戦国ちょっと悪い話19

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386人間七七四年
いつもの黒田長政、酒癖の悪い話

戦国最後の大戦ともいえる大坂の陣が終結した慶長20年のある日、
京都は東山にて、このたびの戦に一応は参戦した諸将が集まって宴会を開いていました。
大坂の陣打ち上げ会といったところでしょうか。
メンバーは以下の通り、
・黒田筑前守長政(47歳)−筑前福岡52万3千石
・藤堂和泉守高虎(59歳)−伊予今治20万石(今回の功績で32万石に加増)
・有馬玄番頭豊氏(46歳)−丹波福知山8万石(今回の功績で筑後久留米21万石)
・寺沢志摩守広高(52歳)−肥前唐津12万石
・加藤左馬助嘉明(52歳)−伊予松山20万石
・生駒讃岐守正俊(29歳)−讃岐高松18万石
・浅野紀伊守長晟(29歳)−紀伊和歌山37万6千石
下の二人以外はバリバリ戦国世代のいい年したオッサンどもです。

宴もたけなわ盛り上がってきたところで、藤堂高虎が言いました。
「今回の戦には、皆さんのような歴戦の勇が参加されましたが、大して手柄もなかったですね」
これをどう受け取ったのか、そのそばに寝ころんでいた黒田長政がむくりと置き上がって、
「コラ、テメェ藤堂! 聞き捨てならんな。
 ガキのころから今まで戦で後れを取ったことがないこの俺様が、
 今回の戦で活躍できんかったのは、上がおとなしくしとけ言うから控えとっただけや。
 そんな俺の前で軍功自慢とはいい度胸やないけ!」
と、高虎に突っかかりました。
長政がキレる理由がよくわかりませんが、同席した皆さんはさすが長政の扱いに慣れているのか、
「まーた始まったよ、筑前は……。酒の席で野暮なこと言うなよ。まあ、落ち着けって」
と言って、長政をなだめました。さすがに長政もそこは引いて、高虎も華麗にスルーしたので、
もとの他の宴会ムードに戻りましたとさ。