三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命の人の子に、
一つは、暗き御座の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕えて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。
旅の仲間は、森の王子に岩の将、
旅の仲間は、北の野伏と南の戦士、
旅の仲間は、魔法使いと小人たち、
指輪を山に、投げ棄てるため、
影横たわるモルドールの国に。
率いるものは、奈落へ落ち、
角笛は、もはや鳴らず、
旅の仲間は、大河で離れ、
指輪所持者としもべは向かう、
影横たわるモルドールの国に。
灰は白へと色をかえ、
辺境の王は起ちあがり、
牧人の怒りは塔を倒し、
戦場は東へ移ろうだろう、
影横たわるモルドールの国に。
おのれが影に相対し、
指輪所持者は憐憫を知る、
あるじが別離に相対し、
忠なるしもべは勇を知る、
影横たわるモルドールの国に。
救いの星は海より来たりて、
折れたる剣は道を照らし、
癒しの手は人を助く、
両軍、馬首揃え対峙せり。
影横たわるモルドールの国に。
影横たわる滅びの山に、
指輪所持者は任を達す、
諸指輪のあるじは没落し、
我らが王は帰還せり、
光さす西方王国に。
小さき人は功を成し、
人の時代は始まれり。
長き旅はここに終わり、
傷つき所持者は船で発つ。
海の彼方は西の地に。