同窓会での出来事・思い出スレッド2

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523大人になった名無しさん
俺の友達もやくざになったが、服役を経て出世し、今では地方ながら
大手の組のナンバー3になっている。
小学校の同窓会も有名な割烹でやったのに、彼の口ききで全員タダ。
二次会の会場に行く途中、彼に挨拶する人の多いこと。
見た目は普通のビジネスマンだし、指も全部ある。パンチパーマもか
けていない。スーツは地味。
だけど風俗店の呼び込みにからんでいるチンピラ風の男を見た瞬間、
目つきが変わった。俺はゾッとした。そのチンピラも友人が何者かを
瞬時に悟ったようで、さっと逃げた。
あの目つきの変わり方があってこそのやくざなのだろうが、人の好い
笑顔の印象が強かっただけに、悲しかった。

二次会もその地方では最も高い金をとることで知られたクラブだった
が、彼の顔でタダ。
全て「やくざ」の彼の顔の力なのだが、それは敬意を受けるものでは
なく、恐れを受けるものだし、裏ではきっと唾棄すべき存在として嫌
われているのではないかと思うと、彼の顔によるタダメシ・タダ酒が
嫌になり、俺は彼に言ってしまった。
「やくざの顔でメシを食ったり、酒を飲むのは俺は嫌だ。俺の飲み食
いした分は払うから、請求しろ!」
彼は鷹揚に笑って「おまえは昔から真面目だったなぁ。気にしなくて
もいいって。俺は●●(割烹)にもここにもちゃんと払うんだよ。2
軒分合わせても100万にはならんし、俺は昔みんなに迷惑をかけた
から、そのお詫びだって。気にせず飲めよ。」と言ったが、俺は更に
からんでしまった。「やくざが何をやって稼いだか知れたもんじゃな
い。そんな金で払ってもらわんでええ!」
だが酔いつぶれた俺は彼の子分が運転するベントレーに乗せられたら
しい。気づいたときは彼のマンションだった。酔いが冷めた俺に彼は
言った。「みんな、俺の金で飲み食いして何も言わん。ありがとうく
らいしかな。だがおまえは俺をしっかり馬鹿にしてくれた。俺はそれ
でええんや。どうせやくざ、社会のダニや。ちょっとええ格好して、
それで鼻が高くなってたのを、ちゃんとおまえはわかってて、俺が所
詮はやくざもんやと言うてくれた。そう言われんと俺は勘違いしてし
まう。そうやって俺を馬鹿にしてくれることで、俺はやくざやという
ことに気づかされる、そして世間に迷惑をかけんようにせんといかん、
少しでも世間の役に立たんといかん、こう思うんや。ありがとうな」
としんみりと言うのだった。
酔いが冷めた俺はからんだことを彼に謝ったが、彼は昔のような人の
好さそうな笑顔を浮かべ、「ずっと友達でおってくれよな」と言った。
ちょっと涙目だった。