北野勇作

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207名無しは無慈悲な夜の女王
>>206同意。
たとえば、ディックの小説なら
スコンと世界がずれて、主人公は「あれ、何か違うぞ」って思うんだけど、
北野勇作の小説の主人公は「ま、こんなこともあるだろ」って
不確定な世界に馴染んじゃう。
読んでるほうも馴染んじゃって、怖いって言うより、気持ちいい。
で、その気持ちいい感じも段々なじんできて、しまいには何が変わったのか
分からなくなるという……。
ディックや神林は「ホンモノ」と「ニセモノ」の区別に拘っているけど、北野勇作
は「ホンモノなんて存在しない」「ハグルマで微妙に影響を及ぼし合っているし
ているニセモノの集合をホンモノと勘違いしているだけだ」と主張する。
ディックと北野勇作は似たように言われますが、「現実の不確かさ」を扱ってい
る以外は、全然違う考えに基づいている作家なんではないかと思います。
「どこかに自分の居場所のあるホンモノの世界があるはずだ」というディックの
考えは(私には)ちょっと受け入れがたい。