った。私達はそれら書類を彼女に
渡すと、彼女は自分の分も含めて一緒に案内係の
女性に差し出した。案内係の女性は書類を全て持
って建物の中に消えていった。その途端私は、あ
の偽の書類がバレはしないかと心配になった。
もしバレればこの場で処刑されるかもしれない。
私達はVIP待遇だから、フリーパスで入れるに
違いないと、このとき潜在意識としてあったこと
を思い知らされた。甘い予想は現実では通じない
ということなのか。やきもきして待っていると、
案内係の女性は黒い仮面を付けた2体のロボットを
引き連れてやってきた。あぁ、私たちの運命も
これまでなのか、きっとこの場で射殺されるに
違いない。私は最悪のケースも想定した。
81 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/17 22:46
案内係の女性は彼女に向かって真っ直ぐに歩いて
来た。そして書類を差し出しながら何事か話しだし
た。彼女も書類を受け取りながら何か言っている。
暫くしてゆっくりと二人とも歩き出した。ロボット
も付いて歩き出したので、私たちもその後を追って
歩き出す。連れて行かれる先は殺人レーザー光線銃
の製作現場なのか、それとも独房なのか、まったく
予測が付かない。願わくば後者でないことを祈らず
にはいられなかった。 ぞろぞろとみんな、エレベ
ーターに乗り出した。私たちも遅れまいと一緒に
乗った。全員乗り終わるとエレベーターは音も無く
動き出した。上昇しているのか、下降しているのかは
皆目わからないので不安は更に募って行く。凄い高速
エレベーターのはずだが、随分長く感じられた。相当
な距離であることが想像出来た。不安で卒倒しそうな
気分でいたら、少しショックが感じられた。
82 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/17 22:46
どうやら到着したらしい。ドアーが開くと向こうの方
に巨大な大砲のようなものが見えた。どうやらこれが
殺人レーザー光線銃らしい。その圧倒的な存在感は周
囲を威圧するには十分なものがあった。しかしなには
ともあれ、処刑及び独房行きは免れたのである。とり
あえず神に感謝しておこう。人が何百人もいるみたい
である。なにぶん国家の存亡をかけた戦いである。み
んな必死の形相で忙しそうに働いていた。レーザー光
線銃の脇で巨大パネルを囲んでいる科学者集団が目に
ついた。案内係の女性がその集団に向かって歩き始め
たので私達も遅れまじとついて行く。科学者集団の傍
迄近づくと、案内係の女性は何やら喋り始める。多分
「新しく優秀な科学者を案内してまいりました。」と
か言ってるんだろう。案内係の女性がこちらを振り向
いてこちらに向かって手を差し延べた。いかにも「あ
ちらのみなさんがそうです」といわんばかりである。
83 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/18 08:08
その合図に科学者集団の殆どの人がこちらを見たので、
私はニコっとして、軽く会釈をした。私の精一杯の
会釈に対して応対してくれた人は一人もいなかった。
まぁ当然だろう。それから案内係の女性の人はこちらに
つかつかとやって来て彼女に何事か話した後、ロボットを
引き連れて元来たエレベーターで帰って行った。彼女は
振り返り私達に「書類はお返しします。それからこれを
耳の奥につけてください。これは超小型マイクシステム
です。あの10人程の科学者集団の中には、カダカレヤ星
人も3人含まれています。その方達から、難しい質問が
出される可能性があります。その質問にまともに答えられ
なかったりしたら、たちまち私達は疑われてしまします。
このシステムは、私の想念を音にしてあなた達の耳の奥に
マイクを通じて送ります。もし質問されたら、私の声を
聞いてその通りに言ってください。よろしいですね。
じゃあ行きましょう。」私は大急ぎで書類をバッグに
入れ、マイクを耳の奥に取り付けた。彼女は私達二人
がマイクをセットしたのを確認すると、科学者集団に
向かって歩きだした。私達二人も彼女の後に続いて歩
いた。科学者集団の前迄来ると、彼女は軽くおじぎ
をしてから何か喋り始めた。多分新しく赴任してき
たので挨拶をしてるのだろう。それから私達二人を
順番に彼らに紹介した。軽い挨拶が終わると、一人
の科学者が巨大パネルを指差して何やらわめき始めた。
どうやら問題の個所を説明しているらしい。それに
対して彼女が答え始めた。その科学者は、うんうん
と頷いている。どうやら納得出来る回答が得られた
らしい。しかし私にはこの巨大パネルが何を意味し
ているのかは、さっぱり理解できない。半導体の回
路のようにも見える。巨大パネルを呆然と見ていた
ら、横から頭の禿げたおっさんが喋って来た。
来たーーーー、遂に危機が迫ってくるかもしんない。
私は緊張で顔が強張った。おっさんは早口で畳み掛
けて来た。「君、君、わしゃー、どうもジェネレー
ターの、位相回路のプライネリー・ネットの標準が
わからんのじゃが、君はどう思うかね。」何ちゅー、
難しい質問をするんじゃ、おのれは、私は、動揺し
た心を悟られてはならないと、必死で笑顔を作りな
がらチラッと横目で彼女の方を盗み見た。しかし彼
女も別の科学者からの質問を受けていて、私が、受
けた質問の内容を良く聞かなかったらしい。どうし
ょう。早く答えなければならないし、いい加減な答
えは出来ないし、あーー、人生最大の難関に遂にぶ
ち当たってしまった。絶対絶命だ、私の心の中は
泣きそうになっていた。しかしその時、天の助けか、
耳の奥から彼女の声が聞こえて来たではないか。
86 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/18 10:36
センスがとても古い。
長くてつまらない。
sage忘れた。
改行が読みづらい。読む気にならない。
自分で読み返すのも大変だと思うのだが。
なんかもうちょっと内容に踏み込んだ批判をしないとあまりにかわいそう
じゃないかな。といってわたしも読んでいないのだが。
「39%よ」はっきりそう聞こえた。助かったー、私は
得意げにニヤっとしながら「私は39%を標準にして
おります。」と言った。それを聞いた禿げおっさんは、
「おお、そうか、なるほど、なるほど、」そう呟いて
感心しながら向こうに行った。やれやれ、どうやら
なんとか切り抜けられたみたいだ。しかしカダカレヤ
星人やカダカレヤ星人語の使えるグリゴン星人から
矢つぎばやに質問が飛んでくる。その度に私は
彼女からの連絡を待って次々に答えていく。どうやら
なんとかこなせそうだ。彼女は天才なんだろうか。
どんな質問にも臆することなく、しかも3人分の
質問に間違えもせず、簡単に次から次へとこなして
いった。我々は、もう完全に信用されつつあった。
そのうちにここを取り仕切っているらしい、下顎に
たんまり白髭を生やしたおじさんが、何やら我々
全員に向かってわめきだした。
>>89 星の王子様の方も批判に全然応答してないのでお互い様。
早速彼女が私達二人に今度は直接通訳してくれた。
一人一人ばらばらに質問していたんでは、効率が
悪いので、会議室に移ってディスカッションしよ
うということらしい。白髭を生やしたおじさんを
先頭にして、我々はぞろぞろと歩き出した。100
m程歩くと会議室らしい部屋が見えて来た。おじ
さんを先頭にして部屋に入ると、我々を中心に
着席した。座るやいなや、質問がばんばん我々に
向かって飛んで来た。彼女は立ってそれらの質問に
一つ一つ丁寧に答えていった。ほとんどグリゴン
星人語らしくって、私には何を言ってるのか、
さっぱりわからなかった。彼女は次から次に飛んで
くる質問にも嫌がることもなく、流暢に答えてい
たが、ついに返事に窮する場面も出て来た。すると
今度は、彼も立って説明を始めた。なんと彼はグリ
ゴン星人語をいつの間にか覚えてしまっていたのだ。
おまけに殺人レーザー光線にも、めっちゃ詳しかっ
た。私は益々彼を尊敬した。彼の説明にみんな溜息
を漏らした。とんでもない天才ぶりに、口あんぐり
の者もいる。中には涙ぐんでる者さえいる。彼の
説明はそれほど素晴らしかったのだろう。ここに
いる科学者達のほとんどの疑問は解消されてしま
ったらしい。今度は白髭を生やしたおじさんが、
立って、何やら喋りだした。すると私達を除いて
全員が拍手喝采をした。しかしよーく考えると
我々は殺人レーザー光線銃の完成を邪魔するため
にわざわざ来たのであって、完成させるために
来たのではないのだ。しかし彼にはそのへんの
計算もしたたかにしてあるのだろう。ぼんやり
そんなことを考えていたら、みんな部屋を出て
行きだした。出て行く前に彼に握手を求めて
出て行く人もいた。
いきなりですが、ここから先はリレー小説
にしたいと思います。みなさん勝手に考えて
つないで行ってください。なお、私が気に入った
ストーリーがあれば賞金100000000円を
支払いたいと思います。それではよろしく。
(暗転)
病院の個室。涼子はベッドに寝ている。ベッドの横の椅子に一人の男が座り、涼子の顔を無表情に見守っている。
怯えた顔で目覚める涼子。
「私、夢を見ました。とても恐ろしい夢を」
「涼子さん、それはもう終わったんです。すべてはもう終わったんですよ。」
「夢を見たんです。殺人レーザーと、アンドロメダと、100000000円の夢を。世界を支配していたのは想像力の貧困とそれに反比例する自己顕示欲だったんです。
まったくそれだけだったんです。」
「涼子さん、それはもう終わったんです。すべてはもう終わったんですよ。」
「世界は広いし、無限エンジンを使えば宇宙の果てだって行ける。でも駄目なんです。語り手の想像力はあらゆる場所において貧困そのものなんです」
「涼子さん、それはもう終わったんです。すべてはもう終わったんですよ。」
「中学生の文体と40代のセンス!(ベッドの上に仁王立ちになって)呪われよ!永遠に呪われよ!」
「涼子さん、それはもう終わったんです。すべてはもう終わったんですよ。」
「(白目を剥いて)リレー小説!最後まで妄想を持続することもできない精神勃起不全が!収拾がつかなくなったら他人任せか?てめえが撒いたビチグソはてめえが拭くもんだろ?あぁ?
あらゆる意見を無視してビチグソ垂れ流してへいこれが自己表現でございってか?呪われよ!永遠に呪われよ!」
男、まるで荷物を扱うように涼子を肩に担ぎ上げ、助走をつけ窓から放り出す。
「死ね!死ねよ!このグロ画像が!この先天性」
地面に物が叩き付けられる音。そして静寂。
病院の個室。空のベッドの隣の椅子に男が腰掛けている。
「(首をかしげて)それにしても、どこがSFだったんでしょうね?」
(暗転)
(スタッフロール)
星の王子様、結局何行目を縦読みすれば良かったのでしょうか?
98 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/19 20:03
>>96 おおっ、上手いな。
この上もし、96=星の王子様で、
今までの駄文が全部ネタ振りだったりしたら神なんだが。
99 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/19 22:53
よっぽど彼の説明に感服したのだろう。全員出
ると我々も後を追って部屋を出た。元の巨大
パネルの傍にみんな集まっていたが、最初より
人数はだいぶ減っていた。恐らく理論を実践す
るために焦る気持ちを抑えて技術者に伝えに
行ったのだろう。我々三人も巨大パネルの前に
集まった。すかさず白髭を生やしたおじさんが、
我々に喋りかけて来た。今度は私の彼が応対し
た。二人で延々と談笑し始めた。彼女にも又
誰かが質問を浴びせる。わー、もういい加
減にしてほしいなぁと思っていたら、大音量の
場内アナウンスが有り、みんな注目した。彼女
が同時通訳してくれる。
100 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/19 22:54
「ようやく殺人レーザー光線銃が完成しましたので、
今から試射に入ります。総員戦闘配置についてくださ
い。」とのことであった。周りの人達はバタバタと
動き始めた。そんな中、場内アナウンスが、
「10,9,8,7」と数え始めた。えー、そんな
馬鹿な、こんな早く完成しちゃうなんて、と思
ってたら、すでに「3,2,1,・・・発射~~」と
言って発射した。レーザー光線は音も無く青白
い光が45度の角度で飛んで行くように見えた。
しばらくしたら
「実験は成功しました。ここから32億4000万
後年離れた奴隷国のひとつである、モルガン
星の動植物は全て死滅しました。」と告げた。
101 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/19 23:48
私は青ざめた。心はもう完全にパニクっている。
いつ本発射されてもおかしくない。私の頭は
思考停止状態に陥った。そんなとき彼が傍に
来てそっと耳打した。「俺には発射室が大体
どの辺にあるかは想像出来るので一人で行って
破壊してくる。秒読みも無しに発射することは
ないだろうから、もし秒読みが3迄行ってし
まったら、レーザーガンで、殺人レーザー光線銃
を破壊してくれ、頼んだぞ、今からレバーは銃口
の反対方向に向けておくように」そう行って彼は
彼女にも何事かを伝えてからどこにともなく消えて
いった。私は何気なくスカートの中に手を突っ込
んで、レバーを銃口の反対方向に向けておいた。
それから数分、いや、現実には数秒だったかも
しれない。再び場内アナウンスが始まった。
102 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/19 23:49
「只今より本来の目的である、アンドロメダ星雲
内のプロシオン系第2惑星メーテル星に向けて
発射します。15,14,13・・・・・」大変である。
いよいよ本番の秒読みが始まった。7迄読まれた
とき、向こうの方で爆発があった。ふと爆発の
方を見ると彼がこちらに向かって駆けて来るの
が見えた。来る途中で殺人レーザー光線銃にも
発射している。超大型殺人レーザー光線銃はみる
みる破壊されていった。彼はこちらの方まで
来ると、「撃て、敵は全てやっつけろ」と恐ろ
しいことを言った。私も慌てて銃を取り出して
ようやく気づいたらしい敵兵に向かって滅茶
苦茶に発砲した。完全に不意を付かれた敵は
ゲーセンで遊んでいるかのごとく、バタバタと
倒れていった。
103 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/20 00:50
「ウォ~ン、ウォ~ン」と緊急事態を告げる
サイレンも鳴り出した。すでに何百人もいた
敵は何十人かに減っている。しかしあちらこちら
から援軍がバタバタとやって来る。彼が言った。
「よし、エレベーターに向かって逃げよう。」
私達3人は必死になって走った。エレベーター
迄あと2~3メートルだというとき彼女が撃たれて
しまった。私は泣きそうになった。思わず振り返り
彼女を助け起こそうとした。彼女は、泣きながら
「私はもう駄目、逃げて、早く逃げて」と言った。
私は「そんなことは出来ない」と言って助け起こそうと
したが、彼が「彼女はもう駄目だ、早く行こう」と無
理矢理私の腕を掴んで、間一髪でエレベーターの中に駆
け込んだ。地上に出る迄恐ろしいほどの時間が経過し
たような気がした。もう地上では敵兵が待ち構えてい
るかもしれないと思うと気が気でならなかった。
104 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/20 00:50
エレベーターのドアが開くと、意外にも無警戒だった。
何千何万ものロボット兵はこちらには無関心のようで
ある。私たちは平然とした顔でゆっくりとロケットに
向かった。ロケットに乗り込むと私は「操縦は出来る
んですか」と彼に訊いた。彼は「何とかなるだろう」
と言う。幾ら彼が天才でも異星のロケットを簡単に
は動かせないかもしれないと、私は不安になった。
そのうちに巨大スクリーンが自動で映し出された。
そのスクリーンには、あの最初に会った、胸に
勲章を一杯付けた軍人が出て来て、何やらあわて
ふためきながら、ロボット達に命令しているのが
映っていた。命令を訊いてロボット達は私たちの
ロケットに向かって駆け出したのが見える。また
しても絶対絶命だ、今度こそ終わりだ、私は全身の
力が抜けていくのを感じた。
105 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/20 01:07
そのとき、遠くの空で何かがピカッと光った。すると
みるみるうちに、ロボットがばたばたと倒れていく。
私は「一体どうなっているの?」と訊いたが彼も「どう
したんでしょう。何かのレーザーのようだったが」
どうやら彼も知らないようだ。「でも助かりましたね。
早く出発しましょう」そういうと彼は操作盤をいじって
いたが、「駄目だ、さっきロボットに破壊されて
しまったようだ」「えー?!どうすればいいの?」
そのとき空から円盤のようなものが降りてきた。
円盤はロケットの隣に着陸すると、入り口が開いて
中から金髪の美女が出てきたではないか。「こんに
ちは、わたしクララといいます。五千年先の未来から
やってきたのですが、お困りなら私の円盤に乗って
いきませんか?」「助かりました、ありがとうございます」
私たち二人はお礼を言って彼女の円盤に乗り込んだ。
「助けていただいてありがとうございました。わたしは
hiropon、彼女は広末涼子といいます」彼はお礼を言った。
するとクララは、びっくりしたような顔で「あら!原種のヤプーを
連れてらっしゃるのね?よかったらここで皮膚処理を済ませて
いかない?」と言うとどこからともなく現れた黒人奴隷が私を(つづく)
第2章、「イース帝国編」にご期待ください。なんだかんだ
あってセッチンに改造された涼子が見たものとは?!
hiroponとクララの恋の行方は……?
106 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/20 03:24
しかしそのとき奇跡は起こった。ロケットが飛んだ
のだ。いや、彼が操縦するのに成功したのだった。
つくづく頼りになる男だ、私はまたしても惚れ直して
しまった。巨大スクリーンは、あの悪夢のようだっ
た、グリゴン星がみるみる小さくなっていくのを映
している。思いもしない結果に私はただ呆然として
いた。ふと彼女のことを考えると泣きそうになった。
今の私には、ただ安らかに眠ってくださいと祈るし
かない。そこに彼が目の前に現れ、「涼子さん、
ご苦労さんでした。お陰で宇宙の平和は、保たれま
した。」と言った。私は彼に抱きついてわんわん
泣こうと思った。しかしそのとき、ロケット内に
アナウンスがあり、「このロケットは、アンドロメダ
銀河プロシオン系第2惑星メーテルに着陸しました」
というアナウンスを繰り返した。彼は「まだ私達には
重要な仕事が残っています。さぁ、行きましょう」
107 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/20 03:25
と言った。ドアが開くとそこは彼の宇宙船格納庫だ
った。あんな大仕事をやってきたというのに、命から
がら逃げて来たというのに、誰一人出迎える者も
いなかった。しかしそれは無理もないだろう。なにせ
こんな巨大プロジェクトが一般大衆の知りえない裏
で、密かに進行していることを知っているものはほん
のわずかなのだから。タラップを降りると私は彼に訊
いた。「これからどうするんですか。」「今から中型の
宇宙船でメーテル星の衛星である、サンマルトンに
行きます。そこに銀河宇宙連邦の本拠地があり、建設
中の殺人レーザー光線銃もあります。私には今までに
有ったことを報告する義務がありますし、殺人レーザ
ー光線銃の完成に向けて助言する義務もあります。」
「こちらの殺人レーザー光線銃を設計したのはあなた
なんですね。」
108 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 01:18
「そうです。グリゴン帝国の殺人レーザー光線銃を客
観的に観察出来たことによって、最終的な問題点が解
決したのです。一刻も早くアンドロメダ銀河宇宙連
邦軍の本拠地に行ってそのことを進言する義務が
私にはあります。それではいきましょう。」
二人は中型宇宙船に乗り換え早速サンマルトン
に向かって発進した。涼子は不審な点を尋ねてみた。
「どうして宇宙船を乗り換えたんですか、そのまま
サンマルトンに行けばもっと早く着けたはずなのに、」
「それが、コントロールが効かなかったのです。恐らく
敵のロケットと間違われてサンマルトンから攻撃があ
ったと思われます。自動防御装置が働いてコンピューター
が勝手にこちらを選んだのでしょう。」「あー、なるほど
そうだったんですか。失礼しました。」涼子は質問すべき
ではなかったと後悔するのだった。
109 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 01:19
「この宇宙船の乗り心地はどうですか。旧式のト
ンネル効果を利用して飛んでいるんですが、光速の300倍
程の速さで宇宙空間を飛びますのであと数分で到着できます。
近距離の星に行くには、ぴったりな宇宙船なんです。」
「へぇーそうなんですか、でも乗り心地はとてもいいです。
超高級車ロールスロイスみたいな感じで」「はぁ? ロール
スロイスですか、ベンツみたいな車ですね。涼子さんは、
乗ったことがおありなんですか?」「えぇ、」涼子が、
返事をしようとしたとき、軽いショックがあり、宇宙船は
サンマルトンに到着した。「涼子さん、今度は、メーテル
語が話せなくてはなりません。もう一度この睡眠学習ヘッド
を付けてください。」そう行ってhiroponは、涼子の頭に
睡眠学習ヘッドを付けて、メーテル語のセットをしてから
スイッチを入れた。
■■■ 私はメーテル・・・
ノノノ・_・) 余暇の大半を駄スレに駄レスすることに費やす女……
逃げるのよ鉄郎……
111 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 03:26
アタイこそが 111げとー
112 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 07:01
睡眠学習を終えると二人は宇宙船の外に出た。
どうやらそこはアンドロメダ銀河宇宙連邦軍
の宇宙基地らしい。茜色の空に染まる広大な
敷地に、巨大な宇宙戦艦や、宇宙ロケットが
規則正しく整列しており、圧倒的な迫力で見
る者を惹きつけた。遥か向こうの方に、手を
振っている10人ぐらいの人影が見える。私達
は足早に彼らに向かって歩き出した。彼らも
こちらに向かって歩いて来ている。目の前
迄来ると彼らの方から声をかけて来た。「ご
苦労さんでした。あなたたちのお陰で宇宙の
平和は保たれました。感謝しております。」
真ん中にいた、偉そうな髭をしたためた人が
そう言って握手を求めて来た。握手をしなが
らhiroponが言った。「提督自らがお出迎え
くださるとは、恐れ入ります。
113 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 07:02
殺人光線銃の問題点がようやく解決しました
のでこれから改良したいと思います。こちら
は作戦に協力してくださった涼子さんです。」
「これはこれは遠い所へわざわざようこそ、
涼子さん、さぞや恐い思いをしたことでしょ
う。もう、安心してゆっくりしていってくだ
さい。」提督は私にも握手を求めて来た。つ
いこの間迄しがない女子大生をやっていた私
が、こうしてアンドロメダ銀河宇宙連邦軍最
高司令官の提督に握手を求められるとは、夢
にも思わなかった。感激で胸が詰まって何も
言えない。「恐れ入ります。提督」と言うの
が精一杯だった。
Sugoku Furukusai
115 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 21:18
「それでは光線銃のある所までご案内します
ので一緒について来てください。」提督はそ
う言って踵を返し歩き始めた。私たちも後に
続いて歩き始める。暫く歩くと流線型の小型
宇宙船が見えて来た。どうやらこの宇宙船に
全員乗るらしい。様子を見ていると提督を始め、
続々と乗り始めた。私たちが全員乗ると小型宇
宙船は音もなく走り出す。沢山の宇宙戦艦や宇
宙空母、宇宙ロケットなどが、整然と居並ぶ中を
小型宇宙船は駆け抜けて行く。中には傷付き、懸
命に修理中の宇宙船も中には見受けられる。何千、
いや、何万もの宇宙船が一同に見れる景観は、圧
巻以外の何者でもない。宇宙船らの列がようやく
疎らになって来た頃、前方に超巨大な建物が
見えてきた。信じ難い程の圧倒的な光景である。
116 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 21:18
メーテル星一の5000m級の建物すら遥かに凌駕して
いた。しかも底辺における太さは、何千メートル
にも及ぶであろうという超巨大スケールである。
涼子はとてつもないスケールに圧倒されていた。
この世にこんな巨大な建造物が存在していたなん
て、想像すら出来ないほどである。実際この星
はこの建物を中心にして全てが機能しているの
である。道路も鉄道も何もかもが、ここから伸
び、ここに納まっていた。
「すごーい、こんな巨大な建物は、始めて見た。」
涼子は驚きのあまり、つい声をあげてしまった。
その声をすぐ前に座っていた提督は聞き逃さなか
った。「涼子さん、こんなもんで驚くのは早いで
すぞ。実は、この星は地球の大きさの3倍あるん
ですが、人工星なんです。しかもこの星の中には
超巨大戦艦が3隻も隠されています。
117 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 21:19
この星は超巨大戦艦3隻の微小調整エンジンによる
ロケット噴射で常にメーテル星の周りを回っている
という訳です。さらにこの星は光や電波を吸収する
金属によって出来ており、大変見つかりにくくなっ
ております。万が一敵に攻撃を受けて表面を剥がさ
れても、最終的には中に温存されている超巨大戦艦
が3隻姿を現し、敵と戦うというわけです。安全対
策が三重、四重にも出来ているという訳ですよ。
ははは」涼子は驚きのあまり声も出なかった。
小型宇宙船はこの建物に吸い込まれるように
入って行った。建物に吸い込まれた宇宙船は最初は
真っ直ぐに飛んでいたが、その内に右に曲がり、
左に曲がり、さらに上に上昇し、巨大な空間に出ると
そこから一気に下降を始めた。何千機もの宇宙船が
建物の中を縦横無尽に飛び回っていた。
> 宇宙船らの列がようやく
> 疎らになって来た頃、前方に超巨大な建物が
> 見えてきた。信じ難い程の圧倒的な光景である。
> メーテル星一の5000m級の建物すら遥かに凌駕して
> いた。しかも底辺における太さは、何千メートル
> にも及ぶであろうという超巨大スケールである。
> 涼子はとてつもないスケールに圧倒されていた。
> この世にこんな巨大な建造物が存在していたなん
> て、想像すら出来ないほどである。実際この星
> はこの建物を中心にして全てが機能しているの
> である。道路も鉄道も何もかもが、ここから伸
> び、ここに納まっていた。
リアル鬼ごっこを思い出した。なんとなく。
119 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 07:12
全て自動操縦装置により運転され、衝突なんて皆
無であるということである。圧倒されっぱなしで
いたらいつの間にか到着していたらしい。みんな
続々と降り始めていた。私達も遅れじと付いてい
く。暫く歩くと提督が振り返り言った。「hiropon
さん、我々はこれから重要会議がありますので、こ
れで失礼します。光線銃のある場所迄は、この二人が
ご案内しますのでついていってください。涼子さん、
今夜はパーティがありますので是非来てください。
それでは、又お会いしましょう」そう言って涼子に
向かってウインクをしてからエレベーターの中に消
えていった。私は呆然としていたら残された二人の
隊員のうちの一人が、「さあ、行きましょうか」
と言って別のエレベーターに乗った。私たちも
一緒に乗る。ほんの数秒でエレベーターは到着する。
120 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 07:14
ドアーが開くと圧倒的な威容を誇る、殺人レーザー
光線銃が姿を現した。私達は傍にある、作戦室の
ような部屋に案内された。その部屋には、巨大スク
リーンを前に、何十人もの科学者が、ああでもない、
こうでもないと討論していた。隊員のうちの一人が
つかつかと歩いて行って、科学者の輪の中に入って
行った。暫く科学者達と何事か、喋っている。そう
こうしているうちに科学者達は全員討論を止め、こ
ちらを振り返った。私は脳天気に笑顔を作って手を
振ったが、当然誰も反応しない。私は愕然と落ち込
んだ。隊員の説明は、延々と続いていたが、説明が終
わるとこちらに向かって歩いて来た。そして彼に向か
ってひとこと言った。「科学者の方達がとりあえず説明
を聞いてやってもいいと言ってるので、行って説明して
あげてくれますか。」確かにそう言った。私の彼がこ
の光線銃を設計したことなど露ほども知らないのだ。
121 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 07:15
私は心の底から憤慨した。私の彼の超天才ぶり
を知って腰を抜かすなよ、てめえら、という気分だ。
彼は隊員と一緒に科学者達の輪の中の真ん中に
入って身振り手振りで説明を始めた。最初のうちは
科学者の中から異論を唱えるものが出ていたようで
あるが、そのうちにみんな何も言い返せなくなって
しまった。ざまあみろだ、私の彼に議論をふっかけ
て、言い負かせる奴なんて、この宇宙には、ひとり
だっていないんだから、と私はひとりで溜飲を下げ
ていた。「えっ、ひとりだっていない、ひとりだっ
ていない、ひとりだっていない、」私はこの言葉を
延々と復唱していた。ひょっとしたら、宇宙の果て
まで行くことに成功した大天才って彼のことでは
ないのかしら、そんな思いが私の頭をひょいと霞め
た。それから暫くして、私にも突然素晴らしいアイ
デアが閃いた。
122 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 07:16
殺人レーザー光線なんて恐ろしい物を作らずに悪
い心を、いい心にするレーザー光線を開発すれば
いいんではないだろうか、そうすれば、誰も死
なずに済むし、争いごとも無くなる。この宇宙
に永遠の平和がやって来る。うん、いい。
我ながらいいアイデアだ。問題は技術的に不可能かも
しれないってことだ。きっと彼に言えば、そんなアイ
デアは昔からあったが、技術的に不可能なんですって
言われるかもしれない。でも言うだけ言ってみよう。
ひょっとしたら案外誰も考えていなかったりするかも。
私は彼が議論を終えてこちらに戻ってくると、今考え
たアイデアを得意ぶって言ってみた。すると彼は、
「技術的には可能です。しかし人間の心から悪の心を
取ってしまうと、その人間は人間ではなくなります。
どんな人間も正義の心と悪の心を持っているのです。
123 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 22:43
勿論私も涼子さんもです。私たちは正義の心と悪の心
がめまぐるしく入れ替わることによって、人間とし
て維持出来ているのです。もっと簡単に言えば正義の
心と悪の心がうまくバランスを保つことによって人間
としての自己確立が出来、自分を保持することが出来る
のです。恐らく悪の心を取ってしまえばほとんどの人は
発狂するでしょう。生まれつきの悪人なんていないの
です。」あー、なーるほど、そんなもんなのか、と私
は妙に納得した。伊達や酔狂で彼は2800年も生きては
いないのだ。私達が親しそうにお喋りしていると、嫉
妬したのか、隊員の一人がムッとした顔をして、「科
学者達は今からhiroponさんの理論を実践するので暫く
ここに踏みとどまって観察していてほしいとのことで
す。」と言った。彼は、「わかりました。暫くここで
見ていましょう。」そう言って腕を組み漠然と考え事
に浸り始めた。
124 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/22 22:44
私は彼と、レーザー光線銃と、科学者達と、二人の隊
員の様子を交互に素早く盗み見していた。科学者達は、
現実にレーザー光線銃を組み立てている技術者達に、彼
から伝え聞いたことを懸命に伝えているようだ。うん、
うんとうなずいているのがここから見ていてもよくわか
る。二人の隊員はただ呆然と殺人レーザー光線銃の方を
見ている。彼は腕を組んだまま、まだ何かを考えている
ようだ。そのうち一組の科学者と技術者が、彼の元にお
伺いを立てに来た。小さな設計図を見せて、「ここんと
こが良くわかんないんですよね」とか言っている。彼は
「ああ、ここはこうで、そこはああで、」とか言って丁
寧に教え始めた。一組のグループに教え終わると、待っ
てましたとばかりに、次々と次のグループが、彼の元に
教えを請いにやって来た。さながら彼は現場総監督のよ
うである。私は彼が誇らしかった。彼の的確な指示によ
ってレーザー光線銃はようやく完成した。
いつまで続ける気でつか?と言うかそのバイタリティをもうちょっとほかのことに向けろと
126 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/23 00:38
そのうちにサイレンが鳴り響き、場内アナウンスが
有った。「みなさんのお陰でS.P.T砲は完成いたし
ました。これから試射を行いますので、総員戦闘
配置についてください。」ふーん、この銃の正式
名称はS.P.T砲っていうのか、知らなかったなぁ、
しかし、戦闘配置につけと言われてもどこに行けば
いいのかわからない。私たちはボォ~としていたら
秒読みが始まった。強烈な緊張が私の全身を襲った。
もし設計ミスがあれば星ごとぶっとぶという恐ろしい
言葉を思い出したのだ。秒読みは10から始まった。
「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1,発射」S.P.T砲の砲身から
「ブシュ~~~ン」という不気味な音を残して、
青白い閃光が稲妻のように飛んで行った。
127 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/23 00:39
どうやら成功したらしい。私はただ、茫然とS.P.T砲の
砲身あたりを見ていた。すると又場内アナウンスが有
って「S.P.T砲の試射は成功しました。これより本来の
目的である、クリゴン帝国に向けて本発射いたしま
す。10,9,8,7,6,5,4,3,2,1,発射」又「ブシュ~~~
ン」という不気味な音を残して、青白い閃光が飛んで
行った。暫くすると又場内アナウンスが有って「只今
永年の敵国クリゴン帝国を壊滅するのに成功しまし
た。」と告げた。そうしたら場内全体が蜂の巣を
つついたような騒ぎになった。あちこちで歓声が
上がりこだました。勝利の風景は古今東西どちらの
世界でも変わらない。男同士抱き合ってお互いの
健闘を称えあっている者や、勝利の酒をラッパ飲み
している者、やっと寝れるとばかりに大の字になっ
て寝ている者など、人様々である。
(^^)
129 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/04/06 19:58
そこへ伝令がやって来た。私達の姿を認めると立ち
止まり挨拶をした。
「みなさん、ご苦労さんでした。ささやかながら我
が宇宙連邦軍の勝利を祝って、パーティーを開催す
ることになりましたので私の後について来てください」
そう言ってから伝令はエレベーターの方に向かって
歩き出した。エレベーターの前迄来ると、「どうぞ」
と私達全員を招き入れた。自分も乗るとエレベーター
は音もなく上昇する。エレベーターが停止してドアが
開くとそこはもうパーティーの会場であった。ふと遠
くの方を見ると、壇上に立って演説をしている人物が
いた。少し近く迄行って良く見てみると、その人物は
提督であった。もう演説は終盤に差し掛かっているらしい。
130 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/04/06 20:03
「・・・でありますからまだまだ敵は
全宇宙の隅々にまで散らばっており、決して
油断はできません。これからも気を抜くこと
なく完全勝利を目指して邁進しようではあり
ませんか。それではみなさん、堅い話しはこ
こらへんで置いておくことにしまして、今夜
はじゃんじゃん飲んで、食って大いに今まで
のうさを晴らしてください。それでは」
演説が終わると同時に「ドカーン」という凄
い轟音があった。ほどなくサイレンが鳴り出し、
慌てた感じでアナウンスが流れて来来た。
(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
137 :
星の王子様 :03/08/07 05:30
138 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/07 20:52
面白そうやけど
100円はちっと
高いんとちゃうけ
∧_∧
ピュー (・3・) おいてくなよー
=〔~∪ ̄ ̄ 〕
= ◎―――◎
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
(⌒V⌒)
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⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
142 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/23 23:30
稀代の糞スレはここですか?
143 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/23 23:32
144 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/24 01:27
支援age
145 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/24 12:18
146 :
>>1が関わった全て:03/08/24 17:41
147 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/29 19:07
age
夢なの? 夢じゃない 夜空を駆け巡る瑠璃色
149 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/11/03 18:19
150 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/02/12 23:45
age
151 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/02/24 17:04
テスト中ですよ
あれれ、おかしいなぁ
omikuji!