622 :
名無しは無慈悲な夜の女王:
電脳猫ポラ@プロローグ
このバッタは食べられるかにゃー。もう三日も食事にありつけないにゃー。
勿論あたしは猫ですにゃ、語尾に「にゃー」は仕方がないなりにゃー!
ご主人さまは急遽、海外に転勤ににゃり私は野良ににゃりました。にゃんと言
っても食事にありつくのが大変なのよ!
何故あたしが文字を書けるかって。ふん!そんなことも知らにゃいの!今は
4649ファンデーション年にゃりよ!我々猫属もアップリフト計画という人間の
勝手な実験の被害猫にゃんだよ!遺伝子いじり回されて余計な知恵が付いたっ
て訳。まあそんな事言っても仕方がないんだけど、憶えといてにゃ〜。
623 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:53:40
電脳猫ポラA
「ポラは大丈夫かな〜あいつは甘えんぼだから心配だよな」俺は一人呟いた。
ここはエリア51宙軍基地。今はもうさびれてしまっているが、その昔は宇宙人
がどうのとゴシップ記事の宝庫だったらしい。
現在の人類は、この銀河に黴の様に版図を拡げている。我々がまさに宇宙人
になってしまったのだ!
それでポラの話に繋がるのだが人類の良きパートナーとしてチンパンジー、
イルカ、ゴリラがアップリフト計画により知能が飛躍的に上がり開拓の担い手
として活躍している。
しかしさらに特殊な状況下で活躍が期待されているのが猫属なのだ!
アップリフト計画第2期としてもうかれこれ200年実験が続けられ最終段階を
迎えようとしている。
ポラは最も知能の高い優等生なのだが俺が甘やかしすぎたせいか、本当に
我儘になってしまい困っていたところだ。それを上司に話したところポラ一人
で、ここまで辿り着けたら猫属も宇宙猫になれると言う事になり、俺はポラに
ここに居るから一人で来いと書き置きしてこちらに来てしまい、心配しながら
ポラの行動が全て観られるモニターを覗き込んでいるところだ。
624 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:55:47
電脳猫ポラB
「すみませんがミルクをお願いしますにゃ」
「はい!かしこまりました平らなお皿でよろしいでしょうか?おちびちゃん」
そう言って喉を撫でられ思わず
「ゴロゴロニャー」
と言ってしまった。はっ恥ずかしいニャーしばらくぶりのナデナデにお腹を
見せそうににゃりながら
「私はレディよナデナデはセツラにしか許してないのよ」
少し爪を出し威嚇するとウエイターは慌ててカウンターに逃げ込んだ。
625 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:59:02
電脳猫ポラC
もうかれこれ20日間わたしは豪華客船のなかにいるにゃ。もちろん賓客とし
てではなく船員としてにゃり。
仕事は鼠取りで本当に最悪にゃんです。口の中がバイキンだらけににゃちゃう
にゃりな!でもあたしに出来る仕事はこれしかないと船長が譲らずこんなあり
さまにゃんです。まったく失礼しちゃうにゃり!わたしはコンピュータのバグ
取りが得意にゃのに。
でもセツラに逢うまでは頑張りますにゃり。一つの救いは菜々子さんという
友達が出来たことかにゃ。彼女の部屋で体を洗ってもらったりしてすごく気が
合うにゃり。本当は船員規則違反にゃので誰にも言わないって約束にゃりよ!
626 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:00:48
電脳猫ポラD
プルル、プルル菜々子さんからビジュアルホンにゃり
「にゃんですか?」
「一緒にお昼どうかと思って、ポラちゃんまだでしょ?」
「もうヘトヘトにゃり。体洗ってもらえますにゃりか?」
「あら本当に煤だらけみたいね!猫灰だらけ。うふふ」
「…」
…一息ついてナデナデされながら次のエリアの見取り図を検索していると
警報が響き渡る。
わたしはさっと立ち上がり操縦司令室に向かって駆け出した。
627 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:04:12
電脳猫ポラE
「船長どうしたにゃりか!」
「おまえのでる幕じゃない!鼠でも捕ってろ!」
「マモル3等航海士状況は!」
「はっ船長!現在の状況は非常に危険。乗客569名、至急避難が必要です!
猶予時間は40分と予想されます!」
「なんだと!汚い奴らだ!避難も間に合わんじゃないか!システムにトロイの
木馬なんぞ感染させやがって原発乗っ取り爆破させるなんて変な映画の観すぎ
だぞ何とかならんのか!」
このやり取りを聞いて状況を理解したわたしは
「わたしにも手伝わせて下さいにゃ。コンピュータのバグ取りは得意なんですにゃ」
「うるさい奴だな!今は猫の手も借りたいくらいなんだから勝手にやれ!」
628 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:07:51
電脳猫ポラF
角を曲がり鼠の姿をしたウイルスを追いかけた。追い詰め爪を出して、
ばさっと斬り付ける!
やられた鼠はデータの欠片になりマトリックス空間から消滅する。わたしは
システムの中枢に向かって電脳空間を駆け抜ける。
あと一匹!システムの防壁ファイアウォールを自身を護る障壁に書き替えた
悪性ウイルスがいるところに向かう。
…もう体がぼろぼろだ。いくらアタックしても歯が立たない!カウントダウン
まであと5分。人間のシスオペはまだここには辿り着けない。
セツラぁもうダメ…走馬灯のように、セツラとの楽しい思い出が過ぎる
…ブランコを揺らしながらわたしを抱いたセツラの言葉
「…ポラの遠い祖先はサーベルタイガーだと思うよ。すごく獰猛な猫属の祖先
だったんじゃないかな!こんなにかわいい…」
すると突然わたしの体がみるみる巨大化する。牙がぐんぐん伸びる。力がみ
なぎり障壁の向こうが透けて見える!スーパーラビットがシステムを齧ってい
る音が聞える!驚きと自信と怒りに全身の毛が逆立つ。
わたしはファイアウォールに向かって一歩を踏み込んだ…
629 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:10:44
電脳猫ポラG
残りの旅程はビップ待遇にゃり!菜々子さんを最高級客室に呼んでのんびり
過ごしたにゃり!
「しかしポラちゃんすごいよね世界中、ううん、宇宙中にニュースが拡まっ
ているわよ!」
「どうでもいいにゃり。退屈にゃりよ」
わたしは鼠捕りシミュレーターを中断し、全身で伸びをして菜々子さんの膝か
ら飛び降りる。
菜々子さんは絵本作家でわたしの話を絵本にする為、せっせと空間ディスプ
レイに電脳空間でのエピソードを書き込んでいる。
「体がなまってダメにゃから鼠退治にでも行ってくるにゃりね!」
「気を付けてね」
「にゃー」
わたしはブロックDに向かって疾走した。
630 :
名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:16:02
電脳猫ポラHエピローグ
かくしてわたしの旅も終り、エリア51宙軍基地が現在の仕事先兼住まいと
なった。
そして猫属も今では銀河狭しと活躍している。
わたしは電脳猫の教師として日夜頑張っているにゃ。
あれから2年、わたしにもロイドというパートナーができ子宝にも恵まれ幸
せですにゃ!
セツラも菜々子さんと愛を育んでいるみたいだにゃ。セツラ応援してるにゃりよ!
−終わり−