「悪童日記」再読。
大戦中の時代設定なのに、むしろ現代の少年の心理描写。
形ばかりの平和がなんとも切ない。
「悪童日記」をSFというのはちょっと・・・。
「第三の嘘」で虚実綯交ぜの展開になるあたりでも
幻想小説の範囲だと思うけど。
うーん・・・まあ人それぞれ(お約束かな?)
しかし、思弁(否定)小説と考えるとバラードやレムと変わらんような。
世界観の風刺性なども巻末の訳注などに拘らす読めば異世界物と
とらえられるし、むしろ著者的にはそっちだろう。
ガジェット表現の有無でSFうんぬんというのも切ないものがあるね・・・
自己の分離が他星系や電脳空間ではなく、国境線の向こうだというだけでは?
426 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/05/20 02:01
>>424 レム好きなやつは「悪童日記」がSFじゃないとは言い切れまい。
>>426 俺もそう思う。
アゴタ・クリストフの三部作読後の切なさ(あるいは澄み切った虚しさと言ってもいい)をお求めの向きには、倍二倍に強烈な
ジャック・ウォマック「ヒーザーン」(創元文庫)
をお勧めしたいと思う。
主人公ジョアナは、ただただ残酷な運命に流されて―でもその姿は限りなく崇高で。
…でも絶版なのな。「テラプレーン」ともども。
ひとりだけ挙げてたけど、
カート・ヴォネガットJr.「タイタンの妖女」
のラスト一行のセリフには、俺もぼろぼろ泣いた。
その言葉自体は、ある種陳腐ともいえるシンプルな表現なんだけど、
過酷極まりない流転の果てにたどり着いた言葉があれだから…やっぱり泣けてしまう。
この二つを並べてみると、
「嵐のような運命に翻弄される無力な主人公が、最後にたどり着いた諦念」
ってのに涙腺が刺激されるらしい事がわかりました。
ひとりごとスマソ。
428 :
名無しは無慈悲な夜の女王:03/05/21 01:37
まあ東西分裂の切なさってやつはSFのテーマにぴったりなわけで。
冷戦が終結しちゃってテーマが化石化しつつあるから
これからSF読むやつはどう感じるかが知りたいね。
レムの著作を単純に異星人やロボットのガジェットにとらえたら
ちょっと読み込みが浅いわけで・・・まあ面白きゃいいんだろうけど。