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人間七七四年:
ある時、徳川秀忠が、阿部備中守にこんな事を言ったそうだ
「例えば、ハマグリの貝殻の一片を持って、対になるもう一片を探し、
それが合わなかった時、怒って最初に持っていた貝殻まで捨ててしまう者がいる。
しかしこれは愚かな事だ。何故ならそれは、最初に持っていた貝殻の
せいではないのである。自分の不注意のせいなのだ。」
これは人の使い方を言っているのだろう。人を使って上手くいかなかった時、
担当した者に責任を負わせるのは愚かな事だ。本当の責任は、その仕事にどういう能力が必要かを
きちんと吟味せず、合わない事をするように命じた人間にある。そう、言いたいのであろう。
また、秀忠は、こんな事も言っている
「人というものは、自分が他人よりも劣っているという事を知って、諸事慎む。
結局はそういう事が大切なのだ。」
そんな、いかにも秀忠らしい言葉でした。