戦国ちょっといい話8

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187人間七七四年
井伊直孝の家来、安藤重勝は、大阪の夏の陣で木村重成を討ち取る手柄を立てた。
そこで褒美として五百石を加増された。しかし勝重は

「敵の一軍の大将を討ち取ったのに、五百石では褒美が少なすぎる!」

と、これが不満で、井伊家を退転し父親のところに戻ってしまった。
「父上、井伊様は敵の大将を討ち取ってもこれしか加増を頂けないのです!
あまりにひどいと思いませんか?」

父上、怒ったの何の。勿論息子に対して、である。
「お前は何を言っているのだ。木村を討ち取った事、これは確かに冥加な事だ。
が、大将たる者が討ち取られる状況とは、既に敗軍となり、左右の士卒からも離れてしまった
場合の時である。そんなものを討ち取るのに、武辺が優れている必要が有ると思うか?

大体、若いお前が、そんな敵の大将から士卒が離れるような状況になるまで、
一体何をしていたのだ!?もしかしてお前…そう言う状況になるまで
サボっていたのではないだろうな!?
そこを考えれば、井伊様がお前にしていただいた加増は、近頃でも真に結構なものであろう!」

簡単に言えば「うぬぼれるな!」と、叱り飛ばした。そして重勝を井伊家に叩き返したとのことである。
木村重成を討ち取ったほどの勇者も、戦国たたき上げの親父様には弱いのだ。