指輪物語〜ローハン国第十七代の王セオデン〜

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 三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
  七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
 九つは、死すべき運命の人の子に、
  一つは、暗き御座の冥王のため、
 影横たわるモルドールの国に。

  一つの指輪は、すべてを統べ、
  一つの指輪は、すべてを見つけ、
  一つの指輪は、すべてを捕えて、
   くらやみのなかにつなぎとめる。
 影横たわるモルドールの国に。

  旅の仲間は、森の王子に岩の将、
  旅の仲間は、北の野伏と南の戦士、
  旅の仲間は、魔法使いと小人たち、
   指輪を山に、投げ棄てるため、
 影横たわるモルドールの国に。

 率いるものは、奈落へ落ち、
  角笛は、もはや鳴らず、
 旅の仲間は、大河で離れ、
  指輪所持者としもべは向かう、
 影横たわるモルドールの国に。

 灰は白へと色をかえ、
  辺境の王は起ちあがり、
   牧人の怒りは塔を倒し、
  戦場は東へ移ろうだろう、
 影横たわるモルドールの国に。

 おのれが影に相対し、
  指輪所持者は憐憫を知る、
 あるじが別離に相対し、
  忠なるしもべは勇を知る、
 影横たわるモルドールの国に。

  救いの星は海より来たりて、
   折れたる剣は道を照らし、
   癒しの手は人を助く、
  両軍、馬首揃え対峙せり。
 影横たわるモルドールの国に。

 影横たわる滅びの山に、
  指輪所持者は任を達す、
 諸指輪のあるじは没落し、
  我らが王は帰還せり、
 光さす西方王国に。

  小さき人は功を成し、
  人の時代は始まれり。
  長き旅はここに終わり、
   傷つき所持者は船で発つ。
 海の彼方は西の地に。