指輪物語〜10月『24』日フロド裂け谷で目覚める〜

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851説話風に
 今は昔、袋小路屋敷のビルボバギンズ殿、ちかく百十一の誕生日を祝ひて
いみじき大饗を張らるるよしきこえたりければ、ホビット村にその噂せぬ者とて
なかりけり。
 ビルボ殿いみじき長者なれども変はりたる人なりけり。ひととせ庄内より姿を
消しまた思ひよらず現はるることありしに、それより六十年のあひだ庄内の者
どもビルボのことをあさましくめでたきやうに思ひあへり。いづこより持ち来りけ
ん、旅よりいみじき財宝ども持ち帰りければ、庄の者の昔語りにぞなりにける。
古老の者ども、袋小路の山の下にここかしこあまた穴どもありて、財宝ども埋
め置きてありけるとなんいひつたへける。宝のみにあらず、かの人年とらずし
て力衰へざりけり。歳月移りたりけれども、ビルボ老いゆくことなくて、九十の
時も五十とかたち変はらざりけり。九十九になりし年には庄内の者どもビルボ
を呼びて長持殿となむ称しけれど、変はらず殿とも言ひつべきにや。かしらを
ふりて、さてさてあればかりよきことをいかで一人の人あはせ持つべきやとあさ
みあへる者もありけり。まのあたり常世の姿あるに加へ、音に聞く尽きせぬ宝
の二つながら持ちたれば、こはよきことにあらず、いづれ果報尽きてあしきこと
あるべしなどいふ者もありけり。


☆またジョークでこんなんやってみました。冒頭部分はこういう雰囲気でいかが
でしょう。「今は昔」は余計ですが(笑)。以上713がお送りしました。