戦国ちょっといい話8

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499人間七七四年
滝川一益の家臣に、下津次郎右衛門と言う者がいた。
この人、武功を称えられた感状を、2枚も持っている勇者であった。
彼は滝川没落の後、松平忠明に仕えた。

ある時、この下津の所に客人が来て、感状とはどんなものか、是非見せてほしいと言った。
しかし津田は
「昔の感状なんて、役に立つもんじゃないよ。それにどこにやったか…
古いものをまとめてある所に、まぎれてると思うんだけど…。」

そこで津田の女房が古物入れの中から探し出してきて、客の前に出した。

客、下津が感状を、あまりに大切にする気配が無いので思い切ってこう尋ねた
「もしよかったら、この感状、1枚頂けませんか?」

すると下津、「いいよー」と、簡単にこれを与えてしまった。

感状を持ち帰った客は、この事を色々な所で話したため、たちまち世間に広まり、主君松平忠明は
「1,2枚の感状に拘らないとは、流石は下津次郎右衛門」と、感じ入り、二百石を加増したそうである。

才能と言うか自分への自信というか、そう言うものをもっている人は、今も昔も強いなあ。
そんな事を思ってしまうお話。