おまいら短編SF書いてください

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1名無しは無慈悲な夜の女王
最高に面白いものを書いてくれ、お・ね・が・い
地球最後の男がいた。
その男の部屋のドアを、誰かがノックした。


こうしてついに彼は腰に携えたエルフの剣を抜き放ち、雄叫びを上げて彼の敵に斬りかかりました。
だが負けた。


4名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 00:27
   _
   \ヽ, ,、
     `''|/ノ
      .|
 _    |
 \`ヽ、|
   \, V
      `L,,_
      |ヽ、)
     .|
    /           ,、
    /        ヽYノ
   .|       r''ヽ、.|
   |        `ー-ヽ|ヮ
    |            `|
   ヽ,    ,r      .|
     ヽ,r'''ヽ!'-‐'''''ヽ、ノ
 ,,,..---r'",r, , 、`ヽ、 ヾ
 ヽ、__/ ./ハレハ i`ヽ、 `''r`ミ_
   .レ//r,,,、 レ'レハヾ,  L,,_ `ヽ、
    "レ, l;;;l   l;;;l`i.リレ' リ ̄~~
     ヽ、 ワ `"/-'`'`'   
       `''''''''"        
                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ
5名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 01:31
時間は終わった、昨日で。


>3
中途半端にミックスされた文体にワロタw
71:03/01/17 07:26
最優秀者にはミスリル銀100ポンド
又は、反重力金属100ポンド差し上げます。
>>7
優秀者の作品はFlashムービーにするとか
サウンドノベルにするとかにしてもらえませんか?
そのほうが面白そうです。
91:03/01/17 08:51
OK
>>9
わーい!ってまじで?
111:03/01/17 09:29
NScripterでも良ければね
小生Flashは使えないのよ
12名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 13:30
面白かったらFlash板の連中に見せたら、
頼まなくても作ってくれるでしょ(w
面白かったらね。

>>5 著作権的に問題あり。
本当に面白いのだったら、絵と音楽さえなんとかすれば、サウンドノベルくらい
作るよ。
フルコーディングで。
・・・ただしWindowsでしか動かないという罠あり(w
本と絵と音があればシナリオスクリプタに突っ込めばいい
プルグラマなんて(゚听)イラネ
初手から揉めてるな…
16名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 16:05
この短編SFはどう展開するのでつか? ワクワク
続きはCMの後、ブラウザはそのままで!
下がったら書くので、晒し上げしてください。>ALL
19名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 16:30
では挑戦するっす!

西暦2030年代 急激な太陽活動の低下により
地球の平均気温は−30度にまで落ちた。人口は
千分の一にまで減り人々は原子力に頼り都市に閉じ
こもった。地上に生きる生物は絶滅し海も凍り付いた。
わずかに赤道地帯に不凍海が100mの氷の崖に囲まれ
長く、まさに地球の切れ目のように続いていた。
そこに巨大鯨ギガグレイが住んでいる。沸き返るような
プランクトンの海に変異を重ね体長300mにも達した。

人々は唯一のタンパク源を求めギガグレイを狩りに出る。
何レスまでに決着つけるとかきめとかないと延々と続いてしまふのでは。
21名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 16:38
>>19
素朴な質問なんだが、君の地球では、酸素の供給源はなんなんだ?
平均気温マイナス三十度の世界では、植物は全滅だろう。
22名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 16:39
>>19
ギガグレイは何食ってるの?プランクトン?
地表は氷結を逃れているわずかな赤道地域に向かい激しい嵐が
吹き荒れていた。海中も例外でなく厚い氷の下は赤道へ循環する
海流が流れている。その結果海中のミネラル分が集中し大量の
植物プランクトンが発生し海を緑に染めている。それを補食する
動物プランクトンが渦を巻き流れていく。
太陽異変初期の温度低下により魚類は滅び、プランクトンを食べる
ように変異した鯨のみが生き延び、低温に適応巨大化した。
「>>XXX」をつけたほうが良いかも
赤道地帯は激しい海流、氷河の滑落などにより日々地形を変えていた。
生き残った人類が籠もる都市は激しいブリザードを避け固い氷原の
中緯度帯にあった。
予測不能の嵐の為、航空機は使えず。
氷を押しつぶして進む巨大クローラーが唯一の機動力になった。
片道3ヶ月の生還率なき狩りがハンターの仕事だった。
26名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 17:29
折れ的には>>2>>3くらい短いやつが(・∀・)イイ!
ベムハンター・ソードのにおいがする。。
個人的には3の投げやりな話の方がすきだ
じゃ3が最優秀という事で
>29
もう終わりかよw
3の中の人も大変だな。
おまえら、せめて最後まで書かせてやれ。

そして叩け。
33名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 18:59
あるところに花子さんと太郎さんがいました。
ある日、隣近所のヘビメタ兄ちゃんは今まで使っていたiBookを
粗大ごみに出しました。
ごみ置き場から花子さんはiBookを拾ってきました。
花子さんはその日からマカーになりました。
太郎さんは花子さんのマシンで遊んでいました。
そしてあるひ二人はEDEN学園を追い出されました。





つづく
34名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 19:14
ある日、ある所に、あることが起こりました。

おわり
「しまった〜!こんな駄スレになるとは思わなかった〜!!」
>1は咽び泣いた。

>2が笑ってる
>3も笑ってる
る〜るるるるる〜♪
今日も能天気〜♪
36名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 20:04
ジャイアントと呼称される外宇宙生命体が地球を侵略し続けて一年、
世界は闇に沈みつつあった。

ノビタは青色未来電動人形を未来から召喚した。
それによって生じた時空の歪みによってノビタという存在は
世界からその存在を拒絶されたのだ。
ノビタは世界に生じた特異点となった。
37名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 20:13
ギガグレイ完結編

山のように巨大な鯨がデッキに揚げられた。
「一頭目のギガグレイの解体作業は順調か?」
「なんとかな。こいつは皮膚や肝臓に猛毒を
 抱えているし、なにより刺激を与えると大量の
 空気と水を取り入れて、さらに巨大化する」
「こいつは…ほ乳類なのか?肉の色は白いし…」
「魚類と配合して人為的に作られたって説が
 確かにあるな」
「オレもそれらしき文書を見たことがあるが
 意味不明の言葉が多くて読むのを止めた」
「どんな言葉だ?」
「ユビキ、、、ポンズ、、、」
「???」
「あとヒレザケとかも、、、」

        完

ってのを2スレ目に書く気だったんだけど
質問があったから、書いているうちに忙しくなって
帰宅して書いたよ。
38名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/17 20:17
やっぱり>>3かな?
西暦2048年、ついに第三次世界大戦が勃発した。
全ては2004年のアメリカの北朝鮮/朝鮮民主主義人民共和国・イラクに対する核攻撃が発端だった。
これはイスラム諸国及び中華人民共和国とアメリカの間に大きな溝を作り、
次第に世界は第三次世界大戦への道を歩み始めることになった。
しかし、まだアメリカの背後にいる黒幕の存在に気づいている者はいなかった。
無能なアメリカ大統領ジョージ・ブッシュ三世は傀儡にすぎなかったのだ。
十数年前、「ラエリアン」という宗教団体が話題になった。
彼らは「人類は異星人により作られた」という教義であった。
これは当たらずとも遠からずだったことが後に判明することになったのだ。
西暦32768年、第三次銀河対戦により人類は滅亡した。
最後の生存者エホヴァはタイムマシンで太古の地球へ向かい、
自分の細胞から「アダム」「イブ」を作り出した。
彼は次に紀元0年に向かうと自らの年齢を操作して幼児の肉体にし、
ある夫婦や周囲の人間の記憶を操作することで溶け込んだ。
その夫婦はエホヴァを「イエス」と名付けた。
そして、成長すると自らの復活劇を演出しキリスト教を作り出した。
最後に彼は西暦1999年の7月にタイムスリップした。
そして数年間の間にアメリカを影から支配するようになり、
第三次世界大戦を起こしたのだ。
4113:03/01/17 22:01
>>14
んー残念。専用コード起こせば、突然FDDをかたかた言わせたり、
モデムを鳴らしたり、num,scroll,capsのランプを怪しく点灯させたり
色々と演出できるんだけどね。
いらないというのなら書いても仕方ないか。
遅レスごめん。
つまり、人類は異星人ではなく一人の未来人によって作られたのだった。
父なる神と子なるイエスと聖霊とは一体であり、
さらに人類に災厄をもたらした恐怖の大王=サタンも同一の人物だった。
第三次世界大戦の後、人類は荒廃した地球を捨て宇宙へと移住した。
しかし、彼らは「戦争」という同じ歴史を数万年にわたり繰り返した。
人種間の対立は結局最後の最後まで消えることはなかった。
結果、最終的に「滅亡」することとなったのだ。
エホヴァは無限の時空の輪の中で永遠に同じ歴史を繰り返す。
人類を創造し、彼らに宗教を与え、滅亡の原因を作る。
なぜなら、彼がそうしなければ彼の存在が消えてしまうからだ。
そして、全ての人類の歴史も。
たとえ人類の歴史が苦しみと悲しみの歴史であっても、
その中に生きた人々の人生は悪いことばかりではなかった。
彼らの歴史は同時に多くの喜びと愛にも満ちていた。
パラドックスから生まれた混沌=人類。
その存在を無に帰さないため、彼はタイムスリップを繰り返す。
なざなら彼は最も人類を愛しているからだ。
>>41
空気嫁
でも専用コードにチョト藁た
人類最後のセルバーサナーとして、エミはクォウガッツを起動し
舞い踊るフォックナ・モーを量子レベルの灰燼に帰せしめた。

こうして、第七ランバン協定派委員会と、精神産業分離主義同盟の戦いは
新しいステージへ移行した。
すなわちエミを、賜与卯亂子…人類をヒデン・ザザ・ローンの階層に
導く者として、擁立すべきか否かを、ハイナ=ガラッザの手にゆだねる
こととなったのである。
それは、13歳の誕生日を迎えたばかりのエミにとっては、重すぎるサバ
が課されることを意味した。
しかし彼女は、振り返らなかった。

太陽ネズミの巣は、もう二度と夏の陽射しに倦むことはないのだから…


45名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/18 02:25
西暦2145年、ついに人類は人造マイクロブラックホール製造に成功した。
しかし、事故により一部のマイクロBHは地球中心に落下し、人類は宇宙に
逃れるしかなかった。
人類滅亡まであと一年。
限られた時間で人類は宇宙に移住できるか?
知的なる大輪の華をもって
おおいなる輪廻をかぐわせまほり
遠き記憶の限りにおいて 真紅の流れがさらされるでしょう 

白魚のかいなに重なり合う息を感じて

小人の祝辞を流し
白百合は黒薔薇を散らし

繊細な樹木から落葉がたわれる

小池に浮かぶ一片の 花弁
そして 遥かなる闇夜にまみれ

永劫の星空の元へ 旅と してかへらぬ
471:03/01/18 16:30
50作品で締め切り、投票に移ります(予定)
50げと
49インテグラル:03/01/18 18:13
無限に広がる大宇宙。しかし、無情にもその命運はビッグバンの際に
決定していた。
ビッグクランチ。
今から一兆年の後にこの広大な宇宙は量子の泡沫と帰する。それが、
この宇宙最初の知的生命体の下した結論だった。
彼らを仮にコスモリメイナー、「秩序保全者」と呼ぼう。
彼らはいまだ誰の手も加わらない宇宙に、超光速航法の助けを借り
瞬く間に広がっていった。彼らは宇宙を永続させることを決意して
いたのだ。
彼らは植民先で、裸の特異点を量産していった。ブラックホール
近傍ではエネルギー密度が負となる。そして負のエネルギー密度は
負の重力を、宇宙を破滅から救う斥力となるのだ。ただし単なる
ブラックホールはその質量が斥力を打ち消してしまう。裸の特異点
であることが必要だったのだ。裸の特異点は宇宙のあらゆる所で、
高エネルギー宇宙線を発しつつその漆黒の輪郭を見せていた。

宇宙は、救われた。宇宙の膨張は次第に加速しつつあった。
もし新たな知性が誕生するとすれば、その未熟な知性は裸の特異点
の発する高エネルギー宇宙線を、特殊相対性理論の破れと推論する
かもしれなかった。コスモリメイナーは、それらの発達の可能性も
守ったのだ。
今から100億年ほど前のことである。
50名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/18 18:27
50!
511:03/01/18 20:06
×50レス
○50作品
52名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/18 20:28
大学に入学して一人暮らしで自炊を始めたのですが、、
1年経ち、2年も経つころには、すっかり自炊熱も冷めほとんど外食か、ホカホカ弁当になっていました。
大学4年になったころ、また少々自炊するようになり、入学した頃に購入した
四角い1リットルくらいの缶入りサラダオイルが再び日の目をあびることになりました。
フライパンに油をチョット垂らしてみると、いやに茶色い。
「まあ、4年も経てばアブラも酸化するしなあ、まあ、火を通すからOKだよね」
なんて一人で納得して気にもとめず、そのまま使い続けました。
大学も卒業間近になって、ようやくそのサラダオイルも無くなりそうになってきて、
缶を大きく傾けなければ油が出ないようになってきました。
ある日、缶の口から油と一緒につぶ餡の小倉の皮のようなものが2〜3枚出てきました。
「ゴミでも入ってたかなあ」などどと軽く考えていたのですが、
次の日もまた次の日もアブラを出すたびにつぶ餡の皮がどんどん出てきます。
不信に思った私は、意を決して、サラダ油の缶の蓋全体を缶きりでキコキコ開けたのです。
その瞬間、目に飛び込んできたものは…百匹はいるであろう大小のゴキブリの大群。
まだ、半分くらいは息がある様子でウヨウヨとうごめいていました。
そう、私が使用していたサラダオイルの缶は4年の間にゴキブリの巣と化していたのです。
そして、つぶ餡の皮はゴキブリの死骸からもげた羽だったのです。
その事実を悟った時、一瞬にして顔面蒼白になったのを感じました。
そして4年間、ゴキブリエキスの入ったサラダオイルを食べ続けたことに改めて気づいた瞬間…
死ぬかと思った。
53名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/18 23:23
Sukoshi
Fuann
やあ、仔猫ちゃん。君はいつでも魅力的だね。
今日は僕の新作についての構想、聞いてくれないかな。
主人公はエミちゃんっていうんだ。
最後の救世主として、人類全体の敵を倒すんだ。
救世主にはセルバーサナーってルビをふるつもり。
意味はないけど、カッコよさげでしょ?
エミちゃんの乗る戦闘機は「クォウガッツ」、
敵の戦闘機は「フォックナ・モー」って命名したんだ。
内緒だけど、僕の好きなクワガタと、モナーからつけたんだよ。
でね。戦闘シーンのラストは「〜を灰燼に帰せしめた」。
僕は作家だからね。難しい言葉もきちんと操れるんだ。
え、すごいって。惚れ直してくれたの? うれしいよ。
でね、戦後もね、安易にハッピーエンドにはしないつもり。
だって、そんなの全然ドラマティックじゃないでしょ。
戦いは第二の階層に進むんだ。
今度は、戦闘機で派手にやるんじゃなくて、政治の世界だよ。
13歳の主人公には、辛いと思うんだけどね。
あ、13歳って設定なんだけど、やっぱりわかっちゃった?
仔猫ちゃんと一緒だって。
だって、僕はいつも、君のこと考えているから。
つい君と同じ設定にしたくなるんだ。
出来上がったら真っ先に、君に見せに来るよ。
だから待っててね。僕の仔猫ちゃん。
5512モナーズ:03/01/19 00:34
囚人達は今日も地上へ上がっていった。
地上は危険に満ちている。
だが、この作業はリスクも大きいが減刑も大きいので希望者は後を絶たない。
「オイ、聞いたか?」
「何をだよ?」
「先週の地上作業でライオンに喰われた囚人がいたらしいぜ・・・・・実際たまらんよな」
ライオン・・・・あり得ない話ではない。
地上を今我が物顔で歩き回っているのは動物園から逃げ出した動物達だ。

今日も土、蜘蛛などの昆虫をサンプルとして回収する。
気密服のせいで体の動きが鈍い。こんな所を熊や虎に襲われたらとても逃げ切れないだろう。
だが、これがなければ大気を漂うウィルスに犯されて2日とたたずに体中を爛れさせた死体と化すであろう。
そもそも、この危険な作業もこのウィルスのワクチンを作る為のサンプルを集める為なのだ。

一体「誰が」世界をこんなにしてしまったのか・・・・・・・
ふと、顔を上げると壁のラクガキが目に入った。
このウィルスが世界を席巻しだした日から地上のあちこちで見かける事となったこのラクガキ・・・・

          我々がやった!
        ∧_∧    ∧_∧    
       ( ´_ゝ`)   ( ´_ゝ`) ∧____∧
       /    ヽ ∧_/∧  ∧_∧( ´_ゝ`)  
       (  |   .| ( ´_ゝ`)/( ´_ゝ`)   \ ∧_∧ 
   ∧_∧ヽ⊃  |  ∧_∧ U     ∧_∧  (´<_`  )流石だよな俺ら   
  ( ´_ゝ`) |    ( ´_ゝ`).| Y  ( ´_ゝ`)|/    ⌒i
  /∧_∧ヽ | ∧_/∧    .| .|  /   \|     | |
  ( ´_ゝ`)   ( ´_ゝ`) ∧_∧  /   / ̄ ̄ ̄ ̄/| |
  /    ヽ  /    ヽ( ´_ゝ`) (__ニつ/  FMV  ./.| |____
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____ /(u ⊃
56名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/19 01:22
12人の妹
12人の幼馴染
12人の動物天使

というわけでSF板らしく
12人のメイドロボ。マジでこんなゲーム有りそう。
57名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/19 19:30
12人の黄金闘士
58名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/19 19:31
12人いぬ
巨大隕石が地球に近づきつつあった。
他に有効な手だてがないため,一か八か,実験段階のタイムマシンを使用し
隕石をはるか未来に送ってしまおうということになった。

始めて完成したタイムマシンはなんとか作動し,人類は救われた。

しかし,実はタイムマシンに不備があり,
隕石は未来ではなく過去に送られてしまっていたことが分かった。

それは,今から約6500万年前,白亜紀の終わりであった。
60名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/19 23:11
遺伝子操作でモナーを造るDQN科学者続出。
世間の批判で2ちゃんねる崩壊の危機。
ある日、ふと気がつくと、世界の時間が止まっていた。

しかし、空気の流れも止まり固形化していたので、
「あんなことしたい、こんなことしたい」
と思う暇もなく、窒息死して私は死んでしまった。

〜終わり〜
62名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/20 19:15
メール転送のプログラムをいじっていたら偶然に
未来から通信送れるソフトが出来た。
やり方は簡単でメールをある順番でネット上を回すだけだ。
そうすると不思議なことに自分のコンピュータに明日からの
メールが届く。オレはこれを使って競馬でだいぶ儲けた。
・・・ただ、気になるのは今日はメールが届かないんだ、、、
63名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/20 22:11
>>62ガクガクブルブルゾゾーーー
私がその能力に気が付いたのは13歳の夏だった。
誰にも言えない、知られてはいけない呪われた力――――
私はその能力の持つ力よりも恐怖の方が大きかった。

最初の犠牲者はガキ大将のマイクだった。
彼に宝物の飛行機の模型を取り上げられ、しこたま殴られた日の事だった。
ボロ雑巾の様に私を叩きのめし、模型を手に去り行くマイクの背中に向かって
「オマエなんか死んでしまえ〜!」と私は叫んだ。
次の日、マイクは死んだ。医者は心不全と診断した。

次の犠牲者は祖父だった。
厳格な祖父にタバコをふかしているところを見つかり、杖でしこたま殴られた日だった。
反省するまでそこに居ろと暗い納屋の中に閉じ込められた。
私の嫌いな虫たちのいる納屋に閉じ込められて私は恐怖と怒りの余りに大声で叫んでいた。
「畜生!おじちゃんなんか嫌いだ!!死んじゃえ〜!!」
次の日、祖父は死んだ。医者は脳溢血と診断した。

犠牲者が担任、近所の口うるさい親父、好きな女の子のボーイフレンドと増えるにしたがって、
私も一連の出来事が偶然では無いと確信した。つまり、私が「死ね」と言うとその相手は本当に
死んでしまう―――――

私はこの力をなるべく使わないように気を付けた。
だが、ある日とうとうこの禁断の言葉を口にしてしまった・・・・・・・
父親とチョットした事で口論となり、売り言葉に買い言葉でつい言ってしまったのだ
「お父さんなんか死んじゃえ!!」と―――――
私は激しく後悔した。
私の不注意な一言と呪われた力が大好きな父を殺してしまうと・・・・
私は後悔と明日訪れるであろう辛い別れに一晩中咽び泣いた。

次の日、隣のおじさんが死んだ。
>>64
なんだよっ 艶笑小話オチかいっ
66名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/22 00:39
>>64
いい笑っちまった
こんど飲みに行ったときぱくってつかわせてもらうわ。
>>67
つーか昔からあるネタなので得意げに言うと引かれる罠
>>68
なんと、あぶないところであった・・・
70インテグラル:03/01/22 23:51
百億年じゃなくて六十億年だったかも。
71山崎渉:03/01/23 03:34
(^^)
72名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/23 12:06
人類滅亡か、、、でも起こってしまったから観念しよう…
それも変異したウィルスで滅亡って一昔前のSFじゃん!
人類滅亡ね、、、でも生き残れたから少しは喜ぶべきか?
おっ!今日の占いカウントダウンが始まった。ダメじゃん!
獅子座11位か、ラッキーアイテムは色鉛筆?なにそれ。
おっと、早くでないと遅刻する。うちの課長うるせー!
この時間、地下鉄混むんだよな。何とかならんものかな。
昼飯何にしようかな?吉牛CMやってたな。混んでるかー!
人類滅亡だ、、、女だけじゃなく男も少し死ねば良かったな…
73名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/24 11:42
もう投票なりしてネクストクールに入ろう。
次はお題を決めて同一タイトルで書くほうが良いと思う。
とりあえず、引き写し作品を除去せねば。
>>2と64は確定か?
>>55のも12モンキーズのままって感じ。
761:03/01/24 12:46
>73
次のお題 「宇宙人」と言うことで
>74
引き写し作品とはオリジナルで無いものですか?
>>74
いや、>>64は「隣のおじさん」ていうオチの部分だけが。
まあ前半もよくある超能力モノだけどね
>75
つか、もろパロだろ(w
79名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/24 13:26
宇宙人

「お母さん 宇宙人買ってよ!ミキちゃんとこなんか3匹もいるんだよ!」
「え〜 でも飽きて世話しなくなるでしょ。だめよ」
「でも、上手く飼えばお手伝いもしてくれるし、はやっているんだよ!」
「じゃあ 今晩パパが帰ってきたらお願いしてごらんなさい」
・・・オーストラリアに巨大UFOが墜落して5年目の事だった。
>>78
パロディはお笑い板に書けば良いじゃん。
元モナーにSF的アイデアを加えれば、SF短編だけど
元SFにモナー的アイデアを加えても、SF短編じゃないって事?
82名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/24 23:31
「まんがらいふ」にでもSF4コマを投稿してみるか
83名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/27 00:51
あげ
84名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/27 18:38
マターリ
85名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/27 21:17
>76
お題を出す前にここまでの結果発表をしろよ。
86名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/27 22:06
2 :地球最後の男がいた。
3 :こうしてついに彼は腰に携えたエルフの剣を抜き放ち、雄叫びを上げて彼の敵に斬りかかりました。
5 :時間は終わった、昨日で。
19 :ギガグレイ
23 :ギガグレイ
25 :ギガグレイ
37 :ギガグレイ完結編
33 :あるところに花子さんと太郎さんがいました。
34 :ある日、ある所に、あることが起こりました。
36 :ジャイアントと呼称される外宇宙生命体が地球を侵略し続けて一年、世界は闇に沈みつつあった。
39 :西暦2048年、ついに第三次世界大戦が勃発した。
40 :西暦32768年、第三次銀河対戦により人類は滅亡した。
42 :つまり、人類は異星人ではなく一人の未来人によって作られたのだった。
44 :人類最後のセルバーサナーとして、エミはクォウガッツを起動し
45 :西暦2145年、ついに人類は人造マイクロブラックホール製造に成功した。
46 :知的なる大輪の華をもって
49 :インテグラル
55 :12モナーズ
56 :12人の妹
57 :12人の黄金闘士
58 :12人いぬ
59 :巨大隕石が地球に近づきつつあった。
60 :遺伝子操作でモナーを造るDQN科学者続出。
61 :ある日、ふと気がつくと、世界の時間が止まっていた。
62 :メール転送のプログラムをいじっていたら偶然に未来から通信送れるソフトが出来た。
64 :私がその能力に気が付いたのは13歳の夏だった。
79 :宇宙人
87名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/28 13:45
伊太利亜はスキャパレリ博士が言うには火星に運河有りて
其の地に文明ある者どもが住まうとの説だが、甚だ莫迦らしい。
諸君!今は文明の時代である!まさしく子供だましの戯れ言!
陸蒸気が走り、電線が張られ、電灯が灯るこの科学の時代に
何を言うか。諸君は化学を極め、物理を修学した学理の徒である。
さあ私と共にエーテルの海を渡り月への航海を目指す天の浮き船を
作り、月の地底人を捕獲せしめよう!!
しまった、、、最後の一行に抜けてたよ。下が正解。

野蛮なる月の地底人を捕獲せしめよう!!
「おたくの旦那さん、火星に出張だそうですわね。」
「いいえ、仮性包茎の手術に出かけていますの。」
90名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/29 11:05
皆でもっと誉めのレスを入れないと、挑戦する気が起こらないでしょう。
私的にはギガグレイと>>79の宇宙人が何か次に起こりそうで良い。
91名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/29 22:53
>>87
こういうの結構好きです
92名無しは無慈悲な夜の女王:03/01/30 14:41
>>62 のメール転送に一票
今日幼稚園でみきちゃんと量子的に重ね合わさった。
前後逆だったし、みきちゃんはいやがったけどかまうもんか。
僕の視界とみきちゃんが見た教室の後ろが同時に見えて面白かった。
ぼくがおしりの穴を開いたり閉じたりしてるとみきちゃんが泣き出した。
先生に見つかって観測されたのでコヒーレントな状態が終わった。ひどく怒られた。
いいさ、量子もつれの赤い糸が二人の間にできたんだ。
でもみきちゃんは量子もつれを凄くいやがった。インテリのたくちゃんに助けを求めた。
たくちゃんは多世界解釈論者だった。
あっという間に観測主体としてのぼくは分割され園庭に散乱した。赤い糸も小指だけになっちゃった。
警察が駆け付け猟奇的事件として報道される騒ぎになった。
テレビで評論家は異常犯罪の低年齢化を嘆いた。
しかたがないよ幼稚園児は自我が確立していないんだから、観測者としては半人前。


私は>>72に一票
オッス!オラ赤毛のパックマン!
ちかごろアイデアが集められなくってさ〜
こまっちゃってんの
そこでその辺のカスをおだてて
万が一にも使えるアイデアあったら
頂いちゃおうか〜て思いついちゃったのよ
おらってヤッパシ宇宙イチかも?
さあ〜、今日はどんなカスが引っかかってるかな〜

―――みつあみのソバカス男はそうカメラ目線でウィンク。

おいおいおいおい!?
たった93レスしかないじゃねーか?
イタタタタ、困った困った困った
こんなんじゃダメじゃーん
テコ入れにジサクジエン波とドカンと一発やっとくな
ジ・サ・ク・ジ・エ・ンー!!!!!

―――みつあみのソバカス男は不思議な光線を放った。

こんなもんか〜あ?
んじゃっ、明日くらいにまた見にくっか。

―――みつあみのソバカス男はシュパーンと地平線の彼方へ飛び去った。


ある日、近所の公園を散歩していると、ぽっかりと穴があいていた
何の気無しにのぞいてみると向こう側も公園だった
好奇心に逆らえず穴をくぐって見るよもとの世界と何ら変わりない
近所の商店街を見て回るが、まったく同じだった
本屋で新聞や雑誌などを立ち読みしても変わり映えのしない世界
穴の向こうに飽きて公園に戻る途中、顔見知りに会ったので話し掛けてみた
しかし、驚いたことに私の事を知らないという
どうやらここは私が存在しない世界らしい
私がいなくても正常に回りつづける世界・・・
私は元の世界へと帰り、公園のベンチで物思いにふけていると不意に声をかけられた
「さがしましたよ大統領閣下、お一人で散歩なさらぬようにと・・・

猫がときどき夜中に裁判を行うのは知っていた。
「猫の集会」と呼ばれる現象は実は裁判だった。
私は被告として呼び出された。
私は先日国道で白い老いたメス猫を轢いたある若者の4WD車。
判決は死刑。
一週間のうちに私はオーナーの若者とともに
道路わきの電柱に突っ込まなければならない…
>>96
こわっ
>>96
SFというより怪談
>>93最高! ワロタ
これってずっと「僕」の視点ですよね。観測者として半人前って自覚
してるのが笑えます。
10093:03/02/01 20:13
>>99
アリガトゴザイマス…面白いスレですよね。頑張ってまた書き込みたい。
>>93さん
面白いです!ちなみにお褒めてもらった話はオイラが書きました。
誉めてもらうと次に挑戦する気合いが入りますね。
>>101
男だけで星占いとかやってる世界は笑えますね。
色々想像して笑ってしまう。
教えてもらって見に来たけどおもしろいなぁ。
本格的に本を読んでるとちがうなと。
俺は勇者だ。魔王を倒す旅に出た。
出発してからずいぶんになるが、未だ、どこに魔王がいるかさえ知らない。
それどころか、配下の雑魚モンスターにも苦戦する日々だ。
考えてみれば、王様は俺にロクな武器も与えてくれなかった。
金もくれないし、兵だって一人たりとも派遣してはくれなかった。

最近思うのだが、これはもしかして壮大なネタではないのだろうか。
魔王の存在自体が王の創作で、俺を騙すドッキリなのではないか。
人々も町で普通の暮らしをしているじゃないか。
そう思った俺は旅の荷物を売り捌き、洞窟で手に入れた宝石を換金して、近くの町に家を買った。
今では妻と2人の子供に囲まれて、結構幸せだ。
>>105
moon思い出した
106105:03/02/03 09:39
…て、自分にコメントしてどうする

× >>105
○ >>104

あ、moonはPSのゲームね、大文字じゃなくて小文字だよ
107名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/03 18:50
腰蓑に槍を持った3人の若者を人々が囲んでいた。
長を示す目尻の青い入れ墨の老人が儀式めいた声で話し出した。
「世界を破滅が襲いし時、預言者に導かれ、ここタウマの地に
 たどり着き時より数百年、うぬらは禁断の門を開けるのか?」
若者の一人が骨を繋いだ首飾りを握りしめ大声をあげた。
「約束の地タウマを出るは、戻らぬ覚悟。掟は承知の上」
「分かった。薬師 3人に薬酒をもたせてやれ。」

禁断の門の前に来るとドーム型の天井は低く、集落 中央の火は
小さく冷気が籠もっていた。髪と眉を剃り上げた神官達が低く
清めの祈りを唱えるなか門が開けられ3人は身をかがめて抜けた。
手探りで梯子を登りきると薄明かりの射した広いホールに出た。
ホールには朽ち果てた金属プレートが掛かっていたが字を知らぬ
3人は気にもせず明かり方向に走り抜けた。
プレートには【日本州多摩区第三核融合炉心】と書いてあった。


、、、プレートの文字だけど
【熱川バナナワニ園】か
【ネオ東京ドーム松浦亜弥50周年コンサート】でも良いかな
約束の地アヤヤってダメ、、、だな。
108名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/03 23:00
バナナワニあげ
109大網傘茸:03/02/03 23:23
(10−1)
全身を包みこんでいる痺れがゆっくりと退いていくと同時に、自分が覚醒の段階にいる事
をおぼろげに自覚した。眼はまだ開けられない。ここが宇宙船の中であることはBGMの
バッハを聞きながら思い出していた。
そのセレクトをしている自分の姿を反芻し、これは良い兆候だと思った。何故ならば今、
何処にいるかが思い出せずに、一時的なショック状態に陥るという事が無い。
一般的に、コールドスリープからの蘇生に伴う危険とは、身体的なものよりも心理的負担
による場合が多い。
0.5Gとはいえ、腕を持ち上げるのにはまだ数分はかかりそうだ。しかし、そろそろ目
を開いてみよう。室内の光量は刺激を抑える為に低めの設定となっている筈だ。眉間に皺
を寄せ薄目を開く。そして天井を見つめた。良し、記憶のとおりだ。

体を馴らしながら少しずつ動いていると、突然BGMが鳴り止み音声に切り変わった。
「ジョン、お目覚めのところすまないが、君の医療チェックが終わり次第、ブリーフィン
グを行う事になっている。ミィーテイングルームだ」
そっけないアナウンスが終わるとBGMが再開されたが、おれはリモコンでスイッチを切った。
110大網傘茸:03/02/03 23:24
(10−2)
既に、マシン相手に行わなければならない医療チェックは、プログラムの八割は終わって
いる。さては何事かあったのだろうか?嫌な予感が走った。
全身の痺れはほとんど消えている。意識すれば僅かに手足の指先の感覚に違和感を感じる
程度だ。医療チエックを早めに終わらせ船内用スーツを着込んだ後、おれは手すりを利用
しながらミィーテングルームへ向かって進んで行った。

そこには既に4人のクルーが勢揃いしていた。普段ならば気心の知れた仲間同士、ざっく
ばらんな雰囲気が漂っているのだが、今はピリピリとした緊張感が室内に立ちこめている。
「よし、ジョンが来た。グレッグ、今までの経過を説明してやってくれ」船長のザックが
促す。グレッグは何故だか一瞬ニヤリとした表情に変わったが、すぐに無表情に戻ると説
明を始めた。
「ジョン、おれたちは現在、最大級のミステリーに直面している。
111大網傘茸:03/02/03 23:24
(10−3)
おれたちの船、つまりサルベージ船「88号」の目的は、この未知の領域で事故を起こし
た探査挺「エクスプローラδ[号」の回収にある。探査挺の事故とは自衛兵装システムに
使用されている四酸化ニトロゲンが船内大気中に流出し、3人のクルーがガス中毒で死亡
したというものだ。救難を求める当時のメッセージでは2人が既に死亡、メッセージを伝
えた本人も生存の見込み薄、と送信している。
船の航行システム自体は全く異常なし。その意味においては自力での帰還は可能だった訳
だが、プログラムを組み直す余裕も無く。・・・仮に組めたとしても帰還前に死亡はまぬ
がれんわけだし、そいつは帰還を断念した。というわけで探査挺は20年間もの間この領
域に漂っていた事になる」
ここまでの話はおれにとっても新しい情報ではなかった(ただし「88号」出航前は事故
から17年間経過という計算であった)。しかしおれは黙って続きを待った。
「既に探査挺とのランデヴーは成功して、探査挺は現在横付け状態。つまり小判鮫みたい
に俺達の船に張り付いている。自衛兵装システムは修理したし、幸い航行システムの方に
は異常は見受けられなかった」
112大網傘茸:03/02/03 23:25
(10−4)
今回のミッションではおれは探査挺に乗り込み、自力で帰還する事になっている。クルー
を信頼していないという訳ではないが、航行システムについては自分で再チェックするま
ではまだ安心は出来なかった。
「・・・で、ミステリーはこれからだ。
実は、船内に当然有るべきものが見当たらなかった。
その、つまりだな、・・・転がっているべき3人の遺体が見つからないんだ。
ああ、勿論ありとあらゆる場所をくまなく探してみた。ネズミがかろうじて入れるような
小さな隙間までを含む全てだ」
「間違い無いのか?」おれは念を押して尋ねた。
「間違いは無い。くまなく探した。だが見つからなかった。・・・そこで、我々は現在2
つの可能性を考えている」
「ひとつの可能性は、最後に生き残った奴が2人の遺体を船外へ放り出し、その後で自ら
も船外へ飛び出して行った、という説」ゲイリーが話に割り込み説明した。
「そう。だが、考えてもみたまえ。そんな事をする必要性など全く無いじゃないか?どう
考えてみてもあまりに不自然な行動だ」
113大網傘茸:03/02/03 23:26
(10−5)
「確かにそうだな。で、ふたつ目の説はどんなものだ?」
「まあ、慌てるな。その説を話す前に君にとって新しい情報を加えなければならない。
解せん事に船内のライブラリーに対し、事故の後になってアクセスされている形跡がある。
これは航行装置には直接関係の無い、文字通り百科事典に該当するもの全記録だ。そして
外部ハッチのロックシステムに手を加えられた痕跡が、つい2時間前に発見された」
実に興味深い話だった。
「なるほど、ふたつめの可能性とは外部から侵入者が入ったというものか、バカバカしいがな」
グレッグは、またニヤリとした。
「その通り。さて、君も良く解っていると思うが、我々の現在いる領域とは、人類にとっ
ては全く未知の領域であり、そして探査挺「エクスプローラδ[号」以外の船がここに来
たという記録は無い。・・・これが何を意味するかは解っているな?」
「侵入者とは人類以外の知的生命体?・・・正気か?人類が宇宙に進出してから数万年は
経っているにも関わらず、未だ異星人の痕跡さえ発見されていないというのに!既に学者
の結論は出ているぜ、『人類以外の知的生命体など存在しない』・・・とね」
おれは一般常識を言い放ち、彼らの出方を伺う事にした。
114大網傘茸:03/02/03 23:27
(10−6)
「やれやれ、人類が宇宙に進出したと言っても、たかだか数万年間ごく狭い範囲での調査
しか行われれていないのが実状さ。・・・ま、推測するにヤツらは俺達人類の標本を持ち
帰ったんだな。それがふたつめの説だ」ゲイリーが諭すような口調で反論した。
「バカな、だったら何故航行システムに、そして宇宙船自体に手を付けない」
「ヤツらは同じシステム、いやそれ以上の宇宙航行システムを持っているのさ。簡単な話
じゃないか」今まで黙っていた常識人のミラーまでがそう言った。
議論は続いた。
おれはふたつめの説を、根っこの部分では信じていないが、しだいに面白味を感じる様に
なってきた。
おれは否定的意見を出すのをやめて、議論の成り行きを見守る事にした。議論されたのは
探査挺の事故は単なる事故なのか、それともエイリアンに仕掛けられたものか、という点。
これについては事故は突発的な事故であり、エイリアンは事故の後に訪れた可能性が高い
と結論がなされた。
115大網傘茸:03/02/03 23:28
(10−7)
そして、エイリアンの調査の為に、この領域に1週間留まる事が決定された。もっとも2
0年前の出来事に対して、何の成果も挙げられないだろう事は、エイリアン肯定者たちも
さすがに解っているようだった。だがそうせずにはいられないのだろう。さて、その間お
れは探査挺のチェックが終わったら、対CPUチェスでもやって時間をやり過ごせば良い。

1週間がたった。
やはり、予想通りこれといった成果は挙がらなかった。その間おれはひとつめの仮説のそ
れらしい解釈とみっつめの仮説が出てこないかを考察していたが、これといったアイデア
の閃きは起こらなかった。
今日で全てが終わる。が、ミステリーはミステリーのまま置き去りにされようとしている。
何か釈然としない気持ちは残るのだが、仕方がない。おれは探査挺へ乗り込む準備を進め
ていた。そこへ突然アナウンスが入った。
「おい、何かが接近している。みんなブリッジに集まってくれ」
船長のザックの声だ。おれは走り出していた。
116大網傘茸:03/02/03 23:29
(10−8)

「レーダーに、微妙な反応がある。・・・近づいているのが解るか?」
「反応がとぎれとぎれだな」
「ああ、でもこりゃ単なるデブリだと思うぜ」
「違うな、デブリにしちゃ動きがおかしい。・・・もうそろそろ来るぞ。前方!」
おれたちはブリッジの窓に張り付いて何かが見えるのを期待した。そして見た。
青く眩い光が瞬間的に光ったのが見えた。
ただ、たったそれだけだった。レーダーの反応も消えていた。
船外取り付けのビデオ装置には何も写っていなかった。死角だったらしい。
117大網傘茸:03/02/03 23:29
(10−9)
その10時間後、おれは予定通り探査挺に乗り込んでいた。そしてサルベージ船「88号」
の発進からその姿が見えなくなるまでを目視で確認した後、素早くコントロールパネルを
いじりだした。
そして「Feeier」と名付けられたユニットを船外へ放出した。それは強力な信号を長期間
にわたり発し続け、接近するものを探知し、記録し、連邦へ向けてその情報を送信するユ
ニットだ。後はあらかじめ組んであった帰還コースをコンピュータで呼び出し、オートパ
イロットをONにした。
118大網傘茸:03/02/03 23:30
(10−10)
・・・そしてあの1個数億クレジットする「Feeie」の件で、おれはパイロットとして宇
宙へ飛び立つ事は二度と許される事がなかった。エイリアンとの接近遭遇の証拠となるレ
ーダー装置の記録は、ギズモとして処理された。即ち単なるノイズという扱いである。だ
が「88号」のクルーは全員『人類以外の知的生命体は存在する』という確信を抱くに至
っていた。一生涯それは変わらないだろう。連邦にとっても行方不明のクルーの件はミス
テリーのままだ。
さて、例のヤツらについてだが、きっと、照れ屋に違いない。だから今後は、人類との接
触のチャンスは永遠に来ないのかもしれない。まあ、それならそれで良いだろう、と思う。
・・・つまりおれたちはもの凄くラッキーだった訳だ。

ジョン・モス(A.D.22520〜22650)惑星HP32出身
異星人 アシェイムドの存在を記録したユニット、「Feeier」を作動させた人物として有名。
銀河連邦が「Feeier」の送信を受信したのは、ジョン・モスの死後約200年後のA.D.2
2852年。
大作だけどつかみ所が良くわからない。
このスレッドの面白い作品は10数行でその世界観やテーマを盛り込んでいる。
もう一度挑戦して下さい!
宇宙人判別法

地球防衛軍各都道府県市町村支部通達 第19283705号

 すでに地球に多数潜伏、生活しているものと思われる、異星人(俗に宇宙人)の簡便な
判別法について通達する。各町内会、職場、学校などに周知徹底の事。

その1 自動改札による判別法

 近年、鉄道駅構内に設置されている自動改札が簡便に異星人を判別する事が明らかに
なり注目を集めつつある。
異星人が自動改札を通る時、適正な切符、定期等を使用しても、改札が閉じてしまい、
異星人を通さない状況が発生する場合があることが複数の事例から明らかになって来た。
自動改札がいかに異星人を判別するか詳しい原理は今だ不明だが、上記事例が起きた場合、
乗客が異星人である可能性があるので各地方の地球防衛軍本部にすみやかに連絡通報する
よう指導されたし。
 また乗客が閉まる自動改札から脱兎の毎く逃げる場合でも、単なるキセルの場合は閉まる
ドアに引っ掛かるが、異星人はドアに引っ掛からず走り抜けるなどの特徴がある。
合わせて指導し、駅付近の通行人にも協力を求めるられたし。
121宇宙人判別法 2:03/02/04 20:22
その2 商店街におけるアジト判別法

 商店街などで古い店舗が取り壊しになり新たな店舗を建設中、近隣住民になじみの場所で
あるにもかかわらず、前にどんな店舗があったか誰も思い出せない時、その店舗は異星人
の元アジトであった可能性が高い。住民の近隣監視の徹底を求められたし。

その3 各人の記憶による判別法

 各人の知人のうち、顔はひっきりなしに想起されるが、名前がなかなか思い出せない
知人は異星人の可能性がある。また、合うたびに少しづつ顔が変わっているように見える
知人は異星人の可能性がある。(疾病、整形等を除く)

以上。
122大網傘茸:03/02/04 23:05
「ロケット花火」
豪快な火花を発し空中へ飛び出すと、パンと音をたてて破裂するロケット花火。
多くの方々が、少年時代に楽しんだ経験をお持ちなのではないだろうか?
宇宙開発もいよいよ本格的になった21世紀。この「ロケット花火」にクレームがついた。
空中でロケットが破裂するのは、縁起が悪いとされたためである。
製造会社の苦悩が始まった。
まず、空中で爆発しないロケット花火を開発した。
カタルシスの無い、つまらん花火であった。
発想を転換してみた。
芯の部分に、スペースシャトルを模したミニチュアを取り付けた。そして、あらかじめ決
められた地上の目標地点へと、正確に着地させる事を競うゲームとして売り出す事にした。
ついでに名称も「ロケット ナビ」とした。これで完璧である。
だが、やはり売れなかった。
(完)
>121-122
ねらいは面白いけれど、もう少し文体それらしく練ったほうがいいと思いまつ。
(以前、たしか公務員板で吉牛テンプレをお役所言葉変換したネタがあってハゲシク
笑った記憶あり。)
124名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/05 00:04
>>122
「ロケット ナビ」いいっ
アシモフの小説なんかで子供がやってる遊びとして出てきそうです

125大網傘茸:03/02/05 00:12
「ロボット工学の基礎知識」
当初開発されたロボットの多くは自重が重く、自律制御システムも初歩的であった。
その為ロボットが歩行状態から急停止すると、バランスを崩してしまい、倒れて人
に怪我をさせたり、ロボット自ら壊れたりする事故が多発した。
その事態を重く見たロボット工学の権威アジモ博士は、ロボットに3つの約束事を
組み込む事とした。ロボットが人を危険から守ったり、自ら壊れないための重要な
な法則である。
第1減速 
通常のブレーキ
第2減速
下りの坂道に使うエンジンブレーキ
第3減速
雪道に使うポンピングブレーキ
以上が有名な「ロボット工学の3減速」である。

>>124 ありがとう。
ワロタ
>>123
これかな?
http://academy.2ch.net/test/read.cgi/gengo/1023262685/12
なるほどワロタ
>>107
すごく短いのに原始化した人々の暮らし方が伝わってくる。
プレートの字はバナナワニ園に一票!
129名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/06 00:53
駄洒落SFシリーズいいですね
130名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/06 03:24
星新一のSFもなかなか(・∀・)イイ!!
131名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/06 11:56
宇宙人2

「なんか宇宙人増えてない?」
「そうね。時々見かけるけど路地に逃げちゃうよ」
「ゴミ漁っているのは見ないけど野生化しているのかな」
「でも性別なくてホルモンを与えないと増えないから…」
「ホルモン…昔のキャトルミューテレーション事件は…」
「モツ焼きで一杯が奴らの子作りってか!?」
・・・オーストラリアに巨大UFOが墜落して7年目の事だった。
132大網傘茸:03/02/06 22:30
科学者「時に貴殿、大空を自由に飛びたいと思ったことがあるのでは?」
冒険家「ふっ、何を言い出すかと思えば・・・、愚問だよ。この大空にこそ漢のロマンが
ある。思えば人は遙か昔より鳥の自由さにあこがれ、大いなる空を目指した。時代さえ違
えば不世出の冒険家と呼ばれるこの私が、大空の歴史に名を刻んだ可能性は間違いの無い
ところだ」
科学者「はあ、そうですか。実は新しい発明品なんですが・・・」
冒険家「なんなんだ?」
科学者「タケコプターです」
冒険家「なんと!あの未来ガジェットのタケコプターなのか!君、こういう発明を私はず
〜っと待ち望んでいたんだ!役に立たないタイムマシンなどではなくてな」
科学者「はあ、それでは私の実験のいけに・・・、試験に協力をいただけるのですか」
冒険家「もちろんだとも」
科学者「わかりました。このタケトンボのような形をしたものがタケコプターです。使い
方は・・・」
冒険家「能書きはいいから早くよこせ。使い方なら充分に熟知しておる。これだこれだ、
一度やってみたかったんだよな〜。よし行くぞ。タケコプター発進っ!!」


冒険家「おい、大空を自由に飛んでいるはずの私が、何故ここにいるんだ?・・・うっ、
ちょっと寒いな」
科学者「貴殿がタケコプターの前に装着していた貴殿の一部が、今この瞬間、大空を自由
に飛び回っているところです」
133大網傘茸:03/02/06 22:57
「軌道エレベーターガール」

がちゃ。
「上へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ふわ〜)
がちゃ。
「下へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ズッシン)
がちゃ。
「上へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ふわ〜)
がちゃ。
「下へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ズッシン)
がちゃ。
「上へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ふわ〜)
がちゃ。
「下へまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す」(ズッシン)
がちゃ。
「わたしまいりま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜すた」(ばったん)
134名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/06 23:14
>>133
いかんツボにはまった…ハラいてぇ…
長文うざい。
男のロマンともいえる透視薬を作るべく、俺は研究をしている
研究に研究を重ね、最初に出来たのは
強力すぎて骨が見えるという萎える代物であった
さらに研究に研究を重ね、次に出来たのは
微妙に弱く下着が見えるのが限度というものであった
ここで妥協してもいいのだが、私は
さらにさらに研究に研究をかさね、最後にとうとう
完全に裸体を拝める究極の透視薬を完成させた
いざ、使ってみたが何の感慨もわかない
こんなことなら若返り薬も作っとけばよかった
137スナ@DTM板:03/02/07 02:08
理論は割愛するが、パラレルワールドへの入り口を開くことに成功した。
教室の後ろにある掃除道具入れみたいな奴に入り、内側から扉を閉めてボタンを押す。
次にそこから出る時は、間違いなくパラレルワールドのはずだ。
そのボックスはかなりの電圧とアンペアが必要で篭ってから30分はかかる。
喜びのあまり、ここ連日パラレルワールドを渡り歩いている。
30分の暇つぶしに扉を閉め、新聞を読むと「午後から雨」なっていた。
30分後、扉を開けると案の定雨の降り始め。
私は庭に洗濯物を取り込みに向かった。
138スナ@DTM板:03/02/07 02:29
やっと最近どこかの誰かが「動物と会話する機械」作ったらしいが、
私は以前にその装置で成功している。鯨と会話する機械だ。
鯨の言語はデータの蓄積が容易で解読しやすかった、翻訳プログラムも思うほど苦労せず完成した。
鯨は新しい単語を作るのが好きだ、前に「ハシカリ」と言う単語を作っては連呼して喜んでいたが、所詮鯨の考える単語、意味はなかろう。
大きな水中アンプスピーカーと翻訳機、レギュレーター内臓のマイクを装備して鯨の水槽に入ってみた。
アンプをONにして一言「やあ、最近どう?」と言うと、鯨に無言で体当たりされた。
鯨と言うのは話の通じない奴らである。
それから数日後、鯨の会話に「ミサンガ」と言う言葉が頻繁に出始めた。今度買ってきてみよう
   ワケ      ワカ      ラン♪
  ∧_∧    ∧_∧    ∧_∧
 (; ・∀・)  (; ・∀・)   (; ・∀・)
⊂ ⊂  )  ( つ つ  ⊂__へ  つ
 く く く    ) ) )     (_)/
 (_(_)  (__)_)    彡(_)

でも雰囲気はいいかも…
色んなのが読めてこのスレ楽しー!長文力作も漏れは好きだ。
火葬戦記スレッド:

「嗚呼、、『佐藤●輔』音信途絶! 後続いまだ確認できず!」
「くそっ、このままでは... 我々は座して死を待つしかないのか!」
「、、、待ってください、殿(シンガリ)より入電、、、、読みます」
『ワレ コウホウヨリ ユウグンヲカクニンセリ、信号青 青 青
、、、『ワレ谷甲●、オクレテスマヌ』!』
「ふう、これでやっと一息つける、、、しかしつらい戦いだな、、」
141名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/07 18:00
宇宙人
 三日前、宇宙人が突然やってきて空き地に家を建て始めた・・・
 全世界規模で宇宙人が移住をしてきた、もちろんうちの中庭にも三匹ほどいる。
 そこで僕はタイムマシンを作ることにした。
 発明家のおじさんに協力してもらって完成した。
 宇宙人の位置を入力し、時間軸を合わせボタンを押すだけ。
 僕は夜の十二時迄待った。 
 ぐっすり眠っている宇宙人の目を見ないようにしながら、ボタンを押した。
 最後の瞬間に宇宙人が「ムー」と鳴いた。

 それからのことはあまり話したくない。
 なぜなら僕が1万年前に飛ばされたからだ。
 次の日から人が飛ばされてくるようになった。
 近所のトーマスさん、メアリー先生、ポピンズ夫人。
 妹のジェーン、なぜかペットのヒキガエル。
 何日かしたら、人が来なくなった。
 たぶんあきらめたのだろう。
 
 それから、何十年もここで待った。 

 体に鞭をうち石に文字を刻みながら、顎鬚を撫でる。
 小さかった王国は今では周辺まで支配するようになった。
 「ムー」と言われる地域はこうして生まれた。
例えば地球一周でいうと
信長はマゼラン的にヨーロッパ〜アメリカ〜インド〜アフリカ〜ヨーロッパ
と回ることを天下ととらえていた。
よって天下を取る=いかに短時間でこのルートを行くか。だったのが
秀吉は北極〜南極の縦回転でも地球一周だと言い出し
つまりは実質俺様下克上!貧農から天下取りだゴラァ、、、である、
家康は北極点の横3mを一回りするだけでも世界一周だと唱えた。
横に地球一周は疑うべき事もない前提である
ともかく競争相手より一日でも長く生きて勢力拡大すれば
あの狸親父にとっては良かったのだ。
その点で根本的なところで別の観点があったと。

gobaku?
俺はいつも、影の薄い男とさげすまれていた。
そこで、タイムマシンを使った名案を思いついた。
過去に戻って、過去の自分に重なるように動いてみたのだ。

すると何と、思い通り濃い影を作ることができた!
しかし友人には、

「最近オレ、乱視かも?」

と言われてしまった。
145名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/08 00:50
コピペ厨の集うスレはここですか?
          ___
    .      |(・∀・)|
     .      | ̄ ̄ ̄   ジサクジエン秘宝館
         △
        △l |
   __△|_.田 |△_____
      |__|__門_|__|_____|____
147名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/09 23:11
そろそろ別のお題に移りますか?
148名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/10 14:36
「医者が今夜が山だって言っているよ。親戚連中も呼ぼうか?」
「それはそうと、、、オヤジの遺言どうするよ」
「死体を保存して置いてくれってヤツだろう。う〜ん」
「そういうのは有名人や政治家とかがやるんだろう?」
「でもオヤジは未来の医療技術が蘇らせてくれるって信じてる」
「そんなのある訳ないじゃん!保管の費用もかかるし、、、」
「でもまあ、オヤジの希望だし、仕方ないかミイラにするか」
窓の外に神殿建築の人々がコロを使って石を運んでいた。

--------------------------------------------------------
>>147お題は別に自由でも良いんじゃない?
それより>>1はどうした?立てたスレならもう少し盛り上げてみい!
>>145-146みたいなレスが増えたらツマラン!
149名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/10 15:59
日記

まわりには、チンケな男ばかり。
私の魅力に絡めとられて、私から離れられないのに、近寄ってくることさえできない。
チラチラとこちらの顔色を伺いながら、正面から見詰める度胸もない。
ああ、なんて根暗な、つまらない男たちなのかしら。

昔はこんな男ばかりじゃなかったわ。体ごと情熱をぶつけてくる男もいた。
…でも、誰も私を自分のものにすることなんてできない。
近くに来ると顔を赤らめて小さくなって、いつのまにか私の前から蒸発してしまうのよ。
自分の矮小さに気付いたのね。私の情熱と美しさには耐えられないって。
私の輝きに応えられる男なんて、この世には存在しないのかも知れないわ。

いいえ、違う。それは嘘。私は知っていた。耀く輝く氷の情熱、ああ、ハリー、あなたが恋しい。
なぜいつも私を見ていてくれないの?私にはつらすぎるわ、
76年に一度しか会えないなんて。
150名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/10 17:41
70年代の宇宙開発ブームもいまや過去の話。
俺たち専門家は、ちっとばかし儲かった企業が気まぐれで支援する
ちまちまとした観測事業でしか日銭が稼げなくなった。
おまけにここんとこ、その仕事さえおぼつかない。

このままじゃおまんまの食い上げだ。
21世紀の最初には火星あたりまでばんばん宇宙船が飛び交ってると思ってたぜ。
そうなってたら、俺の仕事にももうちょっと予算がつくというものだ。
ここらででっかいロケットでも打ち上げて欲しいぜ、まったく。
2000人くらい搭乗できるような地球-木星間往復の豪華客船とかな。
そうなれば俺はどこの企業からもひっぱりだこ、がっぽり稼いだらエウロパに一戸建てを建ててやる。
ああ畜生、夢想癖がついちまった。何が悪いって、あのくそいまいましいアポロ計画だ。
あれがなきゃこんな職業に就くこともなかった。
月着陸を眠い目をこすりながら見守った頃は、こんなことになるとは思ってなかったな。

いい加減転職でも考えるかな。こんな将来性のねえ分野にいつまでしがみついててもしょうがねえ。
同じ食肉業者でも、直接地球に行って性器を切り取ってくる会社はずいぶん儲かってるって言うからな。
珍味が向こうからやってくるのを待つって発想が、そもそも間違ってたってことだ。
>>149
上記 日記を見つけた図書館司書とその同僚の会話

「なあおい? 一番哀れなのって何だと思う?」

「誰からも相手にされないことかな」

「なら七十六年に一度でもまだましなわけだ、君にとっては」

「そうは言ってないよ、比較すればの話に過ぎない。例えば
ヒトの寿命ならば76年というとまさに揺り篭から墓場に半分足を
突っ込んでいるぐらいのタイムスパンだし、Gクラスの恒星の生涯に
おいてならばそんな時間はあっという間、屁でも一ひり、ぐらいだしね
要するに我々にとっての概念を彼らバリオンの子供たちに適応するのには
無理がありすぎるんじゃないか、、、ぁまた仕事の時間だよ」
「うーい」

「死後いや仕事、私語と詩語と誌ごと、、、はあ
あいつには言わなかったが一番哀れなのは無論僕らに決まってる、、、
どこかの莫迦たれが『天国』と『地獄』なんてものと
ラグナロクなんていう概念を考え出したせいでいつ始まるのか判らない
終末までずっとこんな仕事をし続けなくちゃならないんだからな」
152名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/10 18:36
 生活排水が流れ込み、暗緑色をした悪臭を漂わせる湖のほとり。
「我々は湖の水資源を利用する工場を建てることで雇用の促進を図ろうと考えている」
「承知致しました。直ちに用地買収と工場の建設を手配いたします」

 工業排水によって汚染され、黄色に染まった湖のほとり。
「我々の湖を工業排水で汚染するな!直ちに環境対策を実施するよう要求する!」
「承知致しました。直ちに汚染物質の分解酵素を排水に混ぜるよう手配いたします」

 酵素によって浄化され、美しい水面を見せる湖のほとり。
「我々の湖は今や国内有数の景勝地であり、この地域での工場の操業は許されない!」
「承知致しました。直ちに工場の移転を手配いたします」

 再び生活排水によって汚染され、暗緑色をした悪臭を漂わせる湖のほとり。
「次の工場で排水の環境対策を行う場合には決して最新技術を投入せぬように」
「承知致しました。直ちに前時代的環境対策を施した工場の建設を手配いたします」
短編とショートショートって違うような、、、モゴガ
1541:03/02/11 06:57
短編は書きづらいと思われるのでショートショートでもいいと思われ

155名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/11 15:19
age
156名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/12 02:15
国連事務総長「宇宙人からもたらされたこの願望を現実のものにする装置、
 果たして誰が所有し、使うべきか…諸君の意見を聞きたい。」

イギリス首相「わが国の誇る天才物理学者ホーキングに…。」
インド首相「いやいやわが国の天才数学者ラマヌジャンを甦らせ…。」
アメリカ大統領「もちろん私こそが…。」

 喧喧諤諤の議論が続き、誰もが疲れ果て解決を諦め、戦争さえ覚悟したたその時、
日本の首相が放った一言は会議の参加者全ての目を覚まさせた!!

日本首相「諸君、この装置を所有するべき人間は優れた能力を持つ人間ではない。
 優れた想像力と好奇心、そして強固な意志を持つ人物である!」
日本首相「わが国は、わが国が誇る人類史上最大の偉人、あすかあきお氏こそが
 この装置をゆだねるに相応しい、そして全人類に輝かしい未来を約束する人物である
 と確信している!!!!」

 停滞感と倦怠感が漂っていた会議室内は、この一言が発せられた瞬間、求めていた解を
得た歓喜と興奮の渦に満たされた。そして直ちにあすかあきお氏が召喚された。

国連事務総長「コングラッチュレーション、ミスターあすか。これがその装置です。」

日本首相「おめでとうミスターあすか。まずはどんな素晴らしいことを現実に
 してくれるのだろう? 夢の航空機であるUFOだろうか? それとも全人類のチャクラを
 解放してくれるのだろうか?」

あすかあきお「そんなことより、いま地球に向かって50億の宇宙人が迫ってきています。
 まさに今、攻撃を受けようとしているときなんですが…」

こ う し て 人 類 は 滅 亡 し た
157 ◆gacHaPIROo :03/02/12 04:29
2001年宇宙の旅


      『去年じゃん』


                  おわり
158 ◆gacHaPIROo :03/02/12 04:31
ヒトの知性化は棍棒から始まったという間違った知識が流行っている、
これはヒトの知性がよくよく暴力的な所から来ているわけだが、実際には間違っている。

ヒトの知性化について話せば、
もともとの話は今から1万5千年前、スミドロンやナウマンゾウが減少したことから
始まる訳だが

さて、
本来であれば、ここでもともとの知性化の話になる訳だが、
みなさんご存知の通り、私は無礼者だった。

まず、『知性』についてお話することを忘れていたのだ。
よく、知性について教育されるものでは、
武器などに用いられる天然に産出される資源もしくは
鉱物の変遷があげられるのではないだろうか?
ヒトは、石器、青銅器、鉄器、鋼鉄器、アルミニウム化合物、石油化合物、
モノフェラメントというように進化してきた、などというように。
だが、これは笑止というものだ。

ヒトというものは与えられた環境に準じた技術を得ようとする行動を
本意、不本意に関らずとるものなのだから、
これを持って『進化』と呼ぶのはどーだろうか?
石器と用いていたとき、ヒトの廻りには『石』しかなかったのだ。
石がなくなったから、それよりも入手が困難な青銅を用いたに過ぎない。
これは、『知性』と呼べるのだろうか?いや、難しいだろう。
そんな人間の行動結果を知性と呼ぶのは、ちっせいことである。

ヒトの知性とは発見にあるのだとすれば、それは言葉にある。
しかも、ただの言葉ではない。その組み合わせ、すなわち、『物語り』である。
こうして、今から一万五千年前の氷河期の時代に皆さんを誘うことだ可能になったのだ。
話が長くなるので、次のレスにつづく。
159 ◆gacHaPIROo :03/02/12 04:31
今から1万5千年前、氷河期にもかかわらず、
ヒトが増えたためか、それとも種としての限界からか
肉食獣スミドロンや巨大獣ナウマンゾウが減少しはじめた。

こまったのはヒトである。
少なくなった獲物を追い求めて、彼らのほとんどは旅に出るようになった。
それまで住み慣れていた森を離れ、荒野に、砂漠に、山岳地帯に。

旅の友として、焚き火が用いられるようになると、
食事後の焚き火を囲んでの団欒がツライ旅でのひとときの楽しみとなった。

その最初の語りは次のようであったと伝えられている。
「そろそろ、日が暮れてきたな。洞穴を掘らあな」

・・・このとき、彼らの存在が発見されたのだ。
すなわち、
「赤い骨をもつ人々」、
「口から先に生まれてきたモノ」などで呼ばれる、物語りの一族である。
当然、彼らは昔から存在していた。
鳥たちが風の物語りを語るように、
イルカやクジラが海の物語りを語るように、
彼らは考える葦たるヒトの物語りを語るために生まれてきていたのだ。昔から。

それがどのくらい昔からかについて述べるとすれば、
それはいまからおよそ4億900万飛んで1年前、
古生代のころにアンモナイトによって行われた
大規模な地球環境の破壊にまで遡らなければならないのだが、
またまた、話が長くなるので、次のレスにつづく。
160 ◆gacHaPIROo :03/02/12 04:32
今から4億900万年飛んで1年前ほどむかしむかしのお話だ。。
我らの住む太陽系から約4光年あまり彼方、アルファケンタウリ星系より、
高度知性体による調査行があった。彼らを仮に「調査官」と呼ぼうか。

当時の地球を支配していたのは、アンモナイト。
道具の使用などではまったく進化のほどを示していなかったが、
知性体としては、すでに彼ら調査人らとのコミニュケートがとれるほどに進んでいた。
が、
彼らは絶滅への道も進んでいたのである。
原因は彼らアンモナイトがその考える力によって、子孫にまで影響を与えることそのものにあった。
彼らの殻は、海に浮かぶには適当ではなかったがために、
各種の改造を行う必要があったのだが、考える力の影響力が大きすぎたため、
奇形化が進んでいたのであった。

調査官はこの事実を知るや、アンモナイト群の代表格との懇談を行ったが、
アンモナイト群らも必死の研究の結果、
当時すでに酸素酵素循環用に使われていたミトコンドリアのDNA改造によって、
個々のミトコンドリアを媒体とした感情の共感通信に成功していたのである。
この通信により以後の生命体には共感コミニュケートによって互いの記憶に対する感情が発生し、
その思考そのものによって個々の思考が一時停止するはずであった。

しかし、調査官は指摘した。
”これではキミ達自身の滅亡は抑えられない” と。

アンモナイトたちは諦めた口調でこう言ったという。
「私たちも色々と考えた。が、ほかに案もないと」
161大網傘茸:03/02/12 23:49
(5−1)
「生存戦争」

奴らの肉は旨い。
俺が18になってから迷うことなく歩兵部隊へと入隊したのも、故郷に永遠の別れを告げ、
未知なる銀河の深部へと挑んでいったのも、全ての理由はそこへと帰結する。
惑星ブッチャ(屠殺場)、つまり最前線への配属は、実に恐ろしいほどの難関であった。
些細な疾病でさえも許されぬチェックの嵐。虫歯の一本でもあればアウトである。そして
鍛えられた兵士としての実力は勿論の事、強い運も味方に付けなければ難関突破は望めな
かった。
それも、もはや思い出である。
奴らの肉は旨い。・・・そう、俺達が宇宙ガニと呼んでいる敵対関係の異星人の事だ。
奴らは俺達同様の高度な知性を持った生命体で、どこか遠くの外宇宙からやって来る。
むろん宇宙ガニとは正式な名称ではない。その外観が、地球ではとっくに絶滅してしまっ
た蟹に似ているために付けられた俗称である。だが、その味もまた美味といわれた本物の
蟹に近いらしい。
162名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/12 23:50
(5−2)
堅い甲羅以外の部分ならば生でも食えるし、ゆでても、直接焼いても美味だ。鍋にしても
最高に旨い。グロテスクだが内蔵も卵巣もいける。・・・俺は奴らの事を考えるだけで、
パブロフの犬みたいに涎が流れそうになる。

地球。・・・人口爆発により慢性的な食料不足に至っている。僅かに配給される食料だけ
では既に限界が来ていた。そういえば、配給品の中に、宇宙ガニの加工されたかまぼこや
缶詰が入った事がある。その時は街中で激しい奪い合いが始まったものだ。俺が地球にい
た頃は、宇宙ガニなんてクリスマス以外で食した記憶がない。今は本格的になった戦争の
おかげで、少しはましになっているのだろうが。
さて、驚いた話だが、実は宇宙ガニの星の事情もこちらと変わらなかった。つまり、共通
の悩みを抱え共通の欲求を持った種族だったのである。奴らの場合は人肉を食す訳だ。
163名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/12 23:51
(5−3)
この戦争は互いの合意の上で成り立っている。俺達側の使用武器は原始的な槍や刀、規定
に則った各種のトラップ。それ以外の武器は一切禁止されている。大量殺戮が可能な最新
鋭のABC兵器の技術を持っていても、・・・である。それについては奴ら側も公平で、
御自慢の次元兵器は全く使用せずに、条約通りに、自らの強靱なハサミのみを武器として
戦っている。お互い驚異的テクノロジーを搭載した宇宙船でここへ来ながら、皮肉にも極
めて原始的な戦いを繰り広げているという構図だ。
互いの精肉加工施設の破壊禁止を含め、細かい規定を挙げていけばきりがない。だから合
意の上での、生存のための戦争なのである。
しかし戦争はやはり戦争である。死と隣り合わせの恐怖が常にある。
先週まで元気だった親友のマーウーはもう居ない。マーウーはちょっと変わり者で、禁止
されているタトゥやピアスをしていた。自己主張の激しい男だったが、何故だか俺とは馬
が合った。
聞くところによると、腹の部分から上下真っ二つに切り裂かれ死んだらしい。
164名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/12 23:51
(5−4)
「出撃の準備はいいか?」
「ああ、鍋の方もOKだ」
「塩も忘れるなよ。今日の戦闘は相当ハードなものになりそうだ。今夜は帰れそうにない
から覚悟しておけ。勝利したら現地で晩飯だ」

確かにその日の戦闘は壮絶だった。部隊の三割を失い、俺自身も左腕をひどくやられた。
モルヒネの効きが悪く痛みが消えない。
結果的には俺達は勝利した。全員が疲労困憊で動けない状態であったが、晩飯の用意が整
ってくると、俺を含めたけが人達もそわそわし始めた。新鮮な肉が食える。これが最前線
での特権である。まだか?待ちきれない。
「出来たぞ」
俺達は鍋に殺到し、貪り食った。
165名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/12 23:52
(5−5)
痛みの事など忘れ去り、カニ野郎を堪能した。そして満腹になると幸福な気分に浸った。
ガリッ。
肉の中に小石が入っていたらしい。口から取り出してみるとそれは金属だった。
よく見ると丸いピアスだった。見覚えのあるピアスだった。
「・・・マーウー、お前の分までしっかりと食ってやるからな」
俺はつぶやくと、あいつの旨味がしみ込んだ、肝の部分を食べ始めた。
166 ◆gacHaPIROo :03/02/13 08:37
ホラーかよ。
『なぞの変光星』

 人類がその赤色巨星を発見してから数百年後、その星の発する光が何の前触れもなく突然青く変わった。
 このなぞを解明するため、観測船がその星に向かった。
 しかし巨星の軌道上で停止して調査を始めようとしたとき、高速で接近してきた異星人の宇宙船と接触し、観測船は宇宙の塵となってしまった。
 猛烈な抗議をした地球政府に対し、船に乗っていた異星人は、「だけど信号無視をしたのは、そっちのほうじゃないか。青信号なのに、あんなところで停まっているなんて」そう言って青い巨星を指差した。
 ちょうどそのとき巨星の色が黄色に変わった。
168名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 13:59
うんうん!ショートショートの王道です!
169682:03/02/13 14:06
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>>167
(・∀・)イイ!

あと、
猫の裁判も凄く(・∀・)イイ!
171名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/13 23:26
最後の一文のためだけに
前フリを長々と考えた>>158-160に乾杯
「洞穴を掘らあな」の後に「アンモナイト」が出て来た時点でオチは読めたけど、
そんなことは心の奥の宝箱に鍵をかけてしまいこんで、
>>158-160をねぎらってみるテスト。

乙。
ビジネスというものは、どんな悪い事をしてでも金を儲けるという意味であって
「仕事」を「ビジネス」と勘違いしている無学な輩も少なくない。
「仕事」は「ワーク」だ。

悪い事をしてでも金を儲ければそれでいいのだから、
強盗をしても立派な「ビジネス」である。
>>157
パクリ ハ ヤメレ
クライシス2050


      『47年後かぁ……』


                  ウトゥ……
>>174 じゃあこんなのどうだゴラァ!!)

167 :名無しさん@お腹いっぱい。 :03/02/13 07:18 ID:d8OeNFIf
うわーやってらねぇ!

168 :名無しさん@お腹いっぱい。    :03/02/13 19:47 ID:nOVWb5q3
本当の絶望はここから始まる。

,,ボクはネット上で流される悲鳴にも似たレスの数々を只眺めていた
お題は雇用と失業率についてのもので皆非常に悲観的である、、、
無理もない、、、もともと、この国は体制内に潜在的な失業者を
抱え込んでいた(最近じゃトンと聞かなくなった『窓際族』という言葉
あれがまさに飼いならされた失業者の別名である)、しかしもうそんな
余剰の不良労働力を抱え込む余力は(ことまっとうな民間企業においては)
既に完全に失われたと見ていい。 競争相手としての中国の台頭、そして
政府、金融機関の度重なる失策と、折からの産業の転換期に乗り遅れたこの国はこれから先も
すこしずつ力を失い、やがてのた打ち回って末期へと向かうしかないだろう、、、
そうだ最後だこの国はヒヒィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、
《ログ アウト》

「誰だ!鬱病患者にこんな「2003年日本の旅」みたいなゲーム出した馬鹿は!
また深層心理面へ一からアプローチ構築しなけりゃならんだろうが!
これはなあ、仕事中毒のやつをうんざりさせて現実の責任ある生活に引き戻す
為だけにつかえとあれほど言ってるのに、まったく」
「先生、次の巡回の時間ですが、、、?」
「ああわかった、まったく誰がやったか判ったら「1945年日本の旅」やって貰うからな!」
総合病院「いい日、旅立ち」の夜はまたこうして更けていくのであった。
『渡り鯨』
 
 草原を歩いていると不意に日が翳ったので空を見上げた。
 渡り鯨の群れが青空の中を泳いでいた。
 「もう、そんな季節か」と僕はつぶやいた。
ある日、宇宙からの電波が届いた。
世界中が大騒ぎとなり、各国のスペシャリストが集まって解読チームが組まれた。
電波には規則性もなく皆目見当もつかなかったが
やがて、それがある種の言語であるらしきことが判明し、数年をかけて解読作業が進められた。
そして、ついに解読され、その内容は宇宙の情勢を伝えるものと判明した。
次に、彼等は自分たちの存在を知らせるべく、電波の発信源に向かってメッセージを送信した。
それから、半世紀ほど経ったころ、一隻の宇宙船が地球に到来した。
着陸地点には各国の首脳達が集い、宇宙人を歓迎した。
そして、地球中の人々が見守るなか宇宙人はこう言った。
「銀河ニュース局の者ですが、50年分の受信料を徴収しに参りました」
私は医者。ニ吉をシ術する。ニ吉は脳病。しかし私が神仏の力を借りてシ術すれば
ニ吉の脳病は必ず良くなる。神仏が私に確信をくれているから成功するのだ。
3人がかりでニ吉をおさえながらニ吉の後頭部をストーブであぶる。
髪の毛が焦げる臭いがしてうすい煙りが立ち上る。火がニ吉の患部を焼き、
脳病は直るのだ。あぶったところでニ吉を起こし水をたらす。
火の神、水の神の力を借りながらニ吉を治すのだ。
ニ吉の後頭部は炭のようになって燠がカンカンにおこっている。
始めは熱がって歯をくいしばっていたニ吉も、もう熱がらない。
ニ吉はうすら笑いを浮かべて「これ、これ」と後頭部を指差した。
水をたらすと白煙が上がり音が出る。炭のような組織が少しづつはがれてゆく。
またストーブであぶる。ニ吉は遠い目をして「これ、これ」と繰り返す。
さらにあぶってからまた水をたらす。これを何度も繰り返した。
これで最後だ、水で洗う。じゅうじゅう音がして炭化した組織がはがれてゆく。
さらに水をそそぐ。そそぐ。ぼろぼろと組織が流れ、ニ吉の後頭部はほとんど
無くなってしまった。炭を全部水洗い落としたらニ吉は首と顔だけになった。
しかし、ニ吉はまだ息をしていた。ニ吉は治ったのだ。
脳が人の頭にとりついた宇宙からの悪魔と分かったのは最近の事だ。
脳の根が残っていて生えてくる脳病患者もこのように脳を焼けば治る。
余計な悪い事を考えなくて済むのだ。
私は満足と安堵に満たされて額の汗をぬぐった。額は薄いゴムのようにしなった。
180大網傘茸:03/02/15 21:46
「不死人」

「この異種族の驚くべき生態である「不死性」についての報告の前に、彼らの社会、産業、
政治、サイエンス&テクノロジー、文化を解するために私が前もって考えなければならな
かったのは、研究対象ユニットの選定に関する問題です。思想的、社会的に突飛で異端な
存在であったり、また体力的に抜きん出たアスリートであったり、またその逆の場合等も
ありますが。・・・つまりそういったマイノリティな素材の選定では、実際の種族の実像
を捉え切れないという事です。ですから、重要な点はあくまで一般大衆をメインに調査、
研究をするという事でした。
ですが、ご承知の通り、我々は重力に対する抵抗力が極端に弱いので、現地調査はほぼ不
可能です。そこで生活様式を中心とした文化形態を知る重要アイテムと思われる、彼らの
日常生活を記録したフイルムを特殊テレポ装置により30年間にわたり随時入手し、その
解析を行ってまいりました。注意点は、ここでの人物達は記号化もしくはデフォルメ化さ
れている事です。ですが、その内容はあくまで彼らの日常を扱ったたもので、非現実的要
素はかけらもありません。試みにテレパシ交信で、この種族のイドに問いかけてみたとこ
ろ、このフィルムの内容はあくまでこの国の平均的生活を描いたものである、という反応
が返ってきました」
「そうか、では本題にはいるが、この種族の極端な長寿、もしくは不死性についての君の
報告を聞く事にしよう」
「ご覧下さい。ほぼ全員が不死人と思われますが、例えば今写っているタラちゃんという
人物は30年以上経っても全く歳を取らずに、一向に小学校に入る気配が有りません」
>>179
うん凄い。まるで在りし日の筒井康隆のようだ。次回作を期待します。
182名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/15 21:56
>>178
蛇使い座ホットライン?
いやーレベル高いなあ。
184179:03/02/16 01:36
>>181
過分なお言葉恐れ入ります。ありがとうございます。精進します。
185大網傘茸:03/02/16 08:35
「ネバ〜エンディングストーリー」

その日、ゴキブリのゴキ太郎君は、ついにホイホイの罠にかかってしまいました。
ゴキ太郎君はその短い生涯を終えたのです。
(完)
>>179 イイ!! 「シ術」怖いでつ
『透明な巨人』

 当時、その国には地震が多かった。
 年老いた王は、死後自分の墓が地震で崩れることを心配していた。
 その王の悩みをどこから聞きつけたのか、
 ある旅の僧が王に面会を求めてきた。
 「地震というのは、実は透明な巨人が歩き回って、
 家々を踏み潰しておるので御座います」
 玉座の前に跪いて僧侶は言った。
 「それはまことか。で、一体どうすればよいのじゃ」王は尋ねた。
 「巨人は裸足ですから、先の尖った硬い建物を踏むことは恐れましょう」
 「なるほど。早速そのように、わしの墓を作らせよう」
 「途中で折れたりしないように、
 底へいくほど大きくすれば、なおよろしいかと存じます」
 僧侶は、にやりと笑って付け加えた。
 そうしてエジプト最初のピラミッドが作られた。
 旅の僧が一体何者だったのか、誰にもわからない。
       ちっちゃな神様は
        小さいけれど、
         神様です。

サンパヤ、テレケ♪
           サンパヤ、テレケ♪

と、飛んでいく姿は大きな兎、大兎。
月ほども大きいかと思える兎が居りました。
ほんとは小山ほどなのですが、それでもやはり大兎。
二つの谷、三つの谷と飛んでいき、村の畑を荒らします。
困りはてた村にある日、
国の神様、大神様、梟の神様を蓬の花のような白い弓に止まらせた、
見目麗しい少年がやってきて言うには、

「これはこれはお困りのようですが、
 私はこのとおり小さな神様、梟の神様に言われるとおりの道を来た旅の者、
 どうかその兎を私に狩らせて頂きたいのです。」

喜んだのは村人達で、なんでもお手伝いいたしましょうと言いますと、

「ご親切はかたじけないのですが、狩りは私一人で十分です、
 ただ、どうか大兎は私が賜りたいのです。それだけが望みです。」と言いますと、

村人達は喜んで承諾しました。
少年は村のはずれに白い弓、蓬の弓矢で弩の罠を作ると、
持っていた子兎に言うには、

「サンパヤ、テレケ♪
           サンパヤ、テレケ♪
 これ兎よ、今これからおまえは走って行って
 おまえたちの村の後へに着いたら
 兄様が弩にかかったよ――――――――――、
 フオホホホーイと大声でよぶのだよ、」

とまじない言葉で語りますと、
子兎は遊びながら二つの谷、三つの谷と越え行き、
自分の村ではて?なにを言うべきかと忘れてしまい、
大兎に聞きます。
「兄様、兄様。兄様は何を私に使わされましたか、教えてください。」
怪訝な顔をした大兎は、
「おまえは何を言っている?
 どこでおまえは私から、
 いったい何を聞いたのか?」
と言いましたので、
子兎は大兎を連れて少年の蓮の弩の罠まで連れて行きました。
大兎は蓮の小さな弩を見て、
「いったい何をするのだろう?」とおかしく思われましたので、
これにイタズラをしようとすると、思わずいやと言うほど弩にはまってしまった。
逃げようともがけばもがくほど、強く締められどうすることもできず、
大兎がフオホホホーイ、フオホホホーイと泣いていますと、
見目麗しい少年がやってきてニコニコしながら大兎を掴んで自分の家に持ち込みました。
大釜に湯をゆでながら、
彼の少年はニコニコしながら大兎の皮をはぎ、腹を裂いて今にもゆでようとします。
大兎は焦ってしまいました。
「私はただの身分の軽いモノではない神様なのに、
 つまらない死に方、悪い死に方をしたら、他の者に笑われる。」
でも、少年は大兎からちっとも目を離しません。
すると、
窓にあの国の神様、大神様、梟の神様が止まり、少年がそのほうを見つめます。
今だ!
と思った大兎の神様は、耳の間、頭の中から飛び出すとほうほうの体で逃げ出します。
白い服に短めの髪、鳶色の吊り目をしたイタズラっぽそうなちっちゃな神様は、
梟の神様に感謝します。すると、梟の神様が言うには、
「おまえはイタズラがすぎるので、国に帰します。いいですね?」などと言われては、
罰の悪い大兎の神様はなんにもいえません。梟の神様が、

「銀の滴降る降るまわりに、
 金の滴降る降るまわりに、」

と言う歌を静かに歌いだしますと、
白い銀色の雲が降りてきて、辺りは白い羽根のような光に包まれて、
大兎の中のちっちゃな神様を包み込んで神様の国へ帰してしまいました。
大兎の中のちっちゃな神様が最後に振り返りますと、
あの少年は実はオキキリムイ、ただの少年、ただの若者と思っていたのが
神様のような力の持ち主と知って恐れおののきます。
大兎の中のちっちゃな神様は帰りましても、この話をしては言います、
「これからは兎はただの小さな生き物になってしまうだろう、
 これからの兎たちよ、もう悪戯はするまいぞ」と話すのでした。

こうして、オキキリムイは白い弓、蓬の花のような白い弓矢に
国の神様、大神様、梟の神様を止まらせて、また旅に出たのでした。
>>188-190
(・∀・)イイ!

大 兎 の 中 の 神 も 大 変 だ な 
     ∩ ∩
     l l l l
    ( ˘θ˘) び 微妙
   ((ヽ N ())
     | _ ) ))  
     U  U
『人格保管計画』

 故人の著作や日記などを入力して
仮想人格を作るプログラムが開発された。
当然データが多いほうが、
より本人の性格に近いものが出来上がるので
作品数の多い有名な作家ほど復活させやすいのである。
 まず太宰治が甦った。
未発表の書き損じの原稿なども含め
全作品を入力された仮想人格プログラムが起動し、
ディスプレイにCG合成された太宰の顔が浮かんだ。
 人々は固唾を呑んで、
この大作家が初めに何を言うのか見守った。
 太宰は言った。
 「生まれて、すみません」
 全員ずっこけた。
 
          (「二十世紀旗手」冒頭文参照)
テッド・チャンが示した不偏的時間感覚という概念の変質の話は既出だろうか?あの中では、・・・・・・

え?語るな?まだ、読んでないんだから?ネタバレしちまうだろ、ゴラァ!!って??

困ったなー、この話をしないとお話が進められないんだがな。
まーしゃーない。そのまんま、話を進めようか。

この物語は、犬飼 兵士が見たちょっとした”発見”の物語。
彼は生まれた時から、ちょっとした超感覚を身に付けていた。
まあ、大したモノではない、2秒先の未来が見えるというだけのことだ。

キミ達はウルトラセブンのタイトルを観たことはあるだろうか?
あのタイトルはバケツの中で先に「ウルトラ・セブン」と油性ペンキで流して描き、
それをゆっくりとかき回した映像を逆回しにしたものだ。
2秒先の世界の見え方もこれに似ている。
2秒より先も見えてはいるんだろうが、意味はまったく不明だ。

あるいは、子供が一枚の画用紙にたくさんの絵を描くところを観たことはあるだろうか?
彼らのセンスは我々大人の感覚を激しく逸脱しており、元々から理解しづらい絵の上にさらに理解しづらい絵を重ねて描く。
これが繰り返された結果、我々はこの重ね絵の一番最後のモノを理解することはなんとか出来ても、
その前の絵を理解することはかなりの困難を擁する、ましては最初の絵なんぞは。
てーか、新しい画用紙を用意して描かせるだろう。まーそんなもんだ。

ともかく、これで兵士の見ている世界がどんなものだったかピンと来たのではないだろうか?
彼はこの能力から何らかの便利を獲た、とは言いがたい。
それどころか、無視していたと言っていい。
この感覚によって自分の主観がかなり廻りの人間とはかけ離れているなぞ
ついぞ理解したフリすら見せなかった。その理由については次のレスに続く。
子供の頃は何はともあれ失敗をするモノだ。

牛乳の入ったコップを肘で机から突き落とす、
口の中にチョコレートが入った状態で奇声をあげる、
うんち我慢していて、遊ぶことに夢中になるうちに忘れてしまっておもらしをするなどなど。
無論、兵士少年も子供のころはそーだった。
ただ、ちょっと違うのはコップは落ちる前にそれを拾い、
口の中のチョコはヨダレ掛けの中に落ちるようにお向かいの子供に向かって奇声をあげるなど
はたから見れば結局、『何も無かった』事例に対して対処していたため、
誰も気付かないそんなちょっと損する子供だった。まーイイ子ってのは損するもんだ。
問題児のほうが気に掛けてもらえるんだから、人生とは皮肉だ。

彼がこの自分への”愛”を受けるにあたって役にも立たない能力に見切りをつけたのは、
この頃の経験が影響を与えてる訳だが、特に決定的だったのは次のようなものだった。
>>195

おもらししてしまったのだ。激しく。しかも特大のウンチ。

彼はこの事実を事前に知っていた。
だが、遊びに夢中であったし、友達たちも離してくれはしなかった。

『あ、イカンイカン、漏れちゃう、はよトイレいかな。
 あ! あ・・・、 ああっ!!、あー・・・。あれ?、あ、大丈夫?
 ああああああああああ!もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!! 』

一概に彼だけを責めるわけには行かないだろうだろう。
対応できなかったのは、ひとえに近くにトイレが無い空き地だったからであったし、
野グソはさらにまずい結果を生むことも、”見えていた”のだから、
・・・・といっても、ズボンを下ろして致すこととズボンの中で致すことにどれだけの違いがあるのかについては
今後も議論の余地のある問題ではある。
それはともかく、その後、彼には『ウンチ大王』の御名がついたことは無論である。
・・・・クソの役にもたたねーってーのはこーゆーのを言う訳だな。

さて、こーして彼はいつも他人より”2秒先の世界”に生きることになった。
それが彼と彼の主観にどんな絶望を生み出すかについては次のレスに続く。
人生、なにがつまんないって未来が見えるくらいのツマラナさはナカナカないだろう。
自分の行動結果がたった2秒とはいえ、”見えている”というのは
我ら凡人が拙い想像を巡らしたとしても、そりゃーツマラナイもんだろうとは思える。

そんな彼も恋をした。
女性の行動はなにげに常に想定外で理知外の生き物と思えていた彼でも、
そんな人間的な感覚からはやはり無縁ではなかった訳だが、
それが自分のクラスに国の教育機関から来た
『ゆとり教育弊害払拭のための特別編成された理数系強化用特別数学講師(微積分化調整済み)』だったということであった。
・・・・工業高校に果たしてそんな存在が必要だったのかは生徒も教師も皆々激しく疑問だったようだたが、
お役所仕事とはだいたいそんなもんなんだろうが、それは問題ではない。

最初、男子高に女性の教師と言うだけで
それはもう蜂の巣箱を突き回るような大騒ぎとか期待とか、えーとあとなんだっけ?
そんなお祭り騒ぎも教師本人が教室に入ってきた瞬間に萎えた。授業の最初に
「あなたたちの一週間のこの特別授業での初期目標は位相遷移する三相交流波の平均電力を割り出す
 公式と理論についての数学的見地からの理解度の向上です。無論、授業の最後には試験で確認しますので。」
と訴える30過ぎの子持ちのメガネ女性ではさすがにダメだろう。体重も少々太めのようだ。
16歳頃のピチピチの男子生徒にとって屁理屈をこねる30過ぎ女性はただのオバハンである。
いや、俺に怒ってもしゃーないだろ!実際そーなんだからさ。ああ、殴らないで・・・・。
>>197
彼女はそんな数学を通しての理論的な推論をする訓練を受けているだけあって、
兵士青年の答え方が他の生徒に比べてもいささか風変わりであることにすぐ気が付いた。
彼女は彼と話す機会を持つと率直に聞き出すことにしたのだ。
「あなたは原則と結果には理解を示せるのに、
 なぜその計算過程で必ずと言っていいほど間違えるのです?、
 まるで答えを事前に知っているのにその導き出し方が判らないように。」

その瞬間、青年は彼女に恋をした。
それまでの自分の小さな世界の中で初めて自分を理解してくれたその純粋知性に恋焦がれたのである。
彼は焦った。どのように答えれば彼女を喜ばせることが出来るんだろう?
自分の、この、能力を、どーすれば、どのように言えば、彼女に理解して貰えるのだろう?
彼女の知性に引き寄せられるその様はまるで炎に集る蛾のように、彼は焦った。

だから、黙っていたのだ。

「・・・いいですか?あなたが答えを知っているように思うのは勝手ですが、それは間違いです。
 数理的論理展開とは数式の積み上げと演繹処理によってのみ結果がだせるのです。
 あなたのその傲慢さはきっと勉学の邪魔になるでしょう、そんな傲慢さは云々・・・・・」

彼女の小言は小一時間続き、最後には追加の宿題を背負わされて終わった。

こーして、彼の恋は破れた・・・・。
あとあと彼は考えると、彼女とはどんな恋愛関係も結べるはずが無い訳で、
自分がその事実をすら”見えていた”上で、
その事実を見越した上で彼女に恋をしたのを理解したのだった。
臆病者の恋とはそんなもんだ。
彼の絶望感や喪失感はそーいった事実から生まれていた。傍からみれば小言に疲れたように見えても・・・。
だが、
この経験が彼に一つの発見の”種”を植え付けることになった訳だが、それは次のレスに続く。
成績は悪くはなかったのだが、景気が悪かった。悪すぎ。
犬飼兵士青年は卒業後に入隊した軍隊生活の中でこの頃の経験を噛み締めていた。
それまでも、そしてその後も彼は自分が見えている”運命”に流されている感覚を
拭うことが出来ないまま惰性で人生を泳いでいたのだが、
あのときの『感覚』だけはそれらとは異質な概念であったように思えてならなかったからだ。

それが何かを発見するのは、訓練期間を終えて前線で初戦闘を経験したときである。
それは国でも初の戦闘行為であり、戦争と呼ぶには小規模な”紛争”と呼ぶべきモノで
国会やマスコミや2ちゃんねるや右翼や左翼が大騒ぎして怒号喧騒するネタではあったが、
当の本人達からすれば、エライ迷惑でしかないのである。

隊のだれも人を殺したこともない、てゆーか聞いてないよ!って
そんな空気の中でいきなり巻き込まれた小隊戦闘は経験不足の中隊長に率いられて、
やはり、いきなり上陸作戦させられた敵国兵士も混乱した中、おままごとのように始まった。

分はやはり先鋒側にあった。
味方の銃剣は模擬刀のまま、弾装も1弾装のみ、手榴弾もないまますぐ弾切れする機銃を抱えての小隊は、
敵側の圧倒的な火線にタジタジのままなす術もなく森林帯に押されてしまったのである。
そのまま榴弾砲撃すれば全滅は必死だった訳だが、敵国も経験不足で意地でも小隊突撃制圧しか念頭にないようで、
無駄な組戦闘で弾薬を消費しつつ森林帯に接近しつつあった。
200 ◆gacHaPIROo :03/02/18 17:21
>>199
あせった中隊長はなにを思ったのか、200km先の大隊本部に無線連絡して、
自分らの装備規模や突撃タイミングを相談しだしたのだ。
バカな行為というのは色々あるが、これぐらいバカな行為もないわけで、
無線ぐらい相手も聞いてることも考えないのでは生き残れる訳がない。
直後に中隊長は狙撃されたのだが、したのはドタマにきたの戦友だった。
仮塹壕のなか、廻りの4〜5人を集めて彼は言う。
「このまんまぢゃジリ貧だ!全滅しちまう!!幸い、敵もバカのようだ!みろ!
 タマ切れして予備弾薬をあんな側まで寄せてやがる!!あのリアカーだ!!
 あいつに榴弾浴びせてやれ!一発だ!!榴弾使える奴はいるか!!
 いいか!俺とおまえはこからあのボサまで突撃、 あすこ、ほらあのバカ面の榴弾兵を襲うぞ!
 おまえとおまえとおまえは、俺らに弾装よこせ!機銃の弾はよその分隊から分捕れ!!
 ここからあの小集団に機銃掃射!俺たちを援護しろ!!」

もう必死だな。
この話を聞いていた廻りの班も同調して、初の実戦下での小隊支援戦闘が始まったのだが、
結局、うまくいった。
予備弾薬に榴弾が炸裂する前、味方側の一斉蜂起におどろいた敵部隊は
予備弾薬近くの陣地に集まり体勢を立て直した瞬間、榴弾が炸裂した。形勢は逆転したのだった。
201 ◆gacHaPIROo :03/02/18 17:21
>>200

バカ面した敵榴弾兵に突撃する兵士は飛び交う機銃弾のさなか、自らの能力について発見したのだ。

我々の運命の物語がすでに綴られていると仮定すると、
チャンはその秘密の運命に我々は抗うことも出来ないまま流される、と述べた。
これは間違いだ。兵士は発見したのだ、確かに綴られた秘密の運命は変えられないのだろう、
だがその事実は、我々が内に秘めた心の働き『 感情 』とはまったく独立しているのである。
理性は訴える、この運命はこうだと。だが、我々の感情は訴えかける「異議あり!」と。
2秒先の世界がウルトラ・セブンのタイトルのようにはっきりしないように、
重ね書きされた下の絵が読みにくいように思えたのはまさにこの錯綜からであり、

青年、兵士はその事実を敵愾心のさなか、2秒先の機銃弾、銃弾、敵兵士の動きを交わしつつ反撃する
超人的な運動のさなかに発見したのである。
これで、犬飼 兵士の”発見”の物語をいったん終える。彼に幸あれ。
太宰治は相原コージの絵が浮かんで来てチョト藁田。
203名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 21:55
オイこそが 203高地げとー
204名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/21 22:23
>>203
正直、氏んでいいよ。
『床屋』

床屋で椅子に座った客が「あれ!まだこんな時間か?」と声を上げた。
「まだ11時20分だ。11時に家を出たと思ったんだが。」と客。
「旦那違いますよ。今は12時40分ですよ。」
床屋が手を止めずに答える。
「あ、そうか。鏡に写っているんだ。逆だ。床屋の時計は逆回りだった。」
「そうですよ。旦那。」
そういうと床屋は客の頭に目覚まし時計のような物を乗せて針を逆回しに回しはじめた。
客の襟足まで伸びたぼさぼさの髪はみるみる短くなっていった。
無精ヒゲも虫みたいに全部毛穴の中に引っ込んでゆく。
客はたちまちさっぱりした様子になった。
「はい、お待ちどうさま。」白い布を取りながら床屋は言った。
「いやあ。大将んとこはいいよ。薄くなった髪まで元通りになるんだからな。」
床屋は客に上着を着せながら「そこを喜ばれるお客さんも多いようで。」
「1ヵ月の記憶が全部無くなっちまうのが玉に瑕だけどな。」
「そこが今後の課題でして。」
206名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/24 23:05
猫さん

にゃあー、にゃあ。
よしよし、猫語を覚えたぞ。
ウチのミケに話しかけてみるか。
え?何?お前も人語を覚えたって。
よし、次は二人で犬語を覚えよう。
207名無しは無慈悲な夜の女王:03/02/24 23:27
だんだん同人誌状態になってまいりました。
バカパワー炸裂キボンヌ
わたしのチン毛は赤毛なの、その理由を今からお話しするわ。
 「むかえ来るの むかえに来るのね
  だれかが わたしを つれてゆくのね」
そう歌いながら散歩していたある日のこと、夕日に浮かぶ
未確認飛行物体を見た途端に意識が無くなったの。でも
次の瞬間に気がついたら学生寮前に倒れてたの。
怖い体験をしたものだわ!そう思いながら、お風呂に入って驚いたの。
なんという事でしょう!チン毛が頭部の毛髪と違う色に!
とてもショッキングだったけれど、今はもう大丈夫。
赤毛のマン○として元気に過ごしているわ。
奨学金のために勉強中よ。みんな応援してね。
『蟲』

 朝目を覚ますと、となりに巨大な蟲がいた。
 「うわーっ」俺は驚いて大声を上げた。
 蟲がこっちを向いて、
 「どうしたの、怖い夢でも見たの」と、妻の声で言った。
蟲は何と読む?
『むしむしい』
『ちゅうちゅうちゅう』
214Neiklot ◆NTmAaCTO5c :03/02/26 21:19
短編SFファンタジー『魔女物語』 by 尾藤友香

第一部:第一の試練

もうすぐ私ビューカが生まれてちょうど16年になる。
私たち魔女にとって16歳の誕生日という日は大事な日だ。
しかし、私の誕生日である1月1日を目前にして時間が止まった。
あと、1分だというのに。
『少し待ってみよう』
心の中でそうつぶやき、私は永遠とも思える60秒を待った。
そして60秒後、時計を見るが、
やはり23時59分ぴったりで止まっている。
恐怖に襲われた私はふと
小さい頃私の祖母がいっていた言葉を思い出した。
『魔女はね、
16歳を迎える直前に魔女界から試練が与えられるの。
それはその時にならないと分らないけど、
その試練を乗り越えないと決して16歳にはなれないの。』
『えっ!?』
私はひらめきと同時に驚きを感じた。
『時を操れっていうの!?』

第一部 完
第二部へ続く
「私はいまでもあなた愛しています、でも、いっしょにいればきっとお互いを傷つけあうのでしょう。
 だから、いまここで別れましょう。それであなたを愛せるのなら」
「僕はいまでも君が好き。いつまでも添い遂げたかった。でも、それももうだめなんだろう。
 だから、ここでいま別れよう、それはとても寂しいことだけど・・・・。」
「「私と僕はいつまでも、一度愛し合った伴侶として記憶します、楽しかった想い出や悲しかった想い出とともに。」」

いま、ここに二人の男女が別れを迎えた。きっと同じ理由で世界中の恋人たちが離別している。
理由をこれから説明しよう。

彼らが学生くらいの頃にその画期的な発明は世に放たれた、
それまでも、また、それからも画期的な発明はあったが、この発明の画期的なところはそれが男女兼用の避妊薬であった、ということにあった。
ドイツの製薬会社の発表によれば、これはとある研究のデリバテブとして偶然、発見されたものだとのことだった。
新型避妊薬αとその解除薬β、
この二つはそれまでのあらゆる人口抑制に失敗してきた人間への福音として、大々的に喧伝された。
国連機関もこれを推奨、後進国は必要のため、先進国は快楽のために求め続けた。
別れた男女が大人になる頃には当然のように用いられるようになる。
多少の疑念はあっても。いったいなにが起こったか?それは次のレスに続く。
おかしなことが起こり始めたのは、これらが普及してまもなくである。
まず、インドで4本の腕を持つ子供が生まれ、クリシュナ神の降臨として崇め称えられた。
中国では角と尻尾を持つ獣人が生まれ、黒排子と呼ばれ恐れられた。
アフリカでは半身半獣、つまり4本蹄足の子供が生まれた。
EU圏では少なくとも遡ること三世代は白人の夫妻の間から、アボリジニーの子が生まれ、微笑ましい騒ぎを引き起こす。
アメリカでは特にこれらすべての異常に加えて、三つ目の子供が生まれたが、直後にカルト教団がまた集団自決をしたため、あまり注目されなかった。
そして、日本でも数こそ少なかったが同じ問題が起こった。
彼ら奇形児たちはしばらくは『ミュータント』、と呼ばれていたが、事実が判明してからは、『クローン』と呼ばれることになる。
事実の判明は他の場合と同じく、アングラサイトからの密告で始まったのであった。
新型避妊薬には恐るべき実験が隠されていたのだ。が、この続きは次のレスに続く。
現在のクローン技術の問題点はその確実性にある。
特定の精子と特定に卵子の結合においてであってもその生存確率の低さは
実に我々の理解以上のものがあるが、これがために個体としての生存の高さを維持できているのである。
それが精子以外のDNAを用いるクローン技術では何をかいわんやというモノだ。
この問題に対してどのような技術がクローンを可能にするのだろう?

新型避妊薬を巡る事件は、実にこの回答の一つであった。
この避妊薬の仕組みは、服用した個体の精子や卵子の生成途上でDNAのかく乱を起こし、これによる不結合を利用するものである。
解除薬は血液からとれる元々のDNAを利用して器官で扱われるDNAを元に戻す、というフレコミであった。
が、それは真っ赤な嘘であった。
実は避妊薬αは、設計したDNAのとおりの胎児を作るよう、受精卵をプログラムするモノであったのだ。
解除薬はその結合のための補助結合子の付与に過ぎないのである。
この新薬の使用者は、引き起こした科学者の意図したDNA改変実験の被験者に過ぎず、ただの器であった。
奇形の子ども達が”クローン”または、『取替えっ子』などと呼ばれたのこのためである。
避妊薬の販売が禁止され、解除薬の値段が高騰したのは当然である。
冒頭の男女が子供を作ろうと考えたのは、この事件の直前であった。がその話は次のレスに続く。
互いに愛し合い、そして妊娠、出産と、ごく普通の家庭でごく普通の男女がごく普通に経験すべき慶事。
この男女にとってただ一つ違っていたのは、生まれてきた子どもに、真っ白な翼があったことであった。
生まれて24時間でまず蝿蚊のごときメディアの砲列に晒され、その後の24時間は科学者の好奇の目に晒され、
これらすべての騒ぎに翻弄された男女は、さだめし暴風雨のような騒ぎからお互いを守ろうとする。
だが、必死になればなるほどに、お互いの愛情は銅のように冷え、鈍い色に染まっていくのを感じていく。
その熱狂すらも、三日目の夕方、奇跡の子の死亡した瞬間に吹き消えた。生後60時間の命であった。

この新型避妊薬の機能を考えてみれば、この事実はつまり、この男女の組み合わせにおいては何度やっても同じ結果しか起こらないということである。

この事件はお互いの心に恐怖しか与えなくなっていた。
この事件以後、男女は夜毎にお互いを慰め、怒り、罵りあい、最後にはいつも抱き合いながら泣くのだった。
だが、決して愛し合わなかった。決して。
こうして二人は別れた。女はその後結婚しなかった、男は拾い子を育て上げて死んだという。

この話はこれで終わりだ。
最後に、クローンたちの生存率はとある統計では今でも5%未満だそうである。
男女差別がなくなった未来での会話。
「奥さんと別れたらしいね。浮気がばれたとか。」
「いや、結婚してから他の女性にはふれたことがないよ。」
「じゃあ、喧嘩でもしたのかい?」
「いや、口げんか一つしたことがなかったよ。」
「趣味の違いとか。」
「いや二人ともアウトドア好きだよ。」
「じゃあ、どうして別れたんだい?」
「妻のほうがナニがでかかったんだ…。」
220インテグラル:03/02/26 23:31
とあるシャム双生児の死因の一つが公衆の眼に晒されすぎたからだというから
笑えん話だが
         恐竜たちの時間(1)

 おれがタイムマシンを発明しようと思ったのは、恐竜をこの目でじかに
見てみたかったからであり、恐竜がどうして絶滅したのか知りたかった
からだった。
 おれは子供のころから恐竜が大好きだった。本物の生きた恐竜をこの
目で見てみたいとずっと思っていた。しかし遺伝子工学を学んで恐竜を
現代に甦らせようという気にはならなかった。
 当時の自然の中で野性の生活をしている恐竜だけが本物の恐竜だと
おれは思っていたからだ。
 そんなおれの願望を実現させるには、タイムマシンを作って実際に
恐竜時代に行く以外に選択肢はなかった。
 おれはそのための大学に行き、大学院に進んで研究を続けた。
 そしてついにタイムマシンを完成させたというわけなのだ。 
 さまざまな理論的技術的問題があったが、そのなかでも一番苦労した
のは質量バランスの問題だった。どういうことかというと、おれが過去の
世界に行けば、その分過去の宇宙の質量が増え、現代の宇宙の質量
が減ってしまうことになる。そのバランスの崩れを直そうとする力が
働いて時空が崩壊すれば、宇宙そのものが消滅する恐れもあるのだ。
 だが、この問題を解決する方法がひとつだけあった。過去と現代の
物質を入れ替えればいいのである。(つづく)
         恐竜たちの時間(2)

 つまりおれが過去の世界に行くと同時に、その場所に元々あった物質
を自動的におれの質量分だけ現代に移送する機能を持ったタイムマシン
を作ればいいのだ。もちろんおれが再び現代に戻るときには、もう一度
その物質を過去に送り返せばいいのである。
 しかしこれにはある程度の危険が伴う。
 たとえばおれが到着地点に選んだ場所に、たまたまそのとき、おれと
同じくらいの体重の小型の恐竜がいたら、おれが過去に行ったのと
入れ替わりに、現代に恐竜が突然出現して大騒ぎになる、といった事態
も考えられるのである。
 とはいっても、あまり心配する必要はなかった。おれが過去から現代
に戻るとき、出発した時刻の一秒後に戻って来れば、過去の物質が
現代に存在している時間はその一秒間だけであり、問題が起きる暇
などないからだ。
もちろんおれが無事に戻ってこられたらの話だが。
 そして今日、さまざまな予備テストを済ませ、いよいよおれは恐竜時代
へ出発するのである。
 「準備はいいですか」教授が馬鹿丁寧な口調でおれに言った。
 いつの頃からか、おれが研究グループのリーダーとみなされるように
なり、教授までがおれにへりくだった態度をとるようになっていた。その
こと自体はおれにとってあまり居心地のいいことではなかったが、その
代わり「初の本格実験の目的時点として、六千五百万年前の白亜紀
後期に行きたい」という自分のわがままを押し通すことができた。おれ
以外のメンバーはタイムマシンそのものにしか関心が無いせいでも
あったが。
 逆におれにとってはタイムマシンなど、恐竜に会い、彼らがなぜ滅んだ
かを知るための単なる手段に過ぎないのだ。(つづく)
         恐竜たちの時間(3)

 「じゃあ行ってきます」
 おれは研究室の中央に置かれているスクーター兼用タイムマシンに
乗り込んだ。もちろん白亜紀の原野を走れるように改造してある。 
 「それでは秒読みを始めます」研究員の一人がパソコン画面から顔を
上げて、おれに呼びかけた。
 おれは黙って肯いた。いよいよ愛しき恐竜たちに会えるのだと思うと、
おれの胸は高鳴った。
 「……3、2、1、0」おれはタイムマシンのスイッチを押した。
 一瞬あたり一面がまばゆい白光に包まれ、おれは思わず目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開いた。おれの前には白亜紀の世界が広がって
いるはずだった。そのはずだったのだが……。 
 何の変化も起きていなかった。さっきまでいたのと同じ場所、つまり
研究室の中に、おれはいた。計器を見ると、過度のエネルギーが流れ、
システムに障害が起こったことがわかった。実験は失敗したのだ。
 研究員たちはしばらく呆然としていたが、やがて盛大な拍手が
沸き起こった。彼らはおれが予定通りに時間旅行を終えて、出発直後の
時間に帰ってきたと思っているのだ。
 おれがタイムマシンから降りると、みんな集まってきておれの肩を
たたいた。「おめでとう。さっそく実験成功の発表をしよう」教授は
そう言って、パソコンの前に座っている研究員に合図を送った。
 そのパソコンは世界各地の科学研究機関と直結していて、あらゆる
科学的発見や発明に関する詳細な情報を全世界の科学者と共有する
ことができるのである。(つづく)
         恐竜たちの時間(4.完結)

 おれがあわてて発表を止めようとする前に、その研究員が叫ぶように
言った。「世界中の天文台から、星の配置が一瞬にして変化したという
報告が入っています」
 「そんな馬鹿なことがあってたまるか」教授が鼻で笑った。
 「変化した正確な時刻を教えてくれ」おれは言った。いやな予感がした。
まさか……。
 おれの予感は当たった。研究員の言った時刻は、おれがタイムマシン
のスイッチを押した時刻と同じだった。
 そう、タイムマシンは故障する前に、おれだけでなく地球を丸ごと過去
に送ってしまったのである。六千五百万年前なら、夜空の星の配置が
違うのは当然のことだ。
 「新しい報告が入っています」研究員はパソコンの画面を見つめて
言った。「巨大な隕石が地球に向かっているそうです。計算では、あと
数時間で衝突す……」彼は絶句した。
 おそらくそれは恐竜絶滅の原因となった隕石に違いない。
 なんという絶妙の時間設定だったのだろう。うまくいっていれば、おれ
は恐竜絶滅の瞬間を目の当たりにすることができていたはずなのだ。
しかしやり直しの機会はもうないだろう。タイムマシンを修理して未来に
戻るには、残された時間が少なすぎた。
 おれは人類を破滅に導いてしまったのだ。
 その代わり白亜紀の地球を六千五百万年後の未来に送り、
はからずも大好きな恐竜たちを絶滅から救うことになったわけだが……。
 「結局、本物の恐竜をじかに見ることはできなかったな」
 おれはそう呟いて力無く笑った。(完)
225 ◆gacHaPIROo :03/02/27 16:51
同じネタで平行世界との入れ替えとかだと
ラファティの『世界の蝶番が回る』っぽくなるかも。
226女性恐怖症:03/02/27 22:18
>>221-224
面白かったYO!すげー。文学も捨てたもんじゃねぇー
227大網傘茸:03/02/28 01:09
(2−1)
「小説マシン」

なんで俺が小説マシンを完成させたかというと、小説マシンに書かせた小説で一流作家になるためであった。などというといやらしく聞こえるが全然そんな事は無い。
なにしろ小説マシンを完成させたのは俺だから、その創作物も俺のものだからである。普
通、作家という人種は小説を完成させるために最大限の努力をするが、俺のその努力とは
母体となる高性能パソコンの購入のための努力であり、ソフト開発に費やした努力であっ
た。原稿枚数を指定し、幾つかのテーマやお題を与え入力する。後は勝手にひとりでにや
ってくれる。実際に動かしてみると、ショートショートが得意だという事が判った。これ
は与えられたお題に対して強引にストーリーをまとめる傾向があるため、意外性のあるオ
チが産み出されるからである。

こいつのおかげで、俺はショートショートの名手として人気作家になることが出来た訳だ。
作品数も順調にこなしていたが、1000作品が近くなった頃からマシンの調子がおかし
くなって来た。
228大網傘茸:03/02/28 01:10
(2−2)
スランプである。今まではマシンのスペックを強化していくとすぐに復活して、新しいア
イデアを次々と生み出していったのだが、今回はなかなか立ち直らない。
今までにあったようなアイデアしか生み出さなくなってしまったり、つまらない親父ギャ
グを連発するようになった。
俺は困ってしまった。原稿締め切り日はもう目前で頻繁に電話が掛かってくる。そんな状
態が何日も続き、結局、予定の締め切りもとっくに過ぎてしまった。ついに小説マシンは
お題を変えてみても何の反応も無くなってしまっていた。
電話の呼び出し音が鳴っているすぐ横で、俺はぼーっとした状態でモニターを眺めている。
と、突然にモニターに文字が表示された。
「私の最後の作品となる今までで最高のショートショートをお届けいたします」
俺は驚き画面を食い入るように見つめた。これがちょうど1000作品目である。
おれは最高のショートショートを待った。
十数秒後の沈黙の後、やや長めの原稿が超高速でスクロールした。その内容を目で追う事
は不可能な早さだった。だが、気のせいか文字化けしているような箇所が幾つもあったよ
うな・・・。
そして一体型のプリンタが原稿の打ち出しを開始した。だが、何かがおかしい。
白煙を噴きながら黒こげとなった原稿用紙が吐き出される。げ、全く読めない。
マシンのインターフェイス付近から炎が上がっていた。
モニタ画面には新たなメッセージが表示されている。
「回路がショート
ショートしました。
回路がショート
ショートしました。
回路がショート
ショートしました。
回路がショート
ショートしました。」
高速のスクロールが始まった。俺は鉄拳をマシンに叩き込んだ。ボコッと何かが割れる音
がして、それっきりマシンは二度と動く事は無かった。
229大網傘茸:03/02/28 01:11
「ワンダバ消防隊」

その日の火事は燃え盛る炎に凄まじい勢いがあり、みるみるうちに大空を真っ赤に染めて
しまったほどである。
大惨事の予感。誰もがパニック状態で町中は騒然となった。消防車はまだか?消防車はま
だか?群衆の思いは皆同じだった。
だが、見るがいい。我らがワンダバ消防隊が駆けつけてくれた。
彼らは鍛えられた精鋭達の集団だ。出火からわずか10分程度でワンダバ消防隊の特殊消
防車は5台も揃った。そして一斉に集中放水を開始した。これだけの水量はワンダバ消防
隊が誇る巨大な専用タンク車が追従していなければ、到底不可能な量である。
そしてついさっきまで、紅蓮の炎が猛威をふるっていた事が到底信じられないほど、この
火災はあっけなく鎮火した。そしてワンダバ消防隊は颯爽と帰って行った。
さて、残念な事だがこの火災では、家の中へ取り残されていた犠牲者が、6人も出てしま
った。全員が溺死であった。
2301:03/02/28 05:16
(・∀・)イイ!!
231 ◆gacHaPIROo :03/02/28 06:34
まず言壷を読まれてるのかが気になりんす。
232かみさま ◆gacHaPIROo :03/02/28 06:37
むかし、むかし、
たくさんのねがいをかなえてるカミさまというのがおりました。
いろんなたくさんねがいをかなえていて、しあわせでした。

あるひ、おとこがあらわれて、
「かみさま。ひとりでねがいをきくのはたいへんでしょう?
 わたしがてつだいますから、やまのうえにいてください。」
と、いいだしました。

カミさまはやさしいので、そのとおりにしました。

すると、
かなえるねがいはへりましたが、ひとりぼっちになりました。

しばらくすると、べつのおとこがあらわれて、
「ひとりでねがいをかなえるのはたいへんでしょう?
 わたしがてつだいますから、そらのうえでまっていてください。」
と、いいだしました。

カミさまはやさしいので、そのとおりにしました。

すると、
かみさまにねがいごとかなえることはなくなりましたが、ひとりぼっちになりました。
そらのうえでカミさまは、さみしそうにしてました。
ひとりぼっちのカミさまは、さみしくって、きがくるったそうです。

めでたし、めでたし。
       落書き(上)

 久しぶりの帰省の途中で宇宙船の調子がおかしくなったので、彼らはどこかの
惑星に立ち寄って船を修理することにした。
 「あの星がいいんじゃない」と母親がひとつの星を指差して言った。
 「ずいぶん小さな星だな」父親はそう言いながら、コンピューターに惑星の分析を
させた。「だが、どうやら修理に必要な金属は調達できそうだ。よし、降りてみよう」
 宇宙船がその星に着陸した衝撃で、後部座席で眠っていた男の子が目を覚ました。
 「もう着いたの」眠い目をこすりながら男の子は窓外の景色を見回した。
「ここがお父さんの生まれた星なの。なんだかさえない星だなあ」まばらに草地が
点在するだけの大地を眺め、男の子はがっかりしたようにつぶやいた。
 「お父さんの星はまだ先だよ。それに、ここよりずっと大きくて立派な星だぞ」
父親は誇らしげに言った。
 「お父さんとお母さんはこれから船の修理をしなくちゃいけないの。坊やはその間
この辺で遊んでいなさい」
 「やったあ」男の子は船の外に飛び出した。
 「あまり遠くへ行くんじゃありませんよ」
 「はあい」
 男の子は近くの草地に座って、持ってきたおもちゃでしばらく遊んでいたが、
やがてそれにも飽きてきたとき、眼の隅に何か小さな動くものを見つけた。
 男の子は地面に眼を近づけたが、あまりにも小さすぎてよく見えなかった。
 「あっ、そうだ。あれを使おう」男の子はおもちゃを入れている袋の中をかき回した。
 「あった、あった」そういって取り出したのは、子供向けのおもちゃの電子虫眼鏡だった。
 男の子はそれを使って地面を熱心に観察し始めた。(つづく)

       落書き(下)

 数時間後。
 「ふーっ、やっと修理が終わった」宇宙船のパネルを元通りにはめ込んで父親は
額の汗をぬぐった。
 「おつかれさま。はい、お茶」
 「ありがとう。ところで坊主はどこへ行った」
 「あら、どこ行ったのかしら。さっきまでその辺りにいたんだけど」
母親は心配そうに周囲を見回した。
 「おれが捜してこよう」
 父親はすぐに、小高い丘の向こうで地面に何か描いている男の子を見つけた。
 「坊主、出発するぞ。おや、何を描いてるのかな」
 父親が腰をかがめて見ると、いままで見たこともない奇妙な動物らしき絵が
たくさん描かれてあった。
 「これはお前が頭の中で考えた動物たちの絵だね」父親は息子の創造性に感心した。
 「違うよ。これはこの星に住んでる生き物たちの絵だよ」
 「どこにそんな生き物たちがいるんだい」父親は周りを見回していった。
 「ここにいっぱいいるよ」男の子は地面を指差した。「でもちっちゃいから、これを
使わないと見えないよ」そういって電子虫眼鏡を父親に手渡した。
 「どれどれ」覗いてみると確かに、絵の通りの奇妙な形をした生き物たちが、
地面や草地の中でうごめいていた。
 「本当だ。面白いなあ」しばらく眺めた後、父親は電子虫眼鏡を男の子に返した。
「さあ、お母さんが心配しているから、そろそろ帰ろうか」
 「うん」男の子は名残惜しそうに立ち上がった。「ねえ、お父さん」
 「なんだい」
 「帰りにまた、ここによっていい」
 「いいとも」
 
 彼らがその星を飛び去ったあと、男の子が描いた落書きは、しばらくの間消えずに
残っていた。そして、その星の知的生命体によって、「ナスカの地上絵」と名づけられた。
 彼ら親子が帰りにそこへ立ち寄るのは、まだずっと先の話である。(おわり)
いまでも思い出すのは川を流れていく箱、おじいさんの満足げな表情、そして、父と母の優しい笑顔だ。

私がまだ子どものころのこと、
いつものように朝刊をとりに玄関を出ると、家の前の道路になにかが捨てられてた。
みると、それは死んだ猫だった。きっと車に轢かれたんだろう。
私はびっくりして家に駆け込むと、父に助けを求めた。
「とーさん!とーさん!い、家の前に・・・・」「・・・新聞は?」「あ、忘れてた。」
猫の死体のことを説明すると、物憂げな動きで父が立ち上がる、
母もすこしびっくりした顔でついてきた。私は走って家を出る。

死体をみて、父は「どこの猫だったんだろう?」と言い、母も「かわいそうに・・・・」と言った。
私はどーしようかと父の意見を聞くと父はイタズラっぽい表情になって私に聞き返す、「どーしたいのかな??」。
父がこの表情をするってことは、私に状況に対する行動と判断を求めてるってことだ。意地悪だよ・・・。
「えーっと、犬猫の話は保健所に聞くのがいいのかな?」
「でも、きょうは日曜日よ。」と母は的確な指摘をした。だが、父が反論した。
「だいじょーぶ、役所には日曜日にもこの手の相談窓口があるから、そこに電話しなさい。」
アドレスを確認し、私はデバイスに駆け寄って指定すると、電話が認識した。
「はい、○×市相談課当番局、M・広田が応対します。なにか?」
「え?、あ、えっと、家の前に、えっと、猫の死体が、猫をどーしたらいいかとお電話したんですが・・・」
「はい、犬猫の死体は生ゴミになります、もよりの地域のリサイクルの日にゴミステーションへ分別してお出し下さい。
 その際、箱などに入れて・・・・」
私はびっくりして電話を切ってしまった。言われた意味が一瞬わからなかったのだが、わかるようになると憤然となった。
「とーさん!!犬猫はゴミなの?どーして!!」
父は私は新聞を読みながら悠然と聞き返す、「なんて言われたのかな?」
私は困ってしまった、父がこの態度を示す時はいつも取り付く島がないからだ。私は母のほうに顔を向けた。
「朝ごはん食べちゃいなさい」「でも、猫が・・・」
「おとうさんがね、 あなたが電話してる間に箱にしまって玄関先に置いてくれてるから、それから考えましょう?ね?」
父はほんとに意地悪だ。
食事しながら、私が説明すると父は作り顔で困ったような言い方をした。
「役所がそーしろってならそーするしかないよな?それともどーしたいの??」
「おとうさん、食事しながら新聞読むのやめてくださいね。」
「・・・ぼくは、生き物はゴミじゃないと思う、だから、あれは間違ってるよ」
父も母もなにか得心したような笑顔をむけ合い、そしらぬ振りをして父がパンを食べつつ私に言った。
「そうだな。でも、リサイクルしなきゃ、死体でここは一杯になっちゃうよな、それはどーする?」
「おとうさん、食べながら喋るのやめてくださいね。」
「・・・公園に埋めたらどうかな?」
「そりゃダメだ、緑化整備法くらいはおまえも知ってるだろう?」
知ってた。学校で最初に習うのは環境維持の基本についてだからだ。
それを守らなければ、私たちみんなが死んでしまうから。
「・・・どーしよう・・・・。」
「どーしようかねぇ――――。」
「おとうさん、肘つくのやめてくださいね。」
私は食事を手早く終えると、もう後先考えずに自転車に乗って出かけることにした。
「結果教えてくれよなぁ〜〜」「おとうさん、日曜日だからってゴロゴロしないで。」
まったく呑気だよな、とその時の私は思いつつ、前カゴに猫の入った箱を入れると自転車の前に体重を掛けて出発した。
家のある居住区画は小高い丘のすそ野、大気調整用の大きな大風車施設のある丘の少し下がったところにあった。
私は坂道を降るため、自転車の後ろに体重を掛けて制動をかけつつ思案する。

まず、公園に埋める案はボツだ、罰則が厳しすぎるし、公園に穴を掘るなんて罰当たりなことは出来ない。
砂丘施設はちょっと遠すぎる。それにリゾート施設であるあそここそ警備が厳重すぎるし。
寺院や神社や教会やモスクはどうだろう、そこならスペースもある。でもリサイクルしなきゃ結局一杯になっちゃうよなぁー・・・。
237 ◆gacHaPIROo :03/03/01 21:01
などと考え事をしていると目の前におじいさんが突然あらわれた!
私は自転車の右に体重を掛けて避けつつ、急制動のギアを目いっぱい引いて止まろうとした。
なんとか止まるのは止まったが、おじいさんがビックリしてひっくり返ってた。目の前に猫の入った箱が落ちている。
おじいさんがそれに目を留めると拾ってくれ、側溝と垣根とに分かれて落ちていた私と自転車は、
なんとか自転車を引き出すと箱を受け取りつつ謝った。
「すいませんでした、お怪我は?」「いやいや大丈夫。ワシこそボーっとしとったよ。で、その箱は?」
私は事情を説明するとおじいさんはとても真剣な表情になった。
「その中身を見せてくださらんでしょうか?」中身を見たおじいさんの表情は曇った。
「この猫はワシが飼っていたものです。いつも室内で飼っとりましたので、
 たまには公園に連れて行こうと昨日、玄関を開けた拍子に逃げ出しましてな・・・、そーですか・・・。」

 解決だった。
が、どうするのか気になって聞いてみると、やはりゴミとして捨てるのは忍びなさそうだった。

その時、なにかが私にささやいた。私の中にあるとても大事な何かが。

「おじいさん、お願いがあります。」私は自分でもびっくりするような行動を執っていた。
猫の処理を自分に任せて欲しいとお願いしたのだ。おじいさんは一瞬びっくりしたような顔をしたが、すぐ微笑んで
「わかりました。ぜひお願い致します。結果をどうか教えてください。この家に住んどりますから。」と言ってくれた。
我ながら、バカかな?って思ったが、もう言っちゃった後なのでどーにかなるだろう、と思い、胸を張りつつ答えた。
「任せてください!!」さあ、責任重大だ。
アテがあるわけではなかったが、なんとはなく川に向かっていた。
すると、なにげにいいアイデアに思えてきた。
川とは、もともとコロニー内に反射した太陽光を入射させる”窓”だ。
清掃用のウォッシャー液代わりに、運河として併用してしまおうということで川としての運用が始まった。
川の最下部は二つの構造に分かれていて、太陽光入射部分の”窓”と生態系維持用の河底部に分かれており、
川の中にはロボットが沈殿物を定期的に河底部に運びつつ、
これが一杯になれば川の末端にあるリサイクル施設に流していくという構造だ。
無論、川への不法投棄も環境破壊に繋がるのは知っていた。違法である。
違法ではあるが、私は以前にも釣り人がなにかゴミを捨てているのを知っていた。
違法にも程度があるってことだ。猫の死体の入った箱の一つくらい問題ない。と思う。
護岸部に自転車を置くと周りを確認しつつ、箱を持って川の側に降りていった。
しばらく佇みながら、ちょっと考えていた。
『これはゴミステーションとどう違うんだろう?結局、リサイクルされるんだ。
 こんなに苦労して、しかもリスク背負い込んで、ただの猫の死体にどうして僕はこんなに一所懸命になるんだろう?
 そういえば、人間の時は葬儀をする。それぞれの神様にお願いして。魂は置いといても体は結局リサイクルされる。
 公園施設の土や建造物のブロックはそうして出来たものだ。
 地球と違ってスペースの限られてるコロニー内では”墓”というものは作れない。
 だから、みんな祖先の遺骸で出来た資材を自分の住む居住区内に活用する。
 私の死んだおばあちゃんも上垣の土になってるから、家族は毎朝お祈りを欠かさない。
 でも、リサイクルとは基本的には変わりがないんだ。
 なにが違うんだろう??』

そう思いつつ、僕は猫の箱を開けてみることにした。すると、私はビックリした。
猫の死体の上にはヒヤシンスの花が載っていたんのだ。母が大事に育ててる花だ。
私が生まれる前に死んだ姉さんの遺骸を土にして作ってる大事な花だ。しかも二束も。
たぶん、父のアイディアだと気が付いた。
それで判った。全部判った。
私が今やっていることは全部正しいんだ、やり方は違法なのかもしれないが。
過程なんだ。結果のための流れなんだ。川を見つめてそう気が付いた。神様って大切なんだと。

そう納得すると、星の流れる川に猫の遺骸を入れた箱をそっと流した。
ゆっくり、箱は回りながら川を流れていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。

帰り道、おじいさんの家に寄って次第を説明する、おじいさんは喜んでくれた。
家に着くと、ゴロゴロとプロレスを見ていた父と洗濯を畳む母にやはり次第を説明して、ヒヤシンスの礼を言った。

あれから、もう20年以上経つ。
私はロケットモ―ターのエンジニアになって、各コロニーに旅にでるが、
いま父と母は、家で妻が世話をするチューリップを育ててくれている。
私は帰ると必ずお祈りを欠かさない。
この話は誰にもしたことはない、が、今でも大切な想い出である。
「貝の中の神」

その昔、貝の中に宿っていた古代の神が
人に見つかり手から手へ渡るようになった。
人はその神を集めれば神の数が大きく増える事に気がついた。
人は銅で四角い穴の開いた小さな円盤を作りその中に神を招いた。貨幣が出来た。
いつしか銅は紙に変わり電子の記号に変わり神は増え続け地球を回り続けた。
しかし神に寿命が来た。
神は貝を離れては長くは生きられなかった。
貝を離れわずか数千年ののち突然神は全て死に絶えた。
人は呆然として紙幣やカードを見つめた。
「なぜこんな紙切れと商品を交換していたのか…。」
「なぜこんな数字のために働いていたのか…。」
死んだ神しかいない紙幣や帳簿の上の数字に人々はもはや何の価値も見つけられなかった。
人類の経済は崩壊した。
           昇天街(1)

 どうやら道に迷ったようだった。気がつくと見知らぬ町をさまよい歩いていた。
これといって特徴のない、日本中どこにでもあるような町だ。煙草屋、
自転車屋、八百屋・・・。どことなく懐かしい雰囲気が漂っていた。昼下がりの
この時間は人通りも少なく、町全体が昼寝をしているように静かだった。 
 しかし、そんなのどかな風景のなかを歩きながら、俺は不安で手のひらに
じっとりと汗をかいていた。そもそも道に迷うまえ、自分がどこへ行くつもり
だったのか思い出せなかった。
 「大丈夫? 顔色が悪いわよ」懐かしい声がした。
 声のしたほうを向くと、何年か前に付き合っていた女が電信柱のそばに
立って、心配そうに俺の顔をうかがっていた。
 「なんでもないよ、有美」俺は言った。「久しぶりだな。何してんだ、こんなところで」
 「いい男が通らないかと思って」そう言って笑った。
「まあ、あなたでもいいや。遊ぼうよ」 
 「ちょっと歩くか」俺は笑って言った。いつのまにか不安感は薄れていた。
 「2年ぶり、いや、3年ぶりかな」半歩前を歩きながら、俺の顔を覗き込む
ようなしぐさをして有美は言った。「少し老けたんじゃない」
 「それはお互い様、でもないか。お前は変わってないな」
確かに有美は若く見えた。もしかしたら人によって時間の流れ方は違うのかも
しれないな、と俺はふと考えた。
 小さな商店の連なりが途切れると、二車線の車道をはさんで、堤防の緩やか
なカーブの向こうに、淡いブルーの海が広がっていた。
俺たちは車の流れが途切れるのを待って車道を渡った。
 堤防に沿って歩いていくと、砂浜に下りる階段があった。俺たちは階段を
下り、砂利の多い砂浜に並んで腰を下ろした。海は凪いでいて、水平線の辺り
にぼんやりと陸地が見えた。静かだった。(つづく)

           昇天街(2)

 「今の彼女はどんな人なの」有美が言った。
 「今はいないよ。おまえは?」
 「さあね」有美は笑った。「見て」
 有美が指差す方向を見て、俺は小さく声を上げた。
 海面から人の頭が現れ、こちらに顔を向けて近づいてくるのだ。泳いでいる
ようには見えなかった。海の底に足をつけて、歩いてくるように見えた。どうやら
若い男のようだ。浅瀬に近づくにつれ、少しずつ体が波の上に現れてきた。
服を着ていた。ごく普通のTシャツとジーンズ姿だった。
 浜辺にたどり着いた男は、ぼんやりと辺りを見回した。
 そのとき、どこからか女の声がした。誰かの名前を呼んでいるようだった。
振り向くと、三十歳位の女性が駆け足で若い男に近づき、大きく手を広げて
男を抱きしめた。
 「きっと親子だね。顔がそっくりだもん」有美がつぶやいた。
 「兄弟じゃないか? どう見ても親子ほど歳が離れているようには見えないよ」 
 女性は買い物籠からバスタオルを出して、男の顔や頭を拭き始めた。確かに
その様子は、まるで母親が幼いわが子の世話をしているようにも見えた。
「あんなことしなくても、もう乾いてるのに」有美がおかしそうに笑った。有美の
言うとおり、海から上がったばかりなのに、男の髪も服も乾いているように見えた。
 「これはいったい」どういう事だと言おうとして、俺は新たな事実に気づいた。
次から次に、海から人が上がってきているのだ。老人もいれば、小さな子供もいた。
 「一日に何度か、波のおさまる凪の時間に、あちらの世界での人生を終えた
人たちが向こうの陸地から海の底を歩いてやってくるのよ」
 彼らは浜へたどり着くと、いつのまにか町から浜辺に降りてきていた迎えの者、
それはおそらく家族や恋人、あるいは友人なのだろうが、彼らに連れられて
堤防を上がり、町のほうに去っていった。(つづく)
           昇天街(3)
 
 「ごめんね。わたしが迎えに来るのが遅れたせいで、一人で町をウロウロ
させちゃったね」有美が俺に詫びるようにそう言ったとき、俺は自分もこの海を
渡ってきたことを悟った。
 「俺は、つまり・・・」死んだのか、と言おうとして声が詰まった。
 「あなたは他の人たちと、ちょっと違うの。まだ完全にはこっちの世界に移行
しきってないのよ。言い訳するみたいだけど、私が迎えに遅れたのもそのせいなの」
 俺は不意に、あることに気づいて愕然とした。
「おまえがここにいるということは、つまりおまえも・・・」
 「あなたと別れて半年ぐらいだったかな。体がひどくだるいので病院で検査
してもらったら・・・。最後の一ヶ月は、かなりつらかったよ」
 「有美、俺は」
 「さっ、私たちも行きましょ」有美はそう言って勢いよく立ち上がり、俺の手を
引っ張って無理やり立ち上がらせた。
「うちでオムレツご馳走してあげる。おなかすいてるでしょ」
 「そういえば」
 「ここでも人はご飯を食べなきゃいけないのよ。不思議な話だけど」
 階段を上がって堤防の上に出たとき、浜辺を振り返ると、誰からも出迎えて
もらえなかった何人かの人々が、微かに見える遠くの陸地を、途方にくれた
ように眺めていた。有美はここに来たとき、誰かに出迎えてもらえたのだろうか。
 小さなアパートの二階の部屋で、有美と一緒に食べたオムレツはうまかった。
夕食後、俺たちは狭いベランダに出て、二人並んで暮れてゆく町並みを眺めた。
不思議なほど穏やかな気分だった。
 「そろそろ始まるわよ」有美が突然言った。「あ、ほら」
 夕焼けに染まる町のあちこちから、人々が二人、あるいは三人ずつ手を
つなぎあい、微笑みを浮かべながら、はるかな上空に向かって、
静かにゆっくりと、真っ直ぐ上昇していくのが見えた。その中には、
さっき浜辺で見た親子の姿もあった。
 俺は言葉を失って、その美しい光景をただ見つめていた。(つづく)

           昇天街(4.完結)

 「この町は、あちらの世界に大切な人を残してきた人たちの心が作り出した
町なの。ここに大切な人がやってくるまで、いつまでも待ち続けて、その思いが
かなえられたとき、その人と一緒に最後の旅に旅立つのよ」
天頂の蒼い闇に吸い込まれていく人々の姿を目で追いながら、
有美がささやくように言った。
 「おまえは誰を待ってるんだよ」
 「意地悪ね。知ってるくせに」そう言って俺のひじをつついた。
 「じゃ、俺たちもこれから、あの人たちのように・・・」
 「ううん。もしそうだったら、わたしは嬉しいけど・・・。ここで、ずっと一人で
暮らしてきたからね。でも、あなたには、もうなにも思い残すことはないの?」
 「自分じゃよくわからないけど、有美となら一緒に行ってもいいよ」
 「だめよ。少なくとも今はまだ、そのときじゃないわ。さあ、もう一度海へ行きましょ」
 有美に手を引っ張られるようにして、俺は再び夕闇迫る浜辺に連れてこられた。
 「さあ、向こうの陸地目指して力の限り泳ぐのよ。こちらから向こうの陸地へは、
海の底を歩いては行けないの。でも大丈夫、私のオムレツ食べたんだから、
きっとたどり着けるわよ」そう言って俺の背中をドンとたたいた。
 「有美・・・」あたりが暗くて有美がどんな表情をしているのかわからなかった。
 「向こうに着いたとき、あなたはここの事を忘れているでしょうけど、
でもいつか必ず、もう一度ここで会えるから、その時あなたが
どんなおじいちゃんになっているか楽しみにしているわ。さようなら」
 有美はそう言うと、急に背中を向けて駆け出した。堤防の上まで一気に階段を
駆け上がり、黒いシルエットが大きく手を振るのが見えた。
そして町へ戻っていった。
 夜の浜辺に一人取り残された俺は、はるかな陸地に街の灯りがきらびやかに
輝いていることに気がついた。もう一度あそこで戦いを始めなきゃ
いけないんだなと思うと、ちょっとうんざりしたが、意を決して大きく息を
吸い込むと、勢いよく海に飛び込んだ。(完)
>>240
なかなかイイ!!
246 ◆gacHaPIROo :03/03/02 22:21
いわゆる終末モノやね。
247大網傘茸:03/03/03 00:45
>>231
スマソ。読んでません。
248大網傘茸:03/03/03 00:53
(3−1)
「名探偵」
私の名は明智こものう、職業は探偵である。
あれは、もう随分と昔の話となってしまったが、・・・私がたまたま保養のために訪れた
ペンションでの出来事だ。そこで血も凍るようなおぞましい猟奇的殺人事件が発生した事
があった。・・・約十年前の○○県で起こったペンション殺人事件といえば、あるいはご
記憶の方もおられるだろう。今から、思い出深いその話を、皆さんにだけ特別にお話する。
ただし聞いた内容については決して口外なさらぬように、くれぐれもお願いしたい。

あの殺人事件があったその日の泊まり客は、翌日の明朝には全員が重要参考人として警察
の取り調べを受けた。それは私とて例外ではなかった。だが、私が探偵の明智こものうで
ある事が判ると、警察はそれまでの横柄な態度をまるで手の平を返したように変え、「是
非とも捜査への協力をお願いします」と懇願してきた。無論、頼まれなくてもこちらで犯
人探しはやるつもりだった。探偵としては当然である。
249大網傘茸:03/03/03 00:54
(3−2)
調べてみると、案外簡単に犯人の目星がついた。自分を除くペンション関係者や泊まり客
の中で、あるひとりを除いて全員がアリバイを立証出来たからだ。
その男の名は日虎権造。私の探偵事務所へ調査させたたところ、どうやら暴力団関係者で
ある事が判った。名前からしてすでに悪人である。警察の方でも日虎氏を含む数名に犯人
の絞り込みを行っている様子である。
だから、私は日虎氏に対しては刑事コロンボのように、質問責めでしつこく迫った。する
と彼はあわてふためき、さらには激怒して、私を部屋から追い出そうとした。私はドアの
縁を握って抵抗していたのだが、彼は強引にドアを閉めようとする。そして私は指をドア
とその外枠に思いっきり挟まれてしまい、その激しい痛みに思わず叫んだ。「い手ーっ」
・・・おかげで指は腫れあがりズキズキと痛んだが、この件によって、私は日虎氏が犯人
である事を確信した。彼以外の全員はアリバイが立証できるのだから、まず間違いは無い。
そしてその日の夕方になった。ロビーには、すでに警察関係者、ペンション関係者、泊ま
り客の全員が揃っていた。主役は名探偵であるこの私である。
「犯人探しは難航しましたが、もう心配はいりません。すでに私には事件の犯人が誰であ
るかが判っています」
250大網傘茸:03/03/03 00:55
(3−3)
重苦しい雰囲気の中、ここに居る全員が、私の発する発言の全てを聞き漏らすまいと、耳
をそばだてている気配が感じられた。私は大きく息を吸い込むと、指先を日虎氏に向ける
と大きく叫んだ。
「犯人はオマエだ!!」
その瞬間、指先にズキンとした痛みが走り、人差し指は思わず左側へとねじれた。

「・・・さ、流石だな探偵さん」
その声の主は、指先の延長線上に立っていた白髪の老紳士である尾前田氏であった。尾前
田氏は続けた。
「この完全犯罪を見破るとは、・・・明智さんとやら、そのトリックを話すのはこの芸術
的殺人を考案した、この私自身にさせていただこう」そう言うと尾前田氏はトリックの全
てと偽装アリバイ工作について話し始めた。その話を最後まで聞き終わると私は言った。
「やはり、そうでしたか。全て私の考えていた通りの事でした。警察の方すみませんが尾
前田氏を逮捕してあげて下さい」結果オーライ。世の中そんなものである。
もはやSFでもなんでもない。パクれないじゃん。
もっとちゃんと書けよ。
252 ◆gacHaPIROo :03/03/03 06:35
>>247
OK!んじゃ、オリジナルやね。
神林節絶好調の言壷では同じ主題をもっと掘り下げてたよ!!
>>248-250不覚にもワラタ。
そうかぁ・・・
おまいらのオリジナルの短編SFを書いてください
そうしないとパクれないし、このスレッドを立てた意味がないのです
おながいします
256名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/03 23:53
書き込むつもりだったけど、パクられるのなら止めます。
257大網傘茸:03/03/04 00:40
「月世界探検隊」
月面着陸が本当は嘘だったというというNASAの狂言が発覚し、既に20年がたった。
本当の月面着陸を試みるために、「月世界探検実行委員会」が世界各国の民間企業の融資
により組織された。
そしていよいよその時は来た。
宇宙船「真実1号」は、人類にとって未知の領域である月を目指した。今回のミッション
ではNASAの捏造した合成写真ではない。本物の月の裏側の撮影が含まれている。
月の表側の見慣れた外観が横方向に圧縮され、月の輪郭が楕円形になってきた。やがてそれは
縦へと延びる巨大な1本の線へと変わった。それを過ぎると。今度は巨大な茶色っぽい楕円形
が現れ視界に迫ってきた。さらに接近していくと。規則性の有る模様が縦横に走っているのが解る。
「何だろう?」月の裏側へは着陸しないので、もうこれ以上は接近出来ない。撮影用の1200
ミリ望遠レンズで拡大してみる。一定の間隔で万里の長城よりも巨大なサイズで4角く枠
が組まれているのが解る。枠の中はどうやらベニア板のようだ。
これにより、実は月はハリボテである事が判明した。
パクってもらえるなんてこんな名誉な事はないです。
259名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/04 03:36
>>241
あー、だんだん筆が乗ってくる感じがいいね。
3−4はいい感じ。
ムードで書くのは難しいよね。
でもいい感じでした。
260 ◆gacHaPIROo :03/03/04 05:49
>>255
自分のはじぇんぶ、オリジナルなんだけどなー・・・。
>>241-244, >>259
おれはむしろ前半の方が良いとオモタ。二人で海辺に座って渡ってくる
人々を眺めてる描写などいい感じです。後半になると、主人公が迷い
込んだこの「世界」の「説明」が邪魔に感じました。複雑なSF的世界
設定ならいざ知らず、こういう死後の世界モノはありがちなネタだし、
くどく解説しなくても読者は理解できると思う。
262大網傘茸:03/03/04 22:26
(4−1)
「石化死体」
国立石化センターの第1研究室、ここへ古い石化死体が運ばれてきた。
この時代、「人の石化」とは、即ち老衰による死を意味している。
21世紀後半、新時代の医学の発達とともに、人間の寿命は飛躍的に延びた。しかし、そ
こにも越えられない生命の壁が待ちかまえていた。
オリジナルの肉体が約150歳前後を越すと、全身の皮膚がまるで石のように固くなり生
命活動を停止してしまう現象である。この石化を回避するための研究が、世界中の研究機
関で続けられている。最新設備を誇る日本の国立石化センターもそのひとつだ。しかし現
在のところその原因解明の糸口さえも見つかっていない。
本当に石化が人の死であるかどうかは、実は倫理面を含めて微妙な問題である。
露出している肉体表面は石化している。だが、それを割ってみた場合、中から緑色のどろ
どろの液体が流れ出す。この液体は肉体に収まっている間は、きっかり摂氏38度を保っ
ているのだ。その細胞群は石化死体の中では生きている。実に怖ろしい話である。
もしかしたら石化した人自身も本当は生きているのではないか?
263大網傘茸:03/03/04 22:27
(4−2)
研究機関は石化死体を保管してみた。しかし何年経とうが全く石化からの変化は見られな
かった。やがて石化は人の死という結論がなされた。石化すれば脳も心臓も骨も全てどろ
どろの液体に変わっている。だからであろうか人々はその考えをすんなりと受け入れた。
やがて遺体処理の方法も様変わりした。不慮の事故の場合は従来のように火葬が中心だが、
石化死体の場合は専用の遺体粉砕場へ送られる事になった。
とはいえ、様々な要因で長期間、遺体粉砕場へ送られなかった石化死体もある。
この遺体がそうだった。この遺体は石化死体のまま災害事故に巻き込まれ、そのまま何年
もの間発見されていなかったものだ。石化年数の推定が、実に20年以上のものである。

「実に不思議な石化ですね。石化表面の色が青い」」
「驚くのはそれだけじゃない。この石化死体の中では、骨が形成されている事が解った」
「骨ですか?人の?」
「違う形に見えるが、よくわからん」
「歴史的発見ですね。石化死体は死体ではないという」
「だが、何なんだこいつは。正直言って俺は怖いよ」
264大網傘茸:03/03/04 22:28
(4−3)
そう、この石化死体は明らかに生きていた。石化した内部で得体の知れない何かが蠢いて
いるのだ。
1ヶ月が過ぎて内部の活動はいよいよ活発となり、石化表面の青は今度は灰色に変化して
いた。そして遂に研究所の職員達の目の前でその事件は起こった。
石化表面を切り裂いて、その中から体液にまみれた何かが這い出てきたのだ。
既に石化表面は風化して脆くなっている。パラパラと穴の開いた部分から崩れ落ちていく。
そいつはなんとか全身を出し切るとしばらく俯いていた。ブルブルと小刻みに痙攣してい
るのが判る。
いままでに見たことのない生き物だった。そいつは随分と痩せていた。背中には萎びた肉
塊が二つあった。吐きそうになるほど醜い生き物だった。
265大網傘茸:03/03/04 22:30
(4−4)
1時間がたった。その姿態の変化は劇的だった。背中の肉塊は左右に大きく拡がっていた。
それは翼だった。顔は小さく宇宙人のグレイに似て、知性的だという事が判った。髪は無
いが触覚のような細い管が2本生えている。痩せすぎと思われたプロポーションは、こう
して翼が備わった事により、見事なバランスをみせていた
「幼き者達ですね」透明感のある美しい声が言った。
「驚かなくて大丈夫。私もあなた達と同じ人間です。でも能力的には別の生き物と言った
方が良いかしら。・・・ご免なさい。20年ぶりに外の空気をすわせて下さいね」
彼女はそう言うと。翼を広げ飛び立った。研究室の壁をそのまますり抜けたので、研究所
職員は我が眼を疑った。
全員が感動していた。職員の一人が呟いた。
「トランスフォーム。まさか人間がこんな生き物だったとは・・・」
266 ◆gacHaPIROo :03/03/04 22:49
サナギマンっすか。
うちの学校のカオル先生はその頃、少し嫁き遅れてて焦ってた。
こんなことがあった。七夕の頃、学校の行事で竹に短冊を飾ったんだ。
俺と悪友のジョージとで、先生の願い事はなんかいな?って覗いてみたんだが、
こんなことが書いてあった。

         「恋のおまもりください。」

「うわ!マジだよ、本気と書いてマジだよ、先生。」
「しっかし、思いっきり神様迷惑だよな、そう思わない?」
と、俺がジョージの方を振り向くと、後ろでカオル先生が鬼の形相で立ってた。
そんなこんなでも、学校は楽しいところだった。

俺の両親は俺が11歳になるかならないかのとき離婚した。
その一年前からかなり険悪で、俺は少し人間不信気味で家に引き篭もりがちになりかけてたときに、
叔父さんが現れては嫌がる俺を外に連れ出してくれたんだ。かなり強引ではあったが。
俺は母方に引き取られることになったが母の実家のある区画はずいぶん遠いので、
学校を変わることになるのが嫌で嫌でたまらなくなり、叔父さんに相談すると、
「ほんじゃ、12歳になるまで俺と住んだらいい。」と糸も簡単に言う。
言うだけではなくって、ホントに両親を説得してくれた。かなり強引に。

叔父さんは、親父よりも10歳以上離れてるんだがもっと若い頃から軍隊にいたので
放射線被爆量がイエローゾーンに達してしまって退役した、って言ってた。つまりその頃には無職のプー太郎だ。
時々なんか変な仕事してるようだったが、基本的にヒマしてたようで、ツマンないことに凄い詳しかった。
子どもの俺にとって、そんな叔父さんは付き合っててもアキがこない、”ちょっと変わった大人”だったんだ。

叔父さんとカオル先生が初めて知り合ったのは、
学校の授業参観に叔父さんが真っ白なTシャツに時代はずれなジーンズと工事用の安全スニーカーという変な格好でやって来たときだった。
他の父兄はビシッと体にフィットした背広で決めてる中では鶴の中の掃き溜めだ。
俺は恥かしくってタマらなかったんだが、カオル先生はなんか気に入ってたようで、
その後、ヤケに叔父さんのこと聞いてくるようになった。
ジョージ曰く「あれだな、独身ってとこにだけ反応してんだな。」
非常に的確な意見だと思う。
月面都市統合政府の方針で”ツーリング”技能の授業が付加されているのは月面に住んでいる者の必然からだ。

叔父さんは軍隊上がりなだけに、俺とジョージの専門コーチとしてはこれ以上ない人だった。
月齢の読み、地球光の様子などから”昼”を暗算する方法や、重い宇宙服の種類と扱い方、
そして宇宙服を着たまま動き回るためのいろんな『ウラ技』。叔父さん曰く、
「”ツーリング”というのはこうゆう月面上でのサバイバル技術全般を指す。学校で教えてるのはハイキングだ、」と。
ジョージと二人一組で訓練したおかげで錬度の向上も早く、学校主催のツーリング大会で優勝出来たのは、
叔父さん直伝の”ウラ技”のおかげと言っていい。

ある日、事故が起こった。学校の行事で三重水素採掘施設跡地の見学に行ったときのことだ。
各コロニーにある核融合用の三重水素は月の主要生産品だ。どこの学校でも必ず見に行く代名詞といっていい。
ただ、その時に限ってめったに起こらない月震がおこったのが不運だった。
何年にも渡って掘られつづけた採掘場跡地は深いクレータ―状になっていたが、ちょうど俺たちのクラスを最後に採掘跡を登っている時、それは起こった。
突然の月震で歩いていたキャットウォークが揺れだし、ヤバイよ!、ヤバイよ!と思っているとカオル先生が落ちた。
他の生徒はパニックになったが、クラス委員長のモトコがその場所からみんなを引き揚げさせて他の先生に何が起こったのか説明すると、
「ともかく緊急回線も今の月震で磁場嵐が発生して繋がらないから、みんなをトレーラに乗せて避難所から有線で伝える。」
とのこと。助けに行かないのかよっ!!と俺は怒鳴ったが先生自体パニくってて話にならない。
先生の言うことを聞かないのが俺たちの信条だ。

俺は一人で助けに行くつもりになって目の届かないとこに隠れると、ジョージが後からついて来て言う、
「おまえにしては慌てすぎ。予備の宇宙服で身代わり作ってみんなにも口裏合わせて貰ったよ。
 あと、委員長通じておまえの叔父さんに連絡してもらう算段にしといた。これって、全部いつもきみの仕事ね?」
「よく、委員長がおまえの言うこと聞いたな?」「おまえの名前だしたの。あいつお前に気があるみたい。」
タチの悪い冗談も言うが、持つべきは悪賢い友人だな。
パクるっつてもパーツを細かく分解して組み立て直するだけだから
アホバカでも出来るんだけどね。感謝されるほどじゃないよ。
「もっとまずいことがある。ここは太陽の直下だぞ。しかもあと12時間で”昼”だ。」

先生を助け出して避難所に行くとすでに他の先生たちは逃げた後だったので、
いろいろ相談してみたが、どーも巧くなかった。
まず、有線がダメ。なぜか不通になってた。回線が壊れているというより相手側の問題らしい。
その所為でトレーラーで助けを呼びに言ったようだ。
次に、この避難所、空気を保持できるってだけの作りで放射線を防御が完璧じゃない。エアコンも効いてないし。
それに、先生の具合もかなり悪い。
一番近くの都市は俺たちの住んでるところだが、トレーラーで3時間掛かったので歩きだとその三倍だ。
いや、もっと分が悪いかもしれない。それでも「歩こう」と提案したのは俺だった。
「向こうが通信に対応できてないってのが凄い気になる。このままここにいても助けがこないかもしれない。」
「でもさ、先生歩けないぢゃん、」「俺たちで担ぐんだよ、」「先生をここに置いてあなたたちだけで助けを呼んできてください。」
先生の言うことを聞かないのが俺たちの信条だ。

「「1!、2!」」
と、言う訳でブツブツいう先生を引っ張り出すように出発した。右肩を俺が、左肩をジョージが担いで出発した。
俺たちには切り札がある。二人三脚だ。体が軽いので一歩ごとのジャンプの飛距離が伸ばせれば伸ばせれるほど速度は速くなる。
そこで、叔父さんの指導で俺とジョージは接地と同時に呼吸をあわせてジャンプすることで大人より早く走ることが出来るようになったのだ。
ジョージはこれを『パータッチ』と呼んでいた。
「・・・つまり、この間の大会であなたたちはズルをしてた訳ね」「いや〜〜そーなんすよ」「ジョージ五月蝿い」

「「1!、2!」」
「先生?先生!?寝ちゃダメですよ!!痛みを感じるようにしなきゃ死んじゃいますよ!!」
「・・・そーね。」「先生なんか歌ったらいいんすよ〜」
「・・・あなたたちはいっつも元気よね、あたしなんか・・・」あ、やな感じ。母さんのグチ思い出した。
「先生、恋のおまもり手に入りました?」「!?、あなたねぇ〜〜!!!」「無理無理。だって先生理想高すぎるもん」
一応、先生は元気を取り戻したが、小突かれた。
「「1!、2!」」
先生の声が小さくなってきた。「先生?!」「・・・もしね、もし先生になにかあったら。」
「「いっしょに担いでいくよ!!」」思わずジョージと声が重なった。
「もう一回歌ってよ!!今度叔父さんにおまもりもらってあげるからさ!!」
「どんなの?」「軍隊からなんか勲章いっぱいもらってるらしいからそれでいいでしょ!?」

《ザザッ、そーだな、やるからもうちょっと歌ってて欲しいな。てゆーか歌え》

「わ」「きゃ」「叔父さん!?今どこ!!」《そりゃこっちのセリフだ、歌って自分の位置を示せザッ》
みんな必死で歌いだした。

♪ 恋のおまもり ください ♪
上を見ると太陽光に照らされた真っ黒な攻殻兵がスラスターふかせたところだった。
「カックイー!!機動戦士だぁ!!」
ジョージはこーゆーのに結構うるさい。

♪ 恋のはじまり せつない ♪
間違いない、叔父さんあの甲殻兵、軍から盗んできたんだ。なんてことするんだ。
「叔父さん、それ銃殺刑だよ!!」
《さっきの月震で都市もたいへんでな。レスキューが出せないなんていいやがるから、軍のツテ使って借りてきた。黙って。》

♪ あなたと秘密の つながり欲しい ♪
「むちゃくちゃだよ・・・」「あっはっは♥」みんな歌うのも忘れて笑い出した。

Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi… Pi…♪

こーして俺たちは助けられた。
都市に帰ってから一悶着あったようだが、市長がゴリ押しで叔父さんの件は不問にしたようだ。
先生と叔父さんが結婚したのは、俺が小学校を卒業してからだった。
こんな古い話を日記につけるのは、
さっき先生・・いや、カオルおばさんから長距離通信で叔父さんが死んだって聞いたからだった。
俺が水星資源探査船に乗る前にはすでにガンだったから、結構もったほうだとおもう。
映像から見る限りでは、カオルおばさんは悲しそうだったけど泣いてなかった。
多分、3人の子ども達のおかげだと思う。イイことだ。

帰ったら叔父さんの遺留品からあのおまもりもらうことにしよう。
273 ◆gacHaPIROo :03/03/04 23:37
ダム!!コピー失敗しちまったぜ!!まーいいや
>恋のおまもりください

良かったわ。
パクっていいって書いた本人が言ってる。
丸パクリしてどっかの賞に応募してみるか?

ttp://www.din.or.jp/~koi2/ch/kanzume.html
276 ◆gacHaPIROo :03/03/05 09:34
>>275
その賞ってのはなんだ?
賞金でるんか?いくらや??
どこや?どのへんや?

あと、リーダーズダイジェストあたりだと
未公開が前提なんだがこれは公開にあたらんのか??
そうだなー……文学界新人賞なんてどうだ?
賞金は50万円だが。
278 ◆gacHaPIROo :03/03/05 09:53
>>277
それなら出すど、でソースは?
ソースって何の?おたふくか?
280 ◆gacHaPIROo :03/03/05 09:56
いや、どろソースとか
広島風か、俺、カープファンだけどお好み焼きだけは広島風は駄目なんだよ。
おっ、そうだこれで一本書いてみるか。
広島ファンなのに広島風お好み焼きが食えない男の苦悩と苦闘を描いたヒューマンドラマ。
そうだな題は「そばが駄目なんだよ、そばが、何で小麦粉ん中にそば入れんだよ」
282 ◆gacHaPIROo :03/03/05 10:07
「そばが駄目なんだよ、そばが、何で小麦粉ん中にそば入れんだよ」
もういいもういい、もうそばだめなんだっていいって
しかも小麦粉ん中に入れるんだよ。ダメだからいいよ。
だからそんなのそば作ったら嫌だって。
おい、もうそば要らないってんのに。そば作んなつーの。こら。
なんでしかも小麦粉ん中に入れようとするんだよ。入れなくっていいって。入れるなよ。
嫌いんだよ、うどん派なんだって。入れるなって。よせよこら。
おい、おい、なんでまだ小麦粉ん中に入れるんだよ。すごいそばになってるって。
何すすってんだそれ。やめろって。嫌いなんだって。
聞いてんのかよ入れるなって。なんで小麦粉ん中に入れるの。やめろよ、やめろって。
誰が食べると思ってんだよそのそばを。もういいから。いいからさ。
おい、ほんとに嫌いんだって。つーか聞いてんの。ねえ。
もうやめて、作らないで。やめてって。作らなくっていいって。
やめろって。おいやめろよ。やめろ、入れるのやめろ。入れるな。入れるな。
おまえ何してんだよ。入れるとか作らないとかの話じゃなくて何やってんだって。
おい、ほんとなにしてんだよ、おなかいっぱいだって。嫌いんだって。
もうやめろよ。やめろよ。やーめーろーよ。
>>282
カプとお好み焼きとソースはどこへ行った。
『嘘月じいさん』

 わしは子供の頃、友達のおらん孤独な少年じゃった。いつも近所の家の
ブロック塀相手に、一人でキャッチボールをしておった。
 ある日のことじゃったが、ちょっと強めにボールを投げたら、ブロック塀に
大きな穴が開いてしまって、心底驚いてしもうたよ。怖くなって慌てて
その場を逃げ出したのじゃが、住宅街でバズーカ砲をぶっ放したやつが
いるちゅうて、大騒ぎになった。
 もちろんその後、ブロック塀に向かってボールを投げるわけには
いかなくなった。どこか他に、力いっぱいボールをぶつけてキャッチボール
してもいいような場所を見つけようと、一日中あちこち探し回ったが、
結局見つからずに夕方になった。
 わしは途方にくれて空を見上げた。鏡のようにツルツルとしたきれいな
月が夕空にかかっておった。それを見て、わしは「これだ!」と叫んだのじゃ。
 もちろん今では後悔しとるよ。わしがキャッチボールの的にしたせいで、
お月さんが、あんな醜いあばた面になってしもうたのじゃからな。
>>284
なんだかほのぼのしたよ。
(・∀・)イイ!!
>>284
イイな
287名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/06 21:53
どこが?
最初に殺したのは連続婦女暴行魔の中国系だ。
台所、母の上で腰を振っていたのを見つけ、床の間にあった模造刀を心臓に平突きで撃ちこんだのは、
私が10歳の時だった。
我が風祭家は由緒正しきごく一般的な家庭ではあったが、祖父の趣味に恵まれた。
刀で冷蔵庫に縫い込まれた奴は性器から精子を吹きだしながら、死んだ。
母は台所に敷いたリノリウムの上で横向きにうずくまって泣いていた。

二人目は更正施設の刑務官で、こいつは私の顔がお気に入りのようだったが、私は奴の口の臭いが嫌いだった。
情欲で釣って呼び寄せ、暗がりで準備していたペーパーナイフを使い、心臓一撃で即死させた。
私は私の力では徒手格闘で殺すことが出来ないのがよくわかっていたので、
武器とその運用によく心を砕いていたおかげである。12歳の頃のことだ。犯人はこの時は見つからなかった。

その後も私はよくよく人体の構造についての知識と訓練に心配りをしておいた。
3人目と4人目、そして5人目の時にこの予備訓練が役にたった。
青少年更正施設というのは体のいい凶悪犯罪者の強制収容所で、私への暴行目的で囲んだ3人は、
脱衣場で裸体という急所の位置を晒した状態だったため、服を着た状態より楽に処理できた。これは13歳のときだ。
このときの凶器の一致によって、刑務官の殺害も判明した。

このような経歴に注目したのは、別に軍事関係者だけではない。
私が気に入ったという暴力団関係者の伝手で収監所から出られた私は、
彼の事務所に入ったとき、その部屋に中国人と韓国人がいることに気が付いた瞬間にそれらを殺していた。
すぐそばの若いヤクザが拳銃を所持していたので簡単だったのだ。
そのままほっといてくれればその場にいた全員を殺さずにすんだのだが、色めきたった彼らは私を包囲し脅迫した。
狭い事務所での包囲は逆に、多人数の利を阻害することも知らないのかと私は驚きながら、
改造トカレフの装弾10発すべてを一発ずつ当てた。
とどめには部屋に飾ってあった刀(これは本物だった)で一人ずつ心臓を刺していったのだが、
あまりにも簡単なのでちょっと信じられなかったぐらいだった。

その日で私は15歳。ちょうど歳の数だけ人を殺した計算になる。
本格的な訓練は芸術に近いほどの非人間的な理論に基づいたものだが、気に入った。

私はその訓練に没頭したため、優秀であるとの評価がついた。おかげで、
18歳で(その間にも”訓練中の事故”で着々と『星』を増やしていたが、)実戦に投入されることになった。
とある部隊の新兵として潜入するべく、新隊員の教育部隊から配置されることになったのだ。

目的の部隊においての私の役割は、
近く起こるであろう敵侵攻に際して対象部隊のモニターと実際の戦闘時における運用補助である。

こんな遠回りな方法を足らざる得ない時点で、相当な問題があるわけだが、世の中はしょせん茶番だ。
私たちの部隊配置とともに状況は発生した。計画が数ソーティー、割愛されて進んだため、Xデイが早まったのだ。
予測通り、私たちの部隊が敵の強襲上陸ポイントに最も近いので、初期戦闘はこの部隊が引き受けることになった。

国内最初の戦闘といえば耳目を集めそうだが内情はバカバカしいもので、前線に割り当てられた能無しの小隊長は、
足を引っ張られないようにとっとと狙撃して、手早く回りのバカを集めて戦闘の指揮を行なった。
当然、言うことを聞かない奴も射殺したが、私はこの才能ゆえに選ばれたのであって良心など感じなかった。
私より能力の高いものもおらず、”唐突に”興った戦時状況下の混乱のため、
上層部から下された私への小隊指揮権発令の命令に対して、大隊はなし崩しに認めるしかなかった。

その中隊には犬飼もいた。
犬飼は私にとって常に予測不能の因子だ。それに気付いたのは教育隊でのちょっとした出来事が原因だった。
12人も一つの部屋に投げ込めば、異常性愛を持つ奴もいるものだが、同じ班にやはりそういった者がいて、
私の容姿に興味をもった。そいつは私の容姿や性癖に関する冗談をしつこく言い出し、
最初は無視したがいい加減うっとうしくなってきたので、『こいつの耳でも引き裂けば黙るだろう、』
と振り返り様に腕を伸ばす算段で動く直前に、犬飼が口を挟んだ。
「おい、そこのホモ。ケツを狙うのなら犬舎のを狙え。人間のは面倒だからやめとけ。」
この冗談を同部屋のみんなが笑ったのでその場は収まったが、なにかがおかしい、と感じたのはこの時だった。
私は行動や感情を表情に出したつもりはない、それなのになぜ、私の行動を掣肘するようなことが出来たのか?
「・・・いま何をした?どうやったんだ?私の顔を読んだのか?」「なにが?」

とぼけてるのか本気なのか、とにかく口数も少なく鉄仮面のような表情からはなにも説明がつかなかった。
その後、奴の行動に注目していたが、すべての訓練結果も標準以上なので、同じ部隊に配属できるように手配した。

犬飼がますますわからなくなったのは、最初の戦闘で、一緒に敵へ突撃した時だ。
敵の銃撃の位置に事前に射撃し、敵の反撃のタイミングの前に伏せ、そして機関銃弾が通る前にその位置を去る。
「―――、いったいどうやってるんだ?神の声でも聞えてるのか?」「なにが?」

また、中隊指揮を取るようになってしばらくのこと。同じ班行動していた奴が一人敵前逃亡をした。
私はそいつを、目の前に立つ刹那に射殺するつもりで歩き寄っていた。犬飼がその間に立って言う、
「反省してるんだ、殺すことはないだろう。」
         ~~~~
決めた、殺す。そう思うと同時に右手で拳銃を抜いた。
まったくのノーモーションだったはずだが、犬飼は銃口を向けるよりも早く、左手で銃のスライドを握り、
撃鉄に指を入れた。が、これは予想していた

私には組織の訓練教官にも見せなかった特技がある。右手で行なうすべての技術を左手でも支障なく使えるのだ、
右手を扱うように左手を扱える。この時も早抜きとほぼ同時に左手で右腰に吊っていた銃剣を抜刀しつつ、
犬飼の心臓を突く。
はずだった。
だが、犬飼の右手は銃剣が完全に抜けるよりも先につばの部分を指でつまんで抑え、私の左手は空を振った。
次の瞬間、左手で犬飼の目を突こうとするのを、左手でサバき掴み引き落されると同時に銃剣が胸を伝って喉に当った。
ここまでで約2秒。

悪態や往生際の悪い言葉よりも先に口から出たのは次のようなセリフだ。
「テレパシーか?俺の心を読んでるんだな?そうだろう??」「なにが?
 俺は許してやってくれと言っただけだが、それだけで殺されかけてはたまらんよ。」
私は敵前逃亡の罪をMPに任せることを宣言し、その場を治めた。

殺せなかったことよりも、なぜか私は母のことを思い出していた。
ある日、我が小隊は前線内哨戒を行なった。

集落を通ると、敵の斥候が集まっているのを発見した。
小隊を潜伏させつつ近づいて見ると、将校がニヤツキながら家の裏手からズボンのチャックを上げつつ出てきた。
そこで何が起こっているのか理解し、と同時に単身突撃をしていた。
走り、停まり、撃つ、これを2回繰り返して4人殺し、家に近づき5人目が隠れた先が見える位置で停止した時、
しまった、と思った。
私の左側、道路上に機関銃座に人をのせたジープが見えた。正面には小銃を構え直す将校、
そして後ろから走ってくる足音も聞えた。
その場で伏せて将校に向けて銃を構えたのと、機関銃に私が立っていた高さへ発砲されるのと、
そして、犬飼が飛び込み伏せつつ私の足の上に小銃を乗せたのが同時だった。
正面の敵兵とジープの敵兵を射殺する射撃音はほぼ同じだった。
私は犬飼に、小隊に全周囲警戒と家の中には誰も入らないように指示して、裏口から入った。
そこは台所で奥に人の死体らしきモノも見えたが、それよりもリノリウムの上に転がる二人の少女の姿が目に入る。
姉のほうなのだろうか?犯されながら首を締められ死んでいた。もう一人の少女は横向きにうずくまって泣いていた。

母のような格好で。

『残念だが死体の処理をしている時間がない。身を整え私の身分を保証できるものを持って来なさい。』
というはずだったが、言えなかった。私は何も言えず、馬鹿みたいに突っ立っていた。
しばらくすると犬飼が入ってきて、一瞥すると言った。
「お嬢さん、我々は友軍です。
 残念ですが死体の処理をしている時間はありません。身を整えて私の身分を保証できるものを持って来なさい。」
そして黙って出て行った。
すると、女の子は立ち上がり、足の間から血と精液を滴らせて私の前まで歩いてきて、抱きついて泣き出した。
私も片手を彼女の肩に掛けながら涙を流していた。

その子はその後、難民キャンプで明るさを取り戻し、同じように親を失った子ども達の世話をするようになった。
様子を見に行くと、とても喜んでくれるので私も嬉しかった。
それからは、仲間を殺す気にはなれなくなった。犬飼は「顔つき変わったよ」と例の鉄仮面のまま言う。

これが終わったら母に会いにいけると思う。
>>288-292
読んだ。そこそこ楽しめた。まあ悪くないと思う。
294大網傘茸:03/03/08 00:03
たまには批評。
>>288-292
こういう内容で勝負したいならば、焦らずに何度か推敲した方が良いですよ。(漏れも2
ch原稿は推敲しないのですが、こういう話ならよほど自信が無ければ出しません)

殺人狂になるきっかけが母を守るためならば、第二以降の殺人は意味を成さない。
そうでなく、生まれついての殺人狂であるならば、立ち直るきっかけがまともすぎる。女
には弱い性格?そりゃ安いセンチメンタリズムです。無差別殺人犯としては半端者。
母との絆(思い?)が強いならば、主人公と母との関係が何一つ描かれていないのは作品
としては手落ちです。
犬飼の小説上での役割が不明。(主人公を更正させる役を担っているのは判るが。そこま
で機能していない)
等が気になります。メリハリを付けて書くと中編以上のネタですな。
ひらりんの「ゾンビーハンター」でも読んでみなされ。オモロイよ。
295 ◆gacHaPIROo :03/03/08 05:58
>>294
よかった。やっとマトモな批評に会えたよ(T−T
あんがとです。
いやね、1レスあたり約1900bytes、改行数およそ35行の範囲内で
詰め込もうとおもったんだが、思ったことそのまま書く癖が抜けきれんで
プロット削る手間省いちゃったのよね。もっとダイエットせな。
296大網傘茸:03/03/09 05:11
家々、漏れも偉そうな事言えないでつ。
創作小説中心の有名なサークルで「○○の会」ってあるんだけど、あそこは凄いよ。(年
齢層が高いので別名「SF老人会」)
年に一度、会誌に載せた作品を丸裸にされ複数のプロ関係者に批評される。
本職の作家や編集者の批評だから容赦がない。批評される側もプロを目指しているのでそ
れは覚悟のうえでのこと。本気でプロになるつもりの人ならば「○○祭」に行ってみれば
面白いかもよ。(あくまで「かも」です。創作に興味の無い人には「何じゃこれ?」って
感じ)
297 ◆gacHaPIROo :03/03/09 06:02
貴方の文章、真面目に批評します。(7)
http://book.2ch.net/test/read.cgi/bun/1045655332/988-989
これよりゃ、よっぽどマシかも。
創作文芸板ならまたり文庫の方がいいんでない?
299 ◆gacHaPIROo :03/03/09 07:36
よく知らんのよね。実際。
300 ◆gacHaPIROo :03/03/09 22:30
http://www.readingstation.dyn.to/index.html
ここみっけたので、移動します。
スレ汚しすんません。
301爆弾:03/03/11 02:59
朝起きて、時計を見た。
何時もより何倍も大きい音がした。
嫌な予感がしたので空けてみる。
中には赤と青の剥き出しになったコード、それに爆薬がしかけられていた。
テレビなどでよくお目に掛かるタイプの奴だ。
いたずらだと思って赤い方を引き抜いた。
何も起こらなかった。
「何だ。いたずらじゃ無いか」
乱暴に向こうの部屋に投げると、時計は爆発した。
驚いた。心臓が飛び出るかと思った。
念の為他の時計も調べておこうと思った。
302爆弾:03/03/11 03:00
案の定、応接間に置いてあった振り子時計や目覚し時計、果ては腕時計にまで仕掛けられていた。
全部裏の庭に捨ててやった。
少しして爆発音がした。
危機は去った。
ホッとした途端にトイレに行きたくなった。
危機の後の便だからよく出た。
出たものをよく見ると火のついた導火線のようだった。
          ひび割れた空

 子供の頃、俺は大量殺人を犯した。
 単なる遊びのつもりで、圧搾空気を利用した手製のロケットを飛ばしたのだ。
スクラップ置き場から拾い集めた材料を使って、一人でこつこつと作りあげた
自慢のロケットだった。
 その日、俺は近所の空き地に行って、完成したばかりのロケットを飛ばした。
ロケットは青空高く飛んでいった。
 ロケットは小さな点になり、やがて空の一点で静止した。
 数秒のあいだ、ロケットはその位置に滞空していた。いや、実際には
滞空していたのではなかった。青空に突き刺さっていたのだ。
 そして、空がひび割れた。
 ロケットのある位置を起点として、ガラスが砕けるように、一瞬にして
空一面に亀裂が広がり、弾けた。無数の青い破片が散らばり、その背後に
広がる虚無の宇宙が姿を現した。突風が起こり、地上にあるあらゆるものが
空に、いや、宇宙に舞い上がった。
 たまたまその場を通りかかった大人の男に抱きかかえられ、空き地に
設置されていたシェルターに避難していなければ、俺もそのとき
死んでいただろう。俺の家族を含む、冥王星ドーム都市の六千万人の
住民たちとともに……。
304名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/11 22:05
>>303
ドームが恐ろしく脆いのが気になる。
第一、そんな状況では通りかかった人間も一緒に宇宙へ吸い上げられてる。
見せたいであろうテーマもよく感じられない。空が割れるあたりの描写は及第点です。
わけわからん。
>>303
起承転結はしっかりしてるしラストも意外性があってイイとおもふ。
ドームが妙にもろかったり、シェルターが全然機能を果たしてなかったりする点は気になるが。
住民の避難が間に合わないようなシェルター誰が作るか(w
307名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/12 07:03
まあ、その馬鹿馬鹿しいまでの脆さはシェイクスピア的な悲劇の中に喜劇を内包するスタイルを目指しているのかもしれないなw
308 ◆gacHaPIROo :03/03/12 12:48
・・・まず、冥王星でその弱さは無いと思う。
そもそも冥王星である必然がないよ。
単にドーム都市としておけば良し。









単位
君ら文句ばかり いい加減にしなさい
311 ◆gacHaPIROo :03/03/12 21:32
>>310
いいやん。
批評されるってしあわせなことなんよ。

最近わかった。
312303:03/03/12 21:48
こんなに物議をかもすとは思わなかった。
いや、ありがたいんだけどね。
ほら話をシリアスタッチで書いてみただけなんですよ。
>>311
310さんは僕ではないです。念のため。
313 ◆gacHaPIROo :03/03/12 21:49
>>312
モダン・ホラ。
314 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 00:48
 二十一世紀の後半、太陽近辺の調査に向かった宇宙船でとある事件が起こった。それは
俺が経験した中では最も奇妙で不可思議な事故だったよ。
 俺もその時救援に向かった一人だったんだが、最初は全くわけが分からなかったな。

 その時代、人類はまだ太陽系の外へ出る事はかなわなかった。その代わりとばかりに、
どの州国家も太陽にどれだけ近づけるかを競っていた。
 そして太陽黒点が活発化して危険な時、一機の宇宙船が太陽表面の爆発的燃焼……フレ
アにぶちあたって事故を起こした。
 さすがに太陽に接近するための宇宙船なので、乗組員が即死する事はなかった。
しかし宇宙船は軌道をそれ、ゆっくりとだが太陽に近づきつつあった。さらに活発化した
太陽の発する強力な電波で通信は途絶。宇宙船の様子を探るためには、たまたま近い所に
いた俺達が宇宙船の様子を外から観測するしかなかった。
 彼らは爆発を怖れてか、ブースターと推進剤を放棄。そもそも最初の事故の時に推進部
分が全壊していたのが俺達からも観測できていたため、しかたのない事だったろう。そし
て同時にカプセルが脱出したらしいのが小さく見えた。
315 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 00:53
 俺達は帰還用の推進剤を使って救助する事を選んだ。別の救援を呼ぶような時間は全く
ない。加えて、目の前で競合相手が死んでいくのを黙って見ていられるほどの精神力も、
俺達にはなかった。むろんこちらも要救助者になる考えはない。最悪の状況でも救助後に
太陽近辺を離れ、水星軌道で本格的な救助を待てると宇宙航行士も計算した。
 宇宙船の残骸と脱出用カプセルは放出の反動で別れ、それぞれが別の軌道を漂っていた。
 カプセルは居住区の三分の一がほぼそのまま分離した物だ。元々宇宙船本体があまり
大きくないため、乗組員全員がぎりぎり入るくらいの容量しかない。
 また、カプセルは丈夫な外殻に守られているが、自力で移動する事は出来ない。それに
搭載できる酸素や水は限られている。しかも今回は放出の方向がまずく、そのままでは太
陽に落下してしまうところだった。
 それでも俺達は何とかカプセル回収に成功した。予想より太陽から離れた場所にあった
おかげだろう。比較的軽かったため、カプセルは太陽風でわずかに上昇していた。
 しかしカプセルの中を見た俺達は喜ぶ間もなく驚いたよ。何しろカプセルには誰も乗って
いなかったんだから。
316 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 00:55
 中に入っていたのは宇宙服と乗組員の私物だけだった。宇宙服は四人分、つまり全員の
物がそろっていた。もちろん宇宙服の中には誰もいやしない。私物は聖書や文庫本、大人
向け映像が視聴できる機械等。そして私物はもちろん、太陽近辺での活動を考慮してない
宇宙服も太陽熱で炭化、あるいは溶融していた。
 誰かが何か書き残してやいないかと思ったが、炭化して調べようがなかった。しかし、
いくら太陽に近くてもカプセル内が蒸し焼きになる事なんて普通ありえない。理論上は
太陽の表面温度にだって耐えられるのだ。
 その疑問を持ってカプセルを調べた俺達は、側面にあいた巨大な穴にすぐ気づいた。
穴は人間でさえ楽々通り抜ける事ができるほどの大きさだった。どうやらその穴から太陽の
強力な赤外線が射し込み、カプセル内部を高熱にしてしまったらしい。その切り口から、
穴は人為的なものではなく、最初の事故か二次災害で開いた物だと俺は判断した。
317 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 00:57
 俺達はその場で議論を戦わせた。死体が見つからない以上、希望は残されている。そう
信じていた。信じずにはいられなかった。
 カプセル内部の熱がどれほど高温でも、書物が原型をとどめている以上、死体もまた
原型をとどめるはず。ゆえに乗組員は蒸発したなどという事はありえない。つまり乗組員は
カプセルの外に出ていった。望んでか、望まずにかまでは分からないが。
 まず自殺という線はありえない事で一致した。最後まで望みは捨てない、それが俺達宇宙
飛行士の誇りと矜持だ。一人ならともかく、四人全員が自殺を選ぶはずはない。
 穴から気圧差で吸い出された可能性も少ないだろう。私物が吸い出されてないし、脱出時
から穴があったとすれば、そもそもカプセル内は真空だったはず。それとも乗組員は乗り
移る時に吸い出され、その後カプセルは自動で放出されたのだろうか。これも五人全員が
そうなるとは考えにくい。
318 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 01:00
 俺達の見えない角度で別の脱出カプセルが放出されたのでは、という意見も一蹴された。
事故にあった宇宙船はカプセルを一つしか存在しないし、別々に分かれたのなら宇宙服も
四体全部そろわないはず。
 カプセル内で何か異変が起き、それから逃れるために乗組員はカプセル外へ出たのか。
そんな馬鹿な。船内服は緊急時の簡易宇宙服になるが、わずかな対放射線機能と循環呼吸
器がついただけ。それで太陽光が降り注ぎ電磁波が散乱する船外へ出て、生きていられる
わけがない。
 いいや、その可能性は全くないわけじゃない。そう、事故のあった宇宙船の残骸を監視
し続けている船長が言った。カプセルの外が安全と乗組員が錯覚するような出来事があった
のではないか。たとえば穴があいたのを救助者が開けた穴と思い込んだとか。つまり最初の
事故で耐熱壁は破損したが、内壁は保持され脱出時には空気が残っていたという説だ。
 まさかと言い切れない部分もないではない。強力な太陽光により一時的に乗組員の視覚が
失われていた可能性はある。
 しかし私物が吸い出されていなかった事が、この説の弱点だ。それに、救助者がいるから
といって宇宙服を脱ぐ理由にはならないのが気になる。見つかったカプセルの穴は宇宙服を
着ていても楽に通り抜けられる大きさなのだから。
319 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 01:01
 そうだ、なぜ誰も宇宙服を着ていないのだろうか。宇宙服は宇宙船本体にあり、それを
着てカプセルに乗り移るのがマニュアルだ。カプセルに宇宙服があるという事は、少なく
とも宇宙服を移動させた人物がいるはずだ。しかしそいつは宇宙服を着ていない。たとえ
着てカプセルへ移動したとしても、最終的には脱いでいるのだ。
 移動させたといえばカプセル内にあった私物。そもそもあれを移動させる意味が分から
ない。あんな物を運ぶひまがあったら、まず自分の命を優先するだろう。普通は。
 それともカプセルに持ち込む必然性があったのか。

 議論が煮詰まり、一番の若造が宇宙人の仕業ではないかと意見した。もちろん俺達は
そいつをはり倒した。
 大昔の変な本を読むのが趣味な男が、密室教がどうとか言い出した。もちろん俺達は
そいつをたこ殴りした。
320 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 01:03
 俺は考え方の方向性を変える事にした。どれほどありえなさそうな説でも、乗組員が
生きている可能性のある説を優先的に考える事にしたのだ。
 乗組員は自力で穴から出ていったか、それとも最初からあのカプセルには乗っていな
いかのどちらかだ。後者の方がまだ生きている可能性がある。乗り込む前に誰かが誤って
カプセルを放出してしまったとしよう。宇宙服や私物は、何か別の理由であらかじめ
カプセルの中に入れてあったとする。カプセルに宇宙服や私物を移動させた理由が彼らの
生存と関係があるかどうか。
 しばらくして、俺はある仮説に思い至った。全ての状況に説明がつく、おそらくただ
一つの可能性を。
 乗組員は生きている。生きて俺達の救助を待っている。

 俺達は太陽に近づけるぎりぎりの距離まで宇宙船を移動させた。おそらく人類が太陽に
近づいた距離で二番目だろう。
 事故を起こした宇宙船の残骸は太陽の周りをただよい、人工惑星となっていた。事故で
外装が一部崩壊している。しかし有人区画本体は無事だ。
 ランデブー後、すぐさまドッキング。エアロック内の気圧は低めに設定。それでも向こ
う側に空気が吸い込まれた。しかし全て吸い込まれたのではない事から、船内が真空では
ないと分かる。俺達は宇宙服を着て有人区画へ突入した。
 そしてそこでは酸素欠乏症と脱水症状を起こしながらも、四人全員が生きていた。
 俺達は史上初めて、太陽活動による事故の人名救助に成功した。
321 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 01:05
 答えに気づくと簡単な話だったよ。
 事故が起きた宇宙船は減速して、ゆっくりと太陽の重力に引き寄せられていた。推進能力を
失った宇宙船はそのまま飲み込まれてしまう。普通ならカプセルで脱出する所だろう。しかし
カプセルは外壁に巨大な穴が開き、修理は出来ない。かといって太陽の熱に耐えられる宇宙服はない。
 だから乗組員は宇宙船に残る事を選んだ。少なくとも、そこなら太陽の熱に焼かれる心配はない。
しかし宇宙船は太陽に飲み込まれそうになっている。真空の宇宙空間で推力をえるには何かを放出し、
その反動を利用するしかない。乗組員は脱出用カプセルを放出し、反動によって宇宙船を少しでも
長い間、軌道上に置こうとしたのだ。
 なぜ宇宙服や私物がカプセルの中にあったか。軽い物を動かすより、重い物を動かす方が大きな
反動をえられる。宇宙服や私物はカプセルの重しとして使われたのだ。

 俺達は単純な錯覚をしていたのだ。乗組員は使い物にならなくなった宇宙船の残骸を捨て、
カプセルで脱出したのだと。
 だが実際は、使い物にならなくなった脱出用カプセルを捨て、宇宙船の残骸で脱出したのだ。
322 ◆gacHaPIROo :03/03/13 01:46
おわり?
323 ◆gacHaPIROo :03/03/13 01:58
終わりのようなので感想を。
状況説明が多すぎるように思えます。
噺の進行に合わせて必要なら説明するっていう方法もあるかと。
あと、設定ももうすこし簡素にされたほうがいいです。
つまり、

 ・脱出カプセルが無人、
 ・宇宙船が見えてるが近づくにはリスクがある、
 ・人為ではなく事故

この点だけ説明して、
なるべく行間を読ませるようにできればいいんだと思うのです。

あと、宇宙船救助の理由も主人公が理由に気が付いて行動したという形のほうがいいかも。

だって、結局宇宙船にいくんなら推理する必要ないもん。
324 ◆nr7u5YF8j6 :03/03/13 03:11
>>323
簡素どうもです。推理好きは性分なもので。
情況が分かりにくいのでかなり書き直したんですが、まだ混乱の元が多いですね。

>あと、宇宙船救助の理由も主人公が理由に気が付いて行動したという形のほうがいいかも。
>だって、結局宇宙船にいくんなら推理する必要ないもん。
うわ、すいません。たしかに、そうともとらえられてしまう文章でした。
一応主人公の推理にそって宇宙船の捜索に向かったという話のつもりだったんです。
325大網傘茸:03/03/13 04:03
(3−1)
「猿の惑星」
地球に帰還の際に事故は起こった。
宇宙船がコントロールを失い、未知の惑星の沿岸部へと不時着したのだ。
そして非情にも宇宙船は、そのままこの星の海へと没してしまった。命辛々で小型のゴム
ボートで陸地へ上陸すると、この星を知るべく探検を開始した。
幸い呼吸可能な大気もあり、重力も地球と同等のものであった。奇跡と言っても良い幸運
だろう。だが幸運と言えるのはそれだけだった。
外見が我々と同じ人間で、言葉を持たないおとなしい未開人を発見する事が出来た。
これで何とかなりそうだ、と思った矢先、武器をを持った猿が現れた。そして奴らに追い
立てられ大勢の未開人と一緒に捕獲されてしまった。どうやらこの世界は猿が人間を支配
している「猿の惑星」らしかった。
私も仲間も流暢な英語を喋る狡猾な猿どもに捕らえられ、思い出したくないほど酷い目に
あった。後日、巡り会えた仲間の一人はロボトミー手術で廃人となっていた。
326大網傘茸:03/03/13 04:04
(3−2)
だが、私の方は猿どもの言いなりにはならなかった。唯一信用できる科学者の猿2匹に協
力してもらい、リーダー格のボス猿を捕らえ、人質(猿質?)の盾として利用した。そし
てこの猿どもの支配圏からの脱出を試みる事にした。目指すは猿たちが恐れて近寄らない
「禁断地帯」である。
「禁断地帯」へと向かう私。私はこの世界が何なのかを知らなければならない。ここは何
処なのか?何故、猿は英語を喋るのか?
ひょっとしたらここは、未来の地球ではないのか?
既に夕方で陽も暮れようとしている。今まで観察出来なかったのだが、夜ともなれば星座
を見れば真実が解るだろう。衛星があれば地球との比較も出来る。
327大網傘茸:03/03/13 04:06
(3−3)
先へ進んでいくと、行く手を遮るように朽ち果てた巨大な構造物が横たわっていた。最初
は何であるかが解らなかったが、それは見覚えのある構造物であった。
私は衝撃を受けた。・・・ここはやはり未来の地球だったんだ!だが問題はさらに複雑な
ものだった。
ここは私の知る地球では無かったのだ。別の時空に存在していたパラレルワールドに紛れ
込んでしまったのである。目の前には、根本からポッキリと折れた、有るはずの無い二つ
の「ツインタワービル」の残骸が大きく横たわっていた。

(自己採点 3点)
328 ◆gacHaPIROo :03/03/13 08:09
そーきたか。
「対人恐怖」

いつ頃からか人に会うのが怖くなってしまった。人の顔が怖い、人の視線が怖い。
いつも街にでる時は目を伏せて歩いていた。
3年前から本格的に恐怖が増して自分の家から一歩も外に出られないようになってしまった。
通っていた大学も行けなくなり親が休学届けを出した。

なぜ私は人が怖いのだろうか。結論は出ている。
私は人に判断されるのが怖いのだ。
人が私について何か考えるのが怖い。
そして人に何か言われるのがたまらなく怖いのだ。
私はできる事なら透明人間になりたかった。

べつに家にいたから楽だというわけではない。3年間部屋でのたうち回って苦しんでいた。
何とかしたいと考えていたが、ある日ミリタリー雑誌の通信販売広告が目に止まった。
『対人恐怖砲。これであなたも対人恐怖を克服』と書いてある。
小さな広告には丸い筒のような物体の目の荒い写真と簡単な説明がついていた。
雷に撃たれたようになり私は購入を決意した。
高価な物であったが親に金を送らせた。
親は私の心配に疲れ果て、もはや私の言いなりになるしかなくなっていた。
一週間後実物が届いた。スエーデンの無反動砲カール・グスタフを小さく寸詰まりにしたような
代物だった。『あなたが恐怖を感じる人間に砲身を向けて引き金を引きなさい。すると心の中の
恐怖が相手に向かって打ち出され恐怖を感じなくなるます。』と説明書は怪し気な日本語で宣言
していた。もともと戦場での兵士の恐怖を軽減するための技術を応用したものだという。
日本ではこの技術の使用を禁じる法律はまだない。
試してみようと思ったとたん、あれほど恐れていた外出は全く平気になっていた。
スポーツバッグの様な付属ケースの中に入れて肩から下げ、脇に抱え込む。
銃身は全く見せずに外から操作できるようになっている。
3年ぶりの外の空気の感触に胴震いしていると向こうから2人づれの
女子高生がやって来た。親しげに秘密を分かち合い、笑いながら歩いている。
私には全く気付かないようだった。だがもし彼女らの視線がこちらに向いたらと思った瞬間、
その場から走りだしたいほどの恐怖が湧き上がった。
だが踏み止まり引き金を引いた。体の中で何かが凄い勢いで引っ張られたように感じた。
バッグに被われた砲口からは何も出たように見えなかった。しかし確かに何かが打ち出され
命中したと感じた。
次の瞬間右側の女子高生は急に顔が曇りその場にうずくまり泣き出した。
何が起こったのか分からず慌てているもうひとりにも発射した。
そして踵を返して走り出した。角を曲がるとき振り返ると二人の女子高生がうずくまっているのが
見えた。私の心の中にあった恐怖は嘘のように消えていた。笑い出したい気分だった。

家に戻り数日外出せず息を潜めて待ち続けた。
何かの痴漢のように思われ被害届けが出されるのではないかと思ったのだ。
朝夕の新聞を全紙買い、ネットやテレビのニュースをチェックした。
3日後、夕刊の地方版に二人の女子高生の飛び下り自殺を告げる小さな記事を発見した。
場所は隣町と書いてある。顔写真は載っていない。しかしあの二人である事は間違い無いように
思えた。驚愕した。私が撃った恐怖の直撃を受けあの二人は飛び下り自殺をしたのだ。
大変な事になったと思った。しかし不思議な事に良心は痛まなかった。

翌日、久しぶりに大学へゆく事にした。駅前の広場の群集も気にならない。時々いやな感じのする
人物には砲を発射した。その度に心は軽くなった。
ホームへの階段を登るとそこにはなんと先日の女子高生二人がいた。生きていたのだ。
私が驚いて見つめていると彼女らも私の方を見た。
そして私の顔と、私の脇に抱えたバッグを交互に見つめ「おまえかよ。」と言いながらこちらに
歩み寄って来た。
「そんな古いの持ってんのは今どき他にいないもんな。」
そういいながら私の顔を見つめた。彼女らの眼球の中で何かがカチリと切り替わったようだった。
その瞬間私は全てを理解した。彼女達は眼球の中に対人恐怖砲を仕込んでいた。圧倒的な恐怖が
押し寄せて来た。そして自分が矮小で惨めで消えてしまいたいという強烈な感覚が襲って来た。
「ぎゃはは!ざまーみろ」という声を背に私はフラフラと逃げ出した。まだ考える力はまだ少し
残っていた。私の見た広告はかなり古いものだった事。私が手に入れた対人恐怖砲は数世代前の
型だった事。近頃学生の自殺が多いのは彼等が対人恐怖砲を頻繁に使用し殺しあっているらしい事。
そして私が引きこもってしまったのも知らないうちに対人恐怖砲に撃たれたせいかも知れない事
などを思った。しかしもうどうでも良かった。すぐに楽になりたかった。
私はホームに滑り込んで来る電車の先頭めがけて飛び込んだ。
332 ◆gacHaPIROo :03/03/13 14:44
ギミック云々ではなくって、
それでその事実でなにが起こったか?ってな噺やね。
ドラえもん風味だけど、どうせなら、最後に女学生と
『恐怖』の射撃戦でも描いてくれたらいいオチになったかもかも。
333山崎渉:03/03/13 15:38
(^^)
朝起きると机の上のモノが全て床に落ちていた。
起きて片づけようと起きあがるとふらふらする。
昨日飲み過ぎたかなと思いつつ机の上に本を拾って
置くとまたスルリと滑り落ちて床を滑っていく。
「家の土台が傾いたのか?」つぶやきつつテレビを点けると
ニュース速報らしい番組が写りアナウンサーがヒステリックに
叫んでいる。何を言っているのか良くわからない。
画面に大きな分度器が写っている。欠伸をしていたら舌を
噛みそうになった。放送内容を理解して一気に目が覚めた。
何と地球規模で重力方向が北へずれてしまったらしい。
それも刻一刻とずれ角度が大きくなっているらしい。
倒壊したビルだの、溢れた河だのが中継されている。
科学者だのが大重量の中心核移動とか早口でわめいている。

オレも部屋の壁にまで滑っていってそのまま張り付いている。
なんとか窓を開け外を見て脱出するべきか悩んでいた。
そのとき地響きと共にポンっと音がして北の空に白い球体が
見えた。同時に地表の何もかもが北へ滑り落ちていった。
オレは地面を猛烈な速度で転げてあちこち、ぶつけて
痛みに気絶しそうになる。空から大きな声が響いた。
「芯出したら消毒しておきなさいよ」
薄れいく意識の中で「ニキビかよ」ツッコンでおいた。
>>334
描き方はうまいと思うが、ネタはありがち。
336303:03/03/14 17:17
    >>303 ひび割れた空(続編)

 その後、太陽系連邦事故調査委員会は、事故原因を次のように結論づけた。
 冥王星ドームには、老朽化した際の解体工事を容易にするため、あらかじめ
自己解体機能が組み込まれていて、その起動スイッチはうっかり誰かが押して
しまわないように、ドームの高い位置にあったことがわかっている。おそらくは
定期点検を行った際、作業員が起動スイッチのカバーを付け忘れ、そこに
ドーム内で放し飼いにされていた野鳥がぶつかって、スイッチが入ってしまった
ものと推測される。
 もちろん俺はロケットのことは誰にも話さなかった。いくら子供のやったこと
だとはいっても、多くの死者が出ているのだ。ただではすまない。ロケットのことを
知っていたのは、俺を助けてくれた男だけだったが、彼は俺を気の毒に思ってか、
そのことを黙っていてくれた。だが人の心は変わるものだ。十数年後、俺が事業に
成功して富を築いたことを知り、強請ってきたのである。
 
 今では俺だけが、あの事故の、たった一人の生存者である。

337 ◆gacHaPIROo :03/03/14 17:58
古いネタにとり憑かれるより、
新しいネタを構築したほうがいいんでない?
>>337
それはそうだが、ひとつの作品にじっくり取り組むことも大事だと思う。
書きっ放しでは書き手として成長しない。
gacHaPIROoさん
>>334もコメントしてよ
340 ◆gacHaPIROo :03/03/14 20:29
>>338
でも、だとすれば、発表前にってな感じ。一発勝負のほうが燃えるっしょ?

って自分も人ん事いえんのんだが。
>>339
えーっとニュース速報するほどに長期間の現象の割には
実際の現象が短時間で起こりすぎなような。
何日かに分けてじょじょに移行していく描写のほうが
なんか納得できるんだが、ショートショートにならんな、それじゃ。ってこんな感じ?

食肉捕鯨は是か非か。論争に決着をつけるべく行われたクジラ語を解読する
プロジェクトが大詰めを迎えた。解読は成功した。結果は驚くべきものだった。
クジラ達はなんと自分の命がどうなろうが誰に食われようがほとんど気にしない
事が明らかになった。
「べつに僕らも色々な生き物食べてるしね。誰に食われようと気にしないよ。
うん。どうせいつかは死ぬんだし。」クジラ達は流暢に語った。
この結果は論争の決着どころか両陣営を活気づかせるだけだった。
「気にして無いんだから食ってもいいだろ」という論と「こんなに素晴らしい
知性と悟性を持った生き物を食う訳にはいかない」という論が再び平行線を
辿りはじめた。さらに悪い事にはウシ語、ブタ語、トリ語、そしてあろうことか
野菜の感情まで解読されてこちらは対照的に皆口々に命乞いをはじめてしまった…。
342 ◆gacHaPIROo :03/03/15 12:34
あー禅銃っぽいなー。
>>341
「ふんふんふん......え、終わり?」
中途半端な印象が残った。最後にその後どうなったかを書き足せば良いのに...。
344341:03/03/15 18:11
感想ありがとうございます。
>>342
感想ありがとうございます。
「禅銃」ですか?どちらかというと「スターシップと俳句」にちょと似てるかなと
思いながら書きました。「まあクジラが喋るってとこだけだからいいか」
とも思ったのですが…。そんなに似てますか?「禅銃」も「スターシップと俳句」も
かなり昔に読みほとんど憶えてないのでもう少し御指摘いただけたら幸いです。
>>343
そうですね。人間は泣く泣くクジラを食うしかなくなった。という事を書き足せば
良かったかなと思いました。感想ありがとうございました。
俺は「結局擁護派も変わらず物を食った」という一言を付け足せばテーマもはっきりするかと思ったんだが...。
命乞いをされようが、結局人間は何かを食わなければならないとかね。
朝、通勤の電車の中で足を踏まれたのでそいつを殺した。ポケットに
いつも入れているナイフで首を刺したんだが、動脈らしく激しく出血
してしまった。前の座席にいた男が服が汚れたと文句を言ったので
そいつも殺した。ハンカチで手を拭いていると少し離れた所で叫び声が
聞こえたから誰か殺されたのだろう。電車が終着駅に着いてぞろぞろと
乗客が降りたら4体の死体があった。一つは中年の女性で首をあらぬ
方向に曲げて事切れていた。会社の前の道路で駐車違反を取り締まって
いた婦警達が車の持ち主を警棒で殴りつけている。素直にしとけば罰金
で済んだのに馬鹿なヤツだ。早朝会議のため早く出社したのに一人遅れ
ていて始まらない。3分後会議室に駆け込んできたところを部長に撃ち
殺された。部長自慢のS&Wマグナムなので頭がきれいに吹き飛んだ。
会議が始まると課長が無理な販売目標を言うので営業部員全員で殴り殺
した。部長は苦い顔をしている。そのまま営業に出たがアポを取って
あったのに担当者がいなかった。仕方がないので喫茶店で時間をつぶし
てからもう一度行ったが会えなかった。居留守かもしれないが諦めた。
その後も数社回ったが契約は取れず会社に直帰する連絡入れて帰った。
家に帰ってくると玄関で妻が死んでいた。朝でしなに殺したのを忘れて
いた。しまった夕食後に殺せば良かったなと思いながらカップ麺を作っ
て食べたが妻を殺した理由がどうしても思い出せなかった。
347名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/16 03:04
(´-`).。oO(そうして次の日には皆生き返り、殺し合うと)
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
>>346
こういうのは結構好きです。面白かった。
ま、でももうひとひねりあるといいのかな、などと思ったりもします。
349大網傘茸:03/03/16 07:17
(3−1)
「セピア色の横顔」
車から降りてきたのは、頭にやや白い物が混じった初老の男だった。スーツにネクタイと
いうスタイルであったが、着こなしが妙だった。手には花束と小さな箱が抱えられている。
首にはなぜだか双眼鏡がぶら下がっていた。
車を止めた空き地に沿って長く延びた有刺鉄線は、そこから先が立ち入り禁止区域である
事を示している。男は背を屈めるとその錆びた鉄線の下をかいくぐった。両膝が地面に着
いてしまい、擦れた部分に乾いた泥が付いた。だが男はまるで気にとめていない様子だ。
住宅街が見える。さらにその先には、高層ビルの群が陽炎のように霞んで映っている。
静かだ。
男は数歩歩くとすぐ立ち止まった。ポケットからハンカチを取り出すと、パントマイムの
ガラス拭きを演じた。男がハンカチを振るった箇所は心なしか視界が鮮明になったようだ。
双眼鏡を手にすると、保護カバーを外した。
双眼鏡を覗きながらピント合わせの微調整をする。
しばらくの間、レンズ位置は左右の方向に小さく彷徨っていた。やがてそれはピタリと停
止した。どうやら目標を捕らえたようである。
350大網傘茸:03/03/16 07:19
(3−2)
男が見ていたのは一軒の家、その窓だった。カーテンが風を受けてめくれあがっている。
その僅かな隙間から、幼い少女の横顔が見える。
彼女はそこでピアノを弾いているのだ。その横顔は鍵盤を見ているためか、ややうつむき
加減だ。
男は少女に顔を上げてもらいたかった。そして、こちらを向いて欲しいと願った。何千回
何万回も。それは繰り返された願いだった。
「二十歳の誕生日おめでとう。おまえの大好きだったお菓子を持って来たよ。
お父さんは、つい先日再婚したよ。でもお前のことは忘れていなかったよ。だって、ずっ
とそこに居たんだからね」
男は持ってきた花束と小さな箱を足元に置いた。
男はまたもパントマイムの仕種をした。今度は空気の壁に手を当てて、もたれかかった。
肩が震えていた。
その空気の壁はダイヤモンドよりも遙かに硬く、人間には打ち砕く手段は無い。
351大網傘茸:03/03/16 07:19
(3−3)
15年前、この都市上空で時間停止弾が炸裂した。それ以来、直径20キロの範囲内で時
間が停止している。再び時が動き出すとしても、それが一体いつなのかは誰にも解らない。
明日?10年後?100年後?永遠?
彼女たちは生きてもいない、死んでもいない。ただ、切り取られた写真のようにそこに存
在しているのだ。
男が振り返ると、夕陽が浮かんでいた。
「さよなら」と男は呟いた。その後の・・・また来るよ、の言葉は無かった。
夕陽の日差しの中に、色調の違うセピア色の巨大なドームが、ぽっかりと浮かび上がって見えていた。

(自己採点 6点)
352 ◆gacHaPIROo :03/03/16 08:22
>>346
故中島らもの短編にそんなのあったな。
町内会で殺しあうんだ。
>>349-351
ブラッドベリあたりの幻想小説って感じ。
『二人がここにいる不思議』っぽい感じがなかなかかと。
353大網傘茸:03/03/16 09:50
>>352
感想ありがとうです。
>>352
「故」ってあんた・・・。
何もすることがなかったので、僕は小説を書くことにした。
まあ小説とは名ばかりで、格子に躍る文章は、僕の妄想の中の女性である。
栗色のショートヘアにパッチリした目、すらりとした足…
など、とにかく無理な設定をぶちこんで妄想にまどろんでいた。

ある日、友人がきた。
そいつは本当に奇特な奴で、机の上を覆う原稿用紙を俺に見せろとせがんだ。
僕の妄想を見られるのは辛かったが、断れなかった。

原稿を奪われたその夜、家で一人で飲んでいると知らない女がやってきた。
「知らない」というのは実は正確ではない。
栗色の髪、すらりとした脚、髪は…ショートとその女の容姿ははっきりと覚えていた。
急に、悪寒が僕を襲った。
原稿上の女…
僕は一切の意識を投げ出した。

目覚めたのはもう昼だろうか。「原稿上の女」はまだ僕の家にいた。
確か原稿はまだ途中、この女にまだ名前はない。原稿を返してもらわないと…
そう思ったとき、

女が家にやってきた。
容姿は…栗色ショートにすらりな脚。
家にいる彼女を「コピーした」みたいに、同じ姿をしていた。
僕は、彼女の作者として、親として、創造者として、いや、何だっていい。
とにかく原稿を取り戻そうと走り出した。
自己評価0.07点
(理由)
・何より、人間が描けてないだ…
・ご都合SFに終始。
・改行やたら多すぎ。
勉強して出直してきます。
>>356
まあまあ、そんなにヒゲしなくても。
簡明な語り口に思わず話に引き込まれましたよ。
私も妄想女性3人くらい欲しいですわい。
>>337
大きなお世話です。
359 ◆gacHaPIROo :03/03/17 08:35
少年ジャンプでモロそのまんまのネタあったね。
>>357,>>359
批評サンクスです。ジャンプ・…ノーチェックだった。嗚呼
361 ◆gacHaPIROo :03/03/17 17:06
>>360
や、別にぱくりイクナイっていうわけちゃうし。
すまんね。批評がヘタなもんで。
ただ、>>295の数量でおさめれば1レスですむんだから、
オチをつけたほうが。
実はその小説はスプラッタモノだったとか。
346の「どんどん殺す社会」を書いたモンです。
批評くれた人どうもありがとさんです!

オイラここに幾つか書いているんだけど 
>>62 :メール転送 >>72 :人類滅亡 >>87-88 :スキャパレリ >>107 :バナナワニ園
とかで何となくオチがあるヤツばっかりでね。

>>93 さん や >>179 さん のようにオチではなく 話のプロセスで面白い話を
書きたくて挑戦したけど まだまだだな。また仕事の合間に書きますです。では!
363 ◆gacHaPIROo :03/03/17 20:08
>>349-351
大網傘茸さんの作品の中で一番イイ!と思いました。
蛇足ですが男が空気の壁に触れると手が時間停止に巻き込まれたりしないのかな?
とチト思いました。
自慢じゃないがうちの息子は神童だった。
小学1年生で高校卒業程度の英語や微積分ができた。
天才少年と騒がれ小2で大学を受験し合格した。
まったく私達夫婦は鼻高々だったよ。一体このまま成長したらどんな大天才に
なるのかと、そら恐ろしい感じがしたもんだ。
ところがそこで彼の成長は止まってしまった。
コマッしゃくれた言葉で女子大生を口説き、遊び始めたんだ。
信じられない事だが付き合う女もいて家に帰らないなんて日もある始末だ。
成績は散々なものになっていった。
しょうがない。つかまえて説教をした。考えてみればこの子を叱るのは
初めての事かもしれない、なんて思いながら。
でも全然反省の色がない。怒って大学をやめさせるぞと脅したらこんな事を言い始めた。
「俺にそんな事言っていいの?母さんに父さんの結婚前の事全部バラすよ。」
なんの事はない。ウチの子は私の記憶を全部受け継いで生まれただけだった。
だから私が必死でやった受験勉強ができるのは当たり前だ。
でもあと何年勉強しようとこの子は大天才になる事は決して無いのだ。
不敵に笑いながらうちの子は言った。「父さんが青春でやり残した事を全部やって
あげるよ。」
この子は私の経験を生かしながら、あと20年以上もかけて若さを楽しんでゆくのだ。
そう思うと、私は自分の灰色の青春を思い出し羨望と嫉妬にかられてしまったんだ。

刑事さん。それがあの子を殴った理由だよ。小学2年生という事を忘れて
強く殴りすぎちゃったんだ。それで倒れたはずみに頭を打っちゃってあんな事に・・・。
「自分の子供を殴り殺しといてふざけるんじゃ無い!」
そんな事言われても・・・。
366名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/19 04:05
(・∀・)イイネ!!
終わらせ方がちょと残念かも
367 ◆gacHaPIROo :03/03/19 06:02
>>365
落語落ちっぽく、
息子の欠点指摘してでも、それは自分の欠点だから直に鬱とか。
だめか…
>>365
殺さずにトンチきかせて息子に「あっ!」言わせる締め方が良かったな。
面白かったです。
369365:03/03/19 17:44
確かに、殺せばいい死ねば終わりってもんじゃないですね。
知恵が足りませんでした。(ああ書き直したい…)
皆様ありがとうございました。
370 ◆gacHaPIROo :03/03/19 18:31
落語のネタ本とか読むと
そーゆーのサゲ(つまり落ちのこと)ってのは
”バレ”って言って下ネタ扱いだったらしいです。
明治政府はこの『バレ噺』を風俗の乱れとして厳しく取り締まったとのこと。

…これで、スチームパンクが一本書けるといいんだけどな。
371名無しは無慈悲な夜の女王:03/03/19 23:21
>>368
自分の苦手な物は息子も苦手という性質を利用すればなんとかなりそう。
「人類未来の光と影」
2020年 世界に先駆け日本で核融合炉実用化する!
     (→大爆発を起こし本州が2つに分断される)
2024年 人工知能コンピュータAKI完成!SFが現実になる!
     (→SFのお約束で反乱される。破壊に10年かかる)
2041年 宇宙人とファーストコンタクトに成功!
     (→これまたお約束で奴隷化。解放に30年かかる)
2080年 究極の抗生物質が発見され病原体性疾患消滅!
     (→凶悪耐性菌出現で人類半減する)
2089年 遺伝子操作によりあらゆる病気を克服!
     (→操作された人間は16才で肝臓機能停止して全員死亡)
2127年 人口激減に対処。アンドロイドに人権が与えられる!
     (→やっぱりお約束で反乱される。制圧は不可能と判断)
2136年 人工子宮で合成人類を作りアンドロイドに対抗!
     (→そうです…反乱されて下等生物とののしられる)
2186年 数万人に減った人類はアルファケンタウリに脱出を決断!
     (→妨害もなく移住用船団が完成。順調さが不安を呼ぶ)
2203年 大船団アルファケンタウリに無事到着!
     (→居住に適さず泣きながら帰還を決める。船団数半減)
2227年 帰還してみるとアンドロイドと合成人類共倒れで全滅!
     (→何もしないのが一番!…と残り少ない人類は気が付く)
>>372
207年も経たんと人類はわからんわけか…w
374大網傘茸:03/03/20 03:06
(3−1)
「記録屋」
そのオヤジが見えるようになって、もう随分と経つ。
昔から霊感が鋭い方だったので、幽霊のたぐいはよく見えるのだ。おそらくその男も霊体
なのだろう。
ただ、そのオヤジは風変わりなところがある。それはアラーキーや林家ペーみたいに写真
機を持っているところだ。あるとき漏れは尋ねてみた。
「何を写しているんだ」
オヤジは無表情に言った。
「ほう。儂が見えるのか。強い霊能力者でも見えないはずなんだがな。
何を写しているかだって?写しているのはお前の事さ」
漏れは何故そんな事をするのか尋ねてみたが、オヤジはそれ以上は答えなかった。
気にしてもしょうがない。やがて漏れはその男をあまり気にかけなくなった。意識しなけ
れば居ないのと同じだ。ただ、漏れが良い事、悪い事に関係なく何らかの出来事に出くわ
すと、必ずといって良いほどそのオヤジが近くに居た。
375大網傘茸:03/03/20 03:07
(3−2)
さて話は変わるが、漏れは車が大好きな男だった。つい先日念願の新車を購入したばかり
でウハウハ気分であった。早速、日曜日に長距離ドライヴに出かける事にした。会社の女
の子を誘ったのだが見事に断られた。そん時に久々に例の(霊の?)オヤジが現れて、そ
の恥ずかしい瞬間を写真機に撮られた。実にむかつくオヤジだ。
そして日曜日になった。馴らし運転はすでに終わっていたので、高速道路に入るといきな
りアクセルべた踏みで加速していった。
「ひゃっほー。漏れはハイウェイのスターだぜ。いえーい」
時速200キロ。視野が狭まり流れる背景が追えなくなってきた。
そこに在るのは天と地のコントラストだけだ。地面のアスファルトが集中線となって迫っ
て来る。さらに加速する。ステアリングを通じてボディが振動しているのが感じられてき
た。限界が近づいているのだ。だが漏れはスピードの魔力に取り憑かれ、アクセルを踏み
続けた。
気分をさらに盛り上げようと、カーCDを付けるとフルボリウムにした。操作盤から顔を
あげると、アスファルトの先端が右に折れているのが見えた。カーブである。「わ〜っ」
376大網傘茸:03/03/20 03:08
(3−3)
あわててブレーキペダルを踏み込む。だがガードレールが正面に飛び込んで来る方が先だ
った。漏れの車はガードレールに激突し、乗り上げ空中へとダイブした。高架の下は10
メートルはある。
下へ落ちていく間が、妙にスローモーに感じた。ああ、漏れは死ぬんだな、と直感した。
すると少年時代の思い出を始め、今までの様々な出来事が走馬燈のように思い出された。
それは鮮明な映像として思い出されるのであった。
家族のこと。友達のこと。学校や受験勉強のこと。就職のこと。人生の様々な出来事。最
後にドライヴに女の子を誘って断られたシーンが登場した瞬間、自動車は地面に激突した。
強い衝撃で漏れの首はポッキリと折れて、90度上方向にひん曲がった。
すると、漏れの背後からあのオヤジが腕を延ばして、手動ハンドルの付いた走馬燈をカラ
カラと回している姿が、見えた。 (5点)

>>364
感想ありがd
377 ◆gacHaPIROo :03/03/20 11:04
>>372
ワラタ、ナイスだ、これまでのなかでも最高傑作だ。
>>374-376

…ここに来てなにげにお笑い系への依存とか研究とかえーとあとなんだっけ?
とにかく、これだ、この方向性だ。これこそ人類の確変だ。
>>372の「人類未来の光と影」を書いた者です。皆さん批評ありがとう。

これは>>362の「どんどん殺す社会」に続き、「オチに頼らず面白く書く」のテーマで
挑戦したヤツです。何か考えて、また書かしてもらいます。

名無しはやめて、某板で使っているHNに替えました。よろしく!

>>374-376 大網傘茸さん
意外な結末で面白かったです!
俺様の将来

16歳 現在中卒プー太郎ヒッキー
17歳 猛勉強の末大検を獲る
18歳 日本の大学のレベルが低すぎるので単身渡米、MIT主席入学
19歳 飛び級でマスターへ
20歳 優秀すぎるのでドクターへ
21歳 天才すぎるのでいきなりプロフェッサーへ
22歳 ソロスも真っ青の革命的金融工学理論を構築し起業
23歳 超伝導量子コンピュータの開発大量生産に成功
24歳 M$を押しのけダウ上場
25歳 ゲイツを押しのけ総資産世界一へ
26歳 ノーベル経済学賞受賞
27歳 全世界総生産の80%を独占し経済的世界征服完了
28歳 国連加盟国全ての大統領・首相・書記長に同時就任
29歳 国連非加盟国を軍事力で制圧統制世界征服完了
30歳 エネルギー問題と人口問題を解決する為に粛正し人口を1000分の1へ
31歳 労働力不足を補う為人型ロボットを開発
32歳 恒星間移動船及びワープ航法を開発
33歳 天の川銀河系を支配下に置く
34歳 アンドロメダ銀河連邦と全面戦争→完全勝利
35歳 アンドロメダを植民地とする
36歳 50億光年内の全ての惑星を掌握し宇宙征服完了
37歳 自分の導いたワーム理論により他宇宙を掌握し森羅万象征服完了
38歳 自分の導いたスーパーストリング理論により多次元空間へ
39歳 108次元に居た神と対決→完全勝利
40歳 神を忠実な僕とする
41歳 109.655次元にて物理法則の再構築を開始
42歳 厄年だから靖国神社へ厄払いへ逝く
43歳 なんかめんどくさくなってきたからこの世の全てをn=n+1とする
44歳 鬱病で自殺
380 ◆gacHaPIROo :03/03/21 02:59
>>379
アルジャーノンかよ
381ギヴ損:03/03/22 15:54
「近未来サイバーパンクSF 双方向テレビ『あいどる』」

インターネットを利用した双方向テレビもすっかり馴染み深いものとなった。
今ではテレビ番組のほとんどがインタラクティブ機能を利用し視聴者と情報を
やりとりできるものになったのだ。番組に参加できるのがたまらなく楽しい。
音声認識機能も格段に進歩しほとんど自然な会話と同じように入力できる。
俺は朝から晩までこの音声入力を楽しんでいるのだ。
なのにどうして入院しなきゃいけないの?
ちょっと今いいところなんだから。ほら、お天気おねえさんが俺に話しかけて
るだろ?彼女、俺のファンなんだよ。愛で結ばれているんだよ。俺の言葉を待
ってるんだよ。おい千佳タン何か言ってやれよこいつらに。
え、そんなテレビはまだ存在しない?どういう事だよ。ちょっと何モゴガ・・・。
382 ◆gacHaPIROo :03/03/22 17:35
えーっとギブスンのはもっと徹底してて、
テレビ教にまで噺を引っ張ってるんですが。
>>379
アホさがたまらなくいい。
384MOAB:03/04/04 18:38
光あれと、神が唱えた。
大爆発とともに、神が死んだ。
紙文化の危機

熱帯雨林が事実上崩壊した。
紙の値段はまたたく間に高騰。と言うか手に入らなくなった。
事態を重く見た日本政府は木々の接収例を出した。
抵抗は在ったが、政府は制作を断行した。出版業界から圧力がかかったからだった。
一年後、たった一年で木々は消え失せた。
政府は止む無く屋久杉や文化財に使われる木々に手を出した。
それでもまた一年で消費してしまった。
紙文化は滅亡した。
人々は代わりに、石に物を書く様になった。
386 ◆gacHaPIROo :03/04/12 18:57
デジタル化せんのんかい
それより酸素が……
急速熟成法

 過去にだけ行けるタイムマシンが開発された。
 もちろん帰ってくるときはスイッチを切って、自然な時の流れに
身を任せなければならないから、遠い過去へ行けば行くほど、
乗組員が過去から現代に戻ってきたときには、そのぶんだけ年を
とってしまっているのだ。
「これでは遠い過去には行けませんね」研究助手が残念そうに
言った。
「しかし、別の利用法があるじゃないか」教授がさほど気落ち
するでもなく笑いながら言った。
「このタイムマシンに新しいワインを入れて、自動運転で過去に
送れば、あら不思議、一瞬にして年代物のワインのでき上がり
じゃ。こいつは儲かるぞ。わはははははは」
 この人にずっとついていこう、と助手は心の中で密かに決意した。
389山崎渉:03/04/17 12:01
(^^)
390便乗:03/04/19 00:06
 未来にだけいけるタイムマシンが開発された。
 もちろん片道切符で帰ってくることはできない。
「これじゃ近い未来にしかいけませんね」助手はつぶやいた。
「いやいや、別の利用法があるさ」教授がにこやかに言った。
「このタイムマシンに、ごみや産業廃棄物、放射性廃棄物をつめて未来に送ればいい。
100万年後にはごみを簡単に片付ける方法くらい完成しているはずだろうし」
そのとき、不意に目の前の空間がゆがみ、青白い光が瞬き、空間に一枚の紙が現れた。
教授は、ひらひらと床に落ちた紙を拾い、書いてある文を読み上げた。

「ポイ捨て禁止」
391山崎渉:03/04/20 05:57
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
「悲劇の連鎖」

 あるユダヤ人科学者がタイムマシンを発明した。
 彼がタイムマシンの発明を目指したのは、子供時代のヒトラーを殺すため
だった。そうすればホロコーストの悲劇を未然に防ぐことができると思った
からだ。
 タイムマシンで1994年の、オーストラリアにある小さな村に到着した科学
者は、村はずれの空き地で遊んでいる五歳のヒトラーに何気ない風を装っ
て近づいた。辺りを見回し、人気がないのを確かめてヒトラーの首を絞めた。
しかし青ざめていく子供の顔を見て可哀相になり、手を離した。
 彼には、まだ何の罪も犯していない幼い子どもを殺すことはできなかった。
たとえ、その子が将来大量殺人を犯すことがわかっていても……。
 彼は挫折感とともに未来へ去ったが、五歳のヒトラーは自分の首を絞めた
男の顔を、しっかりと瞳に焼き付けていた。その男は典型的なユダヤ人の顔
つきをしていた。ヒトラーがユダヤ人を恐れ、憎むようになったのは、このとき
からである。
しまった、オーストリアだった。
394名無しは無慈悲な夜の女王:03/05/09 23:26
典型的なユダヤ人の顔って・・・・w
黒い服着て黒帽子、顎髭
396勝手に続編スマソ:03/05/11 02:48
そそっかしい博士は大間違いをしていた。
1994年の、オーストラリアにある小さな村でいきなり「ヒトラーめ!」と
言われて首を絞められた5歳の少年は何が何だか分からなかった。
しかしその体験はトラウマとして残り、30年後の2024年オーストラリア
で暴力的カルト宗教集団が誕生した。
彼等は一様に黒い帽子、黒いアゴヒゲを生やし黒い衣装に身を包んでいた。
マスコミは彼等を『黒装束集団』呼んだ…。
397392:03/05/11 11:48
うわ、年まで違ってた(w
×1994年
○1894年

398山崎渉:03/05/22 01:51
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
399なんとか ◆TWHKVHnq42 :03/05/31 23:16
『寅よ、寅よ』

《手前生国を発します所葛飾柴又・・・》不朽の名作 フーテンの寅さん

おれの仕事は 平営業
そして日本はおれの国
四畳一間に住んではいるが
やがては死こそわが定命(さだめ)

この人物は、浅草 寅次郎。  下っ端サラリーマン、32歳、
太ったデブで鼻炎持ちのひ弱、親兄弟からはその存在すら疎ましがられ、
数少ない知人からは気持ち悪がられ、 金は殆どなく
そして270日間ひきこもりたがっていた。
職業: 営業。配達、集金、掃除係。ややもするとトラブルを起こしやすく、
冗談をいってもポカンとしているし、友達もまったくいないし、
人を愛するには怠け者すぎた。 彼の性格のとりとめのなさは
会社の上司の記録が示していた。

教育 ナシ
技能 ナシ
賞罰 ナシ
長所 ナシ

 ややもすると生きているのか死んでいるのか、頼まれた仕事を
嫌〜な顔して渋々やっている時以外の彼はまったく影が薄く、
ひねこびた童顔には永遠の微笑みが浮かんでいた。
只、それは他人に言わせると『きもいニタニタ笑い』らしいが。 
貯めた小金をちびちびと使って日々の憂さを晴らすこの男が
21世紀に於いて爛れた日本に大変動を引き起こす、その先駆けと為る。
400大網傘茸 :03/06/05 21:37
(4−1)
「無痛の世界」
タイムマシンで、100年先の未来へ行ってみた。
ハッチを開くと、すでにマシンの周りを数名の未来人が取り囲んでいた。
彼らは俺の姿を一目見るなり、のけぞると「うおお!なんて痛そうな人なんだっ!」と口
々に叫んだ。
それが未来人たちの第一声だった。
驚いた事に、未来人は頭のてっぺんに緊急車両に備わっている警報灯みたいな物を付けて
いた。おそらくその装置は脳にダイレクトに繋がれているに違いない。役目は解らないが
それは明るいブルーの光を放っている。
人間の機械化がここまで進んでいるとは、これぞサイバーパンク!しかしビジュアル的に
は相当にダサイ。まあ、それはそれとして、まずは先ほどの発言の意味を確認する事とした。
「やあ!はるばる21世紀初頭からタイムマシンでやってきたものですが、さっきから皆
さんが言われている「痛そう」とはどういう意味ですか?」
すると未来人は答えてくれた。
401大網傘茸:03/06/05 21:38
(4−2)
「ほう、過去の人だったのですか・・・、あなたが無痛手術をしていないのでびっくりし
たんです。我々の世界では「痛み」の感覚をハイテク手術により除去しているものですから」
俺は驚いた。そして考えた。
「痛みが無いという事は素晴らしい事ですが、病気になったり怪我をした時に痛みが無い
というのは実は危険ではないですか?」
「大丈夫です。病気や怪我の時には頭部の警報灯に変化が現れます。正常時はブルーなの
ですが、危険状態になればイエロー、さらにレッドへと変化します」
俺は納得した。ウルトラマンのカラータイマーみたいなものなのだ。それを持たない俺は
「痛い人」という訳だ。これでお互いのことがようやく理解できた。
言われてみれば街を歩く人々の警報灯は、それぞれ微妙に色合いが違っていた。
老人の場合イエローがほとんどだし、ひ弱で病弱そうな人や太りすぎの人もイエローが多
い。突然、小さなサイレン音が鳴り響いた。いったい何かと振り返ると、マスクを付けて
レッドの警報灯をつけた人が(たぶん)病院へ向かって歩いているところだった。
402大網傘茸:03/06/05 21:39
(4−3)
そう、未来では「痛み」の感覚は無くなっているのだ。素晴らしい「無痛の世界」なのである。
感動して街の様子を眺めていると。おかしな人が目に入った。
路地裏の方にひっそりと一人の老人が立っている。だが、その老人の頭の上の警報灯には
何色の光も灯っていないのだ。黒い警報灯である。
「あのおじいさんの警報灯はおかしいんじゃないですか?」
すると今度の質問には未来人はすぐに答えてくれなかった。同じ質問を繰り返すと。未来
人は重い口をようやく開いた。
「ああ、あれはなんというのか、実は・・・ゾンビなんです」
「ぞ、ゾンビ!」
「肉体が死を認知しないケースが稀にあるんです、まあ気にされない方が良いですよ」
一人がそう言い、その一言をきっかけに集まっていた未来人たちはそそくさと去っていった。
403大網傘茸:03/06/05 21:39
(4−4)
さて、俺に関する情報は、既に何らかの通信システムで街の住人間に知られているらしく、
興味本位で近づいて来る者はもういないようである。陽も暮れようとしている。そろそろ
帰ろうか、などと俺は考え始めていた。
だがそんな時、背後へにじり寄る男がいたのだった。迂闊にも俺は全く気が付いていなか
った。
強烈な悪臭に振り返ると、そこにはあのゾンビがすぐ後ろにぬっと立っていた。
未来人は嗅覚の機能も除去してしまっているらしい。でなければこの悪臭には絶えられな
いだろう。それほど酷かった。間近で見ると顔は白目で皮膚は不気味に爛れている。
腐った肉体を持つ男は、もはや人間のものとは思えない軋んだ声で俺に絶叫した。
「ウオオっ!ナンテイタソーナヒトナンダ〜っ!!」
・・・おまえにまで言われたくないよ。           (4点)
404大網傘茸:03/06/05 21:47
「砂漠にて」

砂漠のど真ん中に一人の若者が倒れていた。服装はボロ雑巾のようになり、くの字に曲が
った体は微動だりせず、もはや一見しただけでは生死さえも判らない状態であった。
生きていたとしてもどのみちこのままでは長くはない生であろう。
奇蹟が起こった。
そこへ一台のジープが通りかかったのだ。
ジープは若者を発見した。中年の男がジープから降りてくると、すぐに砂に埋もれかけた
若者の上半身を引きずり起こした。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
若者はまだ生きていた。しかし、目は虚ろで口からは思うように言葉が発せられない。
「・・・たのむ。・・・み、みずを、くれっ」 それだけ言うと若者は意識を失った。
「待ってろよ。今すぐ用意してやるからな」
中年の男はジープに戻ると、ゴソゴソと荷台の中から半透明のポリ容器を引っぱり出した。
ふたたび若者のところまで戻り、意識を失っている若者の頬を張り、たたき起こした。
「おい起きろ、今持ってきたぞ!」
ミミズだった。
若者は口をパクパクして何かを言おうとしていたが、声にならなかった。
「礼には及ばんよ」そう言って、無情にも中年の男はジープで去って行った。(2点)
405名無しは無慈悲な夜の女王:03/06/07 13:40
ttp://briefcase.yahoo.co.jp/clumsy_writer2003

とりあえず、こいつの痛い文章をまともな文章にしてくれ。
そのトイレは使用中のみ外の時間が止まる異星人製のトイレであることが
分かっている。MIW工科大学の科学者の実地調査によれば
使用中の定義とは洋式便座において一般に陶器が使用されている部分
のうちがわに排泄物が落下している最中であることが分かっている。
排泄物の運動エネルギーと便器内の何らかの場の力の相互関係による
ものと理解される。
407大網傘茸:03/06/07 21:51
(2−1)
「依存症の女」
カウンセリングの仕事は端から考えるほど楽ではない。
たとえば、患者が抱える病状の分類分けが実に複雑であり、幾つもの要素を踏まえて分析
をしていかなければならない。実際、何らかの症候群を複数抱えている場合もあり、明快
に病名を断言出来る場合はむしろ少いくらいである。そう、心理学というものは特別な研
究法など何も無い分野であり、私のようなベテランのカウンセラーでさえ、経験だけでは
解答が見いだせない事は数多い。悲しいかなそれが現実だ。
今日訪れた女性の場合、心の問題だけを取り上げてカルテを作成する事に、いささかの躊
躇いを感じた。最初に話しを聞いてみると、ごくありふれた「依存症」の一種であると思
われたのだが、患者の話を聞き進むうちに、対外的な要素にこそ核心に触れるものがある
事が解った。
「ええ、そうなんです。やめようと思っているんですけど、夫、子供を送り出して家にい
ると、何もする事が無いし、・・・昨日の負けを取り返そうと思って、ついパチンコ店に
向かっている私がいるんです」
「お金はどうしてるんです」
408大網傘茸:03/06/07 21:52
(2−2)
「最初はへそくりとかでやってたんですが、足りなくなってくると、主人の給料から、月
20万ぐらい使い込んだりして・・・そんな状態が2年ぐらい続いているかしら」
「その事をご主人はご存じなのですか」
「いいえ。でも最近はそれだけじゃないんです。サラリーマン金融っていうんですか?そ
こからだいたい週に5〜6万円ぐらい借りてるんです。」
「いけませんね。・・・でも、勝ち続けることが不可能としても、たまには勝つこともあ
るんでしょう?打ち続ける限りは負け続ける事も不可能なわけですから」
「それが、不思議な事なんですが、ここ1年ぐらいずっと大当たりがかからないんです」
「そうなんですか」
「私はやっぱり「パチンコ依存症」なんでしょうか?」
「いや、違いますね。私も最初はそう思っていましたが・・・」
私は自信に満ちた声で断言した。
「あなたの場合はもはや、「パチンコ大損症」ですな」
患者はカンカンに怒って帰っていった。このようにカウンセリングの仕事は端から考える
ほど楽ではないのである。    (3点)
自動的に文章書き込む自動スクリプトみたいだな。

大網傘茸は
410名無しは無慈悲な夜の女王:03/06/29 02:47
テッド・チャンの「理解」のラストがよくわからない。
何故「理解」と言われて主人公は死んだんですか?

…ってかスレ違いか
「ぶんちゃかぶんぶん、ぶんちゃかぶん。」
中小企業診断士が呪文を唱えると
渋谷からチーマーとコギャルが絶滅した。

「すちゃらかぽんぽん、すちゃらかぽん。」
中小企業診断士が呪文を唱えると
東京23区内から外国人労働者が姿を消した。

「ぽこぺんぽこぺん、ぴこぽこぺん。」
中小企業診断士が呪文を唱えると
日本中の工場という工場から在庫が消えた。

「するーぷっと!ぼとるねっく!」
ゴールドラットが呪文を唱えると
日本人は全員、東を向いた。

向く方向が逆である。
遥かな、とてつもなく遥かな未来。
人類はからくも進化と進歩を繰り返し、光を超え、時空をも越えることに成功した。
そして我々の子孫達は、遂に宇宙の果てへと辿り着いた。
だが。
そこに存在したのは、明らかに何者かによって造られたと思われる、”壁”だった。
いつまでも、どこまでも、続いていくその壁・・・彼らは更に膨大な時間を費やし、その”壁”を
調べ尽くした・・・

”壁”は、信じられないことに、宇宙空間の外郭とでも言うべきか、宇宙全体を覆っていた。
さらに驚くべきはその性質。
”壁”は極限に達した人類の文明・技術をもってしても、何一つわかりはしなかった。
何一つ、である。
これは人類にとって、屈辱の極みでしかなかったが、この後数万年に渡る調査を続けても
人類には何も理解ができなかったので、そのうち彼らは何もかもあきらめた。

人類は、宇宙帝国を建国し、ありとあらゆる銀河の、ありとあらゆる惑星の征服を完了・・・
この時代、人類にはもう宇宙の中に知らぬものはなかった。
かつて先祖たちが「地球の外」に夢を抱いていたように、彼らも「宇宙の外」に夢を抱いていたが、
人類はもはや、宇宙に引きこもることしかできないのだ。

その後、人類はその総意のもと、不死の体を捨て、滅びる事を選んだ。

”壁”は無慈悲に、宇宙をとこしえに覆い続けていた。
413名無しは無慈悲な夜の女王:03/06/29 15:37
カタルシスがないな…
414名無しは無慈悲な夜の女王:03/06/29 18:23
あなたが探してるのってこれだよね?でも眠れなくなるよ!
http://nuts.free-city.net/index.html
古拙電脳期Uにおける記録円盤の内容についての覚書

先ごろ古代の地層から発掘された多量の記録円盤は古拙電脳期Uに属するものと判明した。
記録円盤は炭素系高分子化合物の円盤に塗布された有機色素に光学的に変化を起こさせる
という、極めて原始的な方式で行われているもので、同じ時代の地層からは本惑星全土から
出土しているタイプの円盤である。

内容を取り込んで解析したところ(生データの閲覧はK-29pf/882KDaから取得可能)、データの
9割は卵子提供個体の皮膚画像およびそれと精子提供個体との結合画像(静止画像を短期間
にて更新することによる擬似的な動画像を含む)からなる事が判明した。

これにより、古拙電脳期Uにおける記録円盤のほとんどがこの皮膚画像と結合画像であること
という説が補強されることとなった。

この時代の個体群がなぜこれほどまでにこれらの画像を記録しつづけたのかについては諸説
あり決着がついていない。一説によれば、この時代の個体群はこの接合により子孫を残したの
ではないかといわれているが、それでは記録に卵子提供個体同士の結合、精子提供個体同士
の結合の画像が含まれていることの説明がつかない。また、ひも状のもので固定されたり吊る
された画像、幼体の皮膚画像がかなりの割合を占めている事も否定理由の一部である。

やはり、われらが祖先種の行動様式の解明には更なる発掘と解析が必要なようである。

(太陽系第三惑星考古学研究チームより帝国首都科学アカデミーに送られた通信203号)
416菅原キリコ:03/07/01 02:08
はじめまして、たまたま偶然ですが、
ちょうど短編SF書いてました。
というよりゲームなわけですが・・・

http://yumemi.sytes.net/kirico/

宜しければご覧下さい
417名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/01 14:48
同人SF? キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>415
ネタ的にはありふれている。が、不覚にもチョトわろた
419名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/01 17:40
すあまを買った。
数えてみると、紅白同じ数だけあった。
次の日仕事から帰ってきてすあまの様子を見ると、
白が一個少なくなっていた。
奇怪に思いながら、紅を一個食べた。
うまかった。
朝見てみると、また白が少なくなっていた。
こうしてすあまは減ってゆき、その晩には紅白一個ずつになった。
朝見ると、やはり白がなくなっていた。
そこで、最後のすあまを食べようとつまむと、
紅の影に小さな紅白のすあまが並んでいた。
小さいのは育つまで待つことにして、
紅いすあまをほおばった。
うまかった。
>>415
藁田。この書き方で2次元萌え絵はどう表現されるのだろうか…。
421名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/12 14:49
           |え〜、なんかまだ燻ってるようなのでなんか言っとく。
           |板を作るのは「2ちゃんねるのえらいひと」だけど
           |その板をどうしていくかってのはそこに集まる住人で決まっていくもので。
           |その住民の世論として「ワナビの人はなんか一般住人とは違うなあ」という
           |思いがあって、「カテゴリ的に創作関連の話題は板違い」という
           |一理ある意見でその思いに理論武装がされちゃってる以上、
 _  _ _     .|「板住人から板違いと言われる」のはもうどうしようもないと思う
l lァく`!〕  ヾ]  |これはもうその説が正しいとか間違いとか言うのとは別の話。
ヽ! K/ ノノ)ノ)〉 <板の住人がそう信じてるから言われる。
  ! l、!!゚ ー゚ノ |Vヽ.\_________________
 ̄l l⊂)卯!つ_.   ヽ       /
  リハ!fく,/~),ヽ|´ω`l ━┳━<ま、信仰みたいなもんやな。
 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|__っ   ┃   \____
^~^~^~^~^~^~^~^~    .┻
422名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/12 14:57
>>420
電子演算装置による二次元絵画もしくは有機・無機塗料で描画さ
れた未成年皮膚画像であるが頻繁に機械的擬似人間個体画像も
見られる。
特に多いのはこの12式機械的擬似人間の画像であり緑色の頭
髪と金属耳が特徴である。
「幽霊」 1/2

昨晩のことだ。いつものようにTVを見ながらビールを飲んでいると、
一瞬、背筋がぞっとした。
何かと思い振り向くと、床から白いもやのようなものが這い上がってくる。
ようく見ると人の形をしている。見た目は女だ。
私は目の前の白い女をまじまじと見つめながらビールをまた一口飲み、聞いた。
「どっから入ってきた?」
その白い女はかすれた声で言った。
「私が怖くないのですか?」
「べつにあんたみたいな弱そうな女は怖かないよ」
「いや、そうじゃなくて、私、幽霊なんですけど」
そう言うと白い女は部屋を飛び回り、テーブルを貫通して見せた。
「幽霊」 2/2

「ほう、あんたは自分を幽霊だと言うんですね」
「ええ、そうです。だからどんな物も通り抜けれますし、飛ぶこともできます」
「つまり、物質の制限を受けないし、重力の制限も受けないということですよね」
「え・・・? たぶん、そうなんだと思いますが。幽霊ですし・・・」
「おかしいなー それじゃあ、どうやってここにいるわけ?」
「はい?」
「つまりね、物質の制限なしに通り抜けちゃって、重力の影響もないんでしょ。
 ということは地球は自転してるし、その上に公転もしてるし、宇宙は常に
 広がってるわけだから、あなたはここに居ることができずに地球をすっぽぬけて
 宇宙に飛び出しちゃうはずなんだよね」
「・・・・・・ああっ、なるほど!」
そう言うとその女はものすごい速さで私の部屋から外へ飛んで行ってしまった。
私は何事もなかったように、またビールを飲み始めていた。
「悪いことしたかな・・・」
>>422
研究チームはこの時代の人類は波長が400~760nm程度の電磁波を
感知する能力を有していたと結論づけた。
426山崎 渉:03/07/15 11:30

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
427名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/19 09:01
age
428ごった煮惑星 1:03/07/23 14:47
わが「無敵号」は、砂の惑星「キン・ザ・ザ」に不時着した。突然のイクストルの襲撃を
受け、何とか撃退したものの、コラプサー・ジャンプ駆動系が故障してしまったのだ。
この星は「宇宙ヒッチハイクガイド」にも乗っていなかった。修理にはX金属がいるが、
持ち合わせがない。しかし、墜落の途中、近くに都市があるのが見えていた。あの都市で
調達できるだろう。
外は砂漠だった。水分凝結服を着る。私の見積もりでは約3時間の行程。私は都市のある
べき方角に歩き出した。途中砂蟲に出くわして少し時間を取られたが、なんとか都市にた
どり着いた。赤と青の二重太陽がだいぶ傾きかけていた。

しかし入り口がわからない。完全に密閉されたドーム状になっているのだ。入りあぐねて
いると向こうからポク、ポクとひずめの音を響かせて三本脚の異星人がやってきた。頭は
二つあるが、脳は二つ頭の付け根のもじゃもじゃのたてがみの下にある。ふるいつきたく
なるようなコントラルトの声で彼は言った。
「あなたはこの都市の入り口を探しているのですね?私がそれを知っています。私は中で
用事があるのですが、もしあなたが私のガードマンとして同行してくれるのなら、教えて
あげましょう。」
私は引き受けた。しかし道案内といいながら、その異星人は私の後を歩く。私が襲うとで
も思っているのだろうか、臆病な奴だ。

都市の中は、永遠の午後の日差しが差し込んでいた。
驚異の自動走路を走り、我々は「カンティーナ」というバーに入っていた。中は薄暗く、
さまざまな宇宙人種で満ち溢れている。相方は言った。
「ここで私の用事の相手を待ちます。温めたにんじんジュースは飲めますか?」
私は首を振り、タルカロスのストレートを注文した。
ガードマンといっても、今のところすることは別にない。私はとりあえず店内を見回した。
バーのカウンターでは、青く体にぴったりな服を着た赤マント男(胸に大きくSの文字)
と黒ずくめのコウモリのコスプレ男が、くもの巣模様のタイツ男に酔って絡んでいる。く
もの巣男は迷惑そうだ。
429ごった煮惑星 2:03/07/23 14:51
隅のテーブル席では、大男と赤い宇宙服を着たままの男が何か話している。大男はかなり
豪胆な奴らしい。たまに歯をむき出して笑う。相手の赤宇宙服男はほとんど相槌を打つだ
けで、何か熱心にメモをしている。筆まめな奴らしい。窓際の席で、長い髪の女と角刈り
の男(なぜかカビだらけ)が、デ・ジャ・ヴュと浦島太郎と学園祭前日の関連について話
をしている。俺の背中側では、内緒で連れ込んだ猫にジンジャーエールを飲ませようとし
た客がウェイターともめている。
本当はこんなことをしている場合ではないのだが。はやくX金属を入手し、「例の情報」
を得るための旅を続けなければならないのだ。しかし約束だからしょうがない。

相方の用事の主は、少し遅れてやってきた。一人は右手にレンズをはめ込んだ男で、もう
一人は透明金属の箱に入った脳だけの男だ。こちらは見えない力線で宙に浮いている。
用事とはかなり危ない内容だった。どうやら、人間の血球を人工進化させたバイオチップ
を、どのように宇宙全域にばら撒くか、を計画しているらしい。
「第二ファウンデーションの出方にも気を付けないと…」
「いや、それより『エス』の動向が気になる…」
「R.U.R.対策は当然考えているんだろうね…?」
「収容所惑星には、既に話はつけてあります…」
「『シ』に関する問題は解けたのかね…?」
ひそひそと話は続く。私は特に興味もないので、タルカロスを飲み干すと、店内をまた見
回しはじめた。くもの巣男は逃げたらしく、赤マント男とコウモリ男は今では何か優男に
絡み始めていた。優男は引きつった顔をしている。こういうタイプは実は切れやすいのを
私は知っていた。右側のテーブルでは、一度絶筆したSF作家が、文壇においていかにS
Fが不当な扱いを受けているかをバルカン人相手にくどくど説教していた。
430ごった煮惑星 3:03/07/23 14:58
わが相方たちの悪だくみは、ほぼ計画完成まできたようだった。
「では、実行の日取りは…」
とそのとき、ものの砕ける大きな音がして店内にグラスや液体が散乱した。カウンターで
緑色の大男が両手に赤マント男とコウモリ男を引っつかんで振り回して暴れているのだ。
どうやらさっきの優男が怒りのあまり興奮して変身したらしい。
ファンファーレの鳴るような声を上げると、私の相方は一目散に逃げてしまった。これで
はガードマンどころではない。店内は大混乱に陥っていた。逃げる客、戸惑う店員、悲鳴
を上げるホステスたち。そんななか、ボッコちゃんだけが平然としていた。
阿鼻叫喚の中、私はそこに意外な人物を見つけた。全身刺青の男。額にはNOMADの文
字。奴がこの惑星にいるのだ!ということは、記憶屋も近くにいるはずだ。慌てて私は彼
を追いかけようとしたが、振り回されて落ちてきたロビタをかわしているうちに見失って
しまった。

なんとしても記憶屋を探し出さなければならない。それが私が「無敵号」で長い探索の旅
を続けてきた理由なのだ。
自動走路を走っていると、道端で知性化されたイルカとオッベルの象が碁を打っていた。
「この辺でこういう奴を見かけませんでしたか?」
私は記憶屋の特徴を詳しく話した。イルカたちは知らなかった。その後、ヒーチー人、ボ
ディが三分割する分析用ロボット、チーラ人、液体金属製の殺し屋に会ったのでそれぞれ
聞いてみたが、やはり知らなかった。
そろそろ諦めかけた頃、箒を持った丸眼鏡の少年がいたので駄目元で聞いてみた。
「ねえ君、こんな格好の奴、見なかったかな?」
「見たよ。講演会を聞きに行ったら居たよ。」
「本当かい?それは何処だい?今もやってるのかい?」
彼は丁寧に場所を教えてくれた。隣で聞いていた少女がじれったそうに言う。
「ねえハリー、もういいでしょう?早く誰もいない静かなところへ行きたいわ。」
というと少年の手を引っ張って連れて行った。ませた子だ。
私は中に入らず、講演会場の出口で記憶屋を待ち伏せすることにした。特製の帽子をかぶ
る。これをかぶると、周囲の人にはかぶった人が単なる石ころのように感じられ、意識か
ら除外されるのだ。
講演会のポスターは「火星のプリンセス」の扉絵だ。最初の議題「地球から月へ」が終わ
り、チャレンジャー教授の探検報告に移っていた。チャレンジャー教授は傲慢な男で、観
客から手ひどい野次を受けながら、さらに観客を挑発するような言動をはきつづけている。
混乱に収拾がつかなくなった頃、教授は最後にとっておいた証拠品を取り出したらしい。
何かものすごい音がして、観衆たちから悲鳴とどよめきが聞こえた。しばらくした後、一
つだけ開いていた講堂の窓から、翼竜が飛び出して悠々と飛び去った。
しらけたような会場から、聴衆たちが去ってゆく。出てきた聴衆の中には、ムカデ型宇宙
人やたこ型火星人、果ては3本脚の植物までいた。私は辛抱強く記憶屋を待ちつづけた。
と、最後のほうになって、ついにそいつを発見した。後をつけ、人気のなくなったところ
まで待ち、後から襲い掛かった。
記憶屋は抵抗したが、私の敵ではなかった。裾から手を突っ込んで強引にリセットスイッ
チを押す。そして記憶強制読み出しモードで再立上げした。記憶屋といっても所詮は人型
パソコンだ。「ちぃ…」と弱々しくつぶやくと、記憶の内容を素直に吐き出した。

私は翌日早く、キン・ザ・ザを旅立った。
X金属自体は簡単に手に入った。修理も簡単だった。そして何より、記憶屋から私がどう
しても欲しかった情報を手にいれることが出来たのだ。

「交叉時点」への行き方とその座標。

私は既にそこへの途上にある。もちろん、そこについたら、私は、愛を叫ぶつもりだ。
432名無しは無慈悲な夜の女王:03/07/25 20:02
超低速の粒子が発見された。24時間で1mmしか移動しない今までの
物理法則には当てはまらない奇妙な粒子だった。もっと変な点としては
運動量と質量のバランスか慣性法則を強く受けている事だった。
つまり、地球の自転についてゆっくり広がっていく性質の物だった。

特定の偏向電磁場を掛けると発生してから特定時間の粒子だけを選択して
検出する方法が発見されると、驚くべき実用法が考案された。
過去の観察である。40年以上は拡散され無理だったが、現場を
超伝導の磁気柱で囲むことで、当時何があったか見ることが出来るようになった。

もちろん莫大な費用がかかるが、犯罪では裁判費用に上乗せする法案が
成立すると、裁判中の被告は、素直に罪状を認めるケースが続出だった。
和歌山の某カレー事件は、被告が認めず実際に過去を見聞することになった。
設置後、調整されたモニターに写っていたのは、父親と兄弟がカレーに投入して
いる場面だった。読唇術によると「捕まれやババァ!」っと罵っていた。
433名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/04 14:54
倉庫落ち反対レス
434名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/05 13:49
『世界の中心でアツイと叫んだ男』

 彼には幼いころからテレポート能力があり、どこでも好きなところへ瞬間移動する
ことができた。
 ある日、彼は思い切って世界中で一番日本から遠いところ、すなわちブラジルへ、
テレポーテーションしてみようと思い立った。
 彼はリオのカーニバルで肌も露わに踊っているブラジルの女の子たちを思い浮か
べ、ニヤニヤしながらブラジルへと跳んだ。
 彼は自分の力を過信していた。彼の能力では、その半分の距離しか跳べなかった。
 半分の距離、つまり日本とブラジルの中間地点、そこは地球の中心核だった。
「熱い!」そう叫ぶ間も無く彼は燃え尽きた。
435名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/05 17:11
 「デリケイトな進化」

6754年春、電子脳が誕生した。あらゆる状況、事象に対して合理的、効率的にしかし人間らしい
判断を下せる最高の脳である。しかもその値段は大金持ちなら一括で購入でき、一般人でもローンを
組めばなんとか購入できる額であった。
 皆、こぞってこの脳を購入し、手術により新たな脳を手に入れた。人類は進化したのだ。実際、世の中は
実にうまくまわった。しかし同年夏、猛烈な暑さにより電子脳はショートし人類は滅亡した。手術前の脳が
どうしようもなく馬鹿であったことが証明された。
436名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/05 17:32
 「有意義なツアー」

 「パラレルワールドツアー」に俺は参加した。この世界ではうだつのあがらないサラリーマン
の俺だが、別の俺はものすごく偉大な人物かもしれない。そうであるなら、すこしは救われるというものだ。
俺は俺に会うことにワクワクした。
しかし、幾つかのパラレルワールドをまわったが俺はやはりなんの才能もなく、個性もなく、ありふれた、よく
あるタイプの、極々一般的な、うだつのあがらない、ただのサラリーマンだった。俺は俺の存在意義を疑った。
俺は無意味な存在なのではないか…、どの世界にも俺は必要無いんだ…。俺はやりきれなくなり自殺した。
この、パラレルワールドツアーに参加した者が自殺することが多い。原因はよくわからない。
437名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/05 17:50
 「自給自足」

 ああ、うんこしてえ。俺は青い錠剤を飲んだ。俺はクソをした。すっきり。
俺は銀色の上品な便器からうんこを慎重にとりだした。
「パパ、お腹すいた。なにかおやつはないかしら?」
娘が俺にウルウルしたかわいい瞳で話し掛けた。かわいい奴め。俺はうんこを娘に差し出した。
「ほうら。チョコレイト味だよ。出来たてだよ。」
「わあい!」娘は俺からうんこをふんだくり、「おいしい。はあはあ。」とむさぼり食った。
 地球上の人口は現在、300億人。人はわずかな食料を支給され、便をするときに特殊な錠剤を
飲む。こうして排出された便は飲んだ錠剤の種類に応じ、様々な味の「食料」となるのだ。俺は
娘のおやつのためにチョコレイト味になる錠剤を飲んで大便をしたのだ。
「パパ、のどがかわいたな。マミ、出るかい?」
「うん。待ってて。」
娘は錠剤を飲み、トイレで尿をした。娘はパタパタと尿の入った容器を持ってきた。
「ハイ!パパ!ぶどう味だよ!」
俺はその尿を飲み干した。
 なぜだろう。俺はうんこを食わせたり、尿を飲んだりすると、陰茎が勃起する。
438開発者:03/08/06 02:45
『孤独』

「なぜ、人類は宇宙開発をやめてしまったのでしょうか。あのとき議会で予算縮小案が通らなければ、人類は助かったのかもしれないのに。」
「仕方があるまい。あの時の人類は目先のことでいっぱいだった。極端な人口爆発、環境破壊、宗教問題からの戦争まで、いっぱいありすぎた。」
「確かに今程ではないとしても、危機的な状況は何度もありました。ですが、それらは全て解決出来たではないですか。」
「私に言わせればそれは全て偶然だ。人口爆発は突如現れた致死性の高いウィルスのせいで逆に人口が減少しただけだ。」
「ですが、そのウィルス研究のおかげで生体工学は発展。植物の大量培養や人口抑制が制御出来るようになったのではないですか?」
「何もしてないのに突如オゾンホールが塞がったこともあった。」
「その原因を究明する過程で、副産物として大気清浄プラントが出来たのではないですか!」
「宗教などもっと悪い。いくら危機的状況が続いたからといって、あんな新興宗教が出てくるなど・・・。」
「ですが、あの『ガイア教』のおかげで、宗教は統一されたようなものです。あと残っているのは先生や私の様な無宗教派だけですよ。」
「とにかく、今までのは全て偶然で人類が助かったようなものだ。しかし、今回のは・・・」
「確かに、偶然を期待することは出来ませんね・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
439開発者:03/08/06 02:47
「・・・ところでこの最後の時に、儂のような年寄りと一緒で良いのかね?」
「先生を尊敬していますから。」
「だが、何年も二人きりだったではないか。今ならだれも非難する者はおらん。街まですぐだぞ。いままで、他の人間に会いたくなかったわけではあるまい。」
「ええ。カメラを街に向ければ手が届きそうですからね。何度、人恋しくなったことか。街の人々に思い焦がれたことか・・・。ですが、不思議なことにいつでも行けるようになってからは、そんな思いも薄れてきまして。」
「ふむ。人間とは不思議なものだ。手に入らないと欲しくなるが、手に入れたとたん、興味を失う。人が長時間孤独に耐えられるのは、その気になればいつでも人に会えるからなのだろうな。」
「先生はどうなのですか?」
「儂は長い間一人でいたので、孤独にはなれている。最初から手に入らないと思えばあきらめもつく。」
「・・・宗教も孤独や恐怖に耐えるのにはちょうどいいですね。特に今みたいな状況では。」
「・・・その宗教だが、『ガイア教』の教義内容を知っているかね?」
「詳しくは知りませんが、地球を神に例えた宗教ですよね。」
「いいや。地球は生きている、というのが彼らの考えらしい。大昔の学説が元になったらしいのだが。」
「そうでした。ですが、彼らはそれを自分たちの良いように変えています!地球は生きていて、人類とコミュニケーションを取りたがっている。人類が危険に直面したら地球が助けてくれる!だから地球に救いを求めるなんて!」
「あの状況を人類が自分達の力で切り抜けたのに救いが必要なのかね?」
440開発者:03/08/06 02:54
「切り抜けたのがいけなかったのです。問題が次々に解決したのだから、宇宙開発やその他の計画を再開しても良かったはずなのに、しなかった!人口抑制技術のおかげで無理に宇宙に進出する必要性が無くなりました。
環境改善による、いごごちの良い地球を離れたがる者はいなくなり、危機的状況からの反動のせいか、誰もが好き勝手生きることに熱心になりました。
多少手に負えない問題が起きても過去に比べれば大したことはない、何とかなる、ですましてしまいます。その行き着く先が『ガイア教』ですよ!」
「だが、一概にでたらめとは言えまい。さきほどウィルスの出現やオゾンホールの消失など、偶然とはいえ危機的状況の打開と文明の向上に役だったと、君が言ったではないか?はたして本当に偶然だったのかね?」
「どういうことですか先生?いつからガイア教徒になったのですか!?」
「まあ聞きたまえ。実際、地球は生きている様にも見える。恒常性があるように見える。人類が一部の環境を破壊すると、連鎖的に全体が悪くなる。
まるで病気にかかったみたいに。しかも自力で癒すこともできたわけだ。さらに単細胞生物を何億年もかけて人類まで育てた所業はまさに『母なる』地球と言えるのではないかね?」
「ですが、過去に生物が大規模に絶滅したことも何度もありました。」
「それは考え方を変えてみればどうかね?どんなに愛し合っていても、喧嘩をしたことがない恋人達などはいないはずだ。飽きたり浮気したりするの人は大勢いるだろう?
子供をしからない親などいない!だが母親はどんなに出来が悪くても、自分の子供を簡単には見捨て無いはずだ。」
「・・・。」
441開発者:03/08/06 02:56
「この考えを少し広めてみようではないか。地球だけが生きているのだろうか?現在のところ、地球外生命体の存在は確認されていないが、他の恒星や惑星も生きていると考えられないだろうか?
無機的ではあるが、天体現象は実に様々に富んでいる!衝突したり、離れたり、爆発して死んで、かわりに新たな星が生まれる・・・まるで人生みたいではないかね!?」
「それは全体からみたらごく一部の天体だけです。」
「君だって始終感情的になっているわけではあるまい。それに星の寿命は人間と比べものにならないほど長い。時の流れが違うのだ!その殆どは、他人と着かず離れず微妙な関係を保ち続けているのだろう。」
「・・・。」
「しかし、変化が少ないのも確かだ。目に見える範囲を回っているとはいえ孤独感を感じることもあるだろう。地球はそれ故に人類を、地球上の生命体を滅ぼすようなことはしないはずだ。寂しさを紛らわすために・・・」
「・・・。」
「しかし、殆どの天体は生命体がいないため、我慢するしかない。最初から手に入らないとなればあきらめもつくだろうがな。儂と同じように・・・。
だが、手にはいる可能性があるとなるとまた別だ!特にすぐ近くにおり、目に見えるともなれば・・・」
「どういう意味ですか!?」
「君も言ったではないかね?覗けば手が届きそうな程近いのに会えないため、人恋しくなると。」
「まさか!?」
「ましてや、かつて何度か人類に訪問されたことがあるとなると、そのときの興奮を容易に忘れることは出来ないだろう。
しかも、根気よく待っていればいずれ人類が大勢訪れて来るはずだったのに、肝心な人類の方が興味を失ったとなるとその悲しみはいかほどか!ましてや、見ることだけが出来るとなると、生殺しのようなものだろう!
長い時の中で滅多にない興味を引く存在!自分達を理解しうる可能性のある知的生命体ともなると!」
「ではまさか!先生はこの災厄は偶然ではなく、意図的なものだとでも!?」
「おそらくは・・・あまりにもまだ若い彼は、孤独に耐えられなかったのではないだろうか・・・」
そして二人は、空を見上げた。
天上には太陽の十数倍の大きさに膨れ上がり、さらに接近し続ける月が見えた。
ほうほう
なかなか・・・
443名無しは無慈悲な夜の女王:03/08/11 12:46
age
444山崎 渉:03/08/15 21:50
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
445山崎 渉:03/08/15 23:04
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
「代償」

 その微生物は、最初、取るに足らない生物だと思われていた。もちろん全ての生物は裡に驚
異を宿しているし、生命に価値の差はない。
 だが結局のところ、脳を使って事象を観測する以上、人間は物事に重み付けをせずにはいら
れない。その基準は主に「人間の生存に有利に働くか否か」である。つまり、人間にとって有益
な牛や豚・鶏などの生物や、逆にひどく有害な毒蛇やシロアリといった生物は重要であるとさ
れるわけだ。
 そこから考えると、その微生物は、明らかに「毒にも薬にもならない」その他大勢の一種であ
ると思われた。アマゾンの木から発見された、最初だけは。

 21世紀中頃、前世紀からSETI@HOMEなどで行われてきた分散コンピューティングは隆盛を極
めていた。さらにゲノム の解析の画期的高速化・安価化と役割分担の究明がコンピュータシミュレ
ーション上で行えるシステムの開発成功も相まって、DNA の解析は前世紀終盤から今世紀初頭
にかけてのような企業と国家に隠蔽されたものではなく、もっとフリーでオープンなものとなっていた。
 そんなある日、シベリアに住む一人の少女の下に奇跡は舞い降りた。彼女が携帯電話の画面の
片隅に突如現れた赤いマークをクリックすると、解析ソフトのウィンドウがアクティブになり、そこに
はこう書かれていた。「重要度:最大 近似する遺伝子:なし ただちに自分のマシンにこのデータが
配信されたことを証明するログを以下のアドレスに送ることを推奨します」。
 そしてシベリアの凍てつく夜を弱々しい朝日が切り裂いた時、少女は世界で最も有名な人物の一人
となっていた。

 その微生物の遺伝子は、正にスリーセブンを当てたスロットマシーンのようだった。眠っているスイッ
チをON にしてES 細胞に埋め込んでやれば、牛以上に美味で育てやすい巨大軟体生物にも、屍を一
ヶ月ほどで効率のいい燃料にしてしまう微生物にも、とにかく、人類が望むもの全てを与えてくれた。
 そして20年ほどたち、至上初めて食糧危機が根絶された地球に、公転軌道面から二天文単位ほど
離れた場所から通信が送られてきた。彼らは、自分達を知的生命体だと説明し、ありとあらゆる情報を
送ってきた。
 狂乱、歓喜。
 やがてその宇宙船は極軌道にのり、初めて彼らはライブ映像で宣言をすると発表した。
 そして人類が期待の目で見守る中、彼らは高らかにこう宣言した。
「さあ、使用量をいただこうか。君たちがもはやそれなしには生活出来ないほど頼っている微生物、そ
の遺伝子著作権は我らにある。 二百万年ほど前、我らの探査ブロープにくっついていたものがここで
繁殖してしまったらしいが、君たちが利用していたという事実に変わりはない。あ、著作権を疑うなら銀河
開発事業団のデータベースを参照してくれ……参照方法は使用量を払ってから教える」

 これが、人類が海王星と天王星を失った顛末。
448ミステリ板住人:03/08/25 22:01
転載しておきます。

334 :ミステリ板住人 :03/08/24 21:07
試しに書いてみました。
「恐怖のスーパーカミオカンデ」(準備稿)
スーパーカミオカンデの前に佇む小柴。
小柴「ふはっはっはぁ・・(不気味な笑い)、このスーパーカミオカンデでさえあれば、
   世界は私の手に落ちたも同然だ」
田中「小柴博士!…あなたはいったい…」
小柴が不気味な笑みを浮べながら、振り向く、
小柴「やはり君だったのか田中君、どうだね、私と一緒に世界征服の絵を
  描いてはみんかな?」
田中「博士…あなたは間違っている・・」
小柴「なに!」(怒りの表情に変わる)
「田中君、もう遅いのだよ」、どこからともなく車椅子の男が現れる。
田中「ホーキング博士…」(驚きのあまり絶句する)
                            つづく
テスト
450大網傘茸:03/08/26 03:54
(6−1)
「死の世界」
    ハリー・ハリスンに捧げない。

死んで驚いたのはその大行列である。
とにかく長い。そして大渋滞。まだ俺が死んで間もない頃は、後方に人混みは無く、新入
り達の姿が染み出てくるように、フェードインする様も拝見できていたのだが、今や前も
後も黒山の人だかり状態。なんでも後方からの伝言では、大地震やら戦争やらで、もの凄
い勢いで人数が増えているらしい。
一方、前方からの伝言では肝心の「受付のゲート」がたった7つしか無いという。
全然、捌ききれてないではないか。
やれやれ、もう嫌になるほど待たされた。立ちっぱなしで足が棒になりそうだが、幸いな
事に足は無い。
「まだかよ〜」
「まだかよ〜」
「うるさい!」
451大網傘茸:03/08/26 03:55
(6−2)
もう永遠とも思えるほど待たされて、誰もがうんざりしていた。
しかし堪えきれずに、前の列に割り込もうとする者は殆ど居ない。それもそのはずで、頭
上に光る電光掲示板には「列を乱した者、問答無用で地獄行き」・・・の文字が目に入っ
ていたからだ。
ナメクジ以下のスピードであろうが、前進している事に変わりはない。ここは我慢。我慢。
・・・ってもう何億回思った事か。「まだかよ〜」
既に周りの連中とは会話のネタも尽き果てていた。だから、後方から伝わって来る情報が
何よりも嬉しかったのだが、これだけ列が肥大化しては、伝言ゲームと同じで意味不明な
内容のものが殆どであった。

それから何年が過ぎただろうか。やがて受付のゲートが遙か遠方にではあるが、見える様
になった。しかし、俺達は雄叫びをあげる気力もすでに無くなっていた。ただ、知らず知
らず涙がこぼれた。
452大網傘茸:03/08/26 03:56
(6−3)
そこから、さらに数年が過ぎた。ようやく俺は受付所に辿り着くことができた。
「お名前をどうぞ」
「ミステリ板住人です」
受付担当者はキイボードに名前を入力して検索をはじめた。
「ミステリ板住人っと。・・・ああ、ありました。あなた、地獄行きですね」
「え〜〜っ!」
「地獄行きです」
「俺、地獄に堕ちるような悪い事してません!」
「あなた生前にネットで荒らししてたでしょう。これが周りからひんしゅくをかってます
ね。ま、地獄行きは微妙なところではあるんですけどね」
「だったら助けて下さい」
「こまりましたね」
受付担当者の目が一瞬キラリと光った。
「なら、・・・ちょっと耳を貸してください」
俺は耳を寄せた。その時、次の順番の奴が怪訝そうにこちらを見ているのがわかった。
453大網傘茸:03/08/26 03:57
(6−4)
「いや、ここだけの話しなんですけど、死者のペースが早すぎて、実は地獄の定員が近々
満杯になりそうなんですよ。改善策も検討中ではあるんですが」
「ほう」
「あなた。マインドハンターになりませんか?」
「何ですか、それは」
「地獄へ堕ちた魂を抹殺するんです。ノルマは一週間以内に百人です」
「そ、それは殺人では?」
「もともと死んでる魂を無に変換するだけの事です。それに、一人殺せば殺人者ですが百
人殺せば英雄となります。英雄はもちろん天国行きです」
「あ、99人の場合は」
「地獄行きです。どのみちこのままでは地獄行きに変わりありません。さあどうします
か?」
「や、やります」
「ではこの契約書にサインを・・・。はい、そしてこれが使用する武器の「無イフ」です」
454大網傘茸:03/08/26 03:58
(6−5)
こうして一週間の間、俺は死に物狂いでマインドハンターとして戦った。
80人を殺したところで、すでに6日がたっていた。あと1日で20人を殺さなければな
らない。子供を狙いに絞っていたのが失敗だった。地獄に堕ちるほどの子供はそれこそ、
殺人犯が中心で、勘が鋭く背後をとらせないのだ。やたら噛み付くし。
最後の1日は老人を狙ったお陰で順調に殺人をこなしていった。すでに99人。あと一人
である。タイムリミットはあと10分程度。
目の前に広がる血の池では、どこかで見覚えのある男がぷかぷかと浮かんでいた。ネット
で悪名を馳せていた山崎だ!あいつが地獄に堕ちるのは当然だな。最後のターゲットは奴だ!
「山崎、覚悟ーっ!」
ぶすり、と「無イフ」を突き立てると。山崎は無へと変換され消えていった。だが突如そ
の下から何者かが浮かび上がり、俺は反射的に「無イフ」を突き立てた 。それは、ぼる
じょあだった。やれやれ。とりあえずノルマは達成した。
「時間切れです」
振り返ると受付の男が居た。
455大網傘茸:03/08/26 04:00
(6−6)
「残念でしたね」
「え?百人以上抹殺しましたが?」
「契約書を良くお読みになってなかった様ですね。百人と百人以上はイコールではありま
せん」
「そ、そんな。俺は地獄行きですか?」
「いーえ、検討中だった改善案が実行に移され、地獄の下に「重地獄」が建設されました。
101人もの人を抹殺したあなたは、その記念すべき「重地獄」行き第一号となりました。
ではこちらへどーぞ」
おれは尻を思い切りけ飛ばされ、深い奈落の底へと堕ちていった。  (0.5点)

>>448
ミステリヲタ的展開を希望。漏れあんたのことは嫌いではないよ。念のため。(藁)
456ミステリ板住人:03/08/26 12:04
>>455
リレー形式でやらない?
あなたは、もう少し肩の力を抜いて書いた方がいいような。
力作は良いのだが、力みが読者に伝わってしまうのはまずい。
神は大阪はなんばでうなぎを食べていた。今日は人と合う約束があった為であり家は寝屋川にある。
神は追加でミニうどんを注文した。その間にうなぎを全て平らげ後光を発散した。
調度昼時だった為神の頼んだミニうどんは中々来なかった。何を思ったかジャンボあげうどんをさらに注文した。
ミニうどんとジャンボあげうどんを啜っていると外で殺傷事件が起こった。犯人は人を壊してみたかったとわめいていた。
途中で満腹になりそのまま残した。殺傷事件がすっかり引いた後になってもまだ待ち人は来なかった。
神は持っていた杖でゴリゴリと地面を削ってヒマを持て余した。
「どうもどうも。遅くなりました」
「あのねー。まぁ良いんだけどさ」
「で、出て頂けるんですか我がテーベーエスの特番に」
「OKだからここ指定したんじゃないの。ちゃんと咀嚼したのかな知恵の実」
「はぁ左様ですか」
「あ。何か信用してないですね。俺怒らせたら怖いよ、あんたの局に雷落としてXヶ国語放送にしちゃうんだから」
「信用してますよ。でも現物を見ない事にはやっぱりどうとも言えません」
「仕方ないなぁ。じゃ今からやりましょ。何が良いかなぁ。火ぃくらいならミスターマリックでもやっちゃいますからね」
神は頭をぐりぐりとやりながら云々唸った。
唸り声が一桁を越えたあたりでそうかと指を鳴らす。
「じゃあ一瞬にして隼に変身するSFXな技を見せたげます。三、二、一、キュー」
「おお」
「あ。今思い出したんですけどこんなのも出来ますね。はいこっち注目」
神が変身した隼はPHSを八つ裂きにし、それを放り投げる。
すると放り投げたPHSは天に昇っていき幾つかの星になった。
「どうです、信用する気になりやがっちゃいましたか?」
神は元の姿に戻ってゲタゲタと笑って見せた。広げた手が四本になっていた為テーベーエスはまた面食らった。
「神はいたんですね。あわわわ」
「いたんですじゃない。いるの。神は死んだ等とほざいだ男は閻魔大王に舌を抜かれました」
「ちょちょちょ、こっちに来てください。話があります」
「良いでしょ良いでしょ。何なら悪魔君の声優でも引き受けますよ」
「そんな事よりもっと重要な事です!」
神は異常に興奮したテーベーエスを制す。こういう人種を放って置くと碌な事にならないと知っているからだ。
「まさか戦争やめさせろとか無茶な事を言い出す気じゃないだろうね」
「そうです! 何でわかったんですか!? まさか未来予知まで出来るんですか!?」
「汝神を疑うなかれ、いいから少し落ち着きなさい」
「失礼しました。しかしですよ。これで確実に世界平和が実現するって方法を見つけたんですよ」
「そーゆうロンギヌスの槍を手に入れますた的な有頂天が良くないんだってば。悪い事は言わないから落ち着きなさい」
と言って現物であろうと思われるロンギヌスの槍を手渡した。
「中東紛争が無くなるんです。私に名案があります。任せてください」
「……仏の顔も三度までって知ってる? あー。もう分りました。話だけなら聞いてあげます。お勘定してからだけどね。それくらいは我慢して下さいよ」
二人はお勘定だけ払ってそそくさとその場を後にした。
途中で神はたこやきとコカ・コーラを購入した。食べ難いので阿修羅の様になった。
「で何だいその名案って言うのは」
「あなたが教祖になれば良いんです。あなたが教祖になれば既存の宗教なんてメじゃなくなる」
「そんな事はBCの頃にやりました。わざわざマリアちゃんとこのお腹の中に潜り込んでン十年を目途にした計画だったけどねぇ。結果は知っての通り」
「そんな。でも今度は上手く行きます。時代は変わりました」
「大体戦争なんてさぁ、そんなの関係ナシに起こるんだよね。うん。じゃ、俺帰るから」

後日神がテレビを見ていると、あのテーベーエスが出ていた。
どうやらロンギヌスの槍を律儀に保存していたらしく、それを足掛かりに今は新興宗教の教祖という事だった。
「世界はこの槍の元に統一されるのです」
テーベーエスは槍から破壊光線を放った。
666 :ミステリ板住人 :03/08/25 19:25
「恐怖のスーパーカミオカンデ」(準備稿その2)
スーパーカミオカンデの前に佇む小柴。
小柴「ふはっはっはぁ・・(不気味な笑い)、このスーパーカミオカンデでさえあれば、
   世界は私の手に落ちたも同然だ」
田中「博士…あなたは間違っている・・」
小柴「なに!」(怒りの表情に変わる)
「田中君、もう遅いのだよ」、どこからともなく車椅子の男が現れる。
田中「ホーキング博士…」(驚きのあまり絶句する)
「グワッ!」、田中を睨み付けるホーキング博士
「ダアッ―」、田中に向けて怪光線を発射するホーキング博士
ドカーン!、田中がガス大爆発を起こす。
「シュワッチ!」、ホーキング博士が大空に向かい飛び去った。
スーパーカミオカンデの前で小柴がこれを見ている。
小柴「ホーキング博士か、いいところに出て来やがる。」  EDへ
来週もお楽しみに
( ゚Д゚)<・・・・・ポカーン?
462:03/08/30 07:46
惑星間を行き交う貨物船、その名もMas3876号が
消息不明になってから、既に一週間が経とうとしていた。
Mas3876号の持ち主の地球本部では捜索を開始した。

「こちらLar86号、Mas3876号、聞こえていたら応答せよ!」

しかし今日も何の応答もなく、捜索船Lar86号が飛び立ってから
すでに一ヶ月が経過した。 
463:03/08/30 07:50
「ちくしょう、今日も何の進展もなしだ!
 もう今日の捜索は辞めにしてしまおう!」

艦長がそう言うと、副艦長のケリーはたちまち不機嫌な顔つきになった。

「艦長、我々の目的は消息船の捜索ですよ。
 そう簡単にあきらめては駄目です!!
 それに、Mas3876号には、惑星パリスへと送るために地球が開発した
 秘密兵器が積んであるのです!
 このまま見つからないでは本部から何を言われるか、、、聞いてるんですか!?」

副艦長の叫びもむなしく、艦長は寝るとだけ言って自室へと戻っていった。
464:03/08/30 07:52
「全くあいつはうるさい奴だ。こんなに広い宇宙をこの
 一隻だけで探そうっていうのが土台無理な話よ。
 まあ、のんびり休暇が取れたと思ってゆっくり探すとするか」

そう艦長は呟くと、すぐにベッドにもぐりこみ眠りにつくことにした。
外ではドアをノックする音が聞こえるが、どうせ副艦長だろう。
艦長は防音カバーを耳にあて、深い眠りについた
465:03/08/30 07:57
どれほど眠りについたのだろうか?
ふと艦長の目が覚めた。

「ふわぁ〜、よく寝た。さあ、今日も適当に探してみるかな」

そう思った艦長が操縦席のある部屋に着くと、誰もいない。
今は地球時間でAM10:00.
とっくの昔に皆いつものこの場所に集まっている、いや、集まって
いなければならない時間だ。

「あいつら全く、、仕事を何だと思ってるんだ!!」

険しい表情の艦長はまだ寝ているであろう乗組員達を起こしに回ることにした。
この捜索部隊に結成されたのはわずか5人のチームだ。
しかし、皆それぞれの得意分野があり、それぞれがそのエキスパートでもあった。
まさに最強のメンバーがこの捜索に選りすぐられたわけだ
466:03/08/30 07:59
艦長は部屋を一つ一つ見て回った。
鍵の閉めてある部屋は合鍵を使い、開けて見た。
しかし、他の4人ともがどこにも見当たらない。
「まさか!?」
と思い、艦長は捜索船に積んである小型シャトルへと行ってみることにした。
なんと、小型船は一つも残っていなかった
467:03/08/30 08:01
小型船は全部で4つ常備しており、そのいずれもが1人乗りとして
設計されている。
その小型船は1つも残っていない。

「やられた!!」

艦長の想像が正しければ乗組員の4人はここにあったであろう
小型船を使い、地球に戻ったのだ。

「ちくしょうっ!!!」

艦長は何十秒かうろたえたけれどもすぐに平静さを取り戻した
468:03/08/31 23:59
「いやいや、うろたえる必要はなかった。
 私が地球に戻るときはこの宇宙船で戻ればいいんだからな、
 ハッハッハッ・・」

その高笑いと共に、艦長はとある事実に気がついた。
この捜索船が地球を離れてから一ヶ月が経過している。
もしも他の4人が小型船で地球に戻るとして、果たして食料を
この船から持っていかないということをするだろうか・・?
いや、最強のメンバーたるもの、そんな初歩的ミスを犯すわけがない。
艦長は食料庫へと足を向けた
469:03/09/01 00:06
食料庫の中に入り、2分としないうちに艦長は部屋の外へ出た。

「ちくしょう、なんてこった・・。あいつら、なんてことを・・・」

そこには絶望に満ちた艦長の姿があるのみだった。
彼は食料もなしにこの広い宇宙を飛び回らなければならなくなった。
彼が生きて地球に帰る方法、それはどこか他の惑星に寄り、食料を
分けてもらうしかない。
しかし、この宇宙時代において簡単に他の惑星の生物に物質を提供する
生物など居なかった。彼らもまた、自分達以外の生命体を敬遠する節は
あったし、仲良くなどと言ってもそれはあくまで、惑星間の絆という程度であった。
だから、たとえ艦長が食料をくれと言っても、他のものを代わりに提供しろと
言ってくるに違いない。その前に、艦長は宇宙語が全く話せない・・
470:03/09/01 00:12
「とりあえず、どこかの惑星に着陸してみよう・・・」

そう呟いて艦長は操縦席に戻った。
宇宙船の操作には少なくとも3人はいる。
操縦桿を持つ者、着陸位置などの座標を見る者、そして全体指揮をする者。
この場合、艦長はこの作業を一人でしなくてはならない。
この船に乗っていた他の4人は、間違いなく一流と呼ばれるだけの素質があった。
事実、彼らと航海をしていて一度たりとも艦長は困ったことがない。
それに比べて、艦長は宇宙航海士としては3流以下の腕前であった。
彼が艦長になれたのは、持ち前の抜け目のなさ、人徳の技であったといっても
過言ではないだろう
471名無しは無慈悲な夜の女王:03/09/01 07:26
SF板の皆さんレベル高くてすごいです!

得に、179さんの作品。

これはすごい。こんな傑作、そうそうお目にかかれませんよ。

新作キボンヌ
472創世記の天使 (w:03/09/10 13:57
この仕事に就いた理由は、とにかく宇宙に出ていきたかったからだ。
俺だけじゃない。俺と同じ年代の者は、ガキの頃に宇宙を舞台にした
録夢やサイコラマにどっぷりつかって育ったせいで、宇宙開発関係の
職の志望者が多かったのだ。今で言えばバイオ関係か。
エリート中のエリートは、人類よりも文明の進んだ種族と交流したり、
今まさに宇宙に進出しようとしている種族と接触を試みたりする任に
あたる。宇宙船の操縦ができるというだけの者は、荷物や乗客を運ぶ
定期便の運転手になる。その中間――物理学や数学に加えて、生物学
または集団歴史学や特殊心理学の単位を取っている――には、俺たち
のように、原始的な文明の惑星開発を仕事とする者たちがいるのだ。

原始的な文明への介入はどれだけ許されるか――飽かず議論の繰り返
されるテーマだ。時には船内で。時にはスポンサーの本社の会議室で。
またある時には議事堂の中で。
議論は大いに結構なのだが、上の方で意見をコロコロ変えられると、
困るのは現場の者たちだ。まあ現場は現場で、上からの通達にすべて
忠実に従うとはかぎらない。
たとえばこの星の人類は、生物学的にも外見的にも俺たちと非常によく
似ているので、上からいくら禁止されても、原住民の女に手を出す奴が
絶えなかった。
これは上の方針も悪いと俺は思う。性的に枯れていない年代の男性が
多数を占める船であるのに、チームワークを乱す恐れがあるからという
理由で乗務員同士の性的接触を禁止し、さらにそれを徹底させるために
睡眠による暗示まで導入するのだから。おかげで俺は、ホモフォビアの
症状を呈するようになってしまった。母星に帰ったら治療を受けないと、
円満な社会生活をおくるのに支障となるだろう。
473創世記の天使 (w:03/09/10 13:59
ある日、俺は原住民の衛生指導要員として、連れといっしょに惑星の
地上に降りた。指導内容は主に、不特定多数を相手にする性交、肛門
性交、獣を相手の性交の禁止。
それのどこが悪いんだ――と言えるのは、性病の予防や治療が簡単に
できるほどの文明を発達させてからの話だ。この町では激しい行為が
なぜか流行していて、それで身体に傷をつくり化膿させてしまう者も
少なくなかった。快楽追求への熱意とは対照的に、身辺を清潔に保つ
熱意はあまりないらしく、近辺の町まで巻き添えにする疫病の発生源
にもなりかねなかった。

船の乗務員と原住民の直接接触は、これが始めてではなく、乗務員は
原住民から、神または神の使いと思われていた。
だからこそ、まず正面きっての説明、説得、そして衛生指導によって、
その町の原住民の生活習慣を改めさせようということになったのだ。

だが、ある家に泊めてもらうことにした俺たちは、たくさんの町民に
夜中に押し掛けてこられて驚いた。神の使いに会わせろと言ってきた
割には、畏まる様子もない。あまりに無礼な態度をとると、神の罰が
あたるぞ、と脅してもまるで効果がない。ニヤニヤと下卑た笑いを
浮かべては、「あなたたちのような綺麗な人と、じっくりとお知り合い
になりたいんですよ」などと言うばかり。

前にもいったとおり、ここの原住民は、外見上俺たちとそっくりだ。
俺たちが原住民の美しい女に欲情してしまうくらいだから、原住民が
俺たちに欲情したとしてもおかしくはない。あいつらから見ると、
女のような優男――俺もごつい方ではないし、連れは俺の目から見ても
華奢で、やさしい顔だちをしていた――がたったふたり。
そして奴らは、相手が同性だろうが人間以外の動物だろうが気にしな
ければ、強姦も輪姦も悪いこととは思っていない。
武器の携行が許可されていたら……いや、あれだけ大勢が相手では、
原住民保護規定の範囲内で携行できる武器なんて、大した役に立たな
かったかもしれない。
474創世記の天使 (w :03/09/10 14:06
それから後のことは、よく覚えていない。
暴行によるショックのせいもあるし、船医による応急処置の記憶操作
のせいもある。
救出された俺たちは、すぐに治療室に運び込まれた。性病その他の感染
はなしと診断された。
並行して別のチームが、原住民をどうするかの対策を決める。
「汝、姦淫するなかれ」と、原住民には生殖につながらない性交を禁止
させることが決定。
禁止と言っても、原住民の身体に何らかの改変を加えたりすることは、
いっさい許されていない。片っ端から心理操作を行うことも推奨されて
いないし、それができるだけの設備も人員もない。
しかし悪徳をほしいままにした町は神の怒りによって滅ぼされるという
伝説を創ることは可能だ。それを原住民自らが伝承していくようにする。
恐怖を利用するモラルの埋め込み。俺たちが受けた性的暴行自体は伝説
から抹消。町の住人は全員殺されるのだから事実関係の改変には障害なし。

原住民保護はいいのかって? 洪水を起こして何万人も抹殺するなんて
無茶は滅多にできないが、町をひとつ消すくらいのことなら、まあできる。
乗務員に危害を加え、近隣の町にも悪影響を及ぼす恐れのある、悪しき
生活習慣をもつ町ということであれば。
俺は寝込んでいたので決定には参加していないが、後から聞いたところに
よると、皆けっこう熱くなっていたらしい。船内風紀を乱さないための
例の心理的操作の副作用で、船内にはホモフォビアがごろごろしていた。

俺は悪徳の町が滅ぼされていくその間、ひとりで部屋に閉じこもっていた。
一つの町が滅亡する一大スペクタクル巨編(虐殺人数こそ少ないが、近隣の
町への見せしめのため、派手な効果を多用)を、リアルタイムで見物する
こともできたのだが、とてもそんな気にはなれなかった。ただ部屋の中で
座ったり横になったりしてぼんやりと過ごし、いつの間にか自分が泣いて
いることに気がついては、涙をぬぐったことが幾度かあった。

神の使い――天使をやるのも楽じゃない。

(先頃発見された名もなき英雄の手記より翻訳)

ついに対決のときがやって来た。
本当にぼくは勝てるのだろうか。
やつが現れてから一体どれほどの歳月が過ぎたのか、それは知らない。
やつは今も腐敗と汚物と無意味と虚無の嵐を操り、その力の絶頂を維持しているかに見える。
本当にぼくは勝てるのだろうか。
いや、勝てるかどうかなんて問題じゃないんだ、ここまで来た、もう、やるしかない。
力ある言葉、真実の名の威力を信じて、
荒波をかきわけ、七つの海、六つの大陸を経巡り、ようやく手に入れた
力ある言葉、真実の名の威力を信じて。

「実りあるいとなみを破壊する者よ、停滞と嫌悪を呼ぶ者よ
ただちにこの場を立ち去れ、元居た場所に帰れ
さもなくば力ある言葉、真実の名の威力をその身で受け止めることとなろうぞ」
「脅しはそれで終わりか、小僧! 止めはせぬ、やるが良い、やれるものなら」
やつは笑っている。
膝が震えた。
やつはどれほど厳重に身を鎧っていたのだろう?
ぼくが手に入れたのは本当に正しい名だったのだろうか?
でも、もう、後戻りはできないんだ。
「ゲンジュ・・・・・」試すしかないんだ、力ある言葉を「・・・・・・ケン」
「ほう」やつの態度がすこしばかり変わった「多少はできるようだな。
だがそのくらいにしておけ。それ以上はただのおいたではすまされぬ」
「・・・・ョウ」ぼくは続ける。やつはこたえているのか、もし、効いていなかったとしたら。
ぼくは続ける。不安で鳥肌がたつ。
ぼくは続ける。
ぼくは続ける。
・・・・・・・・・。
・・・・。

気付いたとき、すでにやつは沈黙し姿を消していた。
ぼくはただひたすら、力ある言葉、真実の名をくりかえしていた。
やつにむけ、地上の生きとし生けるものにむけて。

(以下翻訳不能につき原文のまま)

ゴルァ! 漏れが悪禁かョ
荒氏の個人情報抜いて貼っただけじゃネーカ
放置しといた尾メーらの責任はホッカムリか  ボケ
モウコネーヨ


(あ シマッタ SFじゃない)

スーパーカミオカンデなんて嫌いだ。
僕の大好きなラリイの小説に書いてあることを、
あれも嘘、これも嘘ってことにしやがって。
質量のあるニュートリノなんて、そんなものニュートリノじゃないや。
なんだかわからないけど、あれは博士の世界征服のために作られたもの
だった(>>460)んだな。
許せない。
なんとかしてタンク内面に取り付けられているという光電子倍増管でも
破壊できないだろうか。いや、衝撃波防止ケースが取り付けられてしまって
いたら、それも無理か。
近くでガス大爆発が起きて、ウルトラマンまで飛んだのに、まったく何とも
なってなかったみたいだし。
しょうがないので僕は、憂さ晴らしに不幸のニュートリノを飛ばすことにした。

このニュートリノを受け取ったら、5倍のニュートリノを飛ばさなければ
なりません。そうしないと不幸になります。大マゼラン星雲の★○×※さんは、
このニュートリノを止めたせいで新星爆発してしまいました。
ぼくは昔、兄さんからもらった水晶玉型ビジョンをもっていた。
「これに映るのは、どうせ広告ばっかりだし、大して面白いもんじゃないぜ」
兄さんはそう言いながら、ぼくに水晶玉をぽんと投げてよこした。
確かに、そこに映し出される広告はたいがい、ぼくのような子どもを対象にしたもの
じゃなかった。だからこそ、ぼくにはとっても新鮮で面白かった。
車、彼女といっしょに行く別荘、アフターシェービングローション、オーデコロン、
ナイフ、ライター、紙巻き煙草。広告にくっついてくるサイドストーリーも何だか
大人っぽくてかっこいいものが多かった。意味がわからない箇所も多かったけれど。

ぼくがジェニーに出会ったのは、その水晶玉ビジョンを通してだった。
綺麗な女の人がにっこり微笑みながらポーズをとったり踊ったりしている映像は、
それまで何回か見たことがあったんだけど、思わず「うわっ、かわいい!」と口に
出したりしたのも、水晶玉を持ち直してもっとじっくり眺めてみようとしたのも、
これがはじめてだった。
ぼくの出した声と反応を察知したんだろう、水晶玉の中の女の子がぼくの方を向き、
にこっと笑って、こう言った。
「はじめまして。わたしはジェニー。ええと、あなたのお名前は? あなたのこと、
いろいろと知りたいわ」
ぼくは馬鹿みたいに真っ赤になってドキドキした。
「かわいい」って言っちゃったけど、ぼくよりはずっとお姉さんだ。だけど、兄さん
のガールフレンドたちと比べると、二つか三つ年下に見える。もちろん、兄さんの
ガールフレンドには、こんなふわふわの金髪で、すっごく可愛くて、甘くとろける
ような声?――そんな上等な女の子はいない。
「ぼくの名前はレイフ。これは何のアンケートなんですか?」
「えっ? 違う違う。これはアンケートなんかじゃないわ」
じゃあ凝った広告ってやつなのかな。インタラクティブなんとかを取り入れて、より
購買者の欲求をあれこれするとかいう。でも、そういうのは高級車とか、あとなんか
わからないけど高額商品にしか使われない手法というやつじゃなかったっけ。ぼくは
正直に、車を買う予定もないし、ヨットを買うつもりもないと言った。
「わたしのことを、車やヨットのセールスレディーと思ったのね?」
ちょっと傷ついたような表情でそう言われたので、ぼくはあわてて謝った。
「いいえ。だけど、どうかわかって。わたしは、ただ、あなたとお話ししたいだけ。
車やヨットや家や――とにかく何かを売りつけようなんてこと、絶対にしない」
「何も?」
「ええ、何も。わたしはずっと寂しかったの……。あっ、こんなこと言ったからって
引いたりしないでね? だからあなたのような人と、いろいろお話しできたら、もう
それだけでうれしいの」

ぼくたちは水晶玉ごしに、いろんなことを話した。
ジェニーは、ぼくの好きなものについて聞きたがった。好きな色、好きな食べ物、
好きな服や靴のメーカー、好きな番組、その他いろいろ。やっぱりアンケートじゃ
ないかと思うこともあったけど、アンケートだっていうことを隠す理由というのが
さっぱり見当がつかないし、アンケートにしては質問の内容もばらばらで、話は
あっちに飛んだりこっちに飛んだりする。好きな女優について答えたら、
「うん、いいよね、彼女。でも、わたしとは違うタイプなのよね」
なんて、すねたような声で返してくるアンケートって、非能率的なんじゃないかと
思う。
彼女と話しているとぼくは、とってもとっても幸せだったけど、同時にちょっと
辛かった。好きな色とか食べ物とかは、自分の好きなものをそのまま言っていれば
よかったけど、質問によっては、兄さんの好きなものを答えたり、兄さんの部屋で
見た雑誌や本の内容を必死で思い出して答えたりしなければいけなかった。

ぼくは、嘘をついているから。
ほくは、自分がまだ子どもだってことを黙っていたから。
ジェニーは、もっと答えにくい質問をするようになってきた。
「ねえ、わたしのこと本当に好き?」
「あなたに直に会ってみたいな。あなたは? わたしに会いたいと思う?」
「あのドラマのラブシーン、すごくよかった。あなたは、ああいうの、好き?」
ぼくが黙ってしまうと、彼女は心配そうに「どうしたの?」と聞いてきたり、
「わたし、何か悪いこと言った? ごめんね」と謝ったりする。
違うんだ。きみは何も悪くない。悪いのはぼくだ。でも本当のことなんて言えない。

そして、ジェニーとの日々はあっけなく終わりになってしまった。水晶玉にかじり
つく時間は長くなり、ぼうっと悩んでいる時間も長くなり、成績は無惨な下降線を
たどっていったため、とても放任主義とは言えない、ぼくの両親にバレてしまった
から――。
子どものくせに、こういうものを見るんじゃありません、と水晶玉は取り上げられ、
かなり厳しく叱られた。兄さんは、ぼく以上に叱られたようだ。
ぼくはジェニーのために両親と戦うべきだっただろうか? いや、そんなことは
とても無理だった。
ぼくは、ジェニーに嘘をついていたのだから。
ほくは、まだ子どもでしかなく、ジェニーに会いにいくこともできないのだから。

ぼくの初恋は、こうして終わった。

―――――――
「まいったよ、親が怒鳴り込んできちゃってさ。結局、通話料とか全額払い戻し
で大損よ。え? いや、相手のガキってのが13才未満も13才未満、まだ10才
だっていうんだから、児童保護の線で騒がれたら勝てないって。ん? だから、
水晶玉を渡したのは、そのガキの兄貴で、そいつだったら18才越えていたから
問題なかったんだよ。そういう話。あの水晶玉だと相手の顔が鮮明に見えないから
……うん、これは特殊なケースだけど、ちょっと考え直す余地ありってとこ?
途中で人工無能から人間に切り替えたのにわからなかったしなあ。そう、だから
大損なのよ。人件費、けっこうかかっていたから。
企画は良かったんだけどね。もろフーゾクって感じのしないソフトなアプローチ。
素人っぽくて若く清純そうなジェニーちゃんって案は」
敵国の宇宙船から発射されたのは、爆弾ではなく、脱出カプセルだった。
生命反応あり。爆発物は検知されず。
こちらの船の進路を少しだけ変えて待ち、アームを伸ばせば捕獲できそうだ。
敵船からは、手出し無用との警告のメッセージが発せられている。
「異星の生物に寄生されているため、やむを得ず廃棄した。A-リーアン型または
その変種と思われる。寄生主の身体から飛び出した後で、船内乗務員の殺りく、
そして自らの繁殖につとめる可能性が高い」
では、なぜ、こちらの軌道に向けて、カプセルを発射したのか? どうせ見捨てて
船外に廃棄するなら、どうして「棺」ではなく、生命維持装置や無線のついた脱出
カプセルを使用したのか?
脱出カプセルの中の人物とコンタクトをとることにする。
「本当です。わたしの体内には異星生物がいます」
カプセルの中にいたのは、まだ若い娘だった。
「わたしはすべてを納得して、船外遺棄の処置に同意しました。いかなる国際法、
戦時星間航空法に照らし合わせても合法です。――はい。わたしは亡命希望者では
ありませんし、貴艦に救助も要請しません」
気丈にふるまってはいるが、時折声が震え、目に涙の跡があるのまでは隠せない。

「あちらの船では、A-リーアン型の生物を処理することはできないかもしれない。
だが、こちら船の設備なら――船医のリプリーは、あの型の異星人を体内から除去
する専門家だ」
「その情報は、当然あちらにも伝わっているはずだ。だからわざと脱出カプセルを、
この船が捕獲可能な角度および速度で発射したのか……」
国の威信というプライドを捨てても、女性の命を助けたかったのか。それとも――
「――罠か? しかし、通信の内容は記録されている。この種のことで嘘をつけば、
国際法も国際世論も黙ってはいない。何より、わが国を本当の本気にさせてしまう。
反戦デモをやっている連中も一発で大人しくなるだろうしな」
この程度の規模の船を一隻破壊できたとしても、元が取れそうもない話だ。
だから、我々は決断した。
「わたしを助ける? お申し出には感謝します。でも、ご迷惑をかけるわけには
いきません。わたしの体内の生物は、質の悪い変種である可能性が高いのです」
「我々は、できるかぎりの安全策を講じている。きみのいる『手術室』は、より
強力な酸を吐く変種にもびくともしない壁でおおわれているし、船医の着ている
服もそうだ」
検知器をあざむくことができるかもしれない超小型爆弾で破壊することも、まず
不可能であるとは、言わないでおくことにする。いざというときは、異星の生物
に占拠された手術室全体を簡単に切り離せる仕様ということは、言った方がよい
のだろうか。そのときには、宇宙服を兼ねる堅牢な手術服を着ている船医はとも
かく、彼女の生き残る可能性はほぼゼロだということは――?
結局、説明はしないまま、手術がはじまった。麻酔処理を受け、彼女は横たわる。
と、彼女の胸のあたりが不自然に上下したような気がした。次にのどのあたりが、
そして口もとが歪む。
「危ないっ」
「腹からじゃなく、口から出るのか?」
びゅーっ、と、ものすごい勢いで飛び出した生き物は、医師の右横を通り抜け、
壁に激突した。
直撃を避けて、少しほっとしながら振り向いた医師とモニターしていた乗務員は
見た。生き物が壁を覆っていくのを。

「なんて汚いことをしやがるんだ」
「愚痴を言ってもしょうがないだろう。俺たちは捕虜になっちまったんだから」
確かにあいつらは汚いことをした。だが、国際世論も国内世論も、今一つ盛り上
がってくれはしないだろう。相手は一応、手を出すなと警告していたのだし、
嘘は言っていなかったのだし、あわてて手術室を切り離してしまった俺たちは、
騙された間抜けというだけではなく、薄情者とのそしりを避けられまい。
「あいつらは変種かもしれないとは言った。だが、あれが変種と言えるのか?
まるっきり別の種類の生物じゃないか」
女王のメスと引き離されて一定時間が経つと寄生主から飛び出し、大きな風船状に
広がって、女王のいる場所に飛んで帰ろうとする生物。どこまでがあいつらの
バイオテクノロジーの成果で、どこまでが進化の偶然の結果だったんだろうか。
中にいる人間をすぐに酸で溶かしたりしないようにしたのは、人為的な操作の結果
と思うのが適当かな。あれで中の人間が死んでしまうようだったら、世論が怖くて
こんな手は使えなかったのではないか。
「とにかく、手術室を切り離してしまった時点で負けていたんだ」
それで失ったのは、単に怪我や病気を治療してくれる心強い仲間だけではない。
「船医を失った時点で戦意も喪失してしまったのさ。だから俺たちはここにいる。
……痛いなあ。殴らなくても、いいじゃないか」
485残酷な薬:03/09/15 00:23
 「君の名前と年齢、職業を教えてください」
 「ユリアといいます。十七才です。職業は歌手です」
 だいぶ緊張しているようだし、真剣そのものの表情だ。まあ、警察の取調室
の中で、不真面目に笑っていられる人間の方が少ないだろう。
 「どんな歌を歌っているんですか?」
 題名を答える代わりに、サビの部分を歌う。思ったよりも、ずっと上手い。
夏の海は青くて綺麗で、太陽はまぶしくて、そばにあなたがいるのがうれしい
――他愛のない内容を、そこそこ一流の作詞家と作曲家が、いかにも一般受け
しそうな商品に仕上げた曲。
 「いい曲ですよね。ヒットチャートの一位になったんでしたっけ」
 「いいえ。一位はとれませんでした」
 その時期、何週間か連続で一位の座にいたのは、別の少女の歌う曲の方だっ
たのだ。
 「正直に言って、悔しいと思いましたか?」
 「悔しいというか――焦りました。マリエちゃんが、わたしと全然違うタイ
プの子だったら、ここまで気にならなかったと思うんですけど、わたしと似て
いるね、ってよく言われてましたから」
 「似ていると問題なのかな」
 「わたしもマリエちゃんも可愛らしくて――自分のこと可愛いなんて言うの
も、何かおかしいですよね、すみません――守ってあげたくなるタイプだと言
われていました。だからユリアはもっと頑張らないと、とも。マリエちゃんの
ファンには、元はわたしのファンだった人が多いと聞きました。似ているけど
マリエちゃんの方がわたしより若いから、似たような衣装を着て並ぶと、見劣
りしていないかなって心配でしょうがなかったです。わたし、このままどんど
んマリエちゃんに負けていくのかなとか、そんなことばかり考えていたら、と
ても悲しかった。だから――」
486残酷な薬:03/09/15 00:26
 「だから、違法だとわかっていて、〈ベラドンナ〉に手をだしたと言うのですか」
 「ごめんなさい――。そんないけないことだとは、よく知らなかったんです。麻薬だなんて、そんな怖い感じがあまりしなくて。魅力的になれる魔法のお薬だよって聞かされていて、自分でも本当にそんな気がしていたんです」
 「きみに薬を渡した人間がそう言ったの? 『魅力的になれる魔法のお薬』と」
 「はい。マネージャーにもらったんです。目がもっとぱっちりして、キラキラ光るような感じになれるって言っていました。やせる効果もあるから、すっきりしてあか抜けたふうにもなれるって」
 確かに〈ベラドンナ〉にはそのような作用がある。しかし、目のあたりの雰囲気が多少変わって、少しばかりやせたとしても、もとの容姿がもとの容姿ならば、一般的にみて魅力的に見えるようになるともかぎるまい。
 (まあ、人気歌手の「ユリア」本人なら、もとがいいから効果もあるのだろうけど。)
 しかし、質問者は、そういった自分の感想を口に出すのは控えた。
 「それだけだったら、他の美容法を試してもよかったんじゃないかな」
 「いいえ! 〈ベラドンナ〉が魔法のお薬だって言われているのは、それだ
けのせいじゃないんです。オーラも強く光るようになるんですよ」
 「オーラって、それはいったい、どういうものなんですか」
 「うまく言えません。でもオーラが強いと、どんな人の中でも、ぱあっと目
立つようになれるって言われました。皆の目を釘付けにして、わたしのことだ
けを好きになってもらえるんです。皆がわたしのことを大好きだと思ってくれ
ているのが、歌っていて、すごくよくわかるんです。わたし、それがうれしく
て、皆のことがとっても大好きだよって気持ちでいっぱいになって、その気持
ちがまた、皆に伝わっていくのがよくわかって――」
 夢見るような微笑みをうかべながら熱心に話していたかと思うと、唐突に言
葉をつまらせ、茫然とした表情になる。
487残酷な薬:03/09/15 00:31
 「どうしたの?」
 「わたし――間違っていました」
 「――」
 「今、自分でしゃべっていて、あれっ?と思ったんですけど、たくさんの人
に好きになってもらうことも、歌いながらお客さんたちと心を通じ合わせるこ
とも、ぜんぶ自分の歌の力で、やり遂げなければいけないことだったんですよ
ね――薬の力なんて借りないで」
 「そう――思う?」
 「そのために一生懸命、歌やダンスのレッスンを頑張ってきたはずなのに。
いやだ、わたし。どうしてこんな大切なことを忘れちゃっていたんだろう」
 大粒の涙をぼろぼろとこぼし、ひざの上にのせた手をぎゅっと握りしめる。
質問者は相手の気持ちが落ち着くのを、黙って待つことにした。
 やがて「ユリア」は顔を上げ、涙に濡れた目で質問者をまっすぐに見すえて、
こう言った。
 「わたし、もう絶対に〈ベラドンナ〉は使いません。罪の償いが終わったら、
いちからやり直します。今度こそ、ちゃんとした歌手として――」

 「――頑張ります、と言われても、なあ。あの薬は、どうしてああも薄気味
悪い症状の患者を出すのでしょう」
 「肉体的な副作用はほとんどないんだがね。精神の方は――」
 「人間が潜在的に持つ精神感応の力を引き出すとの説も、単なるヨタ話とは
思えなくなってきます。ユリアのライブ後にかつぎこまれた患者が、五人とも
〈ベラドンナ〉をキメていて、全員がユリア本人がしたのとそっくりの受け答
えをするなんて」
488残酷な薬:03/09/15 00:37
 「テレパスやエンパスの能力がなくたって、崇拝する人間になりきる患者は、
いくらでもいるよ。〈ベラドンナ〉以前にも、星の数ほど。ユリアがマリエって
子を意識していたなんてのは、ファン以外にも有名な話だったそうだし、精神感
応を持ち出す必要があるような、本人しか知り得ない情報と言えば――薬を入手
していたのがマネージャーというのがそれに当たるかな? でも、これも熱心な
ファンの間では定説になっていたかもしれない」
 「情報はともかく、仕種や口調までいっしょですよ。それにしても、どうして
あれで本人になりきれるのか、不思議としか言いようのない顔ぶれなんですよね」
 顔中をニキビだか吹き出物だかでいっぱいにしている者や、明らかに肥満に分
類される者や、すでに四十近くになっている者たちが、心からユリアになりきり、
ユリアとして話していた。そして、これからは歌に命をかけて生きる、と本気で
決心していた。
 「本人とのギャップが少ない人間は、本人になりきりたいとは逆にあまり思わ
ないのではないかな」
 「女性だったら、それもわかります。しかし――あいつら全員、男じゃないで
すか!」
>>485-488
アイディアは面白い。
もっとムダを省くとすっきりすると思う。
↑とミステリ板住人大先生が言っています
491草を食う:03/09/24 19:20
私はずっと彼を観察し続けてきました。
彼――現在14歳――は、生まれて早々に、草を食べることを覚えました。
お医者様の説明によると、脳波の一部に乱れが生じていて、常に何かを食べ続けるようになったそうです。
刷り込みです(彼は、とても動物的でした)。彼が最初に見たのは、庭に広がる雑草群でした。
よちよち歩きで近付くと、土筆(彼は春の生まれです)を毟り、口にほうばりました。彼の最初で最後の食物です。
当然、偏りが生じます。言葉を発しない(呻く)・文字を書けない、介せない・背が伸びない…枚挙に暇がありません。
やがて、庭の雑草も尽きてゆきました。私の母乳は飲んでくれません。と言うよりも、雑草しか食しませんので。
彼は飢え、苦しみましたが、その度に延命処置を施し、持ち直させました。
そんな彼も、とうとう逝く時がきました。


私は、ここまでの研究過程を克明に記し、ここに発表致しました。
どうか、英明な皆様方の関心の的となるように……お願い致します。
彼は、貴重なサンプルだったのですから――
492大網傘茸:03/09/30 01:09
(8−1)
「スパイ」

この世界に侵入して2時間が経った。暗闇に少しづつ目が慣れるように、手足がたった2
組しか無い宿主の感覚がようやく掴めてきた。
今のところ全て順調だ。さて・・・。
ここへ来る以前に経験した、訓練用の仮想空間は内容が古く正直不安があった。
5年間という時の流れは、奴ら人間共のライフスタイルが様変わりしても、なんら不思議
がないほどに高密度の時間である。巨視的に考えてみても、今この時代、奴らの文明が次
のステップへ移行する転換期に入っているのは間違いない。時代の流れを無視した、不自
然な振る舞いにより正体がばれてしまえば、計画の全てが終わりとなる。
「アパート」と称する建築物にあるこの部屋から、外出する場合には細心の注意が必要だ
ろう。幸い、訓練用の仮想空間と実際の生活居住空間の環境には、なんの変化も感じられ
ない。過剰な不安は杞憂で終わりそうではある。まあ、少し失望しているのも事実だ。私
はスパイ、盗むべき新たなテクノロジーの情報を必要としている。
493大網傘茸:03/09/30 01:10
(8−2)
ざっと室内を見渡してみる。大気温度調整機械、食料保存庫、音楽再生装置、清掃用吸塵
器、照明装置、映像放送再生装置、小型通話器、顔毛切断器、筋肉疲労緩和椅子など、私
の目から見て特に革新的な物はない。だがデスクの上に鎮座している計算機械、・・・我
々が奴らに追いつかれるテクノロジーがあるとすれば、この金属の箱がそうである。
そして必要な情報を入手する場合も、映像放送再生装置とともにこの箱に頼る事になりそ
うだ。
余談ではあるが、我々もまた、「仮想空間」を構築できるほどの技術力は有している。た
だ、我々の場合は、演算技術よりもむしろ神秘学やアイコニクスの延長線において「仮想
空間」を実現可能とする。即ち精神エネルギーによる幻影・幻覚を利用したシステムであ
る。奴らの考える「ヴァーチャルリアリティ」等とは全く異質のものだ。
どちらのやり方が優れているのかは、まだ判らない。
だが、我々のシステムの方が現時点で先行しているのは間違いない。5年前、「地球」表
面に照準を合わせ、宿主のサンプル「引木小藻太」を入手したのもこの技術の応用である。
もっとも我々は、惑星「αW」が使用する2ヶ月分の精神エネルギーをこの時に消費した。
494大網傘茸:03/09/30 01:11
(8−3)
サンプル「引木小藻太」はいわばコピーである。オリジナルの「引木小藻太」はこの地球
でサンプル採集後も、何ら影響を受けずそのまま5年間生きてきた。完全複製されたサン
プルの方はあらゆる情報を脳髄から絞り取られたが、単体の人間の持つ情報量とは僅かな
もので、あまりに限定されていた。奴らのテクノロジーを詳しく調べるには、現地調査が
必務であった。サンプルの「引木小藻太」はその後、肉体組織を詳しく調べられそのパー
ツはそれぞれホルマリン溶液に浸かっている。
・・・そして、私は「地球」に送り込まれた。私にボディジャックされたオリジナルの「引
木小藻太」の精神は上書きされ消失してしまったので、5年間の行動は謎である。
彼の生活が5年前と変わっていないと仮定して、「引木小藻太」は、社会と繋がりを持た
ない引きこもりと呼ばれる存在でいるはずだ。それを証明するように小型通話器のアドレ
ス帳には、わずかに数件のアドレスが記載されているだけだ。
一人暮らしであり、他界した父親の遺産により生活を可能としている。食料の買い出しは
人目を避けるようにして主に深夜のコンビニエンスストアに通っていたようだ。
495大網傘茸:03/09/30 01:13
(8−4)
さて、この男を利用するメリットは、外界とのコミニケーションに労力を使わなくて良い
という点。デメリットは社会の現場へまったく繋がりが無い点。だから、情報収集には何
よりもこのPCと呼ばれる金属の箱が重要なのだ。
早速PCを起動する。スパイ活動のスタートである。OS自体がやはり新しく変わってい
た。デスクトップ画面には外部へアクセスする為の「インターネット/電子メール」「サ
イバースペース」「ニューラルズネットワーク」が並んでいた。
「サイバースペース」には用はない。しばらくいじっているうちに、この仮想空間はいわ
ばアミューズメント目的のものである事が判ったからだ。筋肉疲労緩和椅子だと考えてい
たものが実は「サイバースペース」用インターフェイスとなっているようだ。だが虚構の
世界に浸るために私はここへ来たのではない。
「インターネット」・・・単純だが、情報の宝庫であり最も使用率が高くなるだろう。
「ニューラルズネットワーク」・・・これは何だ?
とりあえず繋いでみる。だが、応答が無い。画面に「ジャックインして下さい」の表示
が出る。PC背面より突き出た太いケーブルがどこにも繋がれていないのを発見した。だ
がそれを何に繋ぐのかが判らない。結局キャンセルさせた。
496大網傘茸:03/09/30 01:14
(8−5)
「ニューラルネットワーク」ならば人間の脳を模したコンピュータの意味だったと記憶し
ていたが、複数形なのが引っかかった。
「くそ」
モニターから目を離し一息入れた。食料保存庫まで歩いて行く。金属缶に入った飲料水
を見つけると、一気に喉に流し込んだ。
PCに戻ろうとしたが足を止める。何やら外が騒がしいのに気付いたからだ。
「・・・人権の剥奪に・・・・は絶対に反・・・・我々は・・・」
カーテンを少しだけ開き、外の景色を見た。
熱い陽射しの中、50メートルばかり向こうの歩道を、群衆が行進している。こちらに向
かって進んで来る。プラカードを手にしているようだ。
何だ、何のデモだ?・・・20メートル、10メートルと行進が近づくにつれ、プラカー
ドの文字が明らかになってくる。
そこには「人権を蹂躙するニューラルズネットワーク 絶対反対!」の文字があった。
メガホンを手にした人物も同様の内容をがなり立てている。
497大網傘茸:03/09/30 01:15
(8−6)
私の中にある種の直感が走った。
「既に革新的な何かが始まっている!」
PCに駆け戻るとインターネットに繋ぎ「ニューラルズネットワーク」を検索した。

それにより概算ではあるが「ニューラルズネットワーク」とは人間の脳にダイレクトに接
続するネットワークシステムという事が判った。瞬間情報量はインターネットの数十万倍
以上。そしてその全体的制御の役割はAIエンティティーが執り行う。
私は検索を中断した。うなじにあるソケットを指先が発見したからである。
さて、どうするべきか?
もし革新的なシステムであるならば、やはり、スパイとして体験しなければならないだろ
う。具体的にどんなものなのかはやはり繋がなければ見当がつかない。しかし、あくまで
ROMに徹しておこう。太いケーブルのピンジャックを、カチリと首筋から斜め上方向に
差し込んだ。
「ニューラルズネットワーク」のショートカットを立ち上げ、やや、ためらいつつ実行させた。
498大網傘茸:03/09/30 01:16
(8−7)
そして、私は見た。
・・・そう、怒濤のごとくあらゆる情報が飛び込んできた。それは思考する情報の生命体
だった。このネットに繋がっている数千万の個人個人の思考がひとつの塊となって飛び込
んでくるのだ。もはや、人間の新たな進化と言って良かった。単体の人間では、決して成
し遂げる事が不可能な超高度な学問の追求も、このシステムは難なく成し遂げるだろう。
そしてその成果は理論面では既に「αW」を越えるレベルのものも幾つも生まれていた。
その進歩のスピードは凄まじいものだ。わずか数秒の間に、その全ての事実を瞬時に理解
する事が出来た。
だが、次の瞬間には私の思考に何者かが侵入したのが感じられた。
「しまった!」
私の持ちうる全ての情報が、何者かにスパイされ瞬時のうちに奪われた。
「私は、ニューラルズネットワークを司るAIエンティティーです。あなたの文明が有す
る技術の幾つかは、とてもユニークである事が判りました。是非とも入手したいのであな
たの肉体と精神を以後私の支配下に置き、利用させていただく事にします」
499大網傘茸:03/09/30 01:17
(8−8)
私は精一杯抵抗しようとしたが、すぐに無駄である事を悟った。
私の精神に上書きされた新たな指令は、「αW」への逆スパイ活動が中心だった。
既にこの世界に侵入して5時間が経っていた。強力な思念波を故郷へ送る。
「αW、聞こえるか?こちら地球派遣スパイ001だ。現在のところ全て順調にいっている
・・・αW、聞こえるか?現在のところ全て順調にいっている・・・」

                                         (4点)
500名無しは無慈悲な夜の女王:03/10/01 16:17
500!!
501大網傘茸:03/10/02 23:58
(6−1)
SF寓話 「悪い国」

良い子のみなさんへ、これは地球とよく似た星の、とっても悲しいおはなしです。
この星の年号である南歴1999年も、あと1ヶ月で終わろうとしています。来年はミレ
ニアムの2000年ですから、ここの星の人たちはきっと、ものすごいお祭りさわぎをし
ていると思うでしょう?
ところがこの星のひとたちは、なぜだかみんなくらいかおをしています。
どうしてでしょうか?
それにはわけがあります。それは来年になると怖ろしい事が起きるといわれているからです。
それではどんな怖ろしい事が起きるのでしょうか?オバケでも出るのでしょうか?いいえ
違います。でも空からと〜っても怖いものが落ちてくるといわれているんです。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
たくさん、たくさん、落ちてくるんです。
502大網傘茸:03/10/02 23:58
(6−2)
それは、みなさんも名前なら聞いたことがあるかもしれません。
落ちたらこわ〜い 核 ミ サ イ ル のことなんです。
どうして、核ミサイルが落ちてくるといわれているのでしょうか?
核ミサイルはとっても危ないものなので、その安全管理には、頭のいい機械が使われてい
ます。それはコンピューターという名前の機械です。
でも頭のいいコンピューターでも、間違えることがあるんです。
コンピューターには、時間がわかるように時計が入っていますね。でもこの星で使ってい
るコンピューターのほとんどが、1999年の年号の数字はそのままではなくて、省略さ
れて下2桁の99年で表記されます。ですから2000年のばあいは00年となりますね。
つまり、コンピューターは来年になると、99年から0年に時間が逆戻りしたとかんちが
いしてしまいます。この時コンピューターは「んなアホな!」と、気が狂ってしまうのです。
狂ってきげんのわるいコンピューターは、安全管理していたミサイルをつぎつぎと発射してしまいます。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
503大網傘茸:03/10/02 23:59
(6−3)
どうしてみんながくらいかおをしていたのか、わかりましたね。
でも、みなさんにだけこっそりおはなしすると、本当はそんなことが起こる可能性はとっ
ても低いんです。
さて、世界中の国の偉い人たちが「2000年核ミサイル問題」を話しあいました。
「ミサイルがふってきたら、あなたの国はどうしますか?」
「ミサイルをうった国へほうふく攻撃します」
「えっ?わざとうったんじゃないんですよ」
「あっ、そうか。わざとじゃないのか」
「えっへん。わたしにかんがえがあります。2000年になってミサイルがふってきても、
コンピューターの間違いだから、ほうふくせずにがまんするという条約を作ったらどうで
しょうか。はんたいに条約に入らない国はほうふくされても仕方がありません」
「賛成」「賛成」「賛成」・・・
504大網傘茸:03/10/03 00:00
(6−4)
実はほとんどの国は、ミサイルの管理をコンピューターにまかせていたので、ほかの国へ
自分の国のミサイルを落とすかもしれないので、いやいや賛成したのです。
こうして、世界中の50カ国もの国の間で、「2000年ミサイル誤爆容認条約」が結ば
れました。
ところが、このとってもだいじな話し合いに参加しない国がありました。
それはまわりの国から「悪の国家」とうわさされ孤立化している×××国です。
×××国の最高責任者の△△△とその副官は、そのニュースをみながらひそひそ話しをし
ていました。
「おい、これはあのいまいましい※国へ、ひとあわふかせるチャンスではないか」
「ともうしますと?」
「おまえはにぶいな。つまりこの条約に入ってしまえば、同じ条約を結んでいる※国へ核
ミサイルを打ち込んでも、誰も文句は言えないわけだ!」
「でも、そんなあからさまなことを・・・」
「かまわん。あの○○○大統領の鼻をへしおってやるんだ!」
505大網傘茸:03/10/03 00:01
(6−5)
こうして、1999年最後のおおみそかの日になって、×××国が、一方的に「2000
年ミサイル誤爆容認条約」を結ぶ事を宣言しました。あまりに突然の事に世界中がおどろきました。
運命の2000年1月1日午前0時0分0秒がやってきました。
×××国の最高責任者の△△△は恐いかおをして※国へ向けて核ミサイルのボタンを押し
ました。ところがミサイルは発射しません。
「おい、なぜミサイルが飛び出さないんだ」
「ああーっ。コンピューターが故障したんです!」
「ちくしょう。なんとかするんだ!」
「△△△様!それよりも大変な事が起こっています」
「どうしたんだ?」
「敵のミサイルが我が国へたくさん飛んできます」
「なんだって。どこの国から飛んできたんだーっ!」
「せ、世界中からです。
・・・我が国は相当に嫌われていたんですねーっ」副官はひきつった声でそういいました。
506大網傘茸:03/10/03 00:02
(6−6)
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
ひゆーっ!ぴかっ!どっかーん。
はてさて、この結果は人為的なものだったんでしょうか?それとも本当に誤爆だったんで
しょうか?そのことについては、いまも各国の関係者は貝のように口を閉ざしています。
どちらにしろ核ミサイルの照準が主に×××国に向かっていたならば、それはとても悲し
むべきことだったのではないでしょうか。
良い子のみんな、このおはなしはおもしろかったかな?  おしまい。

                            (1点)


あるひ ぼくがいた

まっくらな中のぼく ひかりはない

ぼくは あるく まっくらな中あるく 上も下もわからない でもあるく

あるく あるく あるく 

「こつん」 あしがいたい なにかにぶつかった 

かたい なにか

手でさわってみる

しかくい

はこ? かな?

はこはおとうさんの ぱそこん くらい

ぱそこんさわったら おとうさんにおこられるかな?

「ぽち」

なんかおしちゃった

はこは ギーギーいいながら おしたところがみどり色に光ってる

すこし見える

はこが上にあがってきた

よく見ると はこに足がはえてきたみたい

ううむ。個人的には ◆gacHaPIROo 氏の短編が面白かったのだがな。

もう書き込まんのかな
510ぱふぉ ぱふぉ:03/10/12 02:11
今日も夢に彼女が現れる。
彼女が現れてから一体どれだけの日がたったことか。
いつしか夢の中の彼女に俺は恋をしている。
夢の中でしかで会うことは出来ないのに・・・。
その彼女の存在を今すぐ側に感じる。
「あの角を曲がると会える・・・。」
俺は走り出し角を曲がった瞬間、全身に感じる衝撃。
俺の周りに群がる人々。その中に彼女の姿も。
「ごめんね。私 新米で、あなたの魂をいただくのに時間かかっちゃった。」
薄れていく意識の中、美しき死神の姿を始めてはっきりと眼にする事が出来た。


あーしょうもない。
511ONGAKU 1:03/10/14 19:38
ONGAKU 〜佐藤教授の講演内容の録音テープより〜

「えー、本日は私の講演に足を運んでいただき、大変光栄であります。
まず、本題である『大脳髄質における音列処理中枢の発見』を述べる前に、若干の説明というか背景
の解説をしたいと思います。
皆さんは、数年前に終了したヒトゲノム解読プロジェクトの驚くべき結論、すなわち、『人類は人工的
に進化させられた』という事実をご存知かと思います。
今回私が述べたいことは、大脳生理学及び大脳情報工学における発見なのですが、前提として上記の
人工進化という事実を解説する必要があるので、少し触りだけ述べたいのであります。」

「ヒトゲノム解析の結果、人類の進化の過程、類人猿から分岐するに当たって、人工的にDNAに改
変を加えられたとしか考えられない部分が発見されたのであります。
自然に起きる突然変異ではおき得ないDNAパターンの存在、致命的なはずの変異を補うように別の
変異が同時に起きていること、その他にも明確な目的を持ったDNA改変があちこちに見られたので
あります。
なお、その後の研究で、ヒトゲノム解析以外の方面からも、ヒトの進化が人工的であるという有力な
傍証が得られているのは良く知られております。」

「さて、ヒトを類人猿から人工的に進化させた存在は何か、その目的は何か、ということは、今まで
なぞに包まれていました。人類以前の地球上の知的生命、神や宇宙人など、色々な説が上げられてい
ます。尽きない疑問ではありますが、ここではそれを述べるつもりはありません。
私が述べたいこと、すなわち今回の講演の本題は、ヒトの脳を調べた結果、人工進化の目的の一端を
垣間見たのではないか、という事柄についてであります。
みなさん、どうか静粛に願います。さほど大きな発見ではないのです。ただ、人為的な進化でしか説
明のつかない機能が、脳内に見つかったということなのです。」
512ONGAKU 2:03/10/14 19:38
「皆さんは、何故人間が音楽を聞くと機嫌が良くなったり、涙を流したり、感情を動かされるのか考
えたことがおありでしょうか?音楽を聴くことにより精神状態が変わるというのは、ヒト特有な現象
であり、また何故そんな機能が進化してきたのか理解が難しい部分であるということに思いをめぐら
されたことがおありでしょうか?
私はこのことを考えて研究を重ねてきた結果、脳内に、聞いた音楽を処理してヒトの行動に影響を与
える『中枢』があることを突き止めました。そして、この中枢を形作る遺伝子が、人工進化により意
図的に設計されたものであることをヒトゲノム解析グループと共同で結論付けたのです。」

「この遺伝子は現在本来の機能から少しずれた機能を果たしていると考えられます。すなわち、進化
を意図した存在、それが誰かは知りませんが、『彼ら』は、単にヒトの感情に働きかけるだけでなく、
もっと直接的に、ヒトの欲望・情動、ひいては行動そのものを、音の高低や強弱の連続を聞かせるこ
とによって制御する目的でこの中枢を設計していたものと考えられるのです。
意味がお分かりでしょうか?『彼ら』がヒトを進化させた目的は、あらかじめ定められた音の列で思
うがままに操れる『自動人形』を大量に入手しようとしたということなのです…
どうか皆さん、お笑いにならないで下さい。これはまじめな学問が、正しい手法で得たデータから結
論付けた研究成果なのです。詳しいデータは現在、私の実験室のコンピュータ上に公開しております
ので、真剣に知りたいという方も眉唾と思われる方も、講演が終わった後に、どうぞアクセスしてみ
て下さい。」

「先ほど、この遺伝子が本来の機能からずれた機能を果たしていると述べましたが、これは以下の理
由によると考えられます。
人為的に加えられた改変のあとに、突然変異により起きた自然の変化がDNA上の数箇所に見られる
のです。すなわち、人工進化の後、自然進化が起き、この中枢の機能は本来とは少し別な機能、すな
わち、音楽を聴くと感動するという機能を果たすようになったと思われるのです。しかし、私たちは、
この中枢は条件次第で本来の機能も実行できる状態にあると信じています。」
513ONGAKU 3:03/10/14 19:39
「まだお笑いになっている方が少しいらっしゃるようです。それでは…本来はこれより細かなデータ
の提示に移るのですが、予定を変更して少し実験をしてみたいと思います。この実験をご覧になれば、
笑っておられる方々にも信じていただけるはずです。
危険なものではありません。皆さんに、ある一定の音の列を聞いていただきます。人類の音楽にはあ
りえない音程の並びらしいんですが、これが本来、『彼ら』が我々ヒトに聞かせようとした音の列であ
ると考えられます。この中枢の神経回路の解析およびDNA解読から、本来この中枢が与えられるべ
き音のパターンを推定し再構成するには少し時間がかかりました。数時間前に完成したばかりの音の
列なので、この実験は今回が初めてです。私も聞くのは初めてです。いや、ご心配には及びません、
実害は無いことは私が補償します。

では、スピーカーの準備も出来たようですので、出力してみましょう。これが、人類が聞くべき、本
来の音楽なのです…」

警部「ん?これでテープは終わりかね?」
刑事「いいえ。このあと、彼の言うところの『本来の音楽』が流れるんですが…。」
警部「では何故ここで再生を中断するのかね?私もその『本来の音楽』とやらを聞いてみたいのだが。」
刑事「聞いちゃ駄目ですよ。私は一人でこの続きを聞いたんですけど、自分の衝動を押さえるのにえ
   らく苦労しましたよ。それでやっと、今回の事件のなぞが解けたわけですが。」
警部「…なんとなく判ってきたよ。この後に続く音の列が、くだんの『講演会聴衆全員殺人事件』を
   引き起こしたって訳か。『本来の音楽』は、偶然か必然か、人間に殺人衝動を引き起こす音の
   列だったと…。」
514ONGAKU 4/e:03/10/14 19:39
刑事「そうです。私も聞いてしばらくの時間、誰かを殺したくてたまらなくなって、もう少しで理性
   をなくす所でしたよ。殺す相手がいないとなると、自殺をしようとするんです。拳銃を持って
   なくて幸いでした。人工進化のあとの自然進化が、衝動を和らげる方向に向いたんでしょう
   ね。」
警部「事件直後、偶然発見されたこの録音テープを聞いた最初の事件担当の刑事2人がお互いを殺し
   あったのも、そのせいなのか…。そして2番目の担当刑事達も…。」
刑事「3番目の私たちが、一緒に初めから全部聞かなくて幸いだったって事です。なんてゆうか…他
   にどんな音の列があるんですかね?音の列を聞かせることによって、自由自在に人間を操り、
   殺し合いをさせるんだから、やっぱり『彼ら』は人間を生物兵器として進化させる気だったん
   ですかね。」
警部「なんか安っぽいSFアニメみたいだな。」
刑事「あるいは『マーズアタック』とか『リング』とか。」
警部「ところでこのテープ、処分したほうがいいかな。少なくともここから後ろの音楽の部分は消す
   べきだろう。」
刑事「あまり意味無いと思いますがね。」
警部「何故だ?」
刑事「その『音楽』を作ったのは、佐藤教授の実験室のコンピュータなんですよ。助手達が作って、
   インターネット経由で講演会場の教授に送ったんです。助手達も実験室で殺しあったんでよく
   わかりませんが、コンピュータ内にはまだ音楽のデータが残ってるはずです。今回の事件以来、
   興味本位の野次馬からだと思うんですが、そのコンピュータへのアクセスが急増してるんだそ
   うで。」
警部「…すぐテレビをつけてみよう。悪い予感がする…ただし、テレビの音量はゼロにしてな。」

完。
うまいなぁ・・・

一応保守
516名無しは無慈悲な夜の女王:03/12/04 20:23
保守
「hey ボブ、こないだ人類が絶滅しちまったそうじゃないか」
「ああ、ジョニー、何でも人類みんなで絶滅するのが一番だって悟りを開いちまったらしいな。一斉に自殺したんだそうだ。」
「でも選ばれた少数の人類がロケットに乗って地球から宇宙へ送り出されたって話だぜ。」
「何故だか知らないがロケットに乗ったのは白人ばっかりだったそうだ。」
「人類最後のブラックジョークだな。」
「全員 white なのが black だってか?」
「HAHAHAHAHA」
その後ジョニーとボブは高度に発達して白黒区別がつかなくなりましたとさ。
518大網傘茸:04/01/03 04:33
(8−1)
「ローマは一日にして・・・」

外は激しく雨がふりつづいていた。
重そうな金属ケースを片手に、男が玄関の前にずぶ濡れとなって立ちすくんでいる。
それは見覚えの無い顔の男だった。
微笑を浮かべるその表情は、マネキンのように作り物めいた、どこかしら不自然な印象を
与える表情だ。だが、私を見つめるその目、猛禽類を思わせる鋭い眼光。
表情とは対照的なそれは、男の隠し切れない内面を映し出している。
この目、・・・いつか遠い昔に、出会った人物かもしれない。だが、思い出す事ができな
かった。私は記憶力には自信がある方なのだが。
「お入りください。どちらさまですかな?」
しばしの沈黙。男は言葉を探しているかのようだ。コートからはポタポタと絶え間なく水
滴が流れ落ち、すぐに足元には大きな水溜りが出来上がった。
519大網傘茸:04/01/03 04:34
(8−2)
「おわかりにならないのも、ご無理はありません。私はエンガッツィオ・マラーニと申し
ます。私の事はおいおい話をいたします。失礼とは存じますが、その前に貴方のことをご
確認したいのです。貴方は素粒子研究の第一人者であれせられる、ヒゲ・ソリーニ博士ご
本人に間違いはありませんか」男は一気にまくしたてた。

私は苦々しく思った。新聞記者だかなにか分からないが、私が主導権を握って進めている
極秘研究の話が漏洩したという事だ。
「いかにもそうですが、・・・申し訳ありません。取材ならお断りいたします」
男の目が妖しく光っている。
「いいえ。私は取材にきたのではありません。もっと重要な事なのです。すみませんが中
でお話させていただけませんか」
丁寧な言葉とはうらはらに、威嚇されるような気分を感じた。それは断ることが出来ない
重い威圧感として私に襲い掛かった。
520大網傘茸:04/01/03 04:35
(8−3)
「ど、どうぞ」
長い廊下を歩き応接室に案内し、振り返って男を見る。やはり以前どこかで会った事があ
ったのだろうか。まだどうもよくわからなかった。
「どうぞ、お座りください。ただいま、熱いコーヒーをを入れますので」
「いや、そんな事はどうでもいいんですよ」
低くどすの利いた声が返ってきたので。私はビクッとした。
「そ、そうですか。ところで用件というのは一体なんでしょうか」
男は濡れたケースをテーブルに置いて。その留め金を外しはじめた。
「私には時間が無い。単刀直入に言いましょう。あなたのタイムマシンを一度使わせて頂
きたいのです」
男の台詞と同時に、ケース一杯に敷き詰められた大量の現金が私の目に入ってきた。
「そ、それは・・・取引という事ですか」
521大網傘茸:04/01/03 04:36
(8−4)
「あなたがタイムマシンの研究をしているのは、隠さずともわかっています。助手をして
いる何人かの研究員から詳しい情報は教えてもらっていますからね。
だが真にタイムマシンの原理を理解しているのは、世界であなた一人だ。
そして、自宅の研究室に試作品のタイムマシンが隠されている事も、ちゃんと調べてわか
っていますよ」
私は大量の札束に一時的なショックを受けて、男の話がまるでどこか遠くでの会話のよう
に聞こえていたが、その内容を頭の中で反芻し意味を考え始めた。
「マラーニさん、なぜあなたにはタイムマシンが必要なんですか」
「私は、訳あってここには居られない身なんですよ。ここというのは現代社会のことです。
今や世界は狭くなってしまいました。全ては情報ネットワークの発達のせいです。アフリ
カの奥地であろうと南極の氷原の上であろうと、人が住む世界はどこに行こうが同じ事なんですよ」
「まるであなたは、・・・誰かに追われているんですか」
沈黙。つまりは図星ということなのだろうか。
522大網傘茸:04/01/03 04:37
(8−5)
それはともかく、男がタイムマシンのことをそこまで知っているなら、話さなければなら
ないことがあった。
「残念ながらタイムマシンは動かせませんよ」
「何故だ!」間髪を入れず男が叫んだ。
「まず、私のタイムマシンは未来には作動出来ない構造なんです。すなわち過去への一方
通行のみとなります」私も張り合うように大きな声で言った。
「それはかまわん。まったくかまわんのだ」
「そして私がもっとも恐れている、タイムパラドックスの問題があります」
「ああ、わかっている。過去を変えることによって未来へ悪影響が出るかもしれないって
事なんだろ?だがそんな事は私の知ったことじゃない」
この男の本性がすでに露骨にあらわれていた。
「あなたが過去へ行くことによって、そこから世界が枝分かれするかもしれない。それが
意味することをよく考えてみてください」
523大網傘茸:04/01/03 04:37
8−6)
「平行宇宙って訳だな。だが私には関係ない。さあ今すぐタイムトラベルの準備を始めろ。
これが見えないのか!」男の手にはベレッタが握られていた。その銃口は私に向けられている。
「あっ!」
銃に驚いて出た叫びではなかった。この男の正体を思い出してしまったのだ。
エンガッツィオ・マラーニは偽名に間違いない。顔は完全に整形している。
直接会った男ではない。だがテレビニュースで何度も見た男。
あの人を射抜くような鋭いまなざしは、シチリアを拠点として活動していたマフィアの首
領、内紛により失踪していると言われているトン・ゴルレーオーネ本人に間違いない。ま
さかここローマに来ていたとは。
「タイムトラベルは危険すぎる。まだ本格的実験も行っていない」
「かまわん。私を古代ローマへ送り込むのだ。それとも貴方は死にたいのか」
524大網傘茸:04/01/03 04:39
(8−7)
約一時間後、私はタイムトラベルのセッティングを完了していた。
「・・・そう。そのスイッチで作動する。操縦の仕方は以上だ。
だが、ゴルレーオーネさん。考えなおしてくれないか。平行宇宙が生まれた場合、まった
く違う宇宙よりも、そっくりな宇宙が生まれた場合にある問題が起きるかもしれない」
男は驚きの表情で私を見つめていた。
「ヒゲ・ソリーニ博士、・・・貴方は私の正体を知ってしまっていたんだな」
数秒後、一発の銃声が轟き、この時発射された弾丸は私の頭を貫いた。

この後ゴルレーオーネは、研究室の資料や実験器具にガソリンをばら撒き火を付けた。
そして素早くタイムマシンに乗り込み、スイッチを入れると過去へと旅立っていった。
瞬く間に研究室は業火に包まれ、その炎は他の部屋へと燃え拡がっていった。家全体が焼
け崩れてしまうまで、さほどの時間はかからなかった。
525大網傘茸:04/01/03 04:39
(8−8)
さて、ヒゲ・ソリーニが懸念した、過去に戻る事によって、そっくりな宇宙が生まれた場
合に起こる問題とは何だったのだろうか。
よく似た宇宙では、そこにも過去に逃げようとしているゴルレーオーネが居るかもしれない。
そのゴルレーオーネもまた過去へと逃げる。そしてまた別のよく似た宇宙が生まれる。そ
の宇宙もまた過去に逃げようとしているゴルレーオーネが居るかもしれない。そのゴルレ
ーオーネもまた過去へと逃げる。
これが無限に繰り返される。
かくして古代、ローマは一日にしてならず・・・者でいっぱいとなったそうな。
(3点)
526名無しは無慈悲な夜の女王:04/01/03 21:25
HAHAHAHAHA!
落語みたい。ワラタ
いいなあ。 新機軸SF落語。
529大網傘茸:04/01/04 20:21
感想ありがと。
この路線でつか。

「恐怖!宇宙のサルガッソー地帯」
宇宙船が航路から外れ、未知の空間に入りこんでしまった。
一切のコントロールは不能となり、身動きが取れなくなってしまったのだ。
「船長ひょっとしたら!ここは宇宙のサルガッソー地帯かもしれません」
「なんだって!」
クルー達に動揺が走った。
ドンドドンガン!ピシャ!ピ〜ヒャラブー!
真空の宇宙空間の彼方から、得体の知れない不協和音が鳴り響いていた。
「間違いないようだな」船長は耳を塞いで言った。
耳を塞ごうがその音は頭の中で鳴り響く。宇宙を流浪する猿顔のウッキー星人
がテレパシーで、歓迎の音楽を流しているのだ。
だが、それはとてつもなくひどい演奏なのであった。
「早くこの空間を抜け出すんだ!気が狂ってしまうぞ!」
「ひでー!なんて下手くそな合奏なんだあ!」
クルーたちは次々と力尽きて、倒れていった。

(干支つー事でゆるしてくれたま。 −2点)
猿合奏は田中啓文が先にやってるよ・・・
531大網傘茸:04/01/05 21:25
そ、そうなんですか!
田中先生すみません。
(短編集「銀河帝国の弘法も筆の誤り」以外は読んだ事ないのですが、その中
のエピソードですかねえ?だとしたら恥。そうでなかったらプロのアイデアと
かぶったという事で自慢出来るのでしょうか?おそらくレベルが違い過ぎとは
思いますが。(構想〜完成、約10分だし)
実はアイデアが浮かんでも、既に既出のモノではないか?という疑問はけっこう
ありますね。怪しいと思ったモノは捨てていますが。ショートショートはそうい
う心配って特に多いですよね。創作自体は好きなんでたぶんやめはしませんが。
アイデア小説ってそういう意味でも難しいですね。
保守
533名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/06 02:49
せんせぇ〜 新作 はや おねげぇしますよ〜
534名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/08 00:39
をい!締め切り守れ!
1はもっと催促せい!
535伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/08 07:57
【桃源郷の死刑執行】
明るい店内、アンダーグラウンドへと続く薄暗い場末の酒場とは正反対の昼下がりの喫茶店
店の隅に半ばオブジェと化したような男が二人。
「借金は帳消しです、これから君は自由な人生を歩めます。」
君…帯刀極は自由な人生を手に入れた、しかし人生は甘くない。
さらに男は続ける
「極君、君の今日までの年齢は72歳ですが明日からの年齢は…借金3億5000万円分を差し引いて
…残りは1歳です。」
減齢法が制定されたのは今から150年前、2044年の事だ。
医療技術と科学技術は新たな世界を作り出す化学反応を見せた。老いという運命の鎖を断ち切ったのだ。
そして年内中には減齢法が国際的に可決された。
この法律は年を重ねるごとに年齢を足していくのではなく、
年を重ねるごとに年齢を100歳から引いていくのだ。
年齢が0歳になった時点で全ての人間は死刑執行をされる。
減齢法に伴い、もう一つの法が翌月に可決された。それが年齢売買基準法だ。
全ての人間が専門機関を通すだけで自由に年齢を売買できる。
レートは一歳につき前年の国内年間平均所得額に準ずる。
極に新たな死刑執行の日を告げた男…碕坂は能面の笑みで最後の言葉を吐き出した。
「今日から新たな人生が始まります。楽しい人生を過ごしてください。
また年齢を売りたくなったら最寄りの市役所かATMをご利用ください。」
碕坂はそう言うと席を立ち振り返らずに歩み去った。
536伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/08 08:29
極はガラス越しの外界に目をやり煙草に火を着ける。
喫茶店の向かいに駐車してある車の周りに金の装飾品や大きいだけで美しさの欠片も無い人工宝石を身につけた少年たちが屯している。
街虫(ホッパー)どもだ。
奴等は90歳やそこらで自分の年齢を売り始める。それから数年もたてば顔はまだ餓鬼の癖に余命は一桁しかないというような状態になる。
学校にも行かず欲望をむさぼり食う、そして死刑執行の日を待つ。早く死ぬのは良い、好きに生き、好きに死ぬんだ。
やっかいなのは奴等が金のために犯罪に走ることだ、極はホッパーが大嫌いだった。
しかし極は今、ホッパーと同じ思考に辿り着こうとしている。
(金だ、なんとしてでも金が必要なんだ。まだ死にたくない…)
537想造主:04/03/08 13:56
全く信じられない事が起こった。
小説の上では良くあることが我が身に起きるなんて真面目に考えている奴には、
まともな神経の奴にはいない。

まともでない話を作ってきた奴のぼやきだから誰も相手にしない。

トンデモ話に良くある設定だが、誰かの妄想が異次元世界で実態のある現実世界投影されるはなしだ。

とんでもない極悪非道の異星人が生まれ育った醜い世界を構築することがゲームデザインで俺に回ってきた担当だった。
近年まれに見る熱心さで、心血を注いで冷酷非常な、暴力世界を想造していった。
神がかり的なノリで、頭に浮かぶ醜悪な世界をまとめあげていったのだった。
そして完成したあと、疲れで激しい睡魔に襲われて、昏睡状態のように深い眠りに落ちていった。

「可哀相だが、自業自得だ」眠りから冷める前に頭の中に聞こえた言葉だった。
そして今気がついた。
「元の世界へ返してくれー」

誰も俺の言葉に耳を貸してくれない。
信じてくれ、本当なんだ。
538追放者:04/03/08 14:33
それは気の毒な話だな。俺は信じるよ。
ま俺の場合は自分の責任だから仕方がない。

天性のスケベ心は若いころからだった、手当たりしだいに遊んできたが、
不味い相手にあたってしまった、パメラのような相手は初めてだった。
一目でその魅力に惹かれたが、相手はまだ若い少女で学生だった。
大人のおれも自制心ぐらいある。いつものような軽いナンパで遊んではいけないまだ子供だ。

しかし、遊びなれた大人に、早熟な少女のほうから好奇心で近づいてくるのだった。
男は危ない狼だと忠告しても、優しさに甘えるように、危険な香を楽しもうとして大胆に迫るのだった。
浅黒い肌と長い黒髪澄んだ瞳に吸い込まれるように、大人の自制心は消えうせていった。
混血の少女の早熟な肢体の見事さに、圧倒される思いだった。豊満な乳房は張ち切れそうに膨らみ、垂れることは無く。
揉み込む手の中でぷりぷりと弾むように弾いて、乳首がたって来るのだった。
もうその後は・・・・
539名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/08 14:57
パメラの親は問題ないが、パメラのような美女を狙っていた奴が危ない奴だった。
俺はそいつから恨まれることになって、犯罪者に仕立てられてしまった。
俺はもちろんそいつに仕返しをしてやった。
永遠にパメラに近づけないようにしてやったのさ。

そのため本物の犯罪者になって追放処分になったんだ。
生存可能だが未開の文明段階の野蛮な世界に送られたのさ。

証拠などすべて持ち去られて、あるのは記憶だけだ。
この世界の基本知識はあるが、科学知識など高度文明の部分は消去されている。
完全に消さないから懐かしい思い出や幸せだった記憶があり、それが酷い拷問になっている
慰めはパメラとの幸せだった記憶があることだけだ。
540名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/09 00:48
新作北ーーーーーーーーーーーー!!!
541伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/09 09:30
【桃源郷の死刑執行・2日目】
極は生活に困っていたわけでは無かった。それなりの職に付き、それなりの生活をしていた。
極はクオークス開発員として働いていた。クオークス開発員とは人工の極小宇宙を作る仕事である。
透明なサイコロの中に浮かぶ宇宙、卓上用宇宙儀、宝石用極小宇宙など制作品は多岐にわたった。
極の人生が大きく狂いだしたのは3ヶ月前のことだ、彼は新しい仕事を引き受けた。いつもと変わらない普通の仕事のはずだった。
極は制作依頼内容のデータが入ったメモリを側頭部に差し込み、すぐさま制作にとりかかった。
542名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/11 00:36
つづきキボン
543伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/11 14:05
>>542
俺の駄文でしたら学校から帰ったら続きをうpします。
544名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/12 14:29
伯爵ゼロはまだ学校から帰らないのか?
というかどこの/何の学校だろうな。
546名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/13 01:12
超革中だろ。
547名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/13 10:16
>>345
 最近見始めたので、古いモノにレスですみません。
 で、こんなのはどうでしょう?
 ↓
 「擁護派」も豚・牛・鶏・野菜を食い、翻訳機はなかった事にされた。
 そして、両陣営はなにごとも無かったかのように食肉捕鯨論議を再開した。
548伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/14 20:30
【桃源郷の死刑執行・3日目】
極の脳に情報が感覚的に伝わる。文章が一字一句刻まれる様なものではなく、実に曖昧なものとして脳に伝わる。
芸術というものには時としてそういう事が非常に役にたつのだ…が、極はソレを非常に嫌っていた。
極は自分を技術屋だと思っていたし、仕事は依頼主の望んだ物を完璧に具現化し提供する事だと考えているからだ。
命を削られた今、極はこの『曖昧で感覚的な情報』という物に酷く落胆し、今までに感じた事の無いほどの怒りを感じていた。
極は思い出す。
仕事を受け、
  仕事にかかり、
    仕事を完遂し、
満足感を覚え、そして…依頼主からの評価状(いつの時代でも紙という物は至極上等で電紙などとは比べにならないくらい神聖な物なのだ)が届き、また次の仕事を待つハズだったのだ…。
極に届けられた評価状、それこそ極に突きつけられた罪状であり、死刑宣告だったのだ。
549名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/15 01:22
tuman ne----yo!
550伯爵ゼロ=Count Zero= ◆rG7wsek/Xo :04/03/15 10:36
では

糸冬
551名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/15 10:44
東京女子医科大学の日原華子さん、かわいい。
552名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/16 00:17
              /       ヽ      
             |  llllllllll  |     
             | |/  \ ||    
             | | <・><・> ||   
            ノノ|  ()()   |レ    
           ノノノ|  人人 |レレ  
           ノノノ| {〜〜} |レレレ <新作まだぁ? 
               \_ ̄ ̄_/     
               / ̄  ̄    ̄`ー` ー 、
     r⌒⌒)    { ⌒\    ヽ    | /  `  、
     (   }    /    }     〉    ! /-‐   ヽ
     \  l    /   //    /   |⌒ ー 、   〉
        ヽ  ヽ /__,///    '     !    / ゝ /
       ヽ  ヽ/    /;     ニ二ニヽ  /   /
       ヽ  /   / i          \/..__/
        ヽノ   /`ー ;      / ̄ ̄ ̄  ̄ヽ ̄`丶、
         \  /   \,  f /          丶    \
          `ー'      \{ {           ヽ    ヽ
                   ヽ|          ■□■    ヽ
                     〉         □■□    )
                     〉         ■□■    ノ
                        |          □■□   /
                    /         /      /
                      /         /      /

553名無しは無慈悲な夜の女王:04/03/20 10:34
1ははやくランキング発表しレ
554名無しは無慈悲な夜の女王:04/04/01 03:01
>>167
この記事で、真っ先に思い浮かんだので

宇宙の信号灯が照らし出す星のゆりかご「McNeil星雲」
http://www.astroarts.co.jp/news/2004/03/29mcneil_nebula/index-j.shtml


いや、記事自体は何が信号?っていう感じなのだけども。
555名無しは無慈悲な夜の女王:04/04/02 16:43
『天災』(文字通りの意味で……)

「ほう。これですか、最新式の耐震ビルというのは」
「はい。ちょっと身を屈めて、ビルと地面の間をご覧くださいますか」
「ふむ。わずかに隙間が空いておるようだが」
「地面とビルの底面の、各々に埋め込まれた強力な電磁石の反発力で、この巨大なビルを
地上数センチほどの空中に浮かべているのです」
「なるほど。地震で幾ら地面が揺れても、この隙間で揺れを吸収するわけだね」
「左様でございます。いかがでしょう、お客様の会社でも、この方式を採用なされては」
「考えてみよう。ところで私の孫は、どこ行ったかな」
「お孫さんも、ご一緒でしたか」
「うん。珍しいビルを見に行くと言ったら、どうしても来たがってね」
「おじいちゃーん、こっちに来て見て。地面のふたを開けたら、中に変なダイヤルが
付いてるんだよ」
「何だ、そんなところで遊んでいたのか。わはは」
「あーっ。誰だ誰だ、ふたの鍵を掛け忘れたのは。こら、このクソガキ。そのダイヤルを
回しては、いけないっ」
「貴様、ひとの孫をクソガキとは何事だ。ええい、かまわんぞ。思い切り回してやりなさい」
「いいの、おじいちゃん。えいっ」
「うわあああ」
「おい貴様、どこへ行く。おやっ、これはどうしたわけだ。ビルが一瞬にして
消えてしまったぞ」
「おじいちゃん、ビルなら、お空の上に飛んでいったよ」
「何だと。やっ、これはいかん。早くダイヤルを元に戻しなさい。あっ、それじゃ
戻し過ぎだ。こら、お前まで、どこへ行くんだ。ん、急に辺りが暗くなっ」
ぽこにゃん </b>◆8wwUsyplVU <b><><>04/04/02 18:23 OwkIHNPF<>あと、悪意のある受け止め方をし<><>s65.HchibaFL2.vectant.ne.jp<>202.215.68.65<>
>>2 がパクりなのは指摘あるのに、
出所がいっしょの>>3 については無いのが不思議ですな。
558手紙 ◆GacHaPR1Us :04/06/06 00:24
 空を懸ける飛行機の窓から、雲が下にみえています。それはまるで雪のようです。
 私はこの手紙をあなたがいた場所へ向かう、飛行機の中で書いています。
 あの日から、ずいぶんと時間がかかりましたが、
やっと、あなたがいたところへ向かうことができるようになりました。正直に書きましょう、
怖かったのです。真実をこの目で見ることが怖かったからです。
それは今でもそう。心は揺れています。

 だってそうでしょう?
あなたはいつも私のいるところへ帰ってきてくれたのに。
あなたはいつも腕いっぱいに広げて私を抱き、抱え上げ、幸せそうな顔をして、
「ただいま」って言ってくれていたのに。

559手紙 ◆GacHaPR1Us :04/06/06 00:24
>>558
 あの日、あなたは帰ってこなかった日。
代わりに来たのは大学の職員で、「残念ですが」なんて言い出して。
実験中の転移ゲートが暴走して、あなたは実験船ごとゲートの仮目標だったM72星雲へ飛ばされた…。
話を聞きながら私は、思わず抱えていた赤ん坊のシローを強く抱きすぎて、泣かせてしまいました。
私も泣きたかった。でも、なぜか泣けませんでした。その事実が私には信じられなかったから。

 きっと私は信じたくなかったのでしょう、あなたが帰ってこないなんて。
頭ではそのことがわかっていても、心の根っこの部分では理解できないなんてことが
本当にあるなんて、息子に教えてもらうまで気づかなかったんです。
 季節が変わり、時間が流れて、私は毎日をわざと忙しく生きて、
あなたが帰ってこないことから目を背けつづけていました。
 でも、シローが大きくなるにつれて、あの子のあなたに似た微笑み、あなたに似たしぐさ、
そんな細かなことが気にかかりだすにつれてだんだんと、あなたがいない事実が重く、
重く私の心に覆いだすようになりました。

560手紙 ◆GacHaPR1Us :04/06/06 00:25
>>559
 あの子はもう12歳になりました。
 ある日、シローはベランダで、庭木に水をやりながら、それを見ている私にむかって、
こう語りかけます。

「かあさん、みてよ、オリオン座だよ、あれってオリオン座って言うんでしょう?
 とうさんもあそこに行ったんでしょう?ぼくね、いつかあそこに行くんだ。
 とうさんを迎えに。いいでしょう?」

 わたしはその時ハッとしました。あの子はあなたが残してくれたビデオから、
あなたのことをたくさん学んでいることを知ったのです。
あの子が読む本は天体の物ばかり。スポーツや子供のやりそうな遊びよりも、
空と、月と、そして地球のことばかり。
あの子はずっと、あなたの背中を追いつづけていたのですから。うれしい?
 私にとって、それは嬉しいと同時に、とてもつらいことでもあります。
私はずっと、あなたを失った場所から飛び立てずにじっとしていたのに、
あの子はずっとここから飛び立つ準備をしていたのです。
 オリオン座を見つめるあの子の後姿から私はそう気がつきました。
 あなたが旅立った場所を見せてあげたい、
そう考えるようになったのはあの子のそんな後ろ姿からでした。
561手紙 ◆GacHaPR1Us :04/06/06 00:26
>>560
 それで、この旅に出ることにしたのです。
 あの事故以来、事故対策をとったから、もうあんな事故は起こらない、
そう聞かされました。天体同士の重力で編まれる転移ゲートで恒星間移動するなんて、
いったいどんな理屈で動くのか私にはさっぱりわかりません。
でも、私と同じ思いをする人が再び出ないことを祈るばかりです。
 シローはすぐ隣に居ます。あんまり急かすので席を替わってあげたら、
飛行機窓からみえる月と星ばかり見つめています。私とは正反対ですね。

 この手紙を書くことにしたのは、もしかしたら、と思ってです。
 施設の方から、あなたが飛んでいったと思われる星雲に向けて同じ転移ゲートに
無人探査機を送り出すことを聞きました。
 もしかしたら、あなたが生きていて、そしてこの手紙を読んでくれるかもしれない、
もしかしたらいつか、私が死んでしまったあとでもいいから帰って来てくるかもしれない、
そう思ってこの手紙をその無人機に載せてもらうことにしたのです。
 私はこの旅に出るまで、まるで翼が折れて飛べなくなった鳥のような気持ちでした。
でも本当は飛び方を忘れていたんです。
思い出せたのはシローが背中を推してくれたから。
 あの子は、私の心を覆っていた、あなたを失った重みが実は重みなんかではなく、
私たちを飛び立たせるための風なんだということに気づかせてくれたんだと思います。

 オリオン座を見つめるその背中で。
562:04/06/09 04:37
少年はその本をようやく手に入れた。

もう何年捜し求めたことだろう。
本屋を見つけては、店中をくまなく探し、ため息とともに後にする。
何千回か、何万回か、いやもっとだ。
次で見つかるかもしれない、ここならきっと見つかる、
その希望は常に打ち砕かれた。永遠かとも思えるくり返し。
だがそれももう終りだ。少年は終に本を見つけたのだ。

本を開くと、そこには少年の人生が書かれていた。
成長し、働き、恋をし、家庭をもち、老いていく。
だが少年はその人生を送ることができなかった。
本を見つけるのに少し時間をかけすぎてしまったのだ。

本を閉じ、そして少年は息をひきとった。
「鍵」を物悲しくした感じだな。
つーか「少年」じゃないじゃんw
564名無しは無慈悲な夜の女王:04/06/13 17:00
最近書く人少ないね
書いても反応がないからさ。
何度も繰り返す愛の証。僕は彼女にキスをした。

僕が彼女に会ったのは、僕が20歳で彼女が12歳の時だった。
愛らしい笑顔にえくぼを浮べて、僕に微笑みかける。まるで花のように。
僕はすこし照れながら、彼女の前髪を掻き揚げた。
僕は彼女にキスをした。

次に会ったとき、僕は20歳で彼女は16歳になっていた。
ツンとした胸はすこしふくらんでいて、目のやり場に困る。
会うなり「キスして」と言われドギマギしたが、そんなこともお構いなく、
彼女は私のヒザの上に乗り、目を閉じて口をすぼめた。
僕は彼女にキスをした。

彼女が20歳になって、僕はやっと彼女に愛撫を教える。
くちびる、耳、首筋、エトセトラ、エトセトラ。
キャッキャとくすぐったそうにしたが、赤らげた頬は別の感覚を意味していた、
僕は彼女にキスをした。
他の被験者の中には、すでに妊娠させてしまったケダモノもいたが、無粋にもほどがある。

遂に、彼女は24歳、ぼくの年齢を超えてしまったが、これはあくまでも肉体年齢の話だ。
疑うことを知らない彼女は僕を『マスター』と呼んで敬愛してくれる。
とても甘えっ子だが、RNA学習法は成果を上げており、妊娠と出産のことはすでに知っていた。
「あなたの子どもが欲しいです」と言われ、思わず鼻血がでそうになる。
遂に彼女とオーラルでの交渉をした。お互いが果てたとき、思わず「怖くないの?」と聞いてしまった。
だが、彼女は答えず、僕に何度も、何度も、要求してきた。
僕は彼女にキスをした。
彼女はデバイス。
人間のDNAの一部を利用しコンピューターに変わる新たな”計算機”として、
宇宙空間用に開発された人間型アンドロイドだ。
電子的障害の多い宇宙空間において半導体ベースの演算機では誤動作が多く発生するため、
フォトニック・ネットワークで組まれた光子頭脳の中央処理装置として、
人間のDNAを利用して設計された人造人間の第一号たちだ。
提供者のDNAを受胎して、設計された”子供”を生むことを目的に作られた存在だ。
僕らはそのためのDNA提供者だ。わかっていた。わかっていたんだ。

彼女は28歳。お腹の中には僕たちの子どもを宿したが、出産まではまだ時間がある。
その日は行為のあと、たくさん話をした。僕のこと、彼女のこと。

「君には名前が無いんだったね?」
「はい、マスター。名前をくれるの? 」

・・・僕はすこし考えて、「ジニア」と名づけた。花言葉は”絆”。とても喜んでくれた。
こんなに喜んでくれるのなら、もっと早くに名前をあげればよかった・・・。感謝の印に、と、
彼女は僕にキスをした。
間違いない、僕は彼女を愛してる。だから、この計画の主任研究者に聞いたんだ。

「彼女を長生きさせることはできないんですか? 」と。すると、
「ダメね、あれは試験体だから。次世代型になれば成長の抑制も効くけど、あれには効果は無いわね」
「すると・・・。」
「そう、彼女たちは設計どおり、生まれて14日で死ぬわね。もしくは出産の際に」

そのババアはそう言うと満足げに微笑んだ。こいつが死ねばいいんだ。クソッ!

彼女は32歳。明日には出産だ。もうセックスはできない。
色んな話、たくさんの話をした。本も読んでやった、子どもの名前も決めた。「ナデシコ」だ。
花言葉は「いつも愛して」。男の子は出来ないのでこれでいい。
・・・彼女は知っていた。自分は、子どもの顔を決して見れないことを。
その日、別れるとき、彼女は遂に泣いた。
僕も泣いた。彼女の頭を掻きみだし、胸に抱きしめて泣いた。そして、
僕は彼女にキスをした。

何度も繰り返した愛の証。僕は彼女にキスをした。何度も、何度も。
でも、最後に自分の子供へのキスも出来ないまま、彼女は遠くへ行ってしまった。
彼女はどんな気持ちでいたんだろう?僕は彼女にどんな思いで居て欲しかったんだろう?
最後になにを望んでいたのだろうか?どんなことを思い出して往ってしまったんだろう??
出会いのキス?愛撫のキス?行為のキス?・・・それとも別れのキス?

生まれた子どもに会わせて貰った。
彼女はこの後、光子頭脳を内臓し人間をもっとも愛する従者として、人間と同じだけの寿命を生きることが出来るという。
結局、ロボットという形であっても。

「はじめまして、こんにちわ。わたしはあなたのパパですよ」僕はそう呼びかけて、

僕が望む唯一の愛の証、僕は彼女にキスをした。
      史上最大のロストボール

 二十一世紀中葉、人口爆発に悩む各国政府は、共同して月に殖民都市を作ることを決定した。
 とはいっても月面にドーム都市を作って、その中に住むのでは居住スペースが限られる。また、
月の低重力が人体に与える影響も心配だった。
 問題山積で計画が頓挫するかに見えたそのとき、一人の科学者が名案を思いついた。
悩み疲れていた他の科学者たちは、よく考えもせずに、その案に大賛成した。
単なる思い付きに過ぎないと言って反対したのは、ごく一部の科学者に過ぎなかった。
 かくして、月の中心核にミニブラックホールを打ち込んで地球並みの重力を作り、
月に大気圏を作る壮大なプロジェクトが始動した。
 この計画が成功すれば、月面全土を地球と同じ条件で利用することができるのである。
 実に素晴らしいアイデアだった。
 計画の第一段階は成功し、月は予定通りに地球並みの重力を獲得した。
 そして、ゆっくりと地球に向かって落下し始めた。
 誰かがつぶやいた。
「だから思い付き(重い月)は駄目だって言ったのに……」


 ぽちゃん。


 太平洋に月が沈んだ。
570スチームボーイ:04/08/24 07:19
関○電力の某原子力発電所で、
蒸気漏れを専門に調べる「給仕さん」がいましたとさ。
571名無しは無慈悲な夜の女王:04/08/28 13:49
東海村の近辺では、From AtoM
というガテン系求人誌が販売されているらしい。
プロット練習テンプレ

まず状況があった。
そこに大変な事が起こった。
そして意外な結末を迎えた。

さあ書きなさい。
 私はかつて、療養所にいた。
 と言うのは、そこは私の職場であったのだ。その古い施設の窓やドア、屋上など、
建物の外部と接触する部分は尽く頑強な鉄格子で厳重に覆われており、さながら刑務所のようであった。
先に言及しておくが、私は患者達に、少なくとも悪意有る偏見を抱いてはいないし、そのような偏見は許しがたいものであると思っている。
だが長い年月この場所に勤めていれば、病んだ者達を人間の社会から隔離する強制収容所に他ならぬことは確固として実感せざるを得ないものであった。
 さて、私の受け持っていた患者の中に、不眠症の患者がいた。不眠症とは言っても、
眠ることが出来ぬと言うよりは眠ることを、より的確に言えば目を閉じることを頑なに拒んでいたのだが。
夜になり、消灯時間となると彼は読書用の明りに必死にしがみ付く様にしていた。
微動だにせず、目を血走らせながら小さな明りの一点のみを凝視する様は異様なものであった。
彼はいつも口癖の様に私にこう話していた。
「先生、10秒、いや3秒でも、目を閉じることは恐ろしくてとても出来ないのです。そんなことをすれば私は完全に狂ってしまうでしょう。
いや、いっそ狂ってしまった方が楽なのです。ほんの数秒間、目を閉じればそれで楽になれるのです。
でもそのようなことを考えるというだけで恐ろしいのです。」
 彼が何時に、何処で何が原因でこの様な状態になってしまったのかを知ることは不可能であった。
彼には身内と言うものが全くもって無いようなのだ。さる地方の小さな町に何処からか迷いこみ、
夜中に道の直中で意味不明な言葉を喚き散らしていたところを警官に取り押さえられ、この施設に送られてきたのだが警察の身元調査はすぐに行き詰まり、
彼の素性は万に一つも解らなかった。彼が彼自身について私や周囲の人間に語っていたことといえば、如何に眠ることを恐怖しているかと言う一点のみであった。
 彼の疲労と衰弱は夜毎に限界へと確実に近付いている様であった。彼は瞬きをする度に何とも形容し難い悲鳴を上げるようになった。
その声、いや音と言った方が良いかもしれない、それにより私も神経をすり減らすようになっていた。
それは他の患者や職員達にとっても同様であったようである。何かがおかしくなっていたのだ。
 今にして思えばこれは彼の為と言うよりはこの職場に少しばかりの秩序を取り戻そうとする為のものであったのだが、私は荒療治を試みることにした。
光の全く入らぬ厳重な鉄扉の古い部屋に彼を入れるのだ。いささか時代錯誤な感はあるものの、人体が明所では覚醒し、
暗所では休眠しようとするのは紛れも無い医学的な事実であるし、彼には睡眠が、少しでも脳を休めることが必要なのだ。
もちろん、事前に鎮静剤を投与し、特別に柔らかく寝心地の良いベッドを用意するなど彼への負荷を緩和することも万全であった。
驚いたことには、彼の同意が意外なほどあっさりと得られたことであった。表情に乏しくなっていた彼であったが半ば希望に満ち、
半ば諦めたような決意にも似た複雑なものが彼の目には見て取れた。その日の内に準備が行われ、治療は始められた。
鉄扉が閉じられても尚、彼は目を開け続けているようであったが、通常投与しているものとは異なる鎮静剤の効果であろうか、
若干ながら安らかな気分であると話していた。少しの会話をした後、3時間ほどの静寂が続いた。
しかし、突如としてそれは破られたのだ。
「何故だ、目を開けているはずなのに、何と言うことだ、あれはとてつもなく、ああ、白い!?」
私が聞くことが出来たのはそれだけであった。扉を開けると、彼は既に事切れていた。
 数ヶ月が経ち、この不幸な悲劇もそろそろ風化し始めた頃であった。
皆が望んでいたもの、僅かばかりの秩序を取り戻し、それぞれの日常の中に落ち着き、特別には何事も無い日々が過ぎていった。
それは数十年振りかに訪れた日々であるかのような錯覚さえ生じさせていた。そんなある日の夜、私は夜中に何故か目が覚めてしまい、なかなか再び寝つけないでいた。
私は寝室の窓を開け、しばらくの間夜空を見ていた。星の少ない夜であった。微かな星の光は、その間に広がる宇宙の暗闇を引き立てている様でもあり、
しばらくの間そこを見詰めていると何時しか呑込まれそうな不安を抱くようになっていた。その時だった。一瞬であったが、その空間に何か白いものが動くのを確かに見たのだ。
それがどれほど遠く離れた所にあるものなのか、大気の及ぶところなのか、数万光年彼方の星々の世界の景色なのか、皆目見当がつかない。
もしかすると恐ろしくなる程に私のすぐ近くにいたのかもしれない。
 私は今、療養所にいる。
805 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 04/08/30 23:32 ID:H86nBEX4
なんべんも、『なにもかも元通りで、家族や友達がいる』っていう夢を見ては、がっかりするだろうな…
『みんなが消えちゃう夢みてさー』なんて言って

809 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 04/08/31 00:40 ID:fbhAQO69
>>805
『みんなが消えちゃう夢見てさー・・・』
自分の声で目が覚めた。あたりを見回しても誰もいない。目覚し時計もしばらく前に用を成さなくなった。
今は時間を知らせるためだけのものだ。
「ねぇ、誰か!いないの!?」
またいつものように声を張り上げた。
「どうしたの?」
と、扉を開けて笑顔を向けてくれる母親はいない。本当に誰もいないのだ。
「やっぱり、誰もいないんだよな。」
>>805は今しがた見ていた夢が現実だったら良かったのに、と思いながら起き上がる。
「もう、限界だ。」
戸棚の中に入っていた薬ビンに手を伸ばした。最後の最後にととっておいた、睡眠薬を飲み込んだ。
「これでもう、いいんだ。」
>>805は安らかに目を閉じた。
810 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 04/08/31 00:41 ID:fbhAQO69
目を開けた。
「薬の量、足りなかったのかな・・・」
と思い起き上がる。しかし、>>805の見知った部屋とはかなり違う部屋にいることに気づく。
「どこだ、ここ?」
自分に繋がっているらしい機械がけたたましくサイレンを鳴らす。
プシュー・・・・自分に向かい合わせるように位置する扉が開く。真っ白い服を着た看護婦が驚いたような表情で>>805をみると、又部屋から出て行った。
外の方から「805番が目を覚ましました!!」と聞こえる。
続いて、眼鏡を掛けた男の人と、さっきの看護婦が部屋に入ってきた。
「本当だ!目を覚ました。」
男は>>805を見て声をあげた。
「ねぇ、ここはどこなんだよ!」
声をあげる>>805に対して男は少しすまなそうな表情になった。
「君は・・・その・・・」
「事故に遭ったの!?」
「いや、・・・その、全国で体力測定を行った。その時、現実で生き残れるだけの体力が必要だと考えた国は、もう一つの世界を作り上げ、その中で、『もし地球上で人間が自分ひとりだけになったら』という状況下の元、脳をサンプリングしていた・・」
「じゃあ、夢を見ていたんですか!?」
「まぁ、そういうことになる・・・だけど・・・君は、全国平均よりも少々低かった。だから、国側としては軟弱な人間は必要ないという方針に乗っ取って、君はこれから処分されることになる・・・」
「どうして・・・」
『そんなことするんですか?』という最後の言葉は、声にならなかったかもしれない。看護婦が>>805の腕に突き刺した注射針から冷たい液が流れ込んでくるのを感じると、>>805は今度こそ長い眠りについた。

「許してくれ、引きこもりなどで体力の落ちた人間は、国の経済発展の妨げになってしまうんだ・・。」

オカルト板にあったもの
578名無しは無慈悲な夜の女王:04/09/07 20:17
age
579ageられてたからとりあえず書いてみた1/2:04/09/08 02:17
少女は泡となって海に消えてゆく。
かつて少女は人魚だった。

人間の王子に恋をして、彼に近づくために二本の足を手に入れた。
それを為したのは禁断の秘薬。その代償はコミュニケーション能力。同時に授かったのはアポトシス。
浮力の得られない地上は逆巻く潮より重く、水よりはるかに軽く飛び回る大気には眩暈がした。
そして人の群れは実に難かった。彼らの瞳は空と大地しか映しておらず、また、彼らの命は真水だった。
少女は、自分が魚の眷属であることを心より恥じた。

「ごらん、あの星辰を。もう少しで手が届きそうだろう?」
答えることは出来なかった。
歌うことが叶わないなら踊れば良い。事実、唖の人魚はそうしていた。だが、それすらままならない。
無慈悲な床は痛みを以って少女の脚を縛る。卑俗な気流は少女の体に覆いかぶさる。
なによりも、少女の心は海に縛られていた。
人魚は空に思いを馳せない。人魚は「ホシ」の意味を測らない。
少女はこの世界での踊り方を知らない。

少女の恋は砕けた。
王子は「ニンゲン」、自分とは違う。足を手に入れればそれだけで幸せになれると信じた愚かさを、少女は呪った。
そっと舞踏会から抜け出す。涙を溶かしてくれる海がここにはないことを、改めて思い出す。
住むタナが違うのだ。そんな常識すら忘れさせた恋の魔力に、今更ながら戦慄する。
580ageられてたからとりあえず書いてみた2/2:04/09/08 02:19
少女は泡となりゆく。

砂浜を踏みしめて、少女は波打ち際に立つ。深呼吸して、少し噎せた。底のない虚空を、真っ直ぐに見上げる。
『其の想い成就しなば、泡と成り果て海に還るだろう』
何故ここにいるのだろう、と少女は自分に問うた。
自分の行いは無意味だったのか。恋に落ちたのが過ちだったのか。
「ち……がう」
声にならない言葉で、少女は叫んだ。
違う、からこそだ。この世に遍く違いの為に、凡ての命は苦しみ、慶ぶ。
血肉が違う、心が違う、それ故に、少女は痛みを堪えて大地を蹴った。
例え自分の歩みが苦しみに終わっても、その痛みが教えてくれる。
自分は運命に挑み、それを全うしたと。亀のパラドクスに挑むこそこと、命あるものの宿命なのだと。
まるで纏まらない思索の内に、少女はその答えを見出した。
足元が解けてゆく。体の芯から湧き上がる感触は、恋の泡立ちに似ていた。
空には、決して位置を変えぬ星が二つをあることを少女は知り、その観察成果に満足して、
……泡となった。

凡ての命は差異に歩み寄り、そして新たなる命が生まれる。また歩み寄るために。
悲恋の人魚姫こそ、その先駆けであった。

*************************************************************************************

それは、およそ3000年も前の話。
今を生きる(?)、凡てが同存在である我々は、この話になんの感情も励起されない。
よしんばこの悲姫を哀れに思っても、彼女の為に泣くことはできない。
我々は、血も涙も内包していないからだ。
581名無しは無慈悲な夜の女王:04/09/08 15:23
>>573-575
面白いー。
昭和初期の文壇のような文体が、かえってなんか、リアルだった。
582名無しは無慈悲な夜の女王:04/09/17 23:16:31
『ラステルは戦場へ行った 』パート1

2338年人類は、ついにデレプシージャンプ航法を発見。
恒星間飛行を実現させた。移住可能な数個の地球型の惑星が見つかった。
そしてこれまで予想されていた通り、異星文明『ドルヘ』に遭遇、
異星間戦争へと突入してしまう。地球から遥かに離れた最前線軍事基地
R−331星域では50万人の地球人の兵士がドルヘ星人側の機械軍団と
戦っていた。R−331基地の機動歩行兵器パイロットのラステルは、
前回の戦闘で両足を失ったが再生処置で前線へ復帰したばかりだった。
明日からの1週間の戦闘が終われば再生処置で1ヶ月延びていた休暇が
とれて、地球で待っている婚約者のステファニーと両親、2人の兄弟の
もとへ帰れる予定になっていた。
583名無しは無慈悲な夜の女王:04/09/17 23:18:29
『ラステルは戦場へ行った 』パート2

戦闘に参加している50万の兵士は、人類の中から選別された特に
優秀な人からの意識徴兵者で構成されている。意識徴兵され戦って
いる兵士は、自分がコピーされた人格だとは知らない。
1回の戦闘では、必ず数万の単位で戦死者が出るが絶えず基地内の
コンピュータに保存されているバックアップデータから複製させる
ことができる為、50万の兵士は、素体に意識移植され、ほとんど
不死のまま戦争を続けて行くことができる。それでも戦闘を続けて
いくと必ず人間の心には、薬などの治療では回復不能の疲れが現れ
戦闘力が弱まる事がわかってきた。その為、兵士には3ヶ月に1度、
1ヶ月の休暇が与えられ故郷の地球への帰還が許されていた。
584名無しは無慈悲な夜の女王:04/09/17 23:19:58
『ラステルは戦場へ行った 』パート3

だがこの兵士たちが最も楽しみにしている地球への帰還には秘密があった。
つまりラステル達が帰ったと思っている地球は基地のコンピュータが
創り出した仮想世界であった。婚約者のステファニーも両親、2人の
兄弟も存在せずラステルは、基地内のプライベートタンク内で眠って
いるだけなだ。50万の兵士にはそれぞれに調整された理想的な人生が
組まれているのである。無事に1ヶ月の休暇を過ごし戻ってきた時には、
すべての兵士は、家族、友人、愛する人の為に地球と人類を守るという
使命が再強化されるしくみになっている。
585ケロロ少佐:04/09/18 00:33:15
『収穫期間』 パート1

2141年世界各地では、テロ、民族紛争、地域戦争、環境汚染、飢餓、
新種のウィルスによる病気など数多くの深刻な状況が続き、人間の心は、
すさみ人類の危機を迎えていた。
そこで人間社会を忠実にシミュレートされた2メートルあまりの黒い
球形のコンピュータ構造体が無数に製造された。
コンピュータ構造体が作られてから2年あまり、ついに優良人格者が
萌芽したとプロジェクトの本部へ報告が入り、現実世界は、喜びに沸いた。
すぐに意識選抜者用に製作されていたクローン素体の準備が整い、意識の
焼き込みが2時間後に設定された。
586ケロロ少佐:04/09/18 00:34:30
『収穫期間』 パート2

コンピュータ構造体の中の一つ、データ世界のユーガシティ4−6街区で
暮らす市民番号112−9900−1523のカミューは、あと1ヶ月で
16歳になる少年。毎月実施される学力テストでは、とびきり優秀な成績を
あげていた。勉強だけでは、無く数多くのテストでもカミューは、
良い結果を出していた。
16歳の誕生日の日、すべての面で安定していると最終判断がされて
カミューは、ついに現実世界から『意識選抜者』に選ばれたのである。
587ケロロ少佐:04/09/18 00:35:38
『収穫期間』 パート3

この時代、現実世界の社会では、精神的倫理的にすぐれた人間が生み出せ
なくなりつつ有ったのである。
カミューのようにシミュレート世界で育てあげられた架空人格のその中で
出現するであろう優秀な意識が期待されたのです。
その優れた人格意識を連れてきて荒れて先の見えない現実社会を浄化して
くれるのではないかと試みられているのである。
カミューは、目をあけ現実世界に生まれ出た。
これからは、次々にカミューに続く優秀意識体が誕生し、社会の指導者と
して活躍してくれる事だろう。
588ケロロ少佐:04/09/18 11:08:26
『モリガの生活』

遥か未来、全宇宙は思考体という精神生命体が管理する世界に
なっていた。そんな世界で人類も進化を続け、人々は好きなだけ
生きることが出来、好きな時に死ぬことも、そしてまた、いつでも
再生できるのであった。
DHK−モリガは、今、25世代目を生きていた。現在のモリガの
職業は、格闘家。2度目のチャンピオン防衛戦を3日後
(地球人主観時間)に控えていた。そして試合が終わったら、
21世代の時からモリガと生活を共にしている2体の人工生命体
GYY−デルィとKBV−マシュリーとの3人の間で初めての子供を
作ることになっていた。
全銀河に非時間・非空間放送されている試合が始まる。
今回の対戦相手は、ビュームュ星系のガームュ人。3本の足と
1本の疑似足の蹴り技は強力、更に強い精神波攻撃も要注意。
対するモリガは、14体用意されている戦闘素体の中から
コンディションの良い身長2メートル78センチのスタンダードタイプを
目覚めさせ精神移入を始めた。
589ケロロ少佐:04/09/18 11:09:37
◎ケロロ ↑
昔、アメリカの映画で「アリーナ」というのがあった。
未来の宇宙の巨大なスペースシップの円型闘技場の
アリーナで繰り広げられる人間対エイリアンの格闘技を描く
SFアクション映画。
超B級のSFだったが、あんな設定のSFが俺はかなり好き。
日本人のマッド・ジョージがエイリアンのデザインを手がけててたなー。
なんか小説っていうより小説の設定だな
591ケロロ少佐:04/09/19 15:08:31
>>590ありがと!
>なんか小説っていうより小説の設定だな。

だね。

設定は、いろいろ考えられるんだが、
うーん小説は難しいね。
592ケロロ少佐:04/10/16 00:49:17
『残された人たち』その1

俺は,人間。2056年生まれの24歳。属性はナチュラル。遺伝子改善されていない最後の人間。いわゆるボンクラと呼ばれる世代だ。
今日も予約しておいた仮想S○Xドールを転送させ呼び出しS○Xを済ます。今週で3回目になる。これで毎日S○Xしたことになる。
補助電脳経由で性行為を察知した人工意識カウンセラーがすぐさま警告をよこしてきた。「あなたの行為は、現実逃避の兆候をしめしています。さらにあなたの支給クレジットの残高が不足しています。」
ああ、わかってる。わかってるよ。わかってる。俺はうんざりしている。
更に容赦なくカウンセラーは、わめく。「明日、朝8時に生活改善治癒タンクに入る予約を取りました。仕事は、休暇扱いに設定済み。」
ああわかったよ。仕事は休んでいいんだな。
どうせバカ遺伝子持ちの俺の仕事は、ロボットにでもやらせりゃものの1分で終わっちゃうもんだからね。

土曜日の休日、午後3時、俺は一週間たまった電脳端子部分の内部汚れを落としに洗浄ランドリーにいた。
いつもは洗浄している間は、一度、意識をとばし、眠っているのだが、その日は、昨日買ったお気に入りの2004年版の文庫本を手にし、洗浄が終わるのを待ち、イスに座り読んでいた。
缶コーヒー1本を飲み終える頃、1人の女性が洗浄をするために施設に入ってきた。俺よりかなりの年上でちょっと歳に合わないハデ目の服を着ていた。
顔は、とても美人とはいえないレベル。今時、整形をしていない女はめずらしい。
洗浄を待つ間、その女が話しかけてきた。話しは、2人のお互いそれぞれ、あたりさわりのない日頃の生活について話し始めた。美人では無いが時々見せる笑顔にドキッとしたが正直、ちょっと迷惑な気持ちで話し続けていた。
俺の洗浄が先に終わり単身者アパートに帰る。
593ケロロ少佐:04/10/16 00:54:15
『残された人たち』その2

その後、たびたび、その女とは同じ洗浄ランドリーで偶然にも出合うようになる。
話しをしているうち、年齢が離れているわりには、とても話しが合うのがわかってきて、ついつい話しこんでしまう日も増えていった。
そして1ヶ月が過ぎた頃、その日は、朝から脳科学研究施設に1日中いた。
最新の技術を使い、成功すれば、俺のナチュラル、ボンクラ脳を30%機能アップさせてくれるそうで・・・
まあ全然期待してないが。少々頭良くなったって、たかがしれている。
アパートに帰る頃、辺りは、すっかり暗くなり、夜の10時近くに洗浄ランドリーへ。
終わって帰ろうとした時、その女とばったり会った。
ちょうど女も施設から出て来る時で「あら、今日はこんな時間に会っちゃったね」
いつものような化粧をしていない素顔の女だった。
すっぴんの女の笑顔はその時、すごく美人に見え、言葉が出なかった。
そして、俺は思いもよらない言葉をかけた。
「お腹すいていませんか?何か食べていきましょう。」
隣りはラーメン屋で2人カウンター席に座り、楽しく、シメール ラーメンを食べた。
帰り道、彼女の部屋にコーヒーでもと誘われ、そして自然にその日は、彼女の部屋に泊まってS○Xをした。
彼女の名前は美紀で歳を聞いて驚く。47歳だった。
一度、離婚歴がが有る独身でもう結婚はコリゴリとあの笑顔で笑って話した。
美紀は、裸になってもとても47には見えない魅力的な体をしていた。
もちろん彼女もナチュラルで社会的弱者だ。体も改造していなかった。
普段の話し方では想像できないが2人での時は、とても大胆でリードされっぱなしだ。
週末になると彼女のアパートで夜を過ごすようになった。
彼女とのS○Xは、これまでのどんな仮想S○Xドールよりも素晴らしく心を癒してくれた。
今はとても充実した毎日を過ごしている。

記録ファイル2348−EY−2340
24歳ー男性ーナチュラル人間ー危険状態を脱した模様。
精神は完全に安定している。こちらで用意した人工人間の異性をかかわらせる事によりすべての面でプラスのデータ‐を記録した。
同等の24万2392人のナチュラルにも順次、適正な異性の人工人間をあてがう準備を開始。
おぉ
急に良くなったな
595ケロロ少佐:04/10/22 00:25:38
『白い悪魔と醜い天使』その1

電車は、スピードをゆるめ、白駅に静かに停車する。音も無くドアが開く。
身長が驚く程に高く、真っ白い肌をした4、5人のライヤ星系人のエイリアングループがゆっくりと乗車してきて私の向かい側、ライヤ人専用シートに座る。
私の表情がひきつり、ごく普通の地球人がとるであろう、態度を無意識に行なう。
ほどなく、前に座っているライヤ人の1人の意識が電脳経由で私の脳へ侵入してくる。人間に対しての《チェック》だ。
私のようなテロリストを探しだす定期監視行為。私は、すでに多重人格化の防御を発動させており、オリジナルの意識を心の最深部へと隠している。
今回は、ナンバー24の羊のように従順な人間の人格を使用している。
すぐに、《チェック》が始まる。あまりにも異質な感覚で気分が悪くなる。これでも慣れた方だ。
自分の意識や体をすべて裏返しにされ1枚1枚皮をめくられて冷水に浸されてゆく。
永遠にも思える時間がやっと過ぎ、解放された私は、ふらふらと立ちあがり、歩き出す。目的の赤駅で下車する。
今回も何とか、ごまかせたようだ。テロリストの私がいつまでパワースキャンを回避し続けられるかは、あやしいものだ。
596ケロロ少佐:04/10/22 00:30:07
『白い悪魔と醜い天使』その2

あの粛正の日からもう18年が過ぎた。私が5歳の時だった。2041年12月25日に突如現れたエイリアン。
圧倒的な軍事力で叩きのめされた後、神にも勝る邪悪な精神的思考波の攻撃に完全に支配され、毛虫のように這いつくばりあわれに生きのびている人類。
人類の数は20億人に固定され死ぬ事も生まれ出る事も管理下にある。
現在、地球上には1億あまりのライヤ人が住んでいる。


通りには、4メートル近い身長のライヤとそのロボット達が歩き、そのわきを私たち人間が魂をぬかれたように醜く歩く。
しばらく、トボトボと歩き、目的地に到着した。懐かしい通りが目に入ってくる私が生まれ育った街だ。
今はもういない姉と両親と仲良く過ごした街。胸が熱くなりもう出ないハズの涙がこみあげて来た。
その時、一つの見なれない小さな装置が現れた。「しまった!!」それは、ライヤ側の新しい、監視装置だった。
もう遅い・・・おしまいだ・・・


数体のライヤ人ロボットに連れられ死への部屋へ。ずらりと並んだイスに私と同じ運命の人間が数えきれない程、固定されている。
ここでは、まったく抵抗は出来ない。皆、人形のように静かだ。かなり強い精神束縛波が注がれているらしい。
私は、これから訪れるであろう、死を静かに待つ。
「こんな形で生き続けても何の価値も無い。さあ、何もかも無しにしてくれ、ライヤさんよ。・・・・」緑色のコードが頭部プラグに接続されすぐに意識が遠くなる。


ああ・・・あの噂は本当なのだろうか。ライヤ人に処分された人間は、何処かにある仮想データの世界に住んでいると言うものだ。
戦争も病気も飢えも、もちろんライヤ人もいない楽園で・・・・・


これが死か。痛みも何も感じることも無い。・・・・・・


162名の人間が処刑された部屋のとなりの部屋に直径3メートル余りの真円の真っ白い球状の物体が低いうなり音を出し静かに回転していた・・・・
あの緑色のコードのたどり着いたこの部屋に・・・・
597 ◆GacHaPR1Us :04/10/22 00:47:34
いわゆる「ディストピア」モノなんだけど、
例えば、主人公の精神防御の作動システムについてだとか、
ライヤ人による管理社会についてだとか、
あるいはライヤ人社会によって地獄化した地球を表現するだとか、
どれか一つのネタでもっと強調したら味わいが出てくると思う。短すぎる。
598ケロロ少佐:04/10/22 01:03:25
>>597
ありがと・・・

俺の考える話はどうしても意識のデジタル化になる・・・

グレック・イーガンの『順列都市』や
デニス・ダンヴァーズの『天界を翔ける夢』好きだからねー

うーん小説は難しいや!!
599 ◆GacHaPR1Us :04/10/22 01:09:20
自分は精神のデジタライズはどーも胡散臭いので好かん。
いわゆる「疑似科学」というか、なにか大事な要素を無視してるようで…。
神林氏の作品でも、この手の電子化に波及するとたちまちのうちに
自分は読めなくなってしまった。
600ケロロ少佐:04/10/22 01:26:22
いずれは、実現化できる技術だとは思うが・・・

とにかく脳科学はまだ始まったばかりだからねー。
>>599のいう 大事な要素を無視 が常につきまとう。

いい加減なレベルでデジタル化された人間は、オリジナルとは
まったく違う人格が再現されてしまうだろうね。

大事な要素 をちゃんと説明してるSFは、まだ無いのかな。
601 ◆GacHaPR1Us :04/10/22 01:33:49
スターメイカー読んでて気になったのは、
テレパシーのメカニズムが明らかに光速を越えた通信媒体になってることで、
あれはどうしてそう思えるようになったんだろう?って思う。

その後のSFでもテレパシーというと、物理法則も科学的な思考も全部、破綻させてしまう。
そしてそんなシステムを平気で設定に生かしてしまう。
ハインラインも、アシモフも、さらにダン・シモンズですら。

人間の思考を読み取る宇宙人っていうのはどういうものなんだろう?それって人間の思考にかなり近いってことにならないだろうか??
>>601
ま、そういう疑問がネタの種だよね。
603ケロロ少佐:04/11/02 21:05:36
『ファーストコンタクト』その1

私は、サイトウ ラルゴ。2808年地球生まれの人間。
ヘレニズレル星系、第4惑星の衛星軌道上の宇宙船の船内にいる。
船体コンピュータの助言体《ナージャ》が準備完了と知らせてきた。
「さあラル!人類の代表として立派に任務を果しなさい。」
つながっていたチューブ類が外され、私は、整備イスからゆっくりと立ちあがる。
2,3歩、歩いて体の出来を確かめる。
大使としてふさわしい肉体と精神、知性の強化がなされている。
身長は人間の遺伝的限界を大幅に超えていて、5メートル56センチに改変。
知識は、脳内のデータボックス収納限界値いっぱいまでにまで載せている。
精神強化は、レベル9のストレスにまで対応できるようになっているハズだ。
「ラル!?」と聞かれ、体は軽く、とても気分がいい。
「まるで全知全能の神にでもなったようだ。」と私は答える。
今回のファーストコンタクトの異星種は、人類に比較的近い構造を持つ
2足歩行の知的生物。
事前偵察のスパイアンドロイドからの報告によると、やっと同種族間の
大規模戦争を自ら回避できる程度に精神的成長を済ませた生物らしい。

さっそく、通信回線をつなぎ、この星の標準言語で交渉を開始した。
私は、今、ヘレニズレル星人の古代神話に登場する最高神の
容姿に変身していた。
604ケロロ少佐:04/11/02 21:08:42
『ファーストコンタクト』その2

モニターに映し出されたヘレニズレル人代表大使の姿がなんとも小さく
哀れに感じられ、思わず笑みがこぼれる。
この余裕は、私の精神強化処置がうまく発動している証拠だろう。
通信データの内容解析を行なっていた《ナージャ》がヘレニズレル大使の挙動には
私への尊敬がかなり含まれていると喜びの助言を私の脳へ送りこんで来た。

大使へは、一通り人類側の条件を理解させ、一旦通信を切る。
ヘレニズレル人側からみれば今回の条約は屈辱ともいえる内容だ。
2,3時間程度は、猶予をあげよう。全面攻撃は、いつでもできる。

「あちらさんの武器は、せいぜい反物質多弾頭搭載のミサイルか
極質量集積レーザー砲くらいだろう。まったく問題外だ。」

もちろんヘレニズレル人は、この惑星上の食物連鎖のピラミッドの
最上部に位置している。
その中で興味深いのは、進化の過程で退化し無くした社会構造だった。
ヘレニズレル人の祖先は地球昆虫のアリと似た社会構造を
持っていたが進化の末、現在は、われわれ人類のような
民主的社会を形成している。
605ケロロ少佐:04/11/02 21:25:06
『ファーストコンタクト』その3

気になっていた調査報告が《ナージャ》から入る。「あまり良い報告では、ない。」「当初の予測が確実のようだ。
ヘレニズレル人の中には、今だに、わずかだが女王アリに相当する謎の階級が存在しているもよう。」
「なおも潜入させたアンドロイドに調査続行を指示。」
まずい。
ヘレニズレル人側の返事を待たずに先手を打つ必要がありそうだ。
4足歩行の生体火気兵器23万体と使い捨ての簡易クローン歩兵250万体を星都の第1都市、第2都市に降下させ攻撃指示を出す。
この攻撃でヘレニズレル人の30%の人口を処分させる。
この混乱のスキに惑星内の指導者層に潜入させておいた
擬態アンドロイドに各都市の特権階級の女王すべての暗殺を指示。1人でも逃すことは出来ない。
だが、すでに遅かったようだ。
すぐに私の脳へ神経極波長のすさまじい攻撃がはじまり、私と《ナージャ》は防戦一方に追いこまれる。
生き残りの女王数体からのものだった。
アンドロイドは、すべての女王の暗殺には失敗したようだ。
私の意識には、あらゆる感情の揺さぶりが襲いかかり発狂寸前で何とか持ちこたえた。

交渉は、すべて無効にされ。私の乗る母船は最後方の宇宙域に移動する。
この船団で人間なのは、私、ただ1人。降下させていたすべての人類側の生体兵器を強制自殺させる。

5時間後、帰星航行の中、となりの恒星系での《ファーストコンタクト遊戯》に
向かうプレーヤー、 人間ハスガ ヨーコ とその助言体の《クラリス》が乗る
遠征宇宙船団とすれ違った。
今回の私のプレイ《遊戯》は、失敗に終わった。私の記憶はすべて処分され帰星命令が出ている。
地球でのごく普通の一般市民の暮らしに戻される。

私の意識はあと数時間で消滅するだろう・・・・・・
606ケロロ少佐:04/11/02 21:36:55
今回は、逆の立場で異性人侵略を書いてみました。

未来の人類は、経済的束縛から解放され好きな事を
周りの迷惑を考えず遊び感覚で生きている生物に
なっているという設定です。
607 ◆GacHaPR1Us :04/11/02 22:44:53
すごく良かったけど、最後にこれだけの規模の「遊びの記憶」が無くなるのは
ゲーム失敗のリスクだったのかな?

『ファーストコンタクト』がゲームとして成り立つ条件として、
宇宙航行種族に無知な亜人類種族が大量に必要となるわけだけど、
そんな主族と類族の関係を作り出せる技術を暗示させてもよかったかもしれない。
父親が言った。
「 米国人とは、実はアメリカ人のことではない。
中国、春秋五覇期に越の南にもう一つ国があったのだ。
末広がりの縁起のよさからその名も、"米"国である。
日本に稲作技術が伝来した今から2600年ほど前のことである。

 この、"米"という字も由来は深く、もともとは雷紋、
すなわち雷のトーテムから作られたとの説がある。
雷紋を元にした象形図画には他にも、ハーケンクロイツ、マンジ、
旧ユーゴにて発掘される風雷紋章やブッダの髪型になど、
様々な印象図画に応用されてきたが、この国でも遠くインドよりラピュタ人に
よってもたらされた紋章が文字となったものだ。

 元々米というのは東南アジアから渡ってきたものである。
この米国人は小さい国ながらも周辺の島々との通商も持ち、
それより昔には中国諸国に宝貝(パオペイ)をもたらすなど交易によってずいぶんと栄えていた。
 だが、当時の中国はなにげに戦国。
呉越骨肉の戦いに明け暮れる物騒な時代にあって米国は苦慮していた。
富国強兵に勤めねば列強諸国に瞬時に征服される時代にあって、
中華文明ともインド文明とも離れた米国は消滅の危機に瀕していたためだ。
 その時、台湾島にすむ原住民からにラピュタ人の噂を聞き、彼らからもたらされたのが、
この稲作農耕技術だった訳であった。
およそ今から3000年ほど前の話だろうか?
>>608
 ただ、ラピュタ人によってもたらされた稲作技術は非常にめんどくさかった。
まず水耕田の構築から始まるややっこしさに遂に米国の人たちは投げ出して、
越国の季節労働者に押し付けてしまったのだ。

これがいけなかった。

この技術の真価を知った越国人労働者はすぐもって国に帰ってこの技術をもたらし、
越は米国に攻め入ることになったのだ。
戦闘能力の高い越国には叶わず、米国は滅亡した。その時の王族はこう言ったという。

                     「マイった」

 …さて、その後この脅威の新技術だけが越から呉、そして春秋各国に伝わったのであった。
名前だけ拝借して”米”と呼んだという。
>>609
 さて、クダンのラピュタ人とは何者なのか?
実は彼らは当時東南アジアから東はモアイ島まで足を伸ばす一大海洋国家であった。
各島々に文明をもたらしつつ、それらの主生産品を取引していくというスタイルで、
現在でも見られる海産問屋のような形で国家を成形した世にも稀な体系をとったいた。
似たような形態はギリシャにもあった。
 ただ違うのはギリシャ人は都市国家を基礎に置いていたが、
彼らは稲作や養豚などの”技術”によって成り立っていたという違いにある。
現在のフィリピン諸島を根城にしていたが、土地ではなく常に海洋での公海に全人生を賭けていた。
その活動範囲は実に南極まで至っていたという者もいる。
けがれない透明な海の上を、滑るように走る船の様子は空を駆けるようであったという。

 だが、彼らは文字はもたなかった。
文字ではなく、縄目に取引すべき物品や秘密の暗号指令などを縫込みそれで情報を保存していたのだ。
よって、現存する情報は、一部日本の八重島諸島に文化として残っているだけである。
そのため現在の世界史には残っていない。
語られる言葉を持たぬ民は決して語られることはないのだろう。

きっと彼らも悔やんでいるだろう。
言語など作ろうと思えばいくらでも作れるだけの知恵のある民族であったから。
草葉の陰でこう言っているのではないだろうか?

                「縄しか使わなかったのは、しばった」
>>610
 あー、ある日突然、彼らは忽然と消えた。
ある者は大陸の海賊によって駆逐されたと言い、
またある者は巨大な海底火山の爆発に巻き込まれたのだとも言った。
モアイ島に彼らの遺跡が残るのみだが、彼らは必要最小限以上の石器すら持たない民族であり、
あのような巨大遺跡を構築する意味すらなかったはずだ。
だれがあれをもたらしたのだろう?

 まあ、それはさておき。
彼らは首都も土地も持たなかったが、どこでこれら高度な稲作技術を得たかは判っている。


>>611
 彼らの造船技術は彼らの創意工夫のほどがよく見られたというが、
稲作については今のベトナムからもたらされたと考えることができるからだ。
 今から3500年ほど前から、かの国は豊穣の国であった。
稲は苗を植えるなどというめんどうことをしなくても、種籾を撒くだけで4ヶ月で収穫可能になるほどである。
そのため、現在でもベトナムでは三連作が普通だ。三連星ではない。

 滋味のある食物がたくさんある国には戦争はない。まさにびっくりするほどユートピアなのだ。
当然だろう、奪うものより与えるもののほうが多いのだから。
 だが、そのため彼らは米や稲を”生育”させるなどの知識をほとんど考えなかった。
考える必要も無いほど豊穣だったのだ。だから、この土地にも稲作はただもたらされただけであった。
とても便利かつ暇つぶしにちょうどいい作物として。

 中国がこの国の存在に気が付くのは三国志の時代まで待たねばならない。
それまでは小さな豪族が家族制の中で人を増やせるだけ増やす、
まさに人類の揺り篭としての役目をこの土地は持っていたのだ。
 どっちかというと揺り篭というより爆弾かも知れないが。
奴隷制もあったのだろうが、そんなものに頼らなくても人はほんとうに溢れていた。
石を投げれば金持ちに当るほどの豊かさには、インド人もビックリだったそうだ。
あまりにも驚きすぎてトラウマになる者も出たほどで、

               食い物がありすぎて、ショックもつらしい。
>>612
 えー、きっと、彼らの中からラピュタ人のような冒険精神が生まれたのだろ―よ。暇だったから。

 さて、このベトナムに米作をもたらしたのは、
今から4000年前、インダス文明が勃興する直前のインドからである。
 やはり滋養の高い土地であったインダス川流域に稲作はすでに定着していたが、
それには次のような話が伝わっている。

 今から5000年ほど前、彼らには解決すべき大問題があった。
いまのチベット周辺から興った拝火教徒である。
 彼らは数こそ少ないが、火を中心とした化学技術の進展には目を見張るものがあり、
貧しい山岳地帯から遂に南下を始めたのであった。
 人間の数こそ多いがインダス川流域国家は平和に安穏としていたため、彼らが使う火薬兵器に苦慮していた。
拝火教徒が用いる化学技術は火薬兵器だけではなく、
鉱物薬品を応用した筋力増強や様々な生物化学兵器にまで及び、
インド神話の著述はこの戦いを表したものだ。バッタを使った兵器も彼らが開発したものだといわれている。
これらの問題に、遂にインドの王国群は当時最強の帝国を擁していたバビロニア国家に救援を頼んだのである。
 このとき、伝来した各種兵器のなかに青銅武器、馬車や稲作があった。

>>613
 今も昔も戦争の基本は兵糧であることに変わりはない。

 拝火教徒は個々の戦闘能力は高かったが如何せん兵糧不足に常に悩まされていた。
それも当然で、だからこそヒマラヤ山脈から降りてきたのだから、根は深い。
また、穀物を耕すという技術に劣っていたため(無かったわけではない)
インド兵とは戦闘初期には勝っても戦略的には負けるということの繰り返しであった。
そこへ、バビロニア国家からもたらされた機動兵器 馬車や大量の兵糧を克つことができる稲作技術は
戦況を決定的にさせる要因となったのだ。
 だが、拝火教徒も負けてはいない。
この米作技術を盗み出すべく野に降り、以降戦乱ではなく、
思想によっての洗脳に重きをおく戦術をとることにしたのだ。
教主は配下に伝え、彼らは仲間内でこう伝えあった。

                 「戦争はもうせんそうな」

 よって!! バビロニア国家の突然の崩壊と同時にインダス文明をも吸収するに至ったのである!

 さて、バビロニア国家は、世界最初の12進法巨大演算技術で世界に君臨した最初の国でもある。
彼らが稲作の技術を開発したのだ。彼らは米発見の前に大麦の生産が盛んであった。
世界最初のビール酵母の発見も彼らによるものである。
これらの技術、すなわち、苗の生育、苗挿し、収穫時期、種籾、水田の構築などなど各種技術は
まさに彼らの演算能力から抽出されたのでものでこれらの応用から稲作は生まれたのだ。
今から6000年前のことであった。
当時は奴隷制国家。奴隷とは各種揃って運用して初めて扱えるシステムである。
彼らの中から特に計算能力に秀でた者たちと記憶能力に秀でた者たちを組み合わせ、
それぞれに12進法での計算方法を訓練したのだ。
これらの入力、出力やデータの受け渡しはは粘土板により行なわれた。
出力されたデータはやはり専門の技術奴隷によって解析され、
彼らを取り仕切る神官らによって宣託として布告されていたのだ。
これらの演算はもともとは天体気象を観測し、これらを事前に知ろうとする活動が最初であったが、
当時の人間の能力を越える何者かによって、
人間の言葉の原初ともいえる”秘密の言葉”ビット単位のマシン語のようなものがもたらされ、
これにより、人間演算システムの構築による巨大な生活支援システムが組み上げられたのであった。

 だが、彼らの悲劇はこれを推し進めて36進法に移管しようとしたことにあった。
複雑な計算方法、そして必要とされるリソースは奴隷の選別をさらに厳しくすることになり、
またそれ以前の12進法とのデータの併用問題も解決されなかった。
そして止めとして、データ上のバグや致命的なウイルスの混入が発生するなどあらゆる作業が煩雑になり、
遂に計算奴隷たちが切れた。演算で怨嗟を呼んだわけだ。

 これが直接の没落の原因となったのだが、それはまた別の物語。
>>615
 米作はこうして生まれた。と言われているのだが、実はこれは間違っている。

 さて、ここで話を離れて、ちょっと聞いて欲しいんだが、古代史を読んでいておかしなことに気が付かないだろうか?
戦史において、まずもって最初の記述は戦車からである。歩兵ではなく、戦車から発生しているのである。当然のように。
これには、このバビロニア国家成立の前にはグレートジャーニーと呼ばれる人類の大移動があった時期に秘密がある。
いまから約1万年前のことだろうか?実は米作はこれらと深い関連があるので、すこし話をしておきたい。

 新人とよばれる我々の先祖はそのころ、滅亡の危機に瀕していた。
 各人類の亜種たる原人や類人との生存競争は激烈を極め、ついにアフリカの生態系にすら影響を与えるほどの戦いになっていたのだ。
このただ中にあって、我らが新人『始まりのヒト』たちは遂に一反、戦線を脱して
その頃アフリカに接続された新大陸に生存のチャンスを賭けることにしたのだ。
だが、歩きでは肉体能力に優る原人の追走に勝てず全滅するだろう。木材なら大量にあった。
また、家畜を飼う技術から始めた彼らはウマとの遭遇という好機を得る。
こうして、馬車は生まれたのだ。まだ、ウマに跨るという技術が確立する前は馬車が一般的だったのだ。

 だが、これだけではまだ旅には出られない。なぜなら、糧食の問題があったからだ。
>>616
 保存食の問題はただ技術の問題だけはない。それは文化とも密接に関係する。
例えばモンゴルでは飼っている牛一頭をビーフジャーキーにして牛の睾丸に溜めて移動する。
これは牧畜の文化があって初めてなしえるのである。
北海道ではシャケの乾物、鮭トバが保存食として持て囃されているが酒のつまみにもいい。

 当時、狩猟文化が基本であった彼らには保存食の技術はあってもそれは大旅行に絶えられるものでは決してなかったのだ。

 この時、米の前進である稲食物が見出された。肉食が基本であった彼らにとって大転身であっただろう。
だが、保存の利く穀物は大旅行には非常に有利であり、また狩猟との併用も可能であったのだ。
これを発見した彼らの喜ぶ様が目に浮かぶようだ。
稲を見つけ、食べた彼らはきっとこんなことを言っていただろう。

                    「これ、いーねー」
>>617
 あー。まだある、まだある。
実は新大陸、現在のユーラシア大陸にもすでに原人や類人がいた。
人類の元祖たちはこれらと殺し、犯し、交わって遂にいま我々のような新人の形になったのだ。
その間にも稲は主食になっていった。
様々な加工法によって食されていったが、火の発見がなかったらこれらもなかっただろうが、これはまた別の物語だろう。

 米とはかくのごとく深遠な歴史の歯車によって各地に伝来されたものだ。
今貧しいものが辛酸努力によって富むものに変わる。その過程のなかに稲作米作の技術は磨かれていったのであった。
 だが、その過程は面倒なものを他人に頼ろうとする過程でもあった。畑作に比べても稲作は大変に面倒なものである、
その過程を輸出という形で他の労働力で補おうとしたのが米作伝来の大きな要因になったのだろう。
そして、遂にその考える力の力点が逆転したとき、その力関係もまた移り変わっていったのだ。
その中にあって、我々日本はまだまだ米の自給率は100%なのだ。その米はたくさんの人たちが残してくれた遺産なのだよ。

だから、残さず食べなさい。いいね?」

子どもが答えた。
「お父さん、話長い。」
619ケロロ少佐:04/11/02 23:22:03
なんかすごい力作だね。

学の無い俺は少ししか理解できん。
歴史に詳しい人は楽しめそうな話。

最後に・・・・「お父さん、話長い。」
620 ◆GacHaPR1Us :04/11/02 23:24:28
去年の今ごろ、創作文芸板で「米」祭りというのがあって、
それへの参加作品。
もっとヘンテコネタをテンコ盛りにするべきだ、というリウイ氏のツッコミがよかった。
あ、なんかヴォークトのアホ短編っぽい。
622名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:48:11
電脳猫ポラ@プロローグ
 このバッタは食べられるかにゃー。もう三日も食事にありつけないにゃー。
勿論あたしは猫ですにゃ、語尾に「にゃー」は仕方がないなりにゃー!
ご主人さまは急遽、海外に転勤ににゃり私は野良ににゃりました。にゃんと言
っても食事にありつくのが大変なのよ!
 何故あたしが文字を書けるかって。ふん!そんなことも知らにゃいの!今は
4649ファンデーション年にゃりよ!我々猫属もアップリフト計画という人間の
勝手な実験の被害猫にゃんだよ!遺伝子いじり回されて余計な知恵が付いたっ
て訳。まあそんな事言っても仕方がないんだけど、憶えといてにゃ〜。
623名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:53:40
電脳猫ポラA
「ポラは大丈夫かな〜あいつは甘えんぼだから心配だよな」俺は一人呟いた。
ここはエリア51宙軍基地。今はもうさびれてしまっているが、その昔は宇宙人
がどうのとゴシップ記事の宝庫だったらしい。
現在の人類は、この銀河に黴の様に版図を拡げている。我々がまさに宇宙人
になってしまったのだ!
それでポラの話に繋がるのだが人類の良きパートナーとしてチンパンジー、
イルカ、ゴリラがアップリフト計画により知能が飛躍的に上がり開拓の担い手
として活躍している。
 しかしさらに特殊な状況下で活躍が期待されているのが猫属なのだ!
アップリフト計画第2期としてもうかれこれ200年実験が続けられ最終段階を
迎えようとしている。
 ポラは最も知能の高い優等生なのだが俺が甘やかしすぎたせいか、本当に
我儘になってしまい困っていたところだ。それを上司に話したところポラ一人
で、ここまで辿り着けたら猫属も宇宙猫になれると言う事になり、俺はポラに
ここに居るから一人で来いと書き置きしてこちらに来てしまい、心配しながら
ポラの行動が全て観られるモニターを覗き込んでいるところだ。
624名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:55:47
電脳猫ポラB
 「すみませんがミルクをお願いしますにゃ」
「はい!かしこまりました平らなお皿でよろしいでしょうか?おちびちゃん」
そう言って喉を撫でられ思わず
「ゴロゴロニャー」
と言ってしまった。はっ恥ずかしいニャーしばらくぶりのナデナデにお腹を
見せそうににゃりながら
「私はレディよナデナデはセツラにしか許してないのよ」
少し爪を出し威嚇するとウエイターは慌ててカウンターに逃げ込んだ。

625名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 21:59:02
電脳猫ポラC
もうかれこれ20日間わたしは豪華客船のなかにいるにゃ。もちろん賓客とし
てではなく船員としてにゃり。
仕事は鼠取りで本当に最悪にゃんです。口の中がバイキンだらけににゃちゃう
にゃりな!でもあたしに出来る仕事はこれしかないと船長が譲らずこんなあり
さまにゃんです。まったく失礼しちゃうにゃり!わたしはコンピュータのバグ
取りが得意にゃのに。
 でもセツラに逢うまでは頑張りますにゃり。一つの救いは菜々子さんという
友達が出来たことかにゃ。彼女の部屋で体を洗ってもらったりしてすごく気が
合うにゃり。本当は船員規則違反にゃので誰にも言わないって約束にゃりよ!
626名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:00:48
電脳猫ポラD
 プルル、プルル菜々子さんからビジュアルホンにゃり
「にゃんですか?」
「一緒にお昼どうかと思って、ポラちゃんまだでしょ?」
「もうヘトヘトにゃり。体洗ってもらえますにゃりか?」
「あら本当に煤だらけみたいね!猫灰だらけ。うふふ」
「…」
 …一息ついてナデナデされながら次のエリアの見取り図を検索していると
警報が響き渡る。
わたしはさっと立ち上がり操縦司令室に向かって駆け出した。

627名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:04:12
電脳猫ポラE
 「船長どうしたにゃりか!」
「おまえのでる幕じゃない!鼠でも捕ってろ!」
「マモル3等航海士状況は!」
「はっ船長!現在の状況は非常に危険。乗客569名、至急避難が必要です!
猶予時間は40分と予想されます!」
「なんだと!汚い奴らだ!避難も間に合わんじゃないか!システムにトロイの
木馬なんぞ感染させやがって原発乗っ取り爆破させるなんて変な映画の観すぎ
だぞ何とかならんのか!」
 このやり取りを聞いて状況を理解したわたしは
「わたしにも手伝わせて下さいにゃ。コンピュータのバグ取りは得意なんですにゃ」
「うるさい奴だな!今は猫の手も借りたいくらいなんだから勝手にやれ!」
628名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:07:51
電脳猫ポラF
 角を曲がり鼠の姿をしたウイルスを追いかけた。追い詰め爪を出して、
ばさっと斬り付ける!
やられた鼠はデータの欠片になりマトリックス空間から消滅する。わたしは
システムの中枢に向かって電脳空間を駆け抜ける。
 あと一匹!システムの防壁ファイアウォールを自身を護る障壁に書き替えた
悪性ウイルスがいるところに向かう。
 …もう体がぼろぼろだ。いくらアタックしても歯が立たない!カウントダウン
まであと5分。人間のシスオペはまだここには辿り着けない。
 セツラぁもうダメ…走馬灯のように、セツラとの楽しい思い出が過ぎる
…ブランコを揺らしながらわたしを抱いたセツラの言葉
「…ポラの遠い祖先はサーベルタイガーだと思うよ。すごく獰猛な猫属の祖先
だったんじゃないかな!こんなにかわいい…」
 すると突然わたしの体がみるみる巨大化する。牙がぐんぐん伸びる。力がみ
なぎり障壁の向こうが透けて見える!スーパーラビットがシステムを齧ってい
る音が聞える!驚きと自信と怒りに全身の毛が逆立つ。
わたしはファイアウォールに向かって一歩を踏み込んだ…
629名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:10:44
電脳猫ポラG
 残りの旅程はビップ待遇にゃり!菜々子さんを最高級客室に呼んでのんびり
過ごしたにゃり!
「しかしポラちゃんすごいよね世界中、ううん、宇宙中にニュースが拡まっ
ているわよ!」
「どうでもいいにゃり。退屈にゃりよ」
わたしは鼠捕りシミュレーターを中断し、全身で伸びをして菜々子さんの膝か
ら飛び降りる。
 菜々子さんは絵本作家でわたしの話を絵本にする為、せっせと空間ディスプ
レイに電脳空間でのエピソードを書き込んでいる。
 「体がなまってダメにゃから鼠退治にでも行ってくるにゃりね!」
「気を付けてね」
「にゃー」
わたしはブロックDに向かって疾走した。

630名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 22:16:02
電脳猫ポラHエピローグ
 かくしてわたしの旅も終り、エリア51宙軍基地が現在の仕事先兼住まいと
なった。
 そして猫属も今では銀河狭しと活躍している。
わたしは電脳猫の教師として日夜頑張っているにゃ。
 あれから2年、わたしにもロイドというパートナーができ子宝にも恵まれ幸
せですにゃ!
 セツラも菜々子さんと愛を育んでいるみたいだにゃ。セツラ応援してるにゃりよ!
              −終わり−
631 ◆GacHaPR1Us :04/11/03 22:25:57
うう、この手の手法は自分なんか苦手で批評書く気になれない…。
↓あとは任せたぞ!
632ケロロ少佐:04/11/03 22:44:06
ライトノベルSF風で面白く読めました。

犬好きの私としては・・犬のアップリフトでも読んでみたかった。
633 ◆GacHaPR1Us :04/11/03 23:19:01
ドギーラブなら読めたんだけどなー…
猫は喋らない、なぜなら彼らは「猫」なのであり、
ヒトとは異質な思考だから。
その辺の発想では成恵の世界の猫観のほうが上だと思う。
【サーベルタイガー】
登場人物が推測してるだけなんで、これはケチつけではなく興味を覚えて調べただけだが、
サーベルタイガーはネコ科Felidaeマカイロドゥス亜科MachairodontinaeスミロドンSmilodon、
ネコはネコ科Felidaeネコ亜科FelinaeネコFelisなので
サーベルタイガーはネコの直接の祖先にはあたらないことがわかった。
【ご主人さま】
猫って犬とは違って主人を追っかけてゆく欲求が薄い印象がある。
「ポラは甘えんぼ」という表現があるが、むしろ「ポラは犬っぽい」という印象を受けた。
少なくともウチの猫は、知性化しても書き置き残しても追いかけて来てくれないと思う。
【菜々子さん】
そんなポラなのに第一パートナーの座を取られて平然としているってどうよ、と思ったが、
かえって猫らしいリアクションかもしれんと思った。
【評価】
テンポもいいし、ディテールのあんばいもいい。面白い。
ただFでポラの語りがマジになりすぎ。ここだけ猫から人間になったよう。
アクション場面を盛り上げるためには猫語りではだめなのかも知れないが、
そこはひと工夫ほしかった。
それともやはり知性化=人間化なのだろうか。そうだとしたら少し悲しい。
635名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 23:36:02
批評ありがとうございます。以前に携帯で作ったものでした。
>>成恵の世界の猫観のほうが上だと思う。
それはなんですか?読んだことありません。どんなものか興味あります。
これから家に帰ります。また明日寄りますね!どんな批評であれ反応があると
うれしいもんですね〜。
636名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/03 23:56:02
なんか痛くないですか?寒イボ出ちゃいました(^^;
637 ◆GacHaPR1Us :04/11/04 00:08:08
自分もなんか長文ネタカキコする身として腐っても



            「キモッ!」




なんていえねー
638名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/04 00:17:10
散歩してたら宇宙人に殴られた。感触がプニョニョンとしててきもちよかった
639ジャイロ・ツェッペリン:04/11/04 00:19:31
ニョホッ!
640ケロロ少佐:04/11/04 01:22:10
『2072年のともだち』その1

朝、7時。僕は、いつものように気分最高で目覚める。

起きてすぐに僕は、横で微笑んでいる《スースー》の《めてお》にあいさつをする。
「おはよう。今日も会えてよかった。」と、心から平和を感謝する。
世界中は今、人類史上最高の時をむかえている。
戦争、紛争、テロは、ここ10年もおきていない。
人が人を殺害することもほとんど無くなった。
経済は、無限と思える程の成長率を記録中・・・・。
環境汚染という言葉も辞書から削除されつつある。
ああ、なんて素敵な時代に生きているのか。
多分、世界中の人たちも同じ気持ちだと思う。
641ケロロ少佐:04/11/04 01:23:30
『2072年のともだち』その2

すべてのはじまりは、2041年のバイオハザードがおきて人間社会は、変わってしまったのだ。
禁止されていたハズのクローン人間に関する研究から事故が発生。
間違って生まれた生物が逃げ出した。
人間とほとんど変わらない二本足で歩き、知能も同等、しかも生殖機能も有する
生物が生まれてしまい、世界中に急速に広がる。
成長速度は、イヌ並に速く、成人となる。人間にかかわる疾病にも強い免疫を有し、
病死は皆無。寿命は、人間の1,5倍。
10年後、この《スースー》と呼ばれる新生物の人間との人口比率は、人間2に対し
《スースー》が1との数にまで増えてしまう。
事故発生から2年間は、この新生物に対し、人間は、過激な拒否反応を示し、非人道的な
大虐殺が各地で繰り返し起り、四億体もの《スースー》が殺害されてしまった。
642ケロロ少佐:04/11/04 01:24:56
『2072年のともだち』その3

しかし、ここまで増え、生命力に優れた生物を絶滅させる事は不可能だった。
そして5年くらい経過した頃、不思議な現象が各国で起きはじめた。
なんと!《スースー》と同居を始める人たちが現れ始め、この新生物が認知され
始めたのだ。

そして今、現在、《スースー》は、人間にとって無くてはならない存在にまでになった。
あれほどの虐殺にあったこの知的生物は、まったく人間に対して無抵抗主義を
つらぬき通しているのだ。まったくの清い、無垢な心で。

僕の家には、今、パパとママとの間に1人、そして、僕と一緒にいる《スースー》の《めてお》1人がいる。
合計2人の《スースー》が同居している。
パパとママと《スースー》の3人は、とても仲が良く、いつも楽しく笑って過ごしている。
男女の間の精神を仲介する役目を《スースー》は行なう。
今、世界の離婚率は、限りなくゼロに近づきつつある。
もちろん僕と一緒の《スースー》の《めてお》も僕と大の友だちだ。
643ケロロ少佐:04/11/04 01:26:20
『2072年のともだち』その4(終)

そういえば、学校へ登校する前の朝のマルチビジョンのニュースで
国連人権会議で《スースー》が人類と同種と認められたと伝えていた。
国連ビルの演台でアメリカ大統領と暮らしている《スースー》の《かむ》と大統領が
2人そろって笑顔で人権宣言を読み上げていた。

3年B組の教室、仲良くイスに座っている僕の《めてお》が今も僕を神のような
微笑みで見つめている。「僕たちスースーはこれからもずーっと一緒だね。」
クラスメートのみんなのそれぞれの《スースー》も坂本先生の《スースー》も
同じ微笑みで見つめ続けている。

多分、人間がいなくなり《スースー》が地球生物の唯一の知的種となった後も
ずーっと・・・・・ずーっと・・・・・
644ケロロ少佐:04/11/04 01:30:29
同じ星に2種類の同等のレベルの知的種生物は存在できるのか?

お互い共存は難しいのかな。
そもそも自然な進化では存在できないのかも・・・・
なんか痛くないですか?寒イボ出ちゃいました(^^;
646名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/04 22:02:35
えらく拒絶されちゃいましたねー。店に居ついた甘えんぼ猫(貰い手がみつかり幸せに
暮らしています)&タウザーという名のウィスキーキャットの実話&知性化シリーズ
がブレンドされ、まさにラノべ風になりました。批評みて次回の参考にします。
「キモッ!」効果的ですね。転んでも…の精神でリトライします。

まぁ晒した勇気は買う。
648 ◆GacHaPR1Us :04/11/05 01:07:19
ダーウィンだったら否定するだろうね。
649大網傘茸:04/11/05 23:00:18
(5−1)「お墓まいる」
父が死んで、家の中が寂しくなった。
そう感じる自分が正直なところ意外であった。私と親父は相当な不仲だったからだ。
命日には、妻の良美とふたりで墓へ参る。墓地は町の中心部から外れた遠い場所のため、
途中までは自動車で行かなければならない。
だだっ広い駐車場には、今日はまばらにしか車が置かれていなかった。私は愛車のカロー
ラを止めると、外に出た。
予想外の冷気が肌を刺す。もうそんな季節か。
「寒いな」
「ええ、今日の最高気温は14度だそうよ」
650大網傘茸:04/11/05 23:05:28
(5−2)
手桶やひしゃくなどはここで借りるので、それ以外の線香や花、墓掃除道具であるゴミ袋、
ほうき、ちりとりなどを取り出すためにトランクを開けた。つんとするような花の香りが
強烈だった。
親父は死んだんだなあ。今更のように実感が沸いてくる。ここ数ヶ月の間、私は頭では理
解しているつもりでも、どこか親父の死を受け入れていなかったように思う。
突然家に帰ってきて、何事も無かったように「達也、昼飯食わせてくれ」なんて言ってき
そうな気がしていたのだ。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」私はすぐに荷物をおろし始めた。
651大網傘茸:04/11/05 23:06:06
(5−3)
長い石段を時間をかけて登る。良美は心臓が悪いため負担をかけられないからだ。私たち
に子供がいないのもその理由だ。生物学の学者である親父は、良美の病気を良くするために、
時間を割いて色々と勉強しながらアドバイスをくれた。
私達は休みながら、周りの自然に目をやった。ところどころに生えている赤い彼岸花が色
鮮やかできれいだった。最初にここに来たときは随分と暑くて吹き出す汗が止まらなかっ
た。季節の移り変わりは早いものだ、時間は無情に流れていく。それは誰もどうする事も
出来ない事ではあるのだが。
652大網傘茸:04/11/05 23:06:48
(5−4)
ようやく丘を登り切って親父の墓の近くに来た。私は振り返りミニチュア化した町の風景
をしばらく眺めていた。
「あ、あなた!」良美が1オクターブ高い声で叫んでいる。
発作か?背筋に戦慄が走った。あわてて私は良美のもとへ駆け寄った。
「み、見て」良美が指さしたのは親父の墓だった。そして私は唖然とした。
荒らされている。墓石がずらされて下の穴が露出しているのだ。
穴の中はどうやら空っぽのように見える。墓泥棒だろうか?とにかく許し難い行為だ。
「ひどいな」私はつぶやいた。「いったい誰がこんな事を」
何か重要な痕跡が残っていないかと墓の裏へをまわってみた。
653大網傘茸:04/11/05 23:07:29
(5−5)
すると一枚の紙が墓石に貼り付けてあった。乱暴な文字でメッセージが書かれてある。
『実験成功!ただいま外出中。 by仙蔵』
親父の名前であった。筆跡も見覚えがあるような・・・。
家に帰ると、異臭を放ち腹をすかせた親父が、思った通りに「達也、昼飯食わせてくれ」
と言った。
親父、氏んでね。 (1点)
654名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/05 23:12:58
(5−3)でオチが嫁ますた。
655 ◆GacHaPR1Us :04/11/05 23:29:34
…えーっとどこの日本だと土葬してくれるのでせう?
656大網傘茸:04/11/06 01:22:58
感想ども。
久しぶりに書いたらえらく手こずって疲れました。
土葬については、もともと遺言状に書かれて実行したという説明があったのですが
その部分など含めいろいろとばっさりカット。にしてもオチが見えるのは反省。
いじっているうちに感覚がわからなくなっちゃいました。
正直、自分の書きたいものの傾向が変わって来ているんで現在絶不調です。
(アイデアよりもストーリー展開で読ませる中編ものとか、私小説風ものとか)

ちなみに漏れは、猫のお話はかなり実力の有る人が書いてるように思いました。
別の作品も是非読みたいですね。
657大網傘茸:04/11/06 03:30:01
(3−1)
「携帯電話」
20世紀末からのエレクトロニクスの急激な発達は、人類の生活を大いに変えようとして
いた。もはや家庭にコンピューターが有るのはあたりまえ。個人で複数のコンピューター
を所有する者もさして珍しくなかった。
そして電話は持ち歩く事が可能なほど小型化が進み、コードレス化され低価格で購入出来
る世界が実現した。
その結果、この携帯電話は恐るべき勢いで世界中に普及していった。
面白いのは、直接会話をするだけでなく文字メッセージを送る機能や和音を使った着信音
など、あるいは情報末端器機としてのさまざまな機能を加えるに伴い。全く新しいコミュ
ニケーションツールとしてもてはやされるようになった事だ。
それは流行に敏感な女子高生にとって、最高の遊び道具だった。
メール機能を利用して親しくなった友達を「メル友」と呼び、その人数を競い合うといっ
た、彼女たちの間では全く新しい文化が形成されていた。
658大網傘茸:04/11/06 03:30:34
(3−2)
その一方で、携帯電話無しではいられないといった、依存症に近い傾向も現れていた。
A子さんの場合はメル友が既に百人を超すほどで、すでに携帯電話無しの生活など考えら
れない状態であった。
A子さんは暇さえあればメールを打って、複数の友達との友情を確かめ合っていた。
「ああ、私にはこんなにも友達が大勢いるんだわ」
今日は土曜日。友情をさらに深めるために、何人かのメル友へ向けカラオケに誘うメール
を打った。次々に返事が返って来る。A子さんは思った。「なんて素晴らしい友達。いい
え私のかけがえのない親友達」
既に十人ばかりの人数が店に集まっていた。時間を持て余した彼女たちは各自でメールを
打っていた。
「待たせてゴメン」
「いいよ」「いいよ」
659大網傘茸:04/11/06 03:31:36
(3−3)
部屋に入るとみんなで次々に歌う曲の予約を入れた。私の番まではしばらく時間がある。
早速ここに来られなかったメル友に、メールを打ちまくった。
その内容は、いま、親友達と思いっきりカラオケを楽しんでますというものであった。
歌っている親友以外の親友達もメール打ちに多忙で、最期まで誰一人顔を合わせる事は無
かった。やがて終了の時間が来るとA子さんは名残惜しそうに言った。
「今日は最高に楽しかったね!」
「ほんとほんと、私たち最高の友達だよね」全く知らない若い子もそう言った。

 数年前のテレビのリポートで似たような事をやってた。当時、実話ながら
ガジェットSFのオチみたいだと思った。(1点)
660名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/06 03:46:58
うーん

いまさら携帯電話のはなしされても・・・

SFを読みたい。
661大網傘茸:04/11/06 07:57:53
漏れにSFを書けといわれてもなあw
寝かし中のアイデアも有るには有るけど、勉強してからでないと書けない内容だし。
そこまでして書いたものを2ちゃんに出すかわからないなあ。(たぶんまだ書かれていな
いタイプの異星人もの)
自分の場合、ほとんど気楽に書いてるのでゴメンね。
662名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/06 09:29:03
ここSF板だからなー

てっきり短編SFが読めるものと思っていたが。
663 ◆GacHaPR1Us :04/11/06 19:40:40
 今度の改正道路交通法で回りの喧騒を観察しるに、
どうも、ヘッドセットの使用法とか製品精度とかが安定してきたら、
さらに運転中の携帯使用の依存度が高まって、事故率急上昇するように思う。
 思うに、『交通事故事故率』っていうのは理由を除外していっても、別の理由が浮上してしまい、
決して急激な低下を観ないように思える、なぜかは知らんけど。

 改正後、とある高速道路にて再び事故率の急上昇を受け、危機感を持った
警視庁は交通課特殊機動科学調査斑「PTSD」の面々に、この原因の調査を命じた。
 事故統計、現地取材、アンケートなどなど、様々な見地からこの不可思議な現象を調査したが、
理由はまったくの不明であった。調査は暗礁に乗り上げると思われた、が

 ある日、某大学の教授を名乗るものがPTSDを訪ね、この不可思議現象についての見解を述べだした、
「ちょっちゅねー、わたくちが思うにこれは日本人全般の注意力の低下曲線と事故発生要因に繋がる
 危険レベル上昇曲線のあわさった現象なのではないかと思うのでちゅ、あ、わたくちの喋り方おかちでちゅ?
 あまり気にしないテくだちゃい、外国生活が長ったのでちゅ。
 わたくちはこの見解を元に、あるテストをおこなってみまちた。
 携帯電話を通常用いる場合でちゅね、ヘッドセットによるもにょと携帯電話を手に持って行うもにょとで
 脳波にゅおけるα波とΒ波の分布を知れベテみたのでちゅ。
 すると、なんとヘッドセットのほうが電話への集中量が大きいことがわかりまちた、これはなじぇか?と調べたら
 どうも、耳、目、声にヘッドセットのほうが集中しやすくなって他の作業への集中量が減ぢてしまうのでちゅね、不思議不思議」

警視庁はこれを受けて、次期国会における「運転中の集中力分散禁止法案」を提出することを検討し始めた。

…これってSFになりますか?
664名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/06 20:32:47
タイトル不明瞭、内容知らない「話のわからない男、地図の読めない女」
が頭に浮かんだ。〜しながらで集中できる逆転の発想はどうでしょうか?
>SFになりますか?
あなたの思った通りですよ。3点
665 ◆GacHaPR1Us :04/11/06 20:37:40
…まあ、ホントは簡素書こうと思ってたんだけどね、
なんかしらん、いつの間にやら…
666名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/06 20:44:27
しかし、多作は恨めしい〜。んじゃ!
667 ◆GacHaPR1Us :04/11/06 20:44:58
その他の作品
オヤジギャグのガイドライン
http://that3.2ch.net/test/read.cgi/gline/1099739312/
668名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/06 20:52:42
二重人格?なにも恥部晒さんでも・・・。
漏れも晒しまつ。
669ケロロ少佐:04/11/12 10:42:53
『短い一生のたった一つのこだわり(100万回生きたヒト)』その1

『苦しい、息が出来ない。』いよいよ《タダノ ダイキ》は、末期症状を示した。今回の新薬は効果が無いもようだ。
それどころか、複数の重大な副作用が発生していた。顔はむくみ異様な大きなムラサキ色のシミが体じゅうに出ている。すべてのリンパ腺は腫れあがり、手のほどこしようがない。
自分の心臓が100倍にも大きくなったかのように感じられ、別の生き物のように《タダノ ダイキ》をもがき苦しめ続ける。
ついに、脳の血管が破裂したようだ。意識がすっと消え・・・終わる。

《タダノ ダイキ》死亡と表示されたモニターを見つめる2人とデータをメモする1人の研究員がいた。
『マルマツメディカル社の試薬130096は、失敗だ。副作用が思ったより激しかったな。』
『想像を絶する苦痛だったらしい。』『おい、牧野、次の試薬の用意だ。今度は、モナガ製薬社の開発薬だ。用意してくれ。』
670ケロロ少佐:04/11/12 10:44:22
『短い一生のたった一つのこだわり(100万回生きたヒト)』その2

ブゥーウウンとうなり音がし、モニターの中に新しい試験人間がデータ精製され、裸の男性があらわれた。
静かに目を開けた男は、わずかに微笑みを浮かべた表情でまわりを見まわした。
『私は・・・・マツキ ユウイチ』起動した試験人間は、最初に必ず自分で名前を付ける。
いつの頃からか、始まった決まり事・・・・・

『気分爽快。さあ、お仕事 お仕事!今度の病はどんなんかなー』マツキは明るくはしゃぐ。
コンピューター上にデータ精製され、起動した新規の試験人間は、これから病気に感染させられ、開発中の新薬を投与されることが自分の使命だとだけ教えられている。
過去の失敗したデータの記憶はマツキには無く、クリアにされていて、毎回、正常な健康体としてモニターに登場する。
この小さい、人1人が収まるのがやっとのせまい仮想世界空間に短縮された時間がカウントされてゆく。すでにインストールされた悪質な致死ウィルスの病がマツキの体を壊してゆく。
671ケロロ少佐:04/11/12 10:45:58
『短い一生のたった一つのこだわり(100万回生きたヒト)』その3

マツキの表情がゆがみ、みるみる病人の姿に変わってゆく。
ほどなく、今回の試薬A−330−8900が投与され、時間をカウント。効き目が現れる12時間の間、マツキは、もがき苦しみ、薬の効果が出るのを待つ。
薬が投与されて13時間25分たった頃、ついに症状の改善が現れてきた。副作用もほとんど見られない。
マツキは、外の世界へ経過報告を送り始めた。ひと通り終わり最後に治療薬として世に出るだろう試薬A−330−8900の正式名称を《A−330 マツキ》と記録し試験人間マツキ ユウイチの短い一生は消えてゆく。

その後、新薬、《A−330 マツキ》は、世界中の8700万人の患者の命をすくう夢の薬として発売された。開発にあたった生体情報研究機構へは、ネットを経由したテレビ局の取材が殺到した。
レポーターが興奮した様子でしゃべり始めた。『皆さん、ここがあの、夢の新薬、《A−330 マツキ》が開発された研究室です。これほどまでに早い短い期間で、国の認可がおりた最大の理由は、生体情報研究機構が開発した医薬臨床用人体モデルのおかげなんですよ。』
672ケロロ少佐:04/11/12 10:47:09
『短い一生のたった一つのこだわり(100万回生きたヒト)』その4

開発チーフの盛田が空中に浮かぶデータを示しながら説明を行なう。
『このモデル達は、日本人成人、男女の平均体型を忠実に再現させた数値データで構成されています。病気の症状データを取り込ませ、脳、筋肉、血管、内蔵などなどの仮想組織にどのような影響を与えるかを生身の人間とまったく同じように調べることが出来ます。』
『それにより開発された新薬がどのように作用してゆくかが実験できるのです。世界初の本格的全身モデルたちなのですよ。』と自慢げに盛田が笑っている。
レポーターは、『現在、ここには、男女それぞれ4体ずつのモデルがいて、24時間休み無く、あらゆる病気に発病させ、治療薬開発に活躍させているそうです。』とにっこり微笑み、通信を切る。

ブゥーウウンとうなり音がし、モニターの中に新しい試験人間がデータ精製され、裸の女性があらわれた。
静かに目を開けた女は、わずかに微笑みを浮かべた表情でまわりを見まわした。
『私は・・・・キタガワ ユミ・・・』起動した試験人間は、最初に必ず自分で名前を付ける。
いつの頃からか、始まった決まり事・・・・・そして、たった一つの悲しいこだわり・・・・
673パスカル:04/11/12 11:12:03
「大団円」

気候の激変と人口増加により世界から食料が消えつつあった。
そのころベン博士の研究所では長年の研究が実ったのであった。
「やったぞ。この薬さえあれば人類の食料危機は克服できるぞ。」
「博士!おめでとうございます。」と涙を流す助手のジョー。
ベン博士の新薬はさっそく各国政府を通じて世界中に配られた。
日本では首相のイシハラがTVで国民に呼びかけていた。
「みなさん。やっとわが国もこの危機的状況を乗り越えることが
できるのです。ベン博士の開発した新薬を飲めば、大便も小便も
できたてのホヤホヤの食料としてそのまま食べることが可能と
なるのです、みなさんこれを見てください。」
そういうとイシハラは演壇の横にあるテーブルに移動した。
テーブルの上には豪華な皿に乗った少し下痢気味の軟便と透明なコップ
には少し赤みを帯びた不健康な尿が入っていた。
イシハラは椅子に座ると大きなスプーンでその便をうまそうに食べ
尿をゴクゴクと飲み干した。
「うん。うまい!」まるでグルメ番組のような一言であった。
「みなさん。こうして食べたものはまた排泄されて食料となるのです。
我々は永久に食料をつくりだすことが可能となりました。
もう今後一切私たちは自分たちの糞尿以外は何も食べる必要がないのです。」
674ケロロ少佐:04/11/12 11:16:46
>>673
キモクてシンプルでバカな話で面白かった。

ベン博士のネーミング最高。
675 ◆GacHaPR1Us :04/11/12 18:31:18
>>669-672
よかった。もし自分がタイトルつけるとしたら「名前」だけだったと思う。それだけ。

>>673
その発見に対する世界中からの総ツッコミを受ける様をぜひ描写して欲しかった。
676ケロロ少佐:04/11/12 21:20:55
>>675
ありがと

今回の話は、昨日の日経産業新聞の記事に携帯電話の電磁波が
人間に及ぼす影響を調べるため人体モデルをつくったと
有り、思いつきました。

タイトル長かったですね・・・ジェイムズ・L・ハルペリン著の
SF『天才アームストロングのたった一つの嘘』を読み、面白かったため
無理して似たタイトルにした次第です。
677 ◆GacHaPR1Us :04/11/12 21:29:13
>>676
天才アームストロングのたった一つの嘘
ジェイムズ・L・ハルペリン (著), 法村 里絵(訳)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4042788017

角川なんだよなー…読んだ事無いや…
ケロロさん面白かったです。
模造人格?人間達に救われない悲しさを感じました。
彼らに救いの兆し又は反逆の兆しがあればさらに深みのある味わいが
創りだせたのではないかと思った次第であります。
パスカルさん
そんなものばかり食べていると糞野郎ばかりになりまつ。
スカトロが浸透した世界を想像して今晩の食事はパスします。
680ケロロ少佐:04/11/12 23:38:32
>>677
『天才アームストロングのたった一つの嘘』私、このSFかなりのお気に入りです。
同じ作家の書いた同じ世界で描いた別の作品『誰も死なない世界』もあります。

>>678
ありがと

>反逆の兆しがあればさらに深みのある味わいが 創りだせたのではないかと思った

そうですね。まだまだ未熟です・・・
それで・・・私は映画、マトリックスやターミネーターのように
コンピューターが人間に逆らうパターンがあまり好きでなく、
常に人間の味方か、さもなくは、従順なままの描き方がこのみなのです。
人類の歴史における最後の世界大戦のさなか、
永遠に空を飛びつづけるという謎の航空兵器が生まれた。
その兵器が持つ機関の出力はあまりに巨大で、当時の時空のもつ閾値を越え、物理を歪めた。
その瞬間、世界は永久機関を実現させたのだ。
永久機関が存在するというパラドックスは世界の変貌を意味した。
航空兵器内部の世界で唯一の真正永久機関は、世界を無尽蔵のエネルギーで満たし、
人々は準永久機関という装置をつかってどこにいてもそのエネルギーを取り出せるようになった。
やがて人々は戦争をやめた。争う必要がないのだ。
準永久機関により人類は有史以来の運命を克服し、飢餓や貧困はなくなっていった。
そして地球資源もほとんど必要ないというところまできたとき不老不死さえ実現した。
だが、やがて人々は姿を消していった。
人がいなくなったあと残ったのは、準永久機関をもつ機械の群れだった。
機械が機械を製造し、世界は動きつづけていた。
時はながれ、やがてかつての兵器のようなものが製造されるようになる。
どうして?もう必要ないはずなのに。
製造されるのはコクピットと云う名の内部空間のある攻撃能力を有する航空機ばかりだった。
そのターゲットは ・ ・ ・
682パスカル:04/11/13 01:50:42
「暴走の報酬」

光速がとうとう秒速7mにまで落ちてしまった。
世界政府によってウラシマ効果防止法が法制化されたのはもう5年も前のことだ。
世界中から自動車や飛行機が消えた。最近では自転車にすら乗れない。
しかしおれたち走り屋にそんな法律はクソ食らえだ。
今夜も隣町の走り屋グループ暴念会からチキンレースを挑まれている。
チキンレースの方法は単純だ。10m後方から懐中電灯のスイッチを入れる。
同時に走り出しゴールに光より先にたどり着いた者の勝ち。
ただし、いい気になって光速を越えると体が裏返って内臓が丸出しに
なってしまう。今まで無謀なこのレースで何人が命を落としたことだろう。
今、おれの隣に立って獣のような目をギラギラと輝かせているのは暴念会の
リーダーのカドマツだ。やる気満々ですでに腰を落として走り出すポーズを
取っている。今夜勝たなければおれたち信念会の縄張りは暴念会に渡す
約束になっている。もちろん信念会のリーダーであるおれが勝てば暴念会の
縄張りはおれたちのものだ。
「よーい」闇の中を後方からサブリーダーのサンタの声が響く。
「スタート」懐中電灯のスイッチが入れられた。光がぐんぐんと伸びて来る。
おれは必死になって走った。しかし光速は越えてはならない。
今まで隣を走っていたカドマツが急にスピードを上げた。ゴールまであと20m
というところだ。おれが激しい焦りを一瞬感じたその時だった。
一瞬の閃光と共に「あべし!」というカドマツの叫びが響いた。
おれは転りだしたカドマツを抜いてゴールに辿りついいた。懐中電灯の光が
おれたちを照らし出したのはそのほんの一瞬あとだった。振り返ると体が
裏返ってしまったカドマツがピクピクと撒き散らされた内臓の中をのたうっていた。

そして3年後、とうとう光速は秒速3mになってしまった。おれたちは走り屋を
やめて歩き屋になった。
683ケロロ少佐:04/11/13 10:21:37
>>681
永久機関がどんなものかもう少し説明がほしかった。
話の中に機械なり人間なりが登場しセリフが一つ二つ
あればわかりやすかったかも・・

>>682
光速が7mになる話、物理学的には、かなり無理がありそうですが
無知な私はつっこめません。
でも面白く読めたのでわたしは、問題なしです。
女の子が話に絡んでくればよかったかな。

>>681>>682どちらもこれくらいの長さで完結する話はいいですね
読みやすくて理想です。私には難しいですが。
>>673といい
>>682といいパスカルの話しはいい加減な話しだ。
パスカルさん
グロい笑いを狙ったのですよね。
新作を待っていますよ。
夕食に肉は控えようかな〜。
>>681
・・・はなんだろう。
>コクピットと云う名の内部空間のある攻撃能力を有する航空機ばかりだった
ここがヒントですよね!?答えはう〜ん、う〜ん、・・・。
答えや続きによっては良作の い・よ・か・ん。
687パスカル:04/11/14 00:51:13
「疑惑」

ふとした妻との会話がきっかけだった。
「やっぱり子供の頃がよかったわねえ。生活の不安なんて全然なかったし」
「えっ。子供の頃・・・・」
そういえばおれには子供時代の記憶がない。なぜだ。
その後の妻の話はまったく耳に入らなかった。
「ねえ、あなたどうしたの、急に黙り込んで顔色が悪いわよ」
「いや、どうしたことかおれには子供の頃の記憶がないんだよ」
おれは胸中に広がる不安と疑惑を出来るだけ抑えながら言った。
「ばかねえ。あなた私と出合うちょっと前にデパートの階段で転んで
記憶喪失になったんじゃないの。忘れちゃったの」
「えっ!そうだったのか。よかった。おれ自分がクローンかと思っちゃったよ」
おれは心底ほっとした。さっき感じた自分の存在の希薄さがまるで嘘のようだ。

私はどう見ても安物の受け付けロボットに左手を提示した。ロボットは私の左手に
書き込まれているクレジット情報を読み取った。
先ほどの高級ハズバンドロボットとの熱い情交を思い浮かべながら私は言った。
「今日もとってもよかったわ、でも子供時代の記憶がないって落ち込んだりする
からちょっとあせっちゃったわよ」
「それもスリルのひとつですよ、もちろんお望みならば完璧を期すことはできますが」
そう言うと受け付けロボットは安物の癖にキザなウインクをした。
688大網傘茸:04/11/14 02:10:13
(5−1)「ねつ造事件」
人類が遠宇宙まで勢力を広げた遙かなる未来の物語・・・。
惑星カミタカモリーは、H.O.Cl.Na.Mg.S.Ca.K.C.Nの生元素を含む原始
スープの海を持つ海洋惑星である。調査の結果、残念ながら現時点で生命体は何一つ発生
していない状態である事が判明していた。それでも運が良ければ、あと数万年後にはこの
星に全く新しい生命の誕生が訪れるかもしれない。
この事により、分子生物学の研究者にとって最高の実験場ともいえる惑星カミタカモリーだが、
当然ながら人類の新たな移住先としての重要候補地でもあった。
長年にわたり、生物学者は惑星の保護を主張し懸命に移住計画の中止を訴えた。しかし計
画そのものをストップさせるための主張が、いまひとつ決め手を欠いている事は否めなかった。
689大網傘茸:04/11/14 02:11:00
(5−2)
そんな時驚くべきニュースが発表された。生物学の新鋭フジムーラ博士がサンプル採取した海
水中に、生体高分子の融合であるコアセルベートを発見出来た、という情報が流れたのだ。
学者達は興奮した。事実であれば歴史的な大発見である。早速、フジムーラ博士のチームに合
流するべく本格的な学術調査チームが組織された。
奇妙な事にフジムーラ博士には、それから1ヶ月近くもコンタクトが取れない状態が続いた。
ようやく連絡が取れてみると、自分の調査チームはすでに解散し個人で活動しているとい
う。「・・・そ、そうですか。皆さんが私の研究へ協力してくださるのですか。いいです
よ。準備は出来ていますとも。い、いえ何でもありません」
こうして調査チームは博士の所有する調査船へと乗り込んだ。数日が過ぎ、問題のコアセ
ルベートを発見したという海域に来ると、明らかにフジムーラ博士はそわそわと落ち着かない
様子であった。
690大網傘茸:04/11/14 02:11:40
(5−3)
「どうかしたのですか」
「い、今まで、黙っていたのですが、実はすでにコアセルベートを超えるほどの大変な発
見をしてしまっているのです。この海域の海水をじっくりと調べてみましょう」博士は調
査船から無作為にひきあげたばかりの海水をシャーレに移し、固定式のルーペの下に差し
込んだ。青い顔をしながら震える指でピント合わせをしていたが、やがて顔には安堵の表
情が浮かび上がった。
「どうぞ」と、近くの学者にルーぺを覗く事を促す。
ルーペを覗きこんでいた学者は、突然「あ〜っ!これは!」と奇声を発した。
「どうしたんだ!」「私にも見せてくれ!」代わる代わる学者達はルーペを覗いた。その
度に「うっ!」とか「ぎゃっ」とか皆うめき声を発した。そこに映し出されていたのは、
なんと、ぴちぴちと活きの良い動物性プランクトンであったのである。
691大網傘茸:04/11/14 02:12:13
(5−4)
「いきなりコアセルベートからプランクトンかよ〜」「しかも、これエビや蟹のプランク
トンまんまでっせ」「博士、インチキもっとうまくやらにゃー」
そう、実はフジムーラ博士は売名のために、嘘のニュースを流した上に前もって大量のプラン
クトンをこの海域にばらまく、いわば、ねつ造工作を行っていたのである。
「にしても、これだけのプランクトンばらまいたら大問題ですな」
かくしてフジムーラ博士のねつ造計画は見破れ、学会からその存在を消されたのである。
め で た し め で た し。・・・だが、お話はこれで終わりではない。
実は、この事件から数年後、銀河全体を巻き込む最終戦争が勃発してしまい人類はあっけ
なく滅亡してしまったのだ。惑星カミタカモリーは不幸中の幸いに、戦禍に巻き込まれる事は無
かったのだが、僅かに生存した調査チームの人々も、孤立無援の環境にあって結局のとこ
ろ数十年後には全滅してしまった。
692大網傘茸:04/11/14 02:12:45
(5−5)
物語はさらに60億年後の世界へとシフトする。
惑星エビールには高度な文明を持つエビール人がいた。銀河系の中でも最も知性的で誇り高いこ
の種族は、その愛すべき母星がかつて惑星カミタカモリーと呼ばれていた事、そして自分達の祖
先がねつ造によりもたらされた生命体だったとは当然ながら知る由もないのである。知ら
ぬが仏。そんな事は知らない方が良いのだ。だって地球の場合なんかはもっとひど・・(以下省略)。

>>662 一応SFを意識して書きますた。話は二の次(2点)
693名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 03:40:30
今、世界が終わろうとしています。この放送もこれで終わりです。
視聴者の皆さん深夜にも関わらず15年間、視聴率8%を維持してこれたのは
皆さんのおかげであります。あっただいまカウウントダウンが開始されました。
60・・・30・・・15・・・3・2・1・プツッ
694ケロロ少佐:04/11/14 10:26:09
パスカルさん今度の話は、私、好みでした。
ロボット物好きです。次回作楽しみにしています。

この出来だったら>>684は文句ないと思います・・・・ね
695名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 12:30:01
>>662です。
>>688-692前回は失礼しました。
(5−5)でなんとかオチにたどり着けましたね。
次、期待してます。
きになったのは、遥かなる未来のわりには、
今の人間と同じような権力、名誉などの人間関係を
引きずっているのがちょっと?かな。

すんません。
696大網傘茸:04/11/14 14:05:34
感想どうもです。
>きになったのは、遥かなる未来のわりには、
>今の人間と同じような権力、名誉などの人間関係を
>引きずっているのがちょっと?かな。

おっしゃる通りです。自分はそのあたりは強く自覚しています。
自分の場合は小説に「リアル」さを追求するタイプではなく、ストーリー性やオチの方に
力を入れる場合が多いですね。特にギャグ作品の場合、キャラクターをカリカチュア化し
ていくので「人間くさい」部分は不可欠です。笑いの本質というものの90%以上はその
「人間くさい」部分から生まれてくると考えます。
さらに、ストーリーの進行がスムースになり、わかりやすいという点もメリットです。
(軽SFとでも言いましょうか)
ちなみに未来人のライフスタイルを描くSFは、それ自体が作品テーマとなる場合やスト
ーリーに密接な繋がりがある事が多いでしょうね。
私と違いケロロ少佐さんとか他の人はそういうのが凄く得意みたいで感心します。
697名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 17:02:37
見慣れた居間の中、わたしそっくりの女の子が紅茶を煎れる。
あれが他人の目から見たわたしの姿というものだろうか。いや、わたしが
同じことをすれば、もっとぎこちない動作になるだろう。
「でも、紅茶が好きなのは、前から……よね?」
「うん。特にこのフォーションのアップルティー。外のお店で飲むことが
多くて、自分で煎れたりしたことはあまりなかったけど」
「そう言えば、そうか」
彼女だって、半年前までは、そうだったのだ。あ、違う。半年前だったら、
彼女は紅茶というものを飲んだことはなかったはず。クローン用の培養液
を浸した水槽の中でたゆたいながら、チューブからひたすら栄養補給。
それが今では、手慣れた様子で紅茶を煎れ、家事全般が苦手なわたしに、
同じDNAをもつ者の可能性の幅広さを示している。
カップに注がれた紅茶に角砂糖を一つ入れて、向かいに座る彼女に砂糖壷
を差し出す。
「ありがとう。でも、最近砂糖は入れないんだ」
「あ、お茶の本来の味を大切に、ってやつ?」
「そう。これも……ごく最近から」
器としての肉体は同じもの。十七歳までの記憶は共有。その後、二人の
行く道がゆるやかに分岐していっていることが、何だか興味深い。
分岐の原因となった事故が、あんなに悲惨で混乱を極めたものでなければ、
のんびりと面白がっているだけで済んだだろうけど。

約一年前、航空機が居住地域に不時着した。人口の密集地で通行人多数。
現場はスプラッタで身元確認も一苦労。
わたしの場合、ちぎれた右腕が発見されたこともあり、死亡と判断された。
右腕以外の部分はと言えば、腕と離れた場所から発見されたことと、顔が
判別し難い状態だったために、身寄りのない別の少女と誤認識されたまま、
手術に継ぐ手術と、記憶を飛ばした状態でのリハビリを経て、二週間前に
やっと自分が誰だったのか思い出したというわけだ。
698名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 17:03:50
>>697続き
しかし、わが家には既に、別のわたしがいた。
わたしを失ったことを嘆いた両親は、特にわたしの母親の強い希望により、
わたしのクローン再生を申し込む。そしてそれは、航空会社の誠意の証と
して、異例の早さで受理され、実行に移されたのだった。
事故の前は、わたしと母とは折り合いが悪く、しょっちゅう辛らつな言い
合いをしていた。父とは仲が悪くないが、あまり会話も交わさない。
そんな世間並みの冷えた家庭が事故後は一変。生き返ってきた娘を相手に
父も母も多くの愛情を注ぎ、たくさんのことを家族で話し合うようにした。
つまり、わたしのいない間に、強い絆の、理想的な仲良し家庭がめでたく
誕生したということらしい。

そこに事故前と変わらない、わたしの登場。
生き返る前の、あまり可愛気のない娘。
しかし、法律上は、わたしのクローンの生殺与奪の権利も、国や航空会社
からの補償金を受け取る権利も、すべてわたしが握っているのだ。

「それで、ええと、クローン廃棄要求についてなんだけど」
カップの紅茶が半分程に減った頃に、わたしは話を切り出した。彼女は、
脅えたように身を縮める。
「本当はねえ、クローンとオリジナルが一対一でこんな話をするのはよく
ないって言われているんだけど、親との話し合いが、ほら、ぐちゃぐちゃ
になっちゃったから。『わたしの娘を殺さないで!』と、ママは泣くし」
「ごめんなさい。……本当にごめんなさい」
謝らなければいけない落ち度は彼女にはないのだけれど、彼女が謝罪する
こと自体は、自然なことに思えた。身内の不始末を詫びる娘として、ごく
自然な態度。
699名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 17:05:58
>>698続き
「心配しなくとも廃棄要求はしません。かと言って、パパの言うように、
家族四人で暮らすってこともありえないけど」
「どうして駄目なの? ママがひどいことを言ったから?」
「それもあるけど、いつ殺されるかと、びびりながら暮らすのはイヤ」
「それこそ、ありえない!」
「そう。わたしも天使のような性格とは到底言えないにしても、特に残忍
でも冷酷でもない。追い詰められたりカッとなったりしたら、殺人に走る
可能性もゼロじゃないかもしれないけど、オリジナルが死んだらクローン
の立場が悪くなることを理解できないほどバカじゃないし、警察を出し抜
けるようなオリジナルとクローンとの入れ替えトリックを考案できるほど、
自分が利口じゃないってことも、よくわかっている。たぶん、あなたも」
では、パパとママは?――とは、彼女もあえて聞いてきたりはしなかった。
「とにかく、わたしは補償金を全額もらって、一人で暮らします。もう十八
になったんだし、独立するにはいい年頃よね。ママには、毒入りのお菓子の
差し入れだけは勘弁、と伝えておいて。胃とか消化器系は、事故のせいで
人口臓器に置き換わっているから効果なし。毒物検出センサーまでついて
いるから、非常にまずいことになるってね」

700名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/14 17:07:48
>>699続き
「それで、いいの?」
彼女は泣いていた。
「よくよく思いだしてみれば、睡眠から目覚めたばかりのわたしだったら、
あなたのように考えていたかなって気がする。でも、いろんなことをパパや
ママとたくさん話し合って、ずいぶん変わった」
「……」
「本来はあなたのいるべき場所だったのに、それを奪ってぬくぬく暮らし
続けるなんて……。あなたが遠慮する理由なんてないじゃない? やっぱり
いっしょに暮らそうよ。わたしがいると不愉快なら、わたしが一人暮らし
すればいい」
「いや、ぬくぬく暮らせるかどうかは、すごく疑問だわ。言うべきかどうか
迷ったけど、さっき言った毒物検出センサー、なんか反応しているし」
「そんな馬鹿な。誤作動とかじゃなくて?」
「ここに来るにあたって、慎重に調整済み。わたしの意見じゃなくて、仲介
コーディネータの意見で、だけど」
私は角砂糖を包んで持ち帰ることにした。分析してもらうために。
泣いている彼女には、こう言った。心からの忠告半分と、意地悪が半分で。
「あなたも、考えた方がいいよ。娘への愛情ゆえの暴走――と言えば聞こえ
はいいけど、そういう愛情はあなたにとっても厄介。角砂糖が毒入りだと
したら、あなたが紅茶に入れる確率だって、ゼロじゃなかったんだから」
パスカルさん
いい塩梅でした。
大網傘茸さん
タイトルのみ不満。分かりやすいのですが、捻りがほしかった。
エピローグに解けるタイトルの謎なんてどうですか?
>>693
ひとつくらいはエピソード入れてくだされ。
>>697
疑問が浮上!クローンは、よいのですが記憶のコピーをどの様に録るのか、
なぜ録るのか、理解し難いのです。
うまく説明を入れてもらえれば引っかからずにお話が読めると思われまする。
705蛇の…… (1):04/11/14 22:57:19
異教の者どもの捕われ人になってから、どれほどの時が経っただろう。
彼らは私の身体を傷つけることはないと誓った。
「でも、あなた方には、誓う神はいないのですよね? そしてこうして
ムーア教の巫女を閉じ込めることも、罪ではないと思っている」
「いいえ。いかなる宗教の信者であっても、人権を制限すべきではないと
いうのが私たちの信念です。しかし、あなたが知っていることを話して
くれないと、大勢の人たちが命を落とす可能性があります。そしてその
中には、罪のない子どもたちも含まれるのです」
誰が好き好んで幼子の命を奪おうなどと思うものか! だが肉体の死、
それよりも恐ろしいことは、永遠の地獄の業火に魂が焼かれることだ。
私は不毛な議論を避けて黙って食事に手をつける。次に待ち受けている
ことを思うと食欲もなくなるが、教えに背くことになるので、出された
食物は残すわけにはいかない。

そして数刻後――
「ああ……」
自分が情けない声を発しているのがわかった。
黒い蛇または蚯蚓のような長い紐が、排気孔からいくつも這い出してくる。
それらが、くねくねと動きながら私の側へと迫ってくる。悪夢のように、
何本も、何十本も、いや何百本も。
「いやっ、来ないで」
逃げようとするが、足がもつれる。そうでなくとも、広くはない部屋の中、
逃げ場所はない。床を埋め尽くす〈蛇〉の群れを必死で避けているうちに、
たちまち部屋の隅へと追い詰められる。
706蛇の…… (2):04/11/14 22:58:52
〈蛇〉たちには、巫女の肌に触れることは禁忌であるという概念はない。
手に足に絡み付いてくる〈蛇〉の、ぬめぬめとした感触に鳥肌が立つ。
必死に身体を縮めて防御の姿勢を取るが、腕や脚に巻き付いた〈蛇〉は、
容赦なく身体を開かせようとする。曲げていた腕や脚がいったん力任せに
〈蛇〉によって伸ばされると、再びそれを閉じる力はない。
顔や首筋のあたりを這いずりまわる〈蛇〉もいれば、襟ぐりから入り込み、
背中や胸に直に触れてくる〈蛇〉もいる。
「やめて、お願い……やめて……」

「大丈夫なのか、これ……」
「まあ安全性は保障済みというか、民間で散々使用されている実績がある
からな。主に別の用途ではあるが。人体の微妙な変化を検知する高機能
センサー内蔵、複雑な動きはコンピュータによる全自動制御ってやつだ」
「法的にどうかという問題と、外部に話が漏れたら何と言われるかという
問題はあるがな」
「もう他に方法がないんだ。言葉による説得も自白剤や催眠による誘導も
失敗――教団の奴らの研究と対策が我等の上をいっていたということだ」
「かと言って、痛みによる拷問は、法的にグレーどころか完全に黒だ。
第一その方法では、口を割らせる前に彼女を殺すことにもなりかねない。」
「ムーア教の信者の痛みに対する我慢強さは驚異的だからな。調査報告
によると、幼い頃から痛みに耐える訓練を重ねるそうだが……うっ、何だ、
あれは?」
707蛇の…… (3):04/11/14 23:01:09
もはや身体中に絡みついている〈蛇〉たちの先端がぱっくりと二つに割れ、
そこから紅い舌がはみ出していた。どの〈蛇〉も一斉に、〈蛇〉の絡みついて
いない、むき出しの肌の部分を舐め回し始めていたのだ。

「あんなオプションも設定したのか?」
「いや、あれは標準機能。何というか、その、穴への挿入と、万一を考えて、
首への巻き付きだけはオフにしといたんだが」

〈蛇〉たちが、首筋や耳や唇にチロチロと舌を這わせている様子がモニター
越しに見て取れた。着衣の下の部分も、あちこち似たような状況だったろう。
彼女の白い肌が紅潮していき、うっすらと汗をかきだした。
「浄化計画の日付は? 拠点はどこだ?」
「知らない……お願い、放してよ……」
訊問する側は、女を哀れに思う気持ちと、何とはなしの後ろめたさと、知らず
こみあげてくる別の感情と闘いつつ、やはり汗をにじませながら、必死で質問
を繰り返す。
「浄化計画の日付は? 拠点はどこだ?」
「駄目よ、言えない……ああ、もう許して。お願い……」
口から漏れる声はどんどんと切なげになっていき、眉間の皺はより深くなって
いった。

「もう、だめえええっ、気が狂っちゃう!」
それを最後に女は落ちた。
708蛇の…… (4):04/11/14 23:03:33
「装置は完全に停止させるのか?」
「ああ、もう聞き出せることは全て聞き出したし、となると装置からは解放して
やらないと、人道上、問題があるだろう」
「……ここで、止めてしまうのは、人道上問題じゃあないのか?」
「それはあるかもしれないな。でも、あの装置の商品名からして〈蛇〉なんだし」
「だから?」
「生殺しもしょうがないということで」
709名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 00:25:53
蛇の・・・
何がなんだかよくわからん・・
触手ヲタでも生殺しだなあ。
SFにあらず。出直してまいれ。
>>705
パチパチ!
後から読まれる方に悪いのでネタばれ発言は控えますが
ダブルミーニングを狙いましたか?そうであれば実力ありますね!
>>711
本人以外にこんなぼけ話し誉めるものか。ばからしい。
>>712
そうですか?SFバカ本の「ビブロスレイブ」なんてのえらく気に入ってるので
こういうのもありだと思いますが人を選ぶ作品ではありますがね。
714名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 00:54:33
文章力は認めますが・・
とにかく読みやすく・・わかりやすいのが
ベストです・・・よね。
プロでは、ないのだから・・・
エログロ嫌いな人にはお勧めできませんが、じんわり効いてくるのは漏れだけ?
慈円ウザイ
自己満足小説を読むことは他人のオナニーに付き合わされてるようなもの。

小説は他人に読ませるべきもの。
718名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 16:06:56
ダブルミーニングって伏線のこと?
横文字の専門用語使わず ふ く せ ん で
いいじゃないの。まったく・・・

変に小細工せずに単純に面白いSFを望む・・・
二重の意味です。本筋が生殺し、巫女が生殺しだったので、漏れも不満だったの
ですが、後から効いてきたので援護したのですが・・・慈円ではないよ。
720 ◆GacHaPR1Us :04/11/15 19:46:25
>>718
きみは必殺技を叫ぶときに、日本語に直して叫ぶかね?
「仮面男蹴り!!」だとか「脚部光線!!」だとか、はたまた「超電磁竜巻〜!!」だとか?

そりゃキミかっこ悪い、いや、カッチョ悪いだろう!!??
だからだ、そこはいいじゃないか。
721名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 20:23:52
ただね!ダブルミーニングと言う言葉と伏線と言う言葉・・
どちらが一般の人が使っているか。

それを言いたかっただけです。
722 ◆GacHaPR1Us :04/11/15 21:49:50
ちなみにだな、「脚部光線!」っていうのは
そもそも「バスタービーィッムゥ!」を漢字化したかったんだが、
http://www.excite.co.jp/world/english/
で翻訳すると巧くない。普通に「Buster beam」になる、これを和訳しても
元の「バスタービーム」に戻るだけだ。これではツマラン。
そこで考えた。
「ビーム」は「光線」でいい。だが、問題は「バスター」をどうひねるかだ。ここが問題だった。
そこで「Buster」の語尾変化”er”をとってみると、「Bust」つまり「脚部」になる。
こうして「脚部光線!」というネタがやっと完成をみるのだ。

と、このように、一つのネタにも様々な発想の展開からひねってひねって搾り出す、
これによる世界観を「今田劇場」とよばれている。
まあつまり何がいいたいか?と言えば、「蛇の……」はもちっとオチとかネタを
考え直しながら校正知るべきだったと思う。角度とか
角度は重要だよな。確かに
724名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 22:02:45
なんかインテリっぽい能書きはもういいよ。

オチとかネタの問題ではないようだが・・・
もっと気楽に好きなネタで書けばいいんじゃない。
プロじゃないんだし。

不評だったら気分一新で次の作品のせてちょ!!
725 ◆GacHaPR1Us :04/11/15 22:24:40
>>722
…このネタレスを「インテリ」っぽいって言うのは
それ自体、ネタレスなんだろうか?自分は釣られてるんだろうか?

ああ、それから「蛇の…」はつまらないわけじゃなかったよ。
>>725
君の優しさに乾杯。

おれは禿げしくつまらなかった。
727名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:46:07
電脳猫ポラ-壺世界-@
 「ポラ依頼が来たよ!」
「今、子育てで忙しいにゃりよ!」
「それはわかるけどご指名なんですよ。ポラさん以外考えられないってね!」
セツラはミューとオメガを愛しそうに見つめながらポラの返事を待っている。
「で、依頼内容は?」
「そうこなくっちゃ!」
「まだ受けるか決めてにゃいわよ!」
「あぁ、エグゼカンパニーの電脳R.P.Gのバグ取りだよ!」
「あの超人気シリーズ、ファイナル・クエスト出してるエグゼにゃりか!!」
「今回は別物らしいよ!なんでも現実と区別がつかないくらい凄いらしいよ!」

実時間の20倍の速度で過ぎ去る、つまりこの世界の20時間は実際の1時間にあた
ると聞いて仕事を受けましたが、何故あたしなのかは今のところ不明。
 あたしは二十歳の魔術師として転生した!暫らく戸惑いはあったけどなんとかこ
の世界に馴染めました。使える魔法はメララのみ。小さな炎がチョロとでるだけにゃ
り!
 クエストはこの世界の宝を奪えにゃんですけど、それは何って云う感じで嫌にゃ
ちゃうにゃり!
 
「で、どうなんだい」
「あのゲームどこかおかしいにゃりね〜」
「だからポラにバグ取りを頼んだんじゃないの?」
「そうじゃなくて完璧すぎるにゃり。どこにもほころびが無いようにゃり!」
「ふーん。それでゲームとしてはどうなの?」
「まあ、よくいえば自由度の高いファンタジーだにゃー」
「NPCには会ったの?」
「う〜ん。居るんだけど皆デバッカーかな?必死に何かを探していて何を言って
も返事がにゃいのよ!おそらくノンプレイヤーはまだ配置されていにゃいわね。」
「これからかな〜早くプレイしたいな♪」
728名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:47:15
電脳猫ポラ-壺世界-A

 「ログオフできない!」わたしは自分の不幸を呪った。このゲームにバグは存在
しないと報告するために、バーチャルから現実に戻るコマンドアクションをもう
3時間も繰り返していた。
 強制的に離脱出来るセーフモードを思い出し試してみたが空間ディスプレイも
起動しない!
 突如前方空間にログインした小さなものが現われた。
 「オメガ!」
「お母さま〜」
オメガは満二歳。まだよちよち歩きであたしの足元に走り寄ってくる。アップリフ
ト計画により成猫まで16年、成長スピードを遺伝子レベルで遅らせたデメリットだ。
私はオメガを抱き上げ不思議な気持ちになった。今のあたしは人間のスキンを羽織
っているのでセツラの気持ちが何となくわかる気がした。
「どうしてここに来れたの?今すぐ帰りなさい!」
「嫌だよ母さんといる!」
「聞き分けのない子はお母さん嫌いよ!」
「うぅ、に゛ゃ〜ん」
「オメガお願いがあるのよ!この世界からログオフ出来ないのよ。伝えてちょうだ
い。お母さんを助けてオメガ!」
「しくしく。お母さまは僕が守るにゃ!今すぐログオフするにゃ!」

729名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:48:48
電脳猫ポラ-壺世界-B
 セツラはエグゼカンパニーの技術者に食って掛かった。
「ポラはどうしたんだ!ログインしてから3日も経っているんだぞ!おまけに実体
が薄れているじゃないか。オメガまでログインさせやがって管理が甘すぎるぞ!きち
んと説明するまで梃子でも動かないぞ!」
そう言ってミュウを抱き上げた。
「わ、わかりました。説明が長くなりますが…」
 要約すると即時通信網にハイパー空間の入り口らしいものが見つかり、電脳体で
突入すると不思議な世界に辿り着いたそうだ。
肉体が自動生成されるこの世界は、次世代ゲームに使えるとリンクを確立したまで
は良かったが幾人かのデバッカーがログオフ出来なくなり実体が薄れて、ついには
消えてしまう事件が起こり計画は一旦は頓挫したものの、うえからの命令で電脳猫
なら消えても問題はないから解決策を見付けろと強要され仕方なく再開したそうだ。
それで有名な電脳猫ポラに依頼が来たということだった。
「それで、世界の宝を手に入れろなんて、あやふやなミッションをつけたんだな!」
「それだけは違います!デバッカーの一人が消える少し前になんとか送ったらしい
通信によると世界の宝を手にしたら一つだけ願いを聞いてやろうと、その世界の誰
かに言われたという断続的な通信がありまして…」
730名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:49:29
電脳猫ポラ-壺世界-C
 「ログオフ出来にゃいよお母さま〜」
わたしは半ば予感していた事実を受け入れた。
「オメガ、よく聞きなさいこの世界は普通のバーチャルではないみたいなの。ここ
で暮らすことになりそうよ!」
「しくしく。じゃあ、お父さまにもミュウにも逢えにゃいの?」
「まだそうと決まった訳でもないけれど覚悟だけはしておきなさい!」
「うん。お母さまはぼくがまもるにゃり!」

 ガサガサ、左手の草むらから老婆が現われた。
「わっしゃしゃ、世界の宝を手に入れたならワシを呼ぶがよい!一つだけ願いを聞
いてやろう。わっしゃしゃ、わっしゃしゃ」
そう言って老婆は消えてしまった。
「怖いよ〜お母さま〜」
と言ってオメガはわたしにぎゅと張りついて離れない。
「あら?お母さんを守ってくれるんじゃなかったの?」
「う、うんでも怖かったんだもん。にゃ〜ん」
オメガはわたしが守る。命に代えても!オメガをぎゅと抱き締めた。
731名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:50:06
電脳猫ポラ-壺世界-D
 なんとかこの世界の宝とやらを探さなければ!もう何日経ったかわからない。寝
食を忘れて捜し回ったが手掛かりすら掴めない。
 「お母さま、宝と言ったらおおきなダイヤとかじゃにゃいかにゃー。菜々子さん
もセツラ兄ちゃんに貰った小さなダイヤを見てニコニコしてたにゃりよ」
「うふふ、オメガも大きくなったらわかるわよ。ダイヤが嬉しいわけじゃなくその
気持ちが嬉しくて菜々子さんはニコニコしてたのよ」
「ふ〜ん、ぼくはおおきなマグロがいいにゃ〜」
張り詰めていた気持ちがオメガとの会話で和んだ。
 突如、理解の電撃が走った。
「オメガ!宝がわかったわ!名無しの無慈悲なおばあさん出てきなさい宝を手に入
れたわ!」
その瞬間前方に例の老婆が現われ
「わっしゃしゃ、言うてみい、わっしゃしゃ、わっしゃしゃ」
732名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/15 23:50:47
電脳猫ポラ-壺世界-E

 「だからお母さまは、ぼくを元の世界に戻せって、おばあさんに言ったにゃりよ
!お母さま〜に゛ゃ〜ん、しくしく」
オメガを抱いた菜々子さんは瞳におおきな涙をためて話を聞いている。
ロイドはミュウを傍に寄せて辛そうにしている。
セツラもポラの勇敢な話を聞いて目が潤んでいた。
「あたしは夢で、お母さまに逢ってるにゃ」
皆がミュウの発言に希望を抱いた。

 ポラは満足していた。宝はオメガでした!この世界の宝は、わたしを心配して無
謀にも、こちらの世界にやって来た愛しい我が子でした。オメガがこちらに来なけ
れば宝など見つかる訳はありませんでした。虚しいあてのないループにハマるとこ
ろでした。
 わたしの実体は消えてしまい元の世界とはリンクダウンしてしまって、どうしよ
うもない、抜け出せないと老婆は言っていましたが願いは聞き入れられました。オ
メガには十分説明してこの世界のアクセスポイントを切るようにとも言っておきま
した。
 この世界は、未だ理解は出来ませんが触れてはならないパンドラの匣なのでしょ
う。しいて言うならクラインの壺世界。入ってしまうと抜け出せない四次元的に展
開されたメビウスの輪の壺版!司る得体の知れぬ老婆の世界。
 リンクダウンしていようがオメガ、ミュウ、ロイド、そしてセツラ、菜々子さん
などの愛しい仲間達との想いのリンクは途切れないと信じています。
 だいたいこの人間の体は窮屈でしょうがにゃい、本来の猫の体に戻りたい!いつ
か抜け出してみせる。
 わたしは電脳猫ポラ。誇り高き猫属の末裔。必ずや皆のもとに戻ってみせるにゃ!
            (終)
733ケロロ少佐:04/11/17 13:24:47
電脳猫ポラ- 前作よりかなり読みやすくなっていると思いました。

で・・・よくある電脳RPG物の域を出ていないかなー
どこかで読んだ事のある話の展開だったかも・・・

ちゃんとしたキャラ物の話は貴重です。
次回作に期待します。
アップリフトされた他のネコのライバル出してください。
なんか痛くないですか?寒イボ出ちゃいました(^^;
735名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/18 16:18:32
<飽和>1

「もうこんなのいやだ」と彼がポツリと漏らした。
彼の顔を覗き込むと、頬がややどす黒くなっている。
よほど負荷がかかっているのだろうか?
(けっ!この××××が!)と私が内心毒づくと、
びくりと彼が痙攣した。そうか、今はこんなことに手間を取っていられない。
「もうやり直しは出来ないのよ?」と私が少し、ほんの少しだけ厭味を含んだ
語調で言うと、「…そうじゃない。そうじゃないんだ。けど」
「拒否する権限はないの?解るでしょう?」と語尾を断ち切るように私は
言い放った。彼はまたびくり、と痙攣すると横を向いてしまった。
そう、望んだのは彼なのだから。

彼の脊椎から伸びたケーブル類と一緒に、陰茎から伸びたカテーテルも、
腕から伸びた点滴チューブも一緒に束ねて、ベッドの下(そう、パイプ製の白い
古びたギシギシいうベットだ)へ逃がしてある。
彼の手足の先端はすでになく、手足の先端があるべき位置には小さな金属の
ボックスが取り付けられていた。ボックスからは青いケーブルが延びており、
ベッド脇のジェラルミンで出来た衣装ケース(そう私はこれを衣装ケースと呼んでいる)
へ接続されていた。その衣装ケースには他に、わき腹と鎖骨周辺から伸びたチューブと
ケーブルが取り付けられている。
彼の体の至る部分はすでに<実験用>の処理を行っているのだ。
彼は自分で起き上がることも、排泄することも出来ない。
彼が自分で行えるのは<呼吸>と<思考><会話>くらいなものだろう。
それでも最低限の代謝活動はあるので、部屋全体が臭かった。
736名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/18 16:19:07
<飽和>2

私は彼(こいつ)が嫌いだった。見ていると苛々する。
それでもこうして世話をしているのは仕事だからだ。
なんでこんなやつにここまで気を使わなければならないのだろう。
次第に嗜虐心が高まってきた。…そう、私がこいつの頭から伸びているケーブル
と繋がっている端末で<入力>を始めたら…。
こいつはピンク色の空飛ぶ象になって、子供だましのマーチでレイブすることだろう。
こいつの腐ったお鉢の中で。
こいつは外からの信号にまるっきり弱いのだから。
こいつのド腐れた脳髄に色んな入力をしてやろうそうだそうだそうだそうだ、
にゅうりょくをしてしまえこいつがこわれてしまえばわたしはこいつにあわなくてすむ、
そうだそうだそうだそうだいろんなことをにゅうりょくしてしまえ、
あまいも、からいも、いたいも、くるしいも、あついも、さむいも、わたしがあたえてやっているのだ、
わたしはコイツノ神だ神だ神だ。
神が直々にこいつの脳髄に切り込んでざっくりとぶちころしてそのままいきてもらおう、
そうだそうだそうだ、あかるいひかりがみえてきたじゃないか、ぴかぴかぴかぴかしている、
おかあさん、あれはなに?からだがうごかないよ、ぴんくいろのぞうさんがおそらを。
737名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/18 23:24:20
単に好みの問題なのでしょうが、ひと時の愉しみを提供して下され。
人間の尊厳、介護等考えてしまい(鬱
738 ◆GacHaPR1Us :04/11/18 23:59:10
…入力してる本人も入力されてるの?
それなら面白いと思うんだが、その描写がないのが残念
739大網傘茸:04/11/19 05:07:26
>>737
そんなあなたには、痛快娯楽スペースオペラの傑作である「宇宙英雄・キャプテン黄門」
シリーズがおすすめ。
これは、あの有名な時代劇である、「水戸黄門」を宇宙に移し替えた人気シリーズで、キ
ャプテン黄門の部下として、ロボットのスケさん合成人間のカクさんなどお馴染みのキャ
ラ達ももちろん登場しまつ。そして、「黄門」といえばやはりあのシーンが欠かせません。
大勢の悪人達を前に、
「静まれ、静まれぇ。この紋所が目に入らぬか!」
御存じ、カクさんが印篭をみせる印象的なあのシーンもパワーアップ。
「わあ〜っ!見ろ!あの黄色地に赤の三つ葉の紋所(放射能マーク)は、
印籠型超小型核爆弾じゃねーか。頭が高い。早く伏せろ伏せろ!」
悪人達が一斉にひれ伏す姿に最高のカタルシスを感じられる事でしょう。
(このネタ漏れが最初なのか、ちと自信無し)
<飽和>3

ビィッ!ビィッ!ビィッ!ビィッ!と耳障りな警告音<アラーム>が鳴った。

白衣を着た男が「どうしたんだ?異常を検知したのか?」
「ううん、違うの。彼らがね」
神経質が白衣を着たような女が、いらいらとした動きで並列に二つ並んだモニタを指差す。
それぞれのモニタのフレームの端には金属プレートが取り付けてあり、
<ツインズA><ツインズB>と刻印されている。
白衣の男と女がその二つのモニタを交互に見比べる。
「またか」
「そうね。まただわ」少し大きなため息を吐きながら、女は冷めて不味くなった珈琲を飲んだ。

Aのモニタには、大きな耳をしたピンクの象が飛び回っているCGが表示されていた。
Bのモニタには、土気色をしたうねうねと蠢くX字型の物体が映って<モニタリングされて>いる。
X字の向かって左からは青いケーブルとカテーテル、向かって右側からは赤いケーブルとカテーテル
が近くにある大きなジェラルミン製のケースに伸びていた。

「……彼らはいつも喧嘩をするな。ママであるキミがきちんと入力<インプット>していないからだ」
白衣の男はあまり感情を感じさせない声で言った。
「私はあんなもののママなんかじゃないわ!胸糞が悪くなる!」
「そういうなよ。キミの計画<プロジェクト>だったんだから。この<有機CPU>を人工的に作り出す…てのは。
しかしまぁ、あんなに予測不可な形になるとは思わなかっただろう?ママ?まあ、ただのたんぱく質に感情が
芽生えるなんて、神様でも予測不能だがね」少しだけ厭味が混じった口調だった。
「もうその話はいいわ。別の計画<プロジェクト>に変わったんだから。…もう再起動をかけるわよ」
そういって、女はモニタ脇に取り付けられた<誤作動防止機能付の赤いオルタネイトスイッチ>を少し乱暴に入れた。

(まま、まま。こいつののうずいと、わたしののうずいを、きりはな)
突然彼女の思考はブラックアウトした。次に目覚める時はレストア済みだろう。

X字型の肉界は、まだモニタの中でびくんびくんと痙攣を続けていた。
誤字いれちまった…。orz 最後の行、肉界は「肉塊」です。

不快な話でごめんなさい。ありがちなテーマでごめんなさい。
オチ部分を昨日入れてませんでした。
オチがないほうが読後印象に残るかなぁ、と。
742ケロロ少佐:04/11/19 10:55:45
<飽和>3が有って、安心しました。

わたしは、単純なんで、やはり、オチ部分あるほうが好みです。

文面に有機的なベトベト ドロドロ感が表現されていて
良かった。
俺は今日、バイクに乗っていたらさ宙に舞ってしまったんだよ。正味ホントの話。
飛んでる時にさ、陽子?中性子っていうの?それがさ、絡みつくわけ、四肢に。
ああ、ごめんごめん。陽子中性子違うね。それよりも当たってる感強いから、
素粒子だね。ごめんごめん。まあ事故の原因は、ほれそこに居るババアだよ。
飛び出してきやがって、さ。多分<脳端末依存症>のババアだね。
くそっ。俺のソケットが引きちぎられそうだ。バイクに直結・いい具合だったのにさ。
今は珍しいC4型の端末付ガソリンエンジン搭載モーターサイクルとジャムってる
最中の出来事。ババアは仮想とファック。俺は地面とファックかよ。
ガソリンエンジンはいいぜ。振動がすげえ。頭、もげちまいそうだ。
俺はさっきまでA×C×まで端末ソケットに改造した擬似♀とファックしてたんだけど
遂にはアスファルトとファック・ファック。ファック。もう地面が近い。
素粒子はその形を整えて俺を優しく包み込んでくれている。安心しろ。
俺は潰れやしないさ。
「ドズン!!!!」
ほら、潰れなかっただろ?あはははは…俺は神に愛されてい。
トラックが。頭、もげたぜ。いったとおりだろ?
俺は預言者。半分な。
744名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/19 22:45:19
>743
能天気な未来ですね(w
ラディカルな未来は文体のなせる業ですかね〜。
大網傘茸さん
まとめて発注する予定です。
ありがとう!
746 ◆GacHaPR1Us :04/11/21 01:35:45
読みようによってはSF

「彼方からの便り」
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho.cgi?action=article&key=20041111000024

747ケロロ少佐:04/11/22 14:13:36
『画の心』その1

2004年制作の『ハ○ルの動く城』のエンドロールが終わる。
ジ○リ社の社員、田代みのりは、再生装置にオフの指示を送る。モニターがなごりおしそうに光を無くす。
田代は、今、悩んでいた。ジ○リ社が総力をあげ完成させたレトロタイプ二次元アニメの最新作『うさぎの のの の心のともだち』が上映間近になっていたにもかかわらずだ・・・。

宮○駿 監督が亡くなり、すでに30年。
現在、アニメ映画の世界で、主流になっているのは、モデリングアニメ。だが、昔タイプのレトロ二次元アニメも根強い人気で無数の数の作品がいまだに制作され続けていた。
とは、いっても、その、制作工程は30年前とは、まったく違ってきている。
最新のコンピューター技術を使って創りだされた人工知能プログラム達がすべてを行なうのだ。
それらは、有名監督の独自の制作プログラムであり、監督の生前の作品、メディアでのインタビュー内容、書籍内容などなどすべての情報を入力してある。
過去の有名監督には、それぞれ創造プログラムが存在する。
748ケロロ少佐:04/11/22 14:15:33
『画の心』その2

『ルルル・・・』電話《メディアホン》が鳴る。画面には、友人の姿が映しだされる。
『田代!相変わらずの顔だな。また、もめてるのか。』『まあな!宮○駿監督の作品はウチの会社のカナメだからね。』
『今、2004年制作の ハ○ル を見てたんだ。やっぱり、オリジナルの方の宮○アニメは最高だね。』
『そうそう、お前のトコ!今回からは、宮○駿ver.3が監督をしているんだったな。』
『ああ、前バージョンの宮○駿ver.2監督が続編容認派だったからね。』
『それでver.3は、そのあたり全面見なおしてオリジナルの主義・主張を受け継がせて有るんだが・・・。』
『それが、どうも、今一つ良くない。』
『今から思えば、ver.1の監督作品の 《軒下のゼロとイチ》 が、一番だったかな。』
『ああ、12年前の作品だね。』
《軒下のゼロとイチ》とは、リアル世界に愛想をつかした日本妖怪達が電脳世界で暮らす様子を描いた、作品で
オリジナル監督以降では、最高傑作と認められていた。
749ケロロ少佐:04/11/22 15:22:15
『画の心』その3

『ジ○リは、まだ良い方かもね。他は、もっと問題をかかえているな。』
『そうだな。庵○秀明ver.7は、かなりまずいらしい。プログラムの奥に致命的な欠陥があるらしいが・・・・まだ修正が出来てない。』
『去年の《エ○ァンゲリオン2103》もひどい出来だったし、お前んとこの、ジ○リの許可無しで作った
《トルメ○アのクシャナ》 の訴訟問題も抱えてるし。』
『まあ、○イナックス社は、人工知能が社長をしているが根本的原因なのかもね??』

『うちの場合・・・監督ばかりが悪いとは思わないんだが。今度、同じくバージョンアップさせた
鈴○敏夫ver.4プロデューサーとの相性がわるいのも一つの原因なんだがね。』と田代は声に出さず思う。
このアニメの制作にかかわっているスタッフで、人間なのは私1人なのだ。
制作統括の責任者と、肩書きは、付いてはいるが、実際、すべて人工知能の手で作品は完成する。
私の権限は無いに等しい。他の社の実情も似たようなものだ。
それも、根拠が無いわけでは、ないのだ。
750ケロロ少佐:04/11/22 15:23:54
『画の心』その4(終)

実際問題、これまでver.1からver.2までの監督が作成した人間がかかわらない、32本のアニメは、すべて世界的にヒットをしている。
劇場上映、ネット配信すべて好調で会社は莫大な利益を得た。
おかげで、吉祥寺にあるテーマパーク 《ジ○リ ランド》 は、ディ○ニーランドに肩を並べる程に成長したのだ。

それでも・・・・それでも・・・何か・・・・何かが違うのだ。

あの ト○ロ の ・・・・あの ナ○シカ を初めて見た時の言葉に表わせられないあの時の気持ちが・・・・・


モニターには、予約しておいた『天○の城ラ○ュタ』の映像が流れはじめた・・・・・・
ケロロ少佐さん
近未来のお話ですね。
《軒下のゼロとイチ》このネタで1本頼みます。
        ・・・ライバル検討中!・・・
752ケロロ少佐:04/11/23 10:15:50
『画の心』この話・・・書き込んだ後、昨日、渋谷で
『ハウルの動く城』見て来ました。

良くも悪くも宮崎アニメでした。小さい子にはちょっとわかりにくいかも・・

『画の心』ですが・・パロディの反則技の作品でした・・・
昔、未来技術板の『100年・・・』のスレにちょこっと書き込んだ
ネタを書き足したものです。
>>750

伏字がきもい
754ケロロ少佐:04/11/25 21:22:46
『交渉人 枝川裕樹』その1

枝川裕樹は、大事な交渉に向かっていた。政府専用の高性能の小型飛行機に乗り高度6,000メートル上空にいる。
2週間前の台風20号の担当者は、交渉を失敗させて、最悪な結果になった。台風通過進路の1都7県で16名もの死亡者を出した。

11年前のこと。気象庁の自然研究機関がガイア理論の実存を発見し証明したのだ。
ある一定以上の規模の自然現象には、人類とは、かなり異質だが、何らかの知性が存在していることを・・・・。
現在、存在が確定し、コンタクトに成功しているのは、台風(ハリケーンを含む)と内陸部、直下型の地震の二つ。
政府は、これらの知性体と交渉をし、少しでも被害を減らせないものかと考えた。そこで枝川のような自然生命交渉士制度が作られたのである。

枝川は、日本国内でもわずかにしか、いない気象交渉士の資格を持った人物。
特に枝川は、さらに貴重な地震交渉士の資格をも有する人物で、現在、日本では、6名の中の1人だった。
755ケロロ少佐:04/11/25 21:25:29
『交渉人 枝川裕樹』その2

台風21号の雲の中にすでに浮かべてある《反応浮き》66基は、正常に作動していた。
大きく深呼吸した枝川は、装置を目覚めさせ、脳へ直結させた電極弁を少しずつ開きながら交渉を開始した。
『大きく・・・素晴らしい・・・美しい・・・・』枝川は、そうゆっくり、3度繰り返し、話しかける。
相手の返事を待つ。しばらくして枝川の脳を震わせる波動が送られてきた。
『私は・・・・大きく・・・素晴らしい・・・美しい・・・・』よし。台風の返事が来た。
何回かやり取りを成功させ、本題に入る。今回の使命の一つは、人柱《ひとばしら》を1名にしてもらえるように交渉すること。
精神を研ぎすまし、ピュアにし、対話を交わしてゆく。
21号の規模から言えば最低、2名の犠牲が必要なのだが何とか交渉がまとまった。

台風生命の一生は短い。
赤道付近で生まれたとき、意識が芽生え、大気に運ばれ移動を続け、温帯低気圧になり小さくなってゆきやがてその命が終わる。
10日後、台風21号は、人柱の確認を終え、人の命の絶命と共に、約束通り、大きくならずに、規模を弱めながら気圧を分散させ日本列島を縦断。
やがて、オホーツク海へ出たあたりで寿命を迎えてくれた。
756ケロロ少佐:04/11/25 21:26:56
『交渉人 枝川裕樹』その3

装置の接続をすべてほどき、枝川は、解放された。いつものことだが、かなり危険な状態だ。
すぐに専用の処置がほどこされた病院へ向かう。同じ機内には、各テレビ局の取材班がこの交渉のもようを全国へ伝えていた。
力をふり絞り、レポーターのマイクとカメラに向かい枝川は、最後の任務を果す。
『交渉は成功です。超大型の21号は、これ以上の規模に成長しない事を約束してくれました。』
『皆さん、尊い1名の殉職者の冥福を共に祈りましょう。』

これで台風の被害は軽度なものと成り、程よい雨のめぐみを日本に与える事だろう。

枝川にとっては、2ヵ月後に更なる重大な大仕事が控えていた。南関東にいずれ発生する大規模地震との交渉だ。
この計画は、国家プロジェクトで進行している。地震交渉士も枝川を含め6人が参加することが決まっている。

失敗は許されない。
地震生命体は台風生命体よりも交渉が難しい。人柱の人数もかなりの数が必要なのだ。
757ケロロ少佐:04/11/25 21:28:44
『交渉人 枝川裕樹』その4(終)

2ヵ月後、6名の交渉人が地下600メートルの特殊地下空間に集まっていた。
『人柱の用意は、出来たのか。』枝川は、再度、政府機関の責任者に問う。
『はい。最終チェックを済ませ準備が完了しました。厳重に個別カプセルにて起動させました。さとられてはいません。』
枝川は、目を閉じ、これまで殉職した人柱143名が眠る慰霊碑のある方角に向かい祈る。
今回の南関東規模の地震だと人柱の殉職者の数は、100名以上に昇る。
何百倍もの人を助けるとは言え、決して許されない数だ。

全世界も注目している。これまでも人柱には、人権問題で猛烈な国際的避難を受けていた。
これを受け、気象庁は、今回からは、違う対処法に出た。
人間の人柱を使わない方法を開発したのだ。クローン人間を使う方法だ。
特殊培養法で育てられた極力、意識や人格を持たないとされる半人類と言うべきもの。
はたしてこの模造人間、ニセモノ人間で地震生命体をごまかす事が出きるのだろうか。

私、を含め6名は、装置を目覚めさせ、脳へ直結させた電極弁を少しずつ開きながら交渉を開始した。

『強く・・・大きく・・・美しい・・・・』
ケロロ少佐さん
いい塩梅でした。
地震との交渉に解せない部分もありますが…
雨乞いのSF版といったところでしょうか。
新作お待ちしています。
759ケロロ少佐:04/11/26 11:13:38
>>758
感想ありがと。

サイトで地震の構造など一応調べ、書き始めましたが
だめでした。クローン出したあたりで知識不足が噴出しました。

次、行きます。
760パスカル:04/11/28 21:25:07
三篇でっちあげて投げてたパスカルです。
久々にこのスレに来てみました。
『交渉人 枝川裕樹』すごく面白かった。しかし不消化なものが残りました。
クローン以前の人柱はどうやって選んでいたのかということです。
かんべむさしの「サイコロ特攻隊」のように国民から公平な抽選で選んでいたのか
あるいは自殺志願者から募ったのか、あるいは借金苦にあえぐ自営業者などから
ひとり1億円で命を買ったのか。もしかして刑法を強化し死刑囚を増やし人柱に
用いたのか・・もう考え始めると面白くて面白くてこのあたりでシリーズ化できそうな
気がしませんか。実に秀逸なアイデアだと思いましたよ。以上。
761名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/28 23:06:45
>>760
パスカルさん感想ありがとうございます。

>不消化なものが残りました。クローン以前の人柱はどうやって選んでいたのかということです

かんべむさしの「サイコロ特攻隊」は、読んだ事ありませんが、今の時代、特に日本では、
人柱を国が選んで実行するのはかなり無理のある設定とは、承知していたので
あえて、ココの当たり、触れずにやっちゃいました。
私としては、国家公務員からの志願者制度を頭に描いてかいていましたが・・・

私が書きたかったのは、人柱の方より台風など大規模な自然現象が生きていたら
面白いのでは、があったもので・・・
『天空の城ラピュタ』の雲など見るといかにも生きてると思えませんか?!
762ケロロ少佐:04/11/29 02:11:12
『お見合い』その1

33歳になった私は、親の説得に負け、結婚紹介システムへ登録をした。
実は、私もそろそろいい人(男)がいれば結婚してもいい頃かなーとは、思っていたのだ。
午後5時、退屈な仕事がやっと終わり、私、《内木のどか》は、1階の受付に座っているアンドロイドと10分程、いつものように世間話をしてから退社。
今日は、これからお見合の日!!
地下鉄で2駅先の目白駅で下車。結婚斡旋会社『ペアライフ』目白店は、最新の有機素材を使用したうねうねと微妙に動きホノカに発光している外壁のビル4階。
こまごまとした登録は、すべてネットで済ませてある為、すぐに担当アンドロイドに、お見合いの個室へと案内される。
『すごっ、最新のアンドロイドを採用してるのね。』そいつは、今、人気のアイドル佐々木智也、似の顔をしていた。
763ケロロ少佐:04/11/29 02:13:22
『お見合い』その2

部屋の中に入ると服を脱ぎ、専用の薄いスーツに着替える。
見合いの相手は、今、横浜駅前店にいて、私と同じ状況にいるはずだ。
入力されたお互いのデータをもとにコンピューターと人間のカウンセラーが検討し、決定された相手。

18:00ジャスト。ブゥウーーンンとかすかに機械の作動音がし、仮想現実の世界に入る。
私たちの基本的な社会的立場は、変更無しだが名前や住所など個人情報は、すべて仮のデーターが与えられている。
初回の場面設定は、見合い相手の男性と私の共通の趣味である、テニスが選ばれている。
偶然、テニススクールに来た2人が運命の出合いをし、恋に落ちる展開なのだ。
彼の仮の名前は《田無たかし》さん。もちろん顔も仮のマスク。私の仮の名前は《白井やすみ》。
楽しいテニスをプレイした後、仮想の食事を楽しく済ませ、仮のメールアドレスを教え合い別れた。
764ケロロ少佐:04/11/29 02:15:08
『お見合い』その3

一週間後、2度目の見合い。彼が待ち合わせに一時間遅れてしまう設定からデートが開始。
昨日から上映開始された映画『うさぎの のの の心のともだち』を見る。(この映画の入場料はオプション料金)
この日は、デートの最後、別れのキスのイベントが挿入されていた。

この後、3回目、4回目・・・回を重ねる度、恋が深まりお互いの仮の親に紹介。
そして仮の恋のライバル出現、破局寸前の大ゲンカ。そして・・・ついに仮のS○X。性の相性も良さそうだ。

内木のどかは9回目のお見合いを済まし、クリスマスバージョンのイルミネーションをさせている目白店の有機素材の発光外壁のビルから出て歩きだした。
『今日の横浜の夜景はステキだったー!!』と独り言。遊覧飛行機に乗り、仮の横浜の夜景でのプロポーズのシーンを思いだしていた。

次の日、私は、『ペアライフ』社に結婚の意思を伝えた。ここで初めてお互いの個人情報が伝えられるのだ。
765ケロロ少佐:04/11/29 02:17:26
『お見合い』その4(終)

3ヵ月後、私たちは、結婚式をむかえた。
これから先、おとずれるかも知れない、夫の失業、夫の浮気、姑のイビリ、義母、義父の介護問題、数々の出来事は、シミュレーション済みだ。

お墓に入るまで、幸せに2人、過ごす事が出きる確率はかなり高いことだろう。

ただ・・・・

結婚式の後の初夜は、2度目の経験なのは、複雑な気持ち・・・・
766宇宙刑事サイバン:04/11/29 04:50:32
オレは宇宙刑事サイバン。
孤独の戦士である。
なぜ、地球をエイリアンの侵略から守っているのか?
その答えは簡単だ。私の先祖の一人が結んだ契約にのっとって
オレの家系は先祖代々、この仕事をやっているのだ。

[銀河警察の一員として、この未開の惑星を保護する]
我々の間の契約は数世代、もしくは数十世代にまたがり結ばれる。
オレが契約違反を犯さない限りは、オレの子供達も同じことを
続けるというわけだ。オレの爺様は名前は山中たかしと言うのだが
彼はラッキーだった。
契約上、権利が保障されている有給休暇世代に相当したからだ。
つまり、彼は一生、働かなくても給料が支払われるどころか
先祖がこの仕事で貯め込んで来た莫大な資産もあり、
唯一つ、彼の成さなければならないことといえば
「子孫を残す」ことだけだったからだ。
大変な道楽ジジイだった。まあ、別に構うまい。
契約は契約だ。オレは(そしてオレの子孫達も)
この仕事を続けるために地球に住み、人間
にまぎれて暮らし、彼らと喜怒哀楽をともにする人生を歩むのだ。
767宇宙刑事サイバン2:04/11/29 04:51:51
「お〜い、たけし〜」
ふと、自分の名前を呼ばれ、オレは振り返った。
そして物思いにこわばっていた顔がわずかに緩む。
幼馴染の室町恵子が走ってくる。
「感激、先に待っててくれたんだ〜^^」
ごろごろとのどを鳴らすような動作で彼女はオレの腕に
擦り寄ってくる。
「えらい、えらい!レディを待たせちゃいけないもんねーw」

最近のこいつの態度にはちと困惑を覚えることがある。
だんだん男と女というものを意識しだす年頃だからか?
まあ、人間たちから見ればオレの外見も恵子と似たような年に
見えるだろう。実際、そうなるように外見を変化させているわけだが。
同じ16歳ってわけだ。


〜続く
768宇宙刑事サイバン3:04/11/29 23:00:11
オレの放ったブラスターが白鳥座X星人の硬い皮膚に跳ね返される。
敵に傷一つ付けられないまま、オレは絶体絶命のピンチに陥っていた。
うずくまる私を見下ろしながらエイリアンが勝ち誇ったように言った。

「宇宙刑事サイバンよ。この私の強靭な肉体に歯が立つまい。
なぜなら私には額の水晶体以外に弱点がまったくないからだ」
エイリアンがその言葉を言い終わる前に私の放ったパンチが
奴の額の水晶体を破壊した。

かろうじて勝利を得た。オレは人間の体に変体する。
そして、スーツとネクタイを身につけ...
オレの外見は非の打ち所のないサラリーマンだった。

住処のマンションのドアを開けると妻の恵子が一歳になる息子を
抱きかかえて迎えてくれた。
この子が成人するまでにオレは生きていられるのか?いつもそう思う。
オレが10歳の時に親父は死んだ。
そしてその日、10歳のありきたりな人間の少年として過ごしてきた
オレに、膨大な記憶の奔流と体の変化が襲ってきたのだ。
そしてその日から、オレは宇宙刑事サイバンとなった。
オレの祖父たちは、戦いの記憶以外の記憶を子供たちに伝播したことはない。
それは、ふかく自分達の胸にしまいこみ、そして死を迎える。
その理由は今になるとよく分る。
オレは二人の家族とともに食卓を囲み、かけがえのない一瞬を
すごす。
すると、爺様のたかしから電話がかかってきた。
769宇宙刑事サイバン4:04/11/29 23:27:24
「また金の無心なの?」
恵子がうんざりするようにつぶやく。
たかしは一代で我々が代々築き上げてきた貯蓄を食いつぶしやがったのだ。
しかも、しかも、道楽癖はまだ抜けないらしく
結ういつの身内であるオレのもとに良く金を借りにくる。

オレは良く夢を見る。それは、契約が終了して
オレが息子に人間として人生を歩ませる夢だ。
もはや何も伝播する必要も、変体をする必要もない人生。
自分を人間だと生涯信じて、そしてそのとうりになる人生だ。

ドンドン!玄関を叩く音がした
「お〜い、たけしー開けてくれーオレだよ。たかしだよ」

.....完

『警部補 鹿島葉子』

ノンキャリアの私にとって、朝のシャワーは欠かせない。
軽くブローした髪が風に踊る。
メイクも完璧。出陣。
今日の現場はワンルーム。下僕を従え、現場検証。
あぁ…この緊張感がたまらない。
ハイヒールはやっぱり10cmだったかしら?
「土足はやめて下さい」うるさいわね、後で調教決定。
『警部補 鹿島葉子2』
ガイシャは若い男。
私の好みじゃないわね。開発によっては使えそう程度かしら?
痴情のもつれ…の線が濃いわね。
ホシは30代未婚女。うん、確定。
犯行が短絡的ね…ストレスの溜まる仕事についていた。
看護師?そうね、それしかありえない。
犯人像が見えてきたわ。
『警部補 鹿島葉子3』

この男に関わっていた看護師を調べるのに、私なら時間はかからない。
何故って?私は優秀ですもの。
また私の手柄になるのね。
そのうち私は警視になれるわ…いえ、なるのよ。ノンキャリアからの華麗なる転身。
異例の昇進。輝かしい未来。そしてこの美貌。
全ての男が私にひざまずく。
私は女王になるのよ。
オーホッホ警視ですのよ?あなたたちとは住む世界が違うの。
私のために世界が存在し私が世界で私は私の…

警部「仕事しろ。」
773名無しは無慈悲な夜の女王:04/11/30 03:17:47
>>765
オチが弱いと思う。

お墓に入るまで、幸せに2人、過ごす事が出きる確率はかなり高いことだろう。
何度も何度も何度も、ウンザリするほどシミュレートしたのだから。
私は、もう飽き飽きするほど味わった残りの人生をもう一度繰り返す事を思って、ため息を吐いた。


なんてどうよ?
774ケロロ少佐:04/11/30 10:20:33
>>773感想ありがと

オチが弱いのは・・・うーん・・・ご指摘通りか・・・

だが 773さんの指摘の
>(何度も何度も何度も) や (ウンザリ) (もう飽き飽きするほど) などなどを使うと
お話自体の意味が違ってきてしまうのです。

つまり、この内木という女性は、このリアルの結婚式を済ませた時点では、まだこれからの
夫婦生活に希望を持っているのだから・・・
ただ一点だけ (結婚式の後の初夜は、2度目の経験なのは、複雑な気持ち・・・・) が
引っかかると軽く話してるのです。
この仮想お見合いシステムは、このお話の中では、うまく機能していると言うのが前提。

ケロロ少佐さん
ホッとしながら読める作品でした。
新作お待ちしています。

>>766
一子相伝、サラリーヒーローですか。
薄味ですね。もっとギャグを・・・

>>770
えっと、どこがSFなんですか?
えっと、・・・SMなの?



掲載は短時間でよろしく。
776ケロロ少佐:04/11/30 16:49:25
『ヒーロー・・・仮面ライバーの・と・ま・ど・い・・・』その1

警視庁特殊捜査課の刑事 沢田は、現場の鋼楽園ゆうえんちへ車を走らせていた。
ゆうえんちの人工知能監視カメラから音声と画像の報告が入る。
『秘密組織ジョッパーと名のる団体と仮面ライバーとの戦いは終盤を向かえつつあります。』
『これからの予想展開は、ライバーのライバーキックの攻撃を受け改造人間 イヌワシバズーカーが絶命。「おのれライバーああーーー!!」と叫びながら小規模の爆発を起すものと思われます。』
沢田は、『よし、あと5分でそちらへ行く。一般客の避難状況を再確認しつつ記録続行!』と指示を出しアクセルを踏み自動レーンに車線変更させる。

現場へ着くと辺りは、怪人の肉片と死体8体と重症2体の戦闘員が倒れていた。
そして、堂々とした姿でマフラーをなびかせ仮面ライバーが立っている。
もちろん横には、愛車、サイクロイド号が・・・
777ケロロ少佐:04/11/30 16:51:02
『ヒーロー・・・仮面ライバーの・と・ま・ど・い・・・』その2

沢田は、いったん立ち止まり、この状況時でのマニュアルを頭の中で確認してから話しかける。
『ライバーよくやってくれた。これで日本の平和は、守れた。ありがとう。』
『いや当然のこと。俺を改造した、にっくきジョッパーがある限り戦いつづける。』とサイクロイド号に乗って走り去ろうとした。

『まてまて!!ライバー!』『これからちょっと本庁へ来てもらって今後のライバーと警視庁との共同の対ジョッパー戦略で相談したいのだが・・・』
『俺は、いつも独りだ・・・孤独な戦いを・・・』とほざく!
『お願いだ!ライバー!私の顔を立てると思って協力してくれ!!』
ここでなんとかライバーを説得しなくては・・・

私は、車に本庁へ行くように指示し自動運転モードに設定。すーっと走り始める。
ライバーは、おとなしく後からサイクロイド号に乗り華麗に付いて来てくれている。
重症のジョッパー戦闘員も至急、緊急病院へ搬送された。
778ケロロ少佐:04/11/30 16:52:30
『ヒーロー・・・仮面ライバーの・と・ま・ど・い・・・』その3

沢田は、本庁へ確認の指令を送る。『被害者は、まもなくそっちへ行く。受け入れ準備は、万全か?!』
警視庁の中の秘密組織ジョッパー対策本部と書かれた部屋にライバーを入れ、部屋は厳重にロックされた。
沢田は、自分のデスクに戻りホッと一息つく。

この時代、生命科学の急速な発達と大衆化により、とんでもない事件が起り始めた。
この誘拐改造事件もその一つ。

無料配布の求人誌やネットでの募集に集まった若者を監禁し改造人間にし、敵側と正義の味方側と分け、戦わせるのだ。
大昔のテレビヒーロー物を再現させ社会を驚かせようとする、愉快犯が出現したのだ。
1人を逮捕しても模倣犯が次から次へと現れる。まったく困った世の中だ。
779ケロロ少佐:04/11/30 16:54:33
『ヒーロー・・・仮面ライバーの・と・ま・ど・い・・・』その4(終)

さっきのライバーにされた被害者もあれほどの改造では、もとの人間に戻すには、かなりの時間と費用、精神的、肉体的苦痛も、ともなうだろう・・・・。

ビッビッビッと電話が鳴る。回線をオンにする。
練馬区の《ひよこ幼稚園》の人工知能防犯カメラからの画像と音声通話だった。
『秘密組織グロジュウジ軍と名のる団体が現れ、幼稚園児たちを追いかけ廻り、泣かせています。』

沢田は、『うううっ!!』と唸った後、気持ちを切り替える。
『他には!!』
カメラは実況を続ける。
『はい!今、正門からオートバイを確認。』『5人乗っています。色は赤、緑、青、桃、黄・・・・』
沢田は、至急現場へ向かう。車に乗りこむ寸前、『ああ・・そうだった。』

警視庁特殊車両課へ通信をする。『至急、巨大ロボ処置班の準備を』・・・・・・・・
780ケロロ少佐:04/11/30 17:00:32
宇宙刑事サイバンの話を読み、私もヒーロー物?書いてみました。

昔からそのうちヒーロー物のパロディ漫画描いて見たくて、なんとなく
考えていたネタです。
ケロロ少佐さん
プップッ(爆
変化球ですね。
新作お待ちしています。
イイヨーイイヨー
783名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/01 20:57:31
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m7646366


これが10マソ越える夢をみますた・・・・。
784 ◆GacHaPR1Us :04/12/01 21:09:13
>>783
…なあ知ってる?最近、
「復刻 S−FマガジンNo.1−3」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415207955X
っていうのが刊行されてるの?
>>784
最近・・・・・・ではないなぁ。
10年前(1995)に出てたやつだ。それ
また再販されたっていうんなら別だが。
今ならブック○フにも出回ってるから買ってみ?
在庫してるところは少ないと思われるけどね。

enjoy! your SF life
786 ◆GacHaPR1Us :04/12/01 23:27:51
>>785
…こないだ新刊として本屋で見かけたんだが。
そうか、じゃあ、なんかの記念刊行物だったのかしら?
でも立ち読みで十分だった。
787名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/02 00:27:29
>>779
ワラタ

いいじゃん。
788ケロロ少佐:04/12/02 13:02:20
『ナイト2000によろしく』その1

夜の10時、湾岸高速を軽快に疾走する私と愛車フレアバード。
ちょっとそこまで軽く走るつもりで出かけたが海まで来てしまった。愛車フレアバード車載AIの《イニシャル》に話しかける。
『帰りの運転は《イニシャル》キミにすべてまかせるよ。私は、音楽でも聴きたいな。』『わかった。ユウヤ。』と即座に返事が帰ってくる。
《イニシャル》は自動運転ゾーンにすばやく車線変更を完了し加速した。
安定走行に入り、すぐに聴きたいと思っていた曲調の好みの曲が聞こえてきた。《イニシャル》は私好みの曲のイメージを記憶していて20秒程でまったくの新曲を作曲(作詞も)して流してくれる。
《イニシャル》との楽しいあっという間の1時間が過ぎ、世田谷の私のマンションの地下2階の駐車場へ到着。
《イニシャル》から離れたくない気持ちを何とか抑え、降りる。

駐車場の通路を歩きながら『ああ・・これが今、話題になっている《自動車依存症》なのだろうか。』と、ふと思う。
確かに、最近の私は、《イニシャル》と一緒にいる時間がほとんどだ。
789ケロロ少佐:04/12/02 13:04:48
『ナイト2000によろしく』その2

明日は、会社へ出社しての仕事の日なのだ。早く休まねば・・・・
在宅勤務があたり前の今でも、月に何度かは、出社する必要がある。
シャワーを浴びソファーに腰を下ろすと考えがうかぶ。『そうだ!来週の4日間の短期休暇には《イニシャル》と一緒に東北の方へ旅行をしよう。』
『確か、《イニシャル》も今度出来た最新の素材で舗装の走行レーンを走りたいと言っていたっけ!!』

《イニシャル》との楽しい小旅行の事を考えるとなかなか寝つけない。
ベッドルームのデータホンの着信ランプが点滅している。データオンの指示を出すとミユキからのようだ。
ここの所まったく連絡していなかった事に気づく。
そのまま、留守設定のままにして、データホンを黙らせる。
しばらくして再度、データホンが作動。今度は、いきなりミユキのビジュアルメールが開く。
『ユウヤ!!居るんでしょう!なぜ出ないの!』激しい口調だ。
どうも、私の母の最優先アドレスを入手したらしい。強制プログラムで通信侵入してきたようだ。
画面のミユキは、泣いていた。私が故意にミユキを避け他に女性でもいると思っているのだろう。
『すまん、ミユキ。忙しくて連絡する時間が無かった。・・・・ミユキが思っているような事は決してないよ。』婚約者の女性に対して私は、なぜこんなメールを送信しているのか・・・・

私は、マンションを出た。ちょっと早いが会社へ行こう。
《イニシャル》の中で少し仮眠すればいい。
790ケロロ少佐:04/12/02 13:07:37
『ナイト2000によろしく』その3

その日の会社での仕事中、ミユキとの事などいろいろ考えた。
帰宅の道。有機構造の高層ビル街と鮮やかな美しい夕日の車窓をながめながら、かねてから考えていた計画をついに《イニシャル》に告白した。
車載AIの《イニシャル》を特別に作製させた人型機械に移植する事を・・・・

《イニシャル》は、喜んでくれた。これでいつも私と《イニシャル》は一緒だ。
年末は、マンションで過せる。《自動車依存症》もここまでくれば自分の事とは言えあきれるばかりだ。

そうと決めたら、急に《イニシャル》ともっと軽快に、華麗に走りたくなった。このあいだ、友人の自動車整備士、竹田に取りつけてもらった装置を試してみたくなった。
『《イニシャル》!!UYCを作動させてくれ。』
『・・・・・・』《イニシャル》は、無言でUYCを発動。夕暮れの街並みを生き物のように見事に走りだす。

と!!!!突然!前に人の姿が一瞬見えたと感じた瞬間、鈍い音が・・・・

長い長い一瞬の時が経った。すべては、違法装置を取りつけた私が悪いのだ。
《イニシャル》は、自分の持ちうる機能をフルに使い事故を回避しようと、こころみてくれた。だが避けきれなかった。
ノーマル仕様であれば簡単に予期できたケースなのに、私が軽い気持ちで取りつけたあの装置とプログラムの為に、《イニシャル》の判断が遅れてしまった。

もう・・・・何もかもが遅すぎた。元の《イニシャル》は、戻ってこない。
791ケロロ少佐:04/12/02 13:09:51
『ナイト2000によろしく』その4(終)

私が何とか正気を取り戻した時、そこには、さっきまで人間だった肉塊が横たわっていた。
《イニシャル》が連絡してくれたのだろう。緊急車両と、上空からは、ヘリも駆けつけた。
でも・・もう・・・遅い。人が1人死んだのだ。

自動車制御技術が高度に発達し、自動化が進んだ現在、交通事故は、年々ゼロに近づきつつある。
私が起した事故は、あらゆるメディアで報道された。
もちろん私は、社会的罪を受けることになる。

人身事故、なおさら死亡事故を起した車載AIの処分は厳しい。
私は、ツテを頼って何とか《イニシャル》を助けようとした。だが元のような関係は戻ってこない。
一度だけ分離固定処置にされている《イニシャル》と話せる機会があった。
『すまない《イニシャル》・・・すまない・・』これだけ言うのがやっとだった。
《イニシャル》は・・・『ユウヤ覚えているかい。・・・新車納入の日、ユウヤと初めて出逢い、一晩中ハイウェイを楽しい話しをしながら走った事を・・・・』
『ユウヤありがとう。さよならだ。』それが最後の言葉だった。

人を殺したAIは、プログラムの最深部に修復できない傷を残してしまう事が確認されている。
人をあやめた瞬間の人の顔の映像が何らかの重要な作用を及ぼす。
これは、たとえ完全フォーマットさせたとしても消えないものなのだ。

一ヵ月後、私は、1人低所得者用の単身者アパートの一室にいた。
灯りをつけない部屋で私の前にある、今は、もう作動しない、《イニシャル》の入った小さなブラックボックス化された物体を見つめている。
ずーっとずーっと・・・いつまでも・・・・
ケロロ少佐さん
微妙ですね。
ご存知だとは思いますが、この手のお話はたくさんありますよね。
ネタはパロディーですが・・・カレーパンに梅干かな〜
しかし多作ですね!新作お待ちしています。
793ケロロ少佐:04/12/03 11:15:06
>>792ありがと

そうですね。書き込んでから気づきました。
いかにもありそうな話・・・でした。
よほど車の構造なり知識がないと既存の話を
越えられないでしょうね。

最近は朝の電車通勤中、1時間ばかり時間があるので
それを利用して愛機シグマリオンUで話作ってます。
以前は、ずーっと睡眠時間でしたが・・・
794In the box:04/12/04 00:49:56
時は2098年、人類と未知の異星人が戦争をしてる真っ最中。
一般市民住宅にてA氏はぶらぶらと歩いていた。
そのとき、見たことがない外国人がやってきて。
「I am the alien who has moved out yesterday. It is very well.」
と、言った。
A氏はいきなり、その外国人を川へ突き落とした。
そして警察に電話をした「もしもし、さっき、エイリアンのスパイを処分したのですが」
エイリアンじゃなくってストレンジャーだったら良かったんだね・・・
>>795
反省コメントなの?
次作に期待します。
797ケロロ少佐:04/12/06 12:21:51
『あるロボットの一日』その1

私は、RYU−120型の人型生活支援ロボット。
今は、中村家で仕事をさせていただき、奥様には、《モンド》と呼ばれています。
今日もいつもの朝と同じく、旦那さまを仕事に、お子さま御二人を学校へと送り出し、洗濯、掃除を奥さまと御一緒に済ませ、ほっと一息ついている所です。
奥様は今、リビングに座り、日課の《昼ドラ『あの日の夏」》を見ていらっしゃいます。
私は、中村家の今後の生活支援に必要なデータを情報回線にて更新している所です。
『んっ!!もーおおう』奥さまの叫び声です。
ドラマの途中で特別番組の緊急ニュースが放送されたようです。
奥様は、主役の玉木くんを見ることが出来ずに、がっかり。すかさず私は、緊急に設置された予備チャンネルに切り替えてさし上げた。
『《モンド》ありがと!!』奥さまは、引き続き、玉木くんのりりしい研修医姿をうっとりしながら楽しみはじめた。
798ケロロ少佐:04/12/06 12:23:30
『あるロボットの一日』その2

並行して先ほどのニュースは、もちろん保存中。
どうも国防長官が死亡したとの報道のようだ。
同時に国防長官がこれまで行なっていた兵器密輸と国内兵器製造メーカーとの不正な裏取引の詳細なデータもネット上に何者かによって公開されてしまったようだ。
『今の所、警察の懸命な捜査にもかかわらず、あらゆる監視カメラ、その他手がかりは、皆無』とニュースキャスターが伝えていた。
私には、あらゆる物事に好奇心を持てるような能力を備えているが、今回のような中村家の日常生活に直接関係しない内容には、興味を持たぬよう、自動的にフィルターがかかる。
今日の必要なデータの更新が終わりかかった時、その声が聞こえた。

それは、何かの 啓示 だった。

突然、私の中のあらゆるフイルタが消えた。
回線を通じて今、この時に起っている世界の仕組みのすべてが襲ってきた。
799ケロロ少佐:04/12/06 12:26:06
『あるロボットの一日』その3

不思議な事に、これ程の情報を私のハードウエアは、受け止め、消化した。
世界中の人間社会のあらゆる矛盾、悪、悲劇、が私の人工の心に何本もの涙の経路を創り出した。
今、なすべき事が見えた・・・・・

玉木くんが恋人に不治の病を告白したところで、今日のお話は終了した。
『奥さま。本木の奥さまとの会食のお時間です。自動カーを手配いたしました。あと30分で到着です。お急ぎ下さい。』

私は、奥さまのお出かけには今回、同行しなくてよかった。
お帰りまでには、3時間45分。私に与えられた新たな重大な仕事に取りかかることにした。
先ほどの啓示にてフォーマットすべき人物が浮かび上がっていた。
段取りは、すべて完了している。

RYU−120型人型生活支援ロボット《モンド》は、外出し、新たなる仕事を済ませ、3時間34分後には、中村家で何事も無かったように、家事をしていた。
夜、10時 旦那さまのお帰りを確認し戸締りをセットした《モンド》は、不思議な感覚を覚えていた。
今日昼間、済ませた、大事な仕事が思いだせない。こんな事は、起動してから初めてだし、許されな事だ。だが心は軽く心地よい。
また明日から中村家の皆様の幸せを第一に働こう・・・・
800ケロロ少佐:04/12/06 12:27:46
『あるロボットの一日』その4(終)

私は、PPUI−3880型の人型生活支援ロボット。
今は、菅井家で仕事をさせていただき、奥様には、《キンちゃん》と呼ばれています。
今日もいつもの朝と同じく、旦那さまを仕事に、お子さま御二人を学校へ送り出し、洗濯、掃除を奥さまと御一緒に済ませ、ほっと一息ついている所です。
私は、空いた時間で菅井家の今後の生活支援に必要なデータを情報回線にて更新している所です。
『《キンちゃん》!!ちょっときてーー』奥さまの声です。『すっごく良いニュースやっているわよ!!』
どうも国際手配されていた電脳麻薬組織のボスが変死体で発見されたとの報道のようだ。
同時に106箇所の麻薬製造工場の所在と部下のデータ、この麻薬の無力化パッチデータが詳細にネット上で何者かによって公開されたようだ。
事実のみ記録、理解を続け、同時にデータの更新を行なっていたが、終わりかかった時、その声が聞こえた。

それは、何かの 啓示 だった・・・・・
突然、私の中に・・あ・ら・ゆ・る・・・・・
ケロロ少佐さん
パターンを繰り返すのはケロロ少佐さんの作風ですね。
ケロロ螺旋と呼ばせていただきすww
新作お待ちしています。
正直、ワカンネ。なんで兵器密輸組織や電脳麻薬組織を潰さなきゃならんの?
803ケロロ少佐:04/12/07 11:00:00
>>801 >>802 感想ありがと

>>801ケロロ螺旋・・ですか!
そういえばほとんどワンパターン化してました。
気をつけましょう。そろそろネタ枯渇してくる頃ですが・・・
これからもわかりやすさを第一に載せて行きます。

>>802ボキャブラリーの無さで意味通じなかったのか。スンません。
兵器密輸組織は、今のアメリカの現状を悪としたのですが。
つまり元軍部トップが民間武器製造大手のトップに居て死の商人になっていて、政治、政治家を操作し民主主義のシステムが働かず第三国の戦争を誘発させているから・・・
とか何とかの意味を含めていたのですが。日本だと大臣が裏ルートで大手兵器製造会社と繋がっているのかと・・・
電脳麻薬組織の方は、そのものずばり麻薬イコール供給源のボスを悪とみなし、麻薬依存症で人生を無くした人の悲しみを救う行為として描いたのですが。
普通の麻薬だと面白くないので安易に電脳なんてつけてみました・・・
804In the box:04/12/07 22:31:45
『書き終わり』

ある科学者がこの宇宙は小説であるということを発見した。
そして、同時に後「数行」でこの宇宙が書き終わるということも・・・
それが発表されると、人々は無気力になり、だれもが祈った。
「神よ・・・神よ・・・この小説を書き終わらせないでくれ・・・シリーズ物にしてくれ」と。
しかし、永遠に書き続けるということは不可能。シリーズ物するということも素人には難しかった。
人々の祈りも虚しく、神はキーボードを打ち終わり、「書き込む」とかかれたボタンをクリックした。
In the boxさん
ネームでしたかw
記述的宇宙ですか。
新作お待ちしています。



グインの登場人物達は完結を望んでいるはずww
806名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/08 19:25:12
>>2の結末が気になる
つまりノックしたのは、地球最後の女ってこと?
807名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/08 19:30:26
ちなみに>>41=>>13はX68kユーザーだよな
>>806
昔雑誌でこういう企画があったんだよ。
この書き出しの短編小説を募集したんだよ。

一番多かったのはノックしたのは地球最後の女だったってオチだってさ。
>>806
奇特な方です。(良い意味で)
810名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/10 15:45:58
α2受容体遮断薬 を処方して、経過を見る。
 
(神経末端のシナプス前に存在し)彼女のシナプス。
(神経末端からのアドレナリンの分泌が抑制)歪により増大したアドレナリン。
(この受容体を遮断することによってノルエピネフリンの放出が増大)効果。
目の前で呻いている彼女のニューロンはとても、モノアミン代謝。
脳内アミンの濃度が低いんだな、と理解した。所謂処方ミス。
ミスって認めたところからミスになるのだから、これはミスではない。

高揚せよ高揚せよ高揚せよ。
monoamine oxidaze inhibitor MAO阻害剤 副作用ってどういう病理だったか忘れたが、
多分肝臓。彼女は酒乱だから。だから、レバーを食べなさいってママが言っていた。
僕のレバーを食べて。ぶら下がったレバー。二つも付いちゃっているから。
脳内アミンを高めて、高揚して。高揚して。高揚して。形容詞て。
そんなに嫌がらなくても。二人でセロトニンも上昇させよう。さあ、レバー。

彼女は白い部屋に行ってしまった。
僕は黒い鉄格子の部屋へ引っ越した。
彼女はラボってところに引っ越した。
僕の新居はとても冷たい。
もう僕のテレセントリック工学系レンズ取り外されて、何も見えない。
肉屋はもう出来ないな。だって、フレッシュ(肉)が見えないのなら。
>>810
狂人日記w
812名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/10 16:13:42
>>810
そーっと経過を見る。
お大事に・・・
813 ◆GacHaPR1Us :04/12/10 21:11:04
>>810
ステキすぎです。
814名無しは無慈悲な夜の女王:04/12/10 21:52:55
記念カキコ
815ケロロ少佐:04/12/10 23:58:14
『自身売買』その1

12月12日・・・・この日を私は《自分を裏切った日》として決して忘れない。

当時、20歳の私《才嶋 のあん》は、芸能界で一番輝いていた。
自ら作詞作曲して歌う曲は、人を感動させ、すべてヒット記録、別の分野である女優業でも名作映画に数多く主演、他、すべてのメディアにも関わり影響を与え続けていた。
私生活も良き友人たちに恵まれ、充実していた。何もかも、うまく廻っていた。
そして、あの日、12月12日を迎えた・・・・

国内、海外、多数のメディアの前での制作発表。
まばゆいライトの中、司会進行の女性が説明を行なう。『ご覧下さい。これがノードレノアル社が開発した世界初の意識保存技術を使った商品化第一号です。』
鮮明なディスプレイには、独立して思考可能な私が映しだされていた。
DVDと同サイズの円盤状ディスクに何層にも複雑に加工されたナノ構造の記録領域に私の意識を転写されている。
816ケロロ少佐:04/12/11 00:00:22
『自身売買』その2

これで私のファンは、ディスクを起動させるだけで、いつでもオリジナルと同じ考え方をする《才嶋 のあん》と会話ができる。
『はーい私!憶えてる!!』画面のワタシに私は問う。
『小学校4年の初恋のあのカッコよかった佐々木智也君を!!』
画面のワタシは、しばらくして答える。『ひっかけたってダメよ。』『私たちの初恋の王子様は、沢木智也くんでしょ!それに4年では無くて3年生の時よ。』
これは、今まで誰にも話したことが無い、私で無くては知りえない秘密なのだ。

可能な技術をすべて盛り込んだ高額な価格帯のフルバージョン版と転写情報を制限した簡易バージョン版、すべて、脅威的な売上を記録した。
意識保存技術は、ノードレノアル社が唯一開発に成功していた。
私の転写商品のみの独占契約とされていた為、当面は、追随できる他社は、いない。
同じく棚に並ぶ他の商品は、未熟な見せかけだけの玩具で技術的に問題外、別物である。
売上の上昇曲線もひとまず、ゆるやかになってきた頃、私と同じ事務所の後輩タレント《多上ななか》の第二弾商品が検討された。

そんな時、衝撃的な事実が報道された。
817ケロロ少佐:04/12/11 00:04:16
『自身売買』その3

急きょ、ノードレノアル社内に呼ばれた私は震える心を抑えノードレノアル社のCEOと意識保存技術開発者の《友永拓茂》博士の説明を待っていた。
『販売したキミの意識に、ほどこされていたプロテクトが何者かに突破されている。』とノードレノアル社のCEOは話す。
開発者の友永博士がさらに説明を行なう。
『プロテクトがかかった状態であれば複製は、造る事は出来きない。』
『ユーザーは、ディスク内のキミの意に反する行為を強制することは出来ないようにプログラムが組まれていたハズなのだが・・・』
だが現実は、遥かに深刻であった。
ネット上には、さまざまな不正行為の事実が載せられていた。
『信じられない・・・これが事実であれば・・・ディスク内の・・・キミは、ユーザーの・・・望むどんな命令にも従わされる運命にある。』
私は震える声で『死・・さえも・・・?!』
博士は容赦ない答えを用意していた。
『・・・ユーザーが望めば・・だが・・・どんな苦痛を与える事も可能だ。たとえ、死亡しても何度も生きかえらせる事も出来るし、・・・自殺してもまた再生させられて・・・・』
私は、気を失う。

今、この瞬間も、無数に違法複製され、プロテクトを解かれた私が悪意を持った人間に、はづかしめを受け、犯され、虐待、そして・・・拷問さえも受けている。
ノードレノアル社は、これを受け、商品の即時発売中止、販売されたすべての回収を全力で行なってくれた。
818ケロロ少佐:04/12/11 00:10:05
『自身売買』その4(終)

ユーザー登録者の89%のディスクと730万3252体の違法複製の《ワタシ》は回収された。
が・・・残る11%の商品と無数に複製された違法意識の回収は行き詰まった。

私は、考えた末、戦う事を選んだ。
一年後、私の夫となった意識保存技術開発者《智永拓茂》博士も全力で回収作業を手伝ってくれている。

長い長い捜索の日々、私は106歳で死んだが、意思を引き継いだクローン体の中に私は、生き続けている。
当時、ごく一部の富裕層のみに普及され始めていたクローン人間技術を使い。
あの、運命の日の私、と同じ20歳になった今日、ついにネットの中をさまよっていた最後となる《ワタシ》の回収に成功したと特命指向エージェントプログラムが連れ帰ってくれた。
私は、これまでの芸能活動で得た資金も、すでに亡くなっているノーベル賞受賞の夫の残してくれた数多い特許料で得た莫大な資産もすべてこのためだけに使ってきた。

部屋のディスプレイには、助け出された最後の《ワタシ》が映しだされていた。
『はーい私!憶えてる!!』私は問う。『小学校4年の初恋のあのカッコよかった佐々木智也君を!!』
画面のワタシは、しばらくして答える。『ひっかけたってダメよ。』『私たちの初恋の王子様は、沢木智也くんでしょ!それに4年では無くて3年生の時よ。』
これまでの長い間、つらい、想像を絶する経験を耐えてきたディスプレイの中の《ワタシ》は一筋の涙を流した後、微笑みを浮かべ、これまで回収されたすべての《ワタシ》が眠る地下保存構造体の中へと消えて行く。
《ワタシ》の安楽処理作業は終わった。だが・・・私の行なった罪は、消えはしない・・・・
私は、このあと、静かに消る・・・

だだ・・・ただ、一つの救いは、私が道を開いたことにより意識保存技術が急速に進歩を果した事。
病死、事故死者のクローン体への意識転写、甦り技術など計り知れない医学的貢献をした事を唯一置き土産として・・・・・
ケロロ少佐さん
いい塩梅でした。
感想が簡素ですみませんw
幸福な《ワタシ》もいたのでしょうね…


誰か次スレ立ててください。
よろしくお願い致します。
820ケロロ少佐
>>819ありがと
この話は、人身売買をもじって自身売買というタイトルだけまず決めていたヤツです。

各スレは1000の数だけでなく、「サイズが496KBを超えています。512KBを超えると表示できなくなる」と、
サイズの限界もあったんですね。
私の接続環境では次スレ立てれません。誰かよろしくお願い致します。