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人間七七四年:
徳川家康が三河で独立したばかりの頃、家中の者達に、「女房を持つなら、木綿の機を
良く織る者にするのがいいぞ。」と言っていたそうだ。
「わしはお前達に、充分な扶持を与える事ができていない。戦があり一旦出陣すれば、
残された女房は、たちまち暮らしが立たなくなるだろう。
しかし木綿を織れば、それを売って暮らし向きを立てることが出来る。」
だから、わしに仕えるものは、そういう、手に職のある女を女房に迎えるべきだぞと、
そのように語っていたらしい。
まだ徳川家が、三河の国人に毛が会えた程度の勢力でしかなかった頃のお話である。