アニメ戦闘妖精・雪風 『 怪 』Part8 〜百機夜行〜

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OVAの監督、大倉雅彦が、彼のスタッフに、彼の言い回しで、くそったれなどとどなっている。
彼は自分の感性で指示を出すのだが脚本家とデザイナーには通じないのだ。
不条理で、不可解な解釈が、大倉監督を原作ファンと原作者よりは作中のキャラクタJAMに
近い存在にしていた。
「妖精をみるには、妖精の目がいる」――神林長平はそう書いていた。
私はそれを読んだとき、これはレトリックではないかと思った。
ただ単に私達の注意を引きつけるための、内容のない言葉だと。

だがそうではなかった。わたしは大倉監督に実際に会い、コンテとシナリオ
、アイディアメモを読み、監督がスタッフとうまくコミュニケート出来ないのを
この耳で聞いた。彼は原作を「雪風」を忘れてしまったかのようだった。
読み返せばなんということもなかったろうに。それとも彼は、勘違い・珍解釈に
気づくのが怖かったのだろうか? でも、なぜ?
「ここはGONNZOなのですよ。原作通りに作ってはたまらない。稚拙な技量が
 ばれてしまう。彼は会社の方針を代弁しているです」
ファンの批判が大きくなる。論調が変わろうとしていた。だが、スタッフルームは
完全隔離のために平穏で微動だにしなかった。私は外を眺めている多田氏に
訊ねた。
「GONZO版雪風とはいったい何だとお思いですか」
多田氏はクマの出来た顔を微かに引きつらせて、わからない、と言った。
「だが」と多田氏は続けた。「ファンの味方であって欲しい。…ばかげていると
 思いますか?GONZOが原作を無視して、ファンの味方でもないとしたら、
 今回のアニメ化は無意味だ。それこそばかげている」